JP4205358B2 - 撥水性被膜および塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水性被膜および撥水性被膜を形成するための塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
着氷や着雪防止のため、あるいは落書き防止や貼紙防止のために、一般的に離型性を有する塗料が利用されている。また、磁気テープ、熱転写インクリボン等の基材として使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルム、アクリルやポリカーボネート等のプラスチック成型品の表面に撥水性、潤滑性、あるいは耐熱性等を付与する目的でコーティング剤による処理が行われている。このような離型性を有する塗料やコーティング剤として、従来より反応性シリコーンやポリジメチルシロキサン等を添加した被覆組成物が使用されている。
【0003】
撥水・撥油機能を有するコーティング材料として、ラジカル重合性基含有シリコーンマクロマーを使用したシリコーングラフトポリマー又は高分子アゾ開始剤を使用したシリコーンブロックポリマーを主成分とする組成物は、撥水性、離型性、潤滑性に優れていることから被覆材料として大きな関心がもたれ、いくつかの方法が提案されている。例えば特開平9−100445号公報には、2液の熱硬化型組成物のシリコーングラフトポリマーが開示されている。しかしながら、近年、生産性、環境的な面から活性エネルギー線硬化型のシリコーングラフト又はブロックポリマーが求められてきている。活性エネルギー線硬化型シリコーングラフト又はブロックポリマーの例としては、特開平10−279641号公報に、ポリジメチルシロキサン部分及びイソシアネート基を有するグラフト共重合体にイソシアネート基と反応可能な感光性基含有化合物を反応させて得られるシリコーングラフト又はブロックポリマーが開示されている。また、特公平5−31562号公報に、エポキシ基を持った反応性シリコーングラフトポリマーと感光性基含有カルボン酸化合物との反応生成物あるいはカルボキシ基を持った反応性シリコーングラフトポリマーと感光性基含有エポキシ化合物との反応生成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平9−100445号公報に記載されているような、熱硬化型、湿気硬化型のシリコーングラフト又はブロックポリマーは、作業性に問題があり、塗膜形成に時間がかかるため、生産性に乏しい。また、従来の活性エネルギー線硬化型のシリコーングラフト又はブロックポリマーは、塗膜形成初期には撥水性、潤滑性能に優れている。しかし、撥水性被膜を形成し、屋外曝露、温水試験、耐薬品性試験を行った後に、撥水性が低下することがあった。
【0005】
本発明の課題は、屋外曝露、温水試験、耐薬品性試験後にも撥水性の低下が小さい撥水性被膜、およびこうした撥水性被膜を形成するための塗料組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分(A)と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分(B)とを含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることにより得られた硬化物からなる撥水性被膜であって、
ポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)とが反応しており、硬化物が、一般式(1)
【化6】
(Xは、反応後のシリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を示す。Yは、反応後のシリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部、または、反応後のオリゴマー成分(B)の残基を示す)で表される構造部分を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分(A)と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分(B)とを含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることにより得られた被膜であって、
ポリマー成分(A)と前記オリゴマー成分(B)とが反応しており、60℃の温水に240時間浸漬した後の接触角の保持率が90%以上であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分(A)と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分(B)とを含む塗料組成物であって、
前記塗料組成物の少なくとも硬化後には、ポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)とが反応し、かつ硬化物が、前記一般式(1)で表される構造部分を生成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分(A)と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分(B)とを含む塗料組成物であって、
ポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)との少なくとも一方が、前記一般式(1)で表される構造部分を有していることを特徴とする。
【0010】
従来の活性エネルギー線硬化型のシリコーングラフト又はブロックポリマーは、撥水性、離型性、潤滑性が高いという特徴を有している。しかし、形成後の被膜を屋外曝露試験、温水試験、薬品試験に供した後に撥水性が低下することがあった。
【0011】
本発明者は、この系の被膜の特徴である高い撥水性、離型性、潤滑性を保持しつつ、屋外曝露試験、温水試験、薬品試験の後の撥水性の低下を抑制するための研究を行ってきた。そして、前記一般式(1)の構造部分を硬化被膜中に生成させることによって、撥水性の持続性に優れた活性エネルギー線硬化型のシリコーングラフト又はブロックポリマーを得ることに成功し、本発明に到達した。
【0012】
ここで、一般式(1)において、Xは、活性エネルギー線照射による反応後のポリマー成分(A)のシリコーングラフト又はブロックポリマー部を示す。一般式(2)は、シリコーングラフトポリマーまたはブロックポリマー部Vと、加水分解性シリル基とを有するポリマー成分である。言い換えると、Vは、一般式(2)のポリマー成分から加水分解性シリル基を除いた残基である。一般式(2)のポリマー成分は塗料組成物中に含まれており、一般式(1)の構造部分は、活性エネルギー線照射後の硬化被膜中に含まれている。つまり、一般式(2)のポリマー成分に活性エネルギー線が照射されると、ポリマー部V中では、活性エネルギー線に感受性の官能基(例えば炭素−炭素二重結合)が関与する重合反応が進行する。従って、一般式(1)の構造部分中に含まれるポリマー部Xは、Vが活性エネルギー線照射によって反応した後に生じたポリマー部である。このため、Xは、Vとオリゴマー成分との反応体であったり、VとVとの反応体である場合がある。
