JPWO2017183133A1 - 熱延鋼板、鋼材、及びコンテナ - Google Patents

熱延鋼板、鋼材、及びコンテナ Download PDF

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Abstract

この熱延鋼板は、所定の化学成分を有する鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケール層とを有し、前記スケール層中の、前記鋼板と前記スケール層との界面に、Sn含有量が前記鋼板のSn含有量の1.4倍以上であるSn濃化層が存在し、前記スケール層の平均厚さが1.0〜15.0μmであり、前記スケール層が、ウスタイト、ヘマタイト、マグネタイトの1種または2種以上の鉄酸化物を含み、前記スケール層中において、前記ウスタイトの質量%での含有量をw、前記ヘマタイトの質量%での含有量をh、前記マグネタイトの質量%での含有量をmとしたとき、前記w、前記h及び前記mが、0.02≦(h+w)/m≦0.20を満足し、前記鋼板の板厚が2〜16mmである。

Description

本発明は、熱延鋼板、鋼材、及びコンテナに関する。本発明は、特に、塩化物を含む腐食環境下での使用に好適な、耐食性に優れた熱延鋼板、この熱延鋼板にショットブラスト及び塗装処理を行って得られる鋼材、及びこの鋼材を備えるコンテナに関する。
従来、鉄道用車両、並びに陸上輸送または海上輸送に用いられるコンテナには、軽量でかつ長寿命及び高耐食性を具備した材料が求められている。そのため、これらの材料としては、アルミニウムまたはステンレス鋼材を用いた素材が主流であった。しかしながら、アルミニウムやステンレス鋼材は価格が高く、また、強度が低いので、コンテナ用の材料として、高強度かつ耐食性を有する鋼材が要望されていた。
従来、上記の鉄道車両やコンテナには、JIS G3125(2010)に示される引張強さ50kgf/mm(490MPa)級の高耐食性圧延鋼材に塗装を行った鋼材が用いられてきた。
しかしながら、海上コンテナの使用実績増加に伴い、コンテナの使用環境が一層過酷になっており、上記のような高耐食性圧延鋼材を用いて製造された塗装コンテナであっても局部腐食が進み、長期間の使用に耐えられない、という問題が生じていた。
これに対し、塩化物を含む腐食環境下での耐食性を向上させた鋼板が開示されている。例えば、特許文献1には、Cu、Sn等を含有させた熱延鋼板が開示されている。また、特許文献2には、Si、Cu、Cr等を含有させた熱延鋼板が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された熱延鋼板では、必須元素として含まれるCuやNiがSnと共存することで、熱延鋼板が脆化しやすくなり、その結果、鋼板に割れが発生しやすいという問題点を有している。また、特許文献2に開示された熱延鋼板では、Crを0.8%以上含有することを必須としているが、Crを含有すると、比較的塩化物の少ない腐食環境であれば耐食性向上効果が得られる場合はあるものの、塩化物を多く含む厳しい腐食環境下では耐食性が悪化するという問題点がある。
また、熱延鋼板は、その製造の過程で表面にスケール層が形成される。高温で形成されるスケール層(ミルスケール)は、一般的には耐食性に優れるため、土木建築分野では、ミルスケールが残ったまま使用される鋼材もある。しかしながら、ミルスケールが残った状態では、スケール欠陥部が生じた場合に、局所的な腐食が進行する恐れがある。そのため、コンテナ等は、熱延鋼板に防食塗装を行って得られた鋼材を用いることが一般的である。ここで、防食塗装を施す際、ミルスケールの上から塗装を行うと、スケールとともに防食塗料が剥離する恐れがあるので、通常、熱延鋼板に塗装を行う場合には、ショットブラストなどでミルスケールを除去してから塗装する必要がある。そのため、防食塗装を行う用途に用いられる熱延鋼板には、スケール剥離性がよいことが望まれている。
通常、熱延工程で形成したミルスケールを除去する場合、ショットブラストで熱延鋼板の表面を処理する。この際、密着性の高いミルスケールが形成されているとショットブラストによる処理を何度も繰り返す必要がある。
一方、製造工程や合金元素により密着性の低いミルスケールを形成することも考えられるが、製造工程で熱延鋼板の表面からミルスケールが剥離したり、スケール欠陥部が生じたりして、熱延鋼板の表面にミルスケールが形成され、熱延鋼板の表面にスケール疵が生じる懸念があった。
日本国特開平7−157841号公報 日本国特開2002−105596号公報
塩化物を含む腐食環境下では、Snを含有することにより鋼板の耐食性が向上することが知られている。一方、上述したように、一般に耐食性向上に寄与すると考えられているCu、Ni、Cr等は、Snと同時に含有させることで、むしろ鋼板の脆化を招いたり、耐食性を低下させたりする場合がある。したがって、熱延鋼板において、腐食環境下で耐食性を向上させるためには、Snを含有させた上で、Cu、Ni、Crの含有量を制限することが好ましい。
また、鉄道用車両並びに陸上輸送または海上輸送に用いられるコンテナ等に用いられる熱延鋼板は、通常、防食塗装が施された上で上記用途に供される。そのため、これらの用途を想定した場合、耐食性に加えて、スケール剥離性がよいことが求められる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、スケール剥離性に優れ、かつ、塩化物を含む腐食環境下での耐食性に優れる熱延鋼板を提供することを課題とする。本発明において、耐食性に優れるとは、熱延鋼板の裸耐食性及び、コンテナ等として使用される場合を考慮した塗装後耐食性の両方において優れることをいう。
また、本発明は、上記熱延鋼板にショットブラスト及び塗装処理を行って得られる鋼材、及びこの鋼材を備えるコンテナを提供することを課題とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)本発明の一態様に係る熱延鋼板は、鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケール層とを有し、前記鋼板の化学成分が、質量%で、C:0.04%を超えて0.20%以下、Si:0.05〜0.30%、Mn:0.30〜2.50%、P:0.050%以下、S:0.030%以下、Sn:0.08〜0.25%、Al:0.005〜0.050%、N:0.0005〜0.0100%、Nb:0.005〜0.015%、Cu:0〜0.05%、Ni:0〜0.05%、Cr:0〜0.05%、W:0〜0.50%、Mo:0〜0.50%、Ti:0〜0.15%、V:0〜0.05%、B:0〜0.0005%、Ca:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050%、REM:0〜0.0050%、を含有し、残部がFeおよび不純物であり、前記スケール層中の、前記鋼板と前記スケール層との界面に、Sn含有量が前記鋼板のSn含有量の1.4倍以上であるSn濃化層が存在し、前記スケール層の平均厚さが1.0〜15.0μmであり、前記スケール層が、ウスタイト、ヘマタイト、マグネタイトの1種または2種以上の鉄酸化物を含み、前記スケール層中において、前記ウスタイトの質量%での含有量をw、前記ヘマタイトの質量%での含有量をh、前記マグネタイトの質量%での含有量をmとしたとき、前記w、前記h及び前記mが、下記(i)式を満足し、前記鋼板の板厚が2〜16mmである。
