JP4166391B2 - 光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体、共重合体組成物、およびその塗膜、塗膜付き基材、並びに該共重合体の製造方法 - Google Patents

光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体、共重合体組成物、およびその塗膜、塗膜付き基材、並びに該共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体、共重合体組成物、およびその塗膜、塗膜付き基材、並びに該共重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、塗料のビヒクルとして用いれば、透明性に優れ、塗膜表面の汚染を容易に除去でき汚染除去性に優れているような塗膜を得ることができる光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体、及び該共重合体が配合された光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物、該組成物を塗布硬化してなる塗膜、塗膜付き基材、並びに該共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
シリコーン(オルガノポリシロキサン)には、その構造や分子量などにより、油、ゴム、樹脂など種々の性状を有するものがあり、優れた耐水薬品性、耐熱耐寒性、電気絶縁性、撥水性等を期待して、コーティング剤、シーリング剤、ポッティング剤(陶器製造用材料)、離型剤、各種プラスチックフィルムや成形品、繊維、ゴム、塗料、接着剤、化粧品、撥水剤等の原料や、表面改質剤などとして広く利用されている。
【0003】
例えば、特公平5−31562号公報には、式:-[Si(R1)(R2)O]-(R1、R2:メチル基、エチル基、フェニル基)で示される繰り返し単位からなり、数平均分子量Mnが1000〜20000のシリコーンの片末端にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性シリコーンマクロモノマー(a)と、ラジカル重合性官能基及びこれ以外の活性エネルギー線反応性官能基を有する化合物(b)とをラジカル重合させるか、または、
上記マクロモノマー(a)と、「ラジカル重合性官能基及び後記反応性官能基(2)と反応性の官能基(1)を有する化合物(c)」とをラジカル重合させ、
次いで、該反応生成物中の前記反応性官能基(1)を、「これと反応性の官能基(2)及び活性エネルギー線反応性官能基を有する化合物(d)」と反応させる活性エネルギー線硬化性シリコーン系グラフトポリマーの製造方法が開示され、該ポリマーは、コーティング剤や塗料等に利用でき、これら用途に用いれば、撥水性、耐水性、離型性等を発揮する旨記載されている。
【0004】
しかしながら、この公報に記載のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー(a)は、未反応のまま反応物中に残り易く、得られる塗膜は、完全な透明にはならず、充分な光沢が出ないという問題点がある。
また、特開平10−279641号公報には、ポリジメチルシロキサン部分及びイソシアネート基を有するビニル重合体部分が存在するポリジメチルシロキサン系グラフト又はブロック共重合体(A)と、イソシアネート基と反応可能であって紫外線反応性官能基を有する化合物とを反応させて得られる紫外線硬化性シリコーングラフト又はブロック共重合体(C)と、
光開始剤(E)とを含有し、所望により上記紫外線硬化性シリコーン共重合体(C)と共重合可能な紫外線反応性官能基を有する化合物(D)を含有する紫外線硬化型組成物が開示され、得られる塗膜は基材との密着性や透明性等が良好である旨記載されている。また、該公報には、上記ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)は、グラフトタイプの反応性シリコーン(a1)又はブロックタイプの反応性シリコーン(a1')及びイソシアネート基を有するビニル単量体(a2)、さらに必要により上記(a)および/または(a1')と共重合可能なその他のビニル単量体(a3)を共重合することにより得られる旨記載され、
上記ブロックタイプの反応性シリコーン(a1')としては、下記式(a1'):
【0005】
【化13】
Figure 0004166391
【0006】
(式(a1')中、x:10〜300の整数、n:1〜20の整数)が挙げられ、さらにその製法についても記載されている。また、上記「その他のビニル単量体(a3)」としては、メチルメタクリレート等の脂肪族アクリレートや、グリシジルアクリレート等のエポキシ基含有単量体等が挙げられている。
しかしながら、この公報に記載のポリジメチルシロキサン系共重合体(A)の調製時には、原料として高価な上記「イソシアネート基を有するビニル単量体(a2)」が用いられており、得られる共重合体(A)も高価となり、塗料、コーティング剤などに用いるには、実用的でない。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、例えば、塗料のビヒクルとして用いれば、透明性に優れ、塗膜表面の汚染を容易に除去でき汚染除去性に優れているような塗膜を安価に得ることができる光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体、及び該共重合体が配合された光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物、該組成物を塗布硬化してなる塗膜を提供することを目的としている。
【0008】
また本発明は、上記のように透明性に優れ、光沢のある塗膜を有する内壁あるいは外壁、家具などの塗膜付き基材、並びに安全性、作業性などに優れたこれら基材の塗装方法を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)は、
(A-1)メルカプト変性ポリジメチルシロキサンから誘導されるアルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位と、
(A-2)不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルと、不飽和カルボン酸との付加反応物から誘導される不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位と、
(A-3)上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサンおよび、不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルのうちの何れとも共重合可能な他のモノマーから誘導される成分単位と、
を有することを特徴としている。
【0010】
本発明においては、上記アルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位が、下記式(A-1b)で示すようにポリジメチルシロキサン側鎖に「−RS−(R:炭素数1〜10の置換基を有していてもよい二価炭化水素基)」で表されるアルキレンチオエーテル基を有するものであるか、あるいは
下記式(A-1c)で示すようにポリジメチルシロキサン主鎖両末端に上記アルキレンチオエーテル基を有するものであり、好ましくは得られる塗膜の汚染除去性及び透明性、接触角のバランスの点で下記式(A-1b)で表されるものであり、
式(A-1b):
【0011】
【化14】
Figure 0004166391
【0012】
[式(A-1b)中、mは10〜400の整数を示し、nは1〜100の整数を示し、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示す。]
式(A-1c):
【0013】
【化15】
Figure 0004166391
【0014】
[式(A-1c)中、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示し、pは10〜400の整数を示す。]
上記不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)が、下記式(A-2a):
【0015】
【化16】
Figure 0004166391
【0016】
[式(A-2a)中、複数のR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、HまたはCH3を示し、R4は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Wは、
【0017】
【化17】
Figure 0004166391
【0018】
(式中、複数のR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、Hまたは炭素数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素原子に結合するR5同士は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)を示し、
Tは、単結合または、
【0019】
【化18】
Figure 0004166391
【0020】
【化19】
Figure 0004166391
【0021】
のうちの何れかの基を示す。]
で表され、
上記他の成分単位(A-3)が、下記式(A-3a):
