JPWO2018062074A1 - 軟質樹脂層の転写用フィルム - Google Patents

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祐樹 小野
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Abstract

本発明は、樹脂成形品を構成する樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させるとき、軟質樹脂層表面にクレーターが発生することを抑制した軟質樹脂層の転写用フィルムを提供することを目的とする。
上記目的のため本発明は以下の構成を有する。すなわち、離型フィルムの一方の面に軟質樹脂層を有し、前記離型フィルムの軟質樹脂層を有する面とは反対面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上である、軟質樹脂層の転写用フィルムである。

Description

本発明は、軟質樹脂層の転写用フィルムに関する。
各種樹脂成形品、例えば、自動車の内外装部材、電子機器筺体、家電製品、音響製品、家具、スーツケースなどに用いられる樹脂成形品の表面に傷が付くことを抑制するために、自己修復性樹脂層をこれらの樹脂成形品の表面に転写被着させるための転写箔(転写用フィルム)が提案されている(例えば、特許文献1〜4)。
特開2011−207009号公報 特開2011−161888号公報 国際公開第2008/105083号 国際公開第2013/021498号
上述した樹脂成形品の表面に自己修復性樹脂層などの軟質樹脂層を転写被着させる方法として、樹脂成形品を構成する樹脂板を溶融押出しによって製造するときに軟質樹脂層を転写被着させ、軟質樹脂層が転写被着された樹脂板を成形加工して樹脂成形品を製造する方法がある。
上記した溶融押出しによる樹脂板の製造方法において、押出成形機(ダイ)から溶融状態でシート状に押し出された樹脂シートを所定の厚みに成形するための一対のローラ間を通過させて、樹脂板が製造される。このとき、溶融状態の樹脂シートと軟質樹脂層の転写箔(転写用フィルム)を一緒に一対のローラ間を通過させることによって、軟質樹脂層が転写被着された樹脂板が製造される。
この軟質樹脂層の転写工程に、前述の特許文献1〜4に開示されているような転写箔(転写用フィルム)を使用した場合、軟質樹脂層表面にクレーター(凹み)が発生するという問題が起こることがある。この問題は、転写箔(転写用フィルム)とローラとの間に混入した空気(噛み込んだ空気)が滞留して気泡となり、高温状態(例えば130℃以上)にて、ローラで圧接されることによって軟質樹脂層表面にクレーター(気泡状の凹み)を形成させていると推測される。
そこで本発明の目的は、上述したような問題に鑑み、樹脂成形品を構成する樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させるとき、軟質樹脂層表面にクレーターが発生することを抑制した軟質樹脂層の転写用フィルムを提供することにある。
上記課題を解決するため、発明者らは鋭意検討を重ね、転写用フィルムを構成する離型フィルムの軟質樹脂層が設けられた面とは反対面、すなわちローラと接する面に微細凹凸を形成することによって、転写用フィルムの離型フィルムとローラとの間に混入した空気(噛み込んだ空気)が滞留せずに放出され、軟質樹脂層表面のクレーター発生を抑制できることを見出した。すなわち、上記課題は、以下の発明によって解決される。
[1]離型フィルムの一方の面に軟質樹脂層を有し、前記離型フィルムの軟質樹脂層を有する面とは反対面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上である、軟質樹脂層の転写用フィルム。
[2]前記軟質樹脂層のマルテンス硬さが0.1〜100N/mmである、[1]に記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
[3]前記軟質樹脂層が自己修復性樹脂層である、[1]または[2]に記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
[4]前記離型フィルムの軟質樹脂層を有する面とは反対面に、前記離型フィルムが粒子含有層を有し、該粒子含有層表面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
[5]前記離型フィルムがフィルム基材を有し、該フィルム基材が粒子を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
[6]前記離型フィルムの軟質樹脂層が積層される面に、前記離型フィルムが離型層を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
[7]前記軟質樹脂層の離型フィルムとは反対面に接着層を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
[8]前記軟質樹脂層と接着層の間にアンカー層を有する、[7]に記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
[9]前記軟質樹脂層が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
本発明によれば、例えば、樹脂成形品を構成する樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させるとき、軟質樹脂層表面にクレーターが発生することが抑制された軟質樹脂層の転写用フィルムを提供することができる。
本発明の軟質樹脂層の転写用フィルムの一例を示す模式断面図である。 本発明の軟質樹脂層の転写用フィルムの他の一例を示す模式断面図である。 粒子含有層が積層された離型フィルムの一例を示す模式断面図である。 樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させる工程の一例を示す概略構成図である。 樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させる各工程における模式断面図である。 軟質樹脂層が被覆されたスーツケースの一例を示す概略断面図である。
本発明の軟質樹脂層の転写用フィルムは、離型フィルムの一方の面に軟質樹脂層を有する。以下の説明において、軟質樹脂層の転写用フィルムを単に「転写用フィルム」と略すことがある。
本発明の転写用フィルムは、離型フィルムの軟質樹脂層が設けられた面とは反対面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上である。以下の説明において、離型フィルムの軟質樹脂層が設けられた面とは反対面を単に「離型フィルムの反対面」と略すことがある。
[離型フィルム]
本発明における離型フィルムは、少なくともフィルム基材を含む。フィルム基材としては、各種樹脂フィルムを用いることができる。例えば、フッ素樹脂フィルム、シリコーン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム等のポリオレフィン樹脂フィルム、セルロース樹脂フィルム、ポリスルホン樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム、ポリフェニレンスルフィド樹脂フィルム、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
上記したポリオレフィン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、シリコーン樹脂フィルムなどのフィルム基材はそれ自体が離型性を有しており、本発明における離型フィルムとして使用することができる。
本発明の転写用フィルムは、前記離型フィルムの軟質樹脂層が積層される面に、前記離型フィルムが離型層を有することが好ましい。すなわち、本発明に用いられる離型フィルムとしては、上述のフィルム基材に離型層が設けられた離型フィルムが好ましく用いられる。つまり、軟質樹脂層と離型フィルムとの剥離性を良好にするために、フィルム基材に離型層が設けられた離型フィルムが好ましい。フィルム基材に離型層が設けられた離型フィルムを用いた場合は、離型層の面に軟質樹脂層が積層される。
離型フィルムの厚みは、20〜400μmの範囲が例示されるが、強度や加工性等の観点から50〜350μmの範囲がより好ましく、特に75〜330μmの範囲が好ましい。上記厚みの離型フィルムを得るためのフィルム基材の厚みとしては、20〜400μmの範囲が適当であり、50〜350μmの範囲がより好ましく、特に75〜330μmの範囲が好ましい。
本発明における離型フィルムは、離型フィルムの反対面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上であることが重要である。つまり、離型フィルムの反対面が、所定表面粗さ(0.07μm)以上の微細凹凸を有することにより、樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させるときのクレーター(凹み)の発生が抑制される。
クレーターの発生を有効に抑制するという観点から、離型フィルムの反対面の中心線平均粗さRaは、更に0.10μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましく、特に0.20μm以上が好ましい。
一方、離型フィルムの反対面の中心線平均粗さRaが大きくなり過ぎると、ローラとの滑り性が過剰となり、搬送性が悪化することがあるので、中心線平均粗さRaは2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.8μm以下が特に好ましい。
離型フィルムの反対面に、中心線平均粗さRaが0.07μm以上の微細凹凸を設ける方法としては、例えば、離型フィルムの反対面に粒子含有層を設ける方法が挙げられる。これは、離型フィルムを構成するフィルム基材に粒子含有層を積層することによって得られる。すなわち、本発明の転写用フィルムは、前記離型フィルムの軟質樹脂層を有する面とは反対面に、前記離型フィルムが粒子含有層を有し、該粒子含有層表面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上であることが好ましい。詳細は後述する。
離型フィルムの反対面に、中心線平均粗さRaが0.07μm以上の微細凹凸を設ける他の方法としては、離型フィルムを構成するフィルム基材に粒子を含有させる方法がある。すなわち、本発明の転写用フィルムは、前記離型フィルムがフィルム基材を有し、該フィルム基材が粒子を含有することが好ましい。
粒子を含有するフィルム基材は、例えば、フィルム基材の原料となる樹脂に粒子を混練したマスターペレットを作製し、このマスターペレットを用いて溶融押出し製膜することによって製造することができる。
また、離型フィルムの反対面に、中心線平均粗さRaが0.07μm以上の微細凹凸を設ける他の方法としては、例えば、離型フィルムあるいは離型フィルムを構成するフィルム基材を型付け加工(賦型)する方法が挙げられる。離型フィルムあるいはフィルム基材を型付け加工(賦型)する方法としては、例えば、エンボス加工方法、サンドブラスト加工方法、ドライエッチング加工方法などが挙げられる。
上記方法の中でも、加工性の観点から、離型フィルムの反対面に粒子含有層を設ける方法、粒子を含有するフィルム基材を用いる方法が好ましく、特に離型フィルムの反対面に粒子含有層を設ける方法が好ましい。
