JP2019010631A - ガス分離膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法 - Google Patents

ガス分離膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法 Download PDF

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麻慧 妹尾
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Abstract

【課題】十分なガス分離選択性を有し、可塑化耐性に優れ、ガス透過性にも優れたガス分離膜、当該ガス分離膜を用いたガス分離モジュール、ガス分離装置及びガス分離方法の提供。【解決手段】ポリイミド化合物及び式(I)で表される化合物を構成材料として含むガス分離層1を有するガス分離膜10、ガス分離膜10を用いたガス分離モジュール、ガス分離装置及びガス分離方法。Aa−(X)n(I)(Aaはn価の飽和炭化水素基、n価の芳香族炭化水素基又は飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる2つ以上の基を連結してなるn価の基;nは2〜6の整数、但し、Aaは無置換の直鎖アルキレン基を除く;Xはカルボキシ基、アミド基、カルバメート基、ウレア基又はスルホンアミド基から成る水素結合性基;但し、1級アミノ基、2級アミノ基、ヒドロキシル基、及びチオール基を有しない)【選択図】図1

Description

本発明は、ガス分離膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法に関する。
高分子化合物は、その素材ごとに特有の気体透過性を有する。特定の高分子化合物からなる膜は、その性質に基づき、所望の気体成分を選択的に透過させて分離することができるガス分離膜として用いうる。ガス分離膜は、火力発電所、セメントプラント、及び製鉄所高炉等において、大規模な二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収するために産業上利用することが検討されている。より具体的には、主としてメタンと二酸化炭素とを含む混合ガス(天然ガスやバイオガス)から不純物である二酸化炭素等を除去する手段としてガス分離膜の利用が検討されている。
天然ガスの精製で用いられるガス分離膜は、より効率的にガスを分離するために、優れたガス透過性とガス分離選択性が求められる。また、実際の天然ガスプラントにおいては、高圧条件により、又は天然ガス中に存在する不純物(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン)の影響等によってガス分離膜が可塑化し、ガス分離選択性が低下する問題がある。したがって、ガス分離膜には、目的のガス分離選択性を持続的に発現できる可塑化耐性も求められる。
ガス分離選択性、及び可塑化耐性等の向上を目的として、ガス分離層に架橋構造を導入する技術が知られている。例えば特許文献1には、ポリ(アミドアミン)デンドリマーを用いて架橋したポリイミド膜が、二酸化炭素とメタンの分離選択性に優れることが記載されている。また特許文献2には、ポリイミドが有するカルボキシ基と、アルキレンジオールとを反応させてエステル架橋を形成させたポリイミド膜が、可塑化耐性に優れ、二酸化炭素の透過性、及び二酸化炭素とメタンの分離選択性にも優れることが記載されている。
実用的なガス分離膜とするためには、ガス分離層を薄層にして十分なガス透過性を確保し、さらに高度なガス分離選択性も実現しなければならない。ガス分離層を薄層化する手法としては、ポリイミド化合物等の高分子化合物を相分離法により非対称膜とし、分離に寄与する部分を緻密層又はスキン層と呼ばれる薄層にする方法がある。この非対称膜では、緻密層以外の部分を膜の機械的強度を担う支持層として機能させる。
また、上記非対称膜の他に、ガス分離機能を担うガス分離層と機械強度を担う支持層とを別素材とし、ガス透過性の支持層上に、ガス分離能を有するガス分離層を薄層に形成する複合膜の形態も知られている。
国際公開第2014/081550号 米国特許第8394182号明細書
上記特許文献1及び2に記載の技術によれば、ガス分離層を形成するポリイミド化合物に架橋構造を導入することにより、ガス分離性能を向上させることができ、また可塑化耐性を高めることができるとされる。しかし、本発明者らが、架橋構造を導入したポリイミド膜のガス分離性能について詳細に検討を重ねた結果、架橋構造の導入により可塑化耐性が向上するものの、ガス透過性の向上には制約があり、近時求められる所望の高効率ガス分離の実現が難しいことがわかってきた。
そこで本発明は、十分なガス分離選択性を示し、また可塑化耐性に優れ、さらにガス透過性にも優れたガス分離膜を提供することを課題とする。さらに本発明は、上記ガス分離膜を用いたガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ポリイミド化合物を用いて形成したガス分離層を有するガス分離膜の調製において、このガス分離層の形成を特定の水素結合性基を複数有する特定構造の化合物の共存下で行うことにより、この化合物とポリイミド化合物との間の水素結合性相互作用によりポリイミド化合物間に非共有結合性の架橋構造が形成されるなどして、得られるガス分離膜に十分なガス分離選択性と可塑化耐性を付与することができ、また優れたガス透過性も実現できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成させるに至ったものである。
上記の課題は以下の手段により達成された。
〔1〕
ポリイミド化合物及び下記式(I)で表される化合物を構成材料として含むガス分離層を有するガス分離膜。

−(X) (I)

式中、Aはn価の飽和炭化水素基、n価の芳香族炭化水素基、又は、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる2つ以上の基を連結してなるn価の基を示す。nは2〜6の整数である。但し、Aが無置換の直鎖アルキレン基であることはない。
Xは、カルボキシ基、アミド基、カルバメート基、ウレア基、及びスルホンアミド基から選ばれる水素結合性基を示す。
式(I)で表される化合物は、1級アミノ基、2級アミノ基、ヒドロキシ基、及びチオール基を有しない。
〔2〕
上記Xが、カルボキシ基、アミド基、カルバメート基、及びウレア基から選ばれる水素結合性基である、〔1〕に記載のガス分離膜。
〔3〕
上記Xがカルボキシ基である、〔1〕又は〔2〕に記載のガス分離膜。
〔4〕
上記式(I)で表される化合物がフッ素原子を有する、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のガス分離膜。
〔5〕
上記式(I)で表される化合物の分子量が200以上1000以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のガス分離膜。
〔6〕
上記Aが下記式(I−1)〜(I−15)のいずれかで表される化合物からn個の水素原子を除いた構造を含む基である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載のガス分離膜。
Figure 2019010631


式中、X〜Xは単結合又は2価の基を示す。Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。
〔7〕
上記ポリイミド化合物が下記式(II)で表される構造単位を有する、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のガス分離膜。
Figure 2019010631

