JPWO2017131193A1 - パネル状成形品、車両用ドア、及び、パネル状成形品の製造方法 - Google Patents

パネル状成形品、車両用ドア、及び、パネル状成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

衝突特性に優れたパネル状成形品を提供する。パネル状成形品(1)は、多角形状の天板部(2)と、複数の縦壁部(5)と、フランジ部(7)とを備える。縦壁部(5)は、天板部(2)の外縁の辺のうちの少なくとも2以上の各辺から延びる。フランジ部(7)は、縦壁部(5)の下端とつながり、天板部(2)の延在方向に延びる。天板部(2)の縁部(3)は、天板部(2)の外縁のうち縦壁部(5)とつながる辺を含む。凹部(4)は、縁部(3)の内側に配置され、縁部(3)から凹んでいる。互いに隣り合う少なくとも一組の縦壁部(5)の各々は、第1縦壁部(5A)と、段差部(6)と、第2縦壁部(5B)を含む。段差部(5)は、第1縦壁部(5A)の下端とつながり、天板部(2)の延在方向に延びる。第2縦壁部(5B)は、段差部(6)の外縁とつながり、第1縦壁部(5A)の延在方向に延びる。フランジ部(7)は第2縦壁部(5B)の下端とつながる。

Description

本発明は、パネル状成形品、車両用ドア、及び、パネル状成形品の製造方法に関する。さらに詳しくは、自動車等の車両用ドアインナーパネルに適したパネル状成形品、自動車等の車両に適用可能な車両用ドア、及び、パネル状成形品の製造方法に関する。
自動車等の車両用ドアは、主にドアインナーパネルとドアアウターパネルとを組み合わせて製造される。上記車両用ドアには、ウインドウ、ウインドウ駆動装置、音響スピーカ、取手等の種々の部品が取り付けられる。これらの部品を収納するため、ドアインナーパネルとドアアウターパネルとの間には空間が必要である。そのため、例えば、ドアインナーパネルには縦壁部が設けられ、縦壁部により、上記空間が形成される。また、自動車のドアが閉じられたとき、ドアによって車内が密閉される必要がある。そのため、例えば、ドアインナーパネルの縦壁部に段差部が設けられる。段差部が車体のピラー等と対向することにより、車内の密閉性が確保される。
上記ドアインナーパネルは、鋼板をプレス加工して成形される。一般に、ドアインナーパネルの形状は複雑であるため、プレス加工により、鋼板を大きく変形させる。そのため、成形されたドアインナーパネルに割れ、シワ等が発生する場合がある。割れ及びシワ等の発生を抑制するため、通常、ドアインナーパネルの素材には、加工性の高い軟鋼板が用いられる。
しかしながら、軟鋼板の強度は低い。そのため、軟鋼板で成形されたドアインナーパネルの強度は低い。したがって、ドアインナーパネルには補強部材(例:ベルトラインリインフォースメント、ドアインパクトビーム等)が取り付けられることが多い。
ドアインナーパネルは例えば、特開2007−296953号公報(特許文献1)、特開2008−94353号公報(特許文献2)及び特開2013−112133号公報(特許文献3)に開示されている。
特許文献1に開示されたドアインナーパネルは、ベルトラインリインフォースメントを備える。ベルトラインリインフォースメントは、ドアインナーパネルのベルトライン部における車両前後方向に沿って接合される。これにより、ベルトラインリインフォースメントが車両前後方向の衝突荷重を負担し、ベルトライン部に作用する曲げモーメントを効果的に低減できる、と特許文献1には記載されている。
特許文献2に開示されたドアインナーパネルでは、車両の側面から衝突荷重が負荷されたとき、ドアインナーパネルとベルトラインリインフォースメントとが接触し、ドアインナーパネルの荷重吸収部が変形する。これにより、荷重吸収部はドアインナーパネルの厚さ方向に負荷される荷重の一部を吸収するため、ドアインナーパネルの剛性が確保される、と特許文献2には記載されている。
特許文献3に開示されたサイドドアでは、ホットスタンピングにより成形されたベルトラインリインフォースメントの後端部及び前端部が、本体部よりも低強度及び低剛性である。これにより、車体の前面から衝突荷重が負荷されたとき、ベルトラインリインフォースメントの後端部が塑性変形し、センターピラーとの接触面積が増加する。そのため、ベルトラインリインフォースメントの後端部の変形は、衝突のエネルギを吸収することができる、と特許文献3には記載されている。
特開2007−296953号公報 特開2008−94353号公報 特開2013−112133号公報
しかしながら、特許文献1、2及び3のドアインナーパネルには、衝突特性を確保するためベルトラインリインフォースメント等の別個の補強部材が不可欠である。そのため、特許文献1、2及び3のドアインナーパネルから製造されるドアは、生産効率が低く、コストも高い。
本発明の目的は、衝突特性に優れたパネル状成形品、そのパネル状成形品を含む車両用ドア、及び、パネル状成形品の製造方法を提供することである。
本実施形態によるパネル状成形品の素材は金属板である。パネル状成形品は、多角形状の天板部と、複数の縦壁部と、フランジ部とを備える。縦壁部は、天板部の外縁の辺のうちの少なくとも2以上の各辺から延びる。フランジ部は、縦壁部の下端とつながり、天板部の延在方向に延びる。天板部は、縁部と、凹部とを含む。縁部は、天板部の外縁のうち縦壁部とつながる辺を含む。凹部は、縁部の内側に配置され、縁部から凹んでいる。複数の縦壁部のうち、互いに隣り合う少なくとも一組の縦壁部の各々は、第1縦壁部と、段差部と、第2縦壁部を含む。段差部は、第1縦壁部の下端とつながり、天板部の延在方向に延びる。第2縦壁部は、段差部の外縁とつながり、第1縦壁部の延在方向に延びる。フランジ部は、第2縦壁部の下端とつながる。
車両用ドアは、上記パネル状成形品と、ドアアウターパネルと、ウインドウ部材と、を備える。ドアアウターパネルは、パネル状成形品の車両外側に配置され、パネル状成形品と接合される。このとき、ドアアウターパネルは、パネル状成形品のフランジ部と接合され、パネル状成形部の凹部は、ドアアウターパネル側に凹んでいる。ウインドウ部材は、パネル状成形品の凹部に収容可能であり、パネル状成形品の車両内側に配置される。
本実施形態によるパネル状成形品の製造方法は、鋼板を素材とするパネル状成形品の製造方法である。パネル状成形品は、上記構成を備える。本製造方法は、鋼板からなるブランク材を準備する準備工程と、ブランク材にプレス加工を施すことにより、天板部を成形するとともに、第1縦壁部及び段差部の高さまで成形して、中間成形品を製造する中間プレス加工工程と、最終プレス加工装置を用いて、中間成形品にプレス加工を施してパネル状成形品を製造する最終プレス加工工程とを備える。最終プレス加工装置は、パネル状成形品のうち天板部から段差部の外縁までの形状に対応する端面形状を含む中央ダイと、中央ダイの外側であって中央ダイの隣に配置されるブランクホルダと、中央ダイに対向し、パネル状成形品のうち天板部から段差部までの形状に対応する端面形状を含む中央パンチと、中央パンチの外側であって中央パンチの隣に配置され、ブランクホルダに対向する外側パンチとを備える。最終プレス加工工程では、中央ダイ上に中間成形品を配置して、中央パンチ及び中央ダイにより中間成形品を挟み、さらに、外側パンチ及びブランクホルダにより中間成形品を挟む前工程と、中間成形品を挟んだままの中央パンチ及び中央ダイに対して、中間成形品を挟んだままの外側パンチ及びブランクホルダを相対的に移動して、第2縦壁部及びフランジ部を成形してパネル状成形品を成形する後工程とを含む。
本発明によるパネル状成形品は、衝突特性に優れる。また、本発明によるパネル状成形品の製造方法は、衝突特性に優れたパネル状成形品を製造できる。
図1は、本実施形態のパネル状成形品の斜視図である。 図2は、車両用ドアの車両上下方向に垂直な断面図である。 図3は、図1に示すパネル状成形品がドアインナーパネルとして適用された車両用ドアの車両上下方向に垂直な断面図である。 図4は、図1とは異なるパネル状成形品の斜視図である。 図5は、パネル状成形品の中間品である中間成形品の断面図である。 図6Aは、中間プレス加工工程の一工程を示す模式図である。 図6Bは、図6Aに続く工程を示す模式図である。 図6Cは、図6Bに続く工程を示す模式図である。 図7Aは、図6A〜図6Cと異なる中間プレス加工工程の第1中間プレス加工工程の一工程を示す模式図である。 図7Bは、図7Aに続く工程を示す模式図である。 図7Cは、図7Bに続く工程を示す模式図である。 図8Aは、図7A〜図7Cの工程後に実施される第2中間プレス加工工程における一工程を示す模式図である。 図8Bは、図8Aに続く工程を示す模式図である。 図8Cは、図8Bに続く工程を示す模式図である。 図9は、中間プレス加工工程後に実施される加熱工程を示す模式図である。 図10Aは、最終プレス加工工程で使用する最終プレス加工装置の模式図である。 図10Bは、図9の加熱工程後に実施される最終プレス加工工程の一工程を示す模式図である。 図10Cは、図10Bに続く工程を示す模式図である。 図10Dは、図10Cに続く工程を示す模式図である。 図10Eは、図10Dに続く工程を示す模式図である。 図11は、プレス工程中のシワ等の発生について説明するための模式図である。
本実施形態によるパネル状成形品の素材は金属板である。パネル状成形品は、多角形状の天板部と、複数の縦壁部と、フランジ部とを備える。縦壁部は、天板部の外縁の辺のうちの少なくとも2以上の各辺から延びる。フランジ部は、縦壁部の下端とつながり、天板部の延在方向に延びる。天板部は、縁部と、凹部とを含む。縁部は、天板部の外縁のうち縦壁部とつながる辺を含む。凹部は、縁部の内側に配置され、縁部から凹んでいる。複数の縦壁部のうち、互いに隣り合う少なくとも一組の縦壁部の各々は、第1縦壁部と、段差部と、第2縦壁部を含む。段差部は、第1縦壁部の下端とつながり、天板部の延在方向に延びる。第2縦壁部は、段差部の外縁とつながり、第1縦壁部の延在方向に延びる。フランジ部は、第2縦壁部の下端とつながる。
このように、本実施形態のパネル状成形品は、天板部に凹部を備える。そのため、パネル状成形品の衝突特性が高まる。たとえば、パネル状成形品をアウターパネル等と組み合せた場合、組み合せた製品の衝突特性が向上する。具体的には、アウターパネル等が衝突荷重により変形すると、変形したアウターパネル等がパネル状成形品の天板部の凹部に当たる。これにより、凹部が衝突エネルギを吸収する。このように、本実施形態のパネル状成形品の衝突特性が高いため、このパネル状成形品が搭載された製品の衝突特性も高まる。
上述のパネル状成形品は、冷間プレス加工で成形されてもよいし、温間プレス加工で成形されてもよいし、熱間プレス加工で成形されてもよい。また、パネル状成形品のうち、天板部から段差部までの高さまでプレス成形された中間成形品に対して、ホットスタンピングを実施して、パネル状成形品を製造してもよい。
上記パネル状成形品において、縁部の幅W(mm)は、天板部の最大幅L(mm)との関係で、式(1)を満たしてもよい。
10<W<0.2×L (1)
パネル状成形品の縁部の幅Wが式(1)を満たせば、凹部の領域が十分に確保される。すなわち、凹部によって吸収できる衝突エネルギが大きい。したがって、パネル状成形品の衝突特性がさらに向上する。
上記パネル状成形品において、上記縁部から凹部の底面までの高さは、縁部から段差部までの高さよりも大きくてもよい。
この場合、パネル状成形品をアウターパネル等と組み合せて車両用ドアを構成した場合、パネル状成形品の凹部とアウターパネルとの間の距離が短くなる。つまり、パネル状成形品の凹部がアウターパネルの近くに配置される。そのため、パネル状成形品の凹部が、衝突時の早い段階でアウターパネル等に当たる。したがって、車両用ドア等の衝突特性がさらに向上する。
パネル状成形品の素材である金属板は鋼板であってもよい。この場合、鋼板の引張強度は340MPa以上であり、好ましくは、600MPa以上であり、さらに好ましくは1200MPa以上である。
この場合、パネル状成形品の板厚を薄くすることができ、かつ、上記凹部が、ベルトラインリインフォースメント、ドアインパクトビーム等の補強部材を代替できる。したがって、パネル状成形品のさらなる軽量化が可能になる。
上記天板部の凹部はさらに、凹部の底面に、底面から凹んだ線状の陥没部、及び、底面から突出する線状の隆起部のうちの少なくとも一方を含んでもよい。具体的には、天板部の凹部は、陥没部を含み、隆起部を含まなくてもよい。天板部の凹部は、陥没部を含まず、隆起部を含んでもよい。天板部の凹部は、陥没部及び隆起部を含んでもよい。上記「線状」とは、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。波状であってもよい。線状の陥没部及び/又は線状の隆起部が複数含まれる場合、複数の陥没部及び/又は隆起部の延在方向は、交差してもよい。
