JP6295184B2 - 分散物、フィルム、及びフィルムの製造方法 - Google Patents

分散物、フィルム、及びフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、分散物、フィルム、及びフィルムの製造方法に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置の表示面での外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために反射防止フィルムを設けることがある。
反射防止フィルムとしては、たとえば、高い屈折率を有するフィルム上に、低い屈折率を有する層を積層したものなどが用いられる(特許文献1参照)。
一方、特許文献2及び3には、ダイヤモンド粒子の表面を有機化合物で修飾した粒子は、研磨剤の分野で用いることが記載されている。
また、特許文献4には、上記ダイヤモンド粒子と、モノマーとを含む成型材料が記載されている。
特開2007−34213号公報 特表2003−527285号公報 国際公開第2009/060613号 特開2008−183640号公報
しかしながら、従来技術では、ダイヤモンド粒子を含む分散液の分散安定性や、それにより、高い屈折率を有し、ヘイズが低いフィルムを製造することについては検討されていなかった。
本発明の目的は、分散安定性に優れる分散物であって、高い屈折率を有し、かつ低いヘイズを有するフィルムを形成することができる分散物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、高い屈折率を有し、ヘイズが小さいフィルム及びこのフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明下記[1]〜[17]に関する。
[1]
粒径が50nm以下の架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、ポリマーバインダーと、架橋性モノマーと、有機溶剤とを含む分散物であって、
上記ポリマーバインダーが酢酸セルロース又はポリメチルメタクリレートである、分散物。
[2]
上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子の90%以上の粒径が50nm以下である[1]に記載の分散物。
[3]
上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、上記ポリマーバインダーと、上記架橋性モノマーとの合計の含有量が、分散物全体の質量に対して、5〜20質量%である[1]又は[2]に記載の分散物。
[4]
上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子の含有量が、上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、上記ポリマーバインダーと、上記架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、20〜70質量%である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の分散物。
[5]
上記架橋性モノマーの含有量が、上記ポリマーバインダーと、上記架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、10〜90質量%である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の分散物。
[6]
上記架橋性モノマーが、(メタ)アクリレート系モノマーを含む[1]〜[5]のいずれか1項に記載の分散物。
[7]
架橋性基を有するダイヤモンド粒子の架橋性基が、(メタ)アクリロイル基である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の分散物。
[8]
上記有機溶媒が、含ハロゲン溶媒である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の分散物。
[9]
上記ポリマーバインダーが、酢酸セルロースである[1]〜[7]のいずれか1項に記載の分散物。
[10]
上記酢酸セルロースの酢化度が、2.4〜3.0である[9]に記載の分散物。
[11]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の分散物から得られるフィルム。
[12]
上記フィルムの少なくとも片面の屈折率が、1.55〜2.2である[11]に記載のフィルム。
[13]
上記フィルムの内部ヘイズが0.01〜1%である[11]又は[12]に記載のフィルム。
[14]
上記フィルムの膜厚が5〜100μmである[11]〜[13]のいずれか1項に記載のフィルム。
[15]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の分散物を流延し、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法。
[16]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の分散物を流延し、上記架橋性モノマーを架橋させ、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法。
[17]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の分散物を流延し、乾燥させ、上記架橋性モノマーを架橋させる工程を有するフィルムの製造方法。
本発明は上記[1]〜[17]に関するものであるが、参考のためその他の事項(下記<1>〜<17>など)についても記載した。
<1>
粒径が50nm以下の架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、ポリマーバインダーと、架橋性モノマーと、有機溶剤とを含む分散物。
<2>
上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子の90%以上の粒径が50nm以下である<1>に記載の分散物。
<3>
上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、上記ポリマーバインダーと、上記架橋性モノマーとの合計の含有量が、分散物全体の質量に対して、5〜20質量%である<1>又は<2>に記載の分散物。
<4>
上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子の含有量が、上記架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、上記ポリマーバインダーと、上記架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、20〜70質量%である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の分散物。
<5>
上記架橋性モノマーの含有量が、上記ポリマーバインダーと、上記架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、10〜90質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の分散物。
