JP5007492B2 - 中間転写媒体の製造方法、酸化物半導体電極の製造方法、および色素増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
このような色素増感型太陽電池には、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層を有する酸化物半導体電極が用いられている。
しかしながら、特許文献1の方法では、加熱焼成後の酸化物半導体層が耐熱性の基板上に強固に密着してしまうため、被転写基板上に、精度良く酸化物半体層を転写することが困難である問題があった。
上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する積層基材形成工程と、
上記積層基材形成工程により形成される積層基材から上記耐熱基板を剥離する耐熱基板剥離工程と、により
第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成することを特徴とする中間転写媒体の製造方法を提供する。
このような方法によれば、後述する耐熱基板剥離工程において耐熱基板を剥離することが容易になる結果、第1電極層の破損を防止することができるため、電気伝導性に優れた第1電極層を有する中間転写媒体を製造することが容易になるからである。
このような方法によれば、耐熱基板を容易に剥離することができ、好適な密着強度を有する剥離層を形成することができるからである。
このような方法によれば、本発明の中間転写媒体の製造方法を生産性に優れたものにできるからである。
上記中間転写媒体の第1基材を剥離する第1基材剥離工程と、を少なくとも有し、
第2基材上に、少なくとも第1電極層と、酸化物半導体層と、がこの順で積層された酸化物半導体電極を形成することを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法を提供する。
上記酸化物半導体層、または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して、上記酸化物半導体層の多孔質体細孔表面に、色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に、上記第2電極層と上記酸化物半導体層との間、および上記酸化物半導体層の 多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことにより、色素増感型太陽電池を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
また、本発明の製造方法によれば、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極を用いることにより、第1電極層に取り出し電極を形成することが用意であるため、高生産性でエネルギー変換効率に優れた色素増感型太陽電池を製造することができる。
本発明によれば、第1電極層上に酸化物半導体層が形成されていることにより、例えば、第1電極層の平面視上の面積を、酸化物半導体層の平面視上の面積よりも大きくすることにより、電気伝導性に優れ、取り出し電極の形成が容易である中間転写媒体を得ることができる。
まず、本発明の中間転写媒体の製造方法について説明する。本発明の中間転写媒体の製造方法は、耐熱基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程、および上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程により、耐熱基板上に第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成する中間転写媒体用基板形成工程と、上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する積層基材形成工程と、上記積層基材形成工程により形成される積層基材から上記耐熱基板を剥離する耐熱基板剥離工程と、により、第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成することを特徴とするものである。
上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板10aの酸化物半導体層3上に、第1基材5と、上記第1基材5と上記酸化物半導体層3との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層4とを設け、耐熱基板1上に、第1電極層2と、酸化物半導体層3と、剥離密着層4と、第1基材5とがこの順で積層された積層基材10bを形成する積層基材形成工程(図1(c))と、
上記積層基材形成工程により形成される積層基材10bから上記耐熱基板1を剥離する耐熱基板剥離工程(図1(d))と、により、第1基材5上に、少なくとも剥離密着層4と、酸化物半導体層3と、第1電極層2とがこの順で積層された中間転写媒体10を形成するものである。
まず、本発明における中間転写媒体用基板形成工程について説明する。本発明における中間転写媒体用基板形成工程は、耐熱基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、により、耐熱基板基板上に第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成するものである。
以下、本工程における中間転写媒体用基板形成工程の各工程について説明する。
本工程における第1電極層形成工程は、耐熱基板上に第1電極層を形成する工程である。
本工程で用いられる耐熱基板としては、後述する焼成処理時の加熱温度に対する耐熱性を有するものであれば特に限定されない。このような耐熱基板としては、ガラス、セラミックス、または金属板等からなる耐熱基板を挙げることができる。中でも本工程においては、耐熱基板として可撓性のある金属板を用いることが好ましい。このような耐熱基板を用いることにより、後述する焼成処理を十分に高温で行うことができるので、酸化物半導体層を形成する金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高くすることができるからである。また、上記耐熱基板は、リユースすることが好ましい。
