JPWO2018181393A1 - 積層体および有機系太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能な積層体と当該積層体を用いた有機系太陽電池の製造方法を提供すること。順に、有機系太陽電池基板としての樹脂フィルム、樹脂系粘着剤を含む樹脂系粘着剤層および支持体を含む積層体であり、前記支持体は、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面と、前記支持体の当該面以外の面とをつなぐ貫通孔を有する、積層体。

Description

本発明は、積層体および有機系太陽電池の製造方法に関する。
近年、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子として、色素増感型太陽電池、ペロブスカイト型太陽電池などの有機系太陽電池が注目されている。
色素増感型太陽電池は、一般に、作用極(光電極)と、対極(対向電極)と、作用極に担持されている増感色素層と、作用極及び対極間に配置される電解質層とを有する。
ペロブスカイト型太陽電池は、一般に、作用極(負極)と、対極(正極)と、ペロブスカイト結晶層と、電子受容層と、正孔受容層とを有する。
フレキシブルな有機系太陽電池では、電極を構成する基板として樹脂フィルムが用いられるが、ハンドリング性が悪く、また、位置決めを行い難く、パターニングや貼り合わせ時にずれなどが生じ、生産効率低下の要因となる。
この問題に対して、支持体上に粘着剤層などを設けて樹脂フィルムを固定または保持する技術がある。例えば、特許文献1では、イオン液体を介して搬送板上に作用極用基板を保持することを提案している。
特開2010−153294号公報
しかし、特許文献1のように、イオン液体を介して搬送板上に作用極用基板を保持すると、基板の裏面の洗浄が必要となる問題がある。また、粘着剤層によって樹脂フィルムを支持体上に固定した場合、有機系太陽電池の所定の製造工程の終了後、支持体を樹脂フィルムから剥離させる際に有機系太陽電池基板の樹脂フィルムに曲げなどの負荷がかかり、有機系太陽電池が破損する問題もある。
そこで、本発明は、基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能な積層体と当該積層体を用いた有機系太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る積層体は、
順に、
有機系太陽電池基板としての樹脂フィルム、
樹脂系粘着剤を含む樹脂系粘着剤層および
支持体
を含む積層体であり、
前記支持体は、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面と、前記支持体の当該面以外の面とをつなぐ貫通孔を有する、積層体である。これにより、基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能である。
本発明に係る積層体は、前記樹脂系粘着剤層が、前記支持体と接触する面と、前記樹脂フィルムと接触する面とをつなぐ貫通孔を有し、
当該樹脂系粘着剤層の貫通孔は、積層方向から見て、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面に存在する貫通孔と重なる位置に存在することが好ましい。これにより、樹脂系粘着剤層を樹脂フィルムに残存させることなく、簡単に樹脂系粘着剤層を樹脂フィルムから剥離することができる。
本発明に係る積層体は、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面に存在する貫通孔が、積層方向から見て、前記樹脂フィルム上の配線パターンを形成する部分と重ならないことが好ましい。
本発明に係る積層体は、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面に存在する貫通孔の面積が、0.007mm以上であり、かつ、当該貫通孔が、当該面の200cmあたり、1つ以上存在することが好ましい。
本発明に係る有機系太陽電池の製造方法は、上記いずれかに記載の積層体の前記支持体の貫通孔に流体を注入する工程を有する、有機系太陽電池の製造方法である。これにより、基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能である。
本発明に係る有機系太陽電池の製造方法は、前記流体が、空気であることが好ましい。
本発明に係る有機系太陽電池の製造方法は、前記有機系太陽電池が色素増感型太陽電池であることが好ましい。
本発明によれば、基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能な積層体と当該積層体を用いた有機系太陽電池の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明に係る積層体の一例の模式的な斜視図である。 図2Aは、本発明に係る積層体の別の一例の模式的な上面図である。 図2Bは、図2Aの積層体のA−A線による模式的な断面図である。 図3は、本発明に係る積層体の別の一例の模式的な断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