<6>
上記架橋性モノマーが、(メタ)アクリレート系モノマーを含む<1>〜<5>のいずれか1項に記載の分散物。
<7>
架橋性基を有するダイヤモンド粒子の架橋性基が、(メタ)アクリロイル基である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の分散物。
<8>
上記有機溶媒が、含ハロゲン溶媒である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の分散物。
<9>
上記ポリマーバインダーが、酢酸セルロースである<1>〜<7>のいずれか1項に記載の分散物。
<10>
上記酢酸セルロースの酢化度が、2.4〜3.0である<9>に記載の分散物。
<11>
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の分散物から得られるフィルム。
<12>
上記フィルムの少なくとも片面の屈折率が、1.55〜2.2である<11>に記載のフィルム。
<13>
上記フィルムの内部ヘイズが0.01〜1%である<11>又は<12>に記載のフィルム。
<14>
上記フィルムの膜厚が5〜100μmである<11>〜<13>のいずれか1項に記載のフィルム。
<15>
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の分散物を流延し、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法。
<16>
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の分散物を流延し、上記架橋性モノマーを架橋させ、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法。
<17>
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の分散物を流延し、乾燥させ、上記架橋性モノマーを架橋させる工程を有するフィルムの製造方法。
本発明によれば、分散安定性に優れる分散物であって、高い屈折率を有し、かつ低いヘイズを有するフィルムを形成することができる分散物を提供することができる。また、本発明によれば、高い屈折率を有し、ヘイズが小さいフィルム及びこのフィルムの製造方法を提供することができる。
以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明および本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<分散物>
本発明の分散物は、架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、ポリマーバインダーと、架橋性モノマーと、有機溶剤とを含む分散物である。
(架橋性基を有するダイヤモンド粒子)
架橋性基を有するダイヤモンド粒子とは、架橋性基を有する有機化合物で表面修飾されたダイヤモンド粒子のことを指す。
架橋性基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
架橋性基を有するダイヤモンド粒子の粒径は50nm以下であることが好ましく、90%以上の架橋性基を有するダイヤモンド粒子の粒径が50nm以下であることがより好ましい。架橋性基を有するダイヤモンド粒子の粒径は、90%以上の粒径が、1nm以上50nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。
架橋性基を有するダイヤモンド粒子の粒径は、透過電子顕微鏡により測定される。また、平均粒径は、その写真像から測定される。
架橋性基を有するダイヤモンド粒子の製造方法としては、特表2003−527285号公報、国際公開第2009/060613号、特開2008−183640号公報、特開2008−303104号公報、特開2011−132117号公報の記載を参照することができる。
<架橋性基を有するダイヤモンド粒子の調製法>
架橋性基を有するダイヤモンド粒子の調製法の好ましい実施形態の一つとして、ナノダイヤモンド表面の極性基と上記極性基と反応する官能基及び重合可能な官能基を有する化合物を反応させる工程を含む。
上記ナノダイヤモンドは、爆発法や高温高圧法によって製造される。爆発法は、トリニトロトルエンおよびヘキソーゲンを爆発させることにより、ナノサイズのダイヤモンドを得る方法である(A.Kruger,F.Kataoka,M.Ozawa,T.Fujino,Y.Suzuki,A.E.Aleksenskii,A.Ya.Vul’,E.Osawa,“Unusually tight aggregation in detonation nanodiamond: Identification and disintegration”Carbon,43,1722−1730(2005)参照)。高温高圧法は、例えば、密閉された高圧容器内で、鉄やコバルト等の金属の存在下、原料グラファイト粉末を1〜10GPaの高圧および800〜2000℃の高温に保持し、ダイヤモンドに直接相転移させる方法である(特開2002−66302号公報参照)。
重合可能な官能基(架橋性基)としてはビニル基、(メタ)アクリレート基、グリシジル基、イソシアネート基、アミン基、カルボキシル基又はシラノール基より選択される少なくとも1種類が好ましい。
使用できる表面修飾剤の具体例としては、2−イソシアナトメチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトフェニル(メタ)アクリレート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸2−(0−[1'メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、モノメチルトリイソシアネートシラン、テトライソシアネートシラン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メチレンビスフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
ナノダイヤモンド粒子に重合可能な化合物を表面修飾する為の分散媒としては、表面修飾剤を溶解させ、且つイソシアネート基と反応、分解しない分散媒であれば、特に限定されるものではなく、非水系有機溶剤等が使用される。これらの中でも、ナノダイヤモンド粒子に効率良く上記化合物を表面修飾させるために、ナノダイヤモンド粒子が良く分散する非プロトン性極性有機溶剤が好ましい。
ここでは、代表的な例として分散媒としてN−メチル−2−ピロリドンを使用する場合について述べるが、N−メチル−2−ピロリドン以外の分散媒もこれに準じて同様に実施できる。
まず、N−メチル−2−ピロリドンにナノダイヤモンド粒子を投入し、原料のナノダイヤモンド粒子を十分分散させる。分散方法は超音波浴中で撹拌しながら1〜48時間、好ましくは2〜24時間、より好ましくは5〜20時間程度である。なお、添加したナノダイヤモンド粒子が十分に分散できない場合は、遠心分離によって粗粒を取り除いても良い。
作製したナノダイヤモンド分散体の平均粒子径は、100nm以下、好ましくは3〜100nm、より好ましくは3〜50nm、特に好ましくは3〜40nmである。平均粒子径が100nm以上になると、表面修飾剤のイソシアネート基と反応する上記表面極性基が凝集により阻害されることがある。
