JP2019046749A - 光源装置および投光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長変換部材にレーザ光が斜め方向から入射する場合に、波長変換部材上におけるレーザ光の走査軌跡の湾曲を円滑に抑制することが可能な光源装置および投光装置を提供する。【解決手段】光源装置2は、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光の波長を他の波長に変換するとともに波長変換されたレーザ光を拡散させる波長変換部材15と、レーザ光が入射するミラー17を回動させることにより、レーザ光を波長変換部材15の入射面上において走査させる光偏向器14と、を備える。ミラー17により反射されたレーザ光は、波長変換部材15の入射面に斜め方向から入射する。光偏向器14は、ミラー17を支持する被駆動部の回動に応じて、ミラー17におけるレーザ光の反射位置を波長変換部材15側に移動させて、波長変換部材15の入射面におけるレーザ光の走査軌跡を直線状に補正する構成を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、光を発する光源装置およびそれを用いた投光装置に関する。
従来、レーザ光源から出射された光を波長変換部材に照射することにより所定波長の光を生成する光源装置が知られている。この光源装置では、たとえば、波長変換部材により波長変換されて拡散された光と、波長変換部材により波長変換されずに拡散された光とが合成されて、白色光等、所定の色の光が生成される。このような光源装置が、たとえば、車両用前照灯の光源装置として利用されている。
以下の特許文献1には、固体光源からの励起光を蛍光体(波長変換部材)に向けて反射する反射手段を備え、該反射手段の向きを制御することで、反射手段によって反射される励起光の方向を変化させる照明装置が記載されている。このような構成を用いることにより、光学系(レンズ系)を含めた装置全体を機械的に駆動する機構を用いることなく、配光を変化させることができる。
しかしながら、上記特許文献1の構成によれば、蛍光体(波長変換部材)に対して励起光が斜め方向から入射するため、反射手段の回動に伴い、反射手段と蛍光体(波長変換部材)との間の相対角度および相対距離が変化し、これにより、蛍光体(波長変換部材)上における光の走査軌跡が湾曲するとの課題が生じる。蛍光体(波長変換部材)からの光を投射光学系で目標領域に投射する場合、走査軌跡の湾曲は、投射光学系によってさらに拡大される。このため、上記のように蛍光体(波長変換部材)上の走査軌跡が湾曲すると、目標領域における配光の軌跡が大きく湾曲することとなってしまう。
かかる課題に鑑み、本発明は、波長変換部材の入射面上においてレーザ光の走査軌跡が湾曲することを抑制し、波長変換部材上における光の走査軌跡を直線に近づけることが可能な光源装置およびそれを用いた投光装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、光源装置に関する。第1の態様に係る光源装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光の波長を他の波長に変換するとともに波長変換された前記レーザ光を拡散させる波長変換部材と、前記レーザ光が入射するミラーを回動させることにより、前記レーザ光を前記波長変換部材の入射面上において走査させる光偏向器と、を備える。前記ミラーにより反射された前記レーザ光が、前記波長変換部材の入射面に斜め方向から入射するよう光学系が構成されている。前記光偏向器は、前記ミラーを支持する被駆動部の回動に応じて、前記ミラーにおける前記レーザ光の反射位置を前記波長変換部材側に移動させて、前記波長変換部材の前記入射面における前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正する構成を備える。
本態様に係る光源装置によれば、被駆動部の回動に応じて、ミラーにおけるレーザ光の反射位置が波長変換部材側に移動されることにより、波長変換部材の入射面におけるレーザ光の走査軌跡が直線状に補正される。これにより、波長変換部材の入射面においてレーザ光の走査軌跡が湾曲することが抑制され、走査軌跡を直線に近づけることができる。
本発明の第2の態様は、投光装置に関する。第2の態様に係る投光装置は、第1の態様に係る光源装置と、前記波長変換部材により拡散された光を投射する投射光学系と、を備える。
本態様に係る投光装置によれば、第1の態様と同様の効果が奏され得る。
以上のとおり、本発明に係る光源装置および投光装置によれば、波長変換部材に対してレーザ光が斜め方向から入射する場合に、波長変換部材の入射面においてレーザ光の走査軌跡が湾曲することを抑制でき、波長変換部材上における光の走査軌跡を直線に近づけることができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。X軸方向およびY軸方向は、それぞれ、投光装置の幅方向および奥行き方向であり、Z軸方向は投光装置の高さ方向である。Z軸正方向が、投光装置における光の投射方向である。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る投光装置1の構成を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係る投光装置1の構成を示す断面図である。図2には、Y−Z平面に平行な平面で投光装置1をX軸方向の中央位置において切断した断面図が示されている。
図1は、実施形態1に係る投光装置1の構成を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係る投光装置1の構成を示す断面図である。図2には、Y−Z平面に平行な平面で投光装置1をX軸方向の中央位置において切断した断面図が示されている。
図1および図2を参照して、投光装置1は、光を生成する光源装置2と、光源装置2により生成された光を投射するための投射光学系3とを備えている。投射光学系3は、2つのレンズ3a、3bを備え、これらレンズ3a、3bによって光源装置2からの光を集光して目標領域へと投射する。なお、投射光学系3は、必ずしも2つのレンズ3a、3bのみから構成されなくともよく、たとえば、他のレンズやミラーを備えていてもよい。また、投射光学系3は、凹面ミラーによって光源装置2からの光を集光する構成であってもよい。
光源装置2は、ベース11に、各種部材が設置された構成となっている。具体的には、投射用の光を生成するための構成として、レーザ光源12と、コリメータレンズ13と、光偏向器14と、波長変換部材15がベース11に設置されている。コリメータレンズ13は、ホルダ16を介してベース11に設置されている。
レーザ光源12は、青色波長帯(たとえば、450nm)のレーザ光をZ軸正方向に出射する。レーザ光源12は、たとえば、半導体レーザからなっている。レーザ光源12から出射されるレーザ光の波長は、適宜変更可能である。また、レーザ光源12は、必ずしも単一波長帯のレーザ光を出射するものでなくともよく、たとえば、1基板に複数の発光素子がマウントされたマルチ発光の半導体レーザであってもよい。
コリメータレンズ13は、レーザ光源12から出射されたレーザ光を平行光に変換する。コリメータレンズ13は、レーザ光源12から出射されたレーザ光を収束させ得るように、光軸方向の位置が調整されてもよい。また、コリメータレンズ13は、波長変換部材15の入射面においてレーザ光がY軸方向に細長い線状のビームスポットに集光されるよう、X軸方向の収束パワーとY軸方向の収束パワーが調整されていてもよい。
光偏向器14は、ミラー17を備え、ミラー17を回動軸L1について回動させることにより、コリメータレンズ13を通過したレーザ光の進行方向を変化させる。ミラー17の反射面17aは平面である。ミラー17は、たとえば、ガラス板に誘電体多層膜を形成した高反射率のミラーである。ミラー17は、中立位置において、X−Z平面に平行な面に対して、Y−Z平面に平行な方向に所定角度だけ傾くように配置される。ミラー17の回動軸L1は、Y−Z平面に平行で、且つ、Z軸方向に対して所定角度だけ傾いている。光偏向器14の構成は、追って、図3(a)、(b)を参照して説明する。
波長変換部材15は、ミラー17によって反射されたレーザ光が入射する位置に配置されている。ミラー17によって反射されたレーザ光は、斜め方向から波長変換部材15に入射する。波長変換部材15は、長方形形状の板状の部材であり、入射面がX−Y平面に平行となり、且つ、長手方向がX軸に平行となるように、ベース11に設置されている。上記のように、ミラー17が回動軸L1について回動することにより、波長変換部材15は、レーザ光によって長手方向に走査される。
波長変換部材15は、入射したレーザ光の一部を、青色波長帯とは異なる波長に変換して、Z軸方向に拡散させる。波長変換されなかった他のレーザ光は、波長変換部材15によってZ軸方向に拡散される。こうして拡散された2種類の波長の光が合成されて、所定の色の光が生成される。各波長の光は、投射光学系3に取り込まれて、目標領域に投射される。
