JP2009217970A - 酸化物半導体電極用積層体、酸化物半導体電極、色素増感型太陽電池、および色素増感型太陽電池モジュール - Google Patents

酸化物半導体電極用積層体、酸化物半導体電極、色素増感型太陽電池、および色素増感型太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、転写法により光路長の長い多孔質層を備える酸化物半導体電極を作製することが可能な、酸化物半導体電極用積層体およびこれを用いて作製される酸化物半導体電極等を提供する。
【解決手段】耐熱基板1と、上記耐熱基板上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層2と、上記多孔質層上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層3と、を有する酸化物半導体電極用積層体10であって、上記多孔質層の上記第1電極層側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池等に好適に用いられる酸化物半導体電極、当該酸化物半導体電極を作製するため好適に用いられる酸化物半導体電極用積層体、および、酸化物半導体電極が用いられた色素増感型太陽電池等に関するものである。
近年、二酸化炭素の増加が原因とされる地球温暖化等の環境問題が深刻となり、世界的にその対策が進められている。中でも環境に対する負荷が小さく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池に関する積極的な研究開発が進められている。このような太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、および化合物半導体太陽電池などが既に実用化されているが、これらの太陽電池は製造コストが高い等の問題がある。そこで、環境負荷が小さく、かつ製造コストを削減できる太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目され研究開発が進められている。
このような色素増感型太陽電池には、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層を有する酸化物半導体電極が用いられている。
色素増感型太陽電池セルの一般的な構成の一例を図5に示す。図5に例示するように、一般的な色素増感型太陽電池セル100は、基材111上に、第1電極層112および色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層113がこの順で積層された酸化物半導体電極110と、対向基材121上に第2電極層122が形成された対電極基材120との間に、酸化還元対を有する電解質層101がシール材102の内側に形成された構成を有するものである。そして、金属酸化物半導体微粒子の表面に吸着した色素増感剤が、基材111側から太陽光を受光することによって励起され、励起された電子が第1電極層へ伝導し、外部回路を通じて第2電極層へ伝導される。その後、酸化還元対を介して色素増感剤の基底準位に電子が戻ることよって発電するものである。このような色素増感型太陽電池としては、上記多孔質層を多孔質二酸化チタンから構成し、色素増感剤の含有量を増加させたグレッチェルセルが代表的であり、発電効率の高い色素増感型太陽電池として広く研究の対象となっている。
上記グレッチェルセルの特徴である多孔質の多孔質層を形成するには、一般的に多孔質層形成用組成物に対して300℃〜700℃での焼成処理を行うことが必要である。したがって、上記基材としては、焼成処理に耐え得る耐熱性を有する材質でなければ用いることができず、一般的な高分子フィルムは使用することができない問題点があった。
このような問題点に対し、特許文献1には、耐熱基板上に金属酸化物半導体微粒子を含有する多孔質層を形成した後、当該多孔質層上に金属酸化物からなる電極層を形成することによって酸化物半導体電極用積層体を形成し、次に、酸化物半導体電極用積層体の電極層上に基材を接着させ、さらに耐熱基板を剥離することによって酸化物半導体電極を形成する方法(転写法)が開示されている。このような転写法によれば、耐熱基板上で焼成した多孔質層を転写することにより、任意の基材上へ多孔質層を形成することが可能である。したがって、このような転写法は酸化物半導体電極の用途等に応じて適当な基材を選択することができる点において有用である。特に近年、色素増感型太陽電池についてもフレキシブル化が望まれているところ、上記転写法によればフレキシブルな基材を用いてフレキシブルな酸化物半導体電極を容易に作製することができる点において有用である。
ところで、上述したように上記酸化物半導体電極が用いられた色素増感型太陽電池は、多孔質層に太陽光(可視光)が照射されることによって発電するものであるため、その発電特性は、多孔質層中の光路長に依存することになる。しかしながら、上記転写法によって形成される酸化物半導体電極においては、多孔質層中の光路長が短くなりやすいことから、転写法によって作製された当該酸化物半導体電極を用いて作製される色素増感型太陽電池は発電特性が不十分になる場合があるという問題点があった。
特開2002−184475号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、転写法により光路長の長い多孔質層を備える酸化物半導体電極を作製することが可能な、酸化物半導体電極用積層体を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、耐熱基板と、上記耐熱基板上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、上記多孔質層上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、を有する酸化物半導体電極用積層体であって、上記多孔質層の上記第1電極層側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とする、酸化物半導体電極用積層体を提供する。
本発明によれば、上記多孔質層の上記第1電極層側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることにより、上記第1電極層側から多孔質層に入射する可視光を、上記多孔質層の表面に形成された凹凸形状によって散乱させることができるため、可視光が上記多孔質層を通過する際の光路長を長くすることができる。また、多孔質層に上記凹凸形状が形成されていることにより、多孔質層上に形成される第1電極層のヘイズを高めることができる。このため、第1電極層においても可視光を散乱させることが可能になるため、上記多孔質層中における光路長をより一層長くすることができる。
また、本発明の酸化物半導体電極用積層体は、上記第1電極側の表面を任意の基材に接着させ、上記耐熱基板を剥離することより、転写法を用いて酸化物半導体電極を作製することができるものである。
このようなことから、本発明によれば転写法により光路長の長い多孔質層を備える酸化物半導体電極を作製することが可能な、酸化物半導体電極用積層体を得ることができる。
本発明の酸化物半導体電極用積層体においては、上記第1電極層の上記多孔質層とは反対側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることが好ましい。これにより、上記第1電極層側から入射した可視光を上記多孔質層の表面のみならず、上記第1電極層の表面においても散乱させることができるため、二重の散乱効果によって上記多孔質層中の光路長をさらに長くすることができるからである。
また本発明は、基材と、上記基材上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、を有する酸化物半導体電極であって、上記多孔質層の上記第1電極層側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とする酸化物半導体電極を提供する。
本発明によれば、上記第1電極層側から多孔質層に入射する可視光を上記多孔質層の表面に形成された凹凸形状によって散乱させることができるため、可視光が上記多孔質層を通過する際の光路長を長くすることができる。また、多孔質層に上記凹凸形状が形成されていることにより、多孔質層上に形成される第1電極層のヘイズを高めることができ、第1電極層においても可視光を散乱させることが可能になるため、上記多孔質層中における光路長を一層長くすることができる。したがって、本発明の酸化物半導体電極は、例えば、色素増感型太陽電池等に用いた場合に優れた発電特性を達成することができるという利点を有する。
本発明の酸化物半導体電極においては、上記第1電極層の上記多孔質層とは反対側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることが好ましい。これにより、上記第1電極層側から入射した可視光を上記多孔質層の表面のみならず、上記第1電極層の表面においても散乱させることができるため、二重の散乱効果によって上記多孔質層中の光路長をさらに長くすることができるからである。
また本発明の酸化物半導体電極においては、上記基材と、上記第1電極層との間に接着性樹脂を含む接着層が形成されていることが好ましい。これにより本発明の酸化物半導体電極を転写法によって容易に形成し得るものにできるからである。また、上記第1電極層の表面に凹凸形状が形成されている場合は、当該凹凸形状に起因して上記第1電極層と上記基材との接着性が損なわれる場合があるが、上記接着層が形成されていることにより、このような接着性の問題を解消することもできるからである。
また本発明は、上記本発明に係る酸化物半導体電極、および、対向基材と、上記対向基材上に形成され、金属酸化物からなる第2電極層とを有する対電極基材が、上記多孔質層と、上記第2電極層とが対向するように配置されており、上記酸化物半導体電極と、上記対電極基材との間に酸化還元対を含む電解質層が形成された構成を有することを特徴とする、色素増感型太陽電池を提供する。
