JP5007492B2 - 中間転写媒体の製造方法、酸化物半導体電極の製造方法、および色素増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents

中間転写媒体の製造方法、酸化物半導体電極の製造方法、および色素増感型太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、色素増感型太陽電池等に用いられる酸化物半導体電極の製造方法、および色素増感型太陽電池の製造方法、およびこれらの製造方法に用いられる中間転写媒体の製造方法に関するものである。
二酸化炭素が原因とされる地球温暖化が世界的に問題となっている近年、環境にやさしく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池が注目され、積極的な研究開発が進められている。このような太陽電池として、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池などが既に実用化されているが、環境負荷が小さく、かつ、低コスト化の可能性のある太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目され研究開発が進められている。
このような色素増感型太陽電池には、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層を有する酸化物半導体電極が用いられている。
一般的な色素増感型太陽電池は、基材上に、第1電極層および色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む酸化物半導体層がこの順で積層した酸化物半導体電極の酸化物半導体層上に、酸化還元対を有する電解質層と、第2電極層と、対向基材がこの順に積層された構成を有し、酸化物半導体微粒子表面に吸着した増感色素が、基材1側から太陽光を受光することによって励起され、励起された電子が第1電極層へ伝導し、外部回路を通じて第2電極層へ伝導される。その後、酸化還元対を介して増感色素の基底準位に電子が戻ることよって発電するものである。このような色素増感型太陽電池としては、上記多孔質層を多孔質二酸化チタンから構成し、色素増感剤の含有量を増加させたグレッチェルセルが代表的であり、発電効率の高い色素増感型太陽電池として広く研究の対象となっている。
上記グレッチェルセルの特徴である多孔質の多孔質層を形成するには、一般的に多孔質層形成用組成物に対して400℃〜600℃での焼成処理を行うことが必要である。したがって、上記基材として、耐熱性が低い樹脂製フィルム基材を用いた場合は、フィルムの耐熱温度以下で焼成しなければならず、上記酸化物半導体層における金属酸化物半導体微粒子間の結合力が不充分となるため、光励起により生じた電子における増感色素から酸化物半導体層、および第1電極層への伝達経路が十分に確保できない問題があった。また、樹脂製フィルム基材と酸化物半導体層との密着性も充分でなくフィルムの可撓性に追従できずに膜の剥離や亀裂が生じるといった不都合があった。
特許文献1には、耐熱性の基板上に酸化物半導体及び/又はその前駆体を含む層を形成させ、これを加熱焼成して得られる酸化物半導体膜を、被転写基板上に転写することを特徴とする半導体電極の製造方法が開示されている。このような方法によれば、酸化物半導体層を形成する基材として耐熱性の基板を用いるため、酸化物半導体層に加熱焼成を施す際に高温域での加熱焼成が可能となり、金属酸化物半導体微粒子間の充分な結合性を有する酸化物半導体層の形成が可能である。
しかしながら、特許文献1の方法では、加熱焼成後の酸化物半導体層が耐熱性の基板上に強固に密着してしまうため、被転写基板上に、精度良く酸化物半体層を転写することが困難である問題があった。
また、この特許文献1の製造方法では、多孔質体である酸化物半導体層上に、第1電極層を形成するので、例えば、第1電極層を湿式塗工により形成すると、酸化物半導体層の細孔に第1電極層を形成する材料が浸入してしまい、第1電極層が酸化物半導体層中に入り込んで形成されてしまうため、電気伝導性に優れた第1電極層を形成することが困難であった。
さらに、特許文献1の方法では、酸化物半導体層上に、第1電極層を形成することが必要になるため、第1電極層の平面視上の面積を、酸化物半導体層の平面視上の面積よりも大きく形成することが困難である。したがって、被転写基材に第1電極層を転写した後、第1電極層から取り出し電極を形成することが困難であるという問題があった。
特開2002−184475号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、電気伝導性に優れ、かつ取り出し電極の形成が容易な第1電極層を有する酸化物半導体電極および色素増感型太陽電池を製造できる製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、耐熱基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程、および上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程により、耐熱基板上に第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成する中間転写媒体用基板形成工程と、
上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する積層基材形成工程と、
上記積層基材形成工程により形成される積層基材から上記耐熱基板を剥離する耐熱基板剥離工程と、により
第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成することを特徴とする中間転写媒体の製造方法を提供する。
本発明の中間転写媒体の製造方法によれば、耐熱基板上に第1電極層を形成した後に、酸化物半導体層を形成するため、酸化物半導体層の細孔に第1電極層が入り込んで形成されることがなく、電気伝導性に優れた第1電極層を備える中間転写媒体を製造できる。
また、本発明の中間転写媒体の製造方法によれば、耐熱基板上に第1電極層を形成した後に、当該第1電極層上に酸化物半導体層を形成するため、第1電極層の平面視上の面積を、上記酸化物半導体層よりも大きくすることが可能である。したがって、本発明の製造方法によれば、被転写基材に転写した際に、取り出し電極の形成が容易な第1電極層を備える中間転写媒体を製造することができる。
本発明においては、上記中間転写媒体用基板形成工程において、上記耐熱基板上に耐熱基板と上記第1電極層との剥離性を向上させる剥離層を形成する剥離層形成工程と、上記剥離層上に、第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、により、耐熱基板基板上に剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成することが好ましい。
このような方法によれば、後述する耐熱基板剥離工程において耐熱基板を剥離することが容易になる結果、第1電極層の破損を防止することができるため、電気伝導性に優れた第1電極層を有する中間転写媒体を製造することが容易になるからである。
また本発明においては、上記剥離層形成工程において、金属酸化物および樹脂を含有する剥離層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより、多孔質体の剥離層を形成することが好ましい。
このような方法によれば、耐熱基板を容易に剥離することができ、好適な密着強度を有する剥離層を形成することができるからである。
また本発明においては、上記積層基材形成工程が、上記第1基材上に上記剥離密着層を形成する剥離密着層付基板形成工程により剥離密着層付基材を形成した後、上記剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより、上記酸化物半導体層上に上記第1基材および上記剥離密着層を設けることが好ましい。
このような方法によれば、本発明の中間転写媒体の製造方法を生産性に優れたものにできるからである。
また本発明においては、上記第1基材が樹脂製フイルム基材であることが好ましい。第1基材として樹脂製フイルム基材を用いることにより、本発明の製造方法により製造される中間転写媒体を可撓性や加工適性等の実用性に優れたものにできるからである。
本発明は、上記中間転写媒体の製造方法により形成された中間転写媒体の第1電極層上に、第2基材を設ける第2基材形成工程と、
上記中間転写媒体の第1基材を剥離する第1基材剥離工程と、を少なくとも有し、
第2基材上に、少なくとも第1電極層と、酸化物半導体層と、がこの順で積層された酸化物半導体電極を形成することを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記中間転写媒体の製造方法により形成された中間転写媒体を用いることにより、電気伝導性に優れ、かつ取り出し電極を容易に形成することができる第1電極層を備えた酸化物半導体電極を得ることができる。また、本発明によれば第2基材上での焼成処理を実施することなく、第2基材上に多孔質の酸化物半導体層を形成できるため、任意の材質からなる第2基材を用いることが可能になる。
本発明においては、上記第2基材形成工程が、上記中間転写媒体の製造方法により形成された、中間転写媒体の第1電極層上に、接着層を介して、第2基材を設けることが好ましい。このような接着層を介して第2基材を設けることにより、第1電極層と第2基材との接着性を優れたものにでき、経時安定性に優れた酸化物半導体電極を得ることができるからである。
また、本発明においては、上記第2基材が、樹脂製フイルム基材であることが好ましい。第2基材として樹脂製フイルム基材を用いることにより、本発明の製造方法により製造される酸化物半導体電極を可撓性や加工適性等の実用性に優れたものにできるからである。
本発明は、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極、および、対向基材上に第2電極層を備えた対電極基材を用い、上記酸化物半導体電極の酸化物半導体電極と、上記対電極基材の第2電極層とを対向させて色素増感型太陽電池用基材対を形成する色素増感型太陽電池用基材対形成工程を有し、
上記酸化物半導体層、または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して、上記酸化物半導体層の多孔質体細孔表面に、色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に、上記第2電極層と上記酸化物半導体層との間、および上記酸化物半導体層の 多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことにより、色素増感型太陽電池を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極を用いることにより、電気伝導性に優れた第1電極層を備える色素増感型太陽電池を製造することができるため、エネルギー変換効率に優れた色素増感型太陽電池を得ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極を用いることにより、第1電極層に取り出し電極を形成することが用意であるため、高生産性でエネルギー変換効率に優れた色素増感型太陽電池を製造することができる。
本発明においては、上記対向基材が、樹脂製フイルム基材であることが好ましい。上記対向基材として樹脂製フイルム基材を用いることにより、本発明の製造方法により製造される色素増感型太陽電池を可撓性や加工適性等の実用性に優れたものにできるからである。
本発明は、第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層と、がこの順で積層された構成を有することを特徴とする中間転写媒体を提供する。
本発明によれば、第1電極層上に酸化物半導体層が形成されていることにより、例えば、第1電極層の平面視上の面積を、酸化物半導体層の平面視上の面積よりも大きくすることにより、電気伝導性に優れ、取り出し電極の形成が容易である中間転写媒体を得ることができる。
本発明は、電気伝導性に優れ、かつ取り出し電極の形成が容易な第1電極層を有する酸化物半導体電極および色素増感型太陽電池を製造できるという効果を奏する。
以下、本発明の中間転写媒体の製造方法、酸化物半導体電極の製造方法、色素増感型太陽電池の製造方法、および中間転写媒体について説明する。
A.中間転写媒体の製造方法
まず、本発明の中間転写媒体の製造方法について説明する。本発明の中間転写媒体の製造方法は、耐熱基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程、および上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程により、耐熱基板上に第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成する中間転写媒体用基板形成工程と、上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する積層基材形成工程と、上記積層基材形成工程により形成される積層基材から上記耐熱基板を剥離する耐熱基板剥離工程と、により、第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成することを特徴とするものである。
本発明の中間転写媒体の製造方法について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の中間転写媒体の製造方法の一例を示した工程図である。図1に示すように本発明の中間転写媒体の製造方法は、耐熱基板1上に第1電極層2を形成する第1電極層形成工程(図1(a))、および上記第1電極層2上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層3を形成する酸化物半導体層形成工程(図1(b))により、耐熱基板1上に第1電極層2と、酸化物半導体層3とがこの順で形成された中間転写媒体用基板10aを形成する中間転写媒体用基板形成工程と、