上記パネル状成形品の素材である金属板は、テーラードブランクであってもよい。この場合、必要な箇所に限定して強度を強化することができ、板厚を減少することもできる。
上記パネル状成形品は、自動車等の車両用のドアインナーパネルであってもよい。この場合、パネル状成形品は、上記天板部の外縁の複数の辺のうち、自動車の車両上側に対応する辺に縁部及び縦壁部を有さなくてもよい。
上記パネル状成形品を自動車等の車両用ドアのドアインナーパネルとして適用する場合、車両用ドアは、上記のパネル状成形品と、ドアアウターパネルと、ウインドウ部材と、を備える。ドアアウターパネルは、パネル状成形品の車両外側に配置され、パネル状成形品と接合される。このとき、ドアアウターパネルは、パネル状成形品のフランジ部と接合され、パネル状成形部の凹部は、ドアアウターパネル側に凹んでいる。ウインドウ部材は、パネル状成形品の凹部に収容可能であり、パネル状成形品の車両内側に配置される。
この場合、車両用ドアのアウターパネルに衝突荷重が負荷されたとき、衝突の早い段階でパネル状成形品の凹部がドアアウターパネル等に当たる。したがって、車両用ドアの衝突特性が向上する。
ここで、ウインドウ部材とは、透過性を有する部材であって、たとえば、ウインドウガラスである。ウインドウ部材はたとえば、透過性を有する樹脂で構成されてもよい。
本実施形態によるパネル状成形品の製造方法は、鋼板を素材とするパネル状成形品の製造方法である。パネル状成形品は、上記構成を備える。本製造方法は、準備工程と、中間プレス加工工程と、最終プレス加工工程とを備える。準備工程では、鋼板からなるブランク材を準備する。中間プレス加工工程では、ブランク材にプレス加工を施すことにより、天板部を成形するとともに、第1縦壁部及び段差部の高さまで成形して、中間成形品を製造する。
最終プレス加工工程では、最終プレス加工装置を用いて、中間成形品にプレス加工を施してパネル状成形品を製造する。
最終プレス加工装置は、中央ダイと、ブランクホルダと、中央パンチと、外側パンチとを備える。
中央ダイは、パネル状成形品のうち天板部から段差部の外縁までの形状に対応する端面形状を含む。
ブランクホルダは、中央ダイの外側であって中央ダイの隣に配置される。
中央パンチは、中央ダイに対向し、パネル状成形品のうち天板部から段差部の外縁までの形状に対応する端面形状を含む。
外側パンチは、中央パンチの外側であって中央パンチの隣に配置され、ブランクホルダに対向する。
最終プレス加工工程は、前工程と、後工程とを含む。
前工程では、中央ダイ上に中間成形品を配置して、中央パンチ及び中央ダイにより中間成形品を挟み、さらに、外側パンチ及びブランクホルダにより中間成形品を挟む。
後工程では、中間成形品を挟んだままの中央パンチ及び中央ダイに対して、中間成形品を挟んだままの外側パンチ及びブランクホルダを相対的に移動して、第2縦壁部及びフランジ部を成形してパネル状成形品を成形する。
本実施形態のパネル状成形品の製造方法は、中間プレス加工工程及び最終プレス加工工程の2段階のプレス加工により、パネル状成形品を成形する。この場合、成形難易度が高い形状のパネル状成形品であっても、プレス加工中におけるシワや割れの発生を抑制して、パネル状成形品を製造できる。ここでいう成形難易度が高い形状とは、上述したように、パネル状成形品において、互いに隣り合う複数の縦壁部に、段差部が形成されている形状等である。
上記製造方法はさらに、最終プレス加工工程前に、中間成形品を加熱する加熱工程を備えてもよい。この場合、最終プレス加工工程は、加熱された中間成形品にプレス加工を施しつつ焼入れを実施して、パネル状成形品を製造する。
この場合、最終プレス加工工程の前工程は、第1工程及び第2工程を含む。
第1工程では、中央ダイ上に加熱された中間成形品を配置して、中央パンチ及び中央ダイにより中間成形品を挟み、さらに、外側パンチを中間成形品に接触させる。
第2工程では、外側パンチを中間成形品に接触させた後、中央パンチ及び中央ダイにより中間成形品を挟んだまま、さらに、ブランクホルダを中間成形品に接触させて外側パンチ及びブランクホルダにより中間成形品を挟む。
この場合、第1工程において、外側パンチが中間成形品に接触するまで、ブランクホルダが中間成形品に接触しない。そして、外側パンチが中間成形品に接触した後、第2工程において、ブランクホルダは中間成形品と接触する。そのため、プレス開始前に中間成形品がブランクホルダと接触することにより中間成形品の温度が低下するのを抑制できる。その結果、中間成形品の加工性を維持したまま、最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施できる。
上記第1工程では、ブランクホルダの端面の高さが中央ダイの端面のうちパネル状成形品の段差部に対応する段差面部の高さよりも低くなるように、ブランクホルダを配置してもよい。
上記の製造方法において、鋼板はテーラードブランクであってもよい。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態によるパネル状成形品、車両用ドア、及び、パネル状成形品の製造方法を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
なお、本実施形態では一例として、パネル状成形品が自動車のサイドドア用のドアインナーパネルの場合について説明する。しかしながら、パネル状成形品は、自動車のサイドドア用のドアインナーパネルに限定されない。パネル状成形品はたとえば、リアドア等のサイドドア以外のドアのドアインナーパネルであってもよい。また、パネル状成形品はドアインナーパネルに限定されない。パネル状成形品は、衝突特性が要求される部材に適用できる。
図1を参照して、ドアインナーパネルであるパネル状成形品1は、天板部2、複数の縦壁部5、及び、フランジ部7を備える。本明細書において、パネル状成形品1のうち、フランジ部7から天板部2に向かう方向を上方向(図1中の矢印U)、天板部2からフランジ部7に向かう方向を下方向(図1中の矢印D)と定義する。さらに、ドアインナーパネルであるパネル状成形品1が自動車等の車両用のドアに組み込まれた場合の、車両の上方向VU及び下方向VDを図1に示す。
図1を参照して、パネル状成形品1の素材は金属板である。パネル状成形品1は例えば、金属板をプレス加工して成形される。
図1において、パネル状成形品1の素材である金属板の板厚は略一定である。したがって、パネル状成形品1の板厚は全域にわたり略一定である。ただし、プレス加工による成形により、パネル状成形品1の板厚が多少変動してもよい。パネル状成形品1の板厚はたとえば、0.3〜2.3mmである。
パネル状成形品1の天板部2は多角形状である。天板部2の形状は、例えば、四角形状でもよいし、五角形状でもよい。5角形以上の多角形状であってもよい。本明細書にいう「多角形状」は、多角形の角部(頂点)が丸み(例えばR形状)を有していてもよい。図1では、例として、天板部2が五角形状である場合を示す。
天板部2は、縁部3と、凹部4とを含む。縁部3は、天板部2の外縁OEに沿って、外縁OEの少なくとも一部に配置される。縁部3は、天板部2の外縁OEの複数の辺のうち、縦壁部5とつながる辺を含む。図1では、縁部3は、外縁OEを構成する複数の辺2A〜2Eのうち、縦壁部5とつながる辺2A〜2Dを含む。一方、外縁OEのうち、車両上側(矢印VU側)に相当する辺2Eには、縁部3及び縦壁部5が形成されていない。辺2Eはいわゆるベルトラインを形成している。
凹部4は、天板部2において、縁部3の内側に配置され、縁部3から凹んでいる。凹部4は、底面部4Aと側面部4Bとを含む。凹部4は、パネル状成形品1の上下方向(主として図1中の矢印U方向)からの外力(衝撃)に対する衝撃特性を高める。この点については後述する。図1に示す天板部2は貫通孔等の開口部を有していない。しかしながら、天板部2は貫通孔等の開口部を有していてもよい。天板部2が開口部を有する場合、その開口部は、他の部材をはめ込むためのものであってもよいし、パネル状成形品1の軽量化を目的としたものであってもよい。
複数の縦壁部5は、天板部2の外縁OEの複数の辺のうちの少なくとも2以上の辺から延びている。縦壁部5は、天板部2の延在方向と交差する方向に延びている。図1では、縦壁部5は、天板部2の延在方向と直交して、パネル状成形品1の下方(矢印D方向)に延びている。換言すれば、縦壁部5は、天板部2に対して垂直に延びている。しかしながら、縦壁部5は、天板部2の延在方向に対して直交していなくてよいし、天板部2に対して垂直に延びていなくてよい。
各縦壁部5の上端は、対応する各辺2A〜2Dとつながっている。図1では、複数の縦壁部5が辺2A〜2Dから下方Dに延びている。しかしながら、複数の縦壁部5は、天板部2の外縁OEの複数の辺のうち少なくとも隣り合う2つの辺から延びていれば足りる。
上述のとおり、ドアインナーパネルとしてのパネル状成形品1は、天板部2の外縁の辺2Eには縁部3及び縦壁部5を有さない。パネル状成形品1がドアインナーパネルとしてサイドドアに組み込まれた場合、辺2Eはウインドウ部材の出入口側となるためである。
複数の縦壁部5のうち、互いに隣り合う少なくとも一組の縦壁部5の各々は、第1縦壁部5Aと、段差部6と、第2縦壁部5Bとを含む。つまり、段差部6を含む縦壁部5は階段状である。
第1縦壁部5A及び第2縦壁部5Bは、天板部2の延在方向に交差して延びる。第1縦壁部5A及び第2縦壁部5Bは互いに平行であってもよいし、平行でなくてもよい。第1縦壁部5Aは、天板部2の延在方向に対して直交していてもよいし、直交していなくてもよい。第2縦壁部5Bは、天板部2の延在方向に対して直交していてもよいし、直交していなくてもよい。
段差部6は、天板部2の延在方向に延びる。段差部6の内縁6Aは、第1縦壁部5Aの下端とつながる。段差部6の外縁6Bは、第2縦壁部5Bの上端とつながる。図1に示す段差部6は、略平坦な表面を有する。段差部6の表面は厳密な平坦ではなく、多少の凹凸を有していてもよい。段差部6の延在方向は、天板部2の延在方向と平行であってもよいし、平行でなくてもよい。好ましくは、段差部6の表面に存在する凹凸の曲率は0.01未満である。
フランジ部7は、複数の縦壁部5のうち、複数の第2縦壁部5Bの下端につながる。フランジ部7は、天板部2の延在方向に延びている。フランジ部7の延在方向は、天板部2の延在方向と平行であってもよいし、平行でなくてもよい。
図1では、連続して配置される4つの縦壁部5が階段状であり、段差部6を含む。つまり、図1では、互いに隣り合う2つの縦壁部5の組が3つ(辺2Aとつながる縦壁部5及び辺2Bとつながる縦壁部5の組、辺2Bとつながる縦壁部5及び辺2Cとつながる縦壁部5の組、辺2Cとつながる縦壁部5及び辺2Dとつながる縦壁部5の組)であり、その3組が共に段差部6を含む。しかしながら、段差部6を含む階段状の縦壁部5の組数は3組に限定されない。パネル状成形品1は、隣接する縦壁部5の複数の組のうちの少なくとも1組(つまり、隣り合う2つの縦壁部5)が段差部6を含んでいればよい。
また、図1では、階段状の縦壁部5が1段の段差部6のみを含む。しかしながら、段差部6の数は1段に限定されず、階段状の縦壁部5が複数の段差部6を含んでいてもよい。つまり、縦壁部5が複数段の階段状であってもよい。この場合、第2縦壁部5Bの下端はフランジ部7の内縁とつながっており、第2縦壁部5Bの上端が最下段となる段差部6の外縁とつながる。また、最下段の段差部6の内縁が、第1縦壁部5Aの下端とつながる。そして、第1縦壁部5Aの上方に、最下段以外の他の階段状の構成(少なくとも1以上の他の段差部及び他の縦壁部)が形成される。
本実施形態のパネル状成形品1の天板部2は、上述のとおり、縁部3の内側に、縁部3から凹んだ凹部4を含む。凹部4により、パネル状成形品1は、優れた衝突特性を有する。以下、この点について説明する。
図2は、一般的な自動車用サイドドアの車両上下方向に垂直な断面図である。サイドドアは、ドアアウターパネルA及びドアインナーパネル100を組み合わせて製造される。空間SPは、ドアアウターパネルAとドアインナーパネル100との間に形成される空間である。空間SPには、音響スピーカ、ウインドウ、ウインドウ駆動装置等が収納される。
自動車が側面衝突した場合、ドアアウターパネルAに荷重P(図2中の白抜き矢印)が負荷される。このとき、荷重PによってドアアウターパネルAが変形するとともに、ドアインナーパネル100の縦壁部500が変形する。この変形により、ドアインナーパネル100の縦壁部500は荷重Pによる衝突エネルギを吸収する。したがって、サイドドアの衝突特性を向上するためには、ドアインナーパネルの衝突特性を向上させる必要がある。