0.02≦(h+w)/m≦0.20 ・・・(i)
(2)上記(1)の熱延鋼板では、前記化学成分におけるW含有量が、質量%で0.005%以下であってもよい。
(3)上記(1)または(2)の熱延鋼板では、前記化学成分におけるMo含有量が、質量%で0.005%以下であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるCu含有量が、質量%で0.02%以下であってもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるNi含有量が、質量%で0.02%以下であってもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるCr含有量が、質量%で0.02%以下であってもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるTi含有量が、質量%で0.01%以下であってもよい。
(8)本発明の別の態様に係る鋼材は、上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の熱延鋼板に、ショットブラスト処理を行い、さらに、前記ショットブラスト処理を行った前記熱延鋼板に塗装処理を行うことによって得られる。
(9)本発明の別の態様に係るコンテナは、上記(8)に記載の鋼材を備える。
本発明の上記態様に係る熱延鋼板は、スケール剥離性に優れるので、スケール層を剥離して使用したり、さらに、塗装を施して使用したりすることが容易である。また、この熱延鋼板は、塩化物を含む腐食環境下において、塗装の有無に関わらず、優れた耐食性を有する。したがって、鉄道用車両並びに陸上輸送または海上輸送に用いられるコンテナに、好適に用いることができる。
また、本発明の上記態様に係る鋼材は、塩化物を含む腐食環境下において、優れた耐食性を有する熱延鋼板に対し、ショットブラスト処理及び塗装処理を行って得られるものであり、塩化物を含む腐食環境下において優れた耐食性を有する。
また、本発明の上記態様に係るコンテナは、この鋼材を備えているため、塩化物を含む腐食環境下において優れた耐食性を有する。
以下、本発明の一実施形態に係る熱延鋼板(本実施形態に係る熱延鋼板という場合がある)、本発明の一実施形態に係る鋼材(本実施形態に係る鋼材と言う場合がある)及び本発明の一実施形態に係るコンテナ(本実施形態に係るコンテナと言う場合がある)について詳しく説明する。
まず、本実施形態に係る熱延鋼板について説明する。本実施形態に係る熱延鋼板は、所定の化学組成を有する鋼板(母材鋼板)と、所定の鉄酸化物の組成比を有し、かつSn濃化層を有するスケール層とを有する。
<化学組成(化学成分)について>
本実施形態に係る熱延鋼板において、鋼板(母材鋼板)の各元素を限定した理由は下記のとおりである。以下の説明において、含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.04%を超えて0.20%以下
Cは、鋼の強度を確保するために必要な元素である。この効果を得るため、C含有量を0.04%超とする。好ましくは、0.05%以上である。C含有量を0.06%以上、0.07%、0.08%又は0.09%としてもよい。一方、C含有量が0.20%を超えると溶接性が著しく低下する。また、C含有量の増大とともに、pHが低下する環境でカソードとなって腐食を促進するセメンタイトの生成量が増大して耐食性が低下する。そのため、Cの含有量は0.20%以下とする。C含有量は0.18%以下であることが好ましく、0.16%以下であることがより好ましい。C含有量を0.15%以下、0.14%以下又は0.13%以下としてもよい。
Si:0.05〜0.30%
Siは鋼板表面でファイアライト(2FeO・SiO)となり最表面に微細なFeを残存させることによって、赤スケールを発生させやすい元素である。また、Siが高いとスケール界面にSi層が形成され、スケールの剥離性が低下する。そのため、Si含有量を0.30%以下とする。好ましくは0.25%又は0.20%以下である。一方、Siは、製鋼時の脱酸に必要な元素である。また、Siには、耐食性を向上させる効果がある。これらの効果を得るためには、Si含有量を0.05%以上とする必要がある。Si含有量は、好ましくは0.08%以上又は0.10%以上である。
Mn:0.30〜2.50%
Mnは、鋼板の強度上昇に必要な元素である。Mn含有量が0.30%未満であると、十分な強度を得ることが難しくなる。そのため、Mn含有量を0.30%以上とする。好ましくは、0.40%以上、0.50%以上又は0.60%以上である。一方、Mn含有量が2.50%を超えると加工性が著しく低下する。そのため、Mn含有量を2.50%以下とする。好ましくは、2.00%以下、1.80%以下、1.70%以下又は1.60%以下である。
P:0.050%以下
Pは、鋼板の強度上昇及び耐食性向上に有益な元素として、従来、耐食性鋼板に活用されてきた。しかしながら、塩化物を多く含み、局所的にpHが低下する腐食環境下においては、Pを単独で含有させると逆に耐食性の低下を招く。また、Pは鋼板製造時にスラブ脆化(割れ)の起因となる。特に、P含有量が0.050%を超えると、脆化が顕著となる。そのため、P含有量を、0.050%以下に限定する。好ましくは、0.025%以下、0.020%以下又は0.15%以下である。一方、Pは、少量であればSnと同時に含有させることによって、塩化物環境でも耐食性を向上させる。これは、Snの含有によりFeの溶出が抑えられる結果、Pがさび層の保護性に寄与できるためであると推測される。したがって、さび層の保護性に寄与するという効果を得たい場合は、P含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.030%以下
Sは、Mnと結合し、鋼材中に硫化物であるMnSを形成する。この硫化物は変形しやすいので、圧延等によって伸張する。伸長した硫化物は、鋼材の曲げ性及び加工性を劣化させる。そのため、S含有量は少ない方が好ましいが、S含有量が0.030%を超えると、曲げ性及び加工性の劣化が著しくなるので、S含有量を0.030%以下とする。特に、高強度鋼材では、割れ感受性を高めるため、S含有量を0.010%以下、0.008%以下又は0.006%以下とすることが好ましい。
Sn:0.08〜0.25%
Snは本実施形態において最も重要な元素である。Snは、低pH塩化物環境において鋼のアノード溶解反応を著しく抑制することによって、塩化物腐食環境における耐食性を大幅に向上させる作用を有する。この効果を得るため、Sn含有量を0.08%以上とする必要がある。好ましくは、0.09%以上、より好ましくは0.10%以上又は0.12%以上である。一方、Sn含有量が0.25%を超えると、上記の効果は飽和するとともに、スラブの脆化が顕著になる。したがって、Sn含有量を0.25%以下とする。好ましくは、0.20%以下であり、より好ましくは0.18%以下又は0.17%以下である。