上記したフィルム基材に含有させる粒子および粒子含有層に含有させる粒子としては、耐熱性が高い粒子が好ましく、例えば、シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、メラミン樹脂粒子などの有機粒子が挙げられる。
以下、離型フィルムの反対面に粒子含有層を設ける方法、つまり、離型フィルムを構成するフィルム基材に粒子含有層を設ける方法について、詳細に説明する。
粒子含有層は、上記で例示したような粒子に加えて、該粒子を固着するためのバインダーを含有することが好ましい。かかるバインダーとしては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
粒子含有層は、上記バインダーを架橋するための架橋剤、例えば、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等を含有することが好ましい。
粒子の平均粒子径および添加量は、離型フィルムの反対面の中心線平均粗さRaの設計に応じて適宜調整される。粒子含有層が粒子とバインダーで構成されている場合、粒子含有層表面に微細凹凸を形成するという観点から、粒子の平均粒子径はバインダー被膜の厚みより大きいことが好ましい。
つまり、バインダー被膜の厚み(T)に対する粒子の平均粒子径(D)の比率(D/T)は、1.1以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.5以上が特に好ましい。上記比率(D/T)が大きくなり過ぎると、粒子含有層から粒子が脱落することがあるので、上記比率(D/T)は、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が特に好ましい。
バインダー被膜の厚みは、具体的には、0.1〜10μmの範囲が適当であり、0.3〜7μmの範囲が好ましい。このようなバインダー被膜の厚みの場合、粒子の平均粒子径は0.2〜20μm程度が好ましく、0.3〜15μmの範囲がより好ましく、0.5〜10μmの範囲が特に好ましい。
粒子含有層における粒子の含有量は、粒子含有層の固形分総量100質量%に対して、1〜70質量%の範囲が適当であり、2〜60質量%の範囲がより好ましく、4〜50質量%の範囲が特に好ましい。
また、クレーター(凹み)の発生を更に抑制するという観点から、粒子含有層表面に突起が、粒子含有層表面の50μm平方(2500μm)当たり2個以上の密度で存在することが好ましく、3個以上の密度で存在することがより好ましく、5個以上の密度で存在することが更に好ましく、10個以上の密度で存在することが特に好ましい。突起の個数の上限は、特に限定されないが、多くなり過ぎると、離型フィルムの反対面の中心線平均粗さRaが大きくなり過ぎて、ローラとの滑り性が過剰となり、搬送性が悪化することがある。そのため、突起の個数は、1000個以下が好ましく、500個以下がより好ましく、300個以下が特に好ましい。
粒子含有層表面における突起の密度は、粒子含有層表面の走査型電子顕微鏡(SEM)による表面写真によって確認することができる
突起の平均高さ(Have)は、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上が特に好ましい。突起の平均高さ(Have)が大きくなり過ぎると、粒子含有層から粒子が脱落することがあるので、突起の平均高さ(Have)は、10μm以下が好ましく、7μm以下が特に好ましい。
図3は、離型フィルムの反対面に粒子含有層が設けられた離型フィルムの一例を示している。離型フィルム11は、離型フィルムのフィルム基材21上に粒子含有層22が設けられている。粒子含有層22は、粒子22aがバインダー被膜22bで離型フィルムのフィルム基材21に固着されている。粒子22aは、粒子含有層表面(バインダー被膜22bの表面)に突出し突起を形成している。
突起の高さ(H)は、図3に示すように、粒子含有層のバインダー被膜22bの表面から突起の最も高い部分までの垂直距離である。突起の平均高さ(Have)は、粒子含有層の透過型電子顕微鏡(TEM)もしくは走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された断面写真から測定することができる。なお、図3における(T)は、バインダー被膜の厚みを示している。
本発明における離型フィルムは、上述した通りフィルム基材に離型層が設けられたものが好ましい。フィルム基材としては、加工のしやすさ、耐久性、耐熱性、コスト等の観点から、ポリエステル樹脂フィルムが特に好ましく、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが最も好ましい。また、フィルム基材は、無延伸フィルムでもよいが一軸延伸または二軸延伸されたフィルムであることが好ましい。
離型層を構成する離型剤としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、長鎖アルキル基含有樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ゴム系エラストマーなどが挙げられ、これらの離型剤を単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。これらの離型剤の中でも、離型フィルムと軟質樹脂層との剥離性を良好にするという観点から、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、長鎖アルキル基含有樹脂が好ましい。
シリコーン樹脂としては、硬化型シリコーン樹脂が好ましく、硬化型シリコーン樹脂としては、例えば縮合反応型、付加反応型、紫外線もしくは電子線硬化型等が挙げられる。
硬化型シリコーン樹脂としては、具体的には、以下のものが例示される。
信越化学工業(株)のKS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、KS−723A、KS−723B、KS−3703、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213など、
東芝シリコーン(株)のTPR−6701、−6702、−6703、−3704、−6705、−6722、−6721、−6700、XSR−7029、YSR−3022、YR−3286など、
ダウコーニング(株)のDKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、DKQ3−3061など、
東レ・ダウコーニング(株)のSRX357、SRX211、SRX67、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452など、
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズのYSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605など。
また、上記のシリコーン樹脂に剥離力調整剤(重剥離剤や剥離コントロール剤とも言う)を併用することによって、剥離力を調整することができる。剥離力調整剤としては、(1)SiO単位を有するシリカ構造のもの、(2)SiO単位と(CHSiO1/2単位を有するレジン構造のもの、(3)SiO単位とCH=CH(CHSiO1/2単位を有するレジン構造のもの等が挙げられる。このような剥離力調整剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)のKS−3800、X−92−183、東レ・ダウコーニング(株)のSDY7292、BY24−843、BY24−4980等を挙げることができる。
剥離力調整剤の添加量は、シリコーン樹脂100質量部に対して、1〜150質量部の範囲が好ましく、5〜100質量部の範囲がより好ましく、10〜75質量部の範囲が特に好ましい。
さらに、離型層中にはシリコーン樹脂を硬化させる触媒を添加することが好ましい。かかる触媒としては、白金系触媒が好ましく、具体的には、東レ・ダウコーニング(株)製のLTC−856、LTC−761、SRX−212、信越化学工業(株)製のKS−3800、X−62−183、X−62−2829、X−62−2853、X−62−2856、X−62−2857、PL−5000、PL−50T等が挙げられる。触媒の添加量は、シリコーン樹脂100質量部に対して0.3〜15質量部の範囲が好ましく、1〜12質量部の範囲がより好ましい。
変性シリコーン樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーン樹脂が挙げられる。変性シリコーン樹脂としては、具体的には、例えば、信越化学工業(株)製のX−62−9027、X−62−900B、東レ・ダウコーニング(株)のSR2114、SR2107、東芝シリコーン(株)のTSR180(以上アルキド変性シリコーン樹脂)、東芝シリコーン(株)のTSR187(ポリエステル変性シリコーン樹脂)、東芝シリコーン(株)のTSR171(アクリル変性シリコーン樹脂)などが挙げられる。
変性シリコーン樹脂の硬化を促進するために、酸触媒を添加することが好ましい。かかる酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、p−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。酸触媒の添加量は、変性シリコーン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が適当である。
長鎖アルキル基含有樹脂とは、炭素数が8以上の直鎖あるいは分岐のアルキル基を有する樹脂を指し、具体的には、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖アルキル基含有ポリエステル樹脂、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物等が挙げられる。
長鎖アルキル基の炭素数は、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上が特に好ましい。また、炭素数は30以下が好ましく、28以下がより好ましく、25以下が特に好ましい。
長鎖アルキル基含有樹脂は市販されているものを使用することができる。具体的には、中京油脂社製のレゼムシリーズの「K−256」、「N−137」、「P−677」、「Q−472」、アシオ産業社製のアシオレジンシリーズの「RA−95H」、「RA−585S」、一方社油脂社製のピーロイルシリーズの「HT」、「1050」、「1010」、「1070」、「406」、日本酢ビ・ポバール社製の「ZF−15」、「ZF−15H」、日本触媒社製のエポミン「RP−20」などが挙げられる。
離型剤として長鎖アルキル基含有樹脂を用いる場合は、架橋剤を併用することが好ましい。かかる架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤が好ましく用いられる。
メラミン系架橋剤は、トリアジン環の3つの炭素原子にアミノ基がそれぞれ結合した、いわゆるメラミン[1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン]のアミノ基に種々の変性を施した化合物の総称であり、トリアジン環が複数縮合したものも含む。変性の種類としては、3つのアミノ基の水素原子の少なくとも1つがアルキル化もしくはメチロール化されたものが好ましく用いられる。特に、少なくとも1つ以上のアミノ基がメチロール置換された、メチロール化メラミン化合物が好ましく用いられる。
