JP5556625B2 - 非水系電解液、電極、ならびに、当該非水系電解液及び電極を備える電気化学デバイス - Google Patents
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Description
式(I)中、X1及びX2は水素原子又はメチル基を示し、X1及びX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R1は水素原子、炭素数1〜24の炭化水素基又は、式(II)で表される(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示し、a及びbは1〜10の整数を示し、a及びbはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(II)中、X3は水素原子又はメチル基を示し、cは1〜10の整数を示す。
式(I)中、X1及びX2は水素原子又はメチル基を示し、X1及びX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R1は水素原子、炭素数1〜24の炭化水素基又は、式(II)で表される(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示し、a及びbは1〜10の整数を示し、a及びbはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(II)中、X3は水素原子又はメチル基を示し、cは1〜10の整数を示す。
[非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、リン酸が有する3つの水素原子のうち2以上の水素原子が、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基で置換された式(I)で表されるリン酸塩と、非水溶媒と、電解質と、を含む。
リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体30、積層体30を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体30に接続された一対のリード60,62を備えている。
電極10、20について具体的に説明する。電極10、20は、集電体12、22と、集電体12、22の表面に形成された活物質及びバインダーを含む活物質層14、24と、を備え、活物質層は、さらに上記式(I)で表されるリン酸由来の構造単位を有するポリマーを含む。当該ポリマーは、式(III)で表されるリン酸塩由来の構造単位をさらに有することが好ましい。
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層14は、本実施形態に係る活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質はチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO2、SnO2等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。
バインダー、導電材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
(電極10,20の製造方法)
本実施形態に係る電極10,20の製造方法は、電極活物質層14,24の原料である塗料を、集体上に塗布する工程(以下、「塗布工程」ということがある。)と、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去し、電極活物質層を形成する工程(以下、「溶媒除去工程」ということがある。)と、電極活物質層の表面で、上記式(I)で表されるリン酸塩由来の構造単位を有するポリマーを形成する工程(以下、「ポリマー形成工程」ということがある。)と、を備える。
塗料を集電体12、22に塗布する塗布工程について説明する。塗料は、上記活物質、バインダー、及び溶媒を含む。塗料には、これらの成分の他に、例えば、活物質の導電性を高めるための導電材が含まれていてもよい。溶媒としては、溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
続いて、集電体12、22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体12、22を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
続いて、ポリマー形成前の正極及び負極を、セパレータ18を介して積層させる。例えば、この積層体を本発明の非水系電解液に浸漬させ、リード60,62を充放電試験機に接続して少なくとも1回充放電することにより、ポリマー形成前の正極活物質層、及び、ポリマー形成前の負極活物質層に上記式(I)で表されるリン酸塩由来の構造単位を有するポリマーを形成でき、正極10,負極20を作製できる。当該ポリマーの存在状態は必ずしも明らかではないが、活物質やバインダーの表面に付着したり、活物質やバインダーに結合したりして、電極活物質層14,24の表面を被覆しているものと推察される。
本願発明の効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、上記効果の得られる理由について、本発明者らは以下のように推察する。電気化学デバイスの初回充放電時に、電解液と接する電極活物質層の表面、例えば、活物質の表面やバインダーの表面に、上記式(I)で表されるリン酸塩由来の構造単位を有するポリマーが形成される。上記式(I)で表されるリン酸塩は、1分子中に、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を少なくとも2つ有しているため、上記式(I)で表されるリン酸塩由来の構造単位を有する網目状のポリマーを形成できると考えられる。上記ポリマーは、安定性に優れると考えられ、例えば、電解液と電極活物質との反応を有効に抑制でき、また、異常発熱時には電極活物質層における発熱量を低減することができるものと考えられる。また、上記式(III)で表されるリン酸塩が存在する場合は、上記式(III)で表されるリン酸塩も重合可能であるため、ポリマーは、上記式(III)で表されるリン酸塩由来の構造単位含むことができる。なお、ポリマーの構造は、(メタ)アクリロイルオキシ基におけるビニル基同士が重合したポリマーや、当該ポリマー同士が当該ポリマーに含まれる水酸基の脱水縮合によりさらに重合したもの等が推測される。
[負極の作成]
負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを、水を溶媒として混合し、塗料を作成した。この塗料を集電体である銅箔(厚さ15μm)にドクターブレード法で塗布し、80℃で乾燥させた後、圧延し、銅箔表面に正極活物質層を形成した。銅箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、ニッケル箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このニッケル箔と上記塗料を塗布し乾燥した後の銅箔とを超音波溶接した。
