JPWO2017126602A1 - 多孔質金属酸化物の製造方法 - Google Patents

多孔質金属酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

多孔質金属酸化物の製造方法が提供される。その方法は、金属源と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製することと、上記スラリーを乾燥させて金属酸化物前駆体を得ることと、上記金属酸化物前駆体を焼成して多孔質金属酸化物を生成することとを含む。ここで、上記金属源は、上記多孔質金属酸化物を構成する金属を含む有機金属化合物またはその加水分解物であり、上記細孔形成剤は、上記金属酸化物前駆体を焼成する温度以下の温度で分解してガスを生じる無機化合物である。上記スラリーの調製は、上記金属源100重量部に対して上記細孔形成剤50重量部以上を用いて行われる。

Description

本発明は、多孔質金属酸化物の製造方法に関する。
本出願は、2016年1月21日出願の米国仮特許出願第62/281,361号および2016年5月19日出願の米国仮特許出願第62/338,756号に基づく優先権を主張しており、それらの出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
多孔質アルミナや多孔質ジルコニア等の多孔質金属酸化物は、触媒担体や吸着材等として広く用いられている。多孔質アルミナまたはその製造に係る技術文献として、特許文献1〜3が挙げられる。メソポーラス構造を有する金属酸化物の触媒担体としての利用に関する技術文献として、特許文献4が挙げられる。
多孔質金属酸化物の一用途として、テクネチウム99m(99mTc)ジェネレータにおけるMo吸着材としての用途が挙げられる。99mTcジェネレータは、Mo吸着材を充填したカラムに親核種であるモリブデン99(99Mo)を吸着させた装置であって、上記カラムに生理食塩水を通すことにより、99Moから生成する99mTcを溶出させ得るように構成されている。上記溶出により取り出された99mTcは、適切な薬剤と結合させて、いわゆる放射性医薬品(テクネチウム製剤)として核医学的診断等に利用される。
99mTcジェネレータのMo吸着材として好ましく用いられる得る多孔質金属酸化物の一例として、多孔質アルミナが挙げられる。また、99mTcジェネレータのMo吸着材用の多孔質アルミナに係る技術文献として、非特許文献1が挙げられる。この非特許文献1には、細孔形成のテンプレートとしてグルコースを用いて多孔質アルミナを製造することが記載されている。
多孔質金属酸化物の他の一用途として、触媒担体としての用途が挙げられる。例えば、自動車用エンジン等の内燃機関から排出される排気ガスを浄化するために、白金等の金属を触媒成分として含む三元触媒が、典型的には触媒担体に担持された形態で広く用いられている。触媒担体としては、例えば金属酸化物の粉末が好ましく用いられ得る。また、多孔質構造を有する触媒担体は、触媒成分と目的成分との接触効率の観点から有利となり得る。さらに触媒担体の実際の使用環境下における耐久性を考慮して、触媒担体の好適例として多孔質アルミナや多孔質ジルコニア等の多孔質金属酸化物が挙げられる。
日本国特許出願公開2013−129574号公報 米国特許第4175118号明細書 米国特許出願公開第2012/0122671号明細書 日本国特許出願公開2002−320850号公報
インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー・リサーチ(Ind. Eng. Chem. Res.),第52巻,第11673〜11684ページ(2013)
