JPWO2018124087A1 - カラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
このような視野角依存性の問題を改善するため、従来、位相差フィルムを液晶表示装置に組み込む方法が広く用いられてきた。しかしながら、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、着色層の各色の着色パターンによって異なる位相差を有するため、上記の位相差フィルムを用いた場合、各色の着色パターンが有する位相差の差異は補償することができないという問題があり、視野角依存性の問題点を完全に解決することは困難であった。
また、従来から使用されている赤色色材を用いて、色再現域を広げるために、黄味や青味で高色濃度の赤の色度領域に含まれる赤色画素を作製する場合、顔料濃度の上昇によって、コントラストや輝度が低下したり、製版性の悪化を引き起こすという問題があった。
前記色材が、赤色色材及び黄色色材を含み、
当該黄色色材が、下記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、下記一般式(B)で表される化合物とを含み、
前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である、カラーフィルタ用色材分散液であることを特徴とする。
前記色材が、赤色色材及び黄色色材を含み、
当該黄色色材が、下記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、下記一般式(B)で表される化合物とを含み、
前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である、カラーフィルタ用着色樹脂組成物であることを特徴とする。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、C.I.ピグメントレッドを「PR」、C.I.ピグメントオレンジを「PO」、C.I.ピグメントイエローを「PY」と適宜略記する。
本発明に係るカラーフィルタ用色材分散液は、色材と、分散剤と、溶剤とを含有する色材分散液であって、
前記色材が、赤色色材及び黄色色材を含み、
当該黄色色材が、下記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、下記一般式(B)で表される化合物とを含み、
前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である、カラーフィルタ用色材分散液であることを特徴とする。
赤色色材は、一般に環状の平面構造を有するものが多いことから、カラーフィルタ用の色材分散液として着色層を形成する際に結晶化しやすいため、得られた着色層における厚み方向の位相差値が大きくなりやすい。
それに対して、本発明の色材分散液においては、赤色色材に、2種類以上の金属イオンを含む特定の黄色色材と、特定の一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤とを組み合わせて用いることから、赤色色材と2種類以上の金属イオンを含む特定の黄色色材との間に相互作用が働いて、赤色色材、及び黄色色材の結晶成長が抑制され微粒化が可能となり、且つ、前記分散剤との組み合わせによって赤色色材及び黄色色材が微粒化されて分散されるため、位相差値が低減されながら、コントラストが向上した着色層を形成可能であると推定される。
従来、前記一般式(A)で表されるアゾ化合物を含む金属錯体を形成する金属が1種類の色材の場合、結晶性が高く微粒化することが困難でありコントラストの向上が困難であった。また、赤色色材に組み合わせて得られる着色層の位相差値は高くなる傾向があった。それに対して本発明では、一般式(A)で表されるアゾ化合物のアニオンに対して2種類以上の金属イオンを含む特定の黄色色材を用いる。当該黄色色材は2種類以上の金属イオンを含むことにより、黄色色材の結晶成長を抑制するだけでなく、赤色色材の結晶成長も抑制し、更に前記特定の分散剤が組み合わされることにより、色材分散液中で微粒化されていると推察される。
また、本発明においては、赤色色材に、前記特定の黄色色材と組み合わせることにより、P/V比((組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比)を抑えても、前記高色濃度の赤の色度領域に含まれる赤色画素を作製することができる。
着色層中で前記P/V比が低減されて、且つ、前述の赤色色材の結晶成長が抑制される相乗効果により、着色層の厚み方向の位相差値が低減されていると推定される。
また、着色樹脂組成物中の色材成分の合計含有量を抑えることができることから、バインダー成分の含有量を相対的に増加させることができるため、製版性が向上し、基板との密着性をより高めた着色層を形成することが可能となる。
以下、このような本発明の色材分散液の各成分について、順に詳細に説明する。
本発明において、色材は、赤色色材及び黄色色材を含み、
当該黄色色材が、下記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、下記一般式(B)で表される化合物とを含むことを特徴とする。
本発明においては、黄色色材として前記特定の黄色色材を用いることから、赤色色材と組み合わせた場合に輝度の低下を抑制でき、また、結晶化が抑制されて微粒化が可能であって、後述する特定の分散剤と組み合わせた場合の分散性に優れることから、コントラストを向上することができ、更に、位相差値を低減することができる。
一般式(A)中のアルキルアミノ基におけるアルキル基としては、炭素数1以上6以下であることが好ましい。前記アルキル基は、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、−CN、−NH2、及び/又は、炭素数1以上6以下のアルコキシ基で置換されていてもよい。
一般式(A)中のアリールアミノ基におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、これらのアリール基は、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン、−OH、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、−NH2、−NO2および−CNなどで置換されていてもよい。
前記一般式(A)において、2つのRaは、中でも色相の点から、両方とも−OHである場合、両方とも−NH−CNである場合、又は、1つが−OHで1つが−NH−CNである場合が更に好ましく、両方とも−OHである場合がより更に好ましい。
更に、Niと、更に、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,CuおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属とを含むことが好ましく、より更に、Niと、更に、Zn,Cu,AlおよびFeからなる群から選択される少なくとも1種の金属とを含むことが好ましい。中でも特に、前記少なくとも2種の金属としては、NiとZnであるか、又は、NiとCuであることが好ましい。
中でも、赤味の色相の点から、本発明に用いられる黄色色材においては、Niと、更に、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,CuおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属との含有割合は、Ni:その他の前記少なくとも1種金属が97:3〜10:90のモル比で含むことが好ましく、更に、90:10〜10:90のモル比で含むことが好ましい。
中でも、赤味の色相の点から、NiとZnとをNi:Znが90:10〜10:90のモル比で含むことが好ましく、80:20〜20:80のモル比で含むことが更に好ましい。
或いは、赤味の色相の点から、NiとCuとをNi:Cuが97:3〜10:90のモル比で含むことが好ましく、96:4〜20:80のモル比で含むことが更に好ましい。
黄色色材が赤味の色相の場合、前記P/V比を抑えても、前記高色濃度の赤の色度領域に含まれる赤色画素を作製し易い。
中でも、Rcは、水素原子であることが好ましい。
また、本発明で用いられる黄色色材には、更に、水溶性ポリマー、例えばエチレン−プロピレンオキシド−ブロックポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチル−およびエチルヒドロキシエチルセルロースのような変性セルロース等が含まれていても良い。
分散剤、バインダー成分を含む、測色を行い得る透明な塗膜としては、例えば、膜厚2.0μmで、380〜780nmにおける分光透過率スペクトルの透過率が95%以上であることを目安にすることができる。
なお、分光透過率スペクトルは、分光測定装置(例えば、オリンパス製 顕微装置OSP−SP200)を用いて測定することができる。測定条件としては、C光源である。
その他のアゾ系顔料としては、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41等が挙げられる。
C.I.ピグメントレッド254と前記化学式(2)で表されるジケトピロロピロール顔料(BrDPP)とC.I.ピグメントレッド177とを組み合わせる場合の含有割合は、所望の色材に応じて適宜調整されれば良く特に限定されないが、赤色色材の合計量100質量部に対してC.I.ピグメントレッド254が10質量部以上80質量部以下で、前記化学式(2)で表されるジケトピロロピロール顔料(BrDPP)が10質量部以上70質量部以下で、且つC.I.ピグメントレッド177が10質量部以上60質量部以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、上記組み合わせの効果に優れている。なお、当該赤色色材の含有割合は、後述の着色樹脂組成物とした場合の好ましい割合であり、色材分散液を適宜2種以上混合して用いて着色樹脂組成物を製造することができるため、色材分散液自体は、後述の着色樹脂組成物と同様の含有割合としなくても好適に用いられる。
色材分散液中の色材の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分布粒径は、体積平均粒径である。
特に色材濃度が高い塗膜乃至着色層を形成する場合には、色材分散液中の全固形分100質量部に対して、30質量部以上80質量部以下、より好ましくは40質量部以上75質量部以下の割合で配合することが好ましい。
本発明においては、分散剤として、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体を用いる。前記一般式(I)で表される構成単位は塩基性を有し、色材に対する吸着部位として機能する。
本発明の色材分散液は、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体を用いることにより、色材への吸着性能が向上し、色材の分散性及び分散安定性が向上する。
中でも、分散性の点から、一般式(I)におけるAは、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数は、1以上18以下が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、更に7以上14以下が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素原子数は、6以上24以下が好ましく、更に6以上12以下が好ましい。なお、上記好ましい炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
本発明において用いられる重合体としては、色材の分散性及び分散安定性並びに樹脂組成物の耐熱性を向上し、高輝度且つ高コントラストな着色層を形成できる点から、中でも、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましく、ブロック共重合体が特に好ましい。以下、特に好ましいブロック共重合体について詳細に説明する。
前記一般式(I)で表される構成単位を含むブロックをAブロックとすると、当該Aブロックは、前記一般式(I)で表される構成単位が塩基性を有し、色材に対する吸着部位として機能する。一方、前記一般式(I)で表される構成単位を含まないBブロックは、溶剤親和性を有するブロックとして機能するようにする。本発明においてブロック共重合体の各ブロックの配置は特に限定されず、例えば、ABブロック共重合体、ABAブロック共重合体、BABブロック共重合体等とすることができる。中でも、分散性に優れる点で、ABブロック共重合体、又はABAブロック共重合体が好ましい。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1以上30以下の整数、yは1以上5以下の整数、zは1以上18以下の整数を示す。)
