JPWO2018096723A1 - 液晶性エラストマー原材料組成物 - Google Patents

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Abstract

液晶性エラストマーを作製するための新たな液晶性エラストマー原材料組成物を提供する。活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、光重合性基含有化合物と、光硬化開始剤とを含む液晶性エラストマー原材料組成物であって、0.5mm厚に成膜した場合において、波長500〜800nmにおける光透過率が全波長域において50%以上であり、波長380nmにおける光透過率が20%以下であり、波長500〜800nmにおける光透過率において、最大となる光透過率と最小となる光透過率との差分が20%以下である液晶性エラストマー原材料組成物。

Description

本発明は、液晶性エラストマーを作製するための液晶性エラストマー原材料組成物に関する。
分子構造内にメソゲン基を有する液晶性ポリマーは、液晶(メソゲン基)の配向度の変化に伴って物性が変化する。このような性質に着目し、液晶性ポリマーをエラストマーとして様々な用途で利用する試みがなされている。
例えば、液晶性ポリマーとして、ジイソシアネート成分と、高分子量ポリオール成分と、メソゲンジオールとの反応によって得られる液晶性ポリウレタンエラストマーがある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の液晶性ポリウレタンエラストマーは、本出願人が開発したものであり、液晶発現温度領域でゴム弾性を有するものである。この液晶性ポリウレタンエラストマーは、従来の液晶性ポリウレタンと比べて、液晶発現温度を低下させたものである。
特開2014−172967号公報
液晶性エラストマーを得るためには、液晶発現温度領域(液晶相)で液晶性エラストマーの原材料を硬化(架橋)させる必要がある。また、液晶性エラストマーを工業的に利用し易いものとするためには、液晶相を維持しながら様々な形状に加工できることが求められる。
この点に関し、特許文献1の液晶性エラストマーは、上述のとおり、液晶発現温度を低下させるように設計されたものであり、そのための手段として、イソシアネート成分として3官能以上のイソシアネートを使用するとともに、高分子量ポリオール成分として水酸基数が3以上の高分子量ポリオール成分を使用している。このように、架橋可能な官能基を多く含む原材料を使用することで、熱成形加工時に液晶相を維持したまま原材料間で架橋反応が進行し、ゴム弾性を備えた液晶性エラストマーを得ることができる。
ところが、熱成形加工時に架橋反応を進行させる方法(すなわち、熱硬化法)では、成形機の内部で液晶性エラストマーの原材料が早期に硬化してしまうことがあり、成形条件の調整が難しいという課題があった。このため、液晶性エラストマーの工業的生産を行うにあたっては、原材料の早期の硬化によって連続生産が妨げられないような改善策が求められている。
そこで、本発明者らは、従来の熱硬化法による液晶性エラストマーにおいて見られた上記懸念事項を改善すべく、液晶性エラストマーの原材料の観点から種々の検討を行った。上記特許文献1の液晶性エラストマーは、原材料の成形と硬化(架橋)とを成形機の内部で同時に行うものであったが、成形と硬化(架橋)とを分離して実施できれば、成形機の内部で原材料が硬化する虞がなくなり、工業的な連続生産にも対応できると考えられる。
本発明は、液晶性エラストマーを作製するための新たな液晶性エラストマー原材料組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明にかかる液晶性エラストマー原材料組成物の特徴構成は、
活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、光重合性基含有化合物と、光硬化開始剤とを含む液晶性エラストマー原材料組成物であって、
0.5mm厚に成膜した場合において、波長500〜800nmにおける光透過率が全波長域において50%以上であり、波長380nmにおける光透過率が20%以下であることにある。
本発明者らは、液晶性エラストマーを作製するための新たな液晶性エラストマー原材料組成物として、光硬化性の材料を含む液晶性エラストマー原材料について検討した。本構成の液晶性エラストマー原材料組成物(活性水素基を有するメソゲン基含有化合物、光重合性基含有化合物、及び光硬化開始剤)を、成形機を用いて成形した後、適切な波長の光を照射し、原材料間で光架橋反応を進行させれば、原材料の成形と硬化とを別々の工程として実施することになるため、成形機の内部で原材料が硬化することが防止される。従って、液晶性エラストマーを連続して生産することが可能となり、工業的生産にも対応可能となる。
ここで、光架橋によって原材料の硬化を行うためには、原材料の内部にまで光を到達させる必要がある。そこで、本構成の液晶性エラストマー原材料組成物では、当該液晶性エラストマー原材料組成物を0.5mm厚に成膜した場合において、波長500〜800nmにおける光透過率が全波長域において50%以上であり、波長380nmにおける光透過率が20%以下となるように設定した。この場合、本構成の液晶性エラストマー原材料組成物から作製された液晶性エラストマーは、表面から内部まで光架橋反応が十分に進行しているため、液晶性エラストマー全体が均等に硬化したものとなる。しかも、成形後の温度が十分に低下した状態(すなわち、液晶相が発現した状態)で原材料を硬化させることが可能なため、モノドメイン化が容易なものとなり、生成した液晶性エラストマーの液晶相の発現温度領域は常温を含む比較的低い温度領域となる。このような低温液晶発現性を有する液晶性エラストマーは、例えば、液晶相と等方相との間での相転移を利用した熱応答性材料として好適に利用することができる。
