JP2018086750A - 太陽電池バックシート用積層体、太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池の出力を向上させる効果を有する太陽電池バックシート用積層体、およびそれを用いた、ポリエステル樹脂層と、隣接して設けられる機能層との層間密着が良好な太陽電池モジュールを、生産性良く提供する。
【解決手段】空洞を有しポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(P1層)8と、粒子を含有する層(P2層)7を有し、P2層7が少なくとも一方の最表層にあり、P2層7側から測定した平均光線反射率(400〜1200nm)が95%より大きく、ゴニオフォトメーター測定における42〜80°の範囲での反射光強度割合と平均光線反射率との積で表される光散乱度の値が33%以上である太陽電池バックシート用積層体。
【選択図】図2
【解決手段】空洞を有しポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(P1層)8と、粒子を含有する層(P2層)7を有し、P2層7が少なくとも一方の最表層にあり、P2層7側から測定した平均光線反射率(400〜1200nm)が95%より大きく、ゴニオフォトメーター測定における42〜80°の範囲での反射光強度割合と平均光線反射率との積で表される光散乱度の値が33%以上である太陽電池バックシート用積層体。
【選択図】図2
Description
本発明は、光反射特性と光散乱性に優れることで太陽電池モジュールの出力向上効果を有する太陽電池バックシート用積層体、およびそれを用いた太陽電池モジュールに関する。
再生可能エネルギーの代表格である太陽電池は、ここ数年の間に一般家庭レベルでの屋根置き型太陽電池の急速な普及により大幅な市場成長を遂げた。加えて、現在においてはフィールド設置型太陽電池であるメガソーラー建設が企業・行政を主体に進行中であり、今後も継続した太陽電池の導入量拡大、市場拡大が見込める。現在主流であるシリコン型太陽電池は、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの無機半導体からなる発電素子をエチレン−酢酸ビニル共重合体(以降EVAと称することがある)などの透明な封止材を用いて固定し、その受光面側を透明ガラス基板、裏面側バックシート(以下、太陽電池バックシートと称することがある)と呼ばれる樹脂シートでそれぞれ挟むことで構成されている。太陽電池は紫外線を含む太陽光が多量に降り注ぐ屋外環境に設置され、自然の気候変化に伴う温湿度変化や雨風といったストレスに長期間晒される。これらストレスから発電素子を保護するため、太陽電池バックシートとしては安価で耐候性・電気絶縁性に優れ高強度な二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと称することがある)が用いられる。
太陽電池モジュールの性能は、無尽蔵に供給される太陽光エネルギーをいかに効率よく電気エネルギーに変換できるかに掛かる。これまでに発電素子および電気配線部材改良による高出力化が数多く行われているものの、近年その向上率は低く、また生産工程の大幅変更を伴うことが多いため歩留まりが悪くなることが多い。このため近年では太陽電池バックシートに代表される太陽電池周辺部材による出力向上が注目を浴びている。
太陽電池バックシートによる太陽電池モジュールの出力向上の手法の一つには、モジュール正面から入射した太陽光のうち、発電素子(以降、発電セルと称することがある)に直接入射しなかった太陽光、特に一般的な発電セルの分光感度域に相当する400nm以上1200nm以下の波長域の光を、太陽電池バックシートにより反射させ、その反射光を空気−ガラス界面において全反射させ、再度発電素子に入射させる方法がある。このように太陽電池バックシートでの反射光が空気(屈折率:1.0)−ガラス(屈折率:1.5)界面に於いて全反射を起こすためには、スネルの法則より反射光の有する反射角度が約42度以上になることが必要である。
このため太陽電池モジュール出力を向上させる太陽電池バックシートは,高い光線反射率を備えるだけではなく、反射光に角度を付与する手法としてミー散乱に代表される粒子による光散乱性を併せ持つことが重要である。
また、太陽電池バックシートとして用いるにあたり、耐湿熱性、耐紫外線性、水蒸気バリア性に代表される複数の特性を付与・向上させるため、複数の機能層との積層構成とすることが多い。しかしながら、これら機能層とポリエステル樹脂層との密着性が不足すると、太陽電池バックシートとして太陽電池モジュールに組み込んだ際、層間剥離に伴う浮きや剥離が発生し太陽電池バックシートとしての役割が果たせなくなることがある。
従来の太陽電池バックシートにおいて、具体的には基材表面に白色ビーズと白色バインダーにより光拡散層を形成し、モジュール効率を向上させる技術(特許文献1)、金属または金属薄膜積層フィルムを基材ポリエステル樹脂フィルムに積層し可視光と近赤外光を効率よく反射させ、太陽電池モジュールの出力向上を行う技術(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、特許文献1のように、基材表面に白色ビーズと白色バインダーにより反射層を形成する提案では、粗大な白色ビーズを使用することにより太陽電池セルの封止材であるEVAやバックシート作製時に張り合わせる他の部材フィルムとの密着性が低下する課題がある。また特許文献2の場合も、高反射率が達成されるために金属または金属薄膜積層フィルムとの張り合わせが必要となるため、ポリエステル層との界面において剥離の問題が発生すると共に工程増加に伴い歩留まりが悪くなるため好ましくない。
これらの課題を鑑みて、本発明は、太陽電池モジュールの出力向上効果を有する太陽電池バックシート用積層体、およびそれを用いた、ポリエステル樹脂層と、隣接して設けられる機能層との層間密着が良好な太陽電池モジュールを、生産性良く提供することを目的とする。
これらの課題を鑑みて、発明者らは空洞を有する光反射層に、粒子濃度と厚みを制御した光散乱層を積層することで出力向上効果を高めることを見出した。更に光反射層を、空洞を含有する層の両側に空洞を実質含有しない層を配した3層構成とした場合、光反射層と光散乱層との間の密着性がより向上することも見出した。
すなわち、前記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。
(1)空洞を有しポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(P1層)と、粒子を含有する樹脂層(P2層)を有し、前記P2層が少なくとも一方の最表層にあり、前記P2層側から測定した平均光線反射率(波長範囲400〜1200nm)が95%より大きく、ゴニオフォトメーター測定における42〜80°の範囲での反射光強度割合と平均光線反射率との積で表される光散乱度の値が33%以上である太陽電池バックシート用積層体。
(2)前記P2層の層厚みL(μm)と前記P2層に含有される粒子の濃度C(質量%)を用いて、下記式(1)にて算出される値Nが、50以上900以下である(1)に記載の太陽電池バックシート用積層体。
N=L(μm)×C(質量%)・・・式(1)
(3)前記Lが0.8μm以上12μm未満であり、前記Cが15質量%以上70質量%以下である(2)に記載の太陽電池バックシート用積層体。
(3)前記Lが0.8μm以上12μm未満であり、前記Cが15質量%以上70質量%以下である(2)に記載の太陽電池バックシート用積層体。
(4)前記Lが12μm以上300μm以下であり、前記Cが0.2質量%以上15質量%未満である(2)に記載の太陽電池バックシート用積層体。
(5)前記空洞中に平均粒子径0.1μm以上2μm以下の粒子が存在することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体。
(6)前記P1層の両側に空洞を実質含有しない層(P4層)を有する(1)〜(5)のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体。
(7)前記P4層の厚みの少なくとも一方が1μm以上11μm以下であることを特徴とする(6)に記載の太陽電池バックシート用積層体。
(8)前記P1層の空隙率が5%以上25%以下であることを特徴とする(6)または(7)に記載の太陽電池バックシート用積層体。
(9)前記P2層が次の群1から少なくとも1つ、あるいは複数の樹脂の組み合わせにより構成される(1)〜(8)のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体。
群1:ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体を有する太陽電池用モジュール。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体を有する太陽電池用モジュール。
本発明によれば、光反射性と光散乱性に優れることで太陽電池モジュールの出力向上効果を有する太陽電池バックシート用積層体、およびそれを用いた層間密着良好な太陽電池モジュールを生産性良く提供することができる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体は、ポリエステル樹脂を主成分とする空洞を有する樹脂層(P1層)と、粒子を含有する樹脂層(P2層)を有し、前記P2層が少なくとも一方の最表層にあり、前記P2層側から測定した平均光線反射率(波長範囲400〜1200nm)が95%より大きく、ゴニオフォトメーター測定における42〜80°の範囲での反射光強度割合と平均光線反射率との積で表される光散乱度の値が33%以上であることを特徴とする。
(P1層(以降、反射層と称する場合がある))
本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層は、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする。ここで、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とするとは、該P1層を構成する樹脂に対してポリエステル樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成するポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられる。また、本発明に用いられるポリエステル樹脂は、1)ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル樹脂の重合は常法により行うことができる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層は、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする。ここで、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とするとは、該P1層を構成する樹脂に対してポリエステル樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成するポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられる。また、本発明に用いられるポリエステル樹脂は、1)ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル樹脂の重合は常法により行うことができる。
1)において、ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸類、脂環族ジカルボン酸類、芳香族ジカルボン酸類などのジカルボン酸およびそのエステル誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジカルボン酸類としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸などが挙げられる。また、脂環族ジカルボン酸類としては、例えば、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などが挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などが挙げられる。また、これらは単独で用いても、複数種類用いても構わない。
また、上述のジカルボン酸成分の少なくとも一方のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類およびその誘導体や該オキシ酸類が複数個連なったものなどを縮合させたジカルボキシ化合物も用いることができる。
ジオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール類、脂環式ジオール類、芳香族ジオール類などのジオールおよびこのようなジオールが複数個連なったものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどが挙げられる。また、脂環式ジオール類としては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどが挙げられる。また、芳香族ジオール類としては、例えば、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。また、上述のジオール成分の少なくとも一方のヒドロキシ末端にジオール類を縮合させて形成されるジヒドロキシ化合物も用いることができる。
2)において、一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の例としては、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸、およびその誘導体、オキシ酸類のオリゴマー、ジカルボン酸の一方のカルボキシル基にオキシ酸が縮合したものなどがあげられる。
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分およびジオール成分は、上述した中から1種類ずつを選択して共重合させても良いし、それぞれ複数種を選択して共重合させても良い。
また、P1層を構成するポリエステル樹脂は、単一種でも良いし、2種以上のポリエステル樹脂をブレンドしたものでも良い。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂は、耐湿熱性を向上させることを目的として本発明の効果が損なわれない範囲で、リン化合物としてリン酸アルカリ金属塩およびリン酸を含有してもよい。リン酸アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウムなどが挙げられる。好ましくはリン酸二水素アルカリ金属塩、リン酸水素二アルカリ金属塩である。また、アルカリ金属元素がNa,Kであるリン酸アルカリ金属塩が長期の耐湿熱性の点から好ましい。特に好ましくはリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムである。
上記リン化合物を添加するに当たり、本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂はリン元素の含有量Pがポリエステル樹脂全体に対して1.8mol/t以上5.0mol/t以下であることが好ましい。また、上記ポリエステル樹脂(P1層)はMn、Caの少なくともいずれか1種類の金属元素を含有し、それ以外の2価の金属元素の含有量はそれぞれ多くてもポリエステル樹脂全体に対して5ppm以下であることが好ましい。ここで、金属元素とは、原子だけではなく、イオン状態でポリエステル樹脂中に存在するものも含むものとする。なお、一般的には、金属元素は、ポリエステル樹脂中ではイオン状態として存在する。加えて、本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)とし、ポリエステル樹脂全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記(i)式で求められる金属含有量M(mol/t)と、リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記式(ii)を満たすことが好ましい。
M=(M1)/2+M2・・・式(i)
1.1≦M/P≦3.0・・・式(ii)
上述の2価の金属元素とは、化学周期表第3周期までのアルカリ土類金属元素と、第5周期以降の第1族から12族までの元素、およびTiを除く第4周期の遷移金属元素を指す。本発明における金属元素の価数とは、金属原子の電子軌道のうち、最外殻または最外殻に最も近い位置にあるs軌道に存在する電子の個数の合計である。
1.1≦M/P≦3.0・・・式(ii)
上述の2価の金属元素とは、化学周期表第3周期までのアルカリ土類金属元素と、第5周期以降の第1族から12族までの元素、およびTiを除く第4周期の遷移金属元素を指す。本発明における金属元素の価数とは、金属原子の電子軌道のうち、最外殻または最外殻に最も近い位置にあるs軌道に存在する電子の個数の合計である。
ポリエステル樹脂に含まれるMn元素、Ca元素は、これらの金属元素を含む金属化合物であることが好ましい。これらの金属化合物はエステル交換反応触媒としての機能を有する。
