JP2018125321A - 太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュール用バックシート、および太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュール用バックシート、および太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、真空ラミネート工程に伴う配線材の屈曲の軽減と光反射性能の向上を両立した太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュール用バックシート、および外観や発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することをその課題とする。【解決手段】ポリエステル樹脂を主成分とする2つの層(A層とB層)を有し、前記A層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%以上50質量%未満含み、前記A層の厚みが50μm以上300μm以下であり、かつ前記B層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%未満含み、前記B層の厚みが30μm以上80μm以下であることを特徴とする、太陽電池モジュール用シート。【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュール用バックシート、および太陽電池モジュールに関するものである。
近年、二酸化炭素の増加による温室効果で地球の温暖化が生じることが予測され、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーが求められている。このような状況下で、太陽電池モジュールを利用した太陽光発電は、安全性と汎用性の高さから非常に注目されている。太陽電池モジュールは、一般に、受光面側から、ガラスが一般的であるカバー材、表側封止材、配線材が配された太陽電池セル、裏側封止材、および太陽電池モジュール用バックシートがこの順に積層された構成となっており、それぞれの構成部材を積層させて、熱圧着して一体化する工程を経て製造される。熱圧着して一体化する工程としては真空ラミネート工程が一般的である。具体的には、カバー材、表側封止材、配線材が配された太陽電池セル、裏側封止材、および太陽電池モジュール用バックシートをこの順に積層し、真空ラミネーターにより加熱するとともに減圧することで空気を抜き、真空ラミネーターのダイヤフラムシートで1気圧程度の圧力でプレスし、同時に封止材が溶融・架橋して硬化することでカバー材から太陽電池モジュール用バックシートまでの各部材が一体化される。
従来の太陽電池モジュール用バックシートにおいては、電気絶縁性、光反射性、経済性の観点から白色のポリエステル系樹脂の基材を有する構成が提案されている(特許文献1)。また、より高い光反射性を得るため、空洞を含むポリエステル系樹脂の基材を有する構成が提案されている(特許文献2)。
特開2007−70430号公報 特開2011−97039号公報
しかしながら、特許文献1に記載の太陽電池モジュール用バックシートは、光反射性能が不十分であり、該太陽電池モジュール用バックシートを有する太陽電池モジュールは発電効率が低い。また、特許文献1に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いる場合、真空ラミネート工程で発生するポリエステル系樹脂の基材の収縮に伴う応力(以下収縮応力と呼ぶことがある。)が大きいため、基材の収縮に追従して直列接続された太陽電池セルの隙間部分に位置する配線材が屈曲し、太陽電池モジュールの外観を損ねるという課題もある。特許文献2に記載の太陽電池モジュール用バックシートは、空洞を含むポリエステル系樹脂の基材を有することで、配線材の屈曲や光反射性能はある程度改善される。しかしながら、特許文献2に記載の太陽電池モジュール用バックシートは基材が薄いため、太陽電池モジュール用バックシート全体の収縮応力は依然として高く、配線材の屈曲については十分な改善に至っていない。
本発明は、係る従来技術の問題点を改良し、真空ラミネート工程に伴う配線材の屈曲の軽減と光反射性能の向上を両立した太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュール用バックシート、および外観や発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) ポリエステル樹脂を主成分とする2つの層(A層とB層)を有し、前記A層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%以上50質量%未満含み、前記A層の厚みが50μm以上300μm以下であり、かつ前記B層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%未満含み、前記B層の厚みが30μm以上80μm以下であることを特徴とする、太陽電池モジュール用シート。
(2) 前記A層の厚みをTA、前記B層の厚みをTBとしたときに、TA/TBが1.1以上4.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用シート。
(3) 前記A層の引張弾性率が1.7MPa以上3.5MPa以下であり、かつ前記B層の引張弾性率が3.5MPaを超え5.0MPa以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール用シート。
(4) 前記非相溶ポリマーが、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、非晶ポリオレフィン、環状オレフィン共重合樹脂、およびポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも一つのポリマーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シート。
(5) 前記B層が白色顔料を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シート。
