JPWO2018110551A1 - 熱転写シート、繊維構造物の製造方法、及び繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

吸水時に優れた冷感が持続的に得られる繊維構造物を製造するための熱転写シートを提供する。離型性を有するベースシート4と、ベースシート4の上に形成された樹脂層3と、樹脂層3の上に形成された接着層2と、を備えた熱転写シート1であって、樹脂層3は、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含む。樹脂は、200%以下の吸水膨潤性を有する。樹脂層3は、顔料及び/又は無機微粒子を含有する。樹脂層3と接着層2との間に昇華防止層10が形成されている。

Description

本発明は、繊維布帛の表面に樹脂層を形成するための熱転写シートに関する。さらに、本発明は、当該熱転写シートを用いた繊維構造物の製造方法、及び繊維布帛の表面に樹脂層が形成された繊維構造物に関する。
近年、衣服においても快適志向が高まり、特に夏場など、周囲の環境温度が比較的高い場合に、心地よい冷感が得られるような繊維構造物の開発が進んでいる。このような繊維構造物を得る方法としては、特定の繊維糸を用いる方法や繊維構造物に樹脂加工する方法が提案されている。
特定の繊維糸を用いる方法としては、例えば、繊維を構成するポリマーとして、吸湿性を有するポリマーを用いる方法(特許文献1)、q−max値の大きな熱可塑性エラストマーを用いる方法(特許文献2)、ポリマーに熱伝導性に優れた無機粒子等を混合する方法が挙げられる。
繊維構造物に樹脂加工する方法としては、ムコ多糖類等をバインダー樹脂により繊維構造物の表面に固定する方法(特許文献3)、潜熱蓄熱材を封入したマイクロカプセルを繊維構造物の表面に固着する方法(特許文献4)等が挙げられる。
特開2003−293223号公報 特開2004−270075号公報 特開2007−224429号公報 特開2006−161226号公報
特許文献1〜4に記載の方法では、一時的に冷感は得られるが、持続的に冷感を得ることは困難である。本発明は、上記の従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、吸水時に優れた冷感が持続的に得られる繊維構造物を製造するための熱転写シートを提供することを目的とする。さらに、本発明は、当該熱転写シートを用いた繊維構造物の製造方法、及び繊維布帛の表面に冷感が持続的に得られる樹脂層が形成された繊維構造物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る熱転写シートの特徴構成は、
離型性を有するベースシートと、
前記ベースシートの上に形成された樹脂層と、
前記樹脂層の上に形成された接着層と、
を備えた熱転写シートであって、
前記樹脂層は、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含むことにある。
本構成の熱転写シートによれば、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含む樹脂層を備えているため、この樹脂層を繊維布帛の表面に転写すると、当該繊維布帛に持続的な冷感を付与することができる。
本発明に係る熱転写シートにおいて、
前記樹脂は、200%以下の吸水膨潤性を有することが好ましい。
本構成の熱転写シートによれば、樹脂層に含まれる樹脂の吸水膨潤性が200%以下に設定されることで、十分な吸水性によって優れた冷感を実現しながら、樹脂層の強度を実用上問題が無い程度に維持することができる。
本発明に係る熱転写シートにおいて、
前記樹脂層は、顔料及び/又は無機微粒子を含有することが好ましい。
本構成の熱転写シートによれば、樹脂層に顔料及び/又は無機微粒子を含有させることで、繊維布帛に意匠性や機能性を付与することができる。
本発明に係る熱転写シートにおいて、
前記樹脂層と前記接着層との間に昇華防止層が形成されていることが好ましい。
本構成の熱転写シートによれば、樹脂層と接着層との間に昇華防止層を形成することで、繊維布帛に分散染料が含まれている場合、当該分散染料が樹脂層に移行して汚染されることを防止することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る繊維構造物の製造方法の特徴構成は、
上記の何れか一つに記載の熱転写シートを用いて、繊維布帛の表面に接着層を介して樹脂層を転写することにある。
本構成の繊維構造物の製造方法によれば、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含む樹脂層を繊維布帛の表面に転写することで、持続的な冷感を備えた繊維構造物を製造することができる。
本発明に係る繊維構造物の製造方法において、
前記接着層の転写後の繊維布帛のドライ時のq−max値と、前記接着層の転写前の繊維布帛のドライ時のq−max値との差が、ΔT=20℃の条件において、0.04W/cm以上となるように調整されることが好ましい。
本構成の繊維構造物の製造方法によれば、上記の条件を満たすように繊維布帛への樹脂層の転写を行うことで、より優れた持続的な冷感を備えた繊維構造物を製造することができる。