本発明において、P1層を構成するポリエステル樹脂は、Na、Li、Kからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属化合物と、Sb、Ti、Geからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属化合物とを含み、これら金属元素の含有量の合計は、ポリエステル樹脂全体に対して30ppm以上2000ppm以下としてもよい。金属元素の含有量の合計をこの範囲とすることで末端カルボキシル基量の抑制ができ、耐熱性が向上する。なお、Na、Li、Kはアルカリ金属元素である。またSb、Ti、Geは重合触媒能を有する金属元素であり、重合触媒として機能する。
本発明において、P1層を構成するポリエステル樹脂は、上述の通り、リン化合物としてリン酸アルカリ金属塩とリン酸の両方を含有してもよい。このような構成によれば、リン化合物緩衝作用により、ポリエステルの末端カルボキシル基の活性が低下し、湿熱雰囲気下での加水分解の進行を抑制する結果、耐湿熱性を大きく向上させることができる。
P1層を構成するポリエステル樹脂においては、リン化合物リン元素の含有量Pがポリエステル樹脂全体に対して1.8mol/t以上5.0mol/t以下であることが好ましい。リン元素の含有量Pが1.8mol/t未満であると、リン酸アルカリ金属塩およびリン酸の含有量が充分でないため、湿熱雰囲気下での末端カルボキシル基量の増加を抑えることができず、ポリエステル樹脂の加水分解が進行しやすくなり、耐湿熱性の低下を招くおそれがある。またリン元素の含有量Pが5.0mol/tを超えると、リン酸アルカリ金属塩および/またはリン酸の含有量が過剰となる。リン酸アルカリ金属塩が過剰な場合はリン酸アルカリ金属塩が異物化する懸念があり、リン酸が過剰である場合は、リン酸により重合触媒が失活して重合反応が遅延し、末端カルボキシル基量が増加するため、ポリエステル樹脂の耐湿熱性が低下するおそれがある。また、上記ポリエステル樹脂におけるリン酸アルカリ金属塩の含有量は、ポリエステル樹脂全体に対して1.3mol/t以上3.0mol/t以下であることが耐湿熱性の点から好ましい。また、リン酸の含有量は、リン酸アルカリ金属塩に対して、モル数で0.4倍以上1.5倍以下であることが長期的な耐湿熱性の点から好ましい。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂に含有されるアルカリ金属元素とMn元素、Ca元素は、リン元素を含む化合物またはポリエステルの末端カルボキシル基と化学結合し、リン化合物による重合触媒の失活を抑制したり、末端カルボキシル基の自己触媒作用を抑制して加水分解を抑制したりする効果をもたらす。アルカリ金属元素は重合触媒の失活の抑制に効果があり、Mn元素、Ca元素は重合触媒の失活抑制と、末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制による加水分解の抑制に効果的である。
一般的に、ポリエステル樹脂中に含有される金属イオンは、末端カルボキシル基を含むカルボニル基と化学結合する。特に金属イオンが末端カルボキシル基のカルボニル基と化学結合した場合、水分子が存在することで末端カルボキシル基の自己触媒作用が発現し、それによって加水分解が起こり、ポリエステルが劣化するに至る。この加水分解を抑制するためには、末端カルボキシル基と化学結合する金属イオンと、水分子とを、安定化させることが効果的である。つまり、金属イオンと水分子とを水和せしめることが効果的である。この効果の指標として、金属イオンの水和エンタルピーと金属イオンの半径の積を用いることができる。この積の値が大きい金属元素としてMn、Ca、Alイオンが挙げることができる。これらの金属イオンはより効果的に水分子を安定化させることが可能であり、その結果ポリエステル樹脂の耐湿熱性を向上させることができる。とくに、Mn元素、Ca元素の化合物は、エステル交換反応触媒としての性能が高いため、含有させる金属元素としてより好ましい。
また、リン化合物は、ポリエステル樹脂中で陰イオンとして存在するため、ポリエステル樹脂中にイオン状態で存在する金属元素と化学結合する。リン化合物に由来する陰イオンが、重合触媒に由来する金属元素のイオンと化学結合すると、重合触媒が失活することになる。ポリエステル樹脂中に、重合触媒由来の金属元素以外の金属元素のイオンを存在させることで、重合触媒に由来する金属元素イオンとリン化合物に由来する陰イオンとの化学結合を抑制することができ、重合触媒の失活を抑制できる。ここで、リン化合物による重合触媒失活の抑制またはポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制の指標となるのが、上述の式(ii)で表されるM/Pである。この式におけるMは、ポリエステル樹脂において、リン化合物に由来する陰イオンと化学結合する、金属元素のイオンの含有量を表すものである。
ただし、ポリエステル樹脂中でリン化合物に由来する陰イオンは2価であるので、2価の金属元素の陽イオンと1:1で相互作用する。そのため、ポリエステル樹脂中で1価の陽イオンとなる金属元素の含有量M1に対しては係数0.5を乗じる必要がある。
本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂においては、M/Pが1.1以上3.0以下であることが好ましい。1.1に満たないと、リン化合物量に対する金属元素量が少なすぎて、リン化合物による重合触媒失活の抑制またはポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の自己触媒作用の抑制が充分でないため、重合反応時に末端カルボキシル基量が増加したり、湿熱雰囲気下での加水分解反応の進行を抑えることができず、耐湿熱性が低下したりするおそれがある。また、M/Pが3.0を超えると、金属元素を含有する化合物が過剰となり、異物化するおそれがある。M/Pを上記の範囲とすることによって、異物が少なく、耐湿熱性に優れたポリエステル樹脂が得られる。M/Pは、より好ましくは、1.15以上1.4以下である。
上述の通り、本発明の積層体のP1層を構成するポリエステル樹脂において、Mn、Ca以外の2価の金属元素の含有量は、それぞれポリエステル樹脂全体に対して5ppm以下である。Mn元素、Ca元素以外の2価の金属元素の含有量のうちいずれかの金属元素含有量がポリエステル樹脂全体に対して5ppmを超えると、Mn元素、Ca元素による重合触媒の失活抑制効果や末端カルボキシル基の自己触媒抑制作用を妨げ、耐湿熱性が低下するおそれがある。より好ましくは、Mn元素、Ca元素以外の2価の金属元素の含有量の合計が5ppm以下である。
本発明においてP1層を構成するポリエステル樹脂には、本発明の効果が損なわれない範囲で、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、有機系/無機系の微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等の添加剤が配合されていてもよい。
本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層を構成する樹脂は、前述のとおりポリエステル樹脂を主たる構成成分とするが、当該ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は0.60dl/g以上0.80dl/g以下であることが好ましい。また、末端カルボキシル基量は35当量/トン以下であることが好ましい。また、該ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレート(PET)を主たる構成成分とすることが好ましい。ここで、主たる構成成分とは、該ポリエステル樹脂に対して50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成する樹脂が、PETを主たる構成成分とする場合、該PETの固有粘度(IV)は0.65dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.69dl/g以上である。固有粘度(IV)が0.65dl/g未満の場合、シートの耐湿熱性が悪くなる場合がある。また、固有粘度(IV)が0.80dl/gを超える場合、P1層を製造する際に樹脂の押出性が悪く、シート成型が困難となる場合がある。さらに、固有粘度(IV)が上記範囲を満たしていても、末端カルボキシル基量が35当量/トンを超える場合、積層体の耐湿熱性が悪くなる場合がある。末端カルボキシル基量は30当量/トン以下であることがより好ましく、25当量/トン以下であることが更に好ましく、20当量/トン以下であることが特に好ましく、17当量/トン以下であることが最も好ましい。よって、P1層を構成する樹脂がPETを主たる構成成分とする場合、固有粘度、末端カルボキシル基量を上記範囲とすることによって、成型性、長期耐久性に非常に優れた太陽電池バックシートとすることが出来る。またP1層が後述のP4層/P1層/P4層の3層構成となる場合、P4層の末端カルボキシル基量が25当量/トン以下とすることで、太陽電池バックシートとして用いる際に湿熱ストレスによるP4層の湿熱劣化によってP2層との密着性が低下することが抑制され、実環境使用でも良好な密着性を発揮できる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体において、P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量は8000〜40000が好ましく、より好ましくは数平均分子量が9000〜30000、更に好ましくは10000〜25000である。ここでいうP1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量とは、本発明の積層体からP2層を分離し、ヘキサフルオロイソプロノール(HFIP)に溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)で測定、示差屈折率計で検出した値から、標準試料として分子量既知のポリエチレンテレフタレートとジメチルテレフタレートを用いて得られた値である。P1層を構成するポリエステル樹脂の数平均分子量が8000に満たない場合、耐湿熱性や耐熱性などのシートの長期耐久性が落ちる可能性があるため好ましくない。また、40000を超えると、重合が困難であるか重合できたとしても押出機による樹脂の押出が困難となり、製膜が困難となる場合がある。また、本発明の積層体において、P1層は一軸、もしくは二軸に配向していることが好ましい。P1層が、一軸、もしくは二軸に配向していると、配向結晶化により耐湿熱性や耐熱性などのシートの長期耐久性を向上させることができる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層において、波長400nm以上1200nm以下の範囲における光線反射率を向上させることを目的として、P1層内に「空洞」を含有することを必要とする。
また本発明のP1層が有する「空洞」とは、ミクロトームを用いて、フィルムを厚み方向に潰すことなくフィルム面方向に対して垂直に切断し、電子顕微鏡を用いてフィルムの切断面を観察した時、得られた観察画像内に観察される断面積が0.2μm2以上の空隙をあらわす。本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層は、空隙率(フィルム断面における空洞の占める割合)が5%以上25%以下となることが好ましく、より好ましくは空隙率が10%以上、更に好ましくは15%以上である。
太陽電池バックシート用積層体全体の空隙率は観察画像内の空洞部分の面積から求めることができる。空隙率の測定方法の詳細は後述する。P1層の空隙率が5%未満であると波長400nm以上1200nm以下の範囲における光線反射率が不足し出力向上効果が低減する場合がある。一方、P1層の空隙率が25%を超える場合、太陽電池バックシート用積層体に外力が掛かった場合に、P1層の空隙を起点としたP1層内剥離が発生し、他部材との密着性が低下することがある。
P1層の内部に空洞を形成させる方法は、特に限定されるものではないが、P1層中に空洞核剤を含有させた後に延伸することによって形成されるものが好ましい。発泡剤等によって形成される空洞は構造の制御が困難であり、P2層との密着性が低下する場合がある。
ここで空洞核剤としてはポリエステル樹脂と非相溶であるオレフィン系樹脂などの有機系核剤や、無機粒子やガラスビーズなどの無機系核剤が挙げられる。
有機系核剤としてはオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロンMXD6、ナイロン6Tなどのポリアミド系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーなどのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミドなどのスーパーエンプラ、あるいは本発明のポリエステルフィルムの構成するポリエステル樹脂と非相溶である異なる種類のポリエステル樹脂なども用いることができる。オレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテンなどの脂肪族ポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマーやシクロオレフィンコポリマーなど環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられ、中でも微細な空洞を形成し光反射性をより高めることで積層体の出力向上性に優れる点から、有機系核剤としてはビカット軟化点が140℃以上のオレフィン系樹脂が好ましく、180℃以上のオレフィン系樹脂がより好ましい。有機系核剤としてビカット軟化点が140℃未満のオレフィン系樹脂を用いた場合、空洞の形状が粗大化し過ぎて、積層体の密着性や出力向上性が低下する場合がある。
またP1層中に含まれる有機系核剤量としては、ポリエステルフィルムの全質量に対して5質量%以上、30質量%以下が好ましく、より好ましくは6質量%以上20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。ここでP1層中に含まれる有機系核剤量が1質量%未満の場合、積層体は密着性には優れるものの、光反射性が低下することで出力向上性に劣る場合がある。一方で有機系核剤量が30質量%を超える場合、出力向上性には優れるものの、空洞が多すぎて密着性に劣る場合がある。
更に有機系核剤を用いる場合、分散助剤を同時に併用することが好ましい。分散助剤としてはポリエーテル構造や屈曲骨格構造、嵩高いシクロヘキサン骨格構造などが共重合されたポリエステル系エラストマーや非晶性ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。より分散性を向上させられる点からは分散助剤を2種以上併用する形態も好ましく用いられる。またP1層中に含まれる分散助剤量としては、P1層の全質量に対して1質量%以上、10質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上、8質量%以下、更に好ましくは3質量%以上、6質量%以下である。ここでP1層中に含まれる分散助剤量が1質量%未満の場合、分散助剤としての効果が不足し、密着性が低下する場合がある。一方で分散助剤量が10質量%を超える場合、分散性が過分に向上することでかえって密着性が低下する場合がある。更には結晶性の低下によってP1層の耐湿熱性も低下する恐れがある。
またP1層中に含まれる有機系核剤、または無機系核剤の積層体中での平均粒子径は0.1μm以上2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上1.8μm以下であり、更に好ましくは0.7μm以上1.5μm以下である。ここでの粒子の平均粒子径とは後述の電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた測定方法により得られる体積基準円相当径の平均値である。
ここでP1層中に存在する核剤の平均粒子径が0.1μm未満である場合、P1層中での空洞形成が困難となり、波長400nm以上1200nm以下の範囲における光線反射率が不足し出力向上効果が低減する場合がある。一方でP1層中に存在する核剤の平均粒子径が2μmを超える場合、P1層中空洞が大きくなりP1層内でのへき開が誘発され太陽電池バックシート用積層体としての密着性が低下することがある。
ここでP1層を構成する樹脂組成物に空洞を含有させる場合、P1層の構成としてはとくに制限されないが、P1層の両側に空洞を実質含有しない層(P4層)を有することが好ましい。ここで、P4層が空洞を実質含有しないとは、P4層の空隙率(フィルム断面における空洞の占める割合)が5%未満であることを意味する。更に、空洞を実質含有しないP4層は少なくとも片方の厚みが1μm以上11μm以下であるとすることが本発明の太陽電池バックシート用積層体の密着性を向上させる観点からより好ましい。
これは本発明のP1層とP4層における剥離強度が、P1層が含有する空洞と空洞を実質含有しないP4層の厚みの関係により下記の通り変動するためである。空洞を有するP1層は自身の層内剥離強度は低いものの、空洞構造により厚み方向の弾性変形を起こしやすく、層に掛かる応力を分散する効果を有している。このため、P1層の両側に実質空洞を有しないP4層を1μm以上11μm以下となるように設けることでP1層への応力集中を防ぐことができる。このためP4層厚みが1μm未満である場合、P1層に応力が集中し密着力が低下する場合がある。一方、P4層の厚みが11μmを超える場合、P1層とP4層としての剥離強度は空洞を有するP1層のみより向上はするものの、P4の厚み増大に伴いP1層の応力分散効果が薄れP4層に応力が集中し、P4層内での凝集破壊が発生し、太陽電池バックシート用積層体としての密着力が低下する場合がある。なお、P4層を構成するポリエステル樹脂としては、前述したP1層を構成するポリエステル樹脂を好適に用いることができる。