一般式(1)の構造部分中のYは、前記反応後のシリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部Xであってよい。または、前記反応後のオリゴマー成分(B)のオリゴマー部Zに由来するオリゴマー部であってよい。後者の場合について説明する。一般式(3)は、オリゴマー部Zと加水分解性シリル基とを有するオリゴマー成分である。言い換えると、Zは、一般式(3)のオリゴマー成分から加水分解性シリル基を除いた残基である。一般式(3)のオリゴマー成分は塗料組成物中に含まれており、一般式(1)の構造部分は、活性エネルギー線照射後の硬化被膜中に含まれている。つまり、一般式(3)のオリゴマー成分に活性エネルギー線が照射されると、オリゴマー部Z中では、活性エネルギー線に感受性の官能基(例えば炭素−炭素二重結合)の反応が進行する。従って、一般式(1)の構造部分中に含まれるオリゴマー部Yは、Zが活性エネルギー線照射によって反応した後の残基である。
【0013】
本発明の撥水被膜は、60℃の温水に240時間浸漬した後の接触角の保持率が、初期の接触角の90%以上とすることができる。
【0014】
本発明の撥水性被膜は、初期の接触角を90°以上とすることが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の撥水性被膜および塗料組成物について更に説明する。本発明の撥水性被膜を製造するためには、シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分(A)と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分(B)とを含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる。そして、硬化物中に、一般式(1)に示す加水分解性シリル基の構造部分を導入する。
【0016】
ここで、硬化物中に一般式(1)の構造を導入するためには、以下の実施形態がある。
(1)塗料組成物において、ポリマー成分(A)として、前記一般式(2)の構造を有するポリマー成分を使用する。この塗料組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる。すると、一般式(2)のポリマー同士の加水分解性シリル基が反応し、一般式(1)の構造部分を生成させる。
(2)塗料組成物において、オリゴマー成分(B)として、前記一般式(3)のオリゴマーを使用する。この塗料組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる。すると、一般式(3)のオリゴマーの加水分解性シリル基が反応し、一般式(1)の構造部分を生成させる。
(3)塗料組成物において、ポリマー成分(A)として、前記一般式(2)の構造を有するポリマー成分を使用し、かつ、オリゴマー成分(B)として、前記一般式(3)のオリゴマー成分を使用する。この塗料組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる。すると、一般式(2)のポリマー同士の加水分解性シリル基が互いに反応し、一般式(1)の構造部分を生成させる。また、一般式(3)のオリゴマー同士の加水分解性シリル基が互いに反応し、シロキサン結合を生成させる。また、一般式(2)のポリマーの加水分解性シリル基と一般式(3)のオリゴマー成分の加水分解性シリル基とが反応し、一般式(1)の構造部分を生成させる。
(4)ポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)との少なくとも一方に、一般式(1)の構造部分をあらかじめ生成しておく。そして、(A)と(B)とを含む均一な混合物からなる塗料組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる。この硬化物中には、一般式(1)の構造部分が保持される。
【0017】
一般式(2)において、Vは、シリコーングラフト又はブロックポリマー部を示し、R1は、炭素数1〜5のアルキル基又はHを示す。R2は、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基を示し、aは1〜3の整数である。
一般式(3)において、Zは、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を含むオリゴマー残基を示し、R3は、炭素数1〜5のアルキル基又はHを示す。R4は、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基を示し、bは1〜3の整数である。
【0018】
撥水被膜中に存在する一般式(1)の構造部分は、例えば、以下の方法によって検出可能である。
Si−NMRによりアルコキシ化合物の同定を行なう方法などが挙げられる。
【0019】
本発明の塗料組成物の成分は、少なくとも硬化物中に一般式(1)の構造部分が生成する限り、特に限定されない。しかし、好適な実施形態においては、塗料組成物の主要成分は以下の中から選択される。
【0020】
(イ) ポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)との少なくとも一方に一般式(1)の構造部分が存在する場合
ポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)との双方に、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を設ける。この場合には、ポリマー成分(A)に一般式(1)の構造部分があってよく、オリゴマー成分(B)に一般式(1)の構造部分があってよい。しかし、好適には、ポリマー成分(A)が一般式(1)の構造部分を有する。
【0021】
(ロ)ポリマー成分(A)が一般式(2)の構造を有するか、あるいはオリゴマー成分(B)が一般式(3)の構造を有するかのどちらかの場合
この場合には、活性エネルギー線照射時に(A)と(B)とが相互に反応可能でなければならない。このような条件を満足し得る各成分の組合せを以下に述べる。
【0022】
(ポリマー成分(A))
(A1)活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有するシリコーングラフト又はブロックポリマー骨格に、一般式(4)の構造部分を有するラジカル重合性基モノマーが組み込まれたもの
【0023】
【化7】
【0024】
一般式(4)において、Mは、ラジカル重合性基を示し、R5は、炭素数1〜5のアルキル基又はHを示す。R6は、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基を示し、cは1〜3の整数である。
(A2)活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有するシリコーングラフト又はブロックポリマーに、一般式(3)の構造部分を有する活性エネルギー線により硬化可能なモノマーがブレンドされたもの
(A3)シリコーングラフト又はブロックポリマーであって、一般式(2)の構造を有するが、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有していない。
