JP2019129119A - イオン伝導性セパレータ及び電気化学デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】二次電池の電解質層として用いた場合において、液漏れが少なく、安全性が高く、電極合剤層との界面形成性及び低電流での長時間放電特性に優れるイオン伝導性セパレータを提供すること。【解決手段】厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートと、多孔性シートの貫通孔に配置されたポリマ電解質組成物と、を備え、ポリマ電解質組成物が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリマと、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質塩と、融点が250℃以下である溶融塩と、を含有する、イオン伝導性セパレータ。[式(1)中、X−は対アニオンを示す。]【選択図】なし
Description
本発明は、イオン伝導性セパレータ及び電気化学デバイスに関する。
リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を有するエネルギーデバイスであり、その特性を活かして、ノートパソコン、携帯電話等のポータブル機器、電気自動車の電源などに使用されている。
現在、主に用いられているリチウムイオン二次電池は、正極と負極との間にセパレータを挟み、セパレータには有機電解液が含浸されている。このようなリチウムイオン二次電池では、異常の発生に伴って電池の温度が上昇した場合、液漏れ及び可燃性である有機電解液からの発火が発生する可能性がある。リチウムイオン二次電池において、高エネルギー密度化及び大型化に着手する上で、安全性を向上させることが重要であり、リチウムイオン二次電池の構成から発火等の事態を避けることが求められている。
このようなことから、発火等の原因となり得る有機電解液を用いない構成のリチウムイオン二次電池の開発が進められており、例えば、無機系又は高分子系の固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池の開発が盛んである(例えば、特許文献1、2を参照)。
しかし、無機系の固体電解質を電解質層として用いる場合、固体電解質と電極合剤層との間が固体/固体界面となることから、イオン伝導界面の形成が困難となる場合がある。そのため、より良好なイオン伝導界面を形成するためには、固体電解質と電極とをスプリング等で強く固縛する必要があるが、強く固縛することによって、電池のエネルギー密度が低下してしまう傾向にある。一方、高分子系の固体電解質は無機系と比較して柔軟であり、電極合剤層との界面形成は容易である。しかし、高分子系の固体電解質は、有機電解液ほどの自由度を有していないため、充放電サイクルに伴って電極合剤層が膨張収縮してしまう傾向にある。そのため、より良好なイオン伝導界面を形成するためには、無機系と同様に強く固縛する等の対策が必要となる。また、高分子系の固体電解質として、従来研究されているポリエチレンオキシド系のポリマ電解質は、酸化に対する耐性が低く、民生用途で広く使用されるLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2といった高電位の正極活物質に適用できないといった問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、二次電池の電解質層として用いた場合において、液漏れが少なく、安全性が高く、電極合剤層との界面形成性及び低電流での長時間放電特性に優れるイオン伝導性セパレータを提供することを主な目的とする。
本発明の第1の態様は、厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートと、多孔性シートの貫通孔に配置されたポリマ電解質組成物と、を備え、ポリマ電解質組成物が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリマと、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質塩と、融点が250℃以下である溶融塩と、を含有する、イオン伝導性セパレータである。
本発明の第1の態様のイオン伝導性セパレータは、多孔性シートに自由度が高い溶融塩を含有しているため、イオン伝導性セパレータと電極合剤層との間で界面が形成し易くなる。また、イオン伝導性セパレータにおいては、ポリマが溶融塩をゲル化していることが予想され、結果として、液漏れを防ぐことが可能となる。また、溶融塩は難燃性であることから、安全性を高めることが可能となる。イオン伝導性セパレータは、多孔性シートが充分な強度を有していることから、従来の電池作製プロセスと同様に貼り合わせるだけで、注液工程を経ずに電池へ適用することが可能となる。
多孔性シートは、不織布であってよい。
電解質塩のアニオンは、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであってよい。
ポリマ電解質組成物におけるポリマの含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、10〜30質量%であってよい。
電解質塩は、リチウム塩であってよい。
溶融塩のカチオンは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、又はN−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオンであってよい。
本発明の第2の態様は、上述のイオン伝導性セパレータを備える、電気化学デバイスである。電気化学デバイスは、二次電池であってよい。
本発明によれば、二次電池の電解質層として用いた場合において、液漏れが少なく、安全性が高く、電極合剤層との界面形成性及び低電流での長時間放電特性に優れるイオン伝導性セパレータが提供される。いくつかの形態に係るイオン伝導性セパレータは、二次電池の出力特性の点においても優れる。また、本発明によれば、このようなイオン伝導性セパレータを用いた電気化学デバイスが提供される。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書における数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書中、略称として以下を用いる場合がある。
[EMI]+:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン
[DEME]+:N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン
[Py12]+:N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン
[Py13]+:N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン
[PP13]+:N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン
[FSI]−:ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン
[TFSI]−:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
[f3C]−:トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン
[BOB]−:ビスオキサレートボラートアニオン
[P(DADMA)][Cl]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライド
[P(DADMA)][TFSI]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
[EMI]+:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン
[DEME]+:N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン
[Py12]+:N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン
[Py13]+:N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン
[PP13]+:N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン
[FSI]−:ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン
[TFSI]−:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
[f3C]−:トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン
[BOB]−:ビスオキサレートボラートアニオン
[P(DADMA)][Cl]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライド
[P(DADMA)][TFSI]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電気化学デバイス(二次電池)を示す斜視図である。電気化学デバイスは、二次電池であってよい。以下では、二次電池の態様について説明する。図1に示すように、二次電池1は、正極、負極、及びイオン伝導性セパレータから構成される電極群2と、電極群2を収容する袋状の電池外装体3と、を備えている。正極及び負極には、それぞれ正極集電タブ4及び負極集電タブ5が設けられている。正極集電タブ4及び負極集電タブ5は、それぞれ正極及び負極が二次電池1の外部と電気的に接続可能なように、電池外装体3の内部から外部へ突き出している。
図1は、第1実施形態に係る電気化学デバイス(二次電池)を示す斜視図である。電気化学デバイスは、二次電池であってよい。以下では、二次電池の態様について説明する。図1に示すように、二次電池1は、正極、負極、及びイオン伝導性セパレータから構成される電極群2と、電極群2を収容する袋状の電池外装体3と、を備えている。正極及び負極には、それぞれ正極集電タブ4及び負極集電タブ5が設けられている。正極集電タブ4及び負極集電タブ5は、それぞれ正極及び負極が二次電池1の外部と電気的に接続可能なように、電池外装体3の内部から外部へ突き出している。
電池外装体3は、例えば、ラミネートフィルムで形成されていてよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムと、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔と、ポリプロピレン等のシーラント層と、がこの順で積層された積層フィルムであってよい。
図2は、図1に示した電気化学デバイス(二次電池)における電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。図3は、図1に示した電気化学デバイス(二次電池)における電極群の一実施形態を示す模式断面図である。図2及び図3に示すように、本実施形態に係る電極群2Aは、正極6と、イオン伝導性セパレータ7と、負極8と、をこの順に備えている。正極6は、正極集電体9と、正極集電体9上に設けられた正極合剤層10と、を備えている。正極集電体9には、正極集電タブ4が設けられている。負極8は、負極集電体11と、負極集電体11上に設けられた負極合剤層12と、を備えている。負極集電体11には、負極集電タブ5が設けられている。
<イオン伝導性セパレータ>
イオン伝導性セパレータ7は、厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートと、多孔性シートの貫通孔に配置された(言い換えれば、固定化された、保持された)ポリマ電解質組成物と、を備える。厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートの貫通孔にポリマ電解質組成物を配置することによって、イオン伝導性セパレータ7に有機電解液が含浸されていなくとも、正極6及び負極8間においてイオンの移動が可能となり、イオン電導度が確保され得る。
イオン伝導性セパレータ7は、厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートと、多孔性シートの貫通孔に配置された(言い換えれば、固定化された、保持された)ポリマ電解質組成物と、を備える。厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートの貫通孔にポリマ電解質組成物を配置することによって、イオン伝導性セパレータ7に有機電解液が含浸されていなくとも、正極6及び負極8間においてイオンの移動が可能となり、イオン電導度が確保され得る。
多孔性シートは、通常の電解液型のイオン電池の分野でセパレータとして使用されるものであって、厚み方向に貫通孔を有しているものであれば特に制限なく使用することができる。多孔性シートは、開口率の高さ及び後述のポリマ電解質組成物の染み込み易さ(配置のし易さ)の観点から、不織布であってよい。不織布の構成材料としては、例えば、ガラス繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等)、パルプなどが挙げられる。これらの中でも、不織布の構成材料は、ポリオレフィン繊維であってよい。
多孔性シートの厚さは、作製する二次電池に合わせて所望の厚さに調整することができる。多孔性シートの厚さは、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上であってよい。多孔性シートの厚さは、100μm以下、70μm以下、又は50μm以下であってよい。多孔性シートの厚さが1μm以上であると、電極間同士の短絡をより抑制できる傾向にある。多孔性シートの厚さが100μm以下であると、エネルギー密度をより高めることができる。
ポリマ電解質組成物は、一般式(1)で表される構造単位を有するポリマと、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の電解質塩と、融点が250℃以下である溶融塩と、を含有する。
ポリマ電解質組成物は、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリマを含有する。
一般式(1)中、X−は対アニオンを示す。ここで、X−としては、例えば、BF4 −(テトラフルオロボラートアニオン)、PF6 −(ヘキサフルオロホスファートアニオン)、N(FSO2)2 −(ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、[FSI]−)、N(CF3SO2)2 −(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、[TFSI]−)、C(SO2F)3 −(トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン、[f3C]−)、B(C2O4)2 −(ビスオキサレートボラートアニオン、[BOB]−)、BF3(CF3)−、BF3(C2F5)−、BF3(C3F7)−、BF3(C4F9)−、C(SO2CF3)3 −、CF3SO2O−、CF3COO−、RCOO−(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等が挙げられる。これらの中でも、X−は、好ましくはBF4 −、PF6 −、[FSI]−、[TFSI]−、及び[f3C]−からなる群より選ばれる少なくとも1種、より好ましくは[TFSI]−又は[FSI]−である。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマの粘度平均分子量Mv(g・mol−1)は、特に制限されないが、1.0×104以上又は1.0×105以上であってよい。また、ポリマの粘度平均分子量は、5.0×106以下又は1.0×106以下であってよい。
本明細書において、「粘度平均分子量」とは、一般的な測定方法である粘度法によって評価することができ、例えば、JIS K 7367−3:1999に基づいて測定した極限粘度数[η]から算出することができる。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマは、イオン伝導性の観点から、一般式(1)で表される構造単位のみからなるポリマ、すなわちホモポリマであることが好ましい。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマは、下記一般式(2)で表されるポリマであってよい。
一般式(2)中、nは300〜4000であり、Y−は対アニオンを示す。Y−は、X−で例示したものと同様のものを用いることができる。
nは、300以上、400以上、又は500以上であってよい。また、nは、4000以下、3500以下、又は3000以下であってよい。また、nは、300〜4000、400〜3500、又は500〜3000であってよい。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマの製造方法は、特に制限されないが、例えば、Journal of Power Sources 2009,188,558−563に記載の製造方法を用いることができる。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマ(X−=[TFSI]−)は、例えば、以下の製造方法によって、得ることができる。
まず、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライド([P(DADMA)][Cl])を脱イオン水に溶解し、撹拌して[P(DADMA)][Cl]水溶液を作製する。[P(DADMA)][Cl]は、例えば、市販品をそのまま用いることができる。次いで、別途、Li[TFSI]を脱イオン水に溶解し、Li[TFSI]を含む水溶液を作製する。
