JPWO2018101460A1 - 粘着剤用樹脂組成物及び粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2016年12月2日に、日本出願された特願2016−235193号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(1)2,000g/モルから50,000g/モルの数平均分子量を有するマクロモノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合することにより、特定の固形分を有する水性媒体内に分散された共重合体を含む接着剤組成物(特許文献1)。
(2)アルキル(メタ)アクリレートモノマーと、数平均分子量が1,000〜200,000およびガラス転移温度が30〜150℃のマクロモノマーを共重合して得られる粘着剤用樹脂組成物(特許文献2)。
[1] マクロモノマー(a)由来の構成単位と、ビニル単量体(b)由来の構成単位とを有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を含む粘接着剤用樹脂組成物であって、前記マクロモノマー(a)が、下記式(a’)で表される構成単位を2以上と、下記式(1)で表され、
0<X≦0.12 ・・・(i)
(式中、R1は水素原子、メチル基又はCH2OHを示し、R2はOR3、ハロゲン原子、COR4、COOR5、CN、CONR6R7、NHCOR8、又はR9を示し、
R3〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するへテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基、又は非置換の若しくは置換基を有する(ポリ)オルガノシロキサン基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族の複素環式基、アラルキル基、アルカリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R9は非置換の若しくは置換基を有するアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族の複素環式基、アラルキル基、アルカリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するオレフィン基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種である。Rは水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基、又は非置換の若しくは置換基を有する(ポリ)オルガノシロキサン基を示し、Qは2以上の構成単位(a’)を含む主鎖部分を示し、Zは末端基を示す。)
[2] 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量が1,000〜1,000,000である、[1]記載の粘着剤用樹脂組成物。
[3] 前記マクロモノマー(a)由来の構成単位の含有量が、全構成単位の合計質量に対して3〜60質量%である、[1]又は[2]に記載の粘着剤用樹脂組成物。
[4] 前記マクロモノマー(a)の数平均分子量が100以上100,000以下である、[1]〜[3]の何れかに記載の粘着剤用樹脂組成物。
[5] 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が式(ii)の条件を満たす[1]〜[4]の何れかに記載の粘着剤用樹脂組成物。
0.1≦X/Y≦0.50 ・・・・(ii)
(Xは小角X線散乱測定で測定した一次ピークの半値幅、一次元散乱プロファイルのピーク位置Yを示す)
[6] マクロモノマー(a)のTgaとビニル単量体(b)を重合して得られるポリマーTgBが式(4)の関係を満たす、[1]〜[5]の何れかに記載の粘着剤用樹脂組成物。
Tga-TgB>0℃ ・・・(4)
[7] マクロモノマー(a)由来の構成単位の溶解性パラメーターδaとビニル単量体(b)由来の構成単位の溶解性パラメーターδbが式(5)の関係を満たす、[1]〜[6]の何れかに記載の粘着剤用樹脂組成物。
δa-δb>0 ・・・(5)
[8] 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)を50%酢酸エチル溶液としたときの溶液粘度が10〜800,000mPa・sである[1]〜[7]の何れかに記載の粘着剤用樹脂組成物。
[9] [1]〜[8]の何れかに記載の粘着剤用樹脂組成物を用いた、粘着シート。
「ビニル単量体」とは、エチレン性不飽和結合(重合性炭素−炭素二重結合)を有する単量体を意味する。
「(メタ)アクリル系共重合体」は、構成単位の少なくとも一部が(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位である共重合体を意味する。(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系単量体以外の単量体(たとえばスチレン等)由来の構成単位をさらに含んでいてもよい。
「(メタ)アクリル系単量体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。「(メタ)アクリロニトリル」は、アクリロニトリルとメタクリロニトリルの総称である。「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの総称である。
本発明の粘着剤用樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体(以下、「共重合体(A)」ともいう。)は、下記式(i)を満たす。つまり小角X線散乱測定における一次元散乱ピークの半値幅Xが0超0.12以下である。半値幅Xは、0.01〜0.12が好ましく、0.03〜0.11がより好ましく、0.05〜0.10が更に好ましい。半値幅Xが前記範囲の上限値以下であれば、共重合体(A)を用いた粘着層等が、充分な保持力を持ち、且つ粘着力が高くなりすぎずに適切な範囲を保つことができ、糊残りによる基材汚染性が低いものとなる。
(式中、Xは、共重合体(A)の小角X線散乱測定における一次元散乱ピークの半値幅を示す。)
半値幅Xの値を有することは、小角X線散乱測定される試料(共重合体の層)において(ミクロ)相分離構造が形成されていること、つまり、共重合体(A)が(ミクロ)相分離可能な複数の部分を有することを示す。通常、このような複数の部分はそれぞれ、性質が異なる構成単位を含む。
また、小角X線散乱測定される試料における(ミクロ)相分離の状態が明確になるほど、あるいは均一になるほど、一次元散乱ピークの形状がシャープになり、半値幅Xが小さくなる傾向がある。つまり半値幅Xが小さいほど、共重合体(A)が有する複数の部分の相溶性が低く、(ミクロ)相分離しやすいことを示す。
性質の異なる構成単位が互いに異なる部分に分布し、(ミクロ)相分離構造を形成することで、各構成単位の特性が発現しやすくなる。そのため、適正な範囲の粘着力を維持し、且つ、凝集力を高めて保持力の向上及び基材汚染性の低減を図ることができる。
(ミクロ)相分離構造は、ラメラ構造、ジャイロイド構造、シリンダ構造、スフィア構造等が挙げられるが、これら何れの構造であってもよい。
また(メタ)アクリル系共重合体(A)は下記式(ii)を満たすことが好ましい。つまり小角X線散乱測定における一次元散乱ピークの半値幅Xと一次元散乱プロファイルのピーク位置Yとの比が0.1〜0.50であることが好ましい。X/Yは、0.1〜0.43がより好ましく、0.2〜0.40がさらに好ましい。X/Yが前記範囲の下限値以上であれば、塗工性がより優れ、また、保持力が低くなりすぎない。X/Yが前記範囲の上限値以下であれば、適切な範囲の粘着力を維持でき、保持力や耐基材汚染性がより優れる。
ピーク位置Yは、ミクロ相分離のドメイン間距離を示す。ドメイン間距離が狭くなると、X/Yが小さくなる傾向がある。
(式中、Xは前記のとおりであり、Yは、共重合体(A)の小角X線散乱測定における一次元散乱プロファイルのピーク位置を示す。)
共重合体(A)の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。詳しくは、後述する実施例に記載の方法により測定される。
共重合体(A)中の(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位の含有量は、共重合体(A)を構成する全構成単位の合計質量(100質量%)に対して20〜100質量%が好ましく、40〜100質量%がより好ましい。
共重合体(A1)は、典型的には、マクロモノマー(a)由来のポリマー鎖と、ビニル単量体(b)由来の構成単位から構成されたポリマー鎖とが結合した、グラフト共重合体又はブロック共重合体の構造を持つ。
共重合体(A1)にあっては、マクロモノマー(a)を構成する単量体の組成及びビニル単量体(b)の組成によって、マクロモノマー(a)由来のポリマー鎖と、ビニル単量体(b)由来の構成単位から構成されたポリマー鎖との相溶性、ひいては半値幅Xの値を調整できる。
通常、マクロモノマー(a)を構成する単量体の組成と、ビニル単量体(b)の組成とは異なる。組成は、単量体の種類及び含有割合を示す。
マクロモノマー(a)は、ラジカル重合性基を有する単量体(以下「単量体(a1)」ともいう)由来の構成単位を2以上有する化合物であって、ラジカル重合性基、又はヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、アミド基、チオール基、カルボジイミド基等の付加反応性の官能基を有する化合物である。
単量体(a1)については後で詳しく説明する。マクロモノマー(a)が有する2以上の構成単位はそれぞれ同じでも異なってもよい。
マクロモノマー(a)が前記付加反応性の官能基を有する場合、通常、ビニル単量体(b)が、前記付加反応性の官能基と反応可能な官能基を有するビニル単量体を含む。かかるビニル単量体(b)由来の構成単位からなる重合体の官能基と、前記付加反応性の官能基を有するマクロモノマーとを反応させて共重合体(A1)を得ることができる。
ヒドロキシル基とカルボキシル基又は酸無水物基との組み合わせ。
イソシアネート基とヒドロキシル基又はチオール基又はカルボキシル基との組み合わせ。
エポキシ基とアミノ基との組み合わせ。
カルボキシル基とエポキシ基又はカルボジイミド基との組み合わせ。
