JP2019029295A - 光源装置および投光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走査領域全体の発光強度を効果的に高めることが可能な光源装置およびそれを用いた投光装置を提供する。【解決手段】光源装置2は、レーザ光源11a〜11cと、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光の波長を他の波長に変換するとともに波長変換された光を拡散させる波長変換部材18と、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光を波長変換部材18の入射面上において走査させる光偏向器16と、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光を、波長変換部材18の入射面18a上において、レーザ光の走査方向に交差する方向に長いビーム形状に収束させるシリンドリカルレンズ14およびシリンドリカルミラー17と、を備える。レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光が波長変換部材18の入射面上において全体的に略重なるように、レーザ光源11a〜11dと光学系が調整されている。【選択図】図1
Description
本発明は、光を発する光源装置およびそれを用いた投光装置に関する。
従来、レーザ光源から出射された光を波長変換部材に照射することにより所定波長の光を生成する光源装置が知られている。この光源装置では、たとえば、波長変換部材により波長変換されて拡散された光と、波長変換部材により波長変換されずに拡散された光とが合成されて、白色光等、所定の色の光が生成される。このような光源装置が、たとえば、車両用前照灯の光源装置として利用されている。
以下の特許文献1には、光変換手段(蛍光体)によって生成された光像を投光光学系によって道路上に投光する投光器(ヘッドライト)が開示されている。投光器は、6つのレーザ光源と、2つのマイクロミラーとを備える。1つのマイクロミラーに対して3つのレーザ光源が割り当てられている。1つのマイクロミラーに入射した3つのレーザ光は、それぞれ、走査方向に垂直な方向に互いに変位した位置において、光変換手段の発光面に照射される。マイクロミラーは、単一軸の周りにのみ振動する。マイクロミラーが振動することにより、走査方向に垂直な方向に互いに変位したビームスポットが、光変換手段の発光面を走査する。一方のマイクロミラーで走査される3つのレーザ光は、光変換手段の発光面上において、他方のマイクロミラーで走査される3つのレーザ光の間の位置に位置づけられる。
上記特許文献1の構成では、1つのマイクロミラーに入射する3つのレーザ光の走査位置が発光面上において走査方向に垂直な方向に互いに変位しているため、何れか1つのレーザ光源に不具合が生じると、当該レーザ光源に対応する走査ラインにおいて、発光面から生じる光の強度が低下し、あるいはこの走査ラインにおいて発光が生じないことが起こり得る。これにより、目標領域上に帯状の低照度領域が生じることが起こり得る。
かかる課題に鑑み、本発明は、走査領域全体の発光強度を効果的に高めることが可能な光源装置およびそれを用いた投光装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、光源装置に関する。この態様に係る光源装置は、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源から出射されたレーザ光の波長を他の波長に変換するとともに波長変換された光を拡散させる波長変換部材と、前記複数のレーザ光源から出射された前記レーザ光を前記波長変換部材の入射面上において走査させる光偏向器と、前記複数のレーザ光源から出射された前記レーザ光を、前記波長変換部材の入射面上において、前記レーザ光の走査方向に交差する方向に長いビーム形状に収束させる集光光学系と、を備える。前記複数のレーザ光源から出射された前記各レーザ光が前記波長変換部材の前記入射面上において全体的に略重なるように、前記複数のレーザ光源と前記集光光学系が調整されている。
本態様に係る光源装置によれば、複数のレーザ光源から出射されたレーザ光が波長変換部材の入射面に照射されるため、レーザ光の照射光量が高められ、波長変換部材により生成される光の強度を高めることができる。また、入射面におけるレーザ光のビーム形状がレーザ光の走査方向に交差する方向に長い形状であるため、走査方向に交差する方向に広い幅で波長変換部材を走査できる。さらに、複数のレーザ光源から出射されたレーザ光が波長変換部材の入射面において略重なった状態で走査されるため、何れか1つのレーザ光源に不具合が生じても、平均強度は低下するものの、走査範囲の一部が欠損する、もしくは低強度となることがなく、走査範囲全体を略均一な強度で走査することができる。また、何らかの手段でレーザ光源の欠損を検知することができ、且つ、残りのレーザ光源の出力に余裕があれば、残りのレーザ光源の出力を高める制御を行うことで、不具合が発生する前と同じ強度で走査することもできる。よって、本態様に係る光源装置によれば、走査領域全体の発光強度を効果的に高めることができる。
本発明の第2の態様は、投光装置に関する。この態様に係る投光装置は、第1の態様に係る光源装置と、前記波長変換部材により拡散された光を投射する投射光学系と、を備える。
本態様に係る投光装置によれば、第1の態様と同様の効果が奏され得る。
以上のとおり、本発明に係る光源装置および投光装置によれば、走査領域全体の発光強度を効果的に高めることができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。この座標軸は、光源装置および投光装置の光投射方向をZ軸とするグローバル座標系(図1、図5、図7、図8、図14)と、説明対象となる光学部品の光出射方向、又は反射面の法線方向をZ軸とするローカル座標系(図2、図4、図10、図11)を説明に合わせて適宜使い分けており、従って、両者は必ずしも一致しない。
<実施例1>
図1(a)、(b)は、それぞれ、実施例1に係る投光装置の構成を示す側面図および平面図である。
図1(a)、(b)は、それぞれ、実施例1に係る投光装置の構成を示す側面図および平面図である。
投光装置1は、光を生成する光源装置2と、光源装置2により生成された光を投射するための投射光学系3とを備える。投射光学系3は、2つのレンズ3a、3bを備え、これらレンズ3a、3bによって光源装置2からの光を集光して目標領域へと投射する。なお、投射光学系3は、必ずしも2つのレンズ3a、3bから構成されなくともよく、たとえば、1つのレンズでもよく、また2つ以上のレンズやミラーを備えていてもよい。また、投射光学系3は、凹面ミラーによって光源装置2からの光を集光する構成であってもよい。
光源装置2は、3つのレーザ光源11a〜11cと、3つのコリメータレンズ12a〜12cと、2つの反射プリズム13a、13bと、シリンドリカルレンズ14と、反射ミラー15と、光偏向器16と、シリンドリカルミラー17と、波長変換部材18とを備えている。シリンドリカルレンズ14とシリンドリカルミラー17は、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光を波長変換部材の入射面に収束させるための集光光学系を構成する。光源装置2を構成する上記部材は、投射光学系3とともに、図示しないベースに設置されている。
レーザ光源11a〜11cは、それぞれ、青色波長帯(たとえば、450nm)のレーザ光をZ軸正方向に出射する。レーザ光源11a〜11cは、たとえば、半導体レーザからなっている。レーザ光源11a〜11cは、同一機種のレーザ光源である。レーザ光源11a〜11cから出射されるレーザ光の波長は、適宜変更可能である。また、レーザ光源11a〜11cは、必ずしも単一の発光領域を有するシングルエミッターの半導体レーザでなくともよく、たとえば、1つの発光素子に複数の発光領域を有するマルチエミッターの半導体レーザであってもよい。また、レーザ光源11a〜11cは、必ずしも単一波長帯のレーザ光を出射するものでなくともよく、たとえば、1基板に複数の発光素子がマウントされたマルチ発光の半導体レーザであってもよい。
