JPWO2018135016A1 - 酢酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

簡易な手段で製品酢酸中のギ酸濃度を低減できる方法を提供する。本発明の酢酸の製造方法では、酢酸の製造プロセスにおいて、下記(i)の操作条件を満たす工程及び下記(ii)の操作条件を満たす工程から選択される少なくとも1つの工程を有することを特徴とする。(i)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が175℃を超える操作条件(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件

Description

本発明は、酢酸を製造する方法に関する。本願は、2017年1月18日に日本に出願した特願2017−006647号、及び、2017年3月2日に日本に出願した特願2017−039391号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
酢酸の工業的製造法としてメタノール法カルボニル化プロセスが知られている。このプロセスでは、例えば、反応槽でメタノールと一酸化炭素とを触媒の存在下で反応させて酢酸を生成させ、反応混合物を蒸発槽で蒸発させ、その蒸気相を脱低沸塔、続いて脱水塔で精製して酢酸が製品化されるか、あるいは脱水塔に引き続いて脱高沸塔やさらには製品塔を経由して酢酸が製品化される。
このような酢酸製造プロセスにおいて、反応槽でギ酸が副生する。ギ酸は製品酢酸の純度を低下させるため極力少ない方がよい。特許文献1及び2には、一酸化炭素と水との反応によりギ酸が生成すること、そのため反応媒体中の水濃度を低いレベルにコントロールすることにより製品酢酸中のギ酸濃度を低減できることが開示されている。しかしながら、反応媒体中の水濃度が低下すると触媒が不安定になりやすいという問題がある。
米国特許出願公開第2008/0293966号明細書 米国特許出願公開第2008/0293967号明細書
本発明の目的は、簡易な手段で製品酢酸中のギ酸濃度を低減できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、ギ酸生成のメカニズムを探るべく鋭意検討した結果、水素及び二酸化炭素が存在している主に反応槽、蒸発槽、脱低沸塔では少なからずギ酸が生成していること、水素分圧及び二酸化炭素分圧が高いほどギ酸が生成すること、また温度が高いほどギ酸の生成は抑制されること、これらのことから、H2+CO2 ⇔ HCOOHの平衡反応の存在が推定されること等の知見を得た。そこで、さらに検討を加え、ギ酸の生成を抑制するためには、低水素分圧、低二酸化炭素分圧、高温度に保つことが望ましいこと、ギ酸を含むプロセス液を反応槽、蒸発槽、蒸留塔にリサイクルして、低水素分圧、低二酸化炭素分圧、高温度に保つことにより、ギ酸を分解できること、ギ酸は酢酸より沸点が低いため各蒸留塔の塔頂に濃縮することから、蒸留塔の塔頂液を反応系や当該蒸留塔よりも上流に位置する蒸留塔にリサイクルすることにより、ギ酸を分解できること等を見出した。本発明はこれらの知見に基づき、さらに検討を重ねて完成したものである。
すなわち、本発明は、酢酸の製造プロセスにおいて、下記(i)の操作条件を満たす工程及び下記(ii)の操作条件を満たす工程から選択される少なくとも1つの工程を有することを特徴とする酢酸の製造方法を提供する。
(i)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が175℃を超える操作条件
(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件
前記(ii)において、水素分圧が1kPa(絶対圧)以下、且つ二酸化炭素分圧が2kPa(絶対圧)未満であってもよい。
本発明の酢酸の製造方法では、前記(i)の操作条件を満たす反応工程を有していてもよい。この場合、前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が30質量%以上、ギ酸濃度が102質量ppm以下であってもよい。また、前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が50〜90質量%、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%、水濃度が0.1〜15質量%、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%、ギ酸濃度が102質量ppm以下であってもよい。
本発明の酢酸の製造方法では、前記(ii)の操作条件を満たす蒸発工程又は蒸留工程を有していてもよい。前記蒸発工程において、蒸発槽への仕込液中の酢酸濃度が50〜90質量%、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%、水濃度が0.1〜15質量%、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%、ギ酸濃度が10000質量ppm以下であってもよい。また、前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上、ギ酸濃度が5質量ppm以上であってもよい。また、前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が40〜85質量%、ヨウ化メチル濃度が2〜50質量%、水濃度が0.2〜20質量%、酢酸メチル濃度が0.2〜50質量%、ギ酸濃度が5〜10000質量ppmであってもよい。さらに、前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が80〜99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01〜16質量%、水濃度が0.05〜18質量%、酢酸メチル濃度が0.01〜16質量%、ギ酸濃度が5〜10000質量ppmであってもよい。また、前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が99.1〜99.999質量%、ギ酸濃度が5〜9000質量ppmであってもよい。
本発明の酢酸の製造方法では、酢酸の製造プロセスが、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程、前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を蒸気流と残液流とに分離する蒸発工程、及び前記蒸気流を蒸留に付して低沸成分に富むオーバーヘッド流と酢酸に富む第1酢酸流とに分離する脱低沸工程を有しているか、又は、これらの工程に加えて、さらに下記(a)〜(d)の少なくとも1つの工程を有していてもよい。
(a)前記第1酢酸流を蒸留して、水に富むオーバーヘッド流と、第1酢酸流よりも酢酸が富化された第2酢酸流とに分離する脱水工程
(b)前記第1若しくは第2酢酸流を蒸留して、高沸成分に富む缶出流と、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第3酢酸流とに分離する脱高沸工程
(c)前記第1若しくは第2若しくは第3酢酸流をイオン交換樹脂で処理して第4酢酸流を得る吸着除去工程
(d)前記第1若しくは第2若しくは第3若しくは第4酢酸流を蒸留して、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第5酢酸流を得る製品工程
この場合、前記カルボニル化反応工程が、前記(i)の操作条件を満たしていてもよい。また、前記蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程、脱高沸工程及び製品工程から選択された少なくとも1つの工程が、前記(ii)の操作条件を満たしていてもよい。
本発明の酢酸の製造方法では、前記(i)の操作条件を満たす工程又は前記(ii)の操作条件を満たす工程における滞留時間は、1分以上であることが好ましい。
本発明の酢酸の製造方法では、ギ酸濃度が10質量ppm以上のプロセス液を、水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たす工程にリサイクルしてもよい。
本発明の酢酸の製造方法では、酢酸の製造プロセスが少なくとも1つの蒸留工程を有しており、当該少なくとも1つの蒸留工程における蒸留塔の塔頂液を前記(i)の操作条件を満たす工程及び/又は前記(ii)の操作条件を満たす工程にリサイクルしてもよい。この場合、前記蒸留塔の塔頂液のリサイクル先が反応工程及び/又は当該蒸留塔に係る蒸留工程よりも上流に位置する蒸発工程若しくは蒸留工程であってもよい。
本発明によれば、特定の操作条件を満たす工程を有するので、ギ酸の生成を抑制したり、生成したギ酸を効率よく分解できる。そのため、製品酢酸中のギ酸濃度を簡易に低減できる。
本発明の一実施形態を示す酢酸製造フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムの一例を示す概略フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムの他の例を示す概略フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムのさらに他の例を示す概略フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムのさらに他の例を示す概略フロー図である。
本発明の酢酸の製造方法では、酢酸の製造プロセスにおいて、下記(i)の操作条件を満たす工程及び下記(ii)の操作条件を満たす工程から選択される少なくとも1つの工程を有する。
(i)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が175℃を超える操作条件
(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件
このような操作条件を満たす工程では、ギ酸の生成が効果的に抑制されるとともに、当該工程への供給液中のギ酸が効率よく分解される。これは、H2+CO2 ⇔ HCOOHの平衡反応が存在し、上記操作条件ではこの平衡が左にシフトするためと推測される。上記操作条件を満たす工程は、反応工程、蒸発工程、蒸留工程等のいずれであってもよい。
なお、本明細書において、「水素分圧」、「二酸化炭素分圧」とは、当該工程で用いられる装置又は設備(反応器、蒸発器、蒸留塔など)の気相部における当該成分の分圧を意味する。蒸留塔においては、少なくとも1つの段(例えば、缶底段、仕込段又は最上段)の気相部での分圧が上記範囲にあればよいが、仕込段から最上段の間の各段の気相部の分圧が上記範囲にあることが好ましく、缶底段から最上段の間の各段の気相部の分圧が上記範囲にあることがさらに好ましい。また、「操作温度」とは、当該工程で用いられる装置又は設備(反応器、蒸発器、蒸留塔など)の液相部又は気相部の温度を意味する。蒸留塔においては、少なくとも1つの段(例えば、缶底段、仕込段又は最上段)の液相部又は気相部の温度が上記範囲にあればよいが、仕込段から最上段の間の各段の液相部又は気相部の温度が上記範囲にあることが好ましく、缶底段から最上段の間の各段の液相部又は気相部の温度が上記範囲にあることがさらに好ましい。
前記(i)において、水素分圧(絶対圧)は、500kPa未満であればよいが、好ましくは400kPa以下、より好ましくは300kPa以下、さらに好ましくは200kPa以下、特に好ましくは150kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaであるが、水素分圧(絶対圧)を1kPa超(あるいは5kPa超)としてもよい。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、70kPa未満であればよいが、好ましくは60kPa以下、より好ましくは50kPa以下、さらに好ましくは40kPa以下、特に好ましくは30kPa以下である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaであるが、2kPa(あるいは20kPa)であってもよい。操作温度は、175℃を超える温度であればよいが、好ましくは178℃以上、より好ましくは181℃以上、さらに好ましくは184℃以上である。操作温度の上限は、例えば250℃、好ましくは230℃、より好ましくは200℃である。
前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)は、5kPa以下であればよいが、好ましくは4kPa以下、より好ましくは3kPa以下、さらに好ましくは2kPa以下、特に好ましくは1kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、20kPa未満であればよいが、好ましくは18kPa以下、より好ましくは16kPa以下、さらに好ましくは14kPa以下、特に好ましくは12kPa以下である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。操作温度は、100℃を超える温度であればよいが、好ましくは102℃以上、より好ましくは104℃以上、さらに好ましくは106℃以上、特に好ましくは112℃以上である。操作温度の上限は、例えば250℃、好ましくは200℃、より好ましくは175℃である。
前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が1kPa以下、且つ二酸化炭素分圧(絶対圧)が2kPa未満であってもよい。この場合において、水素分圧(絶対圧)の上限は、好ましくは0.9kPa、より好ましくは0.8kPaである。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)の上限は、好ましくは1.8kPa、より好ましくは1.5kPa、さらに好ましくは1.0kPa、特に好ましくは0.5kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。
前記(i)の操作条件を満たす工程として、例えば、反応工程が挙げられる。この場合、前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜90質量%)、ギ酸濃度が102質量ppm以下(0〜102質量ppm)であることが好ましい。さらに好ましくは、前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が50〜90質量%(例えば60〜80質量%)、金属触媒濃度(金属換算)が200〜5000質量ppm(例えば400〜2000質量ppm)、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%(例えば5〜15質量%)、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%(例えば5〜20質量%)、水濃度が0.1〜15質量%(例えば0.8〜10質量%)、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%(例えば1〜10質量%)、ギ酸濃度が85質量ppm以下(0〜85質量ppm)である。
前記(ii)の操作条件を満たす工程として、例えば、蒸発工程又は蒸留工程が挙げられる。前記(ii)の操作条件を満たす蒸発工程においては、蒸発槽への仕込液中の酢酸濃度が50〜90質量%(例えば60〜80質量%)、金属触媒濃度(金属換算)が200〜5000質量ppm(例えば400〜2000質量ppm)、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%(例えば5〜15質量%)、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%(例えば5〜20質量%)、水濃度が0.1〜15質量%(例えば0.8〜10質量%)、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%(例えば1〜10質量%)、ギ酸濃度が10000質量ppm以下(例えば0〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)であってもよい。