ナノダイヤモンド粒子の濃度は、N−メチル−2−ピロリドン100重量部に対して、
0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
なお、分散体中に存在する水分が表面修飾剤と反応する恐れがある場合は、分散体にモレキュラーシーブス等の乾燥剤を添加し、2〜3日静置した後に使用すると効果的である。
次に分散体に表面修飾剤を混合する。表面修飾剤の使用量はナノダイヤモンド粒子1重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
引き続いて、撹拌しながら反応を開始する。この時反応を促進させる為にジブチルすずジラウラート等の触媒を添加してもよく、ビニル基、(メタ)アクリレート基等の表面修飾剤同士で重合する恐れがある場合は、ヒドロキノン等の重合禁止剤を添加してもよい。
反応温度は、20〜150℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜80℃、反応時間は0.5〜24時間、好ましくは1〜15時間、より好ましくは2〜10時間程度である。
反応が終了後、トルエン等の低極性溶剤を分散媒に対して重量基準で2〜5倍量加え、
表面修飾ナノダイヤモンド粒子を凝集又は沈殿させた後、ろ過等の手段で固液分離し、さらにN−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン等の表面修飾剤が溶解する有機溶剤で洗浄後、減圧乾燥し、目的とする表面修飾ナノダイヤモンド粒子を得る。なお、固液分離の手段として遠心分離機を使用することも可能である。
ダイヤモンド粒子を表面修飾するための架橋性基を有する有機化合物は、表面修飾に際しては、架橋性基を有する有機化合物を含む硬化性組成物として用いられることが好ましい。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物は、光照射及び/又は加熱により硬化可能な樹脂組成物であれば特に限定されず、例えば、不飽和二重結合を有する硬化性樹脂組成物、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテルを有する硬化性樹脂組成物が挙げられる。
上記不飽和二重結合を有する硬化性樹脂組成物としては特に限定されず、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基等を有する樹脂が挙げられ、なかでも反応性や汎用性の面より(メタ)アクリル基を有する樹脂が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル基とは、アクリル基又はメタクリル基のことをいう。
(メタ)アクリル基を有する樹脂としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレートと多カルボン酸化合物の酸無水物の反応物であるハーフエ__ステル,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、モノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
モノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートに用いられるグリシジル化合物としては、特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’ −ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’ −ビフェノール、ジメチル−4,4’ −ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’ −メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’ −ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のポリフェノール類のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
これらモノ又はポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレートは、そのエポキシ基に当量の(メタ)アクリル酸をエステル化反応させる事によって得ることができる。この合成反応は一般的に知られている方法により行うことが出来る。例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルにその当量の(メタ)アクリル酸を、触媒(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等)及び重合防止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等)と共に添加して、例えば80〜110℃でエステル化反応を行う。こうして得られた(メタ)アクリル化レゾルシンジグリシジルエーテルは、ラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂である。
上記環状エーテルを有する硬化性樹脂組成物としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。なかでも、反応速度や汎用性の観点からエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキセタン樹脂が好適である。上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、水添ビスフェノール型、ポリオキシプロピレンビスフェノールA型等のビスフェノール型等が挙げられる。また、その他にグリシジルアミン等も挙げられる。
上記エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エピクロンN−740、N−770、N−775(以上、いずれも大日本インキ化学社製)、エピコート152、エピコート154(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。クレゾールノボラック型としては、例えば、エピクロンN−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−695、N−665−EXP、N−672−EXP(以上、いずれも大日本インキ化学社製);ビフェニルノボラック型としては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製);トリスフェノールノボラック型としては、例えば、EP1032S50、EP1032H60(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製);ジシクロペンタジエンノボラック型としては、例えば、XD−1000−L(日本化薬社製)、HP−7200(大日本インキ化学社製);ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン850、エピクロン860、エピクロン4055(以上、いずれも大日本インキ化学工業社製);ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピコート807(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン830(大日本インキ化学工業社製);2,2’−ジアリルビスフェノールA型としては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製);水添ビスフェノール型としては、例えば、ST−5080(東都化成社製);ポリオキシプロピレンビスフェノールA型としては、例えば、EP−4000、EP−4005(以上、いずれも旭電化工業社製)等が挙げられる。