実施形態1では、波長変換部材15によって、レーザ光の一部が、黄色波長帯の光に変換される。波長変換後の黄色波長帯の拡散光と、波長変換されなかった青色波長帯の散乱光とが合成されて、白色の光が生成される。なお、波長変換後の波長は黄色波長帯でなくてもよく、生成される光の色は、白以外の色であってもよい。波長変換部材15の構成は、追って、図4(a)、(b)を参照して説明する。
ベース11の下面には、回路基板18が設置されている。この回路基板18に、レーザ光源12および光偏向器14を制御するための回路が実装されている。図1に示すように、回路基板18の端子部が、ベース11のY軸正側において、外部に露出している。
図3(a)、(b)は、それぞれ、光偏向器14の構成を示す斜視図および断面図である。図3(b)には、x−z平面に平行な平面で、図3(a)の光偏向器14をy軸方向の中央位置において切断したA−A’断面図が示されている。
なお、便宜上、図3(a)、(b)には、光偏向器14の構成を説明するために、新たにx、y、z軸が示されている。このうち、x軸は、図1および図2に示したX軸と同一方向である。x、y、z軸は、図1および図2に示したX、Y、Z軸を、X軸周りに、所定の角度だけ回転させたものである。y軸は、光偏向器14の短手方向に対応し、z軸は、光偏向器14の高さ方向に対応する。ここでは、便宜上、z軸負側を光偏向器14の上側と定義する。
図3(a)、(b)を参照して、光偏向器14は、電磁力を利用してミラー17を駆動する構成となっている。ハウジング101に、電磁駆動のための構成部材が設置されている。
ハウジング101は、x軸方向に長い直方体形状を有する。ハウジング101の上面には、平面視において長方形の凹部101aが形成されている。また、ハウジング101には、x軸正負の縁の上面に、それぞれ、ボス101bが形成されている。2つのボス101bは、ハウジング101のy軸方向の中間位置に配置されている。ハウジング101は、剛性が高い金属材料からなっている。
ハウジング101の上面に、枠状の板バネ102が設置される。板バネ102は、枠部102aと、支持部102bと、2つの梁部102cと、2つの孔102dとを有する。
x軸方向の中間位置において、枠部102aからy軸方向に平行に延びるように、2つの梁部102cが形成され、これら梁部102cによって、枠部102aと支持部102bとが連結されている。支持部102bは、平面視において長方形であり、支持部102bのx軸方向の中間位置において、2つの梁部102cが支持部102bに繋がっている。x軸正側の孔102dは、ボス101bと同様、平面視において円形で、x軸負側の孔102dは、平面視においてx軸方向に長い形状である。板バネ102は、y軸方向に対称な形状であり、また、2つの孔102dを除いてx軸方向に対称な形状である。板バネ102は、可撓性の金属材料により一体形成されている。
2つの孔102dは、それぞれ、2つのボス101bに対応する位置に設けられている。孔102dにボス101bが嵌められた状態で、4つのネジ103により、板バネ102がハウジング101の上面に固定される。支持部102bの上面にミラー17が接着剤等によって固定される。ミラー17は、平面視において略正方形である。2つの梁部102cを繋いだ軸が、ミラー17および支持部102bの回動軸L1となる。すなわち、2つの梁部102cは、回動軸L1に沿うように設けられている。一対の梁部102cは、回動軸L1に沿ってy軸方向の両側から支持部102bおよびミラー17を弾性支持している。
なお、レーザ光源12からのレーザ光は、ミラー17の反射面17aに対して斜め方向から入射する。レーザ光源12から反射面17aに向かうレーザ光の中心軸を延長した直線と回動軸L1とが交差するように、ミラー17および光偏向器14が配置されている。
支持部102bの下面にコイル104が装着される。コイル104は、平面視において長方形の角が丸められた形状に周回している。コイル104は、長辺の中間位置が回動軸L1に一致するように、支持部102bの下面に設置される。コイル104、支持部102bおよびミラー17が、光偏向器14の可動部を構成する。
コイル104のx軸正側およびx軸負側の部分をそれぞれx軸方向に挟むように、磁石105および磁石106の組が2つ配置される。磁石105と磁石106は、ヨーク107に設置され、ヨーク107が、ハウジング101の凹部101aの底面に設置されている。磁石105、106は、磁極面における磁束密度が略均一の永久磁石である。
x軸正側の磁石105、106によって生じる磁界の向きと、x軸負側の磁石105、106によって生じる磁界の向きは、同じである。たとえば、x軸正側の磁石105は、N極がコイル104に対向し、x軸負側の磁石105は、S極がコイル104に対向する。また、x軸正側の磁石106は、S極がコイル104に対向し、x軸負側の磁石106は、N極がコイル104に対向する。このように磁極(磁界の向き)を調整することにより、コイル104に駆動信号(電流)が印加されると、回動軸L1周りの駆動力がコイル104に励起される。これにより、ミラー17が、回動軸L1を軸として回動する。このとき、板バネ102の一対の梁部102cが弾性変形する。
図4(a)は、波長変換部材15の構成を模式的に示す側面図である。
波長変換部材15は、基板201の上面に、反射膜202と、蛍光体層203とを積層した構成となっている。
基板201は、たとえば、シリコンや窒化アルミニウムセラミックなどからなっている。
反射膜202は、第1の反射膜202aと第2の反射膜202bとが積層されて構成されている。第1の反射膜202aは、たとえば、Ag、Ag合金、Alなどの金属膜である。第2の反射膜202bは、反射とともに第1の反射膜202aを酸化などから保護する機能をも有し、たとえば、SiO2、ZnO、ZrO2、Nb2O5、Al2O3、TiO2、SiN、AlNなど誘電体の1つまたは複数の層からなっている。反射膜202は、必ずしも、第1の反射膜202aおよび第2の反射膜202bから構成されなくともよく、単層または3つ以上の層が積層された構成であってもよい。
蛍光体層203は、蛍光体粒子203aをバインダ203bで固定することにより形成される。蛍光体粒子203aは、レーザ光源12から出射された青色波長帯のレーザ光が照射されることによって黄色波長帯の蛍光を発する。蛍光体粒子203aとして、たとえば、平均粒子径が1μm〜30μmの(YnGd1−n)3(AlmGa1−m)5O12:Ce(0.5≦n≦1、0.5≦m≦1)が用いられる。また、バインダ203bとして、ポリメチルシルセスキオキサンなどのシルセスキオキサンを主に含む透明材料が用いられる。
蛍光体層203には、さらに、第2粒子として、平均粒子径が0.1〜10μmで熱伝導率30W/(m・K)のAl2O3の微粒子が混合されるとよい。この場合、第2粒子は、蛍光体粒子203aに対して10vol%以上、90vol%以下の比率で混合される。たとえば、第2粒子として、バインダ203bの材料であるシルセスキオキサン(屈折率1.5)と屈折率差が大きいAl2O3(屈折率1.8)が用いられる。この構成により、蛍光体層203の内部での光散乱性が向上するとともに、蛍光体層203の熱伝導率を高くすることができる。
さらに、蛍光体層203の内部に、ボイド203cを設けることが好ましい。実施形態1では、蛍光体層203の中央付近に形成されたボイド203cと、反射膜202との界面付近に形成されたボイド203cが蛍光体層203に設けられる。
ここで、蛍光体層203の内部に形成されたボイド203cは、反射膜202に近いほど密度が高くなるように構成される。この構成により、内部に侵入したレーザ光をより効率的に散乱させて、光源装置2から取り出すことができる。また、反射膜202との界面付近に形成されたボイド203cは、誘電体である第2の反射膜202bと接するため、金属表面によるエネルギーロスを低減しつつ、効果的にレーザ光と蛍光を散乱させることができる。
上記のようなボイド203cの配置は、YAG:Ceからなる蛍光体粒子203aと、ポリシルセスキオキサンからなるバインダ203bとを混合した、蛍光体ペーストを用いて波長変換部材15を構成することで容易に形成できる。具体的には、蛍光体粒子203aと第2粒子とを、ポリシルセスキオキサンを有機溶剤に溶かしたバインダ203bに混合した蛍光体ペーストを用いて基板201(反射膜202)上に成膜し、その後、200℃程度の高温アニールを行うことで、ペースト中の有機溶剤を気化させる。このとき、波長変換部材15の基板201に近い部分から気化した有機溶剤は保持されやすいため、基板201に近い部分では、ボイド203cが容易に形成され得る。このような製造方法により、容易に反射膜202の近傍に高い密度のボイド203cを形成することができる。
なお、蛍光体層203には、さらに、強度および耐熱性を高めるためのフィラー203dが含まれる。フィラー203dとバインダ203bとの屈折率差も、蛍光体粒子203aとバインダ203bとの屈折率差と同様、大きく設定される。