本発明によれば、酸化物半導体電極として上記本発明に係る酸化物半導体電極が用いられていることにより、光路長の長い多孔質層を備えるものとなるため、当該多孔質層において十分に可視光を吸収することができ、発電効率に優れた色素増感型太陽電池を得ることができる。
また本発明は、上記本発明に係る色素増感型太陽電池が複数個連結されてなる色素増感型太陽電池モジュールを提供する。
本発明によれば、上記本発明に係る色素増感型太陽電池が用いられていることにより、発電効率に優れた色素増感型太陽電池モジュールを得ることができる。
本発明は、転写法により光路長の長い多孔質層を備える酸化物半導体電極を作製することが可能な、酸化物半導体電極用積層体、およびこれを用いて作製される酸化物半導体電極等を提供することができるという効果を奏する。
本発明は、酸化物半導体電極用積層体、酸化物半導体電極およびこれを用いた色素増感型太陽電池、および色素増感型太陽電池モジュールに関するものである。
以下、これらについて順に説明する。
A.酸化物半導体電極用積層体
まず、本発明の酸化物半導体電極用積層体について説明する。上述したように本発明の酸化物半導体電極用積層体は、耐熱基板と、上記耐熱基板上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、上記多孔質層上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、を有するものであって、上記多孔質層の上記第1電極層側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とするものである。
このような本発明の酸化物半導体電極用積層体について図を参照しながら説明する。図1は本発明の酸化物半導体電極用積層体の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように本発明の酸化物半導体電極用積層体10は、耐熱基板1と、上記耐熱基板1上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層2と、上記多孔質層2上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層3と、を有すものである。
このような例において、本発明の酸化物半導体電極用積層体10は、上記多孔質層2の上記第1電極層3側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とするものである。また、図1に例示するように本発明の酸化物半導体電極用積層体10は、上記第1電極層3の上記多孔質層2とは反対側の表面にも可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることが好ましいものである。
本発明によれば、上記多孔質層の上記第1電極層側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることにより、上記第1電極層側から多孔質層に入射する可視光を上記多孔質層の表面に形成された凹凸形状によって散乱させることができるため、可視光が上記多孔質層を通過する際の光路長を長くすることができる。また、多孔質層に上記凹凸形状が形成されていることにより、多孔質層上に形成される第1電極層のヘイズを高めることができる。このため、第1電極層においても可視光を散乱させることが可能になるため、上記多孔質層中における光路長を一層長くすることができる。
また、本発明の酸化物半導体電極用積層体は、上記第1電極側の表面を任意の基材に接着させ、上記耐熱基板を剥離することより、転写法を用いて酸化物半導体電極を作製することができるものである。
このようなことから、本発明によれば転写法により光路長の長い多孔質層を備える酸化物半導体電極を作製することが可能な、酸化物半導体電極用積層体を得ることができる。
なお、本発明の酸化物半導体電極用積層体は、主に後述する酸化物半導体電極を作製するために好適に用いられるものである。そして、作製された酸化物半導体電極は主に色素増感型太陽電池等に用いられるものであるが、上記酸化物半導体電極は、上記第1電極層側から上記多孔質層に可視光が照射される態様で用いられるのが通常である。
本発明の酸化物半導体電極用積層体は、少なくとも耐熱基板、多孔質層、および第1電極層を有するものであり、必要に応じて他の任意の構成を有してもよいものである。
以下、本発明の酸化物半導体電極に用いられる各構成について順に説明する。
1.多孔質層
まず、本発明に用いられる多孔質層について説明する。本発明に用いられる多孔質層は、後述する耐熱基板上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含有するものであり、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いて作製される酸化物半導体電極に半導体特性を付与する性質を有するものである。また本発明に用いられる多孔質層は、表面に可視光を散乱させることができる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とするものである。
以下、このような多孔質層について詳細に説明する。
(1)凹凸形状
上述したように、本発明に用いられる多孔質層は表面に可視光を散乱させることができる程度の凹凸形状が形成されているものである。ここで、上記「可視光を散乱させることができる」とは、凹凸形状が形成された表面側から多孔質層中へ可視光が照射された際に、上記凹凸形状が形成された表面において可視光を散乱させることができることを意味するものである。ここで、本発明における可視光とは、波長範囲が360nm〜830nmの範囲内の光を指すものとする。
なお、上記凹凸形状が上記波長範囲で特定される可視光を散乱させることができることについては、例えば、ヘーズメーター(スガ試験機株式会社)を用いることにより確認することができる。
上記凹凸形状としては、可視光を散乱させることができる程度のものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明における凹凸形状は、表面粗さRaが100nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、150nm〜800nmの範囲内であることがより好ましく、200nm〜500nmの範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、上記表面粗さRaは、JIS B0601に定義されている表面粗さ「算術平均粗さRa」に基づいて、触針式表面形状測定装置によって得られるものを意味するものとする。
(2)金属酸化物半導体微粒子
本発明に用いられる金属酸化物半導体微粒子としては、半導体特性を備える金属酸化物からなるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の酸化物半導体電極用積層体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。本発明に用いられる金属酸化物半導体微粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、TiO、ZnO、SnO、ITO、ZrO、MgO、Al、CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。これらの金属酸化物半導体微粒子は、多孔性の多孔質層を形成するのに適しており、エネルギー変換効率の向上、コストの削減を図ることができるため本発明に好適に用いられる。
本発明に用いられる金属酸化物半導体微粒子は、すべて同一の金属酸化物からなるものであってもよく、あるいは、異なる金属酸化物からなるものが2種類以上用いられていてもよい。また、本発明に用いられる金属酸化物半導体微粒子は、一種をコア微粒子とし、他の金属酸化物半導体微粒子により、コア微粒子を包含してシェルを形成するコアシェル構造としてもよい。
なかでも本発明においては、上記半導体酸化物微粒子としてTiOからなるものを用いることが最も好ましい。TiOは特に半導体特性に優れるからである。
本発明に用いられる金属酸化物半導体微粒子の粒径としては、多孔質層の表面積を所望の範囲内にできる程度であれば特に限定されるものではないが、通常、1nm〜10μmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。粒径が上記範囲よりも小さいと各々の金属酸化物半導体微粒子が凝集して二次粒子を形成してしまう場合があるからである。また粒径が上記範囲より大きいと、多孔質層が厚膜化してしまうだけではなく、多孔質層の多孔度、すなわち比表面積が減少してしまう可能性があるからである。ここで、多孔質層の比表面積が小さくなると、例えば、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いて色素増感型太陽電池を作製したに用いた場合に、光電変換するのに十分な色素増感剤を多孔質層に担持させることが困難になる場合がある。
また本発明においては、上記金属酸化物半導体微粒子としてすべて同一の粒径のものを用いてもよく、あるいは、粒径の異なる複数の金属酸化物半導体微粒子を2種類以上用いてもよい。
なお、粒径の異なる金属酸化物半導体微粒子を併用することにより、多孔質層の表面に上述した凹凸形状を形成することができる場合があるため、本発明においては粒径の異なる金属酸化物半導体微粒子を2種類以上用いることが望ましい場合がある。
本発明において、粒径の異なる金属酸化物半導体微粒子を2種類以上用いる場合、異なる粒径の組み合わせとしては、多孔質層の表面に上述した凹凸形状を形成できる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、なかでも望ましい組み合わせとしては、最小粒径の酸化物半導体微粒子と最大粒径の酸化物半導体微粒子の粒径比が10倍〜100倍の範囲内、より好ましくは15倍〜50倍の範囲内である組み合わせを挙げることができる。
(3)任意の成分
