JPWO2018155678A1 - ガスバリア性評価装置およびガスバリア性評価方法 - Google Patents

ガスバリア性評価装置およびガスバリア性評価方法 Download PDF

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Abstract

高分子を有する支持体と透過側チャンバーと検出部とを備え、前記支持体が試料を支えていてかつ前記透過側チャンバーの開口部と結合しているガスバリア性評価装置であって、前記支持体と前記試料との間に高分子フィルムを有し、前記試料に密着可能、かつ昇降可能に配した供給側チャンバーと、前記高分子フィルムと前記支持体に挟まれた領域を覆う外側チャンバーとを有するガスバリア性評価装置およびそれを用いたガスバリア性評価方法である。

Description

本技術はフィルムのガスバリア性評価装置およびガスバリア性評価方法に関する。
近年有機エレクトロニクス分野や食品包装の分野において、これまで以上に水蒸気透過性や酸素透過性の低い、すなわちガスバリア性の高いフィルムや封止材といった材料が求められている。その材料開発や製品出荷前検査のため、ガスバリア性の高感度評価技術が必要とされている。
フィルム状試料のガスバリア性評価方法は、等圧法と差圧法に大別されている。等圧法は、試料の一方の表面(以下、供給側とも呼ぶ)に評価ガスを含むガスを導入し、もう一方の表面(以下、透過側とも呼ぶ)に窒素等のキャリアガスを導入する。そして、排出されるキャリアガスに含まれる透過した評価ガスの濃度を赤外線センサー等からなる検出部によって測定するという方法である(例えば、非特許文献1、2を参照。)。高感度評価のために水晶振動子水分計や質量分析装置を用いる方法や、透過側を一時的に閉鎖して透過した評価ガスを濃縮してから検出部に導入する方式が開示されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
差圧法は、透過側を真空ポンプによって減圧し、供給側に評価ガスを含むガスを導入した後、試料を透過した評価ガスを透過側に設けた圧力計等からなる検出部によって測定する方法である(例えば、非特許文献3を参照)。ガスバリア性の高いフィルムの水蒸気バリア性を評価するため質量分析装置を用いる方法も開示されている(例えば、特許文献3、4、5参照)。差圧法においては、供給側と透過側の圧力差に抗して試料を支持する必要があり、多孔質ステンレス基材(例えば、特許文献3、5参照)、高分子体・透水性ガラス(例えば、特許文献4参照)等を用いることが開示されている。
また、検出器として質量分析装置を用いる方法において、質量分析装置をガスバリア性評価装置から取り外すことなく校正することによって、正確にガスバリア性を測定可能とするガスバリア性評価装置(特許文献6)が開示されている。
等圧法は、大量のキャリアガス中の評価対象成分をppbレベルにおいて分析しなければならないが、このレベルの高感度ガス分析技術は限られている。しかもキャリアガスには評価装置導入前から水蒸気や酸素が不純物として含まれているため、これが評価感度の限界をもたらしていた。
差圧法は、支持体を必要とするが、評価する試料が支持体表面の凹凸に沿って変形し、その結果、ガスバリア性を付与しているガスバリア層に亀裂が入るなどしてフィルム状試料のガスバリア性が損なわれる懸念があった。
いずれの方法も試料を装置に取り付ける際に大気を装置内に巻き込み、その影響(特に水蒸気)を除くための真空排気や加熱脱ガス処理等に数日から数週間にわたる長時間が必要であった。これが材料開発や出荷前検査において大きな障害となっていた。
こうした課題に対し、下記のガスバリア性評価装置が開示されている。このガスバリア性評価装置は、試料を支える支持体と透過側チャンバーと検出部を備えていて該支持体が透過側チャンバーの開口部と結合している。かつ該支持体の水蒸気透過度が1×10−10mol/msPa〜1×10−14mol/msPaである。このガスバリア性評価装置により、試料交換時の透過側チャンバー内への大気流入を阻止し、結果として評価の高感度化や迅速化などの効能が得られるとされている(例えば、特許文献7を参照)。
また、試料を支え高分子を含有する支持体と透過側チャンバーと検出部を備え、該支持体が透過側チャンバーの開口部と結合しており、かつ該支持体に含まれる高分子のガラス転移点が100℃以上であるガスバリア性評価装置が開示されている。このガスバリア性評価装置では、透過側チャンバーの加熱脱ガス処理が可能となり、その効果が試料交換後も維持できることから、やはり評価の高感度化や迅速化などの効能が得られるとされている(例えば、特許文献8を参照)。
国際公開第2009/041632号 特開2010−190751号公報 特開平6−241978号公報 特開2002−357533号公報 特開2005−17172号公報 国際公開第2015/041115号 特開2014−167465号公報 特開2014−167466号公報
JIS K7126−1987(B法) JIS K7126−1992 JIS K7126−1987(A法)
しかし、これらの支持体が透過側チャンバーの開口部と結合したガスバリア性評価装置であっても、試料交換時に支持体表面が大気に暴露される。このとき、大気中の水蒸気が支持体表面から侵入し、ある時間が経過した後に透過側チャンバー内に放出されることによって透過側チャンバー内に流入する。WVTRが10-4g/mday以上の試料を測定するのであれば支障はない。WVTR(Water Vapour Transmission Rate)とは、水蒸気バリア性にて広く用いられている水蒸気透過性を示す指標であり、規定の温度および湿度条件における単位時間中に試験片を透過する単位面積当たりの水蒸気の量である。しかし、さらにWVTRの低い、すなわちガスバリア性の著しく高い試料の測定に際しては、この大気中の水蒸気の流入が測定終了の判断やWVTR値そのものに深刻な影響をもたらす。このため、ガスバリア性の高い試料を測定する際には、試料交換後1日近くの排気や加熱脱ガス処理を要していた。
本発明は、試料交換時の大気中水蒸気等の流入を抑え、透過側チャンバー内の環境を良好に保ちつつ試料交換を可能とするガスバリア性評価装置およびガスバリア性評価方法に関する。
上記課題を解決するために、以下のガスバリア性評価装置およびガスバリア性評価方法を開示する。
(1)高分子を有する支持体と透過側チャンバーと検出部とを備え、前記支持体が試料を支えていてかつ前記透過側チャンバーの開口部と結合しているガスバリア性評価装置であって、前記支持体と前記試料との間に高分子フィルムを有し、前記試料に密着可能、かつ昇降可能に配した供給側チャンバーと、前記高分子フィルムと前記支持体に挟まれた領域を覆う外側チャンバーとを有するガスバリア性評価装置。
(2)前記外側チャンバーに乾燥ガス源が接続されている(1)に記載のガスバリア性評価装置。
(3)前記支持体がポリイミドである(1)または(2)に記載のガスバリア性評価装置。
(4)前記高分子フィルムが、中央に開口部を有する高分子フィルム支持リングの該開口部を塞ぎ、該高分子フィルム支持リングに固着されている(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性評価装置。