本発明でP1層やP4層は光線反射率を向上させることを目的に「粒子」を含有してもよい。これは後述する平均粒子径を持つ「粒子」を添加することで、断面積が0.1μm2以上0.2μm2未満の微小な空隙(以下、マイクロボイドと称することがある)を粒子周辺に形成させ前記「空洞」にて反射しきらなかった450nm付近の短波長光を反射させることで、400nm以上1200nm以下の波長範囲の平均光線反射率を向上させることができるためである。
ここで粒子とは、無機粒子であっても有機粒子であっても良い。無機粒子としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、マイカ、雲母、雲母チタン、ゼオライト、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、ジルコニア、およびケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩からなる粒子などが挙げられる。更にこれらの中でもポリエステル樹脂との加工が容易な観点から、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムが好ましく、中でも太陽電池バックシートとして用いられる際に、P1層やP4層の変色や紫外線劣化に伴う強度劣化を抑制するといった耐紫外線性を高める観点から酸化チタンがより好ましい。一般に用いられる酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンの2つを挙げることができるが、より耐紫外線性が高いルチル型酸化チタンを用いることが最も好ましい。
無機粒子の表面には、P1層やP4層を構成するポリエステル樹脂内での粒子分散性向上や粒子の色味調整を目的として表面修飾を施してもよい。表面修飾としては二酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などの金属酸化物をフィラー表面に被膜する処理や、有機物化合物を共有結合、非共有結合のいずれかを介してフィラー表面に定着させる処理が挙げられる。
P1層やP4層に含有する粒子の平均粒子径としては0.05μm以上1μm未満の無機粒子であることがP1層の脆化抑制と反射率向上の観点から好ましい。ここでの粒子の平均粒子径とは後述の電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた測定方法により得られる体積基準円相当径の平均値である。
平均粒子径が0.05μm未満の場合、添加した粒子によって生じるマイクロボイドが光の波長よりも格段に小さくなることで反射率を向上させることが困難になる場合がある。一方平均粒子径が1μm以上の場合、ポリエステル樹脂を主成分とするP1層を1軸もしくは2軸延伸する際に粒子部分が原因で破れが発生すると共に、得られるフィルムの強度が低下することがある。粒子の平均粒子径として好ましくは0.07μm以上0.8μm以下、より好ましくは0.1μm以上0.6μm以下である。平均粒子径が好ましい範囲にあれば、P1層やP4層に含有される粒子は1種でも、粒度分布の異なる複数種の粒子の組み合わせでもどちらであってもよい。
P1層やP4層に含有する粒子の含有量としては、P1層やP4層を構成する樹脂に対して0.1質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましい。粒子の含有量が0.1質量%未満では、光線反射率の向上効果が得られない場合があり、30質量%より多いと後述のP2層との密着性が悪化すると共に製膜が困難になる場合がある。より好ましい範囲としては0.5質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上15質量%以下である。
ここでP1層やP4層を構成する樹脂組成物に粒子を含有させる好ましい形態としては、特に制限されるものではない。前述のP4層/P1層/P4層の積層構成を有している場合、P4層に含有されることが好ましい。特に前述のルチル型酸化チタンのように耐紫外線性を持つ粒子を用いる場合、P4層に酸化チタン粒子を高濃度添加することでP4層の耐紫外線性を局所的に高めることができる。これにより太陽電池バックシートを作製しP4層を太陽電池裏面表層側に存するように配すことでP4層より内部への紫外線侵入を防ぐことができ積層体の変色や紫外線劣化に伴う積層体の強度劣化を抑制することができる。この場合のP4層に添加される酸化チタン量は特に制限はないが10質量%以上であることが耐紫外線性を持たせるうえで好ましい。
本発明の太陽電池バックシート用積層体におけるP1層には、前記の空洞核剤や無機粒子以外にも、本発明の効果が損なわれない範囲で必要に応じて、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、染料、カップリング剤、機能性有機粒子などの添加剤が配合されていてもよい。例えば、添加剤として紫外線吸収剤を選択した場合には、本発明の積層体の耐紫外線性をより高めることが可能となる。また帯電防止剤を選択した場合、電気絶縁性を向上させることもできる。
更に、本発明の積層体のP1層は後述の方法にて求まる熱伝導率が0.9W/m・K以下であることが好ましく、0.75W/m・K以下であることがより好ましい。本発明の積層体を太陽電池バックシートとする際、封止材と密着する面の反対面(以降、空気側面と称す)に他のフィルムを積層することがあるが、熱伝導率を0.9W/m・K以下とすることでセルの発熱を遮断し、空気側面に積層した機能層との密着性の低下を抑制することができる。積層体のP1層の熱伝導率は、積層体のP1層の空隙率を高くすることで低くすることができる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体におけるP1層の厚みは25μm以上350μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上260μm以下である。P1層の両側にP4層を設ける場合、P1層とP4層の層厚みの和が上記範囲であることが好ましい。厚みが25μm未満の場合、他の部材フィルムと貼り合わせ加工時にシワが発生することがある。一方で厚みが350μmより厚いと巻取り性が悪化する場合があるとともに、後述のP2層を設ける工程においてP1層の剛性により機械負担が大きくなり加工性が下がる場合がある。
(P2層(以降、光散乱層と称する場合がある))
本発明の太陽電池バックシート用積層体において、P2層は光散乱性を有する粒子を含有することが出力向上効果を発揮する上で好ましい。粒子の例としてはP1層で例示した有機粒子、無機粒子ともに制限なく使用することが可能である。中でも屈折率が高く、P2層を構成する樹脂との屈折率差を大きくし、高い光散乱性を生み出すことができる観点から、ルチル型酸化チタンが最も好ましい。
本発明の太陽電池バックシート用積層体において、P2層は光散乱性を有する粒子を含有することが出力向上効果を発揮する上で好ましい。粒子の例としてはP1層で例示した有機粒子、無機粒子ともに制限なく使用することが可能である。中でも屈折率が高く、P2層を構成する樹脂との屈折率差を大きくし、高い光散乱性を生み出すことができる観点から、ルチル型酸化チタンが最も好ましい。
本発明の太陽電池バックシート用積層体のP2層が含有する粒子による光散乱により、本発明の太陽電池バックシート用積層体の出力向上効果が得られるためには、前述の通り、粒子により散乱された反射光がP2層を通過する時点で反射角度42度以上となることが好ましい形態である。このため、P2層が含有する粒子は、以下の関係式を満たすことが好ましい。具体的には、P2層の層厚みをL(μm)、P2層が含有する粒子の濃度C(質量%)とし、下記式(1)にて算出される値Nが50以上900以下となることが好ましい。
N=L(μm)×C(質量%)・・・式(1)
値Nが50未満である場合、P2層中の粒子濃度が低く光散乱が起こりにくく、出力向上効果が低下する場合がある。一方、値Nが900を超える場合、P2層中の粒子量が過剰となり反射光が粒子により多数回散乱し、最終的に積層体内部に戻る現象(迷光現象)が起こり、出力向上効果が低下する場合がある。
値Nが50未満である場合、P2層中の粒子濃度が低く光散乱が起こりにくく、出力向上効果が低下する場合がある。一方、値Nが900を超える場合、P2層中の粒子量が過剰となり反射光が粒子により多数回散乱し、最終的に積層体内部に戻る現象(迷光現象)が起こり、出力向上効果が低下する場合がある。
P2層に含有される粒子の更に好ましい関係としては、「P2層厚みLが0.8μm以上12μm未満、かつ粒子の濃度Cが15質量%以上70質量%未満」、もしくは「P2層厚みLが12m以上300μm以下、かつ粒子の濃度Cが0.2質量%以上15質量%未満」である。前者は高濃度粒子による光散乱を狭い厚み範囲で行わせることで、後者は低濃度粒子による光散乱を広い厚み範囲で、適切な回数の光散乱を起こさせることで42度以上の反射角度を持つ光を生み出すことができる。
P2層が含有する粒子の平均粒子径としては0.1μm以上1μm未満の無機粒子であることが波長400nm以上1200nm以下の範囲の反射光を散乱させる観点から好ましい。平均粒子径が0.1μm未満の場合、粒子径が前記光の波長に対して格段に小さくなることで反射光を光散乱させることが困難になる場合がある。一方平均粒子径が1μm以上の場合、ポリエステル樹脂を主成分とするP1層を1軸もしくは2軸延伸する際に粒子部分が原因で破れが発生し得られる積層体の強度が低下することがあると共に、可視光域の光に対する光散乱性が低下し、出力向上効果が低下する場合がある。ここでの粒子の平均粒子径とは後述の電界放射走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた測定方法により得られる体積基準円相当径の平均値である。
P2層が含有する粒子の形状としては特に制限はなく、球状、平板状、立方体状、針状、錐体状、不定形状の粒子を好適に使用することができるが、粒子添加に伴うP2層の脆化を抑える観点から、層状凝集を起こしにくい、粒子の長径と短径の比(アスペクト比)が2未満の粒子を用いることがより好ましい。
P2層を構成する樹脂としては特に制限はなく、公知な樹脂を使用することができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらエチル、ブチルおよび2−エチルヘキシルなどのエステル誘導体を少なくとも1種類以上モノマーとして構成要素に有するアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテンなどの脂肪族ポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマーやシクロオレフィンコポリマーなど環状ポリオレフィン樹脂、シリコーン系樹脂、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化ポリプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、および飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
P2層を構成する樹脂の選択例としては、太陽電池バックシートの電気絶縁性および/または水蒸気バリア性向上を目的としてポリエチレン、ポリプロピレンに代表される脂肪族ポリオレフィン樹脂や環状ポリオレフィン樹脂を、P2層の紫外光劣化とそれに伴う太陽電池バックシートの密着強度低下を抑制すること目的としてフッ素樹脂を、太陽電池バックシートの初期状態での密着性を向上させることを目的に飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を使用することが例示できる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体におけるP2層は本発明の効果が損なわれない範囲で必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)などのオレフィン系樹脂との易接着性、水蒸気バリア性、ガスバリア性、耐紫外線性、電気伝導性、電気絶縁性などを向上する目的で添加剤、粒子、樹脂を添加してもよい。
ここでP2層を構成する樹脂組成物に粒子を含有させる好ましい形態としては、特に制限されるものではなく、単層に粒子を含有させても2層以上の積層構成を取ってもよい。
積層構成の例としてはポリオレフィン系樹脂3層構成において中央の層(P21層)に式(1)を満たすように粒子を添加し、その両側を(P22層、P22’層)で挟むようにP22層とP22’層を設ける(P22層/P21層/P22’層)構成が挙げられる。このときP22層、P22’層は前述の易接着性、水蒸気バリア性、ガスバリア性、耐紫外線性、電気伝導性、電気絶縁性などの特性を向上した機能性層として使用することが可能である。
光散乱層として用いるP2層は反射層であるP1層と直接接する構成(P1層/P2層)でも、P1層とP2層が別の層を介して積層された構成(P1層/P3層/P2層、P4層/P1層/P4層/P2層)でも良い。さらにP2層を設ける手法においても特に制限はなく、例えばP1層、P2層原料である粒子および樹脂をそれぞれ別の押出機に投入し、Tダイからシート状に押し出し製膜する方法(共押出法)、別途製膜を行ったP1層単膜もしくはP1層とP4層を含む積層体の上にP2層原料である粒子および樹脂を押出機に投入し溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、別途作成したP2層とP1層単膜もしくはP1層とP4層を含む積層体とをドライラミネート用接着剤にて形成される接着層を介して貼り合わせる方法(接着法)、有機系もしくは水系溶剤に光散乱層であるP2層原料である粒子および樹脂を溶解・分散させた後、塗布・乾燥を行う方法(コーティング法)などを挙げることができる。中でも添加する粒子により前記空洞、および前記マイクロボイド形成による光散乱性低下を抑制する観点から、P2層は、未延伸シートを用いた接着法、延伸工程を含まない溶融ラミネート法、コーティング法を用いることがより好ましい。P2層の空隙率は、断面積が0.2μm2以上の「空洞」および断面積が0.1μm2以上0.2μm2未満の「マイクロボイド」を併せても2%以下になることが好ましい。
以下にいくつかの手法に関して詳しく列挙する。
(接着法)
前述の接着法において、接着層を構成するドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチルおよび2−エチルヘキシルエステルなどのホモポリマー、あるいはこれらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリルおよびスチレンなどとの共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸およびメタクリル酸などのモノマーとの共重合体などからなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂などからなるポリオレフィン系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンおよびイソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートおよび低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を用いることができる。また、これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型および分散型等のいずれの形態でも良く、さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型および熱圧型等のいずれの形態の接着剤も用いることができる。
前述の接着法において、接着層を構成するドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチルおよび2−エチルヘキシルエステルなどのホモポリマー、あるいはこれらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリルおよびスチレンなどとの共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸およびメタクリル酸などのモノマーとの共重合体などからなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂などからなるポリオレフィン系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンおよびイソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートおよび低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を用いることができる。また、これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型および分散型等のいずれの形態でも良く、さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型および熱圧型等のいずれの形態の接着剤も用いることができる。
