JPWO2017217490A1 - セラミック素地及びその製造方法 - Google Patents

セラミック素地及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017217490A1
JPWO2017217490A1 JP2017559729A JP2017559729A JPWO2017217490A1 JP WO2017217490 A1 JPWO2017217490 A1 JP WO2017217490A1 JP 2017559729 A JP2017559729 A JP 2017559729A JP 2017559729 A JP2017559729 A JP 2017559729A JP WO2017217490 A1 JPWO2017217490 A1 JP WO2017217490A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
powder
terms
zro
ceramic substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017559729A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6314292B1 (ja
Inventor
浩 河野
河野  浩
勇治 梅田
勇治 梅田
陽彦 伊藤
陽彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
NGK Electronics Devices Inc
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
NGK Electronics Devices Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd, NGK Electronics Devices Inc filed Critical NGK Insulators Ltd
Application granted granted Critical
Publication of JP6314292B1 publication Critical patent/JP6314292B1/ja
Publication of JPWO2017217490A1 publication Critical patent/JPWO2017217490A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B35/00Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/01Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics
    • C04B35/10Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics based on aluminium oxide
    • C04B35/111Fine ceramics
    • C04B35/117Composites
    • C04B35/119Composites with zirconium oxide

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

セラミック素地は、結晶相が、Al2O3及びZrO2を主結晶相とし、MgAl2O4及びBaAl2Si2O8を含む。X線回折パターンにおいて、ZrO2の単斜晶相及び正方晶相それぞれのピーク強度の和に対する、前記単斜晶相のピーク強度の割合は、0.1%未満である。