本発明に係る繊維構造物の製造方法において、
前記接着層の転写後の繊維布帛は、ΔT=20℃の条件において、以下の(1)〜(3):
(1)ドライ時の0〜10秒間のq−max値が0.25W/cm以上;
(2)水分含有率が20%であるときの0〜10秒間のq−max値と、ドライ時のq−max値との差が、0.04W/cm以上;
(3)水分含有率が20%であるときの90〜99秒間のq−max値が0〜10秒間のq−max値の75%以上;
を満たすように調整されることが好ましい。
本構成の繊維構造物の製造方法によれば、上記の条件を満たすように繊維布帛への樹脂層の転写を行うことで、さらに優れた持続的な冷感を備えた繊維構造物を製造することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る繊維構造物の特徴構成は、
繊維布帛の表面に接着層を介して樹脂層が形成された繊維構造物であって、
前記樹脂層は、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含むことにある。
本構成の繊維構造物によれば、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含む樹脂層が繊維布帛の表面に形成されているため、持続的な冷感を備えた繊維構造物を提供することができる。
本発明の熱転写シートの厚み方向における概略断面図である。 図1の熱転写シートを用いて作製した本発明の繊維構造物の厚み方向における概略断面図である。 離型層を有する熱転写シートの厚み方向における概略断面図である。 保護層を有する熱転写シートの厚み方向における概略断面図である。 昇華防止層を有する熱転写シートの厚み方向における概略断面図である。
以下、本発明の熱転写シート、及び当該熱転写シートを用いて製造される繊維構造物に関する実施形態について説明する。また、本発明の繊維構造物の製造方法についても併せて説明する。ただし、本発明は、以下に記載する実施形態、実施例、及び図面の内容に限定されることを意図するものではない。
<熱転写シート・繊維構造物>
図1は、本発明の熱転写シート1の厚み方向における概略断面図である。図2は、図1の熱転写シート1を用いて作製した本発明の繊維構造物6の厚み方向における概略断面図である。図1に示す熱転写シート1、及び図2に示す繊維構造物6は、夫々一つの実施形態を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変が可能である。なお、図1及び図2に示される各構成要素は、実際の形状、サイズ、位置関係、縮尺等を忠実に反映したものではない。
熱転写シート1は、離型性を有するベースシート(以下、単に「ベースシート」と称する)4と、ベースシート4の上に形成された樹脂層3と、樹脂層3の上に形成された接着層2とを備える。図1の熱転写シート1は、ベースシート4上の主面に、所定の組成に調製した吸水性樹脂を含む樹脂液を、所定の図柄状に塗布し、乾燥させて樹脂層3を形成し、次いで樹脂層3からなる図柄の上に、熱可塑性樹脂を同一の図柄状に塗布して接着層2を形成し、これを乾燥させることにより得られるものである。そして、熱転写シート1を、接着層2側が繊維布帛5の表面に接するように重ね合わせ、この状態で熱転写シート1のベースシート4側から加圧及び加熱処理を行うと、熱転写シート1の接着層2が繊維布帛5に接着し、それに伴って樹脂層3がベースシート4から剥離し、樹脂層3が繊維布帛5に転写された図2の繊維構造物6が完成する。繊維構造物6を衣服(例えば、肌着)の素材として使用する場合、樹脂層3側が肌面に接する側となるように衣服を縫製する。これにより、樹脂層3が汗等の水分を吸収し、熱伝導によって熱が肌から樹脂層3に移動することにより冷感を得ることができる。ここで、「冷感」とは、肌が繊維構造物6に接触したときに感じる冷たさである。樹脂層3は、吸収した水分が気化する際に気化熱により冷却される。樹脂層3が冷却されると、さらに肌表面の熱が樹脂層3に移動するため、冷感が増大する。このサイクルにより、繊維構造物6の冷感が持続する。そして、樹脂層3の吸水量が多いほど、繊維構造物6の冷感は持続する。また、繊維布帛5や樹脂層3に比べて水は比熱が大きいため、樹脂層3が吸水すると、樹脂層3の温度を上昇させるための熱量が多く必要となり、繊維布帛5のみの状態よりも冷感が持続する。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
[ベースシート]
ベースシート4は、熱転写シート1の基材となるものであり、離型性を有するフィルム状の素材で構成される。ベースシート4の離型性は、ベースシート4自体が離型性を有するものでもよいし、ベースシート4の樹脂層3が形成される側の表面に離型処理による離型層を設けたものでもよい。ベースシート4の素材には、熱転写温度より高温に耐え得る耐熱性が求められるが、熱転写条件を考慮して適切な素材を選定すればよい。ベースシート4の素材としては、例えば、耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、セロハン、紙、合成紙、ラミネート紙、又はこれらの樹脂と紙とを積層したラミネートフィルムなどが挙げられる。熱転写温度は、接着層2に含まれる熱可塑性樹脂の融点より10℃以上高い温度に設定することが好ましい。ベースシート4の耐熱性は、前記の熱転写温度設定よりも20℃以上、好ましくは30℃以上高い温度に耐え得るものが好ましい。なお、ベースシート4が樹脂で構成される場合、当該樹脂の融点と、接着層2に含まれる熱可塑性樹脂の融点とが一定以上離れていることが好ましい。両融点が近い場合、熱転写時において、シートの収縮や融着などの不具合が生じる虞がある。