レーザ光源12から出射されたレーザ光は、図4(a)に示す励起領域R1に照射され、蛍光体層203の表面または内部で、散乱、吸収される。このとき、レーザ光の一部は、蛍光体粒子203aにより黄色波長帯の光に変換されて、蛍光体層203から放射される。また、レーザ光の他の一部は、黄色波長帯の光に変換されずに散乱されて青色波長帯の光のまま蛍光体層203から放射される。このとき、各波長帯の光は、蛍光体層203内を伝搬しながら散乱されるため、励起領域R1よりも広い発光領域R2から放射される。
なお、上記のようにバインダ203bと蛍光体粒子203aの屈折率差、および、バインダ203bとフィラー203dの屈折率差が何れも大きくなるように蛍光体層203が構成されることにより、光を散乱し易くでき、また、光の蛍光体層203内部での伝搬を抑制することができる。この結果、励起領域R1よりも微小に広い発光領域R2から光を放射させることができる。また、実施形態1では、さらに、蛍光体層203にボイド203cを配置して、光の散乱を増強させている。この結果、さらに励起領域R1と発光領域R2とを近づけることができる。
図4(b)は、波長変換部材15の構成を模式的に示す平面図である。
波長変換部材15は、平面視において、X軸方向に長い長方形の形状を有する。波長変換部材15は、光偏向器14のミラー17が回動されることにより、レーザ光でX軸方向に走査される。図4(b)において、B1は、レーザ光のビームスポットを示している。ビームスポットB1は、波長変換部材15の入射面15aを幅W1において往復移動する。
たとえば、コイル104に、ゼロレベルを振幅中心とする三角波状の駆動信号(電流)が印加される。この駆動信号によりコイル104に励起される駆動力によって、支持部102bとともにミラー17が中立位置を中心に所定の回動幅で回動する。これにより、ミラー17で反射されたレーザ光(ビームスポットB1)が、波長変換部材15の入射面15aを幅W1において往復移動する。
入射面15a上におけるビームスポットB1の領域は、図4(a)の励起領域R1に対応する。波長変換部材15の入射面15aをビームスポットB1が移動する間に、ビームスポットB1の領域よりもやや広い発光領域R2から青色波長帯の拡散光と黄色波長帯の拡散光がZ軸正方向に放射される。
こうして放射された2つの波長帯の光が、図1、2に示した投射光学系3により取り込まれ、目標領域に投射される。これにより、青色波長帯の光と黄色波長帯の光が合成された白色の光が、投光装置1から目標領域に投射される。
図5は、光源装置2の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。
光源装置2は、回路部の構成として、コントローラ301と、レーザ駆動回路302と、ミラー駆動回路303と、インタフェース304と、を備えている。これらの回路は、図1、2に示した回路基板18に実装されている。回路基板18には、さらにレーザ光源12も設置されている。なお、上記各回路の一部または全部が回路基板18とは別の回路基板に実装され、回路基板18側の回路とケーブルで接続された構成であってもよい。
コントローラ301は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路と、メモリとを備え、所定の制御プログラムに従って各部を制御する。レーザ駆動回路302は、コントローラ301からの制御信号に従って、レーザ光源12を駆動する。ミラー駆動回路303は、コントローラ301からの制御信号に従って、光偏向器14のミラー17を駆動する。
ところで、図1および図2に示したように、波長変換部材15の入射面15aに対してレーザ光が斜めから入射する場合、ミラー17の回動に伴い、ミラー17の反射面17aと波長変換部材15の入射面15aとの間の相対角度が変化する。このとき、ミラー17の反射面17aと回動軸L1とが互いに接近していると、ミラー17の回動に伴い、ミラー17におけるレーザ光の反射位置と波長変換部材15におけるレーザ光の入射位置との間の相対距離が変化し、これにより、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光(ビームスポットB1)の走査軌跡は、走査軌跡の中央から両端に向かってY軸負方向に徐々にシフトするように湾曲する。このような走査軌跡の湾曲は、投射光学系3によってさらに拡大される。このため、目標領域における配光の軌跡が大きく湾曲してしまう。
そこで、本実施形態1では、波長変換部材15の入射面15a上においてレーザ光の走査軌跡が湾曲することを抑制するための構成が、光偏向器14に設けられている。すなわち、中立位置に対する支持部102bの回動に応じて、ミラー17におけるレーザ光の反射位置が波長変換部材15側に移動するように、光偏向器14が構成されている。具体的には、ミラー17の反射面17aと回動軸L1との距離が、波長変換部材15上におけるレーザ光の走査軌跡を直線に近づけ得る距離に設定されている。ここでは、ミラー17の厚みによって、ミラー17の反射面17aと回動軸L1との間の距離が調整されている。以下、この構成について説明する。
図6(a)は、比較例1に係る反射面17aの光学作用を説明するための図である。図6(b)は、実施形態1に係る反射面17aの光学作用を説明するための図である。
図6(a)に示すように、比較例1では、ミラー17の反射面17aと回動軸L1との距離が0である状態が想定されている。すなわち、比較例1では、ミラー17の反射面17a上に回動軸L1が位置している。このため、反射面17aが、実線で示す中立位置から回動軸L1まわりに角度θだけ回動したとしても、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置は変化しない。
これに対し、実施形態1では、図6(b)に示すように、支持部102bとミラー17が厚みを有している。回動軸L1は、支持部102bのz軸方向の中央位置を通っている。実施形態1では、回動軸L1と反射面17aとの距離tが、支持部102bとミラー17の厚みによって規定されている。
実施形態1では、反射面17aが、実線で示す中立位置から回動軸L1まわりに角度θだけ回動すると、反射面17aの回動に応じて、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が距離d1だけz軸負方向に移動する。ここで、距離d1は、以下の式(1)により算出される。
d1=t×sinθ×tanθ−(t−t×cosθ) …(1)
なお、実施形態1の距離tは、図6(b)に示すように支持部102bの厚みとミラー17の厚みによって設定される。しかしながら、これに限らず、支持部102bとミラー17との間にスペーサ等の中間部材が配置されてもよい。この場合、距離tは、支持部102bの厚みとミラー17の厚みに加えて、支持部102bとミラー17との間に配置された中間部材の厚みによって設定される。
図7(a)は、比較例1に係る反射面17a、波長変換部材15、および走査軌跡SLをZ軸負方向に見たときの模式図である。図7(b)は、実施形態1に係る反射面17a、波長変換部材15、および走査軌跡SLをZ軸負方向に見たときの模式図である。図7(a)、(b)には、波長変換部材15の入射面15a上におけるレーザ光の走査軌跡SLが模式的に示されている。
図7(a)、(b)は、ミラー17(反射面17a)が中立位置にある状態を示している。図7(a)に示す反射面17aと、図7(b)に示す反射面17aとは、互いに同じ平面上に位置付けられている。したがって、図7(b)に示す実施形態1の回動軸L1は、図7(a)に示す比較例1の回動軸L1よりもz軸正側に位置する。図7(a)、(b)において、反射面17aが回動軸L1まわりに回動されることにより、破線矢印で示すように、反射面17aで反射されたレーザ光の進行方向が変化する。これにより、波長変換部材15の入射面15aにおいて、ビームスポットB1の位置が変化する。
なお、「中立位置」とは、コイル104に駆動信号(電流)が印加されていない場合のミラー17の位置のことであり、実施形態1の構成では、図3(a)のように、支持部102bおよびミラー17(反射面17a)が、回動軸L1について何れの方向にも回動しておらず、x−y平面に平行な状態にあるときのミラー17(反射面17a)の位置をいう。また、ミラー17が中立位置にあるときの支持部102bの位置が、支持部102bの中立位置でもある。
図7(a)、(b)は、ミラー17の回動範囲における一方の境界位置から他方の境界位置までミラー17(反射面17a)が回動したときの、ビームスポットB1の位置変化を示している。ミラー17(反射面17a)は、回動範囲において繰り返し回動される。
比較例1では、図6(a)を参照して説明したように、反射面17a上に回動軸L1が位置付けられている。このため、図7(a)に示すように、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光(ビームスポットB1)の走査軌跡SLが、走査軌跡SLの中央から両端に向かってY軸負方向に徐々にシフトするように湾曲する。この場合、走査軌跡SLには、走査軌跡SLの中央と両端との間に、距離ΔDのシフト(歪み)が生じる。
