JP2015193101A - 高分子フィルム積層体、および、それを用いたフレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents

高分子フィルム積層体、および、それを用いたフレキシブル電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬質の支持体に仮固定された高分子フィルム上に、印刷技術などを用いて電子デバイスを形成し、支持体から剥離した際に生じる台形状の寸法ズレを解消し、高精細なフレキシブル電子デバイス製造を可能ならしめる。
【解決手段】高分子フィルムを硬質支持体に貼りつけた高分子フィルム複合体上へ接触型の印刷を行う際、枚葉式貼合装置において、貼合せ開始点と終点の温度差を極小化させることによって、ガラス貼付フィルムに内在する台形型の応力歪を解消し、歪みに起因する寸法ズレを解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブルな高分子フィルムを硬質の支持体に仮接着し高分子フィルム積層体として、次いで高分子フィルム上に少なくとも印刷技術を用いて各種電子デバイスを形成した後に、高分子フィルムを電子デバイス部ごと支持体から剥離して、フレキシブル電子デバイスを得るための高分子フィルム積層体およびフレキシブル電子デバイスの製造技術に関する。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダー、高速情報処理装置等における電子部品として、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子(デバイス)が用いられるが、これらは従来、ガラス、シリコンウエハ、セラミック基材等の無機基板上にて形成ないし搭載されるのが一般的であった。しかし、近年、電子部品の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化が求められるなか、高分子フィルム上に各種機能素子を形成する試みがなされている。
各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされる。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界においては、これまでウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が主流であった。そこで、既存インフラを利用して各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するために、高分子フィルムを無機物(ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板など)からなるリジッドな支持体に貼り合わせておき、所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスが考案された。かかる技術は、近年研究開発が加速しているところの印刷技術を主体として電子デバイスを形成するプリンテッド・エレクトロニクス技術においても活用されている。
高分子フィルムを硬質の支持体に貼り合わせる手段としては各種の粘着剤、接着剤が用いられている。高分子フィルムは、電子デバイス形成後に支持体から剥離する必要があるため、接着剤、粘着剤の選定にあたっては、この点を考慮しなければならない。不必要に接着強度が強い接着材を用いると、剥離の際に、電子デバイスの破壊、高分子フィルムの破断などを招くおそれがある。一方、接着強度が低すぎると電子デバイスの加工プロセス途上で高分子フィルムが剥離するなどのトラブルの原因となる場合がある。そのため粘着剤を用いる場合には、加工プロセスと剥離プロセスにて許容される接着力を正確に把握して、接着力が確実に、その範囲に入るように管理する必要がある。粘着剤の接着力は、加熱、加湿などにより変化するため相応の基礎データを収集して、プロセス中の温度・湿度管理を厳密に行わなければならない。
外部刺激により接着力が変化する接着材が知られている。例えば特許文献1及び特許文献2には加熱により接着力が低下する接着材を用いた製法が開示されている。
特許文献3、及び特許文献4、特許文献5には紫外線照射で接着力が低下する接着剤を用いた製法が開示されている。特許文献6、及び特許文献7には、温度により接着力が大きく変化する接着材を用いた製法が開示されている。
かかる接着材を用いれば、電子デバイスの加工中には剥離せず、電子デバイス完成後には比較的小さい外力により高分子フィルムを支持体から剥離することが可能となることが期待される。しかしながら、例えば電子デバイス製造工程中に紫外線照射を伴う工程がある場合には、紫外線照射で接着力が変化する接着剤の使用は制限されてしまう。また、多くの場合電子デバイスの製造工程には加熱工程が含まれるため、現実的には、加熱により接着力が変化する接着剤の使用は難しい。冷却により接着力が低下する接着剤には、デバイス加工工程中に冷却工程が入ることは希であるため、比較的自由度が高く、使いやすい接着剤であるといえるが、それとて全く制約が無いという訳ではない。
一般に高分子フィルムを接着材剤、粘着剤を用いて支持基板に貼り合わせる装置としてはラミネータ、プレスなど種々高知の装置が用いられている。所謂ラミネータには、種々既存の装置が存在するが、最も広く用いられているラミネータは加圧ロールを用いた装置である。特にシート上のフィルムと支持体をラミネートするための枚葉式貼合装置としては 特許文献8、特許文献9、特許文献10などに例示される装置が知られている。