ベースシート4の厚みは、20〜180μmが好ましく、50〜125μmがより好ましい。厚みが20μmより小さいと取り扱いが難しく、シワなどが発生し易い。一方、厚みが180μmより大きいと取り扱いは容易となるが、熱転写時において熱が伝わり難くなることから、熱転写温度を高く設定したり、熱転写時間を長くする必要があり、その場合、エネルギー使用量が多くなったり、作業効率が落ちることになる。
ベースシート4の樹脂層3が積層される表面は、ほぼ平滑であることが好ましく、その最大断面高さ(凸部と凹部の差)は、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。最大断面高さが30μmより大きくなると肌と樹脂層3(転写層)との接触面積が小さくなり、肌からの伝熱性が悪くなるため冷感が得られ難い。このようなベースシート4に樹脂層3を積層することにより、熱転写後の樹脂層3(転写層)は肌に接する面の表面粗さが小さくなり、その結果、樹脂層3(転写層)と肌との接触面積が大きくなり、伝熱性が向上して冷感が得られやすくなる。上記の最大断面高さは、繊維構造物6の肌への貼り付き性と冷感とのバランスを考慮し、適切な範囲に設定すればよい。
[離型層]
熱転写シート1において、離型層7を設けてもよい。図3は、離型層7を有する熱転写シート1の厚み方向における概略断面図である。離型層7は、熱転写シート1のベースシート4の表面に設けることができ、この場合、離型層7はベースシート4の樹脂層3側に形成される。離型層7は、被転写体に樹脂層3を転写する際、ベースシート4から樹脂層3を容易に剥離させる特性を有する物質で構成されていればよい。このような物質として、例えば、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ワックスなどが例示できる。離型層7は、グラビアコーター、スクリーンプリント、ロールコーター等を用いてベースシート4上に形成される。離型層7の厚みは、0.5〜10.0μmが好ましい。
[樹脂層]
樹脂層3は、水不溶性の吸水性樹脂を含み、不感蒸泄として放出される水蒸気や汗等の水分を吸収し、放散する機能を有する。吸水性樹脂としては、吸水性を有する軟性弾性樹脂が好ましい。具体的には、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの吸水性樹脂のうち、物性及びコストの面からウレタン系樹脂が好ましく用いられる。ウレタン系樹脂の種類としては、エーテル系、エステル系、ポリカーボネート系などが挙げられる。また、吸水性樹脂は、耐光性の面から無黄変タイプが好ましい。
吸水性樹脂の形態としては、無溶剤型、溶剤エマルジョン型、水性エマルジョン型、粉末型、油性型が挙げられ、これらの形態を単独又は併用して用いることができるが、添加剤の混合性、捺染の容易性から水性エマルジョン型が好ましく使用できる。水性エマルジョン型の場合は、必要な添加剤を混合した吸水性樹脂を増粘剤で10000〜100000mPa・sの範囲で捺染に良好な粘度に調整する。増粘剤は、アクリル系、エマルジョン系など適宜選定することができる。各原料の混合は、従来公知の方法で行うことができる。
吸水性樹脂の吸水率は、5〜200重量%が好ましく、10〜100重量%がより好ましく、10〜50重量%がさらに好ましい。ここで、吸水性樹脂の吸水率とは、40℃の条件下で24時間蒸留水に浸漬した後の、初期重量に対する吸水による重量増加率である。吸水率が5重量%未満であると冷感が十分に得られない虞がある。一方、吸水率が200重量%より大きいと吸水時に樹脂の強度が得られない虞がある。例えば、ポリアクリル酸ナトリウムのような自重の10倍以上(1000重量%以上)の吸水率を有する吸水性樹脂は、水分を吸収するとゲル化して強度が大きく低下するため、樹脂層2を繊維布帛5に熱転写した後、繊維構造物6を洗濯すると樹脂層2が脱落する虞がある。
また、吸水性樹脂の吸水膨潤率は、200%未満が好ましい。ここで、吸水性樹脂の吸水膨潤率とは、厚み500μmの樹脂皮膜を作製し、4cm×4cmの大きさにカットした後、40℃条件下で24時間蒸留水に浸漬した後の、初期面積に対する吸水による面積増加率である。吸水膨潤率が200%を超えると、樹脂の強度が低下し、洗濯などの物理的外力で樹脂皮膜が劣化する虞がある。
また、吸水性樹脂は、吸水後、使用環境の変化により水分を放散する樹脂であることが好ましい。吸水及び放散を繰り返す機能を有することにより、ベタツキ感の解消など、衣類として着用した場合の快適性を得ることができる。
