JPWO2018034117A1 - 積層体、およびそれを用いた太陽電池裏面保護用シート、太陽電池モジュール - Google Patents

積層体、およびそれを用いた太陽電池裏面保護用シート、太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

ポリエステル樹脂を主成分とする層(P1層)と、前記P1層を構成するポリエステル樹脂とは異なる樹脂を主成分とし、少なくとも1種の粒子を含有する層(P2層)を有する積層体であって、前記粒子の少なくとも1種が、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下である積層体に関する。高い平均アスペクト比をもつ粒子による光拡散を利用し、光反射特性と光拡散性に優れることで太陽電池モジュールの出力向上効果を有する積層体、およびそれを用いた太陽電池裏面保護用シート、太陽電池モジュールを層間剥離が無く生産性良く提供する。【選択図】なし

Description

本技術は、光反射特性と光拡散性に優れる積層体、およびそれを用いた太陽電池裏面保護用シート、太陽電池モジュールに関するものである。
再生可能エネルギーの代表格である太陽電池は、ここ数年の間に一般家庭レベルでの屋根置き型太陽電池の急速な普及により大幅な市場成長を遂げた。加えて、現在においてはフィールド設置型太陽電池であるメガソーラー建設が企業・行政を主体に進行中であり、今後も継続した太陽電池の導入量拡大、市場拡大が見込める。現在主流であるシリコン型太陽電池は、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの無機半導体からなる発電素子をエチレン−酢酸ビニル共重合体(以降EVAと称することがある)などの透明な封止材を用いて固定し、その受光面側を透明ガラス基板、裏面側バックシート(太陽電池裏面保護用シート)と呼ばれる樹脂シートでそれぞれ挟むことで構成されている。太陽電池は紫外線を含む太陽光が多量に降り注ぐ屋外環境に設置され、自然の気候変化に伴う温湿度変化や雨風といったストレスに長期間晒される。これらストレスから発電素子を保護するため、太陽電池裏面保護用シートとしては安価で耐候性・電気絶縁性に優れ高強度な二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと称することがある)が用いられている。
太陽電池モジュールの性能とは、無尽蔵に供給される太陽光エネルギーをいかに効率よく電気エネルギーに変換できるかに掛かる。これまでに発電素子および電気配線部材改良による高出力化が数多行われているものの、近年その成長率は低く、また生産工程の大幅変更を伴うことが多いため歩留まりが悪くなることが多い。このため近年では太陽電池裏面保護用シートに代表される太陽電池周辺部材による出力向上が注目を浴びている。
太陽電池裏面保護用シートによる太陽電池モジュールの出力向上の手法の一つにはモジュール正面から入射した太陽光のうち、発電素子(以降発電セルと称することがある)に直接入射しなかった太陽光を、特に一般的な発電セルの分光感度域に相当する400nm以上1200nm以下の波長域の光を、太陽電池裏面保護用シートにより反射させ、その反射光が空気−ガラス界面において全反射し、再度発電素子に入射することで達成される。このように太陽電池裏面保護用シートでの反射光が空気(屈折率:1.0)−ガラス(屈折率:1.5)界面に於いて全反射を起こすためには、スネルの法則より反射光の有する反射角度が約42度以上になることが必要である。
このため太陽電池モジュール出力を向上させる太陽電池裏面保護用シートは,高い光線反射率を備えるだけではなく、反射光に角度を持たせるための光拡散性を併せ持つことが重要である。
これまでに太陽電池モジュールの出力向上効果を持つ太陽電池裏面保護用シートとしては、空隙を含有する芯層と球状の白色粒子を含有する表層を併せ持つことで光線反射率を高くし太陽電池モジュールの出力を向上させる技術や(特許文献1)、金属または金属薄膜積層フィルムを基材ポリエステルフィルムに積層することで可視光と近赤外光を効率よく反射させ、太陽電池モジュールの出力向上を行う技術(特許文献2)が報告されている。また反射率向上を狙い、平板状粒子を添加する技術も報告されている。(特許文献3)。
特開2011−97013号公報 特開2011−97039号公報 特開2016−127220号公報
しかしながら特許文献1の場合、光線反射率は高くなるものの、球状の白色粒子による光拡散効果は不十分であり、むしろ光線反射率を向上に大きく寄与しており、太陽電池モジュールに使用した際の出力向上効果は低い。
また特許文献2の場合も、球状の白色粒子を含有するため光拡散効果が不十分であることに加え、高反射率を達成するためには金属または金属薄膜積層フィルムと張り合わせることが必要となるため、ポリエステル層との界面において剥離の問題が発生すると共に工程増加に伴い歩留まりが悪くなるため好ましくない。
更に特許文献3では反射光の方向を制御することで出力向上を実現しているが、その粒子濃度は低く出力向上効果としては不十分である。また、平板粒子の高濃度添加を行う場合、平板粒子同士の凝集により粒子を添加した層が脆化し太陽電池裏面保護用シートとして用いる場合に層間剥離に課題が生じることが課題となる。
これらの課題を鑑みて我々が光拡散性を効率よく付与する粒子に関して検討を行った結果、粒子の屈折率は、一定の範囲内に存在することが必要であることが判明した。また粒子の形状としては、平板状粒子等の平均アスペクト比(長径/短径)の大きな粒子である方が球状等の平均アスペクト比(長径/短径)の小さい粒子の場合よりも粒子の単位体積当たりの受光面積が増加することで太陽光を効率良く拡散させることができることを発見した。
すなわち、本発明は高い屈折率と高い平均アスペクト比をもつ粒子による光拡散を利用し、光反射特性と光拡散性に優れる積層体、およびそれを用いた太陽電池裏面保護用シート、太陽電池モジュールを層間剥離が無く生産性良く提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち
1.ポリエステル樹脂を主成分とする層(P1層)と、前記P1層を構成するポリエステル樹脂とは異なる樹脂を主成分とし、少なくとも1種の粒子を含有する層(P2層)を有する積層体であって、前記粒子の少なくとも1種が、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下である積層体。
2.前記P2層が、屈折率の異なる2種以上の粒子を含有しており、P2層に含有する粒子の屈折率差(P2層に含有する粒子の中で最大の屈折率を有する粒子の屈折率−P2層に含有する粒子の中で最小の屈折率を有する粒子の屈折率)が0.15以上である1.に記載の積層体。
3.前記P2層が、平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子を含有しており、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子と平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子の組成が異なるか、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子と平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子の屈折率の差が0.15以上である1.に記載の積層体。
4.前記平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満の粒子の屈折率が1.5より大きく2.8以下である3.に記載の積層体。
5.前記平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満の粒子のP2層における体積%濃度をM、前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子のP2層における体積%濃度比率をMとした場合、M/Mが0.05以上5.0以下である3.または4.に記載の積層体。
6.前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下である粒子の平均粒子径が0.8μm以上4.0μm以上である3.〜5.のいずれかに記載の積層体。
7.前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子と平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子がいずれも無機粒子である3.〜6.のいずれかに記載の積層体。
8.前記P2層が含有する総粒子濃度が20体積%以上80体積%以下である1.〜7.のいずれかに記載の積層体。
9.少なくとも一方の表層がP2層である1.〜8.のいずれかに記載の積層体。
10.少なくとも一方の表層から測定した波長400以上1200nm以下における平均反射率が70%より大きい1.〜9.のいずれかに記載の積層体。
11.前記P1層が空洞を有する1.〜10.のいずれかに記載の積層体。
12.前記P1層が平均粒子径0.05μm以上1μm未満の粒子を少なくとも1種含有する1.〜11.のいずれかに記載の積層体。
13.前記P2層が含有する平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子の屈折率が1.59より大きく2.8以下である1.〜12.のいずれかに記載の積層体。
14.前記P2層が含有する平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子が、窒化ホウ素粒子、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子のうち少なくとも1種を含む1.〜13.のいずれかに記載の積層体。
15.前記P2層が、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を主成分とする1.〜14.のいずれかに記載の積層体。
16.太陽電池用裏面保護シート用フィルムに用いられる1.〜15.のいずれかに記載の積層体。
17.P2層の方がP1層より太陽電池モジュールの発電素子側に配して用いられる16.に記載の積層体。
16.1.〜17.のいずれかに記載の積層体を有する太陽電池用裏面保護シート。
19.18.に記載の太陽電池用裏面保護シートを有すること太陽電池用モジュール。
本発明によれば、光反射特性と光拡散性に優れる積層体、およびそれを用いた太陽電池裏面保護用シート、太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池モジュールの構成の一例を模式的に示す断面図である。 両面に機能層を有する本発明の太陽電池裏面保護用シート用フィルムの構成の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の積層体を用いた、片面に接着層を介して機能層を有する太陽電池裏面保護用シートの構成の一例を模式的に示す断面図である。 本発明のポリエステル樹脂を用いた、両面に接着層を介して機能層を有する太陽電池裏面保護用シートの構成の一例を模式的に示す断面図である。 P1層とP2層とが直接接する積層体の構成の一例を模式的に示す断面図である。 P1層とP2層とが他の機能層P3層を介して接する積層体の構成の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の積層体は、ポリエステル樹脂を主成分とする層(P1層)と、少なくとも1種の粒子を含有する層(P2層)を有する積層体であって、前記粒子の少なくとも1種が、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下である積層体である。
(P1層(以降、反射層と称する場合がある))
本発明の積層体のP1層は、ポリエステル樹脂を主たる構成成分(主成分)とする。ここで、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とするとは、該P1層を構成する樹脂に対してポリエステル樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成するポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられる。また、本発明に用いられるポリエステル樹脂は、1)ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル樹脂の重合は常法により行うことができる。
1)において、ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸類、脂環族ジカルボン酸類、芳香族ジカルボン酸類などのジカルボン酸およびそのエステル誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジカルボン酸類としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸などが挙げられる。また、脂環族ジカルボン酸類としては、例えば、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などが挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などが挙げられる。また、これらは単独で用いても、複数種類用いても構わない。
また、上述のジカルボン酸成分の少なくとも一方のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類およびその誘導体や該オキシ酸類が複数個連なったものなどを縮合させたジカルボキシ化合物も用いることができる。
次に、ジオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール類、脂環式ジオール類、芳香族ジオール類などのジオールおよびこのようなジオールが複数個連なったものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどが挙げられる。また、脂環式ジオール類としては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどが挙げられる。また、芳香族ジオール類としては、例えば、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。また、上述のジオール成分の少なくとも一方のヒドロキシ末端にジオール類を縮合させて形成されるジヒドロキシ化合物も用いることができる。
2)において、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸、およびその誘導体、オキシ酸類のオリゴマー、ジカルボン酸の一方のカルボキシル基にオキシ酸が縮合したものなどがあげられる。
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分およびジオール成分は、上述した中から1種類ずつを選択して共重合させても良いし、それぞれ複数種を選択して共重合させても良い。
また、P1層を構成するポリエステル樹脂は、単一種でも良いし、2種以上のポリエステル樹脂をブレンドしたものでも良い。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂は、耐湿熱性を向上させることを目的として本発明の効果が損なわれない範囲で、リン化合物としてリン酸アルカリ金属塩およびリン酸を含有してもよい。リン酸アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウムなどが挙げられる。好ましくはリン酸二水素アルカリ金属塩、リン酸水素二アルカリ金属塩である。また、アルカリ金属元素がNa,Kであるリン酸アルカリ金属塩が長期の耐湿熱性の点から好ましい。特に好ましくはリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムである。
上記リン化合物を添加するに当たり、本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂はリン元素の含有量Pがポリエステル樹脂全体に対して1.8mol/t以上5.0mol/t以下であることが好ましい。また、上記ポリエステル樹脂(P1層)はMn、Caの少なくともいずれか1種類の金属元素を含有し、それ以外の2価の金属元素の含有量はそれぞれ多くてもポリエステル樹脂全体に対して5ppm以下であることが好ましい。ここで、金属元素とは、原子だけではなく、イオン状態でポリエステル樹脂中に存在するものも含むものとする。なお、一般的には、金属元素は、ポリエステル樹脂中ではイオン状態として存在する。加えて、本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)とし、ポリエステル樹脂全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記(i)式で求められる金属含有量M(mol/t)と、リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記式(ii)を満たすことが好ましい。