本明細書において、数値範囲は、別段の記載がない限り、その範囲の下限値および上限値を含むことを意図している。例えば、2〜80nmは、下限値2nmと上限値80nmを含むことを意図しており、2nm以上80nm以下を意味する。
<有機系太陽電池>
本発明に係る積層体および当該積層体を用いた有機系太陽電池の製造方法を説明する前に、典型的な有機系太陽電池としての色素増感型太陽電池の構成の一例を説明する。
色素増感型太陽電池は、典型的には、光電極(作用極)、対向電極(対極)および電解質層を有する。例えば、特開2014−120219号公報を参照。この他、色素増感型太陽電池は、任意に光電極および対向電極の一方または両方に、保護層、反射防止層、ガスバリア層などの公知の機能層を有していてもよい。また、短絡防止のための公知のセパレータを有していてもよい。
光電極は、光を受けることで、外部の回路に電子を放出し得る電極であればよく、色素増感型太陽電池の光電極として公知のものを用いることができる。光電極は、典型的には、光電極基板と、その光電極基板上に形成された導電膜と、その導電膜上に形成された多孔質半導体微粒子層と、この多孔質半導体微粒子層の表面に増感色素が吸着されて形成された増感色素層とからなる。
光電極基板は、多孔質半導体微粒子層などを担持する役割と、集電体としての役割を担う。光電極基板としては、例えば、基板としての後述する樹脂フィルムの上に導電膜を積層したものが挙げられる。
基板としては、公知の樹脂フィルムやガラスなどの基板を用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)などの合成樹脂を含む樹脂組成物を成形して得られるものが挙げられる。
導電膜を構成する材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタンなどの金属;酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物;インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)などの複合金属酸化物などが挙げられる。
多孔質半導体微粒子層は、半導体微粒子を含有する多孔質状の層である。多孔質状の層であることで、増感色素の吸着量が増え、変換効率が高い色素増感型太陽電池が得られやすくなる。
半導体微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。半導体微粒子の粒子径(一次粒子の平均粒子径)は、好ましくは2〜80nm、より好ましくは2〜60nmである。表面積が大きく増感色素の担持量が多く、電解液層を構成する電解液が多孔質半導体微粒子層の細部にまで拡散できる。分散安定性の観点から半導体微粒子分散液に含まれる固形分濃度は0.1〜60wt%であり、0.5〜40wt%が好ましく、1.0〜25wt%がより好ましい。
多孔質半導体微粒子層の厚みは、特に限定されないが、通常、0.1〜50μm、好ましくは5〜30μm、より好ましくは15μm以下である。また多孔質半導体微粒子層は、一層または二層以上の層が積層されていてもよい。これらの層の半導体微粒子の粒径や組成が異なっていてもよい。
増感色素層は、光によって励起されて多孔質半導体微粒子層に電子を渡し得る化合物(増感色素)が、多孔質半導体微粒子層の表面に吸着されてなる層である。
増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、キサンテン色素、スクワリリウム色素、ポリメチン色素、クマリン色素、リボフラビン色素、ペリレン色素などの有機色素;鉄、銅、ルテニウムなどの金属のフタロシアニン錯体やポルフィリン錯体などの金属錯体色素;などが挙げられる。
二種類以上の色素を混合して用いてもよい。増感色素などを溶解するのに用いる溶媒は、増感色素を溶解することができ、かつ多孔質半導体微粒子層を溶解したり、該半導体微粒子と反応したりすることのない溶媒であれば特に制限されない。溶媒としては好ましくはアルコール類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、アミド類、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素類、芳香族類、ニトロメタン類などがある。本願発明における増感色素の溶解に用いる溶媒の好ましい具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ブトキシエタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、3−メトキシプロピオニトニル、ブチロニトリル、プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、トルエン、DMSOなどを挙げることができる。なお、これらの溶媒は単独でもよいが2種類以上の溶媒を用いた混合溶媒でもよい。色素溶液中における増感色素の濃度は、好ましくは0.01mM〜10mMであり、より好ましくは0.1mM〜10mMである。また、色素の全吸着量は、導電性支持体の単位表面積(1m)当たり0.01M〜100Mが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.001M〜1Mの範囲であるのが好ましい。