式(II)中、Xはカルボキシ基、アミド基、カルバメート基、ウレア基、及びスルホンアミド基から選ばれる水素結合性基を示す。
は下記式(II−1)〜(II−28)のいずれかで表される構造を含む基を示す。Aは下記式(II−29)〜(II−42)のいずれかで表される構造を含む基を示す。
Figure 2019010631
式(II―1)〜(II―28)中、X〜Xは単結合、又は2価の基を示す。Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。R及びRは水素原子又は置換基を示し、*は式(II)中のカルボニル基との結合部位を示す。
Figure 2019010631
式(II―29)〜(II―42)中、X〜Xは単結合、又は2価の基を示す。Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。*は式(II)中のイミド基の窒素原子に結合する部位を示し、#はXとの結合部位を示す。
〔8〕
上記ポリイミド化合物中、上記式(II)で表される構造単位の含有量が30質量%以上である、〔7〕に記載のガス分離膜。
〔9〕
ガス透過性の支持層上に、上記ガス分離層が設けられるガス分離複合膜である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載のガス分離膜。
〔10〕
上記支持層が、多孔質層と、不織布層とからなり、
上記不織布層、上記多孔質層、及び上記ガス分離層がこの順に設けられる、〔9〕に記載のガス分離膜。
〔11〕
分離処理されるガスが二酸化炭素とメタンの混合ガスである場合において、30℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過速度が60GPU以上であり、二酸化炭素とメタンとの透過速度比RCO2/RCH4が15以上である、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載のガス分離膜。
〔12〕
二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させるために用いられる、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載のガス分離膜。
〔13〕
〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載のガス分離膜を具備するガス分離モジュール。
〔14〕
〔13〕に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
〔15〕
〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載のガス分離膜を用いて、二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるガス分離方法。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基、連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、式中に同一の表示で表された複数の部分構造の繰り返しがある場合は、各部分構造、又は繰り返し単位は同一でも異なっていてもよい。また、特に断らない場合であっても、複数の置換基等が近接するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
本明細書において化合物、又は基の表示については、化合物、又は基そのもののほか、それらの塩、それらのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。
本明細書において置換又は無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換又は無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において置換基というときには、特に断らない限り、後記置換基群Zをその好ましい範囲とする。また、特定の範囲を有する置換基が記載されているだけの場合(例えば「アルキル基」と記載されているだけの場合)は、下記置換基群Zの対応する基(上記の場合はアルキル基)における好ましい範囲、具体例が適用される。
本明細書において、ある基の炭素数を規定する場合、この炭素数は、基全体の炭素数を意味する。つまり、この基がさらに置換基を有する形態である場合、この置換基を含めた全体の炭素数を意味する。
本発明のガス分離膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法は、所望のガス分離選択性と優れた可塑化耐性を実現し、また優れたガス透過性をも実現したガス分離を可能とする。
本発明のガス分離複合膜の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のガス分離複合膜の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
本発明のガス分離膜は、ガス分離層中に、ポリイミド化合物と下記式(I)で表される化合物とを構成材料として含む。ポリイミド化合物と、式(I)で表される化合物とは、水素結合性基を有する。ポリイミド化合物と式(I)で表される化合物とが、共存することにより、ポリイミド化合物間に式(I)で表される化合物が関与し、両者間に水素結合性相互作用が働く。この水素結合性相互作用が、ポリイミド化合物と式(I)で表される化合物とを架橋していると考えられる。その結果、ガス分離膜は、適度に緻密化されるため、ガス分離選択性と可塑化耐性が効果的に高められる。また、ポリイミド化合物と式(I)で表される化合物との架橋は、水素結合性(非共有結合性)の架橋構造であるため、ガス分離膜が優れたガス透過性を示す。
[式(I)で表される化合物]
本発明のガス分離膜のガス分離層には、構成材料として、後述するポリイミド化合物に加え、下記式(I)で表される化合物が含まれる。

−(X) (I)