本発明にかかる液晶性エラストマー原材料組成物において、
前記波長500〜800nmにおける光透過率において、最大となる光透過率と最小となる光透過率との差分が20%以下であることが好ましい。
本構成の液晶性エラストマー原材料組成物によれば、波長500〜800nmにおける光透過率において、最大となる光透過率と最小となる光透過率との差分が20%以下となるように設定することで、原材料間での光架橋反応を十分に且つ効率よく進行させることができる。
本発明にかかる液晶性エラストマー原材料組成物において、前記光硬化開始剤は、200〜600nmに吸収波長を有することが好ましい。
本構成の液晶性エラストマー原材料組成物によれば、光硬化開始剤の吸収波長を200〜600nmとすることで、液晶性エラストマー又は原材料の透明度(可視光の透過率)が低いものであっても、光硬化開始剤が光を吸収し、確実に光架橋反応を進行させることができる。
本発明にかかる液晶性エラストマー原材料組成物において、イソシアネート化合物をさらに含むことが好ましい。
本構成の液晶性エラストマー原材料組成物によれば、イソシアネート化合物をさらに含むことにより、液晶性エラストマーとして適用範囲が広い液晶性ポリウレタンエラストマーを作製することができる。
本発明にかかる液晶性エラストマー原材料組成物において、
前記活性水素基を有するメソゲン基含有化合物は、下記の一般式(1):
Figure 2018096723
(ここで、Xは活性水素基であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、−N=N−、−CO−、−CO−O−、又は−CH=N−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、又は−O−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ただし、Rが−O−であり、且つRが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。)
で表される化合物であることが好ましい。
本構成の液晶性エラストマー原材料組成物によれば、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物として、上記の適切な構造を有する化合物が使用されるため、常温を含む低温領域で液晶性を有する実用性の高い液晶性エラストマーを作製することができる。
以下、本発明の液晶性エラストマー原材料組成物について説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に記載される構成に限定されることを意図しない。
<液晶性エラストマー原材料組成物>
本発明の液晶性エラストマー原材料組成物は、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物(以下、単に「メソゲン基含有化合物」と称する。)、光重合性基含有化合物、及び光硬化開始剤を含むものである。この液晶性エラストマー原材料組成物を反応させると、メソゲン基含有化合物から生じる液晶性と、メソゲン基含有化合物と光重合性基含有化合物との反応に起因して生じる弾性とを兼ね備えた液晶性エラストマーを生成することができる。この液晶性エラストマーは、液晶の相転移によって物性が変化し、液晶相の発現温度領域は常温を含む比較的低い温度領域となる。このような低温液晶発現性を有する液晶性エラストマーは、液晶の相転移によって物性が変化する特異的な挙動を示すものとなり、例えば、液晶相と等方相との間での相転移を利用した熱応答性材料として好適に利用することができる。
液晶性エラストマー原材料組成物は、メソゲン基含有化合物、光重合性基含有化合物、及び光硬化開始剤に加えて、さらに追加の化合物を含むことも可能である。例えば、上記の3種の化合物に加えて、イソシアネート化合物をさらに含むことができる。この場合、液晶性エラストマー原材料組成物を反応させると、液晶性エラストマーとして液晶性ポリウレタンエラストマーが得られる。液晶性ポリウレタンエラストマーは伸縮性に優れているため、例えば、液晶相と等方相との間での相転移を利用した機能性繊維やアクチュエータの材料として利用することができる。その他の追加可能な化合物の例としては、エステル化合物、シランアルコキシド、アクリル化合物等が挙げられる。液晶性エラストマー原材料組成物がエステル化合物をさらに含む場合は、液晶性ポリエステルエラストマーが得られる。シランアルコキシドをさらに含む場合は、液晶性ポリシロキサンエラストマーが得られる。アクリル化合物をさらに含む場合は、液晶性ポリアクリレートエラストマーが得られる。これらの液晶性エラストマーは、いずれも液晶性と弾性とを兼ね備えた高分子材料であり、液晶の相転移によって物性が変化する特異的な挙動を示すものとなる。
以下の実施形態では、代表例として、メソゲン基含有化合物、光重合性基含有化合物、光硬化開始剤、及びイソシアネート化合物を含む液晶性エラストマー原材料組成物、及び当該液晶性エラストマー原材料組成物から生成される液晶性ポリウレタンエラストマーについて説明する。
〔メソゲン基含有化合物〕
メソゲン基含有化合物は、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物を使用することができる。
Figure 2018096723