これに対し、実施形態1では、図6(b)を参照して説明したように、回動軸L1と反射面17aとの間に距離tが設けられている。このため、反射面17aの回動に応じて、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が距離d1だけz軸負方向に移動する。したがって、図7(b)に示すように、中立位置に対してミラー17が回動したときのビームスポットB1の位置が、比較例1と比べてY軸正側に移動され、距離ΔDのシフトが抑制される。
図8(a)は、比較例1に係る反射面17aおよび波長変換部材15をX軸負方向に見たときの模式図である。図8(b)は、実施形態1に係る反射面17aおよび波長変換部材15をX軸負方向に見たときの模式図である。便宜上、図8(a)、(b)には、レーザ光の入射位置において反射面17aをY−Z平面に平行な平面で切断したときの反射面17aの断面が示されている。
図8(a)、(b)において、位置P1は、ミラー17に入射するレーザ光の光軸と、波長変換部材15の入射面15aを含む水平面(X−Y平面に平行な平面)とが交わる位置である。図8(a)において、位置P2は、ミラー17(反射面17a)が回動範囲における境界位置(回動角が最大となる位置)にあるときに、ミラー17からの反射光が入射する入射面15a上の位置である。
図8(b)において、位置P3は、ミラー17(反射面17a)が図8(a)と同じだけ中立位置から回動したときに、ミラー17からの反射光が入射する入射面15a上の位置である。便宜上、図8(b)には、比較例1と同様、反射面17aとの距離が0である回動軸でミラー17を中立位置から境界位置に回動させたときに、ミラー17からの反射光が入射する入射面15a上の位置P2が示されている。
図8(a)、(b)に示すように、比較例1と実施形態1では、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が異なる。具体的には、図6(a)に示したように、比較例1の反射位置は、ミラー17が中立位置から回動しても変化しない。これに対し、図6(b)に示したように、実施形態1の反射位置は、ミラー17が中立位置から境界位置に回動すると、距離d1だけz軸負方向に移動する。これにより、実施形態1では、ミラー17が中立位置から境界位置に回動すると、ミラー17によって反射された反射光が、位置P2よりも距離d2だけY軸正側に変位した位置、すなわち位置P3に入射する。
ここで、X軸負方向に見たときのミラー17からの反射光の光軸と、水平面とのなす角をθ1とし、X軸負方向に見たときの位置P1から位置P2までの距離をLとすると、位置P2と位置P3との間のY軸方向における距離d2は、以下の式(2)により算出される。
d2=L−{L×tanθ1−d1/cos((90°−θ1)/2)}/tanθ1 …(2)
上記式(2)に、上記式(1)のd1を代入することにより、距離d2は、以下の式(3)のように表される。
d2=L−{L×tanθ1−{t×sinθ×tanθ−(t−t×cosθ)}/cos((90°−θ1)/2)}/tanθ1 …(3)
上記式(3)に示すように、距離d2は、回動軸L1と反射面17aとの距離tによって規定される。したがって、距離tを調整することにより、ビームスポットB1をミラー17側に移動させ、図7(a)に示した距離ΔDを抑制して、走査軌跡SLを図7(b)に示すように直線状に補正できる。
図9は、距離tと距離d2との関係を示す図である。図9のグラフは、L=30mm、θ1=15°、反射面17aの回動角θ=3°の場合の、距離tと距離d2との関係を示している。距離d2は、走査軌跡SLの湾曲が補正される量に相当する。
図9に示すように、距離tが0の場合は、湾曲補正量は0となる。これは、比較例1において、反射面17aが回動角θだけ回動したときに生じる距離d1が0であるため、走査軌跡SLが補正されることなく、走査軌跡SLが湾曲した状態となることを示している。一方、距離tが大きくなると、距離d1が0より大きくなるため、走査軌跡SLが補正される量、すなわち湾曲補正量が大きくなる。
発明者らの検討によれば、上記の条件でt=0とすると、ミラー17の回動角が最大の3°となるとき、ビームスポットB1のY軸負方向へのシフト量ΔDが0.32mmとなることが分かった。したがって、このような場合には、湾曲補正量が0.32mmとなるようtの値を50mm程度に設定すれば、走査軌跡SLを直線状とすることができる。言い換えれば、光偏向器14は、ミラー17の回動角が最大となるときに、支持部102bの回動軸L1とミラー17の反射面17aとの距離tが、走査軌跡の歪み(距離ΔD)を解消することが可能な距離となるよう構成される。これにより、走査軌跡SLを直線状に補正できる。
図10(a)、(b)は、それぞれ、比較例1(t=0mm)と実施形態1(t=50mm)の場合の走査軌跡SLを示すグラフである。図10(a)、(b)のグラフは、いずれも図9と同様の条件に基づくシミュレーション結果である。
図10(a)、(b)において、横軸は、入射面15a上におけるビームスポットB1のX軸方向の位置を示し、縦軸は、入射面15a上におけるビームスポットB1のY軸方向の位置を示している。反射面17aが中立位置にある場合のビームスポットB1の位置は、横軸および縦軸がともに0となる位置で示される。
図10(a)に示すように、比較例1の場合、ビームスポットB1のX軸方向の位置に応じて、ビームスポットB1のY軸方向の位置が変化した。すなわち、比較例1の場合は、走査軌跡SLが湾曲した。一方、図10(b)に示すように、実施形態1の場合、上述したようにtの値が50mmに設定されているため、ビームスポットB1のX軸方向の位置が変化しても、ビームスポットB1のY軸方向の位置は変化しない。すなわち、実施形態1の場合は、走査軌跡SLが直線状となった。
このように、実施形態1の構成では、tの値を調整することにより、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光(ビームスポットB1)の走査軌跡SLを直線化できることが確認できた。
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
回動軸L1と反射面17aとの距離が、レーザ光の走査軌跡SLを直線状に補正可能な距離となるよう構成されている。このように回動軸L1と反射面17aとの距離が所定の距離に設定されると、支持部102b(被駆動部)の回動に応じて、ミラー17におけるレーザ光の反射位置が波長変換部材15側に移動する。これにより、図7(b)および図10(b)に示したように、波長変換部材15の入射面15a上においてレーザ光の走査軌跡SLが湾曲することを抑制でき、走査軌跡SLを直線状に補正できる。
また、このように走査軌跡SLが直線状に補正されると、波長変換部材15によって生じた光を投射光学系3によって目標領域に投射した場合に、目標領域における配光軌跡が湾曲することを抑制できる。よって、目標領域に直線状の配光軌跡で光を投射できる。
<実施形態2>
実施形態1では、ミラー17に厚みを持たせて反射面17aと回動軸L1との距離を広げることにより、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置をミラー17の回動に伴い波長変換部材15側に移動させた。これに対し、実施形態2では、ミラー17と支持部102bとの間に、距離tを変化させるための圧電素子19が設けられている。
実施形態1では、ミラー17に厚みを持たせて反射面17aと回動軸L1との距離を広げることにより、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置をミラー17の回動に伴い波長変換部材15側に移動させた。これに対し、実施形態2では、ミラー17と支持部102bとの間に、距離tを変化させるための圧電素子19が設けられている。
図11(a)は、ミラー17と、支持部102bと、圧電素子19とをy軸負方向に見た図である。圧電素子19のz軸正側およびz軸負側の面は、x−y平面に平行である。圧電素子19のz軸負側の面は、ミラー17のz軸正側の面に設置されており、圧電素子19のz軸正側の面は、支持部102bのz軸負側の面に設置されている。圧電素子19は、印加される駆動信号(電圧)に応じてz軸方向の厚みが変化するよう構成されている。
図11(b)は、反射面17aが、破線で示す中立位置から回動軸L1まわりに角度θだけ回動した状態を示す図である。実施形態2では、ミラー17(反射面17a)の回動に応じて、レーザ光の反射位置が波長変換部材15側に移動するように、圧電素子19の駆動信号が変化させられる。すなわち、ミラー17が中立位置にあるとき、回動軸L1とレーザ光の反射位置との距離はtであるが、ミラー17の回動角に応じて徐々に圧電素子19の厚みが大きくなり、ミラー17の回動角がθのとき、回動軸L1と反射面17aとの距離はt+Δtとなる。これにより、実施形態1と同様に、レーザ光の反射位置が、波長変換部材15側に移動する。
なお、実施形態2のd1の値は、上記式(1)においてtをt+Δtに置き換えた式により算出される。また、実施形態2の湾曲補正量は、上記式(3)においてtをt+Δtに置き換えた式により算出される。