特開平11−166164号公報 特開2004−18604号公報 特開平1−272130号公報 特開昭62−153376号公報 特開平2−187478号公報 特開2000-351951号公報 特開2000−71170号公報 特開2010−94910号公報 特開2004−148721号公報 特開2006−205380公報
本発明者らは、ここに例示した接着剤、粘着材、ならびにラミネータ等を用いて、高分子フィルムと支持体を貼り合わせ、鋭意、印刷技術による電子デバイス製造プロセスの開発に取り組んできた。開発の過程において、特に薄膜トランジスタ(TFTと略記)のような、高度な位置合わせが必要となるケースにおいては、支持体に仮接着した状態での高分子フィルムと、電子デバイス等を形成後に剥離した後の高分子フィルムとの間に許容出来ないレベルの寸法ズレが生じることを見出した。
かかる寸法ズレはフィルム全体が歪むことによって生じている。本発明が取り上げるところの寸法ズレは、概略台形状に分布していることが多いため、本発明では便宜上これを台形歪みと呼ぶこととする。ただし、あくまで便宜上の呼称であって、寸法ズレの形態そのものは台形形状に限定されない。
このような台形歪みが生じると、例えばモノクロ発光による表示デバイスと、カラーフィルターアレイを重ねるケースのように、各々別工程で製作したデバイスどうしを貼り合わせて用いるような場合には大きな支障が生じることになる。 かかる問題は、先に例示した粘着剤を用いる場合や、外部刺激で接着力が変化する接着剤を用いた場合でも生じており、印刷技術を主体に用いて高精細な電子デバイスを製造する技術の開発においては、大きな問題となることを本願発明者は見出した。
本発明者らは前記課題を解決するために台形歪みが生じる原因解明と対策について鋭意研究を重ね、寸法ズレが小さく、高精細な電子デバイスの製造に用いることが出来る高分子フィルム積層体、および該高分子フィルム積層体を使用した電子デバイスの製造方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
1.印刷技術を用いてフレキシブル電子デバイスないしは少なくともその構成要素を形成する目的に用いられる積層体であって、硬質の支持体に接着剤を介して室温より20℃以上高い温度にて高分子フィルムを仮接着して得られ、該高分子フィルムの台形歪率の絶対値が0.05%以下であること、を特徴とする高分子フィルム積層体。
2.前記高分子フィルムの線膨張係数が8ppm以上であることを特徴とする1.記載の高分子フィルム積層体。
3.前記高分子フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムからなる群より選択されることを特徴とする1.〜2.のいずれかに記載の高分子フィルム積層体。
4.前記硬質の支持体の線膨張係数が−3ppm/K以上、+12ppm/K以下であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の高分子フィルム積層体。
5.硬質の支持体に接着剤を介して室温より20℃以上高い温度にて高分子フィルムを仮接着して得られる高分子フィルム積層体を基材とし、少なくとも印刷技術を用いて該高分子フィルム積層体の高分子フィルム上に電子デバイスないしは少なくとも該電子デバイスの構成要素を形成し、その後支持体から高分子フィルムを剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法において、
枚葉式貼合装置を用いて該硬質の支持体に高分子フィルムを仮接着する際に、接着開始時の接着始点部分の高分子フィルムの温度と、接着終了時の接着終点部分の高分子フィルムの温度との温度差を20℃未満とすることを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
6.前記高分子フィルムの線膨張係数が8ppm以上であることを特徴とする5.記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
7.前記高分子フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムからなる群より選択されることを特徴とする5.〜6.のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
8.前記硬質の支持体の線膨張係数が−3ppm/K以上、+12ppm/K以下であることを特徴とする5.〜7.のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
高分子フィルムの台形歪みは、支持体に貼り合わせる際に高分子フィルムに台形状の変形が生じ、それが歪としてフィルムに内在することに起因する。かかる台形歪みは、貼り合わせる際に、高分子フィルムに温度ムラないし温度勾配が生じ、支持体と高分子フィルムの線膨張係数差に相当する寸法変化が生じた状態で貼り合わせが行われることに起因する。本発明者はこの原因を見出し、貼り合わせの際にかかる線膨張係数差に基づく寸法の食い違いが生じない条件下にて貼り合わせを行うことによりかかる問題を解消した。本発明における高分子フィルム積層体を電子デバイス製造に用いれば、高分子フィルムを剥離した際にも、台形状の歪みは生じず、次工程に対してもアライメントに支障がない電子デバイスを得ることが可能となる。