一般式(1)において、Xは活性水素基であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、−N=N−、−CO−、−CO−O−、又は−CH=N−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、又は−O−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ただし、Rが−O−であり、且つRが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。なお、「隣接する結合基の一部をなす単結合」とは、当該単結合が隣接する結合基の一部と共有されている状態を意味する。例えば、上記一般式(1)において、Rが隣接する結合基の一部をなす単結合である場合、単結合であるRは両側のベンゼン環と共有された状態となり、当該両側のベンゼン環とともにビフェニル構造を形成する。Xとしては、例えば、OH、SH、NH、COOH、二級アミン等が挙げられる。メソゲン基含有化合物の配合量は、液晶性エラストマー原材料組成物全体の中で、30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%となるように調整される。メソゲン基含有化合物の配合量が30重量%未満の場合、生成したポリマー(エラストマー)に液晶性が発現し難くなる。メソゲン基含有化合物の配合量が80重量%を超える場合、液晶相−等方相間の相転移温度(Ti)が高くなり、常温を含む低温領域でポリマー(エラストマー)を成形することが困難となる。
メソゲン基含有化合物には、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドを併用することが好ましい。アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドは、液晶性ポリウレタンエラストマーにおける液晶性発現温度を低下させるように機能するため、メソゲン基含有化合物にアルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドを併用して生成した液晶性ポリウレタンエラストマーは、常温での実用性に優れた製品となり得る。アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドを使用することができる。上掲のアルキレンオキシドは、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。スチレンオキシドについては、ベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン等の置換基を有するものでもよい。アルキレンオキシドは、上掲のアルキレンオキシドと、上掲のスチレンオキシドとを混合したものを使用することも可能である。アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドの配合量は、メソゲン基含有化合物1モルに対して、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドが1〜10モル、好ましくは2〜6モル付加されるように調整される。アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドの付加モル数が1モル未満の場合、液晶性ポリウレタンエラストマーの液晶性が発現する温度範囲を十分に低下させることが困難となり、そのため、無溶媒で且つ液晶性が発現した状態で液晶性ポリウレタンエラストマーを連続成形することが困難となる。アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドの付加モル数が10モルを超える場合、液晶性ポリウレタンエラストマーの液晶性が発現し難くなる虞がある。
〔光重合性基含有化合物〕
光重合性基含有化合物は、例えば、アクリロイル基含有化合物、メタクリロイル基含有化合物、アリル基含有化合物を使用することができる。アクリロイル基含有化合物を例示すると、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールA PO2mol付加物ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。メタクリロイル基含有化合物を例示すると、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンジメタクリレート、ビスフェノールA PO2mol付加物ジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。アリル基含有化合物を例示すると、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。光重合性基含有化合物の配合量は、液晶性エラストマー原材料組成物全体の中で、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜7重量%となるように調整される。光重合性基含有化合物の配合量が0.1重量%未満の場合、原材料に光照射を行っても十分に硬化しないため、生成したポリマー(エラストマー)は熱応答性を発現し難くなる。光重合性基含有化合物の配合量が10重量%を超える場合、光照射後のポリマー(エラストマー)中の架橋密度が高くなり過ぎるため、この場合も生成したポリマー(エラストマー)は熱応答性を発現し難くなる。
〔光硬化開始剤〕
光硬化開始剤は、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフォンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン/ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル/オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)/プロピレンカーボネート、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート、オキシムスルホネート系光酸発生剤を使用することができる。光硬化開始剤の配合量は、液晶性エラストマー原材料組成物全体の中で、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%となるように調整される。光硬化開始剤の配合量が0.5重量%未満の場合、光照射時に均一に重合反応が進行しないため、あるいは硬化が不十分となるため、生成したポリマー(エラストマー)は熱応答性を発現し難くなる。光硬化開始剤の配合量が10重量%を超える場合、生成したポリマー(エラストマー)中のメソゲン基の含有量が減少するため、液晶性が発現し難くなる。光硬化開始剤は、200〜600nmに吸収波長を有するものが好ましい。光硬化開始剤が上記範囲の吸収波長を有していれば、液晶性エラストマー又は液晶性エラストマー原材料組成物の透明度(可視光の透過率)が低いものであっても、光硬化開始剤が光を吸収し、確実に光架橋反応を進行させることができる。