前記(ii)の操作条件を満たす蒸留工程においては、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度が5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)であってもよい。また、前記蒸留工程においては、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が40〜85質量%(例えば50〜75質量%)、ヨウ化メチル濃度が2〜50質量%(例えば5〜30質量%)、水濃度が0.2〜20質量%(例えば1〜15質量%)、酢酸メチル濃度が0.2〜50質量%(例えば2〜30質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)であってもよい。さらに、前記蒸留工程においては、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が80〜99.9質量%(例えば90〜99.9質量%、好ましくは93〜99質量%)、ヨウ化メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、水濃度が0.05〜18質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、酢酸メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)であってもよい。さらにまた、前記蒸留工程においては、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が99.1〜99.999質量%、ギ酸濃度が5〜9000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)であってもよい。
上記酢酸の製造方法においては、酢酸の製造プロセスが、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程、前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を蒸気流と残液流とに分離する蒸発工程、及び前記蒸気流を蒸留に付して低沸成分に富むオーバーヘッド流と酢酸に富む第1酢酸流とに分離する脱低沸工程を有していてもよい。また、これらの工程に加えて、下記(a)〜(d)の少なくとも1つの工程を有していてもよい。
(a)前記第1酢酸流を蒸留して、水に富むオーバーヘッド流と、第1酢酸流よりも酢酸が富化された第2酢酸流とに分離する脱水工程
(b)前記第1若しくは第2酢酸流を蒸留して、高沸成分に富む缶出流と、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第3酢酸流とに分離する脱高沸工程
(c)前記第1若しくは第2若しくは第3酢酸流をイオン交換樹脂で処理して第4酢酸流を得る吸着除去工程
(d)前記第1若しくは第2若しくは第3若しくは第4酢酸流を蒸留して、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第5酢酸流を得る製品工程
前記カルボニル化反応工程は、前記(i)の操作条件を満たしていてもよい。また、前記蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程、脱高沸工程及び製品工程から選択された少なくとも1つの工程(好ましくは脱低沸工程、さらに好ましくは脱低沸工程と脱水工程、あるいは蒸発工程と脱低沸工程、特に好ましくは蒸発工程と脱低沸工程と脱水工程)は、前記(ii)の操作条件を満たしていてもよい。
本発明の酢酸の製造方法においては、前記操作条件(i)、(ii)を満たす工程における滞留時間は、1分以上(例えば5分以上、特に10分以上)であることが好ましい。前記滞留時間の上限は、例えば2時間、好ましくは1時間である。前記操作条件(i)又は(ii)のもとに所定時間おくことにより、系内に入ったギ酸を確実に分解できる。
本発明の酢酸の製造方法においては、ギ酸濃度が10質量ppm以上(例えば10〜10000質量ppm、好ましくは15〜1000質量ppm、さらに好ましくは20〜200質量ppm)のプロセス液を前記操作条件(i)を満たす工程及び/又は(ii)を満たす工程(例えば、反応工程、蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程など)にリサイクルしてもよい。このようなプロセス液を前記工程にリサイクルすることにより、プロセス液中のギ酸を効率よく分解できる。
本発明の酢酸の製造方法においては、酢酸の製造プロセスが少なくとも1つの蒸留工程を有しており、当該少なくとも1つの蒸留工程における蒸留塔の塔頂液を、前記操作条件(i)を満たす工程及び/又は(ii)を満たす工程にリサイクルしてもよい。操作条件(i)を満たす工程、操作条件(ii)を満たす工程として、例えば、反応工程、蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程などが挙げられる。この場合、前記蒸留塔の塔頂液のリサイクル先は、反応工程であるか、当該蒸留塔に係る蒸留工程よりも上流に位置する蒸発工程若しくは蒸留工程であることが好ましい。ギ酸は酢酸よりも沸点が低いため塔頂に濃縮されるところ、蒸留塔の塔頂液を前記操作条件(i)を満たす工程及び/又は(ii)を満たす工程にリサイクルすることにより、塔頂液中のギ酸を効率よく分解できる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す酢酸製造フロー図(メタノール法カルボニル化プロセス)の一例である。この酢酸製造フローに係る酢酸製造装置は、反応槽1と、蒸発槽2と、蒸留塔3と、デカンタ4と、蒸留塔5と、蒸留塔6と、イオン交換樹脂塔7と、スクラバーシステム8と、アセトアルデヒド分離除去システム9、コンデンサ1a,2a,3a,5a,6aと、熱交換器2bと、リボイラー3b,5b,6bと、ライン11〜56、ポンプ57とを備え、酢酸を連続的に製造可能に構成されている。本実施形態の酢酸の製造方法では、反応槽1、蒸発槽2、蒸留塔3、蒸留塔5、蒸留塔6、及びイオン交換樹脂塔7において、それぞれ、反応工程、蒸発工程(フラッシュ工程)、第1蒸留工程、第2蒸留工程、第3蒸留工程、及び吸着除去工程が行われる。第1蒸留工程は脱低沸工程、第2蒸留工程は脱水工程、第3蒸留工程は脱高沸工程ともいう。なお、本発明において、工程は上記に限らず、特に、蒸留塔5、蒸留塔(脱高沸塔)6、イオン交換樹脂塔7、アセトアルデヒド分離除去システム9(脱アセトアルデヒド塔など)の設備は付帯しない場合がある。また、後述するように、イオン交換樹脂塔7の下流に製品塔を設けてもよい。
反応槽1は、反応工程を行うためのユニットである。この反応工程は、下記の化学式(1)で示される反応(メタノールのカルボニル化反応)によって酢酸を連続的に生成させるための工程である。酢酸製造装置の定常稼働状態において、反応槽1内には、例えば撹拌機によって撹拌されている反応混合物が存在する。反応混合物は、原料であるメタノール及び一酸化炭素と、金属触媒と、助触媒と、水と、製造目的である酢酸と、各種の副生成物とを含み、液相と気相とが平衡状態にある。
CH3OH + CO → CH3COOH (1)
反応混合物中の原料は、液体状のメタノール及び気体状の一酸化炭素である。メタノールは、メタノール貯留部(図示略)からライン11を通じて反応槽1に所定の流量で連続的に供給される。一酸化炭素は、一酸化炭素貯留部(図示略)からライン12を通じて反応槽1に所定の流量で連続的に供給される。一酸化炭素は必ずしも純粋な一酸化炭素でなくてもよく、例えば窒素、水素、二酸化炭素、酸素等の他のガスが少量(例えば5質量%以下、好ましくは1質量%以下)含まれていてもよい。
反応混合物中の金属触媒は、メタノールのカルボニル化反応を促進するためのものであり、例えばロジウム触媒やイリジウム触媒を使用することができる。ロジウム触媒としては、例えば、化学式[Rh(CO)22-で表されるロジウム錯体を使用することができる。イリジウム触媒としては、例えば化学式[Ir(CO)33-で表されるイリジウム錯体を使用することができる。金属触媒としては金属錯体触媒が好ましい。反応混合物中の触媒の濃度(金属換算)は、反応混合物の液相(反応混合液)全体に対して、例えば200〜10000質量ppmであり、好ましくは300〜5000質量ppm、さらに好ましくは400〜2000質量ppmである。
助触媒は、上述の触媒の作用を補助するためのヨウ化物であり、例えば、ヨウ化メチルやイオン性ヨウ化物が使用される。ヨウ化メチルは、上述の触媒の触媒作用を促進する作用を示し得る。ヨウ化メチルの濃度は、反応混合物の液相全体に対して例えば1〜20質量%(好ましくは5〜15質量%)である。イオン性ヨウ化物は、反応液中でヨウ化物イオンを生じさせるヨウ化物(特に、イオン性金属ヨウ化物)であり、上述の触媒を安定化させる作用や、副反応を抑制する作用を示し得る。イオン性ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属ヨウ化物などが挙げられる。反応混合物中のイオン性ヨウ化物の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば1〜25質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。また、例えばイリジウム触媒などを用いる場合は、助触媒として、ルテニウム化合物やオスミウム化合物を用いることもできる。これらの化合物の使用量は総和で、例えばイリジウム1モル(金属換算)に対して、0.1〜30モル(金属換算)、好ましくは0.5〜15モル(金属換算)である。
反応混合物中の水は、メタノールのカルボニル化反応の反応機構上、酢酸を生じさせるのに必要な成分であり、また、反応系の水溶性成分の可溶化のためにも必要な成分である。反応混合物中の水の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば0.1〜15質量%であり、好ましくは0.8〜10質量%、さらに好ましくは1〜6質量%、特に好ましくは1.5〜4質量%である。水濃度は、酢酸の精製過程での水の除去に要するエネルギーを抑制して酢酸製造の効率化を進めるうえでは15質量%以下が好ましい。水濃度を制御するために、反応槽1に対して所定流量の水を連続的に供給してもよい。
反応混合物中の酢酸は、酢酸製造装置の稼働前に反応槽1内に予め仕込まれた酢酸、及び、メタノールのカルボニル化反応の主生成物として生じる酢酸を含む。このような酢酸は、反応系では溶媒として機能し得る。反応混合物中の酢酸の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば50〜90質量%であり、好ましくは60〜80質量%である。
反応混合物に含まれる主な副生成物としては、例えば酢酸メチルが挙げられる。この酢酸メチルは、酢酸とメタノールとの反応によって生じ得る。反応混合物中の酢酸メチルの濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば0.1〜30質量%であり、好ましくは1〜10質量%である。反応混合物に含まれる副生成物としては、ヨウ化水素も挙げられる。このヨウ化水素は、上述のような触媒や助触媒が使用される場合、メタノールのカルボニル化反応の反応機構上、不可避的に生じることとなる。反応混合物中のヨウ化水素の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば0.01〜2質量%である。また、副生成物としては、例えば、水素、メタン、二酸化炭素、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、ジメチルエーテル、アルカン類、ギ酸、プロピオン酸、並びに、ヨウ化ヘキシル及びヨウ化デシルなどのヨウ化アルキル等が挙げられる。また、反応混合物には、装置の腐食により生じる鉄、ニッケル、クロム、マンガン、モリブデンなどの金属(以下、「腐食性金属」と称する場合がある)、及びその他の金属としてコバルトや亜鉛、銅などが含まれ得る。上記腐食性金属とその他の金属とを併せて「腐食金属等」と称する場合がある。これらの副生成物や腐食金属等の不純物の総含有量は、反応混合物の液相全体に対して、例えば1質量ppm〜1質量%である。したがって、この酢酸製造プロセスにおけるプロセス液は、上記不純物をトータルで、例えば1質量ppm〜1質量%程度含みうる。なお、反応混合物中のギ酸の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば0〜102質量ppm、好ましくは0〜85質量ppm、さらに好ましくは0〜50質量ppmである。
以上のような反応混合物が存在する反応槽1内において、反応温度は例えば150〜250℃に設定され、全体圧力としての反応圧力は例えば2.0〜3.5MPa(絶対圧)に設定され、一酸化炭素分圧は、例えば0.4〜1.8MPa(絶対圧)、好ましくは0.6〜1.5MPa(絶対圧)に設定される。
装置稼働時の反応槽1内の気相部の蒸気には、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸及びプロピオン酸などが含まれる。この蒸気は、反応槽1内からライン13を通じて抜き取ることが可能である。蒸気の抜き取り量の調節によって、反応槽1内の圧力を制御することが可能であり、例えば、反応槽1内の圧力は一定に維持される。反応槽1内から抜き取られた蒸気は、コンデンサ1aへと導入される。
コンデンサ1aは、反応槽1からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸及びプロピオン酸などを含み、コンデンサ1aからライン14を通じて反応槽1へと導入され、リサイクルされる。ガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含み、コンデンサ1aからライン15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。スクラバーシステム8では、コンデンサ1aからのガス分から有用成分(例えばヨウ化メチル、水、酢酸メチル、酢酸など)が分離回収される。この分離回収には、本実施形態では、ガス分中の有用成分を捕集するための吸収液を使用して行う湿式法が利用される。吸収液としては、少なくとも酢酸及び/又はメタノールを含む吸収溶媒が好ましい。吸収液には酢酸メチルが含まれていてもよい。例えば、吸収液として後述の蒸留塔6からの蒸気の凝縮分を使用できる。分離回収には、圧力変動吸着法を利用してもよい。分離回収された有用成分(例えばヨウ化メチルなど)は、スクラバーシステム8からリサイクルライン48を通じて反応槽1へと導入され、リサイクルされる。有用成分を捕集した後のガスはライン49を通じて廃棄される。なお、ライン49から排出されるガスは、後述する蒸発槽2の底部あるいは残液流リサイクルライン18,19へ導入するCO源として利用することができる。スクラバーシステム8での処理及びその後の反応槽1へのリサイクル及び廃棄については、他のコンデンサからスクラバーシステム8へと供給される後記のガス分についても同様である。本発明の製造方法においては、プロセスからのオフガスを、少なくとも酢酸を含む吸収溶媒で吸収処理して、一酸化炭素に富むストリームと酢酸に富むストリームとを分離するスクラバー工程を有することが好ましい。
装置稼働時の反応槽1内では、上述のように、酢酸が連続的に生成する。そのような酢酸を含む反応混合物が、連続的に、反応槽1内から所定の流量で抜き取られてライン16を通じて次の蒸発槽2へと導入される。
本発明では、上記反応槽1を用いた反応工程は、前記(i)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が175℃を超える操作条件を満たすことが好ましい。この場合、水素分圧(絶対圧)は、500kPa未満であればよいが、好ましくは400kPa以下、より好ましくは300kPa以下、さらに好ましくは200kPa以下、特に好ましくは150kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaであるが、水素分圧(絶対圧)を1kPa超(あるいは5kPa超)としてもよい。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、70kPa未満であればよいが、好ましくは60kPa以下、より好ましくは50kPa以下、さらに好ましくは40kPa以下、特に好ましくは30kPa以下である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaであるが、2kPa(あるいは20kPa)であってもよい。操作温度は、175℃を超える温度であればよいが、好ましくは178℃以上、より好ましくは181℃以上、さらに好ましくは184℃以上である。操作温度の上限は、例えば250℃、好ましくは230℃、より好ましくは200℃である。反応槽1を用いた反応工程が前記操作条件(i)を満たすことにより、反応槽1中でのギ酸の生成が抑制される。また、反応槽1にギ酸を含む液が導入されると、ギ酸が効率よく分解される。