また、繊維布帛5に転写された樹脂層3は、その表面が略平滑な状態であることが好ましい。樹脂層3の表面に凹凸が形成されると、凹部は肌と接触することができないため、吸水性が損なわれ、十分な冷感が得られない虞がある。樹脂層3の肌と接する側の最大断面高さ(凸部と凹部の差)は、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。最大断面高さが30μmより大きくなると肌と樹脂層3(転写層)との接触面積が小さくなり、肌からの伝熱性も悪化するため冷感が得られ難い。
樹脂層3を繊維布帛5に熱転写した場合、繊維布帛5の片面の一部が樹脂層3によって被覆される。樹脂層3は気化熱により冷却されるため、樹脂層3に伝わった熱の一部が樹脂層3に含まれる水分の気化を促進し、繊維構造物6の外部に放熱され易くなり、冷感がさらに持続され易くなる。樹脂層3が熱転写された繊維構造物6は、効率よく水分の気化を促進するため通気性を有することが好ましい。そのためには、ベースシート4の平面方向に対する樹脂層3の被覆割合は、10〜90%が好ましく、10〜80%がより好ましく、20〜70%がさらに好ましい。
樹脂層3は、ベースシート4の表面の少なくとも一部に設けられ、樹脂層3の形状や大きさは、繊維構造物6の風合いおよび通気性が損なわれなければ特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形、不定形等が挙げられる。樹脂層3は、ベースシート4の表面に規則的またはランダムに形成される。ちなみに、樹脂層3を熱転写した後の繊維構造物6の通気量は、50〜300cc/cm・秒が好ましい。ここで、通気量は、JIS L 1096 通気性 A法(フラジール形法)により求められる。繊維構造物6の通気量が上記の範囲であれば、樹脂層3に伝わった熱が繊維構造物6の外部にさらに放熱され易くなるため、冷感の持続性が向上する。
樹脂層3の厚みは、冷感を得やすく、繊維構造物6の風合いが損なわれ難い点で、10〜2000μmが好ましく、50〜800μmがより好ましい。厚みが10μmより小さいと十分な冷感が得られない虞がある。一方、厚みが2000μmより厚いと冷感は十分に得られるが、熱転写後の繊維構造物6の風合いが損なわれる虞があり、特に衣料用途では好ましくない。
樹脂層3は、吸水性樹脂を主成分とするが、他の成分を含むものであっても構わない。例えば、繊維布帛5が衣料用途でかつ分散染料で染色されたポリエステル素材である場合、形成した樹脂層3に分散染料が移行して汚染される不具合が生じる場合がある。このような不具合を防止するため、樹脂層3に活性炭やシリカゲルなどの吸着機能を有する微粒子を含ませて分散染料を吸着させることが好ましい。
また、樹脂層3には、意匠性や機能性を付与する目的で、顔料、無機材料、機能性有機材料等の各種添加剤を添加することができる。例えば、意匠性を付与するものとして一般的な有機又は無機顔料、光輝感を付与するものとして金、銀、アルミ等の金属微粒子が挙げれる。また、機能性を付与するものとしては、例えば、紫外線の反射または遮蔽性を付与するための酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、消臭性を付与するための触媒作用のある酸化亜鉛、吸着作用のあるシリカゲル、活性炭などが挙げられる。また、水分の気化を促進するために、赤外線の吸収により発熱するカーボン等を添加することもできる。その他、表面のブロッキングなど抑えるために、シリカ、アクリルビーズ、金属酸化物などの無機微粒子を添加することもできる。また、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコール基を有し、吸湿による溶解時に少なくとも35〜45cal/g程度の吸熱を示す湿潤吸熱機能剤を添加することもできる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、相反しない機能であれば2種以上を併用してもよい。
添加剤の形状としては、粒子状、針状、板状等の定型物、非定型物を問わず用いることができるが、樹脂層3の表面粗さを小さくし易い点や、肌との接触性の観点から、粒子状であることが好ましい。粒子状とした場合の平均粒径は0.1〜100μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
[接着層]
接着層2は、熱転写により樹脂層3を繊維布帛5へ固着させるように機能する。接着層2は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、繊維構造物6の風合いが向上するように弾性を有するものが好ましい。そのような熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、混合したものであってもよい。なかでも、弾性が良好でその他の物性の面からポリウレタン系樹脂が好ましい。また、これら熱可塑性樹脂の微粒子と、当該微粒子が脱落しないように固着させるための水系樹脂とを含む混合溶液の形態であってもよい。
接着層2の厚みは、被転写材となる繊維布帛5の表面形状に応じて設定することができる。一般的な接着層2の厚みとしては、20〜200μmであれば問題はないが。特に、繊維布帛5への安定的な固着においては、厚みがより大きい方が接着効果を得られるが、繊維構造物6の風合いが硬くなるなどの不具合が発生する虞や、熱可塑性樹脂が浸み出したり、樹脂層3の吸水性が損なわれる虞があるため、20〜100μmが好ましい。接着層2の厚みが20μm未満であると十分な接着性が得られない虞がある。