本願発明では増感色素の他に、他の併用素材(例えば、カチオン系化合物(例えば、3級アンモニウム化合物、4級アンモニウム化合物、ピリジン化合物、イミダゾリウム化合物、酸化合物(例えば、コール酸、デオキシコール酸などカルボン酸化合物、リン酸化合物、フォスフォン酸化合物、スルフォン酸化合物など)を併用することも好ましい。色素溶液中における本これらの濃度は、好ましくは0.1mM〜100mMである。色素のモル当量に対して1モル当量〜1000モル当量が好ましい。
なお、多孔質半導体微粒子層に増感色素を吸着させた後、余分な増感色素溶液を除去するために溶媒を用いて洗浄することが好ましい。この場合には、洗浄溶媒として前述した溶媒が推奨される。洗浄方法としては、溶媒を色素増感多孔質半導体微粒子層に吹き付けて洗い流す方法、あるいは、洗浄溶媒タンクに色素増感多孔質半導体微粒子層を形成した基板を浸漬する方法がある。このようにして得られた色素増感多孔質半導体微粒子層を形成した基板は、さらに乾燥処理することで光電極を得ることができる。乾燥条件は特に限定されないが、好ましくは30℃〜150℃で0.5分〜30分が好ましい。
対向電極は、対向電極基板と、対向電極基板上の導電膜とからなる。この他、導電膜上に、触媒層を有していてもよい。
対向電極基板としては、上記光電極で挙げた樹脂フィルムやガラスと同様である。
導電膜を構成する材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタンなどの金属;酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物;インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)などの複合金属酸化物;カーボンナノチューブ、フラーレンなどの炭素材料などが挙げられる。
触媒層としては、白金、ポリチオフェン(PEDOT)など導電性高分子やカーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレンなど炭素材料等の公知の触媒層を用いても良く、例えば、特開2014−120219号公報に記載のカーボンナノチューブ(A)を含有する触媒層が挙げられる。
電解質層は、光電極と対向電極とを分離するとともに、電荷移動を効率よく行わせるための層である。
電解質層は、特に限定されないが電解液、ゲル状電解質または固体電解質などが挙げられる。例えば、電解液には、支持電解質、酸化還元対(酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で相互に変換しうる一対の化学種)、溶媒などを含有する。
支持電解質としては、リチウムイオン、イミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオンなどの陽イオンを含む塩が挙げられる。
酸化還元対としては、酸化された増感色素を還元し得るものであれば、公知のものを用いることができる。酸化還元対としては、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、コバルトイオン(III)−コバルトイオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸などが挙げられる。
溶媒としては、太陽電池の電解質層の形成用溶媒として公知のものを用いることができる。溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレンなどが挙げられる。
有機系太陽電池は、上述した色素増感型太陽電池の他、ペロブスカイト型太陽電池であってもよい。ペロブスカイト型太陽電池は、典型的には、作用極と、対極との間に、ペロブスカイト結晶層を有する。この他、ペロブスカイト結晶層を挟むように位置する正孔輸送層および電子受容層を有していても良い。ペロブスカイト型太陽電池の例としては、例えば、特開2014−049631号公報、特開2015−046583号公報、特開2016−009737号公報などに記載のペロブスカイト型太陽電池が挙げられる。
(積層体)
本発明に係る積層体は、
順に、
有機系太陽電池基板としての樹脂フィルム、
樹脂系粘着剤を含む樹脂系粘着剤層および
支持体
を含む積層体であり、
前記支持体は、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面と、前記支持体の当該面以外の面とをつなぐ貫通孔を有する、積層体である。これにより、基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能である。
図1は、本発明に係る積層体の一例を模式的に示した斜視図である。図1に示す積層体1では、順に、樹脂フィルム30、樹脂系粘着剤層20および支持体10を含む。支持体10は、貫通孔40を有する。
図2Aは、本発明に係る積層体の別の一例の模式的な上面図である。この積層体1では、支持体10に複数個の貫通孔40が、一定間隔で配列されている。
図2Bは、図2Aの積層体のA−A線による模式的な断面図である。この積層体1では、支持体10に貫通孔40が存在し、貫通孔40は、支持体10の樹脂系粘着剤層20と接触する面と、支持体10の当該面とは反対側の面とをつないでいる。
図3は、本発明に係る積層体の別の一例の模式的な断面図である。この積層体1では、支持体10および樹脂系粘着剤層20に貫通孔40が存在し、樹脂系粘着剤層20の貫通孔40は、積層方向から見て、支持体10の樹脂系粘着剤層20と接触する面に存在する貫通孔40と重なる位置に存在する。