Description

本発明は、セラミック素地及びその製造方法に関する。
従来、アルミナ(Al)及びジルコニア(ZrO)を主成分とするセラミック素地が知られている。
特許文献1には、主成分であるアルミナと、副成分である部分安定化ジルコニアと、マグネシアとからなる成形体を焼成することによってセラミック素地を形成する手法が提案されている。この手法によれば、セラミック素地における部分安定化ジルコニアの80%以上を正方晶相にできるため、セラミックス素地の曲げ強度を高めることができるとされている。
特許第4717960号
ここで、セラミックス素地を用いたセラミックスパッケージを小型化するために、セラミックス素地の曲げ強度をより向上させたいという要請がある。しかしながら、特許文献1に記載の手法では、部分安定化ジルコニアの正方晶相の割合をさらに高めることが困難であるため、曲げ強度を向上させるにも限界がある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、曲げ強度を向上可能なセラミック素地及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明に係るセラミック素地は、結晶相が、Yによって部分安定化されたZrO及びAlを主結晶相とし、MgAl及びBaAlSiを含む。X線回折パターンにおいて、ZrOの単斜晶相及び正方晶相それぞれのピーク強度の和に対する、前記単斜晶相のピーク強度の割合は、0.1%未満である。
本発明によれば、曲げ強度を向上可能なセラミック素地及びその製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係るセラミック素地を用いた第1の構成例(第1パッケージ)を示す断面図である。 本実施の形態に係るセラミック素地の製造方法を、第1パッケージの製造方法と共に示す工程ブロック図である。 本実施の形態に係るセラミック素地を用いた第2の構成例(第2パッケージ)を示す断面図である。 本実施の形態に係るセラミック素地の製造方法を、第2パッケージの製造方法と共に示す工程ブロック図である。 実施例9に係るセラミック素地のX線回折パターン 実施例10に係るセラミック素地のX線回折パターン
以下、本発明に係るセラミック素地及びその製造方法の実施の形態例について、図1〜図4を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
(セラミック素地の特性)
本実施の形態に係るセラミック素地は、結晶相が、Yによって部分安定化されたZrO及びAlを主結晶相とし、その他、MgAl及びBaAlSiを含む。
具体的に、セラミック素地は、AlをAl換算で70.0〜90.0質量%、ZrをZrO換算で10.0〜30.0質量%含み、AlとZrOの合計を100質量%とした場合、YをY換算で0.2〜2.5質量%、MnをMnO換算で2.0〜7.0質量%、SiをSiO換算で2.0〜7.0質量%、BaをBaO換算で0.5〜2.0質量%、MgをMgO換算で0.5〜2.0質量%含むことが好ましい。
これにより、焼成後におけるセラミック素地のX線回折パターンにおいて、ZrOの単斜晶相(monoclinic相)及び正方晶相(tetragonal相)それぞれのピーク強度の和に対する、単斜晶相のピーク強度の割合(以下、「M相率」という。)を0.1%未満とすることができる。具体的には、次の式(1)が成立する。
M相率[%]=100×[Im(111)+Im(11/1)]/[Im(111)+Im(11/1)+It(101)]<0.1[%]・・・・(1)
式(1)において、Im(111)は単斜晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度であり、Im(11/1)は単斜晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度であり、It(101)は正方晶(101)面のX線回折パターンのピーク強度である。X線回折パターンの測定は、リガク社製のX線回折装置「型式MiniFlexII」を用いて行うことができる。
Figure 2017217490
このように、正方晶相よりも強度の低い単斜晶相の割合を抑えることによって、焼成後におけるセラミック素地の強度を特に向上させつつ、低ヤング率を達成することができる。具体的には、焼成後のセラミック素地において、650MPa以上の曲げ強度と、300GPa以下のヤング率を実現することができる。曲げ強度の上限は特に制限されないが、曲げ強度は1100MPa以下が好ましい。ヤング率の下限は特に制限されないが、ヤング率は240GPa以上が好ましい。本実施形態において、“曲げ強度”とは、4点曲げ強度を意味し、JISR1601(ファインセラミックスの曲げ試験方法)に準拠し室温にて測定した値である。
また、150〜200℃、100時間の条件で熱エージングした後におけるM相率は、3.0%未満であることが好ましい。このように、熱エージングによってZrOが正方晶相から単斜晶相に相変態することを抑制できるため、高温の使用環境下に長時間暴露された後におけるセラミック素地の強度を維持することができる。熱エージングした後のM相率は、焼成後のM相率と同様、上記式(1)によって算出できる。
ここで、一般的なセラミック素地では、曲げ強度が高くなるに従って、ヤング率も高くなる。ヤング率が高くなると、変形しにくく脆くなるため、クラックが発生しやすく、また、チップ分割時のチッピングが発生しやすくなるという問題がある。
一方、本実施の形態に係るセラミック素地では、曲げ強度が650MPa以上かつヤング率が300GPa以下であるため、チップ分割時のチッピング発生率を低減できるとともに、パッケージ部品等として搭載された際の曲げ応力による破壊を抑制でき、さらに、ロウ付けする際のクラックの発生も抑制することができる。従って、本実施形態に係るセラミック素地によれば、高周波デバイス用パッケージなどに用いられるセラミック素地の小型化を低コストで実現することができる。
なお、Alの含有量をAl換算で70.0〜90.0質量%とすることで、生成されるAlの量が最適となり、焼成温度が上昇しても、Alの結晶粒径の増大を抑えることができ、もって曲げ強度の向上を図り易くなる。
Zrの含有量をZrO換算で10.0〜30.0質量%とすることで、曲げ強度が向上し易くなると共に、ヤング率が高くなるのを抑えることができ、また、誘電率の増大や熱伝導率の低下を抑えることができる。
Yの含有量をY換算で0.2〜2.5質量%とすることで、ZrOの結晶構造を部分的に安定化させることができるため、曲げ強度の向上を図ることができる。Yの含有量は、ZrOに対して、2〜4mol%(3.6〜7.1wt%)とすることができる。
Mnの含有量をMnO換算で2.0〜7.0質量%とすることで、生成されるガラス相の量の低下を抑えることができ、1250〜1500℃での緻密化を達成し易くなり、また、生成されるガラスの軟化温度の低下並びに気孔率の増大を抑えることができる。さらに、曲げ強度の低下を抑えることができる。
Siの含有量をSiO換算で2.0〜7.0質量%とすることで、生成されるガラス相の量の低下を抑えることができ、1250〜1500℃での緻密化を達成し易くなり、また、生成されるガラスの軟化温度の低下並びに気孔率の増大を抑えることができる。さらに、曲げ強度の低下を抑えることができる。
Mgの含有量をMgO換算で0〜2.0質量%とすることで、YがAlと反応する前に、MgOがAlと反応することでMgAl(スピネル)を析出させることができるため、安定化剤としてのYがZrOから脱固溶することを抑制できる。その結果、焼成後のセラミック素地におけるM相率を0.1%未満とすることができる。
Baの含有量をBaO換算で0.5〜2.0質量%とすることで、SiOがZrOと反応する前に、BaOがSiOと反応することでBaAlSiを析出させることができるため、SiOとの反応によってZrOが粒成長することを抑制できる。従って、焼成中において、ZrOが正方晶相から単斜晶相に相変態することを抑制できるとともに、高温の使用環境下において、ZrOが正方晶相から単斜晶相に相変態することを抑制できる。その結果、焼成後のセラミック素地におけるM相率を0.1%未満に抑えるとともに、熱エージング後のセラミック素地におけるM相率を3.0%未満に抑えることができる。
このようなセラミック素地は、例えばAl粉末を70.0〜90.0質量%、ZrO粉末を10.0〜30.0質量%含み、Al粉末とZrO粉末の合計を100質量%とした場合、Y粉末を0.2〜2.5質量%、MnO粉末を2.0〜7.0質量%、SiO粉末を2.0〜7.0質量%、BaO粉末を0.5〜2.0質量%、MgO粉末を0.5〜2.0質量%含む成形体を作製した後、成形体を1250〜1500℃にて焼成することにより作製される。
この場合、下記表1に示すように、Alについては、原料(Al粉)の平均粒度が0.3〜2.5μmであり、且つ、焼結体とした際のAlの結晶粒径が0.5〜3.0μmであることが好ましい。また、ZrOについては、原料(ZrO粉)の平均粒度が0.05〜1.0μmであり、且つ、焼結体とした際のZrOの結晶粒径が0.05〜1.0μmであることが好ましい。
Figure 2017217490