その後、[P(DADMA)][Cl]に対するLi[TFSI]のモル比(Li[TFSI]のモル数/[P(DADMA)][Cl]のモル数)が1.2〜2.0になるように、2つの水溶液を混合して2〜8時間撹拌し、固体を析出させ、得られた固体をろ過回収する。脱イオン水を用いて固体を洗浄し、12〜48時間真空乾燥することによって、一般式(1)で表される構造単位を有するポリマ([P(DADMA)][TFSI])を得ることができる。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマの含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、10〜30質量%であってよく、10〜28質量%、10〜24質量%、又は10〜20質量%であってもよい。ポリマの含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、12質量%以上、14質量%以上、又は16質量%以上であってもよい。ポリマの含有量が10質量%以上であると、イオン伝導性セパレータからの液漏れをより防ぐことができる傾向にある。ポリマの含有量が30質量%以下であると、他の成分(電解質塩、溶融塩等)を増やすことができるため、結果として、イオン伝導性セパレータのイオン電導度をより向上させることが可能となる。
ポリマ電解質組成物は、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩を含有する。
電解質塩は、通常のイオン電池用の電解液の電解質塩として使用されるものを使用することができる。電解質塩のアニオンは、ハロゲン化物イオン(I−、Cl−、Br−等)、SCN−、BF4 −、BF3(CF3)−、BF3(C2F5)−、BF3(C3F7)−、BF3(C4F9)−、PF6 −、ClO4 −、SbF6 −、[FSI]−、[TFSI]−、N(C2F5SO2)2 −、BPh4 −、B(C2H4O2)2 −、[f3C]−、C(CF3SO2)3 −、CF3COO−、CF3SO2O−、C6F5SO2O−、[BOB]−、RCOO−(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってよい。これらの中でも、電解質塩のアニオンは、好ましくはPF6 −、BF4 −、[FSI]−、[TFSI]−、[BOB]−、及びClO4 −からなる群より選ばれる少なくとも1種、より好ましくは[TFSI]−又は[FSI]−、さらに好ましくは[FSI]−である。
リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO4、LiBF3(CF3)、LiBF3(C2F5)、LiBF3(C3F7)、LiBF3(C4F9)、LiC(SO2CF3)3、LiCF3SO2O、LiCF3COO、LiRCOO(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ナトリウム塩は、NaPF6、NaBF4、Na[FSI]、Na[TFSI]、Na[f3C]、Na[BOB]、NaClO4、NaBF3(CF3)、NaBF3(C2F5)、NaBF3(C3F7)、NaBF3(C4F9)、NaC(SO2CF3)3、NaCF3SO2O、NaCF3COO、NaRCOO(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マグネシウム塩は、Mg(PF6)2、Mg(BF4)2、Mg[FSI]2、Mg[TFSI]2、Mg[f3C]2、Mg[BOB]2、Mg(ClO4)2、Mg[BF3(CF3)3]2、Mg[BF3(C2F5)]2、Mg[BF3(C3F7)]2、Mg[BF3(C4F9)]2、Mg[C(SO2CF3)3]2、Mg(CF3SO2O)2、Mg(CF3COO)2、Mg(RCOO)2(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルシウム塩は、Ca(PF6)2、Ca(BF4)2、Ca[FSI]2、Ca[TFSI]2、Ca[f3C]2、Ca[BOB]2、Ca(ClO4)2、Ca[BF3(CF3)3]2、Ca[BF3(C2F5)]2、Ca[BF3(C3F7)]2、Ca[BF3(C4F9)]2、Ca[C(SO2CF3)3]2、Ca(CF3SO2O)2、Ca(CF3COO)2、Ca(RCOO)2(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、解離性及び電気化学的安定性の観点から、好ましくはリチウム塩、より好ましくはLiPF6、LiBF4、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、及びLiClO4からなる群より選ばれる少なくとも1種、さらに好ましくはLi[TFSI]又はLi[FSI]、さらに好ましくLi[FSI]である。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマに対する電解質塩の質量比(電解質塩の質量/一般式(1)で表される構造単位を有するポリマの質量)は、特に制限されないが、0.1以上、0.15以上、又は0.2以上であってよい。質量比が0.1以上であると、イオン伝導性セパレータのイオンキャリア濃度が充分となり、電池の出力特性がより向上する傾向にある。質量比の上限は、例えば、1.0以下、0.9以下、又は0.8以下であってよい。
電解質塩の含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、0.1〜40質量%であってよい。電解質塩の含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、5質量%以上又は10質量%以上であってよい。また、電解質塩の含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、25質量%以下又は20質量%以下であってよい。
ポリマ電解質組成物は、融点が250℃以下である溶融塩を含有する。溶融塩は、カチオンとアニオンとから構成されるものである。溶融塩は、融点が250℃以下であれば、特に制限されずに、通常のイオン液体又は柔粘性結晶(プラスチッククリスタル)を使用することができる。
なお、本明細書において、「イオン液体」は、30℃で液体である溶融塩、すなわち、融点が30℃以下である溶融塩を意味し、「柔粘性結晶」は30℃で固体である溶融塩、すなわち、融点が30℃より高い溶融塩を意味する。
イオン液体は、30℃で液体である溶融塩であれば、特に制限されることなく、使用することができる。具体的には、カチオンとして、[EMI]+、[DEME]+、[Py12]+、[Py13]+、又は[PP13]+と、アニオンとして、PF6 −、BF4 −、[FSI]−、[TFSI]−、又は[f3C]−とを組み合わせたもので、30℃で液体のものが挙げられる。より具体的には、[EMI][TFSI](融点:−15℃)、[DEME][TFSI](融点:−83℃)、[EMI][FSI](融点:−13℃)、[DEME][FSI](融点:<25℃)、[Py13][FSI](融点:−10℃)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、後述の柔粘性結晶と組み合わせて用いてもよい。
イオン液体の融点は、特に制限されないが、25℃以下、10℃以下、又は0℃以下であってよい。融点が25℃以下であると、室温(例えば、25℃)以下においても、イオン伝導度が低下し難い傾向にある。イオン液体の融点の下限は、特に制限されないが、−150℃以上、−120℃以上、又は−90℃以上であってよい。
柔粘性結晶は、30℃で固体であり、融点が250℃以下である溶融塩であれば、特に制限されることなく、使用することができる。具体的には、カチオンとして、[EMI]+、[DEME]+、[Py12]+、[Py13]+、又は[PP13]+と、アニオンとして、PF6 −、BF4 −、[FSI]−、[TFSI]−、又は[f3C]−との組み合わせたもので、30℃で固体のものが挙げられる。より具体的には、[Py12][TFSI](融点:90℃)、[Py12][FSI](融点:205℃)、[DEME][f3C](融点:69℃)、[Py13][f3C](融点:177℃)、[PP13][f3C](融点:146℃)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上述のイオン液体と組み合わせて用いてもよい。柔粘性結晶は、融点が80℃以上であると、通常の電池使用時に液漏れをより抑制できる傾向にある。したがって、柔粘性結晶を用いることによって、単一セル内に電極が直列に積層されたバイポーラ電極を有する電池を実現することが可能となり得る。
溶融塩のカチオンは、イオン伝導度の観点から、好ましくは[EMI]+、[DEME]+、又は[Py13]+、より好ましくは[EMI]+である。溶融塩のアニオンは、イオン伝導度の観点から、好ましくは[FSI]−又は[TFSI]−、より好ましくは[FSI]−である。溶融塩は、イオン伝導度の観点から、[EMI][FSI]、[DEME][FSI]、又は[Py13][FSI]を含むことが好ましく、[EMI][FSI]を含むことがより好ましい。
