JP2014024939A - ポリイミド樹脂の製造方法、ガス分離膜、ガス分離モジュール、及びガス分離装置、並びにガス分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合度が高く機械的強度と柔軟性の双方を兼ね備え、且つ、良好な塗布成膜性を示し、しかもガス透過性とガス分離選択性のいずれにも優れたガス分離膜の調製に好適なポリイミド樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】
特定のテトラカルボン酸二無水物と、特定の芳香族ジアミン化合物とを0℃未満の温度条件下で混合した後、重合反応を行う工程を含む、ポリイミド樹脂の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】
特定のテトラカルボン酸二無水物と、特定の芳香族ジアミン化合物とを0℃未満の温度条件下で混合した後、重合反応を行う工程を含む、ポリイミド樹脂の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド樹脂の製造方法、当該製造方法により得られたポリイミド樹脂を用いたガス分離膜、ガス分離モジュール、及びガス分離装置、並びにガス分離方法に関する。
高分子化合物からなる素材には、その素材ごとに特有の気体透過性がある。その性質に基づき、特定の高分子化合物から構成された膜によって、所望の気体成分を選択的に透過させて分離することができる。この気体分離膜の産業上の利用態様として、地球温暖化の問題と関連し、火力発電所やセメントプラント、製鉄所高炉等において、大規模な二酸化炭素発生源からこれを分離回収することが検討されている。そして、この膜分離技術は、比較的小さなエネルギーで達成できる環境問題の解決手段として着目されている。一方、天然ガスやバイオガス(生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するガス)は主としてメタンと二酸化炭素の混合ガスであり、その二酸化炭素等の不純物を除去する手段として膜分離方法が検討されている(特許文献1〜4)。
天然ガスの膜分離方法による精製では、これに用いる分離膜の素材としてセルロースやポリイミドが検討されてきた。しかし、実際のプラントにおける高圧条件や天然ガス中に存在する不純物の影響等によって膜が可塑化し、これによる分離選択性の低下が問題となっていた(非特許文献1の313−322頁及び非特許文献2、3)。この膜の可塑化を抑制するために、膜を構成する高分子化合物に架橋構造を導入することが有効であることが知られており、ポリイミド樹脂を用いた分離膜においてその研究がなされている(非特許文献1の3−27頁)。
天然ガスの膜分離方法による精製では、これに用いる分離膜の素材としてセルロースやポリイミドが検討されてきた。しかし、実際のプラントにおける高圧条件や天然ガス中に存在する不純物の影響等によって膜が可塑化し、これによる分離選択性の低下が問題となっていた(非特許文献1の313−322頁及び非特許文献2、3)。この膜の可塑化を抑制するために、膜を構成する高分子化合物に架橋構造を導入することが有効であることが知られており、ポリイミド樹脂を用いた分離膜においてその研究がなされている(非特許文献1の3−27頁)。
Yuri Yampolskii,Benny Freeman,Membrane Gas Separation,2010,Johns Wiley & Sons Ltd.
Industriall & Engineering Chemistry Research,2008,47,2109
Industrial & Engineering Chemistry Research,2002,41,1393
実用的なガス分離膜とするためには、ガス分離層を薄層にして十分なガス透過性と分離性を確保しなければならない。そのための手法として、ポリイミド樹脂等の高分子化合物を相分離法により非対称膜とすることで、分離に寄与する部分を緻密層あるいはスキン層と呼ばれる薄層にする方法がある。この非対称膜では、緻密層以外の部分を膜の機械的強度を担う支持層として機能させるが、分離性能(主に、ガス透過性と分離選択性)と機械強度を単一素材で兼ね備えなければならない点で困難が多い。これは、高いガス透過性を発現する高分子化合物は一般に機械的強度に劣る一方、良好な機械的強度を有する高分子化合物はガス透過性能に劣る傾向があるためである。
このような背景のもと、特許文献3には、特定の重合度を有する2種類のポリイミド成分の組み合わせからなるポリマー混合溶液を調製し、その混合用液をさらに重合イミド化反応に付してブロック性を有する共重合体を含有する混合用液を調製し、前記ブロック性を有する共重合体を含有する混合用液を用いて、相転換法によって非対称中空糸膜を製造する方法が開示されている。この製造方法により、非対称膜の緻密層と多孔質層を化学的・物理的性質の異なるものにすることができ、ガス透過性能と機械強度の両立が図れるとされる。
このような背景のもと、特許文献3には、特定の重合度を有する2種類のポリイミド成分の組み合わせからなるポリマー混合溶液を調製し、その混合用液をさらに重合イミド化反応に付してブロック性を有する共重合体を含有する混合用液を調製し、前記ブロック性を有する共重合体を含有する混合用液を用いて、相転換法によって非対称中空糸膜を製造する方法が開示されている。この製造方法により、非対称膜の緻密層と多孔質層を化学的・物理的性質の異なるものにすることができ、ガス透過性能と機械強度の両立が図れるとされる。
一般的に、高分子化合物は分子量を大きくするほど機械的強度が高まる。そして、ポリイミド樹脂のようなモノマー同士の重縮合反応により得られる高分子化合物において高重合度の重合体を得るためには、モノマーの添加濃度を厳密に制御することが重要であるが、モノマーの添加濃度の制御だけでは限界があった。したがって、重合度を高めたポリイミド樹脂を用いた分離膜であっても、その性能は未だ十分でなかった。
上記の点を考慮し、本発明は、より重合度が高く機械的強度と柔軟性の双方を兼ね備え、且つ、良好な塗布成膜性を示し、しかもガス透過性とガス分離選択性のいずれにも優れたガス分離膜の調製に好適なポリイミド樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、前記製造方法で得られたポリイミド樹脂を用いてなるガス分離非対膜、ガス分離複合膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置の提供を課題とする。さらに本発明は、前記ポリイミド樹脂、ガス分離モジュール、又はガス分離装置を用いて特定の混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させるガス分離方法の提供を課題とする。
また、本発明は、前記製造方法で得られたポリイミド樹脂を用いてなるガス分離非対膜、ガス分離複合膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置の提供を課題とする。さらに本発明は、前記ポリイミド樹脂、ガス分離モジュール、又はガス分離装置を用いて特定の混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させるガス分離方法の提供を課題とする。
上記の課題は以下の手段により達成された。
<1>少なくとも下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記式(II−a)又は(II−b)で表される芳香族ジアミン化合物と、下記式(III−a)又は(III−b)で表される芳香族ジアミン化合物とを0℃未満の温度条件下で混合した後、重合反応を行う工程を含む、ポリイミド樹脂の製造方法:
<1>少なくとも下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記式(II−a)又は(II−b)で表される芳香族ジアミン化合物と、下記式(III−a)又は(III−b)で表される芳香族ジアミン化合物とを0℃未満の温度条件下で混合した後、重合反応を行う工程を含む、ポリイミド樹脂の製造方法:
式中、Rは下記式(I−a)〜(I−h)のいずれかで表される構造の基を示す。ここでX1は単結合又は2価の連結基を、Lは−CH2=CH2−又は−CH2−を、R1及びR2は水素原子又は置換基を示し、*はカルボニル基との結合部位を示す。
式中、R6、R7及びR8は置換基を示す。J1は単結合又は2価の連結基を示す。l2、m2及びn2は0〜3の整数を示す。pは1以上の整数を示す。X3は単結合又は2価の連結基を示す。A1は−COOH、−OH、−SH、−S(=O)2R’及び−S(=O)2OH、及びメルカプト基から選ばれる基を示す。R’はアルキル基を示す。
<2>前記の0℃未満の温度条件が、−40℃以上−10℃未満の温度条件である、<1>に記載のポリイミドの製造方法。
<3><1>又は<2>に記載の製造方法により得られたポリイミド樹脂で形成された非対称膜からなるガス分離膜であって、
40℃、40気圧における二酸化炭素透過率(RCO2)が20GPU超であり、且つ二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)が15以上である、ガス分離膜。
<4><1>又は<2>に記載の製造方法により得られたポリイミド樹脂を含有してなるガス分離層をガス透過性の支持層上側に有するガス分離膜であって、
該支持層は、ガス分離層側に多孔質層を、その逆側に不織布層を有し、
該ガス分離複合膜の40℃における二酸化炭素透過率(RCO2)が20GPU超であり、且つ、二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)が15以上である、ガス分離膜。
<5>引張弾性率が40MPa以上である、<3>又は<4>に記載のガス分離膜。
<6>引張強度が12N/mm2以上であり、破断伸度が12%以上である、<3>〜<5>のいずれか1項に記載のガス分離膜。
<7><3>〜<6>のいずれか1項に記載のガス分離膜を具備するガス分離モジュール。
<8><7>に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
<9><3>〜<6>のいずれか1項に記載のガス分離膜を用いて、二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む、ガス分離方法。
<2>前記の0℃未満の温度条件が、−40℃以上−10℃未満の温度条件である、<1>に記載のポリイミドの製造方法。
<3><1>又は<2>に記載の製造方法により得られたポリイミド樹脂で形成された非対称膜からなるガス分離膜であって、
