JP2019169444A - 二次電池用電極、二次電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次電池の製造において電解質層を支持する基材を剥離する際に、電極合剤層が集電体から剥離することを抑制できる二次電池用電極を提供すること。【解決手段】本発明の一側面は、集電体と、集電体の一方の面上に設けられ、バインダポリマ及び導電性フィラを含有する導電層と、導電層の集電体と反対側の面上に設けられ、電極活物質、イオン液体及び電解質塩を含有する電極合剤層と、を備える、二次電池用電極である。【選択図】図6

Description

本発明は、二次電池用電極、二次電池及びその製造方法に関する。
近年、携帯型電子機器、電気自動車等の普及により、高性能な二次電池が必要とされている。中でもリチウム二次電池は、高いエネルギ密度を有するため、携帯型電子機器、電気自動車等の電源として利用されている。リチウム二次電池には高い安全性が求められており、その手段として、全固体電池の開発が進められている。
全固体電池においては、電解液の代わりに、ポリマ電解質又は無機固体電解質といった固体電解質の層(電解質層)が電極合剤層上に設けられている(例えば特許文献1)。このような全固体電池においては、電解質層に溶媒が添加される場合がある。例えば、特許文献2には、ポリマ電解質等の電解質層にイオン液体が含まれた電池が開示されている。
特開2006−294326号公報 国際公開第2011/037060号
ところで、ポリマ電解質層をシート状に形成して全固体電池に適用する場合には、まず、シート状のポリマ電解質層を形成するために、電解質層を支持する基材が必要となる。そして、基材上に形成された電解質層を、集電体上に形成された電極合剤層(電極)に貼り付け、基材を剥離することによって、電極と電解質層との積層体が得られることとなる。本発明者らの検討によれば、基材を剥離する際に電極合剤層(及び電解質層)も集電体から剥がれてしまうおそれがあり、このような問題は、特に、電極合剤層がイオン液体及び電解質塩を含む場合に生じ得ることが判明した。
そこで、本発明は、二次電池の製造において電解質層を支持する基材を剥離する際に、電極合剤層が集電体から剥離することを抑制できる二次電池用電極、それを用いた二次電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、集電体と、集電体の一方の面上に設けられ、バインダポリマ及び導電性フィラを含有する導電層と、導電層の集電体と反対側の面上に設けられ、電極活物質、イオン液体及び電解質塩を含有する電極合剤層と、を備える、二次電池用電極である。
この二次電池用電極では、バインダポリマ及び導電性フィラを含有する導電層が、電極合剤層を集電体に好適に接着させているため、二次電池の製造において、電極合剤層の導電層と反対側の面上に、基材に支持された電解質層を設けた後、基材を剥離する際に、電極合剤層(及び電解質層)が集電体から剥離することを抑制できる。また、導電層が導電性フィラを含有しているため、電極の抵抗上昇を抑制しつつ、上述した電極合剤層の集電体に対する好適な接着性を得ることができる。
導電性フィラは、導電性炭素材料のフィラであってよく、導電性炭素材料は、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
バインダポリマは、アクリルポリマ及びスチレン−ブタジエンコポリマからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
イオン液体は、カチオン成分として、鎖状四級オニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、アニオン成分として、下記式(I)で表されるアニオン成分の少なくとも1種を含有してよい。
N(SO2m+1)(SO2n+1 (I)
[m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。]
電解質塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
本発明の他の一側面は、一対の電極と、一対の電極間に設けられた電解質層と、を備え、一対の電極の少なくとも一方が上記の電極である、二次電池である。電解質層は、ポリマと、酸化物粒子と、電解質塩と、イオン液体とを含有してよい。
本発明の他の一側面は、一対の電極と、一対の電極間に設けられた電解質層と、を備える二次電池の製造方法であって、集電体の一方の面上に、バインダポリマ及び導電性フィラを含有する導電層を設け、導電層の集電体と反対側の面上に、電極活物質、イオン液体及び電解質塩を含有する電極合剤層を更に設けることにより、一対の電極の少なくとも一方を作製する工程と、一方の電極の電極合剤層側に、プレス加工により電解質層を設ける工程と、を備える二次電池の製造方法である。プレス加工時の温度は、120℃以下であってよい。
本発明によれば、二次電池の製造において電解質層を支持する基材を剥離する際に、電極合剤層が集電体から剥離することを抑制できる二次電池用電極、それを用いた二次電池及びその製造方法を提供することができる。
一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。 図1に示した二次電池における電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。 図1に示した二次電池における電極群の一実施形態を示す模式断面図である。 電極群の他の一実施形態を示す模式断面図である。 電極群の他の一実施形態を示す模式断面図である。 一実施形態に係る二次電池(電極群)の製造方法を示す模式断面図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。また、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本明細書における数値及びその範囲は、本発明を制限するものではない。本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載される数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
図1は、一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。図1に示すように、二次電池1は、正極、負極及び電解質層から構成される電極群2と、電極群2を収容する袋状の電池外装体3とを備えている。正極及び負極には、それぞれ正極集電タブ4及び負極集電タブ5が設けられている。正極集電タブ4及び負極集電タブ5は、それぞれ正極及び負極が二次電池1の外部と電気的に接続可能なように、電池外装体3の内部から外部へ突き出している。
電池外装体3は、例えばラミネートフィルムで形成されていてよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムと、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔と、ポリプロピレン等のシーラント層とがこの順で積層された積層フィルムであってよい。
図2は、図1に示した二次電池1における電極群2の一実施形態を示す分解斜視図である。図3は、図1に示した二次電池1における電極群2の一実施形態を示す模式断面図である。図2及び図3に示すように、本実施形態に係る電極群2Aは、正極6と、電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。