上記炭素原子数1以上18以下のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−エトキシエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素原子数2以上18以下のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
アルキル基やアルケニル基等の脂肪族炭化水素の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アラルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、更に7以上14以下が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素原子数1以上4以下の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
R9は水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。
また、上記一般式(II)で表される構成単位中のR5は、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
また、Bブロックを構成する構成単位中に、上記R5として、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8又は−[(CH2)y−O]z−R8であるものを含有することが、現像性が優れ、現像残渣の抑制に優れる点から好ましい。
本発明における溶剤親和性のブロック部のガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。また同様に色材親和性ブロック部及びブロック共重合体のガラス転移温度も計算することが出来る。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、溶剤親和性のブロック部はi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用することができる。
アミン価が上記範囲内であることにより、粘度の経時安定性や耐熱性に優れると共に、アルカリ現像性や、溶剤再溶解性にも優れている。本発明において、分散剤のアミン価は、分散性および分散安定性の点から、中でも、アミン価が80mgKOH/g以上であることが好ましく、90mgKOH/g以上であることがより好ましい。一方、溶剤再溶解性の点から、分散剤のアミン価は、110mgKOH/g以下であることが好ましく、105mgKOH/g以下であることがより好ましい。
アミン価は、試料1g中に含まれるアミン成分を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいい、JIS−K7237に定義された方法により測定することができる。当該方法により測定した場合には、分散剤中の有機酸化合物と塩形成しているアミノ基であっても、通常、当該有機酸化合物が解離するため、分散剤として用いられるブロック共重合体そのもののアミン価を測定することができる。
本発明に用いられる分散剤においては、塩形成前のブロック共重合体の酸価が1mgKOH/g以上であることが好ましく、2mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。現像残渣の抑制効果が向上するからである。一方で、塩形成前のブロック共重合体の酸価は、分散性及び分散安定性の点からは、0mgKOH/gであることが好ましい。また、塩形成前のブロック共重合体の酸価の上限としては18mgKOH/g以下であることが好ましいが、12mgKOH/g以下であることがより好ましく、8mgKOH/g以下であることがさらにより好ましい。現像密着性、及び溶剤再溶解性が良好になるからである。
分散剤のガラス転移温度は、現像密着性の点から中でも32℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。一方、精秤が容易など、使用時の操作性の観点から、200℃以下であることが好ましい。
本発明における分散剤のガラス転移温度は、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)により測定することにより求めることができる。
カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位の含有割合が、前記下限値以上であることより、現像残渣の抑制効果が発現され、前記上限値以下であることより現像密着性の悪化や溶剤再溶解性の悪化を防止できる。
なお、カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位は、上記特定の酸価となればよく、1種からなるものであっても良いし、2種以上の構成単位を含んでいてもよい。
ここで、重量平均分子量は(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求める。なお、ブロック共重合体の原料となるマクロモノマーや塩型ブロック共重合体、グラフト共重合体についても、上記条件で行う。
中でも、3級アミンを有する繰り返し単位を含む重合体がブロック共重合体であって、前記有機酸化合物がフェニルホスホン酸やフェニルホスフィン酸等の酸性有機リン化合物であることが、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。このような分散剤に用いられる有機酸化合物の具体例としては、例えば、特開2012−236882号公報等に記載の有機酸化合物が好適なものとして挙げられる。
また、前記ハロゲン化炭化水素としては、臭化アリル、塩化ベンジル等のハロゲン化アリル及びハロゲン化アラルキルの少なくとも1種であることが、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から好ましい。
分散剤の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液中の全固形分100質量部に対して、3質量部以上45質量部以下、より好ましくは5質量部以上35質量部以下の割合で配合することが好ましい。
特に色材濃度が高い塗膜乃至着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、色材分散液中の全固形分100質量部に対して、3質量部以上25質量部以下、より好ましくは5質量部以上20質量部以下の割合で配合することが好ましい。
尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解しているモノマー等も含まれる。
本発明に用いられる溶剤としては、色材分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。溶剤は単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
溶剤の具体例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、i−プロピルアルコール、メトキシアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ヒドロキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシプロピオン酸エチル、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、酪酸n−ブチル、クロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;テトラヒドロフランなどの環状エーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中ではグリコールエーテルアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤が他の成分の溶解性の点で好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、及び、3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
アルコール性水酸基を有する溶剤の例としては、上記アルコール系溶剤、上記カルビトール系溶剤、上記グリコールエーテル系溶剤が挙げられ、具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)等が挙げられる。
上記範囲内であると、分散剤の溶解性が良好になりやすく、また、分散剤の第1溶剤への溶解を阻害しなくなるため、分散安定性が良好になりやすい。
沸点150℃以上の溶剤の例としては、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点179℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート(沸点188℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点179℃)、3−メトキシブチルアセテート(沸点172℃)等が挙げられる。
上記範囲内であると、乾燥ムラが発生しにくく、また、乾燥時間が長くなり過ぎず生産性が良好となりやすい。
本発明の色材分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明において、色材分散液の製造方法は、前記色材が、前記分散剤により、溶剤中に分散された色材分散液が得られる方法であれば特に限定されない。中でも、色材の分散性及び分散安定性に優れる点から、以下の2つの製造方法のうちのいずれかとすることが好ましい。
分散機の具体例としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03mm以上3.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.05以上2.0mm以下である。
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、色材と、分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物であって、
前記色材が、赤色色材及び黄色色材を含み、
当該黄色色材が、前記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、前記一般式(B)で表される化合物とを含み、
前記分散剤が、前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体であることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、前記本発明の色材分散液と同様に色材分散安定性に優れ、また前記本発明の色材分散液の項で述べたように、位相差値が低減されながら、高輝度及び高コントラストで色再現性に優れた着色層を形成可能である。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物における色材は、必須成分として赤色色材、及び前記特定の黄色色材を含むが、色調を調整するために、更に他の色材を組み合わせて用いてもよい。
カラーフィルタの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機顔料、無機顔料、分散可能な染料を、単独で又は2種以上混合して用いることができる。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
また、上記分散可能な染料としては、染料に各種置換基を付与したり、公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、溶剤に不溶化することにより分散可能となった染料や、溶解度の低い溶剤と組み合わせて用いることにより分散可能となった染料が挙げられる。このような分散可能な染料と、前記分散剤とを組み合わせて用いることにより当該染料の分散性や分散安定性を向上することができる。
分散可能な染料としては、従来公知の染料の中から適宜選択することができる。このような染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料などを挙げることができる。