M=(M1)/2+M2・・・式(i)
1.1≦M/P≦3.0・・・式(ii)
上述の2価の金属元素とは、化学周期表第3周期までのアルカリ土類金属元素と、第5周期以降の第1族から12族までの元素、およびTiを除く第4周期の遷移金属元素を指す。本発明における金属元素の価数とは、金属原子の電子軌道のうち、最外殻または最外殻に最も近い位置にあるs軌道に存在する電子の個数の合計である。
ポリエステル樹脂に含まれるMn元素、Ca元素は、これらの金属元素を含む金属化合物であることが好ましい。これらの金属化合物はエステル交換反応触媒としての機能を有する。
本発明の本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂は、Na、Li、Kからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属化合物と、Sb、Ti、Geからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属化合物とを含み、これら金属元素の含有量の合計は、ポリエステル樹脂全体に対して30ppm以上2000ppm以下としてもよい。金属元素の含有量の合計をこの範囲とすることで末端カルボキシル基量の抑制ができ、耐熱性が向上する。なお、Na、Li、Kはアルカリ金属元素である。またSb、Ti、Geは重合触媒能を有する金属元素であり、重合触媒として機能する。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂は、上述の通り、リン化合物としてリン酸アルカリ金属塩とリン酸の両方を含有してもよい。このような構成によれば、リン化合物緩衝作用により、ポリエステルの末端カルボキシル基の活性が低下し、湿熱雰囲気下での加水分解の進行を抑制する結果、耐湿熱性を大きく向上させることができる。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂においては、リン化合物リン元素の含有量Pがポリエステル樹脂全体に対して1.8mol/t以上5.0mol/t以下であることが好ましい。リン元素の含有量Pが1.8mol/t未満であると、リン酸アルカリ金属塩およびリン酸の含有量が充分でないため、湿熱雰囲気下での末端カルボキシル基量の増加を抑えることができず、ポリエステル樹脂の加水分解が進行しやすくなり、耐湿熱性の低下を招くおそれがある。またリン元素の含有量Pが5.0mol/tを超えると、リン酸アルカリ金属塩および/またはリン酸の含有量が過剰となる。リン酸アルカリ金属塩が過剰な場合はリン酸アルカリ金属塩が異物化する懸念があり、リン酸が過剰である場合は、リン酸により重合触媒が失活して重合反応が遅延し、末端カルボキシル基量が増加するため、ポリエステル樹脂の耐湿熱性が低下するおそれがある。また、上記ポリエステル樹脂におけるリン酸アルカリ金属塩の含有量は、ポリエステル樹脂全体に対して1.3mol/t以上3.0mol/t以下であることが耐湿熱性の点から好ましい。また、リン酸の含有量は、リン酸アルカリ金属塩に対して、モル数で0.4倍以上1.5倍以下であることが長期的な耐湿熱性の点から好ましい。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂に含有されるアルカリ金属元素とMn元素、Ca元素は、リン元素を含む化合物またはポリエステルの末端カルボキシル基と化学結合し、リン化合物による重合触媒の失活を抑制したり、末端カルボキシル基の自己触媒作用を抑制して加水分解を抑制したりする効果をもたらす。アルカリ金属元素は重合触媒の失活の抑制に効果があり、Mn元素、Ca元素は重合触媒の失活抑制と、末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制による加水分解の抑制に効果的である。
一般的に、ポリエステル樹脂中に含有される金属イオンは、末端カルボキシル基を含むカルボニル基と化学結合する。特に金属イオンが末端カルボキシル基のカルボニル基と化学結合した場合、水分子が存在することで末端カルボキシル基の自己触媒作用が発現し、それによって加水分解が起こり、ポリエステルが劣化するに至る。この加水分解を抑制するためには、末端カルボキシル基と化学結合する金属イオンと、水分子とを、安定化させることが効果的である。つまり、金属イオンと水分子とを水和せしめることが効果的である。この効果の指標として、金属イオンの水和エンタルピーと金属イオンの半径の積を用いることができる。この積の値が大きい金属元素としてMn、Ca、Alイオンが挙げることができる。これらの金属イオンはより効果的に水分子を安定化させることが可能であり、その結果ポリエステル樹脂の耐湿熱性を向上させることができる。とくに、Mn元素、Ca元素の化合物は、エステル交換反応触媒としての性能が高いため、含有させる金属元素としてより好ましい。
また、リン化合物は、ポリエステル樹脂中で陰イオンとして存在するため、ポリエステル樹脂中にイオン状態で存在する金属元素と化学結合する。リン化合物に由来する陰イオンが、重合触媒に由来する金属元素のイオンと化学結合すると、重合触媒が失活することになる。ポリエステル樹脂中に、重合触媒由来の金属元素以外の金属元素のイオンを存在させることで、重合触媒に由来する金属元素イオンとリン化合物に由来する陰イオンとの化学結合を抑制することができ、重合触媒の失活を抑制できる。ここで、リン化合物による重合触媒失活の抑制またはポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制の指標となるのが、上述の(i)式で表されるM/Pである。この式におけるMは、ポリエステル樹脂において、リン化合物に由来する陰イオンと化学結合する、金属元素のイオンの含有量を表すものである。
ただし、ポリエステル樹脂中でリン化合物に由来する陰イオンは2価であるので、2価の金属元素の陽イオンと1:1で相互作用する。そのため、ポリエステル樹脂中で1価の陽イオンとなる金属元素の含有量M1に対しては係数0.5を乗じる必要がある。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂においては、M/Pが1.1以上3.0以下であることが好ましい。1.1に満たないと、リン化合物量に対する金属元素量が少なすぎて、リン化合物による重合触媒失活の抑制またはポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制が充分でないため、重合反応時に末端カルボキシル基量が増加したり、湿熱雰囲気下での加水分解反応の進行を抑えることができず、耐湿熱性が低下したりするおそれがある。また、M/Pが3.0を超えると、金属元素を含有する化合物が過剰となり、異物化するおそれがある。M/Pを上記の範囲とすることによって、異物が少なく、耐湿熱性に優れたポリエステル樹脂が得られる。M/Pは、より好ましくは、1.15以上1.4以下である。
上述の通り、本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂において、Mn、Ca以外の2価の金属元素の含有量は、それぞれポリエステル樹脂全体に対して5ppm以下である。Mn元素、Ca元素以外の2価の金属元素の含有量のうちいずれかの金属元素含有量がポリエステル樹脂全体に対して5ppmを超えると、Mn元素、Ca元素による重合触媒の失活抑制効果や末端カルボキシル基の自己触媒抑制作用を妨げ、耐湿熱性が低下するおそれがある。より好ましくは、Mn元素、Ca元素以外の2価の金属元素の含有量の合計が5ppm以下である。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂には、本発明の効果が損なわれない範囲で、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、有機系/無機系の微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等の添加剤が配合されていてもよい。
本発明の積層体のP1層を構成する樹脂は、前述のとおりポリエステル樹脂を主たる構成成分とするが、当該ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は0.60dl/g以上0.80dl/g以下であることが好ましい。また、末端カルボキシル基量は35当量/トン以下であることが好ましい。また、該ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレート(PET)を主たる構成成分とすることが好ましい。ここで、主たる構成成分とは、該ポリエステル樹脂に対して50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成する樹脂が、PETを主たる構成成分とする場合、該PETの固有粘度(IV)は0.65dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.69dl/g以上である。固有粘度(IV)が0.65dl/g未満の場合、シートの耐湿熱性が悪くなる場合がある。また、固有粘度(IV)が0.80dl/gを超える場合、P1層を製造する際に樹脂の押出性が悪く、シート成型が困難となる場合がある。さらに、固有粘度(IV)が上記範囲を満たしていても、末端カルボキシル基量が35当量/トンを超える場合、積層体の耐湿熱性が悪くなる場合がある。末端カルボキシル基量は30当量/トン以下であることがより好ましく、25当量/トン以下であることが更に好ましく、20当量/トン以下であることが特に好ましく、17当量/トン以下であることが最もの好ましい。よって、P1層を構成する樹脂がPETを主たる構成成分とする場合、固有粘度、末端カルボキシル基量を上記範囲とすることによって、成型性、長期耐久性に非常に優れた太陽電池裏面保護用シートとすることが出来る。
本発明の積層体において、P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量は8000〜40000が好ましく、より好ましくは数平均分子量が9000〜30000、更に好ましくは10000〜25000である。ここでいうP1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量とは、本発明の積層体からP2層を分離し、ヘキサフルオロイソプロノール(HFIP)に溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)で測定、示差屈折率計で検出した値から、標準試料として分子量既知のポリエチレンテレフタレートとジメチルテレフタレートを用いて得られた値である。P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量が8000に満たない場合、耐湿熱性や耐熱性などのシートの長期耐久性が落ちる可能性があるため好ましくない。また、40000を超えると、重合が困難であるか重合できたとしても押出機による樹脂の押出が困難となり、製膜が困難となる場合がある。また、本発明の積層体において、P1層は一軸、もしくは二軸に配向していることが好ましい。P1層が、一軸、もしくは二軸に配向していると、配向結晶化により耐湿熱性や耐熱性などのシートの長期耐久性を向上させることができる。
本発明の積層体のP1層において、波長400nm以上1200nm以下の範囲における光線反射率を向上させることを目的として、P1層内に「粒子」および/または「空洞」を含有することが好ましい。
本発明でP1層に用いる「粒子」は、無機粒子であっても有機粒子であっても良いが、光線反射率を向上するという観点からは無機粒子が好ましい。無機粒子としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、マイカ、雲母、雲母チタン、ゼオライト、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、ジルコニア、およびケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩からなる粒子などが挙げられる。更にこれらの中でもポリエステル樹脂との加工が容易な観点から、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムが好ましく、中でも屈折率が最も高い酸化チタンがより好ましい。一般に用いられる酸化チタンとしては、アナタース型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンの2つを挙げることができるが、太陽電池裏面保護用シートとして用いる場合、フィルムの変色や紫外線劣化に伴うフィルムの強度劣化を抑制するといった耐紫外線性を同時に高めることができる観点からルチル型酸化チタンを用いることが最も好ましい。
無機粒子の表面には、P1層を構成するポリエステル樹脂内での粒子分散性向上や粒子の色味調整を目的として表面修飾を施してもよい。表面修飾としては二酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などの金属酸化物をフィラー表面に被膜する処理や、有機物化合物を共有結合、非共有結合のいずれかを介してフィラー表面に定着させる処理が挙げられる。
P1層に含有する粒子の平均粒子径としては0.05μm以上1μm未満の無機粒子であることが波長400nm以上1200nm以下の範囲の光線反射率を向上させる観点から好ましい。ここでの粒子の平均粒子径とは後述の電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた測定方法により得られる体積基準円相当径の平均値である。
平均粒子径が0.05μm未満の場合、粒子径の大きさが光の波長よりも格段に小さくなることで粒子に由来するP1層を構成する樹脂と粒子の屈折率差が認識されず、上記範囲の波長をもつ光を反射させることが困難になる場合がある。一方平均粒子径が1μm以上の場合、ポリエステル樹脂を主成分とするP1層を1軸もしくは2軸延伸する際に粒子部分が原因で破れが発生すると共に、得られるフィルムの強度が低下することがある。また可視光域の反射が減ることでP1層の400nm以上1200nm以下の範囲における反射率が低下し、出力向上効果が低減することがある。粒子の平均粒子径として好ましくは0.07μm以上0.8μm以下、より好ましくは0.1μm以上0.6μm以下である。平均粒子径が好ましい範囲にあれば、P1層に含有される粒子は1種でも、粒度分布の異なる複数種の粒子の組み合わせでもどちらであってもよい。
P1層に含有する粒子の含有量としては、P1層を構成する樹脂に対して0.1質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましい。粒子の含有量が0.1質量%未満では、光線反射率の向上効果が得られない場合があり、30質量%より多いと後述のP2層との密着性が悪化すると共に製膜が困難になる場合がある。より好ましい範囲としては0.5質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上15質量%以下である。
ここでP1層を構成する樹脂組成物に粒子を含有させる好ましい形態としては、特に制限されるものではないが2層以上の積層構成を有していることが好ましい。特に前述のルチル型酸化チタンのように耐紫外線性を持つ粒子を用いる場合、例えばP1層を2層構成(P11層およびP12層)とし、P12層に酸化チタン粒子を高濃度添加することでP12層の耐紫外線性を局所的に高めることができる。これにより太陽電池裏面保護用シートを作製しP12層を太陽電池裏面表層側に来るように配すことでP12層より内部への紫外線侵入を防ぐことができ積層体の変色や紫外線劣化に伴う積層体の強度劣化を抑制することができる。この場合のP12層に添加される酸化チタン量は特に制限はないが10質量%以上であることが耐紫外線性を持たせるうえで好ましい。
また本発明のP1層が有する「空洞」とは、ミクロトームを用いて、フィルムを厚み方向に潰すことなくフィルム面方向に対して垂直に切断し、電子顕微鏡を用いてフィルムの切断面を観察した時、得られた観察画像内に観察される断面積が0.1μm以上の空隙をあらわす。本発明の積層体のP1層は、空隙率(フィルム断面における空洞の占める割合)が10%以上となることが好ましく、より好ましくは空隙率が15%以上、更に好ましくは20%以上である。
積層体全体の空隙率は観察画像内の空洞部分の面積から求めることができる。空隙率の測定方法の詳細は後述する。P1層の空隙率が10%未満であると波長400nm以上1200nm以下の範囲における光線反射率が不足し出力向上効果が低減する場合がある。また空隙が少なすぎると、他の部材フィルムとの密着界面で応力が集中し、積層体の密着性が低下することがある。
P1層の内部に空洞を形成させる方法は、特に限定されるものではないが、P1層中に空洞核剤を含有させた後に延伸することによって形成されるものが好ましい。発泡剤等によって形成される空洞は構造の制御が困難であり、積層体との密着性が低下する場合がある。
ここで空洞核剤としてはポリエステル樹脂と非相溶であるオレフィン系樹脂などの有機系核剤や、無機粒子やガラスビーズなどの無機系核剤が挙げられる。