【0022】
【化20】
Figure 0004166391
【0023】
[式(A-3a)中、R7は、HまたはCH3を示し、Xは、R8OCO−{但し、R8は炭素数が1〜18のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基、R9OC24−(R9:−CH3、−C25)の何れかを示す。}、C65−、R10COO−(R10:Hまたは炭素数が1〜5のアルキル基)のうちの何れかの基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
で表されることが好ましい。
【0024】
本発明においては、上記アルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位(A-1)が、1〜80重量%の量で、
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)が、1〜80重量%の量で、
その他の成分単位(A-3)が、残部量(但し、(A-1)+(A-2)+(A-3)=100重量%))で含まれていることが望ましい。
【0025】
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物は、
上記記載の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)と、
光開始剤(C)と、
を含有することを特徴としている。
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)の製造方法は、
(a-1)メルカプト変性ポリジメチルシロキサンと、
(a-2)不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルと、
(a-3)上記成分(a-1)および(a-2)のうちの何れとも共重合可能な他のモノマーとを共重合させ、次いで、
得られたエポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)のエポキシ基と、不飽和カルボン酸のカルボキシル基とを付加反応させることを特徴としている。
【0026】
本発明に係る上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体の製造方法においては、上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)が、下記式(A-1bb)または下記式(A-1cc)、好ましくは下記式(A-1bb)で表されるものであることが望ましく、
(A-1bb):
【0027】
【化21】
Figure 0004166391
【0028】
[式(A-1bb)中、mは10〜400の整数を示し、nは1〜100の整数を示し、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示す。]
(A-1cc):
【0029】
【化22】
Figure 0004166391
【0030】
[式(A-1cc)中、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示し、pは10〜400の整数を示す。]
上記不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)が、下記式(A-2aa):
【0031】
【化23】
Figure 0004166391
【0032】
[式(A-2aa)中、R3は、HまたはCH3を示し、R4は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、W1は、
【0033】
【化24】
Figure 0004166391
【0034】
(式中、複数のR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、Hまたは炭素数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素原子に結合するR5同士は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)を示す。]
で表され、
上記他のモノマー(a-3)が、下記式(A-3aa):
【0035】
【化25】
Figure 0004166391
【0036】
[式(A-3aa)中、R7は、HまたはCH3を示し、Xは、R8OCO−{但し、R8は炭素数が1〜18のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基、R9OC24−(R9:−CH3、−C25)の何れかを示す。}、C65−、R10COO−(R10:Hまたは炭素数が1〜5のアルキル基)のうちの何れかの基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
で表され、
付加反応させる不飽和カルボン酸が、
(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、
2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートと2塩基酸無水物との反応生成物のうちの何れか1種または2種以上であることが好ましい。
【0037】
本発明においては、上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)と、不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)と、他のモノマー(a-3)との合計を100重量%とするとき、上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)を1〜80重量%の量で、
不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)を1〜80重量%の量で、
他のモノマー(a-3)を残部量で用い、
付加反応用の不飽和カルボン酸を1〜300重量%の量で用いることが望ましい。
【0038】
本発明においては、上記共重合反応および/または付加反応を、それぞれ触媒および/または溶媒の存在下に行うことが好ましい。
本発明にかかる塗膜は、上記何れかに記載の組成物を硬化してなっている。
本発明に係る塗膜付き基材は、基材の表面が、上記何れかに記載の組成物からなる塗膜にて被覆されていることを特徴としている。
【0039】
本発明においては、上記基材が、建築物内装材または外装材、家具材、床材、浴室材、台所用部材であることが好ましい。
本発明に係る基材の塗装方法は、上記のような各種基材の表面に、上記の組成物を塗布あるいは含浸させ、光硬化させて、塗膜を形成することを特徴としている。
【0040】
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体は、例えば、塗料のビヒクルとして用いれば、透明性に優れ、塗膜表面の汚染を容易に除去でき汚染除去性に優れているような塗膜、塗膜付き基材などを安価に得ることができる。
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物には、上記のように本発明の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体が含まれており、透明性に優れ、塗膜表面の汚染を容易に除去でき汚染除去性に優れているような塗膜、塗膜付き基材などを安価に得ることができる。
【0041】
本発明に係る上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体の製造方法によれば、上記のような塗膜を形成できる塗料用のビヒクル(共重合体)を、入手容易な原料を用いて安価に製造でき、しかも安全で効率的である。
【0042】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体、共重合体組成物、およびその塗膜、塗膜付き基材、並びに該共重合体の製造方法について具体的に説明する。
<光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体>
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)は、
(A-1)メルカプト変性ポリジメチルシロキサンから誘導されるアルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位と、
(A-2)不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルと、不飽和カルボン酸との付加反応物から誘導される不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位と、
(A-3)上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサンおよび、不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルのうちの何れとも共重合可能な他のモノマーから誘導される成分単位と、
を有している。
【0043】
本発明においては、上記アルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位(A-1)としては、下記式(A-1b)で示すようにポリジメチルシロキサン側鎖に「−RS−(R:炭素数1〜10の置換基を有していてもよい二価炭化水素基)」で表されるアルキレンチオエーテル基(炭化水素基含有チオエーテル基)を有するものであるか、あるいは