<支持体>
支持体の材質は、ガラス、プラスチックおよび金属からなる群より選択されるいずれかである。支持体に対し、表面処理等してあっても良い。
支持体の材質のガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸塩ガラス、シリカガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどが挙げられる。
支持体の材質のプラスチックとしては、例えば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリメチルペンテン(PMP)等のポリオレフィンや、シクロオレフィンポリマー(COP、COC)などの環状オレフィンポリマー、スチレン系樹脂の他、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂などが挙げられる。支持体として耐熱性、透明性が高いものが好ましい。好ましくは、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスである。
支持体の材質の金属としては、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミ、真鍮および銅などが挙げられる。
支持体の厚みは、例えば、0.5〜10mmとすればよく、必要に応じて端面をC面加工やR加工を施してもよい。
支持体は、支持体の樹脂系粘着剤層と接触する面(以下、「支持体の第1面」ということがある)と、支持体の当該面(支持体の第1面)以外の面(以下、「支持体の第2面」ということがある)とをつなぐ貫通孔を有する。貫通孔は、1個でもよいし、複数個でもよい。
支持体に貫通孔が複数ある場合、貫通孔の配列は特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、所定の間隔で規則的に配列していてもよいし、不規則的に配列していてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。組み合わせとは、例えば、ある列の複数の貫通孔は規則的に配列し、別の列の複数の貫通孔は不規則的に配列している場合である。
支持体の第2面は、支持体の第1面以外の面であればよい。例えば、図2Bに示すように、第2面は、支持体の第1面とは反対側の面であってもよい。また、支持体に貫通孔が複数ある場合、第2面は1つでもよいし、2つ以上でもよい。
支持体の第1面に存在する貫通孔の形状、大きさおよび数は、それぞれ、支持体の第2面に存在する貫通孔の形状、大きさ(孔径)および数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、支持体の第1面に存在する貫通孔の大きさが、支持体の第2面に存在する貫通孔の大きさよりも大きくてもよい。また、支持体内での貫通孔同士の繋がりによって、支持体の第1面に存在する貫通孔1個と支持体の第2面に存在する貫通孔2個とがつながるなどによって、支持体の第1面に存在する貫通孔の数と支持体の第2面に存在する貫通孔の数は異なり得る。
本発明に係る積層体は、支持体の樹脂系粘着剤層と接触する面(第1面)に存在する貫通孔が、積層方向から見て、樹脂フィルム上の配線パターンを形成する部分と重ならないことが好ましい。これにより、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性をより低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能である。
本発明に係る積層体は、支持体の樹脂系粘着剤層と接触する面(第1面)に存在する貫通孔の面積が、0.007mm以上であり、かつ、当該貫通孔が、当該面(第1面)の200cmあたり、1つ以上存在することが好ましい。貫通孔の面積は、より好ましくは、0.19mm〜320mmであり、形状は円や四角等の形状が望ましいが、特にこれらに限定されない。貫通孔の面積が0.007mm以上であれば剥離工程時に貫通孔に流体を注入し易くなり、剥離時に樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損のおそれを低減することができる。貫通孔の大きさが320mm以下であれば、貫通孔部分の強度の低下を抑制し、有機系太陽電池製造時に貫通孔部分が変形して破損するおそれを低減することができる。さらに、貫通孔が第1面の200cmあたり1つ以上存在することで、剥離工程時に樹脂フィルムにかかる応力の集中を抑えられ、有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性をより低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能である。
<樹脂系粘着剤層>
樹脂系粘着剤層は、樹脂系粘着剤を含む。樹脂系粘着剤としては、公知の樹脂系粘着剤を用いることができる。樹脂系粘着剤層は、基材を有していてもよいし、有さなくてもよい。樹脂系粘着剤層は、基材の有無にかかわらず、基材を含めた樹脂系粘着剤層の波長400nmにおける光透過率が、40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。また、発泡などで表面に凹凸を形成し吸着力を発現させたものでもよい。