なお、原料の平均粒度は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法(HORIBA製、LA−920)により測定して得られる体積基準粒度分布において、小粒径側からの通過分積算(積算通過分率)50%の粒子径をいう。
焼結体とした際の結晶粒径は、以下のようにして求められる。すなわち、焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡にて撮像したとき、撮像した画像全体で500〜1000個程度の結晶粒子が写るように走査型電子顕微鏡の倍率を調整する。そして、撮像した画像中、無作為に選出した100個の結晶粒子を、画像処理ソフトを用いて、各々真円に換算した粒径の平均により算出する。
セラミック素地の誘電正接は、1MHzにおいて、30×10−4以下が好ましい。これにより、セラミック素地を高周波用回路基板に好適に用いることができる。また、セラミック素地の比誘電率は、10〜15が好ましい。
なお、必要に応じて、着色剤としてMo(モリブデン)酸化物やW(タングステン)酸化物やCr(クロム)酸化物を1.0質量%以下含めるようにしてもよい。これにより、温度1250〜1500℃という低温にて焼結させることができる。
(セラミック素地を用いたセラミックパッケージ)
ここで、本実施の形態に係るセラミック素地を用いたセラミックパッケージの2つの構成例について図1〜図4を参照しながら説明する。
(1)第1パッケージ10Aの構成
第1の構成例に係るセラミックパッケージ(以下、第1パッケージ10Aと記す)は、図1に示すように、本実施の形態に係るセラミック素地にて構成された積層基板12と、同じく本実施の形態に係るセラミック素地にて構成された蓋体14とを有する。
積層基板12は、少なくとも板状の第1基板16aと、板状の第2基板16bと、枠体18とがこの順番で積層されて構成されている。また、この積層基板12は、第2基板16bの上面に形成された上面電極20と、第1基板16aの下面に形成された下面電極22と、内部に形成された内層電極24と、該内層電極24と下面電極22とを電気的に接続する第1ビアホール26aと、内層電極24と上面電極20とを電気的に接続する第2ビアホール26bとを有する。
第1パッケージ10Aは、第2基板16bの上面と枠体18とで囲まれた収容空間28に、水晶振動子30が導体層32を介して上面電極20に電気的に接続されている。さらに、水晶振動子30を保護するため、枠体18の上面に、蓋体14がガラス層34を介して気密に封止されている。
第1パッケージ10Aでは、収容空間28内に、水晶振動子30を実装した例を示したが、その他、抵抗体、フィルタ、コンデンサ、半導体素子のうち、少なくとも1種以上を実装してもよい。
本実施の形態では、積層基板12の誘電正接が、1MHzにおいて、好ましくは30×10−4以下であるため、高周波用回路基板としても好適である。
また、本実施の形態では、積層基板12及び蓋体14の曲げ強度が650MPa以上、かつ、ヤング率が300GPa以下である。そのため、チップ分割時のチッピングや、蓋体14の封止時及び2次実装時の熱応力による破損を抑制することができる。
さらに、セラミック素地を表面研磨せずに、第1パッケージ10Aの積層基板12及び蓋体14として使用しても、蓋体14を気密封止する際の破壊を防止することができるため、第1パッケージ10Aの製造コスト及び信頼性を改善することができる。
そして、本実施の形態に係るセラミック素地が、上述した組成を有することから、温度1250〜1500℃という低温にて焼結させることができる。そのため、セラミック素地の前駆体(焼成前の成形体)と、電極(上面電極20、下面電極22、内層電極24)及びビアホール26(第1ビアホール26a、第2ビアホール26b)とを同時焼成することで、積層基板12を作製することができ、製造工程を簡略化することができる。
(2)第1パッケージ10Aの製造方法
次に、セラミック素地の製造方法について、例えば第1パッケージ10Aの製造方法に沿って図2を参照しながら説明する。
先ず、図2のステップS1aにおいて、Al粉末を70.0〜90.0質量%、ZrO粉末を10.0〜30.0質量%含み、AlとZrOの合計を100質量%とした場合、YをY換算で0.2〜2.5質量%、MnO粉末を2.0〜7.0質量%、SiをSiO換算で2.0〜7.0質量%、BaO粉末を0.5〜2.0質量%、MgO粉末を0.5〜2.0質量%含有する混合粉末を準備する。次に、ステップS1bにおいて、有機成分(バインダー)を準備し、ステップS1cにおいて、溶剤を準備する。
Al粉末の平均粒度は0.3〜2.5μmが好ましい。ZrO粉末の平均粒度は0.05〜1.0μmが好ましい。この範囲であれば、均一な磁器を得る上で好適であり、緻密化による強度の向上、Al及びZrO自身の焼結性の向上を図ることができる。
MnO粉末の平均粒度は0.5〜4.0μmが好ましい。SiO粉末の平均粒度は0.1〜2.5μmが好ましい。BaO粉末の平均粒度は0.5〜4.0μmが好ましい。MgO粉末の平均粒度は0.1〜1.0μmが好ましい。
これらMnO粉末、SiO粉末、BaO粉末、MgO粉末において、好ましい範囲であれば、粒子の分散性の向上、組成の均一化をもたらし、強度の向上を図ることができる。
ステップS1bにおいて準備される有機成分(バインダー)は、樹脂、界面活性剤、可塑剤等が挙げられる。樹脂としては、例えばポリビニルブチラールが挙げられ、界面活性剤としては、例えば3級アミンが挙げられ、可塑剤としては、例えばフタル酸エステル(例えばフタル酸ジイソノニル:DINP)が挙げられる。
ステップS1cにおいて準備される溶剤は、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤等が挙げられる。アルコール系溶剤としては、例えばIPA(イソプロピルアルコール)が挙げられ、芳香族系溶剤としては、例えばトルエンが挙げられる。
そして、次のステップS2において、上述の混合粉末に、有機成分及び溶剤を混合、分散させた後、ステップS3において、プレス法、ドクターブレード法、圧延法、射出法等の周知の成形方法によって、セラミック素地の前駆体であるセラミックテープ(セラミック成形体の一例)を作製する。例えば混合粉末に有機成分や溶剤を添加してスラリーを調製した後、ドクターブレード法によって所定の厚みのセラミックテープを作製する。あるいは、混合粉末に有機成分を加え、プレス成形、圧延成形等により所定の厚みのセラミックテープを作製する。
