JP6878952B2 - 太陽電池裏面保護用シート - Google Patents
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Description
白色顔料を多量に含有させたポリエステルフィルムが、長期間屋外環境に設置されると、紫外線暴露によってポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂が光分解(UV劣化)する。光分解(UV劣化)したポリエステル樹脂は、低分子化合物にまで分解されることで表層より自然気化すること、または低分子量化した部分が脆化することでフィルムの形として保持できず、風雨などの外力によって流れ落ちることで消失する(ポリエステルフィルムは表層から浸食されて厚みが減っていく)。そのため、白色顔料を多量に含有したポリエステルフィルムにおいては、樹脂内部に埋没していた白色顔料が樹脂表層に突出し、外観(色調)が変化するという問題や、劣化したポリエステル樹脂と共に白色顔料が白粉として脱落する粉吹き現象(白粉発生)という問題が発生する。この白粉発生という問題は、残された太陽電池裏面保護用シートの耐紫外線性の低下に繋がり、太陽電池裏面保護用シートの寿命を低下させることに加え、太陽電池場所付近の環境汚染にもつながる。
特許文献1の場合、製膜時における長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)の延伸温度が高くポリエステル樹脂成分の結晶化が進行し、続く延伸工程において結晶化部位が起点となりシート内に微小の空隙が多く形成され、粉吹き抑制効果が不十分となることがある。
1.少なくとも片側の表層にポリエステル樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)を有し、前記ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)とポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P2層)を隣接して有しており、P1層を構成するポリエステル樹脂およびP2層を構成するポリエステル樹脂がともに白色顔料を含有し、P1層を構成するポリエステル樹脂の白色顔料含有量が6質量%以上13質量%以下であり、以下(1)を満たすことを特徴とする太陽電池裏面保護用シート。
(1)P1層表面を下記条件でテープ剥離試験を実施し、剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH0、P1層表面を下記条件で紫外線照射処理を実施した後に下記条件でテープ剥離試験を実施し剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH1とするとき、式(i)で表されるΔHが5%以上30%以下であること。
式(i)ΔH=H1−H0
《テープ剥離試験条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に、セキスイセロテープ(登録商標)No.252(積水化学工業(株)製、テープ幅15mm)を貼付け、2kgのゴムローラーを用いて圧着した後、0.12m/分〜0.18m/分の速度で180度剥離させる。
《ヘイズ測定条件》
P1層から剥離したセキスイセロテープ(登録商標)を、JIS−K7105(1981)に基づき、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて、セロテープ(登録商標)の厚さ方向のヘイズ(%)を測定する。3回の測定値の平均をヘイズ値とする。
《紫外線照射処理条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に試験光が当たるように設置し、アイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50R%、照度150mW/cm2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で72時間照射を行う。
2.前記P1層の厚みが、前記P1層および前記P2層の合計厚みに対して10%以上30%以下であることを特徴とする1.に記載の太陽電池裏面保護用シート。
3.前記P1層およびP2層に含有する白色顔料がいずれも酸化チタンであり、その個数平均粒子径がいずれも0.1μm以上0.3μm未満であることを特徴とする1.または2.に記載の太陽電池裏面保護用シート。
4.前記P1層を構成するポリエステル樹脂組成物がリン酸とリン酸アルカリ金属塩を含有し、リン元素の含有量P(mol/t)が該ポリエステル樹脂全体に対して1.8mol/t以上5.0mol/t以下であり、Mn、Caの少なくともいずれか1種類の金属元素を含有し、Mn、Ca以外の2価の金属元素の含有量がそれぞれ該ポリエステル樹脂全体に対して5ppm以下であり、前記ポリエステル樹脂全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)とし、前記ポリエステル樹脂全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記式(ii)で求められる、前記ポリエステル樹脂における金属含有量M(mol/t)と、前記リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記式(iii)を満たすことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用シート。
式(ii)M=M1/2+M2
式(iii)1.1≦M/P≦3.0
5.前記P1層表面を下記条件でキセノンランプ照射試験を2000時間実施した際の膜厚減少量(ΔL)が5μm以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用シート。
《キセノンランプ照射試験条件》
太陽電池裏面保護用シートをP1層側の面に試験光が当たるように設置し、フィルタとしてインナーに石英ガラス製フィルタ、アウターにデイライトフィルタを搭載したスーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS−K−7350−2(2008)準拠の下、照射強度180W/m2(300−400nm)、温度(ブラックパネル温度)63℃、相対湿度50%の条件でキセノンランプ照射試験を2000時間行う。本試験ではキセノンランプ照射を継続の下、102分毎に装置内蔵の噴霧装置を用いた噴霧処理を18分間行うというサイクル(1サイクル120分)を1000回繰り返す。
《膜厚減少量測定条件》
太陽電池裏面保護用シートを縦6cm、横7cmの長方形に切り出す。長方形サンプルの中心と中心から縦方向に1.5cm、横方向に2cm離れた4点の計5か所の厚みを厚み計にて測定し、それら5点の厚みの平均値をキセノンランプ照射試験前のシート厚み(L0)とする。
当該長方形サンプルを、上述のキセノンランプ照射試験を2000時間実施した後、上記と同様の方法でシート厚みを測定して、得られた値をキセノンランプ照射試験後のシート厚み(L1)とする。L0、L1を用いて、下記式(9)より、膜厚減少量(ΔL)を求める。
膜厚減少量(ΔL)=L1―L0・・・式(9)
6.1.〜5.のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用シートを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
(1)P1層表面を下記条件でテープ剥離試験を実施し、剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH0、P1層表面を下記条件で紫外線照射処理を実施した後に下記条件でテープ剥離試験を実施し剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH1とするとき、式(i)で表されるΔHが5%以上30%以下であること。