なお、目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して染料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該染料が分散可能であると判定することができる。
他の色材としては、例えば以下が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
他の黄色色材として、C.I.ピグメントイエロー1、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、55、60、61、65、71、73、74、81、83、93、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185等が挙げられる。
中でも、位相差値が低減されながら、色再現性を広くしてコントラストを高くする点から、色材全量に対して、赤色色材を35質量%以上99質量%以下含有することが好ましく、40質量%以上98質量%以下含有することがより好ましく、45質量%以上97質量%以下含有することがより更に好ましい。
更に好ましい。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するためにバインダー成分を含有する。塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物とを含んだ系等が挙げられる。
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられるアルカリ現像液に可溶性であるものの中から、適宜選択して使用することができる。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂とは、酸価が40mgKOH/g以上であることを目安にすることができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基、通常カルボキシ基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシ基を有するアクリル系共重合体及びカルボキシ基を有するスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシ基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、並びにエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。中でも、共重合性やコスト、溶解性、ガラス転移温度などの点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
このような炭化水素環としては、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、及びこれらの組み合わせが挙げられ、炭化水素環がアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、アミド基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
炭化水素環は、1価の基として含まれていても良いし、2価以上の基として含まれていても良い。
また、前記カルド構造を含む場合には、着色層の硬化性が向上し、耐溶剤性(NMP膨潤抑制)が向上する点から特に好ましい。
架橋環式炭化水素環の具体例としては、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセン、トリシクロペンテン、トリシクロペンタン、トリシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン;これらの基の一部が置換基によって置換された基が挙げられる。
上記置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の脂肪族炭化水素環や、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環、これらの基の一部が置換基によって置換された基が挙げられる。
カルボキシ基を有する構成単位と、上記炭化水素環とを有するアクリル系共重合体は、前述の“共重合可能なその他のモノマー”として炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーを用いることにより調製することができる。
アルカリ可溶性樹脂中に、エチレン性二重結合を導入する方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、アルカリ可溶性樹脂が有するカルボキシル基に、分子内にエポキシ基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等を付加させ、側鎖にエチレン性二重結合を導入する方法や、水酸基を有する構成単位を共重合体に導入しておいて、分子内にイソシアネート基とエチレン性二重結合とを備えた化合物を付加させ、側鎖にエチレン性二重結合を導入する方法などが挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの割合が上記下限値以上であると得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が十分であり、また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの割合が上記上限値以下であると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れが起こり難い傾向がある。
なお、カルボキシ基含有共重合体の上記重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてショウデックスGPCシステム−21H(Shodex GPC System−21H)により測定することができる。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。カルボキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
なお、本発明において酸価はJIS K 0070に従って測定することができる。
ここで、エチレン性不飽和結合当量とは、上記アルカリ可溶性樹脂におけるエチレン性不飽和結合1モル当りの重量平均分子量のことであり、下記数式(1)で表される。
エチレン性不飽和結合当量(g/mol)=W(g)/M(mol)
(数式(1)中、Wは、アルカリ可溶性樹脂の質量(g)を表し、Mはアルカリ可溶性樹脂W(g)中に含まれるエチレン性二重結合のモル数(mol)を表す。)
カラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、前記光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が好適に用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、特開2013−029832号公報に記載のもの等が挙げられる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
開始剤としては、芳香族ケトン類、ベンゾインエーテル類、ハロメチルオキサジアゾール化合物、α−アミノケトン、ビイミダゾール類、N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ハロメチル−S−トリアジン系化合物、チオキサントン等を挙げることができる。開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体等のビイミダゾール類、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。
中でも、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントンが好ましく用いられる。更に2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンのようなα−アミノアセトフェノン系開始剤とジエチルチオキサントンのようなチオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましい。
α−アミノアセトフェノン系開始剤とチオキサントン系開始剤を用いる場合のこれらの合計含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5質量%以上15質量%以下が好ましい。開始剤量が15質量%以下だと製造プロセス中の昇華物が低減するため好ましい。開始剤量が5質量%以上であると水染み等、現像耐性が向上する。
当該オキシムエステル系光開始剤としては、分解物によるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の汚染や装置の汚染を低減する点から、中でも、芳香環を有するものが好ましく、芳香環を含む縮合環を有するものがより好ましく、ベンゼン環とヘテロ環を含む縮合環を有することがさらに好ましい。
オキシムエステル系光開始剤としては、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−、2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2010−527339、特表2010−527338、特開2013−041153等に記載のオキシムエステル系光開始剤の中から適宜選択できる。市販品として、カルバゾール骨格を有するイルガキュアOXE−02(BASF製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料社製)、ジフェニルスルフィド骨格を有するアデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、TR−PBG−345、TR−PBG−3057(以上、常州強力電子新材料社製)イルガキュアOXE−01(BASF製)、フルオレン骨格を有するTR−PBG−365(常州強力電子新材料社製)などを用いても良い。特にジフェニルスルフィド骨格又はフルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが輝度の点から好ましい。またカルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが感度の高い点から好ましい。
またオキシムエステル系光開始剤を2種類以上併用することは、輝度、現像耐性が向上しやすく、水染み発生抑制効果が高い点で好ましい。特にジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤2種類の併用又は、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤とフルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは輝度が高く、耐熱性が高い点から好ましい。また、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤と、フルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤又はジフェニルスルフィドを有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは感度、水染み発生抑制効果に優れる点で好ましい。
また、オキシムエステル系光開始剤に、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましく、オキシムエステル系光開始剤を2種類以上と、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが輝度、現像耐性が向上し、感度調整をしやすく、水染み発生抑制効果が高く、現像耐性が向上する点で好ましい。
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤として、オキシムエステル系光開始剤2種以上の合計含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、0.1質量%以上12.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上8.0質量%以下の範囲内であることが、これらの光開始剤の併用効果を十分に発揮させる点から好ましい。