アミノ基とカルボキシル基との組み合わせ。
アミド基とカルボキシル基との組み合わせ。
チオール基とエポキシ基との組み合わせ。
マクロモノマー(a)は、ラジカル重合性基及び前記官能基のどちらか一方を有していても両方を有していてもよい。ラジカル重合性基及び前記官能基の両方を有する場合、マクロモノマー(a)が有するラジカル重合性基、前記官能基はそれぞれ一つでも二つ以上でもよい。
マクロモノマー(a)は、ラジカル重合性基及び前記官能基を繰り返し単位の内部に有していてもよいし、末端に有していてもよいが、粘着剤用樹脂組成物の粘度を調整しやすい点などから、末端のみに有していることが好ましい。
ここで、Rは水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基、又は非置換の若しくは置換基を有する(ポリ)オルガノシロキサン基を示す。
Rにおける非置換のヘテロアリール基としては、例えばピリジル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
非置換の非芳香族の複素環式基としては、例えばピロリジニル基、ピロリドン基、ラクタム基等が挙げられる。
非置換のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
R17〜R19における非置換若しくは置換基を有するアルキル基としては、前記と同様のものが挙げられ、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、ステアリル基、ラウリル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、2−メチルイソプロピル基、ベンジル基等が挙げられる。非置換若しくは置換基を有する脂環式基としては、前記と同様のものが挙げられ、例えばシクロヘキシル基等が挙げられる。非置換若しくは置換基を有するアリール基としては、前記と同様のものが挙げられ、例えばフェニル基、p−メチルフェニル等が挙げられる。R17〜R19はそれぞれ同じでもよく異なってもよい。
R30〜R35における非置換若しくは置換基を有するアルキル基、脂環式基、アリール基としては、前記と同様のものが挙げられる。
ここで、R11〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、又は非置換の若しくは置換基を有するアリール基を示す。これらの基はそれぞれ、前記と同様のものが挙げられる。
上記置換基における−COOR11のR11としては、水素原子又は非置換のアルキル基が好ましい。すなわち、−COOR11は、カルボキシ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基が挙げられる。
上記置換基における−OR12のR12としては、水素原子又は非置換のアルキル基が好ましい。すなわち、−OR12は、ヒドロキシ基又はアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられ、具体例としては、メトキシ基が挙げられる。
上記置換基における−CONR15R16としては、例えば、カルバモイル基(−CONH2),N−メチルカルバモイル基(−CONHCH3)、N,N−ジメチルカルバモイル基(ジメチルアミド基:−CON(CH3)2)等が挙げられる。
上記置換基における親水性又はイオン性を示す基としては、例えば、カルボキシ基のアルカリ塩又はスルホキシ基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
上記の中でも、入手のし易さから、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、イソボルニル基及びアダマンチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、イソボルニル基及びアダマンチル基がより好ましい。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、テルペンアクリレートやその誘導体、水添ロジンアクリレートやその誘導体、(メタ)アクリル酸ドコシル等の炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等のカルボキシル基含有ビニル単量体;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、マレイン酸アミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアミド結合含有鎖式ビニル単量体、(メタ)アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、マレイミド等のアミド結合含有環式ビニル単量体等のアミド結合含有ビニル単量体;
ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジブチルイタコネート、ジパーフルオロシクロヘキシルフマレート等の不飽和ジカルボン酸ジエステル単量体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基含有ビニル単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系のビニル単量体;
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル等の多官能性のビニル単量体;
ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系単量体;
(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、「プラクセルFM」(ダイセル化学(株)製カプロラクトン付加モノマー、商品名)、「ブレンマーPME−100」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME−200」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME−400」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの)、商品名)、「ブレンマー50POEP−800B」(日油(株)製オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの)、商品名)、「ブレンマー20ANEP−600」(日油(株)製ノニルフェノキシ(エチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノアクリレート、商品名)、「ブレンマーAME−100」(日油(株)製、商品名)、「ブレンマーAME−200」(日油(株)製、商品名)及び「ブレンマー50AOEP−800B」(日油(株)製、商品名)等のグリコールエステル系単量体;
3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤含有単量体;
トリメチルシリル(メタ)アクリレート、トリエチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−プロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−アミルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ヘキシルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−オクチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ドデシルシリル(メタ)アクリレート、トリフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリ−p−メチルフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリベンジルシリル(メタ)アクリレート、トリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリイソブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−s−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−2−メチルイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−t−ブチルシリル(メタ)アクリレート、エチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、n−ブチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、ジイソプロピル−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、n−オクチルジ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルステアリルシリル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルフェニルシリル(メタ)アクリレート、t−ブチルジフェニルシリル(メタ)アクリレート、ラウリルジフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリイソプロピルシリルメチルマレート、トリイソプロピルシリルアミルマレート、トリ−n−ブチルシリル−n−ブチルマレート、t−ブチルジフェニルシリルメチルマレート、t−ブチルジフェニルシリル−n−ブチルマレート、トリイソプロピルシリルメチルフマレート、トリイソプロピルシリルアミルフマレート、トリ−n−ブチルシリル−n−ブチルフマレート、t−ブチルジフェニルシリルメチルフマレート、t−ブチルジフェニルシリル−n−ブチルフマレート、サイラプレーンFM−0711(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンFM−0721(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンFM−0725(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンTM−0701(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンTM−0701T(JNC(株)製、商品名)、X−22−174ASX(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−174BX(信越化学工業(株)製、商品名)、KF−2012(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−2426(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−2404(信越化学工業(株)製、商品名)等の、シランカップリング剤含有モノマー以外のオルガノシリル基含有単量体;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;