式(i)ΔH=H1−H0
《テープ剥離試験条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に、セキスイセロテープ(登録商標)No.252(積水化学工業(株)製、テープ幅15mm)を貼付け、2kgのゴムローラーを用いて圧着した後、0.12m/分〜0.18m/分の速度で180度剥離させる。
《ヘイズ測定条件》
P1層から剥離したセキスイセロテープ(登録商標)を、JIS−K7105(1981)に基づき、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて、セロテープ(登録商標)の厚さ方向のヘイズ(%)を測定する。3回の測定値の平均をヘイズ値とする。
《紫外線照射処理条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に試験光が当たるように設置し、アイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50R%、照度150mW/cm2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で72時間照射を行う。
まず、本発明の太陽電池裏面保護用シートのP1層は、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする。ここで、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とするとは、該P1層を構成する樹脂に対してポリエステル樹脂が50質量%を超えて含有されていることをいう。P1層を構成するポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などが挙げられる。また、本発明に用いられるポリエステル樹脂は、1)ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と総称する)とジオール成分の重縮合、2)一分子内にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体と水酸基を有する化合物の重縮合、および1)2)の組み合わせにより得ることができる。また、ポリエステル樹脂の重合は常法により行うことができる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP1層を構成するポリエステル樹脂は、リン化合物としてリン酸アルカリ金属塩およびリン酸を含有することが好ましい。リン酸アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウムなどが挙げられる。好ましくはリン酸二水素アルカリ金属塩、リン酸水素二アルカリ金属塩である。また、アルカリ金属元素がNa,Kであるリン酸アルカリ金属塩が長期の耐湿熱性の点から好ましい。特に好ましくはリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムである。
M=(M1)/2+M2・・・式(ii)
1.1≦M/P≦3.0・・・式(iii)
上述の2価の金属元素とは、化学周期表第3周期までのアルカリ土類金属元素と、第5周期以降の第1族から12族までの元素、およびTiを除く第4周期の遷移金属元素を指す。本発明における金属元素の価数とは、金属原子の電子軌道のうち、最外殻または最外殻に最も近い位置にあるs軌道に存在する電子の個数の合計である。
ただし、ポリエステル樹脂中でリン化合物に由来する陰イオンは2価であるので、2価の金属元素の陽イオンと1:1で相互作用する。そのため、ポリエステル樹脂中で1価の陽イオンとなる金属元素の含有量M1に対しては係数0.5を乗じる必要がある。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP1層には、光反射性、光隠蔽性、意匠性、視認性などの特性を付与する目的で白色顔料を含有させることが好ましい。前述の特性に加え紫外線曝露後の色調変化、粉吹き抑制の両方を両立させるためには、P1層を構成する樹脂に対して白色顔料を6質量%以上13質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。白色顔料の含有量が6質量%未満では、紫外線照射後の色調変化が悪化する場合があり、また後述する表層ポリエステル樹脂が劣化・分解気化に伴う膜厚減少量が増大する場合がある。13質量%より多いと後述のP2層との密着性が悪化すると共に製膜が困難になる場合がある。より好ましい範囲としては8質量%以上12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上12質量%以下である。白色顔料としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、マイカ、アルミナおよびジルコニア、アルミノケイ酸塩粒子などが好ましく挙げられる。紫外線吸収能、光反射性を両立する観点からは、ルチル型酸化チタンを用いるのがさらに好ましい。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP1層を構成するポリエステル樹脂に前記の白色顔料を含有させる方法としては、ポリエステル樹脂と白色顔料をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、白色顔料をポリエステル樹脂内で溶融混練し分散させたペレット(マスターペレット)を作製する方法が好ましく用いられる。ここで、ポリエステル樹脂に粒子を含有させる際にポリエステル樹脂が熱負荷を受けると、ポリエステル樹脂は熱劣化に加え、ポリエステル樹脂および混練させる白色顔料が含有する僅かな水分による加水分解が起こることで劣化する。そのため、P1層を構成するポリエステル樹脂に含まれる白色顔料量よりも白色顔料含有量が多い高濃度マスターペレットを作製し、それをポリエステル樹脂と混合して希釈し、所望の粒子含有量としたP1層を作製するのが、耐湿熱性および製膜時の熱劣化異物低減の観点から好ましい。
ここで、高濃度の白色顔料マスターペレットを作成する際、白色顔料分散性は溶融混練時のスクリューによるせん断応力に依存する。顔料の凝集力よりも高い力を掛け分散性を上げるためには高せん断応力にて混練することが一つの達成手段であるが、トレードオフとしてポリエステル樹脂へのせん断熱による負荷が大きくなる。また、マスターペレットを一度低濃度にて作成し白色顔料の分散性を確保した後、再度白色顔料を追加添加し希望の濃度まで引き上げる2段階の溶融混練にてマスターペレットを作成することも分散性向上の手法として用いられるが、この手法もポリエステル樹脂への熱負荷が大きくなるため分散性とのトレードオフになる。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P1層に添加する高濃度マスターペレットの作成方法は、白色顔料の分散性を高める観点から、前述の高せん断混練、および2段階の混練工程を経て作成したマスターペレットを用いることが好ましい。これはマスターペレット時に分散性が低いとP1層中の白色顔料の平均粒子径が分散不良により増大し、延伸に伴う微小な空隙の発生量が多くなるためである。前記空隙の発生は後述する膜厚減少量ΔLの増加にも影響する。
特に、前述の式(1)、(2)を満たすポリエステル樹脂をベース樹脂として使用し、高せん断応力をかけ、2段階の混練工程を経て作成した高濃度白色顔料マスターペレットを作成すると、本発明の太陽電池裏面保護用シート製膜時の異物発生を抑えると共に、P1層内部の空隙発生を抑制することが判明した。