ステップS4において、セラミックテープを所望の形状に切断、加工して、第1基板用の広い面積の第1テープと、第2基板用の広い面積の第2テープと、枠体用の第3テープと、蓋体用の第4テープを作製し、さらに金型による打ち抜き加工、マイクロドリル加工、レーザー加工等により、第1ビアホール26a及び第2ビアホール26bを形成するための貫通孔を形成する。
次に、ステップS5において、上述のように作製した第1テープ及び第2テープに対して、上面電極20、下面電極22、内層電極24を形成するための導体ペーストをスクリーン印刷、グラビア印刷等の方法により印刷塗布し、さらに、所望により、導体ペーストを貫通孔内に充填する。
導体ペーストは、導体成分として、例えばW(タングステン)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうち少なくとも1種を用い、これにAl粉末、SiO粉末、又はセラミック素地と同等の粉末を例えば1〜20質量%、特に8質量%以下の割合で添加したものが好ましい。これにより、導体層の導通抵抗を低く維持したままアルミナ焼結体と導体層の密着性を高め、めっき欠け等の不良の発生を防止することができる。
その後、ステップS6において、導体ペーストを印刷塗布した第1テープ及び第2テープ並びに枠体用の第3テープを位置合わせし、積層圧着して、積層体を作製する。
その後、ステップS7において、積層体の両面にチップ分割のための分割溝を例えばナイフカットにて形成する。
次のステップS8において、積層体及び第4テープを、水素を5%以上含む、水素と窒素のフォーミングガス雰囲気、例えばH/N=30%/70%のフォーミングガス雰囲気(ウェッター温度25〜47℃)で、1250〜1500℃の温度範囲で焼成する。これによって、積層体及び導体ペーストが同時焼成された積層原板(多数個取り基板)が作製される。この焼成によって、上述したように、結晶相が、Yによって部分安定化されたZrO及びAlを主結晶相とし、その他、MgAl及びBaAlSiを含むセラミック素地、すなわち、多数個取り基板を作製することができる。
焼成雰囲気を、上述のようなフォーミングガス雰囲気で行うことで、導体ペースト中の金属の酸化を防止することができる。焼成温度は、上述した温度範囲が好ましい。緻密化を促進させることができ、曲げ強度を向上させることができる。また、積層体を構成する第1テープ、第2テープ及び第3テープの収縮率のばらつきを少なくすることができ、寸法精度の向上、並びに歩留まりの向上も図ることができる。焼成温度を高くする必要がないため、それだけ設備にコストをかける必要がない。
また、焼結体とした際のAlの結晶粒径は0.7〜3.0μmであることが好ましく、焼結体とした際のZrOの結晶粒径は0.05〜1.0μmであることが好ましい。この範囲であれば、均一な磁器を得る上で好適であり、緻密化による強度の向上、Al及びZrO自身の焼結性の向上を図ることができる。
次に、ステップS9において、上述の多数個取り基板にめっき処理を行って、該多数個取り基板の表面に形成されている導体層に、Ni、Co、Cr、Au、Pd及びCuのうち、少なくとも1種からなるめっき層を形成し、多数個取り基板の表面に多数の上面電極20及び多数の下面電極22を形成する。
その後、ステップS10において、多数個取り基板を、押圧ローラー等で押し当てて複数に分割し(チップ分割)、収容空間28を有する複数の積層基板12を作製する。ステップS11において、複数の積層基板12の各収容空間28にそれぞれ水晶振動子30を上面電極20に導体層32を介して実装する。
そして、ステップS12において、各積層基板12の上面に、封止用のガラス層34が形成されたセラミック製の蓋体14により気密に封止(蓋接合)することによって、内部に水晶振動子30が実装された複数の第1パッケージ10Aが完成する。
この第1パッケージ10Aの製造方法(セラミック素地の製造方法)においては、上述したように、結晶相が、Yによって部分安定化されたZrO及びAlを主結晶相とし、その他、MgAl及びBaAlSiを含む、高周波用回路基板にも好適であり、曲げ強度が650MPa以上、ヤング率が300GPa以下のセラミック素地を作製することができる。また、チップ分割時のチッピング発生率も小さく、歩留りを向上させることができ、セラミック素地を用いた製品(セラミックパッケージ、高周波用回路基板等)の小型化を低コストで実現することができるセラミック素地を、低い焼成温度にて作製することができる。
(3)第2パッケージ10Bの構成
第2パッケージ10Bは、図3に示すように、上述した第1パッケージ10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、金属蓋体40を、積層基板12の枠体18上に、銀ろう等の高温封止材42を用いて気密封止している。
また、積層基板12の枠体18の上面と高温封止材42との間に接合層44が介在されている。この接合層44は、枠体18の上面に、上面電極20と同じ材料で形成されたメタライズ層46と、該メタライズ層46上に形成された例えばニッケル(Ni)の電解めっき層48と、該Niの電解めっき層48上に形成された例えば金(Au)の無電解めっき層50とを有する。
金属蓋体40は、厚みが0.05〜0.20mmの平板状に形成され、鉄−ニッケル合金板あるいは鉄−ニッケル−コバルト合金板にて構成されている。この金属蓋体40の下面(全面あるいは枠体18に対応した部分)には、高温封止材42である銀−銅共晶ろう等のろう材が形成されている。高温封止材42の厚みは5〜20μm程度である。
具体的には、金属蓋体40は、鉄−ニッケル合金板あるいは鉄−ニッケル−コバルト合金板の下面に銀−銅ろう等のろう材箔を重ねて圧延して構成される複合板を打ち抜き金型で所定の形状に打ち抜くことによって作製される。
高温封止材42としては、下記表2に示すろう材1(85Ag−15Cu)、ろう材2(72Ag−28Cu)、ろう材3(67Ag−29Cu−4Sn)等を使用することができる。
Figure 2017217490