カラーフィルタ用着色樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤を含むものであってもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤の他、メルカプト化合物、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
酸化防止剤は従来公知のものの中から適宜選択すればよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられ、耐熱性の点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1010、BASF製)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:イルガノックス3114、BASF製)、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)メシチレン(商品名:イルガノックス1330、BASF製)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン(商品名:イルガノックス565、BASF製)、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1035、BASF製)、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(商品名:イルガノックスMD1024、BASF製)、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル(商品名:イルガノックス1135、BASF製)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(商品名:イルガノックス1520L、BASF製)、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド](商品名:イルガノックス1098、BASF製)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス259、BASF製)、1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:ADK STAB AO−80、アデカ製)、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロピオン酸)エチレンビス(オキシエチレン)(商品名:イルガノックス245、BASF製)、1,3,5−トリス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名:イルガノックス1790、BASF製)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:スミライザーMDP−S、住友化学製)、6,6’−チオビス(2−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(商品名:イルガノックス1081、BASF製)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル(商品名:イルガモド195、BASF製)、アクリル酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル(商品名:スミライザーGM、住友化学製)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール) (商品名:スミライザーWX−R、住友化学製)、6,6'−ジ−tert−ブチル−4,4'−ブチリデンジ−m−クレゾール(商品名:アデカスタブ AO−40、ADEKA製)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
中でも、耐熱性及び耐光性の点から、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:商品名:IRGANOX1010、BASF社製)が好ましい。
また、分子量が1000以下で且つフェノール性水酸基1個あたりの分子量が280当量以下、さらには分子量が500以下で且つフェノール性水酸基1個あたりの分子量が200当量以下であるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、位相差値が低減されながら、輝度及びコントラストが向上した着色層を形成可能な点から好ましい。このような酸化防止剤は、流動性が高く、重量当たりの活性点も多いので、ラジカルトラップにより露光時及びポストベーク時での急激な硬化収縮による色材凝集を抑制することや、樹脂等の黄変を抑制することに起因して上記効果が得られやすいと推定される。このような酸化防止剤としては例えば、6,6'−ジ−tert−ブチル−4,4'−ブチリデンジ−m−クレゾール(商品名:アデカスタブ AO−40、ADEKA製)等が挙げられる。
本発明において好適に用いられる潜在性酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のフェノール性水酸基を加熱により脱離可能な保護基で保護した潜在性ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。潜在性ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のフェノール性水酸基と、酸無水物、酸塩化物、Boc化試薬、アルキルハライド化合物、シリルクロライド化合物、又はアリルエーテル化合物等との反応物が挙げられる。潜在性ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のフェノール基の水素をt−ブトキシカルボニル基のようなカルバメート系保護基で置換した構造が好適に用いられ、具体例としては、下記化学式(a)〜(c)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、感光性着色樹脂組成物として、前記オキシムエステル系光開始剤と、メルカプト化合物とを組み合わせて含有すると、現像耐性が向上する点、水染み発生抑制効果が更に向上する点、及び、細線パターンを形成する際に、直線性がより向上したり、マスク線幅の設計通りに細線パターンを形成する能力が向上する点から好ましい。なお、「直線性が向上する」とは、着色組成物を塗布した後の現像工程において形成される着色層の端部の凹凸が少なく、直線状または略直線状に形成されることをいう。
メルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、およびテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
メルカプト化合物としては、単独で又は2種以上組み合わせて用いても良く、中でも、メルカプト基を1分子中に2個以上有する多官能メルカプト化合物からなる群から選択される1種以上を用いることが、架橋密度が高くなり、水染み抑制効果が向上する点から好ましい。
また、長期保存した場合にも、良好な水染み抑制効果が維持され易い点から、メルカプト基が結合する炭素原子が第2級炭素原子である2級メルカプト基を有する2級メルカプト化合物が好ましく、更に当該2級メルカプト基を1分子中に2個以上有する多官能2級メルカプト化合物であることがより好ましい。
市販品としては、例えば、BASF製の「TINUVIN P」、「TINUVIN PS」、「TINUVIN 109」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 328」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 384−2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 99−2」、「TINUVIN 1130」等が挙げられる。
色材の合計の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、3質量%以上65質量%以下、より好ましくは4質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0μm以上5.0μm以下)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、保存安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、色材の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、15質量%以上65質量%以下、より好ましくは25質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。
また、分散剤の含有量としては、色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して1質量%以上40質量%以下用いることができる。更に、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して2質量%以上30質量%以下の割合で配合するのが好ましく、特に3質量%以上25質量%以下の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の保存安定性により優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、2質量%以上25質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
また、溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含むカラーフィルタ用着色樹脂組成物の全量に対して、通常、55質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、中でも、65質量%以上88質量%以下の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
カラーフィルタ用着色樹脂組成物は、C光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標が、x=0.550〜0.700、y=0.290〜0.450の範囲にある硬化膜を形成可能であることが好ましい。
中でも、色再現性を向上する点から、C光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標が、x=0.570〜0.693、y=0.300〜0.426の範囲にある硬化膜を形成可能であることが好ましく、x=0.600〜0.690、y=0.300〜0.348の範囲にある硬化膜を形成可能であることが更に好ましく、x=0.630〜0.690、y=0.300〜0.329の範囲にある硬化膜を形成可能であることがより更に好ましい。
膜厚が2.8μm以下であり、且つ、単一画素でC光源で測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標において、x=0.570〜0.693、y=0.300〜0.426及び刺激値Yが9.0≦Yの範囲の色空間を表示するのに良好な配合割合乃至組合せとしては色材全量に対して、赤色色材が45.0質量%以上98.0質量%以下、前記特定の黄色色材が2.0質量%以上55.0質量%以下であることが好ましく、更に、赤色色材が50.0質量%以上95.0質量%以下、前記特定の黄色色材が5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、特に、赤色色材が55.0質量%以上90.0質量%以下、前記特定の黄色色材が10.0質量%以上45.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、前記本発明の色材分散液に、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤と、必要に応じてその他の成分を添加し、公知の混合手段を用いて混合することにより得ることができる。或いは、前記分散剤を用いて、各色材の色材分散液とを各々準備し、各々の色材分散液と、バインダー成分と、必要に応じてその他の成分を、公知の混合手段を用いて混合することにより得ることができる。
本発明に係るカラーフィルタは、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化物である着色層を有する。
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化物、すなわち前記着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層である。