上記オキセタン樹脂の市販品として、例えば、エタナコールEHO、エタナコールOB
P、エタナコールOXTP、エタナコールOXMA(以上、いずれも宇部興産社製)等が挙げられる。また、上記脂環式エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、セロキサイド2021、セロキサイド2080、セロキサイド3000(以上、いずれもダイセル・ユーシービー社製)等が挙げられる。これらの環状エーテル基を有する硬化性樹脂組成物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(ポリマーバインダー)
ポリマーバインダーとしては、溶剤可溶性樹脂を用いることができる。本発明において「溶剤可溶性」とは、液温25℃の溶剤に1質量%以上溶解することを言うものとする。ここでいう溶剤とは、例えば、炭素数1以上8以下の有機化合物からなる群から選ばれる一種または複数を任意の割合で混合した組成物で、25℃1気圧において液体であるものを言う。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル類、およびこれらを任意の割合で混合した組成物が挙げられる。なお、本発明において使用可能な溶剤は、上記のものに限定されるものではない。
溶剤可溶性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体( A S 樹脂) 等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。
溶剤可溶性樹脂としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株) 製のアートン等が挙げられる。
また、溶剤可溶性樹脂としては、セルロース系ポリマー(好ましくはセルロースアシレート)を特に好ましく用いることができる。セルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースなどの酢酸セルロースが挙げられる。酢酸セルロースとしては、酢化度が2.4〜3.0であることが好ましい。
(架橋性モノマー)
本発明において「架橋性モノマー」とは、1分子中に重合性基を2つ以上有する化合物を言うものとし、1分子中に重合性基を3つ以上有する多官能重合性化合物であることがより好ましい。
多官能重合性化合物としては、重合性基を1分子中に2つ以上有するものであれば、モノマーであっても、オリゴマーやプレポリマー等の多量体であってもよい。また、重合性化合物には、多官能重合性化合物とともに、1分子中に含まれる重合性基の数が1つである単官能性化合物が含まれていてもよい。単官能性化合物も、モノマーであっても、オリゴマーやプレポリマー等の多量体であってもよい。
架橋性モノマーが有する重合性基としては、ラジカル重合性基であってもカチオン重合性基であってもよく、ラジカル重合性基が好ましい。エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタン基、メチロール基等の重合性基が、反応を良好に進行させて架橋構造を形成するうえで好ましく、エチレン性不飽和結合含有基が更に好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基を挙げることができ、(メタ)アクリロイルオキシ基および(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がいっそう好ましい。なお本発明において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」との記載は、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの意味で用いるものとする。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル」等も同様である。多官能重合性化合物に含まれる重合性基の数は1分子中に2以上であり、好ましくは2〜20の範囲であり、より好ましくは3〜12の範囲である。
多官能重合性化合物の好ましい一態様としては、エチレン性不飽和結合含有基を1分子中に2つ以上有する多官能性(メタ)アクリレート系モノマーを挙げることができる。
具体例として、2官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、共栄社化学製:ライトアクリレートNP−A(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212)等を挙げることもできる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、日本化薬製:KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、分子量579)、東亜合成製:アロニックスM−309(トリメチロールプロパントリアクリレート、分子量296)等を挙げることもできる。
また、上記(メタ)アクリレート系化合物は、分子骨格の一部が変性されているものでもよい。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものを使用することができる。
また、多官能重合性化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート系重合体等を挙げることもできる。これらの中でも、透明性および屈折率の点からウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコールおよび有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得ることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等;上記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);および、ポリエーテルポリオールを挙げることができる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等を挙げることができる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、これらイソシアネート化合物の付加体、またはこれらイソシアネートの多量体等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであることが、フィルムの一層の高硬度化の面から好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、6官能以上であることが好ましく、6〜15官能であることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日本合成化学工業社製:UV1700B(質量平均分子量2000、10官能)、UV7600B(質量平均分子量1500、6官能)、日本化薬社製:DPHA40H(質量平均分子量7000、10官能)、UX5003(質量平均分子量700、6官能)、根上工業社製:UN3320HS(質量平均分子量5000、15官能)、UN904(質量平均分子量4900、15官能)、UN3320HC(質量平均分子量1500、10官能)、UN3320HA(質量平均分子量1500、6官能)、荒川化学工業社製:BS577(質量平均分子量1000、6官能)、および、新中村化学工業社製:U15HA(質量平均分子量2300、15官能)、U−6LPA(質量平均分子量800、6官能)、等を挙げることができる。
