JPWO2017150428A1 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

難造粒性である微粉を多く含む鉄鉱石を使っても、高強度の造粒粒子を製造することが可能となり、高品質の焼結鉱を得ることができる焼結鉱の製造方法を提案することを目的とし、粒径1mm以上の核粒子を20mass%以上含み、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%含む鉄鉱石および凝結材および副原料から構成される焼結原料を、高速撹拌機を用いて撹拌した後に造粒し、その後に焼成することを特徴とする。

Description

本発明は、ドワイト・ロイド式焼結機などで用いられる高炉原料としての焼結鉱の製造方法に関する。
焼結鉱は、複数銘柄の粉鉄鉱石(一般に、125〜1000μm程度のシンターフィードと呼ばれているもの)に、石灰石や珪石、蛇紋岩等の副原料粉と、ダスト、スケール、返鉱等の雑原料粉と、粉コークス等の固体燃料とを適量ずつ配合した焼結配合原料に、水分を添加して混合−造粒し、得られた造粒原料を焼結機に装入して焼成することによって製造される。その焼結配合原料は、一般に、水分を含むことで造粒時に互いに凝集して擬似粒子となる。そして、この擬似粒子化した焼結用造粒原料は、焼結機のパレット上に装入されたとき、焼結原料装入層の良好な通気を確保するのに役立ち、焼結反応を円滑に進める。焼結反応中では、熱せられた造粒粒子の水分が蒸発し、風下の造粒粒子が高水分となり強度が低下する領域が形成される(湿潤帯)。この湿潤帯は、造粒粒子が潰れやすくなり、充填層の空気の流れ道をふさぎ、通気を悪化させる。
一方で近年、鉄鉱石の微粉化が進行しており、この微粉鉱を用いた造粒粒子は強度が小さくなる。特に、水が加わった際に強度が大きく低下し、通気低減の要因となる問題がある。また微粉鉱は、焼結鉱の製造において重要な造粒が困難となることが知られている。焼結用粉鉄鉱石を取り巻くこのような環境の中で、最近、難造粒性である微粉を多く含む鉄鉱石を使って、高品質の焼結鉱を製造するための技術が提案されている。
従来、こうした高炉原料としての焼結鉱の製造方法として、以下のような技術が知られている(特許文献1〜9)。
特開昭62−37325号公報 特開平1−312036号公報 特開2007−247020号公報 特開平11−61282号公報 特開平7−331342号公報 特開平7−48634号公報 特開2005−194616号公報 特開2006−63350号公報 特開2003−129139号公報
特許文献1はHybrid Pelletized Sinter法(以下、「HPS法」という)を開示している。この技術は、鉄分の高い微粉鉄鉱石を多量に含む焼結配合原料をドラムミキサーとペレタイザーとを使って造粒することにより、低スラグ比・高被還元性の焼結鉱を製造しようというものである。しかしながら、この技術では、焼結原料を多量に処理する際に、ペレタイザーを多数設置する必要があり、製造コストが大きくなるという課題があった。
また、造粒工程の前に、微粉鉄鉱石と製鉄ダストとを撹拌混合機で予め混合し、さらに撹拌混合機で造粒を行う方法や微粉を主体とする焼結原料を撹拌機で撹拌後に造粒機を用いて造粒する方法が提案されている(特許文献2〜3)。しかしながら、これらの方法では造粒粒子が微粉原料主体であり、造粒粒子よりも強度が高い核粒子(鉄鉱石)を有する場合に比べ、造粒粒子の強度が減少するという課題があった。
さらに、微粉とシンターフィードを配合した焼結原料をアイリッヒミキサーで予め混合処理したのちドラムミキサーにて造粒する方法(特許文献4〜6)などの提案もある。しかしながら、これらの手法では、微粉割合が増加した際に、付着粉層が過剰となり、造粒粒子の燃焼性悪化が課題であった。また、核粒子の不足することにより造粒性が悪化し、造粒が不完全のまま焼成を行うといった問題もあった。
さらにまた、微粉を含みかつ結晶水を多く含む難造粒性鉱石を処理する報告(特許文献7〜9)が提案されている。しかしながら、これらの方法では、焼結中に、高結晶鉱石からの大量の水分の蒸発により、湿潤帯での圧損上昇を防ぐことが困難であった。また、造粒粒子の強度が低下しやすい微鉄鉱石を多く使用する際には、更に湿潤帯での圧損が上昇しやすいという課題もあった。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、難造粒性である微粉を多く含む鉄鉱石を使っても、高強度の造粒粒子を製造することが可能となり、高品質の焼結鉱を得ることができる焼結鉱の製造方法を提案することを目的とするものである。