有機系核剤としてはオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロンMXD6、ナイロン6Tなどのポリアミド系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーなどのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミドなどのスーパーエンプラ、あるいは本発明のポリエステルフィルムの構成するポリエステル樹脂と非相溶である異なる種類のポリエステル樹脂なども用いることができる。オレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテンなどの脂肪族ポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマーやシクロオレフィンコポリマーなど環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられ、中でも微細な空洞を形成し反射性をより高めることで積層体の出力向上性に優れる点から、有機系核剤としてはビカット軟化点が140℃以上のオレフィン系樹脂が好ましく、180℃以上のオレフィン系樹脂がより好ましい。有機系核剤としてビカット軟化点が140℃未満のオレフィン系樹脂を用いた場合、空洞の形状が粗大化し過ぎて、積層体の密着性や出力向上性が低下する場合がある。
またP1層中に含まれる有機系核剤量としては、ポリエステルフィルムの全質量に対して1質量%以上、30質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以上、15質量%以下、更に好ましくは8質量%以上、13質量%以下である。ここでP1層中に含まれる有機系核剤量が1質量%未満の場合、積層体は密着性には優れるものの、反射性が低下することで出力向上性に劣る場合がある。一方で有機系核剤量が30質量%を超える場合、出力向上性には優れるものの、空洞が多すぎて密着性に劣る場合がある。
更に有機系核剤を用いる場合、分散助剤を同時に併用することが好ましい。分散助剤としてはポリエーテル構造や屈曲骨格構造、嵩高いシクロヘキサン骨格構造などが共重合されたポリエステル系エラストマーや非晶性ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。より分散性を向上させられる点からは分散助剤を2種以上併用する形態も好ましく用いられる。またP1層中に含まれる分散助剤量としては、P1層の全質量に対して1質量%以上、10質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上、8質量%以下、更に好ましくは3質量%以上、6質量%以下である。ここでP1層中に含まれる分散助剤量が1質量%未満の場合、分散助剤としての効果が不足し、密着性が低下する場合がある。一方で分散助剤量が10質量%を超える場合、分散性が過分に向上することでかえって密着性が低下する場合がある。更には結晶性の低下によってP1層の耐湿熱性も低下する恐れがある。
P1層が空洞を有する場合、P1層の構成としてはとくに制限されないが3層以上の構成であることが好ましい。P1層を3層構成(P12層/P11層/P12’層)とした場合、芯層に当たるP11層に前記の空洞核剤を含有することが好ましい。また前述の粒子との併用を行う場合、粒子の添加場所は特に制限はないが、P1層の表層(P12層およびP12’層)の少なくとも一方に粒子添加することが好ましい。
本発明の積層体におけるP1層には、前記の空洞核剤や無機粒子以外にも、本発明の効果が損なわれない範囲で必要に応じて、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、染料、カップリング剤、機能性有機粒子などの添加剤が配合されていてもよい。例えば、添加剤として紫外線吸収剤を選択した場合には、本発明の積層体の耐紫外線性をより高めることが可能となる。また帯電防止剤を選択した場合、電気絶縁性を向上させることもできる。
更に、本発明の積層体のP1層は熱伝導率が0.9W/m・K以下であることが好ましく、0.75W/m・K以下であることがより好ましい。本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとする際、太陽電池モジュールの発電素子側とは反対面(以降、空気側面と称する場合がある)に他のフィルムを積層することがあるが、熱伝導率を0.9W/m・K以下とすることでセルの発熱を遮断し、空気側面に積層した機能層との密着性の低下を抑制することができる。積層体のP1層の熱伝導率は、積層体のP1層の空隙率を高くすることで低くすることができる。
本発明の積層体におけるP1層の厚みは25μm以上350μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上260μm以下である。本発明の積層体の厚みが25μm未満の場合、他の部材フィルムと貼り合わせ加工時にシワが発生することがある。一方で厚みが350μmより厚いと巻取り性が悪化する場合がある。なお、フィルム全体の厚みを45μm以上とすると、前述した厚み方向の空洞面積の偏りによる密着性の向上効果が顕著に得られ、また光の反射性が良好であるため出力向上効果が得られるため好ましい。より好ましくは48μm、さらに好ましくは50μm以上である。
(P2層(以降、光拡散層と称する場合がある))
本発明の積層体において、P2層は、前記P1層を構成するポリエステル樹脂とは異なる樹脂を主成分とし、少なくとも1種の粒子を含有し、前記粒子の少なくとも1種が、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下であることを必要とする。なお、本発明において、粒子の屈折率は、『Handbook of optical constants of solids 第1巻−5巻』(EDWARD D.PALIK 編 Academic Press)に記載の数値群の中から、ナトリウムD線に相当する589nmの値もしくは589nmに最も近い波長における屈折率の値をあらわすものである。粒子の屈折率が異方性を有し2つ以上の値が記載される場合はそれらの平均値をその粒子の屈折率とする。得られる数値は、小数点3位を四捨五入して得られる小数点2位までの値を粒子の屈折率とする。また上記文献に数値が載っていない粒子に関しては、『無機化学ハンドブック』(技報堂 1965年)に記載の値を、更に上記2文献に数値記載の無い粒子に関しては『フィラー活用事典』(大成社 1994年)を、その粒子の屈折率として採用する。上記文献に記載の屈折率の数値に範囲が存在する場合、記載の上限値と下限値の平均をとり、小数点3位を四捨五入して得られる小数点2位までの値を粒子の屈折率とする。なお、上記3文献すべてに記載の無い粒子に関しては以下の方法にて測定を行い、得られた数値を粒子の屈折率とする。
[粒子の屈折率の測定方法]
積層体よりP2層を溶解させ粒子の分散液を作製する。得られた粒子の分散液を遠心分離機にかけ含有される粒子を沈降させた後、再分散させることで屈折率測定用の粒子分散液を得る。P2層に複数の粒子が含有される場合には、前記遠心分離操作において各粒子を分離しそれぞれを沈殿、再分散させることで屈折率測定用の粒子分散液をそれぞれ得る。得られた屈折率測定用の粒子分散液に関して、分散レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD−2300((株)島津製作所製)を用いた測定を行う。測定後に得られる回折・散乱光の強度分布パターンを、データ解析ソフトウエアWingSALDII(島津製作所(株)製)を用いた光強度再現法により屈折率の値を算出し、得られた数値を該粒子の屈折率とする。
P2層を構成する樹脂としては、前記P1層を構成するポリエステル樹脂とは異なる樹脂を主たる構成成分とするが、特に制限はなく、公知な樹脂を使用することができる。ここで、前記P1層を構成するポリエステル樹脂とは異なる樹脂を主たる構成成分とするとは、該P2層を構成する樹脂としてポリエステル樹脂以外の樹脂を50重量%以上含有することを表す。P2層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらエチル、ブチルおよび2−エチルヘキシルなどのエステル誘導体を少なくとも1種類以上をモノマーとして構成要素に有するアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテンなどの脂肪族ポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマーやシクロオレフィンコポリマーなど環状ポリオレフィン樹脂、シリコーン系樹脂、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化ポリプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、およびP1層で用いるのとは別のポリエステル樹脂などを挙げることができる。P2層を構成する樹脂は、耐候性や透明性の観点からはアクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を主成分とすることが好ましく、絶縁性の観点からはポリオレフィン樹脂を主成分とすることが好ましく、中でもポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を主成分とすることがより好ましい。
P2層に含有する粒子としては公知である粒子を無機粒子、有機粒子の制限なく使用することができ、無機粒子としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、珪酸アルミナ、窒化ホウ素、マイカ、雲母、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、ジルコニア、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩からなる粒子および上記粒子の複合体などを挙げることができる。P2層に含有する粒子は、2種以上の粒子を含んでも良いが、特に、窒化ホウ素粒子、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子、炭酸カルシウム粒子から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。窒化ホウ素粒子は、結晶構造の違いから六方晶型、立方晶型がある。窒化ホウ素粒子を平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子として用いる場合は、平板状に結晶形成を行う六方晶型窒化ホウ素が好ましい。また、アルミナ粒子は、α―アルミナとδ―アルミナがある。アルミナ粒子を平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子として用いる場合は、熱安定性が高く粒子径や平均アスペクト比の制御が容易であるという観点から、α-アルミナが好ましい。
無機粒子の表面には、P2層を構成する樹脂内での粒子分散性向上や粒子の色味調整を目的として表面修飾を施してもよい。表面修飾としては二酸化アルミ、二酸化ケイ素などの金属酸化物をフィラー表面に被膜する処理や、有機物化合物を共有結合、非共有結合のいずれかを介してフィラー表面に定着させる処理が挙げられる。
有機粒子としては、P2層を構成する樹脂と屈折率が異なれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびそれら誘導体を構成に持つアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂を適宜使用することができる。
本発明の積層体において、P2層は少なくとも1種の粒子を含有し、前記粒子の少なくとも1種が、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下である必要がある。平均アスペクト比、屈折率を上記範囲の粒子を含有することで、光拡散性が良好となり、太陽電池の出力向上効果を得ることができる。より好ましい範囲として、平均アスペクト比(長径/短径)は2以上10以下、さらに好ましい範囲としては3以上8以下である。平均アスペクト比が2未満の場合、光拡散の効果が小さくなり出力向上の効果が不十分である。平均アスペクト比(長径/短径)が15を超えると粒子同士が積層や束状態の凝集を起こすことでP2層の脆化が起こり太陽電池モジュールに組み込んだ際の密着性が悪化する。
一方粒子の屈折率の好ましい範囲としては1.59より大きく2.50以下、更に好ましい範囲としては1.59より大きく2.4以下である。粒子の屈折率が1.5以下である場合、P2層を構成する樹脂との屈折率差が小さく、P2層を通過する光を屈折率差により曲げる(拡散させる)ことができず、出力向上効果は不十分となる場合がある。粒子の屈折率が2.8より大きい場合、P2層を構成する樹脂との屈折率差が大きくなり、P2層を通る光が反射層に当たるP1層に届かない場合がある、もしくはP1層で反射した光をP2層にて再度P1に反射することに繋がりこちらも出力向上効果は不十分となる場合がある。
本発明の積層体のP2層は光拡散能を向上することを目的として、前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下の粒子とは屈折率および平均アスペクト比(長径/短径)の異なる粒子をさらに含有することが好ましい。
また、P2層に2種以上の粒子を含有する場合、P2層に含有する粒子の屈折率差(P2層に含有する粒子の中で最大の屈折率を有する粒子の屈折率−P2層に含有する粒子の中で最小の屈折率を有する粒子の屈折率)は0.15以上であることが好ましい。P2層中に含有される粒子同士が近接した場合に屈折率差が0.15以上になることで、透過光を屈折させ光拡散の効果を増長させることができるためである。好ましい範囲としては0.17以上である。
また、P2層が2種以上の粒子を含有する場合は、前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下の粒子の他に、平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満であり、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下の粒子を含むことが好ましい。これは、前述のとおり、光拡散効果の高い屈折率が1.5より大きく2.8以下の粒子の形状においては、球状のような平均アスペクト比(長径/短径)の低い形状に比べ体積当たりの表面積が大きい板状のような平均アスペクト比(長径/短径)の高い形状の方が高い効果が得られるが、一方でP2層中の全ての粒子形状が平均アスペクト比(長径/短径)の高い板状などの形状を取ると、粒子同士での配向・凝集が促進される(板状粒子が重なるように配向・凝集する)ことでP2層が脆化し、太陽電池裏面保護用シートとしての封止材との密着性が低下する場合がある。このため、P2層に含有させる粒子として、平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満の粒子を併用させることで出力向上効果とP2層の密着性を両立することが可能となる。
また、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子と平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子の組成が異なることが好ましい。平均アスペクト比の異なる粒子同士の組成が異なることで、2つの粒子の親和性が高まり凝集することを抑制することができるため好ましい。ここで粒子の組成が異なるとは、後述するEELS分析を行うことで分析して得られる2つの粒子のEELSスペクトルが異なることを示す。
前述の平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下の粒子の平均粒子径は0.8μm以上4μm以下であることが好ましい。ここで粒子の平均粒子径とは後述の電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた測定方法により得られる体積基準円相当径の平均値である。平均粒子径が0.8μm未満であると400nm以上1200nm以下の波長域の光に関して、光線反射の効果が光拡散の効果より強く出ることでP2層の隠蔽度が上がり反射層であるP1層の光線反射特性を阻害する場合がある。また平均粒子径が4μm以上であると粒子凝集に起因する分散不良が起こり、出力向上効果が低下するとともに、P2層が脆化して太陽電池裏面保護用シートとしての封止材との密着性が低下する場合がある。平均粒子径の好ましい範囲としては1.0μm以上3μm以下であり更に好ましくは1.2μm以上2.8μm以下である。
前述の平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下の粒子の平均粒子径は0.8μm以上6μm以下であることが好ましい。ここで粒子の平均粒子径とは後述の電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた測定方法により得られる体積基準円相当径の平均値である。平均粒子径が0.8μm未満であると400nm以上1200nm以下の波長域の光に関して、光線反射の効果が光拡散の効果より強く出ることでP2層の隠蔽度が上がり反射層であるP1層の光線反射特性を阻害する場合がある。また平均粒子径が6μm以上であると、光拡散現象の生じる樹脂−粒子界面の数が少なくなることでP2層の光拡散の効果が不十分となり、出力向上効果が低下する場合がある。平均粒子径の好ましい範囲としては0.8μm以上4μm以下であり更に好ましくは0.8μm以上2.8μm以下である。