マスターペレットの白色顔料濃度としては、50質量%以下であることが好ましい。50質量%より高濃度にした場合、前述のポリエステル樹脂とマスターペレット製造手法を用いてもP1層内の白色顔料の分散性を向上による粉吹き抑制と製膜時の樹脂劣化異物発生の抑制を両立することは困難であった。
本発明の太陽電池裏面保護用シートは、上述したP1層のみからなる単層フィルムであってもよく、P1層以外の層を有する積層フィルムであってもよい。P1層(耐候性層)の片側に、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P2層)を隣接して有していることが好ましい。P1層(耐候性層)の片側に、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P2層)を隣接することで、成形性を向上させ、かつ、太陽電池裏面保護用シートの電気絶縁性を向上させることが可能となる。
また、P2層を構成するポリエステル樹脂は、単一種でも良いし、2種以上のポリエステル樹脂をブレンドしたものでも良い。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP2層を構成する樹脂は、前述のP1と同様にポリエステル樹脂を主たる構成成分とするが、当該ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)はP1層の成型性を補助する目的からP1層に比べて固有粘度を低くすることが好ましい。具体的には0.55dl/g以上0.75dl/g以下であることが好ましい。また、末端カルボキシル基量は40当量/トン以下であることが好ましい。また、該ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレート(PET)を主たる構成成分とすることが好ましい。ここで、主たる構成成分とは、該ポリエステル樹脂に対して50質量%を超えて含有されていることをいう。P2層を構成する樹脂が、PETを主たる構成成分とする場合、該PETの固有粘度(IV)は0.58dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度(IV)が0.55dl/g未満の場合、前述のP1層と積層した場合であってもシートの耐湿熱性が悪くなる場合がある。固有粘度(IV)が0.80dl/gを超える場合、P2層を製造する際に樹脂の押出性が悪く、シート成型が困難となる場合がある。さらに、固有粘度(IV)が上記範囲を満たしていても、末端カルボキシル基量が35当量/トンを超える場合、P2層のP1層と接しない側に封止材層もしくは封止材易接着層を設ける場合、各層との密着性が良好になる一方で、前述のP1層と積層した場合であってもシートの耐湿熱性が悪くなる場合がある。よって、P2層を構成する樹脂がPETを主たる構成成分とする場合、固有粘度、末端カルボキシル基量を上記範囲とすることによって、シート成型性、長期耐久性に非常に優れた太陽電池裏面保護用シートとすることが出来る。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP2層に含有されるリン元素量、金属元素量に関して特に制限は無いが、本発明の太陽電池裏面保護用シートの耐湿熱性を向上させる場合、ポリエステル樹脂にP1層の項における重合触媒の項目に記載の元素量を含有するポリエステルを用いることが好ましい。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP2層には、耐紫外線性、光反射性、光隠蔽性、意匠性、視認性などの特性を付与、もしくはP1層の特性を補助する目的で白色顔料を含有させることが好ましい。P1層を構成する樹脂に対して白色顔料を0.1質量%以上6質量%未満の範囲で含有させることが好ましい。白色顔料の含有量が0.1質量%未満では、光反射性が不足すると共に製膜時に太陽電池裏面保護用シート同士がブロッキングする場合があり、6質量%より多いと製膜時の成形性を向上させることが困難になるとともに電気絶縁性の向上を阻害する場合がある。より好ましい範囲としては0.5質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上2質量%以下である。
白色顔料としてはP1層の項にて記載のものを好適に使用できるが、光反射性を付与する観点からは、ルチル型酸化チタンを用いるのがさらに好ましい。P2層を構成するポリエステル樹脂に前記の白色顔料を含有させる方法としては、ポリエステル樹脂と粒子をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、溶融混練し高濃度マスターペレットを作製し、それをポリエステル樹脂と混合して希釈し、所望の粒子含有量としたP2層を作製する手法を用いることが、耐湿熱性の観点から好ましい。ここで、P2層の白色顔料含有量は低いため、マスターペレットに使用する樹脂に関しては特に制限はされない。
本発明の太陽電池裏面保護用シートが、耐候性層(P1層)と基材層(P2層)を含む場合、下記式(iii)により表されるP1層厚み(d1)とP2層厚み(d2)の和に対するP1層厚み比率(D(%))は10%以上30%以下が好ましい。
D(%)=d1/(d1+d2)・・・式(iii)
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおけるD(%)が10%未満の場合、P1層自体の紫外線照射後の色調変化が満足いく場合であっても、隣り合うP2層の紫外線照射後の色調変化が大きくなり、結果としてP1層の色調変化が結果として大きくなる場合がある。また、P1層の厚み比率が30%を超える場合、粒子が多量に含有されるP1層に起因した破れが発生し生産性が低下する場合がある。
本発明の太陽電池裏面保護用シートのP2層は、封止材など他の太陽電池部材との接着性を付与する目的で、積層構造を有してもよい。例えば、予め基材層であるP2層(P21層とする)のP1層と接する側に接着性に優れる層(P22層とする)を設ける手法も好ましく用いられる。その場合、シートの構成は、P1層/P21層/P22層の順で積層され、P2層の厚みは、P21層+P22層で表される。このとき、P21層は、P1層およびP22層を構成する樹脂と接着性が良く、P2層全体(P21層+P22層)におけるポリエステル樹脂の割合が50質量%以上であれば特に限定されない。
本発明の太陽電池裏面保護用シートは、P1層とP2層を有する構成である場合(P1層/P2層)、P1層のP2層と隣接しない側の面に、例えばガスバリア性、易接着性などの他の機能を持つ層を設けることができる。これらの層を設ける方法としては、P1層と積層する材料をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、積層する材料の形成用材料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたP1層上に塗布する方法(コーティング法)、硬化性材料をP1層上に塗布した後に電磁波照射、加熱処理などで硬化させる方法、積層する材料をP1層上に蒸着/スパッタする方法、およびこれらを組み合わせた方法などを使用することができる。
(1)P1層表面を下記条件でテープ剥離試験を実施し、剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH0、P1層表面を下記条件で紫外線照射処理を実施した後に下記条件でテープ剥離試験を実施し剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH1とするとき、式(i)で表されるΔHが5%以上30%以下であること。
式(i)ΔH=H1−H0