〔イソシアネート化合物〕
イソシアネート化合物は、例えば、ジイソシアネート化合物、又は3官能以上のイソシアネート化合物を使用することができる。ジイソシアネート化合物を例示すると、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、及びm−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、並びに1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。上掲のジイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。3官能以上のイソシアネート化合物を例示すると、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート、及びテトライソシアネートシラン等のテトライソシアネートが挙げられる。上掲の3官能以上のイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。イソシアネート化合物は、上掲のジイソシアネート化合物と、上掲の3官能以上のイソシアネート化合物とを混合したものを使用することも可能である。イソシアネート化合物の配合量は、液晶性エラストマー原材料組成物全体の中で、10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%となるように調整される。イソシアネート化合物の配合量が10重量%未満の場合、ウレタン反応による高分子化が不十分となるため、液晶性エラストマー(液晶性ポリウレタン)を連続成形することが困難となる。イソシアネート化合物の配合量が40重量%を超える場合、液晶性エラストマー原材料組成物の全体に占めるメソゲン基含有化合物の配合量が相対的に少なくなるため、液晶性エラストマー(液晶性ポリウレタン)の液晶性が低下する。
<液晶性ポリウレタンエラストマーの作製>
液晶性ポリウレタンエラストマーは、メソゲン基含有化合物、光重合性基含有化合物、光硬化開始剤、及びイソシアネート化合物を含む液晶性エラストマー原材料組成物に光を照射することにより作製される。具体的には、液晶性エラストマー原材料組成物を混練及び加熱し、押出成形機を用いて所定の形状に成形した後、これに光を照射して原材料間で光架橋反応を進行させ、硬化させる。液晶性エラストマー原材料組成物に照射する光は、波長が200〜600nmである紫外光ないし可視光が好ましい。このような光架橋による硬化法であれば、液晶性エラストマー原材料組成物を混練及び加熱し、次いで延伸して成形を行った後、冷却により温度が十分に低下した状態で光架橋により硬化させることができる。すなわち、成形と光架橋(硬化)とを別々の工程として行うことができる。従って、低温領域において液晶相が確実に発現する液晶性ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
ここで、液晶性エラストマー原材料組成物は、硬化前の状態(すなわち、光を照射する前の押出成形機により成形された状態)で0.5mm厚に成膜した場合に、以下の二つの光学的条件を満たすように調製される。
(1)第一条件:波長500〜800nmにおける光透過率が全波長域において50%以上
(2)第二条件:波長380nmにおける光透過率が20%以下
この調製は、液晶性エラストマー原材料組成物に含まれる各原材料の種類の選択、各原材料の配合比の最適化、各原材料中の気泡の除去等により行うことができる。上記の二つの光学的条件を満たすように、液晶性エラストマー原材料組成物を調製し、光を照射すると、原材料の内部にまで光が十分に到達できるため、生成した液晶性エラストマーは表面から内部まで光架橋反応が十分に進行したものとなり、材料として十分な強度を発現することができる。なお、第一条件において、波長500〜800nmにおける光透過率は、最大となる光透過率と最小となる光透過率との差分が20%以下であることが好ましい。この場合、原材料間での光架橋反応を十分に且つ効率よく進行させることができる。
液晶性エラストマー原材料組成物の混練及び加熱は、押出成形機の中で成形と同時に行うことができる。初めに、押出成形機に液晶性エラストマー原材料組成物を投入して十分に混練及び加熱する。次いで、混練溶融物を液晶性が発現する温度領域(すなわち、ガラス転移温度(T)以上かつ相転移温度(T)以下)で延伸しながら押出成形する。このとき、メソゲン基含有化合物に含まれるメソゲン基が延伸方向に沿うように動くため、高度な配向性が得られる。そして、延伸した混練溶融物を適切な形状に成形して冷却し、延伸状態を保ったまま波長200〜600nm光を照射すると、配向性を維持したまま原材料間で光架橋反応が進行し、低温液晶発現性と弾性とを兼ね備えた液晶性ポリウレタンエラストマーが完成する。これは、連続式による製造方法である。一方、液晶性エラストマーの原材料を予め混練及び加熱してペレット状に成形しておき、ペレット化した原材料を押出成形機を用いて所定の形状に成形した後、液晶性が発現する温度領域(すなわち、ガラス転移温度(T)以上かつ相転移温度(T)以下)で延伸し、延伸状態を保ったまま波長200〜600nm光を照射して液晶性ポリウレタンエラストマーを製造することも可能である。これは、バッチ式による製造方法である。このようにして製造された液晶性ポリウレタンエラストマーは、低温領域ではメソゲン基が延伸方向に配向しているが、加熱して相転移温度(T)を上回るとメソゲン基の配向が崩れて(不規則となって)延伸方向に収縮し、冷却して相転移温度(T)を下回るとメソゲン基の配向が復活して延伸方向に伸張するという特異的な熱応答性挙動を示す。
