JP2020087574A - 光源装置および投光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】配光制御の際に明暗のコントラストと分解能を効果的に高めることが可能な光源装置およびそれを用いた投光装置を提供する【解決手段】光源装置2は、所定波長の光を他の波長の光に変換するとともに波長変換された光を拡散させる波長変換部材30と、第1ライン状ビームスポットを波長変換部材30に照射するとともに第1ライン状ビームスポットを幅狭方向に走査させる第1走査光学系2aと、第2ライン状ビームスポットを波長変換部材30に照射するとともに第2ライン状ビームスポットを幅狭方向に走査させる第2走査光学系2bと、を備える。第1ライン状ビームスポットの走査方向と第2ライン状ビームスポットの走査方向とが互いに交差する。【選択図】図3

Description

本発明は、光を発する光源装置およびそれを用いた投光装置に関する。
従来、レーザ光源から出射された光を波長変換部材に照射することにより所定波長の光を生成する光源装置が知られている。この光源装置では、たとえば、波長変換部材により波長変換されて拡散された光と、波長変換部材により波長変換されずに拡散された光とが合成されて、白色光等、所定の色の光が生成される。このような光源装置が、たとえば、車両用前照灯の光源装置として利用されている。
以下の特許文献1には、光変換手段(蛍光体)によって生成された光像を投光光学系によって道路上に投光する投光器(ヘッドライト)が開示されている。この投光器は、6つのレーザ光源と、2つのマイクロミラーとを備える。1つのマイクロミラーに対して3つのレーザ光源が割り当てられている。3つのレーザ光源から出射されたレーザ光は、それぞれ、コリメータレンズと収束レンズおよび発散レンズによってマイクロミラーに集光される。
その後、1つのマイクロミラーに入射した3つのレーザ光は、それぞれ、走査方向に垂直な方向に互いに変位した位置において、光変換手段の発光面に照射される。マイクロミラーは、単一軸の周りにのみ振動する。マイクロミラーが振動することにより、走査方向に垂直な方向に互いに変位したビームスポットが、光変換手段の発光面を走査する。一方のマイクロミラーで走査される3つのレーザ光は、光変換手段の発光面上において、他方のマイクロミラーで走査される3つのレーザ光の間の位置に位置づけられる。
特表2016−507136号公報
波長変換部材を用いた光源装置では、所定の走査範囲において光を消光させ、あるいは、所定の走査範囲においてのみ光を発光させる配光制御が行われ得る。この制御により、光源装置から目標領域に投射される光に明暗が生じる。たとえば、光源装置が車両用前照灯に用いられる場合、車両前方の対向車の範囲において光が消される制御が行われ得る。この場合、なるべく明暗のコントラストと分解能を高めることが重要な要素となる。
上記特許文献1の構成において明暗のコントラストと分解能を高めるためには、ビームスポットの幅を走査方向に小さくする必要がある。しかし、このようにビームスポットの幅を小さくすると、ビームスポットの面積が低下し光密度が増加する。ビームスポットの光密度が増加すると、温度上昇によって、波長変換部材の光変換効率が低下し、あるいは、波長変換部材に破損が生じる虞がある。
このため、上記特許文献1の構成において、明暗のコントラストと分解能を高めるためには、ビームスポットの幅を減少させつつビームスポットの光量を低下させる必要がある。この場合、波長変換部材から生じる光の光量が低下する。逆に、波長変換部材から生じる光の光量を高く維持する場合には、ビームスポットの幅をあまり小さくできない。この場合、配光制御における明暗のコントラストと分解能を高めることが困難となる。
かかる課題に鑑み、本発明は、配光制御の際に明暗のコントラストと分解能を効果的に高めることが可能な光源装置およびそれを用いた投光装置を提供することを目的とする。
本発明の第1態様は、光源装置に関する。この態様に係る光源装置は、所定波長の光を他の波長の光に変換するとともに波長変換された光を拡散させる波長変換部材と、第1ライン状ビームスポットを前記波長変換部材に照射するとともに前記第1ライン状ビームスポットを幅狭方向に走査させる第1走査光学系と、第2ライン状ビームスポットを前記波長変換部材に照射するとともに前記第2ライン状ビームスポットを幅狭方向に走査させる第2走査光学系と、を備える。ここで、前記第1ライン状ビームスポットの走査方向と前記第2ライン状ビームスポットの走査方向とが互いに交差する。
本態様に係る光源装置によれば、ビームスポットの形状が、一方向に細長いライン状であるため、円形または楕円形のビームスポットに比べてビームスポットの光密度を抑えることができる。このため、円形または楕円形のビームスポットに比べて、走査方向の幅を小さくできる。よって、配光制御の際に、明暗のコントラストと分解能を高めることができる。
本発明の第2態様は、投光装置に関する。この態様に係る投光装置は、第1態様に係る光源装置と、前記波長変換部材により拡散された光を投射する投射光学系と、を備える。
本態様に係る投光装置によれば、第1態様と同様の効果が奏され得る。
以上のとおり、本発明に係る光源装置および投光装置によれば、配光制御の際に明暗のコントラストと分解能を効果的に高めることが可能となる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、光源装置の第1走査光学系および波長変換部材と、投射光学系の構成を示す平面図および側面図である。 図2(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、光源装置の第2走査光学系および波長変換部材と、投射光学系の構成を示す平面図および側面図である。 図3は、実施形態1に係る、投光装置の光学系全体の構成を示す側面図である。 図4は、実施形態1に係るレーザ光源の構成を示す斜視図である。 図5(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る縮小光学系の構成例を示す図である。 図6(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る光偏向器の構成を示す斜視図および断面図である。 図7は、実施形態1に係る波長変換部材の構成を模式的に示す側面図である。 図8(a)は、実施形態1に係る、波長変換部材に対する第1ライン状ビームスポットの走査を模式的に示す図である。図8(b)は、実施形態1に係る、波長変換部材に対する第2ライン状ビームスポットの走査を模式的に示す図である。図8(c)は、実施形態1に係る、波長変換部材に対する第1ライン状ビームスポットおよび第2ライン状ビームスポットの走査を模式的に示す図である。 図9は、実施形態1に係る光源装置の回路ブロック図である。 図10(a)〜(c)は、それぞれ、実施形態1に係る、所定の配光パターンに応じて波長変換部材が走査された場合に得られる輝度分布を示す図である。 図11は、実施形態2に係る投光装置の光学系全体の構成を示す図である。 図12(a)、(b)は、それぞれ、実施形態2に係る、2つのビーム形成レンズによるビームスポットの強度分布の調整作用を示す図である。図12(c)は、図12(a)、(b)のように各ビームスポットの強度分布が調整された場合の波長変換部材における輝度分布を説明する図である。 図13は、実施形態3に係る投光装置の構成を示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸正方向は、投光装置の光投射方向である。