(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル等のイソシアナト基含有単量体;
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)メタクリレート、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1,2,2,2−テトラフルオロー1−(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有単量体(ただしハロゲン化オレフィンを除く);
1−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−(2−エチルへキシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(シクロへキシルオキシ)エチルメタクリレート)、2−テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等のアセタール構造を持つ単量体;
4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の他のビニル単量体等。
これらの中で、マクロモノマー(a)に用いる単量体(a1)としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−i−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシルが粘着剤の保持力を高める点で好ましい。
単量体(a1)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体(a1)の少なくとも一部は(メタ)アクリル系単量体であることが好ましい。
R3〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するへテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基、非置換の若しくは置換基を有する(ポリ)オルガノシロキサン基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族の複素環式基、アラルキル基、アルカリール基、カルボン酸基(COOH)、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基(SO3H)及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R9は非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族の複素環式基、アラルキル基、アルカリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するオレフィン基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種である。)
カルボン酸エステル基としては、例えば前記−COOR11のR11が非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、又は非置換の若しくは置換基を有するアリール基である基が挙げられる。
アルコキシ基としては、前記−OR12のR12が非置換のアルキル基である基が挙げられる。
2級アミノ基としては、前記−NR13R14のR13が水素原子、R14が非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、又は非置換の若しくは置換基を有するアリール基である基が挙げられる。
3級アミノ基としては、前記−NR13R14のR13及びR14がそれぞれ非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、又は非置換の若しくは置換基を有するアリール基である基が挙げられる。
R9における置換基(置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロアリール基、置換基を有する非芳香族の複素環式基それぞれにおける置換基)のうち、カルボン酸エステル基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、及びハロゲン原子はそれぞれ、前記と同様のものが挙げられる。
非置換のオレフィン基としては、例えばアリル基等が挙げられる。
置換基を有するオレフィン基における置換基としては、R8における置換基と同様のものが挙げられる。
CH2=CR1R2の具体例としては、以下のものが挙げられる。
置換又は非置換のアルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、i−ステアリル(メタ)アクリレート、i−デシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート]、置換又は非置換のアラルキル(メタ)アクリレート[例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート]、置換又は非置換のアリール(メタ)アクリレート[例えば、フェニル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート]、脂環式(メタ)アクリレート[例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート]、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート[例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート]等の疎水基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート等のオキシエチレン基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;
メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル等の末端アルコキシアリル化ポリエーテル単量体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム等のアミド結合含有ビニル単量体;
ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第一級または第二級アミノ基含有ビニル単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第三級アミノ基含有ビニル単量体;
ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系塩基性単量体;
トリメチルシリル(メタ)アクリレート、トリエチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−プロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−アミルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ヘキシルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−オクチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ドデシルシリル(メタ)アクリレート、トリフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリ−p−メチルフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリベンジルシリル(メタ)アクリレート、トリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリイソブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−s−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−2−メチルイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−t−ブチルシリル(メタ)アクリレート、エチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、n−ブチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、ジイソプロピル−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、n−オクチルジ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルステアリルシリル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルフェニルシリル(メタ)アクリレート、t−ブチルジフェニルシリル(メタ)アクリレート、ラウリルジフェニルシリル(メタ)アクリレート等のオルガノシリル基含有ビニル単量体;
メタクリル酸、アクリル酸、ビニル安息香酸、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のカルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