本工程において、上記耐熱基板上に第1電極層を設ける方法としては、導電性に優れた第1電極層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法およびプラズマCVD、熱CVD、大気圧CVD等のCVD法等の乾式成膜法、およびスプレー熱分解法等を挙げることができる。中でも、本発明においては、スプレー熱分解法が好ましい。このような方法によれば、より良好な緻密性を有する第1電極層を形成することができるからである。
本工程におけるスプレー熱分解法について説明する。本工程におけるスプレー熱分解法は、具体的には、上記耐熱基板を第1電極層形成温度以上の温度に加熱し、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体(以下、このような金属塩または金属錯体を単に、金属源と称する場合がある。)が溶解した第1電極層形成用塗工液と接触させることにより、上記耐熱基板上に第1電極層を形成する方法である。
本工程において、このような「第1電極層形成温度」は、以下の方法により測定することができる。すなわち、実際に所望の金属源が溶解した第1電極層形成用塗工液を用意し、上記耐熱基板の加熱温度を変化させて接触させることにより、第1電極層を構成する金属酸化物膜を形成することができる最低の加熱温度を測定する。この最低の加熱温度を本発明における「第1電極層形成温度」とすることができる。この際、金属酸化物膜が形成したか否かは、通常、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)より得られた結果から判断し、結晶性のないアモルファス膜の場合は、光電子分光分析装置(V.G.Scientific社製、ESCALAB 200i−XL)より得られた結果から判断するものとする。
上記スプレー熱分解法に用いられる第1電極層形成用塗工液について説明する。上記スプレー熱分解法に用いられる第1電極層形成用塗工液は、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体が溶媒に溶解したものである。また、上記スプレー熱分解法においては、上記第1電極層形成用塗工液が、酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有させることにより、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができるからである。
上記スプレー熱分解法に用いられる金属源は、第1電極層を構成する金属元素を有するものであって、良好な緻密性を有する第1電極層を形成することができるものであれば、金属塩であっても良く、金属錯体であっても良い。
また、上記金属酸化物がZnOの場合、金属源としては、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、サリチル酸亜鉛三水和物、ステアリン酸亜鉛等を用いることができる。
また、上記金属酸化物がFTOの場合、金属源としては、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができ、フッ素ドーピング剤としてはフッ化アンモニウム等を用いることができる。
また、上記金属酸化物がATOの場合、金属源としては、アンチモン(III)ブトキシド、アンチモン(III)エトキシド、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。
また、上記金属酸化物がSnO2(TO)の場合、金属源としては、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。
上記スプレー熱分解法に用いられる酸化剤は、上述した金属源が溶解してなる金属イオン等の酸化を促進する働きを有するものである。金属イオン等の価数を変化させることにより、第1電極層(金属酸化物膜)の発生しやすい環境とすることができ、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができる。
上記スプレー熱分解法に用いられる還元剤は、分解反応により電子を放出し、水の電気分解等によって水酸化物イオンを発生させ、上記第1電極層形成用塗工液のpHを上げる働きを有するものである。上記第1電極層形成用塗工液のpHが上昇することで、第1電極層(金属酸化物膜)の発生しやすい環境とすることができ、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができる。
上記スプレー熱分解法に用いられる第1電極層形成用塗工液は、添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、補助イオン源や界面活性剤等が挙げられる。上記補助イオン源は、電子と反応し水酸化物イオンを発生するものであり、第1電極層形成用塗工液のpHを上昇させ、第1電極層の形成しやすい環境とすることができる。また、上記補助イオン源の使用量は、使用する金属塩や還元剤に合わせて適宜選択して使用することが好ましい。このような補助イオン源としては、具体的には、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次臭素酸イオン、硝酸イオン、および亜硝酸イオンからなる群から選択されるイオン種等を挙げることができる。
上記スプレー熱分解法に用いられる溶媒としては、上述した金属源を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、金属源が金属塩の場合は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒等を挙げることができ、金属源が金属錯体の場合は、上述した低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