枚葉式ラミネーターおよびそれを用いたラミネート方法を示す図である。 本発明における台形歪率の算出に用いるパラメータを示した概略説明図である。 本測定法を用いた場合の座標位置測定結果の一例を示す図である。図中の白抜き矢印は貼り合わせ方向を示す。
<硬質の支持体>
本発明における硬質の支持体とは、曲げ剛性が0.005Nm2 以上の板材を云う。 曲げ剛性は0.03Nm2 以上が好ましく、さらに0.1Nm2 以上であることが好ましい。ここに曲げ剛性とは、ヤング率と断面二次モーメントの績にて与えられる曲げにくさを表す力学パラメータである。材料の物性値のみでなく、幾何学寸法に依存することに注意された。本発明における硬質の支持体としては、無機基板、有機基板、コンポジット基板などを用いることができる。無機基板とは無機物からなり、基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。これらのうち、支持体としては無機基板が好ましく、ガラス板がより好ましい。
有機基板には、主には高分子材料からなるシート、フィルム、板を用いることが出来る。好ましくはエンジニアリングプラスチック製の板材、ないし、有機繊維補強プラスチックからなる板材である。
コンポジット基板としては有機物、無機物の複合体からなる板、シートなどを用いることができる。好ましくは粉体強化プラスチック、無機繊維強化プラスチック、カーボン繊維強化プラスチック等からなる板材である。またガラス板と有機高分子材料、例えばポリイミド樹脂などを積層した板材なども好ましく用いることが出来る。
前記ガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/K以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
前記セラミック板としては、Al2O3、Mullite、AlN、SiC、Si3N4、BN、結晶化ガラス等である。前記半導体ウエハとしては、シリコンウエハ、半導体ウエハ、化合物半導体ウエハ等を用いることができる。前記金属としては、Al、Ti、Fe、W、Mo、Ni、Cuといった単一元素金属、ステンレス鋼、インコネル、モネル、ニモニック、炭素鋼、珪素鋼、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等を用いる事ができる。
前記無機基板は平坦である事が望ましい。具体的には、表面荒さRaが10μm以下、好ましくは3μ以下、さらには0.9μm以下であることが好ましい。 前記無機基板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がなお好ましく、1.3mm以下がなお好ましい。厚さの加減については特に制限されないが、0.07mm以上、好ましくは0.15mm以上、なお好ましくは0.3mm以上が好ましく用いられる。
前記硬質の支持体の線膨張係数は−3ppm/K以上、+12ppm/K以下であることが好ましく、−1ppm/K以上8ppm/Kがなお好ましく、0ppm/K以上4ppm/K以下がなお好ましい。線膨張係数が高いと、印刷によるTFT作製において、層間のアライメント精度の問題が生じる。
<高分子フィルム>
本発明における高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、その他の共重合アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフェノール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン等のフィルムを用いることが出来る。本発明において特に効果が顕著・有用であるものは耐熱性が100℃以上の高分子、所謂エンジニアリングプラスチックのフィルムである。ここに耐熱性とはガラス転移温度ないしは熱変形温度を云う。
本発明の高分子フィルムのヤング率(弾性率)は6GPa以上であることが好ましく、より好ましくは7.4GPa以上、さらに好ましくは8.2GPa以上、なおさらには9.1GPa以上であることが好ましい。ここに、ヤング率は引っ張りで求めるヤング率である。ヤング率がこの範囲に満たない場合、支持体から高分子フィルムを剥離する際に、高分子フィルムの伸びが大となり、電子デバイスが破壊される可能性が高くなる。
本発明において、ヤング率の上限は特に限定されないが、現実的には15GPa程度である。ヤング率が高すぎる素材は、フィルムが脆く、割れやすくなることが多いため、フレキシブル電子デバイス用の基材としては適切でない。
本発明の高分子フィルムの厚さの下限は特に限定されないが、電子デバイスの基材としての最低限の機械的強度を維持するために、4.5μm以上が好ましい。本発明では12μm以上がなお好ましく、さらには24μm以上が好ましく、なおさらには45μm以上が好ましい。高分子フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとしての要求より250μm以下であることが好ましく、さらに150μm以下、なおさらには90μm以下が好ましい。
本発明の高分子フィルムの線膨張係数(CTE)は8ppm/K以上が好ましく、12ppm/K以上がより好ましく、さらに18ppm/K以上が好ましく、なおさらに32ppm/K以上が好ましい。CTEの上限は300ppm/K程度であり、好ましくは200ppm/K、さらに好ましくは150ppm/Kである。CTEが低いフィルムにおいては本発明の効果が顕著に出ない場合が多い。CTEが高すぎると、に積層体に熱プロセスが加わった場合に、フィルムと硬質の支持体とが剥離する可能性がある。 本発明は、高分子フィルムのCTEと硬質の支持体のCTEとの差が、5ppm/K以上、好ましくは15ppm/K以上、さらに好ましくは30ppm/K以上である場合に特に有効である。