<実施形態1>
図1(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、光源装置2の第1走査光学系2aおよび波長変換部材30と、投射光学系3の構成を示す平面図および側面図である。図2(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、光源装置2の第2走査光学系2bおよび波長変換部材30と、投射光学系3の構成を示す平面図および側面図である。図3は、実施形態1に係る投光装置1の光学系全体の構成を示す側面図である。便宜上、図1(a)〜図3では、レーザ光源11a〜11cが、出射光軸を含み且つX−Z平面に平行な平面で切断された断面図で示されている。
図3に示すように、投光装置1は、光を生成する光源装置2と、光源装置2により生成された光を投射するための投射光学系3とを備える。投射光学系3は、2つのレンズ3a、3bを備え、これらレンズ3a、3bによって光源装置2からの光を集光して目標領域(照明対象の領域)へと投射する。なお、投射光学系3は、必ずしも2つのレンズ3a、3bから構成されなくともよく、たとえば、1つのレンズでもよく、2つ以上のレンズやミラーを備えていてもよい。また、投射光学系3は、凹面ミラーによって光源装置2からの光を集光する構成であってもよい。
光源装置2は、第1走査光学系2aと第2走査光学系2bとを備える。第1走査光学系2aは、ライン状ビームスポットを波長変換部材30に照射するとともに、このビームスポットを波長変換部材30に対して当該ビームスポットの幅狭方向に走査させる。第2走査光学系2bは、ライン状ビームスポットを波長変換部材30に照射するとともに、このビームスポットを波長変換部材30に対して当該ビームスポットの幅狭方向に走査させる。これら2つのビームスポットの走査方向は、互いに交差する。
本実施形態1では、第1走査光学系2aにより形成されるライン状ビームスポットは、波長変換部材30の入射面上においてX軸方向に細長く、Y軸方向に走査される。また、第2走査光学系2bにより形成されるライン状ビームスポットは、波長変換部材30の入射面上においてY軸方向に細長く、X軸方向に走査される。波長変換部材30の入射面上における各ビームスポットの広がりおよび走査方向は、これに限られるものではない。各ビームスポットは、それぞれ、幅狭方向に走査され、且つ、走査方向が互いに交差していればよい。
図1(a)、(b)に示すように、第1走査光学系2aは、3つのレーザ光源11a〜11cと、3つのファスト軸コリメータレンズ12a〜12cと、2つの反射プリズム13a、13bと、スロー軸コリメータレンズ14と、縮小光学系15と、ビーム形成レンズ16と、反射ミラー17と、光偏向器18と、反射ミラー19と、を備えている。
レーザ光源11a〜11cは、それぞれ、青色波長帯(たとえば、450nm)のレーザ光を出射する。レーザ光源11a〜11cは、たとえば、半導体レーザからなっている。レーザ光源11a〜11cは、同一機種のレーザ光源である。レーザ光源11a〜11cから出射されるレーザ光の波長は、適宜変更可能である。レーザ光源11a〜11cは、必ずしも単一の発光領域を有するシングルエミッターの半導体レーザでなくともよく、たとえば、1つの発光素子に複数の発光領域を有するマルチエミッターの半導体レーザであってもよい。また、レーザ光源11a〜11cは、必ずしも単一波長帯のレーザ光を出射するものでなくともよく、たとえば、1基板に複数の発光素子がマウントされたマルチ発光の半導体レーザであってもよい。
図4は、レーザ光源11aの構成を示す斜視図である。図4には、レーザ光源11aに装備された缶体103の内部が透視された状態で示されている。他のレーザ光源11b、11cの構成も図4と同様である。
レーザ光源11aは、円盤状のベース101と、リードピン102と、缶体103と、ポスト104と、サブマウント105と、発光素子106と、を備える。リードピン102は、駆動電圧を印加するためのものである。ポスト104と、サブマウント105と、発光素子106は、缶体103に収容されている。ベース101にポスト104が設置され、ポスト104の上面にサブマウント105を介して発光素子106が設置されている。
発光素子106の下面と光導波路106aの上面に、リードピン102を介して電圧が印加されることにより、発光素子106の活性層から出射光軸110に沿ってレーザ光120が出射される。レーザ光120は、活性層に平行な方向および活性層に垂直な方向に所定の放射角で広がる。活性層に垂直な方向の放射角は、活性層に平行な方向の放射角よりも大きい。従って、出射されたレーザ光120のビーム形状は楕円である。一般に、この楕円の長軸はファスト軸と呼ばれ、楕円の短軸はスロー軸と呼ばれる。こうして発光素子106から出射されたレーザ光120は、缶体103の開口103aに設置された窓103bを介して出射される。W0は、発光素子106のストライプ幅、すなわち、発光部のスロー軸方向の幅である。
図1(a)、(b)に戻り、レーザ光源11aは、ファスト軸がX軸に平行となるように配置される。レーザ光源11b、11cは、ファスト軸がZ軸に平行となるよう、互いにX軸方向に対向して配置される。レーザ光源11a〜11cは、それぞれの発光点がX−Z平面に平行な1つの平面に含まれるように設置される。レーザ光源11aの出射光軸はZ軸に平行で、レーザ光源11b、11cの出射光軸はX軸に平行である。
ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cは、それぞれ、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光をファスト軸方向において平行光化する。ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cは、たとえば、シリンドリカルレンズである。ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cは、出射面がX−Z平面に平行な方向のみに湾曲した曲面となっている。ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cの出射面は非球面であり、ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cの入射射面は、平面である。ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cの入射面も、X−Z平面に平行な方向に湾曲した曲面であってもよい。あるいは、ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cの出射面が平面で入射面が曲面であってもよい。
ファスト軸コリメータレンズ12aは、入射面(平面)がX−Y平面に平行となるように配置され、ファスト軸コリメータレンズ12b、12cは、入射面(平面)がY−Z平面に平行となるように配置される。これにより、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光は、ファスト軸方向において平行光化される。
反射プリズム13a、13bは、それぞれ、ファスト軸コリメータレンズ12b、12cを透過したレーザ光を、スロー軸コリメータレンズ14に向かう方向に反射する。反射プリズム13a、13bに代えて、板状の反射ミラーを用いてもよい。
図1(a)に示すように、レーザ光源11b、11cは、互いに向き合うように配置されている。反射プリズム13a、13bは、レーザ光源11b、11cが向き合う方向、すなわち、X軸方向に隙間が生じるように配置されている。レーザ光源11a〜11cは、出射光軸がX−Z平面に平行な1つの平面に含まれるように配置されている。
レーザ光源11aから出射されたレーザ光は、ファスト軸コリメータレンズ12aによりファスト軸方向に平行光化された後、反射プリズム13a、13bの間の隙間を通って、スロー軸コリメータレンズ14へと向かう。対向配置されたレーザ光源11b、11cの光軸は、反射プリズム13a、13bによって、X−Z平面に平行な方向に90度曲げられる。これにより、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光は、スロー軸コリメータレンズ14の入射面に対し、X軸方向において互いに異なる位置に入射する。
以上の構成により、レーザ光源11a〜11cのパッケージやキャップ外形に制限されることなく、3つのレーザ光を接近させることが可能となる。その結果、スロー軸コリメータレンズ14に入射する3つの平行光を束ねた光束の全幅を小さくできる。これにより、スロー軸コリメータレンズ14以降の光学系のコンパクト化が可能となると共に、光学系が有する収差の影響を小さくすることができる。
レーザ光源11aから出射されたレーザ光は、スロー軸コリメータレンズ14の入射面の中央位置に入射する。レーザ光源11b、11cから出射されたレーザ光は、それぞれ、スロー軸コリメータレンズ14の入射面の中央位置からX軸正負の方向に所定距離だけずれた位置に入射する。
スロー軸コリメータレンズ14は、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光をスロー軸方向において平行光化する。スロー軸コリメータレンズ14は、たとえば、シリンドリカルレンズである。スロー軸コリメータレンズ14は、出射面がY−Z平面に平行な方向のみに湾曲した曲面となっている。スロー軸コリメータレンズ14の出射面は非球面であり、スロー軸コリメータレンズ14の入射面は、Z軸に垂直な平面である。スロー軸コリメータレンズ14の入射面も、Y−Z平面に平行な方向に湾曲した曲面であってもよい。あるいは、スロー軸コリメータレンズ14の出射面が平面で入射面が曲面であってもよい。スロー軸コリメータレンズ14は、出射面の母線が、入射面に入射する3つのレーザ光の光軸を含む平面に平行、すなわちX軸方向に平行となるように配置されている。
縮小光学系15は、ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cおよびスロー軸コリメータレンズ14によって整形されたレーザ光のビームサイズ(3つのレーザ光全体のビーム幅)を縮小してビーム形成レンズ16に導く。縮小光学系15は、凸レンズ15aと凹レンズ15bにより構成される。ファスト軸コリメータレンズ12a〜12cとスロー軸コリメータレンズ14によって平行光化された3つのレーザ光は、凸レンズ15aによりビームサイズが縮小された後、凹レンズ15bによって再び平行光化される。すなわち、凸レンズ15aにより3つのレーザ光全体のビーム幅が縮小される。これにより、ビーム形成レンズ16の有効径を小さくでき、ビーム形成レンズ16より後段側の光学素子も小型化できる。
図5(a)は、縮小光学系15の構成例を示す図である。
凸レンズ15aの焦点距離はF1であり、凹レンズ15bの焦点距離はF2である。焦点距離F2は焦点距離F1よりも小さい。凹レンズ15bは、凸レンズ15aと焦点位置FP0を共有するように配置される。これにより、凹レンズ15bによってレーザ光が平行光化される。凸レンズ15aと凹レンズ15bは、光軸がビーム形成レンズ16の光軸に一致するように配置される。
なお、縮小光学系15が、図5(b)の構成であってもよい。図5(b)の構成例では、凹レンズ15bに代えて凸レンズ15cが配置される。凸レンズ15cの焦点距離F3は焦点距離F1よりも小さい。凸レンズ15cは、凸レンズ15aと焦点位置FP0を共有するように配置される。これにより、凸レンズ15cによってレーザ光が平行光化される。凸レンズ15aと凸レンズ15cは、光軸がビーム形成レンズ16の光軸に一致するように配置される。
縮小光学系15によりレーザ光のビームサイズが縮小されるため、上記のように、縮小光学系15より後段側に配置される光学素子を小型化できる。縮小光学系15の前後のビーム幅をそれぞれBW1、BW2とすると、図5(a)の構成では、BW1:BW2=F1:F2となり、図5(b)の構成では、BW1:BW2=F1:F3となる。このようにビームサイズが縮小されることにより、後段側の光学素子が小型化されるため、光学系に各光学素子をより円滑に配置でき、また、光学系をコンパクト化することができる。
なお、縮小光学系15を構成する凸レンズ15aおよび凹レンズ15b(または凸レンズ15c)は、少なくともファスト軸(X軸)方向の入射ビーム幅を縮小する目的で用いられるので、X−Z平面に平行な方向のみ曲面を持つシリンドリカルレンズで構成することができる。