40℃、40気圧における二酸化炭素透過率(RCO2)が20GPU超であり、且つ二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)が15以上である、ガス分離膜。
<4><1>又は<2>に記載の製造方法により得られたポリイミド樹脂を含有してなるガス分離層をガス透過性の支持層上側に有するガス分離膜であって、
該支持層は、ガス分離層側に多孔質層を、その逆側に不織布層を有し、
該ガス分離複合膜の40℃における二酸化炭素透過率(RCO2)が20GPU超であり、且つ、二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)が15以上である、ガス分離膜。
<5>引張弾性率が40MPa以上である、<3>又は<4>に記載のガス分離膜。
<6>引張強度が12N/mm2以上であり、破断伸度が12%以上である、<3>〜<5>のいずれか1項に記載のガス分離膜。
<7><3>〜<6>のいずれか1項に記載のガス分離膜を具備するガス分離モジュール。
<8><7>に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
<9><3>〜<6>のいずれか1項に記載のガス分離膜を用いて、二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む、ガス分離方法。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。また、特に断らない場合であっても、複数の置換基等が近接するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
本明細書において化合物(樹脂を含む)の表示については、当該化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の一部を変化させた誘導体を含む意味である。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において置換基というときには、特に断らない限り、後記置換基群Zをその好ましい範囲とする。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において置換基というときには、特に断らない限り、後記置換基群Zをその好ましい範囲とする。
本発明のポリイミド樹脂の製造方法によれば、より重合度が高く機械的強度に優れると共に柔軟性も兼ね備え、且つ、塗布薄膜形成の適したポリイミド樹脂であって、ガス透過性とガス分離選択性のいずれにも優れたガス分離膜に好適なポリイミド樹脂が得られる。当該ポリイミド樹脂は、機械的強度が高いので、非対称膜として単一素材からなるガス分離膜として用いることができる。また、塗布による薄膜形成も可能であり、支持層上に塗布・成膜して複合膜を調製し、これをガス分離膜として用いることもできる。
本発明のガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置は、高圧かつ可塑化不純物含有条件においても、優れたガス透過性と高いガス分離選択性を示し、しかも耐久性に優れる。
本発明のガス分離方法によれば、使用するガス分離膜の機械的強度が高く、可塑化しにくいため、長期にわたり、二酸化炭炭素とメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を高い透過性と分離選択性で透過・分離し続けることができる。
本発明のガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置は、高圧かつ可塑化不純物含有条件においても、優れたガス透過性と高いガス分離選択性を示し、しかも耐久性に優れる。
本発明のガス分離方法によれば、使用するガス分離膜の機械的強度が高く、可塑化しにくいため、長期にわたり、二酸化炭炭素とメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を高い透過性と分離選択性で透過・分離し続けることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポリイミド樹脂の製造方法]
本発明のポリイミド樹脂の製造方法(以下、本発明の製造方法)は、より具体的には、下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種と、下記式(II−a)又は(II−b)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも1種と、下記式(III−a)又は(III−b)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも1種とを0℃未満の温度条件下で混合した後、重合反応を行う工程を含む。本発明の製造方法は、上記工程を必須とし、その後の重合反応工程やイミド化工程については他の通常のポリイミド樹脂の合成手法を適用すればよい。
すなわち、本発明の製造方法をさらに具体的に特定すれば、上記特定のテトラカルボン酸二無水物と、上記特定の芳香族ジアミン化合物とを0℃未満の温度条件下で混合混合した後、重合反応を行う工程、得られたポリアミック酸をイミド化反応によりポリイミドに変換する工程を含む。
本発明のポリイミド樹脂の製造方法(以下、本発明の製造方法)は、より具体的には、下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種と、下記式(II−a)又は(II−b)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも1種と、下記式(III−a)又は(III−b)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも1種とを0℃未満の温度条件下で混合した後、重合反応を行う工程を含む。本発明の製造方法は、上記工程を必須とし、その後の重合反応工程やイミド化工程については他の通常のポリイミド樹脂の合成手法を適用すればよい。
すなわち、本発明の製造方法をさらに具体的に特定すれば、上記特定のテトラカルボン酸二無水物と、上記特定の芳香族ジアミン化合物とを0℃未満の温度条件下で混合混合した後、重合反応を行う工程、得られたポリアミック酸をイミド化反応によりポリイミドに変換する工程を含む。
式(I)において、Rは、下記式(1−a)〜(1−h)のいずれかで表される構造の基を示す。下記式(1−a)〜(1−h)において、*は式(I)中のカルボニル基との結合部位を示す。式(I)におけるRを母核と呼ぶことがあるが、この母核(R)は式(1−a)、(1−b)又は(1−d)で表される基であることが好ましく、(1−a)又は(1−d)で表される基であることがより好ましく、(1−a)で表される基であることが特に好ましい。
・X1、X2、X3
X1、X2、X3は、単結合又は2価の連結基を示す。当該2価の連結基としては、−C(Rx)2−(Rxは水素原子又は置換基を示す。Rxが置換基の場合、互いに連結して環を形成してもよい)、−O−、−SO2−、−C(=O)−、−S−、−NRY−(RYは水素原子、アルキレン基(好ましくはメチレン基又はエチレン基)又はアリーレン基(好ましくはフェニレン基)、又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合又は−C(Rx)2−がより好ましい。Rxが置換基を示すとき、その具体例としては、後記置換基群Zが挙げられ、なかでもアルキル基(好ましい範囲は後記置換基群Zと同義である)が好ましく、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。なお、本明細書において「互いに連結して環を形成してもよい」というときには、単結合、二重結合等により結合して環状構造を形成するものであってもよく、また、縮合して縮環構造を形成するものであってもよい。
X1、X2、X3は、単結合又は2価の連結基を示す。当該2価の連結基としては、−C(Rx)2−(Rxは水素原子又は置換基を示す。Rxが置換基の場合、互いに連結して環を形成してもよい)、−O−、−SO2−、−C(=O)−、−S−、−NRY−(RYは水素原子、アルキレン基(好ましくはメチレン基又はエチレン基)又はアリーレン基(好ましくはフェニレン基)、又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合又は−C(Rx)2−がより好ましい。Rxが置換基を示すとき、その具体例としては、後記置換基群Zが挙げられ、なかでもアルキル基(好ましい範囲は後記置換基群Zと同義である)が好ましく、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。なお、本明細書において「互いに連結して環を形成してもよい」というときには、単結合、二重結合等により結合して環状構造を形成するものであってもよく、また、縮合して縮環構造を形成するものであってもよい。
・L
Lは−CH2=CH2−又は−CH2−を示し、好ましくは−CH2=CH2−である。
Lは−CH2=CH2−又は−CH2−を示し、好ましくは−CH2=CH2−である。
・R1、R2
R1、R2は水素原子又は置換基を示す。その置換基としては、後記置換基群Zより選ばれるいずれか1つを採用することができる。R1及びR2は互いに結合して環を形成していてもよい。
R1、R2は水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
R1、R2は水素原子又は置換基を示す。その置換基としては、後記置換基群Zより選ばれるいずれか1つを採用することができる。R1及びR2は互いに結合して環を形成していてもよい。
R1、R2は水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
・R3
R3はアルキル基又はハロゲン原子を示す。当該アルキル基及びハロゲン原子の好ましいものは、後記置換基群Zで規定したアルキル基及びハロゲン原子と同義である。R3の数を示すl1は0〜4の整数であるが、1〜4が好ましく、3〜4がより好ましい。R3はアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
R3はアルキル基又はハロゲン原子を示す。当該アルキル基及びハロゲン原子の好ましいものは、後記置換基群Zで規定したアルキル基及びハロゲン原子と同義である。R3の数を示すl1は0〜4の整数であるが、1〜4が好ましく、3〜4がより好ましい。R3はアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
・R4、R5