(6) 前記A層と前記B層をそれぞれ1層ずつ有し、かつ前記A層と前記B層の厚みの合計が150μm以上330μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シート。
(7) 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シートを有することを特徴とする、太陽電池モジュール用バックシート。
(8) 受光面側から、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および請求項7に記載の太陽電池モジュール用バックシートがこの順に位置することを特徴とする、太陽電池モジュール。
本発明により、真空ラミネート工程に伴う配線材の屈曲の軽減と光反射性能の向上を両立した太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュール用バックシート、および外観や発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュールを、受光面と垂直かつ太陽電池セルを含む面で切断したときの概略断面図である(本発明の太陽電池モジュール用シートを、太陽電池モジュール用バックシートとして用いた例)。 本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュールを、カバー材側から見た上面図ある。符号10で示した箇所が太陽電池セルの隙間の中心部分の厚みを測定する部分、符号11で示した箇所が配線材と配線材の中間の位置の厚みを測定する部分である。
本発明の太陽電池モジュール用シートと太陽電池モジュールについて説明する。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、ポリエステル樹脂を主成分とする2つの層(A層とB層)を有し、前記A層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%以上50質量%未満含み、前記A層の厚みが50μm以上300μm以下であり、かつ前記B層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%未満含み、前記B層の厚みが30μm以上80μm以下であることを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、耐水性、耐久性および耐薬品性などを向上させる観点から、ポリエステル樹脂を主成分とする2つの層(A層とB層)を有することが重要である。ポリエステル樹脂とは、主鎖に連続してエステル結合を有する高分子化合物の総称であり、通常、ジオールまたはその誘導体(以下、これらを総称してジオール等ということがある。)と、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの誘導体(以下、これらを総称してジカルボン酸等ということがある。)を縮重合することで得られる。なお、以下、縮重合によりポリマー鎖中に組み込まれた成分のうち、ジオール等に由来するものをジオール等成分、ジカルボン酸等に由来するものをジカルボン酸等成分ということがある。
ポリエステル樹脂を主成分とするとは、層を構成する全成分を100質量%としたときに、層中のポリエステル樹脂が50質量%を超えることをいう。
ポリエステル樹脂を得るためのジカルボン酸等およびジオール等は、いずれも単一の成分であっても複数種の成分であってもよい。ここで、ジカルボン酸等とジオール等がいずれも単一成分であるポリエステル樹脂をホモポリエステル樹脂、ジカルボン酸等とジオール等の少なくとも一方が複数種の成分であるポリエステル樹脂をコポリエステル樹脂という。
ジカルボン酸等としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
ジオール等としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
本発明の太陽電池モジュール用シートのA層およびB層におけるポリエステル樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、およびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを単独でまたは混合して用いることができる。中でも、耐水性、耐久性および耐薬品性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを単独でまたは混合して用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートを単独で用いることがより好ましい。
ここでポリエチレンテレフタレートとは、ジオール等成分全100モル%中にエチレングリコール成分を55モル%以上100モル%以下含み、かつ、ジカルボン等酸成分全100モル%中にテレフタル酸成分を55モル%以上100モル%以下含むホモポリエステル樹脂またはコポリエステル樹脂をいう。また、ここでポリエチレンナフタレートとは、ジオール等成分全100モル%中にエチレングリコール成分を55モル%以上100モル%以下含み、かつ、ジカルボン等酸成分全100モル%中に2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を55モル%以上100モル%以下含むホモポリエステル樹脂またはコポリエステル樹脂をいう。
なお、複数種類のポリエステル樹脂を混合して用いる場合、層中のポリエステル樹脂の含有量は、全てのポリエステル樹脂を合算して算出するものとする。また、ポリエステル樹脂の中には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、および帯電防止剤などを添加することもできる。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、A層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%以上50質量%未満含むことが重要である。ここで、非相溶ポリマーとは、主成分となるポリエステル樹脂に対し非相溶な樹脂をいう。