アクリロニトリル、メタクリロニトニル等のシアノ基含有ビニル単量体;
アルキルビニルエーテル[たとえば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等]、シクロアルキルビニルエーテル[たとえば、シクロヘキシルビニルエーテル等]等のビニルエーテル単量体;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル単量体;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;
塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化オレフィン;等。
他の構成単位の好ましい具体例として、以下の単量体由来の構成単位が挙げられる。
トリイソプロピルシリルメチルマレート、トリイソプロピルシリルアミルマレート、トリ−n−ブチルシリル−n−ブチルマレート、t−ブチルジフェニルシリルメチルマレート、t−ブチルジフェニルシリル−n−ブチルマレート、トリイソプロピルシリルメチルフマレート、トリイソプロピルシリルアミルフマレート、トリ−n−ブチルシリル−n−ブチルフマレート、t−ブチルジフェニルシリルメチルフマレート、t−ブチルジフェニルシリル−n−ブチルフマレート等のオルガノシリル基含有ビニル単量体;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル単量体;
クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等のカルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジブチルイタコネート、ジパーフルオロシクロヘキシルフマレート等の不飽和ジカルボン酸ジエステル単量体;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル等の多官能単量体等。
(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位としては、前記式(a’)中のR1が水素原子又はメチル基であり、R2がCOOR5である構成単位が好ましい。
Qに含まれる2以上の構成単位(a’)はそれぞれ、同じでもよく異なってもよい。
Qは、構成単位(a’)のみからなるものでもよく、構成単位(a’)以外の他の構成単位をさらに含むものであってもよい。
Qは、構成単位(a’)として、前記式(a’)中のR1が水素原子又はメチル基であり、R2がCOOR5である構成単位を含むことが好ましい。該構成単位の割合は、Qを構成する全構成単位の合計質量(100質量%)に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
Qを構成する構成単位の数は、マクロモノマー(a)の数平均分子量が前記範囲内となる範囲で適宜設定し得る。
Zとしては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子、ラジカル重合開始剤に由来する基、ラジカル重合性基等が挙げられる。
R22における各基は、COOR5のR5で挙げたものと同様である。
nは2以上の自然数である。nは、マクロモノマー(a)の数平均分子量(Mn)が100以上100,000以下となる範囲内が好ましい。数平均分子量の好ましい範囲は下記のとおりである。n個のR21はそれぞれ同じでも異なってもよい。n個のR22はそれぞれ同じでも異なってもよい。
上記マクロモノマー(a)以外にも、官能基を持つ化合物を、ビニル単量体(b)由来の構成単位からなる重合体の官能基と付加させることもできる。官能基を持つ化合物の例としては、X−22−173BX(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−173DX(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−170BX(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−170DX(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−176DX(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−176F(信越化学工業(株)製、商品名)、X−22−173GX−A(信越化学工業(株)製、商品名)等のシリコーン系化合物等が挙げられる。
マクロモノマー(a)の数平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを基準樹脂として測定される。
Tgaは、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
Tgaは、マクロモノマー(a)を形成する単量体の組成等によって調整できる。
ラジカル重合性基を持つマクロモノマー(a)の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法、α−メチルスチレンダイマー等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法、開始剤を用いる方法、重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法、熱分解による方法等が挙げられる。
これらの中で、ラジカル重合性基を持つマクロモノマー(a)の製造方法としては、製造工程数が少なく、使用する触媒の連鎖移動定数が高い点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。なお、コバルト連鎖移動剤を用いて製造した場合のマクロモノマー(a)は、前記式(1)で表される構造を有する。
重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法としては、例えば、ハロゲン基を有する重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法、酸基を有するビニル単量体とエポキシ基を有するビニル系重合体とを反応させる方法、エポキシ基を有するビニル系重合体と酸基を有するビニル単量体とを反応させる方法、水酸基を有するビニル系重合体とジイソシアネート化合物とを反応させ、イソシアネート基を有するビニル系重合体を得て、このビニル系重合体と水酸基を有するビニル単量体とを反応させる方法等が挙げられ、いずれの方法によって製造されても構わない。
マクロモノマー(a)の数平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤等によって調整できる。
ビニル単量体(b)は、エチレン性不飽和結合を有する、マクロモノマーではない単量体である。ビニル単量体(b)としては、特に限定されず、前記で挙げたマクロモノマー(a)を得るための単量体(a1)と同様のものを用いることができる。ビニル単量体(b)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ビニル単量体(b)の少なくとも一部は(メタ)アクリル系単量体であることが好ましい。
マクロモノマー(a)をビニル単量体(b)由来の構成単位からなる重合体に付加させる場合は、ビニル単量体(b)はマクロモノマー(a)の官能基と反応できる官能基を有するものを含むことが適している。
単量体(b1)が有するアルキル基の炭素数は、8〜30が好ましく、9〜18が特に好ましい。
例えば、粘着剤の凝集力を高める観点から、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルからなる群から選ばれる1種以上の単量体を含んでもよい。
粘着力、耐湿熱白化性及び低腐食性を高める観点から、アミド結合含有ビニル単量体を含んでもよい。耐湿熱白化性とは、粘着層等が高温高湿雰囲気に曝されたときに白化しにくい性質を意味する。アミド結合含有ビニル単量体としては、前記と同様のものが挙げられる。
その他、好ましい他のビニル単量体として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、スチレン、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。
ビニル単量体(b)は、ビニル単量体(b)のみを重合して得られる重合体(以下、「重合体(B)」ともいう)とマクロモノマー(a)との間に極性の差が生じる組成を有することが好ましい。重合体(B)とマクロモノマー(a)との間に極性の差があれば、半値幅Xが前記範囲内となりやすい。半値幅Xが前記範囲内であれば、粘着層や塗膜を形成したときに、マクロモノマー(a)のポリマー鎖と重合体(B)から形成されたポリマー鎖とがミクロ相分離して、それぞれの特性が充分に発現しやすい。例えばマクロモノマー(a)による粘着層の保持力の向上効果が充分に発揮され、粘着層の保持力が優れる。
この例において、マクロモノマー(a)を構成する全構成単位の合計に対するメタクリル酸メチル由来の構成単位の割合は、50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。また、ビニル単量体(b)の全量に対する単量体(b1)の割合は、30質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましい。マクロモノマー(a)におけるメタクリル酸メチル由来の構成単位の割合が多いほど、又はビニル単量体(b)における単量体(b1)の割合が多いほど、重合体(B)とマクロモノマー(a)との間の極性の差が大きくなり、ミクロ相分離しやすいため、粘着層の保持力が優れ、糊残りが生じにくい。
また、この例において、ビニル単量体(b)中、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基等の極性官能基を有するビニル単量体の含有量は、極性の差を大きくする観点から、ビニル単量体(b)の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましい。下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