(5)高分子を有する支持体と透過側チャンバーと検出部とを備え、前記支持体の表面側が試料を支えていて、前記支持体の裏面側が前記透過側チャンバーの開口部と結合しているガスバリア性評価装置を用いたガスバリア性評価方法であって、前記支持体と前記試料との間に高分子フィルムを配し、前記試料の交換時に、前記支持体と前記高分子フィルムとの間に乾燥ガスからなる保護領域を設けるガスバリア性評価方法。
(6)前記高分子フィルムと前記支持体に挟まれた領域を大気から隔離する外側チャンバーを有し、前記試料の交換時に前記外側チャンバーに乾燥ガスを導入して前記保護領域を設ける(5)に記載のガスバリア性評価方法。
(7)前記支持体がポリイミドである(5)または(6)に記載のガスバリア性評価方法。
上記支持体は透過側チャンバーの開口部を閉塞するよう結合する。ここで言う「結合」とは試料交換の際でも支持体と透過側チャンバーとが一体化しており、支持体を透過して透過側チャンバー内に流入するガスに比べて、支持体と透過側チャンバーの境界を通して流入するガスが少ないことを言う。上記結合は接着剤を用いて支持体と透過側チャンバーを固着させれば良い。またはガスケットを用いて支持体を透過側チャンバーに取り付けても良い。なお、装置補修等のために、支持体を透過側チャンバーから取り外せる構造になっていても構わない。例えば、試料を取り付けるためのOリングおよびボルト等とは別のOリングおよびボルト等を用いて支持体を透過側チャンバーと結合させておくことができる。この構成では試料交換の度に支持体が外れることはなく、しかも、補修等の際に支持体を容易に交換することができるようになる。
空間を二つに分ける材料(通常は板、フィルムもしくは管)のガス透過度P[mol/msPa]は次式(A)にて定義される指標である。
J=P(p−p) (A)
[Pa]およびp[Pa]は材料を挟んで両側の着目しているガス(評価ガス)の分圧、J[mol/ms]はpに接した側面からpに接した側面に透過するこのガスの透過流束である。
本発明に適した支持体の水蒸気に対する透過度(水蒸気透過度)は1×10−8mol/msPa〜1×10−14mol/msPa、好ましくは8×10−9mol/msPa〜1×10−13mol/msPa、より好ましくは5×10−9mol/msPa〜1×10−12mol/msPaである。1×10−10mol/msPaは40℃、90%RH(水蒸気圧6.6kPa)に接した側面から水蒸気分圧0kPaに接した側面へのWVTRに換算して1g/mdayに相当する。また、多孔質支持体は一般に1×10−7mol/msPaより大きな水蒸気透過度を持つ。水蒸気透過度が1×10−8mol/msPaより大きな支持体を用いた場合は試料交換時の透過側チャンバー内への大気成分の流入が大きくなり、本発明の長所が一部損なわれる。一方、水蒸気透過度が1×10−14mol/msPaより小さい支持体を用いた場合は水蒸気透過度が1×10−14mol/msPa(10−4g/mday)レベルの試料の評価が容易ではない。
水蒸気以外のガスに対する評価においても、上述のように水蒸気透過度を基準として支持体材料を選択するのが良い。なぜなら、水蒸気以外のガスに対する評価においても試料交換時の透過側チャンバー内への水蒸気流入を抑えることが高感度化、迅速化等といった本発明の効果をもたらすからである。これに加えて、評価するガス種に応じた透過度を有する支持体を適宜選択すればよい。なお、水蒸気透過度の高い支持体は、一般に、酸素、窒素、二酸化炭素などについても凡そ高い透過度を示す。このため、水蒸気透過度を基準として支持体材料を選択すれば十分な場合が多い。
前述の水蒸気透過度を実現するため、支持体には多孔質体を用いる必要はない。むしろ緻密な素材を用いるのが良い。この緻密とは、支持体の試料側の面から他面へ貫通する孔径1nmを超える細孔がないことを意味する。このことは走査型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡など表面観察手段を用いて支持体表面を観察し、孔径1nmの細孔が見出されなければ十分である。これら表面観察手段では貫通しない細孔(例えば、表面の窪み)と貫通する細孔を区別することができないが、表面に細孔がないことを確認できれば貫通する細孔もないことを確認したことになる。なお、高分子材料において高分子鎖の原子レベルの隙間を指して「細孔」と呼ぶ例も見受けられるが、本明細書においては高分子鎖の間に形成される原子レベル(すなわちnm以下)の隙間は細孔とみなさない。
支持体を上記構成にすることによって、透過側チャンバー内の環境(真空度やガス濃度など)を良好に保つことができるため、試料取付け後に透過側チャンバー内壁の水蒸気を枯らす必要がなくなる。その分、速やかにガスバリア性を評価することが可能になる。従来の装置では試料交換の際、透過側チャンバー内を一旦大気開放する必要がある。その結果、大気中の水蒸気が透過側チャンバー内に入って透過側チャンバー内壁に付着する。そこで、試料を取付けてから透過側チャンバー内を排気するか、透過側チャンバー内にキャリアガスを導入して透過側チャンバー内壁に吸着した水蒸気が枯れるのを待つ必要があるが、そのために数日を要していた。
本発明のガスバリア性評価装置は、上記に加えて支持体と試料の間に高分子フィルムを有するとともに、高分子フィルムと支持体に挟まれた領域を覆って大気の侵入を抑える外側チャンバーを有している。この構造によって、試料交換時の透過側チャンバーへの水蒸気の侵入を各段に抑えることが可能となる。すなわち、試料交換前に外側チャンバーに乾燥ガスを導入することで、試料交換時に該支持体の試料側表面に保護領域が設けられ、大気中の水蒸気が該支持体表面に到達できないようになる。ここで保護領域とは乾燥ガスで満たされた空間のことをいう。乾燥ガスとは、露点が0℃(水蒸気分圧が40℃、90%RHの約1/10)以下のガスをいう。具体的には、乾燥剤カラムを通したガス、氷を用いたコールドトラップを通したガス、純ガスとして購入したボンベのガス、液体窒素を気化させた窒素ガスなどを乾燥ガスとして使用することができる。試料交換中は乾燥ガスを導入し続けても良いが、保護領域が維持されるのであれば、必ずしも乾燥ガスを導入し続ける必要はない。
支持体と試料の間に高分子フィルムを挿入する構成は比較的簡便であるにも関わらず、顕著な効果を発揮する。ここでいう高分子とは数平均分子量が1000以上のものをいう。ガスバリア性評価の作業手順は以下の通りとすれば良い。
すなわち、高分子フィルムと支持体の間に乾燥ガスを導入し、外側チャンバーを開いて試料を交換する。その後外側チャンバーを閉じて外側チャンバー内空間を排気することで高分子フィルムと支持体の間のガスを除去し、供給側チャンバーによって試料を押さえる。そして、供給側チャンバー内に評価ガスを含むガスを導入し、試料、高分子フィルムおよび支持体を透過した評価ガスを透過側チャンバーに設けた検出部によって測定する。このようにして、試料のガスバリア性を評価する。
次に、各作業手順の効果を作業の一例とともに説明する。