(A4)シリコーングラフト又はブロックポリマーであって、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有するが、一般式(2)の構造を有していない。
【0025】
(オリゴマー成分(B))
オリゴマー成分(B)は、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有することが必要であり、以下の類型に分けられる。
(B1) 一般式(3)の構造を有する。
(B2) 一般式(3)の構造を有していない。
【0026】
ここで、硬化物中に一般式(1)の構造部分を生成させるための条件は、ポリマー成分(A)が一般式(2)の構造を有しているか、あるいはオリゴマー成分(B)が一般式(3)の構造を有しているかのどちらかであることと、活性エネルギー線照射時にポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)とが反応することである。
【0027】
ポリマー成分(A)とオリゴマー成分(B)とが反応するためには、以下の条件のいずれかが満足される必要がある。
○ ポリマー成分(A)が一般式(2)の構造を有し、さらに、ポリマー成分Bも一般式(3)の構造を有する。この場合には、各成分の各一般式(2)及び(3)の構造が互いに反応する。
○ ポリマー成分(A)が活性エネルギー線によって反応する反応性官能基を有する。この場合は、ポリマー成分(A)の反応性官能基が、オリゴマー成分Bの反応性官能基と反応する。
【0028】
例えば、(A1)(A2)を使用する場合には、ポリマー成分(A)に一般式(2)の構造が存在しており、かつ活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基が存在している。この場合には、オリゴマー成分(B)は、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有することから、ポリマー成分(A)と反応可能である。従って、オリゴマー成分(B)は、(B1)(B2)のいずれであってもよい。
【0029】
(A3)の場合には、シリコーングラフト又はブロックポリマーは、一般式(2)の構造を有するが、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有していない。この場合には、オリゴマー成分(B)の反応性官能基は、一般式(2)の構造とは反応しない。従って、オリゴマー成分(B)は(B1)一般式(3)の構造を有するオリゴマー成分でなければならない。
【0030】
(A4)の場合には、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有するが、一般式(2)の構造を有していない。この場合には、オリゴマー成分(B)は、(B1)一般式(2)の構造を有するオリゴマー成分でなければならない。
【0031】
シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分が、一般式(2)の構造を有さず、かつ活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基も有していない場合には、このポリマー成分はオリゴマー成分(B)とは活性エネルギー線照射時に反応しない。
【0032】
塗料組成物内に、一般式(1)の構造部分を有する成分があるかどうかは、例えば以下の方法によって決定できる。
赤外線スペクトル測定において、1100〜1000cm‐ 1のSi−O−Siのシロキサン結合に特徴的な赤外バンドにより判定する、あるいは、Si−NMRにより、アルコキシ化合物の同定を行なう方法などが挙げられる。
【0033】
塗料組成物内に、一般式(2)及び一般式(3)の構造を有する成分があるかどうかは、例えば以下の方法によって決定できる。
赤外線スペクトル測定において、1100〜1000cm‐ 1のSi−アルコキシ化合物に特徴的な赤外線バンドにより判定する、特にSi−O−C(脂肪族)1100〜1050 cm‐ 1により同定することができる。また、Si−NMRによりアルコキシ化合物の同定を行なう方法などが挙げられる。
【0034】
一般式(1)において、Si原子に連結される置換基は、例えば以下のものである。
(1) 塗料組成物において、ポリマー成分(A)として、一般式(2)の構造を有するポリマー成分を使用し、オリゴマー成分(B)として、一般式(3)のオリゴマーを使用しない場合:
一般式(1)のSi原子には、一般式(2)の構造を有するポリマー成分(A)がシロキサン結合を介して縮合する。この際、一般式(1)に示すSi原子に対して、2個以上のポリマー成分(A)が縮合し、シロキサン結合を介して連鎖的に結合することがある。オリゴマー成分(B)は、縮合したポリマー成分(A)に対して光重合性官能基によって結合する。
(2)塗料組成物において、ポリマー成分(A)として、一般式(2)の構造を有するポリマー成分を使用せず、オリゴマー成分(B)として、一般式(3)のオリゴマーを使用する場合:
一般式(1)のSi原子には、一般式(3)の構造を有するオリゴマー成分(B)がシロキサン結合を介して縮合する。この際、一般式(1)に示すSi原子に対して、2個以上のオリゴマー成分(B)が縮合し、シロキサン結合を介して連鎖的に結合することがある。ポリマー成分(A)は、縮合したオリゴマー成分(B)に対して光重合性官能基によって結合する。
(3)塗料組成物において、ポリマー成分(A)として、一般式(2)の構造を有するポリマー成分を使用し、かつ、オリゴマー成分(B)として、一般式(3)のオリゴマー成分を使用する場合:
一般式(1)のSi原子には、一般式(2)の構造を有するポリマー成分(A)、または、一般式(3)の構造を有するオリゴマー成分(B)がシロキサン結合を介して縮合する。この際、一般式(1)に示すSi原子に対して、2個以上のポリマー成分(A)および/またはオリゴマー成分(B)が縮合し、シロキサン結合を介して連鎖的に結合することがある。
【0035】
以下、前記した各成分について、更に具体的な例示を行うが、各成分ともに以下の実例に限定されるものではない。
【0036】
ポリマー成分(A)を製造するための出発物質は、シリコーングラフト又はブロックポリマーであり、これは一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)の構造部分を有しておらず、活性エネルギー線によって反応する反応性官能基も有していない。これに、一般式(1)の構造部分、一般式(2)の構造部分、一般式(3)の構造部分、および/または前記反応性官能基を導入する。
【0037】
具体的には、グラフトタイプの反応性シリコーン(a1)、あるいはブロックタイプの反応性シリコーン(a1´)と、一般式(4)の構造部分を有するラジカル重合性モノマー(a2)、および/または、イソシアネート基を有するビニルモノマー(a2´)とを重合させることによって、一般式(4)の構造部分、および/またはイソシアネート基を導入することができる。この場合には、必要に応じて、前記反応性シリコーンと共重合可能なその他のラジカル重合性モノマーを共重合させることもできる。
【0038】
グラフトタイプの反応性シリコーン(a1)としては、以下を例示できる。
【化8】
【化9】
【0039】
