JP7227819B2 - キャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法 - Google Patents

キャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7227819B2
JP7227819B2 JP2019061564A JP2019061564A JP7227819B2 JP 7227819 B2 JP7227819 B2 JP 7227819B2 JP 2019061564 A JP2019061564 A JP 2019061564A JP 2019061564 A JP2019061564 A JP 2019061564A JP 7227819 B2 JP7227819 B2 JP 7227819B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carrier material
aluminum
aluminum foil
kpa
pressing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019061564A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019183272A (ja
Inventor
久詠 加藤
英俊 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Original Assignee
TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA filed Critical TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Publication of JP2019183272A publication Critical patent/JP2019183272A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7227819B2 publication Critical patent/JP7227819B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)

Description

本発明は、キャリア材(「離型材」、「離型フィルム」等ともいう)及びそれを用いた加熱プレス方法に関する。
従来、例えばプリント配線板の製造過程において、不織布などの基材に熱硬化性樹脂を含浸して乾燥させた含浸紙布(いわゆるプリプレグ)を積み重ねて加熱プレスすることにより熱硬化性樹脂積層板を作製することが行われている。このとき、加熱プレス機の上下のダイと熱硬化性樹脂積層板との離型性を確保したり、上下のダイとの接触による熱硬化性樹脂積層板の汚損を防止するためにキャリア材を介して加熱プレスが行われる。
キャリア材としては種々のものが知られているが、例えば特許文献1には、ポリエステルフィルムの片面に硬化型シリコーン離型剤層を、他の片面に金属箔層を形成させた離型フィルムをキャリア材として用いることが開示されている(請求項1)。また、金属箔層としては一般にアルミニウム箔が使用されることが記載されている(2頁右上欄)。
また、特許文献2には、プリント基板等に用いる樹脂ベース積層板を加熱プレスで製造する際に用いる離型材(キャリア材)に関し、アルミニウム箔の片面又は両面にエポキシ樹脂とセルロース樹脂よりなる剥離剤層を設けた離型材が開示されている。
特開昭59-222347号公報 特開平11-148046号公報
従来のキャリア材によれば、加熱プレス後の被加圧物の離型性が良く、またキャリア材の材質(特に樹脂成分)を選択することにより被加圧物に対する防汚性も確保することができる。しかしながら、従来の加熱プレスにおいては、加熱プレス機の上下のダイと被加圧物との間に残る空気又は加熱プレス時に生じるガスの影響により、加熱プレス後の加圧製品の表面にうねりや微小な凹凸が生じることが指摘されている。また、加熱プレス時の加熱及び加圧により熱接着フィルム等を被加圧物の表面に接着してパッケージ化するような場合には、加圧プレス後の加圧製品の内部に気泡が残存して加圧製品(パッケージ)の平滑性を低下させることが指摘されている。更に、近年の精密機器部材に対する要求の高まりから、加圧製品表面のより高い平滑性が求められている。
本発明は、上記従来技術の問題を改善するために完成されたものであり、加熱プレスにより得られる加圧製品表面の平滑性を確保するために有効なキャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の表面平滑度を有するアルミニウム基材を有するキャリア材が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のキャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法に関する。
1.加熱プレス用途に用いられるキャリア材であって、