式中、Aはn価の飽和炭化水素基、n価の芳香族炭化水素基、又は、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる2つ以上の基を連結してなるn価の基を示す。nは2〜6の整数である。但し、Aが無置換の直鎖アルキレン基であることはない。本発明において、Aの構造中には、Xの選択肢として規定される後述の水素結合性基は含まれないものとする。
の一部又は全部を構成し得る飽和炭化水素基の飽和炭化水素としては、アルカン又はシクロアルカンが挙げられる(Aがアルカンのみで構成される場合、このアルカンは無置換の直鎖アルキレン基ではない。)。
上記アルカンの炭素数は2〜20が好ましく、2〜15がより好ましく、2〜12がさらに好ましく、3〜10がより好ましく、3〜8が特に好ましく、3〜6が最も好ましい。
上記シクロアルカンの炭素数は3〜15が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜8がさらに好ましく、4〜6が特に好ましい。
の一部又は全部を構成し得る芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素は、炭素数6〜20が好ましく、炭素数6〜15がより好ましく、炭素数6〜12がさらに好ましく、炭素数6〜10がさらに好ましく、ベンゼンが特に好ましい。
を構成し得る、「飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる2つ以上の基を連結してなるn価の基」において、「2つ以上の基を連結」する連結基は、単結合である形態を含む意味である。この「飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる2つ以上の基を連結してなるn価の基」の好ましい一形態は、2つ以上(好ましくは2つ又は3つ)のアルカンを2価以上(好ましくは2価又は3価)の連結基(この連結基は単結合であることはない)により連結してなるn価の基、すなわち、2つ以上(好ましくは2つ又は3つ)のアルカンを2価以上(好ましくは2価又は3価)の連結基(この連結基は単結合であることはない)により連結してなる化合物からn個の水素原子を除いた基である。2価以上の連結基の好ましい例としては、−O−、−S−、−NRX1−、−C(=O)、及び−C(=S)−(いずれも2価の連結基)、並びに−N(−)−(3価の連結基)が挙げられる。「2つ以上のアルカンを2価以上の連結基により連結してなるn価の基」は、2価以上の連結基を2つ以上有してもよい。2価以上の連結基を2つ以上有する場合、2価以上の連結基の数は2〜5が好ましく、より好ましくは2又は3である。
X1として採り得る置換基は特に制限されず、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15、より好ましくは炭素数3〜10、さらに好ましくは炭素数4〜8のシクロアルキル基)、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、又は、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15、さらに好ましくは炭素数6〜12、特に好ましくは炭素数6〜10のアリール基)が挙げられる。RX1は、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる2つ以上の基を連結してなるn価の基」の別の好ましい形態は、シクロアルカン及び芳香族炭化水素から選ばれる環状炭化水素を2つ以上連結してなるn価の基であり、より好ましくは、シクロアルカン及び芳香族炭化水素から選ばれる環状炭化水素を2つ連結してなるn価の基である。この場合において、シクロアルカン及び/又は芳香族炭化水素が置換基としてアルキル基を有する場合、このアルキル基はシクロアルカン及び/又は芳香族炭化水素を構成する置換基として解釈し、シクロアルカン及び/又は芳香族炭化水素と区別された飽和炭化水素基としては解釈しない。
ここで、「シクロアルカン及び芳香族炭化水素から選ばれる環状炭化水素を2つ以上連結してなる」形態における連結構造は、一の環状炭化水素と、この環状炭化水素に隣接する環状炭化水素とが、1つ又は2つ以上の連結基を介して連結された形態(ここでいう「連結基」は単結合を含む意味である。また例えば、環状炭化水素2つが、2つの連結基を介して連結された形態とは、後述の式(I−8)のように、2つの環状炭化水素(式(I−8)では2つのベンゼン環)が2つの連結基(式(I−8)では−X−と−X−)により2重に連結された形態を意味する)の他、シクロアルカン同士、又はシクロアルカンと芳香族炭化水素とが縮合した連結構造を含む意味である。なお、芳香族炭化水素の2つ以上が縮合してなる縮合環は、通常通り、縮合環全体を芳香族炭化水素としてみる。
「シクロアルカン及び芳香族炭化水素から選ばれる環状炭化水素を2つ以上連結してなる」形態における連結基に特に制限はなく、単結合、又は、後述するXとして採り得る2価の基を挙げることができる。
上記式(I)で表される化合物は、分子量が200以上1000以下であることが好ましい。分子量を上記好ましい範囲内とすることにより、ポリイミド化合物の分子間距離を適度な範囲内に維持できる。これにより、ガス分離膜がガス透過性に優れ、さらに、ガス分離選択性及び可塑化耐性に優れる。
上記式(I)で表される化合物の分子量は、より好ましくは200〜800であり、さらに好ましくは200〜600である。
上記式(I)中のnは、2〜4の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。Aは、下記式(I−1)〜(I−15)のいずれかで表される化合物からn個の水素原子を除いた構造を含む基であることが好ましい。本明細書において「〜構造を含む基」という場合、「〜構造」そのものの他、「〜構造」が、さらに置換基を有する形態を含む意味である。
Figure 2019010631
式中、X〜Xは単結合、又は2価の基を示す。Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。X〜Xで示される2価の基は特に制限されない。X及びXは、−O−、−S−、−NR−、−S(=O)−、−C(=O)−、又は−C(R−が好ましい。Rはアルキル基、又はアリール基を示す。Rは水素原子又は置換基を示し、Rが置換基の場合、2つのRが互いに連結して環を形成してもよい。X及びXは、−O−、−C(=O)−、又は−C(R−がより好ましい。
好ましいX及びXは、後述のXとして採り得る2価の基の好ましい形態と同じである。
は、上記式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(I−5)、及び(I−9)のいずれかで表される化合物からn個の水素原子を除いた構造を含む基が好ましく、式(I−2)、(I−5)、及び(I−9)のいずれかで表される化合物からn個の水素原子を除いた構造を含む基がより好ましい。Aはその構造中にフッ素原子を有することが好ましい。
の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例中、*はXとの結合部位を示す。すなわち、*の数は式(I)中のnの数となる。Meはメチルである。
Figure 2019010631
式(I)中、Xは、カルボキシ基(−COOH)、アミド基(−C(=O)NHR、又は、RC(=O)NH−)、カルバメート基(−OC(=O)NHR又はROC(=O)NH−)、ウレア基(−NR−CO−NHR)、及びスルホンアミド基(−SONHR又はRSONH−)から選ばれる水素結合性基を示す。ここで、Rは水素原子又は置換基を示す。本発明において「水素結合性基」は、上記各基の括弧内に示される通り1価の基を意味する。
例えば、Xが窒素原子に結合した水素原子を少なくとも1つ有することにより、Xは水素結合性基として機能する。式(I)で表される化合物は、ポリイミド化合物と共存することにより、式(I)で表される化合物中の水素結合性基と、ポリイミド化合物が有するカルボニル基とが相互作用する。具体的には、式(I)で表される化合物中の、例えば窒素原子に結合した水素原子と、ポリイミド化合物が有するカルボニル基の酸素原子との間に、水素結合が形成される(この場合、カルボニル基の酸素原子が水素原子のアクセプターとなる。)。この水素結合により、式(I)で表される化合物がポリイミド化合物を架橋する。またポリイミド化合物が水素結合性基を有していれば、ポリイミド化合物中の水素結合性基と、式(I)で表される化合物が有する水素結合性基との間にも、水素結合が形成される。この水素結合によっても、ポリイミド化合物間を架橋できる。
Xは、カルボキシ基、アミド基、カルバメート基、及びウレア基から選ばれる水素結合性基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
Xがカルボキシ基であり、またポリイミド化合物もカルボキシ基を有する形態は、本発明の実施形態としてより好ましい。この形態では、2つのカルボキシ基間には水素結合が2重に形成され得る(1方のカルボキシ基中のカルボニル基が、他方のカルボキシ基中の水素原子のアクセプターとして作用するため)ため、十分なガス透過性を維持しながら、可塑化耐性をより高めることが可能となる。
が置換基の場合、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、これらアルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基は、フッ素原子を有していることも好ましい。
上記Rとして採り得るアルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。Rとして採り得るシクロアルキル基の炭素数は3〜12が好ましく、4〜10がより好ましく、4〜8がさらに好ましい。Rとして採り得るアリール基の炭素数は6〜12が好ましく、6〜10がより好ましく、6〜8がさらに好ましい。
Xの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例中、*はAとの結合部位を示す。Meはメチルを示す。
Figure 2019010631
式(I)で表される化合物は、1級アミノ基、2級アミノ基、ヒドロキシ基、及びチオール基を有しない。これらの基はポリイミド化合物のイミド基、及びポリイミド化合物が有し得る置換基(カルボキシ基、ビニル基等)等と穏やかな条件下で反応して共有結合を形成し得るため、目的の水素結合性の架橋構造を形成できない場合がある。
式(I)で表される化合物は、その分子中にフッ素原子を有することが好ましい。式(I)で表される化合物のフッ素原子は、ガス中の可塑化成分(トルエン等)と式(I)で表される化合物との親和性を弱める。したがって、得られるガス分離膜の可塑化耐性がより高まる。また、フッ素原子同士に電子反発が生じ、ガス分離層に空孔が適度に確保されるため、ガス透過性が向上する。
本発明のガス分離膜のガス分離層中、ポリイミド化合物100質量部に対する式(I)で表される化合物の含有量は、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
