JP2019090138A - 熱応答性布帛 - Google Patents

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裕希 日▲高▼
Yuki Hidaka
裕希 日▲高▼
井関 清治
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清治 井関
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Abstract

【課題】温度によってサイズが変化し得る熱応答性布帛において、当該布帛を構成する織物の糸種の選択及び織り方の工夫により、サイズを変化させることができる実用的な熱応答性布帛を提供する。【解決手段】温度によってサイズが変化し得る織物を含む熱応答性布帛100であって、織物を構成する複数の経糸10又は複数の緯糸20のうち、一方の糸の少なくとも一部が温度変化に応じて液晶相と等方相との間で可逆的に伸縮する熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸で構成され、他方の糸が前記熱応答性液晶性繊維を含まない糸で構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、温度によってサイズが変化し得る熱応答性布帛に関する。
工業製品、家庭用品、衣料製品、シューズ、寝具、日用品、家具等の素材に使用される布帛には、使用場面に応じて、通気性、吸放湿性、吸水性、速乾性、保温性、保湿性、伸縮性、密着性等の様々な機能が求められる。そこで、このような要求に応えるため、近年、様々な機能を有する機能性布帛が開発されている。
例えば、温度によってストレッチ率(伸縮率)が変化する布帛がある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の布帛は、ガラス転移点前後でストレッチ率が変化する糸を経糸又は緯糸に使用して織り上げた織物である。この布帛(織物)は、高温でストレッチ率が大きくなるように設計されており、衣服に加工すると、着用者が激しく動いて温度が上昇したときに衣服のストレッチ性が向上し、優れた着用快適性が得られるとされている。
また、温度によって形状を変化又は維持することが可能な布帛がある(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2の布帛は、形状記憶ポリマーよりなる糸を経糸又は緯糸に使用して織り上げた織物である。この布帛(織物)は、熱を加えることにより容易に変形し、温度を下げればその形状を維持できるため、下着や整形用具の素材として利用できるとされている。
特開2006−307368号公報 特開2000−345444号公報
これまでの布帛は、当該布帛を構成する糸として機能性を有する糸を使用することで、布帛全体としての特性(機能性)を高めることが検討されていたが、布帛のサイズを変化させるためには糸の使い方(織り方)についても工夫する必要がある。
特許文献1の布帛は、糸のストレッチ性に由来するストレッチ機能しか発現することができず、積極的に布帛のサイズを変化させることは意図していない。また、衣料製品以外の用途に拡大するためにはさらなる工夫が必要であると考えられる。
特許文献2の布帛は、使用条件によって形状記憶ポリマーよりなる糸の形状が変わるため、布帛のサイズが変化したとしても、布帛としての特性の変化が一定ではなく、実用上では扱い難いものと考えられる。
本発明は、このような従来技術に見られた問題点に鑑みてなされたものであり、特に、温度によってサイズが変化し得る熱応答性布帛において、当該布帛を構成する織物の糸種の選択及び織り方の工夫により、サイズを変化させることができる実用的な熱応答性布帛を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る熱応答性布帛の特徴構成は、
温度によってサイズが変化し得る織物を含む熱応答性布帛であって、
前記織物を構成する複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の少なくとも一部が温度変化に応じて液晶相と等方相との間で可逆的に伸縮する熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸で構成され、他方の糸が前記熱応答性液晶性繊維を含まない糸で構成されていることにある。