本発明においては、高耐熱性と耐湿熱性等に優れた接着剤を得るために、硬化剤または架橋剤を含ませることにより、上記の接着剤を架橋させることが好ましい。このような硬化剤または架橋剤としては、脂肪族系と脂環系のイソシアネート、あるいは、芳香族系イソシアネート等のイソシアネート系化合物を用いることができる。より具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、およびキシリレンジイソシアネート(XDI)等を例示することができる。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、ディップコーティング法、グラビアロールコート法、キスコート法、ダイコート法およびその他等のコート法、あるいは印刷法などによって、P1層、もしくはP4層(P4層/P1層/P4層構成の場合)とP2層のどちらかにコーティングして用いることができる。接着剤のコーティング量は、0.1g/m2〜10g/m2(乾燥状態)の範囲内であることが好ましい。
上記の接着剤中には、紫外線劣化などを防止するために、前述の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤を添加することができる。上記の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤としては、前述の紫外線吸収剤の1種ないしはそれ以上、あるいは、光安定化剤の1種ないしはそれ以上を同様に使用することができる。その使用量としては、その粒子形状、密度などによって異なるが、上記の接着剤成分100質量%中に、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
(コーティング法)
別途シート状に成形したP1層単体もしくはP1層と他の層との積層体に関して、事前に調合されたP2層を構成する粒子と樹脂を含有する有機系もしくは水系塗剤組成物をコーターにセットしロールコート法、ディップコーティング法、グラビアロールコート法、キスコート法、ダイコート法およびその他等のコート法、あるいは印刷法などを用いて塗布し乾燥することでP2層を形成する。また必要に応じてP1層単体もしくはP1層と他の層の積層体への塗剤組成物の濡れ性向上、P2層形成後の層間接着力向上の観点から、コーティング工程の直前に表面へコロナ処理を行ってもよい。
別途シート状に成形したP1層単体もしくはP1層と他の層との積層体に関して、事前に調合されたP2層を構成する粒子と樹脂を含有する有機系もしくは水系塗剤組成物をコーターにセットしロールコート法、ディップコーティング法、グラビアロールコート法、キスコート法、ダイコート法およびその他等のコート法、あるいは印刷法などを用いて塗布し乾燥することでP2層を形成する。また必要に応じてP1層単体もしくはP1層と他の層の積層体への塗剤組成物の濡れ性向上、P2層形成後の層間接着力向上の観点から、コーティング工程の直前に表面へコロナ処理を行ってもよい。
前述の光散乱層であるP2層を設ける手法はP2層を構成する樹脂の種類によって適宜選択でき、光散乱層を構成する樹脂がポリエステルの場合は共押出法であり、融点が150℃未満の、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン系の低融点ポリマーの場合は溶融ラミネート法や接着法であり、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールおよびポリシリケートなどのコーティング用樹脂を使用する場合は、コーティング法が好ましく用いられる。
(太陽電池バックシート用積層体)
本発明の太陽電池バックシート用積層体のP2層側から測定した波長400nm以上1200nm以下の範囲における平均光線反射率が95%より大きいことが必要である。
本発明の太陽電池バックシート用積層体のP2層側から測定した波長400nm以上1200nm以下の範囲における平均光線反射率が95%より大きいことが必要である。
これは、太陽電池モジュールの出力を向上させるために、発電セルから外れた太陽光をより多く反射し、再度セルに跳ね返すために必要なためである。また、平均光線反射率が95%を超えることで、外観としても白色であることが強調され、太陽電池モジュールの意匠性を高めることもできる。好ましい範囲としては95.5%以上であり、より好ましい範囲としては96%以上である。本発明の太陽電池バックシート用積層体のP2層側から測定した波長400nm以上1200nm以下の範囲における平均光線反射率を向上させる方法としては、例えば、P1層の空洞形成を構成する原料、製膜条件により制御する手法を挙げることができる。具体的には、P1層を構成する原料面として、空洞核剤量を増加させることでP1層の空隙率を上昇させる方法、分散剤を使用することで空洞核剤のP1層中での分散性を向上させ空洞を微細化し入射光が空洞で反射する回数を増加させる方法を、製膜条件としては、延伸倍率を高倍にすることで空洞を大径化し空隙率を増やす方法、延伸工程で形成した空洞が延伸後の熱処理で潰れることを防ぐため熱処理温度を低温化する方法を挙げることができる。
また、本発明の太陽電池バックシート用積層体は前記平均光線反射率に加え、ゴニオフォトメーター測定における42〜80°の範囲での反射光強度割合と平均光線反射率との積で表される光散乱度の値が33%以上であることが太陽電池モジュールの出力向上効果を付与するために必要である。
これは、太陽電池モジュールに入射した発電セルから外れた太陽光が再度発電セルに入る経路を考えた場合、反射光が正面に反射すると反射光はそのまま太陽電池モジュール外部に放出され出力向上に寄与しないが、42度以上80度以下の角度を有して太陽光が反射すると太陽電池モジュール最表層のガラス−空気界面で反射光が全反射を起こすことで再度発電セルへ戻すことができるためである。以上より前記平均光線反射率を95%より大きくすることに加え、反射光における42度以上80度以下の範囲における反射光強度との積が33%以上となると太陽電池モジュールの出力向上効果が発現する。好ましい範囲としては34.5%以上であり、更に好ましい範囲としては35.0%以上である。上記平均光線反射率と42度以上80度以下の範囲における反射光強度との積が33%未満である場合、平均光線反射率が前記95%を超えていても出力向上の効果は不十分なものとなる。
平均光線反射率と42度以上80度以下の範囲における反射光強度との積で表される光散乱度の値を33%以上にする方法としては、P2層に光散乱性の粒子を添加する方法が挙げられる。具体的な現象としては、(1)P1層から来る正面方向の反射光を光散乱現象により曲げるプロセス、(2)P2層正面から入射する光をP2層の光散乱現象で曲げ、P1層への入射光自体を曲げるプロセス、(3)P2層に入射した光を光散乱で曲げそのまま角度を持った反射光に変換するプロセスの3つが複合的に起きることで、太陽電池バックシート積層体P2層側の反射光に42度以上80度以下の角度を持たせることができる。ここで42度以上80度以下の角度を持たせるためのP2層厚みとP2層中の粒子濃度に関しては、前記(P2層)の項に記載の通りであり、P2層の層厚みと粒子濃度を一定範囲に制御することで達成できる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体は、ポリエステル樹脂を主成分とし反射層の役割を担うP1層と光散乱機能を持つP2層の2つを有する構成である。P1層とP2層は直接接触している(P1層/P2層)構成でも、他の層(P3層やP4層)を介して接触する(P1層/P3層/P2層、P4層/P1層/P4層/P2層、P4層/P1層/P4層/P3層/P2層)構成でも構わない。
前記P3層としては水蒸気バリア性、ガスバリア性、P1層、P2層との易接着性などの他の機能を持つ層を設けることができる。またP1層これらの層を設ける方法としては、P1層と積層する材料をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、ドライラミネート用接着剤にて形成される接着層を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、積層する材料の形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたP1層上に塗布する方法(コーティング法)、硬化性材料をP1層上に塗布した後に電磁波照射、加熱処理などで硬化させる方法、積層する材料をP1層上に蒸着/スパッタする方法、およびこれらを組み合わせた方法などを使用することができる。
また、本発明の太陽電池バックシート用積層体は少なくとも一方の表層がP2層である。P2層が表層にあることでP2層での光散乱の効果が他の層の影響により抑制されることが無く、出力向上の効果を最大限得ることができる。また、P1層の両側にP4層を有する構成(P4層/P1層/P4層)であり片側のP4層の層厚みが1μm以上11μm以下である場合、層厚みが1μm以上11μm以下であるP4層がP2層に近く配される構成が好ましい。P2層との密着性を最大限に発揮することができる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体の総厚みは、50μm以上550μm以下が好ましく、より好ましくは60μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは80μm以上400μm以下であり、最も好ましくは100μm以上270μm以下である。本発明の積層体の厚みが50μm未満の場合、太陽電池モジュールに組み込むための封止材と貼り合わせ加工時にシワが発生することがある。一方で厚みが550μmより厚いと巻取り性が悪化する場合がある。
本発明の太陽電池バックシート用積層体において、後述する測定方法により求められる太陽電池バックシート用積層体のカール高さが10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。太陽電池バックシート用積層体のカール高さを10mm以下とすることで、カールによって発生する位置ずれやセル割れの発生率が減少し、太陽電池の生産性を向上することが可能となる。
(太陽電池バックシート)
本発明の太陽電池バックシート用積層体は、少なくとも1層以上の電気絶縁性、耐湿熱性、耐紫外線性、水蒸バリア性、ガスバリア性、耐砂塵性などの機能を付与できる機能層を持ち併せてもよい。
本発明の太陽電池バックシート用積層体は、少なくとも1層以上の電気絶縁性、耐湿熱性、耐紫外線性、水蒸バリア性、ガスバリア性、耐砂塵性などの機能を付与できる機能層を持ち併せてもよい。
前記機能層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート共重合体のうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層であると密着性が良好となるため好ましい。特に、本発明の太陽電池バックシート用積層体において、前記P2層が封止材との密着性が不十分である場合、P2層と封止材の間に易接着性を有する機能層を配することで、封止材との良好な密着力を付与することが可能となる。
また、前記機能層は、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化ポリプロピレン共重合体(FEP)のうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層であると、バックシートの耐候性を良好にすることが可能となるため好ましい。特に、前記機能層が、本発明の積層体の空気側面に積層されると紫外線による劣化を抑制できるため好ましい。耐候性の観点から、前記機能層は、PVF、PVDFのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
PVF、PVDF、ETFE、FEPのうちの少なくとも1つ、あるいは複数の組み合わせを含む層を機能層とする場合、機能層の厚みは10μm以上、125μm以下であることが好ましく、10μm以上75μm以下であることがより好ましい。当該層の厚みを10μm以上とすることで耐紫外線性が向上し、125μm以下とすることで太陽電池バックシートの加工性が向上する。
前記機能層を積層する方法は、特に限られるものではないが、直接積層する方法や、本発明の効果を阻害しない範囲で、接着剤などを介して積層する方法が挙げられる。
本発明に係る積層体は光反射特性と光散乱性に優れるため、太陽電池バックシートとして用いることで太陽電池モジュールの出力を向上させる効果を示す。太陽電池バックシートとして積層体を用いる場合、P1層よりもP2層が太陽電池モジュールの発電素子側に配するように用いることが好ましい。これは太陽電池の発電セルに直接入射しなかった太陽光を本発明の太陽電池バックシート用積層体により反射、光散乱させるために、反射層に相当するP1層と発電セルの間に光散乱を促すP2層を配した方が光散乱の効果を多く得ることができるためである。
(太陽電池バックシートの製造方法)
次に、本発明の太陽電池バックシート用積層体の製造方法について例を挙げて説明する。これは一例であり、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
次に、本発明の太陽電池バックシート用積層体の製造方法について例を挙げて説明する。これは一例であり、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明におけるポリエステル樹脂は、前述の重合触媒を用いることで、ジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体とジオールを前述のエステル交換触媒を用いた周知の方法でエステル交換反応、もしくはエステル化反応させることによって得ることができる。
太陽電池バックシート用積層体の製造方法として、光反射層であるP1層単膜構成の場合、P1層用原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、P1層用の原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)なども使用することができる。
また、光反射層であるP1層の両側にP4層を有する積層構成である場合(P4層/P1層/P4層構成などの場合)で積層する各層の材料がポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂を主たる構成とする場合、複数の異なる熱可塑性樹脂を複数の押出機に投入し溶融してから合流させて、口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)を好ましく用いることができる。
また、単膜構成または複数の層からなる積層体として一軸もしくは、二軸延伸されたシート基材を選択した場合、その製造方法として、まず、押出機(積層構造の場合は複数台の押出機)に原料を投入し、溶融して口金から押出し(積層構造の場合は共押出)し、冷却した表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
次に、この未延伸シートを70℃以上に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に延伸し、20〜50℃の温度のロール群で冷却する。長手方向の延伸における加熱ロール温度の下限についてはシートの延伸性を損なわない限り特に制限はないが、使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度+5℃が好ましい。また、本発明の太陽電池バックシート長手方向の延伸倍率の好ましい範囲は2.5倍〜5倍である。より好ましい範囲としては3.0倍〜3.5倍である。長手方向の延伸倍率が2.5倍以下であると、配向結晶化が進行せずP1層の耐湿熱性が著しく低下する。一方で、延伸倍率が4.5倍を超える場合、延伸に伴うポリエステル樹脂の配向結晶化が進行しシートの結晶化度が上がり耐久性が低下する。また、P1層が空洞を含有する構成の場合、空洞核剤によって生じる空洞が大きくなり反射率が向上する反面シートの耐久性が低下する。
続いて、シートの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜5倍に延伸する。その後延伸されたシートはテンター内で熱処理を行い内部の配向構造の安定化を行う。ここで熱処理温度としては200〜250℃の範囲で行うことが好ましい。熱処理を行うことで配向結晶化したポリエステル樹脂の配向を緩和することができ、シートを再度加熱した際の熱収縮による寸法変化を小さくすることができる。このような寸法変化が大きい場合、本発明の積層体を太陽電池バックシートとして熱圧着工程により太陽電池モジュール内に組み込む際にシートが収縮することで太陽電池モジュールにそりが発生したり、発電セルに付属する配線を収縮時に折り曲げて突起を形成しシート自体が破れることに繋がったりするため小さくすることが好ましい。この効果は前述の範囲において温度が高いほうがより大きくなる。一方250℃以上にした場合、配向結晶化の緩和が大きくなることで、配向結晶化により保たれていたシートの耐久性が著しく低下する場合があるため好ましくない。また200℃未満の温度で熱処理を行った場合、上述の効果が得られず太陽電池モジュール組み込み時に前述のような不具合が発生する場合がある。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜15倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸シートの耐久性が不十分となり、面積倍率が15倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