前記P2層は粒子を20体積%以上80体積%以下の濃度で含有することが好ましい。粒子濃度が20体積%未満の場合、光拡散に関与する粒子が少ないため積層体の出力向上効果が十分でない場合がある。また粒子濃度が80体積%を超える場合、P2層は粒子濃度が増加することで出力向上効果が高くなる一方でP2層が脆化し、太陽電池裏面保護用シートとしての封止材との密着性が低下する場合がある。粒子濃度の好ましい範囲としては、30体積%以上70体積%以下であり、さらに好ましい範囲としては40体積%以上65体積%以下である。
前記P2層に含有される上記平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満の粒子のP2層における体積%濃度をM、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子のP2層における体積%濃度をMとした場合、次の式(iii)で表せる濃度比率M12が0.05以上5.0以下であることが好ましい。
12=M/M・・・式(iii)
濃度比率M12が0.05未満の場合、使用する粒子の種類が同様でも平均アスペクト比(長径/短径の比)が2以上15以下の粒子に依存する光拡散の効果が低下してしまい積層体の出力向上効果が低下する場合がある。一方、濃度比率M12が5以上の場合、積層体の出力向上効果は向上するものの、平均アスペクト比(長径/短径)の高い粒子同士での配向・凝集が発生しP2層が脆化し、太陽電池裏面保護用シートとしての封止材との密着性が低下する場合がある。
本発明の積層体におけるP2層は本発明の効果が損なわれない範囲で必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)などのオレフィン系樹脂との易接着性、水蒸気バリア性、ガスバリア性、耐紫外線性、電気伝導性、電気絶縁性などを向上する目的で添加剤、粒子、樹脂を添加してもよい。
ここでP2層を構成する樹脂組成物に粒子を含有させる好ましい形態としては、特に制限されるものではなく、単層に粒子を含有させても2層以上の積層構成を取ってもよい。
積層構成の例としてはポリオレフィン系樹脂3層構成に置いて中央の層(P21層)に粒子を添加し、その両側を(P22層、P22’層)で挟むと共にP22層とP22’層を設ける(P22層/P21層/P22’層)構成が挙げられる。このときP22層、P22’層は前述の易接着性、水蒸気バリア性、ガスバリア性、耐紫外線性、電気伝導性、電気絶縁性などの特性を向上した機能性層として使用することが可能である。
本発明の積層体におけるP2層の厚みは1μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以上250μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上200μm以下である。P2層の厚みが1μm未満の場合添加する粒子の平均粒子径に対しP2層厚みが極端に小さくなりP2層に欠点や破れが発生し本発明の効果が得られなくなる場合がある。一方で厚みが300μmより厚いと粒子添加による隠蔽性が増加しP1層での光反射特性を阻害する影響が無視できなくなると共に、粒子添加によってP2層の剛性が上がり積層体の巻き取り性が悪化する場合がある。
本発明の積層体の構成において特に制限はなく、光拡散層として用いるP2層は反射層であるP1層と直接接する構成(P1層/P2層)でも、P1層とP2層が別の層を介して積層された構成(P1層/P3層/P2層)でも良い。さらにP2層を設ける手法においても特に制限はなく、例えばP1層、P2層原料である粒子および樹脂をそれぞれ別の押出機に投入し、Tダイからシート状に押し出し製膜する方法(共押出法)、別途製膜を行ったP1層単膜もしくはP1層を含む積層体の上にP2層原料である粒子および樹脂を押出機に投入し溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、別途作成したP2層とP1層単膜もしくはP1層を含む積層体とをドライラミネート用接着剤にて形成される接着層を介して貼り合わせる方法(接着法)、有機系もしくは水系溶剤に拡散層であるP2層原料である粒子および樹脂を溶解・分散させた後、塗布・乾燥を行う方法(コーティング法)などを挙げることができる。
以下にいくつかの手法に関して使用する部材について詳しく列挙する。
(接着法)
前述の接着法において、接着層を構成するドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチルおよび2−エチルヘキシルエステルなどのホモポリマー、あるいはこれらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリルおよびスチレンなどとの共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸およびメタクリル酸などのモノマーとの共重合体などからなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂などからなるポリオレフィン系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンおよびイソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートおよび低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を用いることができる。また、これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型および分散型等のいずれの形態でも良く、さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型および熱圧型等のいずれの形態の接着剤も用いることができる。
本発明においては、高耐熱性と耐湿熱性等に優れた接着剤を得るために、硬化剤または架橋剤を含ませることにより、上記の接着剤を架橋させることが好ましい。このような硬化剤または架橋剤としては、脂肪族系と脂環系のイソシアネート、あるいは、芳香族系イソシアネート等のイソシアネート系化合物を用いることができる。より具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、およびキシリレンジイソシアネート(XDI)等を例示することができる。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、ディップコーティング法、グラビアロールコート法、キスコート法、ダイコート法およびその他等のコート法、あるいは印刷法などによって、P1層とP2層のどちらかにコーティングして用いることができる。接着剤のコーティング量は、0.1g/m〜10g/m(乾燥状態)の範囲内であることが好ましい。
上記の接着剤中には、紫外線劣化などを防止するために、前述の紫外線吸収剤あるいいは光安定化剤を添加することができる。上記の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤としては、前述の紫外線吸収剤の1種ないしはそれ以上、あるいは、光安定化剤の1種ないしはそれ以上を同様に使用することができる。その使用量としては、その粒子形状、密度などによって異なるが、上記の接着剤成分100質量%中に、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
(コーティング法)
別途シート状に成形したP1層単体もしくはP1層と他の層との積層体に関して、事前に調合されたP2層を構成する粒子と樹脂を含有する有機系もしくは水系塗剤組成物をコーターにセットしロールコート法、ディップコーティング法、グラビアロールコート法、キスコート法、ダイコート法およびその他等のコート法、あるいは印刷法などを用いて塗布し乾燥することでP2層を形成する。また必要に応じてP1層単体もしくはP1層と他の層の積層体への塗剤組成物の濡れ性向上、P2層形成後の層間接着力向上の観点から、コーティング工程の直前に表面へコロナ処理を行ってもよい。
前述の光拡散層であるP2層を設ける手法はP2層を構成する樹脂の種類によって適宜選択でき、拡散層を構成する樹脂がポリエステルの場合は共押出法であり、融点が150℃未満の、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン系の低融点ポリマーの場合は溶融ラミネート法や接着法であり、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールおよびポリシリケートなどのコーティング用樹脂を使用する場合は、コーティング法が好ましく用いられる。
(積層体)
本発明の積層体は、ポリエステル樹脂を主成分とし反射層の役割を担うP1層と平均アスペクト比(長径/短径)が高く屈折粒の高い粒子を含有する光拡散層の役割を担うP2層の2つを少なくとも有する構成である。P1層とP2層は直接接触している(P1層/P2層)構成でも、他の層(P3層)を介して接触する(P1層/P3層/P2層)構成でも構わない。
前記P3層としては水蒸気バリア性、ガスバリア性、P1層、P2層との易接着性などの他の機能を持つ層を設けることができる。またP1層これらの層を設ける方法としては、P1層と積層する材料をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、ドライラミネート用接着剤にて形成される接着層を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、積層する材料の形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたP1層上に塗布する方法(コーティング法)、硬化性材料をP1層上に塗布した後に電磁波照射、加熱処理などで硬化させる方法、積層する材料をP1層上に蒸着/スパッタする方法、およびこれらを組み合わせた方法などを使用することができる。
また本発明の積層体の好ましい構成としては少なくとも一方の表層がP2層であることが好ましい。P2層が表層にあることでP2層での光拡散の効果が他の層の影響により抑制されることが無く、出力向上の効果を最大限得ることができる。
本発明の積層体は、ポリエステル樹脂を主成分とする層(P1層)と、粒子を含有する層(P2層)を有する積層体であって、前記粒子の少なくとも1つが、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下であることが必要である。
本発明の積層体の少なくともいっぽうの表層から測定した波長400nm以上1200nm以下の範囲における平均反射率は70%より大きいことが好ましい。平均反射率が70%以下である場合、太陽電池裏面保護用シートして用いる際は積層体の光拡散能が高くても発電セルに再度入射する光量が低下することで太陽電池モジュールの発電量向上効果は得られない場合がある。
(太陽電池裏面保護用シート)
次に、本発明の太陽電池裏面保護用シートについて説明する。本発明の太陽電池裏面保護用シートは、本発明の積層体に少なくとも1層以上の機能層を有する太陽電池裏面保護用シートであることが好ましい。中でも、後述する測定方法により求められる太陽電池裏面保護用シートのカール高さが10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。太陽電池裏面保護用シートのカール高さを10mm以下とすることで、カールによって発生する位置ずれやセル割れの発生率が減少し、太陽電池の生産性を向上することが可能となる。
また、太陽電池裏面保護用シートのカール高さを10mm以下とするためには、前記積層体のヤング率を4.0GPa以下、太陽電池裏面保護用シートのヤング率を4.0GPa以下とすることが好ましい。より好ましくは、積層体のヤング率は4.0GPa以下、太陽電池裏面保護用シートのヤング率は3.0GPa以下がより好ましい。積層体、並びに太陽電池裏面保護用シートのヤング率の下限値は、本発明の機能を損なわない限り特に制限されるものではないが、0.5GPa以上あれば十分である。
太陽電池裏面保護用シートのヤング率を4.0GPa以下とすることで、太陽電池裏面保護用シートをロール状態で保管した場合に発生する巻き癖を、太陽電池に積層する際に、太陽電池裏面保護用シートの自重によって平らにすることができる。
なお、積層体のヤング率を上記の範囲とする方法は特に制限されるものではないが、以下の方法などで調整することができる。例えば、積層体におけるP1層中の空隙率を高くしたり、製膜時の延伸倍率を低くすると、積層体のヤング率は低くなる傾向にある。また、積層体におけるP1層中の空隙率を低くしたり、製膜時の延伸倍率を高くすると、積層体のヤング率は高くなる傾向にある。また、太陽電池裏面保護用シートのヤング率は、太陽電池裏面保護用シートに用いる積層体のヤング率が高いと高くなり、低いと低くなる傾向がある。それ以外にも、積層体に積層する層のヤング率により調整することができる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートの機能層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート共重合体のうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層であると密着性が良好となるため好ましい。特に、本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、ポリエステル樹脂積層と封止材の間に前記機能層を有することで、封止材との良好な密着力を有することが可能となる。この中でも特に耐候性、水蒸気バリア性の観点からポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート共重合体のうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層を機能層とする場合、機能層の厚みは30μm以上300μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。当該層の厚みを30μm以上とすることで水蒸気バリア性や絶縁性が向上し、300μm以下とすることで太陽電池製造時の機能層のはみ出しによる工程汚染を抑制することが可能となる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート共重合体のうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層を機能層として本発明のポリエステル樹脂積層と積層する方法は、特に限られるものではないが、本発明のポリエステル樹脂積層に直接積層する方法や、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明のポリエステル樹脂積層と機能層を接着剤などを介して積層する方法が挙げられる。
また、本発明のバックシートの機能層は、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化ポリプロピレン共重合体(FEP)のうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層であると、バックシートの耐候性を良好にすることが可能となるため好ましい。特に、前記機能層が、本発明の積層体の空気側面に積層されると紫外線による劣化を抑制できるため好ましい。耐候性の観点から、前記機能層は、PVF、PVDFのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
PVF、PVDF、ETFE、FEPのうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層を機能層とする場合、機能層の厚みは25μm以上、125μm以下であることが好ましく、25μm以上75μm以下であることがより好ましい。当該層の厚みを25μm以上とすることで耐候性が向上し、125μm以下とすることで太陽電池裏面保護用シートの加工性が向上する。
