JP4915076B2 - 酸化物半導体電極の製造方法 - Google Patents
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Description
まず、本発明の酸化物半導体電極用積層体の製造方法について説明する。本発明の酸化物半導体電極用積層体の積層体の製造方法は、耐熱基板上に有機物および金属酸化物半導体微粒子を含有する介在部形成用塗工液をパターン状に塗布し、固化させて介在部形成用パターンを形成する介在部形成用パターン形成工程と、上記耐熱基板上および上記介在部形成用パターン上に、上記介在部形成用塗工液よりも金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度が高い酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、固化させて酸化物半導体層形成用層を形成する酸化物半導体層形成用層形成工程と、上記介在部形成用パターンおよび酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、介在部および酸化物半導体層を形成する焼成工程と、上記酸化物半導体層上に、第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、を有することを特徴とするものである。
まず、図2(a)に示すように、耐熱基板1上に、介在部形成用塗工液をパターン状に塗布し、固化させて介在部形成用パターン2を形成する(介在部形成用パターン形成工程)。
次に、図2(b)に示すように、耐熱基板1上および介在部形成用パターン2上に酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、固化させて酸化物半導体層形成用層3を形成する(酸化物半導体層形成用層形成工程)。
次に、介在部形成用パターン2および酸化物半導体層形成用層3が積層された耐熱基板1に加熱焼成を施すことにより、図2(c)に示すように、連通孔を有する多孔質体である、介在部2´および酸化物半導体層3´を形成する(焼成工程)。
次に、図2(d)に示すように、酸化物半導体層3´上に第1電極層4を形成する(第1電極層形成工程)ことによって、酸化物半導体電極用積層体Aを得る方法である。
まず、本発明における介在部形成用パターン形成工程について説明する。本発明における介在部形成用パターン形成工程は、耐熱基板上に、有機物および金属酸化物半導体微粒子を含有する介在部形成用塗工液をパターン状に塗布し、固化させて介在部形成用パターンを形成する工程である。
まず、本工程に用いられる介在部形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる介在部形成用塗工液は、少なくとも金属酸化物半導体微粒子および有機物を含有するものである。
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子は、最終的に介在部形成用パターンが介在部になった際に、電荷を伝導する機能を有するものである。上記金属酸化物半導体微粒子を介在部形成用塗工液に添加することによって、熱膨張係数の差によるクラック等が発生することを防止することができる。
このような粒径の異なる複数の金属酸化物半導体微粒子の混合物としては、同種類の金属酸化物半導体微粒子の混合物であっても良く、または異なる種類の金属酸化物半導体微粒子の混合物であってもよい。異なる粒径の組み合わせとしては、例えば、10〜50nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子と、50〜800nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子とを混合して用いる態様を挙げることができる。
次に、上記介在部形成用塗工液に用いられる有機物について説明する。上記介在部形成用塗工液に用いられる有機物としては、後述する焼成工程において分解されやすいものであれば特に限定はされない。中でも本工程においては、上記有機物として合成樹脂を用いることが好ましい。合成樹脂は分子量や材質を任意に選択することにより、所望の熱分解性を備える化合物を得ることができるため、後述する焼成処理の処理条件の制約が少なくなる等の利点を有するからである。
本工程に用いられる介在部形成用塗工液は、溶媒を含有しない塗工液であっても良く、溶媒を含有する塗工液であっても良い。介在部形成用塗工液に溶媒が含有されている場合には、用いる有機物に対して良溶媒であることが好ましく、本工程に用いられる溶媒の選定は、溶媒の揮発性と、使用する有機物の溶解性を主に考慮して適宜選択する。具体的には、ケトン類、炭化水素類、エステル類、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、グリコール誘導体、エーテル類、エーテルエステル類、アミド類、アセテート類、ケトンエステル類、グリコールエーテル類、スルホン類、スルホキシド類等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール、テルピネオール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、ブチルカルビトール等の有機溶媒であることが好ましい。介在部形成用塗工液は耐熱基板上に塗布されるため上記有機溶媒を用いることにより、耐熱基板上に濡れ性良く塗布することができるからである。
また、本工程においては、上記介在部形成用塗工液の塗工適性を向上させるために、各種添加剤を用いてもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤等を用いることができる。上記pH調製剤としては、例えば、硝酸、塩酸、酢酸、ジメチルホルムアミド、アンモニア等を挙げることができる。また、分散助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のポリマー、界面活性剤、酸、キレート剤等を挙げることができる。
本工程において用いる耐熱基板としては、後述する焼成処理時の加熱温度に対する耐熱性を有するものであれば特に限定されない。このような耐熱基板としては、ガラス、セラミックス、または金属板等からなる耐熱基板を挙げることができる。中でも本工程においては、耐熱基板として可撓性のある金属板を用いることが好ましい。このような耐熱基板を用いることにより、後述する焼成処理を十分に高温で行うことができるので、金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高くすることができるからである。また、上記耐熱基板は、リユースすることが好ましい。