図1(a)、(b)に戻り、ビーム形成レンズ16は、入射した平行光を、波長変換部材30の入射面上において、一方向に細長いライン状ビームスポットに収束させる光学作用を有する。ビーム形成レンズ16の入射面はZ軸負側に突出した非球面であり、ビーム形成レンズ16の出射面は、Z軸に垂直な平面である。ビーム形成レンズ16の出射面も、Z軸正側に突出した曲面であってもよい。あるいは、ビーム形成レンズ16の入射面が平面で出射面が曲面であってもよい。ビーム形成レンズ16は、光軸がZ軸に平行となるように配置されている。レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光は、ビーム形成レンズ16によって、波長変換部材30の入射面上に収束される。これら3つのレーザ光が、波長変換部材30の入射面上で互いに重なり合うことで、一方向に細長いライン状ビームスポットが形成される。
反射ミラー17は、ビーム形成レンズ16を透過した3つのレーザ光の光軸を、それぞれ、Y−Z平面に平行な方向に折り曲げる。3つのレーザ光は、反射ミラー17で反射された後、光偏向器18のミラー18aに入射する。なお、ビーム形成レンズ16から波長変換部材30までの光学系のレイアウトによっては、反射ミラー17が省略され得る。この場合、ビーム形成レンズ16を透過した3つのレーザ光は、直接、光偏向器18のミラー18aに入射する。
光偏向器18は、ミラー18aを備え、ミラー18aをX軸に平行な回動軸18bについて回動させることにより、反射ミラー17で反射されたレーザ光の進行方向を変化させる。ミラー18aの入射面は平面である。ミラー18aは、たとえば、ガラス板に誘電体多層膜を形成した高反射率のミラーである。ミラー18aは、中立位置において、X−Y平面に平行な平面に対して所定角度だけ傾くように配置される。光偏向器18の構成は、追って、図6(a)、(b)を参照して説明する。
反射ミラー19は、光偏向器18のミラー18aで反射された3つのレーザ光の光軸を、それぞれ、Y−Z平面に平行な方向に折り曲げる。3つのレーザ光は、反射ミラー19で反射された後、波長変換部材30に斜め方向から入射する。ここで、波長変換部材30の入射面に対するレーザ光の入射角は、60度よりも大きく設定されることが好ましい。これにより、波長変換部材30に入射するレーザ光が投射光学系3のレンズ3aに掛かりにくくなり、レンズ3aを波長変換部材30に接近させることができる。その結果、波長変換部材30で生じた拡散光をレンズ3aでより多く取り込んで、目標領域に投射することができる。
なお、光偏向器18から波長変換部材30までの光学系のレイアウトによっては、反射ミラー17が省略され得る。この場合、光偏向器18のミラー18aで反射された3つのレーザ光は、直接、波長変換部材30に斜め方向から入射する。
なお、本実施形態では、ビーム形成レンズ16と光偏向器18との間の光路の長さが、光偏向器18と波長変換部材30との間の光路の長さよりも短くなるように、光学系が構成されている。これにより、光偏向器18のミラー18aを小さい振り幅で回動させても、波長変換部材30の入射面上において、レーザ光を大きく走査させることができる。
波長変換部材30は、反射ミラー19によって反射されたレーザ光が入射する位置に配置されている。波長変換部材30は、長方形の板状部材であり、入射面がX−Y平面に平行となるように設置されている。上記のようにミラー18aが回動軸18bについて回動することにより、波長変換部材30は、レーザ光によって短手方向(Y軸方向)に走査される。
波長変換部材30は、入射したレーザ光の一部を、青色波長帯とは異なる波長に変換して、Z軸方向に拡散させる。波長変換されなかった他のレーザ光は、波長変換部材30によってZ軸方向に拡散される。こうして拡散された2種類の波長の光が合成されて、所定の色の光が生成される。各波長の光は、投射光学系3に取り込まれて、目標領域に投射される。
実施形態1では、波長変換部材30によって、レーザ光の一部が、黄色波長帯の光に変換される。波長変換後の黄色波長帯の拡散光と、波長変換されなかった青色波長帯の散乱光とが合成されて、白色の光が生成される。なお、波長変換後の波長は黄色波長帯でなくてもよく、生成される光の色は、白以外の色であってもよい。波長変換部材30の構成は、追って、図7を参照して説明する。
図2(a)、(b)に示すように、第2走査光学系2bは、3つのレーザ光源21a〜21cと、3つのファスト軸コリメータレンズ22a〜22cと、2つの反射プリズム23a、23bと、スロー軸コリメータレンズ24と、縮小光学系25と、ビーム形成レンズ26と、反射ミラー27と、光偏向器28と、反射ミラー29と、を備えている。
レーザ光源21a〜21c、ファスト軸コリメータレンズ22a〜22c、反射プリズム23a、23b、スロー軸コリメータレンズ24、および縮小光学系25の構成は、第1走査光学系2aにおけるレーザ光源11a〜11c、ファスト軸コリメータレンズ12a〜12c、反射プリズム13a、13b、スロー軸コリメータレンズ14、および縮小光学系15の構成と同様である。縮小光学系25は、縮小光学系15と同様、凸レンズ25aと凹レンズ25bを備える。
ビーム形成レンズ26は、第1走査光学系2aのビーム形成レンズ16と異なり、入射したレーザ光をY軸方向に細長いライン状ビームスポットに収束させる光学作用を有する。また、反射ミラー27、光偏向器28および反射ミラー29は、レーザ光をY軸負側から波長変換部材30の入射面に入射させるように配置されている。さらに、光偏向器28の回動軸28bの方向が、第1走査光学系2aの光偏向器18の回動軸18bの方向に対して、垂直となっている。このため、ビーム形成レンズ26によりY軸方向に細長いライン状ビームスポットに収束されたレーザ光は、光偏向器28のミラー28aの回動に伴い、波長変換部材30の入射面上をX軸方向に走査される。
上記のように構成された第1走査光学系2aと第2走査光学系2bとが配置されることにより、図3に示す光源装置2が構成される。第1走査光学系2aと第2走査光学系2bによって各ビームスポットが波長変換部材30を走査することにより、波長変換部材30から照明用の光が生じる。こうして生じた光が投射光学系3に取り込まれて、目標領域に投射される。
図6(a)、(b)は、それぞれ、光偏向器18の構成を示す斜視図および断面図である。便宜上、図6(a)、(b)には、互いに直交するx、y、z軸が新たに付されている。図6(b)には、x−y平面に平行な平面で、図6(a)の光偏向器18をz軸方向の中央位置において切断したA−A’断面図が示されている。光偏向器28も、図6(a)、(b)と同様の構成である。
図6(a)、(b)を参照して、光偏向器18は、電磁力を利用してミラー18aを駆動する構成となっている。ハウジング201に、電磁駆動のための構成部材が設置されている。
ハウジング201の凹部201aに磁石205、206とヨーク207からなる磁気回路が収容されている。また、ハウジング201の上面に、枠状の板バネ202がネジ203で設置される。板バネ202は、枠部202aと、支持部202bと、2つの梁部202cと、を有する。x軸方向の中間位置において、枠部202aからz軸方向に平行に延びるように2つの梁部202cが形成され、これら梁部202cによって、枠部202aと支持部202bとが連結されている。