試料交換の前に外側チャンバー内および供給側チャンバー内に乾燥ガス、例えば乾燥窒素を導入し、試料を押さえていた供給側チャンバーを外す。その結果、高分子フィルムと支持体の隙間は乾燥ガスによって満たされ、乾燥ガスによる保護領域が自然に形成される。続いて、外側チャンバーを開き、試料を交換する(もしくは試料を取り付ける)。高分子フィルムと支持体との間隔が充分狭ければ、すなわち、保護領域が十分に薄ければ、大気成分が保護領域の端から侵入する前に試料交換を終えることができる。
しかも、試料交換時に支持体と透過側チャンバーの結合が万が一外れたとしても大気が透過側チャンバーに直接流入して検出器や電離真空計を傷めることがない。検出器として用いる質量分析装置や透過側チャンバーの真空度を確認するための電離真空計は、大気に含まれる酸素や大量の水蒸気にさらされるとフィラメントが損傷し、その機能を失うことがある。そのため、高分子フィルムを持たない従来の装置では支持体と透過側チャンバーの結合が損なわれた時の安全対策も考える必要があった。
試料交換の後、外側チャンバーを閉じて外側チャンバー内を排気する。この時、試料交換時に大気に触れて高分子フィルム中に侵入した水蒸気等の大気成分は高分子フィルムと試料との隙間および高分子フィルムと支持体との隙間を通じて排気される。高分子フィルムが薄く、水蒸気等のガスを容易に放出する素材であれば、比較的短時間のうちに高分子フィルム中に侵入した大気成分を除去することができる。その後、供給側チャンバーによって試料を押さえ、供給側チャンバー内に評価ガスとして例えば水蒸気を導入し、この水蒸気を、試料、高分子フィルム、支持体を順に透過させ、透過側チャンバー内の水蒸気分圧を検出器で測定し、その値から水蒸気透過度を評価すれば良い。
高分子フィルムの厚さは1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜50μmであり、より好ましくは10μm〜25μmである。厚さは該高分子中の水蒸気拡散係数や測定手順などに応じて適切に選ばれる。水蒸気が高分子フィルムの片面から侵入し、他面から放出されるまでの時間は一般に水蒸気拡散係数に反比例し、高分子フィルムの厚さの二乗に比例する。試料交換が短時間のうちに行えるガスバリア性評価装置であれば、それに応じた薄さの高分子フィルムを用いるのが好ましい。そのような高分子フィルムを用いることにより、その後の排気時間を短くすることができる。他方、試料交換に時間がかかるガスバリア性評価装置の場合は、厚めの高分子フィルムを用いることによって、試料交換時に侵入する水蒸気の影響を抑えつつ、排気時間を短くすることができる。
さらに、該支持体がポリイミドであることが好ましい。ポリイミドは水蒸気を含む大気に対する窒素透過速度より乾燥窒素に対する窒素透過速度の方が低い。このため、乾燥窒素中にて試料交換することにより、透過側チャンバー内の環境を一層良好に保つことが可能となる。加えて、ポリイミドは耐熱性に優れているため、85℃、85%RHに対するガスバリア性評価や、装置立ち上げ時にしばしば行われる100℃程度の加熱脱ガス熱処理にも耐えることができる。
上記検出部には圧力計を用いることができる。圧力計を用いた場合、次のように試料のガス透過性、すなわちガスバリア性を評価することができる。
透過側チャンバーの容積がV[m]であり、試料のガス透過領域の面積がS[m]であるとする。評価ガスの供給側の分圧がp[Pa]、透過側の分圧がp[Pa]であるとする。透過側チャンバー内に連通しているバルブを閉じて透過側チャンバー内を外界から隔離すると、試料を透過するガスのため透過側チャンバー内の分子の総数n[mol]がΔt[s]の間にΔn[mol]増加する。その結果、透過側チャンバー内にΔp[Pa]の圧力増加が現れる。この時、透過側チャンバー内の温度をT[K]、ガス定数をR(=8.314J/molK)とすれば、気体の状態方程式から式(1)となる。
Figure 2018155678
評価ガスの透過流束J[mol/ms]は次式(2)によって与えられる。
Figure 2018155678
試料と支持体と高分子フィルムとをあわせたガス透過度Ptot[mol/msPa]は次の式(3)によって定義できる。
Figure 2018155678
式(2)を式(3)に代入して、次の式(4)を得る。
Figure 2018155678
試料のガス透過度Pおよび支持体と高分子フィルムとをあわせたガス透過度Pは試料と高分子フィルムの界面の評価ガスの分圧をp[Pa]を用いて式(5)、(6)によって表現できる。
Figure 2018155678
Figure 2018155678
安定した状態において評価ガスは試料と高分子フィルムの界面に滞留しないため、それらの透過流束は等しい。すなわち、式(7)の関係である。
Figure 2018155678
式(5)、(6)および(7)から式(8)を得る。
Figure 2018155678
式(3)と比較して、支持体と高分子フィルムとをあわせたガス透過度および全体のガス透過度の関係として次式(9)を得る。
Figure 2018155678
支持体と高分子フィルムとをあわせたガス透過度Pを予め調べておけば、式(4)を用い、実験から得られたPtotを用いて、試料のガス透過度Pは次式(10)によって得ることができる。
Figure 2018155678
さらに、試料のガス透過度が低くP>>Pの場合、例えば2桁以上違う場合、式(10)は次式(11)のように近似できる。
Figure 2018155678
すなわち、試料のガス透過度は式(12)によって与えられる。
Figure 2018155678
評価ガスが水蒸気(分子量18g/mol)の場合、WVTR[g/mday]の単位によって表せば次の通り求められる。
Figure 2018155678
逆に、支持体と高分子フィルムをあわせたガス透過度Pが試料のガス透過度Pより低くP<<Pの場合は試料のガス透過度Pの評価が著しく困難になる。すなわち、支持体と高分子フィルムをあわせたガス透過度Pは試料のガス透過度Pより高いか、せいぜい同等でなければならないことに注意すべきである。
さらにガスバリア性の高い試料を評価するためには、透過側チャンバー内に連通するバルブを閉じず、排気しながら透過側の分圧を測定するのが良い。その場合は次のように試料のガス透過性、すなわちガスバリア性を評価することができる。
排気系の実効排気速度がSeff[m/s]、測定する試料を取り付けて供給側に分圧p[Pa]の評価ガスを導入した後、安定するまで透過側を排気したときの透過側の分圧をp[Pa]、ガスが透過しない試料(例えば金属板)を取り付けたときに想定される透過側の分圧をp[Pa]とする。この時、評価ガスの透過流束J[mol/ms]は、評価ガスの透過によって生じる透過側の分圧の増加△ppb[Pa](=p−p)を用いて、次式(14)によって与えられる。
Figure 2018155678
試料と支持体と高分子フィルムとをあわせたガス透過度Ptot[mol/msPa]は式(3)によって定義されることにより、式(14)を式(3)に代入して、次の式(15)を得る。
Figure 2018155678