接着層2の形成方法としては、ベースシート4上の主面に所定の図柄に熱可塑性樹脂を捺染法などの方法で塗布して乾燥させる。接着層2の厚みの調整は、同一図柄上に、この形成方法を繰り返すことにより、熱可塑性樹脂を積層して行うことができる。
なお、接着層2及び樹脂層3は、熱転写によって繊維布帛5に移動するため、これらを合わせて転写層8と称する。転写層8は、肌に接触し易く、また、肌を傷つけないように、柔軟であることが好ましい。転写層8の好ましい樹脂硬さは、ショアA硬度が95以下であり、より好ましくは50以下であり、さらに好ましくは30以下である。なお、ショアA硬度は、JIS K6253に準拠し、タイプAのデュロメーターを用いて測定される。
[保護層]
熱転写シート1において、保護層9を設けてもよい。図4は、保護層9を有する熱転写シート1の厚み方向における概略断面図である。保護層9は、熱転写シート1の樹脂層3の表面に設けることができ、この場合、保護層9は樹脂層3のベースシート4側に形成される。保護層9は、比較的硬い透明ないし半透明の樹脂からなり、繊維構造物6の使用時に樹脂層3の物性を補強し、樹脂層3に耐磨耗性、耐洗濯性を付与し、薬品、溶剤などの化学的影響から樹脂層3を守る機能を有する。保護層9は、樹脂層3と同じ又は僅かに大きい平面形状に形成されることが好ましい。保護層9として使用できる樹脂としては、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
保護層9の厚みは、2〜20μmが好ましい。保護層9の厚みが2μmより小さいと十分な保護ができない虞がある。一方、保護層9の厚みが20μmより大きいと繊維構造物6の風合いを損ねたり、吸水性が悪くなったり、冷感が得られない虞がある。
[昇華防止層]
熱転写シート1において、昇華防止層10を設けてもよい。図5は、昇華防止層10を有する熱転写シート1の厚み方向における概略断面図である。昇華防止層10は、熱転写シート1の樹脂層3と接着層2との間に設けることができる。繊維布帛5が衣料用途でかつ分散染料で染色されたポリエステル素材であると、形成した樹脂層3に分散染料が移行して汚染する不具合が生じる虞がある。このような不具合を防止するために、分散染料を吸着させるための活性炭、シリカゲルなどの吸着機能を有する微粒子を含む昇華防止層10を設けることが好ましい。
[繊維布帛]
繊維構造物6は、繊維布帛5の表面に接着層2を介して樹脂層3が形成されたものである。ここで、繊維布帛5を構成する繊維種は、冷感が得られやすい点で、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維等の合成繊維が好ましい。特に、汎用性の観点から、ポリエステル繊維が好ましい。ポリエステル繊維を構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。その他、上記ポリマーとして、例えば、イソフタル酸スルホネート、アジピン酸、イソフタル酸等と、ポリエチレングリコール等との共重合体であってもよいし、上記ポリマーと、これらの共重合体またはポリエチレングリコールとの混合物であってもよい。なかでも、各種物性に優れるとともに、安価に入手可能なことから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。繊維布帛5は、上記の合成繊維を50重量%以上、好ましくは80重量%以上含むように調製される。繊維布帛5は、合成繊維以外の半合成繊維、再生繊維、天然繊維等を50重量%未満の割合で含んでいてもよい。
繊維布帛5は、上記のような繊維を含む織物、編物、又は不織布である。繊維布帛5の目付は、30〜200g/mが好ましく、50〜150g/mがより好ましい。繊維布帛の目付が上記の範囲であれば、衣服に加工した場合、着用感を損なうことなく、十分な強度を確保できる。
繊維布帛5には予め吸水加工が施されていてもよい。繊維布帛5に水分が含まれることにより、繊維布帛5自体の熱伝導性が高まるため、冷感効果が高まることが期待できる。また、吸水加工を施すことにより、繊維布帛5が疎水性の合成繊維により構成される場合でも、衣服として着用した際にもべたつき感が抑制されて、快適性が向上する。吸水性吸水加工が施された繊維布帛5の吸水速度は、20秒以内であることが好ましい。
吸水加工に使用される吸水剤としては、水酸基やエーテル基に代表される親水基を有する樹脂(親水性樹脂)が用いられる。親水性樹脂としては、例えば、水酸基やエーテル基を有する各種樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂等が例示できる。なかでも、繊維布帛との親和性に優れ、洗濯耐久性が向上する点で、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオール成分と、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸との共重合体が好ましい。