(1)少なくともアルミニウム基材を有し、
(2)前記アルミニウム基材は、エッチング処理されており、スムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上である、
ことを特徴とするキャリア材。
2.前記アルミニウム基材は、表面に凹凸を有しており、凸部が浮島状に存在し、凹部が前記アルミニウム基材の平面方向において連続的につながった状態で存在する、上記項1に記載のキャリア材。
.前記アルミニウム基材の片面又は両面に更に樹脂フィルムが積層されている、上記項1又は2に記載のキャリア材。
.キャリア材を用いた加熱プレス方法であって、前記キャリア材は、
(1)少なくともアルミニウム基材を有し、
(2)前記アルミニウム基材は、エッチング処理されており、スムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上である、
ことを特徴とする加熱プレス方法。
本発明のキャリア材によれば、少なくともアルミニウム基材を有し、前記アルミニウム基材のスムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上であることにより、加熱プレス時のキャリア材として使用した場合に、加熱プレスにより得られる加圧製品表面の平滑性を確保することができる。
比較例1で作製したキャリア材のアルミニウム箔の走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察像(200倍)を示す図である。 比較例2で作製したキャリア材のアルミニウム箔のSEMによる表面観察像(200倍)を示す図である。 実施例3で作製したキャリア材のアルミニウム箔のSEMによる表面観察像(200倍)を示す図である。 比較例4で用いたキャリア材のアルミニウム箔のSEMによる表面観察像(200倍)を示す図である。 比較例4で用いたキャリア材のアルミニウム箔のSEMによる表面観察像(5000倍)を示す図である。
以下、本発明のキャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法について詳細に説明する。
本発明のキャリア材
本発明のキャリア材は加熱プレス用途に用いられるキャリア材であって、
(1)少なくともアルミニウム基材を有し、
(2)前記アルミニウム基材は、スムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上である、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明のキャリア材は、少なくともアルミニウム基材を有し、前記アルミニウム基材のスムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上であることにより、加熱プレス時のキャリア材として使用した場合に、加熱プレスにより得られる加圧製品表面の平滑性を確保することができる。つまり、上記アルミニウム基材は、上記表面平滑度となるようにその表面が粗面化処理されている。
本発明のキャリア材に用いるアルミニウム基材は、スムースター法により測定した表面平滑度(この表面平滑度は当該表面近傍の通気性を示す指標となり、特定の粗面化表面を有することを示す)が2.6kPa以上であるものであれば特に限定されない。キャリア材に含まれるアルミニウム基材がかかる表面平滑度を有することにより、加熱プレス機の上下のダイと被加圧物との間に残る空気又は加熱プレス時に生じるガスを、加熱プレス時にアルミニウム基材の粗面化表面から加圧領域の外に逃がすことにより加圧製品表面の平滑性を確保することができる。また、加熱プレス時の加熱及び加圧により熱接着フィルム等を被加圧物の表面に接着してパッケージ化するような場合でも、前記キャリア材を用いることにより、加熱プレスする際に加圧製品の内部の気泡の残存を抑制して加圧製品表面の平滑性を確保することができる。
粗面化処理する前のアルミニウム基材としては、公知のアルミニウム箔を用いることができ、純アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を用いることができる。アルミニウム合金箔を用いる場合には、成分として、珪素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)及びホウ素(B)の少なくとも1種の合金元素を必要範囲内において添加したアルミニウム合金箔、或いは上記合金元素の含有量を限定したアルミニウム箔を用いることができる。工業的には、JISで規定される1N30、8079、8021等の材質のアルミニウム箔を用いることができる。
粗面化処理する前のアルミニウム基材の厚みは、特に限定されない。本発明のキャリア材の生産性を考慮すると、アルミニウム箔の場合は5μm以上200μm以下であることが好ましく、15μm以上150μm以下であることが特に好ましい。但し、粗面化処理する前のアルミニウム基材としては、アルミニウム箔だけでなくより厚みが大きいアルミニウム板材も適用することができる。この場合には、アルミニウム板材の厚みとしては200μm以上2000μm以下であることが好ましい。