上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板10aの酸化物半導体層3上に、第1基材5と、上記第1基材5と上記酸化物半導体層3との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層4とを設け、耐熱基板1上に、第1電極層2と、酸化物半導体層3と、剥離密着層4と、第1基材5とがこの順で積層された積層基材10bを形成する積層基材形成工程(図1(c))と、
上記積層基材形成工程により形成される積層基材10bから上記耐熱基板1を剥離する耐熱基板剥離工程(図1(d))と、により、第1基材5上に、少なくとも剥離密着層4と、酸化物半導体層3と、第1電極層2とがこの順で積層された中間転写媒体10を形成するものである。
本発明の中間転写媒体の製造方法によれば、耐熱基板上に第1電極層を形成した後に、酸化物半導体層を形成するため、酸化物半導体層の細孔に第1電極層が入り込んで形成されることがなく。電気伝導性に優れた第1電極層を備える中間転写媒体を製造できる。
また、本発明の中間転写媒体の製造方法によれば、耐熱基板上に第1電極層を形成した後、当該第1電極層上に酸化物半導体層を形成するため、第1電極層の平面視上の面積を、上記酸化物半導体層よりも小さく形成することが可能である。したがって、本発明の製造方法によれば、被転写基材に転写した際に、取り出し電極の形成が容易な第1電極層を備える中間転写媒体を製造することができる。
従来、色素増感型太陽電池等に用いられる酸化物半導体電極の第1電極層および酸化物半導体層の形成は、まず、多孔質体の酸化物半導体膜を形成した後、この酸化物半導体層上に、湿式法等により第1電極層を形成していた。湿式法によれば、大気中で第1電極層を形成することができるので、設備面において有利であるが、酸化物半導体層の細孔に第1電極層を形成する材料が浸入するため、酸化物半導体層内に第1電極層が入り込んで形成されてしまい、電気伝導性に優れた第1電極層を形成することが困難であるといった不都合があった。
また、上述したように酸化物半導体層上に第1電極層を形成する場合、必然的に第1電極層の平面視上の面積は、酸化物半導体層の平面視上の面積よりも、大きくすることが不可能になるため、例えば上記酸化物半導体電極を色素増感型太陽電池等に用いた場合に、第1電極層に取り出し電極を形成することが困難であった。
本発明によれば、耐熱基板上に第1電極層を形成してから、第1電極層上に酸化物半導体膜を形成することにより、第1電極層を酸化物半導体膜の細孔に入り込ませずに形成することが可能であるため、電気伝導性に優れた第1電極層を形成することができる。また、第1電極層上に酸化物半導体層を形成することにより、例えば色素増感型太陽電池に用いた場合に、取り出し電極の形成が容易である第1電極層を形成することができる。
以下、本発明の中間転写媒体の製造方法について、各工程ごとに詳細に説明する。
1.中間転写媒体用基板形成工程
まず、本発明における中間転写媒体用基板形成工程について説明する。本発明における中間転写媒体用基板形成工程は、耐熱基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、により、耐熱基板基板上に第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成するものである。
以下、本工程における中間転写媒体用基板形成工程の各工程について説明する。
1−1.第1電極層形成工程
本工程における第1電極層形成工程は、耐熱基板上に第1電極層を形成する工程である。
(1)耐熱基板
本工程で用いられる耐熱基板としては、後述する焼成処理時の加熱温度に対する耐熱性を有するものであれば特に限定されない。このような耐熱基板としては、ガラス、セラミックス、または金属板等からなる耐熱基板を挙げることができる。中でも本工程においては、耐熱基板として可撓性のある金属板を用いることが好ましい。このような耐熱基板を用いることにより、後述する焼成処理を十分に高温で行うことができるので、酸化物半導体層を形成する金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高くすることができるからである。また、上記耐熱基板は、リユースすることが好ましい。
(2)第1電極層の形成方法
本工程において、上記耐熱基板上に第1電極層を設ける方法としては、導電性に優れた第1電極層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法およびプラズマCVD、熱CVD、大気圧CVD等のCVD法等の乾式成膜法、およびスプレー熱分解法等を挙げることができる。中でも、本発明においては、スプレー熱分解法が好ましい。このような方法によれば、より良好な緻密性を有する第1電極層を形成することができるからである。
(スプレー熱分解法)
本工程におけるスプレー熱分解法について説明する。本工程におけるスプレー熱分解法は、具体的には、上記耐熱基板を第1電極層形成温度以上の温度に加熱し、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体(以下、このような金属塩または金属錯体を単に、金属源と称する場合がある。)が溶解した第1電極層形成用塗工液と接触させることにより、上記耐熱基板上に第1電極層を形成する方法である。
なお、本発明において、「第1電極層形成温度」とは、後述する第1電極層形成用塗工液に含まれる金属元素が酸素と結合し、第1電極を構成する金属酸化物膜を形成することが可能な温度をいい、金属源が溶解してなる金属イオン等の種類、第1電極層形成用塗工液の組成等によって大きく異なるものである。
本工程において、このような「第1電極層形成温度」は、以下の方法により測定することができる。すなわち、実際に所望の金属源が溶解した第1電極層形成用塗工液を用意し、上記耐熱基板の加熱温度を変化させて接触させることにより、第1電極層を構成する金属酸化物膜を形成することができる最低の加熱温度を測定する。この最低の加熱温度を本発明における「第1電極層形成温度」とすることができる。この際、金属酸化物膜が形成したか否かは、通常、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)より得られた結果から判断し、結晶性のないアモルファス膜の場合は、光電子分光分析装置(V.G.Scientific社製、ESCALAB 200i−XL)より得られた結果から判断するものとする。
a.第1電極層形成用塗工液
上記スプレー熱分解法に用いられる第1電極層形成用塗工液について説明する。上記スプレー熱分解法に用いられる第1電極層形成用塗工液は、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体が溶媒に溶解したものである。また、上記スプレー熱分解法においては、上記第1電極層形成用塗工液が、酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有させることにより、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができるからである。
(i)金属源
上記スプレー熱分解法に用いられる金属源は、第1電極層を構成する金属元素を有するものであって、良好な緻密性を有する第1電極層を形成することができるものであれば、金属塩であっても良く、金属錯体であっても良い。
また、上記金属源の第1電極層形成用塗工液に対する濃度は、第1電極層を得ることができる濃度であれば特に限定されるものではないが、金属源が金属塩の場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.5mol/lであることが好ましく、金属源が金属錯体である場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.5mol/lであることが好ましい。濃度が上記範囲に満たない場合は、第1電極層の形成に時間がかかりすぎる可能性があり、濃度が上記範囲を超える場合は、均一な膜厚の第1電極層を得ることができない可能性があるからである。
上記第1電極層を構成する金属元素としては、導電性に優れた第1電極層を得ることができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、In、Sn、Zn、Au、Ag、Co、Ni、Pt、C、Li、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr等を挙げることができ、中でも、透過性、導電性を有した第1電極層を得ることができるという観点から、In、Sn、Znが好ましい。
また、このような金属源から得られる金属酸化物としては、透過性、導電性を有した第1電極層を得ることができるという観点から、具体的には、ITO、ZnO、FTO(フッ素ドープ酸化すず)、ATO(アンチモンドープ酸化すず)、SnO(TO)等を挙げることができる。
上記金属酸化物がITOの場合、金属源としては、トリス(アセチルアセトナート)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。
また、上記金属酸化物がZnOの場合、金属源としては、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、サリチル酸亜鉛三水和物、ステアリン酸亜鉛等を用いることができる。
また、上記金属酸化物がFTOの場合、金属源としては、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができ、フッ素ドーピング剤としてはフッ化アンモニウム等を用いることができる。
また、上記金属酸化物がATOの場合、金属源としては、アンチモン(III)ブトキシド、アンチモン(III)エトキシド、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。
また、上記金属酸化物がSnO(TO)の場合、金属源としては、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。
(ii)酸化剤
上記スプレー熱分解法に用いられる酸化剤は、上述した金属源が溶解してなる金属イオン等の酸化を促進する働きを有するものである。金属イオン等の価数を変化させることにより、第1電極層(金属酸化物膜)の発生しやすい環境とすることができ、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができる。
このような酸化剤の濃度としては、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができる濃度であれば特に限定されるものではないが、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.1mol/lであることが好ましい。濃度が上記範囲に満たない場合は、酸化剤が効果を発揮しない可能性があり、濃度が上記範囲を超える場合は、得られる効果に大差が見られず、コスト上好ましくないからである。
また、このような酸化剤としては、後述する溶媒に溶解し、上記金属イオン等の酸化を促進することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、過酸化水素、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、酸化銀、二クロム酸、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、中でも過酸化水素、亜硝酸ナトリウムを使用することが好ましい。
(iii)還元剤
上記スプレー熱分解法に用いられる還元剤は、分解反応により電子を放出し、水の電気分解等によって水酸化物イオンを発生させ、上記第1電極層形成用塗工液のpHを上げる働きを有するものである。上記第1電極層形成用塗工液のpHが上昇することで、第1電極層(金属酸化物膜)の発生しやすい環境とすることができ、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができる。
このような還元剤の濃度としては、より低い加熱温度で第1電極層を得ることができる濃度であれば特に限定されるものではないが、金属源が金属塩の場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.1mol/lであることが好ましく、金属源が金属錯体である場合、通常0.001〜1mol/lであり、中でも0.01〜0.1mol/lであることが好ましい。濃度が上記範囲に満たない場合は、還元剤が効果を発揮しない可能性があり、濃度が上記範囲を超える場合は、得られる効果に大差が見られず、コスト上好ましくないからである。
また、このような還元剤としては、後述する溶媒に溶解し、分解反応により電子を放出することができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ボラン−tert−ブチルアミン錯体、ボラン−N,Nジエチルアニリン錯体、ボラン−ジメチルアミン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体等のボラン系錯体、水酸化シアノホウ素ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム等を挙げることができ、中でもボラン系錯体を使用することが好ましい。
また、本工程においては、還元剤と上述した酸化剤とを組み合わせて使用しても、第1電極層(金属酸化物膜)を形成しやすい環境にすることができる。このような還元剤および酸化剤の組合せとしては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化水素または亜硝酸ナトリウムと任意の還元剤との組合せ、任意の酸化剤とボラン系錯体との組合せ等が挙げられ、中でも、過酸化水素とボラン系錯体との組合せが好ましい。
(iv)添加剤