しかしながら、従来のドアインナーパネル100の素材は強度の低い軟鋼板である。上述したように、ドアインナーパネルの形状は複雑であるため、素材の鋼板の強度が高ければ、プレス加工が困難となるからである。軟鋼板は例えば、引張強度が330MPa以下の鋼板である。したがって、軟鋼板からなる従来の車両用のサイドドアでは、通常、図2に示すとおり、ドアインナーパネル100とは別個の補強部材101が、ドアアウターパネルAとドアインナーパネル100との間に配置され、サイドドアの衝突特性を高める。補強部材101は例えば、ベルトラインリインフォースメント、ドアインパクトビーム等である。
図2を参照して、補強部材101を備えたサイドドアでは、荷重PによってドアアウターパネルAが車両内側に変形したとき、変形したドアアウターパネルAはまず、補強部材101に当たる。そのため、衝突エネルギは、ドアインナーパネル100だけでなく補強部材101にも吸収される。その結果、サイドドアの衝突特性が向上する。
これに対して、本実施形態のパネル状成形品1をドアインナーパネルとして車両用ドアに搭載した場合、補強部材101を用いなくても、車両用ドアの衝突特性を高めることができる。図3は、本実施形態のパネル状成形品1が適用された車両用ドアの車両上下方向に垂直な断面図である。本例では、車両用ドアは車両側面に取り付けられるサイドドアである。
図3を参照して、車両用ドアは、ドアインナーパネルとして搭載されるパネル状成形品1と、ドアアウターパネルAと、ウインドウ部材8と、を備える。ウインドウ部材8は透過性を有する部材であり、たとえば、ウインドウガラスである。ウインドウ部材8はたとえば、透過性を有する樹脂で構成されてもよい。
ドアアウターパネルAは、パネル状成形品1よりも車両外側に配置される。パネル状成形品1は、ドアアウターパネルAよりも車両内側に配置される。パネル状成形品1は、ドアアウターパネルAと接合される。具体的には、パネル状成形品1のフランジ部7が、ドアアウターパネルAと接合される。このとき、パネル状成形品1の凹部4は、ドアアウターパネルA側に凹んでいる。ウインドウ部材8の少なくとも一部は、凹部4内に収納可能に配置される。
上述のとおり、本実施形態のパネル状成形品1では、縁部3よりも凹んだ凹部4が天板部2に形成されている。そのため、パネル状成形品1をドアアウターパネルAと接合した場合、図3に示すとおり、凹部4の底面部4Aが、ドアアウターパネルA近傍に配置される。したがって、衝突によりドアアウターパネルAが車両内側に変形したとき、ドアアウターパネルAは凹部4に当たる。この場合、衝突エネルギは、パネル状成形品1の縦壁部5だけでなく凹部4にも吸収される。そのため、パネル状成形品1が変形しにくく、パネル状成形品1及びサイドドアの衝突特性が向上する。
以上のとおり、本実施形態のパネル状成形品1の凹部4は、図2の補強部材101を代替できる。したがって、本実施形態のパネル状成形品1が適用されたサイドドアは、補強部材101を備えなくても、衝突特性に優れる。
図1のパネル状成形品1の素材は鋼板である。しかしながら、パネル状成形品1の素材は鋼板に限定されず、金属板であればよい。金属板は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、複層鋼板、チタン、マグネシウム等である。
パネル状成形品の形状は上述のとおり複雑である。そのため、パネル状成形品1の素材が鋼板である場合、従前のプレス加工法によりパネル状成形品1を製造すれば、シワ等の欠陥が生じ得る。しかしながら、後述の製造方法を適用すれば、パネル状成形品1を、シワ等の欠陥を抑制しつつ、製造することができる。さらに、後述のホットスタンピング工程を実施すれば、鋼板を素材とするパネル状成形品1の引張強度を600MPa以上とすることができ、好ましくは、1200MPa以上とすることができる。そのため、凹部4が補強部材101を十分に代替できる。なお、後述の最終プレス加工工程を冷間プレスで実施した場合、鋼板からなるパネル状成形品1の引張強度はたとえば、340MPa以上である。
本実施形態のパネル状成形品の素材が鋼板である場合、好ましくは、そのミクロ組織はマルテンサイトを含有する。さらに好ましくは、鋼板のミクロ組織はマルテンサイトを主体とし、引張強度は上述のとおり、好ましくは600MPa以上であり、さらに好ましくは、1200MPa以上である。鋼板の好ましいビッカース硬さは好ましくはHV180以上であり、さらに好ましくは、HV380以上である。引張強度はJIS Z 2241(2011)に準拠して測定され、ビッカース硬さはJIS Z 2244(2009)に準拠して測定される。
ここで、「マルテンサイトを主体とする」、とは、たとえば、ミクロ組織中のマルテンサイトの面積率が70%以上であることを意味する。好ましいマルテンサイトの面積率は80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上であり、最も好ましくは100%である。ミクロ組織中のマルテンサイトは、焼戻しマルテンサイトであってもよい。周知の方法でミクロ組織中のマルテンサイトの面積率と焼戻し条件(焼戻し温度)とを適宜調整することにより、パネル状成形品の引張強度を600MPa以上にすることができる。
パネル状成形品1の素材が鋼板である場合、その鋼板の化学組成はたとえば、質量%で、C:0.11〜0.50%、Si:0.15〜0.25%、Mn:0.08〜1.50%、B:0〜0.0030、及びCr:0〜0.25%を含有する。上記鋼板の化学組成はたとえば、質量%で、C:0.11〜0.50%、Si:0.15〜0.25%、及び、Mn:0.08〜1.50%、B:0〜0.0030、及びCr:0〜0.25%を含有し、残部はFe及び不純物からなっていてもよい。上記鋼板はまた、B:0.0020〜0.0030%、及び、Cr:0.15〜0.25%からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
上述のとおり、パネル状成形品の素材の鋼板のミクロ組織は、マルテンサイトを含有する。このミクロ組織は、後述のホットスタンピングにより得られる。パネル状成形品の素材の鋼板は、マルテンサイトを含有するミクロ組織を有すれば、上記化学組成に限定されない。
パネル状成形品1がドアインナーパネルである場合、各部位の典型的な寸法の一例は次のとおりである。
・全長(フランジ部7を含む):800〜1300mm
・全幅(フランジ部7を含む):600〜800mm
・天板部2の全長 :700〜1200mm
・天板部2の全幅 :500〜700mm
・第1縦壁部5Aの高さ :30〜100mm
・第2縦壁部5Bの高さ :30〜100mm
・段差部の最小幅 :20〜40mm
・素材鋼板の板厚 :0.3〜2.3mm(好ましくは0.5〜1.8mm)
好ましくは、パネル状成形品1の縁部3の幅W(単位はmm、図1参照)は、天板部2の最大幅L(mm)との関係で、式(1)を満たすのが好ましい。天板部2の最大幅Lは、天板部2(縁部3及び凹部4を含む)を平面視(図1において、天板部2を矢印D方向に見た場合)における、天板部2の外縁OE上の任意の2点を結ぶ距離のうち、最大の距離を意味する。
10<W<0.2×L (1)
パネル状成形品1が自動車のサイドドアのドアインナーパネルである場合、天板部2の最大幅Lは、天板部2の車両前後方向の幅である。
縁部3の幅Wが10mmよりも大きければ、縁部3の幅Wが十分に確保できる。そのため、縁部3を含めた縦壁部5の強度が高く、衝突荷重が負荷されたときに縦壁部5が倒れにくくなる。さらに、縁部3の幅Wが0.2×L以下であれば、凹部4の大きさを十分に確保できる。この場合、凹部4が衝突エネルギを十分に吸収でき、補強部材101の役割を十分に果たすことができる。縁部3の幅Wは、式(1)を満たす範囲で、小さい方がさらに好ましい。また、縁部3の幅Wは全域にわたり一定であるのがさらに好ましい。天板部2の凹部4の領域を確保できるからである。
図3を参照して、縁部3と凹部4の底面部4Aとの間の距離H(つまり、側面部4Bの高さに相当。以下、凹部4の高さともいう)は、縁部3と段差部6との間の距離H1(以下、段差部6の高さともいう)よりも大きい方が好ましい。この場合、サイドドアにパネル状成形品1を適用した場合、凹部4の底面部4AがドアアウターパネルA近傍に配置される。したがって、衝突によりドアアウターパネルAが車両内側に変形したとき、凹部4は早い段階でドアアウターパネルAに当たる。これにより、パネル状成形品1をドアインナーパネルに適用した場合、衝突特性が向上する。
図3を参照して、縁部3の表面とフランジ部7の表面との間の距離H0を、パネル状成形品1の全高H0と定義する。この場合、好ましくは、段差部6の高さH1(mm)は、式(2)を満たす。
0.25×H0<H1<H (2)
パネル状成形品1がドアインナーパネルに適用された場合、パネル状成形品1の段差部6は、車体のピラーB等と対向し、車内を密閉する(図3参照)。車内の密閉性を高めるため、段差部6とピラーB等との間にはシール部材が配置される。
段差部6の高さH1が0.25×H0よりも大きければ、第2縦壁部5Bの高さを十分に確保できる。この場合、第2縦壁部5Bに取り付けられるシール部材の面積を十分に確保できるため、車内の密閉性が高められる。
凹部4の配置位置は、ドアアウターパネルAに近い方が好ましい。図3に示すように、ウインドウ部材8は、パネル状成形品1の車両内側に配置され、パネル状成形品1の凹部4内に収容される。すなわち、図3に示すように、凹部4の底面部4Aは、ドアアウターパネルAとウインドウ部材8との間に存在する。
しかしながら、本実施形態のパネル状成形品1が適用されるサイドドアの構造は、図3に限定されない。パネル状成形品1とドアアウターパネルAとの間にウインドウ部材8等の部品が収容されてもよい。要するに、パネル状成形品1の凹部4の高さHは、成形する材料の材質、成形性等を考慮して決定される。そのため、ウインドウ部材8の配置は、凹部4の高さHを考慮して決定される。
図4は、図1とは異なる本実施形態のパネル状成形品10の斜視図である。図4を参照して、パネル状成形品10は、パネル状成形品1の凹部4の底面部4Aにさらに、1又は複数の陥没部11を含む。
陥没部11は例えば、凹部4の底面部4Aに線状に形成される。ここで「線状」とはたとえば、直線状、曲線状、波状等である。パネル状成形品10のその他の構成は、図1中のパネル状成形品1と同じである。以下、凹部4の底面部4Aに陥没部11を設けたパネル状成形品10について説明する。
陥没部11が底面部4Aに形成されれば、陥没部11が設けられた底面部4Aの断面二次モーメントが増加する。すなわち、陥没部11は、パネル状成形品10の凹部4の強度を高める。したがって、陥没部11が設けられた凹部4は、衝突エネルギをより吸収できる。特に、ベルトライン(辺2E)を含む凹部4の車両上側の領域12(以下、「ベルトライン領域」ともいう)に、このベルトライン領域12に沿って陥没部11が設けられるのが好ましい。換言すれば、陥没部11は、底面部4Aのうち、ベルトラインを構成する辺2E近傍に、辺2Eに沿って形成されるのが好ましい。この場合、ドアインナーパネルとして適用されたパネル状成形品1のベルトラインが補強される。すなわち、陥没部11はベルトラインリインフォースメントの役割を担う。
図4に示すように、陥没部11がベルトラインを構成する辺2Eに対して斜めに延びるように、凹部4の底面部4Aに形成されてもよい。この場合、陥没部11は凹部4の底面部4A全域を補強できる。凹部4の底面部4Aには、陥没部11に代えて隆起部を形成してもよい。陥没部11と隆起部の両方を設けても構わない。凹部4の底面部4Aに、陥没部11及び/又は隆起部を形成することにより、凹部4の断面二次モーメントが増加する。
上述の説明では、サイドドア用のドアインナーパネルを例として、本実施形態のパネル状成形品を説明した。しかしながら、本実施形態のパネル状成形品はサイドドア用のドアインナーパネルに限定されない。本実施形態のパネル状成形品はたとえば、リアドア用のインナーパネル等、サイドドア以外のドアインナーパネルにも適用できる。本実施形態のパネル状成形品はさらに、ドアインナーパネルに限定されない。パネル状成形品は、優れた衝突特性が要求される部材に適用できる。そのような部材は、例えば、自動車、電車、気動車、建設機械のうち自走するもの、農業機械のうち自走するもの、産業機械のうち自走するもの、及び、航空機等の車両に適用可能であり、特に、これらの車両用ドアとして特に適式である。
上述の実施形態において、パネル状成形品1の素材である鋼板をテーラードブランクとしてもよい。テーラードブランクは、テーラード溶接ブランク(以下、「TWB」ともいう)と、テーラードロールドブランク(以下、「TRB」ともいう)に大別される。TWBは、板厚、引張強度等が異なる複数種の鋼板を溶接(例:突き合わせ溶接)によって一体化したものである。一方、TRBは、鋼板を製造する際に圧延ロールの間隔を変更することによって、板厚を変化させたものである。テーラードブランクを用いると、必要な箇所に限定して強度を強化することができ、板厚を減少することもできる。また、テーラードブランクを用いたパネル状成形品も車両用のドアインナーパネルに適用できる。これにより、衝突特性を向上することができ、更に軽量化を望める。