Al:0.005〜0.050%
Alは、鋼の耐食性を向上させる元素である。その効果を得るため、Al含有量を0.005%以上とする。一方、Al含有量が0.050%を超えると、上記の効果は飽和する。したがって、Al含有量の上限を0.050%とする。また、Al含有量が多くなると鋼板が脆化しやすくなるので、Al含有量は0.030%以下とすることが好ましい。本実施形態において、Al含有量はT−Al、すなわち、鋼中全Al量である。
N:0.0005〜0.0100%
Nは、アンモニアとなって水溶液中へ溶解し、飛来塩分量が多い環境において、Fe3+の加水分解によるpH低下を抑制することにより、塩分環境における鋼板の耐食性を向上させる効果を有する。この効果を得るため、N含有量を0.0005%以上とする。一方、N含有量が0.0100%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、鋼板の靭性が劣化する。したがって、N含有量を0.0100%以下とする。
Nb:0.005〜0.015%
Nbは鋼板の強度を上昇させる元素である。この効果を得るため、Nb含有量を0.005%以上とする。一方、Nb含有量が0.015%を超えると上記の効果が飽和するとともに、靭性が低下し、鋼板表面のスケール割れの要因ともなる。また、Nbは熱間圧延中において、スケールと鋼板界面においてNb酸化物を形成しやすく、スケール形成に影響する。鋼板の耐食性とスケール層の厚さや組成への影響を考慮すると、Nbの含有量は0.005%以上、0.015%以下である。Nbの含有量の下限を0.006%又は0.007%に、その上限を0.013%又は0.011%としてもよい。
Cu:0〜0.05%
Cuは一般に、鋼の耐食性を向上させる元素であると考えられている。しかしながら、Cuは溶液中のFe2+の空気酸化を加速する元素であるため、Cuを含有する鋼材は飛来塩分の多い環境において耐食性が低下することがある。また、Cuは、Snと共存すると圧延時の赤熱脆化により熱延鋼板の表面の割れの原因となる。また、Cuは、スケール厚、Sn濃度比、鉄酸化物の組成にも影響を与える。そのため、Cu含有量を0.05%以下とする。好ましくは、0.04%又は0.02%以下である。Cu含有量の下限を特に制限する必要はなく、その下限は0%である。
Ni:0〜0.05%
Niは、Cuと同様に、一般に鋼材の耐食性を向上させると考えられている。しかしながら、本発明者らは、本実施形態で想定されるような塩化物を含む腐食環境下では、Niを含有させると鋼板の耐食性が低下することを見出した。また、Niは、熱間圧延中において、スケールと鋼材との界面において酸化物を形成しやすく、スケール層の厚さや組成に影響する。そのため、Ni含有量は、少ない方が好ましい。ただし、不純物として混入する場合を考慮し、Ni含有量を0.05%以下とする。好ましくは、0.04%又は0.02%以下である。Ni含有量の下限を特に制限する必要はなく、その下限は0%である。
Cr:0〜0.05%
Crは、一般に鋼材の耐食性を向上させると考えられている。しかしながら、本発明者らは、本実施形態で想定されるような塩化物を含む腐食環境下では、Crを含有させると鋼板の耐食性が低下することを見出した。また、Crは、熱間圧延中において、スケールと鋼材との界面にCr酸化物を形成しやすく、スケール層の厚さや組成に影響する。そのため、Cr含有量は、少ない方が好ましい。ただし、不純物として混入する場合を考慮し、Cr含有量を0.05%以下に制限する。好ましくは、0.04%又は0.02%以下である。Cr含有量の下限を特に制限する必要はなく、その下限は0%である。
本実施形態に係る熱延鋼板は、上記の成分を有し、残部がFe及び不純物であることを基本とする。しかしながら、上記の成分のほか、必要に応じて、下記に示す元素のうちから選択される1種、または2種以上の成分を、Feの一部に代えて含有させてもよい。ただし、以下の元素は、必ずしも含有させる必要がないのでその下限は0%である。
W:0〜0.50%
Mo:0〜0.50%
Ti:0〜0.15%
これらの元素は、いずれも耐食性を向上させる元素である。そのため、必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて含有させてもよい。耐食性を向上させる効果を得る場合には、いずれの元素においても、含有量を0.01%以上とするのが好ましい。しかし、含有量が過剰になると、効果が飽和するとともにコストが高くなる。そのため、含有させる場合でも、その含有量を、W、Moについては0.50%以下、Tiについては0.15%以下とすることが好ましい。二種以上の元素を含有させる場合には、その合計含有量を1.0%以下とすることが好ましい。W、Mo及びTiは高価であり、これらの元素による耐食性向上効果を得る必要はないので、W及びMoを0.005%以下、Tiを0.01%以下としてもよい。この範囲は、W、Mo及びTiの不純物として含有される範囲でもある。
V:0〜0.05%、
Vは、鋼の強度を上昇させる元素である。また、Vは、腐食環境中(水溶液中)に溶解して酸素酸イオンの形で存在し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制する効果を有する。この効果を得る場合、Vを0.005%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.01%以上である。この効果を得る必要がない場合、V含有量の下限を制限しなくてもよく、その下限は0%である。一方、V含有量が0.05%を超えると、上記の効果が飽和するだけでなく、コストが著しく上昇する。したがって、含有させる場合でも、V含有量を0.05%以下とする。
B:0〜0.0005%
Bは、微量の含有により熱延鋼板の強度を高めることができる。この効果を得るため、Bを含有させてもよい。この効果を得る必要がない場合、B含有量の下限を制限しなくてもよく、その下限は0%である。しかしながら、B含有量が0.0005%を超えると熱延鋼板の加工時に割れを発生させる原因となる。そのため、含有させる場合でも、B含有量は0.0005%以下とする。
Ca:0〜0.0050%
Caは鋼中に酸化物の形で存在し、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制して、腐食を抑える効果を有する元素である。上記の効果を得る場合、Caを0.0002%以上含有させることが好ましく、0.0005%以上含有させることがより好ましい。この効果を得る必要がない場合、Ca含有量の下限を制限しなくてもよく、その下限は0%である。一方、Ca含有量が0.0050%を超えると、上記の効果が飽和する。したがって、含有させる場合でも、Ca含有量は、0.0050%以下とする。
Mg:0〜0.0050%
Mgは、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制して、鋼の腐食を抑える効果を有する元素である。上記の効果を得る場合、Mg含有量を0.0002%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。この効果を得る必要がない場合、Mg含有量の下限を制限しなくてもよく、その下限は0%である。一方、Mg含有量が0.0050%を超えると、上記の効果が飽和する。したがって、含有させる場合でも、Mg含有量を0.0050%以下とする。