コリメータレンズ12a〜12cは、それぞれ、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光を平行光に変換する。反射プリズム13a、13bは、それぞれ、コリメータレンズ12b、12cを透過したレーザ光を、シリンドリカルレンズ14に向かう方向に反射する。反射プリズム13a、13bに代えて、板状の反射ミラーを用いてもよい。
図1(b)に示すように、レーザ光源11aは、出射光軸がZ軸に平行となるように配置され、レーザ光源11b、11cは、出射光軸がZ軸に垂直となるように配置されている。レーザ光源11b、11cは、正対向するように配置されている。レーザ光源11a〜11cは、出射光軸がX−Z平面に平行な1つの平面に含まれるように配置されている。反射プリズム13a、13bは、レーザ光源11b、11cが向き合う方向、すなわち、X軸方向に隙間が生じるように配置されている。
レーザ光源11aから出射されたレーザ光は、コリメータレンズ12aにより平行光に変換された後、反射プリズム13a、13bの間の隙間を通って、シリンドリカルレンズ14へと向かう。対向配置されたレーザ光源11b、11cの光軸は、反射プリズム13a、13bによって、X−Z平面に平行な方向に90度曲げられる。これにより、レーザ光源11a〜11cの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、互いに平行となっている。
以上の構成により、3つのレーザ光は、レーザ光源11a〜11cのパッケージやキャップ外形に制限されることなく、ビームを接近させることが可能となる。具体的には、反射プリズム13a、13bのケラレによる効率の低下の影響が無視できる範囲で、つまりは、コリメートされたビーム幅の前後にまでビームを接近することができ、結果的にシリンドリカルレンズ12a〜12cに入射する3つの平行ビームを束ねた光束の全幅が小さくなることで、シリンドリカルレンズ12a〜12c以降の光学系のコンパクト化が可能となると共に、光学系が有する収差の影響を小さくすることができる。このコンパクト化がもたらすメリットとしては、たとえば、光偏向器16のミラー16aのサイズを小さくできることである。光偏向器16は、ミラー16aのサイズが大きくなるとより大きな推進力が必要となり、磁気回路の大型化や消費電力の増大を招く。必要な推進力が得られなければ可動角度範囲が狭くなる、回動周波数が小さくなる等の弊害が発生するが、ミラー16aのサイズを小さくすることでこれら問題が解消され、設計の自由度が増す。
レーザ光源11aから出射されたレーザ光は、シリンドリカルレンズ14の入射面の中央位置に入射する。レーザ光源11b、11cから出射されたレーザ光は、それぞれ、シリンドリカルレンズ14の入射面の中央位置からX軸正負の方向に所定距離だけずれた位置に入射する。
シリンドリカルレンズ14は、入射面がX−Z平面に平行な方向のみに湾曲した曲面となっている。シリンドリカルレンズ14の入射面は非球面であり、シリンドリカルレンズ14の出射面は、Z軸に垂直な平面である。シリンドリカルレンズ14の出射面も、X−Z平面に平行な方向に湾曲した曲面であってもよい。あるいは、シリンドリカルレンズ14の入射面が平面で出射面が曲面であってもよい。シリンドリカルレンズ14は、入射した平行光を1つの焦線に収束させる。
シリンドリカルレンズ14は、入射面の母線が、入射面に入射する3つのレーザ光の光軸を含む平面に垂直、すなわちY軸方向に平行となるように配置されている。シリンドリカルレンズ14は、入射位置におけるレーザ光源11a〜11cの3つの光軸が並ぶ方向、すなわち、X軸方向のみに収束パワーを有する。レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光は、シリンドリカルレンズ14によって、波長変換部材18の入射面上においてレーザ光の走査方向に収束される。
反射ミラー15は、シリンドリカルレンズ14を透過した3つのレーザ光の光軸を、それぞれ、Y−Z平面に平行な方向に折り曲げる。3つのレーザ光は、反射ミラー15で反射された後、光偏向器16のミラー16aに入射する。なお、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材18までの光学系のレイアウトによっては、反射ミラー15が省略され得る。この場合、シリンドリカルレンズ14を透過した3つのレーザ光は、直接、光偏向器16のミラー16aに入射する。
光偏向器16は、ミラー16aを備え、ミラー16aをZ軸に平行な回動軸L1について回動させることにより、反射ミラー15で反射されたレーザ光の進行方向を変化させる。ミラー16aの入射面は平面である。ミラー16aは、たとえば、ガラス板に誘電体多層膜を形成した高反射率のミラーである。ミラー16aは、中立位置において、X−Z平面に平行となるように配置される。光偏向器16は、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーによって構成される。
シリンドリカルミラー17は、入射面がY−Z平面に平行な方向のみ凹面に湾曲した反射面となっている。シリンドリカルミラー17の入射面は球面であるが、非球面としてもよい。シリンドリカルレンズ14は、入射面の母線が、入射面に入射する3つのレーザ光の光軸を含む平面に平行、すなわちX軸方向に平行となるように配置されている。シリンドリカルミラー17は、入射位置におけるレーザ光源11a〜11cの3つの光軸が並ぶ方向に垂直な方向、すなわち、Y−Z平面に平行な方向のみに収束パワーを有する。レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光は、シリンドリカルミラー17によって、波長変換部材18の入射面上においてレーザ光の走査方向に垂直な方向に収束される。
なお、光偏向器16から波長変換部材18までの光学系のレイアウトによっては、シリンドリカルミラー17が透過型のシリンドリカルレンズに置き換えられ得る。この場合、シリンドリカルレンズに入射した3つのレーザ光は、シリンドリカルレンズでY−Z平面に平行な方向の収束作用を受けた後、波長変換部材18に入射する。
さらに、ミラー16aの入射面は平面としたが、これをシリンドリカルミラー面にも置き換えられ得る。この場合、シリンドリカルミラー17は、省略されるか、平面の反射ミラーとし、シリンドリカルレンズ14に入射した3つのレーザ光は、シリンドリカル面のミラー16aによりY−Z平面に平行な方向の収束作用を受けた後、反射ミラーを経るか、または、そのまま直接、波長変換部材18に入射する。
波長変換部材18は、シリンドリカルミラー17によって反射されたレーザ光が入射する位置に配置されている。波長変換部材18は、長方形形状の板状の部材であり、入射面がX−Y平面に平行となるように設置されている。上記のように、ミラー16aが回動軸L1について回動することにより、波長変換部材18は、レーザ光によって長手方向に走査される。
波長変換部材18は、入射したレーザ光の一部を、青色波長帯とは異なる波長に変換して、Z軸方向に拡散させる。波長変換されなかった他のレーザ光は、波長変換部材18によってZ軸方向に拡散される。こうして拡散された2種類の波長の光が合成されて、所定の色の光が生成される。各波長の光は、投射光学系3に取り込まれて、目標領域に投射される。
実施例1では、波長変換部材18によって、レーザ光の一部が、黄色波長帯の光に変換される。波長変換後の黄色波長帯の拡散光と、波長変換されなかった青色波長帯の散乱光とが合成されて、白色の光が生成される。なお、波長変換後の波長は黄色波長帯でなくてもよく、生成される光の色は、白以外の色であってもよい。波長変換部材18の構成は、追って、図4(a)、(b)を参照して説明する。
図2は、レーザ光源11aの構成と配置を示す斜視図である。図2には、レーザ光源11aに装備された発光素子110の構成が示されている。他のレーザ光源11b、11cの発光素子の構成も図2と同様である。
発光素子110は、上下面が電極111、112となっている。これら電極111、112に電圧を印加することにより、上下のクラッド層に挟まれた活性層113から出射光軸120に沿ってレーザ光130が出射される。レーザ光130は、活性層113に平行な方向および活性層113に垂直な方向に所定の放射角で広がる。活性層113に垂直な方向の放射角は、活性層113に平行な方向の放射角よりも大きい。従って、出射されたレーザ光130のビーム形状は楕円である。一般に、この楕円の長軸はファスト軸と呼ばれ、楕円の短軸はスロー軸と呼ばれる。
