JP6102472B2 - ステーブおよび高炉 - Google Patents
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Description
高炉の内面は、炉内の高熱を受けつつ炉内を下降する装入物に曝されて機械的な損耗を受ける。そして、一定期間で耐火レンガが損耗した後は、ステーブの表面が損耗される。このような損耗に対応するために、ステーブの炉内側の表面に凹部を配列し、この凹部に耐火物を嵌め込む等したものが開発されている。
一方、朝顔部および炉腹部では、以下の2種類の損傷形態が考えられている。第1は上記の鉄原料による機械的な摩耗による損傷、第2としては、高温の融着帯(装入物中の鉱石の軟化溶融が開始し、半溶融状態の鉱石が相互に融着し板状に繋がっている領域)の根部がステーブに接触し、特に高温溶融物による損傷を受ける。以上のような2種類の損傷形態によることが知られている。
このような装入物による高温下での機械的な摩耗あるいは高温の融着帯による溶損損耗に対し、前述した嵌め込み耐火物を有するステーブでも十分な耐久性が得られていなかった。
このような突起部を有するステーブでは、突起部により炉内を降下する装入物粒子を減速し、停滞層を形成することで摩耗を大幅に緩和し、ステーブ表面を保護することができる。
これは、ステーブ本体および突起部を形成する銅などの金属材料が、一般に高温になると硬度が低下し、耐摩耗性が急激に低下することを考慮したものである。摩耗に曝されるステーブ本体および突起部の表面は、前述した冷却用水路により冷却され、所定の温度領域(通常は摂氏500度程度)以下に維持され、その耐久性が確保されている。
従って、ステーブ本体および突起部に対して、前述した冷却用水路による冷却が確実に行われていれば、ステーブ本体および突起部の表面は長期間にわたってその耐久性を維持することができる。
また、突起部の冷却用水路を設置するためにステーブ内にスペースを確保することが必要であり、とくに周辺部においては水路以外の構造との干渉等により水路を設置できないことがある。
しかし、実際には、特許文献1,2の構成では、高炉内部の温度変動などによる局所的な高温化までは吸収しきれず、このようなステーブ上端突起部において、許容できない摩耗が進行していることが分かった。
このような本発明では、最上段の突起部もステーブ本体の上端から離れて設置され、ステーブ本体の冷却用水路(ステーブ本体の辺縁部よりも内側の領域に設置される)に近づくことになる。このため、最上段の突起部は、ステーブ本体の冷却用水路により冷却される領域内となり、内部に冷却用水路を形成しなくとも冷却不足を解消することができる。
これにより、ステーブとして、構造が簡略化できるとともに、全面にわたって十分な耐久性が得られる。
このような本発明では、最上段の突起部が、ステーブ本体の冷却用水路により冷却される領域内に配置され、最上段の突起部の冷却不足を確実に解消することができる。
このような本発明では、最上段の突起部が、ステーブ本体の冷却用水路により冷却される領域よりも外側に配置されるが、第1距離を第2距離の50%より大きくすること、つまり、突起部の最上段を、ステーブ本体の上端よりも冷却用水路の最上端に近く配置することで、最上段の突起部の冷却不足を解消することができる。そして、最上段の突起部は、ステーブ本体の冷却用水路により冷却される領域内に限定されないため、設計自由度を高めることができる。
このような本発明では、突起部の最上段は、ステーブ本体の冷却用水路により冷却される領域の内側か外側かに拘わらず、ステーブ本体の冷却用水路により冷却されて温度400℃以下に維持されるため、内部に冷却用水路を形成しなくとも冷却不足を解消することができる。
このような本発明の高炉によれば、前述した本発明のステーブと同様な作用効果を得ることができ、高炉として、構造が簡略化できるとともに、全面にわたって十分な耐久性が得られる。
図1において、高炉1は、基礎地盤上に構築された筒状の炉体2を有する。
炉体2は、筒状であり、上部のガス捕集マンテル3から順次炉口部S1、シャフト部S2、炉腹部S3、朝顔部S4、羽口部S5、炉底部S6に区分される。一般的に、シャフト部S2の内径は下方に向かって拡張し、炉腹部S3の内径は最大径であり、朝顔部S4の内径は下方に向かって縮小する。