柔粘性結晶の融点は、250℃以下であり、200℃以下、150℃以下、又は100℃以下であってよい。融点が250℃以下であると、イオン伝導度が高まる傾向にある。溶融塩の融点の下限は、特に制限されないが、例えば、80℃以上とすることができる。
溶融塩の含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、10〜70質量%であってよい。溶融塩の含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、20質量%以上又は30質量%以上であってもよい。また、溶融塩の含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、65質量%以下又は55質量%以下であってもよい。
電解質塩の溶融塩溶液のモル濃度(単位体積の溶融塩溶液中の電解質塩の物質量)は、0.6〜5.0mol/Lであってよい。電解質塩の溶融塩溶液のモル濃度は、0.8mol/L以上、1.0mol/L以上、又は1.4mol/L以上であってよく、4.5mol/L以下、3.6mol/L以下、又は3.2mol/L以下であってよい。電解質塩の溶融塩溶液のモル濃度が0.6mol/L以上であると、イオン伝導性セパレータのイオンキャリア濃度が充分となり、イオン伝導度がより向上する傾向にある。電解質塩の溶融塩溶液のモル濃度が5.0mol/L以下であると、イオン伝導性セパレータの溶融塩の粘度が低く保たれるため、イオン伝導度がより向上する傾向にある。
ポリマ電解質組成物は、必要に応じて、シリカ、アルミナ等の酸化物の粒子又はファイバー;Li7La3Zr2O12(LLZ)等の無機固体電解質;ホウ酸エステル、アルミン酸エステル等のリチウム塩解離能を有する添加剤などのその他の成分をさらに含有していてもよい。その他の成分の含有量は、組成物全量を基準として、0.01〜20質量%であってよい。
イオン伝導性セパレータ7の製造方法は、例えば、ポリマ電解質組成物を分散媒に分散させてポリマ電解質組成物のスラリを作製する工程と、当該スラリを多孔性シートの貫通孔に加える工程と、貫通孔に加えられた当該スラリから揮発成分を除去する工程と、を備える。
分散媒は、ポリマが溶解するものであれば特に制限されないが、アセトン、エチルメチルケトン、γ−ブチロラクトン等であってよい。分散媒の含有量は、特に制限されないが、ポリマ電解質組成物の全質量100質量に対して、例えば、10〜200質量部であってよい。
ポリマ電解質組成物のスラリを多孔性シートに貫通孔に加える方法は、特に制限されないが、例えば、当該スラリに多孔性シートを浸漬する方法、当該スラリを多孔性シートに滴下、塗布等する方法などが挙げられる。貫通孔に加えられた当該スラリから揮発成分を除去する方法は、特に制限されず、通常用いられる揮発成分の除去方法を採用することができる。
<正極>
正極は、正極集電体と、正極集電体上に設けられた正極合剤層と、を備える。
正極は、正極集電体と、正極集電体上に設けられた正極合剤層と、を備える。
正極集電体9は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等で形成されていてよい。正極集電体9は、具体的には、例えば孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってよい。正極集電体9は、上記以外にも、電池の使用中に溶解、酸化等の変化を生じないものであれば、任意の材料で形成されていてよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
正極集電体9の厚さは、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよい。正極集電体9の厚さは、100μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってよい。
正極合剤層10は、一実施形態において、正極活物質と、導電剤と、バインダと、ポリマ電解質組成物と、を含有する。
正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属リン酸塩等のリチウム遷移金属化合物であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等に含有されるMn、Ni、Co等の遷移金属の一部を、1種若しくは2種以上の他の遷移金属、又はMg、Al等の金属元素(典型元素)で置換したリチウム遷移金属酸化物であってもよい。すなわち、リチウム遷移金属酸化物は、LiM1O2又はLiM1O4(M1は少なくとも1種の遷移金属を含む)で表される化合物であってもよい。リチウム遷移金属酸化物は、具体的には、Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O2、LiNi1/2Mn1/2O2、LiNi1/2Mn3/2O4等であってもよい。
リチウム遷移金属酸化物は、エネルギー密度をさらに向上させる観点から、好ましくは下記式(A)で表される化合物である。
LiaNibCocM2 dO2+e (A)
[式(A)中、M2は、Al、Mn、Mg、及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、a、b、c、d、及びeは、それぞれ0.2≦a≦1.2、0.5≦b≦0.9、0.1≦c≦0.4、0≦d≦0.2、−0.2≦e≦0.2、かつb+c+d=1を満たす数である。]
LiaNibCocM2 dO2+e (A)
[式(A)中、M2は、Al、Mn、Mg、及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、a、b、c、d、及びeは、それぞれ0.2≦a≦1.2、0.5≦b≦0.9、0.1≦c≦0.4、0≦d≦0.2、−0.2≦e≦0.2、かつb+c+d=1を満たす数である。]
リチウム遷移金属リン酸塩は、LiFePO4、LiMnPO4、LiMnxM3 1−xPO4(0.3≦x≦1、M3はFe、Ni、Co、Ti、Cu、Zn、Mg、及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である)等であってよい。
正極活物質の含有量は、正極合剤層全量を基準として、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。正極活物質の含有量は、正極合剤層全量を基準として、99質量%以下であってよい。
導電剤は、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック等であってよい。
導電剤の含有量は、正極合剤層全量を基準として、1〜15質量%であってよい。
バインダは、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリアクリル酸、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂;これら樹脂を主骨格として有する共重合体の樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等)などであってよい。
バインダの含有量は、正極合剤層全量を基準として、1〜15質量%であってよい。
ポリマ電解質組成物は、上述のイオン伝導性セパレータで使用されるポリマ電解質組成物を用いることができる。
ポリマ電解質組成物の含有量は、正極合剤層全量を基準として、0.5〜25質量%であってよい。
正極合剤層10の厚さは、特に制限されないが、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であってよい。正極合剤層10の厚さは、100μm以下、80μm以下、又は60μm以下であってよい。
正極合剤層10の合剤密度は、1g/cm3以上であってよい。
<負極>
負極は、負極集電体と、負極集電体上に設けられた負極合剤層と、を備える。
負極は、負極集電体と、負極集電体上に設けられた負極合剤層と、を備える。
負極集電体11は、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル等で形成されていてよい。負極集電体11は、具体的には、圧延銅箔、孔径0.1〜10mmの孔を有する銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってよい。負極集電体11は、上記以外の任意の材料で形成されていてもよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
負極集電体11の厚さは、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよい。負極集電体11の厚さは、100μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってよい。
負極合剤層12は、一実施形態において、負極活物質と、導電剤と、バインダと、ポリマ電解質組成物と、を含有する。