本発明に用いられる多孔質層には、上記金属酸化物半導体微粒子の他に任意の成分が含まれていてもよい。本発明に用いられる任意の成分としては、本発明の酸化物半導体電極用積層体に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる多孔質層には、任意成分として色素増感剤が含まれることが好ましい。すなわち、本発明における多孔質層に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に色素増感剤が付着していることが好ましい。これより、本発明の酸化物半導体電極用積層体を色素増感型太陽電池を作製するために用いる場合に、色素増感型太陽電池セルの製造工程を簡易化できるからである。
本発明に用いられる色素増感剤としては、光を吸収し起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定はされない。このような色素増感剤としては、有機色素または金属錯体色素を挙げることができる。上記有機色素としては、例えば、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系の色素が挙げられる。本発明においてはこれらの有機色素の中でも、クマリン系色素を用いることが好ましい。また、上記金属錯体色素としては、ルテニウム系色素が好ましく、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素が好ましい。このようなルテニウム錯体は、吸収する光の波長範囲が広いため、光電変換できる光の波長領域を大幅に広げることができるからである。
(4)多孔質層
本発明に用いられる多孔質層の厚みは、本発明の酸化物半導体電極用積層体の用途に応じて、必要な光路長を確保できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明における多孔質層の厚みは、通常、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。多孔質層の厚みが上記範囲よりも厚いと、多孔質層自体の凝集破壊が起りやすく、膜抵抗となりやすくなってしまう場合があるからである。また、上記範囲よりも薄いと厚みが均一な多孔質層を形成するのが困難となったり、例えば、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いて色素増感型太陽電池を作製した場合に、色素増感剤を含んだ多孔質層が太陽光などを十分に吸収できないために、性能不良になる可能性があるからである。
本発明における多孔質層は、単一の層からなる構成でもよく、また複数の層が積層された構成でもよい。なかでも本発明においては複数の層が積層された構成を有することが好ましい。複数の層が積層された構成としては、本発明の酸化物半導体電極用積層体の製造方法等に応じて任意の構成を適宜選択して採用することができる。なかでも本発明においては、多孔質層が上記第1電極層と接する酸化物半導体層と、上記酸化物半導体層上に形成され、かつ上記酸化物半導体層よりも空孔率が高い介在層とからなる2層構造であることが好ましい。多孔質層がこのような酸化物半導体層と、介在層とからなる2層構造を有することにより、多孔質層の性能を低下させることなく、耐熱基板と、多孔質層との密着力を低下させることが可能になる結果、転写方式により本発明の酸化物半導体電極用積層体から酸化物半導体電極を形成することができるようになるからである。
多孔質層が上記酸化物半導体層と上記介在層との2層構造を有する場合、酸化物半導体層と介在層との厚み比としては特に限定されるものではなく、本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて任意に決定することができる。なかでも本発明においては上記酸化物半導体層と上記介在層との厚み比が、10:0.1〜10:5の範囲内であることが好ましく、なかでも10:0.1〜10:3の範囲内であることが好ましい。介在層の厚みが上記範囲よりも厚いと、例えば、介在層の凝集破壊が起り易くなることによって、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いて酸化物半導体電極を作製する際に歩留まりが悪くなったり、また、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いて色素増感型太陽電池を作製した際に、多孔質層に含まれる金属酸化物半導体微粒子の表面に所望量の色素増感剤を吸着させることができない可能性があるからである。また厚みが上記範囲よりも薄いと、介在層を形成したことによる多孔質層と耐熱基板との密着力低下が少なくなり、本発明の酸化物半導体電極用積層体から酸化物半導体電極を作製する際の生産性向上に寄与できない場合があるからである。
上記酸化物半導体層の空孔率としては、10%〜60%の範囲内であることが好ましく、中でも20%〜50%の範囲内であることが好ましい。、酸化物半導体層の空孔率が上記範囲よりも小さいと、例えば、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いて色素増感型太陽電池を作製した用いた場合に、多孔質層において太陽光を有効に吸収できなくなる可能性があるからである。また記範囲よりも大きいと、酸化物半導体層に所望量の色素増感剤を含有させることができなくなる可能性があるからである。
また上記介在層の空孔率としては、上記酸化物半導体層の空孔率よりも大きければ特に限定されないが、通常、25%〜65%の範囲内であることが好ましく、なかでも、30%〜60%の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明における空孔率とは単位体積当たりの金属酸化物半導体微粒子の非占有率のことを示す。上記空孔率の測定方法としては、細孔容積をガス吸着量測定装置(Autosorb−1MP;Quantachrome製)にて測定し、単位面積あたりの体積との比率から算出する。介在層の空孔率については酸化物半導体層と積層された多孔質層として求め、酸化物半導体層単体で求めた値より算出する。
2.第1電極層
次に、本発明に用いられる第1電極層について説明する。本発明に用いられる第1電極層は、上記多孔質層上に接するように形成されたものであり、金属酸化物からなるものである。
以下、このような第1電極層について説明する。
本発明に用いられる第1電極層を構成する金属酸化物としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる金属酸化物は太陽光の透過性を有するものであることが好ましい。これにより、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いて色素増感型太陽電池を作製した場合に、発電効率が損なわれることを防止できるからである。
このような太陽光の透過性を有する金属酸化物としては、例えば、SnO、ITO、IZO、ZnOを挙げることができる。本発明においては、これらのいずれの金属酸化物であっても好適に用いることができるが、なかでもフッ素ドープしたSnO(以下、FTOと称する。)、ITOを用いることが好ましい。FTOおよびITOは、導電性および太陽光の透過性の両方に優れているからである。
本発明に用いられる第1電極層は、単一の層からなる構成であってもよく、また、複数の層が積層された構成であってもよい。複数の層が積層された構成としては、例えば、仕事関数が互いに異なる層を積層する態様や、互いに異なる金属酸化物からなる層を積層する態様を挙げることができる。
また本発明に用いられる第1電極層は、表面に凹凸形状が形成された多孔質層上に形成されていることに起因して、平坦な多孔質層上に形成された場合よりもヘイズが高いものになっている。ここで、本発明における第1電極層のヘイズ値としては、第1電極層において可視光を所望の程度に散乱できる程度であれば特に限定されるものではないが、なかでも本発明においては10%〜80%の範囲内であることが好ましく、15%〜70%の範囲内であることがより好ましく、20%〜60%の範囲内であることがさらに好ましい。
また本発明に用いられる上記第1電極層は、上記多孔質層とは反対側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることが好ましい。これにより、上記第1電極層側から入射した可視光を上記多孔質層の表面のみならず、上記第1電極層の表面においても散乱させることができるため、二重の散乱効果によって上記多孔質層中の光路長をさらに長くすることができるからである。
第1電極層の表面に凹凸形状が形成されている場合、上記凹凸形状の形態としては可視光を散乱させることができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明における凹凸形状は、表面粗さRaが100nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、150nm〜800nmの範囲内であることがより好ましく、200nm〜500nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、上記第1電極層に形成される凹凸形状は、上記多孔質層の表面に形成された凹凸形状と同一形状であってもよく、あるいは異なる形状であってもよい。
本発明に用いられる第1電極層の厚みは、本発明の酸化物半導体電極用積層体の用途等に応じて、所望の導電性を実現できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明における第1電極層の厚みとしては、通常、5nm〜2000nmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも厚いと、均質な第1電極層を形成することが困難となる場合があり、また、厚みが上記範囲よりも薄いと、本発明の酸化物半導体電極用積層体の用途によっては第1電極層の導電性が不足する可能性があるからである。
なお、上記厚みは、第1電極層が複数の層が積層された構成される場合には、すべての層の厚みを合計した総厚みを指すものとする。
3.耐熱基板