上述したように、本実施形態のパネル状成形品1では、天板部2は縁部3の内側に凹部4を含む。この凹部4により、パネル状成形品1は、従前にドアインナーパネルとドアインパクトビームに代表される補強部材とを一体化した形状を有する。したがって、パネル状成形品1が衝突特性に優れ、ドアインパクトビーム等の補強部材101を省略できる。
本実施形態のパネル状成形品の強度は高い方が好ましい。好ましくは、パネル状成形品の引張強度は600MPa以上であり、さらに好ましくは、1200MPa以上である。引張強度の増加に伴って、ドアインナーパネルが衝突エネルギをより多く吸収できるからである。しかしながら、パネル状成形品1の素材が鋼板である場合、プレス加工により、強度が高いパネル状成形品を製造しにくい。高強度鋼板を素材として使用した場合、高強度鋼板の加工性は低いため、複雑な形状を有するパネル状成形品1をプレス加工で成形しにくいためである。
しかしながら、次に説明する本実施形態のパネル状成形品の製造方法を適用すれば、素材が鋼板であっても、高強度のパネル状成形品1を製造できる。以下、鋼板からなるパネル状成形品の製造方法の一例を説明する。
[製造方法]
本実施形態の製造方法は、準備工程と、中間プレス加工工程と、加熱工程と、最終プレス加工工程とを含む。本例では、最終プレス加工工程において、ホットスタンピングを実施する。以下、各工程について説明する。なお、最終プレス加工工程を冷間プレスで実施する場合、加熱工程は省略される。最終プレス加工工程を冷間プレスで実施する場合については後述する。
[準備工程]
準備工程では、鋼板からなる平板状のブランク材を準備する。ブランク材としての鋼板の化学組成は、後述のホットスタンピング工程により、ミクロ組織がマルテンサイトを含有すれば、特に限定されない。好ましくは、鋼板の化学組成は、質量%で、炭素(C):0.11%以上含有するのが好ましい。鋼板が0.11%以上のCを含有すれば、ホットスタンピング工程後のパネル状成形品の強度が高い。さらに好ましくは、鋼板の化学組成は、上述のパネル状成形品1の説明で記載したとおりである。
なお、ブランク材としての鋼板は、表面処理された鋼板であってもよい。表面処理された鋼板とは、例えば、表面に亜鉛めっき層を有する亜鉛めっき鋼板である。ブランク材は開口部を有していないものでもよいし、開口部を有しているものでもよい。
[中間プレス加工工程]
プレス加工工程では、冷間、温間又は熱間で、ブランク材にプレス加工を施し、図5に示す中間成形品1Aを製造する。
図5を参照して、中間成形品1Aは、パネル状成形品1と比較して、天板部2と第1縦壁部5Aとが形成され、段差部6に相当する中間フランジ部7Aの高さH1まで成形された中間品である。具体的には、中間成形品1Aは、天板部2と、第1縦壁部5Aと、中間フランジ部7Aとを備える。第1縦壁部5Aは、天板部2と中間フランジ部7Aとの間に配置される。第1縦壁部5Aの一端は、天板部2の外縁の辺とつながり、他端は中間フランジ部7Aとつながっている。第1縦壁部5Aは、天板部2の延在方向と交差して延びる。中間フランジ部7Aは、第1縦壁部5Aの他端から、天板部2の延在方向に延びる。中間フランジ部7Aは、天板部2の延在方向と平行であってもよいし、平行でなくてもよい。天板部2の縁部3の表面から中間フランジ部7Aの表面までの高さは、パネル状成形品1における縁部3の表面から段差部6の表面までの高さH1と同じである。
第1縦壁部5Aは、最終製品であるパネル状成形品1の第1縦壁部5Aに対応する。中間フランジ部7Aは、最終製品であるパネル状成形品の段差部6を含む。要するに、中間成形品1Aは、第2縦壁部5B、段差部6、及びフランジ部7を成形する前の、パネル状成形品1の途中段階の中間品である。
中間プレス加工工程では、初めに、ブランク材から凹部4を成形する(第1中間プレス加工工程)。次に、金型によって凹部4を挟んだ状態で、縁部3、第1縦壁部5A、及び、中間フランジ部7Aを成形する(第2中間プレス加工工程)。つまり、中間プレス加工工程では、ブランク材にプレス加工を施すことにより、天板部2及び第1縦壁部5Aを成形して段差部6の高さまで成形することにより、中間成形品1Aを成形する。
中間成形品1Aを成形するとき、第2中間プレス加工工程において、凹部4を金型(パンチ及びダイ)で挟んで拘束しつつ、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形する。そのため、プレス加工に起因したシワ等の欠陥が発生しにくい。以下、中間プレス加工工程の2つの実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)を例示する。第1実施形態では、第1及び第2中間プレス加工工程を、同じ金型(パンチ及びダイ)を用いて実施する。第2実施形態では、第1中間プレス加工工程と第2中間プレス加工工程とで異なる金型(パンチ及びダイ)を用いる。以下、各実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図6A〜図6Cは、第1実施形態での中間プレス加工工程を模式的に示す断面図である。図6Aは、ブランク材Sを中間プレス加工装置20に配置する工程(ブランク材配置工程)を示す。図6Bは、プレス加工により凹部4を成形する工程(第1中間プレス加工工程)を示す。図6Cは、プレス加工により第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形する工程(第2中間プレス加工工程)を示す。
本実施形態の中間プレス加工工程では、図6Aに示す中間プレス加工装置20を用いる。中間プレス加工装置20は、上型として中央パンチ21と、中間パンチ22と、外側パンチ23とを備え、下型として中央ダイ24と、ブランクホルダ25とを備える。上型と下型とは対になる。
中央パンチ21のパンチ端面(ブランク材Sに当たってプレス加工する端面)は、中間成形品1Aの凹部4に対応する形状を有する。具体的には、中央パンチ21のパンチ端面及びそのびパンチ端面近傍の側面の形状は、凹部4の底面部及び側面部の形状に対応する。
中間パンチ22は、中央パンチ21の外側であって、外側パンチ23の内側に配置される。中間パンチ22のパンチ端面の形状は、天板部2の縁部3の形状に対応する。中間パンチ22は、中央パンチ21との間にクリアランスを有する。
外側パンチ23は、中間パンチ22の外側であって、中間パンチ22の隣に配置される。外側パンチ23は、中間パンチ22との間にクリアランスを有する。
中央ダイ24の端面(ブランク材Sに当たる端面)は、中央パンチ21のパンチ端面及び中間パンチ22のパンチ端面に対向する。中央ダイ24のダイ端面の形状は、天板部2の形状に対応する。具体的には、中央ダイ24のダイ端面は、凹部4に相当する凹部24Aと、縁部3に相当する縁部24Bとを含む。
ブランクホルダ25は、中央ダイ24の外側であって、中央ダイ24の隣に配置される。ブランクホルダ25は、中央ダイ24との間にクリアランスを有する。ブランクホルダ25の端面は、外側パンチ23のパンチ端面と対向する。ブランクホルダ25は、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形するために用いられる。
図6Aを参照して、中央パンチ21、中間パンチ22及び外側パンチ23は、上型ホルダ26に支持される。中央パンチ21、中間パンチ22及び外側パンチ23は、互いに相対的に移動可能(昇降可能)である。たとえば、中間パンチ22と上型ホルダ26との間には図示しない加圧部材が配置され、外側パンチ23と上型ホルダ26との間に、図示しない加圧部材が配置されてもよい。加圧部材はたとえば、油圧シリンダ、ガスシリンダ、ばね、ゴム等である。
中間パンチ22及び外側パンチ23を中央パンチ21に対して相対的に昇降する加圧部材は1つであってもよいし、上記のとおり、各パンチに独立して設けられてもよい。中央パンチ21と上型ホルダ26との間に図示しない加圧部材が設けられてもよい。要するに、中央パンチ21、中間パンチ22、及び、外側パンチ23が相対的に互いに独立して昇降可能であれば、これらのパンチの移動方法は特に限定されない。
中央ダイ24及びブランクホルダ25は、下型ホルダ27に支持される。ブランクホルダ25は、中央ダイ24に対して相対的に上下方向に昇降可能である。たとえば、ブランクホルダ25と下型ホルダ27との間には図示しない加圧部材が設けられる。加圧部材はたとえば、上述のとおりである。
上型ホルダ26は、図示しない昇降装置(スライド)が取り付けられる。昇降装置は駆動して、上型ホルダ26を上下方向に昇降する。下型ホルダ27は、図示しないボルスタプレートに取り付けられる。
中間プレス加工装置20は、中央パンチ21、中間パンチ22、及び、外側パンチ23と、中央ダイ24、及び、ブランクホルダ25とを備えれば、その他の構成は図6Aに限定されない。例えば、中央パンチ21、中間パンチ22及び外側パンチ23は、それぞれ個別に昇降する複数のスライドの各々に取り付けられてもよい。
中間プレス加工装置20を用いた中間プレス加工工程の詳細は次のとおりである。初めに、図6Aに示すように、平板状のブランク材Sを、中間プレス加工装置20の上型と下型との間に配置する。このとき、上型の中央パンチ21のパンチ端面と、中間パンチ22のパンチ端面と、外側パンチ23のパンチ端面とが、略同一の平面内となるように各パンチを配置する。つまり、このとき、パンチ21〜パンチ23のパンチ端面は、略同一の高さに配置されている。同様に、中央ダイ24の縁部24Bと、ブランクホルダ25の端面とが略同一平面内となるようにしておく。つまり、中央ダイ24の縁部24Bと、ブランクホルダ25の端面とが略同じ高さとなるように配置しておく。これにより、ブランク材Sは、中央ダイ24の縁部24B及びブランクホルダ25の端面と接触して、中央ダイ24及びブランクホルダ25上に配置される。
続いて、第1中間プレス加工工程を実施する。具体的には、昇降装置(スライド)を駆動して上型ホルダ26を降下する。例えば、パンチ21〜23がブランク材Sの上表面と接触するまで、パンチ21〜23の各端面の高さは同じまま、パンチ21〜23を降下する。
降下が進むと、中央パンチ21、中間パンチ22及び外側パンチ23がブランク材Sの上表面と接触する。このとき、ブランク材Sは、中央パンチ21のパンチ端面と、中央ダイ24の縁部24Bとに挟まれ拘束される。ブランク材Sはさらに、外側パンチ23のパンチ端面と、ブランクホルダ25の端面とに挟まれて拘束される。
その後、ブランク材Sが中間パンチ及び中央ダイ24の縁部24Bに挟まれ、さらに、外側パンチ23及びブランクホルダ25に挟まれたまま、中間パンチ22及び外側パンチ23に対して中央パンチ21が相対的をさらに降下して、ブランク材Sをプレス加工(絞り加工)して凹部4を成形する(図6B参照)。
凹部4の成形が完了したとき、ブランク材Sの凹部4は、中央パンチ21のパンチ端面と中央ダイ24の凹部24Aとによって挟まれ、拘束される。つまり、第1中間プレス加工が完了したとき、ブランク材Sは、パンチ21〜23と、中央ダイ24及びブランクホルダ25とによって挟まれる。
続いて、第2中間プレス加工を実施して、中間成形品1Aの第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形する(第2中間プレス加工工程)。具体的には、中央パンチ21及び中間パンチ22と、中央ダイ24とでブランク材Sを挟んだまま、かつ、外側パンチ23及びブランクホルダ25でブランク材Sを挟んだまま、中央パンチ21、中間パンチ22及び中央ダイ24に対して外側パンチ23及びブランクホルダ25を相対的に降下して、ブランク材Sに対してプレス加工を実施する(図6C参照)。このとき、ブランク材Sに第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aが成形され、中間成形品1Aが成形される。
中間プレス加工工程では、第1中間プレス加工工程で凹部4を成形して、次に続く第2中間プレス加工工程で凹部4の外側に配置される縁部3A、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形する。仮に、凹部4の成形よりも前に、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形した場合、ブランク材Sのうち、第1縦壁部5Aよりも内側の部分では、材料が引っ張られた状態となる。材料が引っ張られた状態で、中央パンチ21を降下すると、中央ダイ24の凹部24Aに引き込む材料が不足する。つまり、凹部4の成形に必要な材料が不足する。そのため、中間成形品1Aの凹部4の板厚が変動したり、凹部4に割れが発生したりする。本実施形態の中間プレス加工工程では、第1中間プレス加工工程において凹部4を成形し、その後、第2中間プレス加工工程で凹部4よりも外側の縁部3、第1縦壁部5A、及び、中間フランジ部7Aを成形する。この場合、第1中間プレス加工工程において、中央ダイ24の凹部24Aに引き込み可能な材料が十分にある。そのため、凹部4が成形しやすい。さらに、第1中間プレス加工工程で凹部4を成形した後、中央パンチ21、中間パンチ22及び中央ダイ24で凹部4が形成されたブランク材Sを挟んで拘束したまま、外側パンチ23及びブランクホルダ25によりプレス加工を実施して、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形して、中間成形品1Aを製造する。そのため、中間成形品1Aにおいて、シワや割れ等の欠陥の発生が抑制される。