A層が、A層を構成する全成分100質量%に対し、非相溶ポリマーを5質量%以上含むことにより、延伸により層中に空洞が十分に形成される。そのため、得られるシートの光反射性能が向上し、さらに引張弾性率が低下して真空ラミネート工程における収縮応力が低下する。一方、A層が、A層を構成する全成分100質量%に対し、非相溶ポリマーを50質量%未満含むことにより、十分な機械強度を保つことができ、製膜安定性が維持される。
上記観点から、A層における非相溶ポリマーの含有量は、層を構成する全成分100質量%に対し、8質量%以上35質量%以下であることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、シートの光反射性能と製膜安定性を両立させる観点から、非相溶ポリマーが、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、非晶ポリオレフィン、環状オレフィン共重合樹脂、およびポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも一つのポリマーであることが好ましく、ポリ−4−メチルペンテン−1および/または環状オレフィン共重合樹脂であることがより好ましく、ポリ−4−メチルペンテン−1であることがさらに好ましい。環状オレフィン共重合樹脂とは、エチレンと少なくとも1種の環状オレフィンとを共重合させて得られる共重合体である。本発明において、環状オレフィンは、ビシクロアルケンおよび/またはトリシクロアルケンであることが好ましい。なお、ポリ−4−メチルペンテン−1を、以下、単にポリメチルペンテンということがある。
非相溶ポリマーは、太陽電池モジュール用シートの光反射性能を向上させる観点から、その融点が180℃以上のポリマーであることが好ましい。非相溶ポリマーの融点が180℃以上であることにより、A層内に形成される空洞が緻密化する。そのため、太陽電池モジュール用シートの光反射性能が向上し、機械強度の低下も抑えることができる。なお、本発明において融点とは、示差走査熱量計(以下DSCという)を用い、窒素ガス流入量50mL/分の条件下でサンプルを20℃/分の速度で、30℃から270℃まで一度昇温させた後、270℃にて10分間保持し、20℃/分の速度で−50℃の温度まで冷却させた後、−50℃にて10分間保持し、再度20℃/分の速度で270℃まで昇温したときの吸熱ピークのうち、高さが最大である温度を指す。
また、本発明の太陽電池モジュール用シートは、その光反射性能を向上させる観点から、A層が非相溶ポリマーの分散助剤(以下、単に分散助剤ということがある。)を含有することが好ましい。A層が分散助剤を含有することで、A層中に形成される空洞が緻密化する。そのため、太陽電池モジュール用シートの光反射性能が向上し、機械強度の低下も抑えることができる。ここで、分散助剤とは、非相溶ポリマーの分散を促進させる効果を持つ化合物のことである。
分散助剤は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、A層中に形成される空洞の緻密化の観点から、熱可塑性ポリエステルエラストマーやポリアルキレングリコールであることが好ましく、ポリアルキレングリコールであることがより好ましく、ポリエチレングリコールであることがさらに好ましい。また、非相溶ポリマーの分散性を向上させるために、さらに、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体(以下、PBT/PTMGということがある。)などを用いてもよい。
A層における分散助剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、光反射性能や非相溶ポリマーの分散性の向上とシートの機械特性維持を両立する観点から、A層を構成する全成分を100質量%としたときに、3質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
分散助剤は、本発明の効果を損なわない限り、単独で使用することも、複数種類を併用して用いることも可能である。なお、複数種類を併用して用いる場合、その含有量は全ての分散助剤を合算して算出するものとする。
このような態様とすることにより、分散径が極度に小径化し、同厚み当たりの空洞層数が増加する。そのため、太陽電池モジュール用シートの光反射性能が向上し、機械強度の低下も抑えることができる。なお、A層を構成する全成分100質量%に対して、A層を構成する全成分100質量%に対して、分散助剤の含有量が30質量%未満であると、非相溶ポリマーの分散性向上効果が十分に得られないことがある。分散助剤の含有量が40質量%を超えると、分散径のさらなる小径化効果が得られないことがある。
分散助剤は、本発明の効果を損なわない限り、予めシート母材ポリマー中に添加してマスターポリマー(マスターチップ)として調整することも可能である。
また、A層は、本発明の効果を損なわない限り、太陽電池モジュールとしたときの耐候性向上等のために無機粒子を含有してもよい。A層における無機粒子の含有量は、A層の全成分100質量%に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
A層が、その全成分100質量%に対して無機粒子を5質量%以上含有することで、太陽電池モジュールとしたときの耐候性が向上する。一方、A層が、その全成分100質量%に対して無機粒子を20質量%以下含有することで、A層の機械強度が十分に維持される。
本発明における無機粒子としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、およびフッ化カルシウムなどを単独でまたは二種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、耐候性、安定性の観点から、酸化チタンを用いることが好ましく、ルチル型酸化チタンを用いることがより好ましい。なお、無機粒子を二種類以上組み合わせて用いる場合において、無機粒子の含有量は、全ての無機粒子を合算して算出するものとする。