99mTcジェネレータの高性能化の観点から、より多くのMoを保持(担持)し得るMo吸着材が求められている。しかし、特許文献1〜3には、触媒担体や吸着剤等の用途としての多孔質アルミナの記載はあるものの、99mTcジェネレータのMo吸着材として多孔質アルミナを用いることの記載はない。また、特許文献1に記載されたメソポーラスアルミナの製造方法は、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩水溶液と炭酸アンモニウム水溶液とが混合されたスラリーを用意する工程を含むが、上記スラリーを用意する工程は不安定になりやすく、例えば上記混合の過程で急激なゲル化が生じて均質なスラリーが得られない、あるいはゲル化を抑制するための製造上の制約が多いという不便がある。特許文献2は、NH及び/又はCOを分解する化合物を8〜20重量%含有する水溶液中でアルミニウムアルコラートを加水分解することを含む多孔性アルミナ生成物の製造方法を提案しているが、上記化合物はアルミニウムアルコラート10重量部毎に0.5〜3.0重量部の量で用いられており、本明細書により提供される製造方法とは明らかに異なる。特許文献3は、内燃機関からの排気生成物を処理する触媒担体としての用途に適するアルミナを製造する方法に関し、上記用途において要請される耐熱性を優先的に考慮した技術であって、ここに開示される発明との関連性は低い。特許文献4にも、99mTcジェネレータのMo吸着材として多孔質金属酸化物を用いることの記載はない。また、この特許文献4には、塩酸水溶液にヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを溶解し、さらにテトラプロポキシドジルコニウムを加えて溶解し、別に準備した硫酸アンモニウム水溶液を混合して攪拌、冷却、遠心分離等の工程を経て多孔質ジルコニアを製造することが記載されているが、かかる製造方法は煩雑であり、改善の余地がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、様々な用途で好適に使用し得る多孔質金属酸化物に関する汎用性の高い製造方法を提供することを目的とする。
この明細書により提供される多孔質金属酸化物の製造方法は、金属源と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製することを含む。また、上記スラリーを乾燥させて金属酸化物前駆体を得ることを含む。さらに、上記金属酸化物前駆体を焼成して多孔質金属酸化物を生成することを含む。ここで、上記金属源としては、上記多孔質金属酸化物を構成する金属を含む有機金属化合物またはその加水分解物が用いられる。上記細孔形成剤としては、上記金属酸化物前駆体を焼成する温度以下の温度で分解してガスを生じる無機化合物が用いられる。そして、上記スラリーの調製は、上記金属源100重量部に対して凡そ50重量部以上の上記細孔形成剤を用いて行われる。
上記製造方法によると、金属源として有機金属化合物またはその加水分解物を用いるので、均質性のよいスラリーを容易に調製することができる。このスラリーは、金属源100重量部に対して凡そ50重量部以上の細孔形成剤を用いて調製されるので、該スラリーを乾燥および焼成することにより、種々の用途(例えばMo吸着材、触媒担体等の用途)に適した構造を有する多孔質金属酸化物を的確に生成することができる。
ここに開示される技術は、上記有機金属化合物が金属アルコキシドである態様で好ましく実施され得る。金属アルコキシドの一好適例として、金属イソプロポキシドが挙げられる。
上記細孔形成剤としては、アンモニウム塩、炭酸塩および炭酸水素塩から選択される少なくとも1種の化合物を好ましく使用し得る。このような細孔形成剤を用いることにより、種々の用途(例えばMoの吸着)に適した細孔が効率よく形成される傾向にある。
ここに開示される技術の好ましい一態様において、上記スラリーの調製は、上記水性溶媒100重量部に対して凡そ1重量部以上かつ凡そ50重量部以下の上記金属源(例えば、金属アルコキシド)を用いて行うことができる。このような態様によると、均質性のよいスラリーが容易に調製される傾向にある。
ここに開示される技術の他の好ましい一態様において、上記スラリーの調製は、上記水性溶媒100重量部に対して凡そ2重量部以上かつ凡そ30重量部以下の上記細孔形成剤を用いて行うことができる。このような態様によると、均質性のよいスラリーが容易に調製される傾向にある。