なお、図6Aにおいて、中央パンチ21、中間パンチ22及び外側パンチ23がブランク材Sの上表面に接触したとき、中間パンチ22のパンチ端面と中央ダイ24の縁部24Bの端面との間隔(ギャップ)、及び、外側パンチ23のパンチ端面とブランクホルダ25の端面との間隔(ギャップ)は、それぞれ、ブランク材Sの板厚に0.1mm程度(より具体的には例えば0.05〜0.3mm)の加算寸法を加えたギャップ寸法に維持されるのが好ましい。このギャップ寸法は例えば、次の構成により実現できる。中央ダイ24の縁部24Bの外縁、及び/又は、ブランクホルダ25の端面の外縁の一部にスペーサ(図示せず)を設ける。スペーサは上記加算寸法の厚さを有し、中間パンチ22のパンチ端面及び/又は外側パンチ23のパンチ端面と接触する。これにより、ブランク材Sは、中間パンチ22のパンチ端面と中央ダイ24の縁部24Bの端面との間隔(ギャップ)、及び、外側パンチ23のパンチ端面とブランクホルダ25の端面との間隔(ギャップ)とに、緩く挟まれた状態で接触する。そのため、第1中間プレス加工において凹部4を成形する場合、中央ダイ24の凹部24Aに材料を引き込みやすい。図6Bにおいても同様である。ただし、このギャップによりシワが生じやすくなる場合、ギャップを設けず、シワが発生しない程度にブランク材Sに対して挟み込む力を加えてもよい。
[第2実施形態]
第1実施形態では、1台の中間プレス加工装置20を用いて第1中間プレス加工工程及び第2中間プレス加工工程を実施した。しかしながら、第1中間プレス加工工程及び第2中間プレス加工工程を別個の中間プレス加工装置(別個の金型)を用いて実施して、ブランク材Sを中間成形品1Aに成形してもよい。以下、2台の中間プレス加工装置を用いたプレス加工工程の第2実施形態を説明する。
本実施形態による中間プレス加工工程も、第1実施形態と同様に、ブランク材配置工程と、第1中間プレス加工工程と、第2中間プレス加工工程とを含む。
図7Aは、第1中間プレス加工工程に利用される第1中間プレス加工装置30の模式図である。図7Aを参照して、第1中間プレス加工装置30は、一般的なプレス加工装置である。第1中間プレス加工装置30は、上型として中央パンチ31と、ブランクホルダ33とを備え、下型としてダイ32を備える。
中央パンチ31のパンチ端面は、中間成形品1Aの天板部2の凹部4の底面部4Aに対応する形状を有し、中央パンチ31のうち、パンチ端面に隣接するパンチ側面は、天板部2の凹部4の側面部4Bに対応する形状を有する。
ブランクホルダ33は、中央パンチ31の外側であって、中央パンチ31の隣に配置される。中央パンチ31及びブランクホルダ33は、上型ホルダ34に支持されている。ブランクホルダ33と上型ホルダ34との間には、図示しない加圧部材が配置され、ブランクホルダ33は加圧部材により中央パンチ31に対して相対的に昇降可能に上型ホルダ34に支持される。加圧部材は第1実施形態の中間プレス加工装置20の加圧部材と同様である。
上型ホルダ34は、図示しない昇降装置(スライド)に取り付けられている。中央パンチ31及びブランクホルダ33は、それぞれ個別に昇降するスライドに取り付けられてもよい。
ダイ32は、端面のうち中央パンチ31の端面と対向する部分に開口部を有する。ダイ32の端面のうち、開口部以外の部分は、ブランクホルダ33の端面と対向する。ダイ32は、下型ホルダ35に支持される。
本実施形態の中間プレス加工工程では、はじめに、第1中間プレス加工装置30のダイ32の端面にブランク材Sを配置する(ブランク材配置工程)。このとき、ブランク材Sは、中央パンチ31及びブランクホルダ33と、ダイ32との間に配置される。
このとき、一例として、中央パンチ31の端面とブランクホルダ33の端面とは、略同じ平面内に配置されている。換言すれば、中央パンチ31の端面とブランクホルダ33の端面とは略同じ高さに配置されている。
続いて、第1中間プレス加工工程を実施する。上型ホルダ34を図示しないスライドにより降下する。上型ホルダ34の降下を継続すると、中央パンチ31の端面及びブランクホルダ33の端面がブランク材Sと接触する(図7B参照)。このとき、ブランク材Sが、ブランクホルダ33とダイ32とに挟まれる。
ブランク材Sがブランクホルダ33とダイ32とに挟まれた後、上型ホルダ34をブランクホルダ33に対して相対的にさらに降下する。このとき、ブランクホルダ33がブランク材Sを挟んだまま、中央パンチ31がさらに降下してブランク材Sに押し込まれ、凹部4を成形する(図7C参照)。本実施形態の第1中間プレス加工工程は、上述の周知の方法によりブランク材Sをプレス加工する。そのため、ダイ32及びブランクホルダ33の動作の詳細説明は省略する。
第1中間プレス加工工程によりブランク材Sに凹部4を成形した後、第2中間プレス加工工程を実施する。図8A〜図8Cは、本実施形態の第2中間プレス加工工程を模式的に示す断面図である。図8Aは、凹部4が成形されたブランク材Sを第2中間プレス加工装置40に配置する工程を示す。図8Bは、凹部4が成形されたブランク材Sを挟み込む工程を示す。図8Cは、中間成形品1Aを成形する工程を示す。
図8Aを参照して、第2中間プレス加工工程で使用される第2中間プレス加工装置40は、上型として中央パンチ41と、外側パンチ42とを備え、下型として中央ダイ43と、ブランクホルダ44とを備える。
中央パンチ41のパンチ端面形状は、中間成形品1Aの天板部2(凹部4及び縁部3)の形状に対応する。外側パンチ42は、中央パンチ41の外側であって、中央パンチ41の隣に配置される。外側パンチ42は中央パンチ41との間にクリアランスを有する。本例では、外側パンチ42の端面は平坦である。
中央ダイ43の端面形状は、中間成形品1Aの天板部2(凹部4及び縁部3)の形状に対応し、中央ダイ43の端面とつながる側面部分の形状は、中間成形品1Aの第1縦壁部5Aの形状に対応する。中央ダイ43の端面は、中央パンチ41のパンチ端面に対向する。ブランクホルダ44は、中央ダイ43の外側であって中央ダイ43の隣に配置される。ブランクホルダ44は中央ダイ43との間にクリアランスを有する。本例では、ブランクホルダ44の端面は平坦であり、外側パンチ42の端面と対向する。
図8Aに示すように、中央パンチ41及び外側パンチ42は、上型ホルダ45に支持される。中央パンチ41と上型ホルダ45との間には、図示しない加圧部材が設けられる。加圧部材は第1実施形態の加圧部材と同様である。中央パンチ41は、外側パンチ42に対して相対的に昇降可能に上型ホルダ45に支持されている。上型ホルダ45は、図示しない昇降装置(スライド)に取り付けられる。
中央ダイ43及びブランクホルダ44は、下型ホルダ46に支持される。ブランクホルダ44と下型ホルダ46との間には図示しない加圧部材が設けられる。ブランクホルダ44は、中央ダイ43に対して相対的に昇降可能に下型ホルダ46に支持される。
第2中間プレス加工装置40は、図8Aに限定されない。例えば、第2中間プレス加工装置40において、中央パンチ41及び外側パンチ42が、それぞれ個別に昇降するスライドに取り付けられてもよい。
図8Aに示すように、凹部4が成形されたブランク材Sを第2中間プレス加工装置40の中央ダイ43及びブランクホルダ44の端面上に配置する。このとき、中央ダイ43の端面のうち凹部4に対応する部分には、第1中間プレス加工工程でブランク材Sに形成された凹部4が接触する。さらに、中央ダイ43の端面のうち縁部3に対応する部分と、ブランクホルダ44の端面とは、略同一の平面内に配置され、略同じ高さに配置されている。したがって、第1中間プレス加工後のブランク材Sのうち、凹部4以外の部分は、中央ダイ43の端面のうちの縁部3に対応する部分と、ブランクホルダ44の端面とに接触する。一方、中央パンチ41の端面のうち、縁部3に対応する部分と、外側パンチ42の端面とは、略同一の平面内に配置され、略同じ高さに配置されている。
凹部4が成形されたブランク材Sを中央ダイ43及びブランクホルダ44に配置した後、上型ホルダ45を降下する。その結果、図8Bに示すとおり、中央パンチ41のパンチ端面及び外側パンチ42のパンチ端面が、ブランク材Sと接触する。つまり、ブランク材Sのうち、凹部4と縁部3に相当する部分とが、中央パンチ41及び中央ダイ43に挟まれ、それ以外の部分は、外側パンチ42及びブランクホルダ44に挟まれる。
その後、上型ホルダ45をさらに降下する。この場合、中央パンチ41及び中央ダイ43が凹部4及び縁部3を含むブランク材Sを挟み、外側パンチ42及びブランクホルダ44がブランク材Sを挟んだまま、外側パンチ42及びブランクホルダ44が、中央パンチ41及び中央ダイ43に対して相対的に降下する。そのため、ブランク材Sがプレス加工され、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aが成形され、中間成形品1Aが製造される(図8C)。要するに、ブランク材Sの凹部4及び縁部3が拘束されたまま、プレス加工が実施され、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aが成形される。
第2実施形態においても、ブランク材Sに対して初めに凹部4を成形し、その後、凹部4よりも外側に配置される縁部3、第1縦壁部5A及び中間フランジ部7Aを成形する。そのため、第1実施形態と同じ理由により、中間成形品1Aにシワや割れ等の欠陥が発生しにくい。
なお、図7Bにおいて、中央パンチ31の端面及びブランクホルダ33の端面がブランク材Sと接触したとき、ブランクホルダ33の端面とダイ32の端面との間隔(ギャップ)は、ブランク材Sの板厚に0.1mm程度(より具体的には例えば0.05〜0.3mm)の加算寸法を加えた寸法に維持されるのが好ましい。このギャップ寸法は例えば、次構成により実現できる。ダイ32の端面の外縁の一部にスペーサ(図示せず)を設ける。スペーサは上記加算寸法の厚さを有し、ブランクホルダ33と接触する。これにより、ブランク材Sは、ダイ32とブランクホルダ33との間に緩く挟まれた状態で接触する。ただし、このギャップによりシワが生じやすくなる場合、ギャップを設けず、シワが発生しない程度にブランク材Sに対して挟み込む力を加えてもよい。
同様に、図8Bにおいて、中央パンチ41の端面及び外側パンチ42の端面が、ブランク材Sと接触したとき、外側パンチ42の端面とブランクホルダ44の端面との間隔(ギャップ)は、ブランク材Sの板厚に0.1mm程度(より具体的には例えば0.05〜0.3mm)の加算寸法を加えた寸法に維持されるのが好ましい。このギャップ寸法は例えば、次構成により実現できる。ブランクホルダ44の端面の外縁の一部にスペーサ(図示せず)を設ける。スペーサは上記加算寸法の厚さを有し、外側パンチ42と接触する。これにより、ブランク材Sは、外側パンチ42とブランクホルダ44との間に緩く挟まれた状態で接触する。
上述の中間プレス加工工程では、冷間でプレス加工を実施してもよく、温間でプレス加工を実施してもよい。ここでいう冷間とは常温(25℃程度)を意味する。また、温間とは、ブランク材Sの素材である鋼板の100℃〜A変態点未満の温度を意味する。また、ブランク材SをA変態点以上に加熱して、熱間でプレス加工を実施してもよい。ここでいう熱間とは、A変態点以上を意味する。
[加熱工程及び最終プレス加工工程]
中間プレス加工工程により製造された中間成形品1Aを、加熱工程で加熱する。さらに、加熱された中間成形品1Aに対して、最終プレス加工装置を用いて、加熱された中間成形品1Aにプレス加工を施しつつ焼入れを実施して(つまり、ホットスタンピングを実施して)、パネル状成形品1を製造する。以下、加熱工程及び最終プレス加工工程について詳述する。
[加熱工程]
加熱工程では、加熱装置を用いて中間成形品1Aを加熱する。例えば、図9に示すとおり、中間成形品1Aをバッチ式の加熱炉60に装入して加熱する。加熱工程では、中間成形品1Aを、中間成形品1Aの素材の鋼板をA変態点以上で加熱するのが好ましく、さらに好ましくはA変態点以上に加熱する。好ましい加熱温度は700℃以上であり、さらに好ましくは900℃以上である。加熱温度の好ましい上限は980℃である。バッチ式の加熱炉を用いる方法以外では,通電によって加熱してもよい.