また、長鎖アルキル基含有樹脂および架橋剤の硬化を促進させるために酸触媒を添加することが好ましい。酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、p−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。酸触媒の添加量は、長鎖アルキル基含有樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が適当である。
離型層の厚みは、10〜1000nmの範囲が一般的であり、20〜500nmの範囲が好ましく、50〜200nmの範囲が特に好ましい。
離型層は、フィルム基材上にウェットコーティング法により塗布され、乾燥、加熱硬化されて形成されることが好ましい。かかるウェットコーティング法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。加熱硬化条件としては、80〜200℃、好ましくは100〜180℃で、10〜200秒加熱することが好ましい。
また、離型層は、フィルム基材の製膜工程でインラインコーティングすることができる。例えば、ポリエステルフィルムの製造工程内で、ポリエステルフィルムを一軸延伸した後、離型層を塗布し、さらに延伸する(トータルで二軸延伸する)方法が挙げられる。
離型フィルムは、フィルム基材と離型層との間に、密着性向上、オリゴマー析出防止性、あるいは帯電防止性などのために中間層を設けることができる。
本発明の転写用フィルムにおいて、転写用フィルムから離型フィルムを剥離するときの剥離強度は、離型フィルムをスムーズに剥離するという観点から、5N/50mm以下が好ましく、2N/50mm以下がより好ましく、更に1N/50mm以下が好ましく、特に0.7N/50mm以下が好ましい。
一方、上記剥離強度が小さくなり過ぎると、例えば、離型フィルム上に軟質樹脂層を塗布して積層する工程において、軟質樹脂層の塗布性が低下して塗布ムラや塗布スジが発生したり、離型フィルムから軟質樹脂層が剥離するなどの不都合な問題が起こることがある。そのため、上記剥離強度は、0.01N/50mm以上が好ましく、0.03N/50mm以上が好ましい。
離型フィルムの軟質樹脂層が積層される面は、比較的平滑であることが好ましい。例えば、離型フィルムの軟質樹脂層が積層される面の中心線平均粗さRaは、0.06μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が特に好ましい。上記中心線平均粗さRaは、0.005μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましい。つまり、離型フィルムを構成するフィルム基材表面あるいは離型層表面の中心線平均粗さRaが上記範囲となるように調整されていることが好ましい。
上記したように、離型フィルムの軟質樹脂層が積層される面を平滑にすることにより、軟質樹脂層の塗布性が良好となり、また転写された軟質樹脂層の表面性(平滑性)が良好となる。
[軟質樹脂層]
本発明における軟質樹脂層としては、傷修復機能(軟質樹脂層表面に付けられた傷が自己修復する機能)を有する樹脂層(以下、「自己修復性樹脂層」ということがある)、あるいはソフトタッチ機能を有する樹脂層(以下、「ソフトタッチ性樹脂層」と言うことがある)が挙げられる。特に、本発明の転写用フィルムにおいて、軟質樹脂層が自己修復性樹脂層であることが好ましい。
本発明における軟質樹脂層の軟質程度は、例えばマルテンス硬さで表すことができる。本発明の転写用フィルムにおいて、軟質樹脂層のマルテンス硬さが0.1〜100N/mmであることが好ましい。
軟質樹脂層に傷修復機能やソフトタッチ機能を付与するという観点から、軟質樹脂層のマルテンス硬さは、100N/mm以下が適当であり、50N/mm以下が好ましく、30N/mm以下がより好ましく、15N/mm以下が特に好ましい。
一方、上記マルテンス硬さが低くなり過ぎると、粘着性が出てきたり、軟質樹脂層の強度が低下するなどの不都合が生じることがあるので、上記マルテンス硬さは、0.1N/mm以上が適当であり、1.0N/mm以上が好ましく、1.3N/mm以上がより好ましく、1.5N/mm以上が特に好ましい。
一般的に知られているハードコート層は硬質樹脂層であり、本発明の軟質樹脂層には含まれない。一般的なハードコート層のマルテンス硬さは、通常、150N/mm以上である。
また、本発明の軟質樹脂層には、粘着剤層や接着剤層は含まれない。本発明の軟質樹脂層は、樹脂成形品などの表面に転写被着されて、耐擦傷性や手触り感を向上させるものである。これに対して、粘着剤層や接着剤層は2つの部材を貼り合せるためのものであり、樹脂成形品などの表面に適用されるものではない。
[自己修復性樹脂層]
本発明における軟質樹脂層の好ましい形態として、自己修復性樹脂層が挙げられる。自己修復性樹脂層は、自己修復性樹脂層表面に付けられた傷が自己修復する機能(傷修復機能)を有する層である。具体的には、常温(23℃)環境下で金属ブラシ(真鍮ブラシ)によって自己修復性樹脂層表面に付けられた傷が消失することを意味する。
以下、常温(23℃)環境下で金属ブラシ(真鍮ブラシ)によって自己修復性樹脂層表面に付けられた傷が消失する時間を「傷消失時間」という。
本発明における傷消失時間は、24時間未満であることが好ましく、30分未満であることがより好ましく、3分未満であることが更に好ましく、10秒未満であることが特に好ましい。傷消失時間の下限は特に限定されないが、視覚的に傷消失が確認できる時間は0.1秒程度である。
自己修復性樹脂層表面に金属ブラシ(真鍮ブラシ)によって付けられた傷が消失したかどうか(傷修復機能を有するかどうか)は、例えば、目視もしくはヘイズ値を測定することによって判定することができる。
本発明の転写用フィルムの自己修復性樹脂層表面に、金属ブラシ(真鍮ブラシ)で傷を付けると、ヘイズ値は通常0.40%以上上昇する。しかし、自己修復性樹脂層が傷修復機能を有する場合は、一旦上昇したヘイズ値は傷が消失することによって傷を付ける前のヘイズ値に近くなる。従って、傷修復機能を有するかどうかをヘイズ値の変化で判定する場合は、傷を付ける前のヘイズ値(Hz0)と、金属ブラシ(真鍮ブラシ)で傷を付けた後に一定時間経過した後のヘイズ値(HzX)との差(HzX−Hz0)が0.30%未満であれば、傷修復機能を有すると判定する(詳しい判定法は後述する)。
自己修復性樹脂層の傷修復機能は、自己修復性樹脂層を構成する樹脂のソフトセグメントとハードセグメントとをバランスさせることによって発現する。ソフトセグメントはクッション的な働きをすることによって外力を緩和し、傷を弾性回復するように機能し、ハードセグメントは外力に対して抵抗するように機能する。ソフトセグメントだけでは弾性が弱くなり形状を保持することが困難となり、また傷回復性が低下する。一方、ハードセグメントだけでは傷が非可逆的に刻印される(傷が修復しない)。
自己修復性樹脂層に用いられる樹脂としては、ポリカプロラクトン骨格を有するウレタン樹脂、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂、ポリアルキレングリコール骨格を有するウレタン樹脂、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂などが知られており、これらのポリカプロラクトン骨格、ポリカーボネート骨格、ポリアルキレングリコール骨格、ポリエステル骨格がソフトセグメントとして機能し、ウレタン結合がハードセグメントとして機能すると考えられる。
後述するように、自己修復性樹脂層積層体は加熱成形性が良好であることが好ましい。この観点から、自己修復性樹脂層は、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有することが好ましい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有する自己修復性樹脂層とすることにより、加熱成形性が向上する。また、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有する自己修復性樹脂層は、上述したマルテンス硬さの範囲、0.1〜100N/mmの範囲に容易に調整することができる。
自己修復性樹脂層の加熱成形性を向上させるという観点から、後述するように、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂およびポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを合成するための原料であるポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、300〜7,000の範囲が好ましい。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が300未満であると、ソフトセグメント成分の比率が小さくなり過ぎて傷回復機能が発現しなかったり、成形性が低下するなどの不都合が生じることがある。一方、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が7,000を超えると、ソフトセグメント成分の比率が多くなり過ぎて樹脂層の硬度が低下し、逆に傷が付きやすくなる。
自己修復性樹脂層におけるポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の含有量は、自己修復性樹脂層の成形性を向上させるという観点から、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、更に60質量%以上が好ましく、特に70質量%以上が好ましい。一方、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の含有量が多くなりすぎると、傷の回復性が低下すること(傷消失時間が長くなること、あるいは傷が消失しないこと)があるので、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の含有量は自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
自己修復性樹脂層は、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂以外の他の樹脂、例えば、ポリカプロラクトン骨格を有するウレタン樹脂、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、あるいは後述するポリジメチルシロキサン系共重合体などの樹脂(他の樹脂という)を含有することができる。
これらの他の樹脂の含有量は、多くなりすぎると成形性が低下することがあるので、含有量は適宜調整する必要がある。他の樹脂の含有量は、具体的には、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、更に20質量%以下が好ましく、特に15質量%以下が好ましい。
自己修復性樹脂層は、更に、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粒子等を含有することができる。
自己修復性樹脂層の厚みは、傷付き抑制効果を十分に発現させるという観点から、8μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、13μm以上が特に好ましい。自己修復性樹脂層の厚みが8μm未満であると、この自己修復性樹脂層を樹脂成形品の表面に適用した時の傷付き性を十分に抑制することができないことがある。