上記スプレー熱分解法に用いられる第1電極層形成用塗工液は、添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、補助イオン源や界面活性剤等が挙げられる。上記補助イオン源は、電子と反応し水酸化物イオンを発生するものであり、第1電極層形成用塗工液のpHを上昇させ、第1電極層の形成しやすい環境とすることができる。また、上記補助イオン源の使用量は、使用する金属塩や還元剤に合わせて適宜選択して使用することが好ましい。このような補助イオン源としては、具体的には、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次臭素酸イオン、硝酸イオン、および亜硝酸イオンからなる群から選択されるイオン種等を挙げることができる。
また、上記界面活性剤は、第1電極層形成用塗工液と耐熱基板との界面に作用し、耐熱基板表面に金属酸化物膜が生成し易くする働きを有するものである。上記界面活性剤の使用量は、使用する金属塩や還元剤に合わせて適宜選択して使用することが好ましい。このような界面活性剤は、具体的にはサーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業(株)社製)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製)等を挙げることができる。
(v)溶媒
上記スプレー熱分解法に用いられる溶媒としては、上述した金属源を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、金属源が金属塩の場合は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒等を挙げることができ、金属源が金属錯体の場合は、上述した低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
b.第1電極層形成用塗工液と耐熱基板との接触方法
次に、上記スプレー熱分解法における第1電極層形成用塗工液と耐熱基板との接触方法について説明する。上記スプレー熱分解法における接触方法は、上述した第1電極層形成用塗工液と、上述した耐熱基板とを接触させる方法であれば、特に限定されるものではないが、上記第1電極層形成用塗工液と上記耐熱基板とが接触する際に、加熱された耐熱基板の温度を低下させない方法であることが好ましい。耐熱基板の温度が低下すると所望の第1電極層を得ることができない可能性があるからである。
このような温度を低下させない方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、液滴として上記第1電極層形成用塗工液を噴霧することにより上記耐熱基板に接触させる方法、上記第1電極層形成用塗工液をミスト状にした空間の中に上記耐熱基板を通過させる方法等が挙げられる。
上記第1電極層形成用塗工液を噴霧することにより接触させる方法は、特に限定されるものではないが、例えばスプレー装置等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。このような方法としては、耐熱基板を第1電極層形成温度以上の温度まで加熱し、スプレー装置を用いて第1電極層形成用塗工液を噴霧することにより、第1電極層を形成する方法等を挙げることができる。
上記スプレー装置を用いて噴霧する場合、液滴の径は、通常0.1〜1000μm、中でも0.5〜300μmであることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、温度の低下を抑制することができ、均一な第1電極層を得ることができるからである。また、上記スプレー装置の噴射ガスとしては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素等を挙げることができる。また、上記噴射ガスの噴射量としては、0.1〜50l/min、中でも1〜20l/minであることが好ましい。
一方、上述した第1電極層形成用塗工液をミスト状にした空間の中に、耐熱基板を通過させる方法としては、第1電極層形成用塗工液をミスト状にした空間に、第1電極層形成温度以上の温度まで加熱された耐熱基板を通過させることにより第1電極層を形成する方法を挙げることができる。このような方法においては、液滴の径は、通常0.1〜300μm、中でも1〜100μmであることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、耐熱基板の温度低下を抑制することができ、均一な第1電極層を得ることができるからである。
また、上記スプレー熱分解法においては、上記第1電極層形成用塗工液と加熱された耐熱基板とを接触させる際、上記耐熱基板は、「第1電極層形成温度」以上の温度まで加熱される。このような「第1電極層形成温度」は、金属源が溶解してなる金属イオン等の種類、第1電極層形成用塗工液の組成等によって大きく異なるものであるが、第1電極層形成用塗工液に酸化剤および/または還元剤を加えない場合、通常400〜600℃の範囲内とすることができ、中でも、450〜550℃の範囲内であることが好ましい。一方、耐熱基板形成用塗工液に酸化剤および/または還元剤を加える場合、通常150〜600℃の範囲内とすることができ、中でも、250〜400℃の範囲内であることが好ましい。また、特に、上記方法を用いてITO膜の第1電極層を形成する際には、通常300〜500℃の範囲内とすることが好ましく、中でも、350〜450℃の範囲内であることがより好ましい。
このような加熱方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレート、オーブン、焼成炉、赤外線ランプ、熱風送風機等の加熱方法を挙げることができ、中でも耐熱基板の温度を上記温度に保持しながら第1電極層形成用塗工液に接触できる方法が好ましく、具体的にはホットプレートにより耐熱基板裏面側から加熱する方法が好ましい。
(3)第1電極層
本工程により形成される第1電極層の膜厚としては、優れた導電性を発揮できる膜厚であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、5nm〜2000nmの範囲内、その中でも、10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
また、第1電極層は、単層からなる場合であっても良く、複数層からなる場合であっても良い。さらに、第1電極層が複数層からなる場合は、異なる金属酸化物を用いた層が積層されてなるものであっても良い。
本工程においては、開口が十分で光透過性のある金属メッシュを配置したり、上記金属メッシュと上述した第一電極層を形成する材料とを一体化ないしは積層化させることにより第1電極層を形成することもできる。
1−2.酸化物半導体層形成工程
次に、本工程における酸化物半導体層形成工程について説明する。本工程における酸化物半導体層形成工程は、上記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布することにより、酸化物半導体層形成用層を形成した後、上記酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する工程である。
以下、このような酸化物半導体層形成工程について詳細に説明する。
(1)酸化物半導体層形成用塗工液
本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液は、少なくとも、金属酸化物半導体微粒子および樹脂を含有するものである。
a.金属酸化物半導体微粒子
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子は、本工程により形成される酸化物半導体層において電荷を伝導する機能を有するものである。
上記酸化物半導体層形成用塗工液における金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度は、後述する酸化物半導体層形成用塗工液の塗布方法等に応じて任意に決定すればよいが、通常、50質量%〜100質量%の範囲内、中でも、65質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。このような酸化物半導体層形成用塗工液を用いることにより、例えば、本発明により製造される中間転写媒体を用いて、色素増感型太陽電池を作成した場合、焼成工程後に得られる多孔質体として形成された酸化物半導体層において、その細孔表面に充分な量の色素増感剤を担持させることができるため、光照射により色素増感剤から生じた電荷を伝導する機能を充分に得ることができるからである。
また、上記金属酸化物半導体微粒子の酸化物半導体層形成用塗工液に対する濃度は、塗布方法等によって異なるものではあるが、具体的には、5質量%〜50質量%の範囲内、中でも、10質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。このような酸化物半導体層形成用塗工液を用いることにより、所望の膜厚に精度良く酸化物半導体層形成用層を形成することができるからである。
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子としては、TiO、ZnO、SnO、ITO、ZrO、MgO、Al、CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。これらの金属酸化物半導体微粒子は、多孔質体を形成するのに適しており、エネルギー変換効率の向上、コストの削減を図ることができるため本工程に好適に用いられる。また、本工程においては上記金属酸化物半導体微粒子のうち、いずれか一種を使用しても良く、また、2種以上を混合して使用してもよい。さらに、上記の金属酸化物半導体微粒子のうち、一種をコア微粒子とし、他の金属酸化物半導体微粒子により、コア微粒子を包含してシェルを形成するコアシェル構造としてもよい。本工程においては、上記半導体酸化物微粒子としてTiOを用いることが最も好ましい。
また、上記金属酸化物半導体微粒子の粒径は、特に限定はされないが、具体的には、1nm〜10μmの範囲内、その中でも、10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも粒子径が小さい場合は、そのような微粒子を製造すること自体が困難であり、また、各々の粒子が凝集して二次粒子を形成する場合があるため好ましくない。一方、上記範囲よりも粒子径が大きい場合は、酸化物半導体層の表面積が減少するため、例えば、本発明により製造される中間転写媒体を用いて色素増感型太陽電池を作製した際に、酸化物半導体層における色素担持量が減少し、性能が低下してしまう可能性があるため好ましくない。
また、上記範囲内の粒子径を有し、粒径の異なる同種または異種の金属酸化物半導体微粒子を混合して用いてもよい。これにより、酸化物半導体層の光散乱効果を高めることができるため、例えば、本発明の中間転写媒体を用いて色素増感型太陽電池を作製した場合に、色素増感剤における光吸収を効率的に行うことができる。金属酸化物半導体微粒子の混合の態様としては、例えば、10nm〜50nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子と、50nm〜800nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子とを混合して用いる場合を挙げることができる。
b.樹脂
本工程に用いられる樹脂は、後述する焼成工程により多孔質体の空孔を付与するために用いられるものである。また、樹脂の使用量を変化させることにより、酸化物半導体層形成用塗工液の粘度を調整することができる。
上記樹脂の酸化物半導体層形成用塗工液に対する濃度は特に限定されないが、通常、0.1質量%〜30質量%の範囲内が好ましく、特に、0.5質量%〜20質量%の範囲内が好ましく、中でも1質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。
このような樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などのほか、ポリエチレングリコールのような多価アルコール類等を挙げることができる。
c.溶媒
本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液は、溶媒を含有しない塗工液であっても良く、溶媒を含有する塗工液であっても良い。酸化物半導体層形成用塗工液に溶媒を用いた場合に用いることができる溶媒としては、例えば、水またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール等の各種溶剤を挙げることができる。中でも、水ないしアルコール系の溶媒であることが好ましい。
d.添加剤
また、本工程においては、上記酸化物半導体層形成用塗工液の塗工適性を向上させるために、各種添加剤を用いてもよい。例えば、添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤等を用いることができる。上記pH調製剤としては、例えば、硝酸、塩酸、酢酸、ジメチルホルムアミド、アンモニア等を挙げることができる。また、分散助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のポリマー、界面活性剤、酸、キレート剤等を挙げることができる。
本工程においては、特に、分散助剤としてポリエチレングリコールを使用することが好ましい。ポリエチレングリコールの分子量を変えることで、分散液の粘度が調節可能となり、剥がれにくい酸化物半導体層の形成、酸化物半導体層の空孔率の調整等を行うことができるからである。
(2)酸化物半導体層形成用塗工液の塗布方法
本工程において、上記酸化物半導体層形成用塗工液を上記第1電極層上に塗布することにより酸化物半導体層形成用層を形成する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定はされないが、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。このような塗布法を用い、単数回または複数回、塗布および固化を繰り返すことにより酸化物半導体層形成用層を所望の膜厚に調整することができる。