図1(a)、(b)の構成において、レーザ光源11aは、ファスト軸が、シリンドリカルレンズ14の収束方向、すなわち、X軸方向に平行となるように配置される。残り2つのレーザ光源11b、11cは、シリンドリカルレンズ14の入射位置においてレーザ光のファスト軸がX軸方向に平行となるように配置される。すなわち、2つのレーザ光源11b、11cは、反射プリズム13a、13bに到達する前のレーザ光のファスト軸がZ軸方向に平行となるように配置される。レーザ光は、スロー軸に沿った方向よりもファスト軸に沿った方向の方が収束されやすい。これは、一般的にレーザ光源11a〜11c(半導体レーザ)の端面におけるファスト軸方向の発光領域の幅が、スロー軸に比べて狭いからである。したがって、レーザ光源11a〜11cを上記のように配置することにより、レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光をシリンドリカルレンズ14によって効率的に収束させることができる。
図3は、シリンドリカルミラー17で反射された後のレーザ光の収束状態を模式的に示す図である。
図3において、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18に向かう破線はレーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光130a〜130cを示し、各破線に付記された楕円は、これらレーザ光のビームスポットBSa〜BScである。
実施例1では、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材18までの光路長が、シリンドリカルレンズ14の焦点距離と略同じとなるように調整されている。このため、レーザ光源11a〜11cから出射された3つのレーザ光130a〜130cは、シリンドリカルレンズ14を透過した後、波長変換部材18に近づくにつれて、ファスト軸に沿った方向に絞られつつ互いに接近する。そして、これら3つのレーザ光130a〜130cは、シリンドリカルミラー17で反射された後、波長変換部材18の入射面18aに到達する間に略完全に重なる。こうして、3つのレーザ光130a〜130cのビームスポットBSa〜BScが波長変換部材18の入射面18a上において重なる。
また、上記のように、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材18までの光路長が、シリンドリカルレンズ14の焦点距離と略同じに設定されているため、波長変換部材18の入射面18aにおいて、3つのレーザ光130a〜130c(ビームスポットBSa〜BSc)は、レーザ光の走査方向、すなわちX軸方向の幅が、シリンドリカルレンズ14の収束作用により生成される焦線の幅付近にまで圧縮される。
なお、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18までの光路長は、シリンドリカルミラー17の焦点距離と同一であっても相違していてもよい。たとえば、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18までの光路長が、シリンドリカルミラー17の焦点距離と同一に設定された場合、レーザ光は、シリンドリカルミラー17の焦点距離に比例した最小幅に収束する。ただし、シリンドリカルミラー17による収束方向はレーザ光130a〜130cのスロー軸に平行な方向であるため、レーザ光はファスト軸に比べて収束されにくい。その上、本構成では、スロー軸に平行な方向から所定の入射角(θとする)で波長変換部材18に入射するため、レーザ光が波長変換素子に対して斜めから入射することで、ビームが1/cosθ倍に広がる。このため、レーザ光は、スロー軸方向にある程度の幅をもって収束される。
入射面18a上におけるビームスポットBSa〜BScのスロー軸方向の幅をできるだけ小さくしたい場合には、シリンドリカルミラーの焦点距離を小さく設定する必要がある。一方、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18までの光路長が、シリンドリカルミラー17の焦点距離と異なる場合、波長変換部材18の入射面18a上におけるビームスポットBSa〜BScのスロー軸方向の幅は、シリンドリカルミラーの焦点位置における最小幅よりも広く設計することができる。
以上の理由と方法から、波長変換部材18の入射面18aにおいて、3つのレーザ光130a〜130cのビームスポットBSa〜BScは、レーザ光の走査方向に垂直な方向、すなわちY−Z平面に平行な方向の幅を広い範囲で自由に設計できる。したがって、波長変換部材18の入射面18aにおいて重なった3つのレーザ光130a〜130cのビームスポットは、レーザ光の走査方向に垂直な方向に延びた線状の形状となる。上記のように、走査方向に垂直な方向におけるビームスポットの長さを広げたい場合は、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18までの光路長を、シリンドリカルミラー17の焦点距離と相違するように設定すると良い。ビームスポットの長さをさらに広げたい場合には、シリンドリカルミラーの反射面を平面、または凸面に形成することで実現できる。
図4(a)は、波長変換部材18の構成を模式的に示す側面図である。
波長変換部材18は、基板201の上面に、反射膜202と、蛍光体層203とを積層した構成となっている。
基板201は、たとえば、シリコンや窒化アルミニウムセラミック、サファイヤガラスなどからなっている。反射膜202は、第1の反射膜202aと第2の反射膜202bとが積層されて構成されている。第1の反射膜202aは、たとえば、Ag、Ag合金、Alなどの金属膜である。第2の反射膜202bは、反射とともに第1の反射膜202aを酸化などから保護する機能をも有し、たとえば、SiO2、ZnO、ZrO2、Nb2O5、Al2O3、TiO2、SiN、AlNなど誘電体の1つまたは複数の層からなっている。反射膜202は、必ずしも、第1の反射膜202aおよび第2の反射膜202bから構成されなくともよく、単層または3つ以上の層が積層された構成であってもよい。
蛍光体層203は、蛍光体粒子203aをバインダ203bで固定することにより形成される。蛍光体粒子203aは、レーザ光源11a〜11cから出射された青色波長帯のレーザ光が照射されることによって黄色波長帯の蛍光を発する。蛍光体粒子203aとして、たとえば、平均粒子径が1μm〜30μmの(YnGd1−n)3(AlmGa1−m)5O12:Ce(0.5≦n≦1、0.5≦m≦1)が用いられる。また、バインダ203bとして、ポリメチルシルセスキオキサンなどのシルセスキオキサンを主に含む透明材料が用いられる。
さらに、蛍光体層203の内部に、ボイド203cを設けることが好ましい。これにより、内部に侵入したレーザ光をより効率的に散乱させて、光源装置2から取り出すことができる。また、第2の反射膜202b付近にボイド203cが存在することにより、第2の反射膜202bの表面によるエネルギーロスを低減しつつ、効果的にレーザ光と蛍光を散乱させることができる。蛍光体層203には、さらに、強度および耐熱性を高めるためのフィラー203dが含まれる。
レーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光は、図4(a)に示す励起領域R1に照射され、蛍光体層203の表面または内部で、散乱、吸収される。このとき、レーザ光の一部は、蛍光体粒子203aにより黄色波長帯の光に変換されて、蛍光体層203から放射される。また、レーザ光の他の一部は、黄色波長帯の光に変換されずに散乱されて青色波長帯の光のまま蛍光体層203から放射される。このとき、各波長帯の光は、蛍光体層203内を伝搬しながら散乱されるため、励起領域R1よりもやや広い発光領域R2から放射される。
図4(b)は、波長変換部材18の構成を模式的に示す平面図である。
波長変換部材18は、平面視において、X軸方向に長い長方形の形状を有する。波長変換部材18は、光偏向器16のミラー16aが回動されることにより、レーザ光でX軸方向に走査される。ミラー16aは、X−Z平面に平行な中立位置から両方向に所定の角度範囲で回動される。図4(b)において、B1は、上記のようにレーザ光源11a〜11cから出射されたレーザ光が重ねられたビームスポットを示している。ビームスポットB1は、波長変換部材18の入射面18aを幅W1において往復移動する。