また、ブロックタイプの反応性シリコーン(a1’)としては、以下を例示できる。
【化10】
【0040】
イソシアネート基を有するビニルモノマー(a2’)としては、例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート、m−イソプロペニルジメチルベンジルイソシアネート、ビニルイソシアネートなどがある。
【0041】
反応性シリコーン(a1及び/又はa1´)と共重合可能な、一般式(4)の構造を有するラジカル重合性モノマー(a2)としては、ビニル基、(メタ)アクリレート基、アリール基等のラジカル重合性の官能基と加水分解性シリル基を併せ持つものが挙げられ、以下を例示できる。ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがある。
【0042】
反応性シリコーン(a1及び/又はa1’)と共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては、以下を例示できる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等の脂肪族又は環式アクリレート又はメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン等のオレフィン類、クロロプレン、ブタジエン等のジエン類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有モノマーなどがある。上記モノマー(a3)はビニルモノマー(a2’)のイソシアネート基と反応性を有しないものであり、それぞれ単独で又は適宜混合して使用される。なお、上記例示は本発明を限定するものではない。
【0043】
以上のモノマーを共重合させることによって、ポリジメチルシロキサン系共重合体(a4)を得ることができる。このポリジメチルシロキサン系共重合体は、以下の組成物であることが望ましい。
○ シロキサンの含有比率:1〜70重量%が好ましく、1〜50重量%が特に好ましい。
○ イソシアネート基を有するビニルモノマー(a2´)を共重合させた場合には、このビニルモノマーの含有比率は0〜50重量%、特に0〜30重量%であることが好ましい。
○ 一般式(4)の構造を有するラジカル重合性モノマー(a2)を共重合させた場合には、このラジカル重合性モノマーの含有比率は、1〜70重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることが特に好ましい。
その他の共重合可能なビニルモノマー(a3)の含有比率は、0〜98重量%であることが好ましく、0〜50重量%であることが特に好ましい。
【0044】
こうして得られた共重合体(a4)が一般式(2)の構造部分を有する場合には、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を導入しなくとも、(A3)の反応性官能基を有しないポリマー成分として利用できる。
【0045】
一方、このようにして得られたポリシロキサン系共重合体(a4)に、活性エネルギー線反応性官能基を導入するためには、ポリシロキサン系共重合体(a4)にイソシアネート基を有するビニルモノマー(a2´)を共重合させた場合には、更にモノマー(a5)と反応させる必要がある。また、ポリシロキサン系共重合体(a4)に一般式(4)を有するラジカル重合性モノマーを共重合させた場合には更に一般式(3)のオリゴマーを加水分解縮合反応させる必要がある。
【0046】
このモノマー(a5)は、単官能性のものであってもよいし、二官能性以上のものであってもよい。しかし、紫外線硬化性の観点からは二官能性以上のものが好ましい。単官能性のモノマー(a5)としては、OH基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコール型、ブトキシヒドロキシアクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルジアクリレート等のエポキシ型、あるいはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基を有する化合物などが挙げられる。
【0047】
二官能性のモノマー(a5)としては、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールメタアクリレートアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレートなどが挙げられる。3つ以上の官能基を有するモノマー(a5)としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどが挙げられる。
【0048】
(B2)一般式(2)の構造を有しないオリゴマーは、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有する限り特に限定されない。このオリゴマーは、単官能であってよく、多官能であってよい。例えば、組成物の硬化後における表面硬度を要求する場合には、主に三官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。
【0049】
また、代表的なオリゴマー(モノマー)としては、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられ、以下を例示できる。
【0050】
単官能モノマーの例としては、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
2官能モノマーの例としては、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレートなどが挙げられる。
3官能以上のオリゴマー(モノマー)の例としては、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールグリシジルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、及びこれらの誘導体、変性品などが挙げられる。
【0051】
(B1)一般式(3)のオリゴマーとしては、活性エネルギー線照射により硬化可能な官能基と加水分解性シリル基を併せ持つものが挙げられ、単官能性のものであっても2官能以上のものであっても良い。しかし、活性エネルギー線硬化性の観点からは2官能性以上のものが好ましい。単官能モノマー(一般式(3))としては、加水分解性シリル基を有するビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の化合物が挙げられる。
【0052】
2官能性以上のオリゴマー(一般式(3))としては、加水分解性シリル基を有する化合物と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を2つ以上有する化合物との反応により製造することが可能である。例としては、ウレタン反応、マイケル付加反応などにより製造することができる。
【0053】
(光開始剤)
本発明の塗料組成物中には、光開始剤を含有させることが好ましい。この光開始剤(E)としては、以下を例示できる。
イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製の「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバガイギー株式会社製の「イルガキュア184」)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製の「イルガキュア907」)、2−エチルアントラキノン、メチルベンジルホルメート(例えば、ストウファー株式会社製の「バイキュア55」)
【0054】
本発明の塗料組成物中には、必要に応じて、溶剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤等の安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈殿防止剤、顔料、分散剤、帯電防止剤等の界面活性剤類、酸、アルカリ及び塩類などから選ばれる硬化触媒等を適宜配合して用いても良い。特に、紫外線吸収剤、光安定剤は塗料組成物中に含有させることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系、ヒンダードアミン系のものを例示でき、例えば以下のものが好ましい。
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミル−フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン328」)、イソ−オクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロオネート(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン384」)、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン900」)、2−[2−ヒドロキシ−3−ジメチルベンジル−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン928」)、2−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビンPS」)等のベンゾトリアゾール系、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン/2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン400」)、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−i-オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン411L」)等のトリアジン系、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン(例えばBASF社製の「UVINUL3050」)、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン(例えばBASF社製の「UVINUL 408」)等のベンゾフェノン系、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(例えばBASF社製の「UVINUL3035」)等のシアノアクリレート系、エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)−(オキサリックアニリド)(SanduvorVSU)等の蓚酸アニリド系などが挙げられる。
【0055】
光安定剤としては、以下を例示できる。
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−セバケート−1−(メチル)−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−−ピペリジニル)−セバケート(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン292」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン144」)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピリジン重縮合物/N,N’’’−1,2−エタンジイルビス[N−[3[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5トリアジン−2−イル]アミノ]プロピル]−N’,N’’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン](例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン111FD」)、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキサイドとオクタンの反応性生物(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン123」)等のヒンダートアミン系等のものが挙げられる。
溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系、メタノール、イソプロピルアルコール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤などが、単独又は混合溶剤として用いられる。レベリング剤としては、シリコーン系又はフッ素系のものを使用することができる。
【0056】
本発明の硬化物における加水分解性シリル基比率は、本発明の作用効果の観点からは、1%以上であることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化性の観点からは、95%以下が好ましく、70%以下が更に好ましい。
【0057】
本発明の硬化物におけるMOIは、撥水持続性の観点からは50%以下であることが好ましい。
【0058】
次に、本発明の塗料組成物の各成分の製造方法について述べる。
反応性シリコーンとしてグラフトタイプ(a1)のものを選択し、他のビニルモノマーと共重合させる場合には、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等の重合開始剤を使用することができる。
【0059】
反応性シリコーンとしてブロックタイプ(a1’)のものを選択した場合には、リビング重合法又は高分子開始剤法によって共重合を行うことができる。工業的には、高分子開始剤法により共重合させることが好ましい。
【0060】
グラフトタイプ又はブロックタイプの反応性シリコーン(a1,a1’)と、イソシアネート基を有するビニルモノマー(a2’)、および/または、一般式(4)の構造を有するビニルモノマー(a2)、および/または、その他の共重合可能なビニルモノマー(a3)の重合反応は、通常、溶液中で行われる。この溶液重合では、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などが、単独又は混合溶剤として用いられる。反応温度は、50〜150℃であるのが好ましく、反応時間は、3〜12時間であるのが好ましい。