樹脂系粘着剤層の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリイミド、シクロオレフィンポリマー(COP、COC)、ポリメチルペンテン、薄膜ガラスなどの基材が挙げられる。特に耐熱性と透明性が優れるものがよい。
樹脂系粘着剤層の樹脂系粘着剤は、特に限定されず、適宜選択すればよい。例えば、樹脂系粘着剤は、シリコーン樹脂系粘着剤、アクリル樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤、天然ゴム系溶剤形接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン形接着剤、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合)樹脂系エマルジョン形接着剤、イソシアネート系接着剤、合成ゴム系ラテックス型接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤およびポリウレタン系接着剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一実施形態では、樹脂系粘着剤は、シリコーン樹脂系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤およびゴム系粘着剤からなる群より選択される1種以上である。
樹脂系粘着剤は、本発明に係る積層体を使用した後、あるいは、後述の本発明に係る製造方法により有機系太陽電池を作製した後の剥離工程(支持体を剥離する工程)において、加熱、冷却などの温度変化や、紫外線、電子線及び放射線などの電磁波の照射をすることにより剥離強度が低下する樹脂系粘着剤であることが好ましい。これらは、一種単独または二種以上を組み合わせてもよい。これにより、当該剥離工程で、樹脂系粘着剤層を加熱、冷却や、紫外線、電子線または放射線などの電磁波を照射することにより剥離強度を低下させて、支持体から有機系太陽電池または電極が形成された樹脂フィルムを容易に剥離することができる。このような樹脂系粘着剤としては、例えば、ニッタ社製の感温性粘着シート(インテリマーテープ)、ソマール社製のソマタック(登録商標)UVなどが挙げられる。剥離時に、粘着剤に応じて適時刺激を与えてもよく、例えば感温性シートの場合、−20℃〜200℃の温度を0.01〜10時間与えてもよく、電磁波剥離性シートの場合、適時必要な波長を含む電磁波を0.01〜10時間与えてもよい。
本発明に係る積層体は、上述した支持体が貫通孔を有すればよいが、樹脂系粘着剤層も支持体と接触する面(以下、「樹脂系粘着剤層の第1面」ということがある)と、樹脂フィルムと接触する面(以下、「樹脂系粘着剤層の第2面」ということがある)とをつなぐ貫通孔を有していてもよい。樹脂系粘着剤層の貫通孔は、1個でもよいし、複数個でもよい。
樹脂系粘着剤層に貫通孔が複数ある場合、貫通孔の配列は特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、所定の間隔で規則的に配列していてもよいし、不規則的に配列していてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。組み合わせとは、例えば、ある列の複数の貫通孔は規則的に配列し、別の列の複数の貫通孔は不規則的に配列している場合である。
樹脂系粘着剤層の第1面に存在する貫通孔の形状、大きさおよび数は、それぞれ、樹脂系粘着剤層の第2面に存在する貫通孔の形状、大きさおよび数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明に係る積層体は、樹脂系粘着剤層の第1面および/または第2面に存在する貫通孔が、積層方向から見て、樹脂フィルム上の配線パターンを形成する部分と重ならないことが好ましい。これにより、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性をより低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能である。
本発明に係る積層体は、樹脂系粘着剤層が、支持体と接触する面(樹脂系粘着剤層の第1面)と、樹脂フィルムと接触する面(樹脂系粘着剤層の第2面)とをつなぐ貫通孔を有し、樹脂系粘着剤層の貫通孔は、積層方向から見て、支持体の樹脂系粘着剤層と接触する面(支持体の第1面)に存在する貫通孔と重なる位置に存在することが好ましい。これにより、樹脂系粘着剤層を樹脂フィルムに残存させることなく、簡単に樹脂系粘着剤層を樹脂フィルムから剥離することができる。
樹脂系粘着剤層が、貫通孔を有する場合、樹脂系粘着剤層の貫通孔の大きさ(孔径)は、支持体の第1面に存在する貫通孔の大きさ(孔径)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。一実施形態では、樹脂系粘着剤層の貫通孔の大きさは、支持体の第1面に存在する貫通孔の大きさよりも大きい。
樹脂系粘着剤から形成される樹脂系粘着剤層は、1層でもよいし、2層以上でもよい。2層以上の場合は、各層が同じであっても良いし、互いに異なっていてもよい。
樹脂系粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、1〜150μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが更に好ましい。