粗面化処理する前のアルミニウム基材(箔又は板材)は、公知の方法によって製造されるものを使用することができる。例えば、上記の所定の組成を有するアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を調製し、これを鋳造して得られた鋳塊を適切に均質化処理する。その後、この鋳塊に熱間圧延及び冷間圧延を施すことにより、アルミニウム板材又はアルミニウム箔を得ることができる。
なお、上記の冷間圧延工程の途中で50~500℃、特に150~400℃の範囲内で中間焼鈍処理を施してもよい。また、上記の冷間圧延工程の後に150~650℃、特に350~550℃の範囲内で焼鈍処理を施して軟質箔としてもよい。
粗面化処理する前のアルミニウム基材を粗面化処理する方法は限定されず、本願所定の表面平滑度(粗面度)が得られる方法であればよい。例えば、エッチング、ブラスト処理等の公知の粗面化処理方法が適用できる。この中でもエッチングが好ましい。
エッチングは、酸性又はアルカリ性の溶液を用いて行なわれる。エッチング液としては、例えば、硫酸、燐酸、クロム酸、硝酸、フッ酸、酢酸、苛性ソーダ、塩化第二鉄、過塩素酸等の単独の溶液又はそれらの二種以上の混合溶液を使用することができる。もちろん、水等の溶媒を用いて適当に上記の溶液を希釈してエッチング液として使用してもよい。
エッチング時間とエッチング時の液温は適宜調整でき、室温下で20~200秒程度の浸漬又はスプレーによる散布によりエッチング処理するのが好ましいが、エッチング処理時間短縮のため、液温は加温してもよい。
エッチング処理したアルミニウム基材の表面粗度Rzは、3.0μm以上が好ましく、3.6μm以上がより好ましい。3.0μm未満では表面平滑度の改善効果が乏しくなるおそれがある。一方で、粗度Rzを大きくしすぎた場合、アルミニウム基材そのものの強度が低下し、エッチング処理や裁断処理等の工程中及びキャリア材としての使用中の破断や表面脱落量が多くなるため、Rzの上限はエッチング処理をするアルミニウム基材の厚みの半分以下が好ましい。例えば、厚み30μmの箔を使用する場合は、粗度Rzの上限は15μmとなる。なお、本明細書における表面粗度Rzは、JIS B0601:1982規格に準じて、触針式粗度計(株式会社東京精密製SURFCOM1400D)で十点平均粗さを測定した際のN=3の平均値である。
粗面化処理したアルミニウム基材の表面平滑度は、スムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上であればよい。但し、本明細書では、必要な面のみを、N=3で測定した平均値を採用する。上記表面平滑度を以下では「スムースター値」ともいう。スムースター法による表面平滑度の測定は、JAPAN TAPPI(紙パルプ試験方法)No.5-1:2000に準拠することができる。但し、本発明では、水銀柱圧力計に代えて圧力センサーを用いた。市販の測定装置としては、東英電子工業社製のスムースター平滑度試験機などを用いることができる。
上記表面平滑度は2.6kPa以上であればよいが、2.9kPa以上がより好ましく、7.0kPa以上が更に好ましく、10kPa以上が特に好ましい。現実的な上限値としては50kPa程度であり、30kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましい。表面平滑度がかかる範囲内であることにより加熱プレス機の上下のダイと被加圧物との間に残る空気又は加熱プレス時に生じるガスを、加熱プレス時にアルミニウム基材の粗面化表面から加圧領域の外に逃がすことにより加圧製品表面の平滑性を確保することができる。また、加熱プレス時の加熱及び加圧により熱接着フィルム等を被加圧物の表面に接着してパッケージ化するような場合でも、前記キャリア材を用いることにより、加熱プレスする際に加圧製品の内部の気泡の残存を抑制して加圧製品表面の平滑性を確保することができる。
アルミニウム基材の粗面化処理は、アルミニウム基材の片面又は両面のどちらでもよい。通常は片面だけに施せばよいが、その場合には、加熱プレス時に上下のダイと被加圧物との間に本発明のキャリア材を介在させる際に、粗面化処理した方が被加圧物側に位置するように介在させる。
なお、粗面化処理によりアルミニウム基材の表面は凹凸を有しているが、凹凸の凸部が浮島状に存在し、凹部がアルミニウム基材の平面方向において連続的につながった状態で存在する状態であることが好ましい。このような表面凹凸であることにより加熱プレス時に空気又はガスを加圧領域外に逃がす効率を高めることができる。
本発明のキャリア材は、上記アルミニウム基材のみから構成してもよいが、必要に応じてアルミニウム基材の片面又は両面(特に粗面化表面の上)に更に樹脂フィルムを積層してもよい。このような樹脂フィルムを積層し、加熱プレス時に樹脂フィルムを被加圧物側に位置するようにキャリア材を配置することにより、加熱プレス時の加圧製品の防汚性、離型性(剥離性)等を高めることができる。
