JPWO2018173802A1 - 光源装置および投光装置 - Google Patents

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博隆 上野
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一幸 松村
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公博 村上
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Abstract

波長変換部材に対して光を走査させるための走査手段として高反射率ミラー等の高重量の走査手段が用いられる場合も、適正かつ高精度に走査手段を制御することが可能な光源装置およびそれを備えた投光装置を提供する。レーザ光源と、波長変換部材と、光偏向器と、駆動部と、を備える。レーザ光源は、第1の波長を有するレーザ光を出射する。波長変換部材は、レーザ光の光路上に入射面を有し、第1の波長を第1の波長とは異なる第2の波長に変換し、かつレーザ光を拡散させて第2の波長を有する拡散光を生じせしめる。光偏向器は、レーザ光を、入射面上において走査させる。駆動部は、光偏向器に駆動信号を供給する。ここで、駆動部は、光偏向器の可動部が所定の移動動作を実現するように、可動部の運動特性に基づいて、駆動信号の駆動波形を設定する。

Description

本開示は、光を発する光源装置およびそれを用いた投光装置に関する。
従来、レーザ光源から出射された光を波長変換部材に照射することにより所定波長の光を生成する光源装置が知られている。この光源装置では、たとえば、波長変換部材により波長変換されて拡散された光と、波長変換部材により波長変換されずに拡散された光とが合成されて、白色光等、所定の色の光が生成される。このような光源装置が、たとえば、車両用前照灯の光源装置として利用されている。
以下の特許文献1には、ミラー部を備えた光偏向器を用いて励起用の光で波長変換部材を走査する車両用灯具が記載されている。この車両用灯具では、ミラー部の往復揺動の速度を遅くすることにより、光変換部材の一部の領域の光度が高められる。これにより、車両用灯具に求められる一部の領域(たとえば、中央付近の領域)の光度が相対的に高い光度分布を形成することができる。
特開2015−153645号公報
蛍光体を用いた光源装置では、より高光度の光を生成するために、波長変換部材を光で走査するためのミラーとして、たとえば、ガラス板に誘電体多層膜が形成された高反射率のミラーが用いられ得る。これに対し、上記特許文献1の構成では、光偏向器のミラー部として高反射率のミラーを用いると、ミラーの重量が大きいため、ミラーに慣性力が働いて、ミラーの揺動速度を適正に減速させることが困難となる。このため、上記特許文献1の構成では、ミラー部の揺動速度を適正に減速させるために、小型軽量の低反射率のミラーを用いざるを得ないものと想定され得る。
しかし、低反射率のミラーは反射膜の耐光性が低いため、より高光度の光を生成するために高出力かつ高密度の光をミラーに入射させると、ミラーの反射膜が破壊されることが起こり得る。このため、低反射率のミラーを用いる場合は、光度を高めるための方法として、高出力かつ高密度の光をミラーに入射させる方法を用いることができない。したがって、上記特許文献1の構成では、光源装置の高出力化の要請に応えることが困難であった。
かかる課題に鑑み、本開示は、波長変換部材に対して光を走査させるための走査手段として高反射率ミラー等の高重量の走査手段が用いられる場合も、適正かつ高精度に走査手段を制御することが可能な光源装置およびそれを用いた投光装置を提供することを目的とする。
本開示の第1の態様は、光源装置に関する。第1の態様に係る光源装置は、レーザ光源と、波長変換部材と、光偏向器と、駆動部と、を備える。レーザ光源は、第1の波長を有するレーザ光を出射する。波長変換部材は、レーザ光の光路上に入射面を有し、第1の波長を第1の波長とは異なる第2の波長に変換し、かつレーザ光を拡散させて第2の波長を有する拡散光を生じせしめる。光偏向器は、レーザ光を、入射面上において走査させる。駆動部は、光偏向器に駆動信号を供給する。ここで、駆動部は、光偏向器の可動部が所定の移動動作を実現するように、可動部の運動特性に基づいて、駆動信号の駆動波形を設定する。
本態様に係る光源装置によれば、光偏向器の可動部を駆動するための駆動信号の駆動波形が、可動部が所定の移動動作を実現するように、光偏向器の可動部の運動特性に基づいて設定される。このため、高反射率のミラー等、高重量の走査手段が用いられる場合も、適正かつ高精度に走査手段を制御することができる。
本開示の第2の態様は、投光装置に関する。第2の態様に係る投光装置は、第1の態様に係る光源装置と、波長変換部材により拡散された光を投射する投射光学系と、を備える。
本態様に係る投光装置によれば、第1の態様と同様の効果が奏され得る。
以上のとおり、本開示に係る光源装置および投光装置によれば、波長変換部材に対して光を走査させるための走査手段として高反射率ミラー等の高重量の走査手段が用いられる場合も、適正かつ高精度に走査手段を制御することができる。
本開示にかかる発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本開示にかかる発明を実施化する際の一つの例示であって、本開示は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1は、第1実施形態に係る投光装置の構成を示す斜視図である。 図2は、第1実施形態に係る投光装置の構成を示す断面図である。 図3Aは、第1実施形態に係る光偏向器の構成を示す斜視図である。 図3Bは、第1実施形態に係る光偏向器の構成を示す断面斜視図である。 図4Aは、第1実施形態に係る波長変換部材の構成を模式的に示す側面図である。 図4Bは、第1実施形態に係る波長変換部材の構成を模式的に示す平面図である。 図5は、第1実施形態に係る光源装置の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。 図6Aは、第1実施形態に係る移動プロファイルの波形を模式的に示すグラフである。 図6Bは、第1実施形態に係る移動プロファイルに従ってミラーが回動される場合のミラーの角速度の変化を模式的に示すグラフである。 図6Cは、第1実施形態に係る駆動プロファイルの波形を模式的に示すグラフである。 図7は、第1実施形態に係る駆動プロファイルを生成する処理を示すフローチャートである。 図8Aは、第2実施形態に係る駆動プロファイルを生成する処理を示すフローチャートである。 図8Bは、第2実施形態に係る駆動プロファイルを第1実施形態に係る駆動プロファイルと比較して示す図である。 図9は、第3実施形態に係る駆動プロファイルの切替処理を示すフローチャートである。 図10は、第4実施形態に係る光偏向器の構成を示す斜視図である。 図11Aは、第4実施形態に係る光偏向器の構成を示す断面斜視図である。 図11Bは、第4実施形態に係る光偏向器の構成を示す断面斜視図である。 図12は、第4実施形態に係る波長変換部材におけるレーザ光の走査状態を模式的に示す図である。 図13Aは、第4実施形態に係る走査ラインに横切る方向に可動部を回動させるコイルに印加する駆動信号を模式的に示すグラフである。 図13Bは、第4実施形態に係る目標領域に照射される光の強度を模式的に示す図である。 図13Cは、第4実施形態の変更例に係る目標領域に照射される光の強度を模式的に示す図である。 図13Dは、第4実施形態の変更例に係る波長変換部材におけるレーザ光の走査状態を模式的に示す図である。 図14Aは、その他の変更例に係る光を照射させる領域の一部が遮光状態となるようレーザ光を点灯および消灯させることを模式的に示す図である。 図14Bは、その他の変更例に係る往路においてレーザ光の点灯および消灯のタイミングがずれることを模式的に示す図である。 図14Cは、その他の変更例に係る復路においてレーザ光の点灯および消灯のタイミングがずれることを模式的に示す図である。