上記金属酸化物前駆体の焼成は、凡そ500℃以上かつ凡そ700℃以下の焼成温度で行うことが好ましい。このことによって、種々の用途に適した構造を有する多孔質金属酸化物を効率よく生成することができる。
ここに開示される技術の一態様において、上記金属酸化物前駆体の焼成は、第1段目から第N段目までのN段(Nは2以上の整数である。)の焼成段階をこの順に含み得る。かかる態様によると、多孔質金属酸化物の均質性が向上し得る。より高い効果を得る観点から、上記N段の焼成段階のうち第n−1段目(nは2以上N以下の整数である。)の焼成段階による焼成物を、いったん300℃未満の温度まで冷却した後に次の(すなわち、第n段目の)焼成段階に供してもよい。
ここに開示される技術の一態様において、上記金属酸化物前駆体の焼成は、前記細孔形成剤が分解してガスを生じる温度以上の温度(例えば、凡そ500℃以上かつ凡そ700℃以下の焼成温度)で行われる第1焼成段階および第2焼成段階を含み得る。上記第1焼成段階による焼成物は、いったん300℃未満の温度まで冷却した後に上記第2焼成段階に供することができる。このような態様によると、より均質性のよい多孔質金属酸化物が製造され得る。
ここに開示される技術の一態様では、上記金属酸化物前駆体を焼成することにより、平均細孔径が9nm以上の上記多孔質金属酸化物を生成する。このような平均細孔径を有する多孔質金属酸化物は、例えば、Mo吸着材や触媒担体等の種々の用途に好ましく用いられ得る。
ここに開示される技術の他の一態様では、上記金属酸化物前駆体を焼成することにより、細孔容積が0.3cm/g以上の上記多孔質金属酸化物を生成する。このような細孔容積を有する多孔質金属酸化物は、例えば、Mo吸着材や触媒担体等の種々の用途に好ましく用いられ得る。
ここに開示される技術の他の一態様では、上記金属酸化物前駆体を焼成することにより、比表面積が180m/g以上の上記多孔質金属酸化物を生成する。このような比表面積を有する多孔質金属酸化物は、例えば、Mo吸着材や触媒担体等の種々の用途に好ましく用いられ得る。
ここに開示される技術における多孔質金属酸化物の非限定的な例には、多孔質アルミナおよび多孔質ジルコニアが含まれる。このような多孔質金属酸化物は、例えば、Mo吸着材や触媒担体等の種々の用途に好ましく用いられ得る。上記多孔質アルミナの一好適例として、実質的にγ−アルミナからなる多孔質アルミナが挙げられる。
この明細書によると、また、99mTcジェネレータの製造方法が提供される。その方法は、ここに開示されるいずれかの方法により多孔質金属酸化物を製造することと、上記多孔質金属酸化物を99mTcジェネレータの遮蔽体内に組み込むこととを包含する。かかる方法によると、Mo吸着性能のよい多孔質金属酸化物(例えば多孔質アルミナ)を備えることにより、高性能な99mTcジェネレータを製造することができる。
図1は、本発明に係る多孔質金属酸化物製造方法を示すフロー図である。 図2は、99mTcジェネレータの概略構成を示す模式図である。 図3は、例1〜4,6により製造された多孔質アルミナのMo吸着量を示す特性図である。 図4は、例7により製造された多孔質ジルコニアのTEM像である。 図5は、例8により製造された多孔質ジルコニアのTEM像である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
この明細書により提供される多孔質金属酸化物製造方法は、例えば、多孔質アルミナの製造に好ましく適用され得る。すなわち、この明細書によると、アルミニウム源(Al源)と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製すること;上記スラリーを乾燥させてアルミナ前駆体を得ること;および、上記アルミナ前駆体を焼成して多孔質アルミナを生成すること;を包含する多孔質アルミナ製造方法が提供される。ここで、上記Al源は、上記多孔質アルミナを構成する金属であるアルミニウムを含む有機金属化合物(すなわち、有機アルミニウム化合物)またはその加水分解物である。また、上記細孔形成剤は、上記アルミナ前駆体を焼成する温度以下の温度で分解してガスを生じる無機化合物である。そして、上記スラリーの調製は、上記Al源100重量部に対して上記細孔形成剤50重量部以上を用いて行われる。