本出願人らは、微鉄鉱石を用いた際の造粒粒子強度を向上させる方法、また、湿潤帯での圧損上昇を抑制するために結晶水の蒸発を低減する方法、および、低結晶水かつ微粉を多く含む鉱石を使用する際に効率的に造粒を行う方法を検討し、以下のような本発明を達成した。
即ち、本発明は、粒径1mm以上の核粒子を20mass%以上含み、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%含む鉄鉱石および凝結材および副原料から構成される焼結原料を、高速撹拌機を用いて撹拌した後に造粒し、その後に焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
なお、本発明に係る前記焼結鉱の製造方法においては、
(1)粒径0.125mm以下の微粉を25〜40mass%含む鉄鉱石を含む焼結原料を、撹拌し、造粒すること、
(2)結晶水は4mass%以下であること、
(3)高速撹拌機の撹拌羽根の周速を6m/s以上とすること、
(4)高速撹拌機で事前処理する際の水分は6mass%以下であること、
が、より好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
本発明によれば、核粒子を多く含ませることで、難造粒性である微粉を多く含む鉄鉱石を使った場合でも、高品質の焼結鉱を製造することができるとともに、焼結鉱生産率の改善が可能となる。
本発明の焼結鉱の製造方法を実施する設備列の一例を説明するための図である。 微粉割合を変えた際高速撹拌を行った場合と行わなかった場合との焼結生産率を比較するためのグラフである。 核粒子割合と焼結生産率との関係を示すグラフである。 高速撹拌機の撹拌羽根の周速と調和平均径との関係を示すグラフである。 撹拌時の水分と粒径4.75mm以上の割合との関係を示すグラフである。
図1は、本発明の焼結鉱の製造方法を実施する設備列の一例を説明するための図である。図1に従って本発明の焼結鉱の製造方法を説明すると、まず、粒径1mm以上の核粒子を20mass%以上含み、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%含む鉄鉱石、凝結材、副原料から構成される焼結原料11を準備する。焼結原料11は、上述した粒径1mm以上の核粒子を30mass%以上含み、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%含む鉄鉱石と、粉コークスなどの凝結材と、返鉱、珪石、石灰、生石灰などの副原料と、からなることが好ましい。
次に、準備した焼結原料11の事前処理を高速撹拌機12で実施する。高速撹拌機12の目的は、粗大な造粒粒子の生成を抑止するために、粗大な造粒粒子の種となる微粉の凝集体を造粒前に壊砕することにある。微粉の凝集体を効率的に壊砕するためには、ミクロ的には、凝集体自身に、せん断力を加えて、直接微粉を剥離させることが有効である。高速撹拌機12の一例としては、たとえば、アイリッヒミキサー、ペレガイアミキサー、プロシェアミキサーなどを用いることができる。このうちアイリッヒミキサーは、「高速撹拌造粒機」として知られ、液体架橋による粒子の凝集、成長に伴う造粒機能を併せもつ設備である。
次に、事前処理を高速撹拌機12で行われた焼結原料11を、ドラムミキサー13によって、水分添加の下で撹拌混合して造粒する。造粒後の焼結原料11は焼結機14に供給され、焼結機14において焼結鉱となる。そして、焼結鉱は、コークス、石灰石などとともに高炉原料として高炉15に供給されて銑鉄を製造する。
なお、図1に示した設備列では、ドラムミキサーによる造粒後、造粒粒子を直接焼結機に装入して焼成しているが、焼結機までの構成について以下のような設備列をとることもできる。すなわち、(1)撹拌機、ドラムミキサー、ドラムミキサー、と複数のドラムミキサーを配置する設備列、(2)撹拌機、ドラムミキサー、ペレタイザー、ドラムミキサーと複数のドラムミキサーの間にペレタイザーを配置する設備列、(3)本発明では、湿潤帯での圧損低減のため、低結晶水鉱石使用の開発を行ったが、さらに湿潤帯の形成を抑制するために、ドラムミキサーによる造粒後に乾燥プロセスを配置する設備列、などにも、本発明を好適に適用することができる。
上述した設備列により本発明の焼結鉱の製造を実施するが、本発明の焼結鉱の製造方法における特徴は、焼結原料として、粒径1mm以上の核粒子を20mass%以上含み、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%含む鉄鉱石を用いる点、および、造粒前の事前処理として高速撹拌機による撹拌を行う点、にある。