次に、上記スプレー熱分解法における第1電極層形成用塗工液と耐熱基板との接触方法について説明する。上記スプレー熱分解法における接触方法は、上述した第1電極層形成用塗工液と、上述した耐熱基板とを接触させる方法であれば、特に限定されるものではないが、上記第1電極層形成用塗工液と上記耐熱基板とが接触する際に、加熱された耐熱基板の温度を低下させない方法であることが好ましい。耐熱基板の温度が低下すると所望の第1電極層を得ることができない可能性があるからである。
本工程により形成される第1電極層の膜厚としては、優れた導電性を発揮できる膜厚であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、5nm〜2000nmの範囲内、その中でも、10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
次に、本工程における酸化物半導体層形成工程について説明する。本工程における酸化物半導体層形成工程は、上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布することにより、酸化物半導体層形成用層を形成した後、上記酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する工程である。
以下、このような酸化物半導体層形成工程について詳細に説明する。
本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液は、少なくとも、金属酸化物半導体微粒子および樹脂を含有するものである。
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子は、本工程により形成される酸化物半導体層において電荷を伝導する機能を有するものである。
本工程に用いられる樹脂は、後述する焼成工程により多孔質体の空孔を付与するために用いられるものである。また、樹脂の使用量を変化させることにより、酸化物半導体層形成用塗工液の粘度を調整することができる。
本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液は、溶媒を含有しない塗工液であっても良く、溶媒を含有する塗工液であっても良い。酸化物半導体層形成用塗工液に溶媒を用いた場合に用いることができる溶媒としては、例えば、水またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール等の各種溶剤を挙げることができる。中でも、水ないしアルコール系の溶媒であることが好ましい。
また、本工程においては、上記酸化物半導体層形成用塗工液の塗工適性を向上させるために、各種添加剤を用いてもよい。例えば、添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤等を用いることができる。上記pH調製剤としては、例えば、硝酸、塩酸、酢酸、ジメチルホルムアミド、アンモニア等を挙げることができる。また、分散助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のポリマー、界面活性剤、酸、キレート剤等を挙げることができる。
本工程においては、特に、分散助剤としてポリエチレングリコールを使用することが好ましい。ポリエチレングリコールの分子量を変えることで、分散液の粘度が調節可能となり、剥がれにくい酸化物半導体層の形成、酸化物半導体層の空孔率の調整等を行うことができるからである。
本工程において、上記酸化物半導体層形成用塗工液を上記第1電極層上に塗布することにより酸化物半導体層形成用層を形成する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定はされないが、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。このような塗布法を用い、単数回または複数回、塗布および固化を繰り返すことにより酸化物半導体層形成用層を所望の膜厚に調整することができる。
上記酸化物半導体層形成用層の膜厚としては、後述する焼成工程において多孔質体として形成された後に、所望の膜厚となるように調整して決定することが好ましい。具体的には、1μm〜65μmの範囲内、中でも、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
次いで、本工程における焼成工程について説明する。本発明における焼成工程は、上記酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、酸化物半導体層を形成する工程である。本工程により、空隙を有する多孔質体として形成された酸化物半導体層を形成することができる。
本工程は、上記第1電極層形成工程前に、上記耐熱基板上に耐熱基板と第1電極層との剥離性を向上させる剥離層を形成する剥離層形成工程を有することにより、耐熱基板上に剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成してもよい。
このような剥離層を形成することにより、後述する耐熱基板剥離工程において耐熱基板基板を剥離することが容易になる結果、第1電極層の破損を防止することができるため、電気伝導性に優れた第1電極層を有する中間転写媒体を製造することが容易になるからである。
以下、このような剥離層形成工程について説明する。
また、例えば、上記第1電極層を湿式塗工により形成する場合に、第1電極層に焼成処理を施す際、剥離層に金属酸化物微粒子が含有されていれば、第1電極層と剥離層との熱膨脹係数の差を小さくすることができるので、焼成後に剥離層および第1電極層の間にクラックが発生することを防止できるからである。
本工程において、上記多孔質体である剥離層形成する際に用いられる剥離層形成用塗工液は、少なくとも金属酸化物と、樹脂を含むものである。