以下、本開示の実施形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。X軸方向およびY軸方向は、それぞれ、投光装置の幅方向および奥行き方向であり、Z軸方向は投光装置の高さ方向である。Z軸正方向が、投光装置における光の投射方向である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る投光装置1の構成を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る投光装置1の構成を示す断面図である。図2には、Y−Z平面に平行な平面で投光装置1をX軸方向の中央位置において切断した断面図が示されている。
図1および図2を参照して、投光装置1は、光を生成する光源装置2と、光源装置2により生成された光を投射するための投射光学系3とを備えている。投射光学系3は、2つのレンズ3a、3bを備え、これらレンズ3a、3bによって光源装置2からの光を集光して目標領域へと投射する。なお、投射光学系3は、必ずしも2つのレンズ3a、3bのみから構成されなくともよく、たとえば、他のレンズやミラーを備えていてもよい。また、投射光学系3は、凹面ミラーによって光源装置2からの光を集光する構成であってもよい。
光源装置2は、ベース11に、各種部材が設置された構成となっている。具体的には、投射用の光を生成するための構成として、レーザ光源12と、コリメータレンズ13と、光偏向器14と、波長変換部材15がベース11に設置されている。コリメータレンズ13は、ホルダ16を介してベース11に設置されている。
レーザ光源12は、青色波長帯(たとえば、450nm)のレーザ光をZ軸正方向に出射する。レーザ光源12は、たとえば、半導体レーザからなっている。レーザ光源12から出射されるレーザ光の波長は、適宜変更可能である。また、レーザ光源12は、必ずしも単一波長帯のレーザ光を出射するものでなくともよく、たとえば、複数のモードを持ったマルチモードレーザや1つのパッケージに複数の発光素子がマウントされたマルチエミッタの半導体レーザであってもよい。
コリメータレンズ13は、レーザ光源12から出射されたレーザ光を平行光に変換する。コリメータレンズ13は、レーザ光源12から出射されたレーザ光を収束させ得るように、光軸方向の位置が調整されてもよい。
光偏向器14は、ミラー17を備え、ミラー17を回動軸L1について回動させることにより、コリメータレンズ13を通過したレーザ光の進行方向を変化させる。ミラー17の入射面は平面である。ミラー17は、たとえば、ガラス板に誘電体多層膜を形成した高反射率のミラーである。ミラー17は、中立位置において、X−Z平面に平行な面に対して、Y−Z平面に平行な方向に所定角度だけ傾くように配置される。ミラー17の回動軸L1は、Y−Z平面に平行で、且つ、Z軸方向に対して所定角度だけ傾いている。光偏向器14の構成は、追って、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。
波長変換部材15は、ミラー17によって反射されたレーザ光が入射する位置に配置されている。波長変換部材15は、長方形形状の板状の部材であり、入射面がX−Y平面に平行となり、且つ、長手方向がX軸に平行となるように、ベース11に設置されている。上記のように、ミラー17が回動軸L1について回動することにより、波長変換部材15は、レーザ光によって長手方向に走査される。
波長変換部材15は、入射したレーザ光の一部を、青色波長帯とは異なる波長に変換して、Z軸方向に拡散させる。波長変換されなかった他のレーザ光は、波長変換部材15によってZ軸方向に拡散される。こうして拡散された2種類の波長の光が合成されて、所定の色の光が生成される。各波長の光は、投射光学系3に取り込まれて、目標領域に投射される。
第1実施形態では、波長変換部材15によって、レーザ光の一部が、黄色波長帯の光に変換される。波長変換後の黄色波長帯の拡散光と、波長変換されなかった青色波長帯の散乱光とが合成されて、白色の光が生成される。なお、波長変換後の波長は黄色波長帯でなくてもよく、生成される光の色は、白以外の色であってもよい。波長変換部材15の構成は、追って、図4Aおよび図4Bを参照して説明する。
ベース11の下面には、回路基板18が設置されている。この回路基板18に、レーザ光源12および光偏向器14を制御するための回路が実装されている。図1に示すように、回路基板18の端子部が、ベース11のY軸正側において、外部に露出しており、この端子部が光偏向器14と電気的に接続され、ベース11のY軸負側の回路基板18に実装されているコネクタ19によって回路基板18が外部と接続される。
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、光偏向器14の構成を示す斜視図および断面斜視図である。図3Bには、x−z平面に平行な平面で、図3Aに示す光偏向器14をy軸方向の中央位置において切断したIIIB−IIIB断面図がハッチングにて示されている。
なお、便宜上、図3Aおよび図3Bには、光偏向器14の構成を説明するために、新たにx、y、z軸が示されている。このうち、x軸は、図1および図2に示したX軸と同一方向である。x、y、z軸は、図1および図2に示したX、Y、Z軸を、X軸周りに、所定の角度だけ回転させたものである。y軸は、光偏向器14の短手方向に対応し、z軸は、光偏向器14の高さ方向に対応する。ここでは、便宜上、z軸負側を光偏向器14の上側と定義する。
図3Aおよび図3Bを参照して、光偏向器14は、電磁力を利用してミラー17を駆動する構成となっている。ハウジング101に、電磁駆動のための構成部材が設置されている。
ハウジング101は、x軸方向に長い直方体形状を有する。ハウジング101の上面には、平面視において長方形の凹部101aが形成されている。また、ハウジング101には、x軸正負の縁の上面に、それぞれ、ボス101bが形成されている。2つのボス101bは、ハウジング101のy軸方向の中間位置に配置されている。ハウジング101は、剛性が高い非磁性の金属材料からなっている。
ハウジング101の上面に、枠状の板バネ102が設置される。板バネ102は、枠部102aと、支持部102bと、2つの梁部102cと、2つの孔102dとを有する。
x軸方向の中間位置において、枠部102aからy軸方向に平行に延びるように、2つの梁部102cが形成され、これら梁部102cによって、枠部102aと支持部102bとが連結されている。支持部102bは、平面視において長方形であり、支持部102bのx軸方向の中間位置において、2つの梁部102cが支持部102bに繋がっている。x軸正側の孔102dは、ボス101bと同様、平面視において円形で、x軸負側の孔102dは、平面視においてx軸方向に長い形状である。板バネ102は、y軸方向に対称な形状であり、また、2つの孔102dを除いてx軸方向に対称な形状である。板バネ102は、可撓性の金属材料により一体形成されている。
2つの孔102dは、それぞれ、2つのボス101bに対応する位置に設けられている。孔102dにボス101bが嵌められた状態で、4つのネジ103により、板バネ102がハウジング101の上面に固定される。支持部102bの上面にミラー17が接着剤等によって固定される。ミラー17は、平面視において略正方形である。2つの梁部102cを繋いだ軸が、ミラー17の回動軸L1となる。すなわち、2つの梁部102cは、ミラー17の回動軸L1に沿うように設けられている。一対の梁部102cは、回動軸L1に沿ってy軸方向の両側から支持部102bおよびミラー17を弾性支持している。
なお、レーザ光源12からのレーザ光は、ミラー17の入射面に対して斜め方向から、ミラー17の中央位置に入射する。すなわち、回動軸L1とレーザ光の中心軸とが交差するように、レーザ光源12からのレーザ光が、ミラー17に入射する。
支持部102bの下面にコイル104が装着される。コイル104は、平面視において長方形の角が丸められた形状に周回している。コイル104は、長辺の中間位置が回動軸L1に一致するように、支持部102bの下面に設置される。コイル104、支持部102bおよびミラー17が、光偏向器14の可動部を構成する。
コイル104のx軸正側およびx軸負側の部分をそれぞれx軸方向に挟むように、磁石105および磁石106の組が2つ配置される。磁石105と磁石106は、ヨーク107に設置される。ヨーク107は、ハウジング101の凹部101aの底面に設置される。磁石105、106は、磁極面における磁束密度が略均一の永久磁石である。