PVF、PVDF、PTFE、ETFEのうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層を機能層として本発明のポリエステル樹脂積層に積層する方法は、特に限られるものではないが、本発明のポリエステル樹脂積層に直接積層する方法や、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明のポリエステル樹脂積層と機能層を接着剤などを介して積層する方法が挙げられる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートの機能層は、ポリウレタンを含む層であると、密着性が良好となるため好ましい。特に前記機能層が、本発明のポリエステル樹脂積層と封止材の間に位置すると、封止材との密着力が向上する。ここでいうポリウレタンとは、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物から得られた重合体の総称である。イソシアネート基を有する化合物としては、トリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネートや、これらジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、これらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート体、これらジイソシアネートのビューレット結合体、ポリメリックジイソシアネートなどがあるが、この中でも色調の観点からHDIが好ましい。水酸基を有する化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、フッ素系ポリオールなどがあるが、耐湿熱性、耐候性の観点からポリアクリルポリオール、フッ素系ポリオールが好ましい。
ポリウレタンを含む層を機能層とする場合、機能層の厚みは1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましい。ポリウレタンを含む層を機能層とした場合、機能層の厚みを1μm以上とすることで耐候性が向上し、20μm以下とすることでバックシートの加工性が向上する。
ポリウレタンを含む層を機能層として本発明の積層体と積層する方法は、特に限られるものではないが、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、およびその他のコート法、あるいは印刷法等によって積層する方法が挙げられる。
また、本発明の太陽電池裏面保護用シートの機能層は、無機化合物を含むことが好ましい。太陽電池裏面保護用シートの機能層が無機化合物を含むことで、太陽電池裏面保護用シートの水蒸気バリア性が向上する。機能層が含む無機化合物としては、シリカや、アルミナが好ましく、水蒸気バリア性、耐湿熱性の面で特にシリカが好ましい。
無機化合物を含む層を機能層として本発明の積層体と積層する方法としては特に限られるものではないが、本発明の積層体に直接積層する方法や、本発明の積層体と異なるポリエステルフィルムに無機化合物を積層し、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明の積層体と無機化合物を積層したポリエステルフィルム以外の層(機能層)とを接着剤などを介して積層する方法が挙げられる。
また、本発明の太陽電池裏面保護用シートは、ポリエステルを含む機能層を、接着層を介して本発明の積層体と積層し、太陽電池裏面保護用シートとすると耐候性、加工性に優れるため好ましい。
ポリエステル樹脂を含む層を機能層とする場合、機能層の厚みは25μm以上188μm以下であることが好ましく、38μm以上125μm以下であることがより好ましい。前記層の厚みを25μm以上に厚くすることで耐候性を向上し、188μm以下に薄くすることでバックシートの加工性を向上することが可能である。
本発明の積層体は光反射特性と光拡散性に優れるため、太陽電池裏面保護用シートとして用いることで太陽電池モジュールの出力を向上させる効果を示す。太陽電池裏面保護用シートとして積層体を用いる場合、P1層よりもP2層が太陽電池モジュールの発電素子側に配するように用いることが好ましい。これは太陽電池の発電セルに直接入射しなかった太陽光を本発明の積層体により反射、拡散させるために、反射層に相当するP1層と発電セルの間に光拡散を促すP2層を配した方が光拡散の効果を多く得ることができるためである。加えて本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして加工する際、本発明の効果を阻害し無範囲において積層体と他の層とを組み合わせてもよい。具体例としては耐紫外線性を向上させることを目的として積層体のP1層側表面に酸化チタンや有機系紫外線吸収剤を含有するポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂層を設けることや、太陽電池モジュール封止材層との密着性を向上するために、封止材との易接着層を設けるもしくは予め易接着層に加え封止材層を設けることなどが挙げられる。
(太陽電池裏面保護用シートの製造方法)
次に、本発明の太陽電池裏面保護用シートの製造方法について例を挙げて説明する。これは一例であり、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明の積層体を用いた太陽電池裏面保護用シートの製造方法は、以下の方法で製造することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、前述の重合触媒を用いることで、ジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体とジオールを前述のエステル交換触媒を用いた周知の方法でエステル交換反応、もしくはエステル化反応させることによって得ることができる。
次に、太陽電池裏面保護用シートの製造方法は、光反射層であるP1層単膜構成の場合、P1層用原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、P1層用の原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)なども使用することができる。
また、光反射層であるP1層が2層以上の積層構成である場合(P11層/P12層、P12層/P11層/P12’層構成などの場合)で積層する各層の材料がポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂を主たる構成とする場合、複数の異なる熱可塑性樹脂を複数の押出機に投入し溶融してから合流させて、口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)を好ましく用いることができる。
また、単膜構成または複数の層からなる積層体として一軸もしくは、二軸延伸されたシート基材を選択した場合、その製造方法として、まず、押出機(積層構造の場合は複数台の押出機)に原料を投入し、溶融して口金から押出し(積層構造の場合は共押出)し、冷却した表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
次に、この未延伸シートを70℃以上に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。長手方向の延伸における加熱ロール温度の下限についてはシートの延伸性を損なわない限り特に制限はないが、使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度+5℃が好ましい。また、本発明の太陽電池裏面保護用シート長手方向の延伸倍率の好ましい範囲は2.5倍〜5倍である。より好ましい範囲としては3.0倍〜3.5倍である。長手方向の延伸倍率が2.5倍以下であると、配向結晶化が進行せずP1層の耐湿熱性が著しく低下する。一方で、延伸倍率が4.5倍を超える場合、延伸に伴うポリエステル樹脂の配向結晶化が進行しシートの結晶化度が上がり耐久性が低下する。また、P1層が空洞を含有する構成の場合、空洞核材によって生じる空洞が大きくなり反射率が向上する反面シートの耐久性が低下する。
続いて、シートの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜5倍に延伸する。その後延伸されたシートはテンター内で熱処理を行い内部の配向構造の安定化を行う。ここで熱処理温度としては200〜250℃の範囲で行うことが好ましい。熱処理を行うことで配向結晶化したポリエステル樹脂の配向を緩和することができ、シートを再度加熱した際の熱収縮による寸法変化を小さくすることができる。このような寸法変化が大きい場合、本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして熱圧着工程により太陽電池モジュール内に組み込む際にシートが収縮することで陽電池モジュールにそりが発生したり、発電セルに付属する配線を収縮時に折り曲げて突起を形成しシート自体が破れることに繋がったりするため小さくすることが好ましい。この効果は前述の範囲において温度が高いほうがより大きくなる。一方250℃以上にした場合、配向結晶化の緩和が大きくなることで、配向結晶化により保たれていたシートの耐久性が著しく低下する場合があるため好ましくない。また200℃未満の温度で熱処理を行った場合、上述の効果が得られず太陽電池モジュール組み込み時に前述のような不具合が発生する。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜15倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸シートの耐久性が不十分となり、逆に面積倍率が15倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
二軸延伸する方法としては、上述の様に長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
二軸延伸を施したP1層に対しP2層を構成する樹脂と粒子を前述のオフラインコーティング法により塗布し乾燥することで本発明の積層体を得る。本発明の積層体における光反射性はP1層に光拡散はP2層中に添加される粒子処方により決定される。
このため本発明の積層体を用いた太陽電池裏面保護用シートの好ましい構成としては、P2層を構成する樹脂を太陽電池封止材層と密着性を有するアクリルポリオール系などの樹脂にすることで光散乱性と封止材密着性との機能を統合することで封止材易接着層とP2層間での剥離懸念を払拭することができる。一方、水蒸気バリア性や電気絶縁性の向上を目的としてポリオレフィン樹脂層を構成に含む必要がある場合には、P2層を構成する樹脂としてドライラミネート剤用の塗材を選択することで、ポリオレフィン系樹脂密着性と光拡散性の機能を統合することで、オレフィン易接着層とP2層間での剥離懸念を払拭することができる。またこれら機能統合を行うことで生産工程数が削減されるため製造する上での歩留まりが良くなる。
また、P1層のP2層が配されるのとは逆の表層に酸化チタンや有機系紫外線吸収剤を含有するポリエステル樹脂を初め、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂などの耐紫外線性に優れたシートを前記接着法もしくはコーティング法により設けることが好ましい。これにより太陽電池裏面保護用シートの耐紫外線性を向上させることで、長期屋外曝露後も本発明の太陽電池モジュール出力向上効果を保持することができる。
(太陽電池モジュール)
次に、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。本発明の太陽電池モジュールは、前記の積層体をそのまま搭載する。もしくは前記の太陽電池裏面保護用シートを搭載することを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールの構成例を図1に示す。電気を取り出すリード線(図1には示していない)を接続した発電素子をEVA樹脂などの透明な封止材2で封止したものに、ガラスなどの透明基板4と太陽電池裏面保護用シート1として貼り合わせて構成されるが、これに限定されず任意の構成に用いることができる。
ここで、本発明の太陽電池において、太陽電池裏面保護用シート1は発電素子を封止した封止材2の背面に設置される発電セルを保護する役目を担う。ここで太陽電池裏面保護用シートはP1層よりもP2層が封止材側に来るように配することが太陽電池の出力を高める点で好ましい。この構成とすることによって、本発明の積層体の優れた出力向上効果を有する太陽電池モジュールとすることができる。
発電素子3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、結晶シリコン系、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、銅インジウムセレナイド系、化合物半導体系、色素増感系など、目的に応じて任意の素子を、所望する電圧あるいは電流に応じて複数個を直列または並列に接続して使用することができる。透光性を有する透明基板4は太陽電池の最表層に位置するため、高透過率のほかに、高耐候性、高耐汚染性、高機械強度特性を有する透明材料が使用される。本発明の太陽電池において、透光性を有する透明基板4は上記特性と満たせばいずれの材質を用いることができ、その例としてはガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく挙げられる。ガラスの場合、強化されているものを用いるのがより好ましい。また樹脂製の透光基材を用いる場合は、機械的強度の観点から、上記樹脂を一軸または二軸に延伸したものも好ましく用いられる。また、これら基材には発電素子の封止材料であるEVA樹脂などとの接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
発電素子を封止するための封止材2は、発電素子の表面の凹凸を樹脂で被覆し固定し、外部環境から発電素子保護し、電気絶縁の目的の他、透光性を有する基材やバックシートと発電素子に接着するため、高透明性、高耐候性、高接着性、高耐熱性を有する材料が使用される。その例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
以上のように、本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして太陽電池に搭載することにより、従来の太陽電池と比べて長期間屋外に置かれた場合でも太陽電池裏面保護用シートとの密着性が保持され、更には発電効率を高めることが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
〔特性の測定方法および評価方法〕
(1)ポリマー特性
(1−1)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール100mlに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又は積層体のP1層のみを分離したもの)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/100ml)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(iv)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]・C ・・・式(iv)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
(i)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2g/100mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
(ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
(iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する。((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/100mL))
(iv)(iii)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(iv)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とする。
(1−2)末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する。)
末端カルボキシル基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
測定試料(ポリエステル樹脂(原料)または太陽電池裏面保護用シートのP1層のみを分離したもの)2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル1tの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して不溶物の重量測定を行い、不溶物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を実施した。
(1−3)リン量、アルカリ金属元素を除く金属元素量の定量測定方法
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて元素量を測定した。
凍結粉砕した試料8gを、JIS K0119の記載に準じて分析試料とした。試料中の各元素の含有量の定量は、JIS K0119(1999)10.1d)の記載に準じて行った。
(1−4)アルカリ金属量の定量測定方法
試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を、体積が50mlになるように0.1Nの塩酸に溶かし、溶液Aを得た。溶液Aに不溶物が無い場合は、これを測定試料として用いた。