中間成形品1AをA変態点以上で加熱すれば、後述のホットスタンピング(焼入れ)後のミクロ組織がマルテンサイトを含む。そのため、パネル状成形品の強度が高まる。加熱温度は、素材の鋼種及び成形難易度等により適宜設計可能である。加熱後、中間成形品1Aを加熱炉60から抽出して、ホットスタンピング工程を実施する。
[最終プレス加工工程]
本例では、最終プレス加工工程において、最終プレス加工装置を用いて、加熱された中間成形品1Aに対してホットスタンピングを施す。これにより、ドアインナーパネルに代表されるパネル状成形品1が製造される。
ホットスタンピングとは、加熱された中間成形品1Aに対して、プレス加工を実施しつつ急冷して焼入れを実施することを意味する。ホットスタンピングにより、鋼板を素材とするパネル状成形品1のミクロ組織がマルテンサイトを含み、パネル状成形品1の強度が高まる。
[最終プレス加工装置]
図10Aは、最終プレス加工工程で用いる最終プレス加工装置50の模式図である。図10Aを参照して、最終プレス加工装置50は、上型として中央パンチ51と、外側パンチ52とを備え、下型として中央ダイ53と、ブランクホルダ54とを備える。
中央パンチ51のパンチ端面形状は、パネル状成形品1の天板部2(凹部4及び縁部3)に対応し、パンチ端面近傍の側面形状は、第1縦壁部5Aの形状に対応する。外側パンチ52は、中央パンチ51の外側であって、中央パンチ51の隣に配置される。外側パンチ52は、中央パンチ51との間にクリアランスを有する。本例では、外側パンチ52の端面52Aは略平坦であり、ブランクホルダ54の端面54Aと対向する。
中央ダイ53は、端面53Aと、側面53Cとを含む。端面53Aは、凹部531と、縁部532と、縦壁部533と、段差面部534を含む。凹部531の形状は、パネル状成形品1の凹部4の形状に対応する。縁部532は、凹部531の外側であって、凹部531に隣接して配置される。縁部532は、凹部531とつながっている。縁部532の形状は、パネル状成形品1の縁部3の形状に対応する。縦壁部533は、縁部532の外縁から下方に延びている。縦壁部533の形状は、パネル状成形品1の第1縦壁部5Aに対応する。段差面部534は、縦壁部533の外側であって、縦壁部533の下端につながっている。段差面部534の形状は、パネル状成形品1の段差部6の形状に対応する。したがって、段差面部534と縁部532との間の高さは、パネル状成形品1の段差高さH1に相当する。
側面53Cは、段差面部534の外縁から、最終プレス加工装置50の下方に延びる。側面53Cの形状は、パネル状成形品1の第2縦壁部5Bの形状に対応する。中央ダイ53の端面53Aは、中央パンチ51の端面と対向する。
ブランクホルダ54は、中央ダイ53の外側であって、中央ダイ53の隣に配置される。ブランクホルダ54は、中央ダイ53との間にクリアランスを有する。ブランクホルダ54の端面54Aは平坦である。ブランクホルダ54の端面54Aは、外側パンチ52の端面52Aと対向する。
中央パンチ51及び外側パンチ52は、上型ホルダ55に支持される。中央パンチ51は、外側パンチ52に対して相対的に昇降可能に上型ホルダ55に取り付けられる。たとえば、中央パンチ51は、図示しない加圧部材を介して、上型ホルダ55に支持される。しかしながら、例えば、中央パンチ51及び外側パンチ52が、それぞれ個別に昇降可能に上型ホルダ55に取り付けられてもよい。上型ホルダ55は、図示しない昇降装置(スライド)に取り付けられており、昇降可能である。
中央ダイ53及びブランクホルダ54は、下型ホルダ56に支持される。ブランクホルダ54は、中央ダイ53に対して相対的に昇降可能に下型ホルダ56に支持される。たとえば、ブランクホルダ54は、図示しない加圧部材を介して下型ホルダ56に支持される。しかしながら、中央ダイ53及びブランクホルダ54が、それぞれ個別に昇降可能に下型ホルダ56に取り付けられてもよい。
図10Aに示すとおり、ブランクホルダ54の端面54Aの初期高さは、中央ダイ53の段差面部534の高さよりも低い。たとえば、初期(プレス加工前)における端面54Aの高さと段差面部534の高さとは、図10Aに示す初期高さ差h0が設けられる。初期高さ差h0はたとえば、1.0〜5.0mmである。
上述の最終プレス加工装置50を用いた最終プレス加工工程は、次の前工程及び後工程を含む。
前工程:中央ダイ53上に中間成形品1Aを配置して、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟み、さらに、外側パンチ52及びブランクホルダ54により中間成形品1Aを挟む。
後工程:中間成形品1Aを挟んだままの中央パンチ51及び中央ダイ53に対して、中間成形品1Aを挟んだままの外側パンチ52及びブランクホルダ54を相対的に移動して、パネル状成形品1を製造する。
前工程で中間成形品1Aの中央部を中央ダイ53及び中央パンチ51で挟みつつ、後工程で中間成形品1Aを挟んだままの外側パンチ52及びブランクホルダ54を相対的に移動してプレス加工を実施することにより、パネル状成形品1にシワが発生するのを抑制できる。
最終プレス加工工程でホットスタンピングを実施する場合はさらに、上記前工程は、次の第1工程と、第2工程とを含む。
第1工程:中間成形品1Aを配置して、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟み、かつ、外側パンチ52を中間成形品1Aに接触させる。
第2工程:外側パンチ52を中間成形品1Aに接触させた後、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟んだまま、さらに、ブランクホルダ54を中間成形品と接触させて、外側パンチ52及びブランクホルダ54とにより中間成形品1Aを挟む。
第1工程及び第2工程を実施して、外側パンチ52が接触するまでブランクホルダ54を中間成形品1Aと接触させないことにより、後工程でプレス加工を実施する前に中間成形品1Aのプレス加工を施す部分の温度が低下するのを抑制できる。これにより、後工程のプレス加工時において、中間成形品1Aの加工性を保ちつつ、十分な焼入れ性を確保することができる。以下、前工程、後工程について説明する。
[前工程]
本例のように最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施する場合、前工程は、上記第1工程及び第2工程を含む。
[第1工程]
第1工程では、初めに、図10Bに示すとおり、加熱工程にて加熱された中間成形品1Aを最終プレス加工装置50の中央ダイ53及びブランクホルダ54上に配置する。
中間成形品1Aを中央ダイ53上に配置したとき、中央ダイ53の端面53Aの凹部531は中間成形品1Aの凹部4と接触し、中央ダイ53の端面53Aの縁部532は中間成形品1Aの縁部3と接触し、中央ダイ53の端面53Aの縦壁部533は中間成形品1Aの第1縦壁部5Aと接触する。そして、中央ダイ53の端面53Aの段差面部534は、中間成形品1Aの中間フランジ部7Aと接触する。
一方、ブランクホルダ54の端面54Aは、初期高さ差h0だけ段差面部534よりも低く配置されている。そのため、中間成形品1Aを中央ダイ53上に配置したとき、中間成形品1Aはブランクホルダ54に接触せずに中央ダイ53に配置される。
中央ダイ53上に中間成形品1Aを配置した後、中央パンチ51及び外側パンチ52を降下する。このとき、中央パンチ51のパンチ端面のうち、パネル状成形品1の段差部6に相当する端面部分と、外側パンチ52の端面52Aとがほぼ同じ高さを維持したまま、降下する。
中央パンチ51及び外側パンチ52を降下して、図10Cに示すとおり、中央パンチ51と中央ダイ53とにより中間成形品1Aを挟む。このとき、中央パンチ51が中間成形品1Aと接触するのとほぼ同時に、外側パンチ52の端面52Aが中間成形品1A(の中間フランジ部7A)に接触する。このとき、図10Cに示すとおり、ブランクホルダ54の端面54Aは中間成形品1Aに接触していない。つまり、第1工程では、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟み、さらに、ブランクホルダ54を中間成形品1Aと接触させることなく外側パンチ52を中間成形品に接触させる。
このとき、中間フランジ部7Aがブランクホルダ54の端面54Aと接触しないため、プレス加工が施される前に、中間フランジ部7Aの温度が低下しにくい。したがって、プレス加工前の中間成形品1Aの温度の低下を抑制でき、良好な加工性を維持できる。
初期高さ差h0は、好ましくは、1.0〜5.0mmである。初期高さ差h0が1.0mm以上であれば、外側パンチ52を中間成形品1Aに接触させたとき、ブランクホルダ54と中間成形品1Aとの間に十分な隙間を確保できる。この場合、外側パンチ52の端面52Aが中間成形品1Aと接触する前に、中間成形品1Aがブランクホルダ54の端面54Aに接触しない。そのため、外側パンチ52及びブランクホルダ54が中間成形品1Aを挟んでプレス加工を施す前に、中間成形品1Aの温度が低下するのを十分に抑制できる。その結果、中間成形品1Aの加工性の低下を抑制でき、かつ、十分な焼入れを施すことができる。
初期高さ差が5.0mm以下であれば、ブランクホルダ54と中間成形品1Aとの隙間が大きくなりすぎず、適切な隙間間隔となる。そのため、外側パンチ52が中間成形品1Aと接触してから中間成形品1Aがブランクホルダ54に接触するまでの時間を短くすることができ、プレス加工によるシワ等がさらに発生しにくくなる。
初期高さ差h0は1.0〜5.0mmに限定されない。図10Cに示すとおり、外側パンチ52の端面52Aを中間成形品1Aと接触させたときに、ブランクホルダ54の端面54Aが中間成形品1Aに接触しなければ、初期高さ差h0は特に限定されない。
[第2工程]
中央パンチ51及び中央ダイ53が中間成形品1Aを挟み、外側パンチ52を中間成形品1Aに接触させた後、第2工程では、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟んだまま、さらに、ブランクホルダ54を中間成形品1Aと接触させて外側パンチ52及びブランクホルダ54により中間成形品1Aを挟む(図10D参照)。
本例では、外側パンチ52を中間成形品1Aに接触させた後、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟んだまま、外側パンチ52を中央パンチ51に対して相対的に降下する。これにより、中間成形品1Aの中間フランジ部7Aが若干変形し、その結果、中間フランジ部7Aが外側パンチ52の端面52Aだけでなく、ブランクホルダ54の端面54Aとも接触する。これにより、外側パンチ52及びブランクホルダ54により、中間成形品1A(の中間フランジ部7A)を挟む。
以上のとおり、外側パンチ52が中間成形品1Aに接触するまで、ブランクホルダ54は中間成形品1Aと接触しない。換言すれば、外側パンチ52が中間成形品1Aと接触した後(例えば、外側パンチ52が中間成形品1Aの中間フランジ部7Aと接触してから外側パンチ52がさらに1.0〜5.0mm降下した後)、ブランクホルダ54が中間成形品1Aの中間フランジ部7Aと接触する。これにより、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟んだまま、外側パンチ52及びブランクホルダ54により中間成形品1Aを挟む。
[後工程]
前工程(の第2工程)において外側パンチ52及びブランクホルダ54により中間成形品1Aの中間フランジ部7Aを挟んだ後、中間成形品1Aを挟んだままの中央パンチ51及び中央ダイ53に対して、中間成形品1Aを挟んだままの外側パンチ52及びブランクホルダ54を相対的に移動して、図10Eに示すとおり、第2縦壁部5B及びフランジ部7を成形して、パネル状成形品1を成形する。本例では、中間成形品1Aを挟んだままの外側パンチ52及びブランクホルダ54をさらに降下して、プレス加工(ホットスタンピング)を実施する。そして、外側パンチ52が中間フランジ部7Aと接触してからパネル状成形品1の第2縦壁部5Bの高さに相当する距離まで外側パンチ52を降下したとき、外側パンチ52の降下を停止する。以上の工程により、パネル状成形品1が製造される。