(3)酸化物半導体層形成用層
上記酸化物半導体層形成用層の膜厚としては、後述する焼成工程において多孔質体として形成された後に、所望の膜厚となるように調整して決定することが好ましい。具体的には、1μm〜65μmの範囲内、中でも、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
(4)焼成工程
次いで、本工程における焼成工程について説明する。本発明における焼成工程は、上記酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、酸化物半導体層を形成する工程である。本工程により、空隙を有する多孔質体として形成された酸化物半導体層を形成することができる。
本工程において、焼成の温度は、上記酸化物半導体層形成用層中に含まれる樹脂を熱分解できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、300℃〜700℃の範囲内であることが好ましく、特に、350℃〜600℃の範囲内であることが好ましい。
また、本工程において、酸化物半導体層形成用層を焼成する際の加熱方法としては、加熱ムラなく一様に酸化物半導体層形成用層を焼成できる方法であれば特に限定はされない。具体的には、公知の加熱方法を用いることができる。
また、本工程により多孔質体として形成された酸化物半導体層の膜厚は、1μm〜100μmの範囲内、中でも、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。膜厚を上記範囲内とすることにより、焼成工程後、剥離やクラック等の発生が無く、機械強度の高い酸化物半導体層を得ることができるからである。
1−3.剥離層形成工程
本工程は、上記第1電極層形成工程前に、上記耐熱基板上に耐熱基板と第1電極層との剥離性を向上させる剥離層を形成する剥離層形成工程を有することにより、耐熱基板上に剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成してもよい。
このような剥離層を形成することにより、後述する耐熱基板剥離工程において耐熱基板基板を剥離することが容易になる結果、第1電極層の破損を防止することができるため、電気伝導性に優れた第1電極層を有する中間転写媒体を製造することが容易になるからである。
以下、このような剥離層形成工程について説明する。
本工程において剥離層を形成する方法としては、第1電極層に損傷を与えることなく耐熱基板を容易に剥離することを可能とし、焼成処理に耐え得る剥離層を形成できる方法であれば特に限定はされない。なかでも本工程においては、金属酸化物および樹脂を含有する剥離層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより、多孔質体の剥離層を形成する方法が好ましい。このような方法により形成された剥離層は、後述する耐熱基板剥離工程において、耐熱基板を容易に剥離するのに好適な密着強度を有するからである。
また、例えば、上記第1電極層を湿式塗工により形成する場合に、第1電極層に焼成処理を施す際、剥離層に金属酸化物微粒子が含有されていれば、第1電極層と剥離層との熱膨脹係数の差を小さくすることができるので、焼成後に剥離層および第1電極層の間にクラックが発生することを防止できるからである。
(1)剥離層形成用塗工液
本工程において、上記多孔質体である剥離層形成する際に用いられる剥離層形成用塗工液は、少なくとも金属酸化物と、樹脂を含むものである。
a.金属酸化物
上記剥離層形成用塗工液に用いられる金属酸化物は、後述する焼成工程における焼成温度等に応じて任意に決定すればよいが、上述した第1電極層の構成する金属酸化物と同一の金属酸化物を用いることが好ましい。第1電極層を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物を用いることにより、例えば、第1電極層を湿式塗工により塗布し、焼成する際に、第1電極層と剥離層との熱膨張係数の差を小さくできるので、第1電極層および剥離層間にクラックが生じる可能性をより少なくすることができるからである。
なお、第1電極層を構成する金属酸化物は、上記「1−1.第1電極層形成工程」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。本発明においては上記金属酸化物として1種類のみならず、2種類以上の金属酸化物を用いることができる。
上記金属酸化物は、剥離層中に微粒子の形態で存在していることが好ましい。この場合、金属酸化物微粒子の径は、特に限定されないが、通常3nm〜300nmの範囲内が好ましく、特に10nm〜100nmの範囲内が好ましい。本工程においては、上記金属酸化物として2以上の異なる粒径の金属酸化物の混合物を用いることができる。
上記剥離層形成用塗工液における上記金属酸化物の固形分中の濃度は、後述する、剥離層形成用塗工液の塗布方法等に応じて任意に決定すればよいが、通常20質量%〜80質量%の範囲内、中でも30質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましい。
また、上記金属酸化物の剥離層形成用塗工液に対する濃度は、塗布方法等によって異なるものではあるが、具体的には0.01質量%〜30質量%の範囲内、中でも0.1質量%〜15質量%の範囲内であることが好ましい。
b.樹脂
上記剥離層形成用塗工液に用いられる樹脂の種類、および剥離層形成用塗工液中に含まれる樹脂の含有量は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載した、酸化物半導体層形成塗工液に用いられる樹脂と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記剥離層形成用塗工液に対する樹脂の濃度は、耐熱基板との密着力を所望値にできる範囲内であれば特に限定されないが、通常0.01質量%〜30質量%の範囲内が好ましく、中でも0.1質量%〜15質量%の範囲内が好ましい。樹脂の濃度が上記範囲よりも高いと、耐熱基板との密着力が高くなり、後述する耐熱基板剥離工程において、耐熱基板剥離する際に第1電極層を破損してしまう可能性があり、また上記範囲よりも低いと、耐熱基板との密着性が不十分となってしまう場合があるからである。
c.溶媒
上記剥離層形成用塗工液に用いられる溶媒は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載した、酸化物半導体層形成用塗工液に用いられる溶媒と同様であるため、ここでの説明は省略する。
d.その他の添加剤
上記剥離層形成用塗工液には、上記金属酸化物および樹脂以外のその他の添加剤を含んでも良い。
(2)剥離層形成用塗工液の塗布方法
耐熱基板上へ上記剥離層形成用塗工液を塗布する方法は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載した、酸化物半導体層形成用塗工液の塗布方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(3)焼成工程
本工程における焼成工程は、上記「1−2.酸化物半導体層形成工程」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(4)剥離層
本工程により形成される剥離層の厚みは、上記耐熱基板との密着性を所望値にできる範囲内であれば特に限定されないが、通常0.05μm〜5μmの範囲内が好ましく、特に0.1μm〜2μmの範囲内が好ましく、中でも0.1μm〜1μmの範囲内が好ましい。
2.積層基材形成工程
次に、本工程における積層基材形成工程について説明する。本工程における積層基材形成工程は、上記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する工程である。
本工程において、上記中間転写媒体用基板形成工程により、形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材および剥離密着層を設ける方法は、特に限定されず、上記酸化物半導体層上に、剥離密着層を形成した後に、当該剥離密着層上に第1基材を設けても良く、また剥離密着層付基材形成工程により、第1基材上に剥離密着層を備える剥離密着層付基材を形成した後に、当該剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより、上記酸化物半導体層上に上記第1基材および上記剥離密着層を設けても良い。
なかでも本工程においては、剥離密着層付基材形成工程により、第1基材上に剥離密着層を備える剥離密着層付基材を形成した後に、当該剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより、上記酸化物半導体層上に上記第1基材および上記剥離密着層を設ける方法が好ましい。このような方法によれば、本発明の中間転写媒体の製造方法を生産性に優れたものにできるからである。以下、このような積層基材形成工程について説明する。
2−1.剥離密着層付基材形成工程
本工程における剥離密着層付基材形成工程は、第1基材上に剥離密着層を形成する工程である。本工程により形成する剥離密着層は、上記酸化物半導体層と上記第1基材との剥離性を向上させる剥離機能、および上記酸化物半導体層と上記第1基材との密着性を保つ密着機能を有するものである。より具体的には、後述する耐熱基板剥離工程において耐熱基板を剥離する際に、上記第1基材と上記酸化物半導体層とが剥離しない程度の密着性を有し、かつ、後述する第1基材剥離工程において第1基材を剥離する際に、剥離密着層以外の層に凝集破壊を生じたり、剥離密着層と第1基材との界面および剥離密着層と酸化物半導体層との界面以外の界面において剥離を生じない程度の剥離性を有するものである。このような剥離密着層を形成することにより、本発明により得られる中間転写媒体を用いて酸化物半導体電極を製造する際に、酸化物半導体電極を構成する第2基材の所定の位置に精度良く第1電極層および酸化物半導層を形成することができる。また、本工程で設けた第1基材を良好に剥離することができるので、本発明により製造される中間転写媒体から酸化物半導体電極を製造する際の歩留まりの向上に効果を有する。
(1)第1基材
本工程に用いられる第1基材は、本発明により製造される中間転写媒体を一定の形状に保持することを可能とする支持材として機能するものである。したがって、このような第1基材としては、上記支持材としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、耐熱性、耐候性、水蒸気、その他のガスバリア性に優れたものであることが好ましい。中でも本工程においては、酸素透過率が温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m/day・atm以下、水蒸気透過率が温度37.8℃、湿度100%の条件下において1g/m/day以下のガスバリア性を有する基材を用いることが好ましい。本工程においては、このようなガスバリア性を達成するために、任意の基材上にガスバリア層を設けたものを用いてもよい。
上記ガスバリア性を具備する基材としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製フイルム基材を挙げることができる。本工程においては、これらの基材のなかでも、樹脂製フイルム基材を用いることが好ましい。第1基材として樹脂製フイルム基材を用いることにより、本発明の製造方法により製造される中間転写媒体を可撓性や加工適性等の実用性に優れたものにできるからである。
本工程に用いられる基材の厚みは特に限定されるものではないが、通常、50μm〜2000μmの範囲内であることが好ましく、特に75μm〜1800μmの範囲内であることが好ましく、中でも100μm〜1500μmの範囲内であることが好ましい。
このようなフィルムは単独で使用しても良く、また、2種以上のフィルムを積層した複合フィルムとする場合であってもよい。
(2)剥離密着層形成工程
上記第1基材上に剥離密着層を形成する方法としては、上記第1基材上に厚みが均一な剥離密着層を形成できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、剥離密着層を形成する剥離密着層形成材料からなるフイルム基材を上記第1基材に貼合する方法や、上記剥離密着層形成材料を含む剥離密着層形成用塗工液を第1基材上に塗布する方法を挙げることができる。
本発明においては、剥離密着層形成材料からなるフイルム基材を上記第1基材に貼合する方法を好適に用いることができる。このような方法によれば剥離密着層形成工程を簡略化できるからである。
本工程に用いられる上記剥離密着層形成材料としては、剥離層に所望の密着性と剥離容易性とを付与できるものであれば特に限定されない。このような剥離密着層形成材料としては、シリコーン樹脂などの熱溶融性あるいは熱軟化性の樹脂、もしくは、ワックスが望ましく、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等の樹脂、感圧粘着剤、紫外線硬化型樹脂等を例示することができる。なかでも本工程においては上記剥離密着層形成材料のうち、特にシリコーン樹脂、ポリエステルワックス、または感圧粘着剤を用いることが好ましい。
本工程により形成される剥離密着層の厚みは、所望の密着性と剥離容易性とを発現できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、0.05μm〜1000μmの範囲内が好ましく、中でも0.1μm〜500μmの範囲内が好ましい。
本工程により形成される剥離密着層は、単一の層から構成しても良く(第1態様)、また2以上の複数の層から構成されても良い(第2態様)。上記第2態様においては、各層の厚みが0.05μm〜1000μmの範囲内が好ましく、中でも0.1μm〜500μmの範囲内が好ましい。また、第2態様においては、剥離容易性を発現する剥離機能層と、密着性を発現する密着機能層とを積層する態様が好ましい。
上記第2態様における剥離機能層は、例えば、剥離機能層の剥離に剥離液を用い、この剥離機能層剥離液に対して高い溶解性を有する部材から形成されたものを挙げることができる。