本発明における無機粒子は、その数平均二次粒径が0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。無機粒子の数平均二次粒径が0.05μm以上であることにより、A層における分散性が保たれ、得られるシートがより均質なものとなる。また、無機粒子の数平均二次粒径が7μm以下であることにより、形成される空隙の粗さが低くなり、太陽電池モジュール用シートの光反射性能が向上する。なお本発明において、数平均二次粒径とはJIS Z 8825(2013年度版)に基づいて測定した値を指す。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、真空ラミネート工程における収縮応力を低減し、太陽電池セルに配された配線材の屈曲を防止する観点から、A層の厚みが50μm以上300μm以下であり、かつB層の厚みが30μm以上80μm以下であることが重要である。A層の厚みが50μm未満、および/またはB層の厚みが80μmより大きい場合、太陽電池モジュール用シート全体で収縮応力を十分に低減できず、太陽電池セルに配された配線材の屈曲を十分抑制できないことがある。B層の厚みが30μm未満の場合、太陽電池モジュール用シート全体で十分な機械強度を維持できないことがある。また、A層の厚みが300μmより大きい場合、経済的に劣ることがある。なお、A層を複数有する場合、A層に該当する全ての層の厚みの合計をA層の厚みとし、B層を複数有する場合、B層に該当する全ての層の厚みの合計をB層の厚みとする。後述するTA/TBの算出においても同様である。
また、本発明の太陽電池モジュール用シートは、A層の厚みをTA、B層の厚みをTBとしたときに、TA/TBが1.1以上4.5以下であることが好ましい。1.1より小さい場合は、太陽電池モジュール用シートにおけるA層の厚みが薄いため、収縮応力の低減の効果が得られず、太陽電池セルに配された配線材の屈曲を抑制できない。4.5より大きい場合は、太陽電池モジュール用シートの機械強度が低下することや、製造コストが上がることがある。配線材の屈曲軽減、機械強度、およびコスト低減の観点から、TA/TBは1.1以上4.2以下が好ましく、1.1以上3.5以下がより好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、真空ラミネート工程における収縮応力を低減と機械強度の維持を両立する観点から、A層の引張弾性率が1.7MPa以上3.5MPa以下であり、かつB層の引張弾性率が3.5MPaを超え5.0MPa以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、A層の引張弾性率がB層の引張弾性率より低くなるため、太陽電池モジュール用シート全体の真空ラミネート工程における収縮応力が低下し、太陽電池セルに配された配線材の屈曲を軽減できる。上記観点から、A層の引張弾性率が2.5MPa以上3.5MPa以下であり、B層の引張弾性率3.5MPaを超え4.5MPa以下であることがより好ましい。
A層の引張弾性率が1.7MPa未満の場合、A層の機械強度が不足して、太陽電池モジュール用シート全体での機械強度も低下してしまうことがある。A層の引張弾性率が3.5MPaを超える場合、真空ラミネート工程における収縮応力低減の効果が不足して、太陽電池セルに配された配線材の屈曲を抑制できないことがある。
B層の引張弾性率が3.5MPa以下の場合、太陽電池モジュール用シート全体での機械強度が低下してしまうことがある。B層の引張弾性率が5.0MPaより大きい場合、B層の真空ラミネート工程における収縮応力が大きく、太陽電池セルに配された配線材の屈曲を十分抑制できないことがある。
なお、A層、B層を複数有する場合、それぞれのA層の引張弾性率の平均が1.7MPa以上3.5MPa以下であり、かつそれぞれのB層の引張弾性率の平均が3.5MPaを超え5.0MPa以下であることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、屋外で使用する際の紫外線に対する耐久性を向上する観点から、B層が白色顔料を含有することが好ましい。ここで白色とは、JIS Z 8717(1989年度版)に準拠して測定したマンセル表示系の明度が8.0〜10.0である色を意味する。B層の白色顔料としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、有機系、無機系のいずれの白色顔料を用いることができるが、長期に亘る発色安定性、耐久性および紫外線吸収性を考慮すると無機系白色顔料を用いることが好ましく、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、および酸化チタンのうち少なくとも一つを用いることがより好ましい。加えて、耐紫外線性を考慮すると、酸化チタンを用いることがさらに好ましく、ルチル型であり、その表面をアルミナやシリカなどの無機酸化物で被覆したタイプの酸化チタンを用いることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、B層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%未満含むことが重要である。ここで、「B層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%未満含む」とは、B層が非相溶ポリマーを含まないこと、または層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%未満含むことを意味する。
B層は太陽電池モジュールとしたときに外部の衝撃や熱から太陽電池セル等を保護する役割を果たす層であるため、機械強度、耐燃焼性、および耐熱性が高いことが要求される。そして、層中に空洞が少ないほどこれらの特性が向上する観点から、B層における非相溶ポリマーは少ないほど好ましく、B層が非相溶ポリマーを含まないことがより好ましい。なお、B層が非相溶ポリマーを含まない場合は、B層の耐熱性の維持の観点から分散助剤も含まないことが好ましい。