なお、図4(b)には、ビームスポットB1の往復移動が直線の矢印で示されているが、レーザ光が斜め方向から波長変換部材18に入射するため、実際のビームスポットB1の移動軌跡は、X軸方向の中央位置に対してX軸正負方向の両端がY軸負方向に変位した、やや湾曲した軌跡となる。
入射面18a上におけるビームスポットB1の領域は、図4(a)の励起領域R1に対応する。波長変換部材18の入射面18aをビームスポットB1が移動する間に、ビームスポットB1の領域よりもやや広い発光領域R2から青色波長帯の拡散光と黄色波長帯の拡散光がZ軸正方向に放射される。
こうして放射された2つの波長帯の光が、図1(a)、(b)に示した投射光学系3により取り込まれ、目標領域に投射される。これにより、青色波長帯の光と黄色波長帯の光が合成された白色の光が、投光装置1から目標領域に投射される。
<実施例2>
図5(a)、(b)は、それぞれ、実施例2に係る投光装置1の構成を示す側面図および平面図である。
図5(a)、(b)は、それぞれ、実施例2に係る投光装置1の構成を示す側面図および平面図である。
実施例2では、光源装置2に配置されるレーザ光源の数が4つに増やされている。すなわち、実施例1に比べて、新たにレーザ光源11dが追加されている。レーザ光源11dは、レーザ光源11a〜11cと同種である。レーザ光源11dから出射されたレーザ光は、コリメータレンズ12dによって平行光に変換される。
レーザ光源11aとレーザ光源11dは、正対向するように配置されている。すなわち、レーザ光源11aの出射光軸と、レーザ光源11dの出射光軸は、シリンドリカルレンズ14の収束方向、すなわちX軸方向に平行で、且つ、同一直線に含まれる。レーザ光源11a、11dは、レーザ光源11b、11cと同様、ファスト軸がZ軸に平行となるように配置されている。
レーザ光源11aの出射方向に反射プリズム13cが配置され、レーザ光源11dの出射方向に反射プリズム13dが配置されている。レーザ光源11aの光軸と、レーザ光源11dの光軸は、それぞれ、シリンドリカルレンズ14に向かうように、反射プリズム13c、13dによって、X−Z平面に平行な方向に90度曲げられる。反射プリズム13c、13dは、X軸方向に隙間なく配置されている。実施例1に比べて、反射プリズム13a、13b間の隙間が広げられている。反射プリズム13c、13dによって90度曲げられたレーザ光源11a、11dの光軸は、反射プリズム13a、13b間の隙間を通って、シリンドリカルレンズ14に入射する。
シリンドリカルレンズ14の入射位置において、レーザ光源11a〜11dの光軸は、シリンドリカルレンズ14の母線に垂直な1つの平面、すなわちX−Z平面に平行な1つの平面に含まれる。このように、レーザ光源11a〜11dのY軸方向の位置が調整されている。
実施例2のその他の構成は実施例1と同様である。実施例2においても、実施例1と同様、シリンドリカルレンズ14の焦点距離の位置に、波長変換部材18の入射面18aが位置づけられている。
図6は、シリンドリカルミラー17で反射された後のレーザ光の収束状態を模式的に示す図である。
図6において、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18に向かう破線はレーザ光源11a〜11dから出射されたレーザ光130a〜130dを示し、各破線に付記された楕円は、これらレーザ光のビームスポットBSa〜BSdである。
上記のように、実施例2においても、実施例1と同様、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材18までの光路長が、シリンドリカルレンズ14の焦点距離と略同じとなるように調整されている。このため、レーザ光源11a〜11dから出射された4つのレーザ光130a〜130dは、シリンドリカルレンズ14を透過した後、波長変換部材18に近づくにつれて、ファスト軸に沿った方向に絞られつつ互いに接近する。そして、これら4つのレーザ光130a〜130dは、シリンドリカルミラー17で反射された後、波長変換部材18の入射面18aに到達する間に略完全に重なる。こうして、4つのレーザ光130a〜130dのビームスポットBSa〜BSdが波長変換部材18の入射面18a上において重なる。
また、上記実施例1と同様、4つのレーザ光130a〜130d(ビームスポットBSa〜BSd)は、ファスト軸が走査方向に平行であるため、波長変換部材18の入射面において、レーザ光の走査方向、すなわちX軸方向の幅が、シリンドリカルレンズ14の収束作用により生成される焦線の幅付近にまで圧縮される。これに対し、4つのレーザ光130a〜130c(ビームスポットBSa〜BSd)は、スロー軸が走査方向に垂直であり、且つY−Z平面に平行な方向から波長変換部材へ斜めに入射するため、波長変換部材18の入射面18aにおいて、レーザ光の走査方向に垂直な方向、すなわちY−Z平面に平行な方向の幅が広くなる。したがって、波長変換部材18の入射面18aにおいて重なった4つのレーザ光130a〜130dのビームスポットは、レーザ光の走査方向に垂直な方向に延びた線状の形状となる。
実施例2においても、実施例1と同様、光偏向器16のミラー16aが、X−Z平面に平行な中立位置から両方向に所定の角度範囲で回動されることにより、波長変換部材18が、4つのレーザ光源11a〜11dから出射されたレーザ光が重なったビームでX軸方向に走査される。これにより、波長変換部材18からZ軸方向に2つの波長の光が放射される。
こうして放射された2つの波長帯の光が、図5(a)、(b)に示した投射光学系3により取り込まれ、目標領域に投射される。これにより、青色波長帯の光と黄色波長帯の光が合成された白色の光が、投光装置1から目標領域に投射される。
<実施例3>
図7(a)、(b)は、それぞれ、実施例3に係る投光装置1の構成を示す側面図および平面図である。図8は、実施例3に係る投光装置1の構成を示す斜視図である。図8では、便宜上、コリメータレンズ12a〜12dの図示が省略されている。
図7(a)、(b)は、それぞれ、実施例3に係る投光装置1の構成を示す側面図および平面図である。図8は、実施例3に係る投光装置1の構成を示す斜視図である。図8では、便宜上、コリメータレンズ12a〜12dの図示が省略されている。
実施例3では、実施例2に比べて、レーザ光源11a〜11dの配置が変更されている。すなわち、レーザ光源11a、11dの位置が、レーザ光源11b、11cの位置に対して、シリンドリカルレンズ14の収束方向に垂直な方向、すなわちY軸方向に距離D1だけ変位している。レーザ光源11a、11dの光軸は、シリンドリカルレンズ14の収束方向に平行な1つの平面(X−Z平面に平行な1つの平面)に含まれ、レーザ光源11b、11cの光軸は、この平面に対して距離D1だけY軸負方向に変位した1つの平面に含まれる。
なお、実施例3では、このようにレーザ光源11a、11dの位置がレーザ光源11b、11cの位置に対してY軸方向に距離D1だけ変位しているため、反射プリズム13a、13bの間にX軸方向の隙間が設けられていない。レーザ光源11a、11dの光軸は、反射プリズム13c、13dで曲げられた後、反射プリズム13a、13bのY軸正側を通って、シリンドリカルレンズ14に入射する。
実施例3のその他の構成は実施例2と同様である。実施例3においても、実施例1、2と同様、シリンドリカルレンズ14の焦点距離の位置に、波長変換部材18の入射面18aが位置づけられている。
図9は、シリンドリカルミラー17で反射された後のレーザ光の収束状態を模式的に示す図である。
図9において、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18に向かう破線は、実施例2と同様、レーザ光源11a〜11dから出射されたレーザ光130a〜130dを示し、各破線に付記された楕円は、これらレーザ光のビームスポットBSa〜BSdである。
上記のように、実施例3においても、実施例1、2と同様、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材18までの光路長が、シリンドリカルレンズ14の焦点距離と略同じとなるように調整されている。このため、レーザ光源11a〜11dから出射された4つのレーザ光130a〜130dのうち、レーザ光130a、130dは、シリンドリカルレンズ14を透過した後、波長変換部材18に近づくにつれて、ファスト軸に沿った方向に絞られつつ互いに接近する。そして、2つのレーザ光130a、130dは、シリンドリカルミラー17で反射された後、スロー軸に沿った方向も絞られつつ互いに接近し、波長変換部材18の入射面18aに到達する間に略完全に重なる。こうして、2つのレーザ光130a、130dのビームスポットBSa、BSdが波長変換部材18の入射面18a上において重なる。