また、密着機能層を形成する材料としては、上記第1基材と上記酸化物半導体層との密着性を向上させるものであれば特に限定はされないが、具体的には、ヒートシール剤、粘着剤、接着剤等を挙げることができる。
また、本工程により製造された中間転写媒体を用いて後述する酸化物半導体電極を製造する際、本工程により設けた第1基材を剥離する工程が行われる。この際、本発明における剥離密着層を、上記のように剥離機能層および密着機能層の2層からなるものとした場合、上記剥離機能層と密着機能層との界面で剥離されることなるため、第1基材を剥離した後は、酸化物半導体層上に密着機能層が残る。この場合、密着機能層を除去する処理が行われるが、密着機能層としては、この際、容易に除去することができるものであることが好ましい。
2−2.積層基材形成工程
上記積層基材は、当該剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより形成される。このように剥離密着層と酸化物半導体層とを密着する方法としては、特に限定されず一般的な方法を用いることができる。例えば、上記剥離密着層付基材の剥離密着層と、上記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層とを対向配置した後、加熱することにより密着する加熱密着法を挙げることができる。このような加熱密着法を実施する場合の加熱温度は、上記酸化物半導体層および第1電極層等の材料により異なるものであるが、これらの部材の形成に用いられる材料のガラス転移温度よりも低い温度にすることが好ましい。熱劣化による機能低下といった問題を回避することができるからである。
上記加熱密着法において、加熱する方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には、熱板を用いる方法、加熱ロールを用いる方法、ランプを用いる方法、レーザーを用いる方法、電磁誘導加熱を用いる方法、超音波摩擦加熱を用いる方法等を挙げることができる。
3.耐熱基板剥離工程
次いで、本工程における耐熱基板剥離工程について説明する。本工程における耐熱基板剥離工程は、上記積層基材形成工程により形成される積層基材から上記耐熱基板を剥離することにより、第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成する工程である。
本工程において、耐熱基板を剥離する方法としては、耐熱基板を第1電極層から良好に剥離することができる方法であれば特に限定はされない。例えば耐熱基板がフレキシブルなものであって、Roll to Roll方式で行う場合は、上記積層基材の耐熱基板および第1基材を別々のヒートロールで貼り合わせ、その後、耐熱基板および中間転写媒体を別々に巻き取る方法等が挙げられる。また、例えば耐熱基板がリジッドなものである場合は、上記積層基材の第1基板をヒートロールで貼り合わせ、中間転写媒体を巻き取る方法等が挙げられる。また本工程においては、耐熱基板を機械的研磨除去や、エッチングなどによる化学的除去により剥離することもできる。
本工程において、耐熱基板を剥離する剥離面は特に限定されず、第1電極層と耐熱基板との界面で剥離しても良く、第1電極層の凝集破壊を伴って剥離しても良い。
また、耐熱基板と第1電極層との間に剥離層を形成した場合は、剥離層と耐熱基板との界面で剥離しても良く、第1電極層と剥離層との界面で剥離しても良く、また、剥離層の凝集破壊を伴って剥離しても良い。
4.中間転写媒体
本発明により、第1基材上に、剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とが、この順に積層された中間転写媒体を得ることができる。また、上記耐熱基板剥離工程において、耐熱基板を、剥離層と耐熱基板との界面で剥離した場合、および剥離層の凝集破壊を伴って剥離した場合は、第1基材上に、剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層と、剥離層がこの順で積層された中間転写媒体が得られる。
本発明により製造される上記中間転写媒体は、色素増感型光充電キャパシタに用いられる色素増感型光充電キャパシタ用基材、エレクトロクロミックディスプレイに用いられるエレクトロクロミックディスプレイ用基材、光触媒反応を用いて大気中の汚染物質を分解できる汚染物質分解基板、および色素増感型太陽電池に用いられる色素増感型太陽電池用基材に用いられる酸化物半導体電極の製造に用いられる。
B.酸化物半導体電極の製造方法
次に、本発明の酸化物半導体電極の製造方法について説明する。本発明の酸化物半導体電極の製造方法は、上記中間転写媒体の製造方法により形成された中間転写媒体の第1電極層上に、第2基材を設ける第2基材形成工程と、上記中間転写媒体の第1基材を剥離する第1基材剥離工程と、を少なくとも有し、第2基材上に、少なくとも第1電極層と、酸化物半導体層と、がこの順で積層された酸化物半導体電極を形成することを特徴とするものである。
次に、本発明の酸化物半導体電極の製造方法について図を参照しながら説明する。図2は、本発明の酸化物半導体電極の製造方法の一例を示す工程図である。図2に示すように、本発明の酸化物半導体電極の製造方法は、上記中間転写媒体の製造方法により形成された、中間転写媒体10の第1電極層2上に、第2基材21を設ける第2基材形成工程(図2(a))と、上記中間転写媒体10の第1基材5を剥離する第1基材剥離工程(図2(b))と、を少なくとも有し、第2基材21上に、少なくとも第1電極層2と、酸化物半導体層と、がこの順で積層された酸化物半導体電極20を形成するものである。
本発明によれば、上記中間転写媒体の製造方法により形成された中間転写媒体を用いることにより、電気伝導性に優れ、かつ取り出し電極を容易に形成することができる第1電極層を備えた酸化物半導体電極を得ることができる。また、本発明によれば第2基材上での焼成処理を実施することなく、第2基材上に多孔質の酸化物半導体層を形成できるため、任意の材質からなる第2基材を用いることが可能になる。
以下、本発明の酸化物半導体電極の製造方法について詳細に説明する。なお、本工程に用いられる中間転写媒体は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」に記載した方法により製造されるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.第2基材形成工程
まず本工程における第2基材形成工程について説明する。本工程における第2基材形成工程は、上記中間転写媒体の製造方法により形成された、中間転写媒体の第1電極層上に第2基材を設ける工程である。
(1)第2基材
本工程に用いられる第2基材は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の「2.積層基材形成工程」の項に記載した第1基材に用いられるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程においては、第2基材と第1電極層との密着性を向上させるために、接着層を介して第2基材と第1電極層とを接着させても良い。このような接着層を構成する材料としては、第2基材と第1電極層との密着性を向上させるものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、および電子線硬化性樹脂等を挙げることができ、中でも熱可塑性樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、所望の温度で融解する樹脂であれば特に限定されない。中でも本発明においては、熱可塑性樹脂の融点が50℃〜200℃の範囲内であることが好ましく、特に60℃〜180℃の範囲内であることが好ましく、中でも65℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
上記範囲の融点を示す熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン‐プロピレンゴム等のポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチルセルロース、トリ酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。中でも、接着性、電解液に対する耐性、光透過性及び転写性の点から、ポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シラン変性樹脂、および酸変性樹脂が好ましい。
本工程においては上記の熱可塑性樹脂の中でも、シラン変性樹脂を用いることが好ましい。シラン変性樹脂を用いることにより、接着層が示す接着力をより強固にすることができるからである。
本工程に用いられるシラン変性樹脂は、上記融点を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも本工程に用いられるシラン変性樹脂としては、ポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いることが好ましい。
また、本工程において上記共重合体は、シラノール触媒による架橋をしていてもしていなくてもどちらでもよい。
本工程に用いられる上記ポリオレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素数2〜8程度のα-オレフィンの単独重合体、それらのα-オレフィンとエチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等の炭素数2〜20程度の他のα-オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、及び、1-ブテン単独重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体等の1-ブテン系樹脂等が挙げられる。中でも本工程においては、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
本工程に用いられる上記共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体のいずれであってもよい。本工程においては、グラフト共重合体であることが好ましく、さらには、重合用ポリエチレンの主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、接着層の接着力をより強固にすることができるからである。
本工程に用いられる上記ポリエチレン系樹脂(以下、重合用ポリエチレンと称する。)としては、ポリエチレン系のポリマーであれば特に限定されない。このようなポリエチレン系のポリマーとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、極超低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。また本工程においては、これらのポリエチレン系ポリマーの一種類を単体として用いても良く、また、2種類以上を混合して用いても良い。
また本工程に用いられる重合用ポリエチレンは、上記ポリエチレン系ポリマーの中でも密度が低いものが好ましく、具体的には、密度が0.850g/cm〜0.960g/cmの範囲内であることが好ましく、特に0.865g/cm〜0.930g/cmの範囲内であることが好ましい。密度が低いポリエチレン系ポリマーは、一般的に側鎖を多く含有しているため、グラフト重合に好適に用いることができる。したがって、密度が上記範囲よりも高いと、グラフト重合が不十分になり、接着層に所望の接着力を付与することができない場合があり、また、密度が上記範囲よりも低いと、接着層の機械強度が損なわれる可能性があるからである。
本工程に用いられる上記エチレン性不飽和シラン化合物としては、上記重合用ポリエチレンと重合して、熱可塑性樹脂を形成できるものであれば特に限定されない。このようなエチレン性不飽和シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリオペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、およびビニルトリカルボキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
次に、上記ポリオレフィン化合物と、上記エチレン性不飽和シラン化合物とのグラフト共重合体の製造方法について説明する。このようなグラフト共重合体の製造方法は、所望の収率を得ることができる方法であれば特に限定されることなく、公知の重合手段により製造することができる。中でも本工程においては、上記ポリオレフィン化合物と、上記エチレン性不飽和シラン化合物と、遊離ラジカル発生剤と、からなるシラン変性樹脂組成物を加熱溶融混合することによりグラフト共重合体を得る方法が好ましい。このような方法によれば高収率で上記グラフト共重合体を得ることが容易だからである。
上記加熱溶融混合時の加熱温度は、所望の時間内に重合反応を終えることができる範囲内であれば特に限定されないが、通常、300℃以下が好ましく、特に270℃以下が好ましく、中でも、160℃〜250℃の範囲内が好ましい。加熱温度が上記範囲よりも低いと、重合反応が十分に進行しない場合があり、また加熱温度が上記範囲よりも高いと、シラノール基部分が架橋しゲル化する可能性があるからである。
遊離ラジカル発生剤としては、上記重合反応の促進に寄与できる化合物であれば特に限定されない。このような遊離ラジカル発生剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチル‐パーオキシイソブチレート、t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げることができる。これらの遊離ラジカル発生剤は、一種類のみを単体として用いてもよく、また2種類以上を混合して用いても良い。