式(I)で表される化合物は常法により合成することができる。また商業的に入手することもできる。
[ポリイミド化合物]
本発明に用いるポリイミド化合物の構造に特に制限はなく、式(I)で表される化合物との間で水素結合性の相互作用をすることができ、所望のガス分離性能を実現できれば、公知のポリイミド化合物を適宜に適用することができる。
本発明に用いるポリイミド化合物は、好ましくは下記式(II)で表される構造単位を少なくとも含む。
Figure 2019010631
式(II)中、Xは上記式(I)におけるXと同義であり、水素結合性基を示す。Xはカルボキシ基、アミド基、ウレア基、又はスルホンアミド基が好ましく、カルボキシ基、又はスルホンアミド基が特に好ましい。Xは、式(I)で表される化合物との間で水素結合を形成することができ、非共有結合性の架橋構造の形成に寄与する。
の具体例は、式(I)におけるXの具体例として挙げた基が挙げられる。この場合、Xの具体例中、*はAとの結合部位となる。
は下記式(II−1)〜(II−28)のいずれかで表される構造を含む基を示す。下記式(II−1)〜(II−28)において、*は式(II)中のカルボニル基との結合部位を示す。Aは式(II−1)、(II−2)、又は(II−4)で表される構造を含む基であることが好ましく、(II−1)又は(II−4)で表される構造を含む基であることがより好ましく、(II−1)で表される構造を含む基であることが特に好ましい。
Figure 2019010631
上記式(II−1)、(II−9)、及び(II−18)中、X〜Xは、単結合又は2価の基を示す。この2価の基としては、−C(R−、−O−、−SO−、−C(=O)−、−S−、−NR−、−Si(R−、−C−(フェニレン)、ヘテロ環基、又はこれらの基の2つ以上を組み合わせた基が好ましく、単結合又は−C(R−がより好ましい。Rは水素原子又は置換基を示す。Rが置換基の場合、互いに連結して環を形成してもよい。Rは水素原子、アルキル基(好ましくはメチル又はエチル)、又はアリール基(好ましくはフェニル基)を示す。Rが置換基を示す場合、その具体例としては、後記置換基群Zから選ばれる基が挙げられ、なかでもアルキル基が好ましく、炭素数1〜30のアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子が結合したアルキル基がさらに好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。なお、式(II−18)は、Xが、2つのエチレンユニットのうち、一方を構成するいずれかの炭素原子、及び、他方を構成するいずれかの炭素原子と連結していることを意味する。
〜Xで表される2価の基は、500以下の分子量を有することが好ましく、350以下の分子量を有することがより好ましく、10〜200の分子量を有することがより好ましい。
式(II−4)、(II−15)、(II−17)、(II−20)、(II−21)、及び(II−23)中、Lは、それぞれ独立に、−CH=CH−又は−CH−を示す。
式(II−7)中、R及びRは、水素原子又は置換基を示す。この置換基としては、後述する置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。
及びRは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル、又はエチルがより好ましく、水素原子が更に好ましい。
は式(II−29)〜(II−42)のいずれかで表される構造を含む基を示す。式(II−29)〜(II−42)において、*は式(II)中に示されたイミド基の窒素原子との結合部位を示し、#は式(II)中に示されたXとの結合部位を示す。Aは式(II−29)、(II−33)、(II−34)、又は(II−35)で表される構造を含む基であることが好ましく、式(II−29)又は(II−34)で表される構造を含む基がより好ましく、式(II−29)で表される構造を含む基が特に好ましい。
Figure 2019010631
〜Xは単結合又は2価の基を示す。X、X、及びXとして採り得る2価の基としては、−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。)、−S(=O)−、−C(=O)−、又は−C(R−(Rは水素原子又は置換基を示す。Rが置換基の場合、互いに連結して環を形成してもよい)が好ましく、−O−、−C(=O)−、又は−C(R−がより好ましい。
及びXとして採り得る2価の基の好ましい形態は、上述したXとして採り得る2価の基の形態と同じである。
式(II−38)におけるLは上記式(II−4)におけるLと同義である。
ポリイミド化合物中、式(II)で表される構造単位の含有量は30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
ポリイミド化合物は、式(II)で表される繰り返し単位に加えて、さらに、式(III−a)で表される繰り返し単位、及び/又は(III−b)で表される繰り返し単位を含んでもよい。
Figure 2019010631
Figure 2019010631
上記式中、Aは式(II)中のAと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rはアルキル基、又はハロゲン原子を示す。R及びRは、アルキル基、ハロゲン原子、又は互いに連結してXと共に環を形成する基を示す。2つのRが連結して環を形成してもよく、2つのRが連結して環を形成してもよい。k1、m1、及びn1は0〜4の整数である。置換基としては、後述する置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。
はアルキル基又はハロゲン原子であることがより好ましい。Rの置換数を示すk1は0〜4の整数であり、Rがアルキル基の場合、k1は1〜4が好ましく、2〜4がより好ましく、さらに好ましくは3又は4である。Rがアルキル基である場合、このアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。特に好ましいアルキル基は、メチル、エチル、又はトリフルオロメチルである。
式(III−a)中のフェニレンは、1,3位でイミド基と結合する、又は、1,4位でイミド基と結合することが好ましく、1,3位でイミド基と結合することがより好ましい。
及びRが互いに連結した構造は特に制限されず、単結合、−O−、又は−S−が好ましい。R及びRの置換数を示す、m1及びn1は0〜4の整数であり、m1及びn1は、1〜4が好ましく、2〜4がより好ましく、3又は4がさらに好ましい。R及びRがアルキル基である場合、このアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。特に好ましいアルキル基は、メチル、エチル、又はトリフルオロメチルである。
式(III−b)中のXは式(II−1)におけるXと同義であり、好ましい範囲も同一である。
ポリイミド化合物は、式(II)で表される繰り返し単位を、30〜100モル%含有することが好ましく、50〜100モル%含有することがより好ましく、70〜100モル%含有することがさらに好ましく、80〜100モル%含有することが特に好ましい。
ポリイミド化合物がさらに、式(III−a)で表される繰り返し単位及び/又は式(III−b)で表される繰り返し単位を含む場合、式(II)で表される繰り返し単位と、式(III−a)で表される繰り返し単位と、式(III−b)で表される繰り返し単位の総モル量中に占める、式(II)で表される繰り返し単位のモル量の割合が30〜100モル%であることが好ましく、50〜100モル%がより好ましく、70〜100モル%がさらに好ましく、80〜100モル%が特に好ましい。なお、上記式(II)で表される繰り返し単位と、上記式(III−a)で表される繰り返し単位と、上記式(III−b)で表される繰り返し単位の総モル量中に占める、式(II)で表される繰り返し単位のモル量の割合が100モル%であるとは、ポリイミド化合物が、上記式(III−a)で表される繰り返し単位と、上記式(III−b)で表される繰り返し単位のいずれも有しないことを意味する。
ポリイミド化合物は、式(II)で表される繰り返し単位からなるか、又は式(II)で表される繰り返し単位に加えて、さらに式(III−a)及び/又は式(III−b)で表される繰り返し単位からなることが好ましい。ポリイミド化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
置換基群Z:
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、さらに好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環オキシ基であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアシル基であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜5のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、さらに好ましくは炭素数0〜12、特に好ましくは炭素数0〜6のスルファモイル基であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12、特に好ましくは炭素数1〜7のカルバモイル基であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環チオ基であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子が挙げられる)、
シアノ基、カルボキシ基、オキソ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは3〜7員環のヘテロ環基で、芳香族ヘテロ環でも芳香族でないヘテロ環であってもよく、ヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。炭素数は0〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基であり、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリル基であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリルオキシ基であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は、更に上記置換基群Zより選択されるいずれか1つ以上の置換基により置換されてもよい。
なお、本発明において、1つの構造部位に複数の置換基があるときには、それらの置換基は互いに連結して環を形成していたり、上記構造部位の一部又は全部と縮環して芳香族環もしくは不飽和複素環を形成していたりしてもよい。
化合物、又は置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