着色層は、通常、後述する基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1μm以上5μm以下の範囲であることが好ましい。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法などの塗布手段を用いて後述する基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。なかでもスピンコート法、ダイコート法を好ましく用いることができる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて硬化塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法、感光性レジストを熱転写する方法等がある。
基板としては、後述する透明基板やシリコン基板、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、TFT等のトランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm以上1mm以下程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や配向突起、柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係るカラーフィルタを有することを特徴とする。本発明において表示装置の構成は特に限定されず、従来公知の表示装置の中から適宜選択することができ、例えば、液晶表示装置や、有機発光表示装置などが挙げられる。本発明では、横電界方式の液晶表示装置においても、緑色画素の電気的特性に起因する液晶の配向乱れ、スイッチングの閾値ずれによる焼き付き現象など、様々な表示不良が抑制されることから、液晶表示装置が好適に選択される。
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の表示装置の一例を示す概略図であり、液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明に係る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の表示装置の他の一例を示す概略図であり、有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
なお、塩形成前のブロック共重合体の酸価は、JIS K 0070に記載の方法に準ずる方法により求めた。
塩形成前のブロック共重合体のアミン価は、JIS K 7237に記載の方法に準ずる方法により求めた。
塩形成前のブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、前述の本発明の測定方法に従って、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算値として求めた。
塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に記載の方法に準ずる方法により、示差走査熱量測定(DSC)(SIIナノテクノロジー社製、EXSTAR DSC 7020)を用いて測定した。
550gの蒸留水の中に、23.1gのジアゾバルビツール酸および19.2gのバルビツール酸を導入した。次いで、水酸化カリウム水溶液を用いてアゾバルビツール酸(0.3モル)となるように調整し、750gの蒸留水と混合した。5gの30%の塩酸を滴下により添加した。その後、38.7gのメラミンを導入した。次いで、0.57モルの塩化ニッケル溶液と0.03モルの塩化銅溶液を混合して添加し、80℃の温度で8時間撹拌した。濾過により顔料を単離し、洗浄し、120℃で乾燥させ、乳鉢で磨砕し、Azo誘導体1(Ni:Cu=95:5(モル比)のazo顔料)を得た。
製造例1において、0.57モルの塩化ニッケル溶液と0.03モルの塩化銅溶液の代わりに、0.39モルの塩化ニッケル溶液と0.21モルの塩化亜鉛溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして、Azo誘導体2(Ni:Zn=65:35(モル比)のazo顔料)を得た。
製造例1において、0.57モルの塩化ニッケル溶液と0.03モルの塩化銅溶液の代わりに、0.42モルの塩化ニッケル溶液と0.18モルの塩化銅溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして、Azo誘導体3(Ni:Cu=70:30(モル比)のazo顔料)を得た。
製造例1において、0.57モルの塩化ニッケル溶液と0.03モルの塩化銅溶液の代わりに、0.21モルの塩化ニッケル溶液と0.39モルの塩化亜鉛溶液を用いた以外は、製造例1と同様にして、Azo誘導体4(Ni:Zn=35:65(モル比)のazo顔料)を得た。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコにTHF250質量部、塩化リチウム0.6質量部を加え、充分に窒素置換を行った。反応フラスコを−60℃まで冷却した後、ブチルリチウム4.9質量部(15質量%ヘキサン溶液)、ジイソプロピルアミン1.1質量部、イソ酪酸メチル1.0質量部をシリンジを用いて注入した。Bブロック用モノマーのメタクリル酸1−エトキシエチル(EEMA)3.3質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)18.2質量部、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)4.2質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)7.0質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)24.7質量部、メタクリル酸メチル(MMA)13.3質量部を、添加用ロートを用いて60分かけて滴下した。30分後、Aブロック用モノマーであるメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA)30.8質量部を20分かけて滴下した。30分間反応させた後、メタノール1.5質量部を加えて反応を停止させた。得られた前駆体ブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、PGMEAで希釈し固形分30質量%溶液とした。水を32.5質量部加え、100℃に昇温し7時間反応させ、EEMA由来の構成単位を脱保護しメタクリル酸(MAA)由来の構成単位とした。得られたブロック共重合体PGMEA溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックとカルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を含み親溶剤性を有するBブロックとを含むブロック共重合体A−1(酸価 12mgKOH/g、Tg44℃)を得た。このようにして得られたブロック共重合体A−1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて確認したところ、重量平均分子量Mwは8100であった。また、アミン価は110mgKOH/gであった。
100mL丸底フラスコ中でPGMEA29.35質量部に、ブロック共重合体A−1を29.35質量部溶解し、フェニルホスホン酸(東京化成製)1.59質量部(フェニルホスホン酸がブロック共重合体A−1のDMMAユニット1モルに対し、0.1モル)加え、反応温度30℃で20時間攪拌することにより、塩型ブロック共重合体A−1(分散剤a)溶液を得た。塩形成後のアミン価は具体的には、以下のように算出した。
NMR試料管に塩型ブロック共重合体A−1(再沈殿後の固形物)を9質量部、クロロホルム−D1NMR用を91質量部で混合した溶液を1g入れ、13C−NMRスペクトルを核磁気共鳴装置(日本電子製、FT NMR、JNM−AL400)を用い、室温、積算回数10000回の条件にて測定した。得られたスペクトルデータのうち、末端の窒素部位(アミノ基)において、塩形成されていない窒素原子に隣接する炭素原子ピークと、塩形成されている窒素原子に隣接する炭素原子ピークの積分値の比率より、アミノ基総数に対する塩形成されているアミノ基数の比率を算出し、理論的な塩形成比率と相違ない(全フェニルホスホン酸の2つの酸性基がブロック共重合体A−1のDMMAの末端の窒素部位と塩形成している)ことを確認した。
塩形成前のアミン価110mgKOH/gから、DMMAユニットの0.20モル分のアミン価(22mgKOH/g)を差し引いて、塩形成後のアミン価を88mgKOH/gと算出した。塩形成後のブロック共重合体A−1の酸価は塩形成前ブロック共重合体A−1と同じである。塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体A−1の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
合成例1において、表1に示す含有量に変更した以外は、合成例1と同様にして、塩形成前ブロック共重合体A−2〜A−4、及び塩型ブロック共重合体A−2(分散剤b)〜A−4(分散剤d)溶液を合成した。なお、メタクリル酸1−エトキシエチル(EEMA)を合成例2においては2.8質量部、合成例3においては2.2質量部、合成例4においては1.1質量部使用した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
500mlの4口セパラブルフラスコを減圧して乾燥後、Ar(アルゴン)置換した。
Arフローしながら、脱水THF100g、メチルトリメチルシリルジメチルケテンアセタール2.0g、テトラブチルアンモニウム−3−クロロベンゾエート(TBACB)の1Mアセトニトリル溶液0.15ml、メシチレン0.2gを加えた。そこに滴下ロートを用いて、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)13.4質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)14.3質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)9.9質量部、メタクリル酸メチル(MMA)35.7質量部を45分かけて滴下した。反応が進むと発熱するため、氷冷することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMMA)26.7質量部を15分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール5gを加えて反応を停止させた。溶剤を減圧除去して、ブロック共重合体A−5を得た。GPC測定(NMP LiBr10mM)により求めた重量平均分子量は8,350、アミン価は95mgKOH/gであった。
100mL丸底フラスコ中でPGMEA29.35質量部に、ブロック共重合体A−5を29.35質量部溶解し、フェニルホスホン酸(PPA、東京化成製)3.17質量部(フェニルホスホン酸がブロック共重合体A−5のDMMAユニット1モルに対し、0.20モル)加え、反応温度30℃で20時間攪拌することにより、塩型ブロック共重合体A−5(分散剤e)溶液を得た。塩形成後のアミン価は、合成例1と同様に算出した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
合成例5において、フェニルホスホン酸に代えて、塩化ベンジル(東京化成製)を
3.80質量部(塩化ベンジルがブロック共重合体A−5のDMMAユニット1モルに対し、0.3モル)使用したこと以外は合成例5と同様にして、塩型ブロック共重合体A−6(分散剤f)溶液を合成した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
合成例5において、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)13.4質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)14.3質量部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)9.9質量部、及びメタクリル酸メチル(MMA)35.7質量部に代えて、メタクリル酸n−ブチル(BMA)7.6質量部、メタクリル酸メチル(MMA)32.9質量部、及びPME−1000(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(ポリエチレングリコール鎖の繰り返し数n≒23)、商品名ブレンマーPME−1000、日油製)39.9質量部を用い、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMMA)を26.7質量部に代えて、19.6質量部用いた以外は合成例5と同様にして、塩形成前ブロック共重合体A−7、及び塩型ブロック共重合体A−7(分散剤g)溶液を得た。塩形成後のアミン価は、合成例1と同様に算出した。得られた塩形成前及び塩形成後のブロック共重合体の酸価、アミン価、及びTgを表1に示す。
