JP6910169B2 - 繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記従来技術を背景になされたものであり、優れた冷感を持続的に発揮する繊維構造物を提供することを目的とする。
[繊維布帛]
繊維布帛を構成する繊維種は特に限定されない。なかでも、冷感が得られやすい点で、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維等の合成繊維が好ましい。特に、汎用性の観点から、ポリエステル繊維が好ましい。
繊維布帛の一方の主面の一部には、伝熱樹脂層が形成されている。伝熱樹脂層は、熱伝導性材料およびバインダー樹脂を含む。熱伝導性材料は、伝熱樹脂層に接触した皮膚の熱を伝熱樹脂層に伝える役割を果たす。これにより、皮膚は冷たさを感じる。
熱伝導性材料の材質は特に限定されないが、冷感効果の観点から、1W/m・K以上の熱伝導率を備える無機材料であることが好ましい。このような無機材料としては、例えば、金、銀、アルミ等の金属、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、カーボン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
伝熱樹脂層は、さらに吸水性材料を含むことが好ましい。吸水性材料は、汗等の水分を吸収する。伝熱樹脂層に皮膚の熱が伝えられると、吸水性材料に吸収されている水分が気化し、気化熱により伝熱樹脂層は冷却される。伝熱樹脂層が冷却されると、皮膚の熱はさらに伝熱樹脂層に伝わり易くなる。このサイクルにより、冷感の持続性が向上する。また、吸水性粒子によって伝熱樹脂層に水分が含まれることにより、伝熱樹脂層全体の熱伝導性も向上する。よって、冷感はさらに高められる。
熱伝導性材料(さらには吸水性材料)を繊維布帛に固着させるためのバインダー樹脂の材質は、特に限定されない。なかでも、得られる繊維構造物の風合いが向上する点で、バインダー樹脂は弾性を有することが好ましい。弾性を有するバインダー樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。なかでも、各種物性およびコストの点で、ウレタン樹脂が好ましい。
上記のような繊維構造物は、例えば、繊維布帛を準備する準備工程と、繊維布帛の一方の主面の一部に、伝熱樹脂層を形成する形成工程と、主面に形成された伝熱樹脂層の表面を平滑にする平滑化工程と、を備える方法により製造される。
準備工程では、上記したような繊維布帛を準備する。繊維布帛は、常法に従い、精練および染色が行われていてもよい。さらに、繊維布帛には、上記吸水加工が施されていてもよい。
形成工程では、まず、バインダー樹脂と熱伝導性材料、さらには吸水性材料を混合して、伝熱樹脂層の原料樹脂を調製する。原料樹脂の混合は、従来公知の方法で行えばよい。バインダー樹脂の形態は特に限定されず、無溶剤型、溶剤エマルジョン型、水性エマルジョン型、粉末型のいずれであってもよい。これらは、単独もしくは併用して用いられる。なかでも、生産性の点で、水性エマルジョン型であることが好ましい。
ついで、伝熱樹脂層の表面を平滑化する(以下、平滑化処理と称す)。これにより、皮膚との接触面積が増大し、冷感が発揮される。平滑化処理は、プレス機あるいはカレンダーロール機等により行うことができる。平滑化処理の条件は特に限定されず、樹脂層の最大断面高さが50μm以下となるように適宜設定すればよい。平滑化処理は、例えば、熱転写した後の繊維布帛の樹脂面を平滑な離型紙で覆って、温度120〜180℃、圧力0.3〜0.5kgf/cm2の条件で、30〜60秒間、プレス加工することにより行われる。あるいは、平滑化処理は、例えば、温度120〜180℃、圧力10kgf/cm2、速度10〜20m/分の条件で、カレンダー加工することにより行われる。
非接触式の三次元形状測定器(株式会社キーエンス製、ワンショット3D形状測定機 VR−3100)を用いて、伝熱樹脂層の表面近傍の形状に関するデータを取得し、輪郭曲線の基準線からの山高さの最大値(Zp)および谷深さの最大値(Zv)を算出して、これらの和(最大断面高さ(Zt))を求めた。
20℃の温度に設定した試料台の上に繊維構造物を置き、繊維構造物の上に40℃の温度に温められた熱板を、接触圧0.098N/cm2で積層した。積層の直後から、熱板から繊維構造物に移動した熱量を測定した。熱量の測定には、サーモラボII型精密迅速熱物性装置(カトーテック株式会社製)を用いた。熱量は、同一箇所で99秒間測定し、10秒毎にピーク値を求めた。初めの10秒間におけるピーク値をq−max0とし、90〜99秒の間のピーク値をq−max10とした。
JIS L1096 A法 水滴滴下法に基づいて吸水速度を測定した。
繊維構造物から10cm×10cmの大きさの試験片を切り出し、試験片の重量(W)を測定した。次いで、試験片に水を0.6mL滴下し、そのときの重量(W0)を測定した。標準状態(20℃、65%RH)下で、所定時間経過するたびに、試験片の重量(Wt)を測定し、拡散性残留水分率(%)が10%未満になる時間を算出した。
拡散性残留水分率(%)={(Wt−W)/(W0−W)}×100
JIS L 1096 通気性 A法(フラジール形法)に基づいて測定した。
(1)繊維布帛の準備
110dtex/36フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸および84dtex/36フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を用いて、天竺組織の丸編地を編成した(重量比50:50)。得られた編地の重量は120g/m2であった。この丸編地を、常法により、精練、プレセットした。