ちなみに、液晶性ポリウレタンエラストマーの配向性は、メソゲン基の配向度によって評価することができる。配向度の値が大きいものは、メソゲン基が一軸方向に高度に配向している。配向度は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた1回全反射測定法(ATR)により、芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度(0°、90°)、及びメチル基の対称変角振動の吸光度(0°、90°)を測定し、これらの吸光度をパラメータとする以下の計算式に基づいて算出される。
配向度=(A−B)/(A+2B)
A:0°で測定したときの芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度/0°で測定したときのメチル基の対称変角振動の吸光度
B:90°で測定したときの芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度/90°で測定したときのメチル基の対称変角振動の吸光度
液晶性ポリウレタンエラストマーが有意な伸縮性を発現するためには、メソゲン基の配向度が0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。
本発明の液晶性エラストマー原材料組成物を調製し、その特性について確認した。なお、以下の実施例及び比較例では、各原材料の配合量の単位を「g」としているが、本発明は、任意の倍率でスケールアップが可能である。すなわち、各原材料の配合量の単位については、「重量部」と読み替えることができる。
〔実施例1〕
反応容器に、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物として式(1)のRが単結合であるBH6(500g)、水酸化カリウム(19g)、及び溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(3000ml)を入れて混合し、さらに、アルキレンオキシドとしてプロピレンオキシドを1モルのBH6に対して2当量添加し、これらの混合物を、加圧条件下、120℃で2時間反応させた(付加反応)。次いで、反応容器にシュウ酸(15g)を添加して付加反応を停止させ、反応液中の不溶な塩を吸引ろ過によって除去し、さらに、反応液中のN,N−ジメチルホルムアミドを減圧蒸留法により除去することにより、メソゲンジオールAを得た。メソゲンジオールAの合成スキームを式(2)に示す。なお、式(2)中に示したメソゲンジオールAは代表的なものであり、種々の構造異性体を含み得る。
Figure 2018096723
次に、メソゲンジオールA(100g)、光重合性基含有化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(4g)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(1.5g)、光硬化開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(3g)、並びにイソシアネート化合物として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(38g)を混合し、液晶性エラストマー原材料組成物を調製した。そして、この液晶性エラストマー原材料組成物を撹拌しながら100℃に加熱し、2時間養生して試料とした。次いで、この試料を、離型フィルムを介して120℃に予熱した二枚のステンレス板で上下を挟み込み、20MPaの加圧ホットプレスにかけて120℃で30秒間プレス処理を行った。プレス処理後、試料からステンレス板を取り外し、離型フィルムで挟んだ状態で室温まで冷却した。最後に試料から離型フィルムを剥がし、0.5mm厚に成膜された実施例1の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)を得た。
〔実施例2〕
液晶性エラストマー原材料組成物を調製するに際し、光重合性基含有化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(1g)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(3g)、並びにイソシアネート化合物として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(37g)を配合した。その他の原材料及び配合量、並びに製造条件については実施例1と同様とし、実施例2の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)を得た。
〔実施例3〕
液晶性エラストマー原材料組成物を調製するに際し、光重合性基含有化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(7g)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2.5g)、光硬化開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフォンオキサイド(3g)、並びにイソシアネート化合物として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(40g)を配合した。その他の原材料及び配合量、並びに製造条件については実施例1と同様とし、実施例3の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)を得た。