上記剥離層形成用塗工液に用いられる金属酸化物は、後述する焼成工程における焼成温度等に応じて任意に決定すればよいが、上述した第1電極層の構成する金属酸化物と同一の金属酸化物を用いることが好ましい。第1電極層を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物を用いることにより、例えば、第1電極層を湿式塗工により塗布し、焼成する際に、第1電極層と剥離層との熱膨張係数の差を小さくできるので、第1電極層および剥離層間にクラックが生じる可能性をより少なくすることができるからである。
上記剥離層形成用塗工液に用いられる樹脂の種類、および剥離層形成用塗工液中に含まれる樹脂の含有量は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載した、酸化物半導体層形成塗工液に用いられる樹脂と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記剥離層形成用塗工液に用いられる溶媒は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載した、酸化物半導体層形成用塗工液に用いられる溶媒と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記剥離層形成用塗工液には、上記金属酸化物および樹脂以外のその他の添加剤を含んでも良い。
耐熱基板上へ上記剥離層形成用塗工液を塗布する方法は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載した、酸化物半導体層形成用塗工液の塗布方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程における焼成工程は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程により形成される剥離層の厚みは、上記耐熱基板との密着性を所望値にできる範囲内であれば特に限定されないが、通常0.05μm〜5μmの範囲内が好ましく、特に0.1μm〜2μmの範囲内が好ましく、中でも0.1μm〜1μmの範囲内が好ましい。
次に、本工程における積層基材形成工程について説明する。本工程における積層基材形成工程は、上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する工程である。
なかでも本工程においては、剥離密着層付基材形成工程により、第1基材上に剥離密着層を備える剥離密着層付基材を形成した後に、当該剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより、上記酸化物半導体層上に上記第1基材および上記剥離密着層を設ける方法が好ましい。このような方法によれば、本発明の中間転写媒体の製造方法を生産性に優れたものにできるからである。以下、このような積層基材形成工程について説明する。
本工程における剥離密着層付基材形成工程は、第1基材上に剥離密着層を形成する工程である。本工程により形成する剥離密着層は、上記酸化物半導体層と上記第1基材との剥離性を向上させる剥離機能、および上記酸化物半導体層と上記第1基材との密着性を保つ密着機能を有するものである。より具体的には、後述する耐熱基板剥離工程において耐熱基板を剥離する際に、上記第1基材と上記酸化物半導体層とが剥離しない程度の密着性を有し、かつ、後述する第1基材剥離工程において第1基材を剥離する際に、剥離密着層以外の層に凝集破壊を生じたり、剥離密着層と第1基材との界面および剥離密着層と酸化物半導体層との界面以外の界面において剥離を生じない程度の剥離性を有するものである。このような剥離密着層を形成することにより、本発明により得られる中間転写媒体を用いて酸化物半導体電極を製造する際に、酸化物半導体電極を構成する第2基材の所定の位置に精度良く第1電極層および酸化物半導層を形成することができる。また、本工程で設けた第1基材を良好に剥離することができるので、本発明により製造される中間転写媒体から酸化物半導体電極を製造する際の歩留まりの向上に効果を有する。
本工程に用いられる第1基材は、本発明により製造される中間転写媒体を一定の形状に保持することを可能とする支持材として機能するものである。したがって、このような第1基材としては、上記支持材としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、耐熱性、耐候性、水蒸気、その他のガスバリア性に優れたものであることが好ましい。中でも本工程においては、酸素透過率が温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m2/day・atm以下、水蒸気透過率が温度37.8℃、湿度100%の条件下において1g/m2/day以下のガスバリア性を有する基材を用いることが好ましい。本工程においては、このようなガスバリア性を達成するために、任意の基材上にガスバリア層を設けたものを用いてもよい。
上記第1基材上に剥離密着層を形成する方法としては、上記第1基材上に厚みが均一な剥離密着層を形成できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、剥離密着層を形成する剥離密着層形成材料からなるフイルム基材を上記第1基材に貼合する方法や、上記剥離密着層形成材料を含む剥離密着層形成用塗工液を第1基材上に塗布する方法を挙げることができる。
本発明においては、剥離密着層形成材料からなるフイルム基材を上記第1基材に貼合する方法を好適に用いることができる。このような方法によれば剥離密着層形成工程を簡略化できるからである。
また、密着機能層を形成する材料としては、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性を向上させるものであれば特に限定はされないが、具体的には、ヒートシール剤、粘着剤、接着剤等を挙げることができる。