下記式(A-1c)で示すようにポリジメチルシロキサン主鎖両末端に上記アルキレンチオエーテル基を有するものであることが望ましく、得られる塗膜の汚染除去性、透明性、接触角がバランス良く優れる点で、さらには、下記式(A-1b)が望ましい。
【0044】
式(A-1b):
【0045】
【化26】
Figure 0004166391
【0046】
上記式(A-1b)中、mは10〜400の整数を示し、nは1〜100の整数を示し、R1は置換基を有していてもよく、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価炭化水素基、特に上記炭素数のアルキレン基を示し、例えば、プロピレン基(−CH2CH2CH2−)等が挙げられる。
式(A-1c):
【0047】
【化27】
Figure 0004166391
【0048】
上記式(A-1c)中、R1は置換基を有していてもよく、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価炭化水素基、特に上記炭素数のアルキレン基、例えば、プロピレン基を示し、pは10〜400の整数を示す。
このような好ましいアルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位(A-1)を誘導しうるマクロモノマーとしては、式(A-1b)を誘導しうる化合物である信越化学製「KP−358」、「KF−2001」、「KF−2004」;式(A-1c)を誘導しうる化合物である信越化学製「X−22−167B」等が挙げられる。
【0049】
本発明の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)中には、このような成分単位(A-1b)と(A-1c)のうちの何れか一方が存在していてもよく、両者が存在していてもよいが、特に成分単位(A-1b)が、得られる塗膜の汚染除去性に優れる点などにより、望ましい。
また、上記不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)としては、下記式(A-2a)で表されるものが好ましい。
(A-2a):
【0050】
【化28】
Figure 0004166391
【0051】
式(A-2a)中、複数のR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、HまたはCH3を示し、R4は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。特にR4がアルキレン基である場合、その炭素数は、1〜10、好ましくは1〜4である。また、R4がエーテル結合を有するアルキレン基である場合、その炭素数の合計は、2〜10、好ましくは2〜5である。
【0052】
上記アルキレン基R4としては、直鎖状、脂環状、分岐状の何れでもよく、具体的には、例えば、-CH2-、-(CH22-、-(CH23-、-CH(CH3)-CH2-、-(CH24-、-(CH25-等が挙げられ、炭素数が1〜4の上記アルキレン基が好ましく、特に-CH2-が好ましい。
エーテル結合を有するアルキレン基R4は、アルキレン基中の炭素原子の一部が酸素原子で置換されたものであり、例えば、式「−Ra-O-Rb−」(但し、Ra、Rbはそれぞれ炭素数1〜10の分岐を有していてもよいアルキレン基であり、RaとRbの炭素数の合計は1〜10、好ましくは2〜5であり、さらに好ましくはRaとRbの炭素数の合計が上記範囲にあり、かつRbが-CH2−であることが望ましい。)で示される。
【0053】
このようなエーテル結合含有アルキレン基としては、具体的には、例えば、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-(CH22-、-CH2-O-(CH23-、-CH(CH3)-O-CH2-、-(CH24-O-CH2-等が挙げられ、特に-(CH24-O−CH2-が好ましい。
Wは、
【0054】
【化29】
Figure 0004166391
【0055】
(式中、複数のR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、R5は、Hまたは炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはHまたは炭素数1〜3のアルキル基を示し、隣接する炭素原子に結合するR5同士は他の炭素原子などと共に互いに結合してシクロヘキシル環等の環構造、特に脂環構造を形成していてもよい。)を示す。
【0056】
上記アルキル基としては、直鎖状、脂環状、分岐状の何れでもよく、具体的には、例えば、-CH3、-C25、-CH(CH32、-(CH22-CH3、-(CH23-CH3、-(CH24-CH3等が挙げられ、炭素数が1〜3の上記アルキル基が好ましく、特に-CH3が好ましい。
Tとしては、単結合または、
【0057】
【化30】
Figure 0004166391
【0058】
のうちの何れかの基を示す。)
が挙げられる。本発明においては、上記Tとしては単結合すなわち他の基又は原子を介さず1価で直接結合することが好ましい。
上記「他の成分単位」(A-3)としては、無水マレイン酸、無水フタル酸などの不飽和カルボン酸無水物から誘導される成分単位や、下記式(A-3a)で表されるものなどが挙げられ、下記式(A-3a)で表されるものが好ましい。
【0059】
【化31】
Figure 0004166391
【0060】
式(A-3a)中、R7は、HまたはCH3を示し、Xは、R8OCO−{但し、R8は炭素数が1〜18、好ましくは1〜8のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基:
【0061】
【化32】
Figure 0004166391
【0062】
、R9OC24−(R9:−CH3、−C25)の何れかを示す。}、C65−、R10COO−(R10:Hまたは炭素数が1〜5のアルキル基)のうちの何れかの基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。
これらXのうちでは、上記R8OCO−{R8は上記に同じ。)が望ましい。
このような他の成分単位(A-3)として、具体的には、例えば、
【0063】
【化33】
Figure 0004166391
【0064】
等が挙げられ、これらは1種または2種以上存在してもよい。
これらのうちでは、他の成分単位(A-3)としては、(ホ)、(カ)、(ラ)すなわち、
【0065】
【化34】
Figure 0004166391
【0066】
が特に好ましい。
本発明の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体においては、これらの成分単位(A-1b)および/または(A-1c)、(A-2a)、(A-3a)は、それぞれ、1種または2種以上存在していてもよい。
特に、本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体を構成する成分単位(A-1)が、「−R1S−」を1個有する成分単位(A-1b)である場合には、該共重合体中においては、成分単位(A-2)と成分単位(A-3)とがブロックあるいはランダムに結合してなる長鎖の両末端を封止するように、該共重合体の各端部に1個ずつ成分単位(A-1b)が存在して、各成分単位の合計量がそれぞれ下記の量となるようになっているものと思われる。また、例えば、この光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体を構成する成分単位(A-1)が、「−R1S−」を両末端に1個ずつ有する成分単位(A-1c)である場合には、該共重合体中においては、成分単位(A-2)と成分単位(A-3)とがブロックあるいはランダムに結合してなる長鎖の1カ所以上の任意の位置に、該成分単位(A-1c)が1個または複数個介在して、各成分単位の合計量がそれぞれ下記の量となるように存在しているものと思われる。
【0067】
このような本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体では、各成分単位(A-1)と(A-2)と(A-3)との合計を100重量%とするとき、上記アルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位(A-1)は、通常、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%の量で、
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)は、通常1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%の量で、
その他の成分単位(A-3)は、残部量で含まれていることが望ましい。
【0068】
上記アルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位(A-1)量が上記範囲にあると、塗膜表面に生じた汚染物を容易かつ完全に除去でき、しかも塗膜の硬度、摩耗性などの物性も優れる傾向があり、1重量%未満では、汚染除去性すなわち得られる塗膜表面に生じた汚染物を容易かつ完全に除去できる性質が低下する傾向があり、また80重量%を超えると、塗膜の硬度、摩耗性などの物性が低下することがある。また、不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)量が上記範囲にあると、架橋密度が高く、耐溶剤性、汚染除去性に優れる傾向があり、1重量%未満では、架橋密度が低く、耐溶剤性、汚染除去性が低下する傾向があり、また80重量%を超えた共重合体は高粘度で合成困難となる傾向がある。