Niの電解めっき層48及びAuの無電解めっき層50は、高温封止材42のメタライズ層46に対する濡れ性を向上させる層として機能する。
(4)第2パッケージ10Bの製造方法
次に、第2パッケージ10Bの製造方法について、図4を参照しながら説明する。なお、図2と重複する工程については説明を省略する。
先ず、図4のステップS101において、セラミックテープを作製するための混合粉末、有機成分及び溶剤を準備する。準備する混合粉末、有機成分及び溶剤は、上述したステップS1a、ステップS1b及びステップS1cと同じであるため、その重複説明を省略する。
そして、ステップS102において、上述の混合粉末に、有機成分及び溶剤を混合、分散させた後、ステップS103において、プレス法、ドクターブレード法、圧延法、射出法等の周知の成形方法によって、セラミック素地の前駆体であるセラミックテープ(セラミック成形体の一例)を作製する。
ステップS104において、セラミックテープを所望の形状に切断、加工して、第1基板16a用の広い面積の第1テープと、第2基板16b用の広い面積の第2テープと、枠体18用の第3テープとを作製し、さらに、マイクロドリル加工、レーザー加工等により、第1ビアホール26a及び第2ビアホール26bを形成するための貫通孔を形成する。
一方、ステップS105において、導体ペースト用の原料粉末、有機成分及び溶剤を準備する。準備する原料粉末は、上述したように、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、ニッケル(Ni)等の金属粉末のうち少なくとも1種と、これに適宜Al粉末、又はSiO粉末、又はセラミック素地と同等の粉末を例えば1〜20質量%、特に8質量%以下の割合で添加した混合粉末が挙げられる。準備する有機成分は、樹脂(例えばエチルセルロース)、界面活性剤等が挙げられる。準備する溶剤は、テルピネオール(terpineol)等が挙げられる。
そして、ステップS106において、上述の混合粉末に、有機成分及び溶剤を混合、分散させて導体ペーストを調製する。
次に、ステップS107において、上述のように作製した第1テープ〜第3テープに対して、導体ペーストをスクリーン印刷、グラビア印刷等の方法により印刷塗布する。
その後、ステップS108において、導体ペーストを印刷塗布した第1テープ〜第3テープを位置合わせし、積層圧着して、積層体を作製する。
その後、ステップS109において、積層体の両面にチップ分割のための分割溝を例えばナイフカットにて形成する。
次のステップS110において、積層体を、H/N=30%/70%のフォーミングガス雰囲気(ウェッター温度25〜47℃)で、1250〜1500℃の温度範囲で焼成する。これによって、積層体及び導体ペーストが同時焼成された積層原板(多数個取り基板)が作製される。この多数個取り基板は、多数の枠体18の形状が一体に配列された形状を有する。また、この焼成によって、導体ペーストが電極(上面電極20等)やメタライズ層46となる。
次のステップS111において、アルカリ、酸等で少なくともメタライズ層46の表面を洗浄する(前処理)。すなわち、アルカリ洗浄を行った後、酸洗浄を行う。前処理では、アルカリ及び酸は適当な濃度に希釈されて使用されてもよい。また、前処理は、20℃から70℃程度の温度と、数分から数十分の間で実施される。
ステップS112において、Niの電解あるいは無電解めっき処理を行って、メタライズ層46上にNiのめっき層48(膜厚:1.0〜5.0μm)を形成する。
ステップS113において、Niのめっき層48上にAuの電解あるいは無電解めっき層50(膜厚:0.05〜0.3μm)を形成する。
その後、ステップS114において、多数個取り基板を、押圧ローラー等で押し当てて複数に分割し(チップ分割)、それぞれ収容空間28を有する複数の積層基板12を作製する。その後、ステップS115において、複数の積層基板12の各収容空間28にそれぞれ水晶振動子30を上面電極20に導体層32を介して実装する。
そして、ステップS116において、裏面に高温封止材42が形成された金属蓋体40を、高温封止材42と枠体18の上面(接合層44)側とを対向させて、枠体18上に被せる。その後、金属蓋体40の相対向する外周縁にシーム溶接機の一対のローラー電極を接触させながら転動させると共に、このローラー電極間に電流を流すことで、高温封止材42の一部を溶融させることにより、枠体18上に金属蓋体40を気密封止する。封止時の雰囲気は、Nガス又は真空中で行われる。これにより、内部に水晶振動子30が実装された複数の第2パッケージ10Bが完成する。
実施例1〜14及び比較例1〜4について、セラミック素地のAl及びZrO以外の結晶相、機械特性(曲げ強度(抗折強度)及びヤング率)、電気特性(比誘電率及び誘電正接)を確認した。
(実施例1)
原料粉末を下記表3に示す割合(平均粒径1.70μmのAl粉末:79.51質量%、平均粒径0.50μmのZrO粉末:20.49質量%、MnO粉末:2.84質量%、SiO粉末:2.60質量%、BaO粉末:0.72質量%、MgO粉末:0.54質量%、Y粉末:1.16質量%)で混合して混合粉末を得た。
得られた混合粉末に、有機成分として、ポリビニルブチラール、3級アミン及びフタル酸エステル(フタル酸ジイソノニル:DINP)を混合し、溶剤として、IPA(イソプロピルアルコール)及びトルエンを混合、拡散してスラリーを調製した。
調製したスラリーを用いて、ドクターブレード法にて厚さ60〜270μmのセラミックテープを作製した。得られたセラミックテープを焼成温度(最高温度)が1440℃、H+Nのフォーミングガス雰囲気にて焼成して実施例1に係るセラミック素地を作製した。導体は同時焼成にて形成した。
実施例1では、結晶相の確認用、曲げ強度の確認用、ヤング率の確認用、及び電気特性(比誘電率及び誘電正接)の測定用として4つのセラミック素地を作製した。以下に説明する実施例2〜14及び比較例1〜4についても同様である。
(実施例2)
Al粉末を89.82質量%、ZrO粉末を10.18質量%、MnO粉末を2.82質量%、SiO粉末を2.59質量%、Y粉末を0.58質量%とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例2に係るセラミック素地を作製した。
(実施例3)
MnO粉末を3.38質量%、SiO粉末を2.06質量%とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例3に係るセラミック素地を作製した。
(実施例4)
MnO粉末を2.30質量%、SiO粉末を3.14質量%とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例4に係るセラミック素地を作製した。
(実施例5)
MnO粉末を2.46質量%、SiO粉末を2.26質量%、BaO粉末を1.44質量%とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例5に係るセラミック素地を作製した。
(実施例6)
MnO粉末を2.60質量%、SiO粉末を2.38質量%、BaO粉末を0.65質量%、MgO粉末を1.08質量%とし、焼成温度を1470℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例6に係るセラミック素地を作製した。
(実施例7)
MnO粉末を4.42質量%、SiO粉末を4.04質量%、BaO粉末を1.12質量%、MgO粉末を0.84質量%とし、焼成温度を1390℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例7に係るセラミック素地を作製した。
(実施例8)
Al粉末を71.14質量%、ZrO粉末を28.86質量%、MnO粉末を4.44質量%、SiO粉末を4.06質量%、BaO粉末を1.12質量%、MgO粉末を0.85質量%、Y粉末を1.64質量%とし、焼成温度を1390℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例8に係るセラミック素地を作製した。
(実施例9)
Al粉末の平均粒径を0.50μmとし、焼成温度を1390℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例9に係るセラミック素地を作製した。