R4、R5はアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、又は互いに連結してX2と共に環を形成する基を示す。当該アルキル基及びハロゲン原子の好ましいものは、後記置換基群Zで規定したアルキル基及びハロゲン原子の好ましい範囲と同義である。R4、R5が連結した構造に特に制限はないが、単結合、−O−又は−S−が好ましい。R4、R5の数を示すm1、n1は0〜4の整数であるが、1〜4が好ましく、3〜4がより好ましい。
R4、R5はアルキル基である場合、メチル基又はエチル基であることが好ましく、トリフルオロメチルも好ましい。
R4、R5はアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、又は互いに連結してX2と共に環を形成する基を示す。当該アルキル基及びハロゲン原子の好ましいものは、後記置換基群Zで規定したアルキル基及びハロゲン原子の好ましい範囲と同義である。R4、R5が連結した構造に特に制限はないが、単結合、−O−又は−S−が好ましい。R4、R5の数を示すm1、n1は0〜4の整数であるが、1〜4が好ましく、3〜4がより好ましい。
R4、R5はアルキル基である場合、メチル基又はエチル基であることが好ましく、トリフルオロメチルも好ましい。
・R6、R7、R8
R6、R7、R8は置換基を示す。当該置換基の数を示すl2、m2、n2は0〜3の整数であるが、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。
R6、R7、R8は置換基を示す。当該置換基の数を示すl2、m2、n2は0〜3の整数であるが、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。
・J1
J1は単結合又は2価の連結基を表す。連結基としては*−COO−N+RbRcRd−**(Rb〜Rdは水素原子、アルキル基、アリール基を示し、その好ましい範囲は後記置換基群Zで説明するものと同義である。)、*−SO3 −N+ReRfRg−**(Re〜Rgは水素原子、アルキル基、アリール基を示し、その好ましい範囲は後記置換基群Zで説明するものと同義である。)、アルキレン基又はアリーレン基を表す。*はフェニレン基側の結合部位、**はその逆の結合部位を表す。J1は、単結合、メチレン基、フェニレン基であることが好ましく、単結合が特に好ましい。
J1は単結合又は2価の連結基を表す。連結基としては*−COO−N+RbRcRd−**(Rb〜Rdは水素原子、アルキル基、アリール基を示し、その好ましい範囲は後記置換基群Zで説明するものと同義である。)、*−SO3 −N+ReRfRg−**(Re〜Rgは水素原子、アルキル基、アリール基を示し、その好ましい範囲は後記置換基群Zで説明するものと同義である。)、アルキレン基又はアリーレン基を表す。*はフェニレン基側の結合部位、**はその逆の結合部位を表す。J1は、単結合、メチレン基、フェニレン基であることが好ましく、単結合が特に好ましい。
・p
pは1以上の整数を示し、1〜4の整数が好ましく、1〜3がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。
pは1以上の整数を示し、1〜4の整数が好ましく、1〜3がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。
・A1
A1は−COOH、−OH、−SH、−S(=O)2R’(R’はアルキル基を示す。当該アルキル基の好ましい範囲は、後記置換基群Zで説明するアルキル基の好ましい範囲と同義である。)及び−S(=O)2OH、及びメルカプト基から選ばれる基を示し、A1は好ましくは−COOH又は−OHである。
A1は−COOH、−OH、−SH、−S(=O)2R’(R’はアルキル基を示す。当該アルキル基の好ましい範囲は、後記置換基群Zで説明するアルキル基の好ましい範囲と同義である。)及び−S(=O)2OH、及びメルカプト基から選ばれる基を示し、A1は好ましくは−COOH又は−OHである。
置換基群Z:
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10のアミノ基であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環オキシ基であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10のアミノ基であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環オキシ基であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアシル基であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環チオ基であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子が挙げられる)、
シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、オキソ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは3〜7員環のヘテロ環基で、芳香族ヘテロ環でも芳香族でないヘテロ環であってもよく、ヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。炭素数は0〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基であり、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリル基であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリルオキシ基であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は、更に上記置換基群Zより選択されるいずれか1つ以上の置換基により置換されてもよい。
上記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記式(II−a)、(II−b)、(III−a)又は(III−b)で表される芳香族ジアミン化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<反応温度>
本発明におけるポリイミド化合物の製造方法においては、重合反応における反応温度の設定が非常に重要である。以下、本発明の製造工程についてさらに詳細に説明する。
本発明におけるポリイミド化合物の製造方法においては、重合反応における反応温度の設定が非常に重要である。以下、本発明の製造工程についてさらに詳細に説明する。
−ポリイミド合成スキーム−
−テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との混合工程−
原料基質であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合時(混合工程)の温度は0℃未満とする。温度の下限は特に限定されるものではなく、溶媒の凍結や反応性などを考慮し、適宜に設定することができる。それでも製造コストや反応効率を考慮すれば、重合開始工程の温度は好ましくは−78℃以上、−5℃未満であり、より好ましくは−40℃以上、−10℃未満であり、さらに好ましくは−20℃以上、−10℃未満である。混合の手段としては、特に限定されるものではないが、テトラカルボン酸二無水物の溶液又はジアミンの溶液に対して、ジアミン又はテトラカルボン酸二無水物の粉体又は溶液を添加し、混合することが好ましい。一般的なポリイミドの重合反応においては、テトラカルボン酸二無水物の吸湿による加水分解を考慮し、ジアミンの溶液に対してテトラカルボン酸二無水物を添加する手法が好ましいとされている。しかし、本発明の製造方法では従来にはない低温混合を採用しているため、テトラカルボン酸二無水物の加水分解が大幅に低減される。したがって、本発明の製造方法では、テトラカルボン酸二無水物の溶液中にジアミンの粉体又は溶液を滴下する手法も採用できる。
原料基質であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合時(混合工程)の温度は0℃未満とする。温度の下限は特に限定されるものではなく、溶媒の凍結や反応性などを考慮し、適宜に設定することができる。それでも製造コストや反応効率を考慮すれば、重合開始工程の温度は好ましくは−78℃以上、−5℃未満であり、より好ましくは−40℃以上、−10℃未満であり、さらに好ましくは−20℃以上、−10℃未満である。混合の手段としては、特に限定されるものではないが、テトラカルボン酸二無水物の溶液又はジアミンの溶液に対して、ジアミン又はテトラカルボン酸二無水物の粉体又は溶液を添加し、混合することが好ましい。一般的なポリイミドの重合反応においては、テトラカルボン酸二無水物の吸湿による加水分解を考慮し、ジアミンの溶液に対してテトラカルボン酸二無水物を添加する手法が好ましいとされている。しかし、本発明の製造方法では従来にはない低温混合を採用しているため、テトラカルボン酸二無水物の加水分解が大幅に低減される。したがって、本発明の製造方法では、テトラカルボン酸二無水物の溶液中にジアミンの粉体又は溶液を滴下する手法も採用できる。
−重合反応工程(熟成工程)−
上記のようにテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との低温混合により、混合液中に反応中間体である低分子量のポリアミック酸が得られるが、所望の高重合度のポリアミック酸を得るために、重合反応を進行させる(熟成させる)必要がある。本発明において「重合反応を行う工程」とは、この熟成工程を意味する。その際の温度に特に制限はなく、混合時の0℃未満の温度であってもよいが、熟成工程の時間を短くするには、より高温とすることが好ましい。一方、熟成工程の温度が高すぎると副反応によるポリアミック酸の分解のため、重合度が低下してしまう。これらの点を考慮すると、熟成工程の温度は好ましくは0℃以上、80℃未満であり、より好ましくは5℃以上、60℃未満であり、さらに好ましくは10℃以上、40℃未満である。
熟成工程の時間としては特に限定されるものではない。しかしながら、ポリアミック酸は経時的に分解するため、長期にわたる熟成は望ましくない。熟成工程は好ましくは、1時間以上、72時間以内、より好ましくは2時間以上、48時間以内、さらに好ましくは3時間以上、24時間以内とすることが望ましい。やむを得ず、ポリアミック酸の段階で保存しなければならない場合は低温、不活性ガス雰囲気下で保存することが望ましい。