REM:0〜0.0050%
REM(希土類元素)は鋼材の溶接性を向上させる元素である。この効果を得る場合、REM含有量を0.0002%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。この効果を得る必要がない場合、REM含有量の下限を制限しなくてもよく、その下限は0%である。一方、REM含有量が0.0050%を超えると上記の効果が飽和する。したがって、含有させる場合でも、REM含有量を0.0050%以下とする。本実施形態において、REMとは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素の総称である。本実施形態に係る熱延鋼板は、これらの17元素のうちの1種または2種以上を含有することができ、REM含有量は、これらの元素の合計含有量を意味する。
<スケール層中の鉄酸化物について>
スケール層には、通常、鉄酸化物として、ウスタイト、ヘマタイト、マグネタイトの1種または2種以上が含まれる。
本実施形態に係る熱延鋼板は、スケール層中の鉄酸化物の組成比が、下記(i)式を満足する。
0.02≦(h+w)/m≦0.20 ・・・(i)
ただし、(i)式中のhはヘマタイトの質量%での含有量、wはウスタイトの質量%での含有量、mはマグネタイトの質量%での含有量を表す。いずれも、スケール層の質量に対する割合である。
母材鋼板にSnを含有させた上で、スケール層におけるそれぞれの鉄酸化物の組成比を適正な範囲に調整することで、スケール剥離性が高まることは本発明者らが新たに見出した知見である。スケール層中の鉄酸化物の組成比を制御することによってスケール剥離性が高まる理由は明確ではないが、次のように推測される。
高温で形成されるスケール(ミルスケール)は、表層にマグネタイト及びヘマタイト、中間層にウスタイトもしくはウスタイトから変態した合金組織、地鉄(母材鋼板)との界面にマグネタイトシームを有する。母材にSnを含有させると、Snの融点が235℃と低いために、スケール層中の地鉄との界面にSnの濃化層が形成され、ウスタイトの含有量が低下し、マグネタイトシームの形成が抑制され、スケール層の剥離性が向上するものと考えられる。
鋼板とスケール層との界面にマグネタイトが多く存在すると、スケール剥離性が低下するので、剥離性の高いスケール層を形成するためには、界面におけるマグネタイトの生成を抑制することが望ましい。式(i)で示す鉄酸化物の組成比(h+w)/mが0.02以上、0.20以下であれば、スケール剥離性が向上する。上記組成比が0.20を超えると、剥離性が低下する。一方、(h+w)/mが0.02未満であると、熱間圧延時にスケール層の剥離が生じ、ロールや熱延鋼板のスケール疵の要因となる。そのため、鉄酸化物の組成比(h+w)/mを0.02以上、0.20以下とする。好ましくは、式(i)で示す鉄酸化物の組成比(h+w)/mの下限が0.04、0.05又は0.06である。また、好ましくは、式(i)で示す鉄酸化物の組成比(h+w)/mの上限が、0.18、0.16又は0.15である。
鉄酸化物の組成比の測定は、以下の手順により行う。すなわち、まず、熱延鋼板表面のスケール層を、ハンマーおよびカッターナイフで鋼面が確認できるまで採取し、このスケール層を粉砕して粉末試料とする。この粉末試料を用いて、粉末X線回折法(内部標準法)により、マグネタイト、ヘマタイトおよびウスタイトの含有率を測定する。スケール採取位置は鋼板の幅方向中央部であればよい。
<Sn濃化層について>
本実施形態に係る熱延鋼板において、スケール層中の母材鋼板との界面には、Sn含有量が母材鋼板の1.4倍以上であるSn濃化層が存在する。
本実施形態に係る熱延鋼板では、母材に優れた耐食性を付与するため、鋼板中のSn含有量を0.08%以上としている。Sn濃化層は、熱間圧延時に生成するスケール層中に、鋼板中のSnが溶解、拡散することによって、スケール層中の母材鋼板との界面に形成される。スケール層中の母材鋼板との界面にSn濃化層が形成されると、スケール層中におけるウスタイトの形成が抑制され、その結果、鋼板との界面においてマグネタイトシームの形成が抑制されるので、スケール剥離性が向上する。優れたスケール剥離性を得るためには、Sn濃化層中に含まれるSnの含有量(Sn濃度)が、母材鋼板のSn含有量の1.4倍以上(濃度比≧1.4)である必要がある。Sn濃化層のSn含有量が母材鋼板の1.4倍未満の場合、スケール層中のウスタイト形成が促進され、その結果として界面に強固なマグネタイト層が形成されるので、スケール層の剥離性が低下する。一方、Sn濃化層中のSn含有量が、母材鋼板の2.0倍を超えると、熱間圧延中にスケール層の剥離が生じやすくなり、ロールや熱延鋼板のスケール疵の要因となるので好ましくない。鋼板中のSnのスケール中への溶解、スケール中での拡散を促進し、Sn濃化層を形成するためには、Snを含有する鋼板を製造する過程において、デスケーリング条件、冷却条件等を制御することが有効である。
母材鋼板中のSn含有量、及びスケール層中の母材鋼板との界面に存在するSn濃化層におけるSn含有量については、以下のように求める。すなわち、熱延鋼板から採取した試料を樹脂に埋め込み、湿式研磨で鏡面仕上げを施した後、その試料に対して、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて、500倍の倍率で、スケールから鋼板までのSnのライン分析を実施し、鋼板とスケールとの界面からスケール層側のSn含有量を測定する。
<スケール層の平均厚さについて>
本実施形態に係る熱延鋼板において、スケール層の平均厚さは1.0〜15.0μmである。スケール層の厚さが1.0μm未満であると、ショットブラスト等によって物理的にスケールを剥離させる際に、鋼板表面にスケールが押し込まれる可能性がある。この場合、鋼板表面に過剰な凹凸が付与されることになるので好ましくない。また、スケール層の厚さが15.0μmを超えると、熱間圧延時に部分的なスケール剥離が生じ、ロールや熱延鋼板のスケール疵の要因となる可能性がある。スケール層の厚さの下限を、2.0μm、4.0μm又は5.0μmとしてもよく、その上限を13.0μm、11.0μm又は10.0μmとしてもよい。
スケール層の平均厚さは、以下の方法で求める。すなわち、熱延鋼板から採取した試料を樹脂に埋め込み、湿式研磨で鏡面仕上げを施した後、光学顕微鏡観察によって5点以上でスケール層の厚さを実測し、その平均値をスケール層の平均厚さとする。
本実施形態に係る熱延鋼板の強度は特に限定されない。しかしながら、コンテナ等への適用を想定した場合、引張強度は400〜780MPaであると好ましい。引張強度の上限を620MPa又は550MPaに制限しても差し支えない。
本実施形態に係る熱延鋼板の板厚については、特に制限は設けないが、2〜16mmとするのが望ましい。また、実施形態に係る熱延鋼板をコンテナに用いる場合は、板厚を10mm以下とするのがより望ましい。
次に、本実施形態に係る鋼材について説明する。
