JPWO2017175598A1 - ガス分離膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法 - Google Patents

ガス分離膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法 Download PDF

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Abstract

ガス透過性とガス分離選択性を所望の高いレベルで実現することができ、さらに可塑化不純物の存在下においても上記の優れた分離性能(ガス透過性、分離選択性)を持続的に発現することができるガス分離膜、それを用いたガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法を提供する。ガス分離膜は、特定のポリイミド化合物を含有するガス分離層を有する。

Description

本発明は、ガス分離膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法に関する。
高分子化合物からなる素材には、その素材ごとに特有の気体透過性がある。その性質に基づき、特定の高分子化合物から構成された膜によって、所望の気体成分を選択的に透過させて分離することができる。この気体分離膜の産業上の利用態様として、地球温暖化の問題と関連し、火力発電所及び/又はセメントプラント、製鉄所高炉等において、大規模な二酸化炭素発生源からこれを分離回収することが検討されている。そして、この膜分離技術は、比較的小さなエネルギーで達成できる環境問題の解決手段として着目されている。一方、天然ガスやバイオガス(生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するガス)は主としてメタンと二酸化炭素を含む混合ガスであり、不純物である二酸化炭素等を除去する手段として膜分離方法が検討されている。
膜分離方法を用いた天然ガスの精製では、より効率的にガスを分離するために、優れたガス透過性とガス分離選択性が求められる。また、実際のプラントにおいては、天然ガス中に存在する不純物成分(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)の影響等によって膜が可塑化し、これによるガス分離選択性の低下が問題となる。したがってガス分離膜には、上記不純物成分の存在下においても所望のガス分離選択性を、持続して発現することができる耐可塑性も求められる。これらを実現するために種々の膜素材が検討されており、その一環としてポリイミド化合物を用いたガス分離膜の検討が行われてきた。例えば特許文献1には、ポリイミド化合物がエステル連結基を介して架橋されてなる架橋ポリイミド化合物を、ガス分離膜のガス分離層として用いることが記載されている。
実用的なガス分離膜とするためには、ガス分離層を薄層にして十分なガス透過性を確保した上で、さらに高度なガス分離選択性も実現しなければならない。ガス分離層を薄層化する手法としては、ポリイミド化合物等の高分子化合物を相分離法により非対称膜とし、分離に寄与する部分を緻密層あるいはスキン層と呼ばれる薄層にする方法がある。この非対称膜では、緻密層以外の部分を膜の機械的強度を担う支持層として機能させる。
また、上記非対称膜の他に、ガス分離機能を担うガス分離層と機械強度を担う支持層とを別素材とし、ガス透過性の支持層上に、ガス分離能を有するガス分離層を薄層に形成する複合膜の形態も知られている。
特開2013−169485
一般に、ガス透過性とガス分離選択性は互いにいわゆるトレードオフの関係にある。したがって、ガス分離層に用いるポリイミド化合物の共重合成分を調整することにより、ガス分離層のガス透過性あるいはガス分離選択性のいずれかを改善することはできても、これらの特性を所望の高いレベルで両立するのは困難とされる。
また、ポリイミド化合物は一般に耐可塑性に劣り、可塑化不純物成分(例えばトルエンなど)の共存下ではガス分離性能が低下しやすい。特にガス透過性の高いポリイミド化合物をガス分離層に用いた場合には、上記不純物成分の影響をより受けやすくなり、ガス分離層の膨潤が促進される。それ故、ポリイミド化合物を用いたガス分離層において、ガス透過性と耐可塑性の両立を所望の高いレベルで実現することは困難であった。
本発明は、ガス透過性とガス分離選択性を所望の高いレベルで実現することができ、さらに可塑化不純物の存在下においても上記の優れた分離性能(ガス透過性、分離選択性)を持続的に発現することができるガス分離膜に関する。また、本発明は、上記ガス分離膜を用いたガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法にも関する。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ポリイミド化合物の主鎖構造中にスルホンアミド基を導入し、かかるポリイミド化合物をガス分離膜のガス分離層に用いた場合に、ガス透過性と可塑化耐性の両立を、従来のトレードオフの関係を克服して実現できることを見い出した。さらにこのガス分離膜は高圧条件下でも優れたガス分離選択性を示すことを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね完成させるに至ったものである。
本発明は下記の態様を含む。
[1]
ポリイミド化合物を含有するガス分離層を有するガス分離膜であって、上記ポリイミド化合物が、式(1)で表される構成単位、並びに式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1つを含むガス分離膜。

式(1)中、Rは下記式(I−1)〜(I−28)のいずれかで示される4価の基を示す。

ここでX〜Xはそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基を、Lは−CH=CH−又は−CH−を、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示し、*は式(1)中のカルボニル基との結合部位を示す。

式(2)及び式(3)中、Z〜Zはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、Q及びQはそれぞれ独立にスルホンアミド基を含む2価の基を示し、Yは水素原子、アルキル基、アリール基又は式(4)〜式(6)のいずれかの基を示し、X1+は有機または無機のカチオンを示し、nは0以上の整数である。

式(4)〜式(6)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。*1は、窒素原子との結合部位である。
[2]
〜Zがそれぞれ独立にアリーレン基及び/又はアルキレン基を含む2価の基である、[1]に記載のガス分離膜。
[3]
〜Zがそれぞれ独立に下記式A−1〜A−11のいずれかである、[1]に記載のガス分離膜。

式中、W〜W50はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、スルホンアミド基又はカルボキシ基を示し、Z11は−CR −、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示し、L及びLはそれぞれ独立に−CR−、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示す。R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。
[4]
ポリイミド化合物を含有するガス分離層を有するガス分離膜であって、上記ポリイミド化合物が、式(1)で表される構成単位、並びに式(8)で表される構成単位及び式(9)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1つを含むガス分離膜。

式(1)中、Rは下記式(I−1)〜(I−28)のいずれかで示される4価の基を示す。

ここでX〜Xはそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基を、Lは−CH=CH−又は−CH−を、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示し、*は式(1)中のカルボニル基との結合部位を示す。

式(8)及び式(9)中、Z〜Z10はそれぞれ独立に2価の連結基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は式(4)〜式(6)のいずれかの基を示し、X2+及びX3+はそれぞれ独立に有機又は無機のカチオンを示す。

式(4)〜式(6)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。*1は、窒素原子との結合部位である。
[5]
〜Z10がそれぞれ独立にアリーレン基及び/又はアルキレン基を含む2価の基である、[4]に記載のガス分離膜。
[6]
〜Z10がそれぞれ独立に下記式A−1〜A−11のいずれかである、[4]に記載のガス分離膜。