支持部202bの上面にミラー18aが装着される。また、支持部202bの下面にコイル204が装着される。コイル204は、平面視において長方形の角が丸められた形状に周回している。コイル204は、磁石205、206の間に位置付けられている。
コイル204に電流が流れると、コイル204とともに支持部202bが、梁部202cを軸として回動する。磁石205、206は、このようにコイル204に回動力が生じるように、極性が設定されている。こうして支持部202bが回動すると、これに伴い、ミラー18aが回動する。ここでは、2つの梁部202cを繋いだ軸が、ミラー18aの回動軸18bとなる。
なお、光偏向器18、28は、図6(a)、(b)に示した構成でなくてもよく、たとえば、圧電アクチュエータや静電アクチュエータ等のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)アクチュエータにより構成されてもよい。
図7は、波長変換部材30の構成を模式的に示す側面図である。
波長変換部材30は、基板301の上面に、反射膜302と、蛍光体層303とを積層した構成となっている。
基板301は、たとえば、シリコンや窒化アルミニウムセラミック、サファイヤガラスなどからなっている。反射膜302は、第1反射膜302aと第2反射膜302bとが積層されて構成されている。第1反射膜302aは、たとえば、Ag、Ag合金、Alなどの金属膜である。第2反射膜302bは、反射とともに第1反射膜302aを酸化などから保護する機能をも有し、たとえば、SiO、ZnO、ZrO、Nb、Al、TiO、SiN、AlNなど誘電体の1つまたは複数の層からなっている。反射膜302は、必ずしも、第1反射膜302aおよび第2反射膜302bから構成されなくともよく、単層または3つ以上の層が積層された構成であってもよい。
蛍光体層303は、蛍光体粒子303aをバインダ303bで固定することにより形成される。蛍光体粒子303aは、レーザ光源11a〜11cから出射された青色波長帯のレーザ光が照射されることによって黄色波長帯の蛍光を発する。蛍光体粒子303aとして、たとえば、平均粒子径が1μm〜30μmの(YnGd1−n)3(AlmGa1−m)5O12:Ce(0.5≦n≦1、0.5≦m≦1)が用いられる。また、バインダ303bとして、ポリメチルシルセスキオキサンなどのシルセスキオキサンを主に含む透明材料が用いられる。
さらに、蛍光体層303の内部に、ボイド303cを設けることが好ましい。これにより、内部に侵入したレーザ光をより効率的に散乱させて、光源装置2から取り出すことができる。また、第2反射膜302b付近にボイド303cが存在することにより、第2反射膜302bの表面によるエネルギーロスを低減しつつ、効果的にレーザ光と蛍光を散乱させることができる。蛍光体層303には、さらに、強度および耐熱性を高めるためのフィラー303dが含まれる。
図7に示す励起領域R11に照射されたレーザ光は、蛍光体層303の表面または内部で、散乱、吸収される。このとき、レーザ光の一部は、蛍光体粒子303aにより黄色波長帯の光に変換されて、蛍光体層303から放射される。また、レーザ光の他の一部は、黄色波長帯の光に変換されずに散乱されて青色波長帯の光のまま蛍光体層303から放射される。このとき、各波長帯の光は、蛍光体層303内を伝搬しながら散乱されるため、励起領域R11よりもやや広い発光領域R12から放射される。
本実施形態1では、図3に示した第1走査光学系2aおよび第2走査光学系によって、2つのライン状ビームスポットが、それぞれ、Y軸方向およびX軸方向に、波長変換部材30を走査する。
図8(a)は、波長変換部材30に対する第1ライン状ビームスポットLS1の走査を模式的に示す図であり、図8(b)は、波長変換部材30に対する第2ライン状ビームスポットLS2の走査を模式的に示す図である。図8(c)は、波長変換部材30に対する第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の走査を模式的に示す図である。
図8(a)に示すように、第1ライン状ビームスポットLS1は、X軸方向に細長いライン状のビームスポットである。第1ライン状ビームスポットLS1の長手方向の幅は、波長変換部材30のX軸方向の幅よりもやや小さい。第1ライン状ビームスポットLS1は、光偏向器18によって、走査方向D1(Y軸方向)に走査される。走査方向D1は、第1ライン状ビームスポットLS1の幅狭方向である。第1ライン状ビームスポットLS1の走査範囲W1は、波長変換部材30のY軸方向の幅よりもやや小さい。
図8(b)に示すように、第2ライン状ビームスポットLS2は、Y軸方向に細長いライン状のビームスポットである。第2ライン状ビームスポットLS2の長手方向の幅は、波長変換部材30のY軸方向の幅よりもやや小さい。第2ライン状ビームスポットLS2は、光偏向器28によって、走査方向D2(X軸方向)に走査される。走査方向D2は、第2ライン状ビームスポットLS2の幅狭方向である。第2ライン状ビームスポットLS2の走査範囲W2は、波長変換部材30のX軸方向の幅よりもやや小さい。
図8(c)に示すように、第1ライン状ビームスポットLS1の走査方向D1と第2ライン状ビームスポットLS2の走査方向D2は、互いに交差する。本実施形態1では、走査方向D1と走査方向D2が互いに直交している。こうして、第1ライン状ビームスポットLS1と第2ライン状ビームスポットLS2によって波長変換部材30が高速で走査されることにより、走査範囲W1、W2を2軸とする矩形の領域から光が生じる。これにより、波長変換部材30が面発光光源となる。
図9は、光源装置2の回路ブロック図である。
光源装置2は、回路部の構成として、コントローラ401と、第1光源駆動回路402と、第2光源駆動回路403と、第1ミラー駆動回路404と、第2ミラー駆動回路405と、通信部406と、を備える。
コントローラ401は、通信部406を介して受信した配光指示に応じて、第1光源駆動回路402、第2光源駆動回路403、第1ミラー駆動回路404および第2ミラー駆動回路405を制御する。たとえば、投光装置1が車両のヘッドライトとして用いられる場合、目標領域に対する配光パターンを指示する配光指示が、車両側のコントローラからコントローラ401に送られる。これに応じて、コントローラ401は、指示された配光パターンで目標領域に光が投射されるように、第1光源駆動回路402、第2光源駆動回路403、第1ミラー駆動回路404および第2ミラー駆動回路405を制御する。