樹脂フィルムとしては限定的ではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムなどのフッ素系フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等の、加熱プレス時の加熱温度以上の耐熱性があり、離型性(剥離性)、被加圧物の機能性を妨害する汚染源にならないものが挙げられる。これらの中でもPTFEフィルムが好ましい。このような樹脂フィルムの厚さは限定的ではないが、通常5~500μm程度が好ましく、15~200μm程度がより好ましい。
本発明の加熱プレス方法
本発明の加熱プレス方法は、キャリア材を用いた加熱プレス方法であって、
前記キャリア材は、
(1)少なくともアルミニウム基材を有し、
(2)前記アルミニウム基材は、スムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上である、
ことを特徴とする。すなわち、加熱プレスに際して本発明のキャリア材を加熱プレス機の上下のダイと被加圧物との間に介在させることを特徴とする。
本発明の加熱プレス方法が適応できる技術分野は限定的ではないが、例えば、プリント基板、多層配線基板、FPC、アンテナコイル、ICタグ/ICカード用基板等の製造や加工に用いることができる。例えば、プリント基板の製造におけるプリプレグの多段プレス工程において、適当な大きさに切断した半硬化状態のプリプレグと本発明のキャリア材とを交互に積層し、上下方向から熱と圧力とを加えて複数のプリプレグを一時に加熱硬化させる工程に適用することができる。また、上記基板などの上に接着剤や熱接着フィルムを介してカバーフィルムを重ねた積層体(熱接着前の積層体)と本発明のキャリア材とを交互に積層し、上下方向から熱と圧力とを加えて複数の積層体のカバーフィルムをそれぞれ熱接着して各基板をパッケージ化する工程に適用することができる。なお、本発明のキャリア材の特性を有効活用できる使用態様であれば、必ずしもこれらの例示した工程に限定されるものではない。
加熱プレス時の温度条件及び圧力条件は限定的ではないが、本発明のキャリア材の性能を有効利用する観点からは、温度条件は100~500℃が好ましく、150~450℃がより好ましい。また、圧力条件は、0.1~100MPaが好ましく、1~50MPaがより好ましい。但し、温度条件は樹脂フィルム耐熱温度が上限になる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実験方法>
アルミニウム箔(材質1N30軟質箔、厚み:9μm)/ウレタン系接着剤(3.5g/m)/PETフィルム(厚み:38μm)構成のアルミニウム回路基板(単位を構成している以外の「/」は層間を示す。)を被加圧物として準備した。
その被加圧物の上下(被加圧物を挟む意味での上下:以下同様。)に防汚性及び離型性(剥離性)を高めるためにPTFEフィルム(厚み:20μm)を重ね、更にその上下に加圧用アルミニウム箔(厚み:30μm)、更にその上下にアルミニウム板(厚み:1.6mm)、緩衝材(ゴム製、厚み1.3mm)を重ねた構成で加熱プレス(ミカドテクノス株式会社製熱加圧装置、型式:MKP-1000D-WHを使用)を実施した。すべてのシートのサイズは23.0cm×17.5cmに統一した。
加熱プレス条件150℃×2.2MPaを120秒保持し、圧力条件はそのままに100℃まで冷却後、プレス機からサンプルを取出した。その後、サンプルからアルミニウム板と緩衝材と加圧用アルミニウム箔を取り除いた後、被加圧物の上下両面とPTFEフィルム間に発生した気泡をカウントした。なお、本実験においては上記シートサイズを考慮の上、気泡数が10個以下であれば○判定(良判定)とし、気泡数が11個以上であれば×判定(不良判定)としたが、気泡数と許容範囲との関係は被加圧物の種類や技術分野により左右されるため必ずしも上記基準に限定されるものではない(以下同様)。
カウントは、φ2.0mm以上の気泡の数、及びφ2.0mm未満においても明らかな気泡の集合体は1個としてカウントした。なお、当該態様では「PTFEフィルムと加圧用アルミニウム箔との積層体」がキャリア材に該当する。
加圧用アルミニウム箔は、1N30、硬質箔を使用して、エッチング処理したものと処理していないもので比較を実施した。
スムースター値の測定は、JAPAN TAPPI(紙パルプ試験方法)No.5-1:2000に準拠した。但し、水銀柱圧力計に代えて圧力センサーを用いた。なお、本実施例及び比較例におけるスムースター値及び粗度Rzは、アルミニウム箔の被加圧物側の面での測定値である。
比較例1
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値0.13kPaのエッチング処理されていないアルミニウム箔を用いて加熱プレスを行った。
その結果、86個の気泡が確認された。
比較例2
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値1.9kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で20秒エッチング処理「処理1」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、56個の気泡が確認された。