炉体2には、炉底部S6の上部に羽口5が設置され、ここから熱風5Aが吹き込まれる。この熱風5Aにより、塊状帯4A中のコークスが炉内を降下するとともに順次昇温され、羽口5近傍には高温ガスによるレースウェイ5B(羽口5から高速のガスを吹き込んで羽口5前のコークスを流動化させた空隙率の高い空間)が形成される。レースウェイ5Bの高熱により、塊状帯4A中の鉄鉱石が溶融する。
融着帯4Bで溶融した鉄分6Aは滴下帯4Cを通過し、炉底部S6に向かって滴下し、溶銑6Bとして炉底部S6に溜まる。コークス等は滴下帯4Cを通過して降下し、炉底部S6に積み上がり、溶銑6Bの上に円錐形の炉芯4Dを形成する。
炉体2には、炉底部S6に出銑口6が設置され、出銑口6により炉底部S6に溜まった溶銑6Bが高炉1の外部に取り出される。
シャフト部S2の上部から中部の塊状帯4Aに面する領域S7にはシャフト用のステーブ2Bが張られる。この領域S7では、塊状帯4Aに含まれる粒状の装入物4がステーブ2Bの表面に接触しながら順次降下するため、ステーブ2Bの表面には機械的な摩耗を生じることがある。
シャフト部S2の下部から炉腹部S3及び朝顔部S4を含む領域S8の内周には朝顔部および炉腹部用のステーブ2Cが貼られる。この領域S8では、融着帯4Bに含まれる高温の装入物4(融着帯根部)がステーブ2Cの表面に接触しながら順次降下するため、ステーブ2Cの表面には高温による摩耗を生じることがある。
これらのステーブ2B,2Cの高炉1の内側表面には必要に応じて耐熱レンガ2Dが張られる。また、高温の溶融鉄が貯留される炉底部には耐熱レンガ2Eが厚く積み上げられる。
図2において、シャフト用ステーブ10は、高炉1の内部空間に面する基準面Rを有するステーブ本体11と、基準面Rより高炉1の内側に向かって突出した複数の突起部12とを備えている。これらの突起部12の間には一段低い平面13が基準面Rに沿って形成されている。平面13には突起部12に沿って水平に連続した溝が形成され、この溝には耐火レンガ15が嵌め込まれている。
管路16は、平面13に沿って配置され、接続口16Aから供給される冷却水により基準面Rである平面13を冷却することが可能である。
なお、ステーブ本体11には、突起部12に沿って配置され、あるいは一部が突起部12内を通過するような冷却用の管路は設置されていない。
突起部12は、例えば、基準面Rからの突出量(突出寸法)Eが50〜150mm(平均粒度の大きいコークス系装入物の最大粒径55mmの略1〜3倍)であり、高さ方向の厚みTが50〜150mmであり、隣接する他の突起部12との間隔D(平面13の高さ方向寸法に相当)が200〜700mm、好ましくは250〜350mm(300mmの前後50mm)である。
なお、突起部12は、その先端面がTiN,TiC,WC,Ti−Al−N系等の高硬度材料でコーティングされている。
ステーブ本体11において、冷却用の管路16のうち最上段のものは、その上端がステーブ本体11の上端から第2距離M2だけ離れて設置されている。
ここで、第1距離M1は第2距離M2よりも十分に大きく設定され、最上段の突起部12は、管路16の最上端より低い位置に設置されている。
従って、最上段の突起部12は、ステーブ本体11の表面のうち管路16が設置された領域内、つまり管路16により十分に冷却されうる領域内に配置されている。
また、本実施形態では、最上段の突起部12もステーブ本体11の上端から第1距離M1だけ離れて設置され、ステーブ本体11に設置された最上段の管路16よりも下方、つまりステーブ本体11において管路16で冷却される領域内となり、内部に冷却用水路を形成しなくとも冷却不足を解消することができる。
これにより、本実施形態のシャフト用ステーブ10は、構造が簡略化できるとともに、全面にわたって十分な耐久性が得られる。
図3には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態は、基本的に前述した第1実施形態と同様な構成を有する。このため、共通の要素には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態は、前述した第1実施形態に対して、最上段の突起部12の第1距離M1および最上段の管路16の第2距離M2の関係が異なるようにしたものである。