BzMA 40質量部、MMA 15質量部、MAA 25質量部、及びAIBN 3質量部の混合液を、PGMEA 150質量部を入れた重合槽中に、窒素気流下、100℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で、3時間加熱し、重合体溶液を得た。この重合体溶液の重量平均分子量は、7000であった。
次に、得られた重合体溶液に、グリシジルメタクリレート(GMA) 20質量部、トリエチルアミン0.2質量部、及びp−メトキシフェノール0.05質量部を添加し、110℃で10時間加熱し、反応溶液中に、空気をバブリングさせた。得られたアルカリ可溶性樹脂Aは、BzMAとMMA、MAAの共重合により形成された主鎖にGMAを用いてエチレン性二重結合を有する側鎖を導入した樹脂であり、固形分42.6質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてショウデックスGPCシステム−21H(Shodex GPC System−21H)により重量平均分子量を測定した。また酸価の測定方法は、JIS K 0070に基づいて測定した。
合成例8において重合時のコモノマー種としてBzMAを40質量部用いる代わりに、スチレンを20質量部、及び、N−フェニルマレイミド(東京化成工業株式会社)を20質量部用いた以外は合成例8と同様にしてアルカリ可溶性樹脂B溶液を得た。固形分42.6質量%、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
下記化学式(3)で表されるフェノール化合物0.01mol、二炭酸ジ−tert−ブチル0.05mol及びピリジン30gを混合し、窒素雰囲気下、室温で4−ジメチルアミノピリジン0.025molを加え、60℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液をイオン交換水150gに注ぎ、クロロホルム200gを加えて油水分離を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣にメタノール100gを加えて晶析を行った。得られた白色粉状結晶を60℃で3時間減圧乾燥させ、前記化学式(a)で表される潜在性酸化防止剤(化合物a)を得た。なお、得られた潜在性酸化防止剤の構造はIR及びNMRで確認した。
(1)色材分散液R1の製造
分散剤として合成例1の分散剤a溶液を6.23質量部、赤色色材として下記化学式(2)で表されるジケトピロロピロール顔料(BrDPP、商品名Irgaphor RED S 3621CF、BASF社製)を2.57質量部、C.I.ピグメントレッド254(商品名Hostaperm Red D2B−COF LV3781、CLARIANT製)を3.86質量部、C.I.ピグメントレッド177(商品名Cromophtal Red A2B、BASF製)を2.08質量部、黄色色材として製造例2で得られたAzo誘導体2を4.49質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を14.59質量部、PGMEAを66.12質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、色材分散液R1を得た。
上記(1)で得られた色材分散液R1を11.29質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を1.90質量部、多官能モノマー(商品名アロニックスM−403、東亞合成(株)社製)を0.60質量部、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(光開始剤:商品名イルガキュア907(IRG907)、BASF製)を0.09質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光開始剤:商品名イルガキュア369(IRG369)、BASF製)を0.04質量部、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(光開始剤:商品名アデカアークルズNCI−831(NCI831)、ADEKA製)を0.02質量部、フッ素系界面活性剤(商品名メガファックF559、DIC(株)製)を0.07質量部、シランカップリング剤(商品名KBM−503、信越シリコーン製)0.07質量部、メルカプト化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート))0.05質量部、PGMEAを5.85質量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートを3.92質量部加え、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R1を得た。
(3)着色層の形成
上記(2)で得られた着色樹脂組成物R1を、厚み0.7mmで100mm×100mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を照射し、更に230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークすることにより、硬化後の膜厚が2.10μmとなるように膜厚を調整して着色層R1を形成した。
(1)色材分散液R2〜R9、RC1の製造
実施例2〜6及び比較例1においては、実施例1の(1)において、それぞれ表2に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤の種類と使用量を固形分が同じ質量部となるように変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液R2〜R6を得た。
また、実施例7〜9においては、実施例3の(1)において、それぞれ表2に示すように、色材の種類と使用量を変更した以外は実施例(3)の(1)と同様にして、色材分散液R7〜R9を得た。
また、比較例1においては、実施例1の(1)において、表2に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤の種類と使用量を固形分が同じ質量部となるように変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整し、更に色材の種類と使用量を変更した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液RC1を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物R2〜R11、RC1の製造
実施例2〜9及び比較例1においては、実施例1の(2)における色材分散液R1の代わりにそれぞれ表2に示すように、上記色材分散液R2〜R9、RC1を用いて、膜厚を2.10μmとするために前記P/V比がそれぞれ表2に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例1の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R2〜R9、RC1を得た。
また、実施例10においては、実施例3においてアルカリ可溶性樹脂A溶液を用いた代わりに、合成例9で得られたアルカリ可溶性樹脂B溶液を用い、更に、酸化防止剤(商品名IRGANOX1010(1010)、BASF製)0.03質量部を添加した以外は、実施例3の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R10を得た。
また、実施例11においては、実施例10において、光開始剤について表2に示すように、IRG369を0.04質量部の代わりに、オキシムエステル系光開始剤(商品名TR−PBG−365(PBG365)、常州強力電子新材料社製)を0.04質量部用い、NCI831を0.02質量部の代わりに、オキシムエステル系開始剤(商品名TR−PBG−3057(PBG3057)、常州強力電子新材料社製)を0.02質量部用いた以外は、実施例10の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R11を得た。
(3)着色層の形成
実施例1の(3)において、着色樹脂組成物R1の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物R2〜R11、RC1を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色層R2〜R11、RC1を得た。
Y150誘導体:C.I.ピグメントイエロー150誘導体(Ni錯体)(商品名:LEVASCREEN YELLOW G01、ランクセス株式会社製)
Byk−161:商品名Disperbyk−161(ウレタン系分散剤、固形分30質量%、ビックケミー製)
溶剤A:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
溶剤B:3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート
(1)色材分散液R12〜R23の製造
実施例12〜23においては、実施例3の(1)において、それぞれ表3に示すように、色材の種類と配合量を変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例3の(1)と同様にして、色材分散液R12〜R23を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物R12〜R23の製造
実施例11の(2)における色材分散液R3の代わりにそれぞれ上記色材分散液R12〜R23を用い、膜厚を2.50μmとするために前記P/V比がそれぞれ表3に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例11の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R12〜R23を得た。
(3)着色層の形成
実施例11の(3)において、着色樹脂組成物R11の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物R12〜R23を用いた以外は、実施例11の(3)と同様にして、着色層R12〜R23を得た。
(1)色材分散液RC2〜RC7の製造
比較例2〜7においては、実施例1の(1)において、表3に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤の種類と使用量を固形分が同じ質量部となるように変更し、更にそれぞれ表3に示すように、色材の種類と配合量を変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液RC2〜RC7を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物RC2〜RC7の製造
実施例11の(2)における色材分散液R3の代わりにそれぞれ上記色材分散液RC2〜RC7を用い、膜厚を2.50μmとするために前記P/V比がそれぞれ表3に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例11の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物RC2〜RC7を得た。
(3)着色層の形成
実施例11の(3)において、着色樹脂組成物R11の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物RC2〜RC7を用いた以外は、実施例11の(3)と同様にして、着色層RC2〜RC7を得た。
R242:C.I.ピグメントレッド242(商品名:Novoperm Scarlet 4RF、CLARIANT製)
O38:C.I.ピグメントオレンジ38(商品名:Novoperm Red HF、CLARIANT製)C.I.ピグメントオレンジ38は、P/V(赤色色材質量/赤色色材以外の固形分質量)比=0.2で2.5μmの塗膜の分光透過率スペクトルを測定した場合に、520nmの波長の透過率が20%以下であり、且つ640nmの波長の透過率が70%以上であり、本発明の赤色色材に相当。