同様に、レーザ光源11a〜11dから出射された4つのレーザ光130a〜130dのうち、レーザ光130b、130c(ビームスポットBSb、BSc)も、シリンドリカルレンズ14の収束作用によって、波長変換部材18の入射面18aにおいて略完全に重なる。しかしながら、実施例3では、図7(a)、(b)および図8に示したように、レーザ光源11a、11dの位置がレーザ光源11b、11cの位置に対してY軸方向に距離D1だけ変位しているため、シリンドリカルミラー17の焦点位置からずれた位置ではレーザ光130a、130dの重なり位置とレーザ光130b、130cの重なり位置が、走査方向に交差する方向にずれる。
この位置ずれは、シリンドリカルミラー17の焦点距離を、シリンドリカルミラー17から波長変換部材18の入射面18aまでの光路長に近づけることにより抑制できる。しかしながら、波長変換部材18の入射面18aは、走査方向に交差する方向に所定の幅をもって走査されるため、上記の位置ずれは必ずしも解消されなくともよい。むしろ、位置ずれが生じている方が、走査方向に交差する方向のビーム幅を広げることができるため、走査範囲を広げ得るとのメリットも生じ得る。上記位置ずれを抑制するか否かは、波長変換部材18の入射面18aに対する走査幅との関係において適宜決定されればよい。
実施例3においても、実施例1、2と同様、光偏向器16のミラー16aが、X−Z平面に平行な中立位置から両方向に所定の角度範囲で回動されることにより、波長変換部材18が、4つのレーザ光源11a〜11dから出射されたレーザ光が重なったビームでX軸方向に走査される。これにより、波長変換部材18からZ軸方向に2つの波長の光が放射される。
こうして放射された2つの波長帯の光が、図7(a)、(b)および図8に示した投射光学系3により取り込まれ、目標領域に投射される。これにより、青色波長帯の光と黄色波長帯の光が合成された白色の光が、投光装置1から目標領域に投射される。
<検証>
発明者らは、上記実施例1〜3の構成を用いた場合に、各レーザ光源からのレーザ光が波長変換部材18に到達するまでにどのようなビーム状態を辿るかを検証した。
発明者らは、上記実施例1〜3の構成を用いた場合に、各レーザ光源からのレーザ光が波長変換部材18に到達するまでにどのようなビーム状態を辿るかを検証した。
図10(a)〜(c)は、それぞれ、実施例1〜3の構成において、偏光器16の反射面16aにおけるビームスポットの強度分布をシミュレーションにより求めた検証結果を示す図である。また、図10(d)〜(f)は、それぞれ、実施例1〜3の構成において、波長変換部材18の入射面18aにおけるビームスポットの強度分布をシミュレーションにより求めた検証結果を示す図である。
図10(a)〜(f)は、光偏向器16のミラー16aが中立位置にあるときの各ビームの強度分布を示している。これらの図では、白に近いほど強度分布が高い。図10(a)〜(f)には、レーザ光のファスト軸およびスロー軸にそれぞれ平行な軸が付されている。また、図10(d)〜(f)には、ビームの走査方向が白抜きの矢印で示されている。
図10(a)に示すように、実施例1の構成において、レーザ光源11a〜11cからそれぞれ出射された3つのレーザ光は、光偏向器16のミラー16aの位置では、ファスト軸に平行な方向に広がったビーム形状であった。ここでは、レーザ光源11a、11b、11cからの3つのレーザ光が互いに平行な状態でシリンドリカルレンズ14に入射し、シリンドリカルレンズ14を通過した3つのレーザ光は、ミラー16aの回動軸L1に対して垂直な直線上に並んで入射するよう、光学系を調整した。
これに対し、図10(d)に示すように、実施例1の構成において、レーザ光源11a〜11cからそれぞれ出射された3つのレーザ光は、波長変換部材18の入射面18aにおいて重なり、スロー軸に平行な方向に長い線状のビームとなった。このように、実施例1の構成によれば、波長変換部材18の入射面18aにおいて、レーザ光源11a〜11cからそれぞれ出射された3つのレーザ光を重ねた線状のビームを形成できることを確認できた。
図10(b)に示すように、実施例2の構成において、レーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光は、光偏向器16のミラー16aの位置では、ファスト軸に平行な方向に広がったビーム形状であった。ここでは、レーザ光源11a、11b、11c、11dからの4つのレーザ光が互いに平行な状態でシリンドリカルレンズ14に入射し、シリンドリカルレンズ14を通過した4つのレーザ光はミラー16aの回動軸L1に対して垂直な直線上に並び、且つレーザ光源11b、11cからのレーザ光が、レーザ光源11a、11dからのレーザ光の外側に入射するよう、光学系を調整した。
これに対し、図10(e)に示すように、実施例2の構成において、レーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光は、波長変換部材18の入射面18aにおいて重なり、スロー軸に平行な方向に長い線状のビームとなった。このように、実施例2の構成によっても、波長変換部材18の入射面18aにおいて、レーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光を重ねた線状のビームを形成できることを確認できた。
図10(c)に示すように、実施例3の構成において、レーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光は、光偏向器16のミラー16aの位置では、ファスト軸に平行な方向に広がったビーム形状であった。ここでは、レーザ光源11a、11b、11c、11dからの4つのレーザ光が互いに平行な状態でシリンドリカルレンズ14に入射し、そのうち、レーザ光源11a、11dからのレーザ光が回動軸L1に対して垂直な直線上に並んで入射し、レーザ光源11b、11cからのレーザ光が回動軸L1に対して垂直な直線上に並んで入射し、且つ、レーザ光源11a、11dに対してスロー軸方向に並ぶ位置に入射するよう、光学系を調整した。
これに対し、図10(f)に示すように、実施例3の構成において、レーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光は、波長変換部材18の入射面18aにおいて重なり、スロー軸に平行な方向に長い線状のビームとなった。ここでは、レーザ光源11a、11dからのレーザ光とレーザ光源11a、11bからのレーザ光がスロー軸方向にも略重なるように、シリンドリカルミラー17の焦点距離と、波長変換部材18の入射面の位置を調整した。このように、実施例3の構成によっても、波長変換部材18の入射面18aにおいて、レーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光を重ねた線状のビームを形成できることを確認できた。
図11(a)は、実施例2に係る構成において、光偏向器16のミラー16aを0.5度単位で回動させた場合の波長変換部材18の入射面18aにおけるビームスポットの状態を示す図である。
図11(a)には、入射面18aの下方に、光偏向器16のミラー16aの回動角を示すスケールが付されている。このスケールにおいて、0は、ミラー16aが中立位置にあることを示し、1、2、3および−1、−2、−3は中立位置に対する角度を示している。数字の符号は、ミラー16aの回動方向を示し、数字は、角度(度)を示している。入射面18aには、ミラー16aがスケールで示した角度にあるときのビームの強度分布が示されている。白に近いほど強度が高くなっている。
図11(a)に示すように、ミラー16aを回動させた場合、回動角が大きくなるに伴い、レーザ光源11a〜11dからのレーザ光が重なったビームの形状がやや崩れるものの、何れの回動角においても、入射面18aの幅方向に長い線状のビームで入射面18aを走査できることが確認できた。