負極活物質は、二次電池等の通常のエネルギーデバイスの分野の負極活物質として使用されるものを使用することができる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属化合物、炭素材料、金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、負極活物質は、炭素材料であることが好ましい。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人工黒鉛等の黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、非晶質炭素、炭素繊維などが挙げられる。
負極活物質の含有量は、負極合剤層全量を基準として、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以上であってよい。負極活物質の含有量は、負極合剤層全量を基準として、99質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。
導電剤及びその含有量、バインダ及びその含有量、並びにポリマ電解質組成物及びその含有量は、上述の正極合剤層10における導電剤及びその含有量、バインダ及びその含有量、並びにポリマ電解質組成物及びその含有量と同様であってよい。
負極合剤層12の厚さは、特に制限されないが、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよい。負極合剤層12の厚さは、50μm以下、45μm以下、又は40μm以下であってよい。
負極合剤層12の合剤密度は、1g/cm3以上であってよい。
続いて、第1実施形態に係る二次電池の製造方法について説明する。第1実施形態に係る二次電池の製造方法は、正極6を得る第1の工程と、負極8を得る第2の工程と、正極6、イオン伝導性セパレータ7、及び負極8をこの順に積層する第3の工程と、を備える。
第1の工程における正極6の製造方法は、正極集電体の少なくとも一方の主面上に正極活物質を含む正極活物質層が設けられた正極前駆体を用意する工程と、ポリマ電解質組成物のスラリを正極活物質層に加える工程と、正極活物質層に加えられたポリマ電解質組成物のスラリから揮発成分を除去して、正極合剤層を形成する工程と、を備える。
正極前駆体における正極活物質層は、例えば、正極活物質、導電剤、バインダ等を含む材料を分散媒に分散させたスラリを作製し、当該スラリを正極集電体に塗布乾燥することによって得ることができる。分散媒は、特に制限されないが、水、アルコールと水との混合溶媒等の水系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤であってよい。
次いで、ポリマ電解質組成物を分散媒に分散させたスラリを作製する。その後、当該スラリを正極活物質層に加える。スラリを加える方法としては、特に制限されず、滴下、塗布、印刷等が挙げられる。分散媒は、イオン伝導性セパレータ7の作製したものと同様であってよい。
その後、正極活物質層に加えられたスラリから揮発成分を除去して、正極合剤層を形成する。揮発成分を除去する方法としては、特に制限されず、通常用いられる方法で行うことができる。
負極8は、上述した正極6と同様の製造方法によって得ることができる。すなわち、第2の工程における負極8の製造方法は、負極集電体の少なくとも一方の主面上に負極活物質を含む負極活物質層が設けられた負極前駆体を用意する工程と、ポリマ電解質組成物のスラリを負極活物質層に加える工程と、負極活物質層に加えられたポリマ電解質組成物のスラリから揮発成分を除去して、正極合剤層を形成する工程と、を備える。
第3の工程では、正極6、イオン伝導性セパレータ7、及び負極8をこの順に積層する。これによって、第1実施形態に係る二次電池を得ることができる。このとき、イオン伝導性セパレータ7は、正極6の正極合剤層10と負極8の負極合剤層12とが接するように、すなわち、正極集電体9、正極合剤層10、イオン伝導性セパレータ7、負極合剤層12、及び負極集電体11がこの順で配置されるように積層する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る二次電池について説明する。図4は、第2実施形態に係る電気化学デバイス(二次電池)における電極群の一実施形態を示す模式断面図である。図4に示すように、第2実施形態における二次電池が第1実施形態における二次電池と異なる点は、電極群2Bが、バイポーラ電極16を備えている点である。すなわち、電極群2Bは、正極6と、第1のイオン伝導性セパレータ7と、バイポーラ電極16と、第2のイオン伝導性セパレータ7と、負極8と、をこの順に備えている。
次に、第2実施形態に係る二次電池について説明する。図4は、第2実施形態に係る電気化学デバイス(二次電池)における電極群の一実施形態を示す模式断面図である。図4に示すように、第2実施形態における二次電池が第1実施形態における二次電池と異なる点は、電極群2Bが、バイポーラ電極16を備えている点である。すなわち、電極群2Bは、正極6と、第1のイオン伝導性セパレータ7と、バイポーラ電極16と、第2のイオン伝導性セパレータ7と、負極8と、をこの順に備えている。
バイポーラ電極16は、バイポーラ電極集電体17と、バイポーラ電極集電体17の負極8側の面に設けられた正極合剤層10と、バイポーラ電極集電体17の正極6側の面に設けられた負極合剤層12と、を備えている。
バイポーラ電極集電体17は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等で形成されていてよい。バイポーラ電極集電体17は、具体的には、孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってもよい。バイポーラ電極集電体17は、上記以外にも、電池の使用中に溶解、酸化等の変化を生じないものであれば、任意の材料で形成されていてよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
バイポーラ電極集電体17の厚さは、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよい。バイポーラ電極集電体17の厚さは、100μm以下、80μm以下、又は60μm以下であってよい。
続いて、第2実施形態に係る二次電池の製造方法について説明する。本実施形態に係る二次電池の製造方法は、正極集電体9上に正極合剤層10を形成して正極6を得る第1の工程と、負極集電体11上に負極合剤層12を形成して負極8を得る第2の工程と、バイポーラ電極集電体17の一方の面に正極合剤層10を形成し、他方の面に負極合剤層12を形成してバイポーラ電極16を得る第3の工程と、正極6、第1のイオン伝導性セパレータ7、バイポーラ電極16、第2のイオン伝導性セパレータ7、及び負極8をこの順に積層する第4の工程と、を備える。
第1の工程及び第2の工程は、第1実施形態における第1の工程及び第2の工程と同様の方法であってよい。
第3の工程において、バイポーラ電極集電体17の一方の面に正極合剤層10を形成する方法は、第1実施形態における第1の工程と同様の方法であってよい。バイポーラ電極集電体17の他方の面に負極合剤層12を形成する方法は、第1実施形態における第2の工程と同様の方法であってよい。
第4の工程では、正極6、第1のイオン伝導性セパレータ7、バイポーラ電極16、第2のイオン伝導性セパレータ7、及び負極8をこの順に積層する。これによって、第2実施形態に係る二次電池を得ることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[正極前駆体の作製]
NMC(Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O2)(正極活物質)66質量部、アセチレンブラック(導電剤、商品名:Li400、平均粒径48nm(製造元カタログ値)、デンカ株式会社)4質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ、商品名:クレハKFポリマ#1120、固形分:12質量%、株式会社クレハ)14質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(分散媒、NMP)15質量部を混合してスラリを調製した。このスラリを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上の主面に塗布し、120℃で乾燥後、圧延して、片面塗布量120g/m2、合剤密度2.7g/cm3の正極活物質層を形成し、正極前駆体を作製した。