上記のようにテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との低温混合により、混合液中に反応中間体である低分子量のポリアミック酸が得られるが、所望の高重合度のポリアミック酸を得るために、重合反応を進行させる(熟成させる)必要がある。本発明において「重合反応を行う工程」とは、この熟成工程を意味する。その際の温度に特に制限はなく、混合時の0℃未満の温度であってもよいが、熟成工程の時間を短くするには、より高温とすることが好ましい。一方、熟成工程の温度が高すぎると副反応によるポリアミック酸の分解のため、重合度が低下してしまう。これらの点を考慮すると、熟成工程の温度は好ましくは0℃以上、80℃未満であり、より好ましくは5℃以上、60℃未満であり、さらに好ましくは10℃以上、40℃未満である。
熟成工程の時間としては特に限定されるものではない。しかしながら、ポリアミック酸は経時的に分解するため、長期にわたる熟成は望ましくない。熟成工程は好ましくは、1時間以上、72時間以内、より好ましくは2時間以上、48時間以内、さらに好ましくは3時間以上、24時間以内とすることが望ましい。やむを得ず、ポリアミック酸の段階で保存しなければならない場合は低温、不活性ガス雰囲気下で保存することが望ましい。
−イミド化工程−
ポリアミック酸を分子内で脱水閉環反応させることによりポリイミドが得られる。脱水閉環させる方法としては、一般的な書籍(例えば、株式会社エヌ・ティー・エス発行,今井淑夫、横田力男編著,最新ポリイミド〜基礎と応用〜,3〜49頁など)に記載の手法を参考とすることができる。例えば、120℃〜200℃に加熱して、副生する水を系外に除去しながら反応させる熱イミド化法や、ピリジンやトリエチルアミン、DBUのような塩基性触媒共存下で、無水酢酸やジシクロヘキシルカルボジイミド、亜リン酸トリフェニルのような脱水縮合剤を用いるいわゆる化学イミド化等の手法が好適に用いられる。
ポリアミック酸を分子内で脱水閉環反応させることによりポリイミドが得られる。脱水閉環させる方法としては、一般的な書籍(例えば、株式会社エヌ・ティー・エス発行,今井淑夫、横田力男編著,最新ポリイミド〜基礎と応用〜,3〜49頁など)に記載の手法を参考とすることができる。例えば、120℃〜200℃に加熱して、副生する水を系外に除去しながら反応させる熱イミド化法や、ピリジンやトリエチルアミン、DBUのような塩基性触媒共存下で、無水酢酸やジシクロヘキシルカルボジイミド、亜リン酸トリフェニルのような脱水縮合剤を用いるいわゆる化学イミド化等の手法が好適に用いられる。
<濃度>
本発明において、ポリイミド樹脂の重合反応液中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の総濃度は特に限定されるものではないが、5〜70質量%が好ましく、より好ましくは5〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%である。
本発明において、ポリイミド樹脂の重合反応液中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の総濃度は特に限定されるものではないが、5〜70質量%が好ましく、より好ましくは5〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%である。
本発明の製造方法において、式(II−a)及び(II−b)のジアミン化合物の総配合量(AII)に対する式(III−a)及び(III−b)のジアミン化合物の総配合量(AIII)のモル比(AII/AIII)は、5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜80/20であることがより好ましく、20/80〜60/40であることがさらに好ましい。本発明の製造方法においては、所望の効果が得られる範囲で、上記テトラカルボン酸二無水物又はジアミン化合物以外のテトラカルボン酸二無水物又はジアミン化合物を重合させてもよい。また、テトラカルボン酸二無水物の総配合量とジアミン化合物の総配合量は等量とすることが好ましい。こうすることで、より高分子量のポリイミド樹脂が得られる。
<溶媒>
本発明において、重合反応に使用しうる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶剤、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系有機溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は反応基質である二酸無水物、ジアミン化合物、反応中間体であるポリアミック酸、さらに最終生成物であるポリイミド化合物を溶解させることを可能とする範囲で適切に選択されるものであるが、好ましくは、エステル系(好ましくは酢酸ブチル)、脂肪族ケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル系(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル)、アミド系、含硫黄系(ジメチルスルホキシド、スルホラン)が好ましく、さらに好ましくは、アミド系あるいはである。またこれらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、重合反応に使用しうる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶剤、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系有機溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は反応基質である二酸無水物、ジアミン化合物、反応中間体であるポリアミック酸、さらに最終生成物であるポリイミド化合物を溶解させることを可能とする範囲で適切に選択されるものであるが、好ましくは、エステル系(好ましくは酢酸ブチル)、脂肪族ケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル系(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル)、アミド系、含硫黄系(ジメチルスルホキシド、スルホラン)が好ましく、さらに好ましくは、アミド系あるいはである。またこれらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の製造方法により、従来の手法に比べて、ポリイミド樹脂の分子量を大幅に高めることが可能となる。本発明の製造方法で得られるポリイミド樹脂の分子量は、重量平均分子量として、10000〜1000,000であることが好ましく、より好ましくは15,000〜500,000であり、さらに好ましくは20,000〜200,000であり、さらに好ましくは50,000〜200,000であり、さらに好ましくは80,000〜200,000であり、さらに好ましくは100,000〜250,000であり、さらに好ましくは120,000〜250,000であり、さらに好ましくは140,000〜230,000である。
分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対称となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
<本発明の製造方法の利点>
酸無水物構造を有する化合物は一般的に加水分解を受けやすく、系内が結露してしまうような吸湿されやすい低温下で反応させることは通常の想定から大きく外れる条件といえる。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、0℃未満の温度条件下において、テトラカルボン酸二酸無水物とジアミン化合物とを混合すると、テトラカルボン酸二無水物の吸湿による加水分解は意外にも大幅に抑制され、その結果、より重合度の高いポリイミド樹脂を安定的に製造できることが見出された。
さらに、この高重合度のポリイミド樹脂は、高い引張強度や圧縮強さを有し、力学・機械強度に優れると共に、高い折り曲げ耐性と破断伸度、比較的小さな引張弾性率を備え、柔軟性をも兼ね備えている。さらに、ポリマー鎖の絡み合いも増加するために、ガス分離膜に適用した場合には、高圧、高二酸化炭素濃度、かつ可塑化不純物の存在下においても膜の可塑化が抑制され、その性能を長期にわたり維持することが可能となる。
酸無水物構造を有する化合物は一般的に加水分解を受けやすく、系内が結露してしまうような吸湿されやすい低温下で反応させることは通常の想定から大きく外れる条件といえる。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、0℃未満の温度条件下において、テトラカルボン酸二酸無水物とジアミン化合物とを混合すると、テトラカルボン酸二無水物の吸湿による加水分解は意外にも大幅に抑制され、その結果、より重合度の高いポリイミド樹脂を安定的に製造できることが見出された。
さらに、この高重合度のポリイミド樹脂は、高い引張強度や圧縮強さを有し、力学・機械強度に優れると共に、高い折り曲げ耐性と破断伸度、比較的小さな引張弾性率を備え、柔軟性をも兼ね備えている。さらに、ポリマー鎖の絡み合いも増加するために、ガス分離膜に適用した場合には、高圧、高二酸化炭素濃度、かつ可塑化不純物の存在下においても膜の可塑化が抑制され、その性能を長期にわたり維持することが可能となる。
本発明の製造方法で得られうるポリイミド樹脂の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の製造方法で得られるポリイミド樹脂は、機械的強度に優れるため、相転換法によって緻密層を有する非対称膜形成し、これをガス分離膜とすることができる。また、本発明の製造方法で得られるポリイミド樹脂は塗布成膜性が良好であるため、これを支持層上に薄く塗布・成膜して複合膜とし、ガス分離膜に適用することができる。
[ガス分離非対称膜]
本発明の製造方法で得られたポリイミド樹脂(以下、本発明のポリイミド樹脂という。)で形成された非対称膜からなるガス分離膜(以下、本発明のガス分離非対称膜という。)は、ポリイミド樹脂の溶液を用いて相転換法によって形成することができる。相転換法は、ポリマー溶液を凝固液と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法であり、本発明ではいわゆる乾湿式法が好適に用いられる。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶液を蒸発させて薄い緻密層を形成し、ついで凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤)に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層を形成させる方法であり、ロブ・スリラージャンらの提案(例えば、米国特許第3,133,132号明細書)したものである。