図11(b)は、実施例2に係る構成において、ミラー16aの回動範囲においてレーザ光源11a〜11dを連続的に点灯させた場合の波長変換部材18の入射面18aにおける発光状態を示す図であり、図11(c)は、実施例2に係る構成において、ミラー16aの回動範囲の一部においてレーザ光源11a〜11dを消灯させ、その他の回動範囲においてレーザ光源11a〜11dを点灯させた場合の波長変換部材18の入射面18aにおける発光状態を示す図である。これらの図においても、白に近いほど強度が高くなっている。
図11(b)に示すように、ミラー16aの全回動範囲においてレーザ光源11a〜11dを連続的に点灯させた場合は、走査範囲に対応する略矩形(長方形)の範囲において光を発光させ得ることが確認できた。また、図11(c)に示すように、ミラー16aの回動範囲の一部においてレーザ光源11a〜11dを消灯させた場合は、レーザ光源11a〜11dを点灯させる走査期間T1、T3において、略矩形(長方形)の範囲から発光を得ることができ、レーザ光源11a〜11dを消灯させる走査期間T2において、発光を停止させ得ることが確認できた。
なお、図11(a)〜(c)には、実施例2の構成に対する検証結果を示したが、実施例1、3においても同様の検証結果が得られた。
<回路構成>
図12は、実施形態に係る光源装置2の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。なお、図12の回路構成は、上記実施例1〜3の何れの構成においても適用され得る。図12の回路構成が実施例1の構成に適用される場合、レーザ駆動回路302は、3つのレーザ光源11a〜11cを駆動する。
図12は、実施形態に係る光源装置2の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。なお、図12の回路構成は、上記実施例1〜3の何れの構成においても適用され得る。図12の回路構成が実施例1の構成に適用される場合、レーザ駆動回路302は、3つのレーザ光源11a〜11cを駆動する。
図12に示すように、光源装置2は、回路部の構成として、コントローラ301と、レーザ駆動回路302と、ミラー駆動回路303と、インタフェース304と、を備えている。
コントローラ301は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路と、メモリとを備え、所定の制御プログラムに従って各部を制御する。レーザ駆動回路302は、コントローラ301からの制御信号に従って、レーザ光源11a〜11dを駆動する。ミラー駆動回路303は、コントローラ301からの制御信号に従って、光偏向器16のミラー16aを駆動する。インタフェース304は、たとえば、車両側の制御回路等、外部制御回路との間でコントローラ301が信号の送受信を行うための入出力回路である。
以下、光偏向器16の制御例について、説明する。
光源装置2においては、たとえば、車両側の制御回路からの制御指令によって、図4(b)に示した幅W1中の所定の区間においてレーザ光源11a〜11dを消灯させる制御が行われ得る。たとえば、車両側において、前照灯の範囲内に前走車や対向車、人等が検出された場合、前走車や対向車、人の位置を消灯する制御が車両側から光源装置2に指示される。この他、人の領域のみに光を照射し、その他の領域は非照射状態とする、いわゆるスポット照明の制御が、車両側から光源装置2に指示される場合もある。これらの指示は、図12のインタフェース304を介してコントローラ301に入力される。この場合、コントローラ301は、車両側からの指示に応じて、幅W1中の所定の区間においてレーザ光源11a〜11dを消灯させる制御を、レーザ駆動回路302に対し行う。
図13は、光源装置2のコントローラ301がレーザ光の点灯制御を行った場合の目標領域における光の照射状態を模式的に示す図である。ここでは、前照灯の範囲内に対向車および人が検出された場合に、対向車および人の位置を消灯する制御が車両側から光源装置2に指示された場合の制御例が示されている。θ1は、投射光学系3による光の投射範囲である。投射範囲θ1中、黒の領域が消灯された領域であり、白の領域が点灯された領域である。
便宜上、図13の下段には、波長変換部材18の入射面18aにおける光の発光状態が示されている。照射領域400の光の照射パターンは、投射光学系3の作用により、入射面18aにおける発光パターンが水平方向に反転したパターンとなる。
図13の例において、コントローラ301は、対向車C1および人M1に対応する走査期間T12、T14においてレーザ光源11a〜11dを消灯させ、対向車C1および人M1以外の走査期間T11、T13、T15においてレーザ光源11a〜11dを点灯させる。これにより、目標領域400には、対向車C1および人M1が存在しない範囲において、光源装置2からの光が照射される。
なお、上記実施例1〜3では、図10(d)〜(f)に示したとおり、波長変換部材18の入射面18aにおけるビームの形状がファスト軸方向に圧縮された線状の形状であるため、目標領域400における光の照射範囲と非照射範囲の分解能を高め得る。よって、目標領域400における光の照射範囲と非照射範囲をクリアに区分することができる。
<実施形態の効果>
以上、実施形態によれば、以下の効果が奏される。
以上、実施形態によれば、以下の効果が奏される。
複数のレーザ光源11a〜11dから出射されたレーザ光が波長変換部材18の入射面18aに照射されるため、レーザ光の照射光量が高められ、波長変換部材18により生成される光の強度を高めることができる。また、入射面18aにおけるレーザ光のビーム形状がレーザ光の走査方向に交差する方向に長い線状の形状であるため、走査方向に交差する方向に広い幅で波長変換部材18の入射面18aを走査でき、その走査方向に交差する方向の幅は、シリンドリカルミラー14の位置や焦点距離を変えることで、広い範囲で調整することができる。さらに、複数のレーザ光源11a〜11dから出射されたレーザ光が波長変換部材18の入射面18aにおいて略重なった状態で走査されるため、何れか1つのレーザ光源に不具合が生じても、走査範囲の一部が低強度となることがなく、走査範囲全体を略均一な強度で走査することができる。また、何らかの手段でレーザ光源の欠損を検知することができ、且つ、残りのレーザ光源の出力に余裕があれば、残りのレーザ光源の出力を高める制御を行うことで、不具合が発生する前と同じ強度で走査することもできる。よって、本実施形態に係る光源装置2によれば、走査領域全体の発光強度を効果的に高めることができる。
図1(a)、(b)、図5(a)、(b)および図7(a)、(b)に示したとおり、光源装置2は、レーザ光を走査方向に収束させるシリンドリカルレンズ14(第1の光学素子)と、レーザ光を走査方向に垂直な方向に収束させるシリンドリカルミラー17(第2の光学素子)と、を備え、シリンドリカルレンズ14(第1の光学素子)は、シリンドリカルミラー17(第2の光学素子)よりもレーザ光源11a〜11dに近い位置に配置されている。このように、2つの収束作用を実現するための光学素子を個別に配置することにより、各光学素子の設計を走査方向と走査方向に垂直な方向に分けることで独立して最適化し、波長変換素子上のスポット形状を一定の範囲内ではあるものの自由に設定できる。
また、レーザ光をより小さく絞れるファスト軸に作用するシリンドリカルレンズ14(第1の光学素子)が、ファスト軸よりも絞りにくいスロー軸に作用するシリンドリカルミラー17(第2の光学素子)よりもレーザ光源11a〜11dに近い位置に配置されているため、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材18の入射面18aまでの光路長を長くとることで、シリンドリカルレンズ14とシリンドリカルミラー17との間に光偏向器16を配置する空間を確保することができ、同時に、レーザ光を円滑かつ適正に走査方向に絞ることができる。さらに、光偏向器16から波長変換部材18の入射面18aまでの光路長を長くとることができるため、波長変換部材18上でのレーザ光の走査軌跡の湾曲を抑えることができる。
また、レーザ光をより小さく絞れるファスト軸に作用するシリンドリカルレンズ14(第1の光学素子)が、ファスト軸よりも絞りにくいスロー軸に作用するシリンドリカルミラー17(第2の光学素子)よりもレーザ光源11a〜11dに近い位置に配置されているため、シリンドリカルレンズ14から波長変換部材18の入射面18aまでの光路長を長くとることで、シリンドリカルレンズ14とシリンドリカルミラー17との間に光偏向器16を配置する空間を確保することができ、同時に、レーザ光を円滑かつ適正に走査方向に絞ることができる。さらに、光偏向器16から波長変換部材18の入射面18aまでの光路長を長くとることができるため、波長変換部材18上でのレーザ光の走査軌跡の湾曲を抑えることができる。