<樹脂フィルム>
樹脂フィルムは、有機系太陽電池の作用極、対極などの基板となる部材である。上述した色素増感型太陽電池であれば、光電極基板および対向電極基板の一方または両方が樹脂フィルムであることが好ましい。
樹脂フィルムとしては、公知の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルペンテン(PMP)などの合成樹脂を含む樹脂組成物を成形して得られるものが挙げられる。
樹脂フィルムの波長400nmにおける光透過率は、40%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
樹脂フィルムの厚みは、用途などに応じて適宜調節すればよい。例えば、10〜10,000μmである。
積層体の樹脂フィルムの表面に、上述した導電膜があってもよい。
積層体の形成方法は、順に樹脂フィルム、樹脂系粘着剤層および支持体を含む少なくとも3層の構成の積層体が得られる方法であって、支持体が上述した貫通孔を有すれば、特に限定されず、塗布、貼り合せなど適宜選択すればよい。樹脂系粘着剤を塗布して樹脂系粘着剤層を形成する場合は、その方法は特に限定されず、公知の印刷方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法、多層同時塗布方法などが挙げられる。樹脂系粘着剤層を貼り合せによって形成する場合は、例えば、貼合装置を用いて支持体または樹脂フィルムに樹脂系粘着剤層を貼り合せることができる。支持体に貫通孔を設けるタイミングは、支持体と樹脂系粘着剤層を積層する前、積層した後、または支持体と樹脂系粘着剤層と樹脂フィルムを積層する前、積層した後のいずれでもよい。
(有機系太陽電池の製造方法)
本発明に係る有機系太陽電池の製造方法は、上記いずれかに記載の積層体の前記支持体の貫通孔に流体を注入する工程を有する、有機系太陽電池の製造方法である。これにより、基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能である。
本発明に係る有機系太陽電池の製造方法は、上述した積層体を用いて、貫通孔に支持体の第2面側から流体を注入すること以外は、特に限定されず、公知の有機系太陽電池の製造方法を採用することができる。すなわち、従来の有機系太陽電池の製造方法において、基板として樹脂フィルムを用いていた工程において、樹脂フィルム単体に代えて、上述した本発明に係る積層体を用いて、成膜、固定、印刷、貼合などの各工程を行えばよい。そして、上記積層体を使用した後、あるいは、有機系太陽電池を作製した後の剥離工程(支持体を剥離する工程)において、支持体の貫通孔に流体を注入して、樹脂フィルムから支持体と樹脂系粘着剤層を剥離させればよい。
支持体の貫通孔に注入する流体としては、例えば、空気、乾燥空気の他、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス、水、アルコール、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)等の一般的な有機溶媒などが挙げられる。流体の温度は特に限定されないが、−80℃〜200℃などが好ましい。
本発明に係る有機系太陽電池の製造方法は、前記流体が、空気、乾燥空気であることが好ましい。
第2面側から注入する前記流体は全面に注入してもよいし、あるいは支持体の中央部分、特定の部分など、部分的に注入してもよい。さらに、注入する部分によって前記流体を注入するタイミングをずらしてもよい。前記流体は注入する際に圧力をかけてもよく、0.001〜1Mpaの圧力をかけることが好ましい。
剥離の際に積層体や支持体を冷却下や加熱下においてもよいし、剥離時の環境をドライ雰囲気下で実施してもよいし、不活性ガス中で実施してもよい。
本発明に係る有機系太陽電池の製造方法は、前記有機系太陽電池が色素増感型太陽電池であることが好ましい。
以下、光電極(作用極)、対向電極(対極)および電解質層を有する色素増感型太陽電池を一例として、有機系太陽電池の製造方法を説明する。
有機系太陽電池の製造方法の工程としては、例えば、光電極基板上に導電膜を形成する工程、光電極基板上の導電膜上に多孔質半導体微粒子層を形成する工程および多孔質半導体微粒子層上に増感色素層を形成する工程などの光電極製造工程;対向電極基板上に導電膜を形成する工程、対向電極基板上の導電膜上に触媒層を形成する工程などの対向電極製造工程;光電極及び/又対向電極上にシール剤組成物を塗布して、エネルギー線照射して、硬化させ、シール剤を形成する工程;光電極と対向電極との間に電解質層を配置する工程;などの公知の有機系太陽電池の製造方法の一般的な工程が挙げられる。例えば、特開2014−120219号公報が参照される。
導電膜は、スパッタリング法、コーティング法、蒸着法、スプレー熱分解法、化学蒸着(CVD)法などの公知の方法により光電極基板または対向電極基板上に成膜することで形成することができる。これらの導電膜にCOやYAGなどのレーザー等を用いて加工し、導電パターンを形成してもよい。
多孔質半導体微粒子層は、例えば、プレス法、水熱分解法、泳動電着法、バインダーフリーコーティング法、エアロゾルデポジション(AD)法、など公知の方法により形成することができる。例えば、酸化チタンペーストを、スクリーン印刷機やベーカー式アプリケーターを用いて、塗布し、その塗膜を常温で乾燥させ、次いで、150℃の恒温層中で加熱乾燥することで、多孔質半導体微粒子層を形成することができる。