正極6は、正極集電体9と、正極集電体9の一方の面上に設けられた導電層10と、導電層10の正極集電体9と反対側の面上に設けられた正極合剤層11とを備えている。正極集電体9には、正極集電タブ4が設けられている。負極8は、負極集電体12と、負極集電体12の一方の面上に設けられた導電層10と、導電層10の負極集電体12と反対側の面上に設けられた負極合剤層13とを備えている。負極集電体12には、負極集電タブ5が設けられている。以下、正極6及び負極8をまとめて電極6,8ともいい、正極集電体9及び負極集電体12をまとめて集電体9,12ともいい、正極合剤層11及び負極合剤層13をまとめて電極合剤層11,13ともいう。
正極集電体9は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等で形成されていてよい。正極集電体9は、具体的には、例えば孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってよい。正極集電体9は、上記以外にも、電池の使用中に溶解、酸化等の変化を生じないものであれば、任意の材料で形成されていてよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
正極集電体9の厚さは、10μm以上であってよく、100μm以下であってよい。正極集電体9の厚さは、正極全体の体積を小さくする観点から、好ましくは10μm以上50μm以下であり、電池を形成する際に小さな曲率で正極を捲回する観点から、より好ましくは10μm以上20μm以下である。
導電層10は、バインダポリマと、導電性フィラとを含有する。
バインダポリマは、導電性フィラを保持でき、電極合剤層11,13)を集電体(正極集電体9)に接着可能な接着性を有するポリマであればよい。バインダポリマは、例えば、アクリルポリマ、スチレン−ブタジエンコポリマ、ポリエチレンオキサイド、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等であってよく、電池の長期安定性に優れる観点から、好ましくは、アクリルポリマ及びスチレン−ブタジエンコポリマからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
アクリルポリマは、モノマ単位として、(メタ)アクリルモノマを含む。(メタ)アクリルモノマは、(メタ)アクリロイル基を一つ有する単官能(メタ)アクリルモノマ、及び(メタ)アクリロイル基を二つ以上有する多官能(メタ)アクリルモノマからなる群より得られる少なくとも1種であってよい。
単官能(メタ)アクリルモノマは、例えば、下記式(1)で表されるモノマであってよい。
Figure 2019169444

式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
で表される無置換のアルキル基は、例えば炭素数3〜20の直鎖又は分岐のアルキル基であってよい。当該アルキル基は、好ましくは直鎖のアルキル基である。当該アルキル基の炭素数は、好ましくは3〜12、より好ましくは3〜8である。
で表される置換のアルキル基は、窒素原子又は酸素原子を有していてよく、例えば、アルキル基中のメチル基がシアノ基で置換された基、アルキル基中の水素原子が水酸基で置換された基であってよい。具体的には、置換のアルキル基は、例えば、2−シアノエチル基、炭素数5〜20のヒドロキシアルキル基等であってよい。
単官能(メタ)アクリルモノマの含有率は、集電体9,12と電極合剤層11,13との間の密着性に更に優れる観点から、アクリルポリマのモノマ全量を基準(100モル%)として、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは55モル%以上であり、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは65モル%以下である。
多官能(メタ)アクリルモノマは、例えば、下記式(2)で表されるモノマであってよい。
Figure 2019169444

式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはn価の有機基を表す。nは2〜6の数、好ましくは3〜4の数を表す。式(2)で表されるモノマが単一の分子種である場合、nは整数である。複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
で表されるn価の有機基としては、炭素数2〜20の脂肪族炭化水素からn個の水素原子を取り除いて構成される炭素数が2〜20であるn価の脂肪族炭化水素基;炭素数2〜4のアルキレングリコールの2以上が互いにエーテル結合してなるポリアルキレングリコールの両末端からヒドロキシ基を取り除いて構成されるポリアルキレンオキシアルキレン基;グリセリン、ジグリセリン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の炭素数3〜20の多価アルコール又はそのヒドロキシアルキル化物からn個のヒドロキシル基を取り除いて構成されるn価の有機基;イソシアヌル酸又はそのヒドロキシアルキル化物からn個のヒドロキシル基を取り除いて構成されるn価の有機基;などを挙げることができる。
多官能(メタ)アクリルモノマは、上記のとおり2以上のエチレン性不飽和結合を有しているため、架橋剤としての役割を果たす。アクリルポリマは、多官能(メタ)アクリルモノマに加えて、あるいは多官能(メタ)アクリルモノマに代えて、エチレン性不飽和結合を含む2以上の官能基と、官能基を互いに連結する2価以上の連結基である有機基とを有する化合物(架橋剤)の1種又は2種以上をモノマ単位として含んでいてよい。
多官能(メタ)アクリルモノマの含有量、又は上記架橋剤の含有量(総量)は、アクリルポリマのモノマ全量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.02質量部以上であり、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは0.2質量部以下である。
多官能(メタ)アクリルモノマの含有率、又は上記架橋剤の含有率(総量)は、アクリルポリマのモノマ全量(100モル%)を基準として、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.005モル%以上、更に好ましくは0.02モル%以上であり、好ましくは1.0モル%以下、より好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.2モル%以下である。
アクリルポリマは、モノマ単位として、(メタ)アクリロニトリルを含んでいてよい。(メタ)アクリロニトリルの含有率は、集電体9,12と電極合剤層11,13との間の密着性に更に優れる観点から、アクリルポリマのモノマ全量を基準(100モル%)として、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは45モル%以下である。
アクリルポリマは、上述したモノマの1種又は2種以上をモノマ単位として含んでいてよい。アクリルポリマが2種以上のモノマをモノマ単位として含む場合、各モノマ単位の結合順序について特に制限はなく、アクリルポリマは、ブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれであってもよく、好ましくはランダム共重合体である。
アクリルポリマは、好ましくは、モノマ単位として、上記架橋剤と(メタ)アクリロニトリルとを含む。(メタ)アクリロニトリルの含有量に対する架橋剤の含有量のモル比は、集電体9,12と電極合剤層11,13との間の密着性に更に優れる観点から、好ましくは0.008モル%以上、より好ましくは0.03モル%以上であり、好ましくは0.8モル%以下、より好ましくは0.3モル%以下である。
アクリルポリマは、好ましくは、水に分散されたアクリルポリマ粒子として用いられる。アクリルポリマ粒子の粒径は、集電体9,12と電極合剤層11,13との間の密着性に更に優れ、電池特性にも優れる観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下である。アクリルポリマ粒子の粒径の下限値は、特に制限されないが、実用的な観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上である。アクリルポリマ粒子の粒径は、動的光散乱法により測定された平均粒径を意味する。