また、シリンドリカルレンズ14(第1の光学素子)は、複数のレーザ光源11a〜11dと光偏向器16との間に配置され、シリンドリカルミラー17(第2の光学素子)は、光偏向器16と波長変換部材18との間に配置されている。このようにシリンドリカルレンズ14(第1の光学素子)を光偏向器16よりも前段側に配置することにより、波長変換部材18の入射面18aにおけるビームの移動にシリンドリカルレンズ14の屈折作用が影響することを回避できる。よって、入射面18aにおけるビームの移動を、ミラー16aの回動制御によって簡易かつ適正に制御できる。また、シリンドリカルミラー17(第2の光学素子)を光偏向器16と波長変換部材18との間に配置することによりシリンドリカルミラー17の焦点距離を小さく設定することが可能となり、波長変換部材18の入射面18aにおける走査方向に垂直な方向のビームの長さを広範に、特に狭い方向に幅広く制御できる。
図1(a)、(b)、図5(a)、(b)および図7(a)、(b)に示したとおり、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、複数のレーザ光源11a〜11dの光軸が互いに平行となっている。これにより、単焦点のシリンドリカルレンズ14によってレーザ光源11a〜11dからのレーザ光を焦線の位置に円滑に収束させることができる。
なお、複数のレーザ光源11a〜11dの光軸は、必ずしも、シリンドリカルレンズ14の入射位置において平行でなくてもよい。すなわち、複数のレーザ光源11a〜11dからのレーザ光が波長変換部材18の入射面18aにおいて走査方向に重なる限りにおいて、レーザ光源11a〜11dの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において非平行であってもよい。たとえば、シリンドリカルレンズ14が走査方向に球面収差を有し、その球面収差による焦点位置のずれを光軸角度調整によって補正する場合や、走査方向に垂直な方向の重なりを作為的にずらして照射幅を広げたり、任意の強度分布を作る場合などがこのケースに該当する。また、実際の光学系は収差を補正した非球面レンズを使っても光学部品の製造誤差や組立誤差により無収差ではなく、また調整限界もある為、平行状態が理想ではあるものの若干平行から崩れた状態で組み立てられる。
図1(a)、(b)、図5(a)、(b)および図7(a)、(b)に示したとおり、光源装置2は、レーザ光源11a〜11dの光軸を折り曲げるための反射プリズム13a〜13dを備えている。これにより、光源装置2の光源部分の構成をコンパクトにできる。また、3つのビーム束の全幅を狭く抑えることができることから、光学系の収差の影響を受けにくくすることができる。
特に、図1(a)、(b)および図5(a)、(b)の構成では、レーザ光源11b(第1のレーザ光源)の光軸を折り曲げる反射プリズム13a(第1のミラー)と、レーザ光源11c(第2のレーザ光源)の光軸を反射プリズム13a(第1のミラー)による折り曲げ方向に対して反対方向に折り曲げる反射プリズム13b(第2のミラー)と、を備え、反射プリズム13a(第1のミラー)と反射プリズム13b(第2のミラー)との間に隙間が設けられ、この隙間をレーザ光源11aおよびレーザ光源11d(第3のレーザ光源)の光軸が通っている。このように光源部分を構成することにより、光源部分の構成をより一層コンパクトに収め、レーザ光の伝達効率を大きく低下させることなく3つのビーム束の全幅を小さくすることができる。
図7(a)、(b)および図8に示した実施例3では、複数のレーザ光源11a〜11dが、出射光軸が一の平面に含まれる第1のグループ(レーザ光源11a、11d)と、出射光軸が当該一の平面から離間した他の平面に含まれる第2のグループ(レーザ光源11b、11c)からなっており、第1のグループのレーザ光源11a、11dから出射されたレーザ光と、第2のグループのレーザ光源11b、11cから出射されたレーザ光が、シリンドリカルレンズ14およびシリンドリカルミラー17(集光光学系)によって1つの波長変換部材18の入射面18aに集光されるよう構成されている。これにより、実施例1、2と同様、複数のレーザ光が重なった高い強度のビームで波長変換部材18の入射面を走査できる。また、図9を参照して説明したとおり、波長変換部材18の入射面18aにおいて、第1のグループのレーザ光源11a、11dから出射されたレーザ光が重なったビームスポットと、第2のグループのレーザ光源11b、11cから出射されたレーザ光が重なったビームスポットを、走査方向に交差する方向に容易にずらすことができ、入射面18aに照射されるビームの長さをより広げることができる。これにより、より効率的に、波長変換部材18の入射面18aをレーザ光で走査できる。さらに、この構成例では、第1のグループのレーザ光源と第2のグループのレーザ光源を上下に2つの走査帯が接するように位置調整し、グループ毎にレーザのオンオフのタイミングを制御すれば、2次元的、つまり上下に分離した発光帯において独立に明暗パターンを形成することも可能である。
<変更例>
投光装置1および光源装置2の構成は、上記実施形態および実施例1〜3に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
投光装置1および光源装置2の構成は、上記実施形態および実施例1〜3に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
たとえば、図14(a)に示すように、実施例1の構成において、レーザ光源11b、11cの配置が変更され、これに伴い、反射プリズム13a、13bの反射面の傾斜角が変更されてもよい。この場合も、レーザ光源11a〜11cの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、Z軸に平行かつシリンドリカルレンズ14の母船に垂直な一平面に含まれるよう調整されればよい。
また、図14(b)に示すように、実施例1の構成において、レーザ光源11b、11cの配置が変更され、これに伴い、レーザ光源11b、11cの光軸をX軸に平行となるように曲げるミラー21、22が配置されてもよい。この場合も、レーザ光源11a〜11cの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、Z軸に平行かつシリンドリカルレンズ14の母船に垂直な一平面に含まれるよう調整されればよい。
また、図14(c)に示すように、実施例2または実施例3の構成において、レーザ光源11a〜11dの配置が変更され、これに伴い、2つの反射面を有する反射プリズム23が配置されてもよい。この場合も、実施例2と同様、レーザ光源11a〜11dの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、Z軸に平行かつシリンドリカルレンズ14の母船に垂直な一平面に含まれるよう調整されればよい。あるいは、実施例3と同様、レーザ光源11a、11dでの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、Z軸に平行かつシリンドリカルレンズ14の母船に垂直な一平面に含まれ、レーザ光源11b、11cでの光軸は、シリンドリカルレンズ14の入射位置において、レーザ光源11a、11dの光軸を含む平面からY軸方向に変位した平面に含まれ、かつ、Z軸に平行となるように調整されてもよい。
また、図14(d)に示すように、2つの反射面を有する反射プリズム24aによってレーザ光源11a、11bからのレーザ光をシリンドリカルレンズ14に導き、2つの反射面を有する反射プリズム24bによってレーザ光源11c、11dからのレーザ光をシリンドリカルレンズ14に導くようにしてもよい。この構成例では、レーザ光源11a、11dから出射されたレーザ光は、それぞれ、反射プリズム24a、24b内に入射し、反射プリズム24a、24b内で2つの反射面で反射された後、反射プリズム24a、24bから出射する。レーザ光源11b、11cからのレーザ光は、反射プリズム24a、24bの外側の反射面で反射されて、シリンドリカルレンズ14へと向かう。