式中、W〜W50はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、スルホンアミド基又はカルボキシ基を示し、Z11は−CR −、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示し、L及びLはそれぞれ独立に−CR−、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示す。R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。
[7]
さらにガス透過性の支持層を有し、上記ガス分離層が上記ガス透過性の支持層の上側に備えられたガス分離複合膜である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のガス分離膜。
[8]
上記ガス透過性の支持層が、多孔質層と、不織布層とを含み、
上記ガス分離層と、上記多孔質層と、上記不織布層とが、この順に設けられている、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のガス分離膜。
[9]
二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるために用いられる、[1]〜[8]のいずれか1つに記載のガス分離膜。
[10]
[1]〜[8]のいずれか1つに記載のガス分離膜を具備するガス分離モジュール。
[11]
[10]に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
[12]
[1]〜[9]のいずれか1つに記載のガス分離膜を用いて、二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるガス分離方法。
本明細書において「〜」で表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、式中に同一の表示で表された複数の部分構造の繰り返しがある場合は、各部分構造ないし構成単位(繰り返し単位)は同一でも異なっていてもよい。
本明細書において化合物ないし基の表示については、化合物ないし基そのもののほか、それらの塩、それらのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。
本明細書において置換又は無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換又は無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において置換基というときには、特に断らない限り、後記置換基群Zをその好ましい範囲とする。
本発明のガス分離膜、ガス分離モジュール、及びガス分離装置は、高圧条件下の使用においても、ガス透過性と可塑化耐性の両立をトレードオフライン上ではない、高度なレベルで実現することができ、高速、高選択性で可塑化耐性にも優れたガス分離を可能とする。
本発明のガス分離方法によれば、高圧条件下においても、優れたガス透過性で、且つ、優れたガス分離選択性でガスを分離することができ、高速、高選択性のガス分離が可能となるとともに、可塑化耐性にも優れる。
本発明のガス分離複合膜の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のガス分離複合膜の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明のガス分離膜は、ガス分離層に特定のポリイミド化合物を含む。
[ポリイミド化合物]
一態様において、ポリイミド化合物は、下記式(1)で表される構成単位、並びに式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1つを含む。