【0061】
得られたポリジメチルシロキサン系グラフト又はブロック共重合体(a4)と、活性エネルギー線照射によって反応する反応性官能基を有するモノマー(a5)とを反応させて、活性エネルギー線硬化性のポリマー成分(A)を合成できる。この反応は通常溶液中で行うことができ、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などが、単独又は混合溶剤として用いられる。反応温度は、常温〜100℃であるのが好ましく、反応時間は、1〜10時間であるのが好ましい。
【0062】
ポリジメチルシロキサン系グラフト又はブロック共重合体(a4)と、紫外線反応性官能基を有するモノマー(a5)との混合比は、ポリジメチルシロキサン系共重合体(a4)50〜90重量部、紫外線反応性官能基を有するモノマー(a5)10〜50重量部であるのが好ましく、必要に応じてジブチルスズジラウレート等の触媒を0.01〜1重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を0.01〜1重量部混合するのが好ましい。
【0063】
本発明の塗料組成物においては、ポリマー成分(A)、オリゴマー成分(B)、光開始剤(E)を混合する。この際、活性エネルギー線反応性官能基を有する反応性希釈剤(C)を混合できる。
【0064】
ポリマー成分(A)、オリゴマー成分(B)及び光開始剤(E)の配合割合は、固形分比(重量)で1〜80:0〜99:0.5〜10であるのが好ましく、特に5〜70:20〜95:1〜5であるのが好ましい。
【0065】
以上のようにして得られる本発明の組成物に活性エネルギー線、好ましくは紫外線や電子線を照射して硬化させることにより、撥水性、潤滑性、耐熱性等の機能を有するとともに、耐候性、耐溶剤性、表面タック感、フィルム透明性、撥水性や潤滑性の持続性に優れた表面機能材料が得られる。紫外線照射条件としては、積算光量が100〜3000mj/cm2 であるのが好ましい。
【0066】
本発明の塗料組成物および撥水性被膜は、各種の被覆剤として使用することができる。例えば、感熱転写記録シート、熱転写インクリボン、磁気テープなどのプラスチックフィルムの表面又は裏面に塗布するバックコート剤、磁気カード、ICカード、キャッシュカード、プリペイドカード、テレホンカードなどのプラスチックカードの表面保護コート剤、自動車のヘッドランプ、テールランプ、メーターカバー、センターパネル等のカバー類、ヘルメットの風防、メガネレンズ、ゴーグルなどのプラスチック成型品の表面保護コート剤、道路標識、案内板、表示灯、反射板、壁材等の防汚、積雪防止、結氷・結露防止、落書き防止、貼り紙防止用の塗料、離型紙、工程紙等の紙などに用いることができる。紫外線硬化型組成物の基材への塗布は常法によって行えばよく、例えば、塗装用のスプレー、静電スプレー、ロールコーター、スピンコートなどを用いて塗布することができる。膜厚は1〜100μm程度であるのが好ましい。
【0067】
本発明の塗料組成物を硬化させる際には、活性エネルギー線の照射と共に加熱をも併用することが、接触角の保持率を向上させるという観点から一層好ましい。この際の加熱温度は、基材を軟化させない範囲で40℃以上が好ましい。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の説明において、「部」は「重量部」である。
【0069】
(製造例1:樹脂A−1)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた500mlの4ツ口フラスコにトルエン100部及びポリジメチルシロキサンマクロモノマー(a1)(チッソ株式会社製、「FM0721」、分子量約5000)40部を仕込んだ。窒素置換、攪拌、加熱を開始し110℃還流下で、メチルメタクリレート20部、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(a2)(信越化学工業株式会社製、「KBM502」)20部、イソシアネートエチルメタクリレート(a2´)(昭和電工株式会社製、「カレンズMOI」)20部及び2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(和光純薬株式会社製、「V−59」)5部からなる混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で5時間加熱攪拌した。さらに、引き続きフラスコにトルエン80部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(a5)(東亞合成株式会社製、「アロニックスM305」)80部、ジブチル錫ジラウレート0.03部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2部仕込み70℃に昇温して、同温度で3時間保持し反応を終了することで固形分50%の樹脂A−1を得た。
【0070】
ここで、表1に、各製造例の樹脂の構成を示す。
【表1】
【0071】
(製造例2:樹脂A−2)
製造例1と同様のフラスコにトルエン100部及びポリジメチルシロキサンマクロモノマー(a1)(チッソ株式会社製、「FM0721」、分子量約5000)40部を仕込んだ。窒素置換、攪拌、加熱を開始し110℃還流下で、メチルメタクリレート12部、ブチルメタクリレート8部、「サイクロマーM100」(ダイセル化学工業株式会社製)20部、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(a2)(信越化学工業株式会社製、「KBM502」)20部及び2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(和光純薬株式会社製、「V−59」)5部からなる混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で5時間加熱攪拌することで固形分50%の樹脂A−2を得た。
【0072】
(製造例3:樹脂A−3)
製造例1と同様のフラスコにトルエン100部及びポリジメチルシロキサンマクロモノマー(a1)(チッソ株式会社製、「FM0721」、分子量約5000)40部を仕込んだ。窒素置換、攪拌、加熱を開始し110℃還流下で、メチルメタクリレート30部、ブチルメタクリレート10部、イソシアネートエチルメタクリレート(a2´)(昭和電工株式会社製、「カレンズMOI」)20部及び2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(和光純薬株式会社製、「V−59」)5部からなる混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で5時間加熱攪拌した。さらに、引き続きフラスコにトルエン80部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(a5)(東亞合成株式会社製、アロニックスM305)80部、ジブチル錫ジラウレート0.03部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2部仕込み70℃に昇温して、同温度で3時間保持し反応を終了することで固形分50%の樹脂A−3を得た。