なお、図14(a)〜(d)の構成例において、シリンドリカルレンズ14以降の構成は、実施例1〜3と同様である。
また、上記実施例1〜3では、レーザ光のファスト軸がシリンドリカルレンズ14の収束方向に平行となるように、レーザ光源11a〜11dが配置されたが、レーザ光源11a〜11dの配置方法は、必ずしもこれに限定されるものではない。たとえば、レーザ光のスロー軸が、シリンドリカルレンズ14の収束方向に平行となるように、レーザ光源11a〜11dが配置されてもよい。ただし、波長変換部材18の入射面18aにおいてレーザ光を走査方向により小さく絞るためには、上記実施例1〜3のように、レーザ光のファスト軸がシリンドリカルレンズ14の収束方向に平行となるように、レーザ光源11a〜11dを配置することが好ましい。
また、光源装置2に配置されるレーザ光源の数は、上記実施例1〜3および変更例に示した数に限られるものではなく、2つまたは5つ以上であってもよい。この場合、たとえば、上記実施例1〜3および変更例に示した光源部(シリンドリカルレンズ14よりも前段の部分)をY軸方向に複数重ねて配置し、全てのレーザ光源から出射されたレーザ光をシリンドリカルレンズ14に入射させて、波長変換部材18の入射面18aに導くように、光源装置2が構成されてもよい。この構成では、全てのレーザ光源からのレーザ光が入射可能となるようにシリンドリカルレンズ14のY軸方向の厚みが広げられ、その他の光学部材も、適宜、全てのレーザ光源からのレーザ光を受光できるサイズに広げられる。
また、上記実施例2、3では、4つのレーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光が、全て、波長変換部材18の入射面18aにおいて重ねられたが、これら4つのレーザ光のうち2つが波長変換部材18の入射面18aにおいて重ねられ、残り2つが、前記2つのレーザ光の重なり位置から走査方向にやや離れた位置に重ねられてもよい。すなわち、必ずしも、全てのレーザ光が同じ位置に重ねられなくともよく、所定数ずつ(複数ずつ)レーザ光が重ねられてもよい。たとえば、シリンドリカルレンズ14に対するレーザ光の入射方向を調整することにより、4つのレーザ光源11a〜11dからそれぞれ出射された4つのレーザ光のうち2つずつを波長変換部材18の入射面18aに重ねることができる。
また、集光光学系は、必ずしも、シリンドリカルレンズ14とシリンドリカルミラー17に分けられなくともよく、1つのレンズによって走査方向と走査方向に垂直な方向にレーザ光を収束させてもよい。集光光学系を構成するレンズは、フレネルレンズや、回折レンズによって構成されてもよい。また、光偏光器16は、ミラー16aを互いに垂直な2軸周りに回動させる構成であってもよい。
また、波長変換部材18の蛍光体層203に含まれる蛍光体粒子203aの種類は、必ずしも1種類でなくてもよく、たとえば、レーザ光源11a〜11dからのレーザ光によって互いに異なる波長の蛍光を生じる複数種類の蛍光体粒子203aが蛍光体層203に含まれてもよい。この場合、各種類の蛍光体粒子203aから生じた蛍光の拡散光と、これら蛍光体粒子203aによって波長変換されなかったレーザ光の拡散光とによって、所定の色の光が生成される。波長変換部材18は、反射型に限らず、透過型であってもよい。
また、図13の例ではレーザ光の走査方向を水平方向としたが、必要とされる照射条件によっては垂直方向をレーザ光の走査方向にしても構わない。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … 投光装置
2 … 光源装置
3 … 投射光学系
11a〜11d … レーザ光源
13a〜13d、23 … 反射プリズム
14 … シリンドリカルレンズ(集光光学系)
16 … 光偏光器
16a … ミラー
17 … シリンドリカルミラー(集光光学系)
18 … 波長変換部材
18a … 入射面
21、22 … ミラー
2 … 光源装置
3 … 投射光学系
11a〜11d … レーザ光源
13a〜13d、23 … 反射プリズム
14 … シリンドリカルレンズ(集光光学系)
16 … 光偏光器
16a … ミラー
17 … シリンドリカルミラー(集光光学系)
18 … 波長変換部材
18a … 入射面
21、22 … ミラー
Claims (8)
- 複数のレーザ光源と、
前記複数のレーザ光源から出射されたレーザ光の波長を他の波長に変換するとともに波長変換された光を拡散させる波長変換部材と、
前記複数のレーザ光源から出射された前記レーザ光を前記波長変換部材の入射面上において走査させる光偏向器と、
前記複数のレーザ光源から出射された前記レーザ光を、前記波長変換部材の入射面上において、前記レーザ光の走査方向に交差する方向に長いビーム形状に収束させる集光光学系と、を備え、
前記複数のレーザ光源から出射された前記各レーザ光が前記波長変換部材の前記入射面上において全体的に略重なるように、前記複数のレーザ光源と前記集光光学系が調整されている、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記集光光学系は、前記レーザ光を前記走査方向に収束させる第1の光学素子と、前記レーザ光を前記走査方向に垂直な方向に収束させる第2の光学素子と、を備え、
前記第1の光学素子は、前記第2の光学素子よりも前記レーザ光源に近い位置に配置されている、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項2に記載の光源装置において、
前記第1の光学素子は、前記複数のレーザ光源と前記光偏光器の間に配置され、前記第2の光学素子は、前記光偏光器と前記波長変換部材の間に配置されている、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1ないし3の何れか一項に記載の光源装置において、
前記集光光学系の入射位置において、前記複数のレーザ光源の光軸が互いに平行となっている、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項4に記載の光源装置において、
少なくとも1つの前記レーザ光源の光軸を折り曲げるためのミラーを備える、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項4または5に記載の光源装置において、
第1のレーザ光源の光軸を折り曲げる第1のミラーと、
第2のレーザ光源の光軸を前記第1のミラーによる折り曲げ方向に対して反対方向に折り曲げる第2のミラーと、を備え、
前記第1のミラーと前記第2のミラーとの間に隙間が設けられ、当該隙間を第3のレーザ光源の光軸が通っている、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1ないし6の何れか一項に記載の光源装置において、
前記複数のレーザ光源は、出射光軸が一の平面に含まれる第1のグループと、出射光軸が前記一の平面から離間した他の平面に含まれる第2のグループからなっており、
前記第1のグループの前記レーザ光源から出射された前記レーザ光と、前記第2のグループの前記レーザ光源から出射された前記レーザ光が、前記集光光学系によって同一の前記波長変換部材の入射面に集光される、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1ないし7の何れか一項に記載の光源装置と、
前記波長変換部材により拡散された光を投射する投射光学系と、を備える、
ことを特徴とする投光装置。
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JP2017150299A JP2019029295A (ja) | 2017-08-02 | 2017-08-02 | 光源装置および投光装置 |
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JP2021118052A (ja) * | 2020-01-23 | 2021-08-10 | スタンレー電気株式会社 | 照明装置、車両用灯具 |
-
2017
- 2017-08-02 JP JP2017150299A patent/JP2019029295A/ja active Pending
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