蒸発槽2は、蒸発工程(フラッシュ工程)を行うためのユニットである。この蒸発工程は、ライン16(反応混合物供給ライン)を通じて蒸発槽2に連続的に導入される反応混合物を、部分的に蒸発させることによって蒸気流(揮発相)と残液流(低揮発相)とに分けるための工程である。反応混合物を加熱することなく圧力を減じることによって蒸発を生じさせてもよいし、反応混合物を加熱しつつ圧力を減じることによって蒸発を生じさせてもよい。蒸発工程において、蒸気流の温度は例えば100〜260℃、好ましくは120〜200℃であり、残液流の温度は例えば80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、槽内圧力は例えば50〜1000kPa(絶対圧)である。また、蒸発工程にて分離される蒸気流及び残液流の割合に関しては、質量比で、例えば10/90〜50/50(蒸気流/残液流)である。本工程で生じる蒸気は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸及びプロピオン酸などを含み、蒸発槽2内からライン17(蒸気流排出ライン)に連続的に抜き取られる。蒸発槽2内から抜き取られた蒸気流の一部はコンデンサ2aへと連続的に導入され、当該蒸気流の他の一部はライン21を通じて次の蒸留塔3へと連続的に導入される。前記蒸気流の酢酸濃度は、例えば50〜85質量%、好ましくは55〜75質量%である。本工程で生ずる残液流は、反応混合物に含まれていた触媒及び助触媒(ヨウ化メチル、ヨウ化リチウムなど)や、本工程では揮発せずに残存する水、酢酸メチル、酢酸、ギ酸及びプロピオン酸などを含み、ポンプ57を用い、連続的に蒸発槽2からライン18を通じて熱交換器2bへと導入される。熱交換器2bは、蒸発槽2からの残液流を冷却する。降温した残液流は、連続的に熱交換器2bからライン19を通じて反応槽1へと導入され、リサイクルされる。なお、ライン18とライン19とを併せて残液流リサイクルラインと称する。前記残液流の酢酸濃度は、例えば55〜90質量%、好ましくは60〜85質量%である。
コンデンサ2aは、蒸発槽2からの蒸気流を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸及びプロピオン酸などを含み、コンデンサ2aからライン22,23を通じて反応槽1へと導入され、リサイクルされる。ガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含み、コンデンサ2aからライン20,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。上述の反応工程での酢酸の生成反応は発熱反応であるところ、反応混合物に蓄積する熱の一部は、蒸発工程(フラッシュ工程)において、反応混合物から生じた蒸気に移行する。この蒸気のコンデンサ2aでの冷却によって生じた凝縮分が反応槽1へとリサイクルされる。すなわち、この酢酸製造装置においては、メタノールのカルボニル化反応で生じる熱がコンデンサ2aにて効率よく除去されることとなる。
本発明では、上記蒸発槽2を用いた蒸発工程は、前記(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たすことが好ましい。この場合、水素分圧(絶対圧)は、好ましくは4kPa以下、より好ましくは3kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下、特に好ましくは0.8kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、好ましくは12kPa以下、より好ましくは8kPa、さらに好ましくは3kPa以下、特に好ましくは1kPa以下である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。操作温度は、好ましくは112℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。操作温度の上限は、例えば260℃、好ましくは200℃、より好ましくは180℃(あるいは170℃若しくは160℃)である。
前記(ii)の操作条件を満たす蒸発工程において、蒸発槽2への仕込液中の酢酸濃度は、例えば50〜90質量%(好ましくは60〜80質量%)、金属触媒濃度(金属換算)は、例えば200〜10000質量ppm(好ましくは300〜5000質量ppm、さらに好ましくは400〜2000質量ppm)、ヨウ化メチル濃度は、例えば1〜20質量%(好ましくは5〜15質量%)、イオン性ヨウ化物濃度は、例えば1〜25質量%(好ましくは5〜20質量%)、水濃度は、例えば0.1〜15質量%(好ましくは0.8〜10質量%)、酢酸メチル濃度は、例えば0.1〜30質量%(好ましくは1〜10質量%)、ギ酸濃度は、例えば、10000質量ppm以下(好ましくは0〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)であってもよい。蒸発槽2を用いた蒸発工程が前記操作条件を満たすことにより、蒸発槽2でのギ酸の生成が抑制される。また、蒸発槽2にギ酸を含む液が導入されると、ギ酸が効率よく分解される。
蒸留塔3は、第1蒸留工程を行うためのユニットであり、本実施形態ではいわゆる脱低沸塔に位置付けられる。第1蒸留工程は、蒸留塔3に連続的に導入される蒸気流を蒸留処理して低沸成分を分離除去する工程である。より具体的には、第1蒸留工程では、前記蒸気流を蒸留して、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドから選択された少なくとも一種の低沸成分に富むオーバーヘッド流と、酢酸に富む酢酸流とに分離する。蒸留塔3は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。蒸留塔3として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5〜50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.5〜3000である。蒸留塔3の内部において、塔頂圧力は例えば80〜160kPa(ゲージ圧)に設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば85〜180kPa(ゲージ圧)に設定される。蒸留塔3の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での酢酸の沸点より低い温度であって90〜130℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点以上の温度であって120〜165℃(好ましくは125〜160℃)に設定される。
蒸留塔3に対しては、蒸発槽2からの蒸気流がライン21を通じて連続的に導入され、蒸留塔3の塔頂部からは、オーバーヘッド流としての蒸気がライン24に連続的に抜き取られる。蒸留塔3の塔底部からは、缶出液がライン25に連続的に抜き取られる。3bはリボイラーである。蒸留塔3における塔頂部と塔底部との間の高さ位置からは、側流としての酢酸流(第1酢酸流;液体)がライン27より連続的に抜き取られる。
蒸留塔3の塔頂部から抜き取られる蒸気は、酢酸よりも沸点の低い成分(低沸点成分)を蒸留塔3からの上記缶出液及び側流と比較して多く含み、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含む。この蒸気には酢酸も含まれる。このような蒸気は、ライン24を通じてコンデンサ3aへと連続的に導入される。
コンデンサ3aは、蒸留塔3からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含み、コンデンサ3aからライン28を通じてデカンタ4へと連続的に導入される。デカンタ4に導入された凝縮分は水相(上相)と有機相(ヨウ化メチル相;下相)とに分液される。水相には、水と、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などが含まれる。有機相には、例えば、ヨウ化メチルと、例えば、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などが含まれる。本実施形態では、水相の一部はライン29を通じて蒸留塔3に還流され、水相の他の一部は、ライン29,30,23を通じて反応槽1に導入されてリサイクルされる。有機相の一部はライン31,23を通じて反応槽1に導入されてリサイクルされる。有機相の他の一部、及び/又は、水相の他の一部は、ライン31,50、及び/又は、ライン30,51を通じてアセトアルデヒド分離除去システム9に導入される。
本発明では、上記蒸留塔(脱低沸塔)3を用いた蒸留工程は、前記(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たすことが好ましい。この場合、水素分圧(絶対圧)は、好ましくは4kPa以下、より好ましくは3kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、好ましくは12kPa以下、より好ましくは8kPa以下、さらに好ましくは3kPa以下、特に好ましくは1kPa以下である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。操作温度は、好ましくは112℃以上、より好ましくは114℃以上である。操作温度の上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、より好ましくは150℃(あるいは140℃若しくは130℃)である。
上記蒸留塔(脱低沸塔)3を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たす場合、蒸留塔3への仕込液中の酢酸濃度は30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度は5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)であってもよい。また、蒸留塔3への仕込液において、酢酸濃度は、好ましくは40〜85質量%(例えば50〜85質量%)、さらに好ましくは50〜75質量%(例えば55〜75質量%)、ヨウ化メチル濃度は、好ましくは2〜50質量%(例えば5〜30質量%)、水濃度は、好ましくは0.2〜20質量%(例えば1〜15質量%)、酢酸メチル濃度は、好ましくは0.2〜50質量%(例えば2〜30質量%)、ギ酸濃度は、好ましくは5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である。蒸留塔3を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たすことにより、蒸留塔3内でのギ酸の生成が抑制されるとともに、蒸留塔3にギ酸を含む液が供給されると、ギ酸が効率よく分解される。
アセトアルデヒド分離除去システム9を用いたアセトアルデヒド分離除去工程では、有機相及び/又は水相に含まれるアセトアルデヒドを公知の方法、例えば、蒸留、抽出又はこれらの組み合わせにより分離除去する。分離されたアセトアルデヒドはライン53を通じて装置外へ排出される。また、有機相及び/又は水相に含まれる有用成分(例えばヨウ化メチルなど)は、ライン52,23を通じて反応槽1へとリサイクルされて再利用される。
図2はアセトアルデヒド分離除去システムの一例を示す概略フロー図である。このフローによれば、例えば前記有機相をアセトアルデヒド分離除去工程にて処理する場合は、有機相をライン101を通じて蒸留塔(第1脱アセトアルデヒド塔)91に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富むオーバーヘッド流(ライン102)と、ヨウ化メチルに富む残液流(ライン103)とに分離する。前記オーバーヘッド流をコンデンサ91aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔91の塔頂部に還流させ(ライン104)、凝縮液の他の部分を抽出塔92に供給する(ライン105)。前記抽出塔92に供給された凝縮液はライン109から導入された水によって抽出処理される。抽出処理により得られた抽出液はライン107を通じて蒸留塔(第2脱アセトアルデヒド塔)93に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富むオーバーヘッド流(ライン112)と水に富む残液流(ライン113)とに分離する。そして、アセトアルデヒドに富むオーバーヘッド流をコンデンサ93aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔93の塔頂部に還流させ(ライン114)、凝縮液の他の部分は系外に排出する(ライン115)。また、第1脱アセトアルデヒド塔91の缶出液であるヨウ化メチルに富む残液流、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネート(ライン108)、及び第2脱アセトアルデヒド塔93の缶出液である水に富む残液流は、それぞれ、ライン103,111,113を通じて反応槽1へリサイクルされるか、あるいはプロセスの適宜な箇所にリサイクルされ、再利用される。例えば、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネートはライン110を通じて蒸留塔91にリサイクルすることができる。113の液は、通常、排水として外部に排出される。コンデンサ91a、93aで凝縮しなかったガス(ライン106,116)はスクラバーシステム8で吸収処理されるか、あるいは廃棄処分される。
また、図2のフローにより前記水相をアセトアルデヒド分離除去工程にて処理する場合は、例えば、水相をライン101を通じて蒸留塔(第1脱アセトアルデヒド塔)91に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富むオーバーヘッド流(ライン102)と、水に富む残液流(ライン103)とに分離する。前記オーバーヘッド流をコンデンサ91aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔91の塔頂部に還流させ(ライン104)、凝縮液の他の部分を抽出塔92に供給する(ライン105)。前記抽出塔92に供給された凝縮液はライン109から導入された水によって抽出処理される。抽出処理により得られた抽出液はライン107を通じて蒸留塔(第2脱アセトアルデヒド塔)93に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富むオーバーヘッド流(ライン112)と水に富む残液流(ライン113)とに分離する。そして、アセトアルデヒドに富むオーバーヘッド流をコンデンサ93aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔93の塔頂部に還流させ(ライン114)、凝縮液の他の部分は系外に排出する(ライン115)。また、第1脱アセトアルデヒド塔91の缶出液である水に富む残液流、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネート(ライン108)、及び第2脱アセトアルデヒド塔93の缶出液である水に富む残液流は、それぞれ、ライン103,111,113を通じて反応槽1へリサイクルされるか、あるいはプロセスの適宜な箇所にリサイクルされ、再利用される。例えば、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネートはライン110を通じて蒸留塔91にリサイクルすることができる。113の液は、通常、排水として外部に排出される。コンデンサ91a、93aで凝縮しなかったガス(ライン106,116)はスクラバーシステム8で吸収処理されるか、あるいは廃棄処分される。