本発明の分散物において、架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、ポリマーバインダーと、架橋性モノマーとの合計の含有量が、分散物全体の質量に対して、5〜20質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが更に好ましい。
本発明の分散物において、架橋性基を有するダイヤモンド粒子の含有量が、架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、ポリマーバインダーと、架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、20〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
本発明の分散物において、架橋性モノマーの含有量が、ポリマーバインダーと、架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
(有機溶剤)
本発明の分散物に含まれる有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられる。
有機溶剤としては、含ハロゲン溶媒であることが好ましく、メチレンクロライドが特に好ましい。
本発明の分散物中、有機溶媒の含有量は、60〜95質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
本発明の分散物に含まれる有機溶剤には、水が含まれてもよい。本発明の分散物の有機溶剤中に含まれる水は、0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明の分散物は、紫外線吸収剤を含んでもよい。紫外線吸収剤としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例等の詳細については、特開2006−184874号公報段落0109〜0190を参照できる。また、高分子紫外線吸収剤も使用可能であり、例えば特開平6−148430号公報に記載のポリマータイプの紫外線吸収剤を用いることができる。特開2012−215812号公報段落0054に記載の紫外線吸収剤の使用も可能である。また、後述の実施例で用いる紫外線吸収剤は、好ましい紫外線吸収剤の一つである。
(界面活性剤)
本発明の分散物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、特に制限はなく、市販品または公知の方法で合成可能な各種界面活性剤を用いることができる。具体例としては、下記に限定されるものではないが、シリコーン系化合物およびフッ素系化合物を挙げることができる。
(重合開始剤)
本発明の分散物は重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であってもカチオン重合開始剤であってもよい。併用される重合性化合物の種類に応じて適切な重合開始剤を選択すればよい。上記の通り、重合性化合物が有する重合性基としてはラジカル重合性基が好ましいため、ラジカル重合開始剤の使用が好適である。なお重合処理を施すことにより重合性化合物に含まれる重合性基がラジカルを発生し開始剤として機能する場合もある。そのような場合には、ドープに重合開始剤を添加することなく重合性化合物の重合反応を進行させることができる。
熱重合開始剤の構造については、特に限定されるものではない。熱重合開始剤の具体的態様としては、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンエステル化合物、有機過酸化物、過酸化水素等を挙げることができる。有機過酸化物の具体例については、特許第5341155号公報段落0031に記載のものを挙げることができる。
アゾ化合物は、少なくとも1つのアゾ結合を含めばよく、アゾ結合とともに各種置換基を含むことができる。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド等のアゾニトリル化合物、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等のアゾエステル化合物、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロキシクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾイミダゾリン化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン等のアゾアルキル化合物、更にはアゾアミジン化合物、アゾ結合を有する繰り返し単位を含むポリマーの使用も可能である。アゾ化合物は、レドックス分解や誘発分解が生じにくい点等で好ましい熱重合開始剤である。
また、ヒドロキシルアミンエステル化合物としては、特表2012−521573号公報に記載の式Iで表されるヒドロキシルアミンエステル化合物を挙げることができる。
光重合開始剤も特に限定されるものではない。アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;技術情報協会,1991年発行)にも種々の光重合開始剤の例が記載されており、これらも使用可能である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASF製のイルガキュアシリーズ(IrgOXE01、Irg127、Irg651、Irg184、Irg819、Irg907)等が好ましい例として挙げられる。
本発明の分散物は光酸発生剤を含んでもよい。光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
市販の光酸発生剤としては、BASF製のイルガキュアシリーズ(Irg250、Irg270、Irg290)、東京化成工業(株)製、I0591、T1608、T2041等が好ましい例として挙げられる。
また、光重合開始剤として、界面活性作用と光重合開始作用とを有する化合物も使用可能である。そのような化合物としては、例えば、特開2009−035642号公報に界面活性光重合開始剤(D)として記載されている化合物を挙げることができる。詳細については、特開2009−035642号公報段落0077〜0094を参照できる。
(分散物の調製方法)