一方、溶液Aに不溶物がある場合は、以下の方法によって、測定試料を得た。新たに試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を6.5Nの硝酸5mlに溶かし、溶液Bを得た。溶液Bを加熱し、硝酸を蒸発せしめ、残渣を得た。当残渣を、体積が50mlになるように0.1Nの塩酸に溶かし、溶液Bを得た。当該溶液Bを測定試料として用いた。
上記の測定試料を用いて、原子吸光分析法(曰立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。定量は、JIS K0121(1999)9.1a)の記載に準じて行った。
(2)平均粒子径測定
ミクロトームを用いて、樹脂層の表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)を用いて10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層、およびP2層中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した500個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準平均粒子径を得た。下記粒子の構成元素分析により2種類以上の粒子が含有される場合には、各粒子に関して500個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準円相当径の平均値より平均粒子径を求めた。
(3)平均アスペクト比
P2層において前項(2)項に記載の方法による電界放射走査型電子顕微鏡観察において、測定された粒子の最大直径を求め粒子の長径とした。続いて長径と垂直方向の粒子径を測定しそれを短径とした。更に求めた長径と短径から次の式(v)を用いてアスペクト比を求めた。各粒子に関して500個以上の粒子のアスペクト比を測定し、その平均値をもって該粒子の平均アスペクト比とした。
平均アスペクト比=(長径)/(短径)・・・式(v)
(4)粒子の構成元素分析
前項(2)記載の方法による電界放射走査型電子顕微鏡観察において、観測された粒子に対し元素分析としてJED−2300F(日本電子(株)製、半導体検出器、ドライSDエクストラ)を用いたエネルギー分散型X線分析(EDS)、および必要に応じて元素状態分析として電界放出型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子(株)製、加速電圧200kV)を用いてGATAN GIF“Tridiem”を用いたEELS分析を行い粒子の構成元素を特定し、得られたEELSスペクトルと市販の金属化合物のEELSスペクトルもしくは一般に公開されているEELSスペクトルデータと照会を行うことで、P1層およびP2層内に含有された粒子の構成を同定した。
一方、無機元素がほとんど検出されないもしくは前記の同定が困難であった場合、有機粒子の含有が示唆されるため上記分析に加え、P2層の表面について、X線光電子分光分析装置(ESCA)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)ATR法、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)、またはP2層を溶剤にて溶解抽出し、プロトン核磁気共鳴分光法(H−NMR)、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)、フッ素核磁気共鳴分光法(19F−NMR)、ケイ素核磁気共鳴分光法(29Si−NMR)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)により構造を解析することで有機粒子を同定する。
(5)粒子の屈折率
粒子の屈折率は、前述したとおり、『Handbook of optical constants of solids 第1巻−5巻』(EDWARD D.PALIK 編 Academic Press)に記載されている粒子については、589nmの値もしくは589nmに最も近い波長における屈折率の値を採用した。粒子の屈折率が異方性を有し2つ以上の値が記載される場合はそれらの平均値をその粒子の屈折率とした。得られる数値は、小数点3位を四捨五入して得られる小数点2位までの値を粒子の屈折率とした。
また上記文献に数値が載っていない粒子に関しては、『無機化学ハンドブック』(技報堂 1965年)に記載の値を、更に上記2文献に数値記載の無い粒子に関しては『フィラー活用事典』(大成社 1994年)を、その粒子の屈折率として採用した。屈折率の数値に範囲が存在する場合、記載の上限値と下限値の平均をとり、小数点3位を四捨五入して得られる小数点2位までの値を粒子の屈折率とした。
上記3文献すべてに記載の無い粒子に関しては下記の方法にて測定を行い、得られた数値を粒子の屈折率とした。具体的には、まず積層体よりP2層を溶解させ粒子の分散液を作製する。得られた粒子の分散液を遠心分離機にかけ含有される粒子を沈降させた後、再分散させることで屈折率測定用の粒子分散液を得る。P2層に複数の粒子が含有される場合には、前記遠心分離操作において各粒子を分離しそれぞれを沈殿、再分散させることで屈折率測定用の粒子分散液をそれぞれ得る。得られた屈折率測定用の粒子分散液に関して、分散レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD−2300((株)島津製作所製)を用いた測定を行う。測定後に得られる回折・散乱光の強度分布パターンを、データ解析ソフトウエアWingSALDII(島津製作所(株)製)を用いた光強度再現法により屈折率の値を算出し、得られた数値を該粒子の屈折率とした。
(6)積層体の平均反射率と平均透過率
5cm×5cmで切り出した本発明の積層体および太陽電池裏面保護用シートを分光光度計(U−4100 Spectrophotometer、(株)日立ハイテクノロジーズ 製)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率測定を行った。本測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルのロール巻出し方向を上下方向にして積分球の後ろに設置した。透過率測定では、サンプルのロール巻出し方向を上下方向にして積分球の前に設置した。サンプルの表裏は特に制限はないが、P1層よりもP2層が光源側に来るように設置した。測定条件として、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分(可視)/750nm/分(赤外)で測定した。得られたスペクトルデータより波長400nm以上1200nmにおける各波長の反射率および透過率の平均値をそれぞれ算出し、積層体の持つ平均反射率および平均透過率とした。
(7)積層体のガラス板ラミネート品作製
本発明の積層体および太陽電池裏面保護用シートを55mm×110mmで切り出し、カバー材として53mm×105mmのガラス(大阪硝子工業(株)製 3.2mm厚白板熱処理ガラス)と、封止材として55mm×105mmのエチレン−ビニルアセテート共重合体シート(サンビック(株)製封止材0.5mm厚)2枚と共に、ガラス/封止材/積層体の順に積層する。この際、積層体はP1層よりP2層が封止材であるエチレン−ビニルアセテート共重合体側に位置ように設置する。該ガラスを真空ラミネータの熱板と接触するようにセットし、熱板温度145℃、真空引き4分、プレス1分および保持時間10分の条件で真空ラミネートを行い、本発明のガラスラミネート品を得た。該ガラスラミネート品は太陽電池モジュールから発電セルを除いた構成であると見なせ、下記の手法により本発明の積層体を太陽電池モジュールに組み込むことで得られる再入射光量を評価した。
(8−1)ガラスラミネート品の平均反射率と平均透過率
前項(7)記載の手法に従い、ガラスラミネート品のガラス面が光源側に来るように配した場合の波長400nm以上1200nm以下の範囲における平均反射率と平均透過率を求めた。
(8−2)再入射光量評価
前項(7)および(8−1)で算出した積層体の波長400nm以上1200nm以下の範囲における平均反射率R、平均透過率Tおよびガラスラミネート品の平均反射率R、平均透過率Tの値を用い,次の式(vi)により入射光に対する再入射光を起こす光量(再入射光量(%))を算出した。
再入射光量(%)=(R+T)−(R+T)・・・式(vi)
上記式は本発明の積層体における入射光に対して外部に漏れ出る(反射もしくは透過する)光の量が、ガラス、封止材と張り合わせる前後でどれだけ減少するかを示す値であり、外部に漏れ出る(反射もしくは透過する)光の量が減少することはガラスラミネート品内で入射光の一部が空気−ガラス界面で全反射を起こしガラスラミネート品内に閉じ込められることを示す。
再入射光量(%)が45%以上:A
再入射光量(%)が42%以上45%未満:B
再入射光量(%)が36%以上42%未満:C
再入射光量(%)が36%未満:D
積層体を太陽電池モジュールに組み込むことで得られる再入射光量はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(9)P2層の密着性評価
本発明の積層体のP2層に常態下(23℃、相対湿度65%)で1mmのクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン製)をその上に貼付け、1.5kg/cm重で押し付けた後、90°方向に剥離した。上記試験を3回行いの剥離したマスの個数の合計値(0〜300個)によりP2層の製膜直後でのP1層との密着性について以下の通り評価を行った。
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が5個以下:A
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が6個以上20個以下:B
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が21個以上60個以下:C
3回の剥離試験後残存するマスの個数の合計が61個以上:D
P2層の密着性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(10)耐湿熱性評価
本発明の積層体、太陽電池裏面保護用シートを測定片の形状10mm×200mmに切り出した後、高度加速寿命試験装置プレッシャークッカー(エスペック(株)製)にて、温度125℃、相対湿度100%RHの条件下にて48時間処理を行い、その後、ASTM−D882(1997)に基づいて破断伸度を測定した。なお、測定はチャック間50mm、引っ張り速度300mm/min、測定回数n=5とし、また、シートの長手方向、幅方向のそれぞれについて測定した後、その平均値を湿熱試験後の破断伸度とした。得られた湿熱試験後の破断伸度から、耐湿熱性を以下のように判定した。
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の60%以上の場合:A
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の40%以上60%未満の場合:B
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の20%以上40%未満の場合:C
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の10%以上20%未満の場合:D
湿熱試験後の破断伸度が湿熱試験前の破断伸度の10%未満の場合:E
耐湿熱性はA〜Dが良好であり、その中でもAが最も優れている。
(11)耐紫外線性(紫外線処理試験時の色調変化)
(11−1)色調(b値)測定
JIS−Z−8722(2000)に基づき、分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて反射法により本発明の積層体、太陽電池裏面保護用シートの色調(b値)をn=3で測定し、その平均値として求めた。
(11−2)色調変化Δb
本発明の太陽電池裏面保護用シートにアイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50R%、照度150mW/cm(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で48時間照射した前後の色調(b値)を前記(13−1)項に従い測定し、次の式(vii)より紫外線照射後の色調変化(Δb)を算出した。尚、本発明の太陽電池裏面保護用シートに関しては、実施例23から28、36から37、41から44においては機能層Bを有する面の反対面に、実施例40から46、49から51においては機能層Bを有する表面に、45から47においては機能層B’を有する表面に紫外線試験光が当たるように試験を行った。
紫外線照射後の色調変化(Δb)=b1―b0・・・式(vii)
b0:紫外線照射前の色調(b値)
b1:紫外線照射後の色調(b値)
得られた紫外線処理試験前後の色調変化(Δb)から、耐紫外線性を以下のように判定した。
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が3未満の場合:A
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が3以上6未満の場合:B
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が6以上10未満の場合:C
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が10以上20未満の場合:D
紫外線照射処理試験前後の色調変化(Δb)が20以上の場合:E
耐紫外線性はA〜Dが良好であり、その中で最もAが優れている。
(12)ヤング率評価
本発明の積層体、太陽電池裏面保護用シートのヤング率をASTM−D882(1997)に基づいて測定した。なお、測定はチャック間50mm、引っ張り速度300mm/min、測定回数n=5とし、また、シートの長手方向、幅方向のそれぞれについて測定した後、その平均値をヤング率とした。得られたヤング率から、以下のように判定した。
ヤング率が、2.0GPa以下の場合:A
ヤング率が、2.0GPaを超えて、3.0GPa以下の場合:B
ヤング率が、3.0GPaを超えて、4.0GPa以下の場合:C
ヤング率が、4.0GPaを超える場合:D
ヤング率はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(13)カール高さ評価
太陽電池裏面保護用シートの評価として以下の手順でカール高さ(カール性)の評価を行った。
1.外径84.2mmの紙管に、200mm×200mmにカットした太陽電池裏面保護用シートを巻いて固定し、40℃50%RHにおいて1週間保管し、得られた太陽電池裏面保護用シートを紙管から外しカール高さ評価用シートを得る。
2.得られたカール高さ評価用シートを、25℃の環境下で、平らな板の上に、カール高さ評価用シートの中央部が板に接触する向きに置く。
3.カール高さ評価用シートの4箇所の角の板からの距離(カール高さ)をノギスで測定する。
4.3.で得られた4箇所のカール高さの平均値を取り、得られたカール高さの平均値からカール高さ評価は以下のように判定した。
カール高さの平均値が5mm未満:A
カール高さの平均値が5mm以上、10mm未満:B
カール高さの平均値が10mm以上、15mm未満:C
カール高さの平均値が15mm以上:D
カール高さはA〜Cが良好で有り、その中で最もAが優れている。
(14)水蒸気バリア性評価
太陽電池裏面保護用シートの水蒸気バリア性の評価として、JIS K7129(2008)の赤外線センサ法に準じて、測定面積50cm、40℃90%RH環境下における水蒸気透過率を測定した。得られた値から、水蒸気バリア性は以下のように判定した。
水蒸気透過率が0.5g/m/day未満:A
水蒸気透過率が0.5g/m/day以上、1.0g/m/day未満:B
水蒸気透過率が1.0g/m/day以上、2.0g/m/day未満:C
水蒸気透過率が2.0g/m/day以上、3.0g/m/day未満:D
水蒸気透過率が3.0g/m/day以上:E
水蒸気バリア性はA〜Dが良好で有り、その中で最もAが優れている。
(15)太陽電池モジュール特性評価
(15−1)モジュール化による出力向上効果
多結晶シリコン型太陽電池素子「Tainergy社製T1M17203L」の表面と裏面の銀電極部分に、フラックス「HOZAN社製H722」をディスペンサーで塗布し、表面と裏面の銀電極の上に、155mmの長さに切断した配線材「日立電線社製銅箔SSA−SPS0.2×1.5(20)」を、表面側の太陽電池素子の片端から10mm離れたところが配線材の端に、そして裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いて、太陽電池素子裏面側から半田ごてを接触させて表面と裏面を同時に半田溶着し、1セルストリングスを作製した。
次に、作製した1セルストリングスのセルから飛び出している前記の配線材の長手方向と、180mmに切断した取り出し電極「日立電線社製銅箔A−SPS0.23×6.0」の長手方向が垂直になるよう置き、前記の配線材と取り出し電極が重なる部分に前記のフラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。この時点において、JIS C8914:2005の基準状態に準じて短絡電流の測定を実施し、発電素子単体の発電性能とした。