実施例1
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値2.9kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で30秒エッチング処理「処理2」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例2
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値7.4kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で50秒エッチング処理「処理3」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例3
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値8.6kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で60秒エッチング処理「処理4」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例4
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値13kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で70秒エッチング処理「処理5」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例5
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値19kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で90秒エッチング処理「処理6」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
以上の結果を表1にまとめた。表にはスムースター値以外の表面凹凸の指標として粗度Rzも記載した。
Figure 0007227819000001
エッチング処理1~6にかけて、アルミニウム箔のエッチング処理量を多くしている。エッチング処理量が多くなるほど、粗度Rzが大きくなることから、表面凹凸が大きくなり、同様にスムースター値も大きくなる傾向にあることがわかる。スムースター値が大きいほど、被加圧物表面付近に残存する気泡の数が減少するが、エッチング処理をしてもスムースター値が小さい場合には効果が乏しい。実施例1~5のようにエッチング量を徐々に多くすると向上することがわかる。上記結果及びその他の実験結果からスムースター値が2.6kPa以上において気泡カウント数が○判定となることが分かった。従って、スムースター値は2.6kPa以上が好ましい。
発生した気泡は、例えば、加熱プレス時に、回路基板表面に付着した残留水分、汚染物、残留溶剤等が起因で発生したガス、プレス時に噛み込んだ空気がシート外周側に逃げることができずに留まってしまったことで加熱により膨張したもの、回路部の凹凸、埃の噛み込みにより生じた隙に残存した空気が加熱により膨張したもの等が要因と考えられる。
加熱プレス後の気泡は、シート中央部に集中しており、外周近くになるにつれて少なくなっている。表1に記載のように、スムースター値が大きくなるにつれて気泡数が少なくなることから、キャリア材に使用するアルミニウム箔の表面凹凸の高低差を大きくすることにより、加熱プレスにより被加圧物から発生したガス等が凸の部分と凹の部分の隙間から外周側へ通過する通り道になっているものと考えられる。
また、比較例2と実施例1のように粗度Rzがほぼ同じ数値であるにも拘らず、実施例1のほうのスムースター値が大きく、気泡残存数が大きく改善していることから単純に凹凸の高低差が大きいだけではガス通過効果が薄れてしまい、凹凸が平面方向で中央部から外周側に向けて連結しているほうがより効果が高いことがわかる。従って、表面平滑度は、狭い範囲を測定する粗度Rzで規定するよりも測定面の広いスムースターで規定することがより的確な測定方法と考えられる。
エッチング処理アルミニウム箔の表面写真から、ガス抜け道についてより具体的に説明することができる。図1に比較例1、図2に比較例2、図3に実施例3のアルミニウム箔表面SEM写真(×200倍率)を添付する。
図3の写真においてコントラストがダークな部分が浮島状に存在しているが、この部分は難溶解部分(溶解し難い部分であり、完全に溶解していない訳ではないが完全な未溶解部分を含むことは排除されない。)である。他方、コントラストがライトな部分は前記難溶解部分に比して溶解量が多い部分(溶解性部分)である。難溶解部分がガス抜けを阻害する障壁で、溶解性部分をガスの抜け道と考えた場合、溶解性部分は二次元に連結している必要性がある。実施例3はガスの抜け道(二次元に連結した溶解性部分)が十分に確保されているため、スムースター値が大きく、かつ気泡カウント数が0となっている。