次に、本発明に用いられる耐熱基板について説明する。本発明に用いられる耐熱基板としては、所望の耐熱性を有するものであれば特に限定されない。なかでも、本発明の酸化物半導体電極用積層体を製造する工程においては、耐熱基板上に多孔質層が形成される過程において高温の焼成処理がなされることが一般的であることから、本発明に用いられる耐熱基板としては、上記多孔質層を形成する際に行われる焼成処理時の加熱温度に耐え得る耐熱性を有するものが好ましい。このような十分な耐熱性を備える耐熱基板を用いることにより、本発明の酸化物半導体電極用積層体を製造する過程において、多孔質層を形成する際に焼成処理を充分に高温で行うことができるため、多孔質層を形成する金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高くすることができるという利点がある。
本発明に用いられる耐熱基板は、上記耐熱性を有するもののなかでも、さらに耐酸性を有するものであることが好ましい。ここで、本発明における「耐酸性」とは、本発明の酸化物半導体電極用積層体を作製する過程において、多孔質層を形成するために用いられる多孔質層形成用塗工液が酸性である場合に、その多孔質層形成用塗工液によって耐熱基板が腐食されない程度の耐酸性、または多少腐食した場合であっても、その酸分解生成物が多孔質層等の変質、剥離等を生じさせない程度の耐酸性をいう。
本発明に用いられる耐熱基板は、上述した耐酸性および耐熱性を有するものであれば、単層であってもよく、複数層であってもよい。上記耐熱基板が単層である場合、耐熱基板の材料としては、可撓性、耐熱性および耐酸性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、金属単体、金属合金および金属酸化物等の金属等を挙げることができる。上記金属単体としては、例えばTi、W、Mo、Nb、Cr、Ni、Ag、Zr、Pt、Ta、Au等を挙げることができ、中でもTi、W、Pt、Auが好ましい。上記金属合金としては、例えばSUS、Ti合金、Fe合金、Ni合金、Al合金、W合金、Mg合金、Co合金、Cr合金等を挙げることができ、中でもSUS、Ti合金、Al合金が好ましい。上記金属酸化物としては、例えばSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Cr酸化物、W酸化物等を挙げることができ、中でもSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物が好ましい。
一方、上記耐熱基板が複数層である場合は、例えば上記耐熱基板が、耐熱性層と、上記耐熱性層の少なくとも上記多孔質層側の表面に形成された耐酸性層と、を有するもの等を挙げることができる。
上記耐熱性層は、多孔質層を形成する際に行われる焼成処理時の加熱温度に対して、充分な耐熱性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような耐熱性層の材料としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス等を挙げることができ、中でも、金属が好ましい。さらに、上記金属としては、具体的には金属単体、金属合金および金属酸化物等を挙げることができる。また、上記金属単体、金属合金および金属酸化物は、一般的に充分な耐熱性を有していることから、その種類等は特に限定されるものではない。なお、上記金属単体としては、具体的にはTi、W、Pt、Au等が好ましく、上記金属合金としては、具体的にはSUS、Ti合金、Al合金等が好ましく、上記金属酸化物としては、具体的にはSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物等が好ましい。
上記耐酸性層は、耐酸性および耐熱性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような耐酸性層の材料としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス等を挙げることができ、中でも、金属が好ましい。さらに、上記金属としては、具体的には、金属単体、金属合金および金属酸化物等を挙げることができる。上記金属単体としては、例えばTi、W、Mo、Nb、Cr、Ni、Ag、Zr、Pt、Ta、Au等を挙げることができ、中でもTi、W、Pt、Auが好ましい。上記金属合金としては、例えばSUS、Ti合金、Fe合金、Ni合金、Al合金、W合金、Mg合金、Co合金、Cr合金等を挙げることができ、中でもSUS、Ti合金、Al合金が好ましい。上記金属酸化物としては、例えばSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物、Sn酸化物、Cr酸化物、W酸化物等を挙げることができ、中でもSi酸化物、Al酸化物、Ti酸化物が好ましい。
本発明に用いられる耐熱基板が上記耐熱性層および耐酸性層を有するものである場合、耐熱性層および耐酸性層の組合せとしては、特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。例えば、耐熱性層の材料が金属、ガラスまたはセラミックスであって、耐酸性層の材料が金属である組合せ等を挙げることができ、中でも、上記耐熱性層および上記耐酸性層の材料が金属である組合せが好ましい。可撓性に優れた耐熱基板とすることができるからである。
上記耐熱性層および上記耐酸性層の材料が金属である組合せとしては、例えば、耐熱性層の材料が金属単体、金属合金または金属酸化物であって、耐酸性層の材料が上記耐熱性層に用いた金属以外の金属単体、金属合金または金属酸化物である組合せを挙げることができる。具体的には、耐熱性層の材料/耐酸性層の材料の組合せとして、Ti単体/Ti酸化物、SUS/Cr単体、SUS/Si酸化物、SUS/Ti酸化物、SUS/Al酸化物、SUS/Cr酸化物等を挙げることができる。
また、上記耐熱性層および上記耐酸性層の材料が金属である場合、上記耐熱性層に含まれる金属元素と、上記耐酸性層に含まれる金属元素とが異なることが好ましい。なお、ここで「耐熱性層に含まれる金属元素」とは、耐熱性層に最も多く含まれる金属元素を意味するものである。従って、例えばSUSが、Cr、Ni等を含有する場合であっても、「耐熱性層に含まれる金属元素」はFeとなる。また、「耐酸性層に含まれる金属元素」についても同様である。このような耐熱性層および耐酸性層の組合せとしては、耐熱性層の材料/耐酸性層の材料の組合せとして、SUS/Cr単体、SUS/Si酸化物、SUS/Ti酸化物、SUS/Al酸化物、SUS/Cr酸化物等を挙げることができる。
また、上記耐熱基板は、可撓性を有することが好ましい。Roll to Roll方式により酸化物半導体電極用積層体を製造することが可能となるからである。
4.酸化物半導体電極用積層体の用途
本発明の酸化物半導体電極用積層体の用途は特に限定されるものではないが、特に色素増感型太陽電池等に用いられる酸化物半導体電極を作製するために用いられる。すなわち、色素増感型太陽電池等に用いられる酸化物半導体電極は、基材上に、第1電極層と多孔質層とがこの順で積層された構成を有するものであるが、本発明の酸化物半導体電極用積層体を用いれば、耐熱基板上に形成された多孔質層および第1電極層を、任意の基材上に転写することによって容易に酸化物半導体電極を作製するため、このような用途に好適に用いられる。
5.酸化物半導体電極用積層体の製造方法
本発明の酸化物半導体電極用積層体は、一般的に公知の手法を用いて製造することができる。このような方法としては、例えば、耐熱基板を用い、上記耐熱基板上に金属酸化物半導体微粒子を含有し、表面に可視光を散乱させることが可能な程度の凹凸形状を有する多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、上記多孔質層上に、金属酸化物からなる第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、を有する方法を挙げることができる。
(1)多孔質層形成工程
上記多孔質層形成工程において、耐熱基板上に多孔質層を形成する方法としては所定の金属酸化物半導体微粒子を含有し、所望の空隙率を有する多孔質層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、耐熱基板を用い、上記耐熱基板上に金属酸化物半導体微粒子および樹脂を含有する多孔質層形成用塗工液を上記耐熱基板上に塗布することにより、表面に所定の凹凸形状を有する多孔質層形成用層を形成する多孔質層形成用層形成工程、および、上記多孔質層形成用層を焼成する焼成工程とによって、多孔質層を形成することが好ましい。このような方法によれば任意の空隙率を有する多孔質層を形成することが容易になるからである。
以下、このような方法で多孔質層を形成する方法について詳細に説明する。
a.多孔質層形成用層形成工程
まず、上記多孔質層形成用層形成工程について説明する。本工程は耐熱基板を用い、上記耐熱基板上に金属酸化物半導体微粒子および樹脂を含有し、表面に所定の凹凸形状を有する多孔質層形成用層を形成する工程である。
本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液は、少なくとも金属酸化物半導体微粒子と、樹脂とを含有するものである。ここで、上記金属酸化物半導体微粒子については、上記「1.多孔質層」の項において説明したものと同様であるため、ここで説明は省略する。
上記多孔質層形成用塗工液に用いられる樹脂としては、後述する焼成工程において多孔質層形成用層を焼成する際に時に分解させることができるものであれば特に限定されるものではない。このような樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などのほか、ポリエチレングリコールのような多価アルコール類等を挙げることができる。
また、本工程に用いられる多孔質層形成用塗工液には、上記樹脂および金属酸化物半導体微粒子を溶解・分散するために溶媒が用いられていてもよい。本工程に用いられる溶媒としては、上記樹脂を所望量溶解・分散できるものであれば特に限定されるものではない。このような溶媒としては、水またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール等の各種溶剤を挙げることができる。中でも、水ないしアルコール系の溶媒であることが好ましい。