前記の水、酢酸(AC)、ヨウ化メチル(MeI)及びアセトアルデヒド(AD)を少なくとも含むプロセス流に由来するアセトアルデヒドは、上記方法のほか、抽出蒸留を利用して分離除去することもできる。例えば、前記プロセス流を分液させて得られた有機相及び/又は水相(仕込液)を蒸留塔(抽出蒸留塔)に供給するとともに、蒸留塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域(例えば、塔頂から仕込液供給位置までの空間)に抽出溶媒(通常、水)を導入し、前記濃縮域から降下する液(抽出液)を側流(サイドカット流)として抜き取り、この側流を水相と有機相とに分液させ、前記水相を蒸留することによりアセトアルデヒドを系外に排出することができる。なお、蒸留塔内に比較的多くの水が存在する場合は、前記抽出溶媒を蒸留塔に導入することなく、前記濃縮域から降下する液を側流として抜き取ってもよい。例えば、この蒸留塔に前記濃縮域から降下する液(抽出液)を受けることのできるユニット(チムニートレイなど)を配設し、このユニットで受けた液(抽出液)を側流として抜き取ることができる。抽出溶媒の導入位置は前記仕込液の供給位置よりも上方が好ましく、より好ましくは塔頂付近である。側流の抜き取り位置は、塔の高さ方向において、抽出溶媒の導入位置よりも下方であって、前記仕込液の供給位置よりも上方が好ましい。この方法によれば、抽出溶媒(通常、水)によって、ヨウ化メチルとアセトアルデヒドの濃縮物からアセトアルデヒドを高濃度に抽出できるとともに、抽出溶媒の導入部位とサイドカット部位との間を抽出域として利用するので、少量の抽出溶媒によりアセトアルデヒドを効率よく抽出できる。そのため、例えば、抽出蒸留による抽出液を蒸留塔(抽出蒸留塔)の塔底部から抜き取る方法と比較して蒸留塔の段数を大幅に低減できるとともに、蒸気負荷も低減できる。また、少量の抽出溶媒を用いて、上記図2の脱アルデヒド蒸留と水抽出とを組み合わせる方法よりも、水抽出液中のアセトアルデヒドに対するヨウ化メチルの割合(MeI/AD比)を小さくできるので、ヨウ化メチルの系外へのロスを抑制できる条件でアセトアルデヒドを除去可能である。前記側流中のアセトアルデヒド濃度は、前記仕込液及び缶出液(塔底液)中のアセトアルデヒド濃度よりも格段に高い。また、前記側流中のヨウ化メチルに対するアセトアルデヒドの割合は、仕込液及び缶出液中のヨウ化メチルに対するアセトアルデヒドの割合よりも大きい。なお、前記側流を分液させて得られる有機相(ヨウ化メチル相)をこの蒸留塔にリサイクルしてもよい。この場合、前記側流を分液させて得られる有機相のリサイクル位置は、塔の高さ方向において前記側流抜き取り位置よりも下方が好ましく、前記仕込液の供給位置よりも上方が好ましい。また、前記プロセス流を分液させて得られた有機相を構成する成分(例えば酢酸メチルなど)に対する混和性溶媒をこの蒸留塔(抽出蒸留塔)に導入してもよい。前記混和性溶媒として、例えば、酢酸、酢酸エチルなどが挙げられる。前記混和性溶媒の導入位置は、塔の高さ方向において、前記側流抜き取り位置よりも下方が好ましく、前記仕込液の供給位置よりも上方が好ましい。また、前記混和性溶媒の導入位置は、上記側流を分液させて得られる有機相をこの蒸留塔にリサイクル場合はそのリサイクル位置よりも下方が好ましい。前記側流を分液させて得られる有機相を蒸留塔へリサイクルしたり、前記混和性溶媒を蒸留塔へ導入することにより、側流として抜き取られる抽出液中の酢酸メチル濃度を低下させることができ、前記抽出液を分液させて得られる水相中の酢酸メチル濃度を低減でき、もって水相へのヨウ化メチルの混入を抑制できる。
前記蒸留塔(抽出蒸留塔)の理論段は、例えば1〜100段、好ましくは2〜50段、さらに好ましくは3〜30段、特に好ましくは5〜20段であり、従来の脱アセトアルデヒドに用いる蒸留塔や抽出蒸留塔の80〜100段と比較して、少ない段数で効率よくアセトアルデヒドを分離除去できる。抽出溶媒の流量と仕込液(プロセス流を分液させて得られた有機相及び/又は水相)の流量との質量割合(前者/後者)は、0.0001/100〜100/100の範囲から選択してもよいが、通常、0.0001/100〜20/100、好ましくは0.001/100〜10/100、より好ましくは0.01/100〜8/100、さらに好ましくは0.1/100〜5/100である。前記蒸留塔(抽出蒸留塔)の塔頂温度は、例えば、15〜120℃、好ましくは20〜90℃、より好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは25〜70℃である。塔頂圧力は、絶対圧力で、例えば0.1〜0.5MPa程度である。前記蒸留塔(抽出蒸留塔)の他の条件は、従来の脱アセトアルデヒドに用いる蒸留塔や抽出蒸留塔と同様であってもよい。
図3は上記の抽出蒸留を利用したアセトアルデヒド分離除去システムの一例を示す概略フロー図である。この例では、前記プロセス流を分液させて得られた有機相及び/又は水相(仕込液)を供給ライン201を通じて蒸留塔94の中段(塔頂と塔底との間の位置)に供給するとともに、塔頂付近より水をライン202を通じて導入し、蒸留塔94(抽出蒸留塔)内で抽出蒸留を行う。蒸留塔94の前記仕込液の供給位置より上方には、塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域から降下する液(抽出液)を受けるためのチムニートレイ200が配設されている。この抽出蒸留においては、チムニートレイ200上の液を好ましくは全量抜き取り、ライン208を通じてデカンタ95に導入して分液させる。デカンタ95における水相(アセトアルデヒドを含む)をライン212を通じて冷却クーラー95aに導入して冷却し、水相に溶解していたヨウ化メチルを2相分離させ、デカンタ96にて分液させる。デカンタ96における水相をライン216を通じて蒸留塔97(脱アセトアルデヒド塔)に供給して蒸留し、塔頂の蒸気をライン217を通じてコンデンサ97aに導いて凝縮させ、凝縮液(主にアセトアルデヒド及びヨウ化メチル)の一部は蒸留塔97の塔頂に還流させ、残りは廃棄するか、あるいはライン220を通じて蒸留塔98(抽出蒸留塔)に供給する。蒸留塔98の塔頂付近から水をライン222を通じて導入し、抽出蒸留する。塔頂の蒸気はライン223を通じてコンデンサ98aに導いて凝縮させ、凝縮液(主にヨウ化メチル)の一部は塔頂部に還流させ、残りはライン226を通じて反応系にリサイクルするが、系外除去する場合もある。デカンタ95における有機相(ヨウ化メチル相)は、好ましくは全量をライン209,210を通じて蒸留塔94のチムニートレイ200の位置より下方にリサイクルする。デカンタ95の水相の一部、及びデカンタ96の有機相は、それぞれ、ライン213,210、ライン214,210を通じて蒸留塔94にリサイクルするが、リサイクルしない場合もある。デカンタ95の水相の一部は蒸留塔94における抽出溶媒(水)として利用してもよい。デカンタ96の水相の一部はライン210を通じて蒸留塔94にリサイクルしてもよい。場合により(例えば、前記仕込液中に酢酸メチルが含まれている場合など)、前記プロセス流を分液させて得られた有機相を構成する成分(例えば酢酸メチルなど)に対する混和性溶媒(酢酸、酢酸エチル等)をライン215を通じて蒸留塔94に仕込み、蒸留効率を向上させることもできる。混和性溶媒の蒸留塔94への供給位置は前記仕込液供給部(ライン201の接続部)よりも上方で且つリサイクルライン210の接続部よりも下方である。蒸留塔94の缶出液は反応系にリサイクルする。蒸留塔94の塔頂の蒸気はライン203を通じてコンデンサ94aに導いて凝縮させ、凝縮液をデカンタ99で分液させ、有機相はライン206を通じて蒸留塔94の塔頂部に還流させ、水相はライン207を通じてデカンタ95に導く。蒸留塔97の缶出液(水が主成分)や蒸留塔98(抽出蒸留塔)の缶出液(少量のアセトアルデヒドを含む水)は、それぞれライン218,224を通じて系外除去するか、反応系にリサイクルする。コンデンサ94a、97a,98aで凝縮しなかったガス(ライン211,221,227)はスクラバーシステム8で吸収処理されるか、あるいは廃棄処分される。
図4は上記の抽出蒸留を利用したアセトアルデヒド分離除去システムの他の例を示す概略フロー図である。この例では、蒸留塔94の塔頂の蒸気の凝縮液をホールドタンク100に導き、その全量をライン206を通じて蒸留塔94の塔頂部に還流する。これ以外は図3の例と同様である。
図5は上記の抽出蒸留を利用したアセトアルデヒド分離除去システムのさらに他の例を示す概略フロー図である。この例では、チムニートレイ200上の液を全量抜き取り、ライン208を通じて、デカンタ95を経ることなく、直接冷却クーラー95aに導入して冷却し、デカンタ96に供給する。これ以外は図4の例と同様である。
前記図1において、コンデンサ3aで生じるガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含み、コンデンサ3aからライン32,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。スクラバーシステム8に至ったガス分中のヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などは、スクラバーシステム8にて吸収液に吸収される。ヨウ化水素は吸収液中のメタノール又は酢酸メチルとの反応によってヨウ化メチルが生じる。そして、当該ヨウ化メチル等の有用成分を含有する液分がスクラバーシステム8からリサイクルライン48,23を通じて反応槽1へとリサイクルされて再利用される。
蒸留塔3の塔底部から抜き取られる缶出液は、酢酸よりも沸点の高い成分(高沸点成分)を蒸留塔3からの上記のオーバーヘッド流及び側流と比較して多く含み、例えば、プロピオン酸、並びに、飛沫同伴の上述の触媒や助触媒を含む。この缶出液には、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル及び水なども含まれる。本実施形態では、このような缶出液の一部は、ライン25,26を通じて蒸発槽2へと連続的に導入されてリサイクルされ、缶出液の他の一部は、ライン25,23を通じて反応槽1へと連続的に導入されてリサイクルされる。
蒸留塔3から側流として連続的に抜き取られる第1酢酸流は、蒸留塔3に連続的に導入される蒸気流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第1酢酸流の酢酸濃度は前記蒸気流の酢酸濃度よりも高い。第1酢酸流の酢酸濃度は、例えば90〜99.9質量%、好ましくは93〜99質量%である。また、第1酢酸流は、酢酸に加えて、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸及びプロピオン酸などを含みうる。なお、蒸留塔3に対するライン27の連結位置は、蒸留塔3の高さ方向において、図示されているように、蒸留塔3に対するライン21の連結位置より上方であってもよいが、蒸留塔3に対するライン21の連結位置より下方であってもよいし、蒸留塔3に対するライン21の連結位置と同じであってもよい。蒸留塔3からの第1酢酸流は、所定の流量で連続的に、ライン27を通じて次の蒸留塔5へと導入される。なお、蒸留塔3の側流として抜き取られる第1酢酸流や、蒸留塔3の塔底液あるいは蒸留塔3の塔底部の蒸気の凝縮液は、そのまま製品酢酸としてもよく、また、蒸留塔5を経ずに、蒸留塔6に直接連続的に導入することもできる。
ライン27を通流する第1酢酸流に、ライン55(水酸化カリウム導入ライン)を通じて、水酸化カリウムを供給ないし添加することができる。水酸化カリウムは、例えば水溶液等の溶液として供給ないし添加できる。第1酢酸流に対する水酸化カリウムの供給ないし添加によって第1酢酸流中のヨウ化水素を減少できる。具体的には、ヨウ化水素は水酸化カリウムと反応してヨウ化カリウムと水が生じる。そのことによって、ヨウ化水素に起因する蒸留塔等の装置の腐食を低減できる。なお、水酸化カリウムは本プロセスにおいてヨウ化水素が存在する適宜な場所に供給ないし添加することができる。なお、プロセス中に添加された水酸化カリウムは酢酸とも反応して酢酸カリウムを生じさせる。
蒸留塔5は、第2蒸留工程を行うためのユニットであり、本実施形態ではいわゆる脱水塔に位置付けられる。第2蒸留工程は、蒸留塔5に連続的に導入される第1酢酸流を蒸留処理して酢酸を更に精製するための工程である。蒸留塔5は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。蒸留塔5として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5〜50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.2〜3000である。第2蒸留工程にある蒸留塔5の内部において、塔頂圧力は例えば150〜250kPa(ゲージ圧)に設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば160〜290kPa(ゲージ圧)に設定される。第2蒸留工程にある蒸留塔5の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での水の沸点より高く且つ酢酸の沸点より低い温度であって130〜160℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点以上の温度であって150〜175℃に設定される。
蒸留塔5の塔頂部からは、オーバーヘッド流としての蒸気がライン33に連続的に抜き取られる。蒸留塔5の塔底部からは、缶出液がライン34に連続的に抜き取られる。5bはリボイラーである。蒸留塔5における塔頂部と塔底部との間の高さ位置から、側流(液体又は気体)がライン34に連続的に抜き取られてもよい。
蒸留塔5の塔頂部から抜き取られる蒸気は、酢酸よりも沸点の低い成分(低沸点成分)を蒸留塔5からの上記の缶出液と比較して多く含み、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含む。このような蒸気は、ライン33を通じてコンデンサ5aへと連続的に導入される。
コンデンサ5aは、蒸留塔5からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば水及び酢酸などを含む。凝縮分の一部は、コンデンサ5aからライン35を通じて蒸留塔5へと連続的に還流される。凝縮分の他の一部は、コンデンサ5aからライン35,36,23を通じて反応槽1へと連続的に導入され、リサイクルされる。また、コンデンサ5aで生じるガス分は、例えば一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含み、コンデンサ5aからライン37,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。スクラバーシステム8に至ったガス分中のヨウ化水素は、スクラバーシステム8にて吸収液に吸収され、吸収液中のヨウ化水素とメタノール又は酢酸メチルとの反応によってヨウ化メチルが生じ、そして、当該ヨウ化メチル等の有用成分を含有する液分がスクラバーシステム8からリサイクルライン48,23を通じて反応槽1へとリサイクルされて再利用される。
蒸留塔5の塔底部から抜き取られる缶出液(あるいは側流)は、酢酸よりも沸点の高い成分(高沸点成分)を蒸留塔5からの上記のオーバーヘッド流と比較して多く含み、例えば、プロピオン酸、酢酸カリウム(ライン27等に水酸化カリウムを供給した場合)、並びに、飛沫同伴の上述の触媒や助触媒などを含む。この缶出液には酢酸も含まれうる。このような缶出液は、ライン34を通じて、第2酢酸流をなして次の蒸留塔6に連続的に導入されることとなる。
本発明では、上記蒸留塔(脱水塔)5を用いた蒸留工程は、前記(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たすことが好ましい。この場合、水素分圧(絶対圧)は、好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、好ましくは5kPa以下、より好ましくは2kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下(例えば0.5kPa以下)である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。操作温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上である。操作温度の上限は、例えば170℃、好ましくは165℃、より好ましくは160℃、さらに好ましくは155℃である。