図12は、実施形態2の光源装置2の主たる回路構成を示す回路ブロック図である。
実施形態2の光源装置2は、図5に示した実施形態1と比較して、回路部の構成として、圧電素子駆動回路305と圧電素子19を備えている。圧電素子駆動回路305は、図1、2に示した回路基板18に実装されている。圧電素子駆動回路305が回路基板18とは別の回路基板に実装され、回路基板18側の回路とケーブルで接続された構成であってもよい。圧電素子駆動回路305は、コントローラ301からの制御信号に従って、圧電素子19を駆動する。実施形態2のその他の構成は、実施形態1と同様である。
図13は、ミラー17の回動角に応じて、圧電素子19に印加する駆動信号(電圧)と、コイル104に印加する駆動信号(電流)とを示す図である。
上段左端、中央、および右端の模式図に示すように、ミラー17の回動角が0のとき、中段のグラフに示すように、コントローラ301は、圧電素子19に印加される電圧が0となるよう圧電素子駆動回路305を制御する。これにより、圧電素子19の厚みは最小となる。また、このとき、下段のグラフに示すように、コントローラ301は、コイル104に印加される電流が0となるようミラー駆動回路303を制御する。これにより、コイル104から支持部102bに加えられる力は0となる。
上段左から2番目および左から4番目の模式図に示すように、ミラー17の回動角が最大となるとき、中段のグラフに示すように、コントローラ301は、圧電素子19に印加される電圧が最大となるよう圧電素子駆動回路305を制御する。これにより、圧電素子19の厚みが最大となる。このとき、圧電素子19に印加される電圧は、レーザ光の走査軌跡SLが直線状に補正される値に設定される。また、このとき、下段のグラフに示すように、コントローラ301は、コイル104に印加される電流が、最大または最小となるように、ミラー駆動回路303を制御する。これにより、コイル104から支持部102bに加えられる力が最大となり、ミラー17が回動する。
以上のように、実施形態2においても、ミラー17の回動に応じて、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が、波長変換部材15に対して近付けられる。これにより、実施形態1と同様、ミラー17が中立位置から回動されたときのビームスポットB1の位置が、ミラー17側に近付けられる。よって、実施形態1と同様の効果が奏される。
なお、実施形態2では、ミラー17、圧電素子19および支持部102bの厚みによって、反射面17aと回動軸L1との間に所定の距離が生じる。このため、実施形態2の構成では、圧電素子19が駆動されない場合も、実施形態1と同様、ミラー17(反射面17a)の回動に伴い、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が波長変換部材15側にある程度移動する。
実施形態2では、これら部材の厚みに応じて反射位置が波長変換部材15側に移動する量と、圧電素子19の厚み変化により反射位置が波長変換部材15側に移動する量とが合わさって、ビームスポットB1の位置がミラー17側に近付けられ、波長変換部材15の入射面15a上におけるレーザ光の走査軌跡が直線状に補正される。したがって、実施形態2によれば、実施形態1に比べて、ミラー17および支持部102bの厚みを小さくすることができ、光偏向器14をコンパクトに構成できる。
<実施形態3>
実施形態1では、ミラー17に厚みを持たせて反射面17aと回動軸L1との距離を広げることにより、ミラー17の回動に応じてレーザ光の反射位置を波長変換部材15側に移動させた。これに対し、実施形態3では、コイル104に代えて、第1コイル104aおよび第2コイル104bが支持部102bに設置される。そして、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される駆動信号が、ミラー17を回動させるとともに、ミラー17の回動に応じて支持部102bおよびミラー17を波長変換部材15側に移動させるように調整される。
実施形態1では、ミラー17に厚みを持たせて反射面17aと回動軸L1との距離を広げることにより、ミラー17の回動に応じてレーザ光の反射位置を波長変換部材15側に移動させた。これに対し、実施形態3では、コイル104に代えて、第1コイル104aおよび第2コイル104bが支持部102bに設置される。そして、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される駆動信号が、ミラー17を回動させるとともに、ミラー17の回動に応じて支持部102bおよびミラー17を波長変換部材15側に移動させるように調整される。
図14(a)、(b)は、それぞれ、実施形態3に係る光偏向器14の構成をz軸正方向およびz軸負方向に見た場合の図である。図14(a)、(b)では、便宜上、板バネ102、第1コイル104a、第2コイル104b、ミラー17、弾性支持部108、および磁石105、106のみが示されている。
図14(a)、(b)に示すように、実施形態3では、実施形態1と比較して、板バネ102の一対の梁部102cに代えて、一対の弾性支持部108が設けられている。弾性支持部108は、たとえば、ゴムや可撓性を有する樹脂などからなる弾性部材により構成される。この場合、弾性部材は、接着剤により、枠部102aおよび支持部102bに設置される。あるいは、弾性支持部108は、可撓性に富む材料が、枠部102aおよび支持部102bとともに一体形成された構成であってもよい。あるいは、一対の梁部102cが、より弾性に富むように、x軸方向に蛇行する形状に変更されて、一対の弾性支持部108が構成されてもよい。
一対の弾性支持部108は、回動軸L1に沿って支持部102bを両側から弾性支持している。一対の弾性支持部108は、後述するように支持部102bが第1コイル104aおよび第2コイル104bから力を受けることにより撓む。一対の弾性支持部108は、支持部102bが、実施形態1と同様に回動軸L1まわりに回動するとともに、波長変換部材15側へと移動することが可能なように、支持部102bを支持する。
第1コイル104aおよび第2コイル104bは、支持部102bのz軸正側の面に、回動軸L1を挟んでx軸方向に隣り合うように設置されている。たとえば、第1コイル104aおよび第2コイル104bは、互いに同一形状および同一周回数のコイルである。第1コイル104aは、x軸負側の端部が回動軸L1よりもx軸正側に位置するように支持部102bに設置されている。第2コイル104bは、x軸正側の端部が回動軸L1よりもx軸負側に位置するように支持部102bに設置されている。x軸正側の磁石105、106は、第1コイル104aのx軸正側の部分をx軸方向に挟んでいる。x軸負側の磁石105、106は、第2コイル104bのx軸負側の部分をx軸方向に挟んでいる。実施形態3のその他の構成は、実施形態1と同様である。
図15は、ミラー17の回動角に応じて、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加する駆動信号(電流)を示す図である。
上段左端、中央、および右端の模式図に示すように、ミラー17の回動角が0のとき、中段のグラフに示すように、コントローラ301は、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される電流が0となるようミラー駆動回路303を制御する。このとき、第1コイル104aおよび第2コイル104bから支持部102bに加えられる力は0となる。
上段左から2番目の模式図に示すようにミラー17の反時計方向の回動角が最大となるとき、中段のグラフに示すように、コントローラ301は、第2コイル104bに印加される電流が正方向に最大となるように、ミラー駆動回路303を制御する。また、上段左端から上段中央の模式図に至るまでの間、下段左側の模式図に示すように、コントローラ301は、z軸正方向に見て時計回りの電流が第2コイル104bに流れるようにミラー駆動回路303を制御する。このとき、コントローラ301は、第1コイル104aには電流が印加されないようにミラー駆動回路303を制御する。
これにより、第2コイル104bのみにz軸負方向の駆動力が生じ、この駆動力によって、白抜きの矢印に示すように、支持部102bのx軸負側の端部がz軸負方向に移動する。このとき、第1コイル104aからは支持部102bに駆動力が付与されないため、支持部102bのx軸正側の端部は、支持部102bのx軸負側の端部の移動に伴い、z軸負方向に移動する。したがって、支持部102bは、ミラー17とともにz軸負方向に移動する。また、第2コイル104bから支持部102bのx軸負側の端部にz軸負方向の駆動力が付与されることにより、支持部102bに回動軸L1周りのトルクが発生する。これにより、実施形態1と同様に、ミラー17および支持部102bの回動が行われる。