織物を構成する複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の少なくとも一部が熱応答性液晶性繊維を含むものであり、他方の糸が熱応答性液晶性繊維を含まないものである場合、当該熱応答性液晶性繊維が温度によって液晶相と等方相との間で可逆的に伸縮すると、それに伴って一方の糸(伸縮性糸)が長さ方向に沿って伸縮する。この場合、熱応答性布帛は、特定の方向(伸縮性糸の長さ方向)にサイズが変化することになる。本構成の熱応答性布帛は、このような性質を利用し、熱応答性布帛のサイズを変更可能なものとしている。これにより、本構成の熱応答性布帛では、織物の特定の方向における特性が有意に変化し、様々な機能を有する機能性布帛として利用価値が高いものとなる。
本発明に係る熱応答性布帛において、
前記織物を構成する複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の全部が前記伸縮性糸で構成されていることが好ましい。
本構成の熱応答性布帛によれば、織物を構成する複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の全部が熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸とすることで、熱応答性布帛のサイズを大きく変更することができる。従って、機能性布帛としてさらに利用価値が高いものとなる。
本発明に係る熱応答性布帛において、
前記伸縮性糸は、前記熱応答性液晶性繊維と非熱応答性繊維との混繊糸であることが好ましい。
本構成の熱応答性布帛によれば、伸縮性糸として、熱応答性液晶性繊維と非熱応答性繊維との混繊糸を使用することで、熱を加えない状態でも糸を伸縮させることができるため、常時伸縮可能な機能性布帛として利用価値が高いものとなる。
本発明に係る熱応答性布帛において、
前記熱応答性液晶性繊維は、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドと、架橋剤との反応物である液晶性ポリウレタンを含むことが好ましい。
本構成の熱応答性布帛によれば、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドと、架橋剤とが反応して液晶性ポリウレタンが生成する際、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドが液晶性ポリウレタンに含まれるメソゲン基の熱的安定性を低下させるように作用するため、液晶性ポリウレタンの液晶性発現温度が低下し、常温を含む比較的低温の領域で織物のサイズが有意に変化し得る使い易い熱応答性布帛を得ることができる。
本発明に係る熱応答性布帛において、
前記熱応答性液晶性繊維は、モノフィラメント又はマルチフィラメントとして構成されていることが好ましい。
本構成の熱応答性布帛によれば、熱応答性液晶性繊維は、モノフィラメント又はマルチフィラメントとして構成されているため、繊維構造によって伸縮性糸に発現する特性の幅を拡げることができる。その結果、織物の設計の自由度が高くなり、熱応答性布帛を様々な用途に利用することができる。
本発明に係る熱応答性布帛において、
前記液晶相と前記等方相との境界となる相転移温度(Ti)は、前記熱応答性液晶性繊維のガラス転移温度(Tg)以上かつ100℃以下であることが好ましい。
本構成の熱応答性布帛によれば、熱応答性液晶性繊維の相転移温度(Ti)が、ガラス転移温度(Tg)と100℃との間に存在するため、常温を含む比較的低温の領域で熱応答性液晶性繊維のサイズが大きく変化し、使い勝手が良好で実用的な熱応答性布帛となる。
本発明に係る熱応答性布帛において、
前記相転移温度(Ti)と前記ガラス転移温度(Tg)との差は、20℃以上であることが好ましい。
本構成の熱応答性布帛によれば、相転移温度(Ti)とガラス転移温度(Tg)との差を20℃以上とすることで、液晶相の領域が広く確保され、使い勝手が良好な実用的な熱応答性布帛となる。
図1は、本発明の熱応答性布帛の組織(織物)を拡大した模式図である。 図2は、本発明の熱応答性布帛の組織(織物)を拡大した模式図である。
以下、本発明の熱応答性布帛に関する実施形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
〔熱応答性布帛の素材〕
初めに、本発明の熱応答性布帛の主要な構成である織物の経糸及び緯糸の素材について説明する。熱応答性布帛を使い勝手の良いものとするためには、特に常温付近において、布帛の強度(耐久性)を一定以上に維持しながら、温度変化に応じて布帛の形態や特性の変位量を任意に変化させることが求められる。このような現象を発現する材料として、本発明では、分子構造内にメソゲン基を有する液晶性ポリマーを紡糸して得られる液晶性繊維を使用した。液晶性繊維は、温度によって液晶相と等方相との間で可逆的に相転移し(すなわち、熱応答性を有し)、液晶相と等方相とでは液晶(メソゲン基)の配向度が異なる。液晶性繊維の配向度が変化すると、当該液晶性繊維を含む経糸又は緯糸の状態が変化し、それが織物の形態に現れ、ひいては熱応答性布帛の特性の変化をもたらす。従って、このような熱応答性を有する液晶性繊維(以下、「熱応答性液晶性繊維」と称する。)は、本発明の熱応答性布帛の原材料として好適に使用することができる。