本発明の製造方法で得られたポリイミド樹脂(以下、本発明のポリイミド樹脂という。)で形成された非対称膜からなるガス分離膜(以下、本発明のガス分離非対称膜という。)は、ポリイミド樹脂の溶液を用いて相転換法によって形成することができる。相転換法は、ポリマー溶液を凝固液と接触させて相転換させながら膜を形成する公知の方法であり、本発明ではいわゆる乾湿式法が好適に用いられる。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶液を蒸発させて薄い緻密層を形成し、ついで凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤)に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層を形成させる方法であり、ロブ・スリラージャンらの提案(例えば、米国特許第3,133,132号明細書)したものである。
本発明のガス分離非対称膜において、緻密層あるいはスキン層と呼ばれるガス分離に寄与する表層の厚さは特に限定されないが、実用的なガス透過性を付与する観点から、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.05〜1.0μmであることがより好ましい。一方、緻密層より下部の多孔質層はガス透過性の抵抗を下げると同時に機械強度の付与の役割を担うものであり、その厚さは非対称膜としての自立性が付与される限りにおいては特に限定されるものではないが5〜500μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましい。
本発明のガス分離非対称膜は、平膜であってもあるいは中空糸膜であってもよい。非対称中空糸膜は乾湿式紡糸法により製造することができる。乾湿式紡糸法は、乾湿式法を紡糸ノズルから吐出して中空糸状の目的形状としたポリマー溶液に適用して非対称中空糸膜を製造する方法である。より詳しくは、ポリマー溶液をノズルから中空糸状の目的形状に吐出させ、吐出直後に空気又は窒素ガス雰囲気中を通した後、ポリマーを実質的には溶解せず且つポリマー溶液の溶媒とは相溶性を有する凝固液に浸漬して非対称構造を形成し、その後乾燥し、さらに必要に応じて加熱処理して分離膜を製造する方法である。
ノズルから吐出させるポリイミド樹脂溶液の溶液粘度は、吐出温度(例えば10℃)で2〜17000Pa・s、好ましくは10〜1500Pa・s、特に20〜1000Pa・sであることが、中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることができるので好ましい。凝固液への浸漬は、一次凝固液に浸漬して中空糸状等の膜の形状が保持出来る程度に凝固させた後、案内ロールに巻き取り、ついで二次凝固液に浸漬して膜全体を十分に凝固させることが好ましい。凝固した膜の乾燥は、凝固液を炭化水素などの溶媒に置換してから行うのが効率的である。乾燥のための加熱処理は、用いたポリイミド樹脂の軟化点又は二次転移点よりも低い温度で実施することが好ましい。
本発明のガス分離非対称膜は、機械的強度をより高めるために、その引張強度は10N/mm2以上が好ましく、12N/mm2以上がより好ましい。当該引張強度の上限に特に制限はないが、通常には25N/mm2以下であり、20N/mm2以下であってもよい。また、本発明のガス分離非対称膜の圧縮強さは、10MPa以上が好ましく、15MPa以上がより好ましい。当該圧縮強さの上限に特に制限はないが、通常には50MPa以下であり、40MPa以下であってもよい。
本発明のガス分離非対称膜に、上記機械的強度と共に適度な柔軟性も付与するために、本発明のガス分離非対称膜の破断伸度は、12%以上が好ましく、16%以上がより好ましい。当該破断伸度の上限に特に制限はないが、通常には25%以下であり、20%以下であってもよい。また、同様の観点から、本発明のガス分離非対称膜の引張弾性率は、100MPa以下であることが好ましく、90MPa以下であることがより好ましく、80MPa以下であることがさらに好ましい。引張弾性率の下限値は、機械的強度との両立を図るために、通常には10MPa以上であり、20MPa以上であってもよく、30MPa以上であってもよく、40MPa以上とすることもできる。
[ガス分離複合膜]
本発明のガス分離複合膜はガス透過性の支持層の上側に、架橋ポリイミド樹脂を含有してなるガス分離層が形成されている。この複合膜は、多孔質の支持体の少なくとも表面に、上記のガス分離層をなす塗布液(ドープ)を塗布(本明細書において塗布とは浸漬により表面に付着される態様を含む意味である。)することにより形成することが好ましい。図1は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜10を模式的に示す断面図である。1はガス分離層、2は多孔質層からなる支持層である。図2は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、ガス分離層1及び多孔質層2に加え、支持層として不織布層3が追加されている。
本発明のガス分離複合膜はガス透過性の支持層の上側に、架橋ポリイミド樹脂を含有してなるガス分離層が形成されている。この複合膜は、多孔質の支持体の少なくとも表面に、上記のガス分離層をなす塗布液(ドープ)を塗布(本明細書において塗布とは浸漬により表面に付着される態様を含む意味である。)することにより形成することが好ましい。図1は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜10を模式的に示す断面図である。1はガス分離層、2は多孔質層からなる支持層である。図2は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、ガス分離層1及び多孔質層2に加え、支持層として不織布層3が追加されている。
支持層上側とは、支持層とガス分離層との間に他の層が介在してもよい意味である。なお、上下の表現については、特に断らない限り、分離対象となるガスが供給される方向を「上」とし、分離されたガスが出される方向を「下」とする。
上記塗布液中のポリイミド樹脂の含有量はポリイミド樹脂の構造や重合度により粘度に影響を及ぼすため、一義的に決定されるものではないが、塗布液中に、0.1〜30質量%含まれることが好ましく、0.5〜20質量%含まれることがより好ましい。上記下限値以上とすることで、多孔質支持体上に製膜した際に、容易に下層に浸透してしまうがために分離に寄与する表層に欠陥が生じることを防ぐことができ、上記上限値以下とすることで濃度が高い場合における多孔質支持体上に製膜した際に孔内に高濃度に充填されてしまうことに起因する薄層化あるいは透過性が低くなる現象を抑制することができる。
上記塗布液の媒体とする有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、ジブチルブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系有機溶剤、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系有機溶剤、などが挙げられる。これらの有機溶剤は支持体を浸蝕するなどの悪影響を及ぼさない範囲で適切に選択されるものであるが、好ましくは、エステル系(好ましくは酢酸ブチル)、アルコール系(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、脂肪族ケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル系(エチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族ケトン系、アルコール系、エーテル系である。またこれらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のガス分離複合膜は、多孔質性の支持体の表面ないし内面にガス分離層を形成・配置するようにしてもよく、少なくとも表面に形成して簡便に複合膜とすることができる。多孔質性の支持体の少なくとも表面に、ガス分離層を形成することで、高分離選択性と高ガス透過性、更には機械的強度を兼ね備えるという利点を有する複合膜とすることができる。分離層の膜厚としては機械的強度、分離選択性を維持しつつ高ガス透過性を付与する条件において可能な限り薄膜であることが好ましい。
本発明のガス分離複合膜において、ガス分離層の厚さは特に限定されないが、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.05〜1.0μmであることがより好ましい。
支持層に好ましく適用される多孔質支持体は、機械的強度及び高気体透過性の付与に合致する目的のものであれば、特に限定されるものではなく有機、無機どちらの素材であっても構わないが、好ましくは有機高分子の多孔質膜であり、その厚さは1〜3000μm、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは5〜150μmである。この多孔質膜の細孔構造は、通常平均細孔直径が10μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.2μm以下であり、空孔率は好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜80%である。また、その気体透過率は二酸化炭素透過速度で3×10−5cm3(STP)/cm・sec・cmHg以上であることが好ましい。多孔質膜の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。なかでも、前記ポリイミド化合物を塗布して架橋するときの製造適正に優れ、高いガス透過性と分離選択性とを同時に達成する観点から、支持層が、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシドからなるものであることが好ましく、ポリアクリロニトリルからなるものであることがより好ましい。多孔質膜の形状としては、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状などいずれの形状をとることもできる。
支持層は上述したように薄く、多孔質な素材であることが、十分なガス透過性を確保することができ好ましい。また、後述するガス分離層の優れたガス分離選択性を十分に引き出すためにも、薄膜多孔質の形態が好ましい。