一方、自己修復性樹脂層の厚みが大きくなり過ぎると、加熱成形性が低下することがあるので、自己修復性樹脂層の厚みは50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。自己修復性樹脂層の厚みが50μmを超えると、加熱成形時に外観不良因子が発生しやすくなる。
[ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂]
ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂は、分子中にポリカーボネート骨格とウレタン結合を有する樹脂である。分子中へのポリカーボネート骨格の導入は、例えば合成原料としてポリカーボネートポリオールを用いることによって行うことができる。同様にウレタン結合の導入は、合成原料としてイソシアネート化合物を用いることによって行うことができる。
ウレタン結合は、ポリカーボネートポリオールの水酸基とイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応によって生起する。
ポリカーボネートポリオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、またはホスゲンもしくはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、n−プロピルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、イソプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−ブチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、イソブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチルジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネートなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリカーボネートジオールが好ましく、更に分子の両末端にそれぞれ水酸基を有するポリカーボネートジオールが好ましい。
ポリカーボネートポリオールとしては市販品を使用することができる。例えば、(株)ダイセル製の「プラクセルCD」シリーズ、(株)クラレ製の「クラレポリオール」シリーズ、日本ポリウレタン工業(株)製の「ニッポラン」シリーズ、旭化成ケミカルズ(株)製の「デュラノール」シリーズなどが挙げられる。
前述したように、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、300〜7,000の範囲が好ましく、500〜5,000の範囲がより好ましく、700〜3,000の範囲が特に好ましい。
イソシアネート化合物としては、分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましい。かかるポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体、および上記イソシアネートのブロック体などを挙げることができる。
[有機ケイ素化合物]
本発明における自己修復性樹脂層表面は紙粉や繊維等の塵埃が付着しやすくなる場合がある。以下、この自己修復性樹脂層表面への塵埃の付着しやすさを「紙粉付着性」という。従って、自己修復性樹脂層の紙粉付着性を抑制することが好ましく、かかる紙粉付着性は、自己修復性樹脂層に有機ケイ素化合物を含有することによって抑制することができる。
この有機ケイ素化合物としては、ポリシロキサン系化合物、ポリジメチルシロキサン系化合物、ポリジメチルシロキサン系共重合体が好ましく挙げられる。また、これら化合物を組む合わせたものであってもよい。有機ケイ素化合物としては、特にポリジメチルシロキサン系共重合体が好ましく用いられる。
自己修復性樹脂層における有機ケイ素化合物の含有量は、自己修復性樹脂層の紙粉付着性を抑制するという観点から、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、3.0質量%以上が特に好ましい。一方、有機ケイ素化合物の含有量が多くなりすぎると、加熱成形性が低下することがあるので、有機ケイ素化合物の含有量は、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が特に好ましい。
[ポリシロキサン系化合物]
ポリシロキサン系化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、または該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。
[ポリジメチルシロキサン系化合物]
ポリジメチルシロキサン系化合物としては、ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサン(例えば、東亞合成(株)製GUV−235)などが挙げられる。
[ポリジメチルシロキサン系共重合体]
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、ポリジメチルシロキサン部分(ポリジメチルシロキサンセグメント)とビニルモノマーの重合体鎖部分(ビニル基を有するモノマーが重合されてなるセグメント)とを有する共重合体である。かかるポリジメチルシロキサン系共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよいが、ブロック共重合体およびグラフト共重合体が好ましい。かかるポリジメチルシロキサン系共重合体の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲が好ましい。
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、リビング重合法、高分子開始剤法、高分子連鎖移動法などによって製造することができるが、生産性を考慮すると高分子開始剤法、高分子連鎖移動法を用いるのが好ましい。
高分子開始剤法を用いる場合には、下記の化学式(1)で表される高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を用いて他のビニルモノマーと共重合させることにより、効率よくブロック共重合体を合成することができる。
また、ペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
高分子連鎖移動法を用いる場合は、例えば、下記の化学式(2)に示すようなシリコーンオイルに「HS−CHCOOH」や「HS−CHCHCOOH」等を付加してSH基を有する化合物とした後、該SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることでブロック共重合体を合成することができる。
更にポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体を合成するには、例えば、下記の化学式(3)に示す化合物、すなわちポリジメチルシロキサンのメタクリルエステルなどとビニルモノマーとを共重合させることにより容易にグラフト共重合体を得ることができる。
Figure 2018062074
上記化学式(1)中、mは10〜300の整数、nは1〜50の整数を表す。
Figure 2018062074
上記化学式(2)中、mは10〜300の整数を表す。
Figure 2018062074
上記化学式(3)中、mは10〜300の整数を表す。
ポリジメチルシロキサン系共重合体の合成に用いられるビニルモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート,n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセチトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコールなどを挙げることができる。
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、通常、溶液重合によって製造される。このような溶液重合では、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤などが単独または混合溶剤として用いられる。
また、必要に応じてベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリルなどの重合開始剤を併用する。重合反応は50〜160℃で3〜12時間行うのが好ましい。
また、ポリジメチルシロキサン系共重合体の合成において、イソシアネート基を有するモノマー(例えば、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート)と水酸基を有するモノマー(例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート)を用いることによって、活性エネルギー線硬化性のポリジメチルシロキサン系共重合体を得ることができる。
本発明においては、自己修復性樹脂層が更にイソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤を含有することが好ましい。中でも、自己修復性樹脂層がポリジメチルシロキサン系共重合体を含み、更に、イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。
なお、ポリジメチルシロキサン系共重合体が上記の活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体である場合は、それ自体が架橋性を有するので、上記の架橋剤(イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤)は必ずしも併用する必要はない。
自己修復性樹脂層が、有機ケイ素化合物としてポリジメチルシロキサン系共重合体を含有する場合は、イソシアネート系架橋剤あるいはメラミン系架橋剤を併せて含有させて、ポリジメチルシロキサン系共重合体を架橋することが好ましい。この場合、ポリジメチルシロキサン系共重合体と上記架橋剤との架橋反応を促進するために、ポリジメチルシロキサン系共重合体は水酸基を有していることが好ましい。
自己修復性樹脂層が、ポリジメチルシロキサン系共重合体とイソシアネート系架橋剤あるいはメラミン系架橋剤とを含有することによって、更に自己修復性樹脂層の紙粉付着性が抑制される。
上記のイソシアネート系架橋剤として、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体などのポリイソシアネート、上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネートなどが挙げられる。
上記のメラミン系架橋剤としては、アルコキシメチロールメラミンを使用することができる。
[自己修復性樹脂層の形成]
本発明の転写用フィルムは、例えば、離型フィルムの一方の面に自己修復性樹脂層を形成する塗布液(組成物)を塗布し、乾燥した後、加熱あるいは活性エネルギー線照射により硬化することによって製造することができる。
本発明における自己修復性樹脂層は、熱硬化性樹脂層あるいは活性エネルギー線硬化性樹脂層であることが好ましく、特に活性エネルギー線硬化性樹脂層であることが好ましい。
自己修復性樹脂層が熱硬化性樹脂層である場合は、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂および架橋剤を含有する熱硬化性組成物を、離型フィルム上に塗布し、乾燥した後、加熱することによって得ることができる。乾燥工程の中で加熱してもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。