式(1)中、Rは下記式(I−1)〜(I−28)のいずれかで示される4価の基を示す。ここでX〜Xはそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基を、Lは−CH=CH−又は−CH−を、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示し、*は式(1)中のカルボニル基との結合部位を示す。
Rは式(I−1)、(I−2)又は(I−4)で示される基であることが好ましく、(I−1)又は(I−4)で示される基であることがより好ましく、(I−1)で示される基であることが特に好ましい。
式(I−1)、(I−9)及び(I−18)中、X〜Xはそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基を示す。この2価の連結基としては、−C(R−(Rは水素原子又は置換基を示す。Rが置換基の場合、互いに連結して環を形成してもよい)、−O−、−SO−、−C(=O)−、−S−、−NR−(Rは水素原子、アルキル基(好ましくはメチル基又はエチル基)又はアリール基(好ましくはフェニル基))、−C−(フェニレン基)、又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合又は−C(R−がより好ましい。Rが置換基を示すとき、その具体例としては、後記置換基群Zから選ばれる基が挙げられ、なかでもアルキル基(好ましい範囲は後記置換基群Zに示されたアルキル基と同義である)が好ましく、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。なお、式(I−18)において、Xはその左側の2つの炭素原子のいずれか一方と連結し、かつ、その右側の2つの炭素原子のうちいずれか一方と連結している。
式(I−4)、(I−15)、(I−17)、(I−20)、(I−21)及び(I−23)中、Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。
式(I−7)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示す。かかる置換基としては、後述する置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。
及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
式(I−1)〜(I−28)中に示された炭素原子にさらに置換基が付加されていてもよい。この置換基の具体例としては、後記置換基群Zから選ばれる基が挙げられ、なかでもアルキル基又はアリール基が好ましい。
式(2)及び式(3)中、Z〜Zはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、例えば、アリーレン基(好ましくは1〜5環式のアリーレン基、より好ましくはフェニレン基、ナフチレン基)、アルキレン基(好ましくはメチレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)又はこれらの基から選ばれる2つ以上の基を単結合又は2価の基で連結してなる基(好ましくは2つ以上のアリーレン基及び/又はアルキレン基を単結合又は2価の基で連結してなる基)が挙げられる。上記の2価の基で連結されたアリーレン基、アルキレン基及びアルキレンオキシ基から選ばれる2つ以上の基は、これらの基が有する置換基同士が連結して、上記2価の基と共に環を形成してもよい。かかる2価の基としては、例えばアルキレン基(好ましくはメチレン基)、シクロアルキレン基(好ましくはシクロへキシレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)が挙げられる。Z〜Zはそれぞれ独立にアリーレン基及び/又はアルキレン基を含む2価の基であることが好ましく、下記式A−1〜A−11のいずれかであることがより好ましい。
〜W50はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、スルホンアミド基又はカルボキシ基を示し、好ましくはアルキル基、カルボキシ基である。W〜W50が採りうるハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、スルホンアミド基として具体的には、後記置換基群Zで例示したものが挙げられる。
11は−CR −、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示し、好ましくは−CR −、−O−である。
及びLはそれぞれ独立に−CR−、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示し、好ましくは−CR−、−O−である。
及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。R及びRとして採り得るアルキル基はそれぞれ独立に直鎖でも分岐を有してもよく、環状構造でもよい。R及びRとして採り得るアルキル基はそれぞれ独立にその炭素数が1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8がさらに好ましく、1〜6がよりさらに好ましく、1〜4が特に好ましい。このアルキル基の好ましい具体例として、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、s−ブチル、イソブチル、シクロブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシルを挙げることができ、メチルが特に好ましい。また、ハロゲン置換アルキル基が好ましい。ハロゲン置換アルキル基の好ましい具体例として、例えば、トリフルオロメチルを挙げることができる。
及びQはそれぞれ独立にスルホンアミド基を含む2価の基を示し、例えば、それぞれスルホンアミド基と、アリーレン基、メチレン基から選ばれる基とを組合せてなる2価の基が挙げられる。本明細書においてスルホンアミド基とは、−S(=O)(=O)NR−又は−S(=O)(=O)N−で表される2価の基を意味し、Rは水素原子又は置換基を示す。この2価の基において、スルホンアミド基と、アリーレン基、メチレン基から選ばれる基との連結構造は、単結合であることが好ましい。
は水素原子、アルキル基、アリール基又は式(4)〜式(6)のいずれかの基を示す。
〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。
*1は窒素原子との結合部位である。
及びR〜Rが採りうるアルキル基又はアリール基としては、上記アルキル基又はアリール基が挙げられる。
<式(4)〜式(6)のいずれかで表される基>
ポリイミド化合物が式(2)で表される構成単位を含む場合、Yが式(4)〜式(6)のいずれかで表される基を含むことが好ましい。式(4)〜式(6)で表される基は、1価の酸無水物又は1価の酸ハライド化合物とポリイミド化合物中の主鎖中に組み込まれたスルホンアミド基との高分子反応により形成されうる。1価の酸無水物、1価の酸ハライド化合物とは、上記ポリイミド化合物中のスルホンアミド基と反応し、式(4)、式(5)及び式(6)の少なくとも1つを形成可能な1価の化合物を意味し、好ましい例としては、カルボン酸無水物、スルホン酸無水物、カルボン酸クロライド、スルホン酸クロライド、リン酸クロライドなどを挙げることができる。1価の酸ハライド化合物におけるハライドは、クロライド、ブロマイドが挙げられる。
本発明に使用しうる1価の酸無水物、1価の酸ハライド化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されない。
<1価の酸無水物>
<1価の酸ハライド化合物>
1+は有機または無機のカチオンを示し、例えば、アンモニウムカチオン、ナトリウムカチオンを挙げることができる。
nは0以上の整数であり、好ましくは1〜3である。
別の態様において、ポリイミド化合物は、上記式(1)で表される構成単位、並びに式(8)で表される構成単位及び式(9)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
式(8)及び式(9)中、Z〜Z10はそれぞれ独立に2価の連結基を示し、例えば、アリーレン基、アルキレン基(ハロゲン化アルキレン基を含む)が挙げられる。Z〜Z10はそれぞれ独立にアリーレン基及び/又はアルキレン基を含む2価の基であることが好ましく、式A−1〜A−11のいずれかであることがより好ましい。
及びYはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は上記式(4)〜式(6)のいずれかの基を示し、例えば、水素原子、アセチル基を挙げることができる。
2+及びX3+はそれぞれ独立に有機または無機のカチオンを示し、例えば、アンモニウムカチオン、ナトリウムカチオンを挙げることができる。
ポリイミド化合物の構成単位が、ポリイミド化合物の主鎖にスルホンアミド基を有することによって、側鎖に導入した場合と比べて、ポリマー間の相互作用が向上し、ガス透過性と可塑化耐性が向上すると考えられる。かかるポリイミド化合物をガス分離層に用いた際に、優れたガス透過性と可塑化耐性の両立を高度なレベルで実現することが可能となる。
また、Z〜Z10の芳香族単位を変更する事で、透過性、選択性、可塑化耐性のバランスを良好に調整する事が可能となる。
ポリイミド化合物は、1種類のみの構成単位を有しても良いが、2種以上の構成単位を有することが好ましい。
また、ポリイミド化合物中の構成単位は、下記ジアミン化合物、並びに2官能酸無水物及び/又は2官能スルホン酸ハライド化合物を反応させて得られる例示化合物に由来する構成単位であることが好ましい。
例えば、1つのポリアミド化合物について、反応スキームを以下に示す。これは、ジアミン化合物、2官能酸無水物及び2官能スルホン酸ハライド化合物を、各1種ずつ反応させた例である。
ポリイミド化合物を合成するために好適に得られるジアミン化合物及び2官能酸無水物と2官能スルホン酸ハライド化合物を以下に例示する。
<ジアミン化合物>
<併用してもよいジアミン化合物>
<2官能酸無水物>
<2官能スルホンンハライド化合物>
ポリイミド化合物は、例えば、酸無水物基を2つ以上有する化合物と、アミノ基を2つ以上有する化合物との逐次重合反応により生成してもよい。また、酸無水物基を2つ以上有する化合物と、酸ハライド基を2つ以上有する化合物と、アミノ基を2つ以上有する化合物との逐次重合反応により生成してもよい。
ポリイミド化合物は、酸無水物基を2つ以上有する化合物と、少なくとも1つのスルホンアミド基を主鎖に含み、かつ、2つ以上のアミノ基を有する化合物との逐次重合反応(酸無水物化合物と、少なくとも1つのスルホンアミド基を含むジアミン化合物との逐次重合反応)により生成することが好ましい。
ポリイミド化合物は、直鎖状の高分子化合物であることが好ましい。
また、ポリイミド化合物は、カルボキシ基を有することが好ましく、芳香環に結合したカルボキシ基を有することがより好ましく、下記構成単位を少なくとも有することが更に好ましい。
上記式(1)で表される構成単位100モルに対して、下記式(10)で表される構成単位を5モル〜30モル含有することが好ましい。
ポリイミド化合物の好ましい具体例を下記表に示す。例示化合物PI−1〜PI−28は、上記に記載されたジアミン化合物と無水物基を2つ以上有する化合物とを表に記載の割合(モル比)で反応してできた高分子化合物を意味する。