第1光源駆動回路402は、コントローラ401からの制御に応じて、第1走査光学系2aのレーザ光源11a〜11cを駆動する。第2光源駆動回路403は、コントローラ401からの制御に応じて、第2走査光学系2bのレーザ光源21a〜21cを駆動する。第1ミラー駆動回路404は、コントローラ401からの制御に応じて、第1走査光学系2aの光偏向器18を駆動する。第2ミラー駆動回路405は、コントローラ401からの制御に応じて、第2走査光学系2bの光偏向器28を駆動する。通信部406は、車両側のコントローラとの通信を行う。
図10(a)〜(c)は、それぞれ、所定の配光パターンに応じて波長変換部材30が走査された場合に得られる輝度分布を示す図である。図10(a)〜(c)は、それぞれ、波長変換部材30における輝度分布を示している。
図10(a)の例では、消灯区間SE1において第1ライン状ビームスポットLS1が消灯され、消灯区間SE2において第2ライン状ビームスポットLS2が消灯された場合の輝度分布を示している。この場合、消灯区間SE1、SE2が交差する領域R1(黒色の領域)は、励起用の光が照射されないため、波長変換部材30から光が生じない。すなわち、領域R1は、輝度が完全に消失した領域となる。第1ライン状ビームスポットLS1と第2ライン状ビームスポットLS2の両方が走査された領域R3(白色の領域)は、最大光量の光が生じる。すなわち、領域R3は、最大輝度の領域となる。第1ライン状ビームスポットLS1と第2ライン状ビームスポットLS2の何れか一方のみが走査された領域R2(灰色の領域)は、領域R3の半分程度の光量が生じる。すなわち、領域R2は、中間輝度の領域となる。
図10(b)のように消灯区間SE1、SE2が設定されると、これに応じて、領域R1、R2、R3が図10(b)のように変化する。また、図10(c)のように消灯区間SE2を2つ設定すると、輝度が完全に消失した領域R1をX軸方向に2つ生じさせることができる。
波長変換部材30の輝度分布は、投射光学系3により目標領域に投射される光の配光パターンに対応する。具体的には、波長変換部材30の輝度分布をX軸方向およびY軸方向に反転させた分布が、目標領域に投射される光の配光パターンとなる。したがって、たとえば、車両前方の目標領域を人が歩行している場合、人の領域に対応する波長変換部材30上の領域を、輝度が完全に消失した領域R1に設定することにより、人に光が照射されないようにすることができる。たとえば、図10(a)は、この場合の輝度パターンを示している。
また、車両前方の目標領域に対向車が含まれる場合、対向車の領域に対応する波長変換部材30上の領域を、輝度が完全に消失した領域R1に設定することにより、対向車に光が照射されないようにすることができる。たとえば、図10(b)は、この場合の輝度パターンを示している。
また、車両前方の目標領域を2人の人が歩行している場合、これらの人の領域に対応する波長変換部材30上の領域を、輝度が完全に消失した領域R1に設定することにより、これらの人に光が照射されないようにすることができる。たとえば、図10(c)は、この場合の輝度パターンを示している。
図9のコントローラ401は、通信部406を介して受信した配光指示に応じて、第1走査光学系2aのレーザ光源11a〜11cおよび光偏向器18と、第2走査光学系2bのレーザ光源21a〜21cおよび光偏向器28を、互いに非同期で個別に制御して、配光指示に応じた輝度分布で波長変換部材30を面発光させる。これにより、指示された配光パターンで目標領域に光を投射することができる。
<実施形態の効果>
以上、本実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の形状が、一方向に細長いライン状であるため、円形または楕円形のビームスポットに比べてビームスポットの光密度を抑えることができる。このため、円形または楕円形のビームスポットに比べて、走査方向の幅を小さくできる。よって、配光制御の際に、明暗のコントラストと分解能を高めることができる。
また、図1(a)、(b)に示したように第1走査光学系2aは、3つのレーザ光源11a〜11c(第1光源)を備え、図2(a)、(b)に示したように第2走査光学系2bは、3つのレーザ光源(第2光源)を備える。これにより、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の光量を高めることができ、目標領域をより明るく照らすことができる。
また、コントローラ401は、配光制御において、第1走査光学系2aのレーザ光源11a〜11c(第1光源)および光偏向器18(第1光偏向器)と、第2走査光学系2bのレーザ光源21a〜21c(第2光源)および光偏向器28(第2光偏向器)とを、互いに非同期で個別に制御する。すなわち、図10(a)〜(c)に示したように、コントローラ401は、配光パターンに応じて、レーザ光源11a〜11cについては消灯区間SE1において消灯させ、また、レーザ光源21a〜21cについては消灯区間SE2において消灯させる。このように、各レーザ光源を非同期で個別に制御すればよいため、コントローラ401における制御を極めて簡素にすることができる。
<実施形態2>
図11は、実施形態2に係る投光装置1の構成を示す側面図である。
実施形態2では、波長変換部材30が透過型に変更されている。これに伴い、反射ミラー17、27が省略され、光偏向器18、28の向きと、反射ミラー19、29の向きが変更されている。投射光学系3は、波長変換部材30で生じた青色波長帯の拡散光と黄色波長帯の拡散光を取り込んで目標領域に投射するように配置されている。
波長変換部材30が透過型である場合、図7に示した反射膜302が省略されるか、反射膜302が、青色波長帯の光を透過し黄色波長帯の光を反射するダイクロイック膜に変更される。レーザ光源11a〜11cおよびレーザ光源21a〜21cからのレーザ光は、基板301側から入射し、基板301を透過して蛍光体層303へと入射する。反射膜302がダイクロイック膜に変更される場合、蛍光体層303で生じた黄色波長帯の光が基板301へと進むことが抑制される。これにより、黄色波長帯の光の利用効率を高めることができる。
さらに、実施形態2では、ビーム形成レンズ16、26が、それぞれ、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の幅広方向における強度分布を調整するための光学作用をさらに有する。すなわち、実施形態2では、ビーム形成レンズ16、26が、それぞれ、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の幅広方向における強度分布を調整するための調整部材として共用されている。
図12(a)、(b)は、それぞれ、ビーム形成レンズ16、26による第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の光強度分布の調整作用を示す図である。