スチレン−ブタジエンコポリマは、スチレン及びブタジエンをモノマ単位として含むコポリマである。スチレン−ブタジエンコポリマは、スチレン及びブタジエン以外のその他のモノマをモノマ単位として更に含んでいてよい。その他のモノマは、例えば、アクリロニトリル等であってよい。スチレンの含有率は、スチレン−ブタジエンコポリマのモノマ全量を基準(100モル%)として、例えば、20モル%以上、40モル%以上、又は60モル%以上であってよい。ブタジエンの含有率は、スチレン−ブタジエンコポリマのモノマ全量を基準(100モル%)として、例えば、20モル%以上、40モル%以上、又は60モル%以上であってよい。
バインダポリマの含有量は、導電層全量を基準として、電極合剤層の集電体からの剥離を更に抑制できる観点から、5質量%以上、7質量%以上、又は10質量%以上であってよく、好適な導電性を有する導電層が得られる観点から、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であってよい。
導電性フィラとしては、導電性炭素材料が使用できる。導電性炭素材料は、好ましくは、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、又はこれらの混合物である。
導電性フィラの含有量は、導電層全量を基準として、好適な導電性を有する導電層が得られる観点から、好ましくは、50質量%以上、60質量%以上、又は70質量%以上であり、導電層10内の導電性フィラの分散性に優れる観点から、好ましくは、90質量%以下、85質量%以下、又は80質量%以下である。
導電層10は、導電性フィラの分散性の観点から、水溶性高分子化合物(水溶性ポリマ)を更に含有していてもよい。水溶性高分子化合物は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のカルボキシメチルセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性アルギン酸誘導体、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、ポリアクリル酸誘導体などであってよい。
水溶性高分子化合物の含有量は、導電層全量を基準として、好ましくは、1質量%以上、7質量%以上、又は10質量%以上であり、好ましくは、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下である。水溶性高分子化合物の含有量が1質量%以上である場合、導電性フィラを良好に分散でき、導電層10内での電子移動経路が良好に確保されるため、電池特性の低下を抑制できる。水溶性高分子化合物の含有量が40質量%以下である場合、得られる分散液の粘度上昇を抑制でき、集電体9,12への塗工性が良好となる。
導電層10の厚さは、電極合剤層の集電体からの剥離を更に抑制できる観点から、1μm以上、2μm以上、又は3μm以上であってよく、好適な導電性を有する導電層が得られる観点から、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下であってよい。
正極合剤層11は、一実施形態において、正極活物質及びイオン液体を含有する。正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属リン酸塩等のリチウム遷移金属化合物であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、例えば、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等に含有されるMn、Ni、Co等の遷移金属の一部を、1種若しくは2種以上の他の遷移金属、又はMg、Al等の金属元素(典型元素)で置換したリチウム遷移金属酸化物であってもよい。すなわち、リチウム遷移金属酸化物は、LiM又はLiM(Mは少なくとも1種の遷移金属を含む)で表される化合物であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、具体的には、Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O、LiNi1/2Mn1/2、LiNi1/2Mn3/2等であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、エネルギ密度を更に向上させる観点から、好ましくは下記式(3)で表される化合物である。
LiNiCo 2+e (3)
[式(3)中、Mは、Al、Mn、Mg及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ0.2≦a≦1.2、0.5≦b≦0.9、0.1≦c≦0.4、0≦d≦0.2、−0.2≦e≦0.2、かつb+c+d=1を満たす数である。]
リチウム遷移金属リン酸塩は、LiFePO、LiMnPO、LiMn 1−xPO(0.3≦x≦1、MはFe、Ni、Co、Ti、Cu、Zn、Mg及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である)等であってよい。
正極活物質は、造粒されていない一次粒子であってもよく、造粒された二次粒子であってもよい。
正極活物質の粒径は、正極合剤層11の厚さ以下になるように調整される。正極活物質中に正極合剤層11の厚さ以上の粒径を有する粗粒子がある場合、ふるい分級、風流分級等により粗粒子を予め除去し、正極合剤層11の厚さ以下の粒径を有する正極活物質を選別する。
正極活物質の平均粒径は、0.1μm以上、より好ましくは1μm以上である。正極活物質の平均粒径は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。正極活物質の平均粒径は、正極活物質全体の体積に対する比率(体積分率)が50%のときの粒径(D50)である。正極活物質の平均粒径(D50)は、レーザー散乱型粒径測定装置(例えば、マイクロトラック)を用いて、レーザー散乱法により水中に正極活物質を懸濁させた懸濁液を測定することで得られる。
正極活物質の含有量は、正極合剤層全量を基準として、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。正極活物質の含有量は、正極合剤層全量を基準として、99質量%以下であってよい。
イオン液体は、以下のアニオン成分及びカチオン成分を含有する。なお、本実施形態におけるイオン液体は、−20℃以上で液状の物質である。
イオン液体のアニオン成分は、特に限定されないが、Cl、Br、I等のハロゲンのアニオン、BF 、N(SOF) 等の無機アニオン、B(C 、CHSO、CFSO、N(SO 、N(SOCF 、N(SO 等の有機アニオンなどであってよい。イオン液体のアニオン成分は、好ましくは、下記式(I)で表されるアニオン成分の少なくとも1種を含有する。
N(SO2m+1)(SO2n+1 (I)
m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。m及びnは、互いに同一でも異なっていてもよく、好ましくは互いに同一である。
式(I)で表されるアニオン成分は、例えば、N(SO 、N(SOF) 、N(SOCF 及びN(SO である。イオン液体のアニオン成分は、比較的低粘度でイオン伝導度を更に向上させるとともに、充放電特性も更に向上させる観点から、より好ましくは、N(SO 、CFSO、N(SOF) 、N(SOCF 、及びN(SO からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、更に好ましくはN(SOF) を含有する。