また、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法により測定した値である。
本発明に用いられるポリイミド化合物は、下記表に記載された具体例に限定されるものではない。
ポリイミド化合物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、所望により他の成分を含有しても良い。
以下、1価の塩基性化合物について説明する。
<1価の塩基性化合物>
ポリイミド化合物には、1価の塩基性化合物を含むことが好ましい。
1価の塩基性化合物とは、上記ポリイミド化合物中のスルホンアミド基と塩構造を形成可能な1価の塩基性化合物を意味し、好ましい例としては、アルカリ金属の水酸化物、酸化物又は炭酸水素塩、アルコキシド(ROM)、フェノキシド(ArONa)等、アンモニア(気体又は水溶液)、ジアリールアミン及びトリアリールアミンを除くアミン類(ジアリールアミン及びトリアリールアミンは、ほぼ中性に近く、酸基との塩形成性が不十分であるため除外される)、ピリジン、キノリン、ピペリジン等の複素環塩、ヒドラジン誘導体、アミジン誘導体、水酸化テトラアルキルアンモニウムなどを挙げることができる。
また、本明細書において「塩構造を形成する」とは、そこで定義される化合物ないし基がそのまま塩をなすことのほか、その化合物ないし塩の一部が組み合わされて塩をなすことを意味する。例えば、特定の化合物のアニオンが解離してカチオン部分のみがスルホンアミド基と塩を形成してもよい。また、上記「塩構造」がガス分離層中で解離して存在していてもよい。
上記1価の塩基性化合物のなかでも、アルカリ金属の水酸化物、酸化物又は炭酸水素塩、アルコキシド(ROM)、フェノキシド(ArONa)、アンモニア(気体又は水溶液)、及び含窒素化合物の塩が好ましく挙げられる。
1価の塩基性化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
以下に、ポリイミド化合物と1価の塩基性化合物とで形成された塩構造を分子内に有する好適なポリイミド化合物の具体例を示す。なお、本発明に用いられるポリイミド化合物は、これらの具体例に限定されない。
以下に、ポリイミド化合物と、酸無水物又は酸ハライド化合物とで形成された好適なポリイミド化合物の具体例を示す。なお、本発明に用いられるポリイミド化合物は、これらの具体例に限定されない。
置換基群Z:
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシルなどが挙げられる。)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基及びヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10のアミノ基であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環オキシ基であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアシル基であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環チオ基であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子が挙げられる。)、
シアノ基、カルボキシ基、オキソ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは3〜7員環のヘテロ環基で、芳香族ヘテロ環でも芳香族でないヘテロ環であってもよく、ヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。炭素数は0〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基であり、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリル基であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリルオキシ基であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。
これらの置換基は、上記置換基群Zより選択されるいずれか1つ以上の置換基により更に置換されてもよい。
なお、1つの構造部位に複数の置換基があるときには、それらの置換基は互いに連結して環を形成したり、上記構造部位の一部又は全部と縮環して芳香族環もしくは不飽和複素環を形成していてもよい。
化合物又は置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
本明細書において、単に置換基として記載されているものは、特に断わりのない限りこの置換基群Zを参照する。また、各々の基の名称のみが記載されているとき(例えば、「アルキル基」とのみ記載されているとき)は、この置換基群Zの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
ポリイミド化合物の分子量は、重量平均分子量として10,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは15,000〜500,000であり、さらに好ましくは20,000〜200,000であり、さらにより好ましくは50,000〜150,000である。
本明細書において分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を構成単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対称となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
〔ポリイミド化合物の合成〕
ポリイミド化合物は、特定構造の2官能酸無水物(テトラカルボン酸二無水物)と特定構造のジアミンとを縮合重合させることで合成することができる。その方法としては一般的な成書(例えば、今井淑夫、横田力男編著、「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」、株式会社エヌ・ティー・エス、2010年8月25日、p.3〜49、など)に記載の手法を適宜参照して実施することができる。
ポリイミド化合物は、上記各原料を溶媒中に混合して、上記のように通常の方法で縮合重合させて得ることができる。
上記溶媒としては、特に限定されるものではないが、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン系有機溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、及びジオキサン等のエーテル系有機溶剤、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、及びジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶剤、ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等の含硫黄系有機溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は反応基質であるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物、反応中間体であるポリアミック酸、さらに最終生成物であるポリイミド化合物を溶解させることを可能とする範囲で適切に選択されるものである。好ましくは、エステル系(好ましくは酢酸ブチル)、脂肪族ケトン系(好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル系(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル)、アミド系(好ましくはN−メチルピロリドン)、含硫黄系(ジメチルスルホキシド、スルホラン)の溶媒が好ましい。また、これらは、1種又は2種以上の溶媒を組み合わせて用いることができる。
重合反応温度に特に制限はなくポリイミド化合物の合成において通常採用されうる温度を採用することができる。具体的には−50〜250℃であることが好ましく、より好ましくは−25〜225℃であり、更に好ましくは0℃〜200℃であり、特に好ましくは20℃〜190℃である。
上記の重合反応により生成したポリアミック酸を分子内で脱水閉環反応させてイミド化することで、ポリイミド化合物が得られる。脱水閉環させる方法としては、一般的な成書(例えば、今井淑夫、横田力男編著、「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」、株式会社エヌ・ティー・エス、2010年8月25日、p.3〜49、など)に記載の方法を参考とすることができる。例えば、120℃〜200℃に加熱して、副生する水を系外に除去しながら反応させる熱イミド化法や、ピリジンやトリエチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)のような塩基性触媒共存下で、無水酢酸やジシクロヘキシルカルボジイミド、亜リン酸トリフェニルのような脱水縮合剤を用いるいわゆる化学イミド化等の手法が好適に用いられる。
ポリイミド化合物の重合反応液中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の総濃度は特に限定されるものではないが、5〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
式(1)で表されるポリイミド化合物の好ましい例を挙げると、以下に示すとおりである。
<中和体>
<N置換体>
[ガス分離膜]
〔ガス分離複合膜〕
本発明のガス分離膜の好ましい態様であるガス分離複合膜は、ガス透過性の支持層の上側に、特定のポリイミド化合物を含有するガス分離層が形成されている。この複合膜は、多孔質の支持体の少なくとも表面に、上記ポリイミド化合物を含有する塗布液(ドープ)を塗布して上記ガス分離層を形成することにより製造することが好ましい。本明細書において塗布とは、浸漬により表面に塗布液を付着させる態様を含む。
図1は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜10を模式的に示す縦断面図である。1はガス分離層、2は多孔質層からなる支持層である。図2は、本発明の別の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、ガス分離層1及び多孔質層2に加え、支持層として不織布層3が追加されている。この実施形態では、ガス透過性の支持層が、ガス分離層1側の多孔質層2、及びその逆側の不織布層3を含み、上記ガス分離層1は上記ガス透過性の支持層の上側に備えられている。すなわち、ガス分離複合膜20では、ガス分離層1と、多孔質層2と、不織布層3とが、この順に設けられている。
図1及び2は、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることにより、透過ガスを二酸化炭素リッチにした態様を示す。
本明細書において「支持層上側」とは、支持層とガス分離層との間に他の層が介在してもよい意味である。また、上下の表現については、特に断らない限り、分離対象となるガスが供給される側を「上」とし、分離されたガスが排出される側を「下」とする。