なお、Foxの計算式とは以下の式により求められる計算値であり、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕に記載されている値を用いて求めることができる(式中のTgがTgBに相当する)。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))(式中、Wiはモノマーiの質量分率、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。)
Tga > TgB ・・・(3)
より好ましくはTga−TgB>50℃であり、最も好ましくはTga−TgB>80℃である。
共重合体(A1)中のマクロモノマー(a)由来の構成単位の含有量は、共重合体(A1)を構成する全構成単位の合計質量に対して3〜60質量%が好ましく、7〜40質量%がより好ましく、8〜30質量%が更に好ましく、9〜20質量%が特に好ましい。マクロモノマー(a)由来の構成単位の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、粘着層の保持力がより優れる。マクロモノマー(a)由来の構成単位の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、塗工性や配合物としたときの他成分との相溶性やホットメルト加工性がより優れる。
共重合体(A1)の製造方法としては、例えば、以下の製造方法(α)、(β)等が挙げられる。共重合体(A1)は、製造方法(α)により製造されたものであってもよく、製造方法(β)により製造されたものであってもよい。ただし、共重合体(A1)の製造方法はこれらに限定されるものではない。
製造方法(α):マクロモノマー(a)として、ラジカル重合性基を有するマクロモノマーを用い、このマクロモノマー(a)と、ビニル単量体(b)とを共重合する方法。
製造方法(β):マクロモノマー(a)として、前記付加反応性の官能基を有するマクロモノマーを用い、このマクロモノマー(a)と、前記付加反応性の官能基と反応可能な官能基を有するビニル単量体を含むビニル単量体(b)由来の構成単位からなる重合体とを反応させる方法。
例えば前述のように、マクロモノマー(a)と、ビニル単量体(b)のみを重合して得られる重合体(B)との間の極性の差が前記相溶性に影響する。その極性の差が大きいほど、相溶性が低下し、半値幅Xが小さくなる傾向がある。また、マクロモノマー(a)の数平均分子量が大きいほど、または共重合体(A1)の重量平均分子量が大きいほど、半値幅Xが小さくなる傾向がある。
共重合体(A)の半値幅Xを0超0.12以下とする観点から、マクロモノマー(a)由来の構成単位の溶解性パラメーターδaと、ビニル単量体(b)由来の構成単位の溶解性パラメーターδbとは、(δa−δb)>0を満たすことが好ましい。つまりδaとδbとの差が0超であることが好ましい。(δa−δb)≧0.30を満たすことがより好ましく、(δa−δb)≧0.60を満たすことが更に好ましい。
溶解性パラメーターδは下記式(I)にて求められる。
δ=Σ(mi δi)・・・(I)
式(I)中、miは、マクロモノマー(a)由来の構成単位又はビニル単量体(b)由来の構成単位を構成する単量体iのモル分率を表し、δiは単量体iの溶解性パラメーターを表す。
単量体iが、マクロモノマー(a)由来の構成単位を構成する単量体である場合のδがδaであり、単量体iが、ビニル単量体(b)由来の構成単位を構成する単量体である場合のδがδbである。
尚、単量体iの溶解性パラメーター(δi)は、下記式(II)より、算出できる。
δi={Σ(nj Ej)/Σ(nj Vj)}1/2・・・(II)
式(II)中、njは単量体iを構成する原子団jの個数を表し、Ejは原子団jの凝集エネルギー(J/mol)を表し、Vjは原子団jのモル体積(cm3/mol)を表す。尚、Ej及びVjは、R.F.Fedors、「Polym.Eng.Sci.」、(1974)から引用した値である。共重合体(A)中のマクロモノマー(a)由来の構成単位の溶解性パラメーターδaと、ビニル単量体(b)由来の構成単位の溶解性パラメーターδbが前記を満たし、半値幅Xが0超0.12以下である場合に、共重合体(A)を用いた粘着層は適正な粘着力を維持しつつ、保持力が良好となる。
また、マクロモノマー(a)由来のポリマー鎖の量や数平均分子量によって、X/Yの比を調整できる。具体的には、マクロモノマー(a)由来のポリマー鎖の量を増やしたり、マクロモノマー(a)由来のポリマー鎖の数平均分子量を小さくしたりすると、X/Yが小さくなる傾向がある。
製造方法(α)で重合する単量体の組成、すなわち重合する単量体の種類及び全単量体の合計質量に対する各単量体の含有量(質量%)(仕込み量)の好ましい範囲は、共重合体(A1)の組成、すなわち共重合体(A1)を構成する単量体由来の構成単位の種類及び全構成単位の合計質量に対する各構成単位の含有量(質量%)と同様である。
例えば重合する全単量体の合計質量(100質量%)に対するマクロモノマー(a)の含有量は3〜60質量%が好ましく、7〜40質量%がより好ましく、8〜30質量%が更に好ましく、9〜20質量%が特に好ましい。
溶液重合は、例えば、重合容器内に重合溶媒、単量体及びラジカル重合開始剤を供給し、所定の反応温度に保持することにより実施できる。単量体は、全量を予め(重合容器内を所定の反応温度とする前に)重合容器に仕込んでもよく、重合容器内を所定の反応温度とした後に滴下供給してもよく、一部を予め重合容器に仕込み、残部を滴下供給してもよい。
ただし共重合体(A)の用途は上記に限定されるものではなく、他の用途に用いることもできる。他の用途としては、例えば塗料組成物、接着剤用樹脂組成物、成形材料用組成物、フィルム用組成物等が挙げられる。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、前記共重合体(A)を含む。
粘着剤用樹脂組成物に含まれる共重合体(A)は1種でもよく2種以上でもよい。本発明の粘着剤用樹脂組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)単独で構成されてもよく、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、必要に応じて、ラジカル重合性基を1つ有する重合性単官能化合物をさらに含むことができる。
重合性単官能化合物におけるラジカル重合性基としては、前記と同様のものが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。すなわち重合性単官能化合物は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
重合性単官能化合物としては、粘着剤としての柔軟性等の点から、炭素数4以上の炭化水素基を有する重合性単官能化合物が好ましい。該炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、8〜30がより好ましい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、必要に応じて、オリゴマー成分をさらに含むことができる。
オリゴマー成分としては、ウレタン系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、アクリル系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、ポリオレフィン系オリゴマー等が挙げられる。これらは反応性二重結合を持つものでもよいし、官能基を持ち、粘着組成物中の他の成分と反応するものでもよく、他の成分とは反応しないものでもよい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、必要に応じて、架橋剤をさらに含むことができる。粘着剤用樹脂組成物が架橋剤を含むと、粘着剤用樹脂組成物を硬化(架橋)させ、粘着層の架橋密度を高めることができる。これにより、粘着層の強度、保持力等がより優れる傾向がある。なお、用途によっては、架橋剤を含む必要はない。また、共重合体(A)が自己架橋性を有する場合、例えば水酸基とイソシアナト基の両方を有する場合は、架橋剤を含まなくても充分な強度、保持力等を得ることができる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、金属キレート系、光硬化系等、メラミン系、アジリジン系等が挙げられる。これらの架橋剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この種の架橋剤としては、例えば、ラジカル重合性基を2以上有する重合性多官能化合物;イソシアネート基、エポキシ基、メラミン基、グリコール基、シロキサン基及びアミノ基からなる群から選ばれる官能基を2個以上有する多官能有機樹脂;金属錯体を有する有機金属化合物等が挙げられる。金属錯体における金属としては、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、ジルコニウム、カルシウム等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO/PO変性ジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ポリイソブチレンジアクリレート、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アルコキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、アルコキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルコキシ化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、必要に応じて、反応開始剤をさらに含むことができる。
反応開始剤は、活性エネルギー線(紫外線等)の照射又は加熱によりラジカルを発生させる化合物である。
反応開始剤としては、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、特に限定されず、公知の光重合開始剤を適宜用いることができ、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤をさらに含むことができる。