次に、上記多孔質層形成用塗工液を上記耐熱基板上に塗布する方法について説明する。本工程に用いられる塗布方法としては表面に所定の凹凸形状を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、上記多孔質層形成用塗工液に含まれる金属酸化物半導体微粒子として、2種類以上の粒径を有するものが組み合わされて用いられており、当該多孔質層形成用塗工液を塗布するのみで表面に所望の凹凸形状を形成する方法を挙げることができる。このような方法によれば、一般的な塗布方法により上記多孔質層形成用塗工液を塗布することによって、表面に所定の凹凸形状を有する多孔質層形成用層を形成することができる。ここで、上記一般的な塗布方法としては、例えば、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコート、オフセットコート、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
b.焼成工程
次に、上記焼成工程について説明する。本工程は上記多孔質層形成工程によって形成された多孔質層形成用層を焼成することにより多孔質体である多孔質層にする工程である。
本工程において多孔質層形成用層を焼成する方法としては、加熱ムラなく一様に焼成できる方法であれば特に限定はされず、公知の加熱方法を用いることができる。
また、本工程における焼成温度は、上記多孔質層形成用塗工液に含まれる樹脂を熱分解できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、300℃〜700℃の範囲内であることが好ましく、特に、350℃〜600℃の範囲内であることが好ましい。
c.その他
本工程においては、上記多孔質層形成用層形成工程を、耐熱基板上に介在層形成用層を形成する介在層形成用層形成工程と、上記介在層形成用層上に酸化物半導体層形成用層を形成する酸化物半導体層形成用層形成工程と、上記介在層形成用層および上記酸化物半導体層形成用層を焼成して、多孔質である介在層および酸化物半導体層からなる多孔質層を形成する焼成工程とを用いることにより、本工程により形成される多孔質層を酸化物半導体層および介在層の2層からなる構成を有するものとすることができる。
(2)第1電極層形成工程
次に、本発明に用いられる第1電極層形成工程について説明する。本工程は、上記多孔質層形成工程によって形成された多孔質層上に、金属酸化物からなる第1電極層を形成する工程である。
本工程において第1電極層を形成する方法としては、厚みが均一で平面性に優れた第1電極層を形成できる方法であれば特に限定されず、一般的に金属酸化物膜を形成する方法として公知の方法を用いることができる。このような第1電極層の形成方法の具体例としては、特開2005−166648号公報に記載された方法を好適に用いることができる。
B.酸化物半導体電極
次に、本発明の酸化物半導体電極について説明する。本発明の酸化物半導体電極は、基材と、上記基材上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、を有するものであって、上記多孔質層の上記第1電極層側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とするものである。
このような本発明の酸化物半導体電極について図を参照しながら説明する。図2は本発明の酸化物半導体電極の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、本発明の酸化物半導体電極20は、基材21と、上記基材21上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層3と、第1電極層3上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層2とを有するものである。
このような例において本発明の酸化物半導体電極20は、上記多孔質層3の上記第1電極層2側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とするものである。また、図2に例示するように本発明の酸化物半導体電極20は、上記基材21と上記第1電極層3との間に接着性樹脂を含有する接着層22が形成されており、かつ、上記第1電極層3の上記多孔質層2とは反対側の表面に凹凸形状が形成されていることが好ましいものである。
本発明によれば、上記第1電極層側から多孔質層に入射する可視光を上記多孔質層の表面に形成された凹凸形状によって散乱させることができるため、可視光が上記多孔質層を通過する際の光路長を長くすることができる。また、多孔質層に上記凹凸形状が形成されていることにより、多孔質層上に形成される第1電極層のヘイズを高めることができる。このため、第1電極層においても可視光を散乱させることが可能になり、上記多孔質層中における光路長を一層長くすることができる。
このようなことから本発明の酸化物半導体電極は、例えば、色素増感型太陽電池等に用いた場合に優れた発電特性を達成することができるという利点を有する。
本発明の酸化物半導体電極は、少なくとも基材、第1電極層、および多孔質層を有するものであり、必要に応じて他の任意の構成を有してもよいものである。
以下、本発明の酸化物半導体電極に用いられる各構成について順に説明する。
なお、本発明の酸化物半導体電極に用いられる第1電極層および多孔質層については、上記「A.酸化物半導体電極用積層体」の項において説明したものと同様であるためここでの説明は省略する。
1.基材
まず、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材としては、本発明に用いられる第1電極層および多孔質層を支持することが可能な程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられる基材は可撓性を有するフレキシブル材であってもよく、または、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性を有さないリジッド材であってもよい。なかでも本発明に用いられる基材はフレキシブル材であることが好ましく、上記フレキシブル材のなかでもフィルム基材であることが好ましい。フィルム基材は加工性に優れ、製造コストの低減ができるからである。
上記フィルム基材としては、例えば、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂フィルム基材等を挙げることができ、なかでも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネートフィルム(PC)が好ましい。
また、本発明に用いられる基材の厚みは、本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて適宜選択することができるものであるが、通常、50μm〜2000μmの範囲内であることが好ましく、特に75μm〜1800μmの範囲内であることが好ましく、さらに100μm〜1500μmの範囲内であることが好ましい。基材の厚みが上記範囲よりも薄いと、本発明の酸化物半導体電極に充分な機械的強度を付与できない可能性があるからである。また基材の厚みが大きすぎると、本発明の酸化物半導体電極の加工適性を損なう可能性があるからである。
また、本発明に用いられる基材は、耐熱性、耐候性、水蒸気、その他のガスバリア性に優れたものであることが好ましい。上記基材がガスバリア性を有することにより、例えば、本発明の酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池に用いた場合に、色素増感型太陽電池の経時安定性を向上できるからである。なかでも本発明においては、酸素透過率が温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m/day・atm以下、水蒸気透過率が温度37.8℃、湿度100%の条件下において1g/m/day以下のガスバリア性を有する基材を用いることが好ましい。本発明においては、このようなガスバリア性を達成するために、任意の基材上にガスバリア層を設けたものを用いてもよい。
2.任意の構成
本発明の酸化物半導体電極は、少なくとも上記基材、第1電極層および多孔質層とを有するものであるが、必要に応じて他の任意の構成を有するものであってもよい。本発明に用いられる任意の構成は特に限定されるものではなく、本発明の酸化物半導体電極の用途や、本発明の酸化物半導体電極の製造方法に応じて任意の機能を有するものを用いることができる。なかでも本発明の酸化物半導体電極は、上記任意の構成として、上記基材と上記第1電極層との間に形成され、接着性樹脂を含む接着層を有することが好ましい(図2参照)。このような接着層が形成されていることにより、本発明の酸化物半導体電極を、上述した転写方式によって製造することが容易になるからである。また、上記第1電極層の表面に凹凸形状が形成されている場合は、当該凹凸形状に起因して上記第1電極層と上記基材との接着性が損なわれる場合があるが、上記接着層が形成されていることにより、このような接着性の問題を解消することもできるからである。
上記接着層に用いられる接着性樹脂としては、所望の温度で融解する樹脂であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる接着性樹脂は融点が50℃〜200℃の範囲内であることが好ましく、特に60℃〜180℃の範囲内であることが好ましく、さらに65℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。融点が上記範囲よりも低いと、例えば、本発明の酸化物半導体電極を用いて作製した色素増感型太陽電池を屋外で使用した場合に、基材と第1電極層との間の密着性が十分に保持されない可能性があるからである。また、融点が上記範囲よりも高いと、例えば、転写方式によって本発明の酸化物半導体電極を作製する際に、転写工程において融点以上の加熱工程が必要となるため、本発明に用いられる基材の種類によっては、基材自体が熱によるダメージを受ける場合があるからである。