ガス分離複合膜は、多孔質性の支持体(支持層)の表面又は内面にガス分離層を形成又は配置するようにしてもよく、少なくとも表面に形成して簡便に複合膜とすることができる。多孔質性の支持体の少なくとも表面にガス分離層を形成することで、高分離選択性と高ガス透過性、更には機械的強度を兼ね備えるという利点を有する複合膜とすることができる。分離層の膜厚としては機械的強度、分離選択性を維持しつつ高ガス透過性を付与する条件において可能な限り薄膜であることが好ましい。
ガス分離複合膜において、ガス分離層の厚さは特に限定されない。ガス分離層の厚さは、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.05〜2.0μmであることがより好ましい。
支持層に好ましく適用される多孔質支持体(多孔質層)は、機械的強度及び高気体透過性の付与に合致する目的のものであれば、特に限定されるものではなく有機、無機どちらの素材であっても構わない。好ましくは有機高分子の多孔質膜であり、その厚さは1〜3,000μm、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは5〜150μmである。この多孔質膜の細孔構造は、通常平均細孔直径が10μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。空孔率は好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜80%である。
ここで、支持層が「ガス透過性」を有するとは、支持層(支持層のみからなる膜)に対して、40℃の温度下、ガス供給側の全圧力を5MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素の透過速度が1×10−5cm(STP)/cm・sec・cmHg(10GPU)以上であることを意味する。さらに、支持層のガス透過性は、40℃の温度下、ガス供給側の全圧力を5MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素透過速度が3×10−5cm(STP)/cm・sec・cmHg(30GPU)以上であることが好ましく、100GPU以上であることがより好ましく、200GPU以上であることがさらに好ましい。
多孔質膜の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、及びポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、並びにポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。多孔質膜の形状としては、平板状、スパイラル状、管状、及び中空糸状などいずれの形状をとることもできる。
ガス分離複合膜においては、ガス分離膜を形成する支持層の下部にさらに機械的強度を付与するために支持体が形成されていることが好ましい。このような支持体としては、織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性及びコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布としてはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたりする等の目的で、不織布を2本のロールで挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
<ガス分離複合膜の製造方法>
複合膜の製造方法は、好ましくは、上記ポリイミド化合物を含有する塗布液を支持体上に塗布してガス分離層を形成することを含む製造方法が好ましい。塗布液中のポリイミド化合物の含有量は特に限定されないが、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。ポリイミド化合物の含有量が低すぎると、多孔質支持体上にガス分離層を形成した際に、塗布液が容易に下層に浸透してしまうためにガス分離に寄与する表層に欠陥が生じる可能性が高くなる。また、ポリイミド化合物の含有量が高すぎると、多孔質支持体上にガス分離層を形成した際に、塗布液が孔内に高濃度に充填されてしまい、ガス透過性が低くなる可能性がある。本発明のガス分離膜は、分離層のポリマーの分子量、構造、組成さらには溶液粘度を調整することで適切に製造することができる。
塗布液の媒体とする有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、n−ヘキサン、及びn−ヘプタン等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、及びtert−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、及びジオキサン等のエーテル系有機溶剤、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、並びにジメチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶剤は支持体を浸蝕するなどの悪影響を及ぼさない範囲で適切に選択されるものであるが、好ましくは、エステル系(好ましくは酢酸ブチル)、アルコール系(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、脂肪族ケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル系(エチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族ケトン系、アルコール系、エーテル系である。またこれらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(支持層とガス分離層の間の他の層)
ガス分離複合膜において、支持層とガス分離層との間には他の層が存在していてもよい。他の層の好ましい例として、シロキサン化合物層が挙げられる。シロキサン化合物層を設けることで、支持体最表面の凹凸を平滑化することができ、分離層の薄層化が容易になる。シロキサン化合物層を形成するシロキサン化合物としては、主鎖がポリシロキサンからなるものと、主鎖にシロキサン構造及び非シロキサン構造を含む化合物とが挙げられる。
本明細書において「シロキサン化合物」という場合、特に断りのない限り、オルガノポリシロキサン化合物を意味する。
−主鎖がポリシロキサンからなるシロキサン化合物−
シロキサン化合物層に用いうる、主鎖がポリシロキサンからなるシロキサン化合物としては、下記式(i)又は(ii)で表されるポリオルガノシロキサンの1種又は2種以上が挙げられる。また、これらのポリオルガノシロキサンは架橋反応物を形成していてもよい。この架橋反応物としては、例えば、下記式(i)で表される化合物が、下記式(i)の反応性基Xと反応して連結する基を両末端に有するポリシロキサン化合物により架橋された形態の化合物が挙げられる。
式(i)中、Rは非反応性基であって、アルキル基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜15、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基、さらに好ましくはフェニル)であることが好ましい。
は反応性基であって、水素原子、ハロゲン原子、ビニル基、ヒドロキシ基、及び置換アルキル基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基)から選ばれる基であることが好ましい。
及びZはそれぞれ独立に上記R及びXのいずれかと同義である。
mは1以上の整数であり、好ましくは1〜100,000である。
nは0以上の整数であり、好ましくは0〜100,000である。
式(ii)中、X、Y、Z、R、m及びnは、それぞれ式(i)のX、Y、Z、R、m及びnと同義である。
式(i)及び(ii)において、非反応性基Rがアルキル基である場合、このアルキル基の例としては、メチル、エチル、へキシル、オクチル、デシル、及びオクタデシルを挙げることができる。また、非反応性基Rがフルオロアルキル基である場合、このフルオロアルキル基としては、例えば、−CHCHCF、−CHCH13が挙げられる。
式(i)及び(ii)において、反応性基Xが置換アルキル基である場合、このアルキル基の例としては、炭素数1〜18のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜18のアミノアルキル基、炭素数1〜18のカルボキシアルキル基、炭素数1〜18のクロロアルキル基、炭素数1〜18のグリシドキシアルキル基、グリシジル基、炭素数7〜16のエポキシシクロへキシルアルキル基、炭素数4〜18の(1−オキサシクロブタン−3−イル)アルキル基、メタクリロキシアルキル基、及びメルカプトアルキル基が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキル基を構成するアルキル基の炭素数は1〜10の整数であることが好ましく、例えば、−CHCHCHOHが挙げられる。
上記アミノアルキル基を構成するアルキル基の炭素数は1〜10の整数であることが好ましく、例えば、−CHCHCHNHが挙げられる。
上記カルボキシアルキル基を構成するアルキル基の炭素数は1〜10の整数であることが好ましく、例えば、−CHCHCHCOOHが挙げられる。
上記クロロアルキル基を構成するアルキル基の炭素数は1〜10の整数であることが好ましく、好ましい例としては−CHClが挙げられる。
上記グリシドキシアルキル基を構成するアルキル基の好ましい炭素数は1〜10の整数であり、好ましい例としては、3−グリシジルオキシプロピルが挙げられる。
上記炭素数7〜16のエポキシシクロへキシルアルキル基の好ましい炭素数は8〜12の整数である。
炭素数4〜18の(1−オキサシクロブタン−3−イル)アルキル基の好ましい炭素数は4〜10の整数である。
上記メタクリロキシアルキル基を構成するアルキル基の好ましい炭素数は1〜10の整数であり、例えば、−CHCHCH−OOC−C(CH)=CHが挙げられる。
上記メルカプトアルキル基を構成するアルキル基の好ましい炭素数は1〜10の整数であり、例えば、−CHCHCHSHが挙げられる。
m及びnは、化合物の分子量が5,000〜1,000,000になる数であることが好ましい。
式(i)及び(ii)において、反応性基含有シロキサン単位(式中、その数がnで表される構成単位)と反応性基を有さないシロキサン単位(式中、その数がmで表される構成単位)の分布に特に制限はない。すなわち、式(i)及び(ii)中、(Si(R)(R)−O)単位と(Si(R)(X)−O)単位はランダムに分布していてもよい。
−主鎖にシロキサン構造及び非シロキサン構造を含む化合物−
シロキサン化合物層に用いうる、主鎖にシロキサン構造及び非シロキサン構造を含む化合物としては、例えば、下記式(iii)〜(vi)で表される化合物が挙げられる。
式(iii)中、R、m及びnは、それぞれ式(i)のR、m及びnと同義である。Rは−O−又は−CH−であり、RS1は水素原子又はメチルである。式(iii)の両末端はそれぞれ独立にアミノ基、水酸基、カルボキシ基、トリメチルシリル基、エポキシ基、ビニル基、水素原子、又は置換アルキル基であることが好ましい。
式(iv)中、m及びnは、それぞれ式(i)におけるm及びnと同義である。