本発明の分散物は、上記成分を同時にまたは任意の順序で混合することにより調製することができる。調製方法は特に限定されるものではなく、流延製膜に関する公知技術を何ら制限なく適用することができる。
以下に、分散物の調製方法の好ましい具体例を記載する。
(1)架橋性基を有するダイヤモンド粒子を適当量はかる。そこに有機溶剤を加え、ダイヤモンド粒子を分散させ、ダイヤモンド粒子分散液を作製する。
(2)架橋性モノマーをはかり、有機溶剤を加え、架橋性モノマー溶液を作製する。
(3)ポリマーバインダーをはかり、有機溶剤を加える。加熱(たとえば80℃で6時間)する。加熱終了後、室温(25℃)まで冷却し、布などのフィルターでろ過する。
(4)上記(2)の架橋性モノマー溶液に、(1)のダイヤモンド粒子分散液を徐々に加える。均一(屈折率の偏りが見られない状態)になったことを確認して、(3)のポリマーバインダー溶液に加える。
(5)分散物が均一になるように混合する。
本発明の分散物は、上記成分が均一に分散しており、経時安定性にも優れる。
<フィルム>
本発明のフィルムは、本発明の分散物から得られる。
本発明の分散物から得られるフィルムは、屈折率が高く、かつヘイズが低いため、光学フィルムとして好適に用いることができる。また、このフィルムに、屈折率が低い層を積層することで、反射防止フィルムとして用いることもできる。
本発明のフィルムは、少なくとも片面の屈折率が、1.55〜2.20であることが好ましく、1.58〜2.20であることがより好ましく、1.65〜2.20であることが更に好ましい。
フィルムの屈折率の評価は、例えば、反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製:FE3000)を用いて行うことが出来る。25倍の対物レンズを使用し、波長550nmの反射率を測定し、計算することが出来る。
(フレネルの式) 反射率R=[(1−n)/(1+n)]
本発明のフィルムの内部ヘイズは、0.01〜1%であることが好ましく、0.01〜0.9%であることがより好ましく、0.01〜0.8%であることが更に好ましい。
本発明のフィルムの膜厚は、5〜100μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましく、5〜60μmであることが更に好ましい。
<フィルムの製造方法>
本発明のフィルムの製造方法は、本発明の分散物を流延し、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法である。
フィルムの製造方法として、より好ましくは下記の2つの態様が挙げられる。
(1)分散物を流延し、架橋性モノマーを架橋させ、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法。
(2)分散物を流延し、乾燥させ、架橋性モノマーを架橋させる工程を有するフィルムの製造方法。
(流延工程)
流延は、公知の方法を用いて行うことができる。本発明の分散物を単層流延してもよいし、本発明の分散物と、それ以外のドープを共流延してもよい。
(乾燥工程)
乾燥工程では、有機溶剤を乾燥させる。乾燥方法としては公知のいずれの方法も用いることができるが、露点及び温度を制御した空気を吹き付けることによる乾燥方法が好ましい。乾燥温度としては、0〜140℃が好ましく、20〜120℃がより好ましい。また、露点は、0〜20℃が好ましい。
(架橋性モノマーを架橋させる工程)
架橋性モノマーを架橋させる方法としては、紫外線照射であってもよいし、加熱であってもよいし、これらを組み合わせてもよい。
紫外線照射工程においては、照射量は、10〜1000mJ/cmであることが好ましく、50〜500mJ/cmであることがより好ましい。
加熱工程では、加熱温度は、80〜190℃が好ましく、80〜140℃がより好ましい。
以下に実施例に基づき本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<ダイヤモンド粒子の粉砕>
ダイヤモンド粒子(AR BROWN社製、uDiamond Molt Vox P)を出発物質とした。上記物質10.0gを塩化メチレン90.0gに分散し、更にジルコニアビーズ(粒径 11μm)を100.0g添加して、ロールミルで24時間、上記ダイヤモンド粒子を破砕した。分散液の一部をナイロンメッシュ上にとり、塩化メチレンを乾燥した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、ダイヤモンド粒子の粒径分布を測定した。粒径測定方法は、以下である。5μm×5μmの視野について粒子の粒径を測定した。10視野について測定し、粒径は観察される粒子の像の長径と短径の平均とした。
横軸に粒径、縦軸に各粒径を有する粒子の割合をとった粒径分布を表すグラフを作成し、粒子の割合の合計が90%となる粒径を、本発明の粒径の90%とした。上記で作製したダイヤモンド粒子の粒径は90%のものが、30nmであった。
<架橋性ダイヤモンド粒子の作製>
上記で作製した、ダイヤモンド粒子を空気下で48時間乾燥し、ダイヤモンド粒子の粉体を得た。上記ダイヤモンド粒子5.0gをN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学(株)製)999.5gに分散した。
<重合可能な基- Karenz MOIを導入したダイヤモンド粒子の調製(1)>
撹拌装置、加熱装置、還流装置および滴下装置を備えた4つ口の300mlガラス製反応器に、予めN−メチル−2−ピロリドンに分散させておいた0.5%ダイヤモンド分散液120mlをはかり取った。
この中に、撹拌を行いながら表面修飾剤である2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(Karenz MOI 昭和電工製)を2.74g加え、触媒であるジブチル錫ジラウラートを加え、重合禁止剤であるヒドロキノンを2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートに対して1000ppm加えた。次に、乾燥空気を反応液に30ml/minの流速で送り込みながら、60℃においてダイヤモンド粒子表面に修飾反応を行った。反応時間は5時間であった。
上記反応物を500mlのビーカーに取り出し、トルエン350mlを加え、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートで表面修飾したダイヤモンド粒子を凝集させた。(a)凝集させたナノダイヤモンド粒子を吸引ろ過にて固液分離し、上記粒子を100mlのビーカーに取り出し、N−メチル−2−ピロリドン/トルエン混合溶液80mlを加えた。(b)その後、超音波浴中で10min洗浄し、再び吸引ろ過にて固液分離を行った。(a)、(b)の操作を3回行った後、洗浄溶剤をメチルエチルケトンに替え、(a)、(b)と同様の操作を4回行った後、12時間減圧乾燥し、目的物(本発明の表面修飾ダイヤモンド、以下、調製(1)の粒子とも記載する)を得た。
上記で作製した調製(1)の粒子の粒径は90%のものが、32nmであった。
<重合可能な基- Karenz BEIを導入したダイヤモンド粒子の調製(2)>