充填剤は、例えば耐熱性、熱伝導性、難燃性、電気伝導性等を付与するために用いられる。充填剤としては、例えば、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末等の金属系粉末、アセチレンブラック等のカーボンブラック、タルク、ガラスパウダー、シリカ粉末、導電性粒子、ガラス粉末等の無機充填剤;ポリエチレン粉末、ポリエステル粉末、ポリアミド粉末、フッ素樹脂粉末、ポリ塩化ビニル粉末、エポキシ樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の有機充填剤;等が挙げられる。これらの充填剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、必要に応じて、塗工適性、成膜性等の向上のため、有機溶剤を含むことができる。
有機溶剤としては、共重合体(A)を溶解できるものであれば特に限定されず、例えばヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル系溶剤;コスモ石油社製のスワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500等の芳香族石油系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤はいずれか1種を単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、必要に応じて、反応触媒、粘着付与樹脂、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、防錆剤、加水分解防止剤等の各種の添加剤を適宜含むことができる。
反応触媒としては、例えば三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばフェノール系、リン系、ヒドロキシルアミン系、イオウ系等が挙げられる。中でも、加熱後の樹脂の着色が少ない点で、フェノール系、リン酸系の酸化防止剤が好ましい。これらは単独で使用してもよいし、数種類を組み合わせて使用してもよい。酸化防止剤の含有量は共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。
粘着剤用樹脂組成物の組成は、粘着剤用樹脂組成物の用途、使用形態等に応じて適宜設定できる。
本発明の粘着剤用樹脂組成物の好ましい実施形態として、以下の粘着剤用樹脂組成物(1)〜(3)等が挙げられる。
粘着剤用樹脂組成物(1)は、共重合体(A)と、ラジカル重合性基を1つ有する重合性単官能化合物と、ラジカル重合性基を2以上有する重合性多官能化合物と、光重合開始剤とを少なくとも含む液状の粘着剤用樹脂組成物である。
粘着剤用樹脂組成物(1)は、活性エネルギー線硬化型である。
「液状」とは、25℃にて液状を呈することを示す。液状粘着剤用樹脂組成物(1)の25℃でB型粘度計で測定される粘度は、1,000〜800,000mPa・sが好ましい。
粘着剤用樹脂組成物(1)は、有機溶剤を実質的に含まないことが好ましい。
粘着剤用樹脂組成物(1)は、必要に応じて、充填剤、オリゴマー成分、他の添加剤等をさらに含んでもよい。
粘着剤用樹脂組成物(1)は、例えばLOCAとして用いることができる。
粘着剤用樹脂組成物(2)は、共重合体(A)を含むホットメルト型の粘着剤用樹脂組成物である。
粘着剤用樹脂組成物(2)は、25℃にて固体状である。
粘着剤用樹脂組成物(2)は、有機溶剤を実質的に含まない。
粘着剤用樹脂組成物(2)は、必要に応じて、重合性単官能化合物、架橋剤、反応開始剤、充填剤、オリゴマー成分、他の添加剤等をさらに含んでもよい。
粘着剤用樹脂組成物(2)は、架橋剤を含むことが好ましい。これにより、粘着剤用樹脂組成物(2)から形成される粘着層又は粘着シートを硬化(架橋)させることができる。
粘着剤用樹脂組成物(2)は、架橋剤として、ラジカル重合性基を2以上有する重合性多官能化合物、反応開始剤として光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型であることが好ましい。
粘着剤用樹脂組成物(2)は、例えば透明両面粘着シート状に成形し、必要に応じて架橋させて、OCAとして用いることができる。
粘着剤用樹脂組成物(3)は、共重合体(A)及び有機溶剤を含む液状の粘着剤用樹脂組成物である。
液状粘着剤用樹脂組成物(3)の25℃でB型粘度計で測定される粘度は、10〜800,000mPa・sが好ましく、100〜10,000mPa・sがより好ましく、200〜7,000mPa・sがより好ましく、が更に好ましく、200〜5,000mPa・sが更に好ましく、500〜3500mPa・sが最も好ましい。前記下限値以上上限値以下であると、液状粘着剤用樹脂組成物を塗工する際の塗工性や作業性が向上する。
粘着剤用樹脂組成物(3)は、必要に応じて、重合性単官能化合物、架橋剤、反応開始剤、充填剤、オリゴマー成分、他の添加剤等をさらに含んでもよい。
粘着剤用樹脂組成物(3)は、架橋剤を含むことが好ましい。これにより、粘着剤用樹脂組成物(3)から形成される粘着層又は粘着シートを硬化(架橋)させることができる。
粘着剤用樹脂組成物(3)は、架橋剤として、ラジカル重合性基を2以上有する重合性多官能化合物、反応開始剤として光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型、または共重合体Aに含まれる官能基と熱により反応する化合物を含む熱硬化型であることが好ましい。
粘着剤用樹脂組成物(3)は、例えば、粘着剤用樹脂組成物(3)を剥離性基材上に塗布し、乾燥する等により透明両面粘着シート状に成形し、必要に応じて加熱や紫外線照射等により架橋させて、粘着剤として用いることができる。
粘着剤用樹脂組成物の固形分は、粘着剤用樹脂組成物(3)から有機溶剤を除いた残分である。
粘着剤用樹脂組成物の固形分濃度は、粘着剤用樹脂組成物の粘度等を考慮して適宜設定でき、例えば10〜90質量%とすることができる。生産性や環境負荷低減の観点から、粘着剤用樹脂組成物(3)中の有機溶剤量は90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、部材同士の貼り合わせ等に用いることができる。
貼り合わせの際、粘着剤用樹脂組成物は、予めシート状に成形、または塗布し粘着シートとしたものを部材間に配置してもよく、シート状に成形していないものを直接、部材間に配置してもよい。
粘着シートについては後で詳しく説明する。
粘着剤用樹脂組成物が透明である場合には、透明両面粘着シート状に加工し、OCAとして、液晶パネル等のディスプレイ表示における各種パネルの貼り合わせ、ガラス等の透明板材の貼り合わせ等に用いることができる。粘着剤用樹脂組成物が透明かつ液状である場合には、そのままLOCAとして、そのような貼り合わせに用いることができる。
「透明」とは、厚さ150μmに調整した粘着シートをJIS K7361に準じた方法で測定したときのヘイズ値が10以下であることを示す。
前記部材の材質としては、例えばガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、シリコーン樹脂等が挙げられる。
まず、第一の部材の表面に、前記(1)の粘着剤用樹脂組成物を塗布して粘着層を形成し、その上に第二の部材を積層し、必要に応じて硬化させる。これにより、第一の部材と第二の部材とが粘着層を介して貼り合わされた積層体とされる。
前記(1)の粘着剤用樹脂組成物の塗布量は、形成される粘着層の厚さに応じて設定される。着層の厚さは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、典型的には、10〜500μm程度である。
粘着層の硬化方法は特に限定されない。例えば、粘着剤用樹脂組成物が、架橋剤としての多官能(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤を含む場合、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって粘着層を硬化(光硬化)させることができる。共重合体(A)が、水酸基等の反応性基を有し、粘着剤用樹脂組成物が、熱により前記反応性基と化学結合し得る架橋剤(イソシアネート系等)を含む場合、加熱によって粘着層を硬化(熱硬化)させることができる。
熱硬化の後、養生を行ってもよい。養生条件は、例えば0〜60℃で1〜10日間程度とすることができる。
本発明の粘着シートは、前記粘着剤用樹脂組成物を用いた粘着シートである。つまり前記粘着剤用樹脂組成物から形成された粘着層を備える粘着シートである。
前記粘着剤用樹脂組成物が硬化可能なものである場合、本発明の粘着シートは、前記粘着剤用樹脂組成物からなるものであってもよく、前記粘着剤用樹脂組成物の硬化物からなるものであってもよい。粘着シートの取り扱い性の点では、前記粘着剤用樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
本発明の粘着シートは、透明両面粘着シートであってよい。
本発明の粘着シートの厚さは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、典型的には、10〜500μm程度である。
粘着剤用樹脂組成物の成形は、公知の方法により行うことができる。例えば、本発明の粘着剤用樹脂組成物が固体状(例えば前記粘着剤用樹脂組成物(2)である場合)、一対の剥離性基材の間に粘着剤用樹脂組成物を配置し、一対の剥離性基材の両側から加熱して粘着剤用樹脂組成物を溶融させ、シート状に成形する方法等が挙げられる。本発明の粘着剤用樹脂組成物が液状である場合(例えば前記粘着剤用樹脂組成物(1)又は(3)である場合)、剥離性基材に粘着剤用樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させてシート状に成形する方法等が挙げられる。
硬化は、前記粘着層の硬化と同様にして行うことができる。
例えば、第一の部材の表面に、粘着シートを配置し、その上に第二の部材を積層し、必要に応じて硬化させる。これにより、第一の部材と第二の部材とが粘着シートを介して貼り合わされた積層体とされる。
本発明の保護シートは、前記粘着剤用樹脂組成物を用いた保護シートである。つまり前記粘着剤用樹脂組成物から形成された粘着層を備える保護シートである。
前記粘着剤用樹脂組成物が硬化可能なものである場合、本発明の保護シートは、前記粘着剤用樹脂組成物からなるものであってもよく、前記粘着剤用樹脂組成物の硬化物からなるものであってもよい。保護シートの取り扱い性の点では、前記粘着剤用樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