上記積層基材は、当該剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより形成される。このように剥離密着層と酸化物半導体層とを密着する方法としては、特に限定されず一般的な方法を用いることができる。例えば、上記剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層とを対向配置した後、加熱することにより密着する加熱密着法を挙げることができる。このような加熱密着法を実施する場合の加熱温度は、上記酸化物半導体層および第1電極層等の材料により異なるものであるが、これらの部材の形成に用いられる材料のガラス転移温度よりも低い温度にすることが好ましい。熱劣化による機能低下といった問題を回避することができるからである。
次いで、本工程における耐熱基板剥離工程について説明する。本工程における耐熱基板剥離工程は、上記積層基材形成工程により形成される積層基材から上記耐熱基板を剥離することにより、第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成する工程である。
また、耐熱基板と第1電極層との間に剥離層を形成した場合は、剥離層と耐熱基板との界面で剥離しても良く、第1電極層と剥離層との界面で剥離しても良く、また、剥離層の凝集破壊を伴って剥離しても良い。
本発明により、第1基材上に、剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とが、この順に積層された中間転写媒体を得ることができる。また、上記耐熱基板剥離工程において、耐熱基板を、剥離層と耐熱基板との界面で剥離した場合、および剥離層の凝集破壊を伴って剥離した場合は、第1基材上に、剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層と、剥離層がこの順で積層された中間転写媒体が得られる。
次に、本発明の酸化物半導体電極の製造方法について説明する。本発明の酸化物半導体電極の製造方法は、上記中間転写媒体の製造方法により形成された中間転写媒体の第1電極層上に、第2基材を設ける第2基材形成工程と、上記中間転写媒体の第1基材を剥離する第1基材剥離工程と、を少なくとも有し、第2基材上に、少なくとも第1電極層と、酸化物半導体層と、がこの順で積層された酸化物半導体電極を形成することを特徴とするものである。
まず本工程における第2基材形成工程について説明する。本工程における第2基材形成工程は、上記中間転写媒体の製造方法により形成された、中間転写媒体の第1電極層上に第2基材を設ける工程である。
本工程に用いられる第2基材は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の「2.積層基材形成工程」の項に記載した第1基材に用いられるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程においては上記の熱可塑性樹脂の中でも、シラン変性樹脂を用いることが好ましい。シラン変性樹脂を用いることにより、接着層が示す接着力をより強固にすることができるからである。
また、本工程において上記共重合体は、シラノール触媒による架橋をしていてもしていなくてもどちらでもよい。
本工程において、上記第1電極層上に第2基材を設ける方法は特に限定されるものではないが、第2基材上に上記接着層を形成し、加熱密着法により接着層を介して第1電極層上に第2基材を設ける方法が好ましい。このような加熱密着法については、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の「2.積層基材形成工程」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本発明における第1基材剥離工程について説明する。本発明における第1基材形成工程は、上記中間転写媒体の第1基材を剥離する工程である。
本発明より、第2基材上に、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体電極を得ることができる。また、第2基材上に、上記接着層を形成した場合は、第2基材上に、接着層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体層電極を得ることができる。さらに、上記中間転写媒体の第1電極層上に剥離層を有する場合は、第2基材上に、剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体電極、または第2基材上に、接着層と、剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体層電極を得ることができる
次に、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について説明する。本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極、および、対向基材上に第2電極層を備えた対電極基材を用い、上記酸化物半導体電極の酸化物半導体層と、上記対電極基材の第2電極層とを対向させて色素増感型太陽電池用基材対を形成する色素増感型太陽電池用基材対形成工程を有し、上記酸化物半導体電極、または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して、上記酸化物半導体層の多孔質体細孔表面に、色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に、上記第2電極層と上記酸化物半導体層との間、および上記酸化物半導体層の 多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことにより、色素増感型太陽電池を形成することを特徴とするものである。