一方、上段左から4番目の模式図に示すようにミラー17の時計方向の回動角が最大となるとき、中段のグラフに示すように、コントローラ301は、第1コイル104aに印加される電流が負方向に最大となるように、ミラー駆動回路303を制御する。また、上段中央から上段右端の模式図に至るまでの間、下段右側の模式図に示すように、コントローラ301は、z軸正方向に見て反時計回りの電流が第1コイル104aに流れるようにミラー駆動回路303を制御する。このとき、コントローラ301は、第2コイル104bには電流が印加されないようにミラー駆動回路303を制御する。
これにより、第1コイル104aのみにz軸負方向の駆動力が生じ、この駆動力によって、白抜きの矢印に示すように、支持部102bのx軸正側の端部がz軸負方向に移動する。このとき、第2コイル104bからは支持部102bに駆動力が付与されないため、支持部102bのx軸負側の端部は、支持部102bのx軸正側の端部の移動に伴い、z軸負方向に移動する。したがって、支持部102bは、ミラー17とともにz軸負方向に移動する。また、第1コイル104aから支持部102bのx軸正側の端部にz軸負方向の駆動力が付与されることにより、支持部102bに回動軸L1周りのトルクが発生する。これにより、実施形態1と同様に、ミラー17および支持部102bの回動が行われる。
図15に示すように第1コイル104aおよび第2コイル104bに駆動信号(電流)が印加されると、ミラー17(反射面17a)が、中立状態から回動角が最大となる状態に至るまで、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置は、徐々に波長変換部材15側に移動される。また、ミラー17(反射面17a)が、回動角が最大となる状態から中立状態に至るまで、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置は、徐々に波長変換部材15から遠ざけられる。
以上のように、実施形態3においても、ミラー17の回動に応じて、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が、波長変換部材15に対して近付けられる。これにより、実施形態1と同様、ミラー17が中立位置から回動されたときのビームスポットB1の位置が、ミラー17側に近付けられる。第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される電流(駆動信号)は、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光の走査軌跡が直線状となるように調整される。よって、実施形態3の構成においても、実施形態1と同様に、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光の走査軌跡を直線状に補正することができる。
なお、実施形態3においては、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される電流(駆動信号)によって、ミラー17の反射面17aが波長変換部材15に近づけられるため、ミラー17の反射面17aと回動軸L1との距離が小さく、あるいは、この距離が実質的にゼロであっても、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光の走査軌跡を直線状に補正できる。よって、実施形態3の構成によれば、ミラー17の厚みを顕著に小さくできるため、光偏向器14を小型化でき、ミラー17をより効率的かつ円滑に駆動させることができる。
なお、図15に示すように、ミラー17および支持部102bにある程度の厚みがある場合は、これらの厚みによって、ミラー17(反射面17a)の回動時に、レーザ光の反射位置が波長変換部材15側にある程度移動される。この場合、これら部材の厚みに応じて反射位置が波長変換部材15側に移動する量と、第1コイル104aおよび第2コイル104bにより反射位置が波長変換部材15側に移動する量とによって、レーザ光の走査軌跡が直線化されるように、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される電流(駆動信号)が調整される。
また、実施形態3では、x軸正側の磁石105、106による磁界の向きと、x軸負側の磁石105、106による磁界の向きとは、互いに同じであったが、異なっていてもよい。この場合、図15に示すグラフとは異なり、第1コイル104aに印加される電流の符号と、第2コイル104bに印加される電流の符号とが同じになるように、各コイルに印加される電流が調整される。
<実施形態3の変更例>
実施形態3では、ミラー17の回動周期に応じて、第1コイル104aのみに駆動信号(電流)を印加する状態と、第2コイル104bのみに駆動信号(電流)を印加する状態とが切り替えられた。これに対し、実施形態3の変更例では、ミラー17の回動に伴い、第1コイル104aおよび第2コイル104bに同じ方向で且つ異なる大きさの駆動力が生じるように、第1コイル104aおよび第2コイル104bに駆動信号が印加される。より詳細には、ミラー17の回動周期に応じて、第1コイル104aに印加する駆動信号の絶対値が第2コイル104bに印加する駆動信号の絶対値よりも大きくなる状態と、第2コイル104bに印加する駆動信号の絶対値が第1コイル104aに印加する駆動信号の絶対値よりも大きくなる状態とが切り替えられる。実施形態3の変更例のその他の構成は、実施形態3と同様である。
実施形態3では、ミラー17の回動周期に応じて、第1コイル104aのみに駆動信号(電流)を印加する状態と、第2コイル104bのみに駆動信号(電流)を印加する状態とが切り替えられた。これに対し、実施形態3の変更例では、ミラー17の回動に伴い、第1コイル104aおよび第2コイル104bに同じ方向で且つ異なる大きさの駆動力が生じるように、第1コイル104aおよび第2コイル104bに駆動信号が印加される。より詳細には、ミラー17の回動周期に応じて、第1コイル104aに印加する駆動信号の絶対値が第2コイル104bに印加する駆動信号の絶対値よりも大きくなる状態と、第2コイル104bに印加する駆動信号の絶対値が第1コイル104aに印加する駆動信号の絶対値よりも大きくなる状態とが切り替えられる。実施形態3の変更例のその他の構成は、実施形態3と同様である。
図16は、ミラー17の回動角に応じて、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加する駆動信号(電流)を示す図である。
上段左から2番目の模式図に示すようにミラー17の反時計方向の回動角が最大となるとき、中段のグラフに示すように、コントローラ301は、第2コイル104bに印加される電流が正方向に最大となるように、ミラー駆動回路303を制御し、第1コイル104aに印加される電流が負方向に中程度となるように、ミラー駆動回路303を制御する。また、上段左端から上段中央の模式図に至るまでの間、下段左側の模式図に示すように、コントローラ301は、z軸正方向に見て反時計回りの電流が第1コイル104aに流れるようにミラー駆動回路303を制御し、z軸正方向に見て時計回りの電流が第2コイル104bに流れるようにミラー駆動回路303を制御する。
これにより、第1コイル104aにz軸負方向の駆動力が生じ、この駆動力によって、左側の白抜きの矢印に示すように、支持部102bのx軸正側の端部がz軸負方向に移動する。また、第2コイル104bにも、z軸負方向の駆動力が生じ、この駆動力によって、右側の白抜きの矢印に示すように、支持部102bのx軸負側の端部がz軸負方向に移動する。このとき、第2コイル104bに生じた駆動力は、第1コイル104aに生じた駆動力よりも大きいため、支持部102bに反時計方向のトルクが発生する。これにより、図15に示した実施形態3と同様に、ミラー17および支持部102bの回動が行われる。
一方、上段左から4番目の模式図に示すようにミラー17の時計方向の回動角が最大となるとき、中段のグラフに示すように、コントローラ301は、第1コイル104aに印加される電流が負方向に最大となるように、ミラー駆動回路303を制御し、第2コイル104bに印加される電流が正方向に中程度となるように、ミラー駆動回路303を制御する。また、上段中央から上段右端の模式図に至るまでの間、下段右側の模式図に示すように、コントローラ301は、z軸正方向に見て反時計回りの電流が第1コイル104aに流れるようにミラー駆動回路303を制御し、z軸正方向に見て時計回りの電流が第2コイル104bに流れるようにミラー駆動回路303を制御する。
これにより、第1コイル104aにz軸負方向の駆動力が生じ、この駆動力によって、左側の白抜きの矢印に示すように、支持部102bのx軸正側の端部がz軸負方向に移動する。また、第2コイル104bにも、z軸負方向の駆動力が生じ、この駆動力によって、右側の白抜きの矢印に示すように、支持部102bのx軸負側の端部がz軸負方向に移動する。このとき、第1コイル104aに生じた駆動力は、第2コイル104bに生じた駆動力よりも大きいため、支持部102bに時計方向のトルクが発生する。これにより、図15に示した実施形態3と同様に、ミラー17および支持部102bの回動が行われる。