式(v)中、m及びnは、それぞれ式(i)におけるm及びnと同義である。
式(vi)中、m及びnは、それぞれ式(i)におけるm及びnと同義である。式(vi)の両末端はそれぞれ独立にアミノ基、水酸基、カルボキシ基、トリメチルシリル基、エポキシ基、ビニル基、水素原子、又は置換アルキル基が結合していることが好ましい。
式(vii)中、m及びnは、それぞれ式(i)におけるm及びnと同義である。式(vii)の両末端はそれぞれ独立にアミノ基、水酸基、カルボキシ基、トリメチルシリル基、エポキシ、ビニル基、水素原子、又は置換アルキル基が結合していることが好ましい。
式(iii)〜(vii)において、シロキサン構造単位と非シロキサン構造単位とは、ランダムに分布していてもよい。
主鎖にシロキサン構造及び非シロキサン構造を含む化合物は、全繰り返し構造単位の合計モル数に対して、シロキサン構造単位を50モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがさらに好ましい。
シロキサン化合物層に用いるシロキサン化合物の重量平均分子量は、薄膜化と耐久性の両立の観点から、5,000〜1,000,000であることが好ましい。重量平均分子量の測定方法は上述したとおりである。
さらに、シロキサン化合物層を構成するシロキサン化合物の好ましい例を以下に列挙する。
ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリスルホン/ポリヒドロキシスチレン/ポリジメチルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、ジフェニルシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体末端ビニル、ポリジメチルシロキサン末端ビニル、ポリジメチルシロキサン末端H、及びジメチルシロキサン/メチルハイドロシロキサン共重合体から選ばれる1種又は2種以上。なお、これらの化合物には架橋反応物を形成している形態も含まれる。
ガス分離複合膜において、シロキサン化合物層の厚さは、平滑性及びガス透過性の観点から、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがより好ましい。
また、シロキサン化合物層の40℃、4MPaにおける気体透過率は二酸化炭素透過速度で100GPU以上であることが好ましく、300GPU以上であることがより好ましく、1,000GPU以上であることがさらに好ましい。
〔ガス分離非対称膜〕
ガス分離膜は、非対称膜であってもよい。非対称膜は、ポリイミド化合物を含む溶液を用いて相転換法によって形成することができる。相転換法は、ポリマー溶液を凝固液と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法であり、本発明ではいわゆる乾湿式法が好適に用いられる。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶液を蒸発させて薄い緻密層を形成し、ついで凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤)に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層を形成させる方法であり、ロブ・スリラージャンらが提案(例えば、米国特許第3,133,132号明細書)したものである。
ガス分離非対称膜において、緻密層あるいはスキン層と呼ばれるガス分離に寄与する表層の厚さは特に限定されない。表層の厚さは、実用的なガス透過性を付与する観点から、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.05〜1.0μmであることがより好ましい。一方、緻密層より下部の多孔質層はガス透過性の抵抗を下げると同時に機械強度の付与の役割を担うものであり、その厚さは非対称膜としての自立性が付与される限りにおいては特に限定されるものではない。この厚さは、5〜500μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましい。
ガス分離非対称膜は、平膜であってもあるいは中空糸膜であってもよい。非対称中空糸膜は乾湿式紡糸法により製造することができる。乾湿式紡糸法は、紡糸ノズルから吐出して中空糸状の目的形状としたポリマー溶液に乾湿式法を適用して非対称中空糸膜を製造する方法である。より詳しくは、ポリマー溶液をノズルから中空糸状の目的形状に吐出させ、吐出直後に空気又は窒素ガス雰囲気中に通した後、ポリマーを実質的には溶解せず且つポリマー溶液の溶媒とは相溶性を有する凝固液に浸漬して非対称構造を形成し、その後乾燥し、さらに必要に応じて加熱処理して分離膜を製造する方法である。
ノズルから吐出させるポリイミド化合物を含む溶液の溶液粘度は、吐出温度(例えば10℃)で2〜17,000Pa・s、好ましくは10〜1,500Pa・s、特に好ましくは20〜1,000Pa・sであることが、中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることができるので好ましい。凝固液への浸漬は、一次凝固液に浸漬して中空糸状等の膜の形状が保持出来る程度に凝固させた後、案内ロールに巻き取り、ついで二次凝固液に浸漬して膜全体を十分に凝固させることが好ましい。凝固した膜の乾燥は、凝固液を炭化水素などの溶媒に置換してから行うのが効率的である。乾燥のための加熱処理は、用いたポリイミド化合物の軟化点又は二次転移点よりも低い温度で実施することが好ましい。
ガス分離膜は、上記ガス分離層上にシロキサン化合物層が保護層として設けられていてもよい。
〔ガス分離膜の用途と特性〕
ガス分離膜(複合膜及び非対称膜)は、ガス分離回収法、ガス分離精製法において好適に用いることができる。例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、メタン、及びエタンなどの炭化水素、プロピレンなどの不飽和炭化水素、テトラフルオロエタンなどのパーフルオロ化合物などのガスを含有する気体混合物から特定の気体を効率よく分離し得るガス分離膜とすることができる。特に二酸化炭素/炭化水素(メタン)を含む気体混合物から二酸化炭素を選択分離するガス分離膜とすることが好ましい。
とりわけ、分離処理されるガスが二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスである場合においては、40℃、5MPaにおける混合ガス中の二酸化炭素の透過速度が20GPU超であることが好ましく、30GPU超であることがより好ましく、35〜500GPUであることがさらに好ましく、50〜500GPUであることがよりさらに好ましく、80〜500GPUであることが特に好ましい。二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)は10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、30以上であることがよりさらに好ましい。RCO2は二酸化炭素の透過速度、RCH4はメタンの透過速度を示す。
なお、1GPUは1×10−6cm(STP)/cm・sec・cmHgである。
〔その他の成分等〕
ガス分離膜のガス分離層には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することもできる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもよい。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び/又は有機フルオロ化合物などを添加することもできる。
界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、及びアルキルリン酸塩などのアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイド付加物、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。この他にもアルキルベタイン、及びアミドベタインなどの両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッソ系界面活性剤なども挙げられる。界面活性剤はこれらを含めて、従来公知である界面活性剤及びその誘導体から適宜選ぶことができる。
ガス分離膜のガス分離層には、高分子分散剤を含んでいてもよい。高分子分散剤として、具体的にはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等が挙げられ、中でもポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
ガス分離膜を形成する条件に特に制限はないが、温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜80℃がより好ましく、5〜50℃が特に好ましい。
膜の形成時には、空気や酸素などの気体を共存させてもよいが、不活性ガス雰囲気下であることが望ましい。
ガス分離膜において、ガス分離層中のポリイミド化合物の含有量は、所望のガス分離性能が得られれば特に制限はない。ガス分離性能をより向上させる観点から、ガス分離層中のポリイミド化合物の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。また、ガス分離層中のポリイミド化合物の含有量は、100質量%であってもよいが、通常は99質量%以下である。
[ガス混合物の分離方法]
本発明のガス分離方法は、本発明のガス分離膜を用いて2成分以上の混合ガスから特定のガスを分離する方法である。ガス分離方法は、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む。ガス分離の際の圧力は0.5〜10MPaであることが好ましく、1〜10MPaであることがより好ましく、2〜7MPaであることがさらに好ましい。また、ガス分離温度は、−30〜90℃であることが好ましく、15〜70℃であることがさらに好ましい。二酸化炭素とメタンガスとを含む混合ガスにおいて、二酸化炭素とメタンガスの混合比に特に制限はないが、二酸化炭素:メタンガス=1:99〜99:1(体積比)であることが好ましく、二酸化炭素:メタンガス=5:95〜90:10であることがより好ましい。
[ガス分離モジュール又はガス分離装置]
本発明のガス分離膜を用いてガス分離モジュールを調製することができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレートアンドフレーム型などが挙げられる。
また、本発明のガス分離複合膜又はガス分離モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有するガス分離装置を得ることができる。本発明のガス分離複合膜は、例えば、特開2007−297605号公報に記載されるような吸収液と併用した膜及び/又は吸収ハイブリッド法としてのガス分離回収装置に適用してもよい。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、本実施例において、「部」、「%」とは、特に断りのない限り、「質量部」、「質量%」を意味する。
(合成例)