本発明においては、ガス分離層を形成する支持層の下部にさらに機械的強度を付与するために支持体が形成されていることが望ましい。その支持体としては、織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性及びコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布としてはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたり等の目的で、不織布を2本のロール挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
本発明のガス分離膜(ガス分離非対称膜及びガス分離複合膜)は、ガス分離回収法、ガス分離精製法として好適に用いることができる。例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、メタン、エタンなどの炭化水素、プロピレンなどの不飽和炭化水素、テトラフルオロエタンなどのパーフルオロ化合物などのガスを含有する気体混合物から特定の気体を効率よく分離し得るガス分離膜とすることができる。特に二酸化炭素/炭化水素(メタン)を含む気体混合物から二酸化炭素を選択分離するガス分離膜及びこの製造方法、これを用いたモジュール、分離装置とすることが好ましい。
本発明のガス分離膜は、供給されるガスが主として二酸化炭素とメタンとの混合ガスである場合において、40℃、40気圧における二酸化炭素の透過速度(透過率)が20GPU超であることが好ましく、20〜300GPUであることがより好ましい。二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)は15以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、20〜50であることが特に好ましい。
<その他の成分等>
本発明のガス分離複合膜には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することもできる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる
本発明のガス分離複合膜には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することもできる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる
界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩などのアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、また、この他にもアルキルベタインやアミドベタインなどの両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッソ系界面活性剤などを含めて、従来公知である界面活性剤及びその誘導体から適宜選ぶことができる。
高分子分散剤として、具体的にはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等が挙げられ、中でもポリビニルピロリドンを用いることも好ましい。
本発明のガス分離膜を形成する条件に特に制限はないが、温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜80℃がより好ましく、5〜50℃が特に好ましい。
本発明においては、膜を形成時に空気や酸素などの気体を共存させてもよいが、不活性ガス雰囲気下であることも望ましい。
[ガス分離方法]
本発明のガス分離方法では、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む方法である。ガス分離の際の圧力は10〜100気圧であることが好ましく、20〜70気圧であることがより好ましい。また、ガス分離温度は、 −30〜90℃であることが好ましく、15〜70℃であることがさらに好ましい。
本発明のガス分離方法では、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む方法である。ガス分離の際の圧力は10〜100気圧であることが好ましく、20〜70気圧であることがより好ましい。また、ガス分離温度は、 −30〜90℃であることが好ましく、15〜70℃であることがさらに好ましい。
[ガス分離モジュール・ガス分離装置]
本発明の製造方法からなるポリイミド化合物を用いて作製されたガス分離膜(非対称膜、複合膜)は、更にはこれを用いたガス分離膜モジュールとすることができる。また、本発明のガス分離膜、複合膜又はガス分離モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有する気体分離装置とすることができる。
本発明のガス分離モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。また本発明の高分子膜は、例えば、特開2007−297605号に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
本発明の製造方法からなるポリイミド化合物を用いて作製されたガス分離膜(非対称膜、複合膜)は、更にはこれを用いたガス分離膜モジュールとすることができる。また、本発明のガス分離膜、複合膜又はガス分離モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有する気体分離装置とすることができる。
本発明のガス分離モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。また本発明の高分子膜は、例えば、特開2007−297605号に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、文中「部」及び「%」とあるのは特に示さない限り質量基準とする。
[合成例]
<ポリマー(P−1)の合成>
<ポリマー(P−1)の合成>
−ポリマー(P−1)の合成(化学イミド化)−
1Lの三口フラスコを氷−メタノール冷媒により、−15℃まで冷却しておき、ここにN−メチルピロリドン123ml、6FDA(東京化成株式会社製、製品番号:)54.97g(0.124mol)を加えて窒素気流下で攪拌しているところに、2,3,5,6−テトラメチルフェニレンジアミン(東京化成株式会社製、製品番号:T1457)4.098g(0.0248mol)及びDABA15.138g(0.0992mol)のN−メチルピロリドン溶液84.0mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を40℃で2.5時間攪拌した後、ピリジン(和光純薬株式会社製)2.94g(0.037mol)、及び無水酢酸(和光純薬株式会社製)31.58g(0.31mol)をそれぞれ加えて、さらに80℃で3時間攪拌した。その後、反応液にアセトン676.6mLを加えて希釈した。5Lステンレス容器にメタノール1.15L、アセトン230mLを加えて攪拌しているところに、反応液のアセトン希釈液を滴下した。析出したポリマーを吸引ろ過し、60℃で送風乾燥させて50.5gのポリマー(P−1)を得た。
1Lの三口フラスコを氷−メタノール冷媒により、−15℃まで冷却しておき、ここにN−メチルピロリドン123ml、6FDA(東京化成株式会社製、製品番号:)54.97g(0.124mol)を加えて窒素気流下で攪拌しているところに、2,3,5,6−テトラメチルフェニレンジアミン(東京化成株式会社製、製品番号:T1457)4.098g(0.0248mol)及びDABA15.138g(0.0992mol)のN−メチルピロリドン溶液84.0mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を40℃で2.5時間攪拌した後、ピリジン(和光純薬株式会社製)2.94g(0.037mol)、及び無水酢酸(和光純薬株式会社製)31.58g(0.31mol)をそれぞれ加えて、さらに80℃で3時間攪拌した。その後、反応液にアセトン676.6mLを加えて希釈した。5Lステンレス容器にメタノール1.15L、アセトン230mLを加えて攪拌しているところに、反応液のアセトン希釈液を滴下した。析出したポリマーを吸引ろ過し、60℃で送風乾燥させて50.5gのポリマー(P−1)を得た。
<ポリマーP−10の合成>
−ポリマー(P−10)の合成(熱イミド化)−
1Lの三口フラスコを氷−メタノール冷媒により、−15℃まで冷却しておき、ここにN−メチルピロリドン130ml、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(東京化成工業株式会社製、製品番号:B1317)24.82g(0.100mol)を加えて窒素気流下で攪拌しているところに、2,3,5,6−テトラメチルフェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製、製品番号:T1457)1.64g(0.01mol)及び2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(東京化成工業会社製、製品番号:B1415)32.96g(0.09mol)のN−メチルピロリドン溶液81ml溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を40℃で3.5時間攪拌した後、トルエン150mlを加え、さらに180℃まで昇温させてその温度で6時間攪拌した。反応途中に共沸したトルエン−水混合用液をディーンスターク水分離機で溜去した。反応終了後、室温付近まで冷却下のちアセトン400mLを加えて希釈した。5Lステンレス容器にメタノール1.15L、水230mLを加えて攪拌しているところに、反応液のアセトン希釈液を滴下した。析出したポリマーを吸引ろ過し、60℃で送風乾燥させて33.9gのポリマーを得た。
1Lの三口フラスコを氷−メタノール冷媒により、−15℃まで冷却しておき、ここにN−メチルピロリドン130ml、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(東京化成工業株式会社製、製品番号:B1317)24.82g(0.100mol)を加えて窒素気流下で攪拌しているところに、2,3,5,6−テトラメチルフェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製、製品番号:T1457)1.64g(0.01mol)及び2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(東京化成工業会社製、製品番号:B1415)32.96g(0.09mol)のN−メチルピロリドン溶液81ml溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を40℃で3.5時間攪拌した後、トルエン150mlを加え、さらに180℃まで昇温させてその温度で6時間攪拌した。反応途中に共沸したトルエン−水混合用液をディーンスターク水分離機で溜去した。反応終了後、室温付近まで冷却下のちアセトン400mLを加えて希釈した。5Lステンレス容器にメタノール1.15L、水230mLを加えて攪拌しているところに、反応液のアセトン希釈液を滴下した。析出したポリマーを吸引ろ過し、60℃で送風乾燥させて33.9gのポリマーを得た。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を以下に化合物及びモル比に変更した以外はポリマー(P−1)あるいは(P−10)の合成方法と同様にして、以下のポリマーを合成した。表1中括弧内の数字はモル比を示す。