本発明に用いられる接着性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン‐プロピレンゴム等のポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチルセルロース、トリ酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。また、本発明に用いられる接着性樹脂としては、例えば、特開2006−310256号公報に記載されたものを挙げることができる。本発明においては、これらの接着性樹脂のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも接着性、電解液に対する耐性、光透過性及び転写性の点から、ポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シラン変性樹脂、および酸変性樹脂が好ましい。
また、本発明に用いられる接着層は、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期にわたって安定した機械強度、黄変防止、ひび割れ防止、優れた加工適性を得ることができるからである。
上記光安定化剤は、接着層に用いられる熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物などの光安定化剤が挙げられる。
上記紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、接着層に用いられる熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、および超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01μm〜0.06μm)もしくは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:0.01μm〜0.04μm)などの無機系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
上記熱安定剤としては、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4‐ビス(1,1−ジメチルエチル)‐6‐メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)[1,1‐ビフェニル]‐4,4´‐ジイルビスホスフォナイト、およびビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系熱安定剤;8‐ヒドロキシ‐5,7‐ジ‐t‐ブチル‐フラン‐2‐オンとo‐キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤などを挙げることができる。リン系熱安定剤とラクトン系熱安定剤とを併用することが好ましい。
上記酸化防止剤は、接着層に用いられる熱可塑性樹脂の酸化劣化を防止するものである。具体的には、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、およびラクトン系などの酸化防止剤が挙げられる。
これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤は、それぞれ1種単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明に用いられる他の化合物としては上記以外に、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等を挙げることができる。
本発明に用いられる接着層の厚みは、接着層を構成する接着性樹脂の種類に応じて、必要な接着力を発現できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、5μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。接着層の厚みが上記範囲よりも薄いと所望の接着力を得ることができない場合があり、また厚みが上記範囲よりも厚いと、接着層により層間接着強度を十分に発現させるために過剰な加熱が必要となり、基材などへの熱ダメージが大きくなる場合があるからである。
3.酸化物半導体電極
本発明の酸化物半導体電極は、上記多孔質層の表面に可視光を散乱させることが可能な凹凸形状が形成されていることを特徴とするものであるが、さらに本発明においては上記第1電極層の上記多孔質層とは反対側の表面に可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることが好ましい。これにより、上記第1電極層側から入射した可視光を上記多孔質層の表面のみならず、上記第1電極層の表面においても散乱させることができるため、二重の散乱効果によって上記多孔質層中の光路長をさらに長くすることができるからである。
また、本発明の酸化物半導体電極における多孔質層は、パターニングされていることが好ましい。多孔質層がパターニングされていることにより、本発明の酸化物半導体電極を、モジュール起電力の高い色素増感型太陽電池を作製するのに好適なものにできるからである。本発明における多孔質層のパターニングは、少なくとも多孔質層がパターニングされていればよい。また、多孔質層が、上記酸化物半導体層と、上記介在層とからなる場合には、両層が同一形状でパターニングされていることが好ましい。
本発明において多孔質層がパターニングされている場合のパターンは、本発明の酸化物半導体電極の用途等に応じて任意に決定することができるが、なかでも、ストライプ形状のパターンとすることが最も好ましい。
4.酸化物半導体電極の用途
本発明の酸化物半導体電極は、色素増感型光充電キャパシタに用いられる色素増感型光充電キャパシタ用基材、エレクトロクロミックディスプレイに用いられるエレクトロクロミックディスプレイ用基材、光触媒反応を用いて大気中の汚染物質を分解できる汚染物質分解基板、および色素増感型太陽電池に用いられる色素増感型太陽電池用基材等として用いることができるが、なかでも色素増感型太陽電池に用いられる色素増感型太陽電池用基材として好適に用いられる。
5.酸化物半導体電極の製造方法
本発明の酸化物半導体電極は、一般的に公知の手法を用いて製造することができる。本発明の酸化物半導体電極の製造方法としては、例えば、上述した本発明に係る酸化物半導体電極用積層体を用い、上記酸化物半導体電極用積層体の上記第1電極層上に基材を接着する基材接着工程と、上記耐熱基板を上記多孔質層から剥離する耐熱基板剥離工程と、を有するものを挙げることができる。
以下、本発明の酸化物半導体電極の製造方法の一例として、このような方法について詳細に説明する。
(1)基材接着工程
まず、上記基材接着工程について説明する。本工程は、上記本発明に係る酸化物半導体電極用積層体を用い、当該酸化物半導体電極用積層体の第1電極層上に基材を接着する工程である。
本工程において、上記第1電極層上に基材を接着する方法としては、所望の接着力を持って基材を上記第1電極層上に接着できる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、接着層を介して上記第1電極層と上記基材とを接着することが好ましい。このような方法によれば、上記第1電極層と上記基材とを所望の接着力で接着させることが容易だからである。
なお、このような方法によって上記第1電極層と基材とを接着した場合、本発明によって製造される酸化物半導体電極は、基材と、第1電極層との間に接着層が形成された構成を有するものになる。
本工程において、接着層を介して第1電極層と基材とを接着させる方法としては、予め基材上に接着層を形成しておき、接着層を有する基材を接着層と上記第1電極層とが接着するように配置した後、熱融着する方法と、接着性樹脂からなるフィルムを作製し、当該フィルムを介して、上記第1電極層と、基材とをラミネートする方法等を挙げることができる。
なお、基材上に接着性樹脂からなる接着層を形成する方法は特に限定されるものではなく、例えば、接着性樹脂を含む接着層形成用塗工液を上記基材上に塗工することによって形成することができる。
(2)耐熱基板剥離工程
次に、上記耐熱基板剥離工程について説明する。本工程は上記基材接着工程の後、多孔質層上に接着された耐熱基板を、上記多孔質層から剥離する工程である。
上記耐熱基板剥離工程において、耐熱基板付酸化物半導体電極から耐熱基板を剥離する方法は、特に限定されず、一般的な剥離方法を用いることができる。また本工程においては、耐熱基板を機械的研磨除去や、エッチングなどによる化学的除去により剥離することもできる。
C.色素増感型太陽電池
次に、本発明の色素増感型太陽電池について説明する。本発明の色素増感型太陽電池は、上記本発明に係る酸化物半導体電極、および、対向基材と、上記対向基材上に形成され、金属酸化物からなる第2電極層とを有する対電極基材が、上記多孔質層と、上記第2電極層とが対向するように配置されており、上記酸化物半導体電極と上記対電極基材との間に酸化還元対を含む電解質層が形成された構成を有することを特徴とするものである。
このような本発明の色素増感型太陽電池について図を参照しながら説明する。図3は本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。図3に例示するように本発明の色素増感型太陽電池30は、上記本発明に係る酸化物半導体電極20、および、対向基材41と、上記対向基材41上に形成され、金属酸化物からなる第2電極層42とを有する対電極基材40が、酸化物半導体電極20の上記多孔質層3と、上記第2電極層42とが対向するように配置されており、上記酸化物半導体電極20と上記対電極基材40との間に酸化還元対を含む電解質層31が形成された構成を有するものである。
本発明によれば、酸化物半導体電極として上記本発明に係る酸化物半導体電極が用いられていることにより、光路長の長い多孔質層を備えるものとなるため、当該多孔質層において十分に可視光を吸収することができ、発電効率に優れた色素増感型太陽電池を得ることができる。