なお、以下では下記の略称を用いる場合がある。
[FSI]:N(SOF) 、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン
[TFSI]:N(SOCF 、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
[BOB]:B(O 、ビスオキサレートボラートアニオン
[f3C]:C(SOF) 、トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン
イオン液体のカチオン成分は、好ましくは、鎖状四級オニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
鎖状四級オニウムカチオンは、例えば、下記式(II)で表される化合物である。
Figure 2019169444

式(3)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、炭素数が1〜20の鎖状アルキル基、又はR−O−(CH−で表される鎖状アルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す)を表し、Xは、窒素原子又はリン原子を表す。R11〜R14で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である。
ピペリジニウムカチオンは、例えば、下記式(III)で表される、窒素を含有する六員環環状化合物である。
Figure 2019169444

式(III)中、R15及びR16は、それぞれ独立に、炭素数が1〜20のアルキル基、又はR−O−(CH−で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す)を表す。R15及びR16で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である。
ピロリジニウムカチオンは、例えば、下記式(IV)で表される五員環環状化合物である。
Figure 2019169444

式(IV)中、R17及びR18は、それぞれ独立に、炭素数が1〜20のアルキル基、又はR−O−(CH−で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す)を表す。R17及びR18で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である。
ピリジニウムカチオンは、例えば、下記式(V)で示される化合物である。
Figure 2019169444

式(V)中、R19〜R23は、それぞれ独立に、炭素数が1〜20のアルキル基、R−O−(CH−で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R19〜R23で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である。
イミダゾリウムカチオンは、例えば、下記式(VI)で示される化合物である。
Figure 2019169444

式(VI)中、R24〜R28は、それぞれ独立に、炭素数が1〜20のアルキル基、R−O−(CH−で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1〜4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R24〜R28で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である。
イオン液体の含有量は、正極合剤層全量を基準として、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。イオン液体の含有量は、正極合剤層全量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
正極合剤層11は、導電材、結着剤等を更に含有してもよい。
導電材は、特に限定されないが、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の炭素材料などであってよい。導電材は、上述した炭素材料の2種以上の混合物であってもよい。導電材の含有量は、正極合剤層全量を基準として、0.1質量%以上、1質量%以上、又は3質量%以上であってよく、15質量%以下、10質量%以下、又は8質量%以下であってよい。
結着剤は、特に限定されないが、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマ、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴムなどであってよい。結着剤は、好ましくは四フッ化エチレンとフッ化ビニリデンとを構造単位として含有するコポリマ、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを構造単位として含有するコポリマである。
結着剤の含有量は、正極合剤層全量を基準として、0.5質量%以上、1質量%以上、又は3質量%以上であってよい。結着剤の含有量は、正極合剤層全量を基準として、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
イオン液体には、電解質塩が溶解されていてもよい。電解質塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
電解質塩のアニオン成分は、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、BF(CF、BF(C、PF 、ClO 、SbF 、N(SOF) 、N(SOCF 、N(SO 、B(C 、B(O 、C(SOF) 、C(SOCF 、CFCOO、CFSO、CSO、B(O 等であってよい。電解質塩のアニオン成分は、好ましくは、N(SOF) 、N(SOCF 等の上述した式(I)で表されるアニオン成分、PF 、BF 、B(O 、又はClO である。
リチウム塩は、LiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO、LiBF(CF)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiC(SOCF、LiCFSOO、LiCFCOO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
ナトリウム塩は、NaPF、NaBF、Na[FSI]、Na[TFSI]、Na[f3C]、Na[BOB]、NaClO、NaBF(CF)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaC(SOCF、NaCFSOO、NaCFCOO、及びNaRCOO(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
カルシウム塩は、Ca(PF、Ca(BF、Ca[FSI]、Ca[TFSI]、Ca[f3C]、Ca[BOB]、Ca(ClO、Ca[BF(CF)]、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[C(SOCF、Ca(CFSOO)、Ca(CFCOO)、及びCa(RCOO)(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
マグネシウム塩は、Mg(PF、Mg(BF、Mg[FSI]、Mg[TFSI]、Mg[f3C]、Mg[BOB]、Na(ClO、Mg[BF(CF)]、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[C(SOCF、Mg(CFSO、Mg(CFCOO)、及びMg(RCOO)(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