試料のガス透過度P[mol/msPa]は、透過側チャンバー内に連通するバルブを閉じた場合と同様、このPtotを用いて、式(10)によって得ることができる。同様に、試料のガス透過度が低くP>>Pの場合、例えば2桁以上違う場合、式(10)は次式(11)のように近似できる。すなわち、試料のガス透過度は式(16)によって与えられる。
Figure 2018155678
評価ガスが水蒸気(分子量18g/mol)の場合、WVTR[g/mday]の単位によって表せば次の通り求められる。
Figure 2018155678
さらに、上記検出部が質量分析装置であるガスバリア性評価装置とするのが良い。
質量分析装置を用いることによって、透過側チャンバー内のガスの分圧を直接評価することが可能となる。供給ガスとして加湿した窒素を用いる場合、水蒸気ばかりでなく窒素もいくらか透過する。このような場合に質量分析装置を用いることによって、水蒸気の分圧を評価することができるため、ガスバリア性の正確な評価が可能になる。なお、水蒸気の透過度は他のガスに比べて一般に大きいことから、質量分析装置ではなく圧力計を用いた場合は、透過側チャンバー内の全圧を水蒸気分圧とみなして近似することができる。
このように透過側チャンバー内の分圧増加から試料のガスバリア性を評価する本発明によれば、高純度キャリアガスが必要ないことから、等圧法の欠点を解決できる。しかも、凹凸のない支持体が使えるため、通常の差圧法にて懸念されている試料変形の欠点も解決できる。その上、試料取付けの際に大気を透過側チャンバー内に巻き込むこともなく、速やかにガスバリア性を評価することが可能となる。
さらに、本発明は透過側チャンバー内にキャリアガスを流す方法であっても利用することができる。その場合も、試料取り付けの際に大気を透過側チャンバー内に巻き込むことがなく速やかにガスバリア性を評価することができる。装置の操作も構造も簡単になり、高感度の検出部を容易に使用可能になるなどの効果も同時に得られる。
以上のように本発明によれば、試料交換時に大気中の水蒸気等の透過側チャンバー内への侵入を抑え、透過側チャンバー内の環境を良好に保ちつつ試料交換が可能となる。その結果、著しく高いガスバリア性を有する試料のガスバリア性を評価する際に、試料交換から測定終了にいたる一連の手順に要する時間を短くすることが可能となる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明のガスバリア性評価装置に係る第1実施形態の測定時の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る第1実施形態の試料交換直前の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る第1実施形態の試料交換時の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る比較例1のガスバリア性測定時の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る比較例1の試料交換直前の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る比較例1の試料交換時の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る第2実施形態の測定時の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る第2実施形態の試料交換直前の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る第2実施形態の試料交換時の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る第3実施形態の試料交換直前の状態を模式的に示した断面図である。 本発明のガスバリア性評価装置に係る実施例1における、外側チャンバー内排気開始後の検出器(質量分析装置)のイオン電流値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る実施例1における、外側チャンバー内排気開始後のWVTR値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る実施例1において、支持体と透過側チャンバーの間の結合が一部損なわれた時の、検出器(質量分析装置)のイオン電流値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る比較例1における、外側チャンバー内排気開始後の検出器(質量分析装置)のイオン電流値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る比較例1における、外側チャンバー内排気開始後のWVTR値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る実施例2における、外側チャンバー内排気開始後の検出器(質量分析装置)のイオン電流値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る実施例2における、外側チャンバー内排気開始後のWVTR値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る実施例3における、外側チャンバー内排気開始後の検出器(質量分析装置)のイオン電流値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る比較例2における、外側チャンバー内排気開始後の検出器(質量分析装置)のイオン電流値の変化を示したグラフである。 本発明のガスバリア性評価装置に係る実施例3における、外側チャンバー内排気開始後の検出器(質量分析装置)のイオン電流値の変化を示したグラフである。
図1に示すように、第1実施形態のガスバリア性評価装置10(10a)は、透過側チャンバー41を有し、その開口部41aに試料1を支える支持体2が結合されている。「結合」とは試料1を交換する際であっても、支持体2と透過側チャンバー41とが一体化しており、支持体2を透過して透過側チャンバー内に流入するガスに比べて、支持体2と透過側チャンバー41との境界を通して流入するガスが少ない状態を維持することをいう。結合手段は、特に限定されないが、例えば、接着剤による固着が挙げられる。例えば、透過側チャンバー41の開口部41aに接着剤を介して高分子を含む支持体2が固着されている。
支持体2は、評価する試料1を支えるため、試料1の形状に合わせた形状とすることが好ましく、試料1が平らなフィルムであることが多いことから、平板状とすることが好ましい。
支持体2が有する高分子は、例えば数平均分子量が1000以上のものをいう。例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン66等が好ましい。上記のうちポリイミドは、水蒸気を含む大気に対する窒素透過速度より乾燥窒素に対する窒素透過速度の方が低いことから、乾燥窒素中にて試料交換することにより、透過側チャンバー内の環境を一層良好に保つことが可能となる。このような観点から、ポリイミドがより好ましい。