本発明に用いるポリイミド化合物の分子量は、重量平均分子量として10,000〜1000,000であることが好ましく、より好ましくは15,000〜500,000であり、さらに好ましくは20,000〜200,000である。
本明細書において分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対象となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
<ポリイミド化合物の合成>
ポリイミド化合物は、特定の2官能酸無水物(テトラカルボン酸二無水物)と特定のジアミンとを縮合重合させることにより合成することができる。その方法としては一般的な成書(例えば、今井淑夫、横田力男編著、「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」、株式会社エヌ・ティー・エス、2010年8月25日、p.3〜49、など)に記載の手法を適宜参照して実施することができる。
ポリイミド化合物の合成において、原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種は、下記式(IV)で表される。原料とするテトラカルボン酸二無水物のすべてが下記式(IV)で表されることが好ましい。
Figure 2019010631
式(IV)中、Rは上記式(II)におけるAと同義である。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられる。
Figure 2019010631
Figure 2019010631
ポリイミド化合物の合成において、原料として用いられるジアミン化合物は、NH−A(X)−NHで表される化合物が好ましい。これにより、式(II)の構造単位を有するポリイミド化合物を形成し得る。ジアミン化合物のA及びXは、それぞれ式(II)中のA及びXと同義であり、好ましい範囲も同じである。
ジアミン化合物の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。本発明はこれらに限定されない。下記式中、Etはエチルを示し、#は、水素結合性基(例えばXe)との結合部位を示す。
Figure 2019010631
Figure 2019010631
Figure 2019010631
Figure 2019010631
ポリイミド化合物は、上記各原料を溶媒中に混合して、通常の方法で縮合重合させて得ることができる。
上記溶媒としては、特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトン系有機溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶剤、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系有機溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は反応基質であるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物、反応中間体であるポリアミック酸、さらに最終生成物であるポリイミド化合物を溶解できる範囲で適切に選択されるが、好ましくは、エステル系有機溶剤(好ましくは酢酸ブチル)、脂肪族ケトン系有機溶剤(好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル系有機溶剤(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル)、アミド系有機溶剤(好ましくはN−メチルピロリドン)、含硫黄系有機溶剤(ジメチルスルホキシド、スルホラン)が好ましい。また、これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
縮合重合における反応温度は、特に制限されず、ポリイミド化合物の合成において通常採用されうる温度を採用することができる。具体的には−40〜60℃であることが好ましく、より好ましくは−30〜50℃である。
上記の縮合重合反応により生成したポリアミック酸を分子内で脱水閉環反応させることによりイミド化することで、ポリイミド化合物が得られる。脱水閉環させる方法としては、一般的な成書(例えば、今井淑夫、横田力男編著、「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」、株式会社エヌ・ティー・エス、2010年8月25日、p.3〜49、など)に記載の方法を参考とすることができる。例えば、120℃〜200℃に加熱して、副生する水を系外に除去しながら反応させる熱イミド化法や、ピリジン、トリエチルアミン、又はDBUのような塩基性触媒共存下で、無水酢酸、ジシクロヘキシルカルボジイミド、又は亜リン酸トリフェニルのような脱水縮合剤を用いるいわゆる化学イミド化等の手法が好適に用いられる。
本発明において、ポリイミド化合物の重合反応液中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の総濃度は特に限定されないが、5〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
[ガス分離膜の形態]
<ガス分離複合膜>
ガス分離膜の好ましい態様であるガス分離複合膜は、ガス透過性の支持層上に、ポリイミド化合物と式(I)で表される化合物とを含むガス分離層が設けられる。このガス分離複合膜は、多孔質の支持体の少なくとも表面に、ポリイミド化合物と式(I)で表される化合物とを含有する塗布液(ドープ)を塗布して、上記ガス分離層を設けることが好ましい。なお、本明細書において「塗布」とは、塗布液に浸漬する態様を含む。
図1は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜10を模式的に示す縦断面図である。この実施形態では、多孔質層2からなる支持層上に、ガス分離層1が設けられる。図2は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、ガス分離層1及び多孔質層2に加え、支持層に不織布層3を含み、ガス分離複合膜20は、不織布層3と、多孔質層2と、ガス分離層1とが、この順に設けられる。
図1及び2は、二酸化炭素とメタンとを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることにより、透過ガスを二酸化炭素リッチにした態様を示す。
本明細書において「支持層上」とは、支持層とガス分離層との間に他の層が介在してもよい意味である。また、上下の表現については、特に断らない限り、ガス分離膜の、分離対象となるガスが供給される側を「上」とし、分離されたガスが排出される側を「下」とする。
ガス分離複合膜は、多孔質性の支持体(支持層)の表面又は内面に、ガス分離層を形成する又は配置するようにしてもよく、少なくとも多孔質性の支持体表面にガス分離層を形成して簡便に得られる。多孔質性の支持体の少なくとも表面にガス分離層を形成することで、高分離選択性と高ガス透過性、更には機械的強度を兼ね備えたガス分離複合膜とすることができる。ガス分離層の膜厚は、ガス透過性の観点から、機械的強度及びガス分離選択性を所望のレベルに維持できる範囲で可能な限り薄膜とすることが好ましい。
本発明のガス分離複合膜において、ガス分離層の厚さは特に限定されないが、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.05〜2.0μmであることがより好ましい。
支持層は、機械的強度及び気体透過性が所望のレベルにあるものであれば、特に限定されず、有機素材又は無機素材のいずれを用いてもよい。この支持層は好ましくは有機高分子の多孔質層であり、その厚さは1〜3000μmが好ましく、5〜500μmがより好ましく、さらに好ましくは5〜150μmである。この多孔質層の細孔構造は、通常平均細孔直径が好ましくは10μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。空孔率は好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜80%である。
ここで、支持層が「ガス透過性」であるとは、支持層(支持層のみからなる膜)に対して、30℃の温度下、ガス供給側の全圧力を5MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素の透過速度が1×10−5cm(STP)/cm・sec・cmHg(10GPU)以上であることを意味する。さらに、支持層のガス透過性は、30℃の温度下、ガス供給側の全圧力を5MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素透過速度が3×10−5cm(STP)/cm・sec・cmHg(30GPU)以上であることが好ましく、100GPU以上であることがより好ましく、200GPU以上であることがさらに好ましい。上記多孔質層の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。上記多孔質層の形状としては、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状などいずれの形状をとることもできる。
ガス分離複合膜においては、ガス分離層を形成する支持層の下部にさらに機械的強度を付与するために支持体が形成されていることが好ましい。このような支持体としては、織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性及びコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布としてはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独、又は複数を組み合わせて用いてもよい。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維とを円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたりする目的で、不織布を2本のロール挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
<ガス分離複合膜の製造方法>
ガス分離膜複合膜の製造方法は、好ましくは、ポリイミド化合物と、式(I)で表される化合物とを含有する塗布液を多孔質支持体上に塗布してガス分離層を形成することを含むことが好ましい。塗布液中のポリイミド化合物の含有量は特に限定されないが、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。ポリイミド化合物の含有量をこの範囲とすることで、多孔質支持体上にガス分離層を形成した際に、塗布液が下層へと浸透することを抑制できるので、形成するガス分離層に欠陥が生じにくくなる。また、多孔質支持体上にガス分離層を形成した際に、塗布液が孔内に高濃度に充填されることを抑制できるので、優れた透過性を有するガス分離複合膜が得られる。本発明のガス分離膜は、ガス分離層の形成に用いるポリイミド化合物の分子量、構造、組成さらには溶液粘度を目的に応じて調整し、製造することができる。