(実施例10)
Al粉末の平均粒径を0.50μmとし、MnO粉末を3.86質量%、SiO粉末を3.54質量%、BaO粉末を0.98質量%、MgO粉末を0.74質量%とし、焼成温度を1360℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例10に係るセラミック素地を作製した。
(実施例11)
Al粉末の平均粒径を0.50μmとし、焼成温度を1340℃とした以外は、上述した実施例7と同様にして実施例11に係るセラミック素地を作製した。
(実施例12)
Al粉末の平均粒径を0.50μmとし、Al粉末を79.57質量%、ZrO粉末を20.43質量%、MnO粉末を2.08質量%、SiO粉末を2.89質量%とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例12に係るセラミック素地を作製した。
(実施例13)
Al粉末の平均粒径を0.50μmとし、MnO粉末を6.11質量%、SiO粉末を5.59質量%、BaO粉末を1.55質量%、MgO粉末を1.16質量%とし、焼成温度を1310℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例13に係るセラミック素地を作製した。
(実施例14)
Al粉末の平均粒径を0.50μmとし、Al粉末を71.14質量%、ZrO粉末を28.86質量%、MnO粉末を2.85質量%、SiO粉末を2.61質量%、Y粉末を1.64質量%とし、焼成温度を1390℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして実施例14に係るセラミック素地を作製した。
(比較例1)
Al粉末を76.80質量%、ZrO粉末を23.20質量%、MnO粉末を0.00質量%(添加せず)、SiO粉末を0.61質量%、BaO粉末を0.00質量%(添加せず)、MgO粉末を0.10質量%、Y粉末を1.32質量%とし、焼成温度を1500℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして比較例1に係るセラミック素地を作製した。
(比較例2)
Al粉末を80.87質量%、ZrO粉末を19.13質量%、MnO粉末を0.00質量%(添加せず)、SiO粉末を0.61質量%、BaO粉末を0.00質量%(添加せず)、MgO粉末を0.10質量%、Y粉末を1.08質量%とし、焼成温度を1580℃とした以外は、上述した実施例1と同様にして比較例2に係るセラミック素地を作製した。
(比較例3)
ZrO粉末の平均粒径1.70μmとし、MnO粉末を3.07質量%、SiO粉末を2.81質量%、BaO粉末を0.78質量%、MgO粉末を0.00質量%(添加せず)、Y粉末を1.16質量%とした以外は、上述した実施例1と同様にして比較例3に係るセラミック素地を作製した。
(比較例4)
Al粉末の平均粒径を0.50μmとし、MnO粉末を2.52質量%、SiO粉末を3.50質量%、BaO粉末を0.00質量%(添加せず)とした以外は、上述した実施例1と同様にして比較例4に係るセラミック素地を作製した。
(評価)
<結晶相の確認>
実施例1〜14及び比較例1〜4のセラミック素地の結晶相を、X線回折により同定した。図5は、実施例9のX線回折パターンであり、図6は、実施例10のX線回折パターンである。
結晶相が含まれているかどうかの判定基準として、アルミナのメインピーク(104面)の強度に対し、1%以上のメインピーク強度を持つものとした。すなわち、アルミナのメインピークの強度に対し、1%以上のメインピーク強度の位置(ピーク位置)とミラー指数並びに格子定数等に基づいて、含まれる結晶相を確認した。
そして、ZrOの単斜晶(111)面のピーク強度Im(111)と、ZrOの単斜晶(11−1)面のピーク強度Im(11−1)と、ZrOの正方晶(101)面のピーク強度It(101)とを上記式(1)に代入することによって、単斜晶相のピーク強度の割合を示すM相率を求めた。
さらに、実施例1〜14及び比較例1については、180℃、100時間の相対湿度0〜100%(不飽和)で熱エージングした後、再度、M相率を求めた。
なお、表4に示すように、実施例1〜14及び比較例3では、BaAlSiの結晶相が確認されている。BaAlSiの結晶相には、六方晶(hexagonal)、単斜晶(monoclinic)、斜方晶(orthorhombic)など結晶構造が異なる複数の結晶相が存在している。例えば、図5に示される実施例9では、六方晶のBaAlSiが確認され、図6に示される実施例10では、単斜晶のBaAlSiが確認された。表4では、2種類の結晶相のうち少なくとも一方の結晶相が確認された例に「BaAlSi」と表記されている。
<曲げ強度>
実施例1〜14及び比較例1〜4のセラミック素地の曲げ強度を、JISR1601の4点曲げ強度試験に基づき、室温において測定した。
<ヤング率>
実施例1〜14及び比較例1〜4のセラミック素地のヤング率を、JISR1602の静的弾性率試験方法に基づき、室温において測定した。
<比誘電率>
実施例1〜14及び比較例1〜4のセラミック素地の比誘電率を、JISC2138の静電容量方式により、室温において周波数1MHzで測定した。
<誘電正接>
実施例1〜14及び比較例1〜4のセラミック素地の誘電正接を、JISC2138の静電容量方式により、室温での周波数1MHzで測定した。
実施例1〜14及び比較例1〜4における原料粉末の混合量の内訳を表3に示し、各評価結果を表4に示す。なお、焼成後のセラミック素地における各成分の含有量が、原料粉末の混合量(すなわち、仕込み量)と同値であることは、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、型式iCAP Qc)によって別途確認済みである。
Figure 2017217490
Figure 2017217490
実施例1〜14では、焼成後において、単斜晶相のピーク強度の割合を示すM相率を0.1%未満に抑えることができたため、650MPa以上の曲げ強度と300GPa以下のヤング率とを両立させることができた。これは、MgOをAlと反応させてMgAlを析出することによってYのZrOからの脱固溶を抑制できたとともに、BaをSiOと反応させてBaAlSiを析出することによってZrOの粒成長を抑制できたためである。なお、実施例1〜14において、焼成後のセラミック素地におけるZrOの平均粒径は0.5μmであった。
また、実施例1〜14では、熱エージング後におけるM相率を3.0%未満に抑えることができた。これは、BaをSiOと反応させてBaAlSiを析出することによって、ZrOの粒成長を抑制できたためである。
一方、比較例1〜4では、焼成後におけるM相率が3.0%以上であったため、650MPa以上の曲げ強度と300GPa以下のヤング率とを両立させることができなかった。これは、BaO粉末とMgO粉末の少なくとも一方が十分に添加されなかったため、Yの脱固溶とZrOの粒成長の少なくとも一方を抑制できなかったためである。
10A 第1パッケージ
10B 第2パッケージ
12 積層基板
14 蓋体
16a 第1基板
16b 第2基板
18 枠体
20 上面電極
28 収容空間
30 水晶振動子
M相率[%]=100×[Im(111)+Im(11/1)]/[Im(111)+Im(11/1)+It(101)]<0.1[%]・・・・(1)
式(1)において、Im(111)は単斜晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度であり、Im(11/1)は単斜晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度であり、It(101)は正方晶(101)面のX線回折パターンのピーク強度である。X線回折パターンの測定は、リガク社製のX線回折装置「型式MiniFlexII」を用いて行うことができる。
そして、ZrOの単斜晶(111)面のピーク強度Im(111)と、ZrOの単斜晶(111)面のピーク強度Im(111)と、ZrOの正方晶(101)面のピーク強度It(101)とを上記式(1)に代入することによって、単斜晶相のピーク強度の割合を示すM相率を求めた。