以上のように、実施形態3の変更例においても、実施形態3と同様、ミラー17の回動に応じて、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が、波長変換部材15に対して近付けられる。これにより、実施形態1と同様、ミラー17が中立位置から回動されたときのビームスポットB1の位置が、ミラー17側に近付けられる。第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される電流(駆動信号)は、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光の走査軌跡が直線状となるように調整される。よって、この変更例によっても、実施形態1と同様に、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光の走査軌跡を直線状に補正することができる。
なお、この変更例においても、x軸正側の磁石105、106による磁界の向きと、x軸負側の磁石105、106による磁界の向きとが、異なっていてもよい。この場合、図16に示すグラフとは異なり、第1コイル104aに印加される電流の符号と、第2コイル104bに印加される電流の符号とが同じになるように各コイルに印加される電流が調整される。
<実施形態4>
上記実施形態1では、光偏向器14が、被駆動部を1軸で回動させる構成であった。これに対し、実施形態4では、ミラー17が互いに直交する2つの回動軸について回動可能なように、光偏向器14が構成されている。
上記実施形態1では、光偏向器14が、被駆動部を1軸で回動させる構成であった。これに対し、実施形態4では、ミラー17が互いに直交する2つの回動軸について回動可能なように、光偏向器14が構成されている。
実施形態4では、ミラー17が2軸駆動可能であるため、波長変換部材15の入射面15aにおけるレーザ光の走査軌跡が実施形態1と異なっている。実施形態4では、後述のように、波長変換部材15の入射面15aに複数の走査軌跡が設定されている。投光装置1および光源装置2のその他の構成は、上記実施形態1と同様である。
図17は、実施形態4に係る光偏向器14の構成を示す斜視図である。また、図18(a)、(b)は、それぞれ、実施形態4に係る光偏向器14の構成を示す断面図である。図17および図18(a)、(b)には、図3(a)、(b)と同様のx、y、z軸が示されている。図18(a)には、x−z平面に平行な平面で図17の光偏向器14をy軸方向の中央位置において切断したB−B’断面図が示され、図18(b)には、y−z平面に平行な平面で図17の光偏向器14をx軸方向の中央位置において切断したC−C’断面図が示されている。
図17および図18(a)、(b)を参照して、ハウジング111は、x軸方向に長い直方体形状を有する。ハウジング111の上面には、平面視において長方形の凹部111aが形成されている。ハウジング111は、剛性が高い金属材料からなっている。
ハウジング111の上面に、枠状の板バネ112が設置される。板バネ112は、外枠部112aと、内枠部112bと、2つの梁部112cと、支持部112dと、2つの梁部112eとを有する。y軸方向の中間位置において、外枠部112aからx軸方向に平行に延びるように、2つの梁部112cが形成され、これら梁部112cによって、外枠部112aと内枠部112bとが連結されている。また、x軸方向の中間位置において、内枠部112bからy軸方向に平行に延びるように、2つの梁部112eが形成され、これら梁部112eによって、内枠部112bと支持部112dとが連結されている。
内枠部112bは、平面視において長方形の角が丸められた輪郭を有し、内枠部112bのy軸方向の中間位置において、2つの梁部112cが内枠部112bに繋がっている。また、支持部112dは、平面視において長方形の輪郭を有し、支持部112dのx軸方向の中間位置において、2つの梁部112eが支持部112dに繋がっている。板バネ112は、x軸方向およびy軸方向に対称な形状である。板バネ112は、可撓性の金属材料により一体形成されている。
外枠部112aをハウジング111の上面に載せた状態で、4つのネジ113により、板バネ112がハウジング111の上面に固定される。支持部112dの上面にミラー17が接着剤等によって固定される。ミラー17は、平面視において略正方形である。ミラー17は、上記実施形態1と同様、所定の厚みを有している。ミラー17のz軸負側に、反射面17aが形成されている。
2つの梁部112eを繋いだ軸が、上記実施形態1と同様、レーザ光を波長変換部材15の長手方向に走査させるための、ミラー17の回動軸L1となる。また、2つの梁部112cを繋いだ軸が、波長変換部材15におけるレーザ光の走査ラインを変更するための、ミラー17の回動軸L2となる。上記のように、ミラー17は所定の厚みを有しているため、反射面17aは、回動軸L1、L2に対して、z軸負方向にシフトした位置に位置付けられる。
なお、上記実施形態1と同様、レーザ光源12からのレーザ光は、ミラー17の反射面17aに対して斜め方向から入射する。このとき、回動軸L1、L2が交わる位置に対応する反射面17aの位置にレーザ光の中心軸が位置付けられるように、レーザ光源12からのレーザ光が、ミラー17に入射する。
支持部112dの下面にコイル114が装着される。コイル114は、平面視において長方形の角が丸められた形状に周回している。コイル114は、長辺の中間位置が回動軸L1に一致するように、支持部112dの下面に設置される。コイル114、支持部112dおよびミラー17が、光偏向器14の第1の可動部を構成する。
コイル114をx軸方向に挟むように、磁石115および磁石116の組が2つ配置される。磁石115と磁石116は、ヨーク117に設置され、ヨーク117が、ハウジング111の凹部111aの底面に設置されている。各組の磁石115および磁石116の磁極の調整方法は、図3(a)、(b)に示した磁石105および磁石106と同様である。
さらに、内枠部112bの下面にコイル118が装着される。コイル118は、平面視において内枠部112bと同様の形状である。コイル118は、短辺の中間位置が回動軸L2に一致するように、内枠部112bの下面に設置される。コイル118および内枠部112bが、光偏向器14の第2の可動部を構成する。
コイル114に対して、y軸正側とy軸負側に、それぞれ、磁石119が配置される。これら磁石119は、ヨーク117に設置されている。また、これら2つの磁石119は、コイル118に対向する磁極が互いに異なるように、ヨーク117に設置されている。磁石119は、磁極面における磁束密度が略均一の永久磁石である。
このように2つの磁石119の磁極を調整することにより、コイル118に駆動信号(電流)が印加されると、回動軸L2について内枠部112bが回動し、駆動信号の大きさに応じた角度だけ、内枠部112bが傾く。すなわち、内枠部112bは、梁部112cに生じる弾性復帰力とコイル118に励起された電磁力とが釣り合う角度だけ図17に示した中立位置から傾く。このとき、内枠部112bの回動に伴って、支持部112dとともにミラー17が回動する。
支持部112dは、図3(a)、(b)の構成と同様、コイル114に駆動信号(電流)を印加することにより、回動軸L1を軸として回動する。支持部112dの回動に伴い、ミラー17が回動軸L1を軸として回動する。このように、実施形態2の光偏向器14によれば、コイル114、118にそれぞれ独立して駆動信号(電流)を印加することにより、ミラー17を、回動軸L1、L2について個別に回動させることができる。
実施形態4では、波長変換部材15の入射面15aに、たとえば、所定のピッチで3つの走査軌跡が設定される。すなわち、回動軸L2周りの内枠部112bの回動角を3段階に変化させるように、コイル118に駆動信号(電流)が印加される。そして、内枠部112bが所定の各回動角に固定された状態で、支持部112dが回動軸L1周りに回動するように、コイル114に駆動信号(電流)が印加される。
実施形態4では、上記実施形態1と同様、レーザ光を走査させるための回動軸L1に対してミラー17の反射面がz軸負方向にシフトしているため、上記3つの走査軌跡における湾曲が抑制され、各走査軌跡が直線状に補正される。
図19(a)は、比較例2に係る反射面17aおよび波長変換部材15をZ軸負方向に見たときの模式図である。図19(b)は、実施形態4に係る反射面17aおよび波長変換部材15をZ軸負方向に見たときの模式図である。図19(a)、(b)には、波長変換部材15の入射面15a上におけるレーザ光(ビームスポットB2)の走査軌跡SLが模式的に示されている。
比較例2では、比較例1と同様、ミラー17の反射面17aと回動軸L1との距離が0である状態が想定されている。このため、比較例2では、反射面17aが回動軸L1、L2まわりに回動したとしても、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置は変化しない。これに対し、実施形態4では、実施形態1と同様、支持部102bとミラー17が厚みを有しているため、回動軸L1、L2と反射面17aとの距離tが、大きくなっている。