本実施形態に係る鋼材は、本実施形態に係る熱延鋼板にショットブラスト処理を行い、さらに、塗装処理を行うことによって得られる。すなわち、本実施形態に係る鋼材は、ミルスケールが除去された本実施形態に係る熱延鋼板の上に防食塗膜層を有する。そのため、化学成分は、本実施形態に係る熱延鋼板と同じである。ショットブラスト条件、塗装条件、塗装方法等は、限定されず、要求特性に応じて公知の方法で行えばよい。
次に、本実施形態に係るコンテナについて説明する。
本実施形態に係るコンテナは、本実施形態に係る鋼材を用いて形成され、従って、本実施形態に係る鋼材を備える。形成方法については、特に限定されない。
次に、本実施形態に係る熱延鋼板の好ましい製造条件について説明する。
本実施形態に係る熱延鋼板は、製造方法によらず、上述の構成を有することでその作用効果は得られる。しかしながら、以下に示す各工程を含む製造方法によれば安定して製造することができるので好ましい。各工程における好ましい条件について以下に詳しく説明する。
<溶製工程>
<鋳造工程>
上記の化学組成を有する鋼を転炉、電気炉等で溶製し、溶鋼を製造する。必要に応じて、続いて真空脱ガス等の処理を施しても良い。
その後、公知の方法、例えば、連続鋳造法または鋼塊にした後に分塊圧延する等の方法で鋼片(スラブ)とする。また、溶鋼から直接鋼板を製造するいわゆるストリップキャスト等の方法を用いても構わない。この際、鋼塊の成分偏析は炭化物粒径のバラツキを大きくするので、未凝固域圧下、電磁攪拌等の凝固偏析を少なくする方法を採用することが好ましい。
<加熱工程>
次に、上記の方法で製造されたスラブを加熱する。加熱温度は均一にオーステナイト域まで加熱するために、1200℃以上とすることが好ましい。一方、スケール生成による表面性状の劣化を避けるため、加熱温度は1250℃以下である。
<圧延工程>
加熱されたスラブを、少なくとも粗圧延機および仕上圧延機を備える圧延機によって、圧延開始温度1000℃以上、圧延終了温度800〜950℃となるように熱間圧延することが好ましい。圧延終了温度が800℃未満の場合、オーステナイト粒が扁平化し、圧延方向と幅方向とで機械的性質のばらつきが生じ、加工性が悪化するおそれがある。また、析出物を微細にするためには、圧延終了温度を800℃以上とするのが好ましい。一方、950℃を超える温度で圧延を終了させると、結晶粒の粗大化やスケール疵が発生しやすくなる等の問題がある。
熱間圧延を行うに際して、圧延開始温度から圧延終了温度までの温度範囲における累積圧下率を60%以上とすることが好ましい。累積圧下率が60%未満であると、充分にオーステナイト粒が微細化せずに靭性が劣化するおそれがある。そのため、圧延開始温度から圧延終了温度までにおける累積圧下率を60%以上とするのが好ましい。より好ましくは、1050〜800℃の間の累積圧下率を60%以上とする。
また、圧延に際し、少なくとも粗圧延の終了後かつ仕上圧延の最初の圧延パスの前(以下、粗圧延終了後と言う)、および、仕上圧延の初期において、10MPa以上の水圧かつ20〜300L/minの噴射流量でデスケーリング行うことが好ましい。本実施形態に係る熱延鋼板においては、脱酸や耐食性向上のために、Siを0.05%以上含有している。Siを含有する場合、鋼板表面に形成されるスケール層中の鋼板との界面には、FeとSiの複合酸化物であるFeSiOが生成する。このFeSiOは、鋼板との密着性が非常に良いために、除去が困難であるが、上述の条件でデスケーリングを行うことで、FeSiOの除去が可能である。
以下、デスケーリングの条件について、詳しく説明する。
上述した仕上圧延の初期とは、仕上圧延の1パス目から3パス目までの少なくとも1パスと同時に行うことを意味する。また、「少なくとも粗圧延の終了後、および、仕上圧延の初期において」とは、「粗圧延の終了後および仕上圧延の初期」以外の時期に行うデスケーリングを排除するものではない。
デスケーリングの際、ノズルからの水圧(吐出圧力)が10MPa未満であると、上述したFeSiOの除去が困難なため、充分にデスケーリングできない。
一方、水圧が20MPaを超えると、鋼片の加熱条件に厳しい操業規制が必要となる場合がある。また、設備が大型化して、コストが上昇する場合がある。そのため水圧は、20MPa以下であることが好ましい。より好ましくは、水圧が15MPa以下である。
鋼板の単位面積当たりに衝突する噴射流量は、1.2〜6.0L/mmとすることが好ましい。1.2L/mm未満の流量では、熱衝撃力が小さいため、充分にデスケーリングできない。一方、6.0L/mmを越える流量の高圧水では、鋼板表面の温度が低下するとともに温度ムラが生じ、均一な圧延が困難になる。安定的にデスケーリングと圧延とを両立させるためには、噴射流量は1.5〜5.5L/mmの範囲であることが好ましい。
<冷却工程>
圧延終了後は、水冷ゾーンにおいて25℃/s以上の平均冷却速度で500〜650℃まで冷却する。平均冷却速度が25℃/s未満では、スケール成長が助長され、スケール厚さが15.0μmを超えたり、剥離性の低いスケールが形成されたりすることが懸念される。一方、圧延後の冷却速度が100℃/sを超えると、鋼板がマルテンサイト組織になりやすく、鋼板の巻き取りが困難になる。そのため、平均冷却速度は100℃/s以下であることが好ましい。
圧延終了から冷却開始までの時間は5秒以内とすることが好ましい。圧延終了後冷却開始までの時間が5秒を超えると、圧延工程で導入した転位の回復が起こり、フェライト変態の核が不足するので、結晶粒が粗大化し、靭性が低下するおそれがある。また、熱延鋼板表面のスケール成長が進行し、剥離性の低いスケールが形成されるおそれがある。
冷却後、鋼板温度が500〜630℃の温度範囲において巻き取りを行う。630℃を超える温度で巻き取ると、巻き取られたコイルの中でスケール成長が進行し、スケール層の厚さが15.0μm以上となる。また、スケール中のマグネタイトが形成促進され、式(i)で示す鉄酸化物の組成比(h+w)/mが0.02未満となることが懸念される。一方、巻き取り温度が500℃未満では形状不良の原因となる。
巻き取り後、コイルの状態で、巻き取り温度(500〜630℃の温度域)から350℃までの温度域を0.05〜0.12℃/sの平均冷却速度で徐冷する。徐冷することで、Snが拡散し、Sn濃化層が形成される。ただし、高温状態が一定時間以上続くと、Snがスケール層等に拡散してSn濃化層のSn濃度が低下することが懸念される。この温度域の平均冷却速度が0.05℃/s未満だと、Sn濃化層のSn濃度が母材鋼板Sn濃度の1.4倍未満となり、スケール剥離性が低下するので好ましくない。また、平均冷却速度が0.12℃/sを超えると、濃化層のSn濃度が母材鋼板の1.4倍未満となり、スケール剥離性が低下するので好ましくない。コイルの平均冷却速度は、コイルの真ん中の冷却速度である。徐冷は、上記の冷却速度を確保できれば、方法は限定しないが、例えば、カバー徐冷や保温庫での徐冷とすることができる。
本実施形態に係る熱延鋼板の製造において、バーヒーターを活用しても良く、粗圧延後のバー接合材を圧延する熱延連続化を活用しても何ら問題はない。
次に、本実施形態に係る鋼材の製造方法について説明する。