図12(a)に示すように、ビーム形成レンズ16は、第1ライン状ビームスポットLS1の幅広方向の中央位置の強度が高く、幅広方向の両端の強度が低くなるように、第1ライン状ビームスポットLS1の強度を調整する。この調整作用は、たとえば、ビーム形成レンズ16の入射面または出射面の形状を調整することにより実現され得る。
また、図12(b)に示すように、ビーム形成レンズ26は、第2ライン状ビームスポットLS2の幅広方向において強度が略均一化されるように、第2ライン状ビームスポットLS2の強度を調整する。この調整作用は、たとえば、ビーム形成レンズ26の入射面または出射面の形状を調整することにより実現され得る。
このように第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の強度分布を調整することにより、図12(c)に示すように、波長変換部材30における面発光領域の輝度分布が、X軸方向の中央位置において最大輝度となりX軸方向の両端において最低輝度となる。また、面発光領域のY軸方向の輝度は、X軸方向のどの位置においても、略均一となる。
上記のように、投光装置1が車両のヘッドライトに用いられる場合、このように、波長変換部材30の輝度分布を設定することで、車両前方の中央をより明るく照らすことができ、水平方向の両端は、照度をやや落とすことができる。これにより、車両前方を照明に要求される照度の規格が満たされ得る。なお、図12(a)の輝度分布は、この規格に適合するように調整されればよい。
なお、図12(b)に示した強度分布の均一化は、たとえば、ビーム形成レンズ26の入射面を複数の領域に分割し、各分割領域に入射した光を、それぞれ、第2ライン状ビームスポットLS2の領域に収束させて重ね合わせる構成によっても実現され得る。この場合、分割数の増加に伴い、第2ライン状ビームスポットLS2の強度分布の均一化が進む。第1ライン状ビームスポットLS1の強度分布を均一化する場合も、ビーム形成レンズ16に同様の構成が、ビーム形成レンズ26に適用され得る。
本実施形態2においても、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。加えて、本実施形態2では、図12(a)、(b)に示したように、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の強度分布が調整されるため、目標領域に所望の照度分布で光を投射できる。
なお、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の強度分布を調整するための上述の構成は、上記実施形態1の光源装置2にも、適宜、適用され得る。
<実施形態3>
図13は、実施形態3に係る投光装置1の構成を示す側面図である。
実施形態3では、縮小光学系15、25でビームサイズが縮小されたレーザ光が、それぞれ、ファイバーカプラレンズ41、51によって光ファイバー42、52に取り込まれ、光ファイバー42、52から出射されるレーザ光が、ビーム形成レンズ16、26に入射される。ビーム形成レンズ16、26は、それぞれ、入射したレーザ光を収束させて、波長変換部材30の入射面に、第1ライン状ビームスポットLS1と第2ライン状ビームスポットLS2を形成する。上記実施形態2と同様、波長変換部材30は、透過型の波長変換部材である。
ビーム形成レンズ16、26を透過したレーザ光は、それぞれ、反射ミラー17、27を介して、光偏向器18、28に導かれる。第1ライン状ビームスポットLS1は、光偏向器18によって、波長変換部材30の入射面をY軸方向に走査し、第2ライン状ビームスポットLS2は、光偏向器28によって、波長変換部材30の入射面をX軸方向に走査する。これにより、波長変換部材30が面発光する。波長変換部材30から生じた光は、投射光学系3により照射領域に投射される。
本実施形態3では、光ファイバー42、52によってレーザ光が伝送されるため、ファイバーカプラレンズ41、51から上段の光学系と、ビーム形成レンズ16、26から下段の光学系とを、互いに離れた位置に配置できる。よって、光学系のレイアウトをより自由に設定することができる。
また、光ファイバー42、52を伝送される間にレーザ光の強度分布が均一化されるため、ビーム形成レンズ16、26に強度分布を均一化させる光学作用を持たせずとも、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の強度が均一化される。すなわち、実施形態3では、ファイバーカプラレンズ41、51と光ファイバー42、52が、ライン状ビームスポットの幅広方向における光強度分布を調整する調整部材を構成する。これにより、強度分布が均一なライン状ビームスポットによって、波長変換部材30を走査することができる。
この他、本実施形態3においても、上記実施形態1、2と同様の効果が奏され得る。
なお、ファイバーカプラレンズ41、51および光ファイバー42、52を用いる構成は、上記実施形態1の光源装置2にも、適宜、適用され得る。
<変更例>
投光装置1および光源装置2の構成は、上記実施形態1〜3に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態1〜3では、第1ライン状ビームスポットLS1と第2ライン状ビームスポットLS2がそれぞれ1つずつ、波長変換部材30上に形成されたが、複数の第1ライン状ビームスポットLS1が波長変換部材30上に形成されてもよく、また、複数の第2ライン状ビームスポットLS2が波長変換部材30上に形成されてもよい。たとえば、3つの第2ライン状ビームスポットLS2が、走査方向にずれるように、波長変換部材30の入射面に形成されて走査されてもよい。
また、上記実施形態1〜3では、第2ライン状ビームスポットLS2よりも第1ライン状ビームスポットLS1の方が幅広であったが、第1ライン状ビームスポットLS1と第2ライン状ビームスポットLS2のサイズは、これに限られるものではない。たとえば、第1ライン状ビームスポットLS1と第2ライン状ビームスポットLS2のサイズが、幅広方向において同じであってもよく、あるいは、第1ライン状ビームスポットLS1よりも第2ライン状ビームスポットLS2の方が幅広方向に長くてもよい。
また、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の走査方向は、上記実施形態1〜3に示した走査方向に限られるものではない。たとえば、第1ライン状ビームスポットLS1が波長変換部材30の長辺方向に走査され、第2ライン状ビームスポットLS2が波長変換部材30の短辺方向に走査されてもよい。
また、上記実施形態1〜3では、走査方向D1と走査方向D2が互いに直交したが、走査方向D1と走査方向D2は、必ずしも垂直に交差しなくてもよく、垂直以外の角度で交差してもよい。