NMC(Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O2)(正極活物質)66質量部、アセチレンブラック(導電剤、商品名:Li400、平均粒径48nm(製造元カタログ値)、デンカ株式会社)4質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ、商品名:クレハKFポリマ#1120、固形分:12質量%、株式会社クレハ)14質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(分散媒、NMP)15質量部を混合してスラリを調製した。このスラリを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上の主面に塗布し、120℃で乾燥後、圧延して、片面塗布量120g/m2、合剤密度2.7g/cm3の正極活物質層を形成し、正極前駆体を作製した。
[負極前駆体の作製]
黒鉛(負極活物質)52質量部、カーボンナノチューブ(導電剤、商品名:VGCF、繊維径:150nm(製造元カタログ値)、昭和電工株式会社)0.4質量部、高純度黒鉛(導電剤、商品名:JSP、平均粒径7μm(製造元カタログ値)、日本黒鉛株式会社)1.4質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ、商品名:クレハKFポリマ#9130、固形分:13質量%、株式会社クレハ)21.8質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(分散媒、NMP)24.4質量部を混合してスラリを調製した。このスラリを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上の主面に塗布し、80℃で乾燥後、圧延して、片面塗布量60g/m2、合剤密度1.6g/cm3の負極活物質層を形成し、負極前駆体を作製した。
黒鉛(負極活物質)52質量部、カーボンナノチューブ(導電剤、商品名:VGCF、繊維径:150nm(製造元カタログ値)、昭和電工株式会社)0.4質量部、高純度黒鉛(導電剤、商品名:JSP、平均粒径7μm(製造元カタログ値)、日本黒鉛株式会社)1.4質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ、商品名:クレハKFポリマ#9130、固形分:13質量%、株式会社クレハ)21.8質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(分散媒、NMP)24.4質量部を混合してスラリを調製した。このスラリを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上の主面に塗布し、80℃で乾燥後、圧延して、片面塗布量60g/m2、合剤密度1.6g/cm3の負極活物質層を形成し、負極前駆体を作製した。
[ポリマの合成]
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマは、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライドの対アニオンCl−を[TFSI]−に変換することによって合成した。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマは、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライドの対アニオンCl−を[TFSI]−に変換することによって合成した。
[P(DADMA)][Cl]水溶液(重量平均分子量400000〜500000、20質量%水溶液、Aldrich社製)100質量部を、蒸留水500質量部で希釈し、希釈ポリマ水溶液を作製した。次に、Li[TFSI](キシダ化学株式会社製)43質量部を水100質量部に溶解し、Li[TFSI]水溶液を作製した。これを希釈ポリマ水溶液に滴下し、2時間撹拌することによって白色析出物を得た。析出物をろ過によって分離し、400質量部の蒸留水で洗浄後、再度ろ過を行った。洗浄及びろ過は5回繰り返した。その後、105℃の真空乾燥によって水分を蒸発させ、ポリマ[P(DADMA)][TFSI]を得た。[P(DADMA)][TFSI]の粘度平均分子量Mvは、2.11×106g・mol−1であった。
粘度平均分子量Mvは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を標準物質として用いて、ウベローデ粘度計を使用して25℃におけるポリマの粘度[η]を測定した後、[η]=KMv(ここで、Kは拡張因子を示し、その値は、温度、ポリマ、及び溶媒性質に依存する。)に基づき、算出した。
(実施例1)
[ポリマ電解質組成物のスラリの調製]
Li[FSI](電解質塩、関東化学株式会社製)を、[Py13][FSI](溶融塩、関東化学株式会社製、融点:−10℃)に溶解させ、1.6mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を作製した。[P(DADMA)][TFSI](ポリマ)24質量部に対して、Li[FSI]溶液を76質量部及び分散媒としてアセトンを72質量部加えて撹拌し、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=24質量部:14質量部:62質量部)のスラリを調製した。ポリマ電解質組成物におけるポリマの含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、24質量%であった。
[ポリマ電解質組成物のスラリの調製]
Li[FSI](電解質塩、関東化学株式会社製)を、[Py13][FSI](溶融塩、関東化学株式会社製、融点:−10℃)に溶解させ、1.6mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を作製した。[P(DADMA)][TFSI](ポリマ)24質量部に対して、Li[FSI]溶液を76質量部及び分散媒としてアセトンを72質量部加えて撹拌し、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=24質量部:14質量部:62質量部)のスラリを調製した。ポリマ電解質組成物におけるポリマの含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、24質量%であった。
[イオン伝導性セパレータの作製]
上記で作製したポリマ電解質組成物のスラリに、厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートである厚さ20μmのポリオレフィン繊維の不織布を浸した。不織布を充分に浸漬させた後、不織布を引き上げ、不織布表面の余剰のポリマスラリを取り除いた。その後、浸漬した不織布を60℃で12時間真空乾燥することによって、不織布の貫通孔にポリマ電解質組成物が配置されたイオン伝導性セパレータを得た。イオン伝導性セパレータの厚さは30μmであった。電池作製のため、イオン伝導性セパレータを直径19mmの円型に打ち抜いた。
上記で作製したポリマ電解質組成物のスラリに、厚み方向に貫通孔を有する多孔性シートである厚さ20μmのポリオレフィン繊維の不織布を浸した。不織布を充分に浸漬させた後、不織布を引き上げ、不織布表面の余剰のポリマスラリを取り除いた。その後、浸漬した不織布を60℃で12時間真空乾燥することによって、不織布の貫通孔にポリマ電解質組成物が配置されたイオン伝導性セパレータを得た。イオン伝導性セパレータの厚さは30μmであった。電池作製のため、イオン伝導性セパレータを直径19mmの円型に打ち抜いた。
[電池の作製]
上述のポリマ電解質組成物のスラリを、上述の正極前駆体の正極活物質層及び負極前駆体の負極活物質層にドクターブレード法によって、ギャップ150μmで塗布し、60℃で12時間真空乾燥した。これによって、正極合剤層を備える正極及び負極合剤層を備える負極を得た。電池作製のため、正極を直径15mmの円型に、負極を直径16mmの円型にそれぞれ打ち抜いた。円型に打ち抜いた正極、イオン伝導性セパレータ、及び負極をこの順に重ねて、CR2032型のコインセル容器内に配置し、絶縁性のガスケットを介して電池容器上部をかしめて密閉することによって、リチウムイオン二次電池を得た。なお、電池作製はアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
上述のポリマ電解質組成物のスラリを、上述の正極前駆体の正極活物質層及び負極前駆体の負極活物質層にドクターブレード法によって、ギャップ150μmで塗布し、60℃で12時間真空乾燥した。これによって、正極合剤層を備える正極及び負極合剤層を備える負極を得た。電池作製のため、正極を直径15mmの円型に、負極を直径16mmの円型にそれぞれ打ち抜いた。円型に打ち抜いた正極、イオン伝導性セパレータ、及び負極をこの順に重ねて、CR2032型のコインセル容器内に配置し、絶縁性のガスケットを介して電池容器上部をかしめて密閉することによって、リチウムイオン二次電池を得た。なお、電池作製はアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
(実施例2)
2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=24質量部:18質量部:58質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=24質量部:18質量部:58質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例3)