本発明における高分子フィルムの破断強度は、60MPa以上、好ましくは120MP以上、さらに好ましくは240MPa以上である。破断強度の上限に制限は無いが、事実上1000MPa程度未満である。なお、ここで前記高分子フィルムの破断強度とは、高分子フィルムのタテ方向とヨコ方向の平均値をさす。
本発明における高分子フィルムの厚さ斑は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下である。厚さ斑が20%を超えると、狭小部へ適用し難くなる傾向がある。なお、フィルムの厚さ斑は、例えば接触式の膜厚計にて被測定フィルムから無作為に10点程度の位置を抽出してフィルム厚を測定し、下記式に基づき求めることができる。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
高分子フィルムに滑材(粒子)を添加・含有させる場合、滑材が均一に分散した単層の高分子フィルムとしてもよいが、例えば、一方の面が滑材を含有させた高分子フィルムで構成され、他方の面が滑材を含有しないか含有していても滑材含有量が少量である高分子フィルムで構成された複層の高分子フィルムとしてもよい。このような複層高分子のフィルムにおいては、一方の層(フィルム)表面に微細な凹凸が付与されて該層(フィルム)で滑り性を確保することができ、良好なハンドリング性や生産性を確保できる。
複層高分子フィルムは、溶融延伸製膜法に製造されるフィルムの場合、例えばまず、滑剤含有しない高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上に置いて少なくともフィルムの片面に、滑剤を含有する樹脂層を塗布することにより得ることが出来る。もちろん、この逆で、滑剤を含有する高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上、ないし、フィルム化が完了した後に、滑剤を含有しない高分子フィルム原料を塗布してフィルムを得ることも出来る。
ポリイミドフィルムのような溶液製膜法を用いて得られる高分子フィルムの場合にも同様で、例えば、ポリアミド酸溶液(ポリイミドの前駆体溶液)として、滑材(好ましくは平均粒子径0.05〜2.5μm程度)をポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%〜50質量%(好ましくは0.04〜3質量%、より好ましくは0.08〜1。2質量%)含有したポリアミド酸溶液と、滑材を含有しないか又はその含有量が少量(好ましくはポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満)である2種のポリアミド酸溶液を用いて製造することができる。
本発明における高分子フィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺フィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状ポリイミドフィルムの形態のものがより好ましい。
<保護フィルム>
本発明では必要に応じて保護フィルムを用いる事が出来る。保護フィルムは、文字通り、主体となる被保護物を、汚染やキズから保護する役割を担う物であるが、本発明に於いては、さらに、分割された高分子フィルムをまとめ、無機基板と貼り合わせる工程を省力化する働きを担う。
本発明の保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤からなる。基材フィルムとしては極一般的なPETフィルム、PENフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム等の他、PPSフィルム、PEEKフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリイミドベンザソールフィルム等の耐熱性スーパーエンジニアリングプラスチックフィルムを用いることができる。
本発明で好ましく用いられる保護フィルムの基材は、寸法安定性改善のためのアニール処理を行ったPETフィルム、同じくアニール処理を行ったPENフィルム、ポリイミドフィルムである。
本発明の保護フィルムに用いられる粘着剤としては、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系、等など公知の粘着剤を用いることが出来る。本発明の保護フィルムは、フレキシブル電子デバイスの基材となる高分子フィルムのデバイス形成面を保護する。したがって、粘着剤成分の転写が極少になるように、あるいは転写成分がドライ、ないしはウエット洗浄にて簡単に除去できるタイプの粘着剤を使用することが好ましい。本発明では、たとえば、冷却することによって粘着力が減じる性質を有する側鎖結晶性高分子を用いた粘着剤を用いることができる。
<接着剤、粘着剤>
本発明において、高分子フィルムと硬質の支持体と高分子フィルムとを仮接着しておく媒体として接着剤、粘着剤を用いる。本発明における接着剤、粘着剤は粘着シート状、液状、ロウ状などどのような形状でもよい。好ましくは液状、ないし粘着シート状であり、より好ましくは粘着シート状である。