〔実施例4〕
液晶性エラストマー原材料組成物を調製するに際し、光重合性基含有化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(6g)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(3g)、光硬化開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(3g)、並びにイソシアネート化合物として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(39g)を配合した。その他の原材料及び配合量、並びに製造条件については実施例1と同様とし、実施例4の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)を得た。
〔実施例5〕
反応容器に、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物として式(1)のRが単結合であるBH6(500g)、水酸化カリウム(19g)、及び溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(3000ml)を入れて混合し、さらに、アルキレンオキシドとしてプロピレンオキシドを2モルのBH6に対して7当量(すなわち、1モルのBH6に対して3.5当量)添加し、これらの混合物を、加圧条件下、120℃で2時間反応させた(付加反応)。次いで、反応容器にシュウ酸(15g)を添加して付加反応を停止させ、反応液中の不溶な塩を吸引ろ過によって除去し、さらに、反応液中のN,N−ジメチルホルムアミドを減圧蒸留法により除去することにより、メソゲンジオールBを得た。メソゲンジオールBの合成スキームを式(3)に示す。なお、式(3)中に示したメソゲンジオールBは代表的なものであり、種々の構造異性体を含み得る。
Figure 2018096723
次に、メソゲンジオールB(100g)、光重合性基含有化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(6g)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2g)、光硬化開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(1g)、並びにイソシアネート化合物として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(32g)を混合し、液晶性エラストマー原材料組成物を調製した。そして、この液晶性エラストマー原材料組成物を撹拌しながら100℃に加熱し、2時間養生して試料とした。次いで、この試料を、離型フィルムを介して120℃に予熱した二枚のステンレス板で上下を挟み込み、20MPaの加圧ホットプレスにかけて120℃で30秒間プレス処理を行った。プレス処理後、試料からステンレス板を取り外し、離型フィルムで挟んだ状態で室温まで冷却した。最後に試料から離型フィルムを剥がし、0.5mm厚に成膜された実施例5の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)を得た。
〔比較例1〕
液晶性エラストマー原材料組成物を調製するに際し、光重合性基含有化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(1g)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2g)、並びにイソシアネート化合物として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(37g)を配合した。ただし、光硬化開始剤は使用しなかった。その他の原材料及び配合量、並びに製造条件については実施例1と同様とし、比較例1の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)を得た。
〔比較例2〕
液晶性エラストマー原材料組成物を調製するに際し、光重合性基含有化合物としてプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(1g)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(4g)、並びにイソシアネート化合物として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(27g)を配合した。その他の原材料及び配合量、並びに製造条件については実施例1と同様とし、比較例2の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)を得た。
〔液晶性エラストマー原材料組成物の特性評価〕
実施例1〜5、及び比較例1〜2の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)について、波長500〜800nm及び波長380nmにおける光透過率を測定した。また、実施例1〜5、及び比較例1〜2の試料(光架橋前の液晶性ポリウレタンエラストマー前駆体)にUV照射を行い、生成した液晶性ポリウレタンエラストマーの硬化状態(光架橋の程度)を評価した。さらに、光架橋によって生成した液晶性ポリウレタンエラストマーの熱応答性の有無を確認した。各測定項目の測定方法及び測定条件を以下に説明する。
<光透過率>