熱応答性液晶性繊維は、液晶性ポリウレタンを含む。液晶性ポリウレタンは、液晶性と伸縮性とを兼ね備えた液晶性エラストマーである。液晶性ポリウレタンは、液晶性繊維のマトリックスを構成するものであり、溶融紡糸により繊維状に加工される。ここで、本明細書において、「マトリックス」とは、材料の主成分であることを意味する。従って、液晶性繊維は、主成分の他に、少量添加される副成分(例えば、他のポリマー、低分子物質、フィラー等)や、微小な三次元構造物(例えば、気泡、空隙等)などを含み得ることを排除するものではない。
液晶性ポリウレタンは、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物(以下、単に「メソゲン基含有化合物」と称する。)と、イソシアネート化合物と、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドと、架橋剤とを反応させることにより生成される。液晶性ポリウレタンを生成する際、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドが液晶性ポリウレタンに含まれるメソゲン基の熱的安定性を低下させるように作用するため、液晶性ポリウレタンの液晶性発現温度が低下し、常温を含む低温領域で、無溶媒で熱応答性液晶性繊維を成形(紡糸)することが可能となる。
メソゲン基含有化合物は、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物が使用される。
Figure 2019090138
式中、Xは前記メソゲン基の分子構造の一部であって、隣接する結合基の一部をなす単結合、−N=N−、−CO−、−CH=N−、−CO−O−、−CH−、−CH=CH−、又は−CO−NH−であり、A及びAは独立して又は共に、炭素数3〜8のシクロアルカン、ベンゼン環、ナフタレン、ビフェニル、若しくはこれらのヘテロ環式化合物、又はこれらの一部が−Br、−Cl、若しくは−CHで置換された化合物であり、Y及びYは独立して又は共に、隣接する結合基の一部をなす単結合、−O−、−CO−、−S−、−Se−、又は−Te−であり、B及びBは独立して又は共に、隣接する結合基の一部をなす単結合、又はmが1〜20の整数である−(CH−である。ただし、Y及びYが−O−であり、且つB及びBが隣接する結合基の一部をなす単結合であるものを除く。Z及びZは前記活性水素基を有する末端基であって、独立して又は共に、−OH、−SH、−NH、−COOH、−CHO、−O−CH(OH)−CHOH、又は二級アミン等である。なお、「隣接する結合基の一部をなす単結合」とは、当該単結合が隣接する結合基の一部と共有されている状態を意味する。例えば、上記一般式(1)において、Zが−OHであり、Yが−CO−であり、Bが隣接する結合基の一部をなす単結合である場合、Z−B−Yの部位はHO−CO−となり、単結合であるBは両側の−OH及び−CO−と共有された状態となる。
イソシアネート化合物は、例えば、ジイソシアネート化合物、又は3官能以上のイソシアネート化合物を使用することができる。ジイソシアネート化合物を例示すると、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、及びm−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、並びに1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。上掲のジイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。3官能以上のイソシアネート化合物を例示すると、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート、及びテトライソシアネートシラン等のテトライソシアネートが挙げられる。上掲の3官能以上のイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。イソシアネート化合物は、上掲のジイソシアネート化合物と、上掲の3官能以上のイソシアネート化合物とを混合したものを使用することも可能である。イソシアネート化合物の配合量は、液晶性ポリウレタンの全原材料に対して、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%となるように調整される。イソシアネート化合物の配合量が10重量%未満の場合、ウレタン反応による高分子化が不十分となるため、液晶性ポリウレタンを連続成形することが困難となる。イソシアネート化合物の配合量が40重量%を超える場合、全原材料に占めるメソゲン基含有化合物の配合量が相対的に少なくなるため、液晶性ポリウレタンの液晶性が低下する。
アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドを使用することができる。上掲のアルキレンオキシドは、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。スチレンオキシドについては、ベンゼン環にアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン等の置換基を有するものでもよい。アルキレンオキシドは、上掲のアルキレンオキシドと、上掲のスチレンオキシドとを混合したものを使用することも可能である。アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドの配合量は、メソゲン基含有化合物1モルに対して、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドが1〜10モル、好ましくは2〜8モル付加されるように調整される。アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドの付加モル数が1モル未満の場合、液晶性ポリウレタンの液晶性が発現する温度範囲を十分に低下させることが困難となり、そのため、無溶媒で且つ液晶性が発現した状態で原材料を反応硬化させながら液晶性ポリウレタンを連続成形することが困難となる。アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドの付加モル数が10モルを超える場合、液晶性ポリウレタンの液晶性が発現し難くなる虞がある。
架橋剤は、熱架橋剤又は光架橋剤(光重合性基含有化合物)を使用することができる。熱架橋剤としては、例えば、少なくとも3つの反応性官能基を有するポリオール(以下、「3以上の反応性官能基を有するポリオール」とも言う。)を使用することができる。このようなポリオールを架橋剤として使用すれば、液晶性ポリウレタンが緻密化されるため、材料として一定以上の強度を確保することができる。また、ポリオールは、分子構造内の立体障害が少ないため、液晶性ポリウレタンの相転移温度前後における物性(例えば、弾性率、破断応力など)の過剰な変化が抑制される。従って、液晶性繊維が液晶相から等方相に相転移したとき、熱応答性を維持しながら、液晶性ポリウレタンの物性低下を少なくすることができる。少なくとも3つの反応性官能基を有するポリオールを例示すると、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリエステルポリカーボネートポリオール等の3つ以上の水酸基を有する高分子量ポリオール(分子量400以上)、並びにトリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、meso−エリトリトール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、及びトリエタノールアミン等の低分子量ポリオールが挙げられる。上掲のポリオールは、単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
光架橋剤(光重合性基含有化合物)としては、例えば、アクリロイル基含有化合物、メタクリロイル基含有化合物、アリル基含有化合物を使用することができる。アクリロイル基含有化合物を例示すると、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールA PO2mol付加物ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。メタクリロイル基含有化合物を例示すると、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンジメタクリレート、ビスフェノールA PO2mol付加物ジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。アリル基含有化合物を例示すると、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
光架橋剤(光重合性基含有化合物)を使用する場合、光硬化開始剤を併用することが好ましい。光硬化開始剤は、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフォンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン/ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル/オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)/プロピレンカーボネート、トリアリールスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート、オキシムスルホネート系光酸発生剤を使用することができる。