B層が非相溶ポリマーを含む場合は、B層の機械強度の低下を抑制する観点から、B層は分散助剤を含有することが好ましく、その含有量は、B層を構成する全成分を100質量%としたときに、5質量%未満であることが好ましい。B層が分散助剤を含有することで、B層中に形成される空洞が緻密化し、機械強度の低下を軽減することができる。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、屋外で使用する際の外部からの衝撃や風、雪などによる荷重の負荷に対する耐久性の観点から、高い機械強度が要求される。本発明の太陽電池モジュール用シートは、機械強度の指標である破断強度が、140MPa以上200MPa以下であることが好ましく、150MPa以上190MPa以下であることがより好ましい。破断強度が140MPa未満の場合、太陽電池モジュール用シートは、屋外での風や雪などによる荷重の負荷に対して必要な機械強度が十分に確保できないことがある。破断強度が200MPaより大きい場合、製膜安定性が十分でなく、また経済的にも不利になることがある。ここで破断強度とは、1cm(幅方向)×20cm(長手方向)の長方形の太陽電池モジュール用シートをチャック間距離10cm、引張速度300mm/minにて長手方向と平行に引っ張り、シートが破断したときの強度をいう。
なお、太陽電池モジュール用シートがロールに巻かれている状態であれば、長手方向や幅方向を容易に特定できるが、ロールに巻かれていない状態であると、長手方向や幅方向を特定することが困難なことがある。このような場合においては、JIS C 2151(2006年度版)に基づいた寸法変化を測定し、以下の手順により長手方向を決定することができる。先ず、任意の直線を長辺とする2cm×15cmのサンプルについて長辺方向の寸法変化を測定する。次いで、任意の直線より右に5°回転させて得られる直線を長辺とするサンプルを取得して同様の測定を行い、これを最初に選定した任意の直線との角度が175°である直線が長辺となるまで繰り返す。得られた全ての値より最も大きな値を抽出し、この値が得られたときの長辺の方向を長手方向、これに太陽電池モジュール用シート面内で直交する方向を幅方向とする。
太陽電池モジュール用シートの破断強度を140MPa以上200MPa以下または上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えばA層における非相溶ポリマーの含有量を前述した範囲内で調節する方法が挙げられる。より具体的には、A層における非相溶ポリマーの含有量を低くすることにより空洞の形成が押さえられるため、破断強度が向上する。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、A層とB層を有し、A層の厚みが50μm以上300μm以下であり、かつ前記B層の厚みが30μm以上80μm以下である限り、その層構成や厚みは本発明の効果を損なわない範囲で任意に定めることができる。すなわち、A層やB層が複数存在してもよく、A層やB層以外の層を有してもよい。但し、電気絶縁性の確保と経済性の観点から、A層とB層をそれぞれ1層ずつ有し、かつA層とB層の厚みの合計が150μm以上330μm以下であることが好ましい。A層とB層の厚みの合計が150μm未満であると電気絶縁性が確保できなくなることがあり、A層とB層の厚みの合計が330μmを超えると経済性に劣ることがある。
本発明の太陽電池モジュール用シートを得るためのA層とB層の積層方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、生産性の観点から、公知のドライラミネート用接着剤を用いるドライラミネート法により、A層、若しくはB層のいずれかにドライラミネート用接着剤の接着層を形成し、それぞれを貼り合わせる態様が好ましい。
ドライラミネート用接着剤としては、層間接着性を向上させる観点から、硬化剤樹脂およびA層およびB層との密着性を有する樹脂(以下、接着性樹脂ということがある。)を混合、希釈して調合したものが用いられる。ここで硬化剤樹脂とは、ドライラミネート用接着剤の接着層内で接着性樹脂の分子鎖間を化学結合により連結し、物理的、化学的性質を変化させる反応性を有する樹脂をいう。
硬化剤樹脂としては、水酸基との反応性に富み、その反応速度および初期密着力の発現が早いジイソシアネート化合物を用いることが好ましい。層間密着性の観点からは、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、またはポリカーボネート系樹脂であって、水酸基を含むものなどを用いることが好ましく、ポリエステル系樹脂であって、水酸基を含むものを用いることがより好ましく、A層の主成分であるポリエステル樹脂と同一の樹脂であって、水酸基を含むものを用いることがさらに好ましい。ここで、「A層の主成分であるポリエステル樹脂と同一の樹脂であって、水酸基を含むもの」とは、例えば、A層の主成分であるポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合における、水酸基を含むポリエチレンテレフタレートをいう。
次に、本発明の太陽電池モジュール用シートの製造方法について、一例を具体的に説明する。但し、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
A層を得るための組成物として、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン(非相溶ポリマー)、ポリエチレングリコール(分散助剤)、PBT/PTMG(分散助剤)を混合する。こうして得られる組成物を乾燥させ、270〜300℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダイ口金へと押し出し、シート状物を得る。
このシート状物を、静電気力によって表面温度が10〜60℃であるドラム上に密着させて冷却固化し、無配向シートを得る。その後、得られた無配向シートを80〜120℃の温度に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍で縦延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却して一軸配向シートを得る。続いて、得られた一軸配向シートの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜140℃の温度に加熱された雰囲気中で、幅方向に2.0〜5.0倍で横延伸する。ここで、長手方向とは、シート製造時にシートが進行する方向をいい、幅方向とは、シート面に平行であり、長手方向と直交する方向をいう。