本工程において、上記耐熱基板上に上記介在部形成用塗工液をパターン状に塗布する方法としては、所望の介在部形成用パターンを得ることができる方法であれば特に限定されないが、例えば、公知の塗布方法を用いて耐熱基板全面に介在部形成用塗工液を塗布することにより、耐熱基板上に介在部形成用層を形成し、次に、介在部形成用層に対して所定のパターンを有するようにマスキングを行い、その後、介在部形成用層を溶解することができる溶媒を用いて、マスキングされていない領域を除去する方法等が挙げられる。上記公知の塗布方法としては、具体的にはダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。また、介在部形成用層を溶解することができる溶媒としては、例えば、介在部形成用塗工液に用いられている溶媒等を挙げることができる。
本工程により得られる介在部形成用パターンの形状は、本発明の製造方法により得られる酸化物半導体電極用積層体の用途等に応じて任意に決定すればよい。なかでも本発明においては、具体的には、短冊状、正方形状、円形状、楕円形状、台形状あるいは意匠性を持った図形、文字、絵または記号等が挙げられ、中でも、集電効率向上の観点から短冊状が好ましい。
次に、酸化物半導体層形成用層形成工程について説明する。本発明における酸化物半導体層形成用層形成工程は、上記耐熱基板および上記介在部形成用パターン上に、上記介在部形成用塗工液よりも金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度が高い酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、固化させて酸化物半導体層形成用層を形成する工程である。
本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液について説明する。本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液は、少なくとも、金属酸化物半導体微粒子および樹脂を含有するものであり、上記介在部形成用塗工液よりも金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度が高く調整されている。
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子は、最終的に酸化物半導体層形成用層が酸化物半導体層になった際に、電荷を伝導する機能を有するものである。
本工程に用いられる樹脂は、後述する焼成工程により多孔質体の空孔を付与するために用いられるものである。また、樹脂の使用量を変化させることにより、酸化物半導体層形成用塗工液の粘度を調整することができる。
本工程に用いられる酸化物半導体層形成用塗工液は、溶媒を含有しない塗工液であっても良く、溶媒を含有する塗工液であっても良い。酸化物半導体層形成用塗工液に溶媒を用いた場合には、上述した樹脂が溶解するものであり、かつ、上述した介在部形成用パターンの形成に使用する有機物が溶解しにくいものであれば特に限定はされない。具体的には、水またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール等の各種溶剤を挙げることができる。中でも、水ないしアルコール系の溶媒であることが好ましい。水またはアルコール系溶媒は、上記介在部形成用塗工液に用いられる有機溶媒と混合しないため、上記介在部形成用パターンと酸化物半導体層形成用層とが混合することを防止できるからである。
また、本工程においては、上記酸化物半導体層形成用塗工液の塗工適性を向上させるために、各種添加剤を用いてもよい。例えば、添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤等を用いることができるが、上記「1.介在部形成用パターン形成工程」に用いられるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本工程においては、特に、分散助剤としてポリエチレングリコールを使用することが好ましい。ポリエチレングリコールの分子量を変えることで、分散液の粘度が調節可能となり、剥がれにくい酸化物半導体層の形成、酸化物半導体層の空孔率の調整等を行うことができるからである。
本工程において、上記酸化物半導体層形成用塗工液を上記介在部形成用パターン上に塗布する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定はされないが、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
本工程により得られる酸化物半導体層形成用層の膜厚としては、後述する焼成工程において多孔質体として形成された際に、後述する「3.焼成工程」の中に記載した膜厚となるように調整して決定することが好ましい。具体的には、1μm〜65μmの範囲内、中でも、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。なお、ここでいう酸化物半導体層形成用層の膜厚とは、耐熱基板上に形成された介在部形成用パターンの上端部から、耐熱基板上および介在部形成用パターン上に形成された酸化物半導体層の上端部までをいうものである。
次に、本発明における焼成工程について説明する。本発明における焼成工程は、上記介在部形成用パターンおよび酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、介在部および酸化物半導体層を形成する工程である。本工程により、連通孔を有する多孔質体として形成された介在部および酸化物半導体層を形成することができる。
次に、本発明における第1電極層形成工程について説明する。本発明における第1電極層形成工程は、上記酸化物半導体層上に第1電極層を設ける工程である。なお、本工程により得られる第1電極層は、後述する第1電極パターン形成処理等により、第1電極パターンとなる。
以下、本工程における溶液スプレー法およびスプレー法について詳細に説明する。
本工程における溶液スプレー法は、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体が溶解した下地第1電極層形成用塗工液を、上記酸化物半導体層に接触させることにより、上記酸化物半導体層の内部または表面に下地第1電極層を設ける溶液処理工程と、上記下地第1電極層上に上側第1電極層を設けるスプレー処理工程とを行い、酸化物半導体層上に第1電極層を設ける方法である。
以下、上記溶液スプレー法における溶液処理工程およびスプレー処理工程について説明する。
上記溶液スプレー法における溶液処理工程は、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体が溶解した下地第1電極層形成用塗工液を、上記酸化物半導体層に接触させることにより、上記酸化物半導体層の内部または表面に下地第1電極層を設ける工程である。
まず、上記溶液処理工程に用いられる下地第1電極層形成用塗工液について説明する。上記溶液処理工程に用いられる下地第1電極層形成用塗工液は、少なくとも第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体(以下、これらを「金属源」とする場合がある。)が溶媒に溶解しているものである。また、下地第1電極層形成用塗工液は、酸化剤および還元剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。酸化剤および/または還元剤の作用により、下地第1電極層が生じやすい環境とすることができるからである。