本発明の保護シートの厚さは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、典型的には、5〜100μm程度である。
本発明の保護シートは、保護シートの片面又は両面に剥離性基材が積層した剥離性基材付き保護シートとされていてもよい。
本発明の保護シートは、前述の粘着シートと同様にして製造できる。
本発明の保護シートにより保護される基材としては、特に限定されず、例えば、タッチパネルディスプレイに用いられる偏光板、前面板等の光学部材、自動車、自動二輪車、船舶、家電製品等の部品、工業用部品等が挙げられる。
各例で用いた測定方法を以下に示す。
(マクロモノマーの数平均分子量)
マクロモノマーの数平均分子量(Mn)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー株式会社製、HLC−8320)を用いて測定した。マクロモノマーの0.2質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液を調製し、東ソー社製カラム(TSKgel SuperHZM−M×HZM−M×HZ2000、TSKguardcolumn SuperHZ−L)が装着された上記装置に上記溶液10μLを注入し、流量:0.35mL/分、溶離液:THF(安定剤:ブチルヒドロキシトルエン(BHT))、カラム温度:40℃の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて数平均分子量を算出した。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC装置(東ソー株式会社製、HLC−8120)を用いて測定した。共重合体の0.3質量%THF溶液を調製し、東ソー社製カラム(TSKgel SuperHM−H×4、TSKguardcolumn SuperH−H)が装着された上記装置に上記溶液20μLを注入し、流量:0.6mL/分、溶離液:THF(安定剤BHT)、カラム温度:40℃の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量(Mw)を算出した。
共重合体の50%酢酸エチル溶液粘度は、共重合体のポリマー含有量を50%とした酢酸エチル溶液を25℃でB型回転粘度(B8H型)で測定した。
小角X線散乱測定は、大型放射光施設であるSPring−8のBL03XU(フロンティアソフトマター開発産学連合ビームライン)にて行った。
各例で得た共重合体溶液を、50μm剥離PETフィルム上に500μmアプリケーターで塗工し、90℃で90分間乾燥して共重合体層を形成し、その上に50μm剥離PETフィルムを貼り合せ、剥離PETフィルム−粘着層−剥離PETフィルムの構成の積層シートを得た。PETはポリエチレンテレフタレートを示し、PETフィルムの前の「剥離」は剥離処理がされていることを示し、PETフィルムの前の数値(μm)はPETフィルムの厚さを示す(以下同様)。
この積層シートの一方の剥離PETフィルムを剥がして共重合体層を露出させ、試料用治具に貼り合わせた。その後、残りの剥離PETフィルムを剥離して、共重合体層のみが試料用治具に設置された状態とした。この共重合体層をサンプルとし、以下の手順でサンプルの二次元散乱像を得た。
X線のビーム形状は縦を120μmとして横を120μmに調整した。X線波長は1Åとし、検出器はCCD(Hamamatsu Photonics V7739P+ORCA R2)を用いた。カメラ長は約4mにセットして、標準試料(コラーゲン)を用いて補正を行った。アッテネータ(減衰板)の種類や厚み、露光時間を調整して、強力なX線で検出器が損傷しないよう設定したうえでサンプルにX線を照射してサンプルの二次元散乱像を得た。
次に、解析用の二次元散乱像から一次元散乱スペクトルに変換した。具体的には、解析用の二次元散乱像をX線データ処理ソフト(Fit2d)に読み込ませて、全方位角にわたって積分することで、横軸をq[nm−1]、縦軸を散乱強度とした一次元散乱スペクトルを得た。qの範囲(解析対象領域)は0.04〜0.4とした。一次元散乱スペクトルにはq=0.2〜0.4の間にピークが確認された。
一次元散乱プロファイルにはq=0.1付近で極小値をとって原点に向かって散乱強度が高くなる場合と、q=0.1付近で変曲点を経たあと原点に向かって散乱強度が小さくなる場合があった。q=0.1付近で極小値をとって原点に向かって散乱強度が高くなる場合は、極小値のqより大きい領域を解析対象とした。q=0.1付近で変曲点を経たあと原点に向かって散乱強度が小さくなる場合は、変曲点のqより大きい領域を解析対象とした。次に、ベースライン補正として、解析対象領域の散乱強度の最小値を求めて、全領域にわたって最小値を差し引いてベースライン補正を行った。得られた補正後の一次元散乱プロファイルについて、ガウス関数とローレンツ関数でフィッティングを行い、得られた合成関数の半値幅(半価幅)をX、ピーク位置をYとした。フィッティングには波形分離ソフト(Fityk)を用いた。
(分散剤1の製造)
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水の900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの60部、メタクリル酸カリウムの10部及びメタクリル酸メチル(MMA)の12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩の0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、MMAを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。
反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤1を得た。
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物の1.00g及びジフェニルグリオキシムの1.93g、あらかじめ窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテルの80mLを入れ、室温で30分間攪拌した。ついで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体の10mLを加え、さらに6時間攪拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体である連鎖移動剤1を2.12g得た。
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水の145部、硫酸ナトリウムの0.1部及び分散剤1(固形分10質量%)の0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、MMAの100部、連鎖移動剤1の0.0035部及び重合開始剤としてパーオクタ(登録商標)O(1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシ2−エチルヘキサノエート、日本油脂株式会社製)の0.4部を加え、水性懸濁液とした。
次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して3.5時間反応し、さらに重合率を上げるため、90℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をフィルタで濾過し、フィルタ上に残った残留物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(a−1)を得た。このマクロモノマー(a−1)の数平均分子量は3,000であった。
合成例1の(マクロモノマーの製造)において、パーオクタO及び連鎖移動剤1の仕込み量を表1に示すようにした以外は合成例1と同様にして、マクロモノマー(a−2)を得た。このマクロモノマー(a−2)の数平均分子量は6700であった。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、初期仕込み溶剤として、酢酸エチルの40部及びイソプロピルアルコール(IPA)の8部、初期仕込み単量体として、マクロモノマー(a−1)の10部及びアクリル酸ラウリル(LA)の5部を入れ、窒素ガス通気下で外温を85℃に昇温した。外温が85℃に達し、内温が安定した後、酢酸エチルの20部、LAの84.5部、アクリル酸0.5部、重合開始剤であるナイパーBMT−K40(日油製、商品名、ベンゾイルパーオキサイド)の0.13部からなる混合物(滴下仕込み)を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持した後、パーオクタOの0.5部及び酢酸エチルの10部からなる混合物を1時間かけて添加した。その後、2時間保持した後、酸化防止剤(BASF社製、商品名「イルガノックス(登録商標)1010」)の0.5部を投入し、固形分((モノマー+溶剤仕込量)中のモノマー仕込量の割合)が50%になるように酢酸エチルを添加した後、室温まで冷却して共重合体溶液(A−1)を得た。
共重合体溶液(A−1)中の共重合体の重量平均分子量(Mw)、小角X線散乱測定(SAXS)における一次元散乱ピークの半値幅X及び一次元散乱プロファイルのピーク位置Y、50%酢酸エチル溶液粘度を表2に示す。
初期仕込み溶剤、初期仕込み単量体、昇温後に滴下する混合物における溶剤(滴下溶剤)及び単量体(滴下単量体)を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、共重合体溶液(A−2)〜(A−9)を得た。
各例で得た共重合体溶液中の共重合体の重量平均分子量(Mw)、小角X線散乱測定(SAXS)における一次元散乱ピークの半値幅X及び一次元散乱プロファイルのピーク位置Yを表2に示す。
共重合体溶液(A−1)80部を固形分99%以上になるように脱溶剤し、イソデシルアクリレート(IDAA)60部、架橋剤(PETA:新中村化学、商品名「NKエステルTMM‐3L」、ペンタエリスリトールトリアクリレート)10部、光重合開始剤(BASF社製、商品名「IRGACURE(登録商標)184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)3部とを混合して、液状の粘着剤用樹脂組成物を調製した。