親水性樹脂の付与量は、加工性および吸水性の観点から、繊維布帛5の重量に対して0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。親水性樹脂の付与量が上記の範囲であれば、十分な吸水性が付与されるとともに、風合いに優れる繊維構造物6を得ることができる。親水性樹脂の付与量は、処理液の濃度や圧搾率等により調整することができる。
一方、繊維構造物6に含まれる水分の気化を促進し、冷感を高める観点から、繊維構造物6全体としては、速乾性を有することが好ましい。例えば、繊維布帛5を疎水性の繊維(例えば、上記合成繊維)により形成し、吸水加工を施すことにより、速乾性と吸水性とを両立することができる。
<熱転写シートの製造方法>
熱転写シート1は、ベースシート4上の主面に、樹脂層3の原材料となる吸水性樹脂を所定の図柄で捺染法によって塗布して乾燥させ、さらに同一図柄上に同様の捺染法により接着層2の原材料となる熱可塑性樹脂を塗布して乾燥させることにより得られる。
捺染法としては、スクリーンプリント法、ロータリープリント法、グラビアプリント法等が挙げられる。なかでも、塗布形状や塗布条件の自由度が高い点で、スクリーンプリント法が好ましい。乾燥条件は、ベースシート4の種類等に応じて適宜設定すればよい。乾燥温度は、ベースシート4が熱変形することなく、溶剤又は水分が蒸発する温度(例えば、80〜130℃)に設定すればよい。
<繊維構造物の製造方法>
繊維構造物6は、上述の熱転写シート1を、接着層2側が繊維布帛5の表面に接するように繊維布帛5に重ね合わせ、温度70〜180℃、圧力0.2〜0.3kgf/cmの条件で、10〜60秒程度プレス処理する転写工程を実行することにより製造される。プレス処理には、平面プレス機やフェルトカレンダー機等が用いられる。上記の転写工程を行うと、熱転写シート1の接着層2が繊維布帛5に接着し、それに伴って樹脂層3がベースシート4から剥離し、樹脂層3が繊維布帛5に転写された繊維構造物6が完成する。
ここで、転写工程は、接着層2の転写後の繊維布帛5のドライ時のq−max値と、接着層2の転写前の繊維布帛5のドライ時のq−max値との差が、ΔT=20℃の条件において、0.04W/cm以上となるように、好ましくは0.08W/cm以上となるように、より好ましくは0.12W/cm以上となるように、諸条件を調整した上で実施されることが好ましい。上記のq−max値の差が0.04W/cm以上であれば、冷感差を感じ易い繊維構造物6が得られる。
さらに、転写工程は、接着層2の転写後の繊維布帛5が、ΔT=20℃の条件において、以下の(1)〜(3):
(1)ドライ時の0〜10秒間のq−max値が0.25W/cm以上;
(2)水分含有率が20%であるときの0〜10秒間のq−max値と、ドライ時のq−max値との差が、0.04W/cm以上、好ましくは0.08W/cm以上、より好ましくは0.12W/cm以上;
(3)水分含有率が20%であるときの90〜99秒間のq−max値が0〜10秒間のq−max値の75%以上;
を満たすように、諸条件を調整した上で実施されることがより好ましい。
上記(1)〜(3)を満たす場合、持続的な冷感差をより感じ易い繊維構造物6が得られる。
ここで、q−max値とは、所定の熱が蓄えられた熱板に繊維構造物6を接触させて、熱板から繊維構造物6に移動する熱量のうち、単位面積および単位時間当たりのピーク値をいう。q−max値が大きいほど接触したときに冷たく感じる。初期のq−max値(接触冷感)は、熱板に試料を接触させた直後から10秒経過するまでの、繊維構造物6に移動する熱量のピーク値である。さらに、冷感の持続性は、繊維構造物6の同一箇所において、熱板に試料を接触させてから90〜99秒間に熱板から繊維構造物6に移動する熱量のピーク値が、0〜10秒間のピーク値の75%以上であれば、冷感が持続していると言える。
上記の繊維構造物6を使用した衣料においては、衣料の肌に接触する面に樹脂層3が配置されるように縫製することが好ましい。特に、冷感を必要とする体の部分に樹脂層3が配置されることが効果的である。具体的には、肩、背中、胸近辺、太ももの前後、脹脛近辺等、所謂、生理学的、医学的に運動時に発熱し易い体の部位に樹脂層3が配置されることが好ましい。また、樹脂層3は、継続的に肌に接する部分に配置されてもよいが、より冷感を得られやすいのは体の動きにより断続的に肌に接する部分である。この場合、樹脂層3が一旦肌から離れることにより、樹脂層3が体温以下に冷却され、再度の接触時により大きな冷感が得られる。
本発明の熱転写シート、及び繊維構造物の有用性を確認するため、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含む樹脂層を備えた熱転写シートを用いて本発明の特徴を備えた繊維構造物(実施例1及び2)を作製し、夫々の繊維構造物について、樹脂被覆率、q−max値、及び通気度を測定した。また、比較のため、吸水性を有さない樹脂を含む樹脂層を備えた熱転写シートを用いて本発明の範囲外となる繊維構造物(比較例1〜3)を作製し、実施例と同様に、樹脂被覆率、q−max値、及び通気度を測定した。なお、樹脂の吸水率、q−max値、及び通気度の測定は、以下のように行った。
[樹脂の吸水率]
厚み100μmに製膜した樹脂を5cm×5cmの大きさにカットし、40℃条件下で24時間蒸留水に浸漬後、重量を測定し、初期重量からの重量増加率を樹脂の吸水率(%)とした。