上記シラン変性樹脂組成物中の遊離ラジカル発生剤の含有量は、遊離ラジカル発生剤の種類や重合反応条件に応じて、任意に決定することができるが、重合反応により得られるシラン変性樹脂中の残存量が0.001質量%以下となる範囲内であることが好ましい。本工程においては、通常、上記シラン変性樹脂組成物中のポリオレフィン化合物100重量部に対して、0.001重量部以上含まれていることが好ましく、特に0.01重量部〜5重量部含まれていることが好ましい。
上記シラン変性樹脂成物中の、エチレン性不飽和シラン化合物の含有量は、重合用ポリエチレン100重量部に対して、0.001重量部〜4重量部の範囲内が好ましく、特に0.01重量部〜3重量部の範囲内が好ましい。エチレン性不飽和シラン化合物の含有量が上記範囲よりも多いと、重合されることなく遊離したエチレン性不飽和シラン化合物が残存する可能性が有り、また上記範囲よりも少ないと接着層の密着力が不十分となる場合があるからである。
本工程における接着層には、必要に応じてシラン変性樹脂以外の他の化合物を含むことができる。本工程においては、このような他の化合物として熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、なかでもポリオレフィン化合物(以下、添加用ポリオレフィン化合物)を用いることが好ましい。また、接着層に含まれる上記シラン変性樹脂として、ポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いる場合には、このような添加用ポリオレフィン化合物として、上記共重合体に用いられるポリオレフィン化合物と同一の化合物を用いることが好ましい。
本工程において、接着層中の上記添加用ポリオレフィン化合物の含有量は、上記シラン変性樹脂100重量部に対し、0.01重量部〜9900重量部の範囲内が好ましく、特に0.1重量部〜2000重量部の範囲内がより好ましい。添加用ポリオレフィン化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと、コストの面において不利となってしまう場合があり、また上記範囲よりも多いと、接着層の接着力が不十分となる可能性があるからである。
本工程においては、上記ポリオレフィン化合物として、ポリエチレン系樹脂(以下、添加用ポリエチレンと称する。)を用いることが好ましい。本工程においては、上記シラン変性樹脂として、ポリエチレン系樹脂とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いることが好ましいからである。
上記添加用ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、および直鎖状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
また、本工程に用いられる接着層は、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期にわたって安定した機械強度、黄変防止、ひび割れ防止、優れた加工適性を得ることができるからである。
光安定化剤は、接着層に用いられる熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物などの光安定化剤が挙げられる。
紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、接着層に用いられる熱可塑性樹脂中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、および超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01μm〜0.06μm)もしくは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:0.01μm〜0.04μm)などの無機系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
熱安定剤としては、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4‐ビス(1,1−ジメチルエチル)‐6‐メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)[1,1‐ビフェニル]‐4,4´‐ジイルビスホスフォナイト、およびビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系熱安定剤;8‐ヒドロキシ‐5,7‐ジ‐t‐ブチル‐フラン‐2‐オンとo‐キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤などを挙げることができる。リン系熱安定剤とラクトン系熱安定剤とを併用することが好ましい。
酸化防止剤は、接着層に用いられる熱可塑性樹脂の酸化劣化を防止するものである。具体的には、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、およびラクトン系などの酸化防止剤が挙げられる。
これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤の含有量は、その粒子形状、密度などにより異なるものではあるが、それぞれ接着層の材料中0.001質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
さらに接着層に用いられる他の化合物としては上記以外に、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等を挙げることができる。
(2)第2基材の形成方法
本工程において、上記第1電極層上に第2基材を設ける方法は特に限定されるものではないが、第2基材上に上記接着層を形成し、加熱密着法により接着層を介して第1電極層上に第2基材を設ける方法が好ましい。このような加熱密着法については、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の「2.積層基材形成工程」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.第1基材剥離工程
次に、本発明における第1基材剥離工程について説明する。本発明における第1基材形成工程は、上記中間転写媒体の第1基材を剥離する工程である。
本工程において、第1基材を剥離する方法は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の「3.耐熱基板剥離工程」の項に記載した方法の他、剥離液による剥離方法を用いることができる。上記剥離液による剥離方法は、剥離密着層を構成する材料を剥離液により溶解することにより、第1基材を剥離する方法である。このような剥離液としては、剥離密着層を形成する材料を溶解できる溶媒であれば特に限定されず、一般的な溶媒を用いることができる。
本工程により第1基材を剥離する場合の剥離面は、上記剥離密着層の態様により異なる。剥離密着層を単一の層から形成する場合、剥離密着層と酸化物半導体層との界面での剥離、第1基材と剥離密着層との界面での剥離、および剥離密着層の凝集破壊を伴う剥離とすることができる。ここで、上記第1基材と剥離密着層との界面での剥離および剥離密着層の凝集破壊を伴う剥離の場合は、酸化物半導体層上に剥離密着層が残存するため、残存層除去工程により、残存した剥離密着層を除去することが好ましい。
一方、上記剥離密着層を、剥離機能層と密着機能層との2層からなる構成とする場合は、第1基材の剥離は、剥離機能層と密着機能層との界面での剥離または、剥離機能層の凝集破壊を伴う剥離となる。したがって、いずれの場合でも酸化物半導体層上に少なくとも密着機能層が残存するため、残存層除去工程により残存した層を除去すること好ましい。
上記残存層除去工程において、酸化物半導体層上に残存する層を除去する方法としては、酸化物半導体層の品質を損なわず、残存する層のみを除去できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、例えば、残存する層の構成材料が高い溶解性を示す溶媒に接触させることにより除去する方法や、酸・アルカリにより分解する方法を挙げることができる。
3.酸化物半導体電極
本発明より、第2基材上に、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体電極を得ることができる。また、第2基材上に、上記接着層を形成した場合は、第2基材上に、接着層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体層電極を得ることができる。さらに、上記中間転写媒体の第1電極層上に剥離層を有する場合は、第2基材上に、剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体電極、または第2基材上に、接着層と、剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順に積層された酸化物半導体層電極を得ることができる
本発明により製造される酸化物半導体電極は、色素増感型光充電キャパシタに用いられる色素増感型光充電キャパシタ用基材、エレクトロクロミックディスプレイに用いられるエレクトロクロミックディスプレイ用基材、光触媒反応を用いて大気中の汚染物質を分解できる汚染物質分解基板、および色素増感型太陽電池に用いられる色素増感型太陽電池用基材等として用いることができるが、中でも色素増感型太陽電池に用いられる色素増感型太陽電池用基材に好適に用いられる。
C.色素増感型太陽電池の製造方法
次に、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について説明する。本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極、および、対向基材上に第2電極層を備えた対電極基材を用い、上記酸化物半導体電極の酸化物半導体層と、上記対電極基材の第2電極層とを対向させて色素増感型太陽電池用基材対を形成する色素増感型太陽電池用基材対形成工程を有し、上記酸化物半導体電極、または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して、上記酸化物半導体層の多孔質体細孔表面に、色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に、上記第2電極層と上記酸化物半導体層との間、および上記酸化物半導体層の 多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことにより、色素増感型太陽電池を形成することを特徴とするものである。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について図を参照しながら説明する。図3は本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。図3に示すように本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、例えば、予め色素増感剤担持工程を行うことによって、および酸化物半導体層3´の細孔表面に色素増感剤が担持された酸化物半導体電極20aと、第2電極層31および対向基材32を備えた対電極基材30とを用い、上記酸化物半導体電極20aの酸化物半導体層3´と上記第2電極層31とが所定の間隙を有して対向するように設置し、色素増感型太陽電池用基材対を形成する(図3(a))。
次に、図3(b)に示すように、電解質層形成用組成物を、酸化物半導体層3´および第2電極層31間に形成された間隙に注入する。これにより、図3(c)に示すように、酸化物半導体層3´および第2電極層31間に、電解質層41を形成することができる。また、上記電解質層が特に液体状またはゲル状である場合には、溶媒の揮発、電解質層の流失等を防止するため、さらに、図3(d)に示すように、有機ポリマー51等で封止することにより色素増感型太陽電池を製造することができる。
本発明の製造方法によれば、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極を用いることにより、電気伝導性に優れた第1電極層を備える色素増感型太陽電池を製造することができるため、エネルギー変換効率に優れた色素増感型太陽電池を得ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極を用いることにより、第1電極層に取り出し電極を形成することが用意であるため、高生産性でエネルギー変換効率に優れた色素増感型太陽電池を製造することができる。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、色素増感型太陽電池用基材対の形成を行う色素増感型太陽電池用基材対形成工程と、酸化物半導体電極または色素増感型太陽電池用基材対に対して充填処理とにより、色素増感型太陽電池を形成する方法である。以下、本発明に用いられる色素増感型太陽電池用基材対形成工程および充填処理について詳細に説明する。
1.色素増感型太陽電池用基材対形成工程
まず、本発明における色素増感型太陽電池用基材対形成工程について説明する。本発明における色素増感型太陽電池用基材対形成工程は、上述した「B.酸化物半導体電極の製造方法」によって得られる酸化物半導体電極と、対向基材上に第2電極層が形成された対電極基材とを有し、上記第2電極層と上記酸化物半導体電極の酸化物半導体層とが対向して配置された色素増感型太陽電池用基材対を形成する工程である。
本工程においては、対向基材上に第2電極層を形成する対電極基材形成工程により、対電極基材を形成し、上記対電極基材の第2電極層と、上記酸化物半導体電極の酸化物半導体層とを対向して配置することにより、色素増感型太陽電池用基材対を形成することができる。以下、このような色素増感型太陽電池用基材対の形成方法について説明する。
(1)対電極基材形成工程