《テープ剥離試験条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に、セキスイセロテープ(登録商標)No.252(積水化学工業(株)製、テープ幅15mm)を貼付け、2kgのゴムローラーを用いて圧着した後、0.12m/分〜0.18m/分の速度で180度剥離させる。
《ヘイズ測定条件》
P1層から剥離したセキスイセロテープ(登録商標)を、JIS−K7105(1981)に基づき、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて、セロテープ(登録商標)の厚さ方向のヘイズ(%)を測定する。3回の測定値の平均をヘイズ値とする。
《紫外線照射処理条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に試験光が当たるように設置し、アイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50R%、照度150mW/cm2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で72時間照射を行う。
(1)における紫外線照射処理は、紫外線を含む太陽光が多量に降り注ぐ屋外環境に長期間(約10年相当)暴露される状況の加速試験である。
(1)におけるテープ剥離試験は、ポリエステルフィルムの表面に粘着テープを貼り付けた後、剥離する試験である。剥離した粘着テープには、ポリエステルフィルム表面にある光分解(UV劣化)して白粉化したポリエステル樹脂、および、白粉化には至っていないものの光分解(UV劣化)した結果わずかな外力で白粉化するポリエステル樹脂が付着する。そのため、紫外線照射処理によって白粉が多く発生するポリエステルフィルムをテープ剥離試験すると、剥離した粘着テープには多く白粉が付着し、白粉が多く付着した粘着テープのヘイズは上昇する。したがって、式(i)のΔHが高いほど紫外線照射処理によってポリエステルフィルムの表面に発生する白粉が多いことを表し、ΔHが低いほど紫外線照射処理によってポリエステルフィルムの表面に発生する白粉が少ないことを表す。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、P1層を入射面として紫外線処理試験を行ったときのヘイズ変化量(ΔH)が30%を超える場合、本発明の太陽電池裏面保護用シートを搭載した太陽電池を長期間屋外に置いた際に、紫外光曝露により白粉が発生することで太陽電池裏面保護用シートにおける耐候性層の耐紫外線性の低下に繋がり、太陽電池裏面保護用シートの寿命を低下させることに加え、太陽電池場所付近の環境汚染にもつながる。一方で、ΔHが5%未満とする場合は、ポリエステルフィルム表面の白粉発生は抑制されるものの、ポリエステルフィルムの表面ではなく、ポリエステルフィルムの内部にまで紫外線による影響が及ぶ結果、長期間屋外で使用すると、亀裂や剥がれなどが発生し、太陽電池裏面保護用シートの耐久使用期間が低下する。ΔHは、より好ましくは、8%以上26%以下であり、更に好ましくは8%以上21%以下である。
本発明の太陽電池裏面保護用シートにおいて、ΔHを上記の範囲にする方法は特に制限されるものではない。例えば、ΔHは、P1層に含有する白色顔料の含有量、白色顔料の種類、白色顔料の粒子径、P1層を構成するポリエステル樹脂に含有するM/P、ポリエステルフィルムの製膜条件などにより調整できる。
P1層に含有する白色顔料の含有量は、含有量が多いほどポリエステルフィルムの表層が劣化したときに白粉の発生が多くなるため、ΔHは大きくなる傾向にある。一方で、白色顔料はポリエステルフィルムに照射される紫外線を反射したり吸収したりする特性を有するものであるので、P1層に含有する白色顔料の含有量が少ないと、ポリエステルフィルムの内部まで紫外線による影響が及ぶ結果、長期間屋外で使用すると、亀裂や剥がれなどが発生し、太陽電池裏面保護用シートの耐久使用期間が低下する場合がある。また、白色顔料の種類としては、紫外線吸収能や紫外線反射能(光反射性)を有する白色顔料を用いるとΔHは小さくなる傾向にある。
紫外線吸収能や紫外線反射能(光反射性)を有する白色顔料としては、酸化チタンが挙げられる。アナターゼ型酸化チタンは、紫外線吸収時の光触媒活性が大きく周辺のポリエステル樹脂を光触媒反応により酸化させ劣化を促進するため、ΔHを大きくする傾向がある。一方で、ルチル型酸化チタンは、アナターゼ型に比べ光触媒活性が小さくポリエステル樹脂の光触媒反応による酸化劣化を促進しないため、ΔHを小さくする傾向がある。また、P1層に含有する白色顔料の平均粒子径は、小さすぎると、白色顔料の凝集力が増加することで白色顔料分散性が悪化し粗大粒子が形成されやすくなるため、また、白色顔料の触媒活性が高くなりポリエステル樹脂が光触媒反応による分解が促進されるため、白粉の発生が多くなり、ΔHは高くなる傾向にある。また、P1層に含有する白色顔料の平均粒子径は、大きすぎると、白色顔料を含有したポリエステルフィルムを延伸する際に、白色顔料周りに微小な空隙が形成され、白粉の発生量を多くするため、ΔHは大きくなる傾向にある。P1層に含有する白色顔料の平均粒子径は、0.1μm以上0.3μm以下の範囲であると、ΔHを小さくなる傾向にある。また、P1層を構成するポリエステル樹脂に含有するM/Pが、上述する(iii)式を満たす範囲にあると、ポリエステル樹脂の分解を抑制できるため、ΔHは小さくなる傾向にある。また、ポリエステルフィルムの製膜条件について、白色顔料の周りに空隙ができるとポリエステルフィルムから白色顔料が滑落しやすくなるため、白色顔料の周りに空隙ができるだけ形成しないように製膜すると、ΔHは小さくなる傾向にある。製膜条件の詳細については後述する。
次に、本発明の太陽電池裏面保護用シートの製造方法について例を挙げて説明する。これは一例であり、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明の太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池は、従来の太陽電池と比べて耐久性を高めることが可能となる。その構成の例を図1に示す。電気を取り出すリード線(図1には示していない)を接続した発電素子3をEVA樹脂などの透明な封止材4で封止したものに、ガラスなどの透明基板5と、太陽電池裏面保護用シート6(ポリエステル耐候性層1(P1層)とポリエステル基材層2(P2層)によって構成)として貼り合わせて構成されるが、これに限定されず、任意の構成に用いることができる。なお、図1では太陽電池裏面保護用シートは単体での例を示したが、その他必要とされる要求特性に応じて太陽電池裏面保護用シートは他のフィルムを張り合わせた、複合シートとすることも可能である。
(1)ポリマー特性
(1−1)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール100mlに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又は太陽電池裏面保護用シートのP1層のみを分離したもの)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/100ml)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(4)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C ・・・(4)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
(i)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2g/100mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
(ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
(iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する。((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/100mL))
(iv)(iii)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(3)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とする。
末端カルボキシル基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
測定試料(ポリエステル樹脂(原料)または太陽電池裏面保護用シートのP1層のみを分離したもの)2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル1tの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して不溶物の重量測定を行い、不溶物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を実施した。
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて元素量を測定した。
試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を、体積が50mlになるように0.1Nの塩酸に溶かし、溶液Aを得た。溶液Aに不溶物が無い場合は、これを測定試料として用いた。
ミクロトームを用いて、太陽電池裏面保護用シートの表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)を用いて10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した2500個以上の粒子の円相当径を測定し個数基準平均粒子径を得た。
前項(2)記載の方法による電界放出型透過電子顕微鏡観察において、観測されたフィラーに対しJED−2300T(日本電子(株)製、Si<Li>半導体検出器、UTW型)を用いたEDX元素分析およびGATAN GIF“Tridiem”を用いたEELS元素状態分析を行いフィラーの構成元素を特定し、得られたEELSスペクトルと市販の金属化合物のEELSスペクトルを照会することで、P1層およびP2層内に含有されたフィラーの構成を同定した。
太陽電池裏面保護用シートのP1層およびP2層のみを剥離し、各々を熱重量測定(TGA)装置 TGA−50((株)島津製作所製)を用いて窒素雰囲気下で室温から800℃まで20℃/分で昇温を行う。昇温後800℃の状態で1時間保持した後に生じる灰分の質量比率(質量%)について5回測定を行いその平均値を算出する。フィラーを含まないポリエステルフィルムに関しても同様の測定を行い得られる灰分の質量分率(質量%)の5回測定平均値を求める。これら2つの質量分率平均値の差をP1層およびP2層の含有するフィラー濃度(質量%)として求めた。
ミクロトームを用いて、太陽電池裏面保護用シートの表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)を用いて10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層および、P2層の厚みを拡大倍率から逆算して求めた。なお厚みは、異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値を用いた。
(6−1)白粉量(H値)測定
太陽電池裏面保護用シートをP1層側の面にセキスイセロテープ(登録商標)No.252(積水化学工業(株)製、テープ幅15mm)を貼付け、2kgのゴムローラーを用いて圧着した後、0.12m/分〜0.18m/分の速度で180度剥離させる。太陽電池裏面保護用シートをP1層から剥離させたセロテープ(登録商標)をJIS−K7105(1981)に基づき、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて、セロテープ(登録商標)の厚さ方向のヘイズ(%)を測定し、3回試行における測定値の平均をP1面における白粉量(H0)として求めた。
太陽電池裏面保護用シートをP1層側の面に試験光が当たるように設置し、アイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50%、照度150mW/cm2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で72時間照射を行う。紫外線照射試験前後でのP1層側の面の白粉量(H1)を前項(6−1)に従い測定し、次の(5)式より紫外線照射後の白粉発生量(ΔH)を算出した。
紫外線照射後の白粉発生量(ΔH)=H1―H0・・・(5)
H0:紫外線照射前の白粉量(H値)
H1:紫外線照射後の白粉量(H値)。
(7−1)色調(b*値)測定
JIS−Z−8781−4(2013)に基づき、分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて反射法により太陽電池裏面保護用シートのP1層側面の色調(b*値)を測定した。
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に前記(6−2)項と同様の紫外線照射試験を行い、試験後の色調(b*値)を前記(7−1)項に従い測定し、次の(6)式より紫外線照射後の色調変化(Δb*)を算出した。
紫外線照射後の色調変化(Δb*)=b*1―b*0・・・(6)
b*0:紫外線照射前の色調(b*値)
b*1:紫外線照射後の色調(b*値)。
(8−1)太陽電池モジュールの作製
Qcells社製の結晶シリコン型太陽電池セルQ6LPT−G2の表面、裏面の銀電極部分にHOZAN社製フラックスH722をディスペンサーで塗布し、表面、裏面の銀電極の上に155mmの長さに切断した配線材として日立電線社製銅箔SSA―SPS0.2×1.5(20)を表面側のセルの片端から10mm離れたところが配線材の端に、裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いてセル裏面側から半田ごてを接触させて表面、裏面を同時に半田溶着し1セルストリングスを作製した。
太陽光照射量270MJ/m2(波長:280nm〜400nm)の環境下(滋賀県大津市)、南向きに傾斜角度35度で設置された架台に(8−1)記載の太陽電池モジュールをP1層に太陽光が直接当たるように設置し6か月の屋外実暴露試験を行うことで、太陽電池モジュールの白粉発生量(ΔH)、色調変化(Δb*)の2項目に関して評価を行った。
前項(8−2)記載の屋外実暴露前後での太陽電池前モジュールの白粉量(H値)を前記(6−2)項に従い測定し、次の(7)式より白粉発生量(ΔH)を算出した。
紫外線照射後の6白粉発生量(ΔH)=H1(実暴露)―H0(実暴露)・・・(7)
H0(実暴露):屋外実暴露試験前の白粉量(H値)
H1(実暴露):屋外実暴露試験前の白粉量(H値)
得られた白粉発生量(ΔH)から、太陽電池裏面保護用シートの太陽電池モジュールの粉吹きに関して以下のように判定した。
白粉発生量(ΔH)が4%以上15%以下の場合:A
白粉発生量(ΔH)が15%より大きく20%以下の場合:B
白粉発生量(ΔH)が20%より大きく25%以下の場合:C
白粉発生量(ΔH)が4%未満もしくは、25%より大きい場合:D
太陽電池モジュールの光沢度に関する外観変化はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