x軸正側の磁石105、106によって生じる磁界の向きと、x軸負側の磁石105、106によって生じる磁界の向きは、同じである。たとえば、x軸正側の磁石105は、N極がコイル104に対向し、x軸負側の磁石105は、S極がコイル104に対向する。また、x軸正側の磁石106は、S極がコイル104に対向し、x軸負側の磁石106は、N極がコイル104に対向する。このように磁極(磁界の向き)を調整することにより、コイル104に駆動信号(電圧)が印加されると、コイル104に電流が流れ、回動軸L1周りの駆動力がコイル104に励起される。これにより、ミラー17が、回動軸L1を軸として回動し、中立位置に対して傾く。
なお、「中立位置」とは、コイル104に駆動信号(電圧)が印加されていない場合のミラー17の位置のことであり、第1実施形態の構成では、図3Aのように、支持部102bおよびミラー17が、回動軸L1について何れの方向にも回動しておらず、x−y平面に平行な状態にあるときのミラー17の位置をいう。以下では、便宜上、ミラー17が中立位置にあるときの可動部の位置も中立位置と称する。
図4Aは、波長変換部材15の構成を模式的に示す側面図である。
波長変換部材15は、基板201の上面に、反射膜202と、蛍光体層203とを積層した構成となっている。
基板201は、たとえば、シリコンや窒化アルミニウムセラミックなどからなっている。
反射膜202は、第1の反射膜202aと第2の反射膜202bとが積層されて構成されている。第1の反射膜202aは、たとえば、Ag、Ag合金、Alなどの金属膜である。第2の反射膜202bは、反射とともに第1の反射膜202aを酸化などから保護する機能をも有し、たとえば、SiO、ZnO、ZrO、Nb、Al、TiO、SiN、AlNなど誘電体の1つまたは複数の層からなっている。反射膜202は、必ずしも、第1の反射膜202aおよび第2の反射膜202bから構成されなくともよく、単層または3つ以上の層が積層された構成であってもよい。
蛍光体層203は、蛍光体粒子203aをバインダ203bで固定することにより形成される。蛍光体粒子203aは、レーザ光源12から出射された青色波長帯のレーザ光が照射されることによって黄色波長帯の蛍光を発する。蛍光体粒子203aとして、たとえば、平均粒子径が1μm〜30μmの(YGd1−n(AlGa1−m12:Ce(0.5≦n≦1、0.5≦m≦1)が用いられる。また、バインダ203bとして、ポリメチルシルセスキオキサンなどのシルセスキオキサンを主に含む透明材料が用いられる。
さらに、蛍光体層203の内部に、ボイド203cを設けることが好ましい。第1実施形態では、蛍光体層203の中央付近に形成されたボイド203cと、反射膜202との界面付近に形成されたボイド203cが蛍光体層203に設けられる。
ここで、蛍光体層203の内部に形成されたボイド203cは、反射膜202に近いほど密度が高くなるように構成される。この構成により、内部に侵入したレーザ光をより効率的に散乱させて、光源装置2から取り出すことができる。また、反射膜202との界面付近に形成されたボイド203cは、誘電体である第2の反射膜202bと接するため、金属表面によるエネルギーロスを低減しつつ、効果的にレーザ光と蛍光を散乱させることができる。
上記のようなボイド203cの配置は、YAG:Ceからなる蛍光体粒子203aと、ポリシルセスキオキサンからなるバインダ203bとを混合した、蛍光体ペーストを用いて波長変換部材15を構成することで容易に形成できる。具体的には、蛍光体粒子203aと第2粒子とを、ポリシルセスキオキサンを有機溶剤に溶かしたバインダ203bに混合した蛍光体ペーストを用いて基板201(反射膜202)上に成膜する。その後、200℃程度の高温アニールを行うことで、ペースト中の有機溶剤を気化させる。このとき、波長変換部材15の基板201に近い部分から気化した有機溶剤は保持されやすいため、基板201に近い部分では、ボイド203cが容易に形成され得る。このような製造方法により、容易に反射膜202の近傍に高い密度のボイド203cを形成することができる。
なお、蛍光体層203には、さらに、強度および耐熱性を高めるためのフィラー203dが含まれる。フィラー203dとバインダ203bとの屈折率差も、蛍光体粒子203aとバインダ203bとの屈折率差と同様、大きく設定される。
レーザ光源12から出射されたレーザ光は、図4Aに示す励起領域R1に照射され、蛍光体層203の表面または内部で、散乱、吸収される。このとき、レーザ光の一部は、蛍光体粒子203aにより黄色波長帯の光に変換されて、蛍光体層203から放射される。また、レーザ光の他の一部は、黄色波長帯の光に変換されずに散乱されて青色波長帯の光のまま蛍光体層203から放射される。このとき、各波長帯の光は、蛍光体層203内を伝搬しながら散乱されるため、励起領域R1よりも広い発光領域R2から放射される。
なお、上記のようにバインダ203bと蛍光体粒子203aの屈折率差、および、バインダ203bとフィラー203dの屈折率差が何れも大きくなるように蛍光体層203が構成されることにより、光を散乱し易くでき、また、光の蛍光体層203内部での伝搬を抑制することができる。この結果、励起領域R1よりも微小に広い発光領域R2から光を放射させることができる。また、第1実施形態では、さらに、蛍光体層203にボイド203cを配置して、光の散乱を増強させている。この結果、さらに励起領域R1と発光領域R2とを近づけることができる。
図4Bは、波長変換部材15の構成を模式的に示す平面図である。
波長変換部材15は、平面視において、X軸方向に長い長方形の形状を有する。波長変換部材15は、光偏向器14のミラー17が回動されることにより、レーザ光でX軸方向に走査される。図4Bにおいて、B1は、レーザ光のビームスポットを示している。ビームスポットB1は、波長変換部材15の入射面15aを幅W1において往復移動する。
なお、図4Bでは、ビームスポットB1が入射面15a上を直線状に移動するように図示されているが、実際は、斜め方向からレーザ光が入射面15aに入射するため、ビームスポットB1は、Y軸正方向に凸にやや湾曲した移動軌跡で、入射面15a上を移動する。
入射面15a上におけるビームスポットB1の領域は、図4Aの励起領域R1に対応する。波長変換部材15の入射面15aをビームスポットB1が移動する間に、ビームスポットB1の領域よりもやや広い発光領域R2から青色波長帯の拡散光と黄色波長帯の拡散光がZ軸正方向に放射される。
こうして放射された2つの波長帯の光が、図1および図2に示した投射光学系3により取り込まれ、目標領域に投射される。これにより、青色波長帯の光と黄色波長帯の光が合成された白色の光が、投光装置1から目標領域に投射される。
図5は、光源装置2の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。
図5に示すように、光源装置2は、回路部の構成として、コントローラ301と、レーザ駆動回路302と、ミラー駆動回路303と、インタフェース304と、を備えている。これらの回路は、図1、2に示した回路基板18に実装されている。回路基板18には、さらにレーザ光源12も設置されている。なお、上記各回路の一部または全部が回路基板18とは別の回路基板に実装され、回路基板18側の回路とケーブルで接続された構成であってもよい。
コントローラ301は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路と、メモリ301aとを備え、メモリ301aに記憶された所定の制御プログラムに従って各部を制御する。メモリ301aは、ROM、RAM、ハードディスクなどにより構成される。
レーザ駆動回路302は、コントローラ301からの制御信号に従って、レーザ光源12を駆動する。ミラー駆動回路303は、コントローラ301からの制御信号に従って、光偏向器14の可動部(ミラー17、支持部102b、コイル104)を駆動する。インタフェース304は、たとえば、車両側の制御回路等、外部制御回路との間でコントローラ301が信号の送受信を行うための入出力回路である。