上記多孔質アルミナ製造方法において、Al源に代えて他の金属源、例えば他の金属アルコキシドを用いることにより、多孔質アルミナ以外の多孔質金属酸化物およびその製造方法が提供され得る。したがって、この明細書によると、多孔質金属酸化物(多孔質アルミナおよび他の多孔質金属酸化物を包含する。)およびその製造方法が含まれる。多孔質アルミナ以外の多孔質金属酸化物の一例として、多孔質ジルコニアが挙げられる。この明細書によると、ジルコニウム源(Zr源)と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製すること;上記スラリーを乾燥させてジルコニア前駆体を得ること;および、上記ジルコニア前駆体を焼成して多孔質ジルコニアを生成すること;を包含する、多孔質ジルコニア製造方法が提供される。ここで、上記Zr源は、有機ジルコニウム化合物またはその加水分解物であり得る。また、上記細孔形成剤は、上記ジルコニア前駆体を焼成する温度以下の温度で分解してガスを生じる無機化合物であり得る。そして、上記スラリーの調製は、上記Zr源100重量部に対して上記細孔形成剤50重量部以上を用いて行われ得る。多孔質アルミナ以外の多孔質金属酸化物の他の一例として、多孔質チタニアが挙げられる。この明細書によると、上記多孔質アルミナ製造方法においてAl源に代えてチタニウム源(例えばチタニウムアルコキシド)を使用することを特徴とする、多孔質チタニア製造方法が提供され得る。
ここに開示される多孔質金属酸化物(例えば、γ−アルミナ等の多孔質アルミナや多孔質ジルコニア)製造方法の典型的な一態様につき、図1を参照して説明する。まず、金属源と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製する(ステップS10)。次いで、ステップS10で調製したスラリーを乾燥させて金属酸化物前駆体を得る(ステップS20)。そして、ステップS20で得られた金属酸化物前駆体を焼成して多孔質金属酸化物を生成する(ステップS30)。以下、各ステップの内容および使用する材料等について詳細に説明する。
<金属源>
ここに開示される多孔質金属酸化物製造方法では、金属源として、目的とする多孔質金属酸化物に対応する金属を含む有機金属化合物またはその加水分解物を使用する。上記金属は、多孔質の酸化物を形成し得るものであればよく、特に限定されない。上記金属は、例えば、周期表2族〜14族(典型的には3族〜13族)のいずれかに属する金属であり得る。上記金属は、典型金属元素であってもよく、遷移金属元素であってもよい。上記金属の具体例としては、アルミニウム、ジルコニウム等が挙げられる。例えば、上記方法を多孔質アルミナの製造に適用する場合には有機アルミニウム化合物またはその加水分解物を、該方法を多孔質ジルコニアの製造に適用する場合には有機ジルコニウム化合物またはその加水分解物を、金属源として好ましく採用し得る。かかる金属源を用いることにより、均質性のよいスラリーを容易に調製することができる。このことは、多孔質金属酸化物の生産性や品質安定性の観点から好ましい。
この明細書において有機アルミニウム化合物とは、Alと有機基とを含む化合物をいう。したがって、ここでいう有機アルミニウム化合物の非限定的な例示には、例えばアルキルアルミニウムのように有機基の炭素(C)とAlとの直接結合を有する化合物のほか、有機基のCが他の元素を介してAlに結合した構造を有する化合物が含まれる。有機アルミニウム化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。有機ジルコニウム化合物およびその他の有機金属化合物についても同様である。
ここに開示される技術の一態様において、上記有機アルミニウム化合物としては、水不溶性のものを好ましく採用し得る。また、スラリーの調製容易性等の観点から、非イオン性の有機アルミニウム化合物を好ましく採用し得る。有機ジルコニウム化合物およびその他の有機金属化合物についても同様である。