R177:C.I.ピグメントレッド177(商品名:Cromophtal Red A2B、BASF製)
R179:C.I.ピグメントレッド179(商品名:Paliogen Maroon L 3980、BASF Dispersions & Pigments Asia Pacific製)
R272:C.I.ピグメントレッド272(商品名:Irgazin Flame Red K 3800、BASF製)
Y150誘導体:C.I.ピグメントイエロー150誘導体(Ni錯体)(商品名:LEVASCREEN YELLOW G01、ランクセス株式会社製)
Byk−161:商品名Disperbyk−161(ウレタン系分散剤、固形分30質量%、ビックケミー製)
6919:商品名Disperbyk−LPN6919(一般式(I)で表される構成単位を有する重合体、アミン価120mgKOH/g、固形分60質量%、ビックケミー製)
(1)色材分散液R24〜R41の製造
実施例24〜41においては、実施例3の(1)において、それぞれ表4に示すように、色材の種類と配合量を変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例3の(1)と同様にして、色材分散液R24〜R41を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物R24〜R41の製造
実施例11の(2)における色材分散液R3の代わりにそれぞれ上記色材分散液R24〜R41を用い、膜厚を2.80μmとするために前記P/V比がそれぞれ表4に示した値となるようにアルカリ可溶性樹脂の量を調整した以外は、実施例11の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R24〜R41を得た。
(3)着色層の形成
実施例11の(3)において、着色樹脂組成物R11の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物R24〜R41を用いた以外は、実施例11の(3)と同様にして、着色層R24〜R41を得た。
(1)色材分散液の製造
分散剤として合成例3の分散剤c溶液を6.23質量部、色材として前記化学式(2)で表されるジケトピロロピロール顔料(BrDPP、商品名:Irgaphor RED S 3621CF、BASF社製)を13.0質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を14.59質量部、PGMEAを66.20質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、赤色色材分散液r1を得た。
前記赤色色材分散液r1において、色材として前記化学式(2)で表されるジケトピロロピロール顔料(BrDPP)を13.0質量部用いる代わりに、色材としてC.I.ピグメントレッド254(商品名:Hostaperm Red D2B−COF LV3781、CLARIANT製)を13.0質量部用いた以外は前記赤色色材分散液r1と同様にして、赤色色材分散液r2を得た。
前記赤色色材分散液r1において、色材として前記化学式(2)で表されるジケトピロロピロール顔料(BrDPP)を13.0質量部用いる代わりに、色材としてC.I.ピグメントレッド177(商品名:Paliogen Red L 4045、BASF製)を13.0質量部用いた以外は前記赤色色材分散液r1と同様にして、赤色色材分散液r3を得た。
前記赤色色材分散液r1において、色材として前記化学式(2)で表されるジケトピロロピロール顔料(BrDPP)を13.0質量部用いる代わりに、色材としてAzo誘導体2を13.0質量部用いた以外は前記赤色色材分散液r1と同様にして、黄色色材分散液yを得た。
上記(1)で得られた赤色色材分散液r1を1.65質量部、赤色色材分散液r2を3.57質量部、赤色色材分散液r3を1.92質量部、黄色色材分散液yを4.15質量部、合成例8で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液を1.90質量部、多官能モノマー(商品名アロニックスM−403、東亞合成(株)社製)を0.60質量部、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(光開始剤:商品名イルガキュア907、BASF製)を0.09質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光開始剤:商品名イルガキュア369、BASF製)を0.04質量部、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(光開始剤:商品名アデカアークルズNCI−831、ADEKA社製)を0.02質量部、フッ素系界面活性剤(商品名メガファックF559、DIC(株)製)を0.07質量部、シランカップリング剤(商品名KBM−503、信越シリコーン製)0.07質量部、メルカプト化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート))0.05質量部、PGMEAを5.85質量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートを3.92質量部加え、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R42を得た。
(3)着色層の形成
実施例1の(3)において、着色樹脂組成物R1の代わりに、上記着色樹脂組成物R42を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色層R42を得た。
得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物R42は、実施例3のカラーフィルタ用着色樹脂組成物R3と同じ組成となっており、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R42及び着色層R42の評価結果は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R3及び着色層R3の評価結果と同じになった。
(1)色材分散液R47の製造
実施例47においては、実施例1の(1)において、それぞれ表5に示すように、分散剤a溶液の代わりに、分散剤g溶液を用いて固形分が同じ質量部となるように変更し、合計が100質量部になるようPGMEA量を調整した以外は、実施例1の(1)と同様にして、色材分散液R47を得た。
(2)カラーフィルタ用着色樹脂組成物R43〜R48の製造
実施例43においては、実施例3においてアルカリ可溶性樹脂A溶液を用いた代わりに、合成例9で得られたアルカリ可溶性樹脂B溶液を用い、更に、光開始剤について表5に示すように、IRG369を0.04質量部の代わりに、オキシムエステル系光開始剤(商品名イルガキュアOXE 01(OXE01)、BASF製)を0.02質量部用い、NCI831を0.02質量部の代わりに、オキシムエステル系開始剤(商品名イルガキュアOXE 02(OXE02)、BASF製)を0.04質量部用いた以外は、実施例3の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R43を得た。
また、実施例44においては、実施例11において、酸化防止剤(商品名IRGANOX1010(1010)、BASF社製)0.03質量部の代わりに、酸化防止剤(商品名アデカスタブ AO−40(AO−40)、ADEKA製)0.03質量部を用いた以外は、実施例11の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R44を得た。
また、実施例45においては、実施例11において、酸化防止剤(商品名IRGANOX1010(1010)、BASF社製)0.03質量部の代わりに、合成例10の潜在性酸化防止剤(化合物a)0.03質量部を用いた以外は、実施例11の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R45を得た。
また、実施例46においては、実施例11において、酸化防止剤(商品名IRGANOX1010(1010)、BASF社製)0.03質量部を添加する代わりに、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物、商品名TINUVIN 329 BASF製)0.03質量部を添加した以外は、実施例11の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R46を得た。
実施例47においては、実施例3において、色材分散液R3の代わりに、色材分散液R47を用いた以外は、実施例3の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R47を得た。
実施例48においては、実施例43において、色材分散液R3の代わりに、色材分散液R47を用い、酸化防止剤(商品名アデカスタブ AO−40(AO−40)、ADEKA製)0.03質量部と、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系化合物、商品名TINUVIN 329 BASF製)0.03質量部とを添加した以外は、実施例43の(2)と同様にして、カラーフィルタ用着色樹脂組成物R48を得た。
(3)着色層の形成
実施例1の(3)において、着色樹脂組成物R1の代わりに、それぞれ上記着色樹脂組成物R43〜R48を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、着色層R43〜R48を得た。
<色材分散液の分散性評価>
実施例及び比較例で得られた色材分散液についてそれぞれ、調製直後と、25℃で30日間保存後の粘度を測定し、保存前後の粘度から粘度変化率を算出し、粘度安定性を評価した。粘度測定には振動式粘度計を用いて、25.0±0.5℃における粘度を測定した。結果を表2〜5に示す。
(粘度安定性評価基準)
A:保存前後の粘度の変化率が10%未満
B:保存前後の粘度の変化率が10%以上15%未満
C:保存前後の粘度の変化率が15%以上25%未満
D:保存前後の粘度の変化率が25%以上
ただし、色材分散液の溶剤を含めた合計質量に対して、色材を13質量%としたときの値である。
評価結果がCでも色材分散液は実用上使用できるが、評価結果がBであれば色材分散液はより良好であり、評価結果がAであれば色材分散液は、分散安定性に優れている。
実施例及び比較例で得られた着色層のコントラストと色度(x、y)、輝度(Y)を大塚電子製分光特性測定装置LCF−1500Mと壺坂電気製コントラスト測定装置CT−1Bを用いて測定した。
(コントラスト評価基準)
・C光源でxが0.570〜0.600としたときの値
AA:10000超過
A:8000〜10000
B:6000〜7999
C:6000未満
・C光源でxが0.607〜0.630としたときの値
AA:9000超過
A:7000〜9000
B:5000〜6999
C:5000未満
・C光源でxが0.650〜0.693としたときの値
AA:8000超過
A:6000〜8000
B:4000〜5999
C:4000未満
着色層の位相差は、以下の式で計算される厚み方向のリタデーション(Rth)を指標とした。リタデーション(Rth)は、位相差層測定装置(AXOMETRICS社製AxoscanTM Mueller Matrix Polarimeter)を用い、測定した。赤色着色層の測定波長は620nm及び665nmで測定した。
Rth=((Nx+Ny)/2−Nz)d
Nx:面内遅相軸方向の屈折率
Ny:面内進相軸方向の屈折率
Nz:厚み方向の屈折率
d:膜厚(nm)
幅0.5cm長さ10cmのガラス基板の先端を、実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物に浸漬させ、ガラス基板の長さ1cm部分に塗布した。引き上げたガラス基板を、ガラス面が水平になるように恒温恒湿機に入れ、温度23℃、湿度80%RHで10分間の条件で乾燥させた。次に、乾燥させた塗膜が付着したガラス基板をPGMEA中に15秒間浸漬させた。このとき乾燥塗膜の再溶解状態を目視で判別し、評価した。
(溶剤再溶解性評価基準)
AA:8秒以下で乾燥塗膜が完全に溶解した
A:乾燥塗膜が完全に溶解した
B:溶剤中に乾燥塗膜の薄片が生じ、溶液が着色した
C:溶剤中に乾燥塗膜の薄片が生じず、溶液が着色しなかった
上記評価基準がAA、A又はBであれば、溶剤再溶解性良好と評価され、実用上問題なく使用できるが、評価結果がA、更にAAであればより効果が優れている。