本発明における接着剤、粘着剤の材質としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの公知の接着剤、粘着剤を用いることができる。本発明では、たとえば、冷却することによって粘着力が減じる性質を有する側鎖結晶性高分子を用いた接着剤、粘着剤を用いることができる。本発明で用いることが出来る接着剤、粘着剤の材質としては、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤、天然ゴム系溶剤形接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン形接着剤、EVA樹脂系エマルジョン形接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン形接着剤、イソシアネート系接着剤、合成ゴム系ラテックス型接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などを用いることができる。
本発明における接着剤、粘着剤は、限定されるわけではないが、好ましくは硬質の支持体にまず適用し、次いでフィルムを貼り付けるという順序で操作することが好ましい。接着剤、粘着剤の初期の形態が液状であった場合、硬質の支持体、ないしフィルムへは、例えば、スピンコート、ドクターブレード、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷法、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スリットコート、リバースコート、ディップコート等、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いて塗布することができる。
接着剤、粘着剤がシート状であった場合には、公知の貼り合わせ方法を用いて硬質の支持体ないしフィルムに貼り合わせることができる。具体的にはロールラミネート、プレス、一般的には2本のロールによる加圧による方法が用いられる。なおこの時、一方、または両方のロールに加熱機能があってもよく、またロールの材質等に制限はない。
本発明では、冷却により粘着力の低下する粘着材を用いる事が好ましい。このような接着剤としては、結晶性の側鎖を有する分岐型高分子を主成分とする接着剤、粘着剤を用いることが出来る。また結晶融点が概ね15℃以下である樹脂のシートを例示出来る。このような冷却によって粘着力が低下して易剥離化する接着剤としては例えば、ニッタ株式会社製の「インテリマーテープ クールオフタイプ」などを例示できる。
<支持体へのフィルムの仮固定法>
硬質の支持体上に高分子フィルムを貼り付ける際はどのような順番であってもよい。具体的には。硬質の支持体上に接着剤を塗布ないしは貼合を行った後に高分子フィルムを貼合する方法、高分子フィルム上に接着剤を塗布ないしは貼合を行った後に硬質の支持体に貼合する方法、支持体及び高分子フィルム上双方に同種ないしは別種の粘着剤を塗布ないしは貼合を行った後にそれらを貼合する方法、硬質の支持体、シート状の接着剤、硬質支持体を同時に貼合する方法、などが挙げられる。
<ラミネーター>
本発明は、硬質の支持体上に高分子フィルムを貼り付ける手法そのものを限定する物ではないが、枚葉式貼合装置を用いることが好ましい。枚葉式貼合装置は枚葉の支持体と高分子フィルムを、ギャップを保った状態で対面状態に配置し、両者を接することで貼り合わせを行う方式が好ましい。この際、一括して貼り合わせる場合と、フィルム側を変形させて徐々に貼り合わせる方式、フィルム側を曲率を有する面に仮保持して硬質支持体側に押し当てる方式などを例示できる。
本発明では、高分子フィルム側をメッシュスクリーンなどのフレキシブルな多孔体にて吸着保持し、多孔体側からロール等により硬質支持体側に押し当てる方式を好ましく用いることが出来る。また硬質支持体側に温度調整を行うヒーター、クーラーなどを備えることも出来る。
図1.は本発明で好ましく用いることが出来るラミネータの概略模式図と、そのラミネータを用いたラミネート工程の一例を示す説明図である。図1に例示した内容を、以下詳細に説明する。
ステンレス鋼製のホットプレート 10には、ほぼ10mm間隔にて吸着孔が開けられており、ガラス板などの硬質支持体を吸着保持すると同時に、室温〜200℃程度までの任意の温度に設定出来る加熱機能を備えており、さらに回転軸に固定されている。 スクリーン枠30には100〜400メッシュカウント程度のメッシュスクリーン11が貼られている。メッシュスクリーンの材質としてはポリエステル、ポリアミド等が用いられるが、本発明では耐熱高分子繊維(芳香族アミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾール繊維)ないしはステンレスメッシュなどの金属線を用いたメッシュの使用が特に好ましい。ホットプレート10は、回転軸を中心に反転させることによりホットプレートとメッシュスクリーンとを、対向させることができる。メッシュスクリーンの下側には垂直方向に押し上げた状態で水平方向に移動する機構を備えたゴムローラーが設けられている。ゴムローラーがゴムローラーは耐熱ゴム素材であるシリコーンゴム、フッ素ゴムなどが好ましく、硬度はショアA硬度計にて68度以上が好ましく、74度以上がさらに好ましく80度以上が、さらに86度以上が好ましい。
<ラミネート方法>
以下、例示したラミネータを用いたラミネート方法について概説する。