延伸倍率は、長手方向と幅方向にそれぞれ2.0〜5.0倍に延伸するが、その面積倍率(長手方向の延伸倍率×幅方向の延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満では、得られるシートの光反射性能が低くなることがあり、逆に、面積倍率が16倍を超えると、延伸時に破れを生じやすくなることがある。このようして二軸延伸されたシートに平面性と寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の温度で熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り、A層を得る。
B層を得るための組成物として、ポリエチレンテレフタレート、白色顔料を混合すること以外は、A層と同様の方法でB層を得る。
ドライラミネート用接着剤を、A層側に塗工し、80〜90℃の乾燥炉で乾燥させた後、前述のドライラミネート法によってB層と貼り合わせることで太陽電池モジュール用シートを得る。
次に、本発明の太陽電池モジュール用バックシートについて説明する。本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、本発明の太陽電池モジュール用シートを有することを特徴とする。ここで、太陽電池モジュール用バックシートが本発明の太陽電池モジュール用シートを有する態様としては、本発明の太陽電池モジュール用シート自体を太陽電池モジュール用バックシートとする態様の他、本発明の太陽電池モジュール用シートに別の層を形成させて太陽電池モジュール用バックシートとする態様が挙げられる。別の層としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、裏側封止材との密着性を向上させる層や耐紫外線性、耐擦傷性を有する層等を形成することができる。
本発明の太陽電池モジュールは、受光面側から、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および本発明の太陽電池モジュール用バックシートがこの順に位置することを特徴とする。太陽電池モジュールが本発明の太陽電池モジュール用バックシートを有することにより、外観や発電効率が向上する。また、光反射性の観点から、A層が、B層よりも受光面側に位置することが好ましい。
このような態様の太陽電池モジュールの厚み(カバー材表面から太陽電池モジュール用バックシート裏面までの厚み)は、475μm以上12.5cm以下の範囲であることが好ましい。太陽電池モジュールの厚みが475μm未満であると、太陽電池モジュールの機械強度が不十分となることがある。また、太陽電池モジュールの厚みが12.5cmを超えると、太陽電池モジュールの重量が増加し、太陽電池モジュールを設置する際の施工性が悪化する懸念がある。
以下、図面で本発明の太陽電池モジュールの具体的な態様を示しながら、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュールを、受光面と垂直かつ太陽電池セルを含む面で切断したときの概略断面図であり、本発明の太陽電池モジュール用シートを、太陽電池モジュール用バックシートとして用いた例を示す。
図1に示すように、本発明の太陽電池モジュール用シートを太陽電池モジュール用バックシートとして用いる場合、太陽電池モジュール1は、受光面側から、カバー材7、表側封止材6、太陽電池セル8、裏側封止材5、および太陽電池モジュール用バックシート2の順に位置する構成を有する。なお、太陽電池モジュール用バックシート2は、A層3およびB層4を有しており、B層4が最外層に位置するように配置される。このとき、太陽電池セル8は複数枚が直列に配線材(図示しない)にて接続されており、表側封止材6と裏側封止材5の間に、隣り合う太陽電池セル8同士の間に隙間ができるように配置されている。
本発明で用いられるカバー材は、太陽電池モジュールの最表面に位置する材料であり、太陽光が直接照射される部分である。カバー材には、太陽光に対する透過性と、電気絶縁性や積雪や風圧などに対する機械的強度、酸性雨や長期の温度、湿度および紫外線などに対する耐候性、および砂塵や太陽電池モジュール施工の際の耐傷付性などが要求される。
カバー材の材料としては、ガラスや樹脂成形品などの公知の材料を用いることができる。樹脂成形品としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、およびフッ素樹脂などが挙げられる。これらの材料の中でも、強度と耐候性の観点から、ガラスやポリカーボネートが好ましく用いられる。
カバー材の厚みは、機械的強度と軽量化の観点から、50μm以上10cm以下の範囲であることが好ましい。カバー材の厚みが50μm未満であると、機械的強度が不足することがある。また、カバー材の厚みが10cmを超えると、太陽電池モジュールの重量が増加し、太陽電池モジュールを設置する際の施工性が悪化する懸念がある。
太陽電池モジュールに用いられる表側封止材および裏側封止材(以下、これらを総称して封止材ということがある。)としては、例えば、アイオノマー樹脂、EVA、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、および変性ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐候性や他部材との密着性および部材コストの観点から、EVAが好ましく用いられる。なお、表側封止材と裏側封止材は、本発明の効果を損なわない限り、同一の材料を用いても、異なる材料を用いてもよい。
太陽電池モジュールとする前の表側封止材と裏側封止材の厚みは、いずれも200μm以上1cm以下であることが好ましい。表側封止材および/または裏側封止材の厚みが200μmを下回ると、太陽電池モジュール製造用の各種部材の積載や加熱による圧力で太陽電池セルが割れてしまう懸念があり、また、表側封止材および/または裏側封止材の厚みが1cmを超えると太陽電池モジュールの重量が必要以上に増加し、太陽電池モジュールを設置する際の施工性が悪化する懸念がある。
太陽電池セルとは、太陽光からの光エネルギーを電気エネルギーに変換する光起電力素子であり、表側封止材と裏側封止材の間に太陽電池セル同士が隙間を空けて直列または並列に接続されて配列される。本発明の太陽電池モジュールにおいては、本発明の効果を損なわない限り、太陽電池セルの種類は特に限定されない。太陽電池セルとしては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型などを好適に使用することができる。