下地第1電極層形成用塗工液に用いられる金属源は、第1電極層を構成する金属元素を有するものであり、下地第1電極層を形成することができるものであれば、金属塩であっても良く、金属錯体であっても良い。なお、本発明における「金属錯体」とは、金属イオンに対して無機物または有機物が配位したもの、あるいは、分子中に金属−炭素結合を有する、いわゆる有機金属化合物を含むものである。
下地第1電極層形成用塗工液に用いられる酸化剤は、上述した金属源が溶解してなる金属イオン等の酸化を促進する働きを有するものである。金属イオン等の価数を変化させることにより、下地第1電極層の発生しやすい環境とすることができる。
下地第1電極層形成用塗工液に用いられる還元剤は、分解反応により電子を放出し、水の電気分解によって水酸化物イオンを発生させ、下地第1電極層形成用塗工液のpHを上げる働きを有するものである。下地第1電極層形成用塗工液のpHが上昇することで、下地第1電極層の発生しやすい環境とすることができる。
下地第1電極層形成用塗工液に用いられる溶媒は、上述した金属塩等を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金属源が金属塩の場合は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒等を挙げることができ、金属源が金属錯体の場合は、上述した低級アルコール、トルエン、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、下地第1電極層形成用塗工液は、補助イオン源や界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
次に、上記溶液処理工程における酸化物半導体層と下地第1電極層形成用塗工液との接触方法について説明する。このような接触方法としては、上述した酸化物半導体層と上述した下地第1電極層形成用塗工液とを接触させる方法であれば、特に限定されるものではなく、具体的には、ディッピング法、枚葉式による方法、溶液を霧状にして塗布する方法、等が挙げられる。
次に、上記溶液処理工程により形成される下地第1電極層について説明する。後述する方法により酸化物半導体層の内部等に設けられる下地第1電極層は、その後のスプレー処理工程により、所望の緻密性を有した第1電極層を得ることができれば、特に限定されるものではなく、例えば、酸化物半導体層内部から表面にかけて存在し、酸化物半導体層を完全に被覆した膜であっても良く、上記酸化物半導体層表面を部分的に被覆しているものであっても良い。上記酸化物半導体層表面を部分的に被覆している下地第1電極層の具体例としては、例えば、多孔質体である上記酸化物半導体層の内部に海島状に存在している場合等を挙げることができる。また、本工程に用いられる溶液スプレー法は、上記溶液処理工程の後に、後述するスプレー処理工程を行うものであるが、上記溶液処理工程により多孔質体である酸化物半導体層の内部または表面に下地第1電極層を得ることができるので、後述するスプレー処理工程に限らず、公知の成膜方法を用いた場合であっても緻密な第1電極層を得ることができる。
上記溶液スプレー法におけるスプレー処理工程は、上述した溶液処理工程により形成された下地第1電極層上にスプレー法により上側第1電極層を設ける工程である。以下、上記スプレー法について説明する。
まず、上記スプレー法に用いられる上側第1電極層形成用塗工液について説明する。上記スプレー法に用いられる上側第1電極層形成用塗工液は、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体が溶媒に溶解したものである。
上側第1電極層形成用塗工液に用いられる金属源は、上側第1電極層を構成する金属元素を有するものであり、上側第1電極層を形成することができるものであれば、金属塩であっても良く、金属錯体であっても良い。上記金属源の種類は、上述した溶液処理工程に記載された下地第1電極層形成用塗工液の金属塩と同じものを用いることができるが、中でも、透過性、導電性を有した上側第1電極層を得ることができる金属源であることが好ましい。上側第1電極層は、特に集電電極として作用するからである。このような上側第1電極層を構成する金属酸化物としては、透過性、導電性を有した上側第1電極層を構成することができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ITO、ZnO、FTO(フッ素ドープ酸化すず)、ATO(アンチモンドープ酸化すず)、SnO2(TO)等が挙げられる。このような金属酸化物を構成する金属源としては、ITOの場合、例えば、トリス(アセチルアセトナート)インジウム(III)、2−エチルヘキサン酸インジウム(III)、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。また、上記ZnOの場合、亜鉛アセチルアセトナート、乳酸亜鉛三水和物、サリチル酸亜鉛三水和物、ステアリン酸亜鉛等を用いることができる。また、上記FTOの場合、例えば、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができ、フッ素ドーピング剤としてはフッ化アンモニウム等を用いることができる。また、上記ATOの場合、例えば、アンチモン(III)ブトキシド、アンチモン(III)エトキシド、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。また、上記SnO2(TO)の場合、テトラエチルすず、酸化ジブチルすず(IV)、トリシクロヘキシルすず(IV)ヒドロキシド等を用いることができる。
また、上側第1電極層形成用塗工液に用いられる酸化剤、還元剤、溶媒および添加剤等については、上述した溶液処理工程に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、上記スプレー法における上側第1電極層形成用塗工液と上記下地第1電極層との接触方法について説明する。このような接触方法としては、上述した上側第1電極層形成用塗工液と上述した下地第1電極層とを接触させる方法であれば、特に限定されるものではないが、上記上側第1電極層形成用塗工液と上記下地第1電極層とが接触する際に、加熱された下地第1電極層の温度を低下させない方法であることが好ましい。下地第1電極層の温度が低下すると所望の第1電極層を得ることができない可能性があるからである。
次に、上記スプレー法において形成される上側第1電極層について説明する。上記スプレー法において、上記上側第1電極層は、上記下地第1電極層を上側第1電極層形成温度以上の温度に加熱し、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体が溶解した上側第1電極層形成用塗工液と接触させることにより、上記下地第1電極層上に得られるものである。
(2)スプレー法
次に、本工程におけるスプレー法について説明する。本工程におけるスプレー法は、上記酸化物半導体層を第1電極層形成温度以上の温度に加熱し、第1電極層を構成する金属元素を有する金属塩または金属錯体が溶解した第1電極層形成用塗工液と接触させることにより、上記酸化物半導体層上に第1電極層を設ける方法である。