(a) まず、ホットプレート側に粘着剤が塗布された硬質支持基板1を、粘着剤面を上に向けて置き、吸着固定し、所定の温度に加熱する。メッシュスクリーン側には高分子フィルム2を設置し、メッシュスクリーン側を減圧とすることで仮支持する。
(b) 次いでホットプレート側を反転させ、硬質支持体の粘着剤面とフィルムを対向させる。この際、硬質支持基板とフィルムは所定の位置関係となるように予め位置あわせされている。またホットプレート側を反転させた際の、硬質支持基板とフィルムとの間隙をギャップとする。
(c) ゴムローラー20を押し上げることにより、メッシュスクリーンを介して高分子フィルムを硬質支持基板に押し当て、さらに横方向に移動させることで、高分子フィルムを硬質支持基板に貼り合わせを行う。この際にゴムローラーを押し上げる圧力を押圧、ゴムローラーが変形することなくフィルムを介して硬質支持基板に接触する位置を基準位置として、そこからさらに押し上げる変位を押し込み量とする。
(d) ホットプレート側を元の位置に戻し、ラミネートされた硬質支持基板と高分子フィルムからなる積層体を取り外す。
粘着シートを用いてラミネートを行う場合には、(a)工程において、ホットプレート側に硬質支持基板を、メッシュスクリーン側に、粘着シートを設置する。多くの場合粘着シートは両面ないし片面をリリースフィルムでカバーされているため、必要に応じて片面のリリースフィルムを剥離して粘着面を上にする。次いで(b)(c)工程により硬質支持基板に粘着シートを貼り合わせ、残ったリリースフィルムを剥離し、以下(a)工程に戻り、メッシュスクリーン側に高分子フィルムを設置し、(b)(c)(d)工程を行うことによりラミネートを完了する。
<表面処理、清浄化>
本発明では、無機基板側に、シランカップリング剤処理、UVオゾン処理などの有機化処理、活性化処理を行い、同様に高分子フィルム側にも真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理、UVオゾン処理、活性ガスへの暴露処理などの活性化処理を行い、両処理面を密着させて加圧、加熱処理を行う接合方法を用いることができる。
<台形歪率>
本発明における台形歪率の絶対値とは、
貼り合わせ前に、高分子フィルムに描かれた(一辺が貼り合わせ方向と略平行に配置された)長方形の貼り合わせ前後の変形から求められる歪み率であり、貼り合わせ後に測定された、前記長方形の貼り合わせ開始側の辺の長さabと貼り合わせ終了側の辺の長さcdから下記の式にて求められる。
台形歪率の絶対値(%):100×(|cd−ab|)/ab

長方形の大きさとしては、各辺が高分子フィルムの大きさの1/2以上であるか、ないしは一辺が200mm以上であることが好ましい。
図2.は本発明における台形歪率の算出に用いるパラメータを示した概略説明図であり、図中の矢印は貼り合わせ方向を示す。
本発明において台形歪率の絶対値は、0.05%以下であり、好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.01%以下である。
かかる台形歪は、貼り合わせる際に、高分子フィルムに温度ムラないし温度勾配が生じ、支持体と高分子フィルムの線膨張係数差に相当する寸法変化が生じた状態で貼り合わせが行われることに起因すると推察できる。例えば、枚葉の高分子フィルムを硬質支持体に枚葉式貼合装置で貼り合わせる場面において、硬質支持体を加熱している場合、硬質支持体と高分子フィルムを対向させると、高分子フィルムは近接して対向する硬質支持体からの輻射熱などにより、徐々に温度が変化する。高分子フィルムの寸法もまたCTEと温度変化に応じて徐々に変化する。この変化途上において貼り合わせが行われた場合、貼り合わせ初期と貼り合わせ終了時点で高分子フィルムの変形量が異なった状態で硬質支持体に固定されることになるため、略台形状の歪みが生じることとなる。
このような台形歪みを減らす手法としては、貼り合わせ開始時点と貼り合わせ終了時点での高分子フィルムの平均温度の差を25℃以下、好ましくは18℃以下、さらに好ましくは12℃以下、なおさらに好ましくは7℃以下に制御する方法を例示出来る。
このような台形歪みを減らす手法としては、高分子フィルムの面内の温度分布を好ましく20℃以下、更に好ましくは15℃以下、なお好ましくは10℃以下に制御した状態で貼り合わせを行う方法を例示できる。
ここに温度分布とは、高分子フィルムの面内任意の10点の温度を測定した場合の、その最大値と最小値の差、ないしは二次元赤外線サーモグラフ等にて求めた温度分布の最大値と最小値の差である。なお高分子フィルム端から5mmの範囲は異常点が出やすい貯め除外する。
高分子フィルムの温度分布を所定の値以下とするための手法としては、硬質支持体と高分子フィルムの温度差を小さくする方法を例示出来る。両者の温度差は50℃以下であることが好ましく、30℃以下とすることがさらに好ましく、15℃以下とすることがなおさらに好ましい。メッシュスクリーンに耐熱性素材を用いる場合には高分子フィルム側を予熱することもできる。
また、高分子フィルムの温度分布を所定の値以下とするための手法として、硬質支持体と高分子フィルムを対向後、できるだけ短時間に貼り合わせを完了させる方法を例示出来る。好ましくは4秒以内、さらに好ましくは2秒以内に貼り合わせを完了することにより台形歪みの低減が期待出来る。この手法を用いない場合は、120秒以内であることが好ましく、より好ましくは100秒以下、さらに好ましくは90秒以下である。