上記蒸留塔(脱水塔)5を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たす場合、蒸留塔5への仕込液中の酢酸濃度は30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度は5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)であってもよい。また、蒸留塔5への仕込液において、酢酸濃度は、好ましくは80〜99.9質量%(例えば90〜99.9質量%、特に93〜99質量%)、ヨウ化メチル濃度は、好ましくは0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、水濃度は、好ましくは0.05〜18質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、酢酸メチル濃度は、好ましくは0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、ギ酸濃度は、好ましくは5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である。蒸留塔5を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たすことにより、蒸留塔5内でのギ酸の生成が抑制されるとともに、蒸留塔5にギ酸を含む液が供給されると、ギ酸が効率よく分解される。
第2酢酸流は、蒸留塔5に連続的に導入される第1酢酸流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第2酢酸流の酢酸濃度は第1酢酸流の酢酸濃度よりも高い。第2酢酸流の酢酸濃度は、第1酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて、例えば99.1〜99.99質量%である。また、第2酢酸流は、上記のように、酢酸に加えて、例えば、プロピオン酸、ヨウ化水素などを含みうる。本実施形態では、側流を抜き取る場合、蒸留塔5からの側流の抜き取り位置は、蒸留塔5の高さ方向において、蒸留塔5への第1酢酸流の導入位置よりも低い。
ライン34を通流する第2酢酸流に、ライン56(水酸化カリウム導入ライン)を通じて、水酸化カリウムを供給ないし添加することができる。水酸化カリウムは、例えば水溶液等の溶液として供給ないし添加できる。第2酢酸流に対する水酸化カリウムの供給ないし添加によって第2酢酸流中のヨウ化水素を減少できる。具体的には、ヨウ化水素は水酸化カリウムと反応してヨウ化カリウムと水が生じる。そのことによって、ヨウ化水素に起因する蒸留塔等の装置の腐食を低減できる。
蒸留塔6は、第3蒸留工程を行うためのユニットであり、本実施形態ではいわゆる脱高沸塔に位置付けられる。第3蒸留工程は、蒸留塔6に連続的に導入される第2酢酸流を精製処理して酢酸を更に精製するための工程である。蒸留塔6は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。蒸留塔6として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5〜50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.2〜3000である。第3蒸留工程にある蒸留塔6の内部において、塔頂圧力は例えば−100〜150kPa(ゲージ圧)に設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば−90〜180kPa(ゲージ圧)に設定される。第3蒸留工程にある蒸留塔6の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での水の沸点より高く且つ酢酸の沸点より低い温度であって50〜150℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点より高い温度であって70〜160℃に設定される。
蒸留塔6の塔頂部からは、オーバーヘッド流としての蒸気がライン38に連続的に抜き取られる。蒸留塔6の塔底部からは、缶出液がライン39に連続的に抜き取られる。6bはリボイラーである。蒸留塔6における塔頂部と塔底部との間の高さ位置からは、側流(液体又は気体)がライン46に連続的に抜き取られる。蒸留塔6の高さ方向において、蒸留塔6に対するライン46の連結位置は、図示されているように、蒸留塔6に対するライン34の連結位置より上方であってもよいが、蒸留塔6に対するライン34の連結位置より下方であってもよいし、蒸留塔6に対するライン34の連結位置と同じであってもよい。
蒸留塔6の塔頂部から抜き取られる蒸気は、酢酸よりも沸点の低い成分(低沸点成分)を蒸留塔6からの上記の缶出液と比較して多く含み、酢酸のほか、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール及びギ酸などを含む。このような蒸気は、ライン38を通じてコンデンサ6aへと連続的に導入される。
コンデンサ6aは、蒸留塔6からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、酢酸のほか、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール及びギ酸などを含む。凝縮分の少なくとも一部については、コンデンサ6aからライン40を通じて蒸留塔6へと連続的に還流される。凝縮分の一部(留出分)については、コンデンサ6aからライン40,41,42を通じて、蒸留塔5へと導入される前のライン27中の第1酢酸流へとリサイクルすることが可能である。これと共に或はこれに代えて、凝縮分の一部(留出分)については、コンデンサ6aからライン40,41,43を通じて、蒸留塔3へと導入される前のライン21中の蒸気流へとリサイクルすることが可能である。また、凝縮分の一部(留出分)については、コンデンサ6aからライン40,44,23を通じて、反応槽1へリサイクルしてもよい。さらに、コンデンサ6aからの留出分の一部については、前述したように、スクラバーシステム8へと供給して当該システム内で吸収液として使用することが可能である。スクラバーシステム8では、有用分を吸収した後のガス分は装置外に排出され、そして、有用成分を含む液分がスクラバーシステム8からリサイクルライン48,23を通じて反応槽1へと導入ないしリサイクルされて再利用される。加えて、コンデンサ6aからの留出分の一部については、装置内で稼働する各種ポンプ(図示略)へと図外のラインを通じて導いて当該ポンプのシール液として使用してもよい。更に加えて、コンデンサ6aからの留出分の一部については、ライン40に付設される抜き取りラインを通じて、定常的に装置外へ抜き取ってもよいし、非定常的に必要時において装置外へ抜き取ってもよい。凝縮分の一部(留出分)が蒸留塔6での蒸留処理系から除かれる場合、その留出分の量(留出量)は、コンデンサ6aで生ずる凝縮液の例えば0.01〜30質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。一方、コンデンサ6aで生じるガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド及びギ酸などを含み、コンデンサ6aからライン45,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。
蒸留塔6の塔底部からライン39を通じて抜き取られる缶出液は、酢酸よりも沸点の高い成分(高沸点成分)を蒸留塔6からの上記のオーバーヘッド流と比較して多く含み、例えばプロピオン酸、酢酸カリウム(ライン34等に水酸化カリウムを供給した場合)などを含む。また、蒸留塔6の塔底部からライン39を通じて抜き取られる缶出液は、この酢酸製造装置の構成部材の内壁で生じて遊離した金属などの腐食金属等、及び腐食性ヨウ素に由来するヨウ素と当該腐食金属等との化合物も含む。このような缶出液は、本実施形態では酢酸製造装置外に排出される。
蒸留塔6からライン46に連続的に抜き取られる側流は、第3酢酸流として、次のイオン交換樹脂塔7に連続的に導入されることとなる。この第3酢酸流は、蒸留塔6に連続的に導入される第2酢酸流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第3酢酸流の酢酸濃度は第2酢酸流の酢酸濃度よりも高い。第3酢酸流の酢酸濃度は、第2酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて、例えば99.8〜99.999質量%である。本実施形態では、蒸留塔6からの側流の抜き取り位置は、蒸留塔6の高さ方向において、蒸留塔6への第2酢酸流の導入位置よりも高い。他の実施形態では、蒸留塔6からの側流の抜き取り位置は、蒸留塔6の高さ方向において、蒸留塔6への第2酢酸流の導入位置と同じかそれよりも低い。なお、蒸留塔6は、単蒸留器(蒸発器)でも代用可能であり、また、蒸留塔5で不純物除去を十分に行えば、蒸留塔6は省略できる。
本発明では、上記蒸留塔(脱高沸塔)6を用いた蒸留工程は、前記(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たすことが好ましい。この場合、水素分圧(絶対圧)は、好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、好ましくは5kPa以下、より好ましくは2kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下(例えば0.5kPa以下)である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。操作温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上である。操作温度の上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、さらに好ましくは155℃である。
上記蒸留塔(脱高沸塔)6を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たす場合、蒸留塔6への仕込液において、酢酸濃度は、好ましくは99.1〜99.99質量%、ギ酸濃度は、好ましくは5〜9000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である。蒸留塔6を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たすことにより、蒸留塔6内でのギ酸の生成が抑制されるとともに、蒸留塔6にギ酸を含む液が供給されると、ギ酸が効率よく分解される。
イオン交換樹脂塔7は、吸着除去工程を行うための精製ユニットである。この吸着除去工程は、イオン交換樹脂塔7に連続的に導入される第3酢酸流に微量含まれる主にヨウ化アルキル(ヨウ化ヘキシルやヨウ化デシルなど)を吸着除去して酢酸を更に精製するための工程である。イオン交換樹脂塔7においては、ヨウ化アルキルに対する吸着能を有するイオン交換樹脂が塔内に充填されてイオン交換樹脂床をなす。そのようなイオン交換樹脂としては、例えば、交換基たるスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基等における脱離性のプロトンの一部が銀や銅などの金属で置換された陽イオン交換樹脂を挙げることができる。吸着除去工程では、例えばこのようなイオン交換樹脂が充填されたイオン交換樹脂塔7の内部を第3酢酸流(液体)が通流し、その通流過程において、第3酢酸流中のヨウ化アルキル等の不純物がイオン交換樹脂に吸着されて第3酢酸流から除去される。吸着除去工程にあるイオン交換樹脂塔7において、内部温度は例えば18〜100℃であり、酢酸流の通液速度[樹脂容積1m3当たりの酢酸処理量(m3/h)]は、例えば3〜15m3/h・m3(樹脂容積)である。
イオン交換樹脂塔7の下端部からライン47へと第4酢酸流が連続的に導出される。第4酢酸流の酢酸濃度は第3酢酸流の酢酸濃度よりも高い。すなわち、第4酢酸流は、イオン交換樹脂塔7に連続的に導入される第3酢酸流よりも酢酸が富化されている。第4酢酸流の酢酸濃度は、第3酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて例えば99.9〜99.999質量%又はそれ以上である。本製造方法においては、この第4酢酸流を図外の製品タンクに貯留することができる。
この酢酸製造装置においては、イオン交換樹脂塔7からの上記の第4酢酸流を更に精製するための精製ユニットとして、蒸留塔であるいわゆる製品塔ないし仕上塔が設けられてもよい。そのような製品塔が設けられる場合、当該製品塔は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。製品塔として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5〜50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.5〜3000である。精製工程にある製品塔の内部において、塔頂圧力は例えば−195〜150kPa(ゲージ圧)に設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば−190〜180kPa(ゲージ圧)に設定される。製品塔の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での水の沸点より高く且つ酢酸の沸点より低い温度であって50〜150℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点より高い温度であって70〜160℃に設定される。なお、製品塔ないし仕上塔は、単蒸留器(蒸発器)でも代用可能である。
製品塔を設ける場合、イオン交換樹脂塔7からの第4酢酸流(液体)の全部又は一部が、製品塔に対して連続的に導入される。そのような製品塔の塔頂部からは、微量の低沸点成分(例えば、ヨウ化メチル、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、クロトンアルデヒド、アセトアルデヒド及びギ酸など)を含むオーバーヘッド流としての蒸気が連続的に抜き取られる。この蒸気は、所定のコンデンサにて凝縮分とガス分とに分けられる。凝縮分の一部は製品塔へと連続的に還流され、凝縮分の他の一部は反応槽1へとリサイクルされるか、系外に廃棄されるか、あるいはその両方であってもよく、ガス分はスクラバーシステム8へと供給される。製品塔の塔底部からは、微量の高沸点成分を含む缶出液が連続的に抜き取られ、この缶出液は、例えば蒸留塔6へ導入される前のライン34中の第2酢酸流へとリサイクルされる。製品塔における塔頂部と塔底部との間の高さ位置からは、側流(液体)が第5酢酸流として連続的に抜き取られる。製品塔からの側流の抜き取り位置は、製品塔の高さ方向において、例えば、製品塔への第4酢酸流の導入位置よりも低い。第5酢酸流は、製品塔に連続的に導入される第4酢酸流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第5酢酸流の酢酸濃度は第4酢酸流の酢酸濃度よりも高い。第5酢酸流の酢酸濃度は、第4酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて例えば99.9〜99.999質量%又はそれ以上である。この第5酢酸流は、例えば、図外の製品タンクに貯留される。なお、イオン交換樹脂塔7は、蒸留塔6の下流に設置する代わりに(又はそれに加えて)、製品塔の下流に設置し、製品塔出の酢酸流を処理してもよい。