なお、本実施形態では、ミラー17が中立位置付近の範囲を回動するときにミラー17の回動速度がゼロ付近で一定となるように、コイル104に印加される駆動信号(電圧)の波形が調整されている。具体的には、予め規定されたミラー17の1周期の往復動作が実現され得るように、可動部の運動特性(運動方程式)に基づいて、駆動信号(電圧)の波形(駆動プロファイル)が設定されている。駆動プロファイルは、予めメモリ301aに記憶される。実動作時において、コントローラ301は、メモリ301aに記憶された駆動プロファイルに基づいて、1周期ごとに、光偏向器14の可動部を制御する。
図6A〜図6Cを参照して、移動プロファイルに基づく駆動プロファイルの生成について説明する。
図6Aは、移動プロファイルの波形を示すグラフである。移動プロファイルとは、ミラー17の往復移動の動作を規定する情報のことである。ここでは、ミラー17の回動角度の変化が時系列に規定されている。
図6Aにおいて、縦軸はミラー17(可動部)の中立位置からの回動角度を示し、横軸はミラー17を往復移動させるための一周期分の経過時間を示している。移動プロファイルは、直線状に規定された時間と回動角度との関係を、単純移動平均法によって平滑化したものである。
図6Aに示す移動プロファイルでは、時刻が0、t2のときに回動角度がマイナス方向に最大となり、時刻t1のときに回動角度がプラス方向に最大となっている。時刻が0〜t1の範囲は往路に対応し、時刻がt1〜t2の範囲は復路に対応する。時刻が0からt2に至る1周期のうち、0〜t1の範囲の中間付近およびt1〜t2の範囲の中間付近で、波形の傾きが小さくなっている。移動プロファイルにおいて傾きの小さい部分は、ミラー17(可動部)の回動速度(角速度)が小さい状態を示している。すなわち、図6Aの移動プロファイルでは、往路の中間付近と復路の中間付近で、ミラー17(可動部)の回動速度(角速度)が小さくなっている。
図6Bは、図6Aの移動プロファイルでミラー17が回動した場合のミラー17(可動部)の角速度の変化を示している。便宜上、図6Bには、レーザ光源12の点灯期間が重ねて示されている。
図6Bに示すように、ミラー17(可動部)の回動速度は、往路の中間付近と復路の中間付近において、ゼロに近い速度で略一定となっている。また、レーザ光源12は、往路の始端および終端と、復路の始端および終端とにおいて、一定期間だけ消灯状態とされ、その他の期間においては点灯状態とされる。点灯状態において、レーザ光源12は、一定の強度でレーザ光を出射する。
このように、ミラー17(可動部)を回動制御することにより、ミラー17(可動部)の回動角度が0°付近、すなわち、ミラー17(可動部)が中立位置付近にあるときに、ミラー17(可動部)の回動速度が極めて遅くなる。このため、波長変換部材15の中央付近で生じる単位時間当たりの光の光量(光度)が高められる。
なお、往路の始端付近および終端付近と、復路の始端付近および終端付近においても、ミラー17(可動部)の角速度が0付近となるが、これらの期間は、図6Bに示すように、レーザ光源12が消灯されるため、波長変換部材15から光が生じることが抑制される。
このように、波長変換部材15の中央付近で生じる光の光量が高められることにより、投光装置1から投射される光は、目標領域の中央位置において光量が高められる。よって、投光装置1が車両用の前照灯に用いられる場合は、車両の前方領域のうち、特に中央の領域の照度が高められ得る。
図6Cは、図6Aのようにミラー17(可動部)を移動させる場合に、コイル104に印加されるべき駆動信号(電圧)のプロファイル(駆動プロファイル)を示している。図6Cにおいて、縦軸はコイル104に印加される電圧を示し、横軸はミラー17を往復移動させるための一周期分の経過時間を示している。
図6Cの駆動プロファイルは、上記のように、光偏向器14の可動部(ミラー17、支持部102b、コイル104)が、図6Aに示した移動プロファイルで回動動作を行い得るように、可動部の運動特性(運動方程式)に基づいて生成され、メモリ301aに記憶される。
以下に、移動プロファイルに基づいて駆動プロファイルを生成する工程について説明する。
駆動プロファイルを生成する工程では、以下に示す運動方程式(1)が用いられる。
F=m・a+c・v+k・x=Kt・E …(1)
上記式(1)において、Fは、可動部の推力(N)である。可動部は、上述したように、コイル104、支持部102bおよびミラー17により構成される。mは、可動部の質量(kg)である。aは、可動部の角加速度(rad/s)である。cは、可動部の粘性係数(Ns/rad)である。vは、可動部の角速度(rad/s)である。kは、梁部102cのバネ定数(N/rad)である。xは、可動部の回動角度(rad)である。Ktは、可動部の推力定数(N/V)である。Eは、コイル104に印加される電圧(V)である。
駆動プロファイルは、図7に示すフローチャートに従ってコントローラ301により生成され、メモリ301aに記憶される。コントローラ301は、図6Aに示す移動プロファイルに図7の生成工程を適用して駆動プロファイルを生成する。
なお、図7に示す各ステップが外部装置によって実行されて駆動プロファイルが生成されてもよい。この場合、外部装置により生成された駆動プロファイルがメモリ301aに記憶される。
以下の説明において、E(t)は、時刻tにおいてコイル104に印加される電圧である。Xt(t)は、移動プロファイルに基づく時刻tにおける可動部の回動角度である。X(t)は、時刻tにおける可動部の現在の回動角度である。F(t)は、時刻tにおける可動部の推力である。A(t)は、時刻tにおける可動部の角加速度である。D(t)は、時刻tにおける可動部に付与される駆動力である。V(t)は、時刻tにおける可動部の角速度である。dtは、単位時間である。
コントローラ301は、初期値としてt=0、X(0)=−Xmax、V(0)=0を設定する。ここで、−Xmaxは、図6Aの移動プロファイルにおいて、時刻t=0のときの回動角度である。コントローラ301は、時刻tのときの目標の回動角度Xt(t)を移動プロファイルから取得し、取得したXt(t)と、時刻tのときの可動部の回動角度X(t)との差分を解消するように、電圧E(t)の値を算出する。コントローラ301は、移動プロファイルが一周期終了するまで時刻tの値を単位時間dtずつ増加させながら、時刻tにおけるE(t)を取得する。
図7に示すように、コントローラ301は、移動プロファイルにおける回動角度Xt(t)と、現在の回動角度X(t)とに基づいて、以下に示す式(11)に従って、時刻tにおいてコイル104に印加する電圧E(t)を算出する(S11)。
E(t)=G(Xt(t)−X(t)) …(11)
ここで、式(11)の右辺は、移動プロファイルにおける回動角度Xt(t)と、現在の回動角度X(t)との差分を解消するために必要な電圧を求めるための関数であって、Gはサーボゲインである。Gは、オープン制御の場合は係数が1となり、クローズド制御の場合は、任意の係数となる。
続いて、コントローラ301は、ステップS11で算出したE(t)と、光偏向器14の可動部の推力定数Ktとに基づいて、以下に示す式(12)に従って、時刻tにおける可動部の推力F(t)を算出する(S12)。
F(t)=Kt・E(t) …(12)
続いて、コントローラ301は、すなわち、ステップS12で算出したF(t)と、可動部の粘性係数cと、可動部の角速度V(t)と、梁部102cのバネ定数kと、現在の回動角度X(t)とに基づいて、上記式(1)の運動方程式により導出される以下の式(13)に従って、時刻tにおける可動部に対する駆動力D(t)を算出する(S13)。
D(t)=F(t)−c・V(t)−k・X(t) …(13)
続いて、コントローラ301は、ステップS13で算出したD(t)と、可動部の質量mとに基づいて、以下に示す式(14)に従って、時刻tにおける可動部の角加速度A(t)を算出する(S14)。
A(t)=D(t)/m …(14)
続いて、コントローラ301は、ステップS14で算出したA(t)と、可動部の角速度V(t)と、単位時間dtとに基づいて、以下に示す式(15)に従って、現在の時刻から単位時間dtか経過した後の時刻(t+dt)における可動部の角速度V(t+dt)を算出する(S15)。
V(t+dt)=V(t)+A(t)・dt …(15)
続いて、コントローラ301は、現在の回動角度X(t)と、可動部の角速度V(t)と、単位時間dtとに基づいて、以下に示す式(16)に従って、現在の時刻から単位時間dtか経過した後の時刻(t+dt)における回動角度X(t+dt)を算出する(S16)。