ここに開示される技術における有機金属化合物は、例えば、有機基のCが酸素(O)を介して上記金属に結合した構造を有する化合物であり得る。かかる構造の有機金属化合物の典型例として金属アルコキシドが挙げられる。ここに開示される技術は、有機金属化合物として金属アルコキシドを用いる態様で好ましく実施され得る。このように金属アルコキシドを用いる態様において、上記スラリーを調製する工程は、細孔形成剤を含む水性溶媒中で金属アルコキシドを加水分解する工程として把握され得る。上記金属アルコキシドは、その少なくとも一部が加水分解した形態で上記スラリーの調製に用いられてもよい。
上記金属アルコキシドにおけるアルコキシ基の炭素原子数は特に限定されない。上記アルコキシ基の炭素原子数は、例えば1以上12以下程度であり得る。ここに開示される技術における有機金属化合物としては、アルコキシ基の炭素原子数が6以下、より好ましくは5以下、例えば4以下である金属アルコキシドを好ましく使用し得る。また、ハンドリング性の観点から、アルコキシ基の炭素原子数が2以上の金属アルコキシドを好ましく使用し得る。ここに開示される技術において使用し得る金属アルコキシドの好適例として、該金属のエトキシド、イソプロポキシド、sec−ブトキシドおよびtert−ブトキシドが挙げられる。
ここに開示される技術を多孔質アルミナに適用する場合、該多孔質アルミナの製造に使用し得るアルミニウムアルコキシドの好適例として、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムsec−ブトキシドおよびアルミニウムtert−ブトキシドが挙げられる。なかでもアルミニウムイソプロポキシドが好ましい。ここに開示される技術は、有機アルミニウム化合物としてアルミニウムイソプロポキシドを単独で使用する態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される技術を多孔質ジルコニアに適用する場合、該多孔質ジルコニアの製造に使用し得るジルコニウムアルコキシドの好適例として、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムsec−ブトキシドおよびジルコニウムtert−ブトキシドが挙げられる。なかでもジルコニウムイソプロポキシドが好ましい。ここに開示される技術は、有機ジルコニウム化合物としてジルコニウムイソプロポキシドを単独で使用する態様で好ましく実施され得る。その他の多孔質金属酸化物の製造に使用し得る金属アルコキシド(例えば、多孔質チタニアの製造に使用し得るチタニウムアルコキシド)についても同様である。
<細孔形成剤>
ここに開示される多孔質金属酸化物製造方法では、上記金属源と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製し、該スラリーを乾燥および焼成して多孔質金属酸化物を得る。上記細孔形成剤としては、上記焼成を行う温度以下の温度で分解してガスを生じる無機化合物が用いられる。細孔形成剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。理論により拘束されることを望むものではないが、本発明者は、上記乾燥および焼成の少なくともいずれかの過程で上記細孔形成剤から生じるガス(例えば、COおよびNHの一方または両方)が、種々の機能(例えばMo等の金属の保持、触媒担体としての機能等)を好適に発揮するために適した多孔質構造の形成に効果的に寄与するものと考えている。上記金属は、例えばアルミニウム、ジルコニウム等であり得るが、これらに限定されない。
上記細孔形成剤としては、凡そ500℃以下、より好ましくは凡そ400℃以下、典型的には凡そ300℃以下の温度でガスを発生する化合物を好ましく使用し得る。上記細孔形成剤として、凡そ200℃以下、さらには凡そ100℃以下の温度でガスを発生する化合物を使用してもよい。また、上記細孔形成剤としては、例えば凡そ30℃以上、より好ましくは凡そ40℃以上、典型的には凡そ50℃以上の温度でガスを発生する化合物を好ましく使用し得る。ここに開示される技術は、凡そ40℃以上凡そ300℃以下(例えば、凡そ50℃以上凡そ150℃以下)の温度でガスを発生する化合物を細孔形成剤として使用する態様で好ましく実施され得る。