支持体2の厚さは、0.1mm〜20mmであり、好ましくは0.2mm〜10mmであり、より好ましくは0.5mm〜2mmである。この厚さがあることによって支持体の強度が保たれ、装置の取扱いが容易になる。薄すぎると供給側と透過側の圧力差によって破損したり撓んだりすることから好ましくない。厚すぎると支持体周囲の断面からのガス透過が無視できなくなり、その解決のため装置が複雑化する。なお、ここで言う厚さとは見かけ上の全体の厚さを意味する。例えば、多数の穴を開けた金属板と高分子板の2枚を重ねて使う場合はその合計の厚さとなる。試料1は、支持体2上に支持され、支持体2と試料1の間に高分子フィルム3が挿入されている。
さらに透過側チャンバー41上には、その開口部41aに供給側チャンバー42の開口部42aが対向するように供給側チャンバー42が配されている。供給側チャンバー42は、透過側チャンバー41に対して支持体2、高分子フィルム3および試料1を挟んで密閉空間を成すように、試料1に対して密着可能、かつ昇降可能に配されている。試料1と高分子フィルム3とは、供給側チャンバー42の開口部42aによって支持体2側に押さえられて固定されている。供給側チャンバー42の昇降は、図示していない昇降手段による。なお、試料1と供給側チャンバー42の開口部42aの間に、気密性を高めるために図示していないガスケットを設けても良い。
上記高分子フィルム3の素材は、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン等が好ましい。そして、熱的安定性や溶解したガスを速やかに放出する高いガス拡散性という観点から、ポリイミドがより好ましい。高分子フィルム3の厚さは、1μm以上100μm以下であり、好ましくは5μm以上60μm以下であり、より好ましくは10μm以上30μm以下である。高分子フィルム3の厚さが薄すぎると試料交換の際に試料1側表面から侵入した水蒸気が試料交換の間に支持体2側から放出され、保護領域4に大気中の水蒸気が到達し、その水蒸気が支持体を経て透過側チャンバーに流入してしまう。高分子フィルム3の厚さが厚すぎると試料1側表面から侵入した水蒸気が支持体2側から十分放出されるまで時間がかかってしまう。
供給側チャンバー42には供給側ガス配管73が接続され、図示していないバルブを介して、排気系統の配管と評価ガス導入系統の配管とが接続されている。
透過側チャンバー41には透過側空間51に通じる透過側ガス配管72が接続され、この透過側ガス配管72にはバルブ62を介して図示していない真空ポンプが接続されている。また透過側チャンバー41には透過側空間51に通じる検出部(質量分析装置)32が接続されている。この検出部32は真空計であっても良いが、質量分析装置であることが望ましい。透過側空間のガスは大半が水蒸気であるが、水素なども含まれている。質量分析装置を用いることによって、透過側空間の水蒸気の濃度を他のガス種と区別して測ることができるため、真空計を用いた場合に比べて信頼性が向上する。しかも、真空中のガスを分析するこのガスバリア性評価方法は、測定するガスの主成分である水蒸気を測ることから測定が容易である。一方、従来技術の等圧法においては、キャリアガス中の微量な水蒸気をppmもしくはそれ以上の感度にして測る必要があることから、高度な技術が必要であった。
さらに、高分子フィルム3と支持体2に挟まれた領域を覆う透過側外側チャンバー81と供給側外側チャンバー82とを有する。透過側外側チャンバー81と供給側外側チャンバー82とによって、高分子フィルム3と支持体2に挟まれた領域が含まれる透過側チャンバー41の外側上側部と供給側チャンバー42の外側に配される外側チャンバー内空間53を覆い、密封を可能にしている。なお、透過側外側チャンバー81の透過側チャンバー41側の周囲は、透過側チャンバー41の外側面にOリング等により封止されている。それによって、外側チャンバー内空間53の密閉をより確実にしている。また透過側外側チャンバー81の開口部81aと供給側外側チャンバー82の開口部82aとは対向していて、例えば図示していないガスケットを介して封止されている。また、図示していない昇降手段によって供給側外側チャンバー82が昇降可能になっている。さらに、透過側外側チャンバー81には、外側チャンバー内空間53に通じる外側チャンバーガス配管75が接続されている。この外側チャンバーガス配管75には排気系統の配管とガス導入系統の配管とが接続されており、図示していない開閉バルブによって二つの系統が切り替えられるようになっている。排気系統の配管には真空ポンプが接続されている。一方、ガス導入系統の配管には図示していない乾燥ガス源が接続されている。乾燥ガス源の乾燥ガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴン等が挙げられ、窒素、アルゴンがより好ましく、分子が大きいため一般に支持体のガス透過度が低いという観点から窒素がさらに好ましい。
図1〜3に示すように、上記のガスバリア性評価装置10(10a)によるガスバリア性評価方法について、以下に説明する。
図1に示すように、支持体2は透過側チャンバー41の開口部41a側に接着剤によって固着して結合されている。支持体2と試料1の間に高分子フィルム3が挿入され、試料1と高分子フィルム3とは供給側チャンバー42の開口部42aによって押さえて支持体2側に固定されている。
測定中、供給側チャンバー42内の供給側空間52に、供給側ガス配管73から水蒸気を導入している。水蒸気は、試料1、高分子フィルム3(3A)および支持体2を透過し、透過側空間51に達する。透過側空間51は透過側ガス配管72を通じて真空ポンプ(図示せず)を用いて排気している。透過側空間51のガス分圧は検出部(質量分析装置)32を用いて測定され、その挙動から試料1のWVTR値を得る。その間、外側チャンバー内空間53は外側チャンバーガス配管75を通じて真空ポンプ(図示せず)を用いて排気している。
ガスバリア性測定が終了した後は供給側ガス配管73を通じて供給側空間52を排気し、十分排気した後、供給側ガス配管73の排気系統の配管を閉じ、供給側チャンバー42を引き上げる。続いて、外側チャンバーガス配管75を通じて乾燥ガスを導入する。その状態を図2に示す。供給側チャンバー42を引き上げた時、上からの押さえがなくなるために、高分子フィルム3と支持体2の間にわずかな空間が自然に形成される。この空間には外側チャンバーガス配管75を通じて導入した乾燥ガスが流入して、保護領域4が形成される。
続いて、供給側外側チャンバー82を引き上げ、供給側外側チャンバー82と透過側外側チャンバー81との間から試料1を取り出す。その状態を図3に示す。その後、次に測定する試料1を高分子フィルム3の上に配置する。この試料1の交換作業では、保護領域4は、ほぼ乾燥ガスに満たされた状態であるため、支持体表面への水蒸気を含む大気成分の侵入がほとんどない。また、外側チャンバー内空間53や供給側空間52に乾燥ガスを導入する際、外側チャンバー内空間53や供給側空間52を大気圧より高い気圧状態になるように、乾燥ガスを導入することが好ましい。こうすることによって、供給側外側チャンバー82を引き上げた際に、大気が外側チャンバー内空間53に入りにくくなり、保護領域4の環境を長時間にわたって維持できる。