本発明の色素増感型太陽電池は、少なくとも上記酸化物半導体電極、対電極基材および電解質層を有するものであり、必要に応じて他の任意の構成を有してもよいものである。
以下、本発明の色素増感型太陽電池に用いられる各構成について順に説明する。
1.酸化物半導体電極
まず、本発明に用いられる酸化物半導体電極について説明する。本発明に用いられる酸化物半導体電極は、上記本発明に係る酸化物半導体電極であり、多孔質層に色素増感剤が含まれるものである。
このような酸化物半導体電極については、上記「B.酸化物半導体電極」の項において説明したものと同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
2.電解質層
次に、本発明に用いられる電解質層について説明する。本発明における電解質層は、酸化還元対を含むものである。
本発明における電解質層に用いられる酸化還元対としては、一般的に色素増感型太陽電池の電解質層に用いられているものであれば特に限定はされるものではない。中でも本発明に用いられる酸化還元対は、ヨウ素およびヨウ化物の組合せ、臭素および臭化物の組合せであることが好ましい。
上記酸化還元対として本発明に用いられるヨウ素およびヨウ化物の組合せとしては、例えば、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物と、Iとの組合せを挙げることができる。
さらに、上記臭素および臭化物の組合せとしては、例えば、LiBr、NaBr、KBr、CaBr等の金属臭化物と、Brとの組合せを挙げることができる。
本発明における電解質層には、上記酸化還元対以外のその他の化合物として、架橋剤、光重合開始剤、増粘剤、常温融解塩等の添加剤を含有していてもよい。
電解質層は、ゲル状、固体状または液体状のいずれの形態からなる電解質層であってもよい。電解質層をゲル状とした場合には、物理ゲルと化学ゲルのいずれであってもよい。ここで、物理ゲルは物理的な相互作用で室温付近でゲル化しているものであり、化学ゲルは架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものである。
また、電解質層を液体状とした場合には、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、炭酸プロピレンなどを溶媒とし、酸化還元対を含んだものや、同じくイミダゾリウム塩をカチオンとするイオン性液体を溶媒とすることができる。
さらに、電解質層を固体状とした場合には、酸化還元対を含まずにそれ自身が正孔輸送剤として機能するものであればよく、例えばCuI、ポリピロール、ポリチオフェンなどを含む正孔輸送剤であってもよい。
3.対電極基材
次に本発明に用いられる対電極基材について説明する。本発明における対電極基材は、第2電極層および対向基材からなるものである。
(1)第2電極層
本発明に用いられる第2電極層としては、所望の導電性を有する金属酸化物からなるものであれば特に限定されるものではない。なお、上述したように本発明に用いられる酸化物半導体電極が有する第1電極層は、同じく金属酸化物からなるものであり、スプレー熱分解法によって上記多孔質層上に形成されたものであるが、本発明に用いられる第2電極層は、スプレー熱分解法によって形成されたものに限定されるものではない点において、上記第1電極層と異なるものである。
本発明において第2電極層に用いられる金属酸化物としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような金属酸化物としては、上記「A.酸化物半導体電極用積層体」の項において第1電極層に用いられる金属酸化物として説明したものと同様のものを用いることができる。
本発明に用いられる第2電極層は、単一の層からなる構成であってもよく、また、複数の層が積層された構成であってもよい。複数の層が積層された構成としては、例えば、仕事関数が互いに異なる層を積層する発明や、互いに異なる金属酸化物からなる層を積層する発明を挙げることができる。
また、本発明に用いられる第2電極層の厚みは、通常、5nm〜2000nmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
(2)対向基材
本発明における対向基材は、上記「B.酸化物半導体電極」の、基材の項において説明したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
(3)その他の層
本発明に用いられる対電極基材には必要に応じて、上記第2電極層および対向基材以外のその他の構成を有するものであってもよい。本発明に用いられるその他の構成としては、触媒層を挙げることができる。本発明においては、上記第2電極層上に触媒層が形成されていることにより、本発明の色素増感型太陽電池をより発電効率に優れたものにできる。このような触媒層の例としては、上記第2電極層上にPtを蒸着した態様を挙げることができるが、この限りではない。
4.色素増感型太陽電池
本発明の色素増感型太陽電池は、上記酸化物半導体電極の多孔質層等、および、上記対電極基材の第2電極層等がパターニングされていることにより、一対の酸化物半導体電極および対電極基材に複数のセルが連結された構成を有するものであってもよい。このような構成を有することにより、本発明の色素増感型太陽電池を起電力の高いものにできるからである。
また、上記パターニングの形状としては、本発明の色素増感型太陽電池に求める起電力等により任意に決定することができるが、なかでも本発明においてはストライプ形状のパターニングとすることが最も好ましい。
5.色素増感型太陽電池の製造方法
次に本発明の色素増感型太陽電池の作製方法の一例について説明する。本発明の色素増感型太陽電池は、上記本発明の酸化物半導体電極が有する多孔質層と、上記対電極基材が有する第2電極基材との間に電解質層を形成することにより製造することができる。
本発明において、上記本発明の酸化物半導体電極が有する多孔質層と、上記対電極基材が有する第2電極基材との間に電解質層を形成する方法としては、各層を厚み精度よく形成できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、上記酸化物半導体電極の多孔質層上に電解質層を形成した後、当該電解質層上に対電極基材を配置する方法(第1の方法)と、上記酸化物半導体電極および対電極基材を、多孔質層と第2電極層とが対向するように配置した後、多孔質層と第2電極層との間に電解質層を形成する方法(第2の方法)と、を挙げることができる。
上記第1の方法としては、例えば、電解質層形成用組成物を上記多孔質層上に塗布し、乾燥させることにより電解質層を形成した後に、対電極基材を付与する塗布法を用いることができる。また、上記第2の方法としては、上記酸化物半導体電極の多孔質層と、対電極基材が有する第2電極層とが対向するように所定の間隙を有して配置させ、その間隙に、電解質層形成用組成物を注入することにより、電解質層を形成する注入法を用いることができる。
上記塗布法における、多孔質層形成用組成物の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができ、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
また、上記塗布法により電解質層を形成する場合、電解質層を形成する電解質層形成用組成物としては、少なくとも酸化還元対および酸化還元対を保持する高分子化合物を有するものであれば特に限定はされない。
上記注入法により電解質層を形成する場合、電解質層を形成する電解質層形成用組成物としては、少なくとも酸化還元対を有するものであれば特に限定はされないが、形成される電解質層をゲル状とする場合には、さらに、ゲル化剤が含有されたものとする。例えば、物理ゲルの場合は、ゲル化剤としてポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート等を挙げることができる。また、化学ゲルの場合は、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系等を挙げることができる。
上記多孔質層と、対電極基材が有する第2電極層との間隙に電解質層形成用組成物を注入する方法としては、特に限定はされないが、例えば、毛細管現象を利用して注入させる方法や、上記多孔質層と、上記第2電極との間隙を真空状態にし、電解質層形成用組成物を接触させた状態で大気圧に開放することで注入する方法などを挙げることができる。
また、注入法により、電解質層形成用組成物を注入した後、例えば、温度調整、紫外線照射または電子線照射等を行い、二次元または三次元の架橋反応を生じさせることによりゲル状さらには固体状の電解質層を形成することができる。
また本発明において、対向基材上に第2電極層を形成する方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。
D.色素増感型太陽電池モジュール
次に、本発明に用いられる色素増感型太陽電池モジュールについて説明する。本発明の色素増感型太陽電池モジュールは、上記本発明に係る色素増感型太陽電池が複数個連結されてなるものである。
このような本発明の色素増感型太陽電池モジュールについて図を参照しながら説明する。図4は本発明の色素増感型太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。図4(a)に例示するように、本発明の色素増感型太陽電池モジュール50としては、酸化物半導体電極20’が有する接着層22、第1電極層3、多孔質層2、および対電極基材40が有する第2電極層42がパターニングされていることにより、一対の酸化物半導体電極20’と対電極基材40’との間に複数の本発明の色素増感型太陽電池30が形成されており、個々の色素増感型太陽電池30’が配線51により連結された構成を有するものを例示することができる。図4(a)中、51はシール材を表す。