まず、本発明の焼結鉱の製造方法においては、粒径1mm以上の核粒子を20mass%以上と核粒子を鉄鉱石中に多く含ませることで、造粒の際にその核粒子が核となるため、核粒子が少ない場合に比べて造粒が促進される。微粉を多く含む造粒粒子は強度が低いため、強度を増加させるには、圧力に対する造粒粒子の破壊を抑制することが重要である。そのため、微粉の凝集体よりも強度が高い核粒子を有することで、造粒粒子中の破壊しやすい部分を低下させることが、粒子強度上昇に繋がる。
なお、ここで、粒径1mm以上の核粒子と限定する理由は、核粒子は1mm以上であることが一般的であるためである。また、核粒子を20mass%以上と限定する理由は、以下の実施例2の結果から、核粒子が20mass%未満であると、焼結生産率が悪くなるためである。さらに、30mass%以上とすることが好ましい。上限は特に設けないが、80mass%以下であると好ましい。
また、本発明の焼結鉱の製造方法においては、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%鉄鉱石中に含ませているが、微粉を多く含む原料は、水分の偏りにより、強度の低い微粉のみの造粒粒子が形成させやすくなる。高速撹拌機を用いることにより、これらの粒子は、破壊されることで、微粉の凝集が解砕され、原料が均一に分散される。そうすることにより、微粉の凝集がなくなり、付着粉層が小さくなるため、高強度の造粒粒子を製造することが可能となる。
なお、ここで、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%鉄鉱石中に含ませる理由は、10%未満では結合強度の弱い擬似粒子が出来ないためであり、また、50%超えでは同様に結合強度が弱い粗大な粒子が出来る問題があるが、実質的に125μm以下の微粉鉄鉱石を50mass%超えて配合することはなく上限を50%とした。粒径を125μm以下とした理由は、粒径125μm以下においては、水分を添加した粉体充填層における粒子層同士の接着性を表す付着力が増加するために造粒性が大きく異なる挙動を示したためである。
さらに、本発明の焼結鉱の製造方法において、高速撹拌機による解砕は、微粉の凝集を崩壊させるのに十分な力が必要であり、これまで提案されてきた撹拌羽根の周速よりも大きな力を与えることで、微粉の凝集の解砕が可能となる。また、微粉の凝集は、焼結原料の水分が、造粒水分に達している際にすでに、高くなっている。そのため、水分を添加する前の、低水分の状態で原料を撹拌することで、より微粉の凝集物の解砕効果が促進される。
さらにまた、本発明の焼結鉱の製造方法の好適例において、微粉鉱使用時に減産の原因となる湿潤帯を抑制するため、湿潤帯の原因となる結晶水が少ない鉱石を用いて焼結原料を造粒し、焼結鉱を製造する方法を提案するものである。この方法により、得られた造粒粒子は、前記したように、高結晶水鉱石を用いる場合に比べ、焼結機内で高温になった際の水分の発生が低減される。湿潤帯での水分が低減されると、湿潤帯の圧損が低下することにより、焼結中の焼結原料(焼結ベッド)での通気が改善される。その結果として、焼結鉱生産率の改善が可能となる。また、水分の蒸発を抑制することで、燃料である凝結材を低下できる効果もある。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明の高速撹拌後、造粒した造粒粒子の全量を焼結原料として使用することもでき、また、本発明の高速撹拌後、造粒した造粒粒子と高速撹拌せずに造粒した造粒粒子とを混合して焼結原料に適用することも本発明の権利範囲に含まれる。また、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
次に、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
本発明では、核粒子割合は粒子径1mm以上の粒子、微粉割合は鉄鉱石中の粒子径0.125mm以下の粒子、のそれぞれの重量割合として定義した。ここで、測定方法は、採取した鉄鉱石を乾燥させ、JIS Z 8801の網篩いを用いて篩い、各粒度の重量を測定し、鉄鉱石全体の重量から、各粒度の重量割合を算出した。また、焼結原料の水分は、焼結原料中の水の重量を、水分を含む焼結原料の重量で除した値であり、本発明では、乾燥した焼結原料および添加した水の重量から計算される値である。ここで、焼結原料は、上記核粒子および微粉を含む鉄鉱石および、凝結材、副原料含むものを用いた。しかしながら、一般に焼結原料は複数銘柄の粉鉄鉱石に、石灰石や珪石、蛇紋岩等の副原料粉と、ダスト、スケール、返鉱等の雑原料粉、生石灰などのバインダーと、粉コークス等の固体燃料としての凝結材とを適量ずつ配合するものである。
<実施例1:高速撹拌および微粉割合の影響について>