試料1の交換が終了した後、供給側外側チャンバー82を降ろして外側チャンバー内空間53を閉じる。これらの試料1の交換作業は素早く行うことが好ましいが、交換作業に時間がかかるのであれば、より厚い高分子フィルム3を用いるなど、装置の設計を工夫すればよい。次に外側チャンバーガス配管75を通じて外側チャンバー内空間53を排気する。この時、連通する供給側空間52も外側チャンバーガス配管75を通じて排気される。さらに、試料交換の際に高分子フィルム3の試料1側から侵入した大気中のガス成分は、この時、高分子フィルム3の試料1側と支持体2側の双方から放出され、外側チャンバーガス配管75を通じて排気される。その結果、大気中のガス成分が透過側空間51に流入するのを防ぐことができる。十分な排気をした後、供給側チャンバー42を降下させて供給側空間52を閉じる。その後、供給側ガス配管73を通じて供給側空間52に水蒸気を導入する。このようにして図1の測定状態に再びなる。検出部(質量分析装置)32を用いて透過側空間51のガス分圧を測定し、その値からWVTR値を得ることができる。
上記ガスバリア性評価装置10aおよびそれを用いたガスバリア性評価方法では、試料1の交換時に支持体2の試料側表面5に乾燥ガスからなる保護領域4が設けられ、大気中の水蒸気が支持体表面5に到達できないようになる。したがって、試料1の交換時に大気中の水蒸気等の透過側空間51への流入を抑えることができる。その結果、透過側空間51の環境を良好に保ちつつ試料1の交換が可能となる。
次に、従来のガスバリア性評価装置10bを比較例として図4〜6を参照して説明する。
図4に示すように、比較例のガスバリア性評価装置10bは、高分子フィルム3がないこと以外は、図1に示した第1実施形態のガスバリア性評価装置10aと同様の構成である。
ガスバリア性測定が終了した後は供給側ガス配管73を通じて供給側空間52を排気し、十分排気した後、供給側ガス配管73の排気系統の配管を閉じ、供給側チャンバー42を引き上げる。続いて、外側チャンバーガス配管75を通じて乾燥ガスを導入する。その状態を図5に示す。供給側チャンバー42を引き上げた時、上からの押さえがなくなるために、試料1と支持体2との間にわずかな空間が自然に形成される。この空間には外側チャンバーガス配管75を通じて導入した周囲の乾燥ガスが流入して、保護領域4が形成される。
続いて、供給側外側チャンバー82を引き上げ、供給側外側チャンバー82と透過側外側チャンバー81との間から試料1を取り出す。その状態を図6に示す。この時、大気が外側チャンバー53内に流入し、支持体表面の領域5に達し、保護領域4が失われる。大気中の水蒸気等のガス成分は支持体2表面から支持体2内に侵入する。このような状態において、次に測定する試料1を支持体2の上に配置する。そして、供給側外側チャンバー82を降ろして外側チャンバー内空間53を閉じた後、外側チャンバーガス配管75を通じて外側チャンバー内空間53を排気する。
この時、連通する供給側空間52内も外側チャンバーガス配管75を通じて排気するが、支持体2に侵入したガス成分は支持体2内を拡散し、支持体2の透過側空間51側の表面から放出される。支持体2の透過側空間51側の表面から放出されなくなるまで、透過側空間51の排気を続けた後、供給側チャンバー42を降下させて供給側空間52を閉じる。
その後、供給側ガス配管73を通じて供給側空間52に水蒸気を導入する。このようにして図4の測定状態に再びなる。そして、検出部(質量分析装置)32を用いて透過側空間51のガス分圧を測定し、その値からWVTR値を得る。
この方法では、支持体2に大気中の水蒸気等のガス成分が侵入してしまうため、それらが透過側空間51側から放出されなくなるまで待つ必要がある。そのため、試料の交換から測定終了にいたる一連の手順に要する時間が長くなり、評価の効率が低くなる。
次に、第2実施形態のガスバリア性評価装置10(10c)について、図7〜9を参照して説明する。ガスバリア性評価装置10cは、上記ガスバリア性評価装置10aにおいて、高分子フィルム3(3B)の形状および設置位置が異なること以外、ガスバリア性評価装置10aの構成と同様である。
まず図7は、ガスバリア性評価装置10cのガスバリア性測定時の状態を示す。
図7に示すように、高分子フィルム3(3B)は透過側外側チャンバー81の開口部に接着剤を用いて固着して結合されている。この高分子フィルム3Bには厚さ方向に貫通する穴6が開けられており、高分子フィルムの厚さ方向にガスが通り抜けられるようになっている。穴6の径は、0.1mm以上10mm以下であり、好ましくは0.5mm以上5mm以下であり、より好ましくは1mm以上3mm以下である。穴6の数は1つであっても良いが、複数あっても構わない。穴6の大きさ、数、配置などは外側チャンバー内空間53内のガスの流れの観点から、適切に設計される。この高分子フィルム3Bは、支持体2上に接触するように配され、その上に試料1が配される。そして、試料1と高分子フィルム3Bとは供給側チャンバー42の開口部42aによって支持体2側に押さえられて固定されている。さらに、外側チャンバー内空間53は外側チャンバーガス配管75を通して排気されている。このように、高分子フィルム3B以外は、第1実施形態のガスバリア性評価装置10aと同じ構成を有する。
ガスバリア性測定が終了した後は供給側ガス配管73を通じて供給側空間52を排気し、十分排気した後、供給側ガス配管73の排気系統の配管を閉じ、供給側チャンバー42を引き上げる。続いて、外側チャンバーガス配管75を通じて乾燥ガスを導入する。乾燥ガスは高分子フィルム3Bの穴6を通じて、外側チャンバー内空間53のうち高分子フィルム3Bの両側ともに流入する。
その状態を図8に示す。供給側チャンバー42を引き上げた時、上からの押さえがなくなるために、高分子フィルム3Bと支持体2との間にわずかな空間が自然に形成される。この空間には外側チャンバーガス配管75を通じて導入した乾燥ガスが流入して、保護領域4が形成される。
続いて、供給側外側チャンバー82を引き上げ、供給側外側チャンバー82と透過側外側チャンバー81との間から試料1を取り出す。その状態を図9に示す。その後、次に測定する試料1を高分子フィルム3Bの上に配置し、供給側外側チャンバー82を降ろして外側チャンバー内空間53を閉じる。その後、外側チャンバーガス配管75を通じて外側チャンバー内空間53を排気する。その際、連通する供給側空間52も外側チャンバーガス配管75を通じて排気される。試料交換の際に高分子フィルム3Bの試料1側から侵入した大気中のガス成分は、この時、高分子フィルム3Bの試料1側と支持体2側の双方から放出され、外側チャンバーガス配管75を通じて排気される。その結果、大気中のガス成分が透過側空間51に流入するのを防ぐことができる。十分な排気をした後、供給側チャンバー42を降下させて供給側空間52を閉じる。その後、供給側ガス配管73を通じて供給側空間52に水蒸気を導入する。このようにして図7の測定状態に再びなる。検出部(質量分析装置)32を用いて透過側空間51のガス分圧を測定し、その値からWVTR値を得ることができる。