上記対電極基材形成工程に用いられる対向基材としては、透明なものであっても不透明なものであっても特に限定されるものではないが、例えば、上記対向基材が、色素増感型太陽電池において受光面となる場合には、透明性に優れたものであることが好ましい。さらに、本工程においては対抗基材として、耐熱性、耐候性、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた基材を用いることが好ましい。このような対向基材としては、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の、「2.積層基材形成工程」の項に記載した第1基材として用いられる基材と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本工程により対向基材上に形成される第2電極層について説明する。本工程により形成される第2電極層は、上記酸化物半導体電極の酸化物半導体層と対向し、光照射により生じた電荷を集電するものである。本工程により形成される第2電極層を構成する金属酸化物としては、導電性に優れたもので、かつ、電解質に対する腐食性がないものであれば特に限定はされないが、光の受光面側に位置する場合には、光の透過性に優れているものであることが好ましい。このような第2電極層に用いることができる金属酸化物、第2電極層の形成方法およびその他の点については、上記「A.中間転写媒体の製造方法」に記載した第1電極層形成工程の項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、本工程により形成される第2電極層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、具体的には0.1nm〜500nmの範囲内、中でも、1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
本工程においては、上記第2電極層上に触媒層を形成することが好ましい。触媒層を形成することにより、本発明により得られる色素増感型太陽電池をより発電効率に優れたものにできるからである。このような触媒層の例としては、上記第2電極層上にPtを蒸着した態様を挙げることができるが、この限りではない。
(2)色素増感型太陽電池用基材対の形成方法
次に、色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法について説明する。色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法としては、エネルギー変換効率が良好な色素増感型太陽電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、後述する充填処理の電解質層形成工程に対する本工程を行う時期によって以下のように大別することができる。すなわち、本工程が上記電解質層形成工程より先に行われる場合および本工程が上記電解質層形成工程より後に行われる場合である。
本工程が上記電解質層形成工程より先に行われる場合は、電解質層が形成されていないため、上記酸化物半導体層と上記第2電極との間に、電解質層が形成される間隙を有するように、色素増感型太陽電池用基材対を形成する必要がある。この場合において、色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法としては、上記間隙を備えた色素増感型太陽電池用基材対を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、スペーサを用いる方法等を挙げることができる。上記スペーサとしては、例えば、ガラススペーサ、樹脂スペーサ、またはオレフィン系多孔質膜等を挙げることができる。また、上記間隙としては、電解質層を形成することができる幅を有しているものであれば特に限定されるものではないが、一般的に0.01〜100μmの範囲内、中でも0.1〜50μmの範囲内であることが好ましい。
一方、本工程が上記電解質層形成工程より後に行われる場合は、既に酸化物半導体層上に電解質層が形成されているため、上記のように間隙を設ける必要は無い。この場合において、色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法としては、所望の色素増感型太陽電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記対電極基材を貼り合わせる方法等を挙げることができる。
2.充填処理
次に、本発明における充填処理について説明する。本発明における充填処理は、色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に行われる電解質層形成工程をいうものである。本発明においては、上記充填処理を、酸化物半導体電極または色素増感型太陽電池用基材対に対して行うことにより、色素増感型太陽電池を製造する。以下、本発明における充填処理である、色素増感剤担持工程および電解質層形成工程について説明する。
(1)色素増感剤担持工程
まず、上記充填処理における色素増感剤担持工程について説明する。上記色素増感剤担持工程は、上記酸化物半導体電極または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して行われ、これらの部材の酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持する工程である。
a.色素増感剤
本工程に用いられる色素増感剤は、光照射により電荷が生じるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、有機色素または金属錯体色素を使用することができる。例えば有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系の色素が挙げられる。中でも、クマリン系であることが好ましい。
また、上記金属錯体色素としては、ルテニウム系色素が好ましく、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素が好ましい。酸化物半導体層では、可視光(400〜800nm程度の波長の光)を殆ど吸収することはできないが、例えば、ルテニウム錯体を酸化物半導体層に担持させることにより、大幅に可視光まで取り込んで光電変換を生じさせることができ、光電変換できる光の波長領域を大幅に広げることができるからである。
b.色素増感剤を担持させる方法
本工程において、上記酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、色素増感剤の溶液に上記酸化物半導体層を浸漬した後に乾燥させる方法、あるいは、酸化物半導体電極に対しては、色素増感剤が溶解した溶液を塗布し乾燥させる方法等を挙げることができる。
(2)電解質層形成工程
次に、上記充填処理における電解質層形成工程について説明する。上記電解質層形成工程は、上記第2電極層と酸化物半導体層との間、および上記酸化物半導体層の多孔質体細孔内部に、光照射によって生じた電荷を伝達する電解質層を形成する工程である。
a.電解質層
本工程により得られる電解質層は、色素増感型太陽電池の酸化物半導体層と第2電極層との間に位置し、上記酸化物半導体層に担持された色素増感剤と上記第2電極層との間の電荷輸送を行うものである。上記電解質層は、通常、酸化還元対を含有するものであるが、このような酸化還元対は、一般的に電解質層において用いられているものを用いることができる。具体的には、ヨウ素およびヨウ化物の組合せ、臭素および臭化物の組合せであることが好ましい。例えば、ヨウ素およびヨウ化物の組合せとしては、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物と、Iとの組合せを挙げることができる。さらに、臭素および臭化物の組み合わせとしては、LiBr、NaBr、KBr、CaBr等の金属臭化物と、Brとの組合せを挙げることができる。
また、本工程により得られる電解質層は、必要に応じて、架橋剤、光重合開始剤、増粘剤、常温融解塩等の添加剤を含有していても良い。
また、本工程により得られる電解質層の形態としては、電荷輸送を行うことができるものであれば特に限定されるものではなく、ゲル状、固体状または液体状のいずれの形態であってもよい。電解質層をゲル状とした場合には、物理ゲルと化学ゲルのいずれであってもよい。ここで、物理ゲルは物理的な相互作用で室温付近でゲル化しているものであり、化学ゲルは架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものである。
また、電解質層を液体状とした場合には、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、炭酸プロピレンなどを溶媒とし、酸化還元対を含んだものや、同じくイミダゾリウム塩をカチオンとするイオン性液体を溶媒とすることができる。
さらに、電解質層を固体状とした場合には、酸化還元対を含まずにそれ自身が正孔輸送剤として機能するものであればよく、例えばCuI、ポリピロール、ポリチオフェンなどを含む正孔輸送剤であってもよい。
また、本工程により得られる電解質層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、酸化物半導体層の膜厚も含めて2μm〜100μmの範囲内、その中でも、2μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、酸化物半導体層と第2電極層とが接触しやすくなるため短絡の原因となる可能性があり、上記範囲を超える場合は、内部抵抗が大きくなり性能低下につながる可能性があるからである。
b.電解質層の形成方法
次に、電解質層を形成する方法について説明する。上記電解質層を形成する方法としては、エネルギー変換効率が良好な色素増感型太陽電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、上述した対電極基材形成工程に対する本工程を行う時期によって以下のように大別することができる。すなわち、本工程が上記対電極基材形成工程より先に行われる場合および本工程が上記対電極基材形成工程より後に行われる場合である。
本工程が上記対電極基材形成工程より先に行われる場合は、色素増感型太陽電池用基材対が形成されておらず、酸化物半導体層上に直接電解質層が形成される。そのため、自己支持性を有する電解質層を形成する必要がある。このような電解質層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、上記電解質層の構成成分を含有する電解質層形成用塗工液を酸化物半導体層に塗布し、固化等させることにより電解質層を形成する塗布法が好ましい。
一方、本工程が上記対電極基材形成工程より後に行われる場合は、所定の間隙を有する色素増感型太陽電池用基材対が既に形成されているため、この間隙に電解質層を形成する。この場合において、電解質層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、上記電解質層の構成成分を含有する電解質層形成用組成物を酸化物半導体層および第2電極層間に注入することにより、電解質層を形成する注入法が好ましい。
以下、このような塗布法および注入法について説明する。
(i)塗布法
塗布法は、電解質層の構成成分を含有する電解質層形成用塗工液を上記酸化物半導体電極が有する酸化物半導体層上に塗布し、乾燥させることにより電解質層を形成する方法である。このような形成方法により、主に固体状の電解質層を形成することができる。
このような塗布法において、電解質層形成用塗工液の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができ、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
また、塗布法により電解質層を形成する場合、電解質層を形成する電解質層形成用塗工液としては、少なくとも上記酸化還元対を含むものであれば特に限定はされない。
(ii)注入法
次に、上記酸化物半導体電極が有する酸化物半導体層と、上記対電極基材が有する第2電極層とが対向するように所定の間隙を有して配置させ、その間隙に、電解質層形成用組成物を注入することにより、電解質層を形成する注入法について説明する。
上記注入法により電解質層を形成する場合、電解質層を形成する電解質層形成用組成物としては、少なくとも酸化還元対を有するものであれば特に限定はされないが、形成される電解質層をゲル状とする場合には、さらに、ゲル化剤が含有されたものとする。例えば、物理ゲルの場合は、ゲル化剤としてポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート等を挙げることができる。また、化学ゲルの場合は、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系等を挙げることができる。
上記多孔質層と、対電極基材が有する第2電極層との間隙に電解質層形成用組成物を注入する方法としては、特に限定はされないが、例えば、毛細管現象を利用して注入させる方法や、上記多孔質層と、上記第2電極との間隙を真空状態にし、電解質層形成用組成物を接触させた状態で大気圧に開放することで注入する方法などを挙げることができる。
また、注入法により、電解質層形成用組成物を注入した後、例えば、温度調整、紫外線照射または電子線照射等を行い、二次元または三次元の架橋反応を生じさせることによりゲル状さらには固体状の電解質層を形成することができる。
(3)充填処理を行う時期
次に、上記充填処理を行う時期について説明する。上記充填処理は、上記色素増感剤担持工程および上記電解質層形成工程を有し、上記2つの工程を、酸化物半導体電極または色素増感型太陽電池用基材対に対して行うことにより色素増感型太陽電池を製造する。
本発明においては、上記2つの工程を連続して行う場合であっても良く、上記2つの工程を別々に行う場合であっても良い。以下、上記充填処理において最初に行われる上記色素増感剤担持工程の時期を基準とし、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について例示する。
a.酸化物半導体電極に対して、色素増感剤担持工程を行う場合
酸化物半導体電極に対して、色素増感剤担持工程を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(i)および(ii)の方法を挙げることができる。