比較例2の構成によれば、比較例1と同様、ミラー17を回動軸L1まわりに回動したとしても、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が変化しないため、図19(a)に示すように、3つの走査軌跡SLは、いずれも中央から端に向かうにつれてY軸負方向にシフトするように湾曲する。これに対し、実施形態4の構成によれば、実施形態1と同様、ミラー17の回動に応じて、反射面17aにおけるレーザ光の反射位置が波長変換部材15側に移動する。このため、実施形態4の構成によれば、図19(b)に示すように、3つの走査軌跡SLは、いずれも湾曲が抑制されて直線に近づくようになる。
このように、実施形態4の構成によれば、実施形態1と同様、回動軸L1と反射面17aとの距離が所定の大きさに調整されることにより、波長変換部材15の入射面15a上においてレーザ光の走査軌跡SLが湾曲することを抑制でき、複数の走査軌跡をそれぞれ直線に近づけることができる。
なお、実施形態2、実施形態3、および実施形態3の変更例においても、図17および図18(a)、(b)に示したように、光偏向器14が、ミラー17を回動軸L1、L2まわりに回動させるよう構成されてもよい。
実施形態4の構成が実施形態2に適用される場合、各走査軌跡SLに対する走査において、図13に示すように、圧電素子19に対する駆動信号(電圧)を調整することにより、各走査軌跡SLを直線状に補正できる。また、実施形態4の構成が実施形態3および実施形態3の変更例に適用される場合、各走査軌跡SLに対する走査において、図15、16に示すように、第1コイル104aおよび第2コイル104bに印加される駆動信号(電流)が調整されることにより、各走査軌跡SLを直線状に補正できる。
<変更例>
以上、本発明の実施形態および変更例について説明したが、本発明は上記実施形態および変更例に何らの制限を受けるものではない。
以上、本発明の実施形態および変更例について説明したが、本発明は上記実施形態および変更例に何らの制限を受けるものではない。
たとえば、上記実施の形態では、光源装置2が、反射型の波長変換部材15を用いる構成であったが、光源装置2は、透過型の波長変換部材15を用いる構成であってもよい。
また、ミラー17の反射面17aで反射されたレーザ光が、ミラー17と波長変換部材15との間にさらに配置されたミラーを経由した後、波長変換部材15に対して斜め方向から入射してもよい。
また、ミラー17の形状は、必ずしも、平面視において正方形でなくともよく、平面視において長方形または円形であってもよい。支持部102b、112dの形状も、適宜変更可能である。
また、ミラー17の反射面17aは、必ずしも、平面でなくてもよく、レーザ光に収束作用を付与し得る凹面形状であってもよい。あるいは、ミラー17の反射面に、波長変換部材15の入射面15a上のビームスポットB1、B2の形状を所定の形状に成形するためのレンズが装着されてもよい。
また、波長変換部材15の蛍光体層203に含まれる蛍光体粒子203aの種類は、必ずしも1種類でなくてもよく、たとえば、レーザ光源12からのレーザ光によって互いに異なる波長の蛍光を生じる複数種類の蛍光体粒子203aが蛍光体層203に含まれてもよい。この場合、各種類の蛍光体粒子203aから生じた蛍光の拡散光と、これら蛍光体粒子203aによって波長変換されなかったレーザ光の拡散光とによって、所定の色の光が生成される。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … 投光装置
2 … 光源装置
3 … 投射光学系
12 … レーザ光源
14 … 光偏向器
15 … 波長変換部材
15a … 入射面
17 … ミラー
17a … 反射面
19 … 圧電素子
102b、112d … 支持部(被駆動部)
104a … 第1コイル
104b … 第2コイル
105、106 … 磁石
108 … 弾性支持部
303 … ミラー駆動回路(駆動部)
305 … 圧電素子駆動回路(駆動部)
L1 … 回動軸
SL … 走査軌跡
2 … 光源装置
3 … 投射光学系
12 … レーザ光源
14 … 光偏向器
15 … 波長変換部材
15a … 入射面
17 … ミラー
17a … 反射面
19 … 圧電素子
102b、112d … 支持部(被駆動部)
104a … 第1コイル
104b … 第2コイル
105、106 … 磁石
108 … 弾性支持部
303 … ミラー駆動回路(駆動部)
305 … 圧電素子駆動回路(駆動部)
L1 … 回動軸
SL … 走査軌跡
Claims (9)
- レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光の波長を他の波長に変換するとともに波長変換された前記レーザ光を拡散させる波長変換部材と、
前記レーザ光が入射するミラーを回動させることにより、前記レーザ光を前記波長変換部材の入射面上において走査させる光偏向器と、を備え、
前記ミラーにより反射された前記レーザ光が、前記波長変換部材の入射面に斜め方向から入射し、
前記光偏向器は、前記ミラーを支持する被駆動部の回動に応じて、前記ミラーにおける前記レーザ光の反射位置を前記波長変換部材側に移動させて、前記波長変換部材の前記入射面における前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正する構成を備える、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
前記光偏向器は、前記被駆動部の回動軸と前記ミラーの反射面との距離が、前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正可能な距離となるように構成されている、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項2に記載の光源装置において、
前記光偏向器は、前記ミラーの回動角が最大となるときの前記走査軌跡の歪みを解消するように、前記被駆動部の回動軸と前記ミラーの反射面との距離が調整されている、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1ないし3の何れか一項に記載の光源装置において、
前記光偏向器は、前記ミラーと前記被駆動部との間に圧電素子を備え、
前記圧電素子を駆動する駆動部は、前記ミラーの回動に応じて前記反射位置が前記波長変換部材側に移動するように前記圧電素子の駆動信号を変化させて、前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正する、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項4に記載の光源装置において、
前記圧電素子の前記駆動部は、前記ミラーの回動角が最大となるときに、前記反射位置が最も前記波長変換部材側に移動するように前記圧電素子の駆動信号を変化させて、前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正する、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1ないし5の何れか一項に記載の光源装置において、
前記光偏向器は、
前記被駆動部を回動軸に沿って両側から弾性支持する一対の弾性支持部と、
前記回動軸を挟んで前記被駆動部に装着された第1コイルおよび第2コイルと、
前記第1コイルおよび前記第2コイルに磁界を印加するための磁石と、を備え、
前記光偏向器を駆動する駆動部は、前記ミラーの回動に伴い、前記ミラーにおける前記反射位置が前記波長変換部材側に移動するように、前記第1コイルおよび前記第2コイルに駆動信号を印加して、前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正する、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項6に記載の光源装置において、
前記光偏光器の前記駆動部は、前記ミラーの回動周期に応じて、前記第1コイルのみに駆動信号を印加する状態と、前記第2コイルのみに駆動信号を印加する状態とを切り替えて、前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正する、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項6に記載の光源装置において、
前記光偏光器の前記駆動部は、前記ミラーの回動に伴い、前記第1コイルおよび前記第2コイルに同じ方向で且つ異なる大きさの駆動力が生じるように前記第1コイルおよび前記第2コイルに駆動信号を印加して、前記レーザ光の走査軌跡を直線状に補正する、
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項1ないし8の何れか一項に記載の光源装置と、
前記波長変換部材により拡散された光を投射する投射光学系と、を備える、
ことを特徴とする投光装置。
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