X(t+dt)=X(t)+V(t)・dt …(16)
なお、ステップS15、16でそれぞれ算出された角速度V(t+dt)および回動角度X(t+dt)は、それぞれ、ステップS18でNOと判定されてステップS11に戻ったときの現在の角速度V(t)および現在の回動角度X(t)として用いられる。
続いて、コントローラ301は、時刻tの値に単位時間dtを加算した値を、新たな時刻tとする(S17)。なお、単位時間dtは、たとえば、2.5μ秒とされる。
続いて、コントローラ301は、移動プロファイル上の1周期について処理が終了したか否かを判定する(S18)。具体的には、コントローラ301は、時刻tが、移動プロファイルの1周期の終了時刻を超えたか否かを判定する。移動プロファイルの1周期について処理が終了していない場合(S18:NO)、コントローラ301は、処理をステップS11に戻して、ステップS11〜S17の処理を再度行う。移動プロファイルの1周期の処理が終了した場合(S18:YES)、コントローラ301は、図7に示す処理を終了する。
こうして、単位時間dtごとに、コイル104に印加されるべき電圧E(t)が取得される。ステップS18の判定がYESになると、1周期の移動プロファイルについて、単位時間dtの分解能で電圧E(t)が取得される。こうして取得された電圧E(t)の時系列上の集合が、図6Cに示す駆動プロファイルとなる。コントローラ301は、取得した1周期分の電圧Eを駆動プロファイルとしてメモリ301aに記憶する。
実動作時において、コントローラ301は、メモリ301aに記憶した駆動プロファイルをミラー駆動回路303に設定する。ミラー駆動回路303は、設定した駆動プロファイルに従って、コイル104に駆動信号(電圧)を印加する。これにより、光偏向器14の可動部が、図6Aの移動プロファイルと略同様の動作状態で駆動される。
<実施形態の効果>
第1実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
光偏向器14の可動部(ミラー17、支持部102b、コイル104)を駆動するための駆動信号(電圧)の駆動波形が、光偏向器14の可動部の運動特性(式(1)の運動方程式)に基づいて、可動部が所定の移動動作(移動プロファイル)を実現するように設定される。具体的には、図7に示す工程に従って駆動プロファイルが生成され、生成された駆動プロファイルがメモリ301aに記憶される。そして、投光装置1の実動作時には、駆動プロファイルに基づいて可動部が駆動される。これにより、高反射率のミラー等、高重量の走査手段が用いられる場合も、適正かつ高精度に走査手段を制御することができる。
図3Aおよび図3Bに示したように、光偏向器14は、可動部を駆動するためのコイル104と磁石105、106とを備え、コイル104に駆動信号を印加することにより生じる電磁力により、可動部を移動させる。このように電磁力により可動部を駆動することにより、上記のように高反射率かつ高重量のミラー17が可動部に設置された場合も、円滑にミラー17を駆動することができる。
駆動信号の駆動プロファイルが図6Cに示すように設定されると、入射面15a上におけるレーザ光の各方向に走査幅W1(図4B参照)の中央付近において、レーザ光の走査速度がゼロに近い速度で略一定となる。これにより、幅W1の中央付近で生じる光の光量が効果的に高められ、結果、投光装置1から投射される光の光量は、目標領域の中央位置付近において効果的に高められる。よって、投光装置1が車両用の前照灯に用いられる場合、車両の前方領域のうち、特に中央の領域の照度を効果的に高めることができる。
なお、上記のように可動部の運動特性(運動方程式)に基づいて駆動プロファイルを生成すると、駆動プロファイルの波形は、図6Cに示すように、往路と復路で非対称な形状となる。このように駆動プロファイルを非対称に設定することにより、ミラー17の回動動作を図6Aに示した目標の移動プロファイルに近付けることができる。よって、ミラー17を所期の回動動作に従って円滑かつ精度良く回動させることができる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、可動部とともにコイル104が回動する際に、電磁誘導によって、コイル104に逆起電圧が生じる。この逆起電圧のために、実際は、図7のステップS12における可動部の推力F(t)が減少する。よって、推力F(t)をより正確に算出して駆動プロファイルの精度を高めるためには、コイル104に生じる逆起電圧を考慮して駆動プロファイルを生成する必要がある。
そこで、第2実施形態では、コイル104に生じる逆起電圧をさらに考慮して、駆動プロファイルが生成される。具体的には、図7に示すステップS12が、図8Aに示すステップS21に変更される。ステップS21において、コントローラ301は、コイル巻数と磁束によって定義される係数Kdに基づいて、以下に示す式(21)に従って、時刻tにおける逆起電圧En(t)を算出する。なお、時刻t=0のときの逆起電圧の初期値En(0)は、0とされる。
En(t)=Kd・V(t) …(21)
そして、コントローラ301は、上記式により算出した逆起電圧En(t)と、S11で算出したE(t)と、光偏向器14の可動部の推力定数Ktとに基づいて、以下に示す式(22)に従って、時刻tにおける可動部の推力F(t)を算出する(S21)。
F(t)=Kt・(E(t)−En(t)) …(22)
図8Bは、逆起電圧を考慮した場合に生成される駆動プロファイルと、逆起電圧を考慮しない場合に生成される駆動プロファイルとを比較する図である。点線の波形は、逆起電圧を考慮しない場合、すなわち、第1実施形態において生成される駆動プロファイルである。実線の波形は、逆起電圧を考慮した場合、すなわち、第2実施形態において生成される駆動プロファイルである。
図8Bに示すように、可動部を加速させるフェーズでは、逆起電圧を考慮した場合の駆動プロファイルのピークが、逆起電圧を考慮しない場合の駆動プロファイルに比べて大きくなる。他方、可動部を減速させるフェーズでは、逆起電圧を考慮した場合の駆動プロファイルのピークが、逆起電圧を考慮しない場合の駆動プロファイルに比べて小さくなる。
第2実施形態によれば、駆動プロファイルが逆起電圧を考慮して生成されるため、可動部の回動動作を移動プロファイルにさらに近付けることができる。よって、ミラー17を所期の回動動作でより精度よく回動させることができ、波長変換部材15における発光量の制御をより緻密に行うことができる。
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、図4Bに示した幅W1の中央位置付近においてビームスポットB1の移動速度がゼロ付近で一定となるように、光偏向器14の可動部(ミラー17)が回動制御された。これに対し、第3実施形態では、図5に示した外部制御回路からスポット照明の制御指示を受信した場合に、スポット照明を指示された範囲においてビームスポットB1の移動速度がゼロ付近で一定となるように、光偏向器14の可動部(ミラー17)が回動制御される。
ここで、スポット照明とは、投光装置1からの光の投射範囲のうち所定の範囲のみにおいて光を投射させ、その他の範囲では光を投射させない制御のことである。コントローラ301は、外部制御回路からスポット照明の制御指示を受信した場合に、指示されたスポット照明の範囲に整合する移動プロファイルを設定し、設定した移動プロファイルに基づいて、図7または図8Aのフローチャートに従って、可動部を駆動するための駆動プロファイルを生成する。そして、コントローラ301は、生成したスポット照明用の駆動プロファイルに従って、光偏向器14を制御する。
なお、スポット照明用の移動プロファイルは、スポット照明の範囲に応じてコントローラ301が所定のアルゴリズムに従って生成してもよく、あるいは、スポット照明の範囲ごとに、予め、メモリ301aに記憶されていてもよい。後者の場合、コントローラ301は、指示されたスポット照明の範囲に対応する移動プロファイルをメモリ301aから読み出して、駆動プロファイルの生成に用いる。