本発明では、上記蒸留塔(製品塔)を用いた蒸留工程は、前記(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たすことが好ましい。この場合、水素分圧(絶対圧)は、好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下である。水素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。二酸化炭素分圧(絶対圧)は、好ましくは5kPa以下、より好ましくは2kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下(例えば0.5kPa以下)である。二酸化炭素分圧(絶対圧)の下限は0kPaである。操作温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上である。操作温度の上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、より好ましくは155℃である。
上記蒸留塔(製品塔)を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たす場合、蒸留塔(製品塔)への仕込液において、酢酸濃度は、好ましくは99.8〜99.999質量%、ギ酸濃度は、好ましくは5〜2000質量ppm(例えば5〜1000質量ppm、特に5〜100質量ppm)である。上記蒸留塔(製品塔)を用いた蒸留工程が前記操作条件(ii)を満たすことにより、蒸留塔(製品塔)内でのギ酸の生成が抑制されるとともに、蒸留塔(製品塔)にギ酸を含む液が供給されると、ギ酸が効率よく分解される。
上記実施形態においては、前述したように、前記操作条件(i)を満たす工程、前記操作条件(ii)を満たす工程における滞留時間は、それぞれ1分以上(例えば5分以上、特に10分以上)であることが好ましい。前記滞留時間の上限は、例えば2時間、好ましくは1時間である。
また、ギ酸濃度が10質量ppm以上(例えば10〜10000質量ppm、好ましくは15〜1000質量ppm、さらに好ましくは20〜200質量ppm)のプロセス液を、(iii)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たす工程にリサイクルしてもよい。上記操作条件(iii)を満たす工程としては、反応工程、蒸発工程、蒸留工程(例えば、前記脱低沸工程、脱水工程など)などが挙げられる。操作条件(iii)を満たす工程には、前記操作条件(i)を満たす工程、前記操作条件(ii)を満たす工程が含まれる。ギ酸濃度が10質量ppm以上)のプロセス液を操作条件(iii)を満たす工程にリサイクルすることにより、前記プロセス液中に含まれるギ酸が当該工程で効率よく分解される。
さらに、少なくとも1つの蒸留工程、例えば、前記脱低沸工程、脱水工程、脱高沸工程、製品工程における蒸留塔の塔頂液を、前記操作条件(i)を満たす工程や前記操作条件(ii)を満たす工程にリサイクルしてもよい。前記操作条件(i)を満たす工程、前記操作条件(ii)を満たす工程として、例えば、前記反応工程、蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程などが挙げられる。この場合、当該蒸留塔の塔頂液のリサイクル先は、反応工程であるか、又は、当該蒸留塔に係る蒸留工程よりも上流に位置する蒸発工程若しくは蒸留工程(例えば、前記脱低沸工程、脱水工程、脱高沸工程)であることが好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、「MeI」はヨウ化メチル、「MA」は酢酸メチルを示す。液相部の組成分析において、水濃度はカールフィッシャー水分測定法、ギ酸濃度は液体クロマトグラフィー、ロジウム濃度はICP分析(又は原子吸光分析)、ヨウ化リチウム濃度については、LiをICP分析、ヨウ素を電気滴定分析、その他の成分の濃度はガスクロマトグラフィーにより測定した。気相部の各ガス成分の分圧は、全圧とガスクロマトグラフィーにより測定した各ガス成分濃度より算出した。「%」、「ppm」はそれぞれ「質量%」、「質量ppm」を意味する。
比較例1
ジルコニウム製オートクレーブ1000mlに、初期張り込みMeI 10%、MA 4%、水2.5%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)22-)500ppm(金属換算)、その他酢酸の組成となるように原料を仕込み、N2置換後(N2大気圧ホールド)に、H2分圧510kPa(絶対圧)、CO2分圧70kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込み、オイルバスにて180℃に維持して30分保持した。冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は88ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中8分後、実験終了時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
比較例2
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 5%、水2.5%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)22-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧510kPa(絶対圧)、CO2分圧70kPa(絶対圧)、CO分圧1.5MPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込み、温度170℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は102ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中9分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
比較例3
初期張り込み組成を、MeI 40%、MA 5%、水2%、ギ酸52ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧5kPa(絶対圧)、CO2分圧10kPa(絶対圧)、CO分圧20kPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込み、温度100℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は49ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時、実験終了時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
比較例4
初期張り込み組成を、水50%、MeI 5%、MA 5%、ギ酸50ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧5kPa(絶対圧)、CO2分圧2kPa(絶対圧)、CO分圧10kPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込み、温度100℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は48ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
比較例5
初期張り込み組成を、水0.2%、ギ酸51ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧1kPa(絶対圧)、CO2分圧1kPa(絶対圧)、CO分圧10kPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込み、温度100℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は50ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
比較例6
初期張り込み組成を、MeI 1.0%、MA 1.1%、水2.3%、、LiI 19.5%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)22-)670ppm(金属換算)、ギ酸50ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧5.3kPa(絶対圧)、CO2分圧23kPa(絶対圧)、CO分圧0.004MPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込み、温度145℃で5分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は49ppmであった。MA濃度は1.0%とほとんど変わらなかった。また、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例1
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 4%、水2.5%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)22-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧105kPa(絶対圧)、CO2分圧69kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は48ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中8分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例2
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 4%、水2%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)22]-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧50kPa(絶対圧)、CO2分圧65kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、実施例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は35ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中6分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例3
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 4%、水2%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)22-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H2分圧20kPa(絶対圧)、CO2分圧60kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、実施例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は28ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中5分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例4
温度188℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行った。冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は21ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中8分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例5
温度110℃で30分保持したこと以外は、比較例3と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は45ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例6
温度110℃で30分保持したこと以外は、比較例4と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は43ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例7
温度110℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は44ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例8
温度120℃で30分保持したこと以外は、比較例3と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は38ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例9
温度120℃で30分保持したこと以外は、比較例4と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は32ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例10
温度120℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は36ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例11
初期張り込み組成において、水濃度を0.1%、ギ酸濃度を52ppmとしたこと、及び温度140℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は22ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例12
初期張り込み組成において、水濃度を0.1%、ギ酸濃度を52ppmとしたこと、及び温度150℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は13ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例13
初期張り込み組成において、水濃度を0.1%、ギ酸濃度を52ppmとしたこと、COを仕込まなかったこと、及び温度150℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は15ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例14
初期張り込み組成を、MeI 5%、MA 5%、水5%、ギ酸50ppm、酢酸残りとしたこと、及び温度150℃で30分保持したこと以外は、比較例4と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は17ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例15
2分圧0.5kPa(絶対圧)、CO2分圧0.3kPa(絶対圧)、CO分圧4kPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、実施例8と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は31ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例16
滞留時間を5分にしたこと以外は実施例15と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は39ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例17
滞留時間を2分にしたこと以外は実施例15と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は44ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
実施例18