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmで100mm×100mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて60℃で3分間乾燥することにより、厚さ2.5μmの着色層を形成した。上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間シャワー現像した。上記着色層の形成後のガラス基板の未露光部(50mm×50mm)を、目視により観察した後、エタノールを含ませたレンズクリーナー(東レ社製、商品名トレシーMKクリーンクロス)で十分に拭き取り、そのレンズクリーナーの着色度合いを目視で観察した。
(現像残渣評価基準)
AA:厚さ3.5μmの着色層による同様の評価でも、目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーが全く着色しなかった
A:目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーが全く着色しなかった
B:目視により現像残渣が確認されず、レンズクリーナーの着色がわずかに確認された
C:目視により現像残渣がわずかに確認され、レンズクリーナーの着色が確認された
D:目視により現像残渣が確認され、レンズクリーナーの着色が確認された
上記評価基準がAA、A、B又はCであれば、実用上使用できるが、評価結果がB、更にA、より更にAAであればより効果が優れている。
実施例及び比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った後、超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm2の紫外線を照射した。この時点での膜厚を測定して、T1(μm)とする。その後、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像した。現像後の膜厚を測定してT2(μm)とする。T2/T1×100(%)を計算した。
(現像耐性評価基準)
AA:98%以上
A:95%以上98%未満
B:90%以上95%未満
C:90%未満
評価結果がAA、A、Bであれば実用上使用できるが、上記評価基準がA、更にAAであれば、より効果が優れている。
各実施例及び各比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いてポストベーク後に厚さ1.6μmの着色層を形成する膜厚で塗布した後、ホットプレートを用いて60℃で3分間乾燥し、フォトマスクを介さずに超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を全面照射することにより、ガラス基板上に着色層を形成した。次いで、0.05wt%カリウム(KOH)を現像液としてスピン現像し、現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理し、洗浄後の基板を10秒間回転させ水を遠心除去した直後に、下記のように純水の接触角を測定して水染みを評価した。
純水の接触角の測定は、前記水を遠心除去した直後の着色層表面に、純水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測した。測定装置は、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、測定した。
(水染み評価基準)
AA:接触角80度以上
A:接触角75度以上80度未満
B:接触角65度以上75度未満
C:接触角50度以上65度未満
D:接触角50度未満
水染み評価基準がAA、A又はBであれば、実用上使用できるが、評価結果がA、更にAAであればより効果が優れている。
各実施例及び各比較例で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、それぞれSiN基板(株式会社フォアサイト製)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を照射し、更に230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークすることにより、硬化後の膜厚が2.10μmとなるように膜厚を調整して着色層を形成した。
得られた着色層について、JIS K 5600−5−6に準拠したクロスカット試験を行い、テープによる剥離操作を繰り返し5回実施した後、塗膜の剥がれの有無を観察し、下記評価基準により評価した。
(SiN密着性評価基準)
AA:どの格子の目も剥がれがない
A: カットの交差点における塗膜の小さな剥がれがあるものの、剥がれの専有面積は5%未満
B:塗膜がカットの線に沿って、交差点においてはがれている。剥がれの専有面積は5%以上15%未満
C:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている。剥がれの専有面積は15%以上35%未満
表の結果から、赤色色材に、前記特定の黄色色材とを組み合わせ、更に、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤とを組み合わせた実施例1〜41、及び47の色材分散液は、粘度安定性が良好であることが明らかにされた。一方、赤色色材に、従来の黄色色材、ウレタン系分散剤を組み合わせた比較例1の色材分散液は、粘度安定性が悪いことが明らかにされた。また、赤色色材に、前記特定の黄色色材の組み合わせても、ウレタン系分散剤を組み合わせた比較例2の色材分散液は、粘度安定性が悪いことが明らかにされた。
また、赤色色材に、従来の黄色色材を組み合わせた比較例3〜7の色材分散液は、一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤を用いても、粘度安定性に劣ることが示された。
一方、実施例とは異なる色材を組み合わせた比較例1、3〜7は、いずれも同じ色度座標(x、y)の実施例と比較して、コントラストが劣り、位相差値が大きくなっていた。
また、赤色色材に、前記特定の黄色色材の組み合わせても、ウレタン系分散剤を組み合わせた比較例2は、同じ色度座標(x、y)の実施例と比較して、コントラストが劣り、位相差値が大きくなっていた。
また、比較例1、3〜7では、同じ色度座標(x、y)の実施例と比較して、着色樹脂組成物におけるP/V比が大きくなる傾向があり、SiNに対する密着性も劣っていた。
更に、比較例1では、同じ色度座標(x、y)の実施例と比較して、溶剤再溶解性、現像残渣の抑制、現像耐性、水染みの点でも劣っていた。
また、オキシムエステル系光開始剤2種類と酸化防止剤とを組み合わせて用いると、現像耐性と輝度が向上した着色層が形成されることが明らかにされた。中でも、フルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤とジフェニルスルフィドを有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは輝度に優れる点で好ましく、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤とジフェニルスルフィドを有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは水染み抑制効果が高くなる点で好ましかった。
また、潜在性酸化防止剤を用いた実施例45は、位相差値が低減され、コントラストもAAに近いAと、コントラストも向上した着色層が得られた。
また、紫外線吸収剤を用いた実施例46は、位相差値が低減され、コントラストもAAに近いAと、コントラストも向上した着色層が得られた。
また、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤とジフェニルスルフィドを有するオキシムエステル系光開始剤を併用し、更に、分子量が500以下で且つフェノール性水酸基1個あたりの分子量が200当量以下であるヒンダードフェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤とを組み合わせて用いた実施例48は、位相差値が低減されながら、輝度が向上し、水染み抑制効果が向上した着色層が形成された。実施例48ではコントラストもAAに近いAであり、コントラストも向上した着色層が得られた。
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
Claims (13)
- 色材と、分散剤と、溶剤とを含有する色材分散液であって、
前記色材が、赤色色材及び黄色色材を含み、
当該黄色色材が、下記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、下記一般式(B)で表される化合物とを含み、
前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である、カラーフィルタ用色材分散液。
- 前記赤色色材が、ジケトピロロピロール系顔料、ナフトール系アゾ顔料、アントラキノン系顔料、及びペリレン系顔料からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
- 前記黄色色材における少なくとも2種の金属として、Niと、更に、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属とを含む、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
- 前記黄色色材における少なくとも2種の金属が、NiとZnであるか、又は、NiとCuである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用色材分散液。
- 色材と、分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物であって、
前記色材が、赤色色材及び黄色色材を含み、
当該黄色色材が、下記一般式(A)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンとCd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、下記一般式(B)で表される化合物とを含み、
前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である、カラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 前記赤色色材が、ジケトピロロピロール系顔料、ナフトール系アゾ顔料、アントラキノン系顔料、及びペリレン系顔料からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 前記黄色色材における少なくとも2種の金属として、Niと、更に、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属とを含む、請求項5又は6に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 前記黄色色材における少なくとも2種の金属が、NiとZnであるか、又は、NiとCuである、請求項5〜7のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 前記バインダー成分が、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤とを含み、前記光開始剤が、オキシム開始剤である、請求項5〜8のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 更に、酸化防止剤を含有する、請求項5〜9のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- C光源を使用して測色したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標が、x=0.550〜0.700、y=0.290〜0.450の範囲にある硬化膜を形成可能な、請求項5〜10のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項5〜11のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化物であることを特徴とするカラーフィルタ。
- 前記請求項12に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする表示装置。
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