二軸延伸する方法としては、上述の様に長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
二軸延伸を施したP1層に対しP2層を構成する樹脂と粒子を前述のオフラインコーティング法により塗布し乾燥することで本発明の太陽電池バックシート用積層体を得る。本発明の太陽電池バックシート用積層体における光反射性はP1層の空隙、光散乱性はP2層中に添加される粒子処方により決定される。
(太陽電池モジュール)
次に、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。本発明の太陽電池モジュールは、前記の太陽電池バックシート用積層体をそのまま搭載する。もしくは前記の太陽電池バックシート用積層体よりなる太陽電池バックシートを搭載することを特徴とする。
次に、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。本発明の太陽電池モジュールは、前記の太陽電池バックシート用積層体をそのまま搭載する。もしくは前記の太陽電池バックシート用積層体よりなる太陽電池バックシートを搭載することを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールの構成例を図1に示す。電気を取り出すリード線(図1には示していない)を接続した発電素子をEVA樹脂などの透明な封止材2で封止したものに、ガラスなどの透明基板4と太陽電池バックシート1を貼り合わせて構成されるが、これに限定されず任意の構成を用いることができる。
ここで、本発明の太陽電池用モジュールにおいて、太陽電池バックシート1は発電素子を封止した封止材2の背面に設置される発電セルを保護する役目を担う。ここで太陽電池バックシートはP1層よりもP2層が封止材側に来るように配することが太陽電池の出力を高める点で好ましい。この構成とすることによって、本発明の積層体の優れた出力向上効果を有する太陽電池モジュールとすることができる。
発電素子3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、結晶シリコン系、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、銅インジウムセレナイド系、化合物半導体系、色素増感系など、目的に応じて任意の素子を、所望する電圧あるいは電流に応じて複数個を直列または並列に接続して使用することができる。透光性を有する透明基板4は太陽電池の最表層に位置するため、高透過率のほかに、高耐候性、高耐汚染性、高機械強度特性を有する透明材料が使用される。本発明の太陽電池において、透光性を有する透明基板4は上記特性を満たせばいずれの材質を用いることができ、その例としてはガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく挙げられる。ガラスの場合、強化されているものを用いるのがより好ましい。また樹脂製の透光基材を用いる場合は、機械的強度の観点から、上記樹脂を一軸または二軸に延伸したものも好ましく用いられる。また、これら基材には発電素子の封止材料であるEVA樹脂などとの接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
発電素子を封止するための封止材2は、発電素子の表面の凹凸を樹脂で被覆し固定し、外部環境から発電素子を保護し、電気絶縁する目的の他、透光性を有する基材やバックシートが発電素子に接着するため、高透明性、高耐候性、高接着性、高耐熱性を有する材料が使用される。その例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
以上のように、本発明の太陽電池バックシート用積層体を太陽電池バックシートとして太陽電池に搭載することにより、従来の太陽電池と比べて長期間屋外に置かれた場合でも太陽電池バックシートとの密着性が保持され、更には発電効率を高めることが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
〔特性の測定方法および評価方法〕
(1)ポリマー特性
(1−1)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール100mLに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又は太陽電池バックシート用積層体のP1、P4層全層もしくはP1層、P4層のみを分離したもの)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/100mL)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(iii)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
(1)ポリマー特性
(1−1)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール100mLに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又は太陽電池バックシート用積層体のP1、P4層全層もしくはP1層、P4層のみを分離したもの)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/100mL)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(iii)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C ・・・式(iii)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
(a)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2g/100mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
(b)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
(c)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/100mL))。
(d)(c)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(iii)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とする。
(1−2)末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する。)
末端カルボキシル基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))。
末端カルボキシル基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))。
測定試料(ポリエステル樹脂(原料)または太陽電池バックシート用積層体のP1層のみを分離したもの)2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル1tの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して不溶物の重量測定を行い、不溶物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を実施した。
(1−3)リン量、アルカリ金属元素を除く金属元素量の定量測定方法
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて元素量を測定した。
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて元素量を測定した。
凍結粉砕した試料8gを、JIS K0119の記載に準じて分析試料とした。試料中の各元素の含有量の定量は、JIS K0119(1999)10.1d)の記載に準じて行った。
(1−4)アルカリ金属量の定量測定方法
試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を、体積が50mLになるように0.1Nの塩酸に溶かし、溶液Aを得た。溶液Aに不溶物が無い場合は、これを測定試料として用いた。
試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を、体積が50mLになるように0.1Nの塩酸に溶かし、溶液Aを得た。溶液Aに不溶物が無い場合は、これを測定試料として用いた。
一方、溶液Aに不溶物がある場合は、以下の方法によって、測定試料を得た。新たに試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を6.5Nの硝酸5mLに溶かし、溶液Bを得た。溶液Bを加熱し、硝酸を蒸発せしめ、残渣を得た。当残渣を、体積が50mLになるように0.1Nの塩酸に溶かし、溶液Bを得た。当該溶液Bを測定試料として用いた。
上記の測定試料を用いて、原子吸光分析法(曰立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。定量は、JIS K0121(1999)9.1a)の記載に準じて行った。
(2)平均粒子径測定
ミクロトームを用いて、本発明の太陽電池バックシート用積層体の表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)を用いて10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層とP4層全層、およびP2層中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した200個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準平均粒子径を得た。下記粒子の構成元素分析により2種類以上の粒子が含有される場合には、各粒子に関して200個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準円相当径の平均値より平均粒子径を求めた。
ミクロトームを用いて、本発明の太陽電池バックシート用積層体の表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)を用いて10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層とP4層全層、およびP2層中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した200個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準平均粒子径を得た。下記粒子の構成元素分析により2種類以上の粒子が含有される場合には、各粒子に関して200個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準円相当径の平均値より平均粒子径を求めた。
(3)空隙率
前記(2)と同様の方法にて、本発明の太陽電池バックシート用積層体をミクロトームにより切削、電界放射走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察は、太陽電池バックシート用積層体サンプル中から任意の異なる箇所を計5箇所選択し、フィルムの長手方向、及び幅方向に断面を切断した計10箇所について行う。太陽電池バックシート用積層体のP1層、P2層、P4層全体が観察できる最大倍率にて撮影する。次いで、それぞれの空洞部分のみ透明なフィルム上に黒マジックにてトレースし、空洞部分を2値化した画像を作製する。作成した画像を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて行い、存在する各空洞部分の断面積を算出する。
前記(2)と同様の方法にて、本発明の太陽電池バックシート用積層体をミクロトームにより切削、電界放射走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察は、太陽電池バックシート用積層体サンプル中から任意の異なる箇所を計5箇所選択し、フィルムの長手方向、及び幅方向に断面を切断した計10箇所について行う。太陽電池バックシート用積層体のP1層、P2層、P4層全体が観察できる最大倍率にて撮影する。次いで、それぞれの空洞部分のみ透明なフィルム上に黒マジックにてトレースし、空洞部分を2値化した画像を作製する。作成した画像を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて行い、存在する各空洞部分の断面積を算出する。
(3−1)P1層の空隙率
前項(3)記載の方法によりP1層全体についての断面観察を行い、断面積が0.2μm2以上となる「空洞」部分について、下記式(iv)を用いて観察断面におけるP1層の空隙率を求め、観察を行う10箇所の平均値を本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層における空隙率として求めた。
前項(3)記載の方法によりP1層全体についての断面観察を行い、断面積が0.2μm2以上となる「空洞」部分について、下記式(iv)を用いて観察断面におけるP1層の空隙率を求め、観察を行う10箇所の平均値を本発明の太陽電池バックシート用積層体のP1層における空隙率として求めた。
(P1層の空隙率)=(断面積が0.2μm2以上の「空洞」部分総の面積)/(観察したP1層の断面積)・・・式(iv)
(3−2)P4層の空隙率
前項(3−1)に記載の方法によりP4層全体についての断面観察を行い、P4層の空隙率を求める。
(3−2)P4層の空隙率
前項(3−1)に記載の方法によりP4層全体についての断面観察を行い、P4層の空隙率を求める。
(3−3)P2層の空隙率
前項(3−1)に記載の方法によりP2層全体についての断面観察を行い、P2層の空隙率を求める。
前項(3−1)に記載の方法によりP2層全体についての断面観察を行い、P2層の空隙率を求める。
(3−4)P2層のマイクロボイド率
取り扱う範囲を断面積が0.1μm2以上0.2μm2未満となる「マイクロボイド」部分について行う以外は前項(3−1)に記載の方法に従い、式(v)を用いてP2層のマイクロボイド率を求めた。
取り扱う範囲を断面積が0.1μm2以上0.2μm2未満となる「マイクロボイド」部分について行う以外は前項(3−1)に記載の方法に従い、式(v)を用いてP2層のマイクロボイド率を求めた。
(P2層のマイクロボイド率)=(断面積が0.2μm2未満の「空洞」部分総の面積)/(観察したP2層の断面積)・・・式(v)
(4)粒子の構成元素分析
前項(3)記載の方法による電界放射走査型電子顕微鏡観察において、観測された粒子に対し元素分析としてJED−2300F(日本電子(株)製、半導体検出器、ドライSDエクストラ)を用いたエネルギー分散型X線分析(EDS)、および必要に応じて元素状態分析として電界放出型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子(株)製、加速電圧200kV)を用いてGATAN GIF“Tridiem”を用いたEELS分析を行い粒子の構成元素を特定し、得られたEELSスペクトルと市販の金属化合物のEELSスペクトルもしくは一般に公開されているEELSスペクトルデータと照会を行うことで、P1層およびP2層内に含有された粒子の構成を同定した。
(4)粒子の構成元素分析
前項(3)記載の方法による電界放射走査型電子顕微鏡観察において、観測された粒子に対し元素分析としてJED−2300F(日本電子(株)製、半導体検出器、ドライSDエクストラ)を用いたエネルギー分散型X線分析(EDS)、および必要に応じて元素状態分析として電界放出型透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子(株)製、加速電圧200kV)を用いてGATAN GIF“Tridiem”を用いたEELS分析を行い粒子の構成元素を特定し、得られたEELSスペクトルと市販の金属化合物のEELSスペクトルもしくは一般に公開されているEELSスペクトルデータと照会を行うことで、P1層およびP2層内に含有された粒子の構成を同定した。
一方、無機元素がほとんど検出されないもしくは前記の同定が困難であった場合、有機粒子の含有が示唆されるため上記分析に加え、P2層の表面について、X線光電子分光分析装置(ESCA)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)ATR法、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)、またはP2層を溶剤にて溶解抽出し、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)、フッ素核磁気共鳴分光法(19F−NMR)、ケイ素核磁気共鳴分光法(29Si−NMR)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)により構造を解析することで有機粒子を同定する。