Claims (8)

  1. 結晶相が、Yによって部分安定化されたZrO及びAlを主結晶相とし、MgAl及びBaAlSiを含み、
    X線回折パターンにおいて、ZrOの単斜晶相及び正方晶相それぞれのピーク強度の和に対する、前記単斜晶相のピーク強度の割合は、0.1%未満である、
    セラミック素地。
  2. 150〜200℃、100時間の条件で熱エージングした後、前記単斜晶相のピーク強度の割合は、3.0%未満である、
    請求項1に記載のセラミック素地。
  3. 曲げ強度が650MPa以上、かつ、ヤング率が300GPa以下である、
    請求項1又は2に記載のセラミック素地。
  4. ZrOの結晶粒径は、0.05μm以上1.0μm以下である、
    請求項1乃至3のいずれかに記載のセラミック素地。
  5. AlをAl換算で70.0〜90.0質量%、ZrをZrO換算で10.0〜30.0質量%含み、
    AlとZrOの合計を100質量%とした場合、YをY換算で0.2〜2.5質量%、MnをMnO換算で2.0〜7.0質量%、SiをSiO換算で2.0〜7.0質量%、BaをBaO換算で0.5〜2.0質量%、MgをMgO換算で0.5〜2.0質量%含む、
    請求項1乃至4のいずれかに記載のセラミック素地。
  6. AlをAl換算で70.0〜90.0質量%、ZrをZrO換算で10.0〜30.0質量%含み、AlとZrOの合計を100質量%とした場合、YをY換算で0.2〜2.5質量%、MnをMnO換算で2.0〜7.0質量%、SiをSiO換算で2.0〜7.0質量%、BaをBaO換算で0.5〜2.0質量%、MgをMgO換算で0.5〜2.0質量%含む成形体を作製する成形体作製工程と、
    前記成形体を1250〜1500℃にて焼成する焼成工程と、
    を備えるセラミック素地の製造方法。
  7. 前記成形体作製工程の後に、前記成形体に、金属を含む導体層を形成する工程をさらに備え、
    前記焼成工程では、前記導体層が形成された成形体を焼成する、
    請求項6に記載のセラミック素地の製造方法。
  8. 前記焼成工程は、水素を5%以上含む、水素と窒素のフォーミングガス中で行う、
    請求項6又は7に記載のセラミック素地の製造方法。
JP2017559729A 2016-06-16 2017-06-15 セラミック素地及びその製造方法 Active JP6314292B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016119529 2016-06-16
JP2016119529 2016-06-16
PCT/JP2017/022115 WO2017217490A1 (ja) 2016-06-16 2017-06-15 セラミック素地及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6314292B1 JP6314292B1 (ja) 2018-04-18
JPWO2017217490A1 true JPWO2017217490A1 (ja) 2018-06-28