まず、下記に示す成分を混合し、伝熱樹脂層の原料樹脂として樹脂液A(粘度:25000cps/20℃)を調製した。
1)ポリウレタン樹脂(バインダー樹脂、第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックスE4800、固形分40重量%) 100重量部
2)パラフィン樹脂(粘着防止剤、林化学工業株式会社製) 10重量部
3)ブロックイソシアネート(架橋剤、林化学工業株式会社製、オキザールUL−3) 5重量部
4)アルミニウム粒子(熱伝導性材料、平均粒径5μm、熱伝導率200W/m・K) 5重量部
5)ポリアクリル酸(水溶性の増粘剤、林化学工業株式会社製) 適量
1)ポリウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス500) 50重量部
2)ポリウレタン粒子(日本ポリウレタン株式会社製、パールセンU−100A) 50重量部
3)ブロックイソシアネート(架橋剤、林化学工業株式会社製、オキザールUL−3) 5重量部
4)ポリアクリル酸(増粘剤、林化学工業株式会社製) 適量
次に、繊維布帛の上記前駆体層を含む樹脂層が形成された主面を、離型材(リンテック株式会社製、No.EV120 PXDH)で覆った後、熱プレス機により、150℃、30kPaにて60秒間プレスした。冷却後、離型材を剥離して、繊維布帛の主面の一部に伝熱樹脂層(厚み120μm)が形成された繊維構造物を得た。得られた繊維構造物に形成された伝熱樹脂層の面積割合(被覆率)は、50%であった。得られた繊維構造物の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を図1に示す。また、評価結果を表1に示す。
樹脂液Aに、カルボキシメチル基がアンモニウムで置換されたカルボキシメチルセルロース(平均粒径30μm、体積膨潤率140%)を0.05重量部混合したこと以外、実施例1と同様にして、繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の評価結果を表1に示す。
伝熱樹脂層の被覆率が80%になるように、樹脂液Aを塗布したこと以外、実施例1と同様にして、繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の評価結果を表1に示す。なお、樹脂液Aの付着量は乾燥重量で64g/m2であり、樹脂液Bの付着量は乾燥重量で80g/m2であり、伝熱樹脂層の厚みは106μmであった。
平滑化処理に、実施例1よりも表面粗さの大きい離型材(リンテック株式会社製、No.PXDH R−131)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の評価結果を表1に示す。
平滑化処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を図2に示す。また、評価結果を表1に示す。なお、図2に示される大きな窪みは、伝熱樹脂層の形成工程で用いた離型材の表面の凹凸により形成されたものである。
樹脂液Aにアルミニウム粒子を配合しなかったこと以外、実施例1と同様にして、繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の評価結果を表1に示す。
Claims (9)
- 繊維布帛と、
前記繊維布帛の一方の主面の一部に形成された樹脂層と、を備え、
前記樹脂層が、熱伝導性材料およびバインダー樹脂を含み、
前記熱伝導性材料が、1W/m・K以上の熱伝導率を有する無機粒子であり、
前記樹脂層の表面の最大断面高さが50μm以下である、繊維構造物。 - 前記繊維構造物の通気量が50〜300cc/cm2・秒である、請求項1に記載の繊維構造物。
- 前記熱伝導性材料の含有量が、前記バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部である、請求項1または2に記載の繊維構造物。
- 前記熱伝導性材料が、平均粒径0.1〜100μmの無機粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維構造物。
- 前記樹脂層が、さらに吸水性材料を含み、
前記吸水性材料の含有量が、前記バインダー樹脂100重量部に対して0.05〜1重量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維構造物。 - 前記吸水性材料が、水に不溶であって、かつ、水膨潤性を有する樹脂粒子である、請求項5に記載の繊維構造物。
- 前記樹脂層が、前記繊維布帛の前記主面の面積の10〜90%を被覆している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の繊維構造物。
- 前記樹脂層が、直径1〜20mmのドット形状であって、前記繊維布帛の前記主面に点在している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維構造物。
- 繊維布帛を準備する準備工程と、
前記繊維布帛の一方の主面に、熱伝導性材料およびバインダー樹脂を含む樹脂層を形成する形成工程と、
前記主面に形成された前記樹脂層の表面を平滑にする平滑化工程と、を備え、
前記熱伝導性材料が、1W/m・K以上の熱伝導率を有する無機粒子であり、
前記平滑化工程後の前記樹脂層の最大断面高さが50μm以下である、繊維構造物の製造方法。
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