熱硬化性組成物は、更に前述した有機ケイ素化合物(特にポリジメチルシロキサン系共重合体)を含有することが好ましい。
自己修復性樹脂層が活性エネルギー線硬化性樹脂層である場合は、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の前駆体(例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を、離型フィルム上に塗布し、乾燥した後、活性エネルギー線を照射することによって得ることができる。
ここで、活性エネルギー線としては、紫外線や電子線等が挙げられ、本発明においては特に紫外線が好ましく用いられる。電子線の照射量は、1〜10Mradの範囲が適当である。紫外線の照射量は、50〜1,000mJ/cmの範囲が適当であり、100〜800mJ/cmの範囲が好ましく、200〜600mJ/cmの範囲がより好ましい。
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、ポリカーボネートジオール、イソシアネート化合物およびヒドロキシ変性(メタ)アクリレートを反応させることによって製造することができる。
上述および後述において、「・・・(メタ)アクリレート」なる表現は、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」の両方の化合物を含む。
ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いられるポリカーボネートジオールおよびイソシアネート化合物は、前述したものと同様の化合物が用いられる。
また、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーを含むことができる。
重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の単官能の重合性モノマー、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等の2官能の重合性モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能の重合性モノマーが挙げられる。
重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物には、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートに加えて、前述の光重合開始剤および有機ケイ素化合物(特にポリジメチルシロキサン系共重合体)を含有することが好ましく、更にポリジメチルシロキサン系共重合体の架橋剤(イソシアネート系架橋剤あるいはメラミン系架橋剤を)を含有することが好ましい。また更に、活性エネルギー線硬化性組成物は、前述の重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーを含有することが好ましい。
このように本発明では、活性エネルギー線硬化性組成物が、上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートに加えて、特にポリジメチルシロキサン系共重合体を含有することが好ましい。より好ましくは、活性エネルギー線硬化性組成物が、更にイソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤の少なくとも一方を含有することである。なお、ポリジメチルシロキサン系共重合体が活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体である場合は、それ自体が架橋性を有するので、上記の架橋剤(イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤)は必ずしも含有する必要はない。
[ソフトタッチ性樹脂層]
本発明における軟質樹脂層の他の好ましい形態として、ソフトタッチ性樹脂層が挙げられる。ソフトタッチ性樹脂層とは、柔らかくしなやかな手触り感(ソフトフィール感)を有する層であり、さらに、ソフトフィール感に加えてさらさら感を有する層であることが好ましい。
ソフトタッチ性樹脂層は、軟質樹脂を含有することが好ましい。軟質樹脂として、例えば、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル−特殊エステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ゴム系樹脂等の各種共重合樹脂が挙げられる。これらの中でもエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を用いることが好ましく、少なくともポリウレタン系樹脂を用いることが特に好ましい。
上記のポリウレタン系樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(モノマーあるいはオリゴマー)が挙げられる。かかるウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ポリオール化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及びポリイソシアネート化合物を反応させて得られるものが挙げられる。
ソフトタッチ性樹脂層にさらさら感を付与するために、ソフトタッチ性樹脂層は粒子を含有することが好ましい。かかる粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライト等の無機粒子、架橋アクリル粒子、架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子、架橋ポリスチレン粒子、ナイロン粒子、ポリエステル粒子、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子等の有機粒子、シリカ・アクリル複合化合物からなる有機・無機ハイブリッド粒子が挙げられる。これらの中でも、無機粒子が好ましく、さらにシリカ粒子が好ましい。
粒子の平均粒子径としては、0.3〜20μmの範囲が好ましく、0.5〜10μmの範囲がより好ましく、1〜7μmの範囲が特に好ましい。
ソフトタッチ性樹脂層における粒子の含有量は、ソフトタッチ性樹脂層に含有される軟質樹脂100質量部に対して3〜80質量部の範囲が好ましく、5〜60質量部の範囲がより好ましく、10〜50質量部の範囲が特に好ましい。
ソフトタッチ性樹脂層の厚みは、2〜100μmの範囲が好ましく、5〜50μmの範囲がより好ましく、7〜30μmの範囲が特に好ましい。
ソフトタッチ性樹脂層は、活性エネルギー線硬化性樹脂層であることが好ましい。つまり、電子線や紫外線などの活性エネルギー線により硬化する樹脂層であることが好ましい。特に、紫外線硬化性樹脂層であることが好ましい。
[転写用フィルムの構成]
本発明の転写用フィルムの好ましい一つの態様は、図1に示すように、離型フィルム11上に軟質樹脂層12を有し、更に軟質樹脂層12を保護するための保護フィルム14が積層されている。
本発明の転写用フィルムの好ましい他の態様は、軟質樹脂層の離型フィルムとは反対面に接着層を有する転写用フィルムである。かかる態様の転写フィルムの具体例として、図2に示すように、離型フィルム11上に、軟質樹脂層12、接着層13および保護フィルム14がこの順に積層されている転写用フィルムが挙げられる。つまり、軟質樹脂層12の離型フィルム11とは反対面に接着層13が設けられている。接着層は、被転写体(樹脂成形品あるいは樹脂成形品を構成する樹脂板)と軟質樹脂層との密着性を向上させる機能を有する。本発明の転写用フィルムのより好ましい態様は、前記軟質樹脂層と接着層の間にアンカー層を有する転写用フィルムである。つまり、上述の図2の態様においては、更に、軟質樹脂層12と接着層の間にアンカー層(不図示)を配置することが好ましい。
上記の図1および図2の態様において、離型フィルム11は、軟質樹脂層12が積層される面に離型層(不図示)を備えていることが好ましい。また、離型フィルム11と軟質樹脂層との間に架橋樹脂層(不図示)を設けることができる。この架橋樹脂層は、軟質樹脂層と一緒に被転写体に転写被着され、軟質樹脂層を汚染などから保護する機能を有する。従って、架橋樹脂は、軟質樹脂層の自己修復性機能(付けられた傷が自然に修復する機能)を発現しない
[接着層]
接着層は、軟質樹脂層および被転写体(樹脂成形品あるいは樹脂成形品を構成する樹脂板)のいずれにも接着性のよい接着剤からなることが好ましい。例えば、樹脂系接着剤やホットメルト型接着剤を用いることができる。接着剤としては、例えば、アクリル酸エステル系、ポリエステル系、合成ゴム系、エポキシ系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル、ハロゲン化ポリオレフィン、ニトロセルロースおよびこれらの共重合体などが挙げられる。ホットメルトシートとしては、例えば、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル系のものが挙げられる。
接着層の厚さは、2〜200μmの範囲が好ましく、5〜100μmの範囲がより好ましく、10〜70μmの範囲が特に好ましい。
[アンカー層]
アンカー層は、軟質樹脂層を保護すると共に、軟質樹脂層と接着層との間に配置されて、軟質樹脂層と接着層との密着性を向上させる機能を有する。
アンカー層を構成する材料としては、アクリルウレタン樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂やエポキシ系等の熱硬化性樹脂が好ましく挙げられる。アンカー層は、軟質樹脂層の性能をより高度に発揮させるために、軟質樹脂層よりも硬度が高いことが好ましい。硬度は、例えば、ナノインデンテーション法により確認することができる。アンカー層の厚みは、0.5〜5μmの範囲が好ましく、1〜3μmの範囲がより好ましい。
[保護フィルム]
保護フィルムとしては、基材に微粘着性の粘着剤層が積層されたもの、あるいは基材(例えばポリエチレン)と自己粘着性フィルム(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体)が共押し出しされたものを用いることができる。
保護フィルムは、転写用フィルムを被転写体(樹脂成形品あるいは樹脂成形品を構成する樹脂板)に適用する前に剥離除去される。そのため、転写用フィルムから保護フィルムを剥離するときの剥離強度は、転写用フィルムから離型フィルムを剥離するときの剥離強度より小さいことが好ましい。具体的には、転写用フィルムから保護フィルムを剥離するときの剥離強度は、転写用フィルムから離型フィルムを剥離するときの剥離強度より、0.01N/50mm以上小さいことが好ましく、0.02N/50mm以上小さいことがよい好ましく、0.03N/50mm以上小さいことが特に好ましい。
[架橋樹脂層]
架橋樹脂層は、軟質樹脂層と一緒に被転写体に転写被着され、軟質樹脂層を汚染などから保護する機能を有する。架橋樹脂層は、軟質樹脂層の自己修復性機能(付けられた傷が自然に修復する機能)やソフトタッチ機能を阻害しないことが好ましく、この観点から、架橋樹脂層の厚みは、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.2μm以下が特に好ましい。また、架橋樹脂層の厚みは、軟質樹脂層を汚染などから保護するという観点から、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上が特に好ましい。また、架橋樹脂層は自己修復性を有しないことが好ましい。