得られた粘着剤用樹脂組成物について、以下の手順で粘着シートを作製し、この粘着シートについて、以下の手順で粘着力、保持力、耐基材汚染性を評価した。結果を表3に示す。
剥離ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に粘着剤用樹脂組成物を、粘着層の厚みが50μmになるようにアプリケーターで塗工し、粘着面に50μm剥離PETフィルムを貼り合せ、以下の条件で紫外線(UV)を照射して粘着層を硬化させ、剥離PET−粘着層−剥離PETの構成の粘着シートを得た。剥離PETフィルムは、剥離処理されたPETフィルムを意味する。
「照射条件」
光源:高圧水銀ランプ、照射強度:200mW/cm2、積算光量:3000mJ/cm2。
粘着シートの一方の剥離PETフィルムを剥がし、代わりに38μmPETフィルムを貼り合せて積層体を得た。この積層体を25mm幅、長さ300mmの短冊状に裁断し、もう一方の剥離フィルムを剥がして粘着層を露出させ、貼り合せ面が25mm×120mmになるようにガラス板に2kgのハンドローラーを用いて貼り合せ、JIS Z 0237に準拠して、剥離角度180°、引張速度300mm/minで、ガラス板に対する剥離強度(N/25mm)を測定し、粘着力を判定した。
A:粘着力が2N/25mm以下。
B:粘着力が2N/25mmより大きく、3N/25mm以下。
C:粘着力が3N/25mmより大きい。
粘着シートの一方の剥離PETフィルムを剥がし、代わりに38μmPETフィルムを2kgのハンドローラーにて圧着して積層体を得た。この積層体を25mm×100mmの短冊状に裁断し、もう一方の剥離PETフィルムを剥がして、30mm×100mmのステンレス(SUS)板に2kgのハンドローラーを用いて、貼り合わせ面が20×25mmとなるように水平に貼り合わせた。JIS Z 0237に準拠して、40℃で30分養生した後、PETフィルムの先に1kgの重りをつけて40℃の恒温層で保持時間を測定した。以下の基準に従って保持力を判定した。
A:保持時間が、100分以上。
B:保持時間が、60分以上100分未満。
C:保持時間が、60分未満。
粘着シートの一方の剥離PETフィルムを剥がし、代わりに38μmPETフィルムを貼り合せて積層体を得た。この積層体を25mm幅、長さ300mmの短冊状に裁断し、もう一方の剥離フィルムを剥がして粘着層を露出させ、貼り合せ面が25mm×12mmになるように30mm×150mmのSUS板に2kgのハンドローラーを用いて貼り合わせ、60℃で2週間静置した。その後、粘着シートを粘着力試験と同様の条件で剥がし、SUS面を目視で観察し、以下の基準に従って耐基材汚染性を判定した。
A:糊残りが無い。
B:糊残りが有る。
用いる共重合体を表3に記載したものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤用樹脂組成物を調製し、粘着シートを作製し、粘着力、保持力、耐基材汚染性を評価した。
用いる共重合体を表3に記載したものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤用樹脂組成物を調製し、以下の方法で粘着シートを作製し、実施例1と同様にして粘着力、保持力、耐基材汚染性を評価した。
粘着剤用樹脂組成物を剥離PETフィルムで挟み、100℃の熱プレスによって膜厚100μmの粘着層を形成し、剥離PET−粘着層−剥離PETの構成の粘着シートを得た後、以下の条件で紫外線(UV)を照射して粘着層を硬化させ、剥離PET−粘着層−剥離PETの構成の粘着シートを得た。
「照射条件」
光源:高圧水銀ランプ、照射強度:200mW/cm2、積算光量:3000mJ/cm2。
共重合体溶液(A−3)200部と、ポリイソシアネート(「コロネートL」、東ソー社製、商品名)(PIC)0.24部とを混合して、粘着剤用樹脂組成物を調製した。
得られた粘着剤用樹脂組成物について、以下の手順で粘着シートを作製し、この粘着シートについて、実施例1と同様にして粘着力、保持力、耐基材汚染性を評価した。
剥離PETフィルム上に粘着剤用樹脂組成物を、粘着層の厚みが20μmになるようにアプリケーターで塗工し、120℃で1時間加熱して粘着層を硬化させた後、粘着面に剥離PETフィルムを貼り合せ、50℃で3日養生を行い、剥離PETフィルム−粘着層−剥離PETフィルムの構成の粘着シートを得た。
共重合体溶液の種類を表3に示すようにした以外は実施例6と同様にして粘着剤用樹脂組成物を調製し、粘着シートを作製し、粘着力、保持力、耐基材汚染性を評価した。結果を表3に示す。
MMA:メタクリル酸メチル。
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート。
LA:アクリル酸ラウリル。
IDAA:アクリル酸イソデシル。
AA:アクリル酸。
2−HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート。
IPA:イソプロピルアルコール。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学、商品名「NKエステルTMM‐3L」)。
Irg184:IRGACURE184(BASF社製、商品名)。
PIC:ポリイソシアネート(「コロネートL」、東ソー社製、商品名)。
Al(acac)3:アルミニウムトリスアセチルアセトナート。
半値幅Xが0.12超の共重合体を用いた比較例1の粘着層は、粘着力が高すぎて再剥離性に劣っていた。
小角X線散乱測定(SAXS)における一次元散乱ピークが無く、半値幅Xを持たない共重合体を用いた比較例2の粘着層は、保持力が劣っていた。また、糊残りによる基材汚染が見られた。一次元散乱ピークが無かったのは、相分離しなかったためと考えられる。
Claims (9)
- マクロモノマー(a)由来の構成単位と、ビニル単量体(b)由来の構成単位とを有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を含む粘接着剤用樹脂組成物であって、前記マクロモノマー(a)が、下記式(a’)で表される構成単位を2以上と、下記式(1)で表され、
0<X≦0.12 ・・・(i)
(式中、R1は水素原子、メチル基又はCH2OHを示し、R2はOR3、ハロゲン原子、COR4、COOR5、CN、CONR6R7、NHCOR8又はR9を示し、
R3〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するへテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基、非置換の若しくは置換基を有する(ポリ)オルガノシロキサン基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族の複素環式基、アラルキル基、アルカリール基、カルボン酸基(COOH)、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基(SO3H)及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R9は非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基を示し、これらの基における置換基はそれぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族の複素環式基、アラルキル基、アルカリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するオレフィン基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1種である。Rは水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基、非置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、非置換の若しくは置換基を有するアルカリール基、非置換の若しくは置換基を有するオルガノシリル基、又は非置換の若しくは置換基を有する(ポリ)オルガノシロキサン基を示し、Qは2以上の構成単位(a’)を含む主鎖部分を示し、Zは末端基を示す。) - 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量が1,000〜1,000,000である、請求項1記載の粘着剤用樹脂組成物。
- 前記マクロモノマー(a)由来の構成単位の含有量が、全構成単位の合計質量に対して3〜60質量%である、請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
- 前記マクロモノマー(a)の数平均分子量が100以上100,000以下である、請求項1〜3何れか一項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が式(ii)の条件を満たす請求項1〜4の何れか一項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
0.1≦X/Y≦0.50 ・・・・(ii)
(Xは小角X線散乱測定で測定した一次ピークの半値幅、一次元散乱プロファイルのピーク位置Yを示す) - マクロモノマー(a)のTgaとビニル単量体(b)を重合して得られるポリマーTgBが式(4)の関係を満たす、請求項1〜5の何れか一項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
Tga-TgB>0℃ ・・・(4) - マクロモノマー(a)由来の構成単位の溶解性パラメーターδaとビニル単量体(b)由来の構成単位の溶解性パラメーターδbが式(5)の関係を満たす、請求項1〜6の何れか一項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
δa-δb>0 ・・・(5) - 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)を50%酢酸エチル溶液としたときの溶液粘度が10〜800,000mPa・sである請求項1〜7の何れか一項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
- 請求項1〜8の何れか一項に記載の粘着剤用樹脂組成物を用いた、粘着シート。
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