本発明の酸化物半導体電極用積層体の製造方法においては、上記第1電極層形成工程後に、第1電極層をパターン状に成形し、第1電極パターンを形成する第1電極パターン形成工程を行っても良い。第1電極パターン形成工程については、後述する「D.色素増感型太陽電池の製造方法」で詳細に説明する。また、本発明においては、上記第1電極層が第1電極パターンであるものであっても、酸化物半導体電極用積層体と呼ぶことができる。後述する耐熱基板付酸化物半導体電極、酸化物半導体電極、色素増感型太陽電池用基材対についても同様である。
次に、本発明により得られる酸化物半導体電極用積層体について説明する。本発明により得られる酸化物半導体電極用積層体は、例えば図2(d)に示されるように、耐熱基板1と、上記耐熱基板1上に形成された介在部2´と、上記耐熱基板1上および上記介在部2´上に形成された酸化物半導体層3´と、上記酸化物半導体層3´上に形成された第1電極層4とを有するものである。本発明により得られる酸化物半導体電極用積層体の各構成については、上記の各工程に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法について説明する。本発明の耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法としては、以下の二態様が挙げられる。
すなわち、上記酸化物半導体電極用積層体の製造方法によって得られる酸化物半導体電極用積層体の第1電極層上に基材を設ける基材形成工程を行うことを特徴とする態様(第一態様)、および耐熱基板上に有機物および金属酸化物半導体微粒子を含有する介在部形成用塗工液をパターン状に塗布し、固化させて介在部形成用パターンを形成する介在部形成用パターン形成工程と、上記耐熱基板上および上記介在部形成用パターン上に、上記介在部形成用塗工液よりも金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度が高い酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、固化させて酸化物半導体層形成用層を形成する酸化物半導体層形成用層形成工程と、上記介在部形成用パターンおよび酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、介在部および酸化物半導体層を形成する焼成工程と、を行うことにより、酸化物半導体基板を形成し、上記酸化物半導体基板と、基材および第1電極層を備えた電極基材とを用い、上記酸化物半導体層と上記第1電極層とを重ね合わせることを特徴とする態様(第二態様)である。
以下、上記第一態様および上記第二態様について詳細に説明する。
本態様の耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法は、上記酸化物半導体電極用積層体の製造方法によって得られる酸化物半導体電極用積層体の第1電極層上に基材を設ける基材形成工程を行うことを特徴とする態様である。
以下、本態様における基材形成工程について詳細に説明する。
まず、本工程に用いられる酸化物半導体電極用積層体について説明する。本工程に用いられる酸化物半導体電極用積層体の各構成については、上記「A.酸化物半導体電極用積層体の製造方法」に記載されたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本工程に用いられる基材について説明する。本工程に用いることができる基材は、所望の透明性を有するものであれば特に限定されないが、通常、波長400nm〜1000nmの光に対する透過率が、78%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
また、本工程において上記共重合体は、シラノール触媒による架橋をしていてもしていなくてもどちらでもよい。
次に、上記酸化物半導体電極用積層体の第1電極層上に基材を形成する方法について説明する。上記第1電極層上に基材を形成する方法としては、第1電極層上に密着性良く基材を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではないが、例えば、上記酸化物半導体電極用積層体の第1電極層と、上記基材とを熱融着する方法等が挙げられる。熱融着する際の加熱方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には、ヒートバーを用いる方法、ランプを用いる方法、レーザーを用いる方法、電磁誘導加熱を用いる方法、超音波摩擦加熱を用いる方法等を挙げることができ、中でも、レーザーを用いる方法が好ましい。上記方法に用いられるレーザーとしては、例えば固体レーザー(YAGレーザー)、半導体レーザー等を挙げることができる。
本態様の耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法は、耐熱基板上に有機物および金属酸化物半導体微粒子を含有する介在部形成用塗工液をパターン状に塗布し、固化させて介在部形成用パターンを形成する介在部形成用パターン形成工程と、上記耐熱基板上および上記介在部形成用パターン上に、上記介在部形成用塗工液よりも金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度が高い酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、固化させて酸化物半導体層形成用層を形成する酸化物半導体層形成用層形成工程と、上記介在部形成用パターンおよび酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、介在部および酸化物半導体層を形成する焼成工程と、を行うことにより、酸化物半導体基板を形成し、上記酸化物半導体基板と、基材および第1電極層を備えた電極基材とを用い、上記酸化物半導体層と上記第1電極層とを重ね合わせることを特徴とするものである。
以下、本態様に用いられる酸化物半導体基板、および電極基材の設置方法について詳細に説明する。
まず、本工程に用いられる酸化物半導体基板について説明する。本工程に用いられる酸化物半導体基板は、例えば図7(a)に示すように、耐熱基板1と、上記耐熱基板1上に形成された介在部2´と、上記耐熱基板1上および上記介在部2´上に形成された酸化物半導体層3´とを有するものである。本態様に用いられる酸化物半導体基板は、耐熱基板に対して、介在部形成用パターン形成工程、酸化物半導体層形成用層形成工程および焼成工程を行うことによって形成することができるが、耐熱基板および上記工程については、上述した「A.酸化物半導体電極用積層体の製造方法」に記載されたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本態様に用いられる電極基材について説明する。本態様に用いられる電極基材は、基材および第1電極層を備えるものである。上記基材および上記第1電極層については、上記第一態様に用いられるものと同様であるので。ここでの説明は省略する。