本実施形態では、第1距離M1は第2距離M2よりも小さく、最上段の突起部12は最上段の管路16より上方とされ、ステーブ本体11の管路16で冷却される領域外に最上段の突起部12が設置されている。
ただし、第1距離M1は第2距離M2の50%よりも大きく設定され、最上段の突起部12はステーブ本体11の上端よりも最上段の管路16の上端の近くに配置されている。
このような配置とする際には、最上段の突起部12が温度400℃以下になるように、第1距離M1および第2距離M2を設定することが望ましい。
このような本実施形態によっても、突起部12の内部に冷却用水路を形成しなくとも冷却不足を解消することができ、シャフト用ステーブ10として、構造が簡略化できるとともに、全面にわたって十分な耐久性が得られる。
図4には、本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した図1に示す朝顔部および炉腹部用のステーブ2Cに本発明を適用したものである。
図4において、朝顔部および炉腹部用ステーブ10Aは、高炉1の内部空間に面する基準面Rを有するステーブ本体11と、基準面Rより高炉1の内側に向かって突出した複数の突起部12とを備えている。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様な作用効果を得ることができ、朝顔部および炉腹部用ステーブ10Aとして、構造が簡略化できるとともに、全面にわたって十分な耐久性が得られる。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、シャフト用ステーブ10あるいは朝顔部および炉腹部用ステーブ10Aの突起部12の表面に高硬度材料をコーティングするとしたが、突起部12をそれ自体高硬度材料で成形してもよい。なお、突起部12の表面に高硬度材料を利用することは必須ではないが、シャフト用ステーブ10あるいは朝顔部および炉腹部用ステーブ10Aとして利用する場合、突起部12が基準面Rから突出して装入物4による摩耗を受けやすいことから、高硬度材料による耐摩耗性を確保することが望ましい。
前記実施形態において、シャフト用ステーブ10あるいは朝顔部および炉腹部用ステーブ10Aを高炉炉内に設置するのに先立って、突起部12の間に保護用の耐火レンガを張って平面13の表面を覆い、基準面Rを火入れ時の熱ショックから保護するようにしてもよい。
その他、突起部12の配置、断面形状、管路16の配置、シャフト用ステーブ10あるいは朝顔部および炉腹部用ステーブ10Aの全体的な形状、寸法等は実施にあたって適宜選択すればよい。
2…炉体
2A…鉄皮
2B,10…シャフト用ステーブ
2C,10A…朝顔部および炉腹部用ステーブ
2D,2E…耐熱レンガ
3…ガス捕集マンテル
4…装入物
5…羽口
6…出銑口
R…基準面
S7…シャフト用のステーブ領域
S8…朝顔部および炉腹部用のステーブ領域
11…ステーブ本体
12…突起部
13…平面
15…耐火レンガ
16…冷却用水路である管路
16A…接続口
M1…第1距離
M2…第2距離
Claims (5)
- 高炉の内面に配置されるステーブであって、
前記高炉の炉内表面となる基準面を有するステーブ本体と、前記基準面から炉内側に突出する突起部と、前記ステーブ本体の内部に形成された冷却用水路とを有し、
前記突起部は、前記ステーブ本体の上端から離れて設置されていることを特徴とするステーブ。 - 請求項1に記載のステーブにおいて、
前記突起部の最上段は、前記冷却用水路の最上端よりも下方に設置されていることを特徴とするステーブ。 - 請求項1に記載のステーブにおいて、
前記突起部の最上段は、前記ステーブ本体の上端から所定の第1距離で設置され、
前記冷却用水路の最上端は、前記ステーブ本体の上端から所定の第2距離で設置され、
前記第1距離は前記第2距離の50%よりも大きいことを特徴とするステーブ。 - 請求項1に記載のステーブにおいて、
前記突起部の最上段は、温度400℃以下になる位置より下方に設置されていることを特徴とするステーブ。 - 請求項1から請求項4の何れかに記載のステーブを備えたことを特徴とする高炉。
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