なお、このようにコントローラ301が駆動プロファイルを生成する方法に代えて、スポット照明の範囲ごとに、予め、駆動プロファイルをメモリ301aに記憶しておき、指示されたスポット照明の範囲に対応する駆動プロファイルをメモリ301aから読み出して、スポット照明動作時の駆動プロファイルとして設定するようにしてもよい。
図9は、第3実施形態の駆動プロファイルの切替処理を示すフローチャートである。ここでは、予め、スポット照明の範囲ごとに、移動プロファイルがメモリ301aに記憶され、移動プロファイルに基づいてコントローラ301が駆動プロファイルを生成することが想定されている。
コントローラ301は、図5に示す外部制御回路からスポット照明の指示を受信すると(S31:YES)、受信したスポット照明の指示に基づいて移動プロファイルを選択する(S32)。上記のようにメモリ301aには、スポット照明の範囲に応じて、複数の移動プロファイルが記憶されている。各移動プロファイルは、それぞれ、スポット照明に対応する角度範囲において、可動部の回動速度がゼロ付近で一定となるように設定されている。
続いて、コントローラ301は、ステップS32で選択した移動プロファイルに基づいて、上記第1実施形態の駆動プロファイルを生成する工程(図7参照)を実行し、駆動プロファイルを生成する(S33)。なお、駆動プロファイルの生成は、上記第2実施形態の駆動プロファイルを生成する工程に基づいて行われてもよい。
続いて、コントローラ301は、ステップS33で生成した駆動プロファイルに基づいて、可動部を駆動する(S34)。この場合、スポット照明に対応する角度範囲において、レーザ光源12が点灯され、それ以外の角度範囲において、レーザ光源12は消灯される。コントローラ301は、外部制御回路からスポット照明の終了指示を受信するまで、生成した駆動プロファイルに基づいて可動部を駆動する。
コントローラ301は、外部制御回路からスポット照明の終了指示を受信すると(S35:YES)、元の駆動プロファイル、すなわち、あらかじめメモリ301aに記憶された第1実施形態と同様の駆動プロファイルに基づいて可動部を駆動する(S36)。こうして、図9に示すスポット照明に関する工程が終了する。
第3実施形態の構成によれば、スポット照明を実現する際に、スポット照明に対応する角度範囲において可動部の回動速度が小さくなるようにミラー17が制御される。このため、波長変換部材15の入射面15a上のスポット照明に対応する走査範囲において、発光光量を効果的に高めることができ、目標領域上のスポット照明の範囲における投射光量を効果的に高めることができる。よって、スポット照明の対象範囲を効果的に照明することができる。
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、光偏向器14が、ミラー17を1軸で回動させる構成であった。これに対し、第4実施形態では、ミラー17が互いに直交する2つの回動軸について回動可能なように、光偏向器14が構成されている。
第4実施形態では、ミラー17が2軸駆動可能であるため、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光の走査軌跡が第1実施形態と異なっている。第4実施形態では、後述のように、波長変換部材15の入射面15aに複数の走査ラインが設定され、これに伴い、波長変換部材15の入射面15aを走査するビームスポットのサイズが、第1実施形態に比べて絞られている。投光装置1および光源装置2のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
なお、ビームスポットのサイズは、レーザ光源12とコリメータレンズ13との間の距離や、コリメータレンズ13の開口数等を調整して、コリメータレンズ13によりレーザ光を収束させることにより、より小さく絞ることができる。この他、ミラー17の反射面を凹面形状として、レーザ光を収束させるようにしてもよい。
図10は、第4実施形態に係る光偏向器14の構成を示す斜視図である。また、図11Aおよび図11Bは、それぞれ、第4実施形態に係る光偏向器14の構成を示す断面図である。図11Aには、x−z平面に平行な平面で図10の光偏向器14をy軸方向の中央位置において切断したXIA−XIA断面図がハッチングにて示されている。図11Bには、y−z平面に平行な平面で図10の光偏向器14をx軸方向の中央位置において切断したXIB−XIB断面図がハッチングにて示されている。図10および図11A、図11Bには、図3A、図3Bと同様のx、y、z軸が示されている。
図10および図11A、図11Bを参照して、ハウジング111は、x軸方向に長い直方体形状を有する。ハウジング111の上面には、平面視において長方形の凹部111aが形成されている。ハウジング111は、剛性が高い非磁性の金属材料からなっている。
ハウジング111の上面に、枠状の板バネ112が設置される。板バネ112は、外枠部112aと、内枠部112bと、2つの梁部112cと、支持部112dと、2つの梁部112eとを有する。y軸方向の中間位置において、外枠部112aからx軸方向に平行に延びるように、2つの梁部112cが形成され、これら梁部112cによって、外枠部112aと内枠部112bとが連結されている。また、x軸方向の中間位置において、内枠部112bからy軸方向に平行に延びるように、2つの梁部112eが形成され、これら梁部112eによって、内枠部112bと支持部112dとが連結されている。
内枠部112bは、平面視において長方形の角が丸められた輪郭を有し、内枠部112bのy軸方向の中間位置において、2つの梁部112cが内枠部112bに繋がっている。また、支持部112dは、平面視において長方形の輪郭を有し、支持部112dのx軸方向の中間位置において、2つの梁部112eが支持部112dに繋がっている。板バネ112は、x軸方向およびy軸方向に対称な形状である。板バネ112は、可撓性の金属材料により一体形成されている。
外枠部112aをハウジング111の上面に載せた状態で、4つのネジ113により、板バネ112がハウジング111の上面に固定される。支持部112dの上面にミラー17が接着剤等によって固定される。ミラー17は、平面視において略正方形である。2つの梁部112eを繋いだ軸が、上記第1実施形態と同様、レーザ光を波長変換部材15の長手方向に走査させるための、ミラー17の回動軸L1となる。また、2つの梁部112cを繋いだ軸が、波長変換部材15におけるレーザ光の走査ラインを変更するための、ミラー17の回動軸L2となる。
なお、上記第1実施形態と同様、レーザ光源12からのレーザ光は、ミラー17の中央位置に入射する。すなわち、回動軸L1、L2が交わる位置をレーザ光の中心軸が貫くように、レーザ光源12からのレーザ光が、ミラー17に入射する。
支持部112dの下面にコイル114が装着される。コイル114は、平面視において長方形の角が丸められた形状に周回している。コイル114は、長辺の中間位置が回動軸L1に一致するように、支持部112dの下面に設置される。コイル114、支持部112dおよびミラー17が、光偏向器14の可動部を構成する。
コイル114をx軸方向に挟むように、磁石115および磁石116の組が2つ配置される。磁石115と磁石116は、ヨーク117に設置され、ヨーク117が、ハウジング111の凹部111aの底面に設置されている。各組の磁石115および磁石116の磁極の設定方法は、図3Aおよび図3Bに示した磁石105および磁石106と同様である。
さらに、内枠部112bの下面にコイル118が装着される。コイル118は、平面視において内枠部112bと同様の形状である。コイル118は、短辺の中間位置が回動軸L2に一致するように、内枠部112bの下面に設置される。
コイル118に対して、y軸正側とy軸負側に、それぞれ、磁石119が配置される。これら磁石119は、ヨーク117に設置されている。また、これら2つの磁石119は、コイル118に対向する磁極が互いに異なるように、ヨーク117に設置されている。磁石119は、磁極面における磁束密度が略均一の永久磁石である。
このように2つの磁石119の磁極を調整することにより、コイル118に駆動信号(電圧)が印加されると、コイル118に電流が流れ、回動軸L2について内枠部112bが回動し、駆動信号の大きさに応じた角度だけ、内枠部112bが傾く。すなわち、内枠部112bは、梁部112cに生じる弾性復帰力とコイル118に励起された電磁力とが釣り合う角度だけ図10に示した中立位置から傾く。このとき、内枠部112bの回動に伴って、支持部112dとともにミラー17が回動する。