さらに、高分子フィルムの温度分布を所定の値以下とするための手法として、硬質支持体と高分子フィルムを対向後、両者の温度が安定した後に貼り合わせを開始する方法を例示出来る。熱伝導は、硬質支持体と高分子フィルムとの間隙、すなわちギャップに依存する。本発明ではギャップを3mm以下、好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下、なおさらに好ましくは0.6mm以下とすることが好ましい。また、硬質支持体と高分子フィルムを対向させた後、温度が安定するまでの十分な時間を保持した後に貼り合わせを開始することが好ましい。保持時間は5秒以上が好ましく、8秒以上がさらに好ましく、12秒以上がより好ましい。
本発明ではCTEが12ppm/K以下、好ましくは7ppm/K以下、更に好ましくは4ppm/K以下の高分子フィルムを用いる事により、容易に台形歪み率の小さい高分子フィルム積層体を得ることができる。
なお、貼り合わせ時の歪みを低減させるための手法として、ロールの真円度、ロールの長さ方向における直径ムラ、ローラー押し当ての際の機構的な傾き、圧力の傾き、送り速度のムラなどを、公知定法の範囲で極小化することは、本発明の前提である。
<フレキシブル電子デバイスの製造手段>
本発明の積層体を用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルムごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
また、同様に本発明の積層体を用いれば、印刷技術を適用して電子デバイスを作製する所謂プリンテッド・エレクトロニクスにも適用できる。
本発明における電子デバイスとは、電気配線を担う配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどを云う。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は下記の通りである。
<高分子フィルムの厚さ>
高分子フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
<高分子フィルムの線膨張係数(CTE)>
測定対象とする高分子フィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
<台形歪率>
温度22±1℃、湿度55±10%RHに制御された測定環境内にて、24時間以上静置した縦210mm、横297mmの長方形に切り出した高分子フィルムのほぼ中央付近に、横が277mm、縦が180.8mmの長方形を配し、頂点と、各辺上の任意の箇所にレーザーマーカーにて測長用のマーキングを行った。
次いで硬質支持体に貼り合わせを行い、室温まで冷却し、再び温度22±1℃、湿度55±10%RHに制御された測定環境内にて、24時間以上静置した後、NEXIV VMR-6555 (Nikon社製)でマーカーの座標を測定し座標を記録し、貼り合わせ開始側の辺長さabと貼り合わせ終了側の辺長cdを求め前記式より台形歪率を算出した。なお測定時間は1分以内とした。
図3.に本測定法を用いた場合の座標位置測定結果の一例を示す。なお図中の白抜き矢印は貼り合わせ方向を示す。
<温度分布>
日本アビオニクス社製 赤外サーモグラフィ装置にて測定し、被測定エリア内(高分子フィルムの端から5mmの部分は除く)の最高温度から最低温度を差し引いて求めた。なお温度分布測定に際し、障害物が有る場合には障害物を取り除いて3秒以内での測定とした。
(実施例1)
<硬質支持基板への接着シート貼り合わせ>
全ての操作、測定は温度22℃±1℃、相対湿度55%±10%の環境下にて実施した。硬質支持基板として用いるガラス板(コーニング社製 イーグルXG、300mm×220mm、厚さ1.1mm)をUV洗浄装置(SKT2005Y-01;株式会社たけでん製)にて180秒間UV光を照射し洗浄した。ついで、接着シートとして同サイズの両面冷却剥離シート(ニッタ株式会社製インテリマー(R)テープ クールオフタイプ 型番:CS2325NA4)を用い、の片面の保護フィルムを剥離し、ラミネータ (クライムプロダクツ株式会社「SE 650nH」)を図1.の手法にて貼り合わせた。同ラミネータ装置においてガラス板は孔のあるステンレス鋼製ホットプレートを介して減圧吸着し、粘着シート側は300メッシュのステンレススクリーンを介して減圧吸着される。用いたローラーのゴム硬度は70度である。
硬質支持体側のホットプレートは50℃に設定した。硬質支持体の表面温度は平均48.5℃、面内温度分布3℃、であった。
接着シート側は、セット時点では室温である。硬質支持体と接着シートをギャップ0.9mmにて10秒間対向させ その後、ローラー供給圧力0.5MPa、貼り付け時押し込み量0.3mm、ローラー移動速度、5mm./secにてラミネートした。なお、硬質支持板と接着シートを対向10秒後の接着シートの平均温度は41℃、温度分布6℃、貼り合わせ終了時間に相当する70秒後の平均温度は43℃、温度分布4℃であった。
<高分子フィルムの貼り合わせ>
次いで、接着シートを貼り合わせた硬質支持体への高分子フィルム貼り合わせを行った。高分子フィルムとしてポリエチレンナフタレート (PEN;帝人デュポンフィルム株式会社テオネックス(R) 型番:Q65FA) を用いた。なお温度設定は、貼り合わせ条件などは接着シート貼り合わせと同条件とした。貼り合わせにより得られた高分子フィルム積層体の台形歪み率を評価した結果を表1.に示す。
<反転印刷機による試験パターンの印刷と評価>