次に、上記酸化物半導体基板の酸化物半導体層上に電極基材を形成する方法について説明する。上記酸化物半導体層上に基材を形成する方法としては、酸化物半導体層上に密着性良く電極基材を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではないが、例えば、上記酸化物半導体基板の酸化物半導体層を、マイクロ波等で選択的に加熱し、酸化物半導体層と上記電極基材の第1電極層とを接着する方法等が挙げられる。
次に、本発明により得られる耐熱基板付酸化物半導体電極について説明する。本発明により得られる耐熱基板付酸化物半導体電極は、例えば6(b)に示すように、耐熱基板1と、上記耐熱基板1上に形成された介在部2´と、上記耐熱基板1上および上記介在部2´上に形成された酸化物半導体層3´と、上記酸化物半導体層3´上に形成された第1電極層4と、上記第1電極層4上に形成された基材5とを有するものである。本発明により得られる耐熱基板付酸化物半導体電極の各構成については、上記の各工程に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本発明においては、上記第一態様において、基材が上記接着層を備える場合は、第1電極層と基材との間に接着層を備えた耐熱基板付酸化物半導体電極とすることができる。また、上記第二態様において、電極基材が上記導電性を有する接着層を備える場合は、酸化物半導体層と第1電極層との間に導電性を有する接着層を備えた耐熱基板付酸化物半導体電極とすることができる。
本発明の酸化物半導体電極の製造方法は、上記耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法によって得られる耐熱基板付酸化物半導体電極から、耐熱基板を剥離する剥離工程を行うことを特徴とするものである。
以下、本発明における剥離工程について詳細に説明する。
まず、本工程に用いられる耐熱基板付酸化物半導体電極について説明する。本工程に用いられる耐熱基板付酸化物半導体電極の各構成については、上記「B.耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法」に記載されたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、上記耐熱基板付酸化物半導体電極の耐熱基板を介在部から剥離する方法について説明する。上記耐熱基板を剥離する方法としては、耐熱基板と介在部とを剥離できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば耐熱基板がフレキシブルなものであって、Roll to Roll方式で行う場合は、上記耐熱基板付酸化物半導体電極の耐熱基板および基材を別々のヒートロールで貼り合わせ、その後、耐熱基板および酸化物半導体電極を別々に巻き取る方法等が挙げられる。また、例えば耐熱基板がリジッドなものである場合は、上記耐熱基板付酸化物半導体電極の基板をヒートロールで貼り合わせ、酸化物半導体電極を巻き取る方法等が挙げられる。なお、本発明においては、耐熱基板と介在部とを剥離する際、耐熱基板および介在部の種類等によって、耐熱基板と介在部とが界面剥離を起こす場合と、介在部が凝集破壊を起こし、耐熱基板上に介在部の一部が残留する場合とがある。
また本工程においては、耐熱基板を機械的研磨除去や、エッチングなどによる化学的除去により剥離することもできる。
本発明の酸化物半導体電極の製造方法においては、上記剥離工程後に、第1電極層をパターン状に成形し、第1電極パターンを形成する第1電極パターン形成工程を行っても良い。第1電極パターン形成工程については、後述する「D.色素増感型太陽電池の製造方法」で詳細に説明する。また、本発明においては、上記第1電極層が第1電極パターンであるものであっても、酸化物半導体電極と呼ぶことができる。
次に、本発明により得られる酸化物半導体電極について説明する。本発明により得られる酸化物半導体電極は、例えば図8(b)に示されるように、基材5から順に、第1電極層4、パターン化された酸化物半導体層3´およびパターン化された介在部2´が順に積層してなるものである。本発明により得られる酸化物半導体電極の各構成については、上記の工程に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本発明においては、上記耐熱基板が上述した「A.酸化物半導体電極用積層体」に記載した濡れ性変化層を表面に備えている場合は、上記介在部中に上記光触媒および/または上記特性変化材料が含有された酸化物半導体電極とすることができる。
次に、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について説明する。本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、上記酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極と、第2電極パターンおよび対向基材を備えた対電極基材とを用い、上記介在部と上記第2電極パターンを対向させて色素増感型太陽電池用基材対を形成する対電極基材形成工程を有し、上記酸化物半導体電極用積層体、上記耐熱基板付酸化物半導体電極、上記酸化物半導体電極、または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して、上記介在部および上記酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に、上記第2電極パターンと上記介在部との間、および上記酸化物半導体層と上記介在部との多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことを特徴とするものである。
まず、本発明に用いられる色素増感型太陽電池用基材対について説明する。本発明に用いられる色素増感型太陽電池用基材対は、上述した「C.酸化物半導体電極の製造方法」によって得られる酸化物半導体電極と、第2電極パターンおよび対向基材を備えた対電極基材とを用い、上記介在部と上記第2電極パターンを対向させる対電極基材形成工程を行うことにより、得られるものである。
以下、本発明における対電極基材形成工程について説明する。