【0069】
このような光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体の25℃における粘度は、用いられる共重合体の用途によっても異なり一概に決定されないが、得られる組成物の塗装性、得られる組成物を溶剤希釈した時のタレ防止などの観点を考慮すると、通常、10cps〜100,000(10万)cps、好ましくは100〜30,000(3万)cpsであることが望ましい。
【0070】
また、該光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体の酸価は、通常、0〜10、好ましくは0〜5であり、
ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)は、通常、500〜5,000、好ましくは1,000〜3,000であり、
重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜20,000(2万)、好ましくは2,000〜10,000(1万)であり、
分散比(Mn/Mw)は、通常、1.0〜5.0好ましくは1.5〜3.0であることが望ましい。
【0071】
<光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体の製造>
このような本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)を製造するには、
(a-1)メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(マクロモノマー)と、
(a-2)不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルと、
(a-3)上記成分(a-1)および(a-2)のうちの何れとも共重合可能な「他のモノマー」とを共重合させ、次いで、
得られたエポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)と、不飽和カルボン酸(C)とを付加反応させればよい。
【0072】
以下、まず、上記モノマー(a-1)と(a-2)と(a-3)との共重合反応について詳説し、次いで、エポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)と、不飽和カルボン酸(C)との付加反応について詳説する。
[モノマー(a-1)と(a-2)と(a-3)との共重合反応]
すなわち、本発明では、まず、メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)と、
不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)と、「他のモノマー」(a-3)とを共重合させている。
【0073】
このような共重合反応は、好ましくはラジカル重合開始剤、溶剤、不活性ガスなどの存在下に、例えば溶液重合法にて行われる。
なお、これらモノマー(a-1)と(a-2)と(a-3)とは、一度に、あるいは任意の順序で添加混合して反応させることができるが、その好ましい態様においては、モノマー(a-1)と(a-2)と(a-3)とを同時に添加して反応させるか、あるいはモノマー(a-1)の全量と、モノマー(a-2)の一部と、モノマー(a-3)の一部とを一緒にして反応させ、次いで残部のモノマー(a-2)およびモノマー(a-3)を添加してさらに共重合反応を行うことが好ましい。このようにモノマー(a-1)とモノマー(a-2)とモノマー(a-3)と同時に添加し、あるいはモノマー(a-1)の全量とモノマー(a-2)の一部と(a-3)の一部とをまず混合し、その後残部のモノマー(a-2)と(a-3)とを添加混合するなど、モノマー(a-2)とモノマー(a-3)との反応があまり進行してしまわない段階でモノマー(a-1)を添加し反応させると、未反応モノマー(a-1)、すなわち未反応メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)の残存量が少なくなり、例えば、得られる塗膜は、白濁が少なく透明性に優れる傾向がある。
【0074】
以下、本発明の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体を製造する際に用いられる共重合用原料モノマー、共重合用触媒、溶剤、付加反応用触媒などについて、順次詳説する。
上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)としては、下記式(A-1bb)または下記式(A-1cc)、特に下記式(A-1bb)で表されるものが得られる塗膜の汚染除去性に優れ、透明性、接触角などにもバランス良く優れるため好ましい。
【0075】
式(A-1bb):
【0076】
【化35】
Figure 0004166391
【0077】
式(A-1bb)中、mは10〜400の整数を示し、nは1〜100の整数を示し、R1は置換されていてもよい、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価炭化水素基、特にこのような炭素数のアルキレン基、例えば、プロピレン基(−CH2CH2CH2−)を示す。
式(A-1cc):
【0078】
【化36】
Figure 0004166391
【0079】
式(A-1cc)中、R1は炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価炭化水素基、特にこのような炭素数のアルキレン基、例えば、プロピレン基(−CH2CH2CH2−)を示し、pは10〜400の整数を示す。
このようなメルカプト変性ポリジメチルシロキサン(マクロモノマー)としては、上記式(A-1bb)で表される信越化学製「KP−358」、「KF−2001」、「KF−2004」;上記式(A-1cc)で表される信越化学製「X−22−167B」等が挙げられる。
【0080】
本発明においては、これらのメルカプト変性ポリジメチルシロキサン(マクロモノマー)(A-1bb)あるいは(A-1cc)のうちの何れか1種を単独で用いてもよく、2種併用してもよいが、特に式(A-1bb)で表されるのもが好ましい。
上記不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)としては、下記式(A-2aa):
【0081】
【化37】
Figure 0004166391
【0082】
[式(A-2aa)中、R3は、HまたはCH3を示し、R4は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、W1は、
【0083】
【化38】
Figure 0004166391
【0084】
(式中、複数のR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、Hまたは炭素数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素原子に結合するR5同士は他の炭素原子、例えば、エポキシ基を構成する炭素原子などと共に互いに結合してシクロヘキシル環などの環構造、特に脂環構造を形成していてもよい。)を示す。]
で表されるものが好ましい。
【0085】
このような不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)として、より具体的には、下記式(A-2aa-1)または 式(A-2aa-2):
【0086】
【化39】
Figure 0004166391
【0087】
[式(A-2aa-1)中、R4aは、エーテル結合を有していてもよい上記アルキレン基を示し、R3,R5は上記に同じである。また、式(A-2aa-2)中、R4bは、エーテル結合を有しない上記アルキレン基を示し、R3は上記に同じである。]
で表されるものが望ましい。
このような不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)として、さらに具体的には、
【0088】
【化40】
Figure 0004166391
【0089】
等が挙げられ、メタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
上記他のモノマー(a-3)としては、無水マレイン酸、無水フマル酸等の不飽和カルボン酸無水物、あるいは下記式(A-3aa)で表されるものなどが挙げられる。
【0090】
【化41】
Figure 0004166391
【0091】
式(A-3aa)中、R7は、HまたはCH3を示す。
Xとしては、R8OCO−{但し、R8は炭素数が1〜18、好ましくは炭素数が1〜8の上記と同様のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基、R9OC24−(R9:−CH3、−C25)の何れかを示す。}、フェニル基(C65−)、R10COO−(R10:Hまたは炭素数が1〜5の上記と同様のアルキル基)の他、
水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、エポキシ基含有基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10の二重結合含有基、