3.1mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=24質量部:23質量部:53質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
3.1mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=24質量部:23質量部:53質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例4)
2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を用い、ポリマ電解質組成物における[P(DADMA)][TFSI]の割合を16質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=16質量部:20質量部:64質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を用い、ポリマ電解質組成物における[P(DADMA)][TFSI]の割合を16質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[Py13][FSI]=16質量部:20質量部:64質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例5)
溶融塩を[Py13][FSI]から[DEME][FSI]に変更した以外は、実施例4と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[DEME][FSI]=16質量部:20質量部:64質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
溶融塩を[Py13][FSI]から[DEME][FSI]に変更した以外は、実施例4と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[DEME][FSI]=16質量部:20質量部:64質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例6)
1.1mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用い、ポリマ電解質組成物における[P(DADMA)][TFSI]の割合を16質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:10質量部:74質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
1.1mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用い、ポリマ電解質組成物における[P(DADMA)][TFSI]の割合を16質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:10質量部:74質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例7)
1.6mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:14質量部:70質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
1.6mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:14質量部:70質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例8)
2.3mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:19質量部:65質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
2.3mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:19質量部:65質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例9)
3.1mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:24質量部:60質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
3.1mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:24質量部:60質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例10)
4.3mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:30質量部:54質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
4.3mol/LのLi[FSI]の[EMI][FSI]溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、ポリマ電解質組成物([P(DADMA)][TFSI]:Li[FSI]:[EMI][FSI]=16質量部:30質量部:54質量部)のスラリを調製した。得られたポリマ電解質組成物のスラリを用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
ポリマ電解質組成物を配置していない不織布のみを用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
ポリマ電解質組成物を配置していない不織布のみを用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
[P(DADMA)][TFSI]を用いずに、不織布の貫通孔に2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液のみを配置したセパレータを作製した。このセパレータを用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
[P(DADMA)][TFSI]を用いずに、不織布の貫通孔に2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液のみを配置したセパレータを作製した。このセパレータを用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例3)
2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を有機電解液(1.0mol/LのLiPF6のEC(エチレンカーボネート、30体積%)/EMC(エチルメチルカーボネート、70体積%)溶液、VC(ビニレンカーボネート)1.0質量部を含む)に変更した以外は、比較例2と同様にして、セパレータを作製した。このセパレータを用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
2.3mol/LのLi[FSI]の[Py13][FSI]溶液を有機電解液(1.0mol/LのLiPF6のEC(エチレンカーボネート、30体積%)/EMC(エチルメチルカーボネート、70体積%)溶液、VC(ビニレンカーボネート)1.0質量部を含む)に変更した以外は、比較例2と同様にして、セパレータを作製した。このセパレータを用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
[イオン伝導性セパレータの液漏れ評価]
実施例1〜10のイオン伝導性セパレータ及び比較例2、3のセパレータをアルミニウム箔で挟み込み、直径16mmで打ち抜いた。打ち抜いたイオン伝導性セパレータをさらに5cm角の薬包紙で挟み込み、上方から一軸プレス機によって0.2MPaの荷重をかけ、液漏れの度合いを評価した。薬包紙の濡れ幅(直径16mmのアルミニウム箔の外側にはみ出したポリマ電解質組成物の成分)が1mm未満であった場合を「A」、1mm以上2mm未満であった場合を「B」、2mm以上であった場合を「C」と評価した。結果を表1に示す。
実施例1〜10のイオン伝導性セパレータ及び比較例2、3のセパレータをアルミニウム箔で挟み込み、直径16mmで打ち抜いた。打ち抜いたイオン伝導性セパレータをさらに5cm角の薬包紙で挟み込み、上方から一軸プレス機によって0.2MPaの荷重をかけ、液漏れの度合いを評価した。薬包紙の濡れ幅(直径16mmのアルミニウム箔の外側にはみ出したポリマ電解質組成物の成分)が1mm未満であった場合を「A」、1mm以上2mm未満であった場合を「B」、2mm以上であった場合を「C」と評価した。結果を表1に示す。