Family

ID=60663248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017559729A Active JP6314292B1 (ja) 2016-06-16 2017-06-15 セラミック素地及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6314292B1 (ja)
CN (1) CN108025982B (ja)
WO (1) WO2017217490A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112789256B (zh) * 2018-12-06 2022-11-08 日本碍子株式会社 陶瓷烧结体以及半导体装置用基板
CN112789255A (zh) * 2018-12-06 2021-05-11 日本碍子株式会社 陶瓷烧结体以及半导体装置用基板
CN114171479B (zh) * 2022-02-14 2022-05-24 潮州三环(集团)股份有限公司 一种陶瓷封装基座及其制备方法和应用

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5057620B2 (ja) * 2000-08-28 2012-10-24 京セラ株式会社 低温焼成セラミック焼結体、並びに配線基板
JP4717960B2 (ja) * 2009-04-03 2011-07-06 株式会社住友金属エレクトロデバイス セラミックス焼結体およびそれを用いた半導体装置用基板
CN103547544B (zh) * 2011-05-19 2015-02-18 株式会社村田制作所 玻璃陶瓷组合物
JP5821975B2 (ja) * 2012-02-13 2015-11-24 株式会社村田製作所 複合積層セラミック電子部品
WO2013146500A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 日本碍子株式会社 セラミック素地及びその製造方法
CN104212447A (zh) * 2013-05-29 2014-12-17 海洋王照明科技股份有限公司 铥掺杂双碱土铝硅酸盐上转换发光材料、制备方法及其应用
CN106458761B (zh) * 2014-03-19 2019-08-06 日本碍子株式会社 陶瓷基体及其制造方法
DE102014117440B3 (de) * 2014-11-27 2016-04-07 Seaborough IP IV BV Lichtemittierende Remote-Phosphor-Vorrichtung

Also Published As

Publication number Publication date
JP6314292B1 (ja) 2018-04-18
CN108025982B (zh) 2020-11-17
CN108025982A (zh) 2018-05-11
WO2017217490A1 (ja) 2017-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6632995B2 (ja) セラミック素地及びその製造方法
JP6609622B2 (ja) 配線基板
JP4883228B2 (ja) 低温焼結セラミック焼結体および多層セラミック基板
JP5645136B2 (ja) 誘電体磁器組成物、多層誘電体基板、電子部品、及び誘電体磁器組成物の製造方法
JP5902292B2 (ja) セラミック素地及びその製造方法
JP6314292B1 (ja) セラミック素地及びその製造方法
JPWO2010079696A1 (ja) 低温焼結セラミック材料およびセラミック基板
JP6573872B2 (ja) セラミック素地及びその製造方法
JP6728859B2 (ja) セラミック基板およびその製造方法
JP6406646B2 (ja) セラミックパッケージ及び電子部品
JP6581967B2 (ja) セラミック素地及びその製造方法
JP5582150B2 (ja) セラミック焼結体およびその製造方法
JP6640112B2 (ja) セラミック素地及びその製造方法
JP2005145722A (ja) 酸化物セラミックの製造方法およびこれを用いたセラミック多層基板の製造方法およびパワーアンプモジュール
JPWO2011122407A1 (ja) 金属ベース基板
JP5110419B2 (ja) Ag粉末、導体ペースト及び多層セラミック基板とその製造方法
JP2015005640A (ja) 多層セラミック基板およびその製造方法
CN117524730A (zh) 导电性膏以及层叠型电子部件
JP2005123460A (ja) 多層セラミック基板の製造方法
JP2005260136A (ja) 低温焼成多層セラミック基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180116

TRDD Decision of grant or rejection written
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180221

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180326

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6314292

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150