2分圧1.2kPa(絶対圧)、CO2分圧0.5kPa(絶対圧)、CO分圧0.004MPa(絶対圧)となるよう、H2、CO2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、比較例6と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は38ppmであった。MA濃度は1.0%とほとんど変わらなかった。また、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
比較例及び実施例の条件及び結果を表1及び2に示す。表1及び2において、「PH2」は水素分圧、「PCO2」は二酸化炭素分圧、「PCO」は一酸化炭素分圧を示す。表中、酢酸濃度について「残り」としているが、実際には、サンプリング液に、反応混合物についての説明箇所で述べた副生成物等の不純物がトータルで1ppm〜1%含まれている場合がある。
Figure 2018135016
Figure 2018135016
[結果の考察]
・比較例1と実施例1〜3より、H2、CO2分圧が低いほど、ギ酸の生成量は少なく、ギ酸がH2、CO2分圧にほぼ比例して生成していることが分かる。
・比較例1,2と実施例4より、温度が高いほど、ギ酸の生成は抑えられることがわかる。
・比較例3と実施例5、8より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・比較例4と実施例6、9より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・比較例5と実施例7、10より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・実施例11、12より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・実施例12、13より、COが存在しなくても、ギ酸分解速度への影響はほとんどないことが分かる。
・実施例14と12は、組成が幾分違うが、高温条件では、同様にギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・実施例8と15より、H2,CO2分圧を低下させるとギ酸の分解が促進されることが分かる。
・実施例15〜17より、滞留時間が長いほうがギ酸の分解が促進されることが分かる。
・比較例6と実施例18より、H2,CO2分圧を低下させるとギ酸の分解が促進されることが分かる。
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記しておく。
[1]酢酸の製造プロセスにおいて、下記(i)の操作条件を満たす工程及び下記(ii)の操作条件を満たす工程から選択される少なくとも1つの工程を有することを特徴とする酢酸の製造方法。
(i)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が175℃を超える操作条件
(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件
[2]前記(i)において、水素分圧(絶対圧)が400kPa以下(好ましくは300kPa以下、より好ましくは200kPa以下、さらに好ましくは150kPa以下)である[1]記載の酢酸の製造方法。
[3]前記(i)において、水素分圧(絶対圧)が1kPa超(あるいは5kPa超)である[1]又は[2]記載の酢酸の製造方法。
[4]前記(i)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が60kPa以下(好ましくは50kPa以下、より好ましくは40kPa以下、さらに好ましくは30kPa以下)である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[5]前記(i)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が2kPa以上(あるいは20kPa以上)である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[6]前記(i)において、操作温度が178℃以上(好ましくは181℃以上、より好ましくは184℃以上)である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[7]前記(i)において、操作温度が250℃以下(好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以下)である[1]〜[6]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[8]前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が4kPa以下(好ましくは3kPa以下、より好ましくは2kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下)である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[9]前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が18kPa以下(好ましくは16kPa以下、より好ましくは14kPa以下、さらに好ましくは12kPa以下)である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[10]前記(ii)において、操作温度が102℃以上(好ましくは104℃以上、より好ましくは106℃以上、さらに好ましくは112℃以上)である[1]〜[9]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[11]前記(ii)において、操作温度が250℃以下(好ましくは200℃以下、より好ましくは175℃以下)である[1]〜[10]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[12]前記(ii)において、水素分圧が1kPa(絶対圧)以下、且つ二酸化炭素分圧が2kPa(絶対圧)未満である[1]〜[11]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[13]前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が0.9kPa以下(好ましくは0.8kPa以下)である[12]記載の酢酸の製造方法。
[14]前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が1.8kPa以下(好ましくは1.5kPa以下、より好ましくは1.0kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)である[12]又は[13]記載の酢酸の製造方法。
[15]前記(i)の操作条件を満たす反応工程を有する[1]〜[14]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[16]前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜90質量%)、ギ酸濃度が102質量ppm以下(例えば0〜102質量ppm)である[15]記載の酢酸の製造方法。
[17]前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が50〜90質量%(例えば60〜80質量%)、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm(例えば200〜5000質量ppm、好ましくは400〜2000質量ppm)、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%(例えば5〜15質量%)、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%(例えば5〜20質量%)、水濃度が0.1〜15質量%(例えば0.8〜10質量%)、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%(例えば1〜10質量%)、ギ酸濃度が102質量ppm以下(例えば85質量ppm以下)である[15]又は[16]記載の酢酸の製造方法。
[18]前記反応工程における反応混合物中のギ酸濃度が0〜102質量ppm(好ましくは0〜85質量ppm、より好ましくは0〜50質量ppm)である[15]〜[17]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[19]前記(ii)の操作条件を満たす蒸発工程又は蒸留工程を有する[1]〜[18]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[20]前記蒸発工程において、蒸発槽への仕込液中の酢酸濃度が50〜90質量%(例えば60〜80質量%)、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm(例えば200〜5000質量ppm、好ましくは400〜2000質量ppm)、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%(例えば5〜15質量%)、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%(例えば5〜20質量%)、水濃度が0.1〜15質量%(例えば0.8〜10質量%)、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%(例えば1〜10質量%)、ギ酸濃度が10000質量ppm以下(例えば0〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[21]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度が5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[22]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が40〜85質量%(例えば50〜75質量%)、ヨウ化メチル濃度が2〜50質量%(例えば5〜30質量%)、水濃度が0.2〜20質量%(例えば1〜15質量%)、酢酸メチル濃度が0.2〜50質量%(例えば2〜30質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[23]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が80〜99.9質量%(例えば90〜99.9質量%、好ましくは93〜99質量%)、ヨウ化メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、水濃度が0.05〜18質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、酢酸メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[24]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が99.1〜99.999質量%、ギ酸濃度が5〜9000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[25]酢酸の製造プロセスが、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程、前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を蒸気流と残液流とに分離する蒸発工程、及び前記蒸気流を蒸留に付して低沸成分に富むオーバーヘッド流と酢酸に富む第1酢酸流とに分離する脱低沸工程を有しているか、又は、これらの工程に加えて、さらに下記(a)〜(d)の少なくとも1つの工程を有している[1]〜[24]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
(a)前記第1酢酸流を蒸留して、水に富むオーバーヘッド流と、第1酢酸流よりも酢酸が富化された第2酢酸流とに分離する脱水工程
(b)前記第1若しくは第2酢酸流を蒸留して、高沸成分に富む缶出流と、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第3酢酸流とに分離する脱高沸工程
(c)前記第1若しくは第2若しくは第3酢酸流をイオン交換樹脂で処理して第4酢酸流を得る吸着除去工程
(d)前記第1若しくは第2若しくは第3若しくは第4酢酸流を蒸留して、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第5酢酸流を得る製品工程
[26]前記カルボニル化反応工程が、前記(i)の操作条件を満たす[25]記載の酢酸の製造方法。
[27]前記蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程、脱高沸工程及び製品工程から選択された少なくとも1つの工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]又は[26]記載の酢酸の製造方法。
[28]前記蒸発工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[27]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[29]前記蒸発工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が4kPa以下(好ましくは3kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.8kPa以下)である[28]記載の酢酸の製造方法。
[30]前記蒸発工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が12kPa以下(好ましくは8kPa以下、より好ましくは3kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下)である[28]又は[29]記載の酢酸の製造方法。
[31]前記蒸発工程が満たす前記(ii)において、操作温度が112℃以上(好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、上限は、例えば260℃、好ましくは200℃、より好ましくは180℃(あるいは170℃若しくは160℃))である[28]〜[30]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[32]前記脱低沸工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[31]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[33]前記脱低沸工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が4kPa以下(好ましくは3kPa以下、より好ましくは1kPa以下)である[32]記載の酢酸の製造方法。
[34]前記脱低沸工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が12kPa以下(好ましくは8kPa以下、より好ましくは3kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下)である[32]又は[33]記載の酢酸の製造方法。