前項(8−2)記載の屋外実暴露前後での太陽電池前モジュールの色調(b*値)を前記(7−2)項に従い測定し、次の(8)式より紫外線照射後の色調変化(Δb*)を算出した。
紫外線照射後の色調変化(Δb*)=b*1(実暴露)―b*0(実暴露)・・・(8)
b0(実暴露):屋外実暴露試験前の色調(b*値)
b1(実暴露):屋外実暴露試験後の色調(b*値)
得られた色調変化(Δb*)から、太陽電池裏面保護用シートの太陽電池モジュール色調変化を以下のように判定した。
色調変化(Δb*)が1.5未満の場合:A
色調変化(Δb*)が1.5以上3.5未満の場合:B
色調変化(Δb*)が3.5以上7.5未満の場合:C
色調変化(Δb*)が7.5以上の場合:D
太陽電池モジュールの色調に関する外観変化はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
本発明の太陽電池裏面保護用シートを生産時の成型性を以下のように評価した。
問題なくシートを製膜できる:A
シート破れが5000m製膜に1回の頻度で発生する:B
シート破れが2000m製膜に1回の頻度で発生する:C
シート破れが500m製膜に1回の頻度で発生する:D
太陽電池裏面保護用シートの成型性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(12−1)キセノンランプ照射試験
太陽電池裏面保護用シートをP1層側の面に試験光が当たるように設置し、フィルタとしてインナーに石英ガラス製フィルタ、アウターにデイライトフィルタを搭載したスーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS−K−7350−2(2008)準拠の下、照射強度180W/m2(300−400nm)、温度(ブラックパネル温度)63℃、相対湿度50%の条件でキセノンランプ照射試験を2000時間行う。本試験ではキセノンランプ照射を継続の下、102分毎に装置内蔵の噴霧装置を用いた噴霧処理を18分間行うというサイクル(1サイクル120分)を1000回繰り返す。
太陽電池裏面保護用シートを縦6cm、横7cmの長方形に切り出す。長方形サンプルの中心と中心から縦方向に1.5cm、横方向に2cm離れた4点の計5か所の厚みを厚み計にて測定し、それら5点の厚みの平均値を太陽電池裏面保護用シートの厚みとする。
前項(12−2)にて得られた太陽電池裏面保護用シートの厚みをキセノンランプ照射試験前のシート厚み(L0)とする。上記(12−2)で用いた長方形サンプルに対し前項(12−1)に記載のキセノンランプ照射試験(2000時間)を行い、前項(12−1)に記載の方法にて測定したキセノンランプ照射試験後の厚みをキセノンランプ照射試験後のシート厚み(L1)とする。L0、L1を用いて、下記式(9)を用いて算出されるΔLを膜厚減少量とした。
膜厚減少量(ΔL)=L1―L0・・・(9)
(13)長期絶縁性評価
(13−1)部分放電電圧測定
IEC60664/A2:2002に準拠の下、50mm×50mmの大きさに切り出した太陽電池裏面保護用シートについて、P1層側を上側測定面として部分放電電圧試験装置“KPD2050”(菊水電子(株)製)を用い下記条件で部分放電電圧試験実施した。
最大電圧:1.6KV
周波数:50Hz
試験時間:22.0s
テストパターン:Ramp(昇圧10.0s、最大電圧保持2.0s、降圧10.0s)
パルス検出方法・レベル:+50%
消滅電圧測定電荷:50pC
5枚の異なる切り出しサンプルについて測定を行い、前記試験で求められる消滅電圧(V)の平均値を太陽電池裏面保護用シートの部分放電電圧(V0)とした。
前項(8−2)に記載の屋外実曝露試験で用いた架台に、太陽電池裏面保護用シートのP1層側に太陽光が直接当たるように設置し2年間の屋外実暴露試験を行った。試験後の太陽電池裏面保護用シートを前項(13−1)と同様にして部分放電電圧(V1)を求めた。
前項(13−1)で求まる太陽電池裏面保護用シートの部分放電電圧(V0)、前項(13−1)で求まる屋外実曝露試験後の太陽電池裏面保護用シートの部分放電電圧(V1)を用いて、下記式(10)により求まる部分放電電圧低下量(ΔV)を求めた。そ
部分放電電圧低下量(ΔV)=V1―V0・・・(10)
ΔVの数値から太陽電池裏面保護用シートの長期絶縁性を下記の通り評価した。
部分放電電圧低下量(ΔV)が0V以上6V未満:A
部分放電電圧低下量(ΔV)が6V以上8.5V未満:B
部分放電電圧低下量(ΔV)が8.5V以上15V未満:C
部分放電電圧低下量(ΔV)が15V以上:D
太陽電池裏面保護用シートの長期絶縁性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
(ポリエステル系樹脂原料)
1.PET原料1(実施例1〜14、比較例1〜6に用いた)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マンガン0.065質量部(Mn金属元素換算で2.91mol/t)、三酸化アンチモン0.03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.012質量部(1.25mol/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.027質量部(1.65mol/t相当)をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、COOH末端基量15eq./tのポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160
℃で6時間乾燥、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.85、COOH末端基量10eq./tのポリエチレンテレフタレート(PET−1)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100質量部、ジオール成分としてエチレングリコール100質量部を用い、触媒として酢酸マンガン、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いた以外は上記1.項と同様の操作により固有粘度0.80、COOH末端基量10eq./tのポリエチレンテレフタレート(PET−2)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100質量部、ジオール成分としてエチレングリコール100質量部を用い、触媒として酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、亜リン酸を用いた以外は上記1.項と同様の操作により固有粘度0.70、COOH末端基量300eq./tのポリエチレンテレフタレート(PET−3)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のガラス転移温度は82℃、融点は255℃であった。
上記1.項によって得られたPET樹脂(PET−1)100質量部と、平均粒子径0.210μmのルチル型酸化チタンA(TiO2−A)25質量部を、ベントした290℃の2軸押出機内(スクリュー:45mm径、回転数200rpm)で溶融混練し、20質量%酸化チタンマスターペレットを作製した。その後、20質量%酸化チタンマスターペレット100質量部とチタン粒子A(TiO2−A)60質量部を再度2軸押出機内にて(スクリュー:45mm径、回転数200rpm)で溶融混練し、50質量%PET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))を得た。
平均粒子径0.090μmのルチル型酸化チタン粒子B(TiO2−B)を用いた以外は上記4.項に記載の方法にて50質量%PET−1原料ベース酸化チタンBマスターペレット(PET−TiO2(1B))を得た。