これらのうち、解離性及び電気化学的安定性の観点から、電解質塩は、好ましくはLiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO4、LiBF(CF)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiC(SOCF、LiCFSOO、LiCFCOO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはLi[TFSI]、Li[FSI]、LiPF、LiBF、Li[BOB]、及びLiClO4からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはLi[TFSI]、及びLi[FSI]からなる群より選ばれる1種である。
正極合剤層11の厚さは、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよい。正極合剤層11の厚さは、100μm以下、80μm以下、又は70μm以下であってよい。正極合剤層の厚さを100μm以下とすることにより、正極合剤層11の表面近傍及び正極集電体9の表面近傍の正極活物質の充電レベルのばらつきに起因する充放電の偏りを抑制できる。
負極集電体12は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属、それらの合金などであってよい。負極集電体12は、軽量で高い重量エネルギ密度を有するため、好ましくはアルミニウム及びその合金である。負極集電体12は、薄膜への加工のしやすさ及びコストの観点から、好ましくは銅である。
負極集電体12の厚さは、10μm以上であってよく、100μm以下であってよい。負極集電体12の厚さは、負極全体の体積を小さくする観点から、好ましくは10μm以上50μm以下であり、電池を形成する際に小さな曲率で負極を捲回する観点から、より好ましくは10μm以上20μm以下である。
負極合剤層13は、一実施形態において、負極活物質とイオン液体とを含有する。
負極活物質は、エネルギデバイスの分野で常用されるものを使用できる。負極活物質としては、具体的には、例えば、金属リチウム、チタン酸リチウム(LiTi12)、リチウム合金又はその他の金属化合物、炭素材料、金属錯体、及び有機高分子化合物が挙げられる。負極活物質は、これらの1種単独、又は2種以上の混合物であってよい。炭素材料としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素、炭素繊維、及びアセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。負極活物質は、より大きな理論容量(例えば500〜1500Ah/kg)を得る観点から、シリコン、スズ又はこれらの元素を含む化合物(酸化物、窒化物、他の金属との合金)であってもよい。
負極活物質の平均粒径(D50)は、粒径減少に伴う不可逆容量の増加を抑制しつつ、かつ、電解質塩の保持能力を高めたバランスの良い負極を得る観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、更に好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、更に好ましくは30μm以下である。負極活物質の平均粒径(D50)は、上述した正極活物質の平均粒径(D50)と同様の方法により測定される。
負極活物質の含有量は、負極合剤層全量を基準として、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以上であってよい。負極活物質の含有量は、負極合剤層全量を基準として、99質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。
イオン液体は、正極合剤層11に含まれるイオン液体として説明した上記のイオン液体であってよい。イオン液体の含有量は、負極合剤層全量を基準として、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。イオン液体の含有量は、負極合剤層全量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。イオン液体には、上述した正極合剤層11に使用できる電解質塩と同様の電解質塩が溶解されていてもよい。
負極合剤層13は、上述した正極合剤層11に使用できる導電材、結着剤等を更に含有してもよい。負極合剤層13に含まれる導電材、結着剤の含有量は、それぞれ上述した正極合剤層11における導電材又は結着剤の含有量と同様であってよい。
負極合剤層13の厚さは、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってよい。負極合剤層13の厚さは、100μm以下、80μm以下、又は70μm以下であってよい。
電解質層7は、一実施形態において、ポリマと、酸化物粒子と、電解質塩と、イオン液体と、を含有する。
ポリマは、好ましくは、四フッ化エチレン及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる第1の構造単位を有する。
ポリマは、好ましくは、1種又は2種以上のポリマであり、前記1種又は2種以上のポリマを構成する構造単位の中には、前記第1の構造単位と、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる第2の構造単位とが含まれていてもよい。すなわち、第1の構造単位及び第2の構造単位は、1種のポリマに含まれてコポリマを構成していてもよく、それぞれ別のポリマに含まれて、第1の構造単位を有する第1のポリマと、第2の構造単位を有する第2のポリマとの少なくとも2種のポリマを構成していてもよい。
ポリマは、具体的には、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマなどであってよい。
ポリマの含有量は、電解質層全量を基準として、好ましくは3質量%以上である。ポリマの含有量は、電解質層全量を基準として、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。ポリマの含有量は、電解質層全量を基準として、好ましくは3〜50質量%、又は3〜40質量%である。
本実施形態に係るポリマは、電解質組成物に含まれるイオン液体との親和性に優れるため、イオン液体中の電解質塩を保持する。これにより、電解質組成物に荷重が加えられた際のイオン液体の液漏れが抑制される。
酸化物粒子は、例えば無機酸化物の粒子である。無機酸化物は、例えば、Li、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Zr、La、Na、K、Ba、Sr、V、Nb、B、Ge等を構成元素として含む無機酸化物であってよい。酸化物粒子は、好ましくは、SiO、Al、AlOOH、MgO、CaO、ZrO、TiO、LiLaZr12、及びBaTiOからなる群より選ばれる少なくとも1種の粒子である。酸化物粒子は極性を有するため、電解質層7中の電解質の解離を促進し、電池特性を高めることができる。
酸化物粒子は、希土類金属の酸化物であってもよい。酸化物粒子は、具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロビウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等であってよい。
酸化物粒子の比表面積は、二次電池の放電特性に優れる観点から、好ましくは、5m/g以上、10m/g以上、又は15m/g以上であり、好ましくは、100m/g以下、80m/g以下、又は60m/g以下である。酸化物粒子の比表面積は、一次粒子及び二次粒子を含む酸化物粒子全体の比表面積を意味し、BET法によって測定される。