本実施形態に係る鋼材は、上述の工程で得られた熱延鋼板に対し、ショットブラスト処理を行い、さらに、塗装処理を行うことによって製造することができる。ショットブラスト、及び塗装処理については、公知の方法でよい。
次に、本実施形態に係るコンテナの製造方法について説明する。
本実施形態に係るコンテナは、上述の工程で得られた本実施形態に係る鋼材(塗装鋼材)を用いて、溶接等の公知の方法によって形成することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す鋼種a〜sの化学組成を有するスラブを、表2に示す条件で製造し、板厚3.2mm、板幅1000mmの熱延鋼板を得た。
Figure 2017183133
Figure 2017183133
得られた熱延鋼板から、板厚3.2mm、板幅60mm、板長さ100mmの試験片を切り出して、各種試験を行った。具体的には、以下のように行った。
<落下衝撃試験>
得られた熱延鋼板から上述のサイズの試験片を採取し、各試験片に対して、500gの重りを200mmの高さから落として、スケール層の破損状況を目視で判断することにより、スケール層の強度を評価した。スケール層に割れや剥離があれば「OK」(すなわち、スケール剥離性が良い)、割れや剥離がなければ「NG」(すなわち、スケール剥離性が悪い)とした。結果を表3に示す。
次に、得られた各熱延鋼板の表面にショットブラスト処理(SB20のスチールショット処理)を施した。そして、ショットブラスト処理を施した各鋼板の一部から試験片を採取し、コンテナ腐食試験に供した。また、ショットブラスト処理を施した各鋼板の残りの一部については、表面に、変性エポキシ系塗料(神東塗料株式会社製「ネオゴーセー(登録商標)」)をスプレー塗装することによって、塗装鋼板とし、この塗装鋼板から試験片を採取してSAE J2334試験に供した。
<コンテナ腐食試験>
まず、試験片を、30℃、90%RHの湿潤環境にて0.5時間保持した後、30℃、5%NaClの塩水を0.5時間噴霧し、再び30℃、95%RHの湿潤環境にて1.0時間保持し、さらに40℃、50%RHの環境で6.0時間乾燥させるというサイクル試験を18サイクル実施した。その後、40℃、90%RHの湿潤環境にて4.0時間保持した後、40℃、40%RHの環境で4.0時間乾燥させるというサイクル試験を144サイクル実施した。試験前後の試験片の重量をそれぞれ測定し、腐食減量を算出した。ここで、腐食減量とは、減量を厚みに換算したものである。結果を表3に示す。
耐食性の評価については、腐食減量が30μm以下のものを良好な結果とした。
<SAE J2334試験>
塩化物が多量に飛来する大気腐食環境を模擬する試験として、SAE J2334試験を実施した。SAE J2334試験とは、下記の乾湿繰り返しの条件を1サイクル(合計24時間)として行う加速劣化試験であり、飛来塩分量が1mddを超えるような厳しい腐食環境を模擬する試験である。
・湿潤:50℃、100%RH、6時間、
・塩分付着:0.5質量%NaCl、0.1質量%CaCl、0.075質量%NaHCO水溶液浸漬、0.25時間、
・乾燥:60℃、50%RH、17.75時間
上記の腐食形態は、大気暴露試験の腐食形態に類似しているとされている。
評価は、以下のように行った。
各塗装鋼板の塗装表面に十字の疵を形成して、下地としての鋼材の一部を露出させた。そして、疵部が形成された位置において、下地としての鋼材の最大腐食深さ(鋼材表面からの腐食深さの最大値)を測定した。また、疵部から進展して剥離した部分の面積を評価するために、塗装剥離面積率(%)を求めた。具体的には、塗装が剥離した部分(疵部から進展して剥離した部分)をカッター等によって取り除き、取り除いた部分を塗装剥離部とした。そして、画像処理ソフトの2値化処理を用いて、(塗装剥離部面積)/(試験片面積)×100の値を求めて塗装剥離面積率(%)とした。試験片面積とは、試験片の6つの面うち疵部が形成された面の面積を意味する。
SAE J2334試験における合否判断基準は、最大腐食深さについては、400μm以下を合格とした。さらに、塗装剥離面積率については、60%以下を合格とした。また、塗膜疵部以外の健全部についてもスケール剥離や発錆の有無を観察した。
<Sn濃化層の測定>
鋼板との界面のスケール層中のSn濃化層のSn濃度は、スケールから鋼板まで板厚方向に0.5μm間隔で、EPMAによるライン分析を、3回行うことによって測定した。測定により得られた、鋼板とスケールとの界面からスケール層中の20点のSn濃度の測定結果(計60点)の中から、最大から10点、最小から10点のデータを異常値として除外し、残りの40点の平均値を、鋼板との界面のスケール層中のSn濃化層のSn濃度とした。このSn濃度と、鋼板の取鍋でのSn分析値との比を、Sn濃度比とした。
Figure 2017183133
本発明の要件を満たす試験番号1〜10の熱延鋼板は、充分なスケール剥離性を有しており、スケール層を剥離した熱延鋼板、および、その後に塗装を施した塗装鋼材は、充分な耐食性を有することが明らかとなった。
一方、試験番号11〜26の熱延鋼板は、化学成分、スケール層中の組成比、スケール層厚さ、スケール界面のSn濃化層と母材とのSn濃度比の1つ以上が本発明の範囲を外れており、スケール剥離性及び/または耐食性に劣っていた。
試験番号11の熱延鋼板は、デスケーリングの水圧および噴射量が大きく、圧延が不均一になったことに起因して、熱延鋼板表面に厚さが0.8μmの薄いスケールが形成された。また、式(i)が0.02以下となった。これは、スケール層が熱間圧延中に剥離しやすく、表層のウスタイトやヘマタイトの層が剥離したためであると考えられる。また、界面のSn濃度比が1.4未満であった。試験番号11の熱延鋼板については、熱間圧延中に熱延鋼板にスケール押し込み疵が生じたことから、コンテナ腐食試験及びSAE J2334試験を実施しなかった。
試験番号12の熱延鋼板は、デスケーリングの水圧および噴射量が小さく、熱延鋼板表面に形成されたスケール厚さが大きくなり、熱間圧延時や巻き取り時にスケール欠陥部が生じた。またスケール剥離性が十分ではなかった。また、デスケーリングが不十分であったため、高温で生成したヘマタイトが残存し、式(i)が0.20超となった。また、スケール層の厚みが厚く、スケールと母材の界面からスケール中へのSnの拡散が進んだことにより、界面のSn濃度比が1.4未満であった。試験番号12の熱延鋼板については、熱間圧延中や巻き取り中に熱延鋼板にスケール押し込み疵が生じたことから、コンテナ腐食試験及びSAE J2334試験を実施しなかった。
試験番号13の熱延鋼板は、粗圧延終了後のみでデスケーリングを実施した。そのため、熱延鋼板表面に形成されるスケール厚さが大きくなり、熱間圧延時や巻き取り時にスケール欠陥部が生じた。また、スケール剥離性が十分ではなかった。また、デスケーリングが不十分であったため、高温で生成したヘマタイトが残存するこし、式(i)が0.20超となった。また、スケール層の厚みが厚く、スケールと母材の界面からスケール中へのSnの拡散が進み、界面のSn濃度比が1.4未満であった。試験番号13の熱延鋼板については、スケールの欠陥部の形成により熱延鋼板にスケール押し込み疵が生じたことから、コンテナ腐食試験及びSAE J2334試験を実施しなかった。