架橋剤の配合量は、すべての原材料(メソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシド、並びに架橋剤)の合計量を100重量部としたとき、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜18重量部に調整される。このような範囲であれば、液晶性ポリウレタン中のメソゲン基は適度に動くことが可能であり、熱応答性と液晶性とをバランスよく発現させることができる。架橋剤の配合量が0.1重量部未満の場合、液晶性ポリウレタンが十分に硬化しないため、マトリックス自体が流動して熱応答性が得られなくなる虞がある。架橋剤の配合量が20重量部を超える場合、液晶性ポリウレタンの架橋密度が高くなり過ぎるため、メソゲン基の配向が阻害されて液晶性が発現し難くなり、熱応答性が得られなくなる虞がある。
光架橋剤(光重合性基含有化合物)に光硬化開始剤を併用する場合の当該光硬化開始剤の配合量は、すべての原材料(メソゲン基含有化合物、イソシアネート化合物、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシド、光架橋剤、及び光硬化開始剤)の合計量を100重量部としたとき、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%となるように調整される。光硬化開始剤の配合量が0.5重量%未満の場合、光照射時に均一に重合反応が進行しないため、あるいは硬化が不十分となるため、生成したポリウレタンは液晶性を発現し難くなる。光硬化開始剤の配合量が10重量%を超える場合、生成したポリウレタン中のメソゲン基の含有量が減少するため、液晶性が発現し難くなる。光硬化開始剤は、200〜600nmに吸収波長を有するものが好ましい。光硬化開始剤が上記範囲の吸収波長を有していれば、液晶性ポリウレタン又はその原材料の透明度(可視光の透過率)が低いものであっても、光硬化開始剤が光を吸収し、確実に光架橋反応を進行させることができる。
熱応答性液晶性繊維は、熱重合又は光重合により生成される。熱重合の場合、例えば、以下の反応スキームにより生成される。初めに、メソゲン基含有化合物とアルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドとを反応させ、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドが付加されたメソゲン基含有化合物(以下、「メソゲンジオール」と称する。)を調製する。得られたメソゲンジオールに、触媒及び一段階目のイソシアネート化合物を添加し、液晶性ウレタン化合物が得られる。一段階目のイソシアネート化合物は、NCO indexが50〜98となるように添加されることが好ましい。ここで、NCO indexとは、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の総数をイソシアネート基と反応可能なポリオールの活性水素基の総数で除したものに100を乗じた数値である。NCO indexが50未満の場合、液晶性ウレタン化合物の分子量が小さいため、液晶性ウレタン化合物の粘度が低く紡糸が困難になる虞がある。NCO indexが98を超える場合、一段階目のイソシアネート化合物の添加で液晶性ポリウレタンの架橋密度が高くなり過ぎるため、二段階目のイソシアネート化合物の添加で3官能以上の反応性官能基を添加しても架橋反応がほとんど起こらない虞がある。上記の条件により、3以上の反応性官能基を有するポリオールにより架橋される前に、得られる液晶性ウレタン化合物中に含まれるメソゲン基をある程度均一に分散した状態とすることができる。得られた液晶性ウレタン化合物に、架橋剤及び二段階目のイソシアネート化合物を添加し、加熱しながら混練すると半硬化状態の液晶性ウレタン化合物(プレポリマー)が得られる。二段階目のイソシアネート化合物は、最終的にNCO indexが100〜130となるように添加されることが好ましい。これにより、過不足なく、イソシアネート基がポリオールの活性水素基と反応することができる。この半硬化状態の液晶性ウレタン化合物を押出成形機等を用いて繊維状に押し出し、適切な条件下で養生すると、液晶性ウレタン化合物が高分子化しながら硬化し、繊維の形態に成形された液晶性ポリウレタン(エラストマー)が生成する。このとき、液晶性ポリウレタンをガラス転移温度(Tg)以上かつ相転移温度(Ti)以下(すなわち、液晶性が発現する温度)で延伸しながら成形すると、液晶性ポリウレタンに含まれるメソゲン基が延伸方向に沿うように動いて高度な配向性が得られる。そして、延伸した状態で液晶性ポリウレタンを養生すると、温度変化に応じて液晶相と等方相との間で可逆的に伸縮する液晶性ポリウレタンを含む熱応答性液晶性繊維が完成する。この熱応答性液晶性繊維は、液晶性ポリウレタン中のメソゲン基が延伸方向に配向したものであり、熱が加わるとメソゲン基の配向が崩れて(不規則となって)延伸方向に収縮し、熱を取り除くとメソゲン基の配向が復活して延伸方向に伸長するという特異的な熱応答挙動を示す。