調製(1)で使用した2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(Karenz MOI 昭和電工製)に代えて、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(Karenz BEI 昭和電工製)を用いた以外は調製(1)と同様にして重合可能な基- Karenz BEIを導入したダイヤモンド粒子(以下、調製(2)の粒子とも記載する。)を得た。
上記で作製した調製(2)の粒子の粒径は90%のものが、32nmであった。
<重合可能な基- Karenz AOIを導入したナノダイヤモンド粒子の調製(3)>
調製(1)で使用した2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(Karenz MOI 昭和電工製)に代えて、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(Karenz AOI 昭和電工製)を用いた以外は調製(1)と同様にして重合可能な基- Karenz AOIを導入したナノダイヤモンド粒子(以下、調製(3)の粒子とも記載する。)を得た。
上記で作製した調製(3)の粒子の粒径は90%のものが、33nmであった。
<グリシジル基を導入したダイヤモンド粒子>
ダイヤモンド粒子(AR BROWN社製、uDiamond Hydrogen P)を出発物質とした。上記物質10.0gを塩化メチレン90.0gに分散し、更にジルコニアビーズ(粒径 11μm)を100.0g添加して、ロールミルで24時間、上記ダイヤモンド粒子を破砕した。上記で作製したダイヤモンド粒子の粒径は90%のものが、30nmであった。次いで、作製したダイヤモンド粒子を空気下で48時間乾燥し、ダイヤモンド粒子の粉体を得た。上記物質5.0gを、塩素ガス雰囲気下200℃で10時間反応し、表面が塩素化されたダイヤモンド粒子を得た。
上記表面が塩素化されたダイヤモンド粒子1.0gを、塩化メチレン100.0gに分散し、次にジメチルホルムアミド1.0gを混合した。次いでヒドロキシグリシジルエーテル1.5gを室温で、攪拌しながら滴下した。室温で24時間反応したのち、粒子を濾過、塩化メチレンで3回洗浄したのち、空気雰囲気下24時間乾燥し、グリシジル基を導入したダイヤモンド粒子(以下、調製(4)の粒子とも記載する)を得た。
上記で作製したダイヤモンド粒子0.1gを10.0gの塩化メチレンに添加し、更にジルコニアビーズ(粒径 11μm)を10.0g添加して、ビーズミルを用いて室温で2時間分散した。上記で作製した粒子の粒径は90%のものが、32nmであった。
上記で作製した調製(4)の粒子の粒径は90%のものが、33nmであった。
<モノマー溶液の準備>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、DPHA)170.0gを、塩化メチレン830.0gに溶解したのち、カナキン濾布で濾過し、DPHA溶液を得た。
また、DPHAの替わりにトリメチロールプロパンテトラアクリレート(新中村化学(株)製、A−TMMT)を用い、同様の方法で、A−TMMT溶液を得た。
<バインダーポリマーの準備>
酢酸セルロース((株)ダイセル製、酢化度 2.86)170.0gを、塩化メチレン830.0gに添加、80℃で6時間保温した。酢酸セルロース/塩化メチレン混合物を、室温まで冷却した後、カナキン濾布で濾過し、酢酸セルロース溶液を得た。
また、酢酸セルロースの替わりにポリメチルメタクリレート樹脂(大東化学(株)製、PMMA)を用い、PMMA溶液を得た。
<光重合開始剤、光酸発生剤の準備>
Irgacure Oxe01(BASF製)1.7gを、塩化メチレン8.3gに添加、室温で1時間攪拌し、IrgOxe01溶液を得た。
また、Irgacure Oxe01の替わりに、Irgacure290を用い、Irg290溶液を得た。
<架橋基を有するダイヤモンド粒子の分散物作製>
上記で作製したダイヤモンド粒子(調製(1)の粒子)1.7gを、塩化メチレン8.3gに添加し、更にジルコニアビーズ(平均粒径 11μm)を50g添加し、室温3時間、ボールミルで粒子分散した。引き続き、上記で準備したDPHA溶液を20.0g、Oxe01溶液を0.2g添加し、更に室温で3時間、ボールミルで粒子分散した。次に、別途準備した酢酸セルロース溶液20.0gに、上記粒子/モノマー分散物を、ジルコニアビーズごと添加し、ボールミルで粒子分散した。分散後の分散物からジルコニアビーズを除去するため、カナキン濾布で濾過を行い、実施例1の分散物を得た。この分散物は、濾過後1時間後の目視観察で、沈殿物を認めなかった。
実施例1で作製した分散物に準じ、表1にある実施例2〜16の分散物を作製した。いずれの分散物も、目視観察で沈殿物を認めなかった。
(比較例1 溶媒が水の場合)
実施例1のバインダーポリマーの準備において、塩化メチレンの替わりに水を用いたところ、酢酸セルロースが溶解せず、所望の分散物を作製できなかった。
(比較例2 分散物にモノマーがない場合)
実施例1において、上記で作製したダイヤモンド粒子1.7gを、塩化メチレン8.3gに添加し、更にジルコニアビーズ(平均粒径 11μm)を50g添加し、室温3時間、ボールミルで粒子分散した。次に、別途準備した酢酸セルロース溶液40.0gに、上記粒子/モノマー分散物を、ジルコニアビーズごと添加し、ボールミルで粒子分散した。この分散物は、粒子が分散できていないことを目視で確認した。
(比較例3 分散物にバインダーポリマーがない場合)
実施例1において、上記で作製したダイヤモンド粒子1.7gを、塩化メチレン8.3gに添加し、更にジルコニアビーズ(平均粒径 11μm)を50g添加し、室温3時間、ボールミルで粒子分散した。次に、別途準備したDPHA溶液40.0gを添加し、室温で3時間ボールミルで粒子分散した。分散後の分散物からジルコニアビーズを除去するため、カナキン濾布で濾過を行い、比較例3の分散物を得た。この分散物は、濾過後1時間後の目視観察で、沈殿物が認められた。
(比較例4 90%の粒径が200nmである、調製(5)の粒子)
<ダイヤモンド粒子の粉砕>
ダイヤモンド粒子(AR BROWN社製、uDiamond Molt Vox P)を出発物質とした。上記物質10.0gを塩化メチレン90.0gに分散し、更にジルコニアビーズ(粒径 11μm)を100.0g添加して、ロールミルで8時間、上記ダイヤモンド粒子を破砕した。上記で作製したダイヤモンド粒子の粒径は90%のものが、200nmであった。
実施例1において、90%の粒径が30nmのものの替わりに、200nmのものを用いたほかは同様の操作を行い、架橋基を有するダイヤモンド粒子(以下、調製(5)の粒子とも記載する。)を得た。
実施例1において、調製(1)の粒子の替わりに調製(5)の粒子を用いた他は同様の操作を行い、比較例4の分散物を得た。この分散物は、濾過後1時間後の目視観察で、沈殿物が認められた。
Figure 0006295184
<光学フィルムの作製>
<(単層フィルムの作製)>
ガラス基板を準備し、上記基板を20℃に冷却した。次いで実施例1の分散物をガラス基板上に垂らし、所望の膜厚になるようにアプリケータを用いて摺り切ることで、分散物1の膜を流延した。室温で1分間静置し、更に70℃で6分間乾燥後、ガラス基板より膜を剥離し、実施例101のフィルムを得た。