得られた高分子フィルム積層体に反転印刷機である高精細印刷装置(株式会社セプト製)を用いて銀インクにより、外形が一辺が150.000mmの正方形であるテストパターンを印刷し、120℃にて乾燥後、正方形の各頂点の座標位置をNEXIV VMR-6555 (Nikon社製)を用いて計測し、座標位置から正方形各辺の長さを求め、4辺の平均値Xを求めた。
次いで、高分子積層体の硬質支持体面を−10℃に温度調整した冷却プレートに接し、10秒後に高分子フィルムの端部を引っ掻いて剥離のきっかけを作り、そのまま剥離角度が45度程度となるように静かに引っ張ることにより高分子フィルムを剥離した。剥離後、NEXIV VMR-6555 (Nikon社製)を用いて先ほどと同様に正方形各辺の長さを求め4辺の平均値Yを算出した。
得られた剥離前の平均値Xから剥離後の平均値Yを引き算することにより剥離前後の寸法差を求めた。結果を表1.に示す。
実施例2〜7 比較例1〜2
以下同様に、高分子フィルム、貼り合わせ条件などを表1.に示すように変えて高分子フィルム積層体を作製し、台形歪率を測定した。結果を表1.に示す。

なお表1中
PEN:ポリエチレンナフタレート(帝人デュポンフィルム株式会社テオネックス(R) 型番:Q65FA)
PC:ポリカーボネート(帝人株式会社ピュアエース(R) 型番:SS120)
PET:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡株式会社 コスモシャイン(R) 型番:A1555)
PI: ポリイミド(東洋紡株式会社 XENOMAX(R) F38LR)
ガラス:(コーニング社製 イーグルXG、300mm×220mm、厚さ1.1mm)
である。
以上、実施例に示したように、台形歪率が小さい本発明の積層体を用いた場合には、支持体からの剥離前後で高分子フィルムに生じる寸法差が小さいことが示された。
本発明の高分子フィルム積層体及びその製造方法によれば、硬質の支持体に仮固定した高分子フィルムに台形歪みが解消されているため、電子デバイスを作成した後に支持体から電子デバイス付き高分子フィルムを剥離した際にも概略台形状の寸法ズレが生じることなく、次工程のアライメントにも支障がない高精細なフレキシブルな電子デバイスを製造することが可能となり、特に印刷工程を主体として電子デバイスを製造する技術・産業領域に大きく寄与するものである。
なお明細書においては、主として印刷技術を応用したプリンタブル・エレクトロニクス技術領域をとりあげて説明したが、本発明はプリンタブルエレクトロニクス技術領域に限らず、従来のフォトリソグラフ法などを利用した微細加工技術全般に適用可能である。
1 硬質支持体
2 高分子フィルム
10 ホットプレート
11 メッシュスクリーン
20 ゴムローラー
30 スクリーン枠

Claims (8)

  1. 印刷技術を用いてフレキシブル電子デバイスないしは少なくともその構成要素を形成する目的に用いられる積層体であって、硬質の支持体に接着剤を介して室温より20℃以上高い温度にて高分子フィルムを仮接着して得られ、該高分子フィルムの台形歪率の絶対値が0.05%以下であること、を特徴とする高分子フィルム積層体。
  2. 前記高分子フィルムの線膨張係数が8ppm以上であることを特徴とする請求項1記載の高分子フィルム積層体。
  3. 前記高分子フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムからなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の高分子フィルム積層体。
  4. 前記硬質の支持体の線膨張係数が−3ppm/K以上、+12ppm/K以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子フィルム積層体。
  5. 硬質の支持体に接着剤を介して室温より20℃以上高い温度にて高分子フィルムを仮接着して得られる高分子フィルム積層体を基材とし、少なくとも印刷技術を用いて該高分子フィルム積層体の高分子フィルム上に電子デバイスないしは少なくとも該電子デバイスの構成要素を形成し、その後支持体から高分子フィルムを剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法において、
    枚葉式貼合装置を用いて該硬質の支持体に高分子フィルムを仮接着する際に、接着開始時の接着始点部分の高分子フィルムの温度と、接着終了時の接着終点部分の高分子フィルムの温度との温度差を20℃未満とすることを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  6. 前記高分子フィルムの線膨張係数が8ppm以上であることを特徴とする請求項5記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  7. 前記高分子フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムからなる群より選択されることを特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  8. 前記硬質の支持体の線膨張係数が−3ppm/K以上、+12ppm/K以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
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