平均粒子径0.270μmのルチル型酸化チタン粒子C(TiO2−C)を用いた以外は上記4.項に記載の方法にて50質量%PET−1原料ベース酸化チタンCマスターペレット(PET−TiO2(1D))を得た。
平均粒子径0.290μmのルチル型酸化チタン粒子D(TiO2−D)を用いた以外は上記4.項に記載の方法にて50質量%PET−1原料ベース酸化チタンCマスターペレット(PET−TiO2(1D))を得た。
上記2.項によって得られたPET樹脂(PET−2)と、平均粒子径0.210μmのルチル型酸化チタンA(TiO2−A)を用いた以外は上記4.項に記載の方法で50質量%PET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(2A))を得た。
180℃で2時間真空乾燥したPET原料(PET−1)とPET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))をP1層の原料として、180℃で2時間真空乾燥したPET原料(PET−3)とPET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))をP2層原料として、粒子量が表1の濃度となるように調合し280℃の押出機内で溶融混練し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金よりシート状に溶融押出して表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて、未延伸シートを得た。続いて、該未延伸シートを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、表1に記載の「長手方向延伸温度(℃)」に加熱したロールと25℃の温度に調整したロール間で速度差をつけることで長手方向(縦方向)に表1に記載の「長手方向延伸倍率(倍)」にて延伸した後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸シートを得た。
実施例13では、PET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))の代わりにPET−1原料ベース酸化チタンBマスターペレット(PET−TiO2(1B))を、実施例14では、PET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))の代わりにPET−1原料ベース酸化チタンCマスターペレット(PET−TiO2(1C))を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。
PET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))の代わりにPET−1原料ベース酸化チタンCマスターペレット(PET−TiO2(1C))を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。得られたシートの特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、シート厚み、P1層含有の元素量、P1層の断面観察により求められるP1層に含有する白色顔料の平均粒子径、白色顔料の構成元素は表1、2に示す通りであった。
180℃で2時間真空乾燥したPET原料(PET−1)とPET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))をP1層の原料として、180℃で2時間真空乾燥したPET原料(PET−3)とPET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))をP2層原料として使用し、酸化チタン含有量及び、製膜条件を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にシートを得た。得られたシートの特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、シート厚み、P1層含有の元素量、P1層の断面観察により求められるP1層に含有する白色顔料の平均粒子径、白色顔料の構成元素は表1、2に示す通りであった。
得られた太陽電池裏面保護用シートについて、太陽電池裏面保護用シートとしての特性評価および太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果は表2、3に示すとおり、長手方向延伸倍率(比較例1)、長手方向延伸温度(比較例2)、熱処理温度(比較例3)、P1層の酸化チタン含有濃度(比較例4)が好ましい範囲から外れる場合、フィルムの紫外線照射処理後の白粉発生量ΔHは著しく低下し、該太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池モジュールは屋外実暴露試験後の粉吹きと色調変化の抑制効果が著しく低下することを確認した。また比較例4では熱処理温度の低温化によりと膜厚減少量ΔLの低下に伴い長期絶縁性が低下することを確認した。
180℃で2時間真空乾燥したPET原料(PET−1)とPET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))をP1層の原料として、180℃で2時間真空乾燥したPET原料(PET−3)とPET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))をP2層原料として使用し、酸化チタン含有量及び、製膜条件を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にシートを得た。得られたシートの特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、シート厚み、P1層含有の元素量、P1層の断面観察により求められるP1層に含有する白色顔料の平均粒子径、白色顔料の構成元素は表1、2に示す通りであった。
得られた太陽電池裏面保護用シートについて、太陽電池裏面保護用シートとしての特性評価および太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果は表2、3に示すとおり、P1層の酸化チタン含有濃度(比較例4)を好ましい範囲の下限から外れる場合、フィルムの紫外線照射処理後の白粉発生量ΔHは下限範囲外になり、粉吹きが抑制できるものの色調変化Δb*が著しく悪化し、該太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池モジュールは屋外実暴露試験後の粉吹きと色調変化の抑制効果を両立することが困難となることを確認した。更に、該太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池モジュールでは屋外実暴露試験後にシート表面でのクラック発生が確認され、長期絶縁性も著しく低下することが判明した。
PET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))の代わりにPET−1原料ベース酸化チタンDマスターペレット(PET−TiO2(1D))を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。得られたシートの特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、シート厚み、P1層含有の元素量、P1層の断面観察により求められるP1層に含有する白色顔料の平均粒子径、白色顔料の構成元素は表1、2に示す通りであった。