次に、図3(b)に示すように、電解質層形成用組成物を、酸化物半導体層3´および第2電極層31間に形成された間隙に注入する。これにより、図3(c)に示すように、酸化物半導体層3´および第2電極層31間に、電解質層41を形成することができる。また、上記電解質層が特に液体状またはゲル状である場合には、溶媒の揮発、電解質層の流失等を防止するため、さらに、図3(d)に示すように、有機ポリマー51等で封止することにより色素増感型太陽電池を製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極を用いることにより、第1電極層に取り出し電極を形成することが用意であるため、高生産性でエネルギー変換効率に優れた色素増感型太陽電池を製造することができる。
まず、本発明における色素増感型太陽電池用基材対形成工程について説明する。本発明における色素増感型太陽電池用基材対形成工程は、上述した「B.酸化物半導体電極の製造方法」によって得られる酸化物半導体電極と、対向基材上に第2電極層が形成された対電極基材とを有し、上記第2電極層と上記酸化物半導体電極の酸化物半導体層とが対向して配置された色素増感型太陽電池用基材対を形成する工程である。
上記対電極基材形成工程に用いられる対向基材としては、透明なものであっても不透明なものであっても特に限定されるものではないが、例えば、上記対向基材が、色素増感型太陽電池において受光面となる場合には、透明性に優れたものであることが好ましい。さらに、本工程においては対抗基材として、耐熱性、耐候性、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた基材を用いることが好ましい。このような対向基材としては、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の、「2.積層基材形成工程」の項に記載した第1基材として用いられる基材と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法について説明する。色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法としては、エネルギー変換効率が良好な色素増感型太陽電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、後述する充填処理の電解質層形成工程に対する本工程を行う時期によって以下のように大別することができる。すなわち、本工程が上記電解質層形成工程より先に行われる場合および本工程が上記電解質層形成工程より後に行われる場合である。
次に、本発明における充填処理について説明する。本発明における充填処理は、色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に行われる電解質層形成工程をいうものである。本発明においては、上記充填処理を、酸化物半導体電極または色素増感型太陽電池用基材対に対して行うことにより、色素増感型太陽電池を製造する。以下、本発明における充填処理である、色素増感剤担持工程および電解質層形成工程について説明する。
まず、上記充填処理における色素増感剤担持工程について説明する。上記色素増感剤担持工程は、上記酸化物半導体電極または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して行われ、これらの部材の酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持する工程である。
本工程に用いられる色素増感剤は、光照射により電荷が生じるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、有機色素または金属錯体色素を使用することができる。例えば有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系の色素が挙げられる。中でも、クマリン系であることが好ましい。
本工程において、上記酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、色素増感剤の溶液に上記酸化物半導体層を浸漬した後に乾燥させる方法、あるいは、酸化物半導体電極に対しては、色素増感剤が溶解した溶液を塗布し乾燥させる方法等を挙げることができる。
次に、上記充填処理における電解質層形成工程について説明する。上記電解質層形成工程は、上記第2電極層と酸化物半導体層との間、および上記酸化物半導体層の多孔質体細孔内部に、光照射によって生じた電荷を伝達する電解質層を形成する工程である。
本工程により得られる電解質層は、色素増感型太陽電池の酸化物半導体層と第2電極層との間に位置し、上記酸化物半導体層に担持された色素増感剤と上記第2電極層との間の電荷輸送を行うものである。上記電解質層は、通常、酸化還元対を含有するものであるが、このような酸化還元対は、一般的に電解質層において用いられているものを用いることができる。具体的には、ヨウ素およびヨウ化物の組合せ、臭素および臭化物の組合せであることが好ましい。例えば、ヨウ素およびヨウ化物の組合せとしては、LiI、NaI、KI、CaI2等の金属ヨウ化物と、I2との組合せを挙げることができる。さらに、臭素および臭化物の組み合わせとしては、LiBr、NaBr、KBr、CaBr2等の金属臭化物と、Br2との組合せを挙げることができる。
また、電解質層を液体状とした場合には、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、炭酸プロピレンなどを溶媒とし、酸化還元対を含んだものや、同じくイミダゾリウム塩をカチオンとするイオン性液体を溶媒とすることができる。
さらに、電解質層を固体状とした場合には、酸化還元対を含まずにそれ自身が正孔輸送剤として機能するものであればよく、例えばCuI、ポリピロール、ポリチオフェンなどを含む正孔輸送剤であってもよい。
次に、電解質層を形成する方法について説明する。上記電解質層を形成する方法としては、エネルギー変換効率が良好な色素増感型太陽電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、上述した対電極基材形成工程に対する本工程を行う時期によって以下のように大別することができる。すなわち、本工程が上記対電極基材形成工程より先に行われる場合および本工程が上記対電極基材形成工程より後に行われる場合である。