次に、カバー材として190mm×190mmのガラス(旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス)と、表側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)と、発電素子単体の発電性能評価を実施した取り出し電極付きストリングスと、裏側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)と、拡散層がエチレンビニルアセテートと反射層の間に位置する向きになるよう設置された、190mm×190mmに裁断したバックシートの順に積層し、該ガラスを真空ラミネータの熱板と接触するようにセットし、熱板温度145℃、真空引き4分、プレス1分および保持時間10分の条件で、真空ラミネートを行い太陽電池モジュールを得た。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面が太陽電池素子の表面側になるようにセットした。得られた太陽電池モジュールを、JIS C8914:2005の基準状態に準じて測定した短絡電流の測定を実施し、モジュール化後の発電性能とした。
このようにして得られたセル単体の発電性能とモジュール化後の発電性能から、次の式(viii)に従い、太陽電池モジュールの出力向上効果(%)を算出した。
発電性能向上率(%)=((モジュール化後の発電性能/セル単体の発電性能)−1)×100・・・式(viii)
得られた発電性能向上率(%)から、出力向上効果を以下のように判定した。
発電向上率が6.3%以上の場合:A
発電向上率が6.0%以上、6.3%未満の場合:B
発電向上率が5.4%以上、6.0%未満の場合:C
発電向上率が5.4%未満の場合:D
太陽電池の出力向上性はA〜Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
(15−2)太陽電池モジュール密着性評価
(15−1)項で作製した太陽電池を10個準備し、85℃85%RHに調整した恒温恒湿槽(エスペック(株)製)で4000hr処理した後、ラミネートした積層体に剥離が発生していないかを目視で確認を行った。太陽電池モジュール密着性は10個の太陽電池のうち、目視でシートが剥離しているものが何個あるかについて確認し、以下のように判定を行った。
全ての太陽電池で剥離が発生していない場合:A
作製した太陽電池のうち1個の太陽電池からシートが剥離していた場合:B
作製した太陽電池のうち2個以上4個未満の太陽電池からシートが剥離していた場合:C
作製した太陽電池のうち4個以上7個未満の太陽電池からシートが剥離していた場合:D
作製した太陽電池のうち7個以上シートが太陽電池から剥離していた場合:E
太陽電池モジュール密着性はA〜Dが良好であり、その中でもAが最も優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(P1層に用いるポリエステル系樹脂原料)
1.PET原料1
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マンガン4水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、末端カルボキシル基量が15当量/トンのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.82、末端カルボキシル基量が10当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−1)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
2.空洞核剤マスターペレット1
上記1.項によって得られたPET樹脂A(PET−1)42質量部と、ポリプラスチックス株式会社製シクロオレフィンコポリマー(COC)“TOPAS”(登録商標)6018(ビカット軟化点=188℃)、40質量部、東レデュポン株式会社製ポリエステル系エラストマー(TPE)“ハイトレル”(登録商標)7247 18質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、空洞核剤マスターペレット1(COC−1)を作製した。
3.酸化チタンマスターペレット1
上記1.項によって得られたPET樹脂1(PET−1)100質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン粒子(TiO)100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタンマスターペレット1(TiO−1)を作製した。
4.酸化チタンマスターペレット2
上記1.項によって得られたPET樹脂A(PET−a)100質量部と、平均粒子径1.0μmのルチル型酸化チタン粒子(TiO)100質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタンマスターペレット2(TiO−2)を作製した。
(P2層に用いる樹脂、粒子)
5.アクリル樹脂1
表8の主剤の欄に示される配合によって、(株)日本触媒製のアクリル系コーティング剤である“ハルスハイブリット”(登録商標)ポリマー UV−G301(固形分濃度:40質量%)、可塑剤としてDIC(株)製ポリエステル系可塑剤“ポリサイザー”(登録商標)W−220EL、溶媒として酢酸エチルを添加して、固形分濃度が20質量%であるP2層形成用主剤を得た。
上記のようにして得られた主剤に、表8に示されるヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエルウレタン(株)製“デスモジュール”(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%)を、前記の樹脂層形成用主剤との質量比が55:4の比になるように予め計算した量を配合し15分間攪拌することによりP2塗料用ベース樹脂(アクリル樹脂1)を得た。
6.アクリル樹脂2
後述の積層用接着剤である塗剤cをアクリル樹脂2として用いた。
7.アルミナ粒子1
平均アスペクト比が1.1、体積基準平均粒子径が2.0μmのα−アルミナ粒子を用いた。
8.アルミナ粒子2
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が2.1μmのα−アルミナ粒子を用いた。
9.窒化ホウ素粒子1
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が2.1μmの六方晶窒化ホウ素を用いた。
10.窒化ホウ素粒子2
平均アスペクト比が1.9、体積基準平均粒子径が2.2μmの六方晶窒化ホウ素を用いた。
11.窒化ホウ素粒子3
平均アスペクト比が14.6、体積基準平均粒子径が2.2μmの六方晶窒化ホウ素を用いた。
12.窒化ホウ素粒子4
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が0.7μmの六方晶窒化ホウ素を用いた。
13.窒化ホウ素粒子5
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が3.8μmの六方晶窒化ホウ素を用いた。
14.窒化ホウ素粒子6
平均アスペクト比が1.7、体積基準平均粒子径が2.2μmの六方晶窒化ホウ素を用いた。
15.窒化ホウ素粒子7
平均アスペクト比が15.2、体積基準平均粒子径が2.2μmの六方晶窒化ホウ素を用いた。
16.酸化マグネシウム粒子
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が2.1μmの酸化マグネシウムを用いた。
17.酸化亜鉛粒子
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が2.1μmの酸化亜鉛を用いた。
18.酸化チタン粒子
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が2.1μmのルチル型酸化チタンを用いた。
19.二酸化ケイ素粒子
平均アスペクト比が5.8、体積基準平均粒子径が2.1μm、屈折率1が前記測定法により1.45と求まる二酸化ケイ素を用いた。
20.炭酸カルシウム粒子1
平均アスペクト比が2.2、体積基準平均粒子径が2.4μm、屈折率1が前記測定法により1.58と求まる直方体型の炭酸カルシウムを用いた。
なお、上記7.〜20.に記載の平均アスペクト比、体積基準平均粒子径は、樹脂に添加する前の粒子のアスペクト比である。一方で、表3に記載されている平均アスペクト比、体積基準平均粒子径は、前述の(2)、(3)の方法によって得られる値を示している。
(機能層Bに用いるフィルム、コーティング剤)
21.ポリエチレンフィルム
東レフィルム加工株式会社製白色ポリエチレンフィルム“4807W”を使用した。
22.ポリエチレンビニルアセテート共重合体フィルム
ポリエチレンビニルアセテート(ビニルアセテート含有量5質量%)のチップ50質量部と、無機粒子として、数平均二次粒子径0.25μmの二酸化チタン30質量%を分散させたポリエチレンマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン30質量%含有)50質量部とを、190℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダイから押し出されたポリエチレンビニルアセテートフィルムを使用した。
23.ポリプロピレンフィルム
東レフィルム加工(株)製白色ポリプロピレンフィルム“B011W”を使用した。
24.PVFフィルム
デュポン社製“テドラー”(登録商標)を使用した。
25.PVDFフィルム
アルケマ社製“カイナー”(登録商標)を使用した
26.ETFEフィルム
ダイキン工業(株)製“ネオフロン”(登録商標)EFシリーズを使用した。
27.ウレタンコート用塗剤(塗剤a、塗剤b)
塗剤aの調合として、表9の主剤の欄に示される配合によって、(株)日本触媒製のアクリル系コーティング剤である“ハルスハイブリット”(登録商標)ポリマー UV−G301(固形分濃度:40質量%)に、着色顔料のテイカ(株)製酸化チタン粒子JR−709、および溶剤を一括混合し、ビーズミル機を用いてこれらの混合物を分散させた。その後、可塑剤としてDIC(株)製ポリエステル系可塑剤“ポリサイザー”(登録商標)W−220ELを添加して、固形分濃度が51質量%である樹脂層形成用の塗剤aの主剤を得た。
上記のようにして得られた主剤に、表9に示されるヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエルウレタン(株)製“デスモジュール”(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%)を、前記の樹脂層形成用主剤との質量比が100/4の比になるように予め計算した量を配合し、さらに固形分濃度20質量%となるように予め算出した表9に示される希釈剤:酢酸n−プロピルを量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%の塗剤aを得た。
塗剤bの調合として、表10に示される水添キシリレンジイソシアネートである三井化学(株)社製“タケネート”(登録商標)D120Nと、ダイキン工業(株)製“ゼッフル”(登録商標)GK570を前記の樹脂層形成用主剤との質量比が65/12になるように予め計算した量を配合し、さらに固形分濃度20質量%となるように予め算出した表10に示される希釈剤:酢酸n−ブチルを量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%の塗剤bを得た。
28.無機化合物フィルムa
三菱化学(株)製“テックバリア”(登録商標)LXを使用した。
29.無機化合物フィルムb
東洋紡(株)製“エコシアール”(登録商標)VE014を使用した。
30.ポリエステルフィルム
ポリエステルフィルムとして東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)MX11を使用した。
31.積層用接着剤(塗剤c)
積層用接着剤として、DIC(株)製ドライラミネート剤“ディックドライ”(登録商標)TAF−300を36質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系樹脂を主成分とするDIC(株)製TAFハードナーAH−3を3質量部、および酢酸エチルを30質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度30質量%の積層用接着剤である塗剤cを得た。
(実施例1)
表1に示す組成となるように、P11層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を99質量部と酸化チタンマスターペレット1を1質量部とを混合し、一方でP12層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を76質量部と酸化チタンマスターペレットを24質量部とを混合し、それぞれを異なる2台の280℃に昇温した押出機内で溶融させて吐出し、フィードブロックにてP11/P12と積層するように合流させた後、Tダイから共押出した。次いで共押出した溶融シートを表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸シートを得た。続いて、該未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、88℃の温度に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で3倍の速度差をつけることで長手方向(縦方向)に3倍に延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。次いで、得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.5倍に延伸した。更に引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにて220℃で20秒間の熱処理を施し、さらに4%幅方向に弛緩処理を行いながら均一に徐冷し、ポリエステルフィルムを製膜した。
前記の方法で製膜後のポリエステルフィルムの積層比(P11:P12)が4:1となるように押出機の吐出量を調整し、更に全体厚みが160μmになるようにライン速度を調整して、実施例1の積層体1のP1層を得た。
得られた前記P1層のポリマー特性を測定したところ固有粘度IVは0.70dl/g、末端カルボキシル基量は14当量/トンであり、含有される金属元素は表2に示す通りであった。
次に、アクリル樹脂1と各種粒子とを表3に示す配合となるように添加し、ビーズミル機を用いてこれらの混合物を分散させた。その後、得られた混合物に希釈剤として酢酸エチルを固形分濃度が20質量%となるよう添加し、実施例1用塗材を得た。
先に得られた160μmのP1層のP11側の面に、ワイヤーバーを用いて拡散層形成用の実施例1用塗材を塗布し、100℃の温度で60秒間乾燥し、乾燥後の塗料厚みが7μmとなるようにP2層を設け実施例1の積層体とした。
また、得られた積層体について、太陽電池モジュール特性評価を行った結果、P2層は非常に優れた密着性を有し、更に太陽電池特性評価を行った結果、優れた出力向上性を有することがわかった。
(実施例2)
表1に示す組成となるように、P11層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を77.5質量部と空洞核剤マスターペレット1(COC−1)を22.5質量部とを混合し、一方でP12層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を76質量部と酸化チタンマスターペレット1を24質量部とを混合し、それぞれを異なる2台の280℃に昇温した押出機内で溶融させて吐出し、フィードブロックにてP12/P11/P12と積層するように合流させた後、Tダイから共押出した。次いで共押出した溶融シートを表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸シートを得た。
続いて、該未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、88℃の温度に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で3倍の速度差をつけることで長手方向(縦方向)に3倍に延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。次いで、得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.5倍に延伸した。更に引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにて220℃で20秒間の熱処理を施し、さらに4%幅方向に弛緩処理を行いながら均一に徐冷し、P1層を製膜した。