正極活物質としてLi(Ni0.82Co0.15Al0.03)O2、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン、導電助剤としてカーボンブラック及び黒鉛を、N−メチルピロリドンを溶媒として混合し、塗料を作成した。この塗料を集電体であるアルミ箔(厚さ20μm)にドクターブレード法で塗布し、100℃で乾燥させた後、圧延し、アルミ箔表面に正極活物質層を形成した。なお、アルミ箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、アルミ箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このアルミ箔と上記塗料を塗布し乾燥した後のアルミ箔とを超音波溶接した。
エチレンカーボネートを30vol%、ジエチルカーボネートを70vol%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させ、電解液を作成した。この電解液に、リン酸水素=ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]((CH2CCH3COO−(CH2)2−O−)2−POOH、表1中リン酸塩(a)と表す)、及び、リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(CH2CCH3COO−(CH2)2−O−PO(OH)2、表1中リン酸塩(b)と表す)を、質量比で80:20となるように含むリン酸塩(共栄社化学製、(商品名)P−2M)を0.1質量%添加し、溶解させた。
(正極ハーフセルの作製)
上述のようにして作製した正極、並びに、セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔質膜、旭化成株式会社社製、(商品名)SV722)を所定の寸法に切断した。正極、セパレータ、リチウム金属をこの順序で積層し、正極ハーフセル用積層体を作成した。この積層体を封入する電池の外装体はアルミニウムラミネート材料からなり、その構成は、ポリエチレンテレフタレート(12μm)/Al(40μm)/ポリプロピレン(50μm)であった。なおこの時PPが内側となるように製袋した。この外装体の中に上記積層体を入れ、上述のようにして作製した電解液を適当量添加し外装体を真空密封し、正極ハーフセルを作製した。
負極、セパレータ、リチウム金属をこの順序で積層し、負極ハーフセル用積層体を作成した以外は正極ハーフセルの作製方法と同様にして、負極ハーフセルを作製した。
上述のようにして作成した正極ハーフセル及び負極ハーフセルを充放電試験機(北斗電工株式会社製、(製品名)HJ1001SM8A)で、放電レートを0.1C(25℃で定電流放電を行ったときに10時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。正極の放電容量及び負極の放電容量を表1に示す。
なお、充放電後の電池から回収した電解液からは、CH2CCH3COO−(CH2)2−O−PO(OH)−(CH2)2−OCO−OC2H5、CH2CCH3COO−(CH2)2−O−PO(OH)−CH2−O−PO(OH)−O−(CH2)−O−COCCH3CH2、(CH2CCH3COO−(CH2)2−O−)2−POO−(CH2)2−OPOF−OC2H5などを微量検出した。これは上記添加剤の一部が分解し、溶媒又は支持塩の一部と反応することにより生成した物質であり、電池の性能は損なわれていなかった。
充放電試験後、正極ハーフセルを解体し、正極活物質層を一部取り出し、約1mgを直径5mmのSUSパンに入れSUS製の蓋でシールした後、示差走査熱量計(株式会社リガク社製、(製品名)Thermo plus DSC8230)にて発熱量を測定した。なお、測定範囲は25℃〜500℃、昇速速度は10℃/minであり、参照物質は、アルミナ(示差走査熱量計付属品)であった。発熱は、約230℃から始まった。
電解液中のリン酸塩の含有量を1.0質量%(リン酸塩(a)の含有量:0.8質量%)とした以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
電解液中のリン酸塩の含有量を3.0質量%(リン酸塩(a)の含有量:2.4質量%)とした以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
電解液中のリン酸塩の含有量を3.5質量%(リン酸塩(a)の含有量:2.8質量%)とした以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
電解液中のリン酸塩の含有量を0.005質量%(リン酸塩(a)の含有量:0.004質量%)とした以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
電解液中のリン酸塩の含有量を0.01質量%(リン酸塩(a)の含有量:0.008質量%)とした以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
電解液に添加剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
0.1質量%のリン酸塩の代わりにメタクリル酸メチルを1.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
0.1質量%のリン酸塩の代わりに、メタクリル酸エチルを1.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
リン酸塩の代わりにメタクリル酸メチルを添加した以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
リン酸塩の代わりにメタクリル酸エチルを添加した以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
0.1質量%のリン酸塩の代わりに、ビニレンカーボネート(VC)とプロパンスルトン(PS)とを合計1.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、正極ハーフセル及び負極ハーフセルを作製した。
Claims (6)
- リン酸が有する3つの水素原子のうち2以上の水素原子が、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基で置換された式(I)で表される化合物と、式(III)で表される化合物と、非水溶媒と、電解質と、を含み、式(III)で表される化合物の含有量が0.001質量%〜0.7質量%である非水系電解液。
- 前記式(I)で表される化合物の含有量が、0.0008質量%〜4.0質量%である、請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記式(I)で表される化合物の含有量が、0.008質量%〜3.0質量%である、請求項1に記載の非水系電解液。
- 集電体と、
活物質、バインダー、式(I)及び式(III)で表される化合物由来の構造単位を有するポリマーを含み、前記集電体の表面に形成された活物質層と、
を備える電極。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系電解液を備える電気化学デバイス。
- 請求項4に記載の電極を備える電気化学デバイス。
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