また、塗布液中のポリイミド化合物と式(I)で表される化合物の含有量の比は、ポリイミド化合物の含有量100質量部に対し、式(I)で表される化合物の含有量を0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.5〜10質量部とすることがより好ましく、1〜5質量部とすることがさらに好ましい。
塗布液の媒体とする有機溶剤としては、特に限定されず、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、ジブチルブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶剤は支持体を浸蝕するなどの悪影響を及ぼさない範囲で適切に選択されるものであるが、好ましくは、エステル系有機溶剤(好ましくは酢酸ブチル)、アルコール系有機溶剤(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、脂肪族ケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル系有機溶剤(エチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル)であり、さらに好ましくは脂肪族ケトン、アルコール系有機溶剤、エーテル系有機溶剤である。またこれらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<支持層とガス分離層の間の他の層>
本発明のガス分離複合膜において、支持層とガス分離層との間には他の層が存在していてもよい。他の層の好ましい例として、シロキサン化合物層が挙げられる。シロキサン化合物層を設けることで、支持体最表面の凹凸を平滑化することができ、分離層の薄層化が容易になる。シロキサン化合物層を形成するシロキサン化合物としては、主鎖がポリシロキサンからなるものと、主鎖にシロキサン構造と非シロキサン構造とを有する化合物とが挙げられる。これらのシロキサン化合物層としては、例えば、特開2015−160167号公報の段落[0103]〜[0127]に記載されたものを好適に適用することができる。
(ガス分離非対称膜)
本発明のガス分離膜は、非対称膜であってもよい。非対称膜は、ポリイミド化合物と式(I)で表される化合物とを含む溶液を用いて相転換法によって形成することができる。相転換法は、ポリマー溶液を凝固液と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法であり、本発明ではいわゆる乾湿式法が好適に用いられる。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶液を蒸発させて薄い緻密層を形成し、ついで凝固液に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層を形成させる方法であり、ロブ・スリラージャンらが提案(例えば、米国特許第3,133,132号明細書)したものである。なお、凝固液はポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤である。
ガス分離非対称膜において、緻密層、又はスキン層と呼ばれるガス分離に寄与する表層の厚さは特に限定されないが、実用的なガス透過性を付与する観点から、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.05〜1.0μmであることがより好ましい。一方、緻密層より下部の多孔質層はガス透過性の抵抗を下げると同時に機械強度を付与するものであり、その厚さは非対称膜としての自立性が付与される限りにおいては特に限定されるものではない。非対称膜における下部多孔質層の厚さは5〜500μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましい。
本発明のガス分離非対称膜は、平膜であっても、又は中空糸膜であってもよい。非対称中空糸膜は乾湿式紡糸法により製造することができる。乾湿式紡糸法は、紡糸ノズルから吐出して中空糸状の目的形状としたポリマー溶液に、乾湿式法を適用して非対称中空糸膜を製造する方法である。より詳しくは、ポリマー溶液をノズルから中空糸状の目的形状に吐出させ、吐出直後に空気又は窒素ガス雰囲気中を通す。その後、ポリマーを実質的には溶解せず且つポリマー溶液の溶媒とは相溶性を有する凝固液に浸漬して非対称構造を形成する。その後乾燥し、さらに必要に応じて加熱処理して分離膜を製造する方法である。
ノズルから吐出させるポリイミド化合物を含む溶液の溶液粘度は、吐出温度(例えば10℃)で2〜17000Pa・sが好ましく、より好ましくは10〜1500Pa・sであり、特に20〜1000Pa・sであり、中空糸状などの吐出後の形状を安定化することができる。凝固液への浸漬は、一次凝固液に浸漬して中空糸状等の膜の形状が保持出来る程度に凝固させた後、案内ロールに巻き取り、ついで二次凝固液に浸漬して膜全体を十分に凝固させることが好ましい。凝固した膜の乾燥は、凝固液を炭化水素などの溶媒に置換してから行うのが効率的である。乾燥のための加熱処理は、用いたポリイミド化合物の軟化点又は二次転移点よりも低い温度で実施することが好ましい。
非対称膜の形成に用いる、上記のポリイミド化合物と式(I)で表される化合物とを含む溶液において、ポリイミド化合物と式(I)で表される化合物の含有量の比は、ポリイミド化合物の含有量100質量部に対し、式(I)で表される化合物の含有量を0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.5〜10質量部とすることがより好ましく、1〜5質量部とすることがさらに好ましい。
<保護層>
ガス分離膜は、上記ガス分離層上にシロキサン化合物層が保護層として設けられていてもよい。
保護層として用いるシロキサン化合物層としては、例えば、国際公開第2017/002407号の段落[0125]〜[0175]に記載されたものを好適に適用することができる。
<ガス分離膜の用途と特性>
本発明のガス分離膜(複合膜及び非対称膜)は、ガス分離回収法、ガス分離精製法として好適に用いることができる。例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、メタン、エタン、及びブタンなどの炭化水素、プロピレンなどの不飽和炭化水素、テトラフルオロエタンなどのパーフルオロ化合物などのガスを含有する気体混合物から特定の気体を効率よく分離し得るガス分離膜とすることができる。特に二酸化炭素及び炭化水素(メタン)を含む気体混合物から二酸化炭素を選択的に透過して分離するガス分離膜とすることが好ましい。
とりわけ、分離処理されるガスが二酸化炭素とメタンとの混合ガス(以下、単に「混合ガス」ともいう。)である場合においては、混合ガスの30℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過速度が20GPU以上であることが好ましく、30GPU以上であることがより好ましく、35〜500GPUであることがより好ましい。二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)は15以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、23以上であることがさらに好ましく、25〜50であることが特に好ましい。ガス分離膜は、混合ガスの30℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過速度が60GPU以上であることが好ましい。RCO2は二酸化炭素の透過速度、RCH4はメタンの透過速度を示す。
なお、1GPUは1×10−6cm(STP)/(cm・sec・cmHg)であり、STPは、Standard Temperature and Pressureを意味し、GPUは、Gas Permeation Unit を意味する。また、1×10−6cm(STP)は、1気圧、0℃での気体の体積である。
(その他の成分等)
本発明のガス分離膜のガス分離層には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することもできる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもよい。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる。
界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩などのアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、また、この他にもアルキルベタインやアミドベタインなどの両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッソ系界面活性剤などを含めて、従来公知である界面活性剤及びその誘導体から適宜選ぶことができる。
また、高分子分散剤を含んでいてもよく、この高分子分散剤として、具体的にはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等が挙げられ、中でもポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
本発明のガス分離膜を形成する条件に特に制限はないが、温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜80℃がより好ましく、5〜50℃が特に好ましい。
本発明においては、膜の形成時に空気や酸素などの気体を共存させてもよいが、不活性ガス雰囲気下であることが望ましい。
本発明のガス分離膜において、ガス分離層中のポリイミド化合物の含有量は、所望のガス分離性能が得られれば特に制限はない。ガス分離性能をより向上させる観点から、ガス分離層中のポリイミド化合物の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。また、ガス分離層中のポリイミド化合物の含有量は、通常は99質量%以下である。
[ガス混合物の分離方法]
本発明のガス分離方法では、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む方法である。ガス分離の際の圧力は0.5〜10MPaであることが好ましく、1〜10MPaであることがより好ましく、2〜7MPaであることがさらに好ましい。また、ガス分離温度は、−30〜90℃であることが好ましく、15〜70℃であることがさらに好ましい。二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスにおいて、二酸化炭素とメタンの混合比に特に制限はないが、二酸化炭素:メタン=1:99〜99:1(体積比)であることが好ましく、二酸化炭素:メタン=5:95〜90:10であることがより好ましい。