[転写用フィルムの適用例]
本発明の転写用フィルムは、例えば、樹脂成形品に軟質樹脂層を転写被着させるために用いられることが好ましい。樹脂成形品としては、例えば、自動車の内装部材(例えば、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアトリムなど)、電子機器筺体(例えば、携帯型パーソナルコンピュータ、モバイル機器、携帯電話、電子手帳など)、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)、携行用収納容器(例えば、スーツケース、トランク、キャリーバッグなど)、音響製品、家具などが挙げられる。
転写用フィルムの軟質樹脂層が樹脂成形品に転写被着された後、転写用フィルムを構成する離型フィルムは剥離除去される。
本発明の転写用フィルムは、上記樹脂成形品の構成材料である樹脂板に適用されることが好ましい。つまり、樹脂板に予め軟質樹脂層を転写被着させ、この樹脂板を成形加工することによって、軟質樹脂層が被覆された樹脂成形品を得ることが好ましい。成形加工方法としては、例えば、真空成形、圧空成形、プレス成形などが挙げられる。この成形加工方法は、樹脂板を加熱して成形する加熱成形加工が好ましい。加熱成形加工における加熱温度は、130℃以上が例示されるが、加工性を上げるという観点から、150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。上限の温度は200℃程度である。
[転写用フィルムの樹脂板への適用例]
上記した樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させる方法として、例えば、樹脂板を溶融押出成形するときに軟質樹脂層を転写被着する方法がある。この方法は、溶融押出成形機(ダイ)から溶融状態でシート状に押し出された樹脂シートを所定の厚みに成形するための一対のローラ間を通過させるとき、溶融状態の樹脂シートと転写用フィルムとを一緒に一対のローラ間を通過させる方法である。
図4は、溶融押出しされた樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させる工程の一例を示す概略構成図である。
溶融押出成形機2から溶融状態でシート状に押出された樹脂シート4を、所定の厚みに成形するために一対のローラ3a、3b間を通過させとき、樹脂シート4と軟質樹脂層の転写用フィルム1を一緒に一対のローラ3a、3b間を通過させることによって、軟質樹脂層の転写用フィルム1の軟質樹脂層(不図示)が樹脂シート4に転写されて、軟質樹脂層が転写被着された樹脂板5が製造される。
図5は、転写用フィルムの軟質樹脂層を樹脂板に転写被着させる各工程における模式断面図である。ここで、転写用フィルムとして、図1で示される構成の転写用フィルム、すなわち、離型フィルム11、軟質樹脂層12、および保護フィルム14がこの順に積層された転写用フィルムを用いた。
連続的に搬送されて供給される軟質樹脂層の転写用フィルム1(図5の(a))から、保護フィルム14が剥離された状態(図5の(b))で、樹脂シート4と軟質樹脂層の転写用フィルム1を一緒に一対のローラ3a、3b間を通過させて、樹脂シート4と軟質樹脂層の転写用フィルム1を貼り合せる。このようにして、樹脂シート4に軟質樹脂層の転写用フィルム1の軟質樹脂層12を被着させた後(図5の(c))、離型フィルム11を剥離することによって軟質樹脂層12が転写被着された樹脂板5(図5の(d))が得られる。
上記製造工程において、転写用フィルムの軟質樹脂層が樹脂板に転写被着された後、離型フィルムは剥離除去される。代わって、軟質樹脂層の表面に他の保護フィルムを貼り合わされることが好ましい。他の保護フィルムとしては、樹脂板の成型加工性に追従できる引っ張り伸度を有する、ポリエチレン樹脂フィルムをフィルム基材とする保護フィルムが好ましく用いられる。
また、上記製造工程において、軟質樹脂層の転写用フィルム1に保護フィルム(図1および図2の符号14)が積層されている場合は、軟質樹脂層の転写用フィルム1が一対のローラ3a、3bに到達する前に、軟質樹脂層の転写用フィルム1から保護フィルムが剥離される。
[携行用収納容器への適用例]
本発明の転写用フィルムの軟質樹脂層が転写被着された樹脂板は、携行用収納容器に成形加工されることが好ましい。言い換えると、携行用収納容器を製造するために用いられる樹脂板に本発明の転写用フィルムを適用して、樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させることが好ましい。
図6は、上記した軟質樹脂層が転写被着された樹脂板を用いて製造された携行用収納容器(スーツケース)の一例を示している。スーツケース30は、収納部31と蓋部32で構成されており(取手やキャスター等の図示は省略)、収納部31および蓋部32の外表面は、軟質樹脂層12で被覆されている。
樹脂板の材質としては、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)やポリカーボネート樹脂が一般的に用いられる。
軟質樹脂層が転写被着された樹脂板は、スーツケースの構成部材(収納部や蓋部)のサイズに合わせて切断された後、加熱され、この加熱された樹脂板を金型の上に載置させ、吸引(真空)、圧空もしくは吸引圧空して、樹脂板に金型の形状を賦型することによってスーツケースの構成部材(収納部や蓋部)が成形される。
樹脂板を加熱成形するときの加熱温度は、130℃以上が例示されるが、加工性を上げるという観点から、150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。上限の温度は200℃程度である。
成形された収納部および蓋部と、他の部材とを組み立てることによってスーツケースが作製される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)軟質樹脂層の傷修復機能の判定
転写用フィルムを150mm×50mmのサイズに切り出して試験サンプルを作製した。学振型摩擦堅牢度試験器(テスター産業(株)製「AB−301」)の移動台に、試験サンプルを樹脂層が上側となるように粘着テープで試験サンプルの両端を固定した。次に、試験サンプル上に真鍮ブラシ(トラスコ中山(株)製)を載せた状態で水平方向に移動しないように固定した。真鍮ブラシには更に500gの荷重を載せた。この状態で、移動台を水平に10回往復させて樹脂層に真鍮ブラシによる傷を付けた。試験条件は以下の通りであった。
・移動台の移動速度;300mm/分
・移動台の移動距離;片道120mm
・測定環境;23℃、55%RH。
上記の試験前のヘイズ値(Hz0)、および試験後3分経過する直前のヘイズ値(Hz)、試験後30分経過する直前のヘイズ値(Hz)、試験後24時間経過する直前のヘイズ値(Hz)をそれぞれ測定した。次に、試験前のヘイズ値(Hz0)と、試験後それぞれの時間経過後に測定したそれぞれのヘイズ値との差(ΔHz1、ΔHz2およびΔHz3)を下記式1〜3により求め、以下の基準で判定した。ヘイズ値の単位はいずれも[%]である。
ΔHz1=(Hz)−(Hz0) ・・・式1
ΔHz2=(Hz)−(Hz0) ・・・式2
ΔHz3=(Hz)−(Hz0) ・・・式3
<傷修復機能の判定>
S;ΔHz1が0.30%未満である(優れた傷修復機能を有する)。
A;ΔHz1が0.30%以上、ΔHz2が0.30%未満である(良好な傷修復機能を有する)。
B;ΔHz2が0.30%以上、ΔHz3が0.30%未満である(傷修復機能を有する)。
C;ΔHz3が0.30%以上である(傷修復機能を有しない)。
<ヘイズ値の測定>
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。測定に際し、転写用フィルムの軟質樹脂層が設けられている側の表面に光が入射するように配置した。
(2)傷消失時間の測定
転写用フィルムを150mm×50mmのサイズに切り出し、裏面(軟質樹脂層が積層された面とは反対面)のほぼ全面に黒粘着テープを貼り付けて試験サンプルを作製した。
学振型摩擦堅牢度試験器(テスター産業(株)製「AB−301」)の移動台に、試験サンプルを軟質樹脂層が上側となるように粘着テープで試験サンプルの両端を固定した。次に、試験サンプル上に真鍮ブラシ(トラスコ中山(株)製)を載せた状態で水平方向に移動しないように固定した。真鍮ブラシには更に500gの荷重を載せた。この状態で、移動台を水平に5回往復させて軟質樹脂層に真鍮ブラシによる傷を付け、その傷が消失する時間を測定した。傷が消失したかどうかは目視で評価した。測定は下記条件にて5回行い、算術平均し、以下の基準で評価した。
・移動台の移動速度;300mm/分
・移動台の移動距離;片道120mm
・測定環境;23℃、55%RH
<傷消失時間の評価基準>
S;傷消失時間が10秒未満である。
A;傷消失時間が10秒以上3分未満である。
B;傷消失時間が3分以上30分未満である。
C;傷消失時間が30分以上24時間未満である。
D;24時間以上経過しても傷が消失しない。
(3)軟質樹脂層の厚みの測定
転写用フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)で加速電圧100kVにて観察した。試料調製は超薄切片法もしくは凍結超薄切片法を用いた。5〜30万倍の倍率で観察して軟質樹脂層の厚みを測定した。
(4)軟質樹脂層のマルテンス硬さの測定
試料を約2cm角に切り取り、厚さが約1mmのガラス板上に、測定面の反対面をノンキャリアタイプのアクリル系粘着剤(厚さ約25μm)にて貼着固定した後、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間放置して調湿した。この試料について、ダイナミック超微小硬度計(島津製作所製の「DUH−211」を用いて、ISO14577−1(2002)に準拠した方法により、下記測定条件で測定した。
<測定条件>
(設定)
・測定環境:温度23℃・相対湿度50%
・試験モード:負荷−除荷試験
・使用圧子:稜間角115度、三角錐圧子
・圧子弾性率:1.140×106N/mm
・圧子ポアソン比:0.07
・軟質試料測定:あり
・Cf−Ap,As補正:あり
(条件)
・試験力:1.00mN
・負荷速度:0.0150mN/sec
・負荷保持時間:5sec
・除荷保持時間:5sec
(5)離型フィルムの反対面および離型層面の中心線平均粗さRaの測定
JIS B0601−1982の方法に基づき、表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。測定は、20cm×20cmサイズ1枚から任意の5箇所について計測し、その算術平均値を採用した。
<測定条件>
・送り速さ;0.5mm/s
・カットオフ値λc;
Raが0.10μm以下の場合、λ=0.25mm
Raが0.10μmより大きい場合、λc=0.8mm
・評価長さ;8mm
測定に際し、先ず、カットオフ値(λc)0.8mmにて測定する。その結果、Raが0.10μmより大きい場合はその値を採用し、Raが0.10μm以下の場合は、カットオフ値(λc)0.25mmで測定し、その測定結果を採用した。
(6)離型フィルムの粒子含有層に含有される粒子の平均粒子径の測定
粒子含有層の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察(約1千〜1万倍)し、その断面写真から、無作為に選択した30個の粒子のそれぞれの最大長さを計測し、それらを算術平均した値を粒子の平均粒子径とした。
