JP2018195741A - 積層体及びフレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、硬質の支持体としてガラスを用いた場合、ガラスは割れやすくもろい性質があるため、より機械特性に優れる硬質の支持体をフレキシブル電子デバイスの製造工程に用いることが望ましい。
<1> 示差走査熱量測定(DSC)で求められるガラス転移温度が50℃〜200℃の範囲である高分子フィルムと、金属又は金属化合物からなり、前記高分子フィルムに仮固定される支持体と、を備え、
30℃から120℃までの温度領域Aにおける前記支持体の長手方向の温度膨張係数と、前記温度領域Aにおける前記高分子フィルムの長手方向の温度膨張係数と、の差の絶対値、及び、前記温度領域Aにおける前記支持体の幅方向の温度膨張係数と、前記温度領域Aにおける前記高分子フィルムの幅方向の温度膨張係数と、の差の絶対値が、それぞれ5ppm/℃以下であり、フレキシブル電子デバイスの製造に用いられる積層体。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、高分子フィルムのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求めることができる。
本発明の一実施形態に係る積層体は、示差走査熱量測定(DSC)で求められるガラス転移温度が50℃〜200℃の範囲である高分子フィルムと、金属又は金属化合物からなり、前記高分子フィルムに仮固定される支持体と、を備え、30℃から120℃までの温度領域Aにおける前記支持体の長手方向の温度膨張係数と、前記温度領域Aにおける前記高分子フィルムの長手方向の温度膨張係数と、の差の絶対値、及び、前記温度領域Aにおける前記支持体の幅方向(長手方向と直交する方向)の温度膨張係数と、前記温度領域Aにおける前記高分子フィルムの幅方向の温度膨張係数と、の差の絶対値が、それぞれ5ppm/℃以下であり、フレキシブル電子デバイスの製造に用いられる。すなわち、本実施形態の積層体は、フレキシブル電子デバイスの製造工程の一部にて、高分子フィルムが支持体に仮固定された状態で使用され、印刷工程、加熱工程等の所定の工程が終了した後に、支持体から高分子フィルムが剥離される。
本実施形態の積層体は、高分子フィルムを備える。高分子フィルムとしては、支持体との関係で前述の温度膨張係数の条件を満たすものであれば特に限定されず、例えば、電子デバイスの製造に用いられる高分子フィルムが挙げられる。
具体的な高分子フィルムを形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのポリオレフィン樹脂、ノルボルネン類の開環メタセシス重合体、付加重合体、他のオレフィン類との付加共重合体などのシクロオレフィンポリマー、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6,11,12,66などのポリアミド樹脂、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグリコール酸、ポリスチレン、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、ポリカーボネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ナイロン6、ナイロン66、ポポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合コポリマーなどそれ自体公知のものを用いることができる。これらの中でも本発明の効果の点からは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ナイロン6、ナイロン66、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられ、支持体との温度膨張係数のバランスをとる点から、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートが好ましい。
本実施形態の積層体は、金属又は金属化合物からなり、高分子フィルムに仮固定される支持体を備える。支持体としては、高分子フィルムとの関係で前述の温度膨張係数の条件を満たすものであれば特に限定されない。
なお、本開示において、支持体の温度膨張係数は後述の測定方法に基づいて、TMAにて測定された結果であり、一旦180℃まで昇温した後に30℃まで冷却し、再度の昇温した際の温度領域Aにおける寸法変化から算出したものである。また、長手方向と幅方向の支持体の温度膨張係数の差は、高分子フィルムとの温度膨張係数のバランスをとる点から、9ppm/℃以下、さらに6ppm/℃以下、特に3ppm/℃以下であることが好ましい。
前述の積層体を用いてフレキシブル電子デバイスを製造する製造方法についても本発明の範囲に包含される。例えば、本発明の一実施形態に係るフレキシブル電子デバイスの製造方法では、高分子フィルムを支持体に仮固定して積層体とし、高分子フィルム側の面に導体パターンを印刷し、加熱を経た後、支持体から高分子フィルムを剥離することにより、フレキシブル電子デバイスが製造される。フレキシブル電子デバイスの製造方法では、カットされたシート状の積層体を用いてフレキシブル電子デバイスを製造してもよく、ロールツウロールによりフレキシブル電子デバイスを連続的に製造してもよい。フレキシブル電子デバイスの製造方法に用いられる高分子フィルム及び支持体としては、前述の積層体に用いられる高分子フィルム及び支持体と同様であるため、その説明を省略する。
また、粘着剤層を支持体に設けた後に、その粘着剤層を高分子フィルムに貼り合わせて積層体とすることが好ましい。
なお、以下の実施例における特性の評価方法は下記の通りである。また、温度条件又は湿度条件が記載されていない全ての操作及び測定については、温度23.0℃±0.5℃、相対湿度50.0%±3.0%の環境下にて実施した。
高分子フィルム及び支持体の厚さ測定にはマイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用い、無作為に抽出した任意の10点の平均値を求め、その平均値を高分子フィルム及び支持体の厚さとした。
高分子フィルムについて、下記条件にて30℃から120℃までの温度領域の伸縮量変化/温度変化をフィルムの長手方向及び幅方向について測定した。この測定をそれぞれの方向について2回繰り返し、平均値を温度膨張係数(CTE)として算出した。