<スルホンアミド含有ジアミン(SA−1)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けた3つ口フラスコに、1,4−フェニレンジアミン(東京化成工業(株)製)51.9g、及びアセトニトリル250gを秤量し、0〜5℃に冷却しながら攪拌した。次いで、4,4’―ビフェニルジスルホニルクロリド(東京化成工業(株)製)28.1gをテトラヒドロフラン300gに溶解した後、滴下ロートに移し、攪拌中の上記3つ口フラスコ内に1時間かけて滴下し、次いで1時間攪拌した。この反応液を室温に戻し、2時間攪拌した後、1M水酸化ナトリウム水溶液328g、及び純水500gを添加して溶解した。この反応液を分液ロートに移し、酢酸エチル500mLで3回分液洗浄し、水相を回収した。5Lのビーカーに塩化アンモニウム(関東化学(株)製)17.5gを秤量し、純水2Lに溶解した。室温にて攪拌しながら、回収した上記水相を5Lビーカーに滴下し、析出した結晶を濾収した。結晶を純水1Lでリスラリー洗浄後、結晶を濾収し、次いで結晶をクロロホルム500mLでリスラリー洗浄後、結晶を濾収し、その後40℃で24時間真空乾燥し、目的物(SA−1)20.5gを得た。目的物であることはNMRスペクトルから確認した。
原料を適宜変更した以外は上記と同様にして、SA−2〜SA−18を合成した。
<スルホンアミド含有ジアミン(SA−6)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けた3つ口フラスコに、クロロスルホン酸500.0gを秤取し、次いで、室温中、ジフェニルスルホン(Aldrich社製)130.96gを添加し、室温にて1時間攪拌した。反応液を80℃まで昇温し、8時間攪拌した。この反応液を攪拌しながら、室温まで冷却し、2Lの氷冷水に晶析し、30分攪拌した後、これを濾取し、6Lの酢酸エチルに溶解した。この酢酸エチル溶液を分液ロートに移し、純水にて2回分液洗浄し、次いで、飽和食塩水にて分液洗浄した。有機相を三角フラスコに移し、硫酸マグネシウム30gを添加して攪拌し、固形物をろ過で取り除いた後、エバポレーターを用いて酢酸エチルを留去し、40℃で24時間真空乾燥し、目的物の前駆体(S−6)(ジスルホン酸クロリド体)145gを得た。前駆体(S−6)であることはNMRスペクトルから確認した。前駆体S−6についてNMRによる分析を行った。その結果を以下に示す。
NMRデータ(重Dテトラヒドロフラン、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン)
δ(ppm)=8.00−8.04(t、2H)、8.43−8.48(d、2H)、8.56−8.59(d、2H)、8.76(s、2H)
コンデンサー及び撹拌機を取り付けた3つ口フラスコに、1,4−フェニレンジアミン(東京化成工業(株)製)43.26g、及びアセトニトリル200gを秤量し、0〜5℃に冷却しながら攪拌した。上記で得られた前駆体(S−6)20.76gをテトラヒドロフラン200gに溶解した後、滴下ロートに移し、攪拌中の上記3つ口フラスコ内に1時間かけて滴下し、次いで1時間攪拌した。この反応液を室温に戻し、2時間攪拌した後、1M水酸化ナトリウム水溶液205g、及び純水300gを添加して溶解した。この反応液を分液ロートに移し、酢酸エチル500mLで3回分液洗浄し、水相を回収した。3Lのビーカーに塩化アンモニウム(関東化学(株)製)12.04gを秤量し、純水1Lに溶解した。室温にて攪拌しながら、回収した上記水相を3Lビーカーに滴下し、析出した結晶を濾収した。結晶を純水1Lでリスラリー洗浄後、結晶を濾収し、次いで結晶をメタノール500mLでリスラリー洗浄後、結晶を濾収し、その後40℃で24時間真空乾燥し、目的物(SA−6)26.1gを得た。目的物であることはNMRスペクトルから確認した。
目的物(SA−6)についてNMRによる分析を行った。その結果を以下に示す。
NMRデータ(重DMSO、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン)
δ(ppm)=5.04(s、4H)、6.32−6.34(d、4H)、6.56−6.59(d、4H)、7.82−7.86(t、2H)、7.89−7.91(d、2H)、7.98−8.00(d、2H)、8.15(s、2H)、9.69(s、2H)
<ポリイミド化合物(PI−1)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けた3つ口フラスコに、上記合成法と同様の方法で得られたSA−1を12.37g、及びN−メチル−2−ピロリドン93.8gを秤量し、氷冷しながら攪拌し、均一溶液とした。4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(東京化成工業(株)製)11.11gをこの均一溶液に添加し、0〜10℃で1時間攪拌後、室温で6時間反応させた。次いでN−メチル−2−ピロリドン29.3g、ピリジン7.91g、及び無水酢酸6.38gをこの順に添加し、80℃で3時間反応させた。反応液をメタノール0.4Lに添加し、ポリイミドを析出させた。これを濾取、洗浄、乾燥し、重量平均分子量115,000のポリイミド化合物(PI−1)19.2gを得た。目的物であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、GPC(ポリスチレン換算)から確認した。
原料を適宜変更した以外は上記と同様にして、PI−2〜PI−28を合成した。
<ポリイミド化合物(PIC−3)の合成例>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けた3つ口フラスコに、上記合成方法で得られたポリイミド化合物PI−1を3.00g、及びN−メチル−2−ピロリドン27.0gを秤量し、室温で攪拌し、均一溶液とした。ピリジン(東京化成工業(株)製)3.00g、及び無水酢酸(東京化成工業(株)製)1.96gを添加し、室温で1時間攪拌後、80℃で3時間反応させた。次いでN−メチル−2−ピロリドン10g、アセトン20g、及び酢酸5.00gをこの順に添加し、溶解させた。反応液をメタノール0.2Lに添加し、ポリイミド化合物を析出させた。これを濾取、洗浄、乾燥し、重量平均分子量125,000のポリイミド化合物(PIC−3)2.8gを得た。目的物であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、GPC(ポリスチレン換算)から確認した。
原料を適宜変更した以外は上記と同様にして、PIC−1〜PIC−2とPIC−4〜PIC−11を合成することができる。
実施例中、「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(TSKgel SuperAWM−H;東ソー(株)製)、GPC溶媒としてN−メチルピロリドン(リン酸、臭化リチウム各0.01mol/L)を用いた。
<ポリイミド化合物(PIB−2)の合成例>
200mlの3つ口フラスコにN−メチル−2−ピロリドン(和光純薬(株)製)95gを秤量し、次いで、ポリイミド化合物PI−1を5g添加し、攪拌しながら溶解させた。次いで、トリエタノールアミン(東京化成工業(株)製)0.079gを秤量して添加し、室温で1時間攪拌した。反応液をメタノール0.5Lに添加し、ポリイミド化合物を析出させた。これをろ取、洗浄、乾燥し、重量平均分子量119,000のポリイミド化合物(PIB−2)4.5gを得た。目的物であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、GPC(ポリスチレン換算)から確認した。
原料を適宜変更した以外は上記と同様にして、PIB−1とPIB−3〜PIB−6を合成することができる。
[実施例1]
<複合膜の作製>
図2に示すガス分離複合膜を作製した(図2には平滑層は図示していない)。
30ml褐色バイアル瓶に、ポリイミド化合物(PI−2)を1.4g、メチルエチルケトン8.6gを混合して30分攪拌したのち、更に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Aldrich社製、製品番号:40,561−2)を28mg加えて、更に30分攪拌して、ポリマー液を得た。10cm四方の清浄なガラス板上に、ポリアクリロニトリル多孔質膜(GMT社製)を静置し、アプリケータを用いて上記ポリマー液を多孔質支持膜表面にキャストさせ、ポリイミド化合物(PI−2)を含んでなるガス分離層を形成し、複合膜(実施例1)を得た。ポリイミド化合物(PI−2)層の厚さは約1μmであり、ポリアクリロニトリル多孔質膜の厚さは不織布を含めて約180μmであった。
なお、これらのポリアクリロニトリル多孔質膜の分画分子量は100,000以下のものを使用した。
[実施例2〜8、比較例1〜2]
<その他の複合膜の作製>
上記実施例1における、ポリイミド化合物を表4に記載のとおりに変更し、実施例2〜8の複合膜を作製した。
また、上記実施例1における、ポリイミド化合物を表4に記載のとおりに変更し、比較例1〜2の複合膜を作製した。
比較例1〜2で用いた比較用のポリイミド化合物を以下に示す。
<ガス分離性能の評価>
得られた各複合膜のガス分離性能を以下のように評価した。高圧耐性のあるSUS316製ステンレスセル(DENISSEN社製)を用いて、二酸化炭素(CO)及びメタン(CH)の体積比が1:1となるようにマスフローコントローラーを用いて調整し、混合ガスを40℃、ガス供給側の全圧力が5MPa(CO、CHの分圧:2.5MPa)となるように調整して各複合膜に供給した。CO及びCHのそれぞれのガスの透過性をTCD検知式ガスクロマトグラフィーにより測定した。各複合膜のガス透過性は、ガス透過率(Permeance)を算出することにより比較した。ガス透過率の単位はGPU(ジーピーユー)単位(1GPU=1×10−6cm(STP)/(s・cm・cmHg))で表した。
ガス分離選択性について、二酸化炭素/メタンの透過する比が30以上であるものを評価A、20以上30未満を評価B、10以上20未満を評価C、0以上10未満を評価Dとした。
混合ガス中の二酸化炭素のガス透過性について、ガス透過率80GPU以上を評価A、50GPU以上80GPU未満を評価B、20GPU以上50GPU未満を評価C、20GPU未満を評価Dとした。
<トルエン耐性試験>
各実施例及び比較例のポリイミド化合物の1質量%溶液を終夜かけて乾燥させ、150〜180mg程度のバルクサンプルを作成した。次いで90℃で1週間エージングし、25℃20%RH環境で半日以上静置後、初期質量として質量を測定した。その後、これらのバルクサンプルを気液平衡状態のトルエン雰囲気容器に保管し、7日後に質量測定を行った。質量変化(7日後の質量/初期質量)を算出し、トルエン膨潤率とした。
トルエン耐性について、トルエン膨潤率10%未満を評価A、10%以上25%未満を評価B、25%以上40%未満を評価C、トルエン膨潤率40%以上を評価Dとした。
上記表4に示される通り、比較例のポリイミド化合物を用いたガス分離膜は、トルエン耐性(可塑化耐性)に劣る結果となった(比較例1〜2)。
これに対し、実施例のポリイミド化合物を含有した本発明のガス分離膜は、ガス透過性とガス分離選択性を所望の高いレベルで実現することができ、トルエン耐性(可塑化耐性)に優れていた(実施例1〜8)。
以上の結果から、本発明のガス分離膜により、優れた気体分離方法、ガス分離モジュール、及びこのガス分離モジュールを備えたガス分離装置を提供できることが分かった。
1 ガス分離層
2 多孔質層
3 不織布層
10、20 ガス分離複合膜