なお、中央パンチ51、外側パンチ52、中央ダイ53及びブランクホルダ54の内部には、水等の冷却媒体が循環している。そのため、プレス加工中の中間成形品1Aは急冷される。つまり、最終プレス加工工程では、中間成形品1Aを、プレス加工しながら急冷(焼入れ)する。
上述のとおり、最終プレス加工工程では、中間成形品1Aをプレス加工しつつ焼入れする。そのため、パネル状成形品1のミクロ組織はマルテンサイトを含有する。そのため、高強度のパネル状成形品1を製造できる。
本実施の形態ではさらに、前工程において、初めに、外側パンチ52を中間成形品1Aと接触させた後(第1工程)、ブランクホルダ54を中間成形品1Aと接触させる(第2工程)。仮に、中間成形品1Aを中央ダイ53に配置したとき、ブランクホルダ54の端面54Aが中央ダイ53の段差面部534と同じ高さであれば、プレス加工を受ける予定の中間フランジ部7Aにブランクホルダ54が接触してしまう。この場合、外側パンチ52が中間フランジ部7Aと接触する前に、中間フランジ部7Aの温度は低下してしまう。そのため、プレス加工が困難となる。また、十分な焼入れを実施することが困難となる。
これに対して、本実施形態では、中間成形品1Aを中央ダイ53上に配置したとき、ブランクホルダ54を中間成形品1Aに接触させない。そして、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟み、かつ、外側パンチ52を中間成形品1Aの中間フランジ部7Aに接触させた後、ブランクホルダ54を中間フランジ部7Aに接触させる。そのため、外側パンチ52及びブランクホルダ54によりプレス加工が施される前に、中間フランジ部7Aの温度が低下するのを抑制できる。そのため、中間フランジ部7Aの温度低下に起因して中間成形品1Aの加工性が低下するのを抑制でき、中間成形品1Aに対して十分な焼入れを実施しやすくなる。
なお、外側パンチ52とブランクホルダ54とで中間成形品1Aの中間フランジ部7Aを挟んだ状態において、外側パンチ52の端面52Aとブランクホルダ54の端面54Aとの間隔(ギャップ)が、中間成形品1Aの板厚に0.1mm程度加算した寸法(例えば、中間成形品1Aの板厚に0.05〜0.3mm加算した寸法)に維持されるのが好ましい。
たとえば、ブランクホルダ54は、端面54Aの外縁の一部に、図示しないスペーサを有する。スペーサは、中間成形品1Aの板厚に0.1mm程度加算した寸法(例えば、中間成形品1Aの板厚に0.05〜0.3mm加算した寸法)の厚さを有する。そのため、外側パンチ52及びブランクホルダ54が中間成形品1Aを挟んだとき、外側パンチ52はブランクホルダ54のスペーサと接触する。そのため、外側パンチ52とブランクホルダ54との隙間が上記寸法となる。この場合、外側パンチ52とブランクホルダ54とにより、中間成形品1Aは緩く挟まれた状態となる。そのため、プレス加工時に中間成形品1Aが過剰に拘束されず、変形に応じて材料が引き込まれやすい。そのため、円滑にプレス加工が実施される。
さらに、ホットスタンピング工程において、段差部6、第2縦壁部5B、及びフランジ部7を成形するとき、中間成形品1Aの天板部2と、中間フランジ部7Aのうち段差部6に成形される領域とが、中央パンチ51及び中央ダイ53に挟まれて拘束される。これにより、パネル状成形品1にシワ等の欠陥が発生しにくい。以下、この点について詳述する。
[割れ及びシワの抑制]
図11は、従来の最終プレス加工装置によるプレス加工中の状態を示す断面図である。図11では、従来の最終プレス加工装置のパンチの段差面付近を拡大して示す。従来の最終プレス加工装置200では、パンチ220の段差面部220B及び基準端面220Cは一体的に形成されている。そのため、プレス加工中において、パンチ220の端面部220A及び段差面部220Bがダイ210の端面部210A及び段差面部210Bに到達するよりも早く、パンチ220の基準端面220Cがブランクホルダ230の端面230Cに到達する。このとき、パンチ220の段差面部220Bに押し込まれるブランク材Sの領域S1は、拘束されていない。つまり、ブランク材Sの領域S1は、ダイ210及びパンチ220と接触しない。
図11に示すように、ダイ210及びパンチ220がブランク材Sを加工している間、ブランク材Sは、パンチ220の端面部220A側に引き込まれる。そのため、ブランク材Sの材料が、ブランクホルダ230とパンチ220とによって挟まれる領域から、領域S1に流入しやすい。領域S1に材料が流入した状態で、領域S1がプレスされれば、領域S1にシワが発生しやすくなる。領域S1に流入した余分な材料が存在するためである。また、プレス中において、拘束されていない領域S1は、張力を受ける。領域S1が張力を受けた状態で、領域S1がプレスされれば、領域S1で割れが発生しやすくなる。ブランク材Sの板厚が薄い場合特に、割れが発生しやすい。
これに対して、本実施形態では、プレス加工工程を、中間プレス加工工程と最終プレス加工工程の2つに分離する。そして、中間プレス加工工程において、パネル状成形品1の段差部6の高さまで成形された中間成形品1Aをあらかじめ成形する。さらに、最終プレス加工工程において、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aの凹部4、縁部3、第1縦壁部5A及び段差部6に相当する領域を挟んで拘束したまま、外側パンチ52及びブランクホルダ54が中間成形品1Aの中間フランジ部7Aを挟んでプレス加工を実施する。この場合、中間成形品1Aのうち、プレス加工される領域において、拘束されていない自由な領域(図11中の領域S1のような領域)が極めて少ない。そのため、シワや割れの発生が抑制される。
プレス加工工程を中間プレス加工工程と最終プレス加工工程とに分けて二段階で実施することによる上記シワ及び割れの発生の抑制効果は、最終プレス加工工程にてホットスタンピングを実施したときにも得られるし、後述のように、製造工程において加熱工程を省略して、最終プレス加工工程にて冷間プレスを実施した場合においても、同様に得られる。
なお、最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施する場合に、上記前工程を、第1工程と第2工程とに分けずに実施してもよい。つまり、外側パンチ52が中間成形品1Aと接触する前に、ブランクホルダ54が中間成形品1Aと接触してもよい。この場合であっても、中間プレス加工工程と最終プレス加工工程とで2段階のプレス加工を実施することにより、シワ等の発生を抑制することができる。ただし、最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施する場合には、最終プレス加工工程の前工程を、上記第1工程及び第2工程に分けて実施する方が好ましい。ホットスタンピング前の中間成形品1Aのプレス加工部分の温度低下を抑制できるため、ホットスタンピング時の中間成形品1Aの加工性を維持でき、かつ、焼入れ性を十分に確保できるからである。
上述のパネル状成形品1の割れ及びシワの抑制は、中間プレス加工工程において、ブランク材Sを中間成形品1Aに成形する際においても、同様である。中間プレス加工工程では、第2中間プレス加工工程においてブランク材Sに縁部3及び第1縦壁部5Aを成形する場合、第1中間プレス加工工程で既に成形した凹部4及び縁部3に成形される領域を拘束する(図6B及び図6C、図8B及び図8C参照)。すなわち、第2中間プレス加工工程において、図11中のブランク材S中のS1領域のような、自由な領域が少ない。したがって、成形された中間成形品1Aにシワ等が発生しにくい。
上述のとおり、中間プレス加工工程では、冷間で、中間成形品1Aを成形してもよい。冷間加工においても、プレス加工の際、図11中のS1領域のような自由な領域が存在すれば、シワ等が生じやすい。これに対し、本実施形態の中間プレス加工工程では、上述のとおり、第2中間プレス加工工程において、凹部4及び縁部3が形成される領域を拘束しながら、縁部3及び第1縦壁部5Aを成形する。したがって、中間プレス加工工程が冷間による加工であっても、温間による加工であっても、熱間による加工であっても、中間成形品1Aにシワ等が発生しにくい。
なお、最終プレス加工工程において、ホットスタンピングを実施する場合、ブランク材Sはパンチ、ダイ、及びブランクホルダとの接触によって冷却される。ところが、図11のような従来の最終プレス加工装置を用いてホットスタンピングを実施する場合、ブランク材Sの一部分S1は、上述した理由により冷却されない。ブランク材Sの一部分S1は、パンチ220が図11に示す位置よりさらに降下したとき、冷却される。要するに、一体的に形成されたパンチ220によって、縦壁部に段差を有するパネル状成形品を成形する場合、上述したようにブランク材Sの一部分S1は他の部分より遅れて冷却される。
ブランク材Sの冷却が部分的に遅れた場合、ブランク材Sに強度、延性差が発生する。そのため、最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施する場合はさらに、パネル状成形品に割れ、シワ等が発生しやすくなる。図1に示すように、ドアインナーパネルに代表されるパネル状成形品1の隣り合う縦壁部5が段状であり、段差部6を有する場合、特に割れ、シワ等が発生しやすい。
これに対して、本実施形態では、上述のとおり、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aの凹部4、縁部3、第1縦壁部5A及び段差部6に相当する領域を挟んで拘束したまま、外側パンチ52及びブランクホルダ54が中間成形品1Aの中間フランジ7Aを挟んでプレス加工を実施する。この場合、中間成形品1Aのうち、プレス加工される領域において、拘束されていない自由な領域が少ない。そのため、最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施しても、シワ等の発生が抑制される。
上述の実施の形態では、成形されるパネル状成形品1の素材が鋼板である場合を説明した。しかしながら、本実施形態の製造方法は、上述のとおり、鋼板以外の金属板を素材とするパネル状成形品1の製造にも適用できる。金属板は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、複層鋼板、チタン、マグネシウム等である。
[最終プレス加工工程にてホットスタンピングに代えて冷間プレスを実施する場合]
上述の実施の形態では、加熱工程を実施して、最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施した。しかしながら、上記製造工程において、中間成形品1Aに対して加熱工程を省略し、最終プレス加工工程において冷間プレスを実施することにより、パネル状成形品1を製造してもよい。ブランク材が鋼板である場合、最終プレス加工工程において冷間プレスを実施して製造されるパネル状成形品1の引張強度は340MPa以上が好ましい。以下、最終プレス加工工程において、冷間プレスを実施する場合について、以下、説明する。
最終プレス加工工程において冷間プレスを実施する場合の最終プレス加工装置は、図10Aに示す最終プレス加工装置50と同じ構成を備える。ただし、中央パンチ51、外側パンチ52、中央ダイ53、及びブランクホルダ54内に冷却媒体を循環させなくてもよい。また、冷間プレスを実施する場合、ブランクホルダ54の端面54Aは、中央ダイ53の段差面部534と同じ高さに配置されてもよい。
図10Aと同じ構成の最終プレス加工装置を用いて冷間プレスによりパネル状成形品1を製造する製造方法は、準備工程と、中間プレス加工工程と、最終プレス加工工程とを備える。つまり、冷間プレスを実施する場合、ホットスタンピングを実施する場合と比較して、加熱工程が省略される。
最終プレス加工工程は、次の前工程及び後工程を含む。
前工程:中央ダイ53上に(常温の)中間成形品1Aを配置して、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟み、さらに、外側パンチ52及びブランクホルダ54により中間成形品1Aを挟む。
後工程:中間成形品1Aを挟んだままの中央パンチ51及び中央ダイ53に対して、中間成形品1Aを挟んだままの外側パンチ52及びブランクホルダ54を相対的に移動して、パネル状成形品1を製造する。