[35]前記脱低沸工程が満たす前記(ii)において、操作温度が112℃以上(好ましくは114℃以上、上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、より好ましくは150℃(あるいは140℃若しくは130℃))である[32]〜[34]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[36]前記脱低沸工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度が5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)である[32]〜[35]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[37]前記脱低沸工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が40〜85質量%(例えば50〜85質量%、好ましくは50〜75質量%、より好ましくは55〜75質量%)、ヨウ化メチル濃度が2〜50質量%(例えば5〜30質量%)、水濃度が0.2〜20質量%(例えば1〜15質量%)、酢酸メチル濃度が0.2〜50質量%(例えば2〜30質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である[32]〜[35]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[38]前記脱水工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[37]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[39]前記脱水工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が2kPa以下(好ましくは1kPa以下、より好ましくは0.5kPa以下)である[38]記載の酢酸の製造方法。
[40]前記脱水工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が5kPa以下(好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)である[38]又は[39]記載の酢酸の製造方法。
[41]前記脱水工程が満たす前記(ii)において、操作温度が120℃以上(好ましくは130℃以上、上限は、例えば170℃、好ましくは165℃、より好ましくは160℃、さらに好ましくは155℃)である[38]〜[40]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[42]前記脱水工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度が5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)である[38]〜[41]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[43]前記脱水工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が80〜99.9質量%(例えば90〜99.9質量%、特に93〜99質量%)、ヨウ化メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、水濃度が0.05〜18質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、酢酸メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である[38]〜[41]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[44]前記脱高沸工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[43]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[45]前記脱高沸工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が2kPa以下(好ましくは1kPa以下、より好ましくは0.5kPa以下)である[44]記載の酢酸の製造方法。
[46]前記脱高沸工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が5kPa以下(好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)である[44]又は[45]記載の酢酸の製造方法。
[47]前記脱高沸工程が満たす前記(ii)において、操作温度が120℃以上(好ましくは130℃以上、上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、さらに好ましくは155℃)である[44]〜[46]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[48]前記脱高沸工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が99.1〜99.99質量%、ギ酸濃度が5〜9000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である[44]〜[47]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[49]前記製品工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[48]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[50]前記製品工程が満たす前記(ii)において、水素分圧が(絶対圧)が2kPa以下(好ましくは1kPa以下、より好ましくは0.5kPa以下)である[49]記載の酢酸の製造方法。
[51]前記製品工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が5kPa以下(好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)であるである[49]又は[50]記載の酢酸の製造方法。
[52]前記製品工程が満たす前記(ii)において、操作温度が120℃以上(好ましくは130℃以上、上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、より好ましくは155℃)である[49]〜[51]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[53]前記製品工程において、製品塔への仕込液中の酢酸濃度が99.8〜99.999質量%、ギ酸濃度が5〜2000質量ppm(例えば5〜1000質量ppm、特に5〜100質量ppm)である[49]〜[52]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[54]前記(i)の操作条件を満たす工程又は前記(ii)の操作条件を満たす工程における滞留時間が1分以上(例えば5分以上、特に10分以上)である[1]〜[53]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[55]前記(i)の操作条件を満たす工程又は前記(ii)の操作条件を満たす工程における滞留時間が2時間以下(好ましくは1時間以下)である[54]記載の酢酸の製造方法。
[56]ギ酸濃度が10質量ppm以上(例えば10〜10000質量ppm、好ましくは15〜1000質量ppm、さらに好ましくは20〜200質量ppm)のプロセス液を、(iii)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たす工程にリサイクルする[1]〜[55]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[57]酢酸の製造プロセスが少なくとも1つの蒸留工程を有しており、当該少なくとも1つの蒸留工程における蒸留塔の塔頂液を前記(i)の操作条件を満たす工程及び/又は前記(ii)の操作条件を満たす工程にリサイクルする[1]〜[56]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[58]前記蒸留塔の塔頂液のリサイクル先が反応工程及び/又は当該蒸留塔に係る蒸留工程よりも上流に位置する蒸発工程若しくは蒸留工程である[57]記載の酢酸の製造方法。
[59]前記(iii)の操作条件を満たす工程が、前記反応工程、蒸発工程、脱低沸工程及び脱水工程から選択された少なくとも1つの工程である[57]又は[58]記載の酢酸の製造方法。
本発明の酢酸の製造方法は、メタノール法カルボニル化プロセス(メタノール法酢酸プロセス)による酢酸の工業的製造法として利用可能である。
1 反応槽
2 蒸発槽
3,5,6 蒸留塔
4 デカンタ
7 イオン交換樹脂塔
8 スクラバーシステム
9 アセトアルデヒド分離除去システム
16 反応混合物供給ライン
17 蒸気流排出ライン
18,19 残液流リサイクルライン
54 一酸化炭素含有ガス導入ライン
55,56 水酸化カリウム導入ライン
57 触媒循環ポンプ
91 蒸留塔(第1脱アセトアルデヒド塔)
92 抽出塔
93 蒸留塔(第2脱アセトアルデヒド塔)
94 蒸留塔(抽出蒸留塔)
95 デカンタ
96 デカンタ
97 蒸留塔(脱アセトアルデヒド塔)
98 蒸留塔(抽出蒸留塔)
99 デカンタ
200 チムニートレイ
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例4、6、9、及び14は参考例として記載するものである。なお、「MeI」はヨウ化メチル、「MA」は酢酸メチルを示す。液相部の組成分析において、水濃度はカールフィッシャー水分測定法、ギ酸濃度は液体クロマトグラフィー、ロジウム濃度はICP分析(又は原子吸光分析)、ヨウ化リチウム濃度については、LiをICP分析、ヨウ素を電気滴定分析、その他の成分の濃度はガスクロマトグラフィーにより測定した。気相部の各ガス成分の分圧は、全圧とガスクロマトグラフィーにより測定した各ガス成分濃度より算出した。「%」、「ppm」はそれぞれ「質量%」、「質量ppm」を意味する。

Claims (18)

  1. 酢酸の製造プロセスにおいて、下記(i)の操作条件を満たす工程及び下記(ii)の操作条件を満たす工程から選択される少なくとも1つの工程を有することを特徴とする酢酸の製造方法。
    (i)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が175℃を超える操作条件
    (ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件
  2. 前記(ii)において、水素分圧が1kPa(絶対圧)以下、且つ二酸化炭素分圧が2kPa(絶対圧)未満である請求項1記載の酢酸の製造方法。
  3. 前記(i)の操作条件を満たす反応工程を有する請求項1又は2記載の酢酸の製造方法。
  4. 前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が30質量%以上、ギ酸濃度が102質量ppm以下である請求項3記載の酢酸の製造方法。
  5. 前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が50〜90質量%、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%、水濃度が0.1〜15質量%、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%、ギ酸濃度が102質量ppm以下である請求項3又は4記載の酢酸の製造方法。
  6. 前記(ii)の操作条件を満たす蒸発工程又は蒸留工程を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  7. 前記蒸発工程において、蒸発槽への仕込液中の酢酸濃度が50〜90質量%、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%、水濃度が0.1〜15質量%、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%、ギ酸濃度が10000質量ppm以下である請求項6記載の酢酸の製造方法。
  8. 前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上、ギ酸濃度が5質量ppm以上である請求項6記載の酢酸の製造方法。
  9. 前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が40〜85質量%、ヨウ化メチル濃度が2〜50質量%、水濃度が0.2〜20質量%、酢酸メチル濃度が0.2〜50質量%、ギ酸濃度が5〜10000質量ppmである請求項6記載の酢酸の製造方法。
  10. 前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が80〜99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01〜16質量%、水濃度が0.05〜18質量%、酢酸メチル濃度が0.01〜16質量%、ギ酸濃度が5〜10000質量ppmである請求項6記載の酢酸の製造方法。
  11. 前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が99.1〜99.999質量%、ギ酸濃度が5〜9000質量ppmである請求項6記載の酢酸の製造方法。
  12. 酢酸の製造プロセスが、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程、前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を蒸気流と残液流とに分離する蒸発工程、及び前記蒸気流を蒸留に付して低沸成分に富むオーバーヘッド流と酢酸に富む第1酢酸流とに分離する脱低沸工程を有しているか、又は、これらの工程に加えて、さらに下記(a)〜(d)の少なくとも1つの工程を有している請求項1〜11のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
    (a)前記第1酢酸流を蒸留して、水に富むオーバーヘッド流と、第1酢酸流よりも酢酸が富化された第2酢酸流とに分離する脱水工程
    (b)前記第1若しくは第2酢酸流を蒸留して、高沸成分に富む缶出流と、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第3酢酸流とに分離する脱高沸工程
    (c)前記第1若しくは第2若しくは第3酢酸流をイオン交換樹脂で処理して第4酢酸流を得る吸着除去工程
    (d)前記第1若しくは第2若しくは第3若しくは第4酢酸流を蒸留して、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第5酢酸流を得る製品工程
  13. 前記カルボニル化反応工程が、前記(i)の操作条件を満たす請求項12記載の酢酸の製造方法。
  14. 前記蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程、脱高沸工程及び製品工程から選択された少なくとも1つの工程が、前記(ii)の操作条件を満たす請求項12又は13記載の酢酸の製造方法。
  15. 前記(i)の操作条件を満たす工程又は前記(ii)の操作条件を満たす工程における滞留時間が1分以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  16. ギ酸濃度が10質量ppm以上のプロセス液を、水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たす工程にリサイクルする請求項1〜15のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  17. 酢酸の製造プロセスが少なくとも1つの蒸留工程を有しており、当該少なくとも1つの蒸留工程における蒸留塔の塔頂液を前記(i)の操作条件を満たす工程及び/又は前記(ii)の操作条件を満たす工程にリサイクルする請求項1〜16のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  18. 前記蒸留塔の塔頂液のリサイクル先が反応工程及び/又は当該蒸留塔に係る蒸留工程よりも上流に位置する蒸発工程若しくは蒸留工程である請求項17記載の酢酸の製造方法。
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