Claims (12)

  1. ポリイミド化合物を含有するガス分離層を有するガス分離膜であって、上記ポリイミド化合物が、式(1)で表される構成単位、並びに式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1つを含むガス分離膜。

    式(1)中、Rは下記式(I−1)〜(I−28)のいずれかで示される4価の基を示す。

    ここでX〜Xはそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基を、Lは−CH=CH−又は−CH−を、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示し、*は式(1)中のカルボニル基との結合部位を示す。

    式(2)及び式(3)中、Z〜Zはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、Q及びQはそれぞれ独立にスルホンアミド基を含む2価の基を示し、Yは水素原子、アルキル基、アリール基又は式(4)〜式(6)のいずれかの基を示し、X1+は有機または無機のカチオンを示し、nは0以上の整数である。

    式(4)〜式(6)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。*1は、窒素原子との結合部位である。
  2. 〜Zがそれぞれ独立にアリーレン基及び/又はアルキレン基を含む2価の基である、請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 〜Zがそれぞれ独立に下記式A−1〜A−11のいずれかである、請求項1に記載のガス分離膜。

    式中、W〜W50はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、スルホンアミド基又はカルボキシ基を示し、Z11は−CR −、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示し、L及びLはそれぞれ独立に−CR−、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示す。R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。
  4. ポリイミド化合物を含有するガス分離層を有するガス分離膜であって、上記ポリイミド化合物が、式(1)で表される構成単位、並びに式(8)で表される構成単位及び式(9)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1つを含むガス分離膜。

    式(1)中、Rは下記式(I−1)〜(I−28)のいずれかで示される4価の基を示す。

    ここでX〜Xはそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基を、Lは−CH=CH−又は−CH−を、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示し、*は式(1)中のカルボニル基との結合部位を示す。

    式(8)及び式(9)中、Z〜Z10はそれぞれ独立に2価の連結基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は式(4)〜式(6)のいずれかの基を示し、X2+及びX3+はそれぞれ独立に有機又は無機のカチオンを示す。

    式(4)〜式(6)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。*1は、窒素原子との結合部位である。
  5. 〜Z10がそれぞれ独立にアリーレン基及び/又はアルキレン基を含む2価の基である、請求項4に記載のガス分離膜。
  6. 〜Z10がそれぞれ独立に下記式A−1〜A−11のいずれかである、請求項4に記載のガス分離膜。

    式中、W〜W50はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、スルホンアミド基又はカルボキシ基を示し、Z11は−CR −、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示し、L及びLはそれぞれ独立に−CR−、−O−、−NR−、−S−又は単結合を示す。R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示す。
  7. さらにガス透過性の支持層を有し、上記ガス分離層が上記ガス透過性の支持層の上側に備えられたガス分離複合膜である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  8. 上記ガス透過性の支持層が、多孔質層と、不織布層とを含み、
    上記ガス分離層と、上記多孔質層と、上記不織布層とが、この順に設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  9. 二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるために用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス分離膜を具備するガス分離モジュール。
  11. 請求項10に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス分離膜を用いて、二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるガス分離方法。

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