ナフチル基、ピリジル基、アルデヒド基(−CHO)、ニトリル基(−CN)、トリメトキシシリルプロピルオキシ基[−OC36-Si(OCH33]、
トリエトキシシリル基[−Si(OC253]、
【0092】
【化42】
Figure 0004166391
【0093】
等が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。
この式(A-3aa)で表される「他のモノマー」のうちでは、Xが、R8OCO−{但し、R8は炭素数が1〜18、好ましくは炭素数が1〜8の上記と同様のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基、R9OC24−(R9:−CH3、−C25)の何れかを示す。}、フェニル基(C65−)、R10COO−(R10:Hまたは炭素数が1〜5の上記と同様のアルキル基)であるものが好ましい。なお、これらの基中の水素原子(H)の一部は、他の基または原子で置換されていてもよい。このような置換可能な基あるいは原子としては、例えば、水酸基(OH-)、ハロゲン原子などが挙げられる。本発明では、これらXのうちでは、上記R8OCO−(R8は上記に同じ。)が特に望ましい。
【0094】
このような式(A-3aa)で表される他のモノマー(a-3)として、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、
(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ターシャリブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ジエン類(例:ブタジエン等)、アクロレイン(アクリルアルデヒド)、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0095】
これらの他のモノマー(a-3)のうちでは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましく用いられる。
これらの他のモノマー(a-3)は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、このような共重合反応の際には、上記モノマー(a-1)と(a-2)と(a-3)との合計100重量%に対して、メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)は、通常、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%の量で、
不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)は、通常、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%の量で、
その他のモノマー(a-3)は、残部量で用いられる。
【0096】
上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)量が上記範囲にあると、得られた塗膜の表面に生じた汚染物を容易かつ完全に除去でき、しかも塗膜の硬度、摩耗性などの物性も優れる傾向があるため好ましい。また、不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)量が上記範囲にあると、架橋密度が高く、耐溶剤性、汚染除去性に優れる傾向がある。
【0097】
また、このような共重合反応(ラジカル重合反応)においては、従来より公知の方法を使用でき、触媒や溶媒を用いてもよく、用いなくともよく、例えば、放射線照射法、ラジカル重合開始剤(共重合用触媒)を用いる方法等が挙げられ、これらの中でも重合操作性、分子量調節の容易性等を考慮するとラジカル重合開始剤を用いる方法が好ましい。このラジカル重合開始剤を用いる方法には、溶媒を用いる溶液重合法、バルク重合法、エマルジョン重合法等がある。
【0098】
このように共重合反応は、触媒や溶媒の非存在下に行うこともできるが、好ましくは共重合用触媒および/または溶媒の存在下に行われ、その好ましい態様においては、不飽和カルボン酸の重合が起こらない反応温度、好ましくは40〜160℃の温度で、常圧下または加圧下(例:10〜300kgf/cm2)に、30分〜20時間程度保持することにより進行させることが望ましい。
【0099】
この際用いられる共重合触媒としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。このような共重合用触媒は、原料モノマー(a-1)、(a-2)および(a-3)の合計100重量部に対して、例えば、0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜8重量部の量で用いられる。このような触媒は1度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよいが、複数回に分けて添加することが分子量の調整、反応効率、転化率の点で好ましい。
【0100】
溶媒としては、上記共重合用モノマー(a-1)、(a-2)、(a-3)の何れとも反応せず不活性であり、かつ、これらモノマーを溶解し得る限り特に限定されないが、例えば、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;
メタノール、イソプロピルアルコール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;
等が挙げられ、酢酸ブチルが好ましい。これらの溶媒は、共重合用モノマーの合計100重量部に対して、例えば、1〜500重量部、好ましくは10〜300重量部の量で用いられる。
【0101】
[エポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体と不飽和カルボン酸との付加反応]
本発明では、上記共重合反応の後、得られたエポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)と、不飽和カルボン酸(C)とを付加反応させている。
【0102】
このようにエポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)と不飽和カルボン酸(C)とを付加反応させると、例えば、下記式<P>あるいは下記式<Q>に示すように、エポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)のエポキシ基と、不飽和カルボン酸のカルボキシル基とが反応し、好ましくは式(A-2a-1)あるいは式(A-2a-2)で表されるような、不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)が形成され、本発明の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)が得られる。(なお、下記式中の略号の意味は、それぞれ前記に同じ。)
<式P>
【0103】
【化43】
Figure 0004166391
【0104】
<Q>
【0105】
【化44】
Figure 0004166391
【0106】
本発明においては、このような付加反応は、触媒や溶媒の非存在下に行うこともできるが、好ましくは付加反応用触媒および/または前記共重合反応時に用いたものと同様な溶媒などの存在下に行われ、その好ましい態様においては、不飽和カルボン酸の重合が起こらない反応温度、好ましくは40〜130℃の温度で、常圧下または加圧下(例:10〜300kgf/cm2)に、30分〜20時間程度保持することにより、該付加反応を進行させて、本発明の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)を得ることができる。
【0107】
この際用いられる付加反応用触媒としては、N,N−ジメチルベンジアルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。このような付加反応用触媒は、原料モノマー(a-1)、(a-2)および(a-3)の合計100重量部に対して、例えば、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の量で用いられる。
【0108】
溶媒としては、上記共重合反応時に用いたと同様の不活性溶媒が用いられる。
本発明では、この付加反応時には、上記共重合反応時に用いた溶媒に加えて、さらにこれと同様の有機溶媒、例えば酢酸ブチルを追加して用いてもよい。
このような付加反応により、上記したような光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)が得られ、その粘度、酸価、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分散比(Mn/Mw)などは、上記の通りである。
【0109】
なお、上記付加反応の際に用いられる上記不飽和カルボン酸としては、具体的には、例えば、
【0110】
【化45】
Figure 0004166391
【0111】
等の他、
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートと2塩基酸無水物(例:無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸など)との反応生成物などが挙げられる。