(7)離型フィルムの粒子含有層表面における突起の個数(突起密度)の計測
粒子含有層の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にてランダムに5箇所撮影(約1千〜1万倍)し、5つの画像(表面写真)を作製した。次に、5つの画像それぞれについて、画像の50μm平方(面積2500μm)の範囲に存在する突起の個数を計測し、算術平均した。
(8)粒子含有層表面における突起の平均高さ(Have)の測定
粒子含有層の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて5箇所撮影(約1千〜1万倍)し、5つの断面写真を作製した。次に、5つの断面写真に存在する全ての突起の高さ(H)を測定し、算術平均した値を突起の平均高さ(Have)とした。
(9)軟質樹脂層表面のクレーターの評価
図4に示すような溶融押出し成形装置を用いて、ABS樹脂を200℃で溶融押出してABS樹脂板を作製した。その際、溶融押出機から溶融状態で押出された樹脂シートと転写用フィルムとを一緒に一対のローラ間に通すことにより、ABS樹脂板に軟質樹脂層を転写被着させた。
上記で得られたABS樹脂板を、20cm×30cmのサイズのシートカットし、軟質樹脂層にクレーターが発生しているかどうかを目視で観察し、軟質樹脂層表面の面積(20cm×30cm)当たりに存在するクレーター個数によって下記の基準で評価した。評価は、20cm×30cmのシート5枚を観察し、算術平均した。
S;クレーターの個数が0個である。
A;クレーターの個数が1〜5個である。
B;クレーターの個数が6〜10個である。
C;クレーターの個数が11〜99個である。
D;クレーターの個数が100個以上である。
なお、後述の実施例、比較例においてはCランクのものはなかった。
(10)転写用フィルムから離型フィルムを剥離するときの剥離強度の測定
転写用フィルムを幅50mm×長さ200mmに切断しシートサンプルを作製し、このシートサンプルの軟質樹脂層の面に粘着テープ(日東電工(株)の31B)を介して貼り合せて試験用サンプルを作製した。この試験用サンプルを23℃で1日放置後、引っ張り試験機を用いて、離型フィルム側を180°方向に300mm/分の速度で剥離し、剥離強度(N/50mm)を測定した。
(11)転写用フィルムから保護フィルムを剥離するときの剥離強度の測定
保護フィルムを有する転写用フィルムを幅50mm×長さ200mmに切断しシートサンプルを作製した。このシートサンプルについて、引っ張り試験機を用いて、保護フィルム側を180°方向に300mm/分の速度で剥離し、剥離強度(N/50mm)を測定した。
(12)ソフトタッチ性樹脂層の評価
ソフトタッチ性樹脂層の手触り感について男女それぞれ5名で評価した。柔らかくしなやかな手触り感(ソフトフィール感)とさらさら感がある場合を「A」、ソフトフィール感とさらさら感のどちらか一方がある場合を「B」、ソフトフィール感とさらさら感のどちらかもない場合を「C」とし、10名中7名以上が「A」と判断した場合をソフトフィール感とさらさら感が良好である判定した。
[実施例1]
下記の要領で転写用フィルムを作製した。
<離型フィルムの作製>
フィルム基材として、厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「ルミラー(登録商標)」S10)を用いた。このフィルム基材の一方の面に、下記離型層を積層し、次に、フィルム基材の離型層とは反対面に下記粒子含有層を積層し、45℃で48時間エージングして離型フィルムを作製した。
<離型層の積層>
下記の離型層塗工液をグラビアコーターで塗布し、100℃で予備乾燥後、160℃で加熱乾燥して、離型層を積層した。離型層の厚みは100nmであった。
<離型層塗工液>
硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業(株)「KS−3703」)35質量部、剥離力調整剤(信越化学工業(株)「KS−3800」)25質量部、硬化剤(信越化学工業(株)白金触媒「PL−50T」)1質量部、トルエン/MEK(50/50)混合液100質量部を混合した離型層塗工液を調製した。
<粒子含有層>
下記の塗料1を乾燥質量が5g/mとなるように、フィルム基材の離型層とは反対面に塗布し、100℃で乾燥して粒子含有層を形成した。
<塗料1>
アクリルバインダー(DIC(株)製「アクリディックA−187」)を固形分換算で80質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)「コロネートHL」)を固形分換算で40質量部、粒子(富士シリシア化学(株)シリカ粒子「サイリシア740」平均粒子径5.0μm)6質量部を酢酸エチルに溶解または分散して調製した。
<軟質樹脂層(自己修復性樹脂層)の積層>
上記で作製した離型フィルムの離型層の面に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物1を厚み(乾燥硬化後の厚み)が20μmとなるようにスリットダイコータで塗布し、90℃で乾燥後、紫外線(400mJ/cm)を照射し硬化して軟質樹脂層を形成して、転写用フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物1>
下記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを固形分換算で83質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート4質量部、下記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体を固形分換算で5質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)2質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
<ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートの合成>
トルエン100質量部、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート(協和発酵工業(株)製「LDI」)50質量部およびポリカーボネートジオール((株)ダイセル製「プラクセルCD−210HL」、数平均分子量1,000)119質量部を混合し、40℃にまで昇温して8時間保持した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)製「ライトエステルHOA」)28質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を加えて70℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02質量部を加えて80℃で6時間保持した。そして、最後にトルエン97質量部を加えて固形分濃度が50質量%となるように調製した。
<ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体の合成>
攪拌機、温度計、水冷コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トルエン50質量部、メチルイソブチルケトン50質量部、ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬(株)製「VPS−0501」)20質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸ブチル26質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸1質量部および1−チオグリセリン0.5質量部を仕込み、80℃で8時間反応させて、固形分濃度が50質量%のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体を得た。
[実施例2]
粒子含有層の塗料を下記塗料2に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、この離型フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
<塗料2>
アクリルバインダー(DIC(株)製の「アクリディックA−187」)を固形分換算で80質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)「コロネートHL」)を固形分換算で40質量部、粒子(富士シリシア化学(株)シリカ粒子「サイリシア740」平均粒子径5.0μm)4質量部を酢酸エチルに溶解または分散して調製した。
[実施例3]
粒子含有層の塗料を下記塗料3に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、この離型フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
<塗料3>
アクリルバインダー(DIC(株)製の「アクリディックA−187」)を固形分換算で80質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)「コロネートHL」)を固形分換算で40質量部、粒子(富士シリシア化学(株)シリカ粒子「サイリシア740」平均粒子径5.0μm)3質量部を酢酸エチルに溶解または分散して調製した。
[実施例4]
粒子含有層の塗料を下記塗料4に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、この離型フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
<塗料4>
アクリルバインダー(DIC(株)製の「アクリディックA−187」)を固形分換算で80質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)「コロネートHL」)を固形分換算で40質量部、粒子(富士シリシア化学(株)シリカ粒子「サイリシア740」平均粒子径5.0μm)13質量部を酢酸エチルに溶解または分散して調製した。
[実施例5]
粒子含有層の塗料を下記塗料5に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、この離型フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
<塗料5>
アクリルバインダー(DIC(株)製の「アクリディックA−187」)を固形分換算で80質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)「コロネートHL」)を固形分換算で40質量部、粒子(富士シリシア化学(株)シリカ粒子「サイリシア740」平均粒子径5.0μm)20質量部を酢酸エチルに溶解または分散して調製した。
[実施例6]
実施例1の軟質樹脂層(自己修復性樹脂層)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物1を下記の活性エネルギー性硬化性組成物2に変更し、厚みを30μmにする以外は、実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物2>