<特性の評価方法>
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)シートの厚みと各層の厚み:
A層に相当するシート、およびB層に相当するシートを、ミクロトームを用いて厚み方向と平行に切断し、切片サンプルを得た。その切片サンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、200倍の倍率で3点撮像した。3点の撮像から各シートの厚みを測定し、その平均値を各層の厚み(μm)とした。さらに各シートの厚みを合計した値をシートの総厚み(μm)とした(後述の接着剤については、各層の厚みに比べてきわめて小さいため考慮しないものとした。)。
(2)破断強度
太陽電池モジュール用シートを、シートの長手方向を長辺とする長方形になるように、1cm×20cmの大きさに5本切り出した後、5本それぞれをチャック間距離10cm、引張速度300mm/minの条件で長手方向と平行に引っ張り、シートが破断したときの強度を測定した。得られた値の平均値を太陽電池モジュール用シートの破断強度とした。
(3)引張弾性率:
A層およびB層に相当するシートを、その長手方向を長辺とする長方形になるように、1cm×20cmの大きさに5本切り出した後、5本それぞれをチャック間距離10cm、引張速度300mm/minにて引っ張り、JIS C 2151(2006年度版)に基づいて、各サンプルの引張弾性率を算出し、得られた値の平均値を引張弾性率とした。なお、太陽電池モジュール用シートにおいてA層が複数存在する場合は、A層に相当する全てのシートについて上記の測定を行い、得られた値の平均値をA層の引張弾性率とし、B層についても同様である(但し、全ての実施例がA層とB層をそれぞれ1層ずつ有しているため、本実施例においてはA層やB層に相当するシートについて複数測定した例はなかった。)。
(4)平均反射率:
太陽電池モジュール用シートを5cm×5cmで切り出し、サンプルとした。得られたサンプルを、測定光の入射面が赤外線透過層側となるように配置し、島津製作所製分光光度計(UV−3150 UV−VIS−NIR Spectrophotometer)に付属の積分球を用いた基本構成で基準光に対して波長400nm〜1,200nmにおける相対反射率の測定を行った。測定は、装置付属の硫酸バリウムの副白板を基準とし、スリットを12nm、サンプリングピッチを1nm、スキャンスピードを高速として1回行った。得られた波長400nm〜1,200nmにおける各波長の相対反射率の値の平均値を波長400nm〜1,200nmにおける平均反射率とした。
(5)太陽電池モジュールの作製および発電量
多結晶シリコン型太陽電池セル(ジンテック社製 G156M3)を2枚用意し、それぞれの太陽電池セルの表面と裏面の銀電極部分に、ディスペンサーでフラックス H−722(HOZAN社製)を塗布する。2枚の太陽電池セルの表面と裏面の銀電極部分に長さ310mmに切り出した配線材(日立電線社製 銅箔SSA−SPS0.2×1.5(20))を、2枚のセルの隙間が5mmの間隔になるように置いて半田溶着することで、直列接続した2セルストリングスを作製した。
次に、作製した2セルストリングスのセルから飛び出している配線材を太陽電池セルの端から10mmの部分でカットし、配線材の長手方向と、180mmに切断した取り出し電極(日立電線社製 銅箔A−SPS0.23×6.0)の長手方向が垂直になるよう置き、前記の配線材と取り出し電極が重なる部分に前記のフラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。
次に、カバー材として190mm×353mmのガラス(旭硝子社製 太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス)と、表側封止材として190mm×353mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製 封止材0.5mm厚)と、取り出し電極付きストリングスと、裏側封止材として190mm×353mmのEVA(サンビック社製 封止材0.5mm厚)と、A層がエチレンビニルアセテートとB層の間に位置する向きになるよう設置された、190mm×353mmに裁断した太陽電池モジュール用シートの順に積層した。得られた積層物を、該ガラスが真空ラミネーターの熱板と接触するようにセットし、熱板温度145℃、真空引き4分、プレス1分および保持時間10分の条件で真空ラミネートを行い、太陽電池モジュールを得た。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面がセル表面側になるようにセットした。得られた太陽電池モジュールを、JIS C 8914(2005年度版)の基準状態に準じて最大発電量の測定を実施し、太陽電池モジュールの発電量とした。
(6)配線材の屈曲量
(株)ミツトヨ製デジマチックインジケータ型番543−790を用いて、太陽電池モジュールの太陽電池モジュール用シート側から図2に示す太陽電池セルの隙間の中心部分(図2:10)の厚みと、配線材と配線材の中間に位置する部分(図2:11)の厚みを測定し、その差が2.0mm以上である場合をC、1.0mm以上2.0mm未満である場合をB、1.0mm未満である場合をAとして評価した。配線材の屈曲量はAが最も優れており、AおよびBを合格とした。
<ポリエステル樹脂>
(A1)
テレフタル酸とエチレングリコールの縮重合体であるチップ状のポリエチレンテレフタレート
<分散助剤>
(B1)
ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体(PBT/PTMG) (東レデュポン社製 商品名:“ハイトレル”(登録商標)7277)
(B2)
全ジカルボン等成分中にイソフタル酸成分を10mol%含み、全ジオール等成分中に数平均分子量1,000のポリエチレングリコール成分を5mol%含むポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)