これらのうちでは、反応速度に優れる点を考慮すると、アクリル酸が特に好ましい。
【0112】
これらの不飽和カルボン酸は、理論的には、得られたエポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)中のエポキシ基と等モル量で、換言すれば、該共重合体(A)合成時に用いた不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等と、等モル量で用いればよいが、通常、不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)100重量部に対して、上記不飽和カルボン酸は、10〜500重量部、好ましくは30〜300重量部の量で用られる。
【0113】
また、このような加熱下での付加反応の際には、用いられる不飽和カルボン酸(例:アクリル酸)の二重結合部位での重合反応が加熱下では進行しやすく、このラジカル重合反応を抑制・阻止しつつ、上記付加反応を進行させるためには、重合禁止剤を添加してもよく、このような重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、フェノチアジン等が用いられる。
【0114】
<光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物>
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物(単に、組成物、光硬化性組成物とも言う。)には、上記の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)と、光開始剤(C)とが含有されている。
このような組成物は、光照射されると、該組成物に含まれる光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)の不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)中の二重結合(C=C)が開裂し、ラジカル重合して架橋硬化すると考えられる。
【0115】
上記光開始剤としては、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(例:チバガイギー社製の「イルガキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例:チバガイギー社製の「イルガキュウア184」)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(例:チバガイギー社製の「イルガキュア907」)、2−エチルアントラキノン、メチルベンジルホルメート(例:ストウファー社製の「バイキュア55」)等が挙げられる。
【0116】
このような光開始剤(C)は、固形分として光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)(固形分)100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で用いられる。
また、本発明に係る光硬化性組成物は、上記記載の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)と光開始剤(C)を含有し、その他、必要により下記の顔料など種々の成分を含有でき、また上記溶剤などを含有し得るが、本発明の光硬化性組成物では、該光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体を通常、10重量%以上、好ましくは、20〜99重量%の量で、換言すればこれらのブロック共重合体を固形分として5〜99重量%、好ましくは、10〜99重量%の量で含有していることが望ましい。
【0117】
また、本発明の光硬化性組成物には、上記成分以外に、特開平10−279641号公報[0015]〜[0016]欄に記載されているような紫外線反応性官能基を有する化合物(D)、上記したような各種溶剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、体質顔料、着色顔料、タレ止め剤、その他の展色剤(被膜形成成分)、吸水性樹脂、可塑剤(例:塩素化パラフィンなど)等、通常、塗料に配合されるような各種成分を配合してもよい。
【0118】
上記紫外線反応性官能基を有する化合物(D)としては、上記共重合体(B)と共重合可能で、紫外線反応性官能基を有する化合物であり、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する単官能性モノマーあるいはオリゴマー、2官能以上の官能基を有する多官能性のモノマーあるいはオリゴマーなどが挙げられる。
この紫外線反応性官能基を有する化合物(D)として、具体的には、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、酢酸ビニルなど、前記「その他のモノマー」(a-3)として例示したような単官能性モノマーの他、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレートなどの二官能モノマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの三官能モノマー等が挙げられる。
【0119】
レベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系のものが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系、ヒンダードアミン系のものなどが挙げられる。
上記のような硬化性組成物を例えば、建築物内装材または外装材、家具材、床材、バス(浴室)用部材、台所用部材(キッチン回り用部材)などの基材の表面に塗布、含浸させ、常温〜加熱下にある程度乾燥させたのち、紫外線(UV)等の高エネルギー線源、好ましくは光をその積算光量が100〜3000mj/cm2程度の量で照射して硬化させてなる塗膜は、透明性に優れ、また汚染除去性、すなわち塗膜表面に付着した汚染物を簡単かつきれいに繰り返し拭き取ることができる性質に優れている。
【0120】
本発明に係る上記硬化性組成物は、上記用途の他、各種被覆剤としても用いることができ、例えば、乾熱転写記録シート、熱転写インクリボン、磁気テープなどの表裏面に塗布するバックコート剤;
磁気カード、ICカード、キャッシュカード、テレホンカードなど各種カードの表裏面の保護コート剤;
自動車のヘッドランプ、メーターカバー等のカバー類、ヘルメットの風防、眼鏡レンズ、ゴーグルなどのプラスチック成形品の表面保護コート剤;
道路標識、案内板、反射板、壁材等の防汚用塗料;
積雪防止、氷結・結露防止、落書き防止、張り紙防止用の塗料;
離型紙等の紙類;
などに広く用いられる。
【0121】
また、該硬化性組成物の基材への塗布方法は特に制限されず、例えば、スプレー塗装機、静電スプレー、ロールコーター、スピンコーターなどを用いて塗布・含浸させることができる。
このようにして得られる塗膜の乾燥膜厚は、例えば、1〜100μm程度である。
【0122】
【発明の効果】
本発明に係る光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物には、上記のように本発明の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体が含まれており、透明性に優れ、塗膜表面の汚染を容易に除去でき汚染除去性に優れているような塗膜、塗膜付き基材などを安価に得ることができる。
【0123】
また、本発明に係る上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体の製造方法によれば、透明性、汚染除去性等に優れた塗膜を形成できる塗料用のビヒクル(共重合体)を、入手容易な原料を用いて安価に製造でき、しかも安全で効率もよい。
【0124】
【実施例】
以下、本発明について実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において、「部」は重量部の意味で用いる。
<光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体の合成>
【0125】
【実施例1】
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管および還流冷却管を備えた300ml反応容器に、酢酸ブチル85部、KF2001(信越化学製、メルカプト変性ポリジメチルシロキサン)20部及び、メタクリル酸メチル(MMA)50部とグリシリルメタクリレート(GMA)30部の混合液80部のうちの30部を仕込んで、窒素ガス雰囲気中で100℃まで昇温した。
【0126】
次いで、ABN−E(日本ヒドラジン製、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.5部投入し、さらに30分後にABN−Eを0.5部投入した。
30分後に、MMAとGMAとの混合物の残り(50部)と、酢酸ブチル15部と、ABN−E2.5部とからなる混合物を100℃で1.5時間にわたって滴下し、以下同温度で、滴下終了後30分毎にABN−E0.2部を2回加えた後、6時間保温した。これでシリコーンブロックアクリル共重合体A−1が得られた。
【0127】
更に、98%アクリル酸15.52部、酢酸ブチル15.52部、p−メトキシフェノール0.0078部、ジメチルベンジルアミン1.65部を加え110℃で5時間反応した。この反応により光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−1が得られた。