【0073】
(製造例4:樹脂A−4)
製造例1と同様のフラスコにトルエン50部、メチルイソブチルケトン50部、ポリジメチルシロキサン系高分子開始剤(a1´)(和光純薬株式会社製、「VPS−0501」)20部、メチルメタクリレート30部、ブチルメタクリレート30部及びイソシアネートエチルメタクリレート(a2´)(昭和電工株式会社製、「カレンズMOI」)20部を仕込み90℃まで昇温した。その後、同温度で6時間保持して重合を終了した。さらに、引き続きフラスコにトルエン80部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(a5)(東亞合成株式会社製、「アロニックスM305」)80部、ジブチル錫ジラウレート0.03部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2部を仕込み、70℃まで昇温した。その後、同温度で5時間保持して反応を終了し、固形分50%の樹脂A−4を得た。
【0074】
(製造例5:樹脂A−5)
製造例1と同様のフラスコにトルエン100部及びポリジメチルシロキサンマクロモノマー(a1)(チッソ株式会社製、「M0721」、分子量約5000)40部を仕込んだ。窒素置換、攪拌、加熱を開始し110℃還流下で、メチルメタクリレート20部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(a2)(日本ユニカー株式会社製、「A174」)40部及び2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(和光純薬株式会社製、「V−59」)5部からなる混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で5時間加熱攪拌し、反応を終了することで固形分50%の樹脂A−5を得た。
【0075】
(製造例6:樹脂B−1)
製造例1と同様のフラスコに、乾燥空気中、トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学株式会社製、「TMPT−A」)85部、トルエン50部、イソブタノール35部、メタノール15部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.01部よりなる溶液に対し、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製、「A1110」)15部を70℃で2時間かけて滴下後、この温度で5時間加熱攪拌することで固形分50%の樹脂B−1を得た。なお、後述の実施例で使用するオリゴマー成分(B)の一覧を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
(製造例7:樹脂A−6)
製造例1と同様のフラスコに乾燥空気中、製造例5で得られた樹脂A−5を100部、製造例6で得られた樹脂B−1を50部、メタノール50部、トルエン50部、イオン交換水10部仕込んだ。この混合液を攪拌、加熱を開始し70℃で3時間過熱攪拌後、オルトギ酸メチルエステル10部添加し、固形分30%の樹脂A−6を得た。
【0078】
各例の塗料組成物を、後述のように製造した。ここで、各例の塗料組成物の成分を表3に列挙する。
【0079】
【表3】
【0080】
(実施例1)
シリコーングラフト又はブロックポリマー(成分A)として、製造例1にて製造した樹脂A−1を100部、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー(成分B)として、製造例6にて製造したB−1を100部、光開始剤(E)1−ヒドロキシ-シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、「イルガキュアー184」)3部、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン/2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン400」)5部、(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、「チヌビン 123」)を2部配合し、室温下30分攪拌することで均一溶液とした。
【0081】
(実施例2)
シリコーングラフト又はブロックポリマー(成分A)として、製造例1にて製造した樹脂A−1を100部、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー(成分B)として、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、「KBM5103」)を21.4部、光開始剤(E)1−ヒドロキシ-シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、「イルガキュアー184」)2.1部、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン/2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン400」)3.6部、(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、「チヌビン 123」)を1.4部配合し、室温下30分攪拌することで均一溶液とした。
【0082】
(実施例3)
製造例2にて製造した樹脂A−2を20部、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製、「A186」)40部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学株式会社製、「ライトアクリレートPE−4A」)50部、光カチオン開始剤「UVI−6990」(ユニオンカーバイド日本株式会社製)5部、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン/2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン400」)5部、(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、「チヌビン123」)を2部配合し、室温下30分攪拌することで均一溶液とした。
【0083】
(実施例4)
実施例1のB成分としてB−1の替わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、「DPHA」)50部を用いた他は、実施例1と同様にして均一溶液を得た。
【0084】
(実施例5)
実施例1のA成分としてA−1の替わりにA−3を用いた他は、実施例1と同様にして均一溶液を得た。
【0085】
(実施例6)
実施例1のA成分としてA−1の替わりにA−4を用いた他は実施例1と同様にして均一溶液を得た。
【0086】
(実施例7)
実施例1のA成分としてA−1の替わりにA−5を用いた他は実施例1と同様にして均一溶液を得た。
【0087】
(実施例8)