光重合の場合、メソゲン基含有化合物、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシド、イソシアネート化合物、及び光架橋剤(光重合性基含有化合物)を含み、必要に応じて光硬化開始剤をさらに含む原材料に光を照射することにより液晶性ポリウレタンを生成することができる。具体的には、原材料を混練及び加熱し、紡糸装置を用いて延伸しながら繊維状に成形(紡糸)した後、これに光を照射して原材料間で光架橋反応を進行させ、硬化させる。原材料に照射する光は、波長が200〜600nmである紫外光ないし可視光が好ましい。このような光架橋による硬化法であれば、原材料を混練及び加熱し、次いで延伸して成形を行った後、冷却により温度が十分に低下した状態で硬化させることができる。すなわち、成形と光架橋(硬化)とを別々の工程として行うことができる。従って、常温を含む低温領域において液晶相が確実に発現する液晶性ポリウレタンを得ることができる。
液晶性ポリウレタンは、光架橋前の状態において、温度80〜120℃、及びせん断速度500s−1の環境下で測定される溶融粘度が5〜1000Pa・sであるように調製される。この調製は、各原材料の種類の選択、各原材料の配合比の最適化等により行うことができる。このような調製を行えば、常温を含む低温領域でも液晶性ポリウレタンの成形(紡糸)が容易なものとなり、液晶性ポリウレタン全体を均等に硬化させることができる。しかも、成形後に温度が十分に低下した状態(すなわち、液晶相が発現した状態)で原材料を硬化させることが可能なため、モノドメイン化が容易なものとなり、生成した液晶性ポリウレタンの液晶相の発現温度領域は常温を含む比較的低い温度領域となる。
液晶性ポリウレタンの原材料の混練及び加熱は、紡糸装置の中で成形と同時に行うことができる。初めに、紡糸装置に原材料を投入して十分に混練及び加熱する。次いで、混練溶融物を液晶性が発現する温度領域(すなわち、ガラス転移温度(T)以上かつ相転移温度(T)以下)で延伸しながら紡糸する。このとき、メソゲン基含有化合物に含まれるメソゲン基が延伸方向に沿うように動くため、高度な配向性が得られる。そして、延伸した混練溶融物を冷却し、延伸状態を保ったまま波長200〜600nm光を照射すると、配向性を維持したまま原材料間で架橋反応が進行し、低温液晶発現性と弾性とを兼ね備えた液晶性ポリウレタンが完成する。これは、連続式による製造方法である。一方、液晶性ポリウレタンの原材料を予め混練及び加熱してペレット状に成形しておき、ペレット化した原材料を、紡糸装置を用いて繊維状に成形した後、液晶性が発現する温度領域(すなわち、ガラス転移温度(T)以上かつ相転移温度(T)以下)で延伸し、延伸状態を保ったまま波長200〜600nm光を照射して液晶性ポリウレタンを製造することも可能である。これは、バッチ式による製造方法である。
熱応答性液晶性繊維に含まれる液晶性ポリウレタンの配向は、メソゲン基の配向度によって評価することができる。配向度の値が大きいものは、メソゲン基が一軸方向に高度に配向している。配向度は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いた1回全反射測定法(ATR)により、芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度(0°、90°)、及びメチル基の対称変角振動の吸光度(0°、90°)を測定し、これらの吸光度をパラメータとする以下の計算式に基づいて算出される。
配向度=(A−B)/(A+2B)
A:0°で測定したときの芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度/0°で測定したときのメチル基の対称変角振動の吸光度
B:90°で測定したときの芳香族エーテルの逆対称伸縮振動の吸光度/90°で測定したときのメチル基の対称変角振動の吸光度