酸化物粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm以上であり、より好ましくは0.01μm以上であり、更に好ましくは0.03μm以上である。酸化物粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下であり、更に好ましくは1μm以下である。酸化物粒子の平均粒径は、レーザー回折法により測定され、体積累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、体積累積が50%となる粒子径に対応する。
酸化物粒子の含有量は、電解質層全量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
電解質塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。電解質塩は、正極合剤層11及び負極合剤層13に使用できる電解質塩と同様であってよい。
イオン液体は、正極合剤層11に含まれるイオン液体として説明した上記のイオン液体であってよい。イオン液体には、電解質塩が溶解されていてよい。イオン液体の単位体積あたりの電解質塩の濃度は、充放電特性を更に向上させる観点から、好ましくは0.5mol/L以上、より好ましくは0.7mol/L以上、更に好ましくは0.8mol/L以上であり、また、好ましくは2.0mol/L以下、より好ましくは1.8mol/L以下、更に好ましくは1.5mol/L以下である。
イオン液体の含有量は、電解質層7を好適に作製する観点から、電解質層全量を基準として、10質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。電解質塩と第3のイオン液体との合計の含有量は、導電率を更に向上させ、二次電池の容量低下を抑制する観点から、電解質層全量を基準として、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、更に好ましくは40質量%以上である。電解質塩と第3のイオン液体との合計の含有量は、電解質層の強度低下を抑制する観点から、電解質層全量を基準として、好ましくは80質量%以下である。
電解質層7の厚さは、強度を高め安全性を向上させる観点から、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。電解質層7の厚さは、二次電池の内部抵抗を更に低減させる観点及び大電流特性を更に向上させる観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
電極群2は、他の実施形態をとり得る。図4及び図5は、それぞれ、二次電池1における電極群2の他の一実施形態を示す模式断面図である。上記実施形態では、正極6及び負極8の両方が導電層10を備えているが、他の一実施形態では、正極6及び負極8のいずれか一方のみが導電層を備えていてもよい。
具体的には、図4(a)に示すように、他の一実施形態に係る電極群2Bでは、正極6は、正極集電体9と、正極集電体9の一方の面上に設けられた導電層10と、導電層10の正極集電体9と反対側の面上に設けられた正極合剤層11とを備えており、負極28は、負極集電体12と、負極集電体12上に設けられた負極合剤層13とを備えている(導電層を備えていない)。また、図4(b)に示すように、他の一実施形態に係る電極群2Cでは、負極8は、負極集電体12と、負極集電体12の一方の面上に設けられた導電層10と、導電層10の負極集電体12と反対側の面上に設けられた負極合剤層13とを備えており、正極26は、正極集電体9と、正極集電体9上に設けられた正極合剤層11とを備えている(導電層を備えていない)。
他の一実施形態では、図5に示すように、電極群2Dは、正極6と、第1の電解質層7と、バイポーラ電極16と、第2の電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。この実施形態では、上記実施形態と同様に、正極6は、正極集電体9と、正極集電体9の一方の面上に設けられた導電層10と、導電層10の正極集電体9と反対側の面上に設けられた正極合剤層11とを備えており、負極8は、負極集電体12と、負極集電体12の一方の面上に設けられた導電層10と、導電層10の負極集電体12と反対側の面上に設けられた負極合剤層13とを備えている。
バイポーラ電極16は、バイポーラ電極集電体15と、バイポーラ電極集電体15の両面上にそれぞれ設けられた導電層10,10と、バイポーラ電極集電体15の負極8側の導電層10の面(正極面)上に設けられた正極合剤層11と、バイポーラ電極集電体15の正極6側の導電層10の面(負極面)上に設けられた負極合剤層13とを備えている。
バイポーラ電極集電体15において、正極面は、好ましくは耐酸化性に優れた材料で形成されていてよく、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等で形成されていてよい。負極活物質として黒鉛又は合金を用いたバイポーラ電極集電体15における負極面は、リチウムと合金を形成しない材料で形成されていてよく、具体的には、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、チタン等で形成されていてよい。正極面と負極面に異種の金属を用いる場合、バイポーラ電極集電体15は、異種金属箔を積層させたクラッド材であってよい。ただし、チタン酸リチウムのように、リチウムと合金を形成しない電位で動作する負極8を用いる場合、上述の制限はなくなり、負極面は、正極集電体9と同様の材料であってよい。その場合、バイポーラ電極集電体15は、単一の金属箔であってよい。単一の金属箔としてのバイポーラ電極集電体15は、孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってよい。
バイポーラ電極集電体15の厚さは、10μm以上であってよく、100μm以下であってよい。バイポーラ電極集電体15の厚さは、バイポーラ電極全体の体積を小さくする観点から、好ましくは10μm以上50μm以下であり、電池を形成する際に小さな曲率でバイポーラ電極を捲回する観点から、より好ましくは10μm以上20μm以下である。
続いて、上述した二次電池1の製造方法について説明する。図6は、一実施形態に係る二次電池1(図3に示した電極群2A)の製造方法を示す模式断面図である。二次電池1の製造方法は、電極を作製する電極作製工程と、少なくとも一方の電極上にプレス加工により電解質層を設ける(転写する)転写工程と、一方の電極と他方の電極とを電解質層を介して積層する電極積層工程とを備えている。
電極作製工程では、電極群2を構成する一対の電極の少なくとも一方を以下のように作製する。一対の電極とは、電解質層7を挟んで向かい合う、互いに極性の異なる二つの電極を意味する。例えば、図3,4に示す電極群2A,2B,2Cでは、正極6及び負極8が一対の電極を構成する。図5に示す電極群2Dでは、正極6及びバイポーラ電極16(負極合剤層13側)が一対の電極を構成し、また、負極8及びバイポーラ電極16(正極合剤層11側)も一対の電極を構成する。
電極作製工程では、図6(a)に示すように、まず、集電体9,12の一方の面上に導電層10を設ける。導電層10は、例えば、バインダポリマ、導電性フィラ及び必要に応じて添加される任意成分を分散媒に分散させた導電層形成用スラリを、集電体9,12の一方の面上に塗布した後、分散媒を揮発させることにより得られる。分散媒は、例えば水であってよい。