図2は難溶解部分が多く、溶解性部分が二次元に連結していないことがわかる。よって、発生したガスが外周へ通りぬけることができず、実施例3よりもスムースター値が小さく、気泡カウント数も多い結果となった。
図1は溶解性部分がなくガスの通り道がないため、気泡カウント数が最も多い結果となった。なお、浮島状の部分が全て溶解し一見して残存してないように見える場合でも溶解している部分に凹凸が存在してスムースター値が2.6kPa以上であればガス抜けの通り道が確保されていると考えられる。但し、必要以上に溶解するとアルミニウム箔の引張り強度が低下するため、エッチング処理時に材料破断の要因となってしまうことから、過剰にエッチング処理しすぎることは好ましくない。
続いて、被加圧物をより多層構成(パッケージ)に変更した場合の、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実験方法>
アルミニウム箔(材質1N30軟質箔、厚み:9μm)/ウレタン系接着剤(3.5g/m)/PETフィルム(厚み:38μm)構成のアルミニウム回路基板を準備し、その上下に、接着用としてアドマー(登録商標)フィルム(東セロ製VE-300、厚み:30μm)、更に上下に回路パッケージ用を想定してナイロン12フィルム(ダイセルバリューコーティング製、厚み:30μm)を重ねたものを被加圧物として準備した。
その被加圧物の上下に防汚性及び離型性(剥離性)を高めるためにPTFEフィルム(厚み:20μm)を重ね、更にその上下に加圧用アルミニウム箔(厚み:30μm)、更にその上下にアルミニウム板(厚み:1.6mm)、緩衝材(ゴム製、厚み1.3mm)を重ねた構成で加熱プレスを実施した。加熱プレス条件及び後続の気泡カウント基準は、実施例1などに適用した前述の条件及び基準と同じである。
先ずは被加圧物の上下両面とPTFEフィルム間(以下、「PTFE/被加圧物間」ともいう)に発生した気泡をカウントした。次にPTFEフィルムを取り除いた後、被加圧物の上下両面側から被加圧物の多層構成内部(以下、「被加圧物内部」ともいう)に存在する気泡を上記同様にカウントした。
加圧用アルミニウム箔は、1N30、硬質箔を使用して、エッチング処理したものと処理していないもので比較を実施した。また、比較例4では凹凸形状の異なる他社エッチング箔を追加した。
比較例3
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値0.13kPaのエッチング処理されていないアルミニウム箔を用いて加熱プレスを行った。
その結果、PTFE/被加圧物間に130個の気泡が確認された。また、被加圧物内部には40個の気泡が確認された。
比較例4
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値0.67kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(日本蓄電器工業株式会社製コンデンサ陰極用箔30CB、厚み30μm)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、PTFE/被加圧物間に90個の気泡が確認された。また、被加圧物内部には18個の気泡が確認された。つまり、エッチング処理されていないアルミニウム箔を用いた場合よりも気泡の数は明らかに少なくなっていたが、改善効果は不十分であった。
比較例5
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値1.9kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で20秒エッチング処理「処理1」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、PTFE/被加圧物間に22個の気泡が確認された。また、被加圧物内部には4個の気泡が確認された。つまり、エッチング処理されていないアルミニウム箔を用いた場合よりも気泡の数は明らかに少なくなっていたが、改善効果は不十分であった。
実施例6
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値2.9kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で30秒エッチング処理「処理2」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例7
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値7.4kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で50秒エッチング処理「処理3」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例8