上記細孔形成剤としては、特に限定されないが、例えば、アンモニウム塩、炭酸塩、炭酸水素塩等を用いることができる。例えば、アンモニウム塩および炭酸塩の少なくとも一方に属する化合物を好ましく使用し得る。細孔形成剤として使用し得る化合物の具体例としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。細孔形成剤の残渣を低減して高純度の多孔質アルミナを得る観点から、一態様において、目的の多孔質金属酸化物を構成する金属以外の金属元素を実質的に含有しない細孔形成剤を好ましく採用することができる。他の一態様において、スラリーの調製容易性の観点から、細孔形成剤として水溶性の化合物を好ましく採用することができる。
ここに開示される技術は、細孔形成剤として少なくとも炭酸アンモニウムを使用する態様で好ましく実施され得る。例えば、重量基準で、使用する細孔形成剤の凡そ70%以上(より好ましくは凡そ85%以上、例えば凡そ95%以上)が炭酸アンモニウムである態様が好ましい。細孔形成剤として実質的に炭酸アンモニウムのみを使用してもよい。ここで「実質的に」とは、炭酸アンモニウム以外の細孔形成剤を少なくとも意図的には使用しないことをいい、不可避的な不純物や変性物の存在は許容され得る。
<スラリーの調製>
ここに開示される多孔質金属酸化物製造方法において、スラリーを調製する手順は特に限定されない。一態様において、細孔形成剤を含む水性溶媒(例えば、細孔形成剤の水溶液)に金属源を加えて混合するという調製手順を採用し得る。上記金属は、例えばアルミニウム、ジルコニウム等であり得るが、これらに限定されない。
本明細書において水性溶媒とは、水と、水を主成分(典型的には、重量基準で最も多く含まれる成分)とする混合溶媒とを包含する概念である。上記混合溶媒を構成する水以外の成分としては、水と均一に混合し得る溶媒、例えば低級アルコール(典型的には炭素原子数1〜4程度のモノアルコール、例えばメタノール、エタノール等)や低級ケトン等から選択される1種または2種以上の溶媒が用いられ得る。ここに開示される技術における水性溶媒は、重量基準で、水の割合が典型的には50%を超えて100%以下である。
細孔形成剤を含む水性溶媒(典型的には、細孔形成剤の水性溶媒溶液)に金属源を加える態様において、該水性溶媒における水の割合は、重量基準で、典型的には50%以上であり、通常は70%以上が適当である。上記水の割合は、80%以上であってもよく、90%以上であってもよく、95%以上であってもよく、99%以上であってもよく、実質的に100%以上であってもよい。ここで「実質的に」とは、少なくとも意図的には水以外の溶媒を使用しないことをいう。ここに開示される技術は、例えば、細孔形成剤の水溶液に金属源を加えて混合する態様で実施することができる。
細孔形成剤を含む水性溶媒に金属源を加える態様において、金属源は、そのまま加えてもよく、適当な溶媒とともに、例えば該溶媒に溶解または分散した形態で加えてもよい。
ここに開示される技術は、例えばアルミニウムイソプロポキシドのように常温(例えば25℃)で固体状の金属源を、固体状のまま(すなわち、溶媒に溶解することなく)、上記細孔形成剤を含む水性溶媒に加える態様で好ましく実施され得る。この場合、上記固体状の金属源は、粉末の形態で加えることが好ましい。特に限定するものではないが、スラリーの均質性や上記粉末の分散性等の観点から、該粉末の平均粒径は、通常、凡そ300μm以下が適当であり、凡そ100μm以下が好ましい。上記粉末の平均粒径の下限は特に制限されない。一態様において、粉末の取扱い性等の観点から、上記粉末の平均粒径を例えば凡そ100nm以上とすることができる。上記平均粒径は、金属源の粉末を溶媒に分散させた形態で加える態様における該粉末の平均粒径にも適用され得る。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ回折散乱法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;以下、D50と略記する場合もある。)を意味するものとする。