(i)上記酸化物半導体電極に対して、上記色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(ii)上記酸化物半導体電極に対して、上記色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記電解質層形成工程および上記対電極基材形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
b.色素増感型太陽電池用基材対に対して、色素増感剤担持工程を行う場合
色素増感型太陽電池用基材対に対して、色素増感剤担持工程を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(iii)の方法を挙げることができる。
(iii)上記色素増感型太陽電池用基材対に対して、上記色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
本発明においては、上記(i)〜(iii)の中でも、特に(ii)に示した色素増感型太陽電池の製造方法が好ましい。
D.中間転写媒体
次に、本発明の中間転写媒体転写について説明する。本発明の中間転写媒体は、第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層と、がこの順で積層された構成を有することを特徴とするものである。
次に本発明の中間転写媒体について図を参照しながら説明する。図4は本発明の中間転写媒体の一例を示す概略断面図である。図4に示すように、本発明の中間転写媒体10は、第1基材5上に、剥離密着層4と、酸化物半導体層3と、第1電極層2と、がこの順で積層された構成を有するものである。
本発明によれば、第1電極層上に酸化物半導体層が形成されていることにより、例えば、第1電極層の平面視上の面積を、酸化物半導体層の平面視上の面積よりも大きくすることにより、電気伝導性に優れ、取り出し電極の形成が容易である中間転写媒体を得ることができる。
本発明の中間転写媒体を構成する第1基材、剥離密着層、酸化物半導体層、および第1電極層は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明の中間転写媒体は、上記第1基材、剥離密着層、酸化物半導体層、および第1電極層以外に、他の層を有していてもよい。このような他の層としては、例えば、保護層と、剥離層とを挙げることができる。
(保護層)
上記保護層は、本発明の中間転写媒体の耐久性および安定性の向上を目的として、上記第1電極層上に形成するものである。このような、保護層が設けられていることにより、本発明の中間転写媒体を酸素および水等の影響を受けにくくすることができる。
このような保護層は、耐熱基板であることが好ましい。本発明の中間転写媒体を製造する方法として、上記第1基材とは別に耐熱基板を準備し、この耐熱基板上に剥離層、第1電極層および酸化物半導体膜をこの順で積層し、これらの部材が形成された耐熱基板を用いて、上記第1基材上に剥離層、第1電極層および酸化物半導体膜を形成する方法とした場合、耐熱基板を剥離せずにそのまま保護層として用いることにより、製造効率およびコスト的に有利に、酸素および水等の影響から中間転写媒体を保護することができるからである。
(剥離層)
上記剥離層は、本発明の中間転写媒体の製造方法を簡略化し、製造効率を向上することを目的として、上記第1電極層上に形成するものである。このような剥離層は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明の中間転写媒体が上記保護層と上記保護層とを有する場合は、上記第1電極層上に上記剥離層が形成され、当該剥離層上に上記保護層が形成されることになる。
本発明の中間転写媒体の製造方法は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明の中間転写媒体の用途は、上記「A.中間転写媒体の製造方法」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例)
(1)剥離層を備える耐熱基板の作製
耐熱基板として厚さ1.1mmの無アルカリガラスを用い、耐熱基板上に、平均粒子径30nmのITO微粒子を含むITO分散液X−101(住友金属鉱山株式会社製)をワイヤーバーにて、厚さ0.7μmとなるように塗布した。
(2)第1電極層の形成
第1電極層形成用塗工液としてエタノールに塩化インジウム0.1mol/l、塩化スズ0.005mol/lを溶解した塗工液を用意した。その後、上記剥離層を形成した基板上に、剥離層を上向きにし、ホットプレート(400℃)上へ設置し、この加熱された剥離層上に、上述した第一電極層形成用塗工液を超音波噴霧器により噴霧し、第一電極層であるITO膜を700nmを形成した。
(3)酸化物半導体層の形成
酸化物半導体層形成用塗工液として、一次粒径20nmのTiO2微粒子(日本アエロジル社製P25)37.5重量%、アセチルアセトン1.25重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量3000)1.88重量%となるようにホモジナイザーを用いて水およびイソプロピルアルコールに溶解および分散させてスラリーを作製した。上記剥離層および第1電極層が形成された耐熱基板上にドクターブレードにて上記酸化物半導体層形成用塗工液を塗布後、室温下にて20分放置の後100℃、30分間乾燥させた。その後、電気マッフル炉(デンケン社製P90)を用い500℃、30分間、大気圧雰囲気下にて焼成した。これにより、中間転写媒体用基板を得た。
(4)中間転写媒体の形成
予め中間転写媒体の第1基材として厚さ100μmのPETフィルム、および剥離密着層としてのシリコーンゴム珪樹(三菱樹脂社製)を積層したものを用意した。
その後、上記第1基材上のシリコーンゴム側と上記中間転写媒体用基板の多孔質酸化物半導体層側をオフィスラミネータ機を用いて貼り合わせた。
貼り合わせ後、無アルカリガラスを剥離することにより、中間転写媒体を得た。
(5)酸化物半導体電極の形成
第2基材として、厚さ125μmのPETフィルムのコロナ処理面に2液硬化型エポキシ接着剤を厚さ4μm塗布して、接着層を形成した後、当該接着層と上記中間転写媒体の剥離層とを貼り合せた。室温にて24時間硬化させた後、第1基材としての上記厚さ100μmのPETフィルムおよびシリコーンゴムを剥離することにより色素増感太陽電池用基材を得た。
(6)太陽電池の作製
得られた色素増感太陽電池用基材上の酸化物半導体層をトリミングすることにより0.8mm□の酸化物半導体電極を形成した。当該酸化物半導体電極を、あらかじめ用意した吸着用色素溶液(ルテニウム錯体(小島化学株式会社RuL(NCS))を無水エタノール溶液に濃度3×10−4mol/lとなるように溶解)に浸漬すること多孔質酸化物半導体層に増感色素が担持された色素増感太陽電池用基材を得た。
このようにして得られた色素増感太陽電池用基材を用いて以下のように色素増感型太陽電池を作製した。電解質層を形成する電解質層形成用塗工液を以下のように調整した。メトキシアセトニトリルを溶媒とし、濃度0.1mol/lのヨウ化リチウム、濃度0.05mol/lのヨウ素、濃度0.3mol/lのジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、濃度0.5mol/lのターシャリーブチルピリジンを溶解させたものを電解液とした。
上記色素増感型太陽電池用電極を、対向基材を厚さ20μmのサーリンフィルムによって貼り合せ、その間に電解質層形成用塗工液を含浸させたものを素子とした。対向基材としては、膜厚150nmを有し、表面抵抗7Ω/□であるITOスパッタ層を有する対向フィルム基材上に膜厚50nmの白金膜をスパッタリングにて付与したものを用いた。
(7)評価
作製した素子の評価は、AM1.5、擬似太陽光(入射光強度100mW/cm)を光源として、色素吸着させた酸化物半導体層を有する基材側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)にて電圧印加により電流電圧特性を測定した。その結果、短絡電流9.4mA/cm、開放電圧650mV、変換効率3.4%であった。
本発明の中間転写媒体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の酸化物半導体電極の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の中間転写媒体の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 … 耐熱基板
2 … 第1電極層
3 … 酸化物半導体層
4 … 剥離密着層
5 … 第1基材
10 … 中間転写媒体
10a … 中間転写媒体用基板
10b … 積層基材
20 … 酸化物半導体電極
21 … 第2基材
30 … 対電極基材
31 … 第2電極層
32 … 対向基材
41 … 電解質層
51 … 有機ポリマー

Claims (10)

  1. 耐熱基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程、および前記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程により、耐熱基板上に第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成する中間転写媒体用基板形成工程と、
    前記中間転写媒体用基板形成工程により形成される中間転写媒体用基板の酸化物半導体層上に、第1基材と、前記第1基材と前記酸化物半導体層との密着性および剥離容易性を備える剥離密着層とを設け、耐熱基板上に、第1電極層と、酸化物半導体層と、剥離密着層と、第1基材とがこの順で積層された積層基材を形成する積層基材形成工程と、
    前記積層基材形成工程により形成される積層基材から前記耐熱基板を剥離する耐熱基板剥離工程と、により
    第1基材上に、少なくとも剥離密着層と、酸化物半導体層と、第1電極層とがこの順で積層された中間転写媒体を形成することを特徴とする中間転写媒体の製造方法。
  2. 前記中間転写媒体用基板形成工程が、前記耐熱基板上に耐熱基板と前記第1電極層との
    剥離性を向上させる剥離層を形成する剥離層形成工程と、
    前記剥離層上に、第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
    前記第1電極層上に金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより多孔質体である酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、により、
    耐熱基板上に剥離層と、第1電極層と、酸化物半導体層とがこの順で形成された中間転写媒体用基板を形成することを特徴とする、請求項1に記載の中間転写媒体の製造方法。
  3. 前記剥離層形成工程が、金属酸化物および樹脂を含有する剥離層形成用塗工液を塗布し、焼成することにより、多孔質体の剥離層を形成することを特徴とする、請求項2に記載の中間転写媒体の製造方法。
  4. 前記積層基材形成工程が、前記第1基材上に前記剥離密着層を形成する剥離密着層付基板形成工程により剥離密着層付基材を形成した後、前記剥離密着層付基材の剥離密着層と、前記中間転写媒体用基板の酸化物半導体層と、を対向するように密着することにより、前記酸化物半導体層上に前記第1基材および前記剥離密着層を設けることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法。
  5. 前記第1基材が樹脂製フイルム基材であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法により形成された中間転写媒体の第1電極層上に、第2基材を設ける第2基材形成工程と、
    前記中間転写媒体の第1基材を剥離する第1基材剥離工程と、を少なくとも有し、
    第2基材上に、少なくとも第1電極層と、酸化物半導体層と、がこの順で積層された酸化物半導体電極を形成することを特徴とする、酸化物半導体電極の製造方法。
  7. 前記第2基材形成工程が、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の中間転写媒体の製造方法により形成された、中間転写媒体の第1電極層上に接着層を介して、第2基材を設けることを特徴とする請求項6に記載の酸化物半導体電極の製造方法。
  8. 前記第2基材が、樹脂製フイルム基材であることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の酸化物半導体電極の製造方法。
  9. 請求項6から請求項8までのいずれかの請求項に記載の酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極、および、対向基材上に第2電極層を備えた対電極基材を用い、前記酸化物半導体電極の酸化物半導体層と、前記対電極基材の第2電極層とを対向させて色素増感型太陽電池用基材対を形成する色素増感型太陽電池用基材対形成工程を有し、
    前記酸化物半導体電極、または前記色素増感型太陽電池用基材対に対して、前記酸化物半導体層の多孔質体細孔表面に、色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および前記色素増感剤担持工程の後に、前記第2電極層と前記酸化物半導体層との間、および前記酸化物半導体層の 多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことにより、色素増感型太陽電池を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  10. 前記対向基材が、樹脂製フイルム基材であることを特徴とする請求項9に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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