シリコーングラフト又はブロックポリマー(成分A)として、製造例7にて製造したA−6を100部、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー(成分B)として、製造例6にて製造したB−1を60部、光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、「イルガキュアー184」)1.8部、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン/2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えばチバガイキー株式会社製の「チヌビン400」)3部、(チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製、「チヌビン123」)を1.2部配合し、室温下30分攪拌することで均一溶液とした。
【0088】
(実施例9)
実施例8のB成分としてB−1の替わりにペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成株式会社製、「アロニックスM305」)30部を用いた他は、実施例8と同様にして均一溶液を得た。
【0089】
(比較例1)
実施例5のB成分としてB−1の替わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、「DPHA」)を用いた他は、実施例5と同様にして均一溶液を得た。
【0090】
(比較例2)
実施例7のB成分として、B−1の替わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、「DPHA」)を用いた他は、実施例7と同様にして均一溶液を得た。
【0091】
(比較例3)
実施例5のB−1の替わりにフェニルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン株式会社製、「TSL8173」)を用いた他は、実施例5と同様にして均一溶液を得た。
【0092】
(実施例1〜9および比較例1、2の塗料組成物の塗装および硬化条件)
実施例1〜9および比較例1 〜2においては、バーコーターNo.10を用いて乾燥膜厚が5 μとなるようにポリカーボネート板及びガラス板に塗装し、70℃で1分間乾燥させることで溶剤を揮発させた。次いで、水銀ランプにより、積算光量が1000mj/cm2となるように照射を行い、硬化させた。
【0093】
(実施例10)
実施例4の塗料組成物を硬化させた。ただし、塗料組成物をバーコーターNo.10を用いて乾燥膜厚が5 μとなるようにポリカーボネート板及びガラス板に塗装し、70℃で1 分間乾燥させることで溶剤を揮発させた後、水銀ランプにより硬化させた、さらに100℃で10分間乾燥することにより硬化した。
【0094】
(実施例11)
実施例4の塗料組成物を硬化させた。ただし、塗料組成物をバーコーターNo.10を用いて乾燥膜厚が5 μとなるようにポリカーボネート板及びガラス板に塗装し、70℃で1 分間乾燥させることで溶剤を揮発させた後、100℃で10分間乾燥させた後、水銀ランプにより硬化させた。
【0095】
各例にて作製した試験サンプルについて、24時間後に評価し、結果を表4、表5に示す。
【0096】
(試験方法)
(鉛筆硬度)ガラス板上での引掻き硬度。
(接触角)塗膜形成直後の水との接触角を測定。
(擦傷性)♯0000スチールウール、500 g荷重にて100 往復試験後の ヘーズ値。
(温水試験)60℃温水240 時間浸漬後の接触角を測定。
(耐薬品性)5 %NaOH水溶液をスポットし、24時間後の接触角を測定。
【0097】
【表4】
【0098】
(曇価)初期曇価をヘーズメータにより測定した。
(耐候性試験1)
耐候促進試験機アイスーパーUVテスター促進試験200 時間後の光透過率、曇価、接触角、色差を測定した。試験結果を表5に示す。
(耐候性試験2)
屋外曝露1年後の接触角を測定した。試験結果は表5に示す。
【0099】
【表5】
【0100】
表4からわかるように、実施例1〜11、比較例1〜3の各塗料組成物および被膜においては、初期の接触角が99°以上であり、硬度、耐擦傷性ともに優れていた。しかし、比較例1、2、3では、温水試験後の接触角の保持率が80%以下であり、耐薬品試験後の接触角の保持率が77%以下であった。これに対して、実施例1〜11においては、温水試験後の接触角の保持率が96%以上であり、耐薬品試験後の接触角の保持率が90%以上であった。
【0101】
なお、実施例4、10、11は、同じ塗料組成物を用いている。しかし、実施例4では水銀ランプによる紫外線照射のみを行い、加熱を行っていない。これに対して、実施例10、11では、紫外線照射と加熱とを併用している。この結果、実施例10、11においては、温水試験後、耐薬品試験後の接触角の保持率が一層向上した。
【0102】
表5からわかるように、各耐候性試験後においても、実施例の撥水性被膜の接触角保持率は高いものであった。
【0103】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、屋外曝露、温水試験、耐薬品性試験後にも撥水性の低下が小さい撥水性被膜、およびこうした撥水性被膜を形成するための塗料組成物を提供できる。
Claims (10)
- シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分(A)と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分(B)とを含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることにより得られた硬化物からなる撥水性被膜であって、
前記ポリマー成分(A)と前記オリゴマー成分(B)とが反応しており、前記硬化物が、一般式(1)
- 60℃の温水に240時間浸漬した後の接触角の保持率が90%以上であることを特徴とする、請求項1記載の撥水性被膜。
- シリコーングラフトポリマー又はシリコーンブロックポリマー部を含むポリマー成分(A)と、活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有するオリゴマー成分(B)とを含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることにより得られた撥水性被膜であって、
前記ポリマー成分(A)と前記オリゴマー成分(B)とが反応しており、60℃の温水に240時間浸漬した後の接触角の保持率が90%以上であることを特徴とする、撥水性被膜。 - 初期の接触角が90°以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の撥水性被膜。
- 樹脂からなる基材上を被覆することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の撥水性被膜。
- 前記塗料組成物の硬化時に前記活性エネルギー線の照射と加熱とが併用されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一つの請求項に記載の塗料組成物。
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