前記の方法で製膜後のポリエステルフィルムの積層比(P12:P11:P12)が1:14:1となるように押出機の吐出量を調整し、更に全体厚みが160μmになるようにライン速度を調整して、実施例2のP1層を得た。
得られたP1層の空隙率を確認したところ、全体の空隙率は21%、であった。またポリマー特性を測定したところ固有粘度IVは0.70dl/g、末端カルボキシル基量は14当量/トンであり、金属元素として表2に示す通りであった。
先に得られた160μmのP1層の片側のP12側の面に、ワイヤーバーを用いて拡散層形成用の塗料1を塗布し、100℃の温度で60秒間乾燥し、乾燥後の塗料厚みが7μmとなるようにP2層を設け実施例2の積層体とした。
得られた積層体について、特性評価を行った結果、P2層は非常に優れた密着性を有し、更に太陽電池特性評価を行った結果、実施例1に比べ優れた出力向上性を有することがわかった。
(実施例3)
表1に示す組成となるように、P11層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を76.5質量部と空洞核剤マスターペレット1(COC−1)を22.5質量部と酸化チタンマスターペレット1(TiO−1)とを混合する以外は実施例2と同様の方法で、実施例3の積層体を得た。
得られた積層体について、特性評価を行った結果、P2層は非常に優れた密着性を有し、更に太陽電池特性評価を行った結果、実施例1および2に比べ優れた出力向上性を有することがわかった。
(実施例4〜18)
P2層を構成する粒子を表3に記載の粒子を使用した以外は実施例3と同様の方法で実施例4−18のポリエステル積層体を得た。
得られた積層体について、特性評価を行った結果は表4に示す通りであり、実施例4ではP2層に含有される平均アスペクト比2以上である窒化ホウ素の平均アスペクト比を低下することで実施例3対比で出力向上性が、実施例5では平均アスペクト比が上昇することでP2層の密着力が実施例3対比で低下するものの良好な範囲にあることがわかった。また、実施例6,7においては、平均アスペクト比2以上の粒子の屈折率を増大させると出力向上性が低下するもののすべて良好な範囲であることがわかった。
更に、実施例8〜18はP2層中の2種類の粒子同士の屈折率差(実施例8、9)、2種粒子の配合比(実施例10−12)、粒子径(実施例13、14)、粒子量(実施例15〜18)を変更させた場合、前述の理由により実施例3対比で出力向上性またはP2層の密着性が劣るものの良好な範囲であることがわかった。
(実施例19)
P1層に添加する酸化チタンマスターペレットを酸化チタンマスターペレット2(TiO−2)に変更する以外は実施例3と同様の方法で実施例19の積層体を得た。
得られた積層体について、特性評価を行った結果、P2層の密着性はP1層中に含有される酸化チタンの粒子径が多きためにP12層が発生することで低下し、更に太陽電池特性評価も、実施例3比べ低下するものの良好な範囲であることがわかった。
(実施例20)
P2層を構成する樹脂をアクリル樹脂2に変更する以外は実施例3と同様の方法で実施例20の積層体を得た。
得られた積層体について、特性評価を行った結果、P2層の密着性および太陽電池特性評価における出力向上性は実施例3同様に良好であることがわかった。
(実施例21)
P2層を構成する樹脂をポリエチレン樹脂とし、ポリエチレン樹脂チップと表3に記載の粒子を表3に示す組成になるように配合し混練した後、190℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダイから押し出すことでポリエチレン樹脂をベースとした厚み100μmのP2層を得た。
前記実施例3と同様にしてP1層を得た後、積層用接着剤として準備した塗料cを用いて、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の温度で45秒間乾燥し、乾燥後の塗膜厚みが5.0μmとなるように積層用接着剤層を形成した。
次に、P2層を接着剤層上に積層し、40℃の温度で3日間エージングし実施例21の積層体を得た。
得られた積層体について、特性評価を行った結果、P2層の密着性および太陽電池特性評価における出力向上性は実施例3同様に良好であることがわかった。
(実施例22)
P2層を構成する樹脂をポリエステル樹脂とし、押し出し温度を280℃とした以外は実施例19と同様の方法により、実施例22の積層体を得た。
得られた積層体について、特性評価を行った結果、P2層の密着性および太陽電池特性評価における出力向上性は実施例3同様に良好であることがわかった。
(実施例23、24)
P2層を構成するポリエチレン樹脂に含有される粒子を表3に記載のアルミナ粒子(アルミナ1およびアルミナ2)(実施例23)および、アルミナ粒子(アルミナ1と炭酸カルシウム粒子(炭酸カルシウム1)(実施例24)に変更する以外は実施例21と同様の方法で実施例23、24の積層体を得た。
得られた積層体について、特性評価を行った結果、P2層の密着性および太陽電池特性評価における出力向上性は実施例3と同様に良好であることがわかった。
(実施例25〜37)
実施例3で得られた積層体のP2層の一方の面に、積層用接着剤として準備した塗料cを用いて、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の温度で45秒間乾燥し、乾燥後の塗膜厚みが5.0μmとなるように積層用接着剤層を形成した。
次に、表5に示す機能層Bを接着剤層上に積層し、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池用裏面保護シートとした。得られた太陽電池用裏面保護シートは、密着性、耐湿熱性、耐紫外線性は良好であり、少なくともヤング率、カール高さ、水蒸気バリア性のいずれかが優れていた。また、太陽電池特性に優れていた。
(実施例38〜42)
実施例25〜37と同様にして、表6に示す機能層Bを接着剤層上に積層し、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池用裏面保護シートとした。得られた実施例38〜42に示す太陽電池裏面保護用シートは、密着性、耐湿熱性、耐紫外線性は良好であり、ヤング率、カール高さは大きくなっているが、水蒸気バリア性が優れていた。また、太陽電池特性に優れていた。
(実施例43〜46)
実施例3で得られた積層体のP2層側に、乾燥後の機能層Bの厚みが表6に示す厚みとなるよう、表6に従いワイヤーバーを用いて塗料a、塗料bをそれぞれ塗布し、100℃の温度で60秒間乾燥して実施例43〜46に示す積層体を作製した。得られた積層体を、太陽電池用裏面保護シートとして用いて評価を実施したところ、バックシート特性、太陽電池特性ともに優れていた。
(実施例47、48)
実施例3で得られた積層体のP1層側に、積層用接着剤として準備した塗料cを用いて、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の温度で45秒間乾燥し、乾燥後の塗膜厚みが5.0μmとなるように積層用接着剤層を形成した。
次に、表6に示す機能層B’を接着剤層上に積層し、40℃の温度で3日間エージングした。更に、積層体のP2層に積層用接着剤として準備した塗料cを用いて、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の温度で45秒間乾燥し、乾燥後の塗膜厚みが5.0μmとなるように積層用接着剤層を形成した。積層用接着剤層上に、表6に示す機能層Bを積層し、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池裏面保護用シートとした。得られた実施例47、48に示す太陽電池裏面保護用シートは、密着性、耐湿熱性、耐紫外線性は良好であり、ヤング率、カール高さ、水蒸気バリア性に優れていた。また、太陽電池特性に優れていた。
(実施例49)
実施例3で得られた積層体のP1層側に、乾燥後の機能層Bの厚みが表6に示す厚みとなるよう、表6に従いワイヤーバーを用いて塗料aを塗布し、100℃の温度で60秒間乾燥して機能層Bを有する積層体を得た。更に、積層体のP2層に積層用接着剤として準備した塗料cを用いて、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の温度で45秒間乾燥し、乾燥後の塗膜厚みが5.0μmとなるように積層用接着剤層を形成した。積層用接着剤層上に、表6に示す機能層B’を積層し、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池裏面保護用シートとした。得られた実施例49に示す太陽電池裏面保護用シートは、ヤング率、カール高さは大きくなっているが、水蒸バリア性に優れていた。また、太陽電池特性も優れていた。
(実施例50)
実施例20で得られたポリエステル積層体のP1層側に、積層用接着剤として準備した塗料cを用いて、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の温度で45秒間乾燥し、乾燥後の塗膜厚みが5.0μmとなるように積層用接着剤層を形成した。
次に、表6に示す機能層B’を接着剤層上に積層し、40℃の温度で3日間エージングした。更に、積層体のP2層に表6に示す機能層Bを積層し、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池裏面保護用シートとした。
得られた実施例50に示す太陽電池裏面保護用シートは、密着性、耐湿熱性、耐紫外線性は良好であり、ヤング率、カール高さ、水蒸気バリア性に優れていた。また、太陽電池特性に優れていた。
(比較例1、2)
実施例1、2にて用いたP1層にP2層を設けない以外は実施例1,2と同様の方法で比較例1,2の積層体を得た。
更に比較例1、2で得られた太積層体は出力向上性が劣る太陽電池裏面保護用シートであることがわかった。
(比較例3〜5)
P2層を構成する粒子として、表3に示す組成になるように、平均アスペクト比が2以上の粒子として平均アスペクト比が2未満もしくは15より大きい窒化ホウ素を用いる(比較例3、4)、平均アスペクト比が2以上の粒子として二酸化ケイ素を用いる(比較例5)以外は実施例3と同様の方法で比較例3〜5の積層体を得た。
比較例4で得られた積層体は密着性が劣る太陽電池裏面保護用シートであることがわかった。一方、比較例3、5は出力向上性が劣る太陽電池であることがわかった。
(比較例6)
積層体を比較例3のフィルムを使用した以外は実施例21と同様にして、表7に示す機能層Bを積層し、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池裏面保護用シートとした。得られた太陽電池裏面保護用シートは、ヤング率、カール高さは劣るものであった。また、太陽電池特性について、密着性は比較例3から改善されるが、出力向上性は劣る太陽電池であった。
(比較例7)
積層体を比較例3のフィルムを使用した以外は実施例31と同様にして、表7に示す機能層Bを積層し、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池裏面保護用シートとした。得られた太陽電池裏面保護用シートは、ヤング率、カール高さは劣るものであった。また、太陽電池特性について、密着性、及び出力向上性が劣る太陽電池であった。
Figure 2018034117
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本発明の積層体を太陽電池裏面保護用シートとして太陽電池モジュールに搭載することにより、従来の太陽電池と比べて長期間屋外に置かれた場合でも太陽電池裏面保護用シートとの密着性が保持され、更には発電効率を高めることが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
1:太陽電池裏面保護用シート
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池裏面保護用シートの封止材2側の面
6:太陽電池裏面保護用シートの封止材2と反対側の面
7:機能層B
8:積層体
9:機能層B’
10:接着層
11:P1層(反射層)
12:P2層(光拡散層)
13:P3層(機能層)

Claims (19)

  1. ポリエステル樹脂を主成分とする層(P1層)と、前記P1層を構成するポリエステル樹脂とは異なる樹脂を主成分とし、少なくとも1種の粒子を含有する層(P2層)を有する積層体であって、前記粒子の少なくとも1種が、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下、かつ屈折率が1.5より大きく2.8以下である積層体。
  2. 前記P2層が、屈折率の異なる2種以上の粒子を含有しており、P2層に含有する粒子の屈折率差(P2層に含有する粒子の中で最大の屈折率を有する粒子の屈折率−P2層に含有する粒子の中で最小の屈折率を有する粒子の屈折率)が0.15以上である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記P2層が、平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子を含有しており、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子と平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子の組成が異なるか、平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子と平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子の屈折率の差が0.15以上である請求項1に記載の積層体。
  4. 前記平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満の粒子の屈折率が1.5より大きく2.8以下である請求項3に記載の積層体。
  5. 前記平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満の粒子のP2層における体積%濃度をM、前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子のP2層における体積%濃度比率をMとした場合、M/Mが0.05以上5.0以下である請求項3または4に記載の積層体。
  6. 前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下である粒子の平均粒子径が0.8μm以上4.0μm以上である請求項3〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子と平均アスペクト比(長径/短径)が1以上2未満である粒子がいずれも無機粒子である請求項3〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記P2層が含有する総粒子濃度が20体積%以上80体積%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 少なくとも一方の表層がP2層である請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 少なくとも一方の表層から測定した波長400以上1200nm以下における平均反射率が70%より大きい請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. 前記P1層が空洞を有する請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
  12. 前記P1層が平均粒子径0.05μm以上1μm未満の粒子を少なくとも1種含有する請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
  13. 前記P2層が含有する平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子の屈折率が1.59より大きく2.8以下である請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
  14. 前記P2層が含有する平均アスペクト比(長径/短径)が2以上15以下の粒子が、窒化ホウ素粒子、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子のうち少なくとも1種を含む請求項1〜13のいずれかに記載の積層体。
  15. 前記P2層が、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を主成分とする請求項1〜14のいずれかに記載の積層体。
  16. 太陽電池用裏面保護シート用フィルムに用いられる請求項1〜15のいずれかに記載の積層体。
  17. P2層の方がP1層より太陽電池モジュールの発電素子側に配して用いられる請求項16に記載の積層体。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の積層体を有する太陽電池用裏面保護シート。
  19. 請求項18に記載の太陽電池用裏面保護シートを有する太陽電池用モジュール。
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