次いで、導電層10の集電体9,12と反対側の面上に、電極合剤層11,13を更に設けることにより、電極6,8が得られる。電極合剤層11,13は、例えば、電極活物質、イオン液体、電解質塩及びに必要に応じて添加される任意成分を分散媒に分散させたスラリ状の正極合剤を、導電層10の面上に塗布した後、分散媒を揮発させることにより得られる。分散媒は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤であってよい。電極合剤層11,13に含まれる電解質塩は、イオン液体に溶解させてから、他の材料とともに分散媒に分散させることができる。
図4(a)に示す電極群2Bを作製する場合、電極作製工程における負極28の作製では、負極集電体12の一方面上に、上記と同様に方法により負極合剤層13を設ければよい。図4(b)に示す電極群2Cを作製する場合、電極作製工程における正極26の作製では、正極集電体9の一方面上に、上記と同様に方法により正極合剤層11を設ければよい。図5に示す電極群2Dを作製する場合、電極作製工程では、正極6及び負極8の作製に加えて、上記と同様に方法により、バイポーラ電極集電体15の一方面上に、導電層10及び正極合剤層11を設け、バイポーラ電極集電体15の一方面上に、導電層10及び負極合剤層13を設けることにより、バイポーラ電極16を作製すればよい。
転写工程では、図6(b)に示すように、電極6,8の電極合剤層11,13側に、プレス加工により電解質層7aを設ける。電解質層7aは、上述した電解質層に用いる材料を分散媒に分散させたスラリ状の電解質組成物を基材上に塗布した後、分散媒を揮発させることによってシート状の電解質層として得られる。分散媒は、例えば、水、NMP、トルエン等であってよい。
プレス加工は、基材(図示せず)上に形成された電解質層7aを電極合剤層11,13に接するように重ねた状態で行われる。プレス加工は、加熱した状態で実施されてもよい。プレス加工時の温度は、電極合剤層11,13と電解質層7aとの間の密着性を向上させる観点から、60℃以上、70℃以上、又は80℃以上であってよく、120℃以下、110℃以下、又は100℃以下であってよい。このようなプレス加工としては、例えば、熱ロールプレス加工等が挙げられる。
転写工程では、続いて、電解質層7aから基材を剥がす。本実施形態では、集電体9,12と電極合剤層11,13との間に導電層10が設けられているため、電解質層7aを基材から剥がす際に、電極合剤層11,13(及び電解質層7a)が集電体9,12から剥離することを抑制できる。
図4(a)に示す電極群2Bを作製する場合、転写工程では、正極6側にのみ電解質層を設けてもよい。図4(b)に示す電極群2Cを作製する場合、転写工程では、負極8側にのみ電解質層を設けてもよい。図5に示す電極群2Dを作製する場合、転写工程では、正極6及び負極8に加えて、バイポーラ電極16の両側に電解質層を設けてもよい。
電極積層工程においては、図6(c)に示すように、正極6上に設けられた電解質層7aの正極6と反対側の面に、負極8上に設けられた電解質層7aの負極8と反対側の面が接するように積層する。電極積層工程では、例えば、転写工程と同様にプレス加工により各層が積層される。これにより、正極6側に設けられている電解質層7aと、負極8側に設けられている電解質層7aとが互いに一体となり、図6(d)に示すように、電極群2Aが得られる。
図4(a)に示す電極群2Bを作製する場合、電極積層工程では、正極6上に設けられた電解質層7の正極6と反対側の面上に、負極集電体12及び負極合剤層13からなる負極28を積層すればよい。図4(b)に示す電極群2Cを作製する場合、電極積層工程では、負極8上に設けられた電解質層7の負極8と反対側の面上に、正極集電体9及び正極合剤層11からなる正極6を積層すればよい。図5に示す電極群2Dを作製する場合、バイポーラ電極16の正極合剤層11側に設けられた電解質層のバイポーラ電極16と反対側の面に、負極8上に設けられた電解質層の負極8と反対側の面が接するように積層すると共に、バイポーラ電極16の負極合剤層13側に設けられた電解質層のバイポーラ電極16と反対側の面に、正極6上に設けられた電解質層の正極6と反対側の面が接するように積層すればよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
<バインダポリマの合成例>
攪拌機、温度計、冷却管及び送液ポンプを装着した0.50リットルの4口フラスコ内に、水335.00g、及び、乳化剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム(株)製、商品名:CMC#2200)の2.00%水溶液21.46gを加え、アスピレーターで2.6kPa(20mmHg)に減圧後、窒素で常圧に戻す操作を3回繰り返し、溶存酸素を除去した。フラスコ内を窒素雰囲気に保ち、攪拌しながらウォーターバスで60℃に加温した。過硫酸アンモニウム0.26gを水8.00gに溶解してフラスコ内に更に加えた。過硫酸アンモニウムを加えた直後から、アクリロニトリル(和光純薬工業(株)製)16.98g、ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)68.26g(モノマの総量(100モル%)中に60モル%の割合)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:ATM−4E)0.34gの混合物を送液ポンプで2時間かけて滴下した。モノマを全量滴下した後、4時間攪拌を継続した。その後、1時間かけて90℃に昇温し、90℃で2時間攪拌することで、バインダポリマ(アクリルポリマ)の分散液を得た。
<導電層の作製>
アセチレンブラック(導電性フィラ、平均粒径48nm、デンカ(株)製、商品名:HS−100)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC、ダイセルファインケム(株)製、商品名:CMC#2200)と、上記合成例で得られたバインダポリマの分散液を、固形分の質量比(アセチレンブラック:CMC:バインダポリマ)が72:14:14になるように混合し、均一に分散させた。得られた混合物に水を加えて、導電層形成用スラリを作製した。このスラリを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔又は負極集電体である厚さ10μmの銅箔の片面に、略均等かつ均質に塗布し、60℃で乾燥させ、厚さ5μmの導電層を得た。
<正極の作製>
層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(正極活物質)70質量部、アセチレンブラック(導電材、平均粒径48nm、比表面積39m/g、デンカ(株)製、商品名:HS−100)6.3質量部、アセチレンブラック(導電材、平均粒径23nm、比表面積133m/g、デンカ(株)製)0.7質量部、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ(結着剤)9質量部、リチウム塩を溶解させたイオン液体(1mol/L/リチウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド(LiFSI)/N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13−FSI))14質量部を混合した。次に、分散媒であるNMPを添加し、混練することによりスラリ状の正極合剤を調製した。この正極合剤を、上記で作製した正極集電体及び導電層の積層体上(導電層上)に塗工量160g/mで塗工し、80℃で加熱して分散媒を揮発させた。次いで、プレスにより合剤密度2.60g/cmまで圧密化し、正極合剤層(厚さ57μm)を形成した。得られた積層体を3.0cm×4.5cmの角型に打ち抜き、正極とした。
<電解質層の作製>