[難燃性評価]
イオン伝導性セパレータを、アルコールランプの炎の先端から試料までの距離が約5cmとなるような位置にセットし、5秒間保持し、状態を観察した。イオン伝導性セパレータが燃焼しなかった場合を「A」、燃焼した場合を「C」と評価した。結果を表1に示す。
イオン伝導性セパレータを、アルコールランプの炎の先端から試料までの距離が約5cmとなるような位置にセットし、5秒間保持し、状態を観察した。イオン伝導性セパレータが燃焼しなかった場合を「A」、燃焼した場合を「C」と評価した。結果を表1に示す。
[電池特性評価]
上記液漏れ評価において、「A」及び「B」評価であったイオン伝導性セパレータを用いたリチウムイオン二次電池について、充放電装置(東洋システム株式会社製)を用いて、25℃での電池特性を以下の充放電条件で測定した。
(1)終止電圧4.2V、0.05Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.05Cで終止電圧2.7Vまで定電流(CC)放電する充放電を2サイクル行った。2サイクル目の放電容量を0.05Cでの放電容量とした。なお、Cとは「電流値(A)/電池容量(Ah)」を意味する。
(2)次いで、終止電圧4.2V、0.05Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.5Cで終止電圧2.7Vまで定電流(CC)放電するサイクルを1サイクル行い、0.5Cでの放電容量を求めた。得られた放電容量から、下記式に基づき、0.05C放電特性及び0.5C放電特性を算出した。結果を表1に示す。0.05C放電特性は、その値が大きいほど、電極合剤層との界面形成性に優れ、低電流での長時間放電特性に優れているといえる。0.5C放電特性は、その値が大きいほど、電池の出力特性に優れているといえる。
0.05C放電特性(%)=(1)で得られた放電容量/設計放電容量×100
0.5C放電特性(%)=(2)で得られた放電容量/設計放電容量×100
上記液漏れ評価において、「A」及び「B」評価であったイオン伝導性セパレータを用いたリチウムイオン二次電池について、充放電装置(東洋システム株式会社製)を用いて、25℃での電池特性を以下の充放電条件で測定した。
(1)終止電圧4.2V、0.05Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.05Cで終止電圧2.7Vまで定電流(CC)放電する充放電を2サイクル行った。2サイクル目の放電容量を0.05Cでの放電容量とした。なお、Cとは「電流値(A)/電池容量(Ah)」を意味する。
(2)次いで、終止電圧4.2V、0.05Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.5Cで終止電圧2.7Vまで定電流(CC)放電するサイクルを1サイクル行い、0.5Cでの放電容量を求めた。得られた放電容量から、下記式に基づき、0.05C放電特性及び0.5C放電特性を算出した。結果を表1に示す。0.05C放電特性は、その値が大きいほど、電極合剤層との界面形成性に優れ、低電流での長時間放電特性に優れているといえる。0.5C放電特性は、その値が大きいほど、電池の出力特性に優れているといえる。
0.05C放電特性(%)=(1)で得られた放電容量/設計放電容量×100
0.5C放電特性(%)=(2)で得られた放電容量/設計放電容量×100
表1のポリマ含有量は、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準とした含有量を意味する。表1の電解質塩モル濃度は、電解質塩の溶融塩溶液のモル濃度を意味する。
[電気化学的安定性の検証]
実施例2及び実施例7で作製したイオン伝導性セパレータに関して、電気化学的安定性を検証した。SUS電極/イオン伝導性セパレータ/金属リチウムで構成される電気化学測定セルを作製し、挿引速度1mV/sで6Vまで電圧を変化させて、リニアスイープボルタンメトリ測定を行った。図5は、実施例2及び実施例7で作製したイオン伝導性セパレータのリニアスイープボルタンメトリの結果を示す電流電位曲線である。図5に示すとおり、実施例2及び実施例7で作製したイオン伝導性セパレータは、4V以上の高電位の正極活物質においても、適用可能であることが判明した。
実施例2及び実施例7で作製したイオン伝導性セパレータに関して、電気化学的安定性を検証した。SUS電極/イオン伝導性セパレータ/金属リチウムで構成される電気化学測定セルを作製し、挿引速度1mV/sで6Vまで電圧を変化させて、リニアスイープボルタンメトリ測定を行った。図5は、実施例2及び実施例7で作製したイオン伝導性セパレータのリニアスイープボルタンメトリの結果を示す電流電位曲線である。図5に示すとおり、実施例2及び実施例7で作製したイオン伝導性セパレータは、4V以上の高電位の正極活物質においても、適用可能であることが判明した。
実施例1〜10のイオン伝導性セパレータは、固体電解質として用いることができ、これを用いたリチウムイオン二次電池は、液漏れ、安全性、電極合剤層との界面形成性、及び低電流での長時間放電特性に優れていた。また、実施例7〜9のリチウムイオン二次電池は、さらにリチウムイオン二次電池の出力特性の点においても優れていた。一方、多孔性シートの貫通孔に特定のポリマ電解質組成物が配置されていない比較例1〜3のリチウムイオン二次電池は、液漏れ、安全性、又は電極合剤層との界面形成性及び低電流での長時間放電特性において充分ではなかった。これらの結果から、本発明のイオン伝導性セパレータが、二次電池の電解質層として用いた場合において、液漏れが少なく、安全性が高く、電極合剤層との界面形成性及び低電流での長時間放電特性に優れることが確認された。
1…二次電池、2,2A,2B…電極群、3…電池外装体、4…正極集電タブ、5…負極集電タブ、6…正極、7…イオン伝導性セパレータ、8…負極、9…正極集電体、10…正極合剤層、11…負極集電体、12…負極合剤層、16…バイポーラ電極、17…バイポーラ電極集電体。
Claims (7)
- 前記多孔性シートが、不織布である、請求項1に記載のイオン伝導性セパレータ。
- 前記電解質塩のアニオンが、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンである、請求項1又は2に記載のイオン伝導性セパレータ。
- 前記ポリマ電解質組成物における前記ポリマの含有量が、ポリマ、電解質塩、及び溶融塩の合計量を基準として、10〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン伝導性セパレータ。
- 前記電解質塩が、リチウム塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイオン伝導性セパレータ。
- 前記溶融塩のカチオンが、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、又はN−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のイオン伝導性セパレータ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオン伝導性セパレータを備える、電気化学デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018011507A JP2019129119A (ja) | 2018-01-26 | 2018-01-26 | イオン伝導性セパレータ及び電気化学デバイス |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021193023A1 (ja) * | 2020-03-27 | 2021-09-30 | 第一工業製薬株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
WO2022035040A1 (ko) * | 2020-08-14 | 2022-02-17 | 주식회사 유뱃 | 전기화학 소자용 분리막 |
-
2018
- 2018-01-26 JP JP2018011507A patent/JP2019129119A/ja active Pending
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WO2021193023A1 (ja) * | 2020-03-27 | 2021-09-30 | 第一工業製薬株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
JP2021157983A (ja) * | 2020-03-27 | 2021-10-07 | 第一工業製薬株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
WO2022035040A1 (ko) * | 2020-08-14 | 2022-02-17 | 주식회사 유뱃 | 전기화학 소자용 분리막 |
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