試験は、粒径1mm以上の核粒子が30mass%以上、結晶水が4mass%以下であり、微粉比率が10mass%(核粒子:42mass%、結晶水:4mass%)、25mass%(核粒子:40mass%、結晶水:3mass%)、40mass%(核粒子:36mass%、結晶水:3mass%)である鉄鉱石を用いた。ここで、試料の結晶水は、配合した鉄鉱石の各結晶水の重量割合から、加重平均によって求めた平均値である。本発明において、配合した鉄鉱石の結晶水は、この平均値の計算方法で求めたものである。この各鉱石の結晶水の測定はJIS M 8700に準拠して行った。これらの鉄鉱石69〜70mass%と返鉱16mass%と石灰石14mass%と珪石0〜1mass%を内掛けで配合し、凝結材である粉コークス5%を外掛けで添加した。そこに、焼結原料の水分が6mass%になるように水分を添加した。
これらの試料に対し、高速撹拌機による事前処理を用いた場合と用いない場合で試験を行った。高速撹拌機は、アイリッヒミキサーを用い、撹拌羽根の長さは直径:350mmであり、容器は直径750mmである。撹拌羽根の周速v(m/s)は、撹拌羽根の回転数N(rpm)および撹拌羽根の長さ350mmより、
ν=0.35×π×N/60
とした。本発明では、周速は6m/sで60秒撹拌を行った。
その後、これらの焼結原料に対して水分7mass%になるように水分を添加しつつ、ドラムミキサーを用いて、5分間造粒を行い、鍋試験機を用いて、焼成を行った。焼結後のシンターケーキを2mの高さから1回落とした際、粒径が+10mmであるものを成品とし、その重量を(シンターケーキ重量−床敷鉱重量)で除した値を歩留とした。焼結生産率(t/(m・h))は、成品重量を焼成時間および試験鍋の断面積で除した値とした。
測定結果を図2に示す。図2に示すように、通常の微粉割合である10mass%以上よりも微粉比率が増加すると、ドラムミキサーのみの場合、焼結生産率が減少することが分かった。一方で、高速撹拌による事前処理をした場合、微粉の増加に伴い焼結生産率は減少するものの、ドラムミキサーのみで造粒した場合に比べ、著しく減少が抑制されることが分かった。
<実施例2:核粒子割合の影響について>
結晶水が4mass%以下であり、粒径0.125mm以下の微粉比率が40mass%である鉄鉱石を用いて、核粒子の割合を変化させた試験を行った。核粒子の割合は13mass%(結晶水:2mass%)、25mass%(結晶水:2mass%)、32mass%(結晶水:2mass%)、43mass%(結晶水:4mass%)の範囲で実験を行った。これらの鉄鉱石69〜70mass%と返鉱16mass%と石灰石14mass%と珪石0〜1mass%を内掛けで配合し、凝結材である粉コークス5%を外掛けで添加した。そこに、焼結原料の水分が6mass%になるように水分を添加した。これらの試料を高速撹拌機により撹拌を行った。高速撹拌機は、撹拌羽根の長さは直径350mmであり、容器は直径750mmである。本発明では、周速は6m/sで60秒撹拌を行った。その後、これらの焼結原料に対して水分7mass%になるように水分を添加しつつ、ドラムミキサーを用いて、5分間造粒を行い、鍋試験機を用いて、焼成を行った。
測定結果を図3に示す。図3に示すように、核粒子を20mass%以上で焼結生産率は改善されるが、特に、30mass%以上用いた場合、焼結生産率は格段に改善されていることが分かった。これは、核粒子が入ることにより、造粒粒子強度が増加することおよび、核が焼結原料に多く混合されることで造粒が促進され、焼結中の通気が改善したためであると考えられる。
<実施例3:高速撹拌機の撹拌羽根の好適な周速について>
次に、結晶水が少なく、高微粉比率かつ核粒子割合が高い鉄鉱石を用いた焼結原料を高速撹拌で処理する際の好適な周速を検討した。試料の条件としては、結晶水が2mass%であり微粉比率が25mass%、核粒子の割合が30mass%の鉄鉱石を用いた。この鉄鉱石70mass%と返鉱16mass%と石灰石14mass%とを内掛けで配合し、凝結材である粉コークス5mass%を外掛けで添加した。そこに、焼結原料の水分が6mass%になるように水分を添加した。
この試料を高速撹拌機により60秒撹拌した。高速撹拌機は、撹拌羽根の長さは直径350mmであり、容器は直径750mmである。本発明では、周速は0〜12m/sで変化させた。その後、これらの焼結原料に対して水分7mass%になるように水分を添加しつつ、ドラムミキサーを用いて、5分間造粒を行った。本実施では、造粒後の粒子の調和平均径を評価した。調和平均径は、粉体層の通気を評価するために一般的に用いられる指標であり、調和平均径が大きいほど、造粒が進行していることを示し、通気が良くなる。
調和平均径は、撹拌処理後の粉体サンプルを1kg採取し、乾燥後、目開き0.25、0.5、1、2.8、4.75、8mmの篩いを用いて目開きの広い順で当該粉体サンプルを篩い、各粒度の重量割合を測定した。調和平均径は下記の(1)式で求めた。