≪条件≫
測定機器名;エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 TMA/SS 7100型
昇降温温度;30℃ →(昇温1回目)→ 180℃ →(降温)→ 30℃ →(昇温2回目)→ 180℃ (昇温時180℃、降温時30℃到達時の保持時間無し)
昇降温速度;5℃/分
雰囲気;窒素
サンプルサイズ;測定方向15mm、横2mm
チャック間距離;10.0mm
初荷重;49.1mN
CTE算出方法;昇温2回目において、30℃時点及び120℃時点のフィルムの伸縮量/温度変化より算出。
支持体について、上記高分子フィルムの温度膨張係数(CTE)測定と同じ条件にて、貼り合せる高分子フィルムの長手方向および幅方向と一致する方向について測定した。この測定を2回繰り返し、平均値を温度膨張係数(CTE)として算出した。
<接着シート貼り合わせ>
支持体として用いるステンレス鋼板(SUS304 鋼板、300mm×220mm、厚さ0.1mm)を、UV洗浄装置(株式会社たけでん製SKT2005Y−01)にて180秒間UV光を照射して洗浄した。次いで、接着シートである同サイズ(300mm×220mm)の両面冷却剥離シート(ニッタ株式会社製インテリマー(登録商標)テープ クールオフタイプ 型番:CS2325NA4)の片面の保護フィルムを剥離し、ラミネータ装置(クライムプロダクツ株式会社製SE 650nH)を用いて接着シートをステンレス鋼板へ貼り合わせた。
具体的には、同ラミネータ装置においてステンレス鋼板を孔のあるステンレス鋼製ホットプレートを介して減圧吸着し、接着シート側を300メッシュのステンレススクリーンを介して減圧吸着した。用いたローラーのゴム硬度は70度であった。ステンレス鋼板側のホットプレートは50℃に設定した。支持体として用いるステンレス鋼板と接着シートをギャップ0.1mmにて10秒間対向させ、その後、ローラー供給圧力0.5MPa、貼り付け時押し込み量0.3mm、ローラー移動速度5.0mm/secにてラミネートした。
次いで、接着シートを貼り合わせた支持体への高分子フィルム貼り合わせを行った。高分子フィルムとしてポリエチレンナフタレート(PEN;帝人フィルムソリューション株式会社製、テオネックス(登録商標)型番:Q65HA)を用いた。なお、貼り合わせ条件等は前述の接着シート貼り合わせと同条件とした。
これにより、接着シートを介して高分子フィルムと支持体とを貼り合せた積層体を得た。
上記のようにして得られた積層体の高分子フィルム面に反転印刷機である高精細印刷装置(株式会社セプト製)を用い、銀インクにより、外形一辺が150.000mmの正方形であるテストパターンを印刷し、次いで、120℃にて60分間乾燥させた。
その後、正方形であるテストパターンの各頂点の座標位置をNEXIV VMR−6555(株式会社ニコン製)を用いて計測し、座標位置から正方形各辺の長さを求め、4辺の平均値Xを算出した。
剥離後、NEXIV VMR−6555(株式会社ニコン製)を用いて前述と同様に正方形各辺の長さを求め、4辺の平均値Yを算出した。
高分子フィルム及び支持体を表1に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製し、剥離前後の寸法差を求めた。
結果を表1に示す。
≪高分子フィルム≫
PEN:ポリエチレンナフタレート(帝人フィルムソリューション株式会社製、テオネックス(登録商標)、型番:Q65HA、厚さ125μm)
PET:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡株式会社製、コスモシャイン(登録商標)、型番:A−1555LS、厚さ188μm)
PI:ポリイミド(東洋紡株式会社製、XENOMAX(登録商標)、型番:F38LR、厚さ38μm)
≪支持体≫
無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG、厚さ1.1mm)
ソーダガラス(セントラル硝子株式会社製、厚さ1.1mm)
アルミ板(株式会社日立金属ネオマテリアル製アルミニウム板、厚0.1mm及び0.3mm)
SUS304 鋼板(株式会社日立金属ネオマテリアル製SUS304鋼板、厚さ0.1mm)
一方、比較例1〜比較例5では、高分子フィルム及び支持体におけるCTE差(絶対値)が5ppm超であり、剥離前後の寸法差(絶対値)が長手方向および幅方向のいずれか大きい方向では650ppm以上であった。
以上により、高分子フィルム及び支持体におけるCTE差(絶対値)が5ppm以下である実施例1〜3では、高分子フィルム及び支持体におけるCTE差(絶対値)が5ppm超である比較例1〜5よりも、剥離前後の寸法差(絶対値)が小さく、支持体剥離後の高分子フィルムの変形が抑制されていたことが示された。
Claims (5)
- 示差走査熱量測定(DSC)で求められるガラス転移温度が50℃〜200℃の範囲である高分子フィルムと、
金属又は金属化合物からなり、前記高分子フィルムに仮固定される支持体と、
を備え、
30℃から120℃までの温度領域Aにおける前記支持体の長手方向の温度膨張係数と、前記温度領域Aにおける前記高分子フィルムの長手方向の温度膨張係数と、の差の絶対値、及び、前記温度領域Aにおける前記支持体の幅方向の温度膨張係数と、前記温度領域Aにおける前記高分子フィルムの幅方向の温度膨張係数と、の差の絶対値が、それぞれ5ppm/℃以下であり、フレキシブル電子デバイスの製造に用いられる積層体。 - 前記支持体の温度膨張係数及び前記高分子フィルムの温度膨張係数の少なくとも一方が、5ppm/℃〜50ppm/℃である請求項1に記載の積層体。
- 前記高分子フィルムの温度膨張係数は、前記支持体の温度膨張係数以上である請求項1又は請求項2に記載の積層体。
- 前記高分子フィルム及び前記支持体は、ポリエチレンテレフタレート及びアルミニウム、又はポリエチレンナフタレート及びステンレス合金である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体を用いてフレキシブル電子デバイスを製造する製造方法であって、
前記高分子フィルムを前記支持体に仮固定して前記積層体とし、前記高分子フィルム側の面に導体パターンを印刷し、加熱を経た後、前記支持体から前記高分子フィルムを剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法。
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