増感色素層は、例えば、増感色素の溶液中に多孔質半導体微粒子層を浸漬する方法や、増感色素の溶液を多孔質半導体微粒子層上に塗布する方法などにより形成することができる。浸漬する方法では、例えば、色素を含有するエタノール溶液中に、多孔質半導体微粒子層を浸漬することで、増感色素層を形成することができる。
触媒層は、公知の方法により形成することができる。例えば、特開2014−120219号公報に記載のようなカーボンナノチューブ(A)を含む触媒層では、カーボンナノチューブ(A)を含有する分散液を調製し、この分散液を対向電極基板上の導電膜上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることで、形成することができる。
電解質層は、その構成成分を含有する溶液(電解液)を光電極上に塗布する、または、光電極と対向電極を有するセルを作製し、その隙間に電解液を注入することで形成することができる。
シール剤を硬化させるエネルギー線は、紫外線、可視光、赤外線、電子線などのエネルギー線を用いても良い。これらのうち、紫外線、電子線が好ましい。
紫外線照射装置としては、通常200〜500nmの範囲の光を含む光源、たとえば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯などを有するものが使用できる。一方、電子線により硬化させる場合、通常100〜500eVのエネルギーを有する電子線加速装置が使用できる。
硬化条件などは、通常実施される公知の条件で行えばよい。エネルギー線の積算照射量は通常100〜5000mJ/cm、好ましくは200〜4000mJ/cmである。
シール剤組成物の塗布方法は、特に限定されず、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、あるいはバーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法、リバースコート、エアナイフ、ディスペンスなどの方法を使用できる。
有機系太陽電池モジュールの構造としては、特に限定されず、Z型、W型、並列型、集電配列型、モノリシック型などがある。これらのモジュールを一つまたは2つ以上組み合わせて直列や並列接続して、複数接続してもよい。また集電電極や取出し電極など公知の手段でモジュールに作成してもよい。接続方法は、公知の手段を用いればよく、半田、金属板、ケーブル、フラットケーブル、フレキシブル基材、ケーブルなどを適宜選択すればよい。
モジュールの組み立て法は特に限定されず、真空貼り合わせ法(One Drop Fill法:ODF法)や、エンドシール法など、公知の方法で製造することができる。ODF法としては、例えば、国際公開第2007/046499号に記載の方法が挙げられる。エンドシール法としては、例えば、特開2006−004827号公報に記載の方法が挙げられる。
その他モジュールの周囲や外装面に、紫外線カット層、酸素や水分のバリア層、反射防止層、防汚層、ハードコート層や補強部材など適時、配置してもよい。これらは蒸着や塗布、シート状のものを設置するなど公知の方法を用いればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。特に断らない限り、配合量は、質量部を意味する。
実施例で使用した支持体、樹脂系粘着剤、樹脂フィルム、UV硬化樹脂は以下のとおりである。
(支持体)
ホウケイ酸ガラス:ショット社製の製品名テンパックスガラス(厚さ3mm、縦300mm、横210mm)
(樹脂系粘着剤)
シリコーン樹脂系粘着剤:寺岡製作所社製のシリコーンゴム両面粘着テープ9030W、
(樹脂フィルム)
縦300mm、横210mm、厚み125μmのPENフィルムの表面に300nmのITO膜を形成したもの。
(UV硬化樹脂)
UV硬化樹脂:液状ポリイソブチレン系シール材
実施例1
50mm間隔、直径1mm(面積0.79mm)の貫通孔を一方の面とその反対側の面に有する支持体上にシリコーン樹脂系粘着剤を30μm塗布して、樹脂系粘着剤層を形成し、その樹脂系粘着剤層上に、樹脂フィルムをITO膜側の面を樹脂系粘着剤層とは反対側になるように配置し、積層体を形成した。支持体の貫通孔は、樹脂フィルムの印刷パターンを避けるように形成した。
実施例2
実施例1において、樹脂系粘着剤層を形成した後、積層方向から見て、支持体の第1面に存在する貫通孔と重なる同じ位置に、その貫通孔と同じ直径かつ樹脂系粘着剤層の第2面まで貫通する貫通孔を樹脂系粘着剤層に設けた。その後、実施例1と同様に、樹脂フィルムを配置して積層体を形成した。
実施例3
実施例1において、シリコーン樹脂系粘着剤の代わりにニッタ(株)製インテリマーテープCS2325NA2を樹脂系粘着剤層として使用し、その後、実施例1と同様に、樹脂フィルムを配置して積層体を形成した。
実施例4
実施例2において、樹脂系粘着剤の代わりにニッタ(株)製インテリマーテープCS2325NA2を樹脂系粘着剤層として使用し、その後、実施例2と同様に、積層方向から見て、支持体の第1面に存在する貫通孔と重なる同じ位置に、その貫通孔と同じ直径かつ樹脂系粘着剤層の第2面まで貫通する貫通孔を樹脂系粘着剤層に設けた後に、樹脂フィルムを配置して積層体を形成した。
実施例5