上述の反応スキームにより得られた液晶性ポリウレタンは、そのまま熱応答性液晶性繊維の素材として利用可能であるが、液晶性ポリウレタンに副成分を少量添加したり、気泡を分散させて利用することも可能である。液晶性ポリウレタンに添加可能な副成分を例示すると、有機フィラー、無機フィラー、補強剤、増粘剤、離型剤、賦形剤、カップリング剤、難燃剤、耐炎剤、顔料、着色料、消臭剤、抗菌剤、防カビ剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、及び界面活性剤等が挙げられる。また、副成分として、他のポリマーや低分子物質を添加することも可能である。副成分が添加された液晶性ポリウレタンは、当該副成分の機能が付与されたものとなり、様々な場面で利用することができる。
液晶性ポリウレタン中に気泡を分散させる方法としては、例えば、液晶性ポリウレタンの原材料に発泡剤を混合しておき、液晶性ポリウレタンの硬化反応時に発泡剤を発泡させる方法が挙げられる。この場合、発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウムを使用することができる。また、液晶性ポリウレタン中に気泡を分散させる別の方法として、例えば、液晶性ポリウレタンの原材料に空気を含ませながら当該原材料を混合することにより、液晶性ポリウレタン中に気泡を混入させるメカニカルフロス法、液晶性ポリウレタンの原材料に中空フィラーを混合することにより、液晶性ポリウレタン中に中空フィラーを分散させる方法等が挙げられる。液晶性ポリウレタン中に気泡が分散した熱応答性液晶性繊維は、気泡によって断熱性が高まるため、温度変化が大きい環境でも使用することが可能となる。また、液晶性ポリウレタン中に気泡が含まれることで熱応答性液晶性繊維が軽量化されるため、例えば、スポーツウェアやシューズ用の布帛として好適に使用することができる。
熱応答性液晶性繊維の形態は、モノフィラメント又はマルチフィラメントの何れでも構わない。モノフィラメントは、上述のように、液晶性ポリウレタンを、紡糸装置を用いて繊維状に成形(紡糸)することにより得られる。繊維状の液晶性ポリウレタンを一軸延伸しながらロールに巻き取り、所定期間養生することによりモノフィラメントが生成する。マルチフィラメントは、モノフィラメントを数本〜数百本束ねて撚り合わせたものである。モノフィラメント又はマルチフィラメントとして構成された熱応答性液晶性繊維は、その形態に応じて様々な用途に利用することができる。
熱応答性液晶性繊維が常温を含む低温の温度領域で使用可能であるためには、適切なガラス転移温度(Tg)及び相転移温度(Ti)を有する液晶性ポリウレタンをマトリックスとして選択する必要がある。本発明では、液晶性ポリウレタンとして、相転移温度(Ti)が、当該液晶性ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)以上かつ100℃以下のものが好適に使用される。さらに、相転移温度(Ti)とガラス転移温度(Tg)との差は、20℃以上であることが好ましく、25℃以上であることがより好ましい。このような液晶性ポリウレタンを含む熱応答性液晶性繊維は、常温を含む比較的低温の領域で液晶性ポリウレタンの物性が大きく変化し、しかもその物性値が大きくなる液晶相の領域が広く確保されるため、熱応答性に優れながら、使い勝手が良好な実用的な材料となる。
〔熱応答性布帛の構成〕
熱応答性布帛は、当該布帛を構成する織物が上述の熱応答性液晶性繊維を含むことで、サイズを変化させることができる。織物は、複数の経糸と複数の緯糸とを織り込んで構成されるものであるが、織物のサイズが変化するためには、複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の少なくとも一部が熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸で構成され、他方の糸が熱応答性液晶性繊維を含まない糸で構成されることが必要となる。
ここで、「複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の少なくとも一部が熱応答性液晶性繊維を含む」とは、例えば、複数の経糸が熱応答性液晶性繊維を含むものである場合、全ての経糸が熱応答性液晶性繊維から構成されるもの、一部の経糸が全て熱応答性液晶性繊維から構成され、残部の経糸が全て熱応答性液晶性繊維とは異なる繊維(「他の繊維」とする。)から構成されるもの、全ての経糸が熱応答性液晶性繊維と他の繊維との混繊糸であるもの、一部の経糸が全て熱応答性液晶性繊維から構成され、残部の経糸が全て混繊糸から構成されるものが含まれる。複数の緯糸が熱応答性液晶性繊維を含むものである場合についても、経糸の場合と同様である。このような織組織を備えた本発明の熱応答性布帛の実施形態について、以下に説明する。