(5)厚み測定
前記(2)と同様の方法にて、本発明の太陽電池バックシート用積層体をミクロトームにより切削、電界放射走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察は、太陽電池バックシート用積層体サンプル中から任意の異なる箇所を計5箇所選択し、フィルムの長手方向、及び幅方向に断面を切断した計10箇所について行う。観察倍率は、太陽電池バックシート用積層体のP1層、P2層、P3層、P4層それぞれについて、全体が観察できる最大倍率にて撮影する。10箇所の断面観察を目的とする層に関して厚みを測定し、それらの平均値をその層の層厚みとした。
前記(2)と同様の方法にて、本発明の太陽電池バックシート用積層体をミクロトームにより切削、電界放射走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察は、太陽電池バックシート用積層体サンプル中から任意の異なる箇所を計5箇所選択し、フィルムの長手方向、及び幅方向に断面を切断した計10箇所について行う。観察倍率は、太陽電池バックシート用積層体のP1層、P2層、P3層、P4層それぞれについて、全体が観察できる最大倍率にて撮影する。10箇所の断面観察を目的とする層に関して厚みを測定し、それらの平均値をその層の層厚みとした。
(6)太陽電池バックシート用積層体の平均光線反射率
5cm×5cmで切り出した本発明の太陽電池バックシート用積層体を分光光度計(U−4100 Spectrophotometer、(株)日立ハイテクノロジーズ 製)に付属の積分球を用いた基本構成で光線反射率測定を行った。本測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルのロール巻出し方向を上下方向にして積分球の後ろに設置した。透過率測定では、サンプルのロール巻出し方向を上下方向にして積分球の前に設置した。サンプルの表裏P1層よりもP2層が光源側に来るように設置した。測定条件として、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分(可視)/750nm/分(赤外)で測定した。得られたスペクトルデータより波長400nm以上1200nmにおける各波長の光線反射率の平均値をそれぞれ算出し、太陽電池バックシート用積層体の持つ平均光線反射率とした。
5cm×5cmで切り出した本発明の太陽電池バックシート用積層体を分光光度計(U−4100 Spectrophotometer、(株)日立ハイテクノロジーズ 製)に付属の積分球を用いた基本構成で光線反射率測定を行った。本測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルのロール巻出し方向を上下方向にして積分球の後ろに設置した。透過率測定では、サンプルのロール巻出し方向を上下方向にして積分球の前に設置した。サンプルの表裏P1層よりもP2層が光源側に来るように設置した。測定条件として、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分(可視)/750nm/分(赤外)で測定した。得られたスペクトルデータより波長400nm以上1200nmにおける各波長の光線反射率の平均値をそれぞれ算出し、太陽電池バックシート用積層体の持つ平均光線反射率とした。
(7)光散乱度評価(ゴニオフォトメーター測定)
6cm×6cmで切り出した本発明の太陽電池バックシート用積層体のサンプルを、自動変角光度計(ゴニオフォトメーター GP200(株)村上色彩技術研究所 製)を用いて、受光器の角度を変えながら反射光強度を測定することで、光散乱性能を評価した。
6cm×6cmで切り出した本発明の太陽電池バックシート用積層体のサンプルを、自動変角光度計(ゴニオフォトメーター GP200(株)村上色彩技術研究所 製)を用いて、受光器の角度を変えながら反射光強度を測定することで、光散乱性能を評価した。
本ゴニオフォトメーター測定では、サンプルのロール巻出し方向を上下方向にしてサンプルフォルダーに設置した。入射光については光源ユニット部に光量10%透過フィルター(ND10)を、受光器には視感度フィルター(波長範囲:390nm〜730nm)を設置、サンプルフォルダーは投光角度を0°に設定(光源からの入射光とサンプルフォルダーが垂直になる)し、受光器の受光角を−45°〜+90°の範囲で変化させ測定した。サンプルの表裏は、P1層よりもP2層が光源側に来るように配置した。
(7−1)42°以上80°以下の範囲の反射光強度割合
前記(7)の手法により得られた−45°〜+90°の各角度での散乱光強度から下記式(vi)を用いて「42°〜80°の反射光強度割合(%)」を求めた。
前記(7)の手法により得られた−45°〜+90°の各角度での散乱光強度から下記式(vi)を用いて「42°〜80°の反射光強度割合(%)」を求めた。
(42°〜80°の反射光強度割合)=(+42°〜+80°の反射光強度)/(+10°〜+90°の反射光強度)×100・・・式(vi)
(7−2)光散乱度
前項(6)で求まる太陽電池バックシート用積層体の平均光線反射率、および前項(7−1)で求まる42°〜80°の反射光強度割合から、式(vii)を用いて光散乱度を算出した。
(7−2)光散乱度
前項(6)で求まる太陽電池バックシート用積層体の平均光線反射率、および前項(7−1)で求まる42°〜80°の反射光強度割合から、式(vii)を用いて光散乱度を算出した。
(光散乱度)=(平均光線反射率)×(42°〜80°の反射光強度割合)×100・・・式(vii)
(8)熱伝導率評価
本発明の太陽電池バックシート用積層体の熱伝導率評価として、ATSM E 1530に基づき試験を行った。下部ヒーターを30℃、上部ヒーターを80℃に設定とし、n=3で測定し、その平均値を熱伝導率とした。
(8)熱伝導率評価
本発明の太陽電池バックシート用積層体の熱伝導率評価として、ATSM E 1530に基づき試験を行った。下部ヒーターを30℃、上部ヒーターを80℃に設定とし、n=3で測定し、その平均値を熱伝導率とした。
(9)太陽電池バックシート用積層体の初期密着力
本発明の太陽電池バックシート用積層体に、後述の積層用接着剤をワイヤーバー(12番)にて塗布し接着剤層を設け、その上に透明フィルムとして125X10S(東レ(株)製ポリエステルフィルム「ルミラー」(登録商標))をラミネータ(ラミネート温度:40℃、ラミネート速度:2m/分)にて貼り合わる。透明フィルム張り合わせ品は40℃の恒温槽に入れ3日間エイジングを行う。
本発明の太陽電池バックシート用積層体に、後述の積層用接着剤をワイヤーバー(12番)にて塗布し接着剤層を設け、その上に透明フィルムとして125X10S(東レ(株)製ポリエステルフィルム「ルミラー」(登録商標))をラミネータ(ラミネート温度:40℃、ラミネート速度:2m/分)にて貼り合わる。透明フィルム張り合わせ品は40℃の恒温槽に入れ3日間エイジングを行う。
積層用接着剤としてはDIC(株)製ドライラミネート剤“ディックドライ”(登録商標)TAF−300を36質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系樹脂を主成分とするDIC(株)製TAFハードナーAH−3を3質量部、および酢酸エチルを30質量部量りとり、15分間攪拌した固形分濃度30質量%の塗剤を用いた。
貼り合わせたサンプルは、太陽電池バックシート積層体のロール巻きだし方向を長手として15mm幅×150mm幅に切り出す。本発明の太陽電池バックシート用積層体を厚み1mmの板上に固定し、接着強度測定機 RTG−1210((株)エー・アンド・デイ 製)を用いてX10Sと太陽電池バックシート用積層体に対して180度剥離試験(引っ張り速度300mm/min、測定回数n=5)を実施し、5回測定の平均値を太陽電池バックシート用積層体の初期密着力を測定した。
初期密着力が12N/15mm以上:A
初期密着力が11N/15mm以上12N/15mm未満:B
初期密着力が10N/15mm以上11N/15mm未満:C
初期密着力が9N/15mm以上10N/15mm未満:D
初期密着力が9N/15mm未満:E
太陽電池バックシート用積層体の初期密着力としてはA〜Dが良好であり、その中で最もAが優れている。
初期密着力が11N/15mm以上12N/15mm未満:B
初期密着力が10N/15mm以上11N/15mm未満:C
初期密着力が9N/15mm以上10N/15mm未満:D
初期密着力が9N/15mm未満:E
太陽電池バックシート用積層体の初期密着力としてはA〜Dが良好であり、その中で最もAが優れている。
(10)耐湿熱性評価(湿熱処理後の密着力)
本発明の太陽電池バックシート用積層体を、高度加速寿命試験装置プレッシャークッカー(エスペック(株)製)にて、温度120℃、相対湿度100%RHの条件下にて24時間処理を行い、その後前項(9)に記載の方法で透明フィルムと張り合わせ、密着性評価を行うことで、本発明の太陽電池バックシート用積層体の湿熱処理後の密着力を測定した。 得られた湿熱試験後の密着力から、耐湿熱性を以下のように判定した。
本発明の太陽電池バックシート用積層体を、高度加速寿命試験装置プレッシャークッカー(エスペック(株)製)にて、温度120℃、相対湿度100%RHの条件下にて24時間処理を行い、その後前項(9)に記載の方法で透明フィルムと張り合わせ、密着性評価を行うことで、本発明の太陽電池バックシート用積層体の湿熱処理後の密着力を測定した。 得られた湿熱試験後の密着力から、耐湿熱性を以下のように判定した。
湿熱処理後の密着力が7N/15mm以上:A
湿熱処理後の密着力が6N/15mm以上7N/15mm未満:B
湿熱処理後の密着力が5N/15mm以上6N/15mm未満:C
湿熱処理後の密着力が5N/15mm未満:D
太陽電池バックシート用積層体の湿熱処理後の密着力としてはA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
湿熱処理後の密着力が6N/15mm以上7N/15mm未満:B
湿熱処理後の密着力が5N/15mm以上6N/15mm未満:C
湿熱処理後の密着力が5N/15mm未満:D
太陽電池バックシート用積層体の湿熱処理後の密着力としてはA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(11)耐紫外線性評価(紫外線処理後の密着力)
本発明の太陽電池バックシート用積層体を、アイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50R%、照度150mW/cm2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で48時間照射した。紫外線照射面としてはP1層がP2層よりランプ側に来るようにがその後前項(9)に記載の方法で透明フィルムと張り合わせ、密着性評価を行うことで、本発明の太陽電池バックシート用積層体の紫外線処理後の密着力を測定した。得られた紫外線処理後の密着力から、耐紫外線性を以下のように判定した。
本発明の太陽電池バックシート用積層体を、アイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50R%、照度150mW/cm2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で48時間照射した。紫外線照射面としてはP1層がP2層よりランプ側に来るようにがその後前項(9)に記載の方法で透明フィルムと張り合わせ、密着性評価を行うことで、本発明の太陽電池バックシート用積層体の紫外線処理後の密着力を測定した。得られた紫外線処理後の密着力から、耐紫外線性を以下のように判定した。
紫外線処理後の密着力が7N/15mm以上:A
紫外線処理後の密着力が6N/15mm以上7N/15mm未満:B
紫外線処理後の密着力が5N/15mm以上6N/15mm未満:C
紫外線処理後の密着力が5N/15mm未満:D
太陽電池バックシート用積層体の湿熱処理後の密着力としてはA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
紫外線処理後の密着力が6N/15mm以上7N/15mm未満:B
紫外線処理後の密着力が5N/15mm以上6N/15mm未満:C
紫外線処理後の密着力が5N/15mm未満:D
太陽電池バックシート用積層体の湿熱処理後の密着力としてはA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(12)カール高さ評価
太陽電池バックシート用積層体の評価として以下の手順でカール高さ(カール性)の評価を行った。
太陽電池バックシート用積層体の評価として以下の手順でカール高さ(カール性)の評価を行った。
外径84.2mmの紙管に、200mm×200mmにカットした太陽電池バックシート用積層体を巻いて固定し、40℃50%RHにおいて1週間保管し、得られた太陽電池バックシート用積層体を紙管から外しカール高さ評価用シートを得る。
得られたカール高さ評価用シートを、25℃の環境下で、平らな板の上に、カール高さ評価用シートの中央部が板に接触する向きに置く。
カール高さ評価用シートの4箇所の角の板からの距離(カール高さ)をノギスで測定する。
前記得られた4箇所のカール高さの平均値を取り、得られたカール高さの平均値からカール高さ評価は以下のように判定した。
カール高さの平均値が5mm未満:A
カール高さの平均値が5mm以上、10mm未満:B
カール高さの平均値が10mm以上:C
カール高さはA、Bが良好で有り、その中で最もAが優れている。
カール高さの平均値が5mm以上、10mm未満:B
カール高さの平均値が10mm以上:C
カール高さはA、Bが良好で有り、その中で最もAが優れている。
(13)水蒸気バリア性評価
太陽電池バックシートの水蒸気バリア性の評価として、JIS K7129(2008)の赤外線センサ法に準じて、測定面積50cm2、40℃90%RH環境下における水蒸気透過率を測定した。得られた値から、水蒸気バリア性は以下のように判定した。
太陽電池バックシートの水蒸気バリア性の評価として、JIS K7129(2008)の赤外線センサ法に準じて、測定面積50cm2、40℃90%RH環境下における水蒸気透過率を測定した。得られた値から、水蒸気バリア性は以下のように判定した。
水蒸気透過率が2.0g/m2/day以下:A
水蒸気透過率が2.0g/m2/dayより大きく、6.0g/m2/day以下:B
水蒸気透過率が6.0g/m2/dayより大きく、10.0g/m2/day以下:C
水蒸気透過率が10.0g/m2/dayより大きい:D
水蒸気バリア性はA〜Cが良好で有り、その中で最もAが優れている。
水蒸気透過率が2.0g/m2/dayより大きく、6.0g/m2/day以下:B
水蒸気透過率が6.0g/m2/dayより大きく、10.0g/m2/day以下:C
水蒸気透過率が10.0g/m2/dayより大きい:D
水蒸気バリア性はA〜Cが良好で有り、その中で最もAが優れている。
(14)ロール巻取り性
本発明の太陽電池バックシート用積層体の生産時のロール巻取り性を以下のように評価した。
本発明の太陽電池バックシート用積層体の生産時のロール巻取り性を以下のように評価した。
2000m以上を巻取ることが可能:A
1000m以上2000m未満を巻取ることが可能:B
500m以上2000m未満を巻取ることが可能:C
500m未満で巻取りが不可能になる:D
太陽電池バックシート用積層体のロール巻取り性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
1000m以上2000m未満を巻取ることが可能:B
500m以上2000m未満を巻取ることが可能:C
500m未満で巻取りが不可能になる:D
太陽電池バックシート用積層体のロール巻取り性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(15)太陽電池モジュール評価
(15−1)モジュール化による出力向上効果
多結晶シリコン型太陽電池素子「Tainergy社製T1M17203L」の表面と裏面の銀電極部分に、フラックス「HOZAN社製H722」をディスペンサーで塗布し、表面と裏面の銀電極の上に、155mmの長さに切断した配線材「日立電線社製銅箔SSA−SPS0.2×1.5(20)」を、表面側の太陽電池素子の片端から10mm離れたところが配線材の端に、そして裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いて、太陽電池素子裏面側から半田ごてを接触させて表面と裏面を同時に半田溶着し、1セルストリングスを作製した。
(15−1)モジュール化による出力向上効果
多結晶シリコン型太陽電池素子「Tainergy社製T1M17203L」の表面と裏面の銀電極部分に、フラックス「HOZAN社製H722」をディスペンサーで塗布し、表面と裏面の銀電極の上に、155mmの長さに切断した配線材「日立電線社製銅箔SSA−SPS0.2×1.5(20)」を、表面側の太陽電池素子の片端から10mm離れたところが配線材の端に、そして裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いて、太陽電池素子裏面側から半田ごてを接触させて表面と裏面を同時に半田溶着し、1セルストリングスを作製した。