SiO粒子(平均粒径0.04μm、比表面積50m/g)40質量部、及び、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ60質量部を混合し、その後、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりSiO粒子及びコポリマの混合物を得た。また、乾燥アルゴン雰囲気下で乾燥したリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を電解質塩として用い、イオン液体であるN−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13−FSI)に、LiFSIを1.5mol/Lの濃度で溶解させた(以下、電解質塩を溶解させたイオン液体における電解質塩濃度、電解質塩の種類及びイオン液体の種類を、「電解質塩濃度(mol/L)/電解質塩の種類/イオン液体の種類」とも表記する。)。
次に、SiO粒子及びコポリマの混合物と、電解質塩を溶解させたイオン液体とを混合し、電解質組成物を含むスラリを調製した。このとき、SiO粒子と、電解質塩を溶解させたイオン液体との体積比は、SiO粒子:電解質塩を溶解させたイオン液体=20:80であった。得られたスラリを、ポリエチレンテレフタレート製の基材(厚さ40μm)に塗布し、加熱して分散媒を揮発させることにより電解質シートを得た。得られた電解質シートの厚さは、20±5μmであった。
<電解質層の転写>
電解質層が正極合剤層と接するように、正極に電解質シートを載せた状態で、加熱型エアーハイドロ式ロールプレス(株式会社サンクメタル製)を用いて、温度60℃、線圧500kg/cmで熱ロールプレス加工することにより、電解質シート(電解質層)を正極上に転写した。
<剥離性の評価>
正極上に転写された電解質シートから基材を剥がし、その際の正極集電体からの正極合剤層の剥離性について、以下の基準に従って評価した。
A:剥離することなく、接触面すべてにおいて接着
B:部分的に剥離し、他の部分は接着
C:完全に剥離
<密着性の評価>
正極合剤層と電解質層との間の密着性を正極上に転写された電解質シートから基材を剥がした後に以下の基準に従って評価した。
A:接触面すべてにおいて接着
B:部分的に未接着であり、他の部分は接着
C:すべてにおいて未接着
[実施例2]
熱ロールプレス加工時の温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様に各工程及び評価を実施した。
[実施例3]
熱ロールプレス加工時の温度を100℃に変更した以外は、実施例1と同様に各工程及び評価を実施した。
[比較例1]
正極集電体上に導電層を設けなかった以外は、実施例1と同様に各工程及び評価を実施した。
[比較例2]
熱ロールプレス加工時の温度を80℃とした以外は、比較例1と同様に各工程及び評価を実施した。
[比較例3]
熱ロールプレス加工時の温度を100℃とした以外は、比較例1と同様に各工程及び評価を実施した。
[実施例4]
正極に代えて下記に示す手順で作製した負極を用いた以外は、実施例1と同様にして各工程及び評価を実施した。
<負極の作製>
黒鉛(負極活物質、日立化成(株)製)76.9質量部、鱗片状黒鉛(導電材、平均粒径7μm、日本黒鉛工業(株)製)2.06質量部、炭素繊維(導電材、平均繊維径150nm、商品名:VGCF−H、昭和電工(株)製)0.52質量部、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマ(結着剤)6.52質量部、リチウム塩を溶解させたイオン液体(1mol/L/LiFSI/Py13−FSI)14質量部を混合した。次に、分散媒であるNMPを添加し、混練することによりスラリ状の負極合剤を調製した。この負極合剤を、上記で作製した負極集電体及び導電層の積層体上(導電層上)に塗工量70g/mで塗工し、80℃で加熱して分散媒を揮発させた。次いで、プレスにより合剤密度1.70g/cmまで圧密化し、負極合剤層(厚さ41μm)を形成した。得られた積層体を3.1cm×4.6cmの角型に打ち抜き、負極とした。
[実施例5]
熱ロールプレス加工時の温度を80℃に変更した以外は、実施例4と同様に各工程及び評価を実施した。
[実施例6]
熱ロールプレス加工時の温度を100℃に変更した以外は、実施例4と同様に各工程及び評価を実施した。
[比較例4]
負極集電体上に導電層を設けなかった以外は、実施例4と同様に各工程及び評価を実施した。
[比較例5]
熱ロールプレス加工時の温度を80℃に変更した以外は、比較例4と同様に各工程及び評価を実施した。
[比較例6]
熱ロールプレス加工時の温度を100℃とした以外は、比較例4と同様に各工程及び評価を実施した。
各実施例及び比較例の評価結果を表1,2に示す。
Figure 2019169444
Figure 2019169444
1…二次電池、6…正極、7…電解質層、8…負極、9…正極集電体、10…導電層、11…正極合剤層、12…負極集電体、13…負極合剤層。

Claims (10)

  1. 集電体と、
    前記集電体の一方の面上に設けられ、バインダポリマ及び導電性フィラを含有する導電層と、
    前記導電層の前記集電体と反対側の面上に設けられ、電極活物質、イオン液体及び電解質塩を含有する電極合剤層と、
    を備える、二次電池用電極。
  2. 前記導電性フィラが、導電性炭素材料のフィラである、請求項1に記載の電極。
  3. 前記導電性炭素材料が、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及び炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の電極。
  4. 前記バインダポリマが、アクリルポリマ及びスチレン−ブタジエンコポリマからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極。
  5. 前記イオン液体が、カチオン成分として、鎖状四級オニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
    前記イオン液体が、アニオン成分として、下記式(I)で表されるアニオン成分の少なくとも1種を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極。
    N(SO2m+1)(SO2n+1 (I)
    [m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。]
  6. 前記電解質塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極。
  7. 一対の電極と、
    前記一対の電極間に設けられた電解質層と、を備え、
    前記一対の電極の少なくとも一方が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電極である、二次電池。
  8. 前記電解質層が、ポリマと、酸化物粒子と、電解質塩と、イオン液体とを含有する、請求項7に記載の二次電池。
  9. 一対の電極と、前記一対の電極間に設けられた電解質層と、を備える二次電池の製造方法であって、
    集電体の一方の面上に、バインダポリマ及び導電性フィラを含有する導電層を設け、前記導電層の前記集電体と反対側の面上に、電極活物質、イオン液体及び電解質塩を含有する電極合剤層を更に設けることにより、前記一対の電極の少なくとも一方を作製する工程と、
    前記少なくとも一方の電極の前記電極合剤層側に、プレス加工により前記電解質層を設ける工程と、を備える、二次電池の製造方法。
    求項7に記載の二次電池。
  10. 前記プレス加工時の温度が120℃以下である、請求項9に記載の二次電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113314716A (zh) * 2021-05-25 2021-08-27 厦门海辰新能源科技有限公司 一种集流体和电芯

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