Figure 2017150428
ここで、wは各粒経間で得られた重量割合であり、xは各粒径間の代表粒子径である。各粒径間の代表粒子径は、それぞれ大きいほうの目開きと小さいほうの目開きの相乗平均を用いて、0.25mm以下の粒子については0.125mm、8mm以上の粒子については8mmと、採取された粒子の中の最大の粒子径との相乗平均とした。
図4にドラムミキサーにより造粒した後の造粒子の調和平均径を示す。この結果、周速が6m/sになるまで、周速の増加に伴い、調和平均径が増加することが分かった。また周速が6m/s以上の場合、調和平均径は一定になった。周速の増加に伴い、調和平均径が増加した理由は、撹拌する際に、周速が低い場合には撹拌羽根による焼結原料中の水分の分散が不十分であり、水分が行き渡らず、造粒されない粒子が残存したためである。また、周速が十分大きい場合には、水分の分散が十分となり、造粒されない粒子が減少し、調和平均径が増加した。
<実施例4:撹拌前の水分量の影響について>
次に、結晶水が少なく、高微粉比率かつ核粒子割合が高い鉱石を用いた焼結原料を高速撹拌で処理する際の好適な撹拌前の水分について検討した。試料の条件としては、結晶水が2mass%であり微粉比率が25mass%、核粒子の割合が30mass%の鉄鉱石を用いた。この鉄鉱石70mass%と返鉱16mass%と石灰石14mass%とを内掛けで配合し、凝結材である粉コークス5mass%を外掛けで添加した。そこに、焼結原料の水分が0〜7mass%になるように水分を添加した。その後、これらの焼結原料に対して水分7mass%になるように水分を添加しつつ、ドラムミキサーを用いて、5分間造粒を行った。
本試験では、撹拌による微粉の凝集物の解砕がしやすくなる水分を検討するため、撹拌後の粒子のなかで、大きい粒子である4.75mm以上の粒子の割合で評価した。通常、造粒粒子は3〜5mmの粒子を製造するプロセスであり、造粒前に粒径4.75mm以上の粒子は、造粒後に粗大粒子が生成し、この粗大粒子は、焼成の際、燃焼性悪化の原因となる。そのため、撹拌後の粒子としては、粒径4.75mm以上の粒子を減少させることが望ましい。また、粒径4.75mm以上の粒子が減少することは、核粒子に付着する微粉が解砕されることを意味している。そのため微粉の分散が進み原料が均一に分散、混合される指標となる。
図5に撹拌時の水分と撹拌後の粒径4.75mm以上の粒子の割合を示す。この結果、水分が減少させることで、撹拌後の粒径4.75mm以上の粒子の割合を低下できることが分かった。特に水分が6mass%以下の場合、粒径4.75mm以上の粒子割合が一定となっていることが分かった。これは、水分が低下することで、焼結原料中の微粉の凝集物の水分も低減されたためである。微粉の凝集物の水分が減少することで、凝集に必要な粒子同士の付着力が低下して、撹拌羽根による凝集物の解砕が進行した。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の微粉原料の混練方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
本発明の焼結鉱の製造方法によれば、核粒子を多く含ませることで、難造粒性である微粉を多く含む鉄鉱石を使った場合でも、高品質の焼結鉱を製造することができるとともに、焼結鉱生産率の改善が可能となり、種々の焼結鉱の製造方法に本発明を好適に用いることができる。
11 焼結原料
12 高速撹拌機
13 ドラムミキサー
14 焼結機
15 高炉

Claims (5)

  1. 粒径1mm以上の核粒子を20mass%以上含み、粒径0.125mm以下の微粉を10〜50mass%含む鉄鉱石および凝結材および副原料から構成される焼結原料を、高速撹拌機を用いて撹拌した後に造粒し、その後に焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 粒径0.125mm以下の微粉を25〜40mass%含む鉄鉱石を含む焼結原料を、撹拌し、造粒することを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 鉄鉱石の結晶水は4mass%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結鉱の製造法。
  4. 高速撹拌機の撹拌羽根の周速を6m/s以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 高速撹拌機で事前処理する際の水分は6mass%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
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