次に、作製した1セルストリングスのセルから飛び出している前記の配線材の長手方向と、180mmに切断した取り出し電極「日立電線社製銅箔A−SPS0.23×6.0」の長手方向が垂直になるよう置き、前記の配線材と取り出し電極が重なる部分に前記のフラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。この時点において、JIS C8914:2005の基準状態に準じて短絡電流の測定を実施し、発電素子単体の発電性能とした。
次に、カバー材として190mm×190mmのガラス(旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス)と、表側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)と、発電素子単体の発電性能評価を実施した取り出し電極付きストリングスと、裏側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)と、光散乱層がエチレンビニルアセテートと反射層の間に位置する向きになるよう設置された、190mm×190mmに裁断した本発明の太陽電池バックシート用積層体もしくは太陽電池バックシートの順に積層し、該ガラスを真空ラミネータの熱板と接触するようにセットし、熱板温度145℃、真空引き4分、プレス1分および保持時間10分の条件で、真空ラミネートを行い太陽電池モジュールを得た。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面が太陽電池素子の表面側になるようにセットした。得られた太陽電池モジュールを、JIS C8914:2005の基準状態に準じて測定した短絡電流の測定を実施し、モジュール化後の発電性能とした。
このようにして得られたセル単体の発電性能とモジュール化後の発電性能から、次の式(viii)に従い、太陽電池モジュールの出力向上効果(%)を算出した。
発電性能向上率(%)=((モジュール化後の発電性能/セル単体の発電性能)−1)×100・・・式(viii)
得られた発電性能向上率(%)から、出力向上効果を以下のように判定した。
得られた発電性能向上率(%)から、出力向上効果を以下のように判定した。
発電向上率が5.8%以上の場合:A
発電向上率が5.6%以上、5.8%未満の場合:B
発電向上率が5.5%以上、5.6%未満の場合:C
発電向上率が5.5%未満の場合:D
太陽電池の出力向上性はA〜Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
発電向上率が5.6%以上、5.8%未満の場合:B
発電向上率が5.5%以上、5.6%未満の場合:C
発電向上率が5.5%未満の場合:D
太陽電池の出力向上性はA〜Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(P1層、P4層に用いるポリエステル系樹脂原料)
1.PET原料1
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マンガン4水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、末端カルボキシル基量が15当量/トンのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.82、末端カルボキシル基量が10当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−1)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
1.PET原料1
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マンガン4水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、末端カルボキシル基量が15当量/トンのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.82、末端カルボキシル基量が10当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−1)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
2.PET原料2
重合反応の最終到達温度300℃とした以外はPET原料1と同様に行い、固有粘度0.80、末端カルボキシル基量が28当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−2)を得た。
重合反応の最終到達温度300℃とした以外はPET原料1と同様に行い、固有粘度0.80、末端カルボキシル基量が28当量/トンのポリエチレンテレフタレート(PET−2)を得た。
3.空洞核剤マスターペレット1
上記1項によって得られたPET原料1(PET−1)42質量部と、ポリプラスチックス株式会社製シクロオレフィンコポリマー(COC)“TOPAS”(登録商標)6018(COC−A;ビカット軟化点=188℃)、40質量部、東レデュポン株式会社製ポリエステル系エラストマー(TPE)“ハイトレル”(登録商標)7247(TPE−A
) 18質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、空洞核剤マスターペレット1(COC−1)を作製した。
上記1項によって得られたPET原料1(PET−1)42質量部と、ポリプラスチックス株式会社製シクロオレフィンコポリマー(COC)“TOPAS”(登録商標)6018(COC−A;ビカット軟化点=188℃)、40質量部、東レデュポン株式会社製ポリエステル系エラストマー(TPE)“ハイトレル”(登録商標)7247(TPE−A
) 18質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、空洞核剤マスターペレット1(COC−1)を作製した。
4.空洞核剤マスターペレット2
分散剤としてポリエステル系エラストマー(TPE)中のポリブチレンテレフタレート含有比を高くした(TPE−B)を用いる以外は3.と同様の操作にて空洞核剤マスターペレット2(COC−2)を作製した。
分散剤としてポリエステル系エラストマー(TPE)中のポリブチレンテレフタレート含有比を高くした(TPE−B)を用いる以外は3.と同様の操作にて空洞核剤マスターペレット2(COC−2)を作製した。
5.空洞核剤マスターペレット3
分散剤としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる以外は3と同様の操作にて空洞核剤マスターペレット3(COC−3)を作製した。
分散剤としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる以外は3と同様の操作にて空洞核剤マスターペレット3(COC−3)を作製した。
6.シリカ粒子マスターペレット1
上記1項によって得られたPET樹脂1(PET−1)94質量部と、平均粒子径2μmのシリカ粒子(SiO2)6質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、シリカ粒子マスターペレット1(SiO2−1)を作製した。
上記1項によって得られたPET樹脂1(PET−1)94質量部と、平均粒子径2μmのシリカ粒子(SiO2)6質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、シリカ粒子マスターペレット1(SiO2−1)を作製した。
7.酸化チタンマスターペレット1
上記1項によって得られたPET樹脂1(PET−1)50質量部と、平均粒子径200nmのルチル型酸化チタン(TiO2)50質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタンマスターペレット1(TiO2−1)を作製した。
上記1項によって得られたPET樹脂1(PET−1)50質量部と、平均粒子径200nmのルチル型酸化チタン(TiO2)50質量部を、ベントした290℃の押出機内で溶融混練し、酸化チタンマスターペレット1(TiO2−1)を作製した。
8.アクリル樹脂1
表5の主剤の欄に示される配合によって、(株)日本触媒製のアクリル系コーティング剤である“ハルスハイブリット”(登録商標)ポリマー UV−G301(固形分濃度:40質量%)、可塑剤としてDIC(株)製ポリエステル系可塑剤“ポリサイザー”(登録商標)W−220EL、溶媒として酢酸エチルを添加して、固形分濃度が20質量%であるP2層形成用主剤を得た。
表5の主剤の欄に示される配合によって、(株)日本触媒製のアクリル系コーティング剤である“ハルスハイブリット”(登録商標)ポリマー UV−G301(固形分濃度:40質量%)、可塑剤としてDIC(株)製ポリエステル系可塑剤“ポリサイザー”(登録商標)W−220EL、溶媒として酢酸エチルを添加して、固形分濃度が20質量%であるP2層形成用主剤を得た。
上記のようにして得られた主剤に、表5に示されるヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエルウレタン(株)製“デスモジュール”(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%)を、前記の樹脂層形成用主剤との質量比が55:4の比になるように予め計算した量を配合し15分間攪拌することによりP2塗料用ベース樹脂(アクリル樹脂1)を得た。
9.酸化チタン粒子(酸化チタン粒子a)
平均粒子径が0.2μmである球状酸化チタン R104(DuPont製)を用いた。
平均粒子径が0.2μmである球状酸化チタン R104(DuPont製)を用いた。
10.積層用接着剤(塗剤a)
積層用接着剤として、DIC(株)製ドライラミネート剤“ディックドライ”(登録商標)TAF−300を36質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系樹脂を主成分とするDIC(株)製TAFハードナーAH−3を3質量部、および酢酸エチルを30質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度30質量%の積層用接着剤である塗剤aを得た。
積層用接着剤として、DIC(株)製ドライラミネート剤“ディックドライ”(登録商標)TAF−300を36質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系樹脂を主成分とするDIC(株)製TAFハードナーAH−3を3質量部、および酢酸エチルを30質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度30質量%の積層用接着剤である塗剤aを得た。
(実施例1)
表1に示す組成となるように、P1層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を76.5質量部、空洞核剤マスターペレット1(COC−1)を22.5質量部と酸化チタンマスターペレット1を1質量部とを混合し、一方でP4層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を99.6質量部とアンチブロッキング用にシリカ粒子マスターペレット1(SiO2−1)を0.4質量部とを混合し、それぞれを異なる2台の280℃に昇温した押出機内で溶融させて吐出し、フィードブロックにてP4層/P1層/P4層と積層するように合流させた後、Tダイから共押出した。次いで共押出した溶融シートを表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸シートを得た。続いて、該未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、88℃の温度に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で3倍の速度差をつけることで長手方向(縦方向)に3.2倍に延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。次いで、得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.5倍に延伸した。更に引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにて220℃で20秒間の熱処理を施し、さらに4%幅方向に弛緩処理を行いながら均一に徐冷し、ポリエステルフィルムを製膜した。
表1に示す組成となるように、P1層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を76.5質量部、空洞核剤マスターペレット1(COC−1)を22.5質量部と酸化チタンマスターペレット1を1質量部とを混合し、一方でP4層を構成する原料として180℃で2時間真空乾燥したPET原料1(PET−1)を99.6質量部とアンチブロッキング用にシリカ粒子マスターペレット1(SiO2−1)を0.4質量部とを混合し、それぞれを異なる2台の280℃に昇温した押出機内で溶融させて吐出し、フィードブロックにてP4層/P1層/P4層と積層するように合流させた後、Tダイから共押出した。次いで共押出した溶融シートを表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸シートを得た。続いて、該未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、88℃の温度に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で3倍の速度差をつけることで長手方向(縦方向)に3.2倍に延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。次いで、得られた一軸延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に3.5倍に延伸した。更に引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにて220℃で20秒間の熱処理を施し、さらに4%幅方向に弛緩処理を行いながら均一に徐冷し、ポリエステルフィルムを製膜した。
前記の方法で製膜後のポリエステルフィルムの積層比(P4層:P1層:P4層)が1:14:1となるように押出機の吐出量を調整し、更に全体厚みが160μmになるようにライン速度を調整して、実施例1の太陽電池バックシート用積層体1のP1層、P4層を得た。
得られた前記P1層のポリマー特性を測定したところ固有粘度IVは0.70dl/g、末端カルボキシル基量は15当量/トンであり、含有される粒子の金属元素、P1層、P4層の空隙率は表2に示す通りであった。
次に、アクリル樹脂1と酸化チタン粒子とを、表3に示す配合(塗材固形分中の30質量%)となるように添加し、ビーズミル機を用いてこれらの混合物を分散させた。その後、得られた混合物に希釈剤として酢酸エチルを固形分濃度が20質量%となるよう添加し、実施例1用塗材を得た。
先に得られた160μmのP1層のP4側の面に、ワイヤーバーを用いてP2層形成用の実施例1用塗材を塗布し、160℃の温度で60秒間乾燥し、乾燥後の塗料厚みが表3に示す厚み(2μm)となるようにP2層を設け実施例1の積層体とした。得られた前記P2層の含有される粒子の平均粒子径、粒子の金属元素、空隙率、マイクロボイド率は表3に示す通りであった。
また、得られた太陽電池バックシート用積層体について、太陽電池バックシート特性評価、太陽電池モジュール評価、生産性評価を行った結果、表4に示す通り、実施例1に示す太陽電池バックシート用積層体は良好なロール巻取り性、カール高さが少なく、良好な初期密着性を有し、耐湿熱処理、耐紫外線処理後の密着性も問題なく、更に太陽電池特性評価を行った結果、良好な出力向上性を有することがわかった。
(実施例2、3)
COCの添加濃度を7質量%にする(実施例2)、P2層に含有される粒子量を25質量%にする(実施例3)以外は実施例1と同様の方法にて、実施例2、3に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
COCの添加濃度を7質量%にする(実施例2)、P2層に含有される粒子量を25質量%にする(実施例3)以外は実施例1と同様の方法にて、実施例2、3に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
空洞核剤量を減らし平均光線反射率が95%を僅かに超えるまで低下させた実施例2、および、P2層中の粒子濃度を低下させ、式(1)により求まるL×Cを50まで低下させた実施例3では光散乱度が低下し、実施例1と比べて出力向上性が低下することを確認した。
(実施例4)
実施例1に記載の方法でP1層、P4層を得た後、前述の塗剤aを用いて厚さ2μmの積層用易接着層(P3層)を設けた。別途、ポリエチレンのチップと、粒子として、前述の酸化チタン粒子aとを表3に記載の配合量となるように配合した後、180℃の温度に加熱された押出機に供給しTダイから押し出すことで、酸化チタンを含有する白色ポリエチレンフィルムをP2層として得た。その後P1、P4層とP2層とを40℃に熱したラミネータにて張り合わせ、3日間40℃の条件下でエイジングを行い、実施例4に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。