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値8.6kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で60秒エッチング処理「処理4」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例9
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値13kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で70秒エッチング処理「処理5」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
実施例10
加圧用アルミニウム箔として表面平滑度がスムースター値19kPaのエッチング処理されたアルミニウム箔(10体積%塩酸水溶液で90秒エッチング処理「処理6」したもの)を用いて加熱プレスを行った。
その結果、気泡は確認されなかった。
以上の結果を表2にまとめた。表にはスムースター値以外の表面凹凸の指標として粗度Rzも記載した。
Figure 0007227819000002
表1に示した比較例、実施例の結果と同様に、スムースター値が大きいほど、被加圧物内部に残存する気泡の数が減少するが、エッチング処理をしてもスムースター値が小さい場合には効果が乏しい。また、他社でエッチング処理されたアルミニウム箔(比較例4)も粗度Rzが大きいがスムースター値が小さいため、残存した気泡が確認された。上記結果及びその他の実験結果からスムースター値が2.6kPa以上において気泡カウント数が○判定となることが分かった。従って、スムースター値は2.6kPa以上が好ましい。
キャリア材の表面凹凸によって被加圧物内部に存在する気泡の有無が変化するのは、前述の実施例1などの考察に記載したメカニズムの効果により得られた結果と考えられる。つまり、被加圧物とキャリア材間に存在するガス、空気がキャリア材表面の凹凸を通じて外周へ通り抜ける際の圧力移動が、被加圧物内部に内在したガスを内部から外周へ押し出す力に作用しているものと考えられる。
比較例4で用いた他社エッチング箔の表面写真を図4(×200倍率)、図5(×5000倍率)に示す。図3と比較すると、溶解部分のピット径が非常に小さく、浮島のような凹凸は確認されず、スムースター値も小さいことからガス通過に必要な連結した凹凸が少ないことがわかる。
当該気泡カウント数は、キャリア材や被加圧物の構成、デザインや凹凸等の表面形状、圧力条件等によって異なることが予想されるため、あくまでも参考値であり、気泡数による良否の判断は使用する用途によって決定される。
1.コントラストがライトな部分(溶解性部分(凹部))
2.コントラストがダークな部分(難溶解部分(凸部))
3.コントラストがダークな部分(難溶解部分(浮島状凸部))
4.コントラストがライトな部分(溶解性部分(凹部))

Claims (4)

  1. 加熱プレス用途に用いられるキャリア材であって、
    (1)少なくともアルミニウム基材を有し、
    (2)前記アルミニウム基材は、エッチング処理されており、スムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上である、
    ことを特徴とするキャリア材。
  2. 前記アルミニウム基材は、表面に凹凸を有しており、凸部が浮島状に存在し、凹部が前記アルミニウム基材の平面方向において連続的につながった状態で存在する、請求項1に記載のキャリア材。
  3. 前記アルミニウム基材の片面又は両面に更に樹脂フィルムが積層されている、請求項1又は2に記載のキャリア材。
  4. キャリア材を用いた加熱プレス方法であって、前記キャリア材は、
    (1)少なくともアルミニウム基材を有し、
    (2)前記アルミニウム基材は、エッチング処理されており、スムースター法により測定した表面平滑度が2.6kPa以上である、
    ことを特徴とする加熱プレス方法。
JP2019061564A 2018-03-30 2019-03-27 キャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法 Active JP7227819B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018069165 2018-03-30
JP2018069165 2018-03-30

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019183272A JP2019183272A (ja) 2019-10-24
JP7227819B2 true JP7227819B2 (ja) 2023-02-22

Family

ID=68339950