支持部112dは、図3Aおよび図3Bの構成と同様、コイル114に駆動信号(電圧)を印加することにより、回動軸L1を軸として回動する。支持部112dの回動に伴い、ミラー17が回動軸L1を軸として回動する。このように、第4実施形態の光偏向器14によれば、コイル114、118にそれぞれ独立して駆動信号(電圧)を印加することにより、ミラー17を、回動軸L1、L2について個別に回動させることができる。
図12は、波長変換部材15におけるレーザ光の走査状態を模式的に示す図である。
図12に示すように、第4実施形態では、波長変換部材15の入射面15aに複数の走査ラインSL1が設定される。図12の例では、5つの走査ラインSL1が、入射面15aに設定されている。ただし、走査ラインSL1の数は、これに限られるものではない。
レーザ光のビームスポットB2は、最上段の走査ラインSL1をX軸負側の開始位置からX軸正負の方向に往復移動した後、2段目の走査ラインSL1のX軸負側の開始位置に位置付けられる。走査ラインSL1が変更される期間は、レーザ光源12が消灯される。その後、ビームスポットB2は、2段目の走査ラインSL1をX軸正負方向に往復移動した後、3段目の走査ラインSL1のX軸負側の開始位置に位置付けられる。このような移動が5段目の走査ラインSL1まで繰り返される。
さらに、ビームスポットB2は、5段目の走査ラインSL1から4段目の走査ラインSL1へと戻され、4段目の走査ラインSL1を往復移動する。同様の動作が、最上段の走査ラインSL1まで繰り返される。こうして、ビームスポットB2が、1段目の走査ラインSL1のX軸負側の開始位置に位置付けられる。以下、5つの走査ラインSL1について同様の走査が繰り返される。
図12に示すように、本実施形態では、中央の3つの走査ラインSL1のピッチP21と、最上段および最下段の走査ラインSL1とこれら走査ラインSL1に隣接する走査ラインSL1とのピッチP22が同一に設定されている。
なお、波長変換部材15の入射面15aに対するレーザ光の走査方法は、上記に限られるものではない。たとえば、ビームスポットB2が、各々の走査ラインSL1を一方向に移動した後、次の走査ラインSL1の開始位置へとジャンプし、次の走査ラインSL1を逆方向に走査するように、波長変換部材15の入射面15aがレーザ光で走査される構成であってもよい。この場合、駆動プロファイルは、走査方向ごとに個別に生成することが好ましい。
走査ラインSL1に沿ったビームスポットB2の移動は、図10に示した回動軸L1についてミラー17を回動させることにより行われる。走査ラインSL1の変更は、図10に示した回動軸L2についてミラー17を回動させて傾けることにより行われる。光偏向器14は、図5に示したミラー駆動回路303によって、ビームスポットB2が上記のように波長変換部材15の入射面15aを走査するように制御される。
図13Aは、コイル118に印加する駆動信号(電圧)を示すグラフである。
時刻t11〜t12において、ビームスポットB2が最上段の走査ラインSL1に位置し、時刻t12〜t13、t18〜t19において、ビームスポットB2が上から2段目の走査ラインSL1に位置する。また、時刻t13〜t14、t17〜t18において、ビームスポットB2が中央の走査ラインSL1に位置し、時刻t14〜t15、t16〜t17において、ビームスポットB2が下から2段目の走査ラインSL1に位置し、時刻t15〜t16において、ビームスポットB2が最下段の走査ラインSL1に位置する。時刻t13〜t14の中間タイミングおよび時刻t17〜18の中間タイミングで、ミラー17が図10に示す中立位置に位置付けられる。時刻t13〜t14、t17〜t18において、コイル118に印加する電圧が0となる。
各々の走査ラインSL1に対する走査は、第1実施形態と同様、図6Cの駆動プロファイルに従って行われる。これにより、中立位置付近の回動範囲において可動部の角速度が減速されるため、各々の走査ラインSL1の中央付近におけるレーザ光の走査速度が減速する。よって、波長変換部材15の入射面15aの中央付近において単位時間当たりの発光光量が高められる。これにより、目標領域に照射される光の光度は、図13Bに示すように分布する。図13Bに示す模式図おいて、白い部分は光の光度が高い領域を示し、黒い部分は光の光度が弱い領域を示している。このように、第4実施形態の構成においても、波長変換部材15の中央付近において生じる光の光量を高めることができる。
また、第4実施形態の構成によれば、より絞られたビームスポットB2で、波長変換部材15が複数の走査ラインSL1に沿って走査されるため、たとえば、発光領域R2上において、白色光の発光を停止させる領域や、白色光の発光を生じさせる領域を、より細かく設定できる。このため、光源装置2から生じた白色光を投射光学系3で目標領域に投射する場合に、目標領域上において、白色光の投射を停止させる領域や、白色光の投射を行う領域を、より細かく設定できる。よって、たとえば、投光装置1が車両の前照灯に組み込まれた場合には、対向車の位置や歩行者の位置に応じて、より細かく、白色光の照射領域および非照射領域を設定することができる。
なお、第4実施形態では、図12に示すように、走査ラインSL1のピッチP21、P22が同一とされたが、図13Dに示すように、中央側のピッチP21を端側のピッチP22よりも小さく設定してもよい。こうすると、走査ラインSL1を横切る方向(Y軸方向)においても、中央の発光光量を端部の発光光量よりも大きくすることができる。走査ラインSL1のピッチP21、P22は、図11A、図11Bに示したコイル118に印加する電圧を変更することにより調整できる。
また、第4実施形態では、回動軸L1についてミラー17を回動するために、上記第1実施形態と同様、あらかじめ設定された固定の駆動プロファイルが用いられたが、走査ラインSL1ごとに、互いに異なる駆動プロファイルが用いられてもよい。この場合、たとえば、Y軸正負の端部側の走査ラインSL1においてビームスポットB1の移動速度を減速させる期間が、中央の走査ラインSL1に比べて短くなるように、各々の走査ラインSL1の駆動プロファイルを設定してもよい。こうすると、図13Cに示すように、目標領域に照射される光の光度を、中央の円形の領域において高めることができる。このように、各段の走査ラインSL1における駆動プロファイルを変更させることにより、全光量を低下させることなく、様々な配光パターンで、目標領域に光を照射することができる。
<その他の変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何らの制限を受けるものではない。
たとえば、上記第1実施形態では、コイル104を挟むようにして磁石105と磁石106が配置されたが、必ずしも、コイル104を挟むように磁石105、106が配置されなくてもよく、コイル104に所望の強度分布で磁界を付与できれば、磁石105、106の何れか一方が省略されてもよい。第4実施形態においても、同様の変更が可能である。
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、光源装置2が、反射型の波長変換部材15を用いる構成であったが、光源装置2は、透過型の波長変換部材15を用いる構成であってもよい。
また、板バネ102、112の形状は、必ずしも、上記第1実施形態および第2実施形態に示した形状に限られるものではなく、たとえば、図3Aにおいて、x軸方向に隣り合う2つのネジ103で挟まれた領域以外の枠部102aの領域が省略されてもよい。
また、ミラー17の形状は、必ずしも、平面視において正方形でなくともよく、平面視において長方形または円形であってもよい。支持部102bの形状も、適宜変更可能である。
上記第1実施形態では、図3Aに示すように、板バネ102の設けられた2つの孔102dの一方を長孔としたが、2つの孔102dの両方を長孔として、ネジ103を締める前に、板バネ102が長手方向に僅かに移動可能であってもよい。この場合、所望の厚みを有する隙間ゲージを差し込んで板バネ102の位置を確定してから、ネジ103を締める構成であってもよい。あるいは、コイル104と磁石105、106とのギャップを測定装置で測定しながら長手方向に板バネ102を位置調整して位置を決めてから、ネジ103を締める構成であってもよい。