また、図4(a)は、本発明の色素増感型太陽電池30が直列に複数連結された構成を有するものであるが、本発明の色素増感型太陽電池モジュールはこのような構成に限られるものではなく、例えば図4(b)に例示するように、本発明の色素増感型太陽電池30が並列に複数連結された構成を有するものであってもよい。
なお、図4(a)、(b)に示す例は、3つのセルCが連結された構成を有するものになる。
本発明によれば上記本発明に係る色素増感型太陽電池が用いられていることにより、発電効率に優れた色素増感型太陽電池モジュールを得ることができる。
本発明において複数の色素増感型太陽電池が連結された態様としては、本発明の色素増感型太陽電池モジュールにより所望の起電力を得ることができる態様であれば特に限定されるものではない。このような態様としては、個々の色素増感型太陽電池が直列で連結された態様であってもよく、あるいは並列で連結された態様であってもよい。
なお、本発明に用いられる色素増感型太陽電池については、上記「C.色素増感型太陽電池」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
多孔質層形成用塗工液として一次粒径20nmのTiO微粒子(日本アエロジル社製P25)37.5重量%、アセチルアセトン1.25重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量3000)1.88重量%となるように水およびイソプロピルアルコールに混合した。その後、1.2mmφのジルコニアビーズを添加しペイントシェーカーで2時間分散し、スラリーを得た。
次に、透明導電膜としてFTO(フッ素ドープ酸化錫)が成膜されたガラス基板上にドクターブレードにて前記スラリーを塗布後、室温下にて20分放置の後100℃、30分間乾燥させた。その後、電気マッフル炉(デンケン社製P90)を用い500℃、30分間、大気圧雰囲気下にて焼成した。これにより多孔質層を形成した。このとき、形成された多孔質層の表面の表面粗さRaを触針式表面形状測定器(日本真空技術社製 DEKTAK3)にて測定したところ、400nmであった。
その後、エタノールに塩化インジウム0.1mol/L、塩化スズ0.005mol/Lを溶解した塗工液を用意し、上記焼成を行ったガラス基板を、多孔質層を上向きにし、ホットプレート(400℃)上へ設置し、この加熱された多孔質層上に、上述の塗工液を超音波噴霧器により噴霧し、第1電極層としてITO膜を500nm形成し、酸化物半導体電極用積層体を得た。SEM観察により、形成された第1電極層の表面には多孔質層の表面と同様の凹凸を有していることを確認した。
PETフィルム(東洋紡E5100 厚み125μm)上にヒートシール剤(東洋紡 MD1985)を塗布、風乾させることにより接着層を形成した。このとき、接着層の厚みは、1.5μmであった。
次に、上記PETフィルムの接着剤層と上記酸化物半導体電極用積層体の第1電極層面とを120℃で貼り合せた。次に、上記酸化物半導体電極用積層体からガラス基板を剥離することにより酸化物半導体電極を作製した。多孔質酸化物半導体層電極を得た。
色素増感剤としてルテニウム錯体(小島化学株式会社RuL(NCS))を無水エタノール溶液に濃度3×10−4mol/Lとなるように溶解させ、吸着用色素溶液を作製し、上記酸化物半導体電極を当該吸着用色素溶液に浸漬することにより多孔質層に増感色素が担持させた。
次に、電解質層を形成する電解質層形成用塗工液を以下のように調整した。メトキシアセトニトリルを溶媒とし、濃度0.1mol/lのヨウ化リチウム、濃度0.05mol/lのヨウ素、濃度0.3mol/lのジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、濃度0.5mol/lのターシャリーブチルピリジンを溶解させたものを電解液とした。次いで、上記増感色素を担持させた酸化物半導体電極を1cm×1cmにトリミングした後、対電極基材を厚さ20μmのサーリンによって貼り合せ、その間に上記電解質層形成用塗工液を含浸させることにより色素増感型太陽電池を作製した。対電極基材としては、膜厚150nmを有し、表面抵抗7Ω/□である、ITOスパッタ層を有する対向フィルム基材上に膜厚50nmの白金膜をスパッタリングにて付与したものを用いた。
(評価)
作製した色素増感型太陽電池の評価は、AM1.5、擬似太陽光(入射光強度100mW/cm)を光源として、色素吸着させた酸化物半導体層を有する基材側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)にて電圧印加により電流電圧特性を測定した。その結果、短絡電流15、2mA/cm、開放電圧710mV、変換効率6.2%であった。
[実施例2]
多孔質層形成用塗工液として一次粒径20nmのTiO微粒子(日本アエロジル社製P25)37.5重量%、アセチルアセトン1.25重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量3000)1.88重量%となるように水およびイソプロピルアルコールに混合した。その後、1.2mmφのジルコニアビーズを添加しペイントシェーカーで1時間分散し、スラリーを得た。
次に、透明導電膜としてFTO(フッ素ドープ酸化錫)が成膜されたガラス基板上にドクターブレードにて前記スラリーを塗布後、室温下にて20分放置の後100℃、30分間乾燥させた。その後、電気マッフル炉(デンケン社製P90)を用い500℃、30分間、大気圧雰囲気下にて焼成した。これにより多孔質層を形成した。このとき形成された多孔質層の表面粗さRaを触針式表面形状測定器(日本真空技術社製 DEKTAK3)にて測定したところ、650nmであった。
次に、実施例1と同様の方法により色素増感型太陽電池を作製した。作製した色素増感型太陽電池の評価は、AM1.5、擬似太陽光(入射光強度100mW/cm)を光源として、色素吸着させた酸化物半導体層を有する基材側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)にて電圧印加により電流電圧特性を測定した。その結果、短絡電流16、7mA/cm、開放電圧708mV、変換効率6.5%であった。
[比較例]
ジルコニアビーズ0.1mmφとし、分散時間を3時間としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、色素増感型太陽電池を作製した。なお、多孔質層の表面粗さRaは80nmであった。
作製した色素増感型太陽電池の評価は、AM1.5、擬似太陽光(入射光強度100mW/cm)を光源として、色素吸着させた酸化物半導体層を有する基材側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)にて電圧印加により電流電圧特性を測定した。その結果、短絡電流13、4mA/cm、開放電圧722mV、変換効率5.4%であった。
本発明の酸化物半導体電極用積層体の一例を示す概略断面図である。 本発明の酸化物半導体電極の一例を示す概略断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。 本発明の色素増感型太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。 一般的な色素増感型太陽電池の例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 耐熱基板
2 … 多孔質層
3 … 第1電極層
10 … 酸化物半導体電極用積層体
20,20’ … 酸化物半導体電極
21 … 基材
22 … 接着層
30,30’ … 色素増感型太陽電池
31 … 電解質層
40,40’ … 対電極基材
41 … 対向基材
42 … 第2電極層
50 … 色素増感型太陽電池モジュール
51 … 配線
52 … シール材

Claims (7)

  1. 耐熱基板と、前記耐熱基板上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、前記多孔質層上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、を有する酸化物半導体電極用積層体であって、
    前記多孔質層の前記第1電極層側の表面に、可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていること特徴とする、酸化物半導体電極用積層体。
  2. 前記第1電極層の前記多孔質層とは反対側の表面に、可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の酸化物半導体電極用積層体。
  3. 基材と、前記基材上に形成され、金属酸化物からなる第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、を有する酸化物半導体電極であって、
    前記多孔質層の前記第1電極層側の表面に、可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とする、酸化物半導体電極。
  4. 前記第1電極層の前記多孔質層とは反対側の表面に、可視光を散乱できる程度の凹凸形状が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の酸化物半導体電極。
  5. 前記基材と、前記第1電極層との間に接着性樹脂を含む接着層が形成されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の酸化物半導体電極。
  6. 請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の酸化物半導体電極、および、対向基材と、前記対向基材上に形成され、金属酸化物からなる第2電極層とを有する対電極基材が、前記多孔質層と前記第2電極層とが対向するように配置されており、前記酸化物半導体電極と前記対電極基材との間に酸化還元対を含む電解質層が形成された構成を有することを特徴とする、色素増感型太陽電池。
  7. 請求項6に記載の色素増感型太陽電池が複数個連結されてなる色素増感型太陽電池モジュール。
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