得られた太陽電池裏面保護用シートについて、太陽電池裏面保護用シートとしての特性評価および太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果は表2、3に示すとおりであり、P1層に含有される酸化チタンの平均粒子径が0.3μmになると太陽電池裏面保護用シートの紫外線照射処理後の白粉発生量ΔHは著しく上昇し、該太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池モジュールは屋外実暴露試験後の粉吹きと色調変化の抑制効果が著しく低下することを確認した。
PET−1原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(1A))の代わりにPET−2原料ベース酸化チタンAマスターペレット(PET−TiO2(2A))を用いた以外は実施例1と同様にシートを得た。得られたシートの特性を評価したところ固有粘度(IV)、末端カルボキシル基量および、シート厚み、P1層含有の元素量、P1層の断面観察により求められるP1層に含有する白色顔料の平均粒子径、白色顔料の構成元素は表1、2に示す通りであった。
得られた太陽電池裏面保護用シートについて、太陽電池裏面保護用シートとしての特性評価および太陽電池モジュール特性評価を行った。その結果は表2、3に示すとおりであり、P1層を構成するポリエステル樹脂におけるリン元素ガ含有量及び、金属元素含有量の比であるM/Pが好ましい範囲から外れることで、太陽電池裏面保護用シートの紫外線照射処理後の白粉発生量ΔHは著しく上昇し、該太陽電池裏面保護用シートを用いた太陽電池モジュールは屋外実暴露試験後の粉吹きと色調変化の抑制効果が著しく低下することを確認した。また、長期絶縁性が低下することが確認された。これは、マスターペレット中における酸化チタンの分散性が低下したことによる影響と推定された。
2.P2層
3.発電素子
4.封止材
5.透明基板
6.太陽光電池裏面保護用シート
Claims (6)
- 少なくとも片側の表層にポリエステル樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)を有し、前記ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする層(P1層)とポリエステル樹脂を主たる構成成分とする基材層(P2層)を隣接して有しており、P1層を構成するポリエステル樹脂およびP2層を構成するポリエステル樹脂がともに白色顔料を含有し、P1層を構成するポリエステル樹脂の白色顔料含有量が6質量%以上13質量%以下であり、以下(1)を満たすことを特徴とする太陽電池裏面保護用シート。
(1)P1層表面を下記条件でテープ剥離試験を実施し、剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH0、P1層表面を下記条件で紫外線照射処理を実施した後に下記条件でテープ剥離試験を実施し剥離したテープを下記条件でヘイズメーターにて測定した時のヘイズ値をH1とするとき、式(i)で表されるΔHが5%以上30%以下であること。
式(i)ΔH=H1−H0
《テープ剥離試験条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に、セキスイセロテープNo.252(積水化学工業(株)製、テープ幅15mm)を貼付け、2kgのゴムローラーを用いて圧着した後、0.12m/分〜0.18m/分の速度で180度剥離させる。
《ヘイズ測定条件》
P1層から剥離したセキスイセロテープを、JIS−K7105(1981)に基づき、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて、セロテープの厚さ方向のヘイズ(%)を測定する。3回の測定値の平均をヘイズ値とする。
《紫外線照射処理条件》
太陽電池裏面保護用シートのP1層側の面に試験光が当たるように設置し、アイスーパー紫外線テスターS−W161(岩崎電気(株)製)を用いて、温度60℃、相対湿度50R%、照度150mW/cm2(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm、JIS−C−1613に準拠)の条件下で72時間照射を行う。 - 前記P1層の厚みが、前記P1層および前記P2層の合計厚みに対して10%以上30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面保護用シート。
- 前記P1層およびP2層に含有する白色顔料がいずれも酸化チタンであり、その個数平均粒子径がいずれも0.1μm以上0.3μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池裏面保護用シート。
- 前記P1層を構成するポリエステル樹脂組成物がリン酸とリン酸アルカリ金属塩を含有し、リン元素の含有量P(mol/t)が該ポリエステル樹脂全体に対して1.8mol/t以上5.0mol/t以下であり、Mn、Caの少なくともいずれか1種類の金属元素を含有し、Mn、Ca以外の2価の金属元素の含有量がそれぞれ該ポリエステル樹脂全体に対して5ppm以下であり、前記ポリエステル樹脂全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)とし、前記ポリエステル樹脂全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記(ii)式で求められる、前記ポリエステル樹脂における金属含有量M(mol/t)と、前記リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記(iii)式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用シート。
式(ii)M=M1/2+M2
式(iii)1.1≦M/P≦3.0 - 前記P1層表面を下記条件でキセノンランプ照射試験を2000時間実施した際の膜厚減少量(ΔL)が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用シート。
《キセノンランプ照射試験条件》
太陽電池裏面保護用シートをP1層側の面に試験光が当たるように設置し、フィルタとしてインナーに石英ガラス製フィルタ、アウターにデイライトフィルタを搭載したスーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS−K−7350−2(2008)準拠の下、照射強度180W/m2(300−400nm)、温度(ブラックパネル温度)63℃、相対湿度50%の条件でキセノンランプ照射試験を2000時間行う。本試験ではキセノンランプ照射を継続の下、102分毎に装置内蔵の噴霧装置を用いた噴霧処理を18分間行うというサイクル(1サイクル120分)を1000回繰り返す。
《膜厚減少量測定条件》
太陽電池裏面保護用シートを縦6cm、横7cmの長方形に切り出す。長方形サンプルの中心と中心から縦方向に1.5cm、横方向に2cm離れた4点の計5か所の厚みを厚み計にて測定し、それら5点の厚みの平均値をキセノンランプ照射試験前のシート厚み(L0)とする。
当該長方形サンプルを、上述のキセノンランプ照射試験を2000時間実施した後、上記と同様の方法でシート厚みを測定して、得られた値をキセノンランプ照射試験後のシート厚み(L1)とする。L0、L1を用いて、下記式(9)より、膜厚減少量(ΔL)を求める。
膜厚減少量(ΔL)=L1―L0・・・式(9) - 請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用シートを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
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