まず、本工程に用いられる対向基材について説明する。本工程に用いられる対向基材は、後述する第2電極パターンを担持するものである。本工程に用いられる対向基材としては、透明なものであっても不透明なものであっても特に限定されるものではないが、例えば、上記対向基材が、色素増感型太陽電池において受光面となる場合には、透明性に優れたものであることが好ましい。さらに、本発明においては、耐熱性、耐候性、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた基材を用いることが好ましい。このような対向基材としては、上記「B.耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本工程に用いられる第2電極パターンについて説明する。本工程に用いられる第2電極パターンは、上記酸化物半導体電極の介在部と対向し、光照射により生じた電荷を集電するものである。上記第2電極パターンは、色素増感型太陽電池を作製した際に、通常、後述する第1電極パターンと対向するように形成されるものである。本工程に用いられる第2電極パターンを構成する金属酸化物としては、導電性に優れたもので、かつ、電解質に対する腐食性がないものであれば特に限定はされないが、光の受光面側に位置する場合には、光の透過性に優れているものであることが好ましい。このような第2電極パターンに用いることができる金属酸化物は、上記「A.酸化物半導体電極用積層体の製造方法」に記載した第1電極層を構成する金属酸化物と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、第2電極パターンを構成する金属酸化物としては、上記第1電極層を構成する構成成分の仕事関数等を考慮して適宜選択されることが好ましい。また、本発明に用いられる第2電極パターンの膜厚としては、特に限定されるものではないが、具体的には0.1〜500nmの範囲内、中でも、1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
次に、色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法について説明する。色素増感型太陽電池用基材対を形成する方法としては、エネルギー変換効率が良好な色素増感型太陽電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、後述する充填処理の電解質層形成工程に対する本工程を行う時期によって以下のように大別することができる。すなわち、本工程が上記電解質層形成工程より先に行われる場合および本工程が上記電解質層形成工程より後に行われる場合である。
次に、本発明における充填処理について説明する。本発明における充填処理は、色素増感剤担持工程、および上記色素増感剤担持工程の後に行われる電解質層形成工程をいうものである。本発明においては、上記充填処理を、酸化物半導体電極用積層体、耐熱基板付酸化物半導体電極、酸化物半導体電極または色素増感型太陽電池用基材対に対して行うことにより、色素増感型太陽電池を製造する。以下、本発明における充填処理である、色素増感剤担持工程および電解質層形成工程について説明する。
まず、上記充填処理における色素増感剤担持工程について説明する。上記色素増感剤担持工程は、上記酸化物半導体電極用積層体、上記耐熱基板付酸化物半導体電極、上記酸化物半導体電極または上記色素増感型太陽電池用基材対に対して行われ、これらの部材の介在部および酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持する工程である。
本工程に用いられる色素増感剤は、光照射により電荷が生じるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、有機色素または金属錯体色素を使用することができる。例えば有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系の色素が挙げられる。中でも、クマリン系であることが好ましい。
本工程において、上記介在部および上記酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、色素増感剤の溶液に上記酸化物半導体層および上記介在部を浸漬した後に乾燥させる方法、あるいは、耐熱基板を有さず介在部が露出している部材、例えば酸化物半導体電極等に対しては、色素増感剤が溶解した溶液を塗布し乾燥させる方法等を挙げることができる。
次に、上記充填処理における電解質層形成工程について説明する。上記電解質層形成工程は、上記第2電極パターンと上記介在部との間、および上記酸化物半導体層および上記介在部の多孔質体細孔内部に、光照射によって生じた電荷を伝達する電解質層を形成する工程である。
本工程により得られる電解質層は、色素増感型太陽電池の介在部と第2電極パターンとの間に位置し、上記介在部および上記酸化物半導体層に担持された色素増感剤と上記第2電極パターンとの間の電荷輸送を行うものである。上記電解質層は、通常、酸化還元対を含有するものであり、上記酸化還元対としては、一般的な色素増感型太陽電池の電解質に用いられるものを使用することができる。具体的な酸化還元対としては、ヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物が挙げられる。さらに、上記ヨウ素化合物としては、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物等が挙げられ、上記臭素化合物としては、LiBr、NaBr、KBr、CaBr2等が挙げられる。
なお、本発明においては、上記介在部および上記酸化物半導体層は多孔質であるので、上記ゲル化した酸化還元対および上記液体化した酸化還元対を用いた場合は、多孔質内部に上記酸化還元対の一部が移動する。
介在部および酸化物半導体層の膜厚も含めて2μm〜100μmの範囲内、その中でも、2μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、介在部と第2電極パターンとが接触しやすくなるため短絡の原因となる可能性があり、上記範囲を超える場合は、内部抵抗が大きくなり性能低下につながる可能性があるからである。
次に、電解質層を形成する方法について説明する。上記電解質層を形成する方法としては、エネルギー変換効率が良好な色素増感型太陽電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、上述した対電極基材形成工程に対する本工程を行う時期によって以下のように大別することができる。すなわち、本工程が上記対電極基材形成工程より先に行われる場合および本工程が上記対電極基材形成工程より後に行われる場合である。
次に、本発明における第1パターン形成処理について説明する。本発明における第1電極パターン処理は、第1電極層をパターン状に成形し、第1電極パターンを形成する処理である。この際、第1電極パターンは介在部等のパターンに合わせて形成され、かつ介在部等のパターンよりも大きな面積を有するように形成される。第1電極パターン処理を行うことにより、上記「A.酸化物半導体電極用積層体」において説明した、パターン化された介在部および酸化物半導体層、ならびに第1電極パターンからなるセルを形成することができ、これらのセルを並列に接続し出力電流を向上させたり、直列に接続し出力電圧を向上させることができる。第1電極層をパターン状に成形する方法としては、所望のセルを形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、レーザースクライブ、ウェットエッチング、リフトオフ、ドライエッチング、メカニカルスクライブ等が挙げられ、中でもレーザースクライブおよびメカニカルスクライブが好ましい。また、第1電極層をパターン状に成形する別の方法としては、例えば、第1電極層および基材の間に、上記「B.耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法」で説明した接着層をパターン化して用いる方法等が挙げられる。具体的には、基材上に上記接着層をパターン状に形成し、このパターン化された接着層と上記酸化物半導体電極用積層体の第1電極層とを張り合わせることによって、耐熱基板付酸化物半導体電極を作製する。このような耐熱基板付酸化物半導体電極から耐熱基板を剥離すると、第1電極層は、パターン化された接着層が存在する部分のみ酸化物半導体電極に残り、結果として、第1電極パターンを得ることができる。この際、パターン化された接着層の面積を、対応するパターン化された介在部の面積よりも大きくすることにより、介在部等よりも大きな面積を有する第1電極パターンを備えた酸化物半導体電極を形成することができる。