[通気度]
JIS L 1096 通気性 A法(フラジール形法)に基づいて測定した。
[q−max値]
ベースシートの平面方向における吸水性樹脂層の被覆割合が40%となる図柄で作製した熱転写シートから繊維布帛に吸水性樹脂を熱転写し、生成した繊維構造物についてq−max値の評価を行った。
繊維布帛として、繊度84デシテックス36フィラメントのポリエステル糸で編成されたスムース(生地目付 140g/m)を使用した。
繊維構造物を恒温恒湿室内で2時間放置したもの(ドライ状態)と、繊維構造物を2時間蒸留水に浸漬後、脱水機により脱水し、水分率20%としたもの(ウエット状態)とを水分が蒸発しないようにビニール袋に入れ、恒温恒湿室内で2時間放置した後、夫々の繊維構造物の測定を行った。
q−max値の測定には、サーモラボII型精密迅速熱物性装置(カトーテック株式会社製)を使用した。
測定条件は、20℃、65%RHの恒温恒湿室内において、20℃の温度に設定した試料台の上に、夫々の繊維構造物を樹脂面が上側となるように置き、繊維構造物の上に40℃の熱板を、接触圧0.098N/cmで接触させた。
熱量は、初期の0〜10秒間におけるq−max値と、測定サンプルは同じ状態のまま、熱板を再度40℃に加温してから90〜99秒間のq−max値とを測定した。
〔実施例1〕
50メッシュの紗に1辺が5mmの正方形がパターン状に形成されたスクリーン版(厚み150μm)を使用し、スクリーンプリント法により、下記の樹脂液Aをベースシート(株式会社きもと製、転写用ポリエステルシート MG02 厚み100μm、(最大断面高さ10μm以下)上に一辺が5mmの正方形が全面に整列した柄に塗布し(樹脂被覆率40%)、次いで90℃にて乾燥し、樹脂層を形成した。樹脂液Aの塗布量は、乾燥重量で35g/mであった。続いて、同様にして、下記の樹脂液Bを樹脂層の実質的に同一の表面に塗布し、次いで90℃にて乾燥し、熱転写シートを得た。樹脂液Bの塗布量は、乾燥重量で35g/mであった。
(1)樹脂層
<樹脂液A>(粘度:35000mPa・s)
1)水系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、WLS−210、固形分35重量%、吸水率30重量%) 100重量部
2)パラフィン樹脂(粘着防止剤、林化学工業株式会社製) 10重量部
3)ブロックイソシアネート(架橋剤、明成化学工業株式会社製、SU−268A) 3重量部
4)ポリアクリル酸(増粘剤、林化学工業株式会社製) 適量
(2)接着層
<樹脂液B>(粘度:35000mPa・s)
1)ポリウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス500M) 50重量部
2)ポリウレタン粒子(日本ポリウレタン株式会社製、パールセンU−100A) 50重量部
3)ブロックイソシアネート(架橋剤、林化学工業株式会社製、オキザールUL−3) 5重量部
4)ポリアクリル酸(増粘剤、林化学工業株式会社製) 適量
(3)繊維布帛
84デシテックス36フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を用いて、スムース組織の丸編地を編成した。得られた編地の重量は140g/mであった。この丸編地を、常法により、精練及びプレセットした。
次に、親水性のポリエステル樹脂(商品名「SR−1000」、固形分:10重量%、高松油脂株式会社製)を含む処理液(pH4.5)に、得られた丸編地を浸漬し、130℃の浴中で30分間吸尽処理を行った。浴比は1:20とした。吸尽処理された丸編地を水洗した後、120℃で2分間熱処理して乾燥し、親水性ポリエステル樹脂が固形分で0.2重量%付与された繊維布帛を得た。
(4)熱転写
樹脂層及び接着層が形成された熱転写シートを上記の繊維布帛に積層し、熱プレス機により130℃、15kPaにて30秒間プレスした。冷却後、シートを剥離して、繊維布帛の主面の一部に樹脂層が形成された実施例1の繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の測定結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、樹脂液Aに代えて下記の樹脂液Cを使用し、さらに樹脂液Bに代えて下記の樹脂液Dを使用したこと以外は実施例1と同様の製法により、熱転写シート、及び繊維構造物(実施例2)を作製した。ベースシート上の樹脂液Cの塗布量は、乾燥重量で30g/mであり、樹脂液Dの塗布量は、乾燥重量で30g/mであった。得られた繊維構造物の測定結果を表1に示す。
(1)樹脂層
<樹脂液C>(粘度:5000mPa・s)
1)溶剤系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、ハイムレンY286、固形分 重量%、吸水率80重量%) 100重量部
2)ジメチルホルムアミド(DMF) 10重量部
3)メチルエチルケトン(MEK) 20重量部
4)架橋剤(カルボジイミド架橋剤 DIC株式会社製、カルボジライト V−07) 3重量部
(2)接着層
<樹脂液D>(粘度:6000mPa・s)