試験番号14の熱延鋼板は、仕上圧延後の冷却開始が遅く、強固で分厚いスケール層が形成され、スケール剥離性が充分ではなかった。そのため、ショットブラスト処理後もわずかにスケール層が鋼板表面に残存し、耐食性が低下した。冷却開始までの時間が長いと、高温状態が続くことになり、鋼板の温度によりスケールの形成が進行するので、スケール中にヘマタイトが形成されやすく、式(i)が0.20超となった。また、高温状態が長く続くことで、スケールと母材の界面からスケール中へのSnの拡散が進み、界面のSn濃度比が1.4未満であった。さらに、試験番号14の熱延鋼板では、塗装を施してもSAE J2334試験中に塗膜疵部以外の健全部で、残存スケールによる剥離や発錆が観測され、その結果、耐食性が低下した。
試験番号15の熱延鋼板は、巻き取り温度が高いことから、マグネタイトが増加し、ウスタイトが減少した。このため、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.02を下回り、スケール剥離性が悪化した。また、巻き取り温度が高いことから、スケールの形成が促進され、スケールの厚さが大きくなった。また、高温状態が長く続くことで、スケールと母材の界面からスケール中へのSnの拡散が進み、界面のSn濃度比が1.4未満であった。また、スケール剥離性が悪化したことにより、ショットブラスト処理後もわずかにスケール層が鋼板表面に残存し、耐食性が低下した。さらに、塗装を施してもSAE J2334試験中に塗膜疵部以外の健全部で、残存スケールによる剥離や発錆が観測され、その結果、耐食性が低下した。
試験番号16の熱延鋼板は、巻き取り後の冷却速度が小さすぎるため、鉄酸化物の組成比マグネタイトが増加し、ウスタイトが減少した。このため、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.02を下回り、スケール剥離性が悪化した。また、巻き取り後の冷却速度が小さすぎるため高温状態が長く続くことで、スケールと母材の界面からスケール中へのSnの拡散が進み、界面のSn濃度比が1.4未満であった。また、スケール剥離性が悪化したことにより、ショットブラスト処理後もわずかにスケール層が鋼板表面に残存し、耐食性が低下した。さらに、塗装を施してもSAE J2334試験中に塗膜疵部以外の健全部で、残存スケールによる剥離や発錆が観測され、その結果、耐食性が低下した。
試験番号17の熱延鋼板は、巻き取り後の冷却速度が大きすぎるため、母材からのSnの拡散が抑制され、スケール界面と母材のSn濃度比が1.4未満となり、また、強固なマグネタイト層を含む薄いスケールが形成された。その結果、マグネタイトが増加し、ウスタイトが減少した。このため、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.02を下回り、スケール剥離性が悪化した。さらに、コイル中でスケール割れが生じた。そのため、ショットブラスト処理後もわずかにスケール層が鋼板表面に残存し、耐食性が低下した。さらに、塗装を施してもSAE J2334試験中に塗膜疵部以外の健全部で、残存スケールによる剥離や発錆が観測され、その結果、耐食性が低下した。
試験番号18の熱延鋼板は、Snが0.08%未満であり、また、所定のSnの濃化層が形成されなかった。また、式(i)も0.20超であり、スケール剥離性が充分ではなかった。そのため、ショットブラスト処理後もわずかにスケール層が鋼板表面に残存し、耐食性が低下した。さらに、塗装を施してもSAE J2334試験の結果、塗膜疵部より著しい塗装剥離が観測された。
試験番号19の熱延鋼板は、鋼材中のSn量が0.25%超であるため、ウスタイトの生成が抑制され、式(i)が0.02を下回った 。また、熱間加工中におけるスケール剥離が促進され、厚いスケールが形成した。厚いスケールが形成され、熱間圧延時に剥離したスケールによる母材の押し込み疵が生じたため、その後の試験を行わなかった。
試験番号20の熱延鋼板は、Si含有量が0.50%と高かった。そのため、スケール層の成長が抑制された。また、界面にSi濃化が進行し、スケールの変態が抑制され、式(i)が0.02未満になるとともに、スケール剥離性が低下した。また、理由は定かではないが界面のSnの濃化が抑制され、Sn濃度比が1.4未満になった。
試験番号20の熱延鋼板は、界面へのSi濃化によるスケール剥離性の低下ため、ショットブラスト処理後もわずかにスケール層が鋼板表面に残存し、耐食性が低下した。さらに、塗装を施してもSAE J2334試験中に塗膜疵部以外の健全部で、残存スケールによる剥離や発錆が観測され、その結果、耐食性が低下した。
試験番号21の熱延鋼板は、Si含有量が0.02%と低かった。Siは熱間圧延時のスケール成長に影響する。試験番号21では、鋼中のSi含有量が少ないので、熱間圧延時のスケール成長が促進され、密着性の低い厚いスケールが形成された。マグネタイトを多く含む厚いスケール層が形成されたことから、式(i)が0.02未満となった。また、Siは脱酸剤として使われるほど、酸素との親和性が高い。そのため、Si濃度が低い試験番号21の熱延鋼板では、鋼材が酸化されやすく、スケール層厚さが大きくなるともに、Sn濃化層の形成を阻害され、Snの濃度比が1.4未満となった。
試験番号21の熱延鋼板では、スケール剥離が促進され、剥離したスケールによる母材の押し込み疵が生じたので、そのあとの試験を行わなかった。
試験番号22の熱延鋼板は、Cuの量が0.08%と高く、スケール層厚さが厚く、スケール界面と母材のSn濃度比が1.2と低く、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.25と高くなった。さらに、熱間圧延時に熱延鋼板表面および端部に微小な割れが生じたため、そのあとの試験を行わなかった。
試験番号23の熱延鋼板は、Niの量が0.10%と高く、理由は定かではないが、スケール界面と母材のSn濃度比が1.2と低く、マグネタイトが増加し、ウスタイトが減少した。このため、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.02を下回り、スケール剥離性が悪化した。また、Ni含有量が高いことにより、耐食性が低下した。
試験番号24の熱延鋼板は、Crの量が0.10%と高く、スケール層厚さが小さく、スケール界面と母材のSn濃度比が1.2と低く、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.25と高くなったため、スケール剥離性が悪化した。また、Crの含有により耐食性が低下した。
試験番号25の熱延鋼板は、Nbの量が0.020%と高く、またスケール層厚さが小さいのにも関わらず、スケール界面と母材のSn濃度比が1.2と低く、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.25と高くなったため、仕上げ圧延から巻き取りまでの間で熱延鋼板表面のスケール割れが生じた。したがって、その後の試験を行わなかった。