以下、各工程の詳細を説明する。
[前工程]
冷間プレスにより中間成形品1Aからパネル状成形品1を製造する場合、最終プレス加工工程内の前工程において、中央ダイ53及びブランクホルダ54上に、中間成形品1Aを配置する。配置後、中央パンチ51及び外側パンチ52を降下する。このとき、中央パンチ51の端面のうちパネル状成形品1の段差部6に相当する端面部分と、外側パンチ52の端面52Aとの高さを略同じにしたまま、中央パンチ51及び外側パンチ52を降下する。その結果、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟み、かつ、外側パンチ52及びブランクホルダ54により中間成形品1Aのうちの中間フランジ部7Aを挟む。
[後工程]
前工程を実施した後、中央パンチ51及び中央ダイ53により中間成形品1Aを挟んだまま、かつ、外側パンチ52及びブランクホルダ54により中間成形品1Aの中間フランジ部7Aを挟んだまま、外側パンチ52及びブランクホルダ54をさらに降下する。これにより、中間フランジ部7Aがプレス加工され、第2縦壁部5B及びフランジ部7が成形されて、パネル状成形品1が製造される。
なお、ホットスタンピングに代えて冷間プレスを実施する場合、前工程は第1工程及び第2工程に分けなくてもよい。第1工程及び第2工程は、ホットスタンピング実施前に中間成形品1Aの加工部分(外縁部分)の温度が低下するのを抑制するための工程である。したがって、中間成形品1Aを加熱せずにプレスする冷間プレスの場合、中間成形品1Aは高温ではないため、前工程を第1及び第2工程に分けなくてよい。
以上のとおり、最終プレス加工工程において、ホットスタンピングに代えて冷間プレスを実施した場合であっても、上述の中間プレス加工工程及び最終プレス加工工程を実施することにより、最終プレス加工工程においてホットスタンピングを実施した場合と同様に、パネル状成形品にシワ及び割れが発生するのを抑制できる。
図4に示されるような、凹部4に陥没部11及び/又は隆起部を含むパネル状成形品10を製造する場合、陥没部11及び/又は隆起部を中間プレス加工工程で製造することができる。なお、中間プレス加工工程において、陥没部11及び/又は隆起部に対応する中間陥没部及び又は中間隆起部を凹部4に成形しておき、その後、最終プレス加工工程にて、陥没部11及び隆起部を成形してもよい。
上述したプレス加工装置(中間プレス加工装置20、30及び40、及び、最終プレス加工装置50を含む)において、パンチ、ダイ、及びブランクホルダの配置は、各図に示される場合に限定されない。各プレス加工装置において、パンチ、ダイ、ブランクホルダ等で構成される上型及び下型の配置が上下反転していてもよい。
本実施形態の製造方法による効果を確認するため、FEM(有限要素法)による解析を実施した。本発明例では、図6に示す中間プレス加工装置20、及び、図10Aに示す最終プレス加工装置50を用いた第1実施形態の製造方法により、図1に示すパネル状成形品1(ドアインナーパネル)を製造することを想定した。一方、比較例では、図11に示す従来のホットスタンピング装置を用いることにより、本発明例と同様のパネル状成形品(ドアインナーパネル)を製造することを想定した。本発明例及び比較例に対して、次の解析方法を実施して、解析結果からパネル状成形品のシワの発生状況を評価した。
[解析条件]
解析に用いた素材(発明例では中間成形品1A、比較例ではブランク材)は、質量%で、C:0.21%、Si:0.25%、Mn:1.20%、B:0.0020%を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼板とした。ブランク材の板厚は1.2mmとした。焼入れ後の材料特性は、ビッカース硬さHV:448、降伏強さ:448MPa、引張強さ:1501MPa、及び、破断伸び:6.4%とした。素材の加熱温度は750℃とした。ホットスタンピングでの金型の移動速度は40m/s相当とした。ホットスタンピングにおける金型と素材との摩擦係数は0.4とした。解析には、汎用のFEM解析ソフト(LIVERMORE SOFTWARE TECHNOLOGY社製、商品名LS−DYNA)による熱−成形連成解析を用いた。
本発明例及び比較例ではいずれも、ドアインナーパネルとしてのパネル状成形品の諸寸法を以下のとおりとした。
・全長(フランジ部含む):950mm
・全幅(フランジ部含む):670mm
・天板部の全長:830mm
・天板部の全幅:600mm
・第1縦壁部の高さ:40mm
・第2縦壁部の高さ:40mm
・段差部の最小幅:40mm
本発明例のホットスタンピングにおいて、ブランクホルダ54の端面54Aの初期高さを中央ダイ53の段差面部534から3.0mm低い高さに設定した。したがって、本発明例では、中央パンチ51及び外側パンチ52が中間成形品1Aに接触してからさらに外側パンチ52が3.0mm降下した後、ブランクホルダ54が中間成形品1Aと接触した。
[評価方法]
本発明例及び比較例のパネル状成形品について、段差部6の表面に生じた凹凸の曲率を調査した。曲率は、下記の式を用いて算出した。
(曲率[1/m])=(1/(曲率半径))
段差部6の表面に垂直な複数の断面それぞれにおいて、段差部6の表面に存在する凹凸の曲率半径を算出し、そのうちの最小値を上記式中の曲率半径として採用した。曲率が0.01以上の場合、パネル状成形品にシワが発生したと判断した。
[解析結果]
発明例では、曲率が0.01以上となる断面はなかった。したがって、シワは発生しなかったといえた。一方、比較例では、曲率が0.01以上となる断面が多かった。したがって、シワが発生したといえた。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかしながら、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変更して実施することができる。
1、10 パネル状成形品
1A 中間成形品
2 天板部
3 縁部
4 凹部
5 縦壁部
6 段差部
7 フランジ部
8 ウインドウ部材
50 最終プレス加工装置

Claims (13)

  1. 金属板からなるパネル状成形品であって、
    多角形状の天板部と、
    前記天板部の外縁の辺のうちの少なくとも2以上の各辺から延びる複数の縦壁部と、
    前記縦壁部の下端とつながり、前記天板部の延在方向に延びるフランジ部とを備え、
    前記天板部は、
    前記天板部の外縁のうち前記縦壁部とつながる辺を含む縁部と、
    前記縁部の内側に配置され、前記縁部から凹んだ凹部とを含み、
    複数の前記縦壁部のうち、互いに隣り合う少なくとも一組の前記縦壁部の各々は、
    第1縦壁部と、
    前記第1縦壁部の下端とつながり、前記天板部の延在方向に延びる段差部と、
    前記段差部の外縁とつながり、前記第1縦壁部の延在方向に延びる第2縦壁部とを含み、
    前記フランジ部は、前記第2縦壁部の下端とつながる、パネル状成形品。
  2. 請求項1に記載のパネル状成形品であって、
    前記縁部の幅W(mm)は、前記天板部の最大幅L(mm)との関係で、式(1)を満たす、パネル状成形品。
    10<W<0.2×L (1)
  3. 請求項1又は請求項2に記載のパネル状成形品であって、
    前記縁部から前記凹部の底面までの高さは、前記縁部から前記段差部までの高さよりも大きい、パネル状成形品。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパネル状成形品であって、
    前記金属板は鋼板であり、前記鋼板の引張強度は340MPa以上である、パネル状成形品。
  5. 請求項4に記載のパネル状成形品であって、
    前記金属板は鋼板であり、前記鋼板の引張強度は600MPa以上である、パネル状成形品。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のパネル状成形品であって、
    前記天板部の前記凹部はさらに、
    前記凹部の底面に、前記底面から凹んだ線状の陥没部、及び、前記底面から突出する線状の隆起部のうちの少なくとも一方を含む、パネル状成形品。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパネル状成形品であって、
    前記金属板は、テーラードブランクである、パネル状成形品。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のパネル状成形品であって、
    前記パネル状成形品は車両用のドアインナーパネルであり、
    前記天板部の外縁の複数の辺のうち、車両上側に対応する前記辺に前記縁部及び前記縦壁部を有さない、パネル状成形品。
  9. 車両に搭載可能な車両用ドアであって、
    請求項7に記載のパネル状成形品と、
    前記パネル状成形品の車両外側に配置され、前記ドアインナーパネルと接合されるドアアウターパネルと、
    前記凹部に収容可能であり、前記パネル状成形品の車両内側に配置されるウインドウ部材と、を備える、車両用ドア。
  10. 請求項1に記載のパネル状成形品の製造方法であって、
    前記鋼板からなるブランク材を準備する準備工程と、
    前記ブランク材にプレス加工を施すことにより、前記天板部を成形するとともに、前記第1縦壁部及び前記段差部の高さまで成形して、中間成形品を製造する中間プレス加工工程と、
    最終プレス加工装置を用いて、前記中間成形品にプレス加工を施して前記パネル状成形品を製造する最終プレス加工工程とを備え、
    前記最終プレス加工装置は、
    前記パネル状成形品のうち前記天板部から前記段差部の外縁までの形状に対応する端面形状を含む中央ダイと、
    前記中央ダイの外側であって前記中央ダイの隣に配置されるブランクホルダと、
    前記中央ダイに対向し、前記パネル状成形品のうち前記天板部から前記段差部までの形状に対応する端面形状を含む中央パンチと、
    前記中央パンチの外側であって前記中央パンチの隣に配置され、前記ブランクホルダに対向する外側パンチとを備え、
    前記最終プレス加工工程では、
    前記中央ダイ上に前記中間成形品を配置して、前記中央パンチ及び前記中央ダイにより前記中間成形品を挟み、さらに、前記外側パンチ及び前記ブランクホルダにより前記中間成形品を挟む前工程と、
    前記中間成形品を挟んだままの前記中央パンチ及び前記中央ダイに対して、前記中間成形品を挟んだままの前記外側パンチ及び前記ブランクホルダを相対的に移動して、前記第2縦壁部及び前記フランジ部を成形して前記パネル状成形品を成形する後工程とを含む、パネル状成形品の製造方法。
  11. 請求項10に記載のパネル状成形品の製造方法であってさらに、
    前記最終プレス加工工程前に、前記中間成形品を加熱する加熱工程を備え、
    前記最終プレス加工工程は、加熱された前記中間成形品にプレス加工を施しつつ焼入れを実施して、前記パネル状成形品を製造し、
    前記最終プレス加工工程の前記前工程は、
    前記中央ダイ上に加熱された前記中間成形品を配置して、前記中央パンチ及び前記中央ダイにより前記中間成形品を挟み、さらに、前記外側パンチを前記中間成形品に接触させる第1工程と、
    前記外側パンチを前記中間成形品に接触させた後、前記中央パンチ及び前記中央ダイにより前記中間成形品を挟んだまま、さらに、前記ブランクホルダを前記中間成形品に接触させて前記外側パンチ及び前記ブランクホルダにより前記中間成形品を挟む第2工程とを含む、パネル状成形品の製造方法。
  12. 請求項11に記載のパネル状成形品の製造方法であって、
    前記第1工程では、前記ブランクホルダの端面の高さが前記中央ダイの端面のうち前記パネル状成形品の前記段差部に対応する段差面部の高さよりも低くなるよう、前記ブランクホルダを配置する、パネル状成形品の製造方法。
  13. 請求項12に記載のパネル状成形品の製造方法であって、
    前記鋼板は、テーラードブランクである、パネル状成形品の製造方法。
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