このガスバリア性評価装置10cは、上記ガスバリア性評価装置10aと同様の作用効果を得ることができる。それとともに、ガスバリア性評価装置10cでは、以下の作用効果を有する。すなわち、高分子フィルム3Bが透過側外側チャンバー81の開口部81aに固着されているため、高分子フィルム3Bに穴6があるものの、透過側外側チャンバー81は高分子フィルム3Bによって閉空間に近い状態になっている。このような状態において、透過側外側チャンバー81側の外側チャンバーガス配管75から乾燥ガスを導入すると、大気圧よりも高くなり、穴6から高分子フィルム3Bの支持体2側への水蒸気を含む大気の流入を抑えることができる。その結果、試料交換に長い時間がかかっても保護空間4が維持され、透過側空間51の環境を良好に保つことが可能となる。
また、高分子フィルム3Bに穴6が配されていることから、測定後において、外側チャンバーガス配管75から乾燥ガスを導入することによって、穴6を通して供給側外側チャンバー82の外側チャンバー内空間53にも乾燥ガスを送り込むことが可能になる。その際、供給側チャンバー42を上昇させることによって、上昇分の隙間から乾燥ガスが供給側空間52に流入する。したがって、別途、供給側ガス配管73から乾燥ガスを導入する必要はないが、供給側空間52に乾燥ガスをより速く導入したい場合など、供給側ガス配管73から乾燥ガスを導入してもよい。
次に、第3実施形態のガスバリア性評価装置10(10d)について、図10を参照して説明する。ガスバリア性評価装置10dは、上記ガスバリア性評価装置10aにおいて、高分子フィルム3(3C)が高分子フィルム支持リングで支えられていること以外、ガスバリア性評価装置10aの構成と同様である。
高分子フィルム支持リング7は緻密で中央に開口を有する板状材料(アルミニウムやポリプロピレンなど)によって構成されており、この開口部を塞ぐように高分子フィルム3(3C)が接着剤等を用いて固着され、一体化している。さらに、高分子フィルム3Cが支持体2と接するように、高分子フィルム支持リング7は図示していない固定具を用いて透過側チャンバー41に固定されている。高分子フィルム支持リング7と透過側外側チャンバー81の間には隙間が設けてある。
試料交換のために外側チャンバーガス配管75を通して乾燥ガスを導入すると、乾燥ガスの圧力で高分子フィルム3がわずかにたわみ、支持体2との間に保護領域4が形成される。また、透過側外側チャンバー81との間の隙間から高分子フィルム支持リング7の上方に乾燥ガスが流出し、大気の侵入を防いでいる。試料交換の後、外側チャンバーガス配管75を通じて外側チャンバー内空間53を排気する際は、この隙間を通じて連通する供給側空間52も排気される。
このようにすることで、薄い高分子フィルム3を用いて大気の侵入を確実に防ぐことができる。
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
前記図1〜3によって説明したガスバリア性評価装置10(10a)を用いてフィルム状試料(試料1)の測定を行った。
試料1には、厚さが0.1mmであり、表面にバリア層を形成したポリエチレンナフタレートフィルムを用いた。支持体2として厚さ125μmのポリイミド製の板状体と2mmφの穴を多数有する厚さ1mmのステンレス金属板を重ねて用いた。板状ポリイミドフィルムは接着剤を用いて透過側チャンバーに固着して結合した。高分子フィルム3として厚さ13μmのポリイミドフィルムを用いた。2分ほどかけて試料1を交換し、供給側外側チャンバー82を降ろして外側チャンバー内空間53を閉じ、外側チャンバーガス配管75を通じて外側チャンバー内空間53を排気した(図2の状態)。外側チャンバー内空間53の排気を開始してからの時間と検出部(質量分析装置)32の指示値(各ガス種の増減に応じて増減するイオン電流)の関係を図11に示す。図11に示したように、水蒸気、窒素、酸素に対するイオン電流は1時間にわたって変化がみられず、透過側空間51にそれらガス成分の流入がないことが分かる。その後、供給側チャンバー42を降ろして供給側空間52を閉じ、供給側ガス配管73を通じて水蒸気を導入した。その後のWVTR値の変化は図12に示す通りであり、1日が経過すればほぼ安定し、4×10-4g/mdayの値が得られた。
この後、繰り返しガスバリア性を評価したところ、ある時、図13に示すように試料交換の際に検出部(質量分析装置)32の窒素を表す指示値が大きく増加した。ガスバリア性評価装置を停止して調べたところ、支持体2と透過側チャンバー41の間の接着剤による結合が一部損なわれていることが判明した。そこで、支持体2を交換し、接着剤を用いて透過側チャンバー41に結合してバリア性評価装置を再び立ち上げた。検出部(質量分析装置)32は損傷を受けておらず、この後もこれまでと変わらずガスバリア性の評価が可能であった。すなわち、本発明の構造とすることで、支持体と透過側チャンバーの結合が損なわれた時の特段の安全対策が必要ないことが分かる。
[比較例1]
前記図4〜6によって説明したガスバリア性評価装置10(10b)を用いて実施例1と同様のフィルム状試料(試料1)の測定を行った。ガスバリア性評価装置10bは前記ガスバリア性評価装置10aにおいて高分子フィルム3を用いていないこと以外ガスバリア性評価装置10aと同様のものである。
図14に示すように、外側チャンバー内空間53の排気を開始してからの時間と検出部(質量分析装置)32のイオン電流との関係は、10分ごろから水蒸気および酸素に対するイオン電流が増大し、透過側空間51にそれらのガス成分が流入していることが分かる。その後もとのレベルに落ち着くまでに約1日を要した。
実施例1と比較例1との比較から、実施例1のように高分子フィルム3を用いることによって、試料交換の際の大気中のガス成分の透過側空間51への流入が抑えられ、速やかに水蒸気を導入して測定を始められることが分かった。
なお、その後、供給側チャンバー42を動かして供給側空間52を閉じ、供給側ガス配管73を通じて水蒸気を導入した。その結果、WVTR値の変化は図15に示した通りであり、5日ほど経過してほぼ安定し、実施例1と同じ4×10-4g/mdayの値が得られた。
さらに支持体2を持たないこと以外は比較例1と同じ構造の装置において、フィルム状試料1として厚さ40μmのセロファンを用いたところ、水蒸気を供給側空間52に導入した際に、試料1が破れて透過側空間51に水蒸気が侵入した。その結果、検出器(質量分析装置)32のフィラメントが断線し、交換が必要であった。すなわち、従来の装置では試料1の破損や支持体2と透過側チャンバー41の結合が損なわれたときの安全対策が必要であることが分かる。
[実施例2]
試料1として実施例1とは異なるフィルム状試料として厚さが0.1mmであり、表面にバリア層を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は実施例1と同じ装置、同じ手順によって評価を行った。