得られた共重合体B−1は、不揮発分が49.0%で、粘度が19310cps/25℃で、酸価が3.3の半透明溶液であり、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)は1420であり、重量平均分子量(Mw)は3000であり、かつ分散比Mn/Mwは2.11であった。
【0128】
また、得られた光硬化シリコーンブロックアクリル共重合体B−1を100部にベンゾフェノン、イルガキュアー184を各0.5部配合し、下記の方法で塗膜の透明性、汚染除去性を評価した。
その結果、塗膜は透明であり、汚染除去性(回)は10回以上となり、接触角(度)は、100度となった。
【0129】
結果を、併せて表1に示す。
また、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−1のIRチャートを図1に、またGPCチャートを図3に示す。
【0130】
【実施例2】
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管および還流冷却管を備えた300ml反応容器に、酢酸ブチル100部を仕込んで、窒素ガス雰囲気中で100℃まで昇温した。MMA50部とGMA30部とABN−E2.8部の混合液と、X22−167B(信越化学製、メルカプト変性ポリジメチルシロキサン)20部を別々に100℃で同時に滴下した。混合液は2時間にわたって滴下し、X22−167Bは1時間で滴下した。以下同温度で保持しつつ、滴下終了後30分毎にABN−E0.2部を2回加えた後、6時間保温した。これでシリコーンブロックアクリル共重合体A−2が得られた。
【0131】
更に、98%アクリル酸15.52部、酢酸ブチル15.52部、p−メトキシフェノール0.0078部、ジメチルベンジルアミン1.65部を加え110℃で5時間反応した。これで光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−2が得られた。
得られた共重合体B−2は、不揮発分が49.8%で、粘度が8240cps/25℃で、酸価が4.0の半透明溶液であり、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)は1680であり、重量平均分子量(Mw)は3640であり、かつ分散比Mn/Mwは2.17であった。
【0132】
また、得られた光硬化シリコーンブロックアクリル共重合体B−2を100部にベンゾフェノン、イルガキュアー184を各0.5部配合し、下記の方法で塗膜の透明性、汚染除去性を評価した。
その結果、塗膜は透明であり、汚染除去性(回)は5回となり、接触角(度)は、101度となった。
【0133】
結果を、併せて表1に示す。
また、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−2のIRチャートを図2に、またGPCチャートを図4に示す。
【0134】
【比較例1】
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管および還流冷却管を備えた300ml反応容器に、酢酸ブチル100部を仕込んで、窒素ガス雰囲気中で100℃まで昇温した。MMA70部とGMA30部とABN−E4部の混合液を100℃で3時間にわたって滴下し以下同温度で、該混合液の滴下終了後30分毎にABN−E0.2部を2回加えた後、6時間保温した。
【0135】
更に、98%アクリル酸15.52部、酢酸ブチル15.52部、p−メトキシフェノール0.0078部、ジメチルベンジルアミン1.65部を加え110℃で5時間反応した。これで光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体C−1が得られた。
得られたC−1は、不揮発分が49.8%で、粘度が8010cps/25℃で、酸価が4.0の半透明溶液であり、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)は1790であり、重量平均分子量(Mw)は3200であり、かつ分散比Mn/Mwは1.79であった。
【0136】
また、得られた光硬化シリコーンブロックアクリル共重合体C−1を100部にベンゾフェノン、イルガキュアー184を各0.5部配合し、下記の方法で塗膜の透明性、汚染除去性を評価した。
その結果、塗膜は透明であり、汚染除去性(回)は0回となり、接触角(度)は、68度となった。
【0137】
結果を、併せて表1に示す。
【0138】
【実施例3】
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管および環流冷却管を備えた300ml反応容器に、酢酸ブチル78.4部を仕込んで、窒素ガス雰囲気中で100℃まで昇温した。IB×MA(イソボルニルメタクリレート)50部とGMA30部とABN−E3.2部の混合液と、KF−2001(信越化学製、メルカプト変性ポリジメチルシロキサン)20部と酢酸ブチル20部を、別々に100℃で同時に滴下し、アクリルモノマー混合液は3時間にわたって滴下し、シリコーン混合液は1.5時間で滴下した。以下同温度で、滴下終了後30分毎にABN−E0.2部を2回加えた後、6時間保温した。これでシリコーンブロックアクリル共重合体A−3が得られた。
【0139】
更に、98%アクリル酸15.52部、酢酸ブチル15.52部、p−メトキシフェノール0.0078部、ジメチルベンジルアミン1.65部を加え110℃で5時間反応した。これで光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−3が得られた。
得られたB−3は、不揮発分が49.2%で、粘度が300cps/25℃で、酸価が4.8の透明溶液であり、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)は720であり、重量平均分子量(Mw)は2420であり、かつ分散比Mn/Mwは3.35であった。
【0140】
結果を併せて表1に示す。
GPCおよびIRの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
装 置:東ソー社製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー社製 Super H2000+H4000
6mmI.D.,15cm
溶離液:THF
流 速:0.500ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃
[IR測定条件]
装 置:日立製作所製
270−30形 日立赤外分光光度計
測定方法:KBrセル、塗布法
<光硬化シリコーンブロックアクリル共重合体組成物の塗膜性能試験>
実施例1〜2、比較例1で得られた光硬化シリコーンブロックアクリル共重合体B−1、B−2、C−1並びにB−3の各100部にベンゾフェノン、イルガキュアー184を各0.5部配合し、下記の方法で塗膜を形成し、得られた塗膜の透明性、汚染除去性を評価した。
【0141】
(1)塗膜の透明性、汚染除去性試験
上記配合液をガラス板に6ミリアプリケーターで塗布し、80℃で5分乾燥した後、UV照射機(水銀ランプ、距離10cm、スピード5m/分、光量125mj/cm2)に1回通して、UV硬化塗膜を得た。
塗膜の透明性は、目視にてUV硬化塗膜の透明性を評価した。
【0142】
汚染除去性試験は、UV硬化塗膜上に油性マジック黒で書き1分室温放置後紙ウエスで拭き取り、これを拭き取り困難になるまで繰り返し、黒マジックの汚れが拭き取れた回数を調べた。
(2)接触角の測定
スライドガラスに0.1ミリアプリケーターで塗布し、上記(1)と同様にしてUV硬化塗膜を得た。
【0143】
得られたUV硬化塗膜で接触角を測定した。
なお、接触角は、下記のような方法で測定した。
すなわち、協和界面科学社製の接触角計「Model CA−X」を用いて水の接触角を測定した。
これらの結果を表1に示す。
【0144】
【表1】
Figure 0004166391

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−1のIRチャートである。
【図2】図2は、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−2のIRチャートである。
【図3】図3は、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−3のIRチャートである。
【図4】図4は、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−1のGPCチャートである。
【図5】図5は、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−2のGPCチャートである。
【図6】図6は、上記光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体B−3のGPCチャートである。

Claims (12)

  1. (A-1)メルカプト変性ポリジメチルシロキサンから誘導されるアルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位と、