(反応温度の比較)
滴下温度を以下の条件に変更した以外は同様にして、ポリマー(P−1)を合成したところ、以下の表に記載の分子量を有するポリマーが得られた。滴下温度を低温にするほど、より高分子量のポリイミド樹脂が得られることがわかった。
滴下温度を以下の条件に変更した以外は同様にして、ポリマー(P−1)を合成したところ、以下の表に記載の分子量を有するポリマーが得られた。滴下温度を低温にするほど、より高分子量のポリイミド樹脂が得られることがわかった。
[実施例1] 非対称膜の作製1
前記と同様に調製したポリイミド樹脂(P−1)の0.5gに対してメチルエチルケトン2.5g、N,N-ジメチルホルムアミド2.5g、n-ブタノール0.6gの混合溶液を加えて溶解させたのち、孔径5.0μmのPTFE製精密濾過膜でろ過し、これをドープ液とした。清浄なガラス板の上にポリエステル製不織布(阿波製紙製、膜厚:95μm)を敷き、さらに前記ドープ液を室温(20℃)の環境で展開し、30秒静置したのち、一次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬したのち、さらに二次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬することで非対称膜を作製した。得られた非対称膜をメタノールで洗浄した後、イソオクタンでメタノールを置換し、更に50℃で8時間、110℃で6時間加熱してイソオクタンを蒸発乾燥させることで緻密なスキン層が0.1μm以下、ポリイミド層総膜厚が40μmの非対称膜101を得た。
前記と同様に調製したポリイミド樹脂(P−1)の0.5gに対してメチルエチルケトン2.5g、N,N-ジメチルホルムアミド2.5g、n-ブタノール0.6gの混合溶液を加えて溶解させたのち、孔径5.0μmのPTFE製精密濾過膜でろ過し、これをドープ液とした。清浄なガラス板の上にポリエステル製不織布(阿波製紙製、膜厚:95μm)を敷き、さらに前記ドープ液を室温(20℃)の環境で展開し、30秒静置したのち、一次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬したのち、さらに二次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬することで非対称膜を作製した。得られた非対称膜をメタノールで洗浄した後、イソオクタンでメタノールを置換し、更に50℃で8時間、110℃で6時間加熱してイソオクタンを蒸発乾燥させることで緻密なスキン層が0.1μm以下、ポリイミド層総膜厚が40μmの非対称膜101を得た。
[実施例2] 非対称膜の作製2
前記で調製したポリイミド樹脂(P−1)の0.5gに対してジクロロメタン2.2g、1,1,2−トリクロロエタン1.8g、n-ブタノール0.6gの混合溶液を加えて溶解させたのち、5.0μmのPTFE製精密濾過膜でろ過し、これをドープ液とした。清浄なガラス板の上に前記ドープ液を室温(20℃)の環境でキャストナイフを用いて展開、20秒静置したのち、一次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬したのち、さらに二次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬することで非対称膜を作製した。得られた非対称膜をメタノールで洗浄した後、イソオクタンでメタノールを置換し、更に50℃で8時間、150℃で6時間加熱してイソオクタンを蒸発乾燥させることで緻密なスキン層が0.1μm以下、ポリイミド層総膜厚が40μmの非対称膜102を得た。
前記で調製したポリイミド樹脂(P−1)の0.5gに対してジクロロメタン2.2g、1,1,2−トリクロロエタン1.8g、n-ブタノール0.6gの混合溶液を加えて溶解させたのち、5.0μmのPTFE製精密濾過膜でろ過し、これをドープ液とした。清浄なガラス板の上に前記ドープ液を室温(20℃)の環境でキャストナイフを用いて展開、20秒静置したのち、一次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬したのち、さらに二次凝固液(0℃、75重量%メタノール水溶液)に1時間浸漬することで非対称膜を作製した。得られた非対称膜をメタノールで洗浄した後、イソオクタンでメタノールを置換し、更に50℃で8時間、150℃で6時間加熱してイソオクタンを蒸発乾燥させることで緻密なスキン層が0.1μm以下、ポリイミド層総膜厚が40μmの非対称膜102を得た。
[実施例3〜7] 非対称膜の作製3
前記膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を下表のポリマーに変更した以外は同様にして非対称膜103〜107を作製した。
前記膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を下表のポリマーに変更した以外は同様にして非対称膜103〜107を作製した。
[実施例8] 複合膜の作製1
30ml褐色バイアル瓶に、ポリイミド樹脂(P−1)の1.4gをメチルエチルケトン91.9gを混合して30分攪拌してポリマー液を調製した。10cm四方の清浄なガラス板上に、ポリアクリロニトリル多孔質膜(GMT社製)を静置し、前記ポリマー液を、アプリケータを用いて多孔質支持膜表面にキャストさせた。これを室温で5分ほど静置したのち、さらに70℃で15分反応させ、複合膜108を得た。ポリイミド樹脂(P−1)層の厚さは約0.1μmであり、ポリアクリロニトリル多孔質膜の厚さは不織布を含めて約180μmであった。
30ml褐色バイアル瓶に、ポリイミド樹脂(P−1)の1.4gをメチルエチルケトン91.9gを混合して30分攪拌してポリマー液を調製した。10cm四方の清浄なガラス板上に、ポリアクリロニトリル多孔質膜(GMT社製)を静置し、前記ポリマー液を、アプリケータを用いて多孔質支持膜表面にキャストさせた。これを室温で5分ほど静置したのち、さらに70℃で15分反応させ、複合膜108を得た。ポリイミド樹脂(P−1)層の厚さは約0.1μmであり、ポリアクリロニトリル多孔質膜の厚さは不織布を含めて約180μmであった。
[実施例9、10] 複合膜の作製2
前記複合膜108におけるポリアクリロニトリル多孔質膜をポリスルホン又はポリフェニレンオキシドに変更した以外は同様にして複合膜109及び110を得た。
前記複合膜108におけるポリアクリロニトリル多孔質膜をポリスルホン又はポリフェニレンオキシドに変更した以外は同様にして複合膜109及び110を得た。
[実施例11〜15] 複合膜の作製3
前記膜108におけるポリイミド樹脂(P−1)を下表のポリマーに変更した以外は同様にして複合膜111〜115を作製した。
前記膜108におけるポリイミド樹脂(P−1)を下表のポリマーに変更した以外は同様にして複合膜111〜115を作製した。
[比較例1、2] 非対称膜c11及び複合膜c12の作製
特開2012−86223号の実施例1(段落0079)を参照し、原料混合時の温度を0℃以上として下記のポリイミド樹脂を合成した。前記非対称膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして非対称膜c11を、前記複合膜108におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして複合膜c12を作製した。
特開2012−86223号の実施例1(段落0079)を参照し、原料混合時の温度を0℃以上として下記のポリイミド樹脂を合成した。前記非対称膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして非対称膜c11を、前記複合膜108におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして複合膜c12を作製した。
[比較例3、4] 非対称膜c13及び複合膜c14の作製
特開2010−172892号の実施例1(段落0050)を参照し、原料混合時の温度を0℃以上として下記のポリマーを合成した。前記非対称膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして非対称膜c13を、前記複合膜108におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして複合膜c14を作製した。
特開2010−172892号の実施例1(段落0050)を参照し、原料混合時の温度を0℃以上として下記のポリマーを合成した。前記非対称膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして非対称膜c13を、前記複合膜108におけるポリイミド樹脂(P−1)を下記ポリマーに変更した以外は同様にして複合膜c14を作製した。
[比較例5〜7] 非対称膜c15〜17の作製
前記非対称膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を、反応条件を変更して合成したポリイミド樹脂(P−1c、P−1d、P−1e)に変更した以外は同様にして非対称膜c15〜17を作製した。
前記非対称膜101におけるポリイミド樹脂(P−1)を、反応条件を変更して合成したポリイミド樹脂(P−1c、P−1d、P−1e)に変更した以外は同様にして非対称膜c15〜17を作製した。
[試験例1] ガス透過率の測定
得られた非対称膜あるいは複合膜において、高圧耐性のあるSUS316製ステンレスセル(DENISSEN社製)を用いて、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)の体積比が1:1となるようにマスフローコントローラーを用いて、40℃、ガス供給側の全圧力を40気圧(CO2、CH4の分圧:20気圧)としてCO2、CH4のそれぞれのガスの透過性をTCD検知式ガスクロマトグラフィーにより測定した。膜のガス透過性は、ガス透過率(Permeance)としてガス透過速度を算出することにより比較した。ガス透過率(ガス透過速度)の単位はGPU(ジーピーユー)単位〔1GPU=1×10−6cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〕で表した。