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019061564A Active JP7227819B2 (ja) 2018-03-30 2019-03-27 キャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7227819B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005059543A (ja) 2003-08-20 2005-03-10 Toyo Aluminium Kk 離型材とそれを用いた回路基板構造体の製造方法
JP2006291342A (ja) 2005-04-14 2006-10-26 Neos Co Ltd 金属表面の粗面化処理方法
JP2009270181A (ja) 2008-05-10 2009-11-19 Furukawa-Sky Aluminum Corp アルミニウム合金被覆材
JP2012111150A (ja) 2010-11-25 2012-06-14 San Alum Kogyo Kk 樹脂ベース基板用離型材およびその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5428830B2 (ja) * 1972-06-20 1979-09-19
JPS59222347A (ja) * 1983-06-01 1984-12-14 日立化成工業株式会社 熱硬化性樹脂積層板の製造法
JPH07302977A (ja) * 1994-04-28 1995-11-14 Ibiden Co Ltd 多層プリント配線板の製造方法とそれに用いる銅張積層板
JP3898315B2 (ja) * 1997-11-14 2007-03-28 東海アルミ箔株式会社 離型材

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005059543A (ja) 2003-08-20 2005-03-10 Toyo Aluminium Kk 離型材とそれを用いた回路基板構造体の製造方法
JP2006291342A (ja) 2005-04-14 2006-10-26 Neos Co Ltd 金属表面の粗面化処理方法
JP2009270181A (ja) 2008-05-10 2009-11-19 Furukawa-Sky Aluminum Corp アルミニウム合金被覆材
JP2012111150A (ja) 2010-11-25 2012-06-14 San Alum Kogyo Kk 樹脂ベース基板用離型材およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019183272A (ja) 2019-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7208011B2 (ja) 多層配線板の製造方法
JP7112962B2 (ja) 多層配線板の製造方法
TW566061B (en) Copper foil with carrier and printed circuit board using the same
US8007629B2 (en) Method of manufacturing multi-layer circuit board
WO2018066114A1 (ja) 多層配線板の製造方法
JP6948418B2 (ja) フレキシブル金属張積層板の製造方法
JP2001244630A (ja) 多層配線回路基板およびその製造方法
WO2018066113A1 (ja) 多層配線板の製造方法
JP7227819B2 (ja) キャリア材及びそれを用いた加熱プレス方法
JP6612168B2 (ja) 銅箔、銅張積層板、並びにフレキシブルプリント基板及び電子機器
JP4500773B2 (ja) フレキシブル積層板の製造方法
JP2002368365A (ja) 銅又は銅合金の支持体を備えた複合銅箔及び該複合銅箔を使用したプリント基板
JP2003311882A (ja) 耐熱性フレキシブル積層板の製造方法
JP7082206B2 (ja) 積層体の製造方法
JP4630120B2 (ja) 回路基板およびその製造方法
JP2009071021A (ja) 多層配線回路基板の製造方法
JP2002067240A (ja) 離型用積層フィルム
JP2008074037A (ja) 耐熱性フレキシブル金属積層板の製造方法
JP2016176094A (ja) 圧延銅箔、銅張積層板、並びにフレキシブルプリント基板及び電子機器
JP2004103681A (ja) 銅又は銅合金の支持体を備えた複合銅箔及び該複合銅箔を使用したプリント基板
JP2002052614A (ja) 積層板の製造方法
JP2013115316A (ja) 配線板の製造方法
JP2003318554A (ja) 多層プリント基板製造用アルミニウム離型板
JP2001310344A (ja) 積層板の製造方法
JP2008296495A (ja) 金属ベース基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7227819

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150