実施例1において、100mm間隔、直径2mm(面積3.19mm)として貫通孔を設け、その後、実施例1と同様に、樹脂フィルムを配置して積層体を形成した。
比較例1
実施例1において、貫通孔のない支持体を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、比較積層体を形成した。
実施例1〜5で得られた積層体または比較積層体を用いて、有機系太陽電池製造の以下の各工程を通して有機系太陽電池の製造を行った。
(1)光電極の作成
<多孔質半導体微粒子層を形成する工程(加熱工程)>
積層体のITO面上に、バインダーフリーの酸化チタンペースト(PECC−C01−06、ペクセル・テクノロジーズ社製)を、ベーカー式アプリケーターを用いて塗布した。得られた塗膜を常温で10分間乾燥させた後、150℃の恒温層中でさらに5分間加熱乾燥して、7μmの多孔質半導体微粒子層を形成した。
<増感色素層を形成する工程(浸漬工程)>
多孔質半導体微粒子層を形成した積層体を、増感色素を濃度3×10-1モル/リットルとなるように溶解して得た色素溶液(増感色素:ルテニウム錯体(N719、ソラロニクス社製)、溶媒:エタノール)に、40℃で120分間浸漬して、増感色素層を形成して、光電極を得た。
(2)対向電極の作成
光電極の作成に用いた積層体とは別の積層体のITO面上に白金ナノコロイド溶液(田中貴金属製)を、バーコートにより塗布し、乾燥した。その後、加熱水蒸気(100℃、5分)で処理することにより、白金触媒を定着させて触媒層を形成して、対向電極を得た。
(3)電解液の調製
各成分の濃度がヨウ素0.05mol/L、ヨウ化リチウム0.1mol/L、t−ブチルピリジン0.5mol/L、および、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド0.6mol/Lとなるように、上記各成分をメトキシアセトニトリルに溶解して、電解液を得た。
<シール剤を形成する工程(UV硬化工程)>
多孔質半導体微粒子層上に増感色素層を形成した積層体上にシール剤組成物としてのUV硬化性樹脂をディスペンス法にて多孔質半導体微粒子層の周囲を取り囲むように描画後、多孔質半導体微粒子層上に電解液を塗布し、自動貼り合せ装置を用いて真空下、作成した光電極と対向電極を貼り合せ、100mWのメタルハライドライトを光電極側から60秒間照射することでUV硬化性樹脂を硬化させ、シール剤を形成した。
<支持体を剥離する工程>
シール剤で貼りあわされた積層体に対して、光電極側と対向電極側、それぞれの支持体を剥離することで、有機系太陽電池を得た。
実施例1、5の積層体を用いた場合では、端部からゆっくりと剥離することで有機系太陽電池を得た。実施例2の積層体を用いて貫通孔に空気を注入しないで支持体を剥離した場合、端部から支持体を剥離することで有機系太陽電池を得た。また、実施例2の積層体を用いて貫通孔に空気を注入しながら支持体を剥離することでも有機系太陽電池を得た。実施例3、4においては、積層体を5℃まで冷却した後に剥離をすることで有機系太陽電池を得た。比較例1の比較積層体を用いた場合では、シール剤部分が破壊され、支持体の剥離が出来なかった。
本発明によれば、基板として樹脂フィルムを用いた場合に、樹脂フィルムもしくは樹脂フィルム上に形成された有機系太陽電池の構成部材または有機系太陽電池の破損の危険性を低減して、効率よく、有機系太陽電池を製造可能な積層体と当該積層体を用いた有機系太陽電池の製造方法を提供することができる。
1:積層体
10:支持体
20:樹脂系粘着剤層
30:樹脂フィルム
40:貫通孔

Claims (7)

  1. 順に、
    有機系太陽電池基板としての樹脂フィルム、
    樹脂系粘着剤を含む樹脂系粘着剤層および
    支持体
    を含む積層体であり、
    前記支持体は、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面と、前記支持体の当該面以外の面とをつなぐ貫通孔を有する、積層体。
  2. 前記樹脂系粘着剤層は、前記支持体と接触する面と、前記樹脂フィルムと接触する面とをつなぐ貫通孔を有し、
    当該樹脂系粘着剤層の貫通孔は、積層方向から見て、前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面に存在する貫通孔と重なる位置に存在する、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面に存在する貫通孔が、積層方向から見て、前記樹脂フィルム上の配線パターンを形成する部分と重ならない、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記支持体の前記樹脂系粘着剤層と接触する面に存在する貫通孔の面積が、0.007mm以上であり、かつ、当該貫通孔が、当該面の200cmあたり、1つ以上存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の前記支持体の貫通孔に流体を注入する工程を有する、有機系太陽電池の製造方法。
  6. 前記流体が、空気である、請求項5に記載の有機系太陽電池の製造方法。
  7. 前記有機系太陽電池が色素増感型太陽電池である、請求項5または6に記載の有機系太陽電池の製造方法。
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