[ガス分離モジュール及びガス分離装置]
本発明のガス分離膜を用いてガス分離モジュールを調製することができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。
また、本発明のガス分離複合膜又はガス分離モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有する気体分離装置を得ることができる。本発明のガス分離複合膜は、例えば、特開2007−297605号公報に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。下記実施例において、各構造式中のMeはメチルを示す。
[合成例]
<ポリイミド(P−01)の合成>
Figure 2019010631
(中間体1の合成)
ジアミノメシチレンスルホン酸(和光純薬工業社製)(60g)、アセトニトリル(和光純薬工業社製)(380g)、ピリジン(和光純薬工業社製)(23g)を1Lフラスコに入れた。そこに、氷冷下、トリフルオロ酢酸無水物(和光純薬工業社製)(115g)を慎重に滴下した後、70℃で2時間反応させた。反応溶液を冷却後、メタノール(和光純薬工業社製)(30g)を加え、1時間攪拌した。減圧濃縮後、塩酸を用いて精製し、中間体1(110g)を得た。
(中間体2の合成)
アセトニトリル(和光純薬工業社製)(440mL)、中間体1(68g)を1Lフラスコに入れた。塩化チオニル(和光純薬工業社製)(115g)、ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)(0.9g)を慎重に加えた後、発熱、発泡に注意しながら内温を70℃まで上昇させた。減圧留去後、反応混合物を氷に注ぎ、精製し中間体2(65g)を得た。
(中間体3の合成)
アンモニア水(和光純薬工業社製)(90g)を500mLフラスコに入れた。そこに、氷冷下、中間体2(43g)をテトラヒドロフラン(和光純薬工業社製)(130g)に懸濁させた液を慎重に加えた。40℃で2時間攪拌した後、減圧濃縮し、精製して中間体3(30g)を得た。
(ジアミン1の合成)
中間体3(30g)及びメタノール(和光純薬工業社製)(100g)を500mLフラスコに入れた。そこに、メタンスルホン酸(和光純薬工業社製)(30g)を慎重に加え、発熱に注意しながら昇温し、120℃で30分間攪拌した。反応溶液を、冷却した後、炭酸カリウム溶液に注ぎ、次いで、精製することによりジアミン1(11g)を得た。
(ポリイミド(P−01)の合成)
m−クレゾール(和光純薬工業社製)(100g)、ジアミン1(9.00g)、3,5−ジアミノ安息香酸(東京化成工業社製)(0.66g)及び6FDA(東京化成工業社製、(4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物))(19.37g)を500mLフラスコに入れた。そこに、トルエン(和光純薬工業社製)(10g)及びイソキノリン(和光純薬工業社製)(1.5g)を加えた後、180℃まで加熱し、6時間反応させた。反応溶液を冷却後、アセトン(和光純薬工業社製)で希釈し、次いで、イソプロピルアルコール(和光純薬工業社製)を加えてポリマーを固体として得た。イソプロピルアルコールで再沈殿する操作を2回繰り返した後、80℃で乾燥し、ポリイミド(P−01)(22g)を得た。上記スキーム中、ポリイミド(P−01)を構成する2つの繰り返し単位に付された数値はモル比を示す。
[参考例] ガス分離複合膜の作製
<平滑層付PAN多孔質膜の作製>
(ジアルキルシロキサン基を有する放射線硬化性ポリマーの調製)
150mLの3口フラスコに、39gのUV9300(Momentive社製)、10gのX−22−162C(信越化学工業社製)及び0.007gのDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)を加え、n−ヘプタン50gに溶解させた。これを95℃で168時間維持させて、ポリ(シロキサン)基を有する放射線硬化性ポリマー溶液(25℃で粘度22.8mPa・s)を得た。
(重合性の放射線硬化性組成物の調製)
上記放射線硬化性ポリマー溶液5gを20℃まで冷却し、n−ヘプタン95gで希釈した。得られた溶液に対し、光重合開始剤であるUV9380C(Momentive社製)0.5g及びオルガチックスTA−10(マツモトファインケミカル社製)0.1gを添加し、重合性の放射線硬化性組成物を調製した。
(平滑層の形成)
PAN(ポリアクリロニトリル)多孔質層(不織布上にポリアクリロニトリル多孔質層を有する支持体、不織布を含む膜厚は約180μm)に、上記の重合性の放射線硬化性組成物をスピンコートした後、UV強度24kW/m、処理時間10秒間のUV処理条件でUV処理(Fusion UV System社製、Light Hammer 10、D−バルブ)を行った後、乾燥させた。このようにして、多孔質支持体上にジアルキルシロキサン基を有する厚み1μmの平滑層を形成した。
<ガス分離複合膜の作製>
図2に示すガス分離複合膜を作製した(図2には平滑層は図示していない)。
30ml褐色バイアル瓶に、ポリイミド(P−01)を0.08g、メチルエチルケトン7.92gを混合して30分間攪拌した後、得られた混合液を、上記平滑層を形成した多孔質支持体上にスピンコートしてガス分離層を形成し、ガス分離複合膜を得た。ポリイミド(P−01)層の厚さは約100nmであった。
なお、使用したポリアクリロニトリル多孔質層の分画分子量は100,000以下であった。また、この多孔質層の40℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過性は、25000GPUであった。
上記で作製したガス分離複合膜のガス分離層表面に対し、下記手順で保護層を設けた。
すなわち、ビニルQレジン(Gelest製、製品番号VQM−135)(10g)、ヒドロシリルPDMS(Gelest製、製品番号HMS−301)(1g)、Karstedt触媒(Aldrich製、製品番号479527)(5mg)及びヘプタン(90g)を混合して得た混合液を、上記で作製したガス分離複合膜のガス分離層表面にスピンコートした。混合液を、80℃で5時間乾燥して硬化させることにより、ガス分離層上に、厚さ500nmのシロキサン化合物層(保護層)を有するガス分離複合膜を得た。
[実施例1〜5及び比較例1〜3] ガス分離複合膜の作製
上記参考例において、ポリイミド(P−01)とメチルエチルケトンとの混合液に対し、さらに、下記構造の化合物(A−1)〜(A−5)及び比較用の化合物(C−1)〜(C−3)から選ばれる化合物1.6mgを下表の通り添加した(下表には添加した化合物種を示す。)こと以外は、参考例と同様にして、実施例1〜5及び比較例1〜3の複合膜を作製した。
Figure 2019010631
[試験例1] ガス分離膜のCO透過速度及びガス分離選択性の評価−1
上記参考例、各実施例、及び各比較例のガス分離膜(ガス分離複合膜)を用いて、ガス分離性能を以下のように評価した。
ガス分離膜を多孔質支持体(支持層)ごと直径5cmに切り取り、透過試験サンプルを作製した。GTRテック株式会社製ガス透過率測定装置を用い、透過試験サンプルのガス透過率を測定した。測定は、条件を二酸化炭素(CO):メタン(CH)が13:87(体積比)の混合ガスをガス供給側の全圧力が5MPa(COの分圧:0.3MPa)、流量500mL/min、30℃となるように調整して行った。透過してきたガスをガスクロマトグラフィーにより分析した。膜のガス透過性は、ガス透過率(Permeance)としてガス透過速度を算出することにより比較した。ガス透過率(ガス透過速度)の単位はGPU(ジーピーユー)単位〔1GPU=1×10−6cm(STP)/cm・sec・cmHg〕で表した。ガス分離選択性は、この膜のCHの透過速度RCH4に対するCOの透過速度RCO2の比(RCO2/RCH4)として計算した。
ガス透過速度の測定結果を下記評価基準に基づき評価した。
−ガス透過速度の評価基準−
A:65GPU以上
B:63GPU以上65GPU未満
C:61GPU以上63GPU未満
D:59GPU以上61GPU未満
E:57GPU以上59GPU未満
F:57GPU未満
[試験例2] 可塑化耐性試験(トルエン暴露試験)
トルエン溶媒を張ったシャーレをステンレス製容器内に入れ、そこへ、参考例、各実施例、及び各比較例において作製したガス分離膜を入れ、密閉系とした。その後、25℃条件下で10分間保存した後、上記[試験例1]と同様に、ガス分離膜を直径5cmに切り取り、可塑化耐性試験サンプルを作製した。得られたサンプルを用いて、上記[試験例1]と同様にしてガス分離選択性(RCO2/RCH4)を調べ、トルエン曝露前後におけるガス分離選択性の変化を可塑化耐性の指標とした。具体的には、[トルエン曝露後のガス分離選択性]/[トルエン曝露前のガス分離選択性]を算出し、得られた値(選択性維持率)を下記評価基準に当てはめ、可塑化耐性を評価した。
−可塑化耐性の評価基準−
A:選択性維持率が0.50以上
B:選択性維持率が0.48以上0.50未満
C:選択性維持率が0.46以上0.48未満
D:選択性維持率が0.44以上0.46未満
E:選択性維持率が0.44未満
上記の結果を下記表1に示す。
Figure 2019010631
表1に示されるように、ポリイミド化合物のみで形成したガス分離層を有するガス分離膜は、ガス透過性には優れるが、可塑化耐性に劣る結果となった(参考例)。
末端に1級アミノ基を有する化合物(架橋剤)をポリイミド化合物と共存させてガス分離層を形成した場合には、アミノ基とポリイミド化合物のイミド基とが反応し、ポリイミド化合物には共有結合性の架橋構造が導入されると考えられる。この場合、ガス分離膜の可塑化耐性が高められるものの、ガス透過性に劣る結果となった(比較例1)。
また、両末端にヒドロキシ基を有する直鎖化合物(架橋剤)をポリイミド化合物と共存させてガス分離層を形成した場合、得られるガス分離膜はガス透過性に劣る結果となり、また可塑化耐性も向上しなかった(比較例2)。これは、十分な鎖長がないために水素結合架橋の効果が十分に表れず、かつ立体障害がないことで空孔を塞いだことが一因と考えられる。
さらに、両末端にカルボキシ基を有する直鎖化合物(架橋剤)をポリイミド化合物と共存させてガス分離層を形成した場合、得られるガス分離膜の可塑化耐性は向上するが、ガス透過性が悪化する結果となった(比較例3)。ガス透過性が悪化する理由は定かではないが、架橋剤が直鎖構造であることにより、立体障害が生じにくく空孔を塞ぐ立体構造を取りやすいことなどが一因と考えられる。
これに対し、本発明で規定する式(I)で表される化合物(架橋剤)をポリイミド化合物と共存させてガス分離層を形成した場合には、十分なガス透過性を実現しながら、可塑化耐性も所望のレベルへと向上させることができた(実施例1〜5)。なお、実施例1〜5のガス分離膜は、いずれもトルエン曝露前のガス分離選択性(RCO2/RCH4)が15以上であり、十分なガス分離選択性を示すものであった。
1 ガス分離層
2 多孔質層
3 不織布層
10、20 ガス分離複合膜