フィルムは、膜厚が10μmであることを、膜厚計(アンリツ(株)製、K−402)で確認した。次いで、フィルム表面の屈折率は、流延時の空気側について、反射分光膜厚計(大塚電子(株)製、FE−3000)の測定結果より計算した結果、1.58であった。また、ヘイズは、フィルムをヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH2000)で全ヘイズを測定、次いで流延時の空気側に粘着剤付きフィルムを張り、表面ヘイズを消した条件で内部ヘイズを測定した。表面ヘイズは全ヘイズと内部ヘイズの差とした。このフィルムでは、表面ヘイズは0.1%、内部ヘイズは0.1%であった。
実施例101のフィルムについて、実施例1の分散物について流延時の膜厚適宜変える(アプリケータとガラス基板の隙間をかえる)ことで、また実施例1の分散物の代わりに実施例2から16の分散物を用い、実施例102から116および、101−2、101−3のフィルムを得た。これらのフィルムは、表面の屈折率及び内部ヘイズを満足するものであった。
実施例101のフィルムについて、実施例1の分散物の代わりに、比較例2から比較例4の分散物を用い、比較例102から比較例104のフィルムを得た。比較例102のフィルムは、バインダーポリマーが無いため、流延からフィルム剥離までの間に架橋性ダイヤモンド粒子がフィルム中で不均一となったため、内部ヘイズの満足できないフィルムになったと推定する。次いで、比較例103のフィルムは、架橋性モノマーが無いため、分散物に含まれるポリマーバインダーに起因すると考えられる粘度の影響で、架橋性ダイヤモンドが均一に分散できなかったため、内部ヘイズの満足できないフィルムになったと推定する。次いで、比較例104のフィルムは、架橋性ダイヤモンド粒子の90%以上の粒径が200nmであることで、内部ヘイズが満足できないフィルムになったと推定する。このように、比較例102から比較例104のフィルムは、満足できる性能にはならなかった。
Figure 0006295184
<(重層フィルムの作製1)>
酢酸セルロース(酢化度2.86)を17.0g準備し、これを塩化メチレン83.0gに溶解することで、濃度17質量%の酢酸セルロース溶液を準備した。
次いで、ガラス基板を準備し、ガラス基板が塩化メチレンが沸騰しない温度以下に冷却したのち、ガラス基板に近い側(以下、下層とも記載する)に酢酸セルロース溶液、空気側(以下、上層とも記載する)に実施例1の分散物を準備し、アプリケータを用いて下層にセルロース溶液、上層に分散物1となる膜を流延した。直後に紫外線露光機(HOYA−SCHOTT社製)で、露光量が300mJとなるようにフィルムを露光した。その後、室温で1分間静置し、次いで70℃で6分間乾燥後、ガラス基板より膜を剥離し、実施例201のフィルムを得た。このフィルムは、膜厚が60μm、上層表面の屈折率が1.56、内部ヘイズが0.2%と、性能を満足するものであった。
実施例201のフィルムについて、実施例1の分散物の代わりに実施例4または実施例12の分散物を用い、フィルムを作製することで、実施例204及び実施例212のフィルムを得た。これらのフィルムは、屈折率および内部ヘイズを満足するものであった。
<(重層フィルムの作製2)>
酢酸セルロース(酢化度2.86)を17.0g準備し、これを塩化メチレン83.0gに溶解することで、濃度17質量%の酢酸セルロース溶液を準備した。
次いで、ガラス基板を準備し、ガラス基板が塩化メチレンが沸騰しない温度以下に冷却したのち、下層に実施例1の分散物を、上層に酢酸セルロース溶液を準備し、アプリケータを用いて、下層に分散物1、上層にセルロース溶液となる膜を流延した。室温で1分間静置し、次いで70℃で6分間乾燥後、ガラス基板より膜を剥離した。更に、紫外線露光機(HOYA−SCHOTT社製)実施例301のフィルムを得た。このフィルムは、膜厚が60μm、上層表面の屈折率が1.57、内部ヘイズが0.2%と、性能を満足するものであった。
実施例301のフィルムについて、実施例1の分散物の代わりに実施例4または実施例12の分散物を用い、フィルムを作製することで、実施例304及び実施例312のフィルムを得た。これらのフィルムは、屈折率および内部ヘイズを満足するものであった。
Figure 0006295184

Claims (17)

  1. 粒径が50nm以下の架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、ポリマーバインダーと、架橋性モノマーと、有機溶剤とを含む分散物であって、
    前記ポリマーバインダーが酢酸セルロース又はポリメチルメタクリレートである、分散物
  2. 前記架橋性基を有するダイヤモンド粒子の90%以上の粒径が50nm以下である請求項1に記載の分散物。
  3. 前記架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、前記ポリマーバインダーと、前記架橋性モノマーとの合計の含有量が、分散物全体の質量に対して、5〜20質量%である請求項1又は2に記載の分散物。
  4. 前記架橋性基を有するダイヤモンド粒子の含有量が、前記架橋性基を有するダイヤモンド粒子と、前記ポリマーバインダーと、前記架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、20〜70質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散物。
  5. 前記架橋性モノマーの含有量が、前記ポリマーバインダーと、前記架橋性モノマーとの合計の含有量に対して、10〜90質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散物。
  6. 前記架橋性モノマーが、(メタ)アクリレート系モノマーを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の分散物。
  7. 架橋性基を有するダイヤモンド粒子の架橋性基が、(メタ)アクリロイル基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の分散物。
  8. 前記有機溶媒が、含ハロゲン溶媒である請求項1〜7のいずれか1項に記載の分散物。
  9. 前記ポリマーバインダーが、酢酸セルロースである請求項1〜7のいずれか1項に記載の分散物。
  10. 前記酢酸セルロースの酢化度が、2.4〜3.0である請求項9に記載の分散物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散物から得られるフィルム。
  12. 前記フィルムの少なくとも片面の屈折率が、1.55〜2.2である請求項11に記載のフィルム。
  13. 前記フィルムの内部ヘイズが0.01〜1%である請求項11又は12に記載のフィルム。
  14. 前記フィルムの膜厚が5〜100μmである請求項11〜13のいずれか1項に記載のフィルム。
  15. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散物を流延し、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散物を流延し、前記架橋性モノマーを架橋させ、乾燥させる工程を有するフィルムの製造方法。
  17. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散物を流延し、乾燥させ、前記架橋性モノマーを架橋させる工程を有するフィルムの製造方法。
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