試験番号26の熱延鋼板は、Nbの量が0.001%と低かったので、スケール層厚さが大きく、スケール界面と母材のSn濃度比が1.0と低く、鉄酸化物の組成比(ウスタイト+ヘマタイト)/マグネタイトが0.25と高くなり、スケール剥離性が悪化した。そのため、ショットブラスト処理後もわずかにスケール層が鋼板表面に残存し、耐食性が低下した。さらに、塗装を施してもSAE J2334試験中に塗膜疵部以外の健全部で、残存スケールによる剥離や発錆が観測され、その結果、耐食性が低下した。
本発明によれば、熱延鋼板がスケール剥離性を具備することから、スケール層を剥離して使用したり、さらに、塗装を施して使用したりすることが可能である。また、このような熱延鋼板は、塩化物を含む腐食環境下において、優れた耐食性を有する。したがって、本発明の熱延鋼板は、鉄道用車両並びに陸上輸送または海上輸送に用いられるコンテナに好適に用いることができる。
(1)本発明の一態様に係る熱延鋼板は、鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケール層とを有し、前記鋼板の化学成分が、質量%で、C:0.04%を超えて0.20%以下、Si:0.05〜0.30%、Mn:0.30〜2.50%、P:0.050%以下、S:0.030%以下、Sn:0.08〜0.25%、Al:0.005〜0.050%、N:0.0005〜0.0100%、Nb:0.005〜0.015%、Cu:0〜0.05%、Ni:0〜0.05%、Cr:0〜0.05%、W:0〜0.50%、Mo:0〜0.50%、Ti:0〜0.15%、V:0〜0.05%、B:0〜0.0005%、Ca:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050%、REM:0〜0.0050%、を含有し、残部がFeおよび不純物であり、前記スケール層中の、前記鋼板と前記スケール層との界面に、Sn含有量が前記鋼板のSn含有量の1.4倍以上2.0倍以下であるSn濃化層が存在し、前記スケール層の平均厚さが1.0〜15.0μmであり、前記スケール層が、ウスタイト、ヘマタイト、マグネタイトの1種または2種以上の鉄酸化物を含み、前記スケール層中において、前記ウスタイトの質量%での含有量をw、前記ヘマタイトの質量%での含有量をh、前記マグネタイトの質量%での含有量をmとしたとき、前記w、前記h及び前記mが、下記(i)式を満足し、前記鋼板の板厚が2〜16mmである。
0.02≦(h+w)/m≦0.20 ・・・(i)
(2)上記(1)の熱延鋼板では、前記化学成分におけるW含有量が、質量%で0.005%以下であってもよい。
(3)上記(1)または(2)の熱延鋼板では、前記化学成分におけるMo含有量が、質量%で0.005%以下であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるCu含有量が、質量%で0.02%以下であってもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるNi含有量が、質量%で0.02%以下であってもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるCr含有量が、質量%で0.02%以下であってもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の熱延鋼板では、前記化学成分におけるTi含有量が、質量%で0.01%以下であってもよい。
(8)本発明の別の態様に係る鋼材は、上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の熱延鋼板に、ショットブラスト処理を行い、さらに、前記ショットブラスト処理を行った前記熱延鋼板に塗装処理を行うことによって得られる。
(9)本発明の別の態様に係るコンテナは、上記(8)に記載の鋼材を備える。

Claims (9)

  1. 鋼板と、
    前記鋼板の表面に形成されたスケール層とを有し、
    前記鋼板の化学成分が、質量%で、
    C:0.04%を超えて0.20%以下、
    Si:0.05〜0.30%、
    Mn:0.30〜2.50%、
    P:0.050%以下、
    S:0.030%以下、
    Sn:0.08〜0.25%、
    Al:0.005〜0.050%、
    N:0.0005〜0.0100%、
    Nb:0.005〜0.015%、
    Cu:0〜0.05%、
    Ni:0〜0.05%、
    Cr:0〜0.05%、
    W:0〜0.50%、
    Mo:0〜0.50%、
    Ti:0〜0.15%、
    V:0〜0.05%、
    B:0〜0.0005%、
    Ca:0〜0.0050%、
    Mg:0〜0.0050%、
    REM:0〜0.0050%、
    を含有し、残部がFeおよび不純物であり、
    前記スケール層中の、前記鋼板と前記スケール層との界面に、Sn含有量が前記鋼板のSn含有量の1.4倍以上であるSn濃化層が存在し、
    前記スケール層の平均厚さが1.0〜15.0μmであり、
    前記スケール層が、ウスタイト、ヘマタイト、マグネタイトの1種または2種以上の鉄酸化物を含み、
    前記スケール層中において、前記ウスタイトの質量%での含有量をw、前記ヘマタイトの質量%での含有量をh、前記マグネタイトの質量%での含有量をmとしたとき、前記w、前記h及び前記mが、下記(i)式を満足し、
    前記鋼板の板厚が2〜16mmである、
    ことを特徴とする熱延鋼板。
    0.02≦(h+w)/m≦0.20 ・・・(i)
  2. 前記化学成分におけるW含有量が、質量%で0.005%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記化学成分におけるMo含有量が、質量%で0.005%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼板。
  4. 前記化学成分におけるCu含有量が、質量%で0.02%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱延鋼板。
  5. 前記化学成分におけるNi含有量が、質量%で0.02%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱延鋼板。
  6. 前記化学成分におけるCr含有量が、質量%で0.02%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱延鋼板。
  7. 前記化学成分におけるTi含有量が、質量%で0.01%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱延鋼板。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱延鋼板に、ショットブラスト処理を行い、さらに、前記ショットブラスト処理を行った前記熱延鋼板に塗装処理を行うことによって得られることを特徴とする鋼材。
  9. 請求項8に記載の鋼材を備えることを特徴とするコンテナ。
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