<非相溶ポリマー>
(C1)
ポリメチルペンテン
<ポリエステルポリオール1>
DIC(株)製ドライラミネート剤 LX−903
<イソシアネート系硬化剤1>
DIC(株)製KL−75
次に、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
A層材料として、組成物を構成する全成分を100質量%としたときに、A1が75質量%、B1が5質量%、B2が10質量%、C1が10質量%となるように各成分を調整混合し、A層を得るための組成物を得た。この組成物を180℃の温度で3時間減圧乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機に供給した。押出機よりA層の組成物をシート状に吐出し、表面温度が25℃の冷却ドラムで冷却固化して無配向フィルムを得た。これを85〜98℃の温度に加熱されたロール群にて長手方向に3.4倍に縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。続いて、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で幅方向に3.6倍に横延伸した。その後、テンター内において温度200℃で熱固定を行い、均一に徐冷した後に25℃まで冷却して、厚み85μmのA層に相当するシートを得た。
B層材料として、組成物を構成する全成分を100質量%としたときに、A1が70質量%、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50質量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50質量%含有)が30質量%となるように各成分を調整混合し、B層を得るための組成物を得た。以降はA層に相当するシートと同じ方法で、厚み75μmのB層に相当するシートを得た。
次に、A層に相当するシートに、ポリエステルポリオール1とイソシアネート系硬化剤1を8:1の質量比で混合した接着剤(以下、単に接着剤ということがある。)を塗工して、B層に相当するシートとドライラミネートし、A層とB層の積層体を得た。その後、40℃で120時間熱処理を施し、太陽電池モジュール用シートを得た。さらに、得られた太陽電池モジュール用シートを用いて、「(6)太陽電池モジュールの作製および発電量」の項に記載の方法により、太陽電池モジュールを得た。太陽電池モジュール用シートおよび太陽電池モジュールの評価結果を表1に示す。
[実施例2〜16、比較例1〜8]
各層の組成(各層を得るための組成物の組成)と層厚みを表1〜2に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして、A層、B層、太陽電池モジュール用シート、および太陽電池モジュールを得た。その評価結果を表1〜2に示す。
Figure 2018125321
Figure 2018125321
表1〜2における各成分の含有量は、各層を構成する全成分を100質量%として算出した。
本発明により、真空ラミネート工程に伴う配線材の屈曲の軽減と光反射性能の向上を両立した太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュール用バックシート、および外観や発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
1:太陽電池モジュール
2:太陽電池モジュール用バックシート
3:A層
4:B層
5:裏側封止材
6:表側封止材
7:カバー材
8:太陽電池セル
9:配線材
10:太陽電池セルの隙間の中心部分
11:配線材と配線材の中間に位置する部分

Claims (8)

  1. ポリエステル樹脂を主成分とする2つの層(A層とB層)を有し、
    前記A層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%以上50質量%未満含み、前記A層の厚みが50μm以上300μm以下であり、
    かつ前記B層が、層を構成する全成分100質量%に対して非相溶ポリマーを5質量%未満含み、前記B層の厚みが30μm以上80μm以下であることを特徴とする、太陽電池モジュール用シート。
  2. 前記A層の厚みをTA、前記B層の厚みをTBとしたときに、TA/TBが1.1以上4.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用シート。
  3. 前記A層の引張弾性率が1.7MPa以上3.5MPa以下であり、かつ前記B層の引張弾性率が3.5MPaを超え5.0MPa以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール用シート。
  4. 前記非相溶ポリマーが、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、非晶ポリオレフィン、環状オレフィン共重合樹脂、およびポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも一つのポリマーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シート。
  5. 前記B層が白色顔料を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シート。
  6. 前記A層と前記B層をそれぞれ1層ずつ有し、かつ前記A層と前記B層の厚みの合計が150μm以上330μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シート。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池モジュール用シートを有することを特徴とする、太陽電池モジュール用バックシート。
  8. 受光面側から、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および請求項7に記載の太陽電池モジュール用バックシートがこの順に位置することを特徴とする、太陽電池モジュール。
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