また、ミラー17の反射面は、必ずしも、平面でなくてもよく、レーザ光に収束作用を付与し得る凹面形状であってもよい。この場合、凹面形状は、波長変換部材15の入射面15a上のビームスポットB1、B2の形状をY軸方向に略線状の形状に成形し得るように調整されてもよい。あるいは、ミラー17の反射面に、波長変換部材15の入射面15a上のビームスポットB1、B2の形状を所定の形状に成形するためのレンズが装着されてもよい。
また、波長変換部材15の蛍光体層203に含まれる蛍光体粒子203aの種類は、必ずしも1種類でなくてもよく、たとえば、レーザ光源12からのレーザ光によって互いに異なる波長の蛍光を生じる複数種類の蛍光体粒子203aが蛍光体層203に含まれてもよい。この場合、各種類の蛍光体粒子203aから生じた蛍光の拡散光と、これら蛍光体粒子203aによって波長変換されなかったレーザ光の拡散光とによって、所定の色の光が生成される。
上記実施形態では、コイル104、118に印加する駆動信号は電圧であったが、これに限らず、電流であってもよい。すなわち、コイル104、118に印加する駆動信号は、電圧で制御してもよく、電流で制御してもよい。また、上記実施形態では、光偏向器14が、電磁式であったが、圧電式であってもよい。
上記実施形態では、コントローラ301が駆動プロファイルを生成し、生成された駆動プロファイルを、実動作時の駆動プロファイルとしてミラー駆動回路303に設定したが、ミラー駆動回路303が駆動プロファイルを生成し、生成した駆動プロファイルを、実動作時の駆動プロファイルとして設定してもよい。
上記実施形態において、投光装置1は、光を照射させる領域の全範囲のうち一部が遮光状態となるよう、所定のタイミングでレーザ光を点灯および消灯させてもよい。
図14Aは、この場合のレーザ光の点灯および消灯のタイミングを模式的に示す図である。図14Aにおいて、右向きの矢印で示すように、往路におけるミラー17の回動の際に、時刻t31〜t32の間はレーザ光が消灯され、左向きの矢印で示すように、復路におけるミラー17の回動の際に、時刻t41〜t42の間はレーザ光が消灯される。これにより、往路において消灯されるタイミングと復路において消灯されるタイミングとが一致し、図14Aに示すように、白抜きで示す所定の領域において遮光状態となる。
なお、図14Aのように往路および復路でそれぞれ消光および点灯のタイミングが設定される場合に、回路遅延等の要因によって、図14Bおよび図14Cに示すように、往路および復路で制御タイミングにずれが生じることが起こり得る。すなわち、図14Bに示すように、往路において、消灯タイミングが時刻t33にずれ、点灯タイミングが時刻t34にずれる場合がある。同様に、図14Cに示すように、復路において、消灯タイミングが時刻t43にずれ、点灯タイミングが時刻t44にずれる場合がある。
このように、往路および復路において消灯および点灯のタイミングにずれが生じる場合には、ずれ量をもとに、消灯および点灯のタイミングを補正するようにするとよい。たとえば、往路および復路における消灯および点灯のタイミングずれを測定装置で測定し、測定したタイミングずれ量をメモリ301aに記憶させる。そして、コントローラ301は、メモリ301aに記憶されたずれ量に基づいて、タイミングずれが解消されるように、レーザ駆動回路302を制御する。これにより、図14Aと同様に、往路および復路において、消灯されるタイミングを一致させることができる。
この他、本開示の実施の形態は、請求の範囲請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
本開示に係る光源装置および投光装置は、波長変換部材に対して光を走査させるための走査手段として高反射率ミラー等の高重量の走査手段が用いられる場合も、適正かつ高精度に走査手段を制御することができる。これらの光源装置および投光装置は、たとえば、車両用前照灯の光源装置に利用することができ、産業上有用である。
1 投光装置
2 光源装置
3 投射光学系
12 レーザ光源
14 光偏向器
15 波長変換部材
17 ミラー
102b、112d 支持部
104、114、118 コイル
105、106、115、116、119 磁石
303 ミラー駆動回路(駆動部)
SL1 走査ライン
P21、P22 ピッチ

Claims (9)

  1. 第1の波長を有するレーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光の光路上に入射面を有し、前記第1の波長を、前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換し、かつ前記レーザ光を拡散させて前記第2の波長を有する拡散光を生じせしめる波長変換部材と、
    前記レーザ光を前記入射面上において走査させる光偏向器と、
    前記光偏向器に駆動信号を供給する駆動部と、を備え、
    前記駆動部は、前記光偏向器の可動部が所定の移動動作を実現するように、前記可動部の運動特性に基づいて、前記駆動信号の駆動波形を設定する、
    ことを特徴とする光源装置。
  2. 第1の波長を有するレーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光の光路上に入射面を有し、前記第1の波長を、前記第1の波長とは異なる第2の波長に変換し、かつ前記レーザ光を拡散させて前記第2の波長を有する拡散光を生じせしめる波長変換部材と、
    前記レーザ光を前記波長変換部材の入射面上において少なくとも1次元に走査させる光偏向器と、
    前記光偏向器に駆動信号を供給する駆動部と、を備え、
    前記駆動部は、前記光偏向器の可動部が所定の移動動作を実現するように、前記可動部の運動特性に基づいて、往路と復路とで非対称な波形に、前記駆動信号の駆動波形を設定し、往復移動するよう前記光偏向器を駆動する、
    ことを特徴とする光源装置。
  3. 請求項1または2に記載の光源装置において、
    前記光偏向器は、前記可動部を駆動するためのコイルと磁石とを備え、前記コイルに前記駆動信号を印加することにより生じる電磁力により、前記可動部を移動させる、
    ことを特徴とする光源装置。
  4. 請求項3に記載の光源装置において、
    前記駆動部は、前記可動部の前記運動特性と、駆動時に前記コイルに生じる逆起電圧とに基づいて、前記駆動信号の駆動波形を設定する、
    ことを特徴とする光源装置。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の光源装置において、
    前記駆動部は、前記レーザ光が前記入射面上を一方向に走査する走査幅の中央付近において、前記レーザ光の走査速度がゼロに近い速度で一定となるように、前記駆動信号の駆動波形を設定する、
    ことを特徴とする光源装置。
  6. 請求項5に記載の光源装置において、
    前記駆動部は、前記走査幅内の所定範囲のみにおいて前記レーザ光を生じさせる制御指示を前記光源装置が外部から受信した場合、前記所定範囲において、前記レーザ光の走査速度がゼロに近い速度で一定となるように、前記駆動信号の駆動波形を再設定する、
    ことを特徴とする光源装置。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の光源装置において、
    前記光偏向器は、前記レーザ光を前記入射面上において2次元に走査させることが可能に構成され、
    前記駆動部は、前記入射面に一方向に並ぶように設定された複数の走査ラインに沿って前記レーザ光を走査させるように、前記光偏向器を駆動する、
    ことを特徴とする光源装置。
  8. 請求項7に記載の光源装置において、
    前記駆動部は、前記走査ラインの間隔が、中央であるほど小さくなるように前記光偏向器を駆動する、
    ことを特徴とする光源装置。
  9. 請求項1から8の何れか一項に記載の光源装置と、
    前記拡散光を投射する投射光学系と、を備える、
    ことを特徴とする投光装置。
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