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る熱応答性布帛100の組織(織物)を拡大した模式図である。熱応答性布帛100は、織物を構成する複数の経糸10の全てが熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸で構成されている。一方、織物を構成する複数の緯糸20については、熱応答性液晶性繊維は一切含まず、一般的な繊維(ポリエステル、ナイロン、レーヨン、綿、麻、絹など)を含むように構成されている。(a)は経糸10に含まれる熱応答性液晶性繊維が液晶相にあるときの状態を示し、(b)は経糸10に含まれる熱応答性液晶性繊維が等方相にあるときの状態を示している。この場合、熱応答性布帛100は、伸縮性糸である経糸10の方向に沿ってサイズが変化する。図1に示す例では、(a)において破線で囲った領域の縦方向の長さL1は、(b)において長さL1より短い長さL2に縮む。なお、第一実施形態においては、複数の経糸10は、少なくとも一部が熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸を含んでいればよく、複数の経糸10の10%以上が伸縮性糸で構成されていれば、布帛として有意なサイズの変化が可能となる。
<第二実施形態>
図2は、第二実施形態に係る熱応答性布帛200の組織(織物)を拡大した模式図である。熱応答性布帛200は、織物を構成する複数の経糸10の全てが熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸で構成されている。一方、織物を構成する複数の緯糸20については、熱応答性液晶性繊維は一切含まず、一般的な伸縮性繊維(ポリウレタンなど)を含むように構成されている。(a)は経糸10に含まれる熱応答性液晶性繊維が液晶相にあるときの状態を示し、(b)は経糸10に含まれる熱応答性液晶性繊維が等方相にあるときの状態を示している。この場合、熱応答性布帛200は、伸縮性糸である経糸10の方向に沿ってサイズが変化するとともに、緯糸20の方向にもある程度サイズが変化する。図2に示す例では、(a)において破線で囲った領域の縦方向の長さL1、及び横方向の長さM1は、(b)において長さL1より短い長さL2、及び長さM1より短い長さM2に夫々縮む。なお、第二実施形態においても、複数の経糸10は、少なくとも一部が熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸を含んでいればよく、複数の経糸10の10%以上が伸縮性糸で構成されていれば、布帛として有意なサイズの変化が可能となる。
このように、本発明の熱応答性布帛は、当該布帛を構成する織物の特定の方向におけるサイズを有意に変化させることができるものであり、様々な機能を有する機能性布帛として利用価値が高いものとなる。
本発明の熱応答性布帛は、下着、スポーツウェア、シューズ等の衣料分野、アクチュエータ、フィルター等の工業分野、人工筋肉、カテーテル等の医学・医療分野において利用可能である。
10 経糸
20 緯糸
100,200 熱応答性布帛

Claims (7)

  1. 温度によってサイズが変化し得る織物を含む熱応答性布帛であって、
    前記織物を構成する複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の少なくとも一部が温度変化に応じて液晶相と等方相との間で可逆的に伸縮する熱応答性液晶性繊維を含む伸縮性糸で構成され、他方の糸が前記熱応答性液晶性繊維を含まない糸で構成されている熱応答性布帛。
  2. 前記織物を構成する複数の経糸又は複数の緯糸のうち、一方の糸の全部が前記伸縮性糸で構成されている請求項1に記載の熱応答性布帛。
  3. 前記伸縮性糸は、前記熱応答性液晶性繊維と非熱応答性繊維との混繊糸である請求項1又は2に記載の熱応答性布帛。
  4. 前記熱応答性液晶性繊維は、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物と、イソシアネート化合物と、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドと、架橋剤との反応物である液晶性ポリウレタンを含む請求項1〜3の何れか一項に記載の熱応答性布帛。
  5. 前記熱応答性液晶性繊維は、モノフィラメント又はマルチフィラメントとして構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の熱応答性布帛。
  6. 前記液晶相と前記等方相との境界となる相転移温度(Ti)は、前記熱応答性液晶性繊維のガラス転移温度(Tg)以上かつ100℃以下である請求項1〜5の何れか一項に記載の熱応答性布帛。
  7. 前記相転移温度(Ti)と前記ガラス転移温度(Tg)との差は、20℃以上である請求項6に記載の熱応答性布帛。
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