Claims (15)

  1. ポリイミド化合物及び下記式(I)で表される化合物を構成材料として含むガス分離層を有するガス分離膜。

    −(X) (I)

    式中、Aはn価の飽和炭化水素基、n価の芳香族炭化水素基、又は、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる2つ以上の基を連結してなるn価の基を示す。nは2〜6の整数である。但し、Aが無置換の直鎖アルキレン基であることはない。
    Xは、カルボキシ基、アミド基、カルバメート基、ウレア基、及びスルホンアミド基から選ばれる水素結合性基を示す。
    前記式(I)で表される化合物は、1級アミノ基、2級アミノ基、ヒドロキシ基、及びチオール基を有しない。
  2. 前記Xが、カルボキシ基、アミド基、カルバメート基、及びウレア基から選ばれる水素結合性基である、請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 前記Xがカルボキシ基である、請求項1又は2に記載のガス分離膜。
  4. 前記式(I)で表される化合物がフッ素原子を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  5. 前記式(I)で表される化合物の分子量が200以上1000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  6. 前記Aが下記式(I−1)〜(I−15)のいずれかで表される化合物からn個の水素原子を除いた構造を含む基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分離膜。
    Figure 2019010631

    式中、X〜Xは単結合又は2価の基を示す。Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。
  7. 前記ポリイミド化合物が下記式(II)で表される構造単位を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分離膜。
    Figure 2019010631

    式(II)中、Xはカルボキシ基、アミド基、カルバメート基、ウレア基、及びスルホンアミド基から選ばれる水素結合性基を示す。
    は下記式(II−1)〜(II−28)のいずれかで表される構造を含む基を示す。Aは下記式(II−29)〜(II−42)のいずれかで表される構造を含む基を示す。
    Figure 2019010631
    式(II―1)〜(II―28)中、X〜Xは単結合、又は2価の基を示す。Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。R及びRは水素原子又は置換基を示し、*は式(II)中のカルボニル基との結合部位を示す。
    Figure 2019010631
    式(II―29)〜(II―42)中、X〜Xは単結合、又は2価の基を示す。Lは−CH=CH−又は−CH−を示す。*は式(II)中のイミド基の窒素原子に結合する部位を示し、#はXとの結合部位を示す。
  8. 前記ポリイミド化合物中、前記式(II)で表される構造単位の含有量が30質量%以上である、請求項7に記載のガス分離膜。
  9. ガス透過性の支持層上に、前記ガス分離層が設けられるガス分離複合膜である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  10. 前記支持層が、多孔質層と、不織布層とからなり、
    前記不織布層、前記多孔質層、及び前記ガス分離層がこの順に設けられる、請求項9に記載のガス分離膜。
  11. 分離処理されるガスが二酸化炭素とメタンの混合ガスである場合において、30℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過速度が60GPU以上であり、二酸化炭素とメタンとの透過速度比RCO2/RCH4が15以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  12. 二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させるために用いられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガス分離膜。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のガス分離膜を具備するガス分離モジュール。
  14. 請求項13に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のガス分離膜を用いて、二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるガス分離方法。
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