次に、上記充填処理および上記第1電極パターン形成処理を行う時期について説明する。上記充填処理は、上述したように色素増感剤担持工程および上記電解質層形成工程を有するものであり、上記2つの工程を、酸化物半導体電極用積層体、耐熱基板付酸化物半導体電極、酸化物半導体電極または色素増感型太陽電池用基材対に対して行う。本発明においては、上記2つの工程を連続して行う場合であっても良く、上記2つの工程を別々に行う場合であっても良い。また、上記第1電極パターン形成処理は、上述したように第1電極層を介在部等のパターンに沿って成形する処理であり、酸化物半導体電極用積層体または酸化物半導体電極に対して行う。なお、本発明においては、上記第1電極パターン形成処理を行わない場合であっても、色素増感型太陽電池を得ることができる。
酸化物半導体電極用積層体に対して、まず、色素増感剤担持工程を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(i)および(iv)の方法を挙げることができる。
(ii)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記基材形成工程、上記剥離工程、上記第1電極パターン形成処理、上記電解質層形成工程および上記対電極基材形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(iii)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記第1電極パターン形成処理、上記基材形成工程、上記剥離工程、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(iv)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記基材形成工程、上記剥離工程、上記第1電極パターン形成処理、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
酸化物半導体電極用積層体に対して、まず、第1電極パターン形成処理を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(v)および(xi)の方法を挙げることができる。
(v)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記第1電極パターン形成処理を行い、次いで、上記色素増感剤担持工程、上記基材形成工程、上記剥離工程、上記電解質層形成工程および上記対電極基材形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(vi)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記第1電極パターン形成処理を行い、次いで、上記基材形成工程、上記色素増感剤担持工程、上記剥離工程、上記電解質層形成工程および上記対電極基材形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(vii)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記第1電極パターン形成処理を行い、次いで、上記基材形成工程、上記剥離工程、上記色素増感剤担持工程、上記電解質層形成工程および上記対電極基材形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(ix)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記第1電極パターン形成処理を行い、次いで、上記基材形成工程、上記色素増感剤担持工程、上記剥離工程、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(x)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記第1電極パターン形成処理を行い、次いで、上記基材形成工程、上記剥離工程、上記色素増感剤担持工程、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(xi)上記酸化物半導体電極用積層体に対して、上記第1電極パターン形成処理を行い、次いで、上記基材形成工程、上記剥離工程、上記対電極基材形成工程、上記色素増感剤担持工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
耐熱基板付酸化物半導体電極に対して、まず色素増感剤担持工程を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(xii)および(xiii)の方法を挙げることができる。
(xii)上記耐熱基板付酸化物半導体電極に対して、色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記剥離工程、上記第1電極パターン形成処理、上記電解質層形成工程および上記対電極基材形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
(xiii)上記耐熱基板付酸化物半導体電極に対して、色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記剥離工程、上記第1電極パターン形成処理、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
酸化物半導体電極に対して、まず色素増感剤担持工程を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(xiv)および(xv)の方法を挙げることができる。
(xv)上記酸化物半導体電極に対して、上記色素増感剤担持工程を行い、次いで、上記第1電極パターン形成処理、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
酸化物半導体電極に対して、まず第1電極パターン形成処理を行う場合における色素増感型太陽電池の製造方法としては、以下の(xvi)および(xvii)の方法を挙げることができる。
(xvii)上記酸化物半導体電極に対して、上記第1電極パターン形成処理を行い、次いで、上記色素増感剤担持工程、上記対電極基材形成工程および上記電解質層形成工程をこの順で行うことにより、色素増感型太陽電池を形成する色素増感型太陽電池の製造方法