また、上記実施形態2では、ビーム形成レンズ16、26が、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の強度分布を調整する光学作用を有したが、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2の強度分布を調整するための調整部材が、ビーム形成レンズ16、26とは別に配置されてもよい。
また、ビーム形成レンズ16、26は、単一のレンズでなくてもよく、複数のレンズが組み合わされて構成されてもよい。また、第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2は、必ずしもレンズによって形成されなくてもよく、たとえば、反射ミラー17や反射ミラー19の反射面に第1ライン状ビームスポットLS1および第2ライン状ビームスポットLS2を形成するための光学作用を持たせてもよい。あるいは、レンズと反射面の組み合わせにより、ライン状ビームスポットが形成されてもよい。
また、上記実施形態1〜3では、スロー軸コリメータレンズ14、24が、各レーザ光に対して共通であったが、レーザ光ごとに個別にスロー軸コリメータレンズが配置されてもよい。
また、上記実施形態1〜3では、ファスト軸コリメータレンズ12a〜12c、22a〜22cがスロー軸コリメータレンズ14、24よりもレーザ光源11a〜11c、21a〜21c側に配置されたが、スロー軸コリメータレンズが、ファスト軸コリメータレンズよりもレーザ光源11a〜11c側に配置されてもよい。この場合、たとえば、スロー軸コリメータレンズがレーザ光源11a〜11c、21a〜21cごとに配置され、各レーザ光に対して共通に1つのファスト軸コリメータレンズが配置される。
また、第1走査光学系2aに配置されるレーザ光源の数は、3つに限らず、4つ以上または2つ以下であってもよい。同様に、第2走査光学系2bに配置されるレーザ光源の数は、3つに限らず、4つ以上または2つ以下であってもよい。また、光源として、LED(Light emitting diode)等の他の光源が用いられてもよい。
また、縮小光学系15、25が、省略されてもよい。ただし、この場合は、ビーム形成レンズ16、26が大型化し、また、ビーム形成レンズ16、26より下段側の光学素子も大型化する。
また、波長変換部材30の蛍光体層303に含まれる蛍光体粒子303aの種類は、必ずしも1種類でなくてもよく、たとえば、レーザ光源11a〜11cからのレーザ光によって互いに異なる波長の蛍光を生じる複数種類の蛍光体粒子303aが蛍光体層303に含まれてもよい。この場合、各種類の蛍光体粒子303aから生じた蛍光の拡散光と、これら蛍光体粒子303aによって波長変換されなかったレーザ光の拡散光とによって、所定の色の光が生成される。
また、光が投射される照射領域(目標領域)は、必ずしも水平方向に長い帯状でなくてもよく、必要とされる照射条件によっては、照射領域(目標領域)が鉛直方向に長い帯状であっていてもよい。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … 投光装置
2 … 光源装置
3 … 投射光学系
2a … 第1走査光学系
2b … 第2走査光学系
11a〜11c … レーザ光源(第1光源)
21a〜21c … レーザ光源(第2光源)
16 … ビーム形成レンズ(第1スポット形成部材、第1調整部材)
26 … ビーム形成レンズ(第2スポット形成部材、第2調整部材)
18 … 光偏向器(第1光偏向器)
28 … 光偏向器(第2光偏向器)
42、52 … 光ファイバー(第1調整部材、第2調整部材)
401 … コントローラ

Claims (6)

  1. 所定波長の光を他の波長の光に変換するとともに波長変換された光を拡散させる波長変換部材と、
    第1ライン状ビームスポットを前記波長変換部材に照射するとともに前記第1ライン状ビームスポットを幅狭方向に走査させる第1走査光学系と、
    第2ライン状ビームスポットを前記波長変換部材に照射するとともに前記第2ライン状ビームスポットを幅狭方向に走査させる第2走査光学系と、を備え、
    前記第1ライン状ビームスポットの走査方向と前記第2ライン状ビームスポットの走査方向とが互いに交差する、
    ことを特徴とする光源装置。
  2. 請求項1に記載の光源装置において、
    前記第1走査光学系は、
    前記所定波長の光を出射する第1光源と、
    前記第1光源から出射された前記光を前記波長変換部材上において走査させる第1光偏向器と、
    前記第1光源から出射された前記光から前記第1ライン状ビームスポットを形成する第1スポット形成部材と、を備え、
    前記第2走査光学系は、
    前記所定波長の光を出射する第2光源と、
    前記第2光源から出射された前記光を前記波長変換部材上において走査させる第2光偏向器と、
    前記第2光源から出射された前記光から前記第2ライン状ビームスポットを形成する第2スポット形成部材と、を備える、
    ことを特徴とする光源装置。
  3. 請求項2に記載の光源装置において、
    前記第1走査光学系は、前記第1光源を複数備え、
    前記第2走査光学系は、前記第2光源を複数備える、
    ことを特徴とする光源装置。
  4. 請求項2または3に記載の光源装置において、
    前記第1走査光学系は、前記第1ライン状ビームスポットの幅広方向における光強度分布を調整する第1調整部材を備え、
    前記第2走査光学系は、前記第2ライン状ビームスポットの幅広方向における光強度分布を調整する第2調整部材を備える、
    ことを特徴とする光源装置。
  5. 請求項2ないし4の何れか一項に記載の光源装置において、
    前記第1光源および前記第1光偏向器と、前記第2光源および前記第2光偏向器とを制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、配光制御において、前記第1光源および前記第1光偏向器と、前記第2光源および前記第2光偏向器とを、互いに非同期で個別に制御する、
    ことを特徴とする光源装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載の光源装置と、
    前記波長変換部材により拡散された光を投射する投射光学系と、を備える、
    ことを特徴とする投光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2023095271A (ja) * 2021-12-24 2023-07-06 株式会社ライトショー・テクノロジー 投射型表示装置

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