得られた非対称膜あるいは複合膜において、高圧耐性のあるSUS316製ステンレスセル(DENISSEN社製)を用いて、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)の体積比が1:1となるようにマスフローコントローラーを用いて、40℃、ガス供給側の全圧力を40気圧(CO2、CH4の分圧:20気圧)としてCO2、CH4のそれぞれのガスの透過性をTCD検知式ガスクロマトグラフィーにより測定した。膜のガス透過性は、ガス透過率(Permeance)としてガス透過速度を算出することにより比較した。ガス透過率(ガス透過速度)の単位はGPU(ジーピーユー)単位〔1GPU=1×10−6cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〕で表した。
[試験例2] 折り曲げ試験
本発明のガス分離膜はモジュール又はエレメントと呼ばれる膜が充填されたパッケージとして使用することが望ましい。ガス分離膜をモジュールとして使用する場合は膜表面積を大きくするために高密度に充填される。平膜ではスパイラル状に折り曲げて充填するため、十分な折曲げ強度が付与されていなければならない。本性能を確認するために得られた複合膜を90度折り曲げては戻す操作を20回実施した後、再度ガス透過率を測定した。
A:折り曲げ前後においてメタンガスの透過率がほとんど変化しなかった
B:折り曲げ後にメタンガスの透過率が明らかに上昇した。
本発明のガス分離膜はモジュール又はエレメントと呼ばれる膜が充填されたパッケージとして使用することが望ましい。ガス分離膜をモジュールとして使用する場合は膜表面積を大きくするために高密度に充填される。平膜ではスパイラル状に折り曲げて充填するため、十分な折曲げ強度が付与されていなければならない。本性能を確認するために得られた複合膜を90度折り曲げては戻す操作を20回実施した後、再度ガス透過率を測定した。
A:折り曲げ前後においてメタンガスの透過率がほとんど変化しなかった
B:折り曲げ後にメタンガスの透過率が明らかに上昇した。
[試験例3] 耐圧力試験
前期実施例及び比較例において得られた非対称膜及び複合膜を直径47mmの円形状に切り抜き、セルに挟み込んだのちオートクレーブにて1MPa加圧条件にしたのち、セルから膜を取り出し、目視評価において割れ・クラックの状態を4段階で評価を実施した。
A:割れ・クラックがまったく見られなかった。
B:極僅かにクラックらしきものが検出された。
C:部分的な割れ・クラックが生じていた。
D:膜の大部分が割れていた。
前期実施例及び比較例において得られた非対称膜及び複合膜を直径47mmの円形状に切り抜き、セルに挟み込んだのちオートクレーブにて1MPa加圧条件にしたのち、セルから膜を取り出し、目視評価において割れ・クラックの状態を4段階で評価を実施した。
A:割れ・クラックがまったく見られなかった。
B:極僅かにクラックらしきものが検出された。
C:部分的な割れ・クラックが生じていた。
D:膜の大部分が割れていた。
ガス透過率、折り曲げ試験、耐圧力試験の結果を表4に示す。
本発明のガス分離膜は高い二酸化炭素透過性と分離選択性を示し、さらに折り曲げ強度にも優れていた。また、本発明のガス分離膜には、高圧・高二酸化炭素条件にも耐える可撓性、耐圧性が付与されていることがわかった。
[試験例4] サンプルエラー率
前記実施例、比較例に記載のガス分離膜を各々50サンプル作製し、その折の水素の透過率を測定し、水素ガス透過率値が1,000,000GPU(1×106cm3/cm2・sec・cmHg)を越えたサンプルをピンホール有りの膜(サンプルエラー)として判断し、下記式によりサンプルエラー率〔サンプルエラー率=(ピンホール有りの膜数/50)×100〕を求めた。
前記実施例、比較例に記載のガス分離膜を各々50サンプル作製し、その折の水素の透過率を測定し、水素ガス透過率値が1,000,000GPU(1×106cm3/cm2・sec・cmHg)を越えたサンプルをピンホール有りの膜(サンプルエラー)として判断し、下記式によりサンプルエラー率〔サンプルエラー率=(ピンホール有りの膜数/50)×100〕を求めた。
前記の実施例及び比較例に記載のガス分離膜のサンプルエラー率の結果を以下の表5に示す。
表5の結果から、本発明のガス分離膜はサンプルエラー率がより少ないことがわかった。
[試験例5] 引張弾性率の測定
各サンプルから、1.0cm×5.0cmのサイズのサンプル片を切り出し、25℃、相対湿度60%で一晩放置後、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン社製、テンシロンRTM−25)を用いて引張弾性率を測定した。(チャック間距離3cm)。測定は3サンプルに対して行い、それらの測定結果の平均値を以って引張弾性率とした。
各サンプルから、1.0cm×5.0cmのサイズのサンプル片を切り出し、25℃、相対湿度60%で一晩放置後、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン社製、テンシロンRTM−25)を用いて引張弾性率を測定した。(チャック間距離3cm)。測定は3サンプルに対して行い、それらの測定結果の平均値を以って引張弾性率とした。
[試験例6] 引張強度、引張破断伸度の測定
各非対称膜をチャック間25mm、速度50mm/分で引っ張ったときの破断強さを、引っ張り前の見かけの断面積で序した値を引張強度とした。
また、120μm厚の非対称膜をASTM D638−00に準じ、ダンベル形状5、チャック間25.4mm、速度50mm/分で引っ張り、破断するまでの伸び率(%)を破断伸度とした。
各非対称膜をチャック間25mm、速度50mm/分で引っ張ったときの破断強さを、引っ張り前の見かけの断面積で序した値を引張強度とした。
また、120μm厚の非対称膜をASTM D638−00に準じ、ダンベル形状5、チャック間25.4mm、速度50mm/分で引っ張り、破断するまでの伸び率(%)を破断伸度とした。
[試験例7] 圧縮強さの測定
インストロン社製5582型試験機を用いることにより、1.3mm/minの速度で圧縮荷重をかけたときの圧縮強さを測定した。
インストロン社製5582型試験機を用いることにより、1.3mm/minの速度で圧縮荷重をかけたときの圧縮強さを測定した。
表6の結果から、本発明のガス分離非対称膜は、引張強度と圧縮強さがより高く、機械的強度に優れる一方、引張弾性率が80MPa以下に抑えられ、破断伸度もより高く、柔軟性にも優れることがわかった。
[試験例8] 可塑化不純物の影響
トルエン又はヘプタンを張った蓋のできるガラス製容器内に、100mLビーカーを静置し、さらに実施例及び比較例において作製したガス分離複合膜をビーカーの中に入れ、ガラス製の蓋を施し、密閉系とした。その後、40℃条件下で8時間保存した後、前記と同様にガス透過率試験を実施し、CO2/CH4分離選択性の変化を調べた結果を以下に示す。
トルエン又はヘプタンを張った蓋のできるガラス製容器内に、100mLビーカーを静置し、さらに実施例及び比較例において作製したガス分離複合膜をビーカーの中に入れ、ガラス製の蓋を施し、密閉系とした。その後、40℃条件下で8時間保存した後、前記と同様にガス透過率試験を実施し、CO2/CH4分離選択性の変化を調べた結果を以下に示す。
表7の結果から、本発明のガス分離膜は、トルエンやヘプタン共存下での安定性に優れ、長期間にわたって安定した性能を発揮できることがわかった。
以上の結果、本発明の製造方法により、従来にはない高分子のポリイミド樹脂を得ることができ、このポリイミド樹脂をガス分離膜に適用することで、機械的強度と柔軟性の双方を兼ね備え、耐久性が高く、ガス透過性と分離選択性に優れたガス分離膜が得られることがわかった。
本発明のガス分離膜により、優れた気体分離方法、高性能のガス分離膜モジュール、ガス分離膜モジュールを含むガス分離装置、ガス精製装置の提供が可能となる。
本発明のガス分離膜により、優れた気体分離方法、高性能のガス分離膜モジュール、ガス分離膜モジュールを含むガス分離装置、ガス精製装置の提供が可能となる。
Claims (9)
- 少なくとも下記式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記式(II−a)又は(II−b)で表される芳香族ジアミン化合物と、下記式(III−a)又は(III−b)で表される芳香族ジアミン化合物とを0℃未満の温度条件下で混合した後、重合反応を行う工程を含む、ポリイミド樹脂の製造方法:
- 前記の0℃未満の温度条件が、−40℃以上−10℃未満の温度条件である、請求項1に記載のポリイミドの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法により得られたポリイミド樹脂で形成された非対称膜からなるガス分離膜であって、
40℃、40気圧における二酸化炭素透過率(RCO2)が20GPU超であり、且つ、二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)が15以上である、ガス分離膜。 - 請求項1又は2に記載の製造方法により得られたポリイミド樹脂を含有してなるガス分離層をガス透過性の支持層上側に有するガス分離膜であって、
該支持層は、ガス分離層側に多孔質層を、その逆側に不織布層を有し、
該ガス分離複合膜の40℃における二酸化炭素透過率(RCO2)が20GPU超であり、且つ、二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4)が15以上である、ガス分離膜。 - 引張弾性率が40MPa以上である、請求項3又は4に記載のガス分離膜。
- 引張強度が12N/mm2以上であり、破断伸度が12%以上である、請求項3〜5のいずれか1項に記載のガス分離膜。
- 請求項3〜6のいずれか1項に記載のガス分離膜を具備するガス分離モジュール。
- 請求項7に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
- 請求項3〜6のいずれか1項に記載のガス分離膜を用いて、二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む、ガス分離方法。
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-
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