    (A-2)不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルと、不飽和カルボン酸との付加反応物から誘導される不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位と、
    (A-3)上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサンおよび、不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルのうちの何れとも共重合可能な他のモノマーから誘導される成分単位と、
    を有することを特徴とする光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体。
  2. 上記アルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位が、下記式(A-1b)あるいは(A-1c)で表され、
    式(A-1b):
    Figure 0004166391
    [式(A-1b)中、mは10〜400の整数を示し、nは1〜100の整数を示し、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示す。]
    式(A-1c):
    Figure 0004166391
    [式(A-1c)中、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示し、pは10〜400の整数を示す。]
    上記不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)が、下記式(A-2a):
    Figure 0004166391
    [式(A-2a)中、複数のR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、HまたはCH3を示し、R4は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Wは、
    Figure 0004166391
    (式中、複数のR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、Hまたは炭素数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素原子に結合するR5同士は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)を示し、
    Tは、単結合または、
    Figure 0004166391
    (但しR6は、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、
    pは1〜10の数を示す。) 、
    Figure 0004166391
    のうちの何れかの基を示す。]
    で表され、
    上記他の成分単位(A-3)が、下記式(A-3a):
    Figure 0004166391
    [式(A-3a)中、R7は、HまたはCH3を示し、Xは、R8OCO−{但し、R8は炭素数が1〜18のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基、R9OC24−(R9:−CH3、−C25)の何れかを示す。}、C65−、R10COO−(R10:Hまたは炭素数が1〜5のアルキル基)のうちの何れかの基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
    で表される請求項1に記載の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体。
  3. 上記アルキレンチオエーテル基含有ポリジメチルシロキサン系成分単位(A-1)が、1〜80重量%の量で、
    不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル系成分単位(A-2)が、1〜80重量%の量で、
    その他の成分単位(A-3)が、残部量(但し、(A-1)+(A-2)+(A-3)=100重量%))で含まれている請求項1〜2の何れかに記載の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体。
  4. 上記請求項1〜3の何れかに記載の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体と、
    光開始剤と、
    を含有することを特徴とする光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体組成物。
  5. (a-1)メルカプト変性ポリジメチルシロキサンと、
    (a-2)不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステルと、
    (a-3)上記成分(a-1)および(a-2)のうちの何れとも共重合可能な他のモノマーとを共重合させ、次いで、
    得られたエポキシ基含有シリコーンブロックアクリル共重合体(A)と、不飽和カルボン酸とを付加反応させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光硬化性シリコーンブロックアクリル共重合体(B)の製造方法。
  6. 上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)が、下記式(A-1bb)または下記式(A-1cc)で表され、
    式(A-1bb):
    Figure 0004166391
    [式(A-1bb)中、mは10〜400の整数を示し、nは1〜100の整数を示し、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示す。]
    式(A-1cc):
    Figure 0004166391
    [式(A-1cc)中、R1は炭素数1〜10の二価炭化水素基を示し、pは10〜400の整数を示す。]
    上記不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)が、下記式(A-2aa):
    Figure 0004166391
    [式(A-2aa)中、R3は、HまたはCH3を示し、R4は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、W1は、
    Figure 0004166391
    (式中、複数のR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、Hまたは炭素数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素原子に結合するR5同士は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)を示す。]
    で表され、
    上記他のモノマー(a-3)が、下記式(A-3aa):
    Figure 0004166391
    [式(A-3aa)中、R7は、HまたはCH3を示し、Xは、R8OCO−{但し、R8は炭素数が1〜18のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基、R9OC24−(R9:−CH3、−C25)の何れかを示す。}、C65−、R10COO−(R10:Hまたは炭素数が1〜5のアルキル基)のうちの何れかの基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
    で表され、
    付加反応させる不飽和カルボン酸が、
    (メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、
    2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートと2塩基酸無水物との反応生成物のうちの何れか1種または2種以上である請求項5に記載の方法。
  7. 上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)と、不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)と、他のモノマー(a-3)との合計を100重量%とするとき、上記メルカプト変性ポリジメチルシロキサン(a-1)を1〜80重量%の量で、
    不飽和カルボン酸のエポキシ基含有エステル(a-2)を1〜80重量%の量で、
    他のモノマー(a-3)を残部量で用い、
    付加反応用の不飽和カルボン酸を1〜300重量%の量で用いることを特徴とする請求項5〜6の何れかに記載の方法。
  8. 上記共重合反応および/または付加反応を、それぞれ触媒および/または溶媒の存在下に行う請求項5〜7の何れかに記載の方法。
  9. 請求項4に記載の組成物を硬化してなる塗膜。
  10. 基材の表面が、請求項4に記載の組成物からなる塗膜にて被覆されていることを特徴とする塗膜付き基材。
  11. 上記基材が、建築物内装材または外装材、家具材、床材、浴室材あるいは台所用部材である請求項10に記載の塗膜付き基材。
  12. 基材の表面に、請求項4に記載の組成物を塗布あるいは含浸させ、硬化させて、塗膜を形成することを特徴とする、基材の塗装方法。
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