実施例1〜5、及び比較例1〜2において成膜された試料(厚み0.5mm)を10mm×50mmに切り出し、光透過率測定用試料とした。光透過率測定用試料をガラスセル(光路長10mm×光路幅10mm×高さ45mm)に入れて超純水で充たし、紫外可視分光光度計(品名:UV−1600PC、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
<硬化状態>
実施例1〜5、及び比較例1〜2において成膜された試料(厚み0.5mm)を10mm×10mmに切り出し、卓上型UV硬化装置(品名:アイminiグランテージ(ESC−1511U)、アイグラフィックス株式会社製)にセットして、照射エネルギーが500mJとなるようにUV照射を行った。硬化状態の評価は、ゲル分率の測定により行った。ゲル分率は、UV照射後の試料をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に浸漬して非ゲル化物を溶出し、DMFから取り出したものを十分に乾燥させて浸漬前後の重量から算出した。そして、ゲル分率が80%以上となったものを「硬化している(○)」と判断した。
<熱応答性>
実施例1〜5、及び比較例1〜2において成膜された試料(厚み0.5mm)を10mm×50mmに切り出し、長手方向に延伸させた状態で照射エネルギーが500mJとなるようにUVを照射し、液晶性ポリウレタンエラストマーを生成した。そして、配向方向(延伸方向)における長さをスケールで測定し、液晶相から等方相への相転移に伴って長さに減少(収縮)が認められたものを「熱応答性あり(○)」と判断した。
実施例1〜5、及び比較例1〜2における測定結果を以下の表1にまとめる。
Figure 2018096723
実施例1〜5の液晶性エラストマー原材料組成物は、何れも、波長500〜800nmにおける光透過率が全波長域において50%以上であり、且つ波長380nmにおける光透過率が20%以下であった。すなわち、「液晶性ポリウレタンエラストマーの作製」の項目で示した第一条件及び第二条件を満たすものであった。実施例1〜5の液晶性エラストマー原材料組成物にUV照射を行って作製した液晶性ポリウレタンエラストマーは、硬化状態が良好であることが確認された。また、ゲル分率も80%以上の高い結果となり、光架橋が十分に進行したものと考えられる。さらに、液晶性ポリウレタンエラストマーの熱応答性が確認され、熱応答性材料として有用であることが示唆された。
これに対し、比較例1の液晶性エラストマー原材料組成物は、波長500〜800nmにおける光透過率は全波長域において50%以上であったが、波長380nmにおける光透過率が20%を超えており、第二条件を満たさなかった。比較例1の液晶性エラストマー原材料組成物にUV照射を行って液晶性ポリウレタンエラストマーを作製したが、硬化していないことが認められた。また、ゲル分率も低い結果となり、光架橋が十分に進行しなかったものと考えられる。さらに、液晶性ポリウレタンエラストマーの熱応答性も確認できなかった。
比較例2の液晶性エラストマー原材料組成物は、波長380nmにおける光透過率は20%以下であったが、波長500〜800nmにおける光透過率が全波長域において50%未満であり、第一条件を満たさなかった。比較例2の液晶性エラストマー原材料組成物にUV照射を行って液晶性ポリウレタンエラストマーを作製したが、硬化していないことが認められた。また、DMFに浸漬すると全て溶解し、ゲル分率は測定できなかった。さらに、液晶性ポリウレタンエラストマーの熱応答性も確認できなかった。
本発明の液晶性エラストマー原材料組成物は、成形と硬化(架橋)とを分離して実施できるものであり、その結果、成形機の内部で原材料が硬化する虞がなくなるため、工業的な連続生産にも対応可能であり、実用性の高い材料である。
本発明の液晶性エラストマー原材料組成物は、衣料製品(繊維)、アクチュエータ、フィルター等の分野において利用できる可能性がある。

Claims (5)

  1. 活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、光重合性基含有化合物と、光硬化開始剤とを含む液晶性エラストマー原材料組成物であって、
    0.5mm厚に成膜した場合において、波長500〜800nmにおける光透過率が全波長域において50%以上であり、波長380nmにおける光透過率が20%以下である液晶性エラストマー原材料組成物。
  2. 前記波長500〜800nmにおける光透過率において、最大となる光透過率と最小となる光透過率との差分が20%以下である請求項1に記載の液晶性エラストマー原材料組成物。
  3. 前記光硬化開始剤は、200〜600nmに吸収波長を有する請求項1又は2に記載の液晶性エラストマー原材料組成物。
  4. イソシアネート化合物をさらに含む請求項1〜3の何れか一項に記載の液晶性エラストマー原材料組成物。
  5. 前記活性水素基を有するメソゲン基含有化合物は、下記の一般式(1):
    Figure 2018096723
    (ここで、Xは活性水素基であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、−N=N−、−CO−、−CO−O−、又は−CH=N−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、又は−O−であり、Rは隣接する結合基の一部をなす単結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ただし、Rが−O−であり、且つRが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。)
    で表される化合物である請求項1〜4の何れか一項に記載の液晶性エラストマー原材料組成物。
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