ヘキサメチレンジイソシアネート〔三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネート700〕2.1質量部及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルFA10L、カプロラクトン単位の繰り返し数=10〕97.9質量部からなるウレタンアクリレート90質量部と、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製、商品名:M−5400〕6.8質量部と、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン3質量部、表面調整剤〔ビックケミー社製、商品名「BYK−381」〕0.2質量部及びメチルエチルケトン100質量部を混合して調製した。
[実施例7]
実施例1の軟質樹脂層(自己修復性樹脂層)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物1を下記の活性エネルギー性硬化性組成物3に変更し、厚みを30μmにする以外は、実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物3>
下記のウレタン(メタ)アクリレート化合物30質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート3質量部、シリカ粒子(平均粒子径3μm)20質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)127」)2質量部、レベリング剤(ビックケミー・ジャパン社製の「BYK−UV3510」)0.5質量部を、有機溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))で、固形分濃度30%となるように調製した。
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成>
温度計、撹拌機、水冷コンデンサ、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、酢酸エチル42.9質量部、水添キシリレンジイソシアネート32.3質量部、ネオペンチルグリコール(分子量104)11.6質量部、2官能のポリエステルポリオール(水酸基価63m質量部KOH/質量部、重量平均分子量5,000)49.6質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.02質量部、反応触媒としてジブチルスズジアウレート0.02質量部を仕込み、60℃で2時間反応させ2−ヒドロキシエチルアクリレート6.50質量部を仕込み、60℃で3時間反応させ 、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ) アクリレート化合物(重量平均分子量14,000)の酢酸エチル溶液(固形分濃度70質量%)を得た。
[比較例1]
離型フィルムの離型層とは反対面に粒子含有層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、この離型フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
[比較例2]
粒子含有層の塗料を下記塗料6に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、この離型フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして転写用フィルムを作製した。
<塗料6>
アクリルバインダー(DIC(株)製「アクリディックA−187」)を固形分換算で80質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)「コロネートHL」)を固形分換算で40質量部、粒子(富士シリシア化学(株)シリカ粒子「サイリシア710」平均粒子径2.8μm)2質量部を酢酸エチルに溶解または分散して調製した。
[比較例3]
実施例1の軟質樹脂層をハードコート層に変更した。つまり、実施例1の活性エネルギー線硬化性組成物1を下記の活性エネルギー性硬化性組成物4に変更し、厚みを5μmに変更する以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して転写用フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物4>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを97質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)の「イルガキュア184」)を3質量部含有する活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化性組成物)を調製した。
[実施例8]
<離型フィルムの作製>
粒子を含有するフィルム基材として、粒子練り込みマットタイプのポリエステルフィルム(東レ(株)「ルミラー(登録商標)」X42;厚み50μm)を用いた。このフィルム基材の一方の面に、実施例1と同様にして離型層を積層した。但し、離型層の厚みを500nmに変更した。
<軟質樹脂層の積層>
上記で作製した離型フィルムの離型層の面に、実施例1と同様にして軟質樹脂層を積層して、転写用フィルムを作製した。
[評価]
上記の実施例および比較例で作製した転写用フィルムについて、上述の測定方法および評価方法に従って評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2018062074
実施例1〜7は、離型フィルムの離型層面(軟質樹脂層の積層面)の中心線平均粗さRaが0.02μmと平滑であり、ABS樹脂板に転写被着された軟質樹脂層は表面性(平滑性)が良好であった。これに対して、実施例8は離型層面の中心線平均粗さRaが0.30μmと相対的に粗面になっており、ABS樹脂板に転写被着された軟質樹脂層は表面性(平滑性)が劣っていた。
[実施例9]
実施例1で作製した転写用フィルムの軟質樹脂層の上に、保護フィルム(東レフィルム加工(株)製「トレテック」)を貼り合わせた。
保護フィルムと軟質樹脂層との間に剥離強度を測定したところ、0.05N/50mmであり、実施例1で測定した離型フィルムと軟質樹脂層との間の剥離強度(0.11N/50mm)より小さいことを確認した。
[実施例10]
実施例1の軟質樹脂層(自己修復性樹脂層)をソフトタッチ性樹脂層に変更した。つまり、実施例1の活性エネルギー線硬化性組成物1を下記の活性エネルギー性硬化性組成物5に変更し、厚みを10μmに変更する以外は、実施例1と同様にしてソフトタッチ性樹脂層を形成して転写用フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物5>
下記のウレタン(メタ)アクリレート化合物30質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート3質量部、シリカ粒子(平均粒子径3μm)20質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)127」)2質量部、レベリング剤(ビックケミー・ジャパン社製の「BYK−UV3510」)0.5質量部を、有機溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))で、固形分濃度30%となるように調製した。
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成>
温度計、撹拌機、水冷コンデンサ、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、酢酸エチル42.9質量部、水添キシリレンジイソシアネート32.3質量部、ネオペンチルグリコール(分子量104)11.6質量部、2官能のポリエステルポリオール(水酸基価63m質量部KOH/質量部、重量平均分子量5,000)49.6質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.02質量部、反応触媒としてジブチルスズジアウレート0.02質量部を仕込み、60℃で2時間反応させ2−ヒドロキシエチルアクリレート6.50質量部を仕込み、60℃で3時間反応させ 、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ) アクリレート化合物(重量平均分子量14,000)の酢酸エチル溶液(固形分濃度70質量%)を得た。
[実施例10の評価]
軟質樹脂層(ソフトタッチ性樹脂層)は、マルテンス硬さが4N/mmであった。自己修復性(傷修復性)評価に替えてソフトフィール感とさらさら感を評価したところ、いずれも良好であった。その他の特性および物性は、実施例1と同程度であった。
本発明の軟質樹脂層の転写用フィルムは、被転写体、例えば、自動車の内外装部材、電子機器筺体、家電製品、音響製品、家具、スーツケースなどを構成する樹脂成形品に軟質樹脂層を転写被着するときに好適である。特に、本発明の軟質樹脂層の転写用フィルムは、前述の樹脂成形品の構成部材である樹脂板の製造時に好適に用いられる。
1 軟質樹脂層の転写用フィルム
2 溶融押出成形機
3a、3b ローラ
4 樹脂シート
5 軟質樹脂層が転写被着された樹脂板
11 離型フィルム
11a 離型フィルムの反対面
12 軟質樹脂層
13 接着層
14 保護フィルム
21 離型フィルムのフィルム基材
22 粒子含有層
22a 粒子
22b バインダー被膜
30 スーツケース
31 収納部
32 蓋部
H 突起の高さ
T バインダー被膜の厚み

Claims (9)

  1. 離型フィルムの一方の面に軟質樹脂層を有し、前記離型フィルムの軟質樹脂層を有する面とは反対面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上である、軟質樹脂層の転写用フィルム。
  2. 前記軟質樹脂層のマルテンス硬さが0.1〜100N/mmである、請求項1に記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
  3. 前記軟質樹脂層が自己修復性樹脂層である、請求項1または2に記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
  4. 前記離型フィルムの軟質樹脂層を有する面とは反対面に、前記離型フィルムが粒子含有層を有し、該粒子含有層表面の中心線平均粗さRaが0.07μm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
  5. 前記離型フィルムがフィルム基材を有し、該フィルム基材が粒子を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
  6. 前記離型フィルムの軟質樹脂層が積層される面に、前記離型フィルムが離型層を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
  7. 前記軟質樹脂層の離型フィルムとは反対面に接着層を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
  8. 前記軟質樹脂層と接着層の間にアンカー層を有する、請求項7に記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
  9. 前記軟質樹脂層が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の軟質樹脂層の転写用フィルム。
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