次に、本発明により得られる色素増感型太陽電池について説明する。本発明により得られる色素増感型太陽電池は、例えば、図9(d)に示すように、基材5上に、第1電極パターン4´、パターン化された酸化物半導体層3´およびパターン化された介在部2´を順に備えた酸化物半導体電極と、上記介在部2´に対向し、第2電極パターン6よび対向基材7を備えた対電極基材と、上記介在部2´および上記第2電極パターン6の間に形成された電解質層9とを有するものである。本発明により得られる色素増感型太陽電池の各構成については、上記の各工程に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
介在部形成用塗工液として一次粒径20nmのTiO2微粒子(日本アエロジル社製P25)1質量%、主成分がポリメチルメタクリレートであるアクリル樹脂(分子量25000、ガラス転移温度105℃)(三菱レーヨン社製BR87)10質量%となるようにホモジナイザーを用いてメチルエチルケトンおよびトルエンにアクリル樹脂を溶解させた後、TiO2微粒子を分散させることにより介在部形成用塗工液を作製した。この塗工液を耐熱基板として用意した無アルカリガラス基板(厚み0.7mm)上にワイヤーバーにて塗工し乾燥させた。その後、1cm×1cmの領域にマスキングを行い、上記領域以外の領域を、メチルエチルケトンを用いて溶解させ除去することによって、1cm×1cmの領域を有する介在部形成用パターンを得た。
分散媒としてイソプロピルアルコール3重量部と、光触媒として平均粒子径7nmの酸化チタン微粒子を含有した分散液(石原産業(株)製のST−K01)2重量部とを混合し、90℃にて10分間攪拌した後、バインダーとしてのフルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ(株)製のMF−160E)0.14重量部を更に加えて更に混合、攪拌した。この後、イオプロピルアルコールで4倍に希釈して、濡れ性変化層を得るための塗布液を得た。
2 … 介在部形成用パターン
2´ … 介在部
3 … 酸化物半導体層形成用層
3´ … 酸化物半導体層
4 … 第1電極層
4´ … 第1電極パターン
5 … 基材
6 … 第2電極パターン
7 … 対向基材
8 … 対電極基材
9 … 電解質層
10 … 封止剤
A … 酸化物半導体電極用積層体
B … 耐熱基板付酸化物半導体電極
C … 酸化物半導体電極
X … 酸化物半導体基板
Claims (7)
- 耐熱基板上に有機物および金属酸化物半導体微粒子を含有する介在部形成用塗工液をパターン状に塗布し、固化させて介在部形成用パターンを形成する介在部形成用パターン形成工程と、
前記耐熱基板上および前記介在部形成用パターン上に、前記介在部形成用塗工液よりも金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度が高い酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、固化させて酸化物半導体層形成用層を形成する酸化物半導体層形成用層形成工程と、
前記介在部形成用パターンおよび酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、介在部および酸化物半導体層を形成する焼成工程と、
前記酸化物半導体層上に、第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、を有することを特徴とする酸化物半導体電極用積層体の製造方法。 - 前記耐熱基板が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を表面に備え、前記介在部形成用パターン形成工程を行う前に、前記濡れ性変化層に対して、エネルギー照射を行うことにより、濡れ性変化パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体電極用積層体の製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の酸化物半導体電極用積層体の製造方法によって得られる酸化物半導体電極用積層体の第1電極層上に基材を設ける基材形成工程を行うことを特徴とする耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法。
- 耐熱基板上に有機物および金属酸化物半導体微粒子を含有する介在部形成用塗工液をパターン状に塗布し、固化させて介在部形成用パターンを形成する介在部形成用パターン形成工程と、
前記耐熱基板上および前記介在部形成用パターン上に、前記介在部形成用塗工液よりも金属酸化物半導体微粒子の固形分中の濃度が高い酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、固化させて酸化物半導体層形成用層を形成する酸化物半導体層形成用層形成工程と、
前記介在部形成用パターンおよび酸化物半導体層形成用層を焼成することにより多孔質体とし、介在部および酸化物半導体層を形成する焼成工程と、を行うことにより、酸化物半導体基板を形成し、
前記酸化物半導体基板と、基材および第1電極層を備えた電極基材とを用い、前記酸化物半導体層と前記第1電極層とを重ね合わせることを特徴とする耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法。 - 請求項3または請求項4に記載の耐熱基板付酸化物半導体電極の製造方法によって得られる耐熱基板付酸化物半導体電極から、耐熱基板を剥離する剥離工程を行うことを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法。
- 請求項5に記載の酸化物半導体電極の製造方法によって得られる酸化物半導体電極と、第2電極パターンおよび対向基材を備えた対電極基材とを用い、前記介在部と前記第2電極パターンを対向させて色素増感型太陽電池用基材対を形成する対電極基材形成工程を有し、
前記酸化物半導体電極用積層体、前記耐熱基板付酸化物半導体電極、前記酸化物半導体電極、または前記色素増感型太陽電池用基材対に対して、前記介在部および前記酸化物半導体層の細孔表面に色素増感剤を担持する色素増感剤担持工程、および前記色素増感剤担持工程の後に、前記第2電極パターンと前記介在部との間、および前記酸化物半導体層と前記介在部との多孔質体細孔内部に、電解質層を形成する電解質層形成工程を行う充填処理を行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。 - 前記第1電極層をパターン状に成形し、第1電極パターンを形成する第1電極パターン形成処理を、前記酸化物半導体電極用積層体または前記酸化物半導体電極に対して行うことを特徴とする請求項6に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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