外側チャンバー内空間53の排気を開始してからの時間と検出部(質量分析装置)32のイオン電流値の関係を図16に示す。水蒸気、窒素、酸素に対するイオン電流値は1時間近くにわたって変化がみられず、透過側空間51にそれらガス成分の流入がないことが分かった。
この結果から、実施例1とは異なる試料についても同様に大気中のガス成分の透過側空間51への流入を抑えられることが分かった。
その後、供給側チャンバー42を降ろして供給側空間52を閉じ、供給側ガス配管73を通じて水蒸気を導入した。その結果、WVTR値の変化は図17に示した通りであり、5日ほど経過して安定し、2×10−5g/mdayの値が得られた。
[実施例3]
本発明の効果の本質を把握するため、試料1を用いず、実施例1と同じ装置、同じ手順によって試験を行った。
まず図1に示したように、ガスバリア性測定が終了したとして、供給側ガス配管73を通じて供給側空間52を排気し、十分排気した後、供給側ガス配管73の排気系統の配管を閉じ、供給側チャンバー42を引き上げた。その後、外側チャンバーガス配管75を通じて乾燥ガスを導入した。供給側チャンバー42を引き上げた時、上からの押さえがなくなるために高分子フィルム3と支持体2との間にわずかな空間が自然に形成され、そこに外側チャンバーガス配管75を通じて導入した周囲の乾燥ガスが流入して、保護領域4が形成されている。この状態は図2に示した装置状態に対応している。
続いて供給側外側チャンバー82を引き上げた。その状態は図3に対応している。試料の交換を模擬し、90秒間保持した後、供給側外側チャンバー82を降ろして外側チャンバー内空間53を閉じ、外側チャンバーガス配管75を通じて外側チャンバー内空間53を排気した。これは図2に示した状態に対応している。外側チャンバー内空間53の排気を開始してからの時間と検出部(質量分析装置)32のイオン電流値の関係を図18に示す。図18に示すように、水蒸気、窒素、酸素に対するイオン電流値は24時間にわたって変化がみられず、透過側空間51にそれらガス成分の侵入がないことが明らかとなった。窒素がわずかに見られるがその変化は大きくなかった。
[比較例2]
試料1を用いず、前記図4〜6によって説明した高分子フィルム3を用いないガスバリア性評価装置10bを用いて、前述の実施例3と同様の手順によって試験を行った。
外側チャンバー内空間53の排気を開始してからの時間と検出部(質量分析装置)32のイオン電流値の関係を図19に示す。排気開始後10分程度から水蒸気、窒素、酸素に対するイオン電流値が上昇し、これらのガスが透過側空間51に流入していることが分かった。8時間排気を続け、酸素のイオン電流値は排気前の水準まで戻ったが、水蒸気や窒素については元の水準に戻っていなかった。この試験と実施例3の比較から、高分子フィルム3を用いることによって大気中のガス成分の透過側空間51への侵入を防ぐことができることが明らかとなった。
[実施例4]
本発明の効果の本質を把握するため、前記図10によって説明したガスバリア性評価装置10(10d)を用いて試験を行った。
まず試料交換のために供給側ガス配管73を通じて供給側空間52を排気し、十分排気した後、供給側ガス配管73の排気系統の配管を閉じ、供給側チャンバー42を引き上げた。その後、外側チャンバーガス配管75を通じて乾燥ガスを導入した。供給側チャンバー42を引き上げた時、上からの押さえがなくなるために高分子フィルム3と支持体2との間にわずかな空間が自然に形成され、そこに外側チャンバーガス配管75を通じて導入した乾燥ガスが流入して、保護領域4が形成されている。この状態は図10に示した装置状態に対応している。
続いて供給側外側チャンバー82を引き上げた。約30秒で試料を交換した後、供給側外側チャンバー82を降ろして外側チャンバー内空間53を閉じ、外側チャンバーガス配管75を通じて外側チャンバー内空間53を排気した。外側チャンバー内空間53の排気を開始してからの時間と検出部(質量分析装置)32のイオン電流値の関係を図20に示す。図20に示すように、水蒸気に対するイオン電流値は24時間にわたって変化がみられず、透過側空間51にそれらガス成分の侵入がないことが明らかとなった。すなわち、ガスバリア性評価装置10(10d)の装置においても本発明の効果が得られることが明らかとなった。
本発明をその実施形態および実施例とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2017年2月27日に日本国で特許出願された特願2017−035207に基づく優先権を主張するものであり、これらはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 試料
2 支持体
3、3A、3B、3C 高分子フィルム
4 保護領域
5 支持体表面の領域
6 穴
7 高分子フィルム支持リング
10 ガスバリア性評価装置
32 検出部(質量分析装置)
41 透過側チャンバー
41a 透過側チャンバーの開口部
42 供給側チャンバー
42a 供給側チャンバーの開口部
51 透過側空間
52 供給側空間
53 外側チャンバー内空間
62 バルブ
72 透過側ガス配管
73 供給側ガス配管
75 外側チャンバーガス配管
81 透過側外側チャンバー
81a 透過側外側チャンバーの開口部
82 供給側外側チャンバー
82a 供給側外側チャンバーの開口部

Claims (7)

  1. 高分子を有する支持体と透過側チャンバーと検出部とを備え、
    前記支持体が試料を支えていてかつ前記透過側チャンバーの開口部と結合しているガスバリア性評価装置であって、
    前記支持体と前記試料との間に高分子フィルムを有し、
    前記試料に密着可能、かつ昇降可能に配した供給側チャンバーと、
    前記高分子フィルムと前記支持体に挟まれた領域を覆う外側チャンバーとを有するガスバリア性評価装置。
  2. 前記外側チャンバーに乾燥ガス源が接続されている請求項1に記載のガスバリア性評価装置。
  3. 前記支持体がポリイミドである請求項1または2に記載のガスバリア性評価装置。
  4. 前記高分子フィルムが、中央に開口部を有する高分子フィルム支持リングの該開口部を塞ぎ、該高分子フィルム支持リングに固着されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性評価装置。
  5. 高分子を有する支持体と透過側チャンバーと検出部とを備え、
    前記支持体の表面側が試料を支えていて、前記支持体の裏面側が前記透過側チャンバーの開口部と結合しているガスバリア性評価装置を用いたガスバリア性評価方法であって、
    前記支持体と前記試料との間に高分子フィルムを配し、
    前記試料の交換時に、前記支持体と前記高分子フィルムとの間に乾燥ガスからなる保護領域を設けるガスバリア性評価方法。
  6. 前記高分子フィルムと前記支持体に挟まれた領域を大気から隔離する外側チャンバーを有し、
    前記試料の交換時に前記外側チャンバーに乾燥ガスを導入して前記保護領域を設ける請求項5に記載のガスバリア性評価方法。
  7. 前記支持体がポリイミドである請求項5または6に記載のガスバリア性評価方法。
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