実施例1に記載の方法でP1層、P4層を得た後、前述の塗剤aを用いて厚さ2μmの積層用易接着層(P3層)を設けた。別途、ポリエチレンのチップと、粒子として、前述の酸化チタン粒子aとを表3に記載の配合量となるように配合した後、180℃の温度に加熱された押出機に供給しTダイから押し出すことで、酸化チタンを含有する白色ポリエチレンフィルムをP2層として得た。その後P1、P4層とP2層とを40℃に熱したラミネータにて張り合わせ、3日間40℃の条件下でエイジングを行い、実施例4に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。
P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
式(1)により求まるL×Cを900まで上昇させることで、非常に良好な出力向上性を示すことを確認した。一方で、150μm厚のポリエチレンをP2層として設けることで、実施例1と比べ、水蒸気バリア性が向上するものの、積層体の総厚みが厚くなることで、ロール巻取り性が悪化すると共に、カール高さが悪化することが判明した。
(実施例5〜11)
実施例1に記載の方法と同様にしてP1層、P4層を得た後、アクリル樹脂においては実施例3、ポリエチレン樹脂においては実施例4に記載の方法と同様にし、表3に記載の粒子濃度、層厚みになるようにしてP2を設け、実施例5〜11に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。
実施例1に記載の方法と同様にしてP1層、P4層を得た後、アクリル樹脂においては実施例3、ポリエチレン樹脂においては実施例4に記載の方法と同様にし、表3に記載の粒子濃度、層厚みになるようにしてP2を設け、実施例5〜11に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。
各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
式(1)により求まるL×Cが50以上900以下に存在し、P2層の層厚みLが0.8μm以上12μm未満であり、P2層に含有する粒子の濃度Cが15質量%以上70質量%以下である場合、及び、P2層の層厚みLが12μm以上300μm以下であり、P2層が含有する粒子の濃度Cが0.2質量%以上15質量%未満である場合、どちらにおいても良好な出力向上特性を有する太陽電池バックシート用積層体であることを確認した。
式(1)により求まるL×Cが50以上900以下に存在し、P2層の層厚みLが0.8μm以上12μm未満であり、P2層に含有する粒子の濃度Cが15質量%以上70質量%以下である場合、及び、P2層の層厚みLが12μm以上300μm以下であり、P2層が含有する粒子の濃度Cが0.2質量%以上15質量%未満である場合、どちらにおいても良好な出力向上特性を有する太陽電池バックシート用積層体であることを確認した。
(実施例12、13)
分散剤を変更した空洞核剤マスターペレット2(実施例12)、および空洞核剤マスターペレット3(実施例13)を使用した以外は実施例1に記載の方法と同様にして実施例12、13にそれぞれ記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
分散剤を変更した空洞核剤マスターペレット2(実施例12)、および空洞核剤マスターペレット3(実施例13)を使用した以外は実施例1に記載の方法と同様にして実施例12、13にそれぞれ記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
空洞内に存在する空洞核剤粒子の平均粒子径は、実施例12では分散剤のPBT含有比を増加させ、ポリエステル樹脂との親和性を上げたことで、0.5μmまで低下した。実施例12は前記平均粒子径の低下に伴い、空隙率が低下することで反射率が低下し、実施例1に比べて出力向上性が下がることを確認した。一方、分散剤をPBTに置き換えた実施例13では空洞核剤との親和性が低下することで分散性が低下し、空洞内に存在する空洞核剤粒子の平均粒子径は2μmに増大する。実施例12は前記平均粒子径の低下に伴い、空隙率が増加することで出力特性は実施例1と同等に留まり、実施例1に比べて初期密着性が低下することを確認した。
(実施例14〜18)
実施例1に記載のP1層原料のみを使用し単膜とした(実施例14)、吐出比を制御することで、P4層厚みを1μm(実施例15)、11μm(実施例16)、12μm(実施例17)、P4層にシリカ粒子マスターペレットの代わりに、酸化チタンマスターペレットを表1に記載の酸化チタン量(10質量%)添加する(実施例18)以外は実施例1と同様の方法にて実施例14〜18に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
実施例1に記載のP1層原料のみを使用し単膜とした(実施例14)、吐出比を制御することで、P4層厚みを1μm(実施例15)、11μm(実施例16)、12μm(実施例17)、P4層にシリカ粒子マスターペレットの代わりに、酸化チタンマスターペレットを表1に記載の酸化チタン量(10質量%)添加する(実施例18)以外は実施例1と同様の方法にて実施例14〜18に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
空洞を実質有しないP4層厚みに着目すると、P4層厚みが実施例1の10μmより11μm(実施例16)、12μm(実施例17)と増加させるにつれ、初期密着性が低下することを確認した。これは剛性の高いP4層が厚くなることで、空洞を有するP1層による応力分散の効果が低減したためである。一方で、P4層厚みが1μm(実施例15)、0μm(実施例14;P1層単膜構成)と減少させた場合、初期密着性、湿熱処理後の密着性が低下することを確認した。これは剛性の高いP4層が薄くなることで、空洞を有することで強度が低いP1層に応力が集中し、低い強度にて破壊されるためである。特にP4層が存在しない実施例14では、空洞を実質有しないP4層での水蒸気バリア性が無くなることで実施例1対比での低下を確認した。
また、10μmのP4層に酸化チタン粒子を10質量%添加した実施例18では、平均光線反射率が上昇することで、出力向上性が実施例1より向上し最も好ましい特性を発揮し、酸化チタンの耐紫外線性により紫外線処理後の密着性は向上することを確認した。一方で、添加した粒子を起点にへき開が発生するため、初期密着性、湿熱処理後の密着性が実施例1に比べ低下することを確認した。
(実施例19、20)
P1層製膜時の延伸条件(延伸倍率、熱処理温度)を変え、P1層の空隙率が25%(実施例19)、空隙率5%でP1層厚み480μm(実施例20)になるようにそれぞれ調整し、実施例19、20に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P1層製膜時の延伸条件(延伸倍率、熱処理温度)を変え、P1層の空隙率が25%(実施例19)、空隙率5%でP1層厚み480μm(実施例20)になるようにそれぞれ調整し、実施例19、20に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
空隙率が上昇する(実施例19)ことで、前述の理由により平均光線反射率の上昇に伴う出力向上性の良化、初期密着性、湿熱処理後の密着性の低下を確認した。また、水蒸気バリア性も空隙率が低下することで低下した。一方で、空隙率が低下した場合、P1層厚みを厚くすることで、平均光線反射率を95%より大きくすることができ、実施例1と同等の出力向上性を有するが、P1層の空洞構造による応力分散効果が低減し、初期密着性は低下する。また、P1層厚みを上げたことにより、ロール巻取り性が著しく低下し生産性が実施例1に比べて低くなることを確認した。
(実施例21)
実施例1に記載の方法にてP1層、P4層を得た後、ポリエステル樹脂1としてPET原料1(PET−1)を使用し、粒子濃度が表2に記載の値となるよう配合したP2層用原料を280℃に加熱した押出機に投入し、P4層の上に溶融ラミネートを行うことで実施例21に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
実施例1に記載の方法にてP1層、P4層を得た後、ポリエステル樹脂1としてPET原料1(PET−1)を使用し、粒子濃度が表2に記載の値となるよう配合したP2層用原料を280℃に加熱した押出機に投入し、P4層の上に溶融ラミネートを行うことで実施例21に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P2層樹脂としてポリエステル樹脂を使用し直接張り合わせることで、P4層、P2層の密着性が上昇し、初期密着性、耐湿熱性が向上することを確認した。一方で、紫外線処理後の密着性はP4層、P2層共にポリエステル樹脂のため紫外線劣化が両層にて進行することで密着性が実施例1に比べて低下することを確認した。
(実施例22、23)
P2層を構成する樹脂にポリプロピレン樹脂(実施例22)、フッ素樹脂としてPTFE樹脂(実施例23)とし、それぞれ表3に記載の粒子含有量とP2層厚みとなるように製膜を行った後、実施例4に記載の方法によりP1層と張り合わせることで、実施例22、23に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P2層を構成する樹脂にポリプロピレン樹脂(実施例22)、フッ素樹脂としてPTFE樹脂(実施例23)とし、それぞれ表3に記載の粒子含有量とP2層厚みとなるように製膜を行った後、実施例4に記載の方法によりP1層と張り合わせることで、実施例22、23に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。各実施例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
出力向上性はどちらも良好であるという点は共通しているが、ポリプロピレンを使用した場合、ポリエチレン樹脂を使用した場合と同様に水蒸気バリア性が向上する反面、ポリプロピレン樹脂の耐紫外線性が低いという特性に伴い、紫外線処理後の密着性が低下することを確認した。また、フッ素樹脂を使用した場合、フッ素樹脂の耐紫外線性が高いという特性に伴い、紫外線処理後の密着性が向上することを確認した。
(実施例24)
P4層に使用するポリエステル原料を末端カルボキシル基量がPET−1より高いPET原料PET−2に変更した以外は、実施例1に記載の方法にして実施例24に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P4層に使用するポリエステル原料を末端カルボキシル基量がPET−1より高いPET原料PET−2に変更した以外は、実施例1に記載の方法にして実施例24に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P4層の末端カルボキシル基量が多くなることで、湿熱処理後の密着性が実施例1に比べて低下することを確認した。
(実施例25)
P1層、P4層の総厚みを48μmとした以外は実施例1に記載の方法により実施例25に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P1層、P4層の総厚みを48μmとした以外は実施例1に記載の方法により実施例25に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P1層の薄膜化に伴い、平均光線反射率の低下による出力向上性の低下と、水蒸気バリア性の低下することを確認した。
(比較例1、2)
空洞核剤濃度を4質量%とした以外は実施例1に記載の方法により比較例1の太陽電池バックシート用積層体を、P2層の粒子濃度とP2層厚みを表3に記載の通り変更した以外は実施例4に記載の方法により比較例2の太陽電池バックシート用積層体をそれぞれ得た。各比較例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
空洞核剤濃度を4質量%とした以外は実施例1に記載の方法により比較例1の太陽電池バックシート用積層体を、P2層の粒子濃度とP2層厚みを表3に記載の通り変更した以外は実施例4に記載の方法により比較例2の太陽電池バックシート用積層体をそれぞれ得た。各比較例のP1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
比較例1の平均光線反射率は95%を下回ることで、光散乱度が好ましい範囲から外れ出力向上性が劣る太陽電池バックシート用積層体となることを確認した。また、比較例2は式(1)により求まるL×Cが50を下回ることで、反射率が95%を超えるものの、光散乱度が好ましい範囲から外れ、出力向上性が劣る太陽電池バックシート用積層体となることを確認した。
(比較例3)
P1層用原料に空洞核剤マスターバッチ1の代わりに、酸化チタンマスターバッチ60質量%を添加し表1に記載の粒子濃度を持つようにする以外は実施例1に記載の方法により比較例3に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
P1層用原料に空洞核剤マスターバッチ1の代わりに、酸化チタンマスターバッチ60質量%を添加し表1に記載の粒子濃度を持つようにする以外は実施例1に記載の方法により比較例3に記載の太陽電池バックシート用積層体を得た。P1層、P4層物性は表2、P2層物性は表3、太陽電池バックシート特性、太陽電池モジュール特性、生産性に関する特性評価結果は表4に示す通りであった。
比較例3の平均光線反射率は95%を大きく下回り、光散乱度が好ましい範囲から外れることで出力向上性が劣る太陽電池バックシート用積層体となることを確認した。
本発明の太陽電池バックシート用積層体を太陽電池バックシートとして太陽電池モジュールに搭載することにより、従来の太陽電池と比べて長期間屋外に置かれた場合でも太陽電池バックシートとの密着性が保持され、更には発電効率を高めることが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。
1:太陽電池バックシート
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池バックシートの封止材2側の面
6:太陽電池バックシートの封止材2と反対側の面
7:P2層(光散乱層)
8:P1層(光反射層)
9:P3層(機能層)
10:P4層(空洞を実質含有しない層)
11:P1層(空洞を含有する層)
12:空洞中に存在する粒子(空洞核剤粒子)
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池バックシートの封止材2側の面
6:太陽電池バックシートの封止材2と反対側の面
7:P2層(光散乱層)
8:P1層(光反射層)
9:P3層(機能層)
10:P4層(空洞を実質含有しない層)
11:P1層(空洞を含有する層)
12:空洞中に存在する粒子(空洞核剤粒子)
Claims (10)
- 空洞を有しポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(P1層)と、粒子を含有する樹脂層(P2層)を有し、前記P2層が少なくとも一方の最表層にあり、前記P2層側から測定した平均光線反射率(波長範囲400〜1200nm)が95%より大きく、ゴニオフォトメーター測定における42〜80°の範囲での反射光強度割合と平均光線反射率との積で表される光散乱度の値が33%以上である太陽電池バックシート用積層体。
- 前記P2層の層厚みL(μm)と、前記P2層に含有される粒子の濃度C(質量%)を用いて、下記式(1)にて算出される値Nが、50以上900以下である請求項1に記載の太陽電池バックシート用積層体。
N=L(μm)×C(質量%)・・・式(1) - 前記Lが0.8μm以上12μm未満であり、前記Cが15質量%以上70質量%以下である請求項2に記載の太陽電池バックシート用積層体。
- 前記Lが12μm以上300μm以下であり、前記Cが0.2質量%以上15質量%未満である請求項2に記載の太陽電池バックシート用積層体。
- 前記空洞中に平均粒子径0.1μm以上2μm以下の粒子が存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体。
- 前記P1層の両側に空洞を実質含有しない層(P4層)を有する請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体。
- 前記P4層の厚みの少なくとも一方が1μm以上11μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池バックシート用積層体。
- 前記P1層の空隙率が5%以上25%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の太陽電池バックシート用積層体。
- 前記P2層が次の群1から少なくとも1つ、あるいは複数の樹脂の組み合わせにより構成される請求項1〜8のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体。
群1:ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂 - 請求項1〜9のいずれかに記載の太陽電池バックシート用積層体を有する太陽電池用モジュール。
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CN113299781A (zh) * | 2021-05-21 | 2021-08-24 | 中天科技精密材料有限公司 | 一种太阳能电池背板用多层功能膜、太阳能电池背板及太阳能电池组件 |
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