一方、本工程が上記対電極基材形成工程より後に行われる場合は、所定の間隙を有する色素増感型太陽電池用基材対が既に形成されているため、この間隙に電解質層を形成する。この場合において、電解質層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、上記電解質層の構成成分を含有する電解質層形成用組成物を酸化物半導体層および第2電極層間に注入することにより、電解質層を形成する注入法が好ましい。
以下、このような塗布法および注入法について説明する。
塗布法は、電解質層の構成成分を含有する電解質層形成用塗工液を上記酸化物半導体電極が有する酸化物半導体層上に塗布し、乾燥させることにより電解質層を形成する方法である。このような形成方法により、主に固体状の電解質層を形成することができる。
次に、上記酸化物半導体電極が有する酸化物半導体層と、上記対電極基材が有する第2電極層とが対向するように所定の間隙を有して配置させ、その間隙に、電解質層形成用組成物を注入することにより、電解質層を形成する注入法について説明する。
次に、上記充填処理を行う時期について説明する。上記充填処理は、上記色素増感剤担持工程および上記電解質層形成工程を有し、上記2つの工程を、酸化物半導体電極または色素増感型太陽電池用基材対に対して行うことにより色素増感型太陽電池を製造する。
酸化物半導体電極に対して、色素増感剤担持工程を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(i)および(ii)の方法を挙げることができる。
色素増感型太陽電池用基材対に対して、色素増感剤担持工程を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(iii)の方法を挙げることができる。
次に、本発明の中間転写媒体転写について説明する。本発明の中間転写媒体は、第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層と、がこの順で積層された構成を有することを特徴とするものである。
上記保護層は、本発明の中間転写媒体の耐久性および安定性の向上を目的として、上記第1電極層上に形成するものである。このような、保護層が設けられていることにより、本発明の中間転写媒体を酸素および水等の影響を受けにくくすることができる。
上記剥離層は、本発明の中間転写媒体の製造方法を簡略化し、製造効率を向上することを目的として、上記第1電極層上に形成するものである。このような剥離層は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(1)剥離層を備える耐熱基板の作製
耐熱基板として厚さ1.1mmの無アルカリガラスを用い、耐熱基板上に、平均粒子径30nmのITO微粒子を含むITO分散液X−101(住友金属鉱山株式会社製)をワイヤーバーにて、厚さ0.7μmとなるように塗布した。
第1電極層形成用塗工液としてエタノールに塩化インジウム0.1mol/l、塩化スズ0.005mol/lを溶解した塗工液を用意した。その後、上記剥離層を形成した基板上に、剥離層を上向きにし、ホットプレート(400℃)上へ設置し、この加熱された剥離層上に、上述した第一電極層形成用塗工液を超音波噴霧器により噴霧し、第一電極層であるITO膜を700nmを形成した。
酸化物半導体層形成用塗工液として、一次粒径20nmのTiO2微粒子(日本アエロジル社製P25)37.5重量%、アセチルアセトン1.25重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量3000)1.88重量%となるようにホモジナイザーを用いて水およびイソプロピルアルコールに溶解および分散させてスラリーを作製した。上記剥離層および第1電極層が形成された耐熱基板上にドクターブレードにて上記酸化物半導体層形成用塗工液を塗布後、室温下にて20分放置の後100℃、30分間乾燥させた。その後、電気マッフル炉(デンケン社製P90)を用い500℃、30分間、大気圧雰囲気下にて焼成した。これにより、中間転写媒体用基板を得た。
予め中間転写媒体の第1基材として厚さ100μmのPETフィルム、および剥離密着層としてのシリコーンゴム珪樹(三菱樹脂社製)を積層したものを用意した。
その後、上記第1基材上のシリコーンゴム側と上記中間転写媒体用基板の多孔質酸化物半導体層側をオフィスラミネータ機を用いて貼り合わせた。
貼り合わせ後、無アルカリガラスを剥離することにより、中間転写媒体を得た。
第2基材として、厚さ125μmのPETフィルムのコロナ処理面に2液硬化型エポキシ接着剤を厚さ4μm塗布して、接着層を形成した後、当該接着層と上記中間転写媒体の剥離層とを貼り合せた。室温にて24時間硬化させた後、第1基材としての上記厚さ100μmのPETフィルムおよびシリコーンゴムを剥離することにより色素増感太陽電池用基材を得た。
得られた色素増感太陽電池用基材上の酸化物半導体層をトリミングすることにより0.8mm□の酸化物半導体電極を形成した。当該酸化物半導体電極を、あらかじめ用意した吸着用色素溶液(ルテニウム錯体(小島化学株式会社RuL2(NCS)2)を無水エタノール溶液に濃度3×10−4mol/lとなるように溶解)に浸漬すること多孔質酸化物半導体層に増感色素が担持された色素増感太陽電池用基材を得た。
このようにして得られた色素増感太陽電池用基材を用いて以下のように色素増感型太陽電池を作製した。電解質層を形成する電解質層形成用塗工液を以下のように調整した。メトキシアセトニトリルを溶媒とし、濃度0.1mol/lのヨウ化リチウム、濃度0.05mol/lのヨウ素、濃度0.3mol/lのジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、濃度0.5mol/lのターシャリーブチルピリジンを溶解させたものを電解液とした。