1)熱可塑性ポリウレタン樹脂(大日精化工業株式会社製、HS−520S) 100重量部
2)ジメチルホルムアミド(DMF) 15重量部
3)メチルエチルケトン(MEK) 15重量部
〔比較例1〕
実施例1において、樹脂液Aに代えて下記の樹脂液Eを使用したこと以外は実施例1と同様の製法により、熱転写シート、及び繊維構造物(比較例1)を作製した。得られた繊維構造物の測定結果を表1に示す。
(1)樹脂層
<樹脂液E>(粘度:30000mPa・s)
1)水系エマルジョン型ポリウレタン樹脂 商品名:スーパーフレックス860(第一工業製薬株式会社製、固形分40重量%、吸水率2重量%) 100重量部
2)ブロックイソシアネート架橋剤(商品名:SU−268A(明成化学工業株式会社製)) 3重量部
3)増粘剤(商品名:ダイモネックスEDC−200(大日精化工業株式会社製)) 適量
〔比較例2〕
実施例2において、樹脂液Cに代えて下記の樹脂液Fを使用したこと以外は実施例2と同様の製法により、熱転写シート、及び繊維構造物(比較例2)を作製した。得られた繊維構造物の測定結果を表1に示す。
(1)樹脂層
<樹脂液F>(粘度:30000mPa・s)
1)溶剤型ポリウレタン樹脂(商品名:クリスボン S−703(DIC株式会社製、固形分30重量%、吸水率1重量%) 100重量部
2)ジメチルホルムアミド(DMF) 15重量部
3)メチルエチルケトン(MEK) 15重量部
4)イソシアネート架橋剤(商品名:バーノック DN−950(DIC株式会社製)) 12重量部
5)架橋触媒(商品名:クリスボン アクセル T−81E(DIC株式会社製)) 1重量部
〔比較例3〕
樹脂層を備えていない繊維構造体(繊維布帛のみ)を供試体(比較例3)とした。測定結果を表1に示す。
Figure 2018110551
実施例1及び2の繊維構造物は、ウエット状態におけるq−max値が初期(0〜10秒間)及び後期(90〜99秒間)において、いずれも0.50(W/cm)を上回っており、冷感に優れる素材であることが確認された。また、初期のq−max値と後期のq−max値とを比較すると、後期のq−max値は初期のq−max値に対して75%以上に維持されており、冷感の持続性においても優れるものであった。
一方、比較例1〜3の繊維構造物は、ウエット状態におけるq−max値が初期(0〜10秒間)及び後期(90〜99秒間)において、いずれも0.40(W/cm)を下回っており、実施例1及び2よりも冷感が劣るものであった。また、初期のq−max値と後期のq−max値とを比較すると、後期のq−max値は初期のq−max値に対して70%程度又はそれ以下に留まっており、実施例1及び2よりも冷感が持続し難いものであった。
本発明に係る熱転写シート及び繊維構造物は、優れた冷感が持続するものであるため、特に夏場に着用される衣料用途において好適に利用することができる。
1 熱転写シート
2 接着層
3 樹脂層
4 ベースシート
5 繊維布帛
6 繊維構造物
7 離型層
8 転写層
9 保護層
10 昇華防止層

Claims (8)

  1. 離型性を有するベースシートと、
    前記ベースシートの上に形成された樹脂層と、
    前記樹脂層の上に形成された接着層と、
    を備えた熱転写シートであって、
    前記樹脂層は、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含む熱転写シート。
  2. 前記樹脂は、200%以下の吸水膨潤性を有する請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記樹脂層は、顔料及び/又は無機微粒子を含有する請求項1又は2に記載の熱転写シート。
  4. 前記樹脂層と前記接着層との間に昇華防止層が形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の熱転写シート。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の熱転写シートを用いて、繊維布帛の表面に接着層を介して樹脂層を転写する繊維構造物の製造方法。
  6. 前記接着層の転写後の繊維布帛のドライ時のq−max値と、前記接着層の転写前の繊維布帛のドライ時のq−max値との差が、ΔT=20℃の条件において、0.04W/cm以上となるように調整される請求項5に記載の繊維構造物の製造方法。
  7. 前記接着層の転写後の繊維布帛は、ΔT=20℃の条件において、以下の(1)〜(3):
    (1)ドライ時の0〜10秒間のq−max値が0.25W/cm以上;
    (2)水分含有率が20%であるときの0〜10秒間のq−max値と、ドライ時のq−max値との差が、0.04W/cm以上;
    (3)水分含有率が20%であるときの90〜99秒間のq−max値が0〜10秒間のq−max値の75%以上;
    を満たすように調整される請求項5又は6に記載の繊維構造物の製造方法。
  8. 繊維布帛の表面に接着層を介して樹脂層が形成された繊維構造物であって、
    前記樹脂層は、水不溶性であり且つ吸水性を有する樹脂を含む繊維構造物。
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