上記色素増感型太陽電池用電極を、対向基材を厚さ20μmのサーリンフィルムによって貼り合せ、その間に電解質層形成用塗工液を含浸させたものを素子とした。対向基材としては、膜厚150nmを有し、表面抵抗7Ω/□であるITOスパッタ層を有する対向フィルム基材上に膜厚50nmの白金膜をスパッタリングにて付与したものを用いた。
作製した素子の評価は、AM1.5、擬似太陽光(入射光強度100mW/cm2)を光源として、色素吸着させた酸化物半導体層を有する基材側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)にて電圧印加により電流電圧特性を測定した。その結果、短絡電流9.4mA/cm2、開放電圧650mV、変換効率3.4%であった。
2 … 第1電極層
3 … 酸化物半導体層
4 … 剥離密着層
5 … 第1基材
10 … 中間転写媒体
10a … 中間転写媒体用基板
10b … 積層基材
20 … 酸化物半導体電極
21 … 第2基材
30 … 対電極基材
31 … 第2電極層
32 … 対向基材
41 … 電解質層
51 … 有機ポリマー
Claims (10)
- 耐熱基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程、および前記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程により、耐熱基板上に第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成する中間転写媒体用基板形成工程と、
前記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、前記第1基材と前記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する積層基材形成工程と、
前記積層基材形成工程により形成される積層基材から前記耐熱基板を剥離する耐熱基板剥離工程と、により
第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成することを特徴とする中間転写媒体の製造方法。 - 前記中間転写媒体用基板形成工程が、前記耐熱基板上に耐熱基板と前記第1電極層との
剥離性を向上させる剥離層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離層上に、第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、により、
耐熱基板上に剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成することを特徴とする、請求項1に記載の中間転写媒体の製造方法。 - 前記剥離層形成工程が、金属酸化物および樹脂を含有する剥離層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより、多孔質体の剥離層を形成することを特徴とする、請求項2に記載の中間転写媒体の製造方法。
- 前記積層基材形成工程が、前記第1基材上に前記剥離密着層を形成する剥離密着層付基板形成工程により剥離密着層付基材を形成した後、前記剥離密着層付基材の剥離密着層と、前記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより、前記酸化物半導体層上に前記第1基材および前記剥離密着層を設けることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法。
- 前記第1基材が樹脂製フイルム基材であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法。
- 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法により形成された中間転写媒体の第1電極層上に、第2基材を設ける第2基材形成工程と、
前記中間転写媒体の第1基材を剥離する第1基材剥離工程と、を少なくとも有し、
第2基材上に、少なくとも第1電極層と、酸化物半導体層と、がこの順で積層された酸化物半導体電極を形成することを特徴とする、酸化物半導体電極の製造方法。 - 前記第2基材形成工程が、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法により形成された、中間転写媒体の第1電極層上に接着層を介して、第2基材を設けることを特徴とする請求項6に記載の酸化物半導体電極の製造方法。
- 前記第2基材が、樹脂製フイルム基材であることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の酸化物半導体電極の製造方法。
- 請求項6から請求項8までのいずれかの請求項に記載の酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極、および、対向基材上に第2電極層を備えた対電極基材を用い、前記酸化物半導体電極の酸化物半導体層と、前記対電極基材の第2電極層とを対向させて色素増感型太陽電池用基材対を形成する色素増感型太陽電池用基材対形成工程を有し、
前記酸化物半導体電極、または前記色素増感型太陽電池用基材対に対して、前記酸化物半導体層の多孔質体細孔表面に、色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および前記色素増感剤担持工程の後に、前記第2電極層と前記酸化物半導体層との間、および前記酸化物半導体層の 多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことにより、色素増感型太陽電池を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。 - 前記対向基材が、樹脂製フイルム基材であることを特徴とする請求項9に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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