細孔形成剤を含む水性溶媒に金属源を、該金属源が溶媒に溶解または分散した形態で加える態様において、上記金属源の溶解または分散に使用する溶媒としては、水、水と均一に混合し得る溶媒、これらの混合溶媒等を用いることができる。上記水と均一に混合し得る溶媒としては、低級アルコール(典型的には炭素原子数1〜4程度のモノアルコール、例えばメタノール、エタノール等)や低級ケトン等から選択される1種または2種以上の溶媒が用いられ得る。特に限定するものではないが、金属源の溶解または分散に用いる溶媒の量は、金属源100gに対して、例えば凡そ500g以下とすることができ、凡そ300g以下としてもよく、凡そ200g以下、さらには凡そ150g以下としてもよい。また、金属源100gに対する溶媒の使用量は、例えば凡そ10g以上とすることができ、凡そ50g以上としてもよく、凡そ80g以上、さらには凡そ100g以上としてもよい。
金属源と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製するにあたり、該スラリーの調製に使用する水性溶媒全体に占める水の割合は、重量基準で、典型的には50%を超えて100%以下であり、通常は、70%以上100%以下であることが好ましい。上記水の割合は、80%以上であってよく、90%以上であってもよく、95%以上、さらには99%以上であってもよい。一態様において、上記水の割合は、実質的に100%であってもよい。すなわち、スラリーの調製に使用する水性溶媒が水のみであってもよい。また、他の一態様において、スラリーの調製に使用する水性溶媒に占める水の割合は、例えば95%未満であってよく、90%未満であってもよい。ここに開示される技術は、スラリーの調製に使用する水性溶媒に占める水の割合が例えば80%以上100%以下である態様で実施することができる。
スラリーの調製に使用する細孔形成剤の量は、金属源100重量部に対して、凡そ50重量部以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ100重量部以上、より好ましくは凡そ150重量部以上である。金属源に対する細孔形成剤の使用量を多くすることにより、多孔質金属酸化物の重量当たりに保持し得る金属(例えば、Moや白金族金属その他の触媒金属等)の量が多くなる傾向にある。一態様において、金属源100重量部に対する細孔形成剤の使用量を凡そ200重量部以上、さらには凡そ250重量部以上としてもよい。細孔形成剤の使用量の上限は特に制限されないが、通常は、金属源100重量部に対して凡そ1000重量部以下とすることが適当であり、凡そ500重量部以下とすることが好ましく、例えば凡そ350重量部以下とすることができる。
スラリーの調製に使用する水性溶媒の量は、該水性溶媒100重量部に対する細孔形成剤の使用量が凡そ30重量部以下、好ましくは凡そ20重量部以下、より好ましくは凡そ10重量部以下となるように設定することができる。かかる分量の水性溶媒と細孔形成剤とを含む液体に金属源を加えて混合することにより、金属(例えばMo、触媒金属等)を効率よく担持し得る多孔質金属酸化物を与えるスラリーが好適に調製される傾向にある。水性溶媒100重量部に対する細孔形成剤の使用量の下限は特に限定されないが、通常、水性溶媒100重量部に対して凡そ2重量部以上とすることが適当であり、凡そ4重量部以上とすることが好ましく、例えば凡そ5重量部以上とすることができる。
スラリーの調製に使用する水性溶媒の量は、該水性溶媒100重量部に対する金属源の使用量が凡そ50重量部以下、好ましくは凡そ30重量部以下、より好ましくは凡そ20重量部以下、例えば10重量部以下となるように設定することができる。かかる分量の水性溶媒と細孔形成剤とを含む液体に金属源を加えて混合することにより、金属(例えばMo、触媒金属等)を効率よく担持し得る多孔質金属酸化物を与えるスラリーが好適に調製される傾向にある。例えば、金属源として金属アルコキシドを用いる態様において、スラリーのゲル化を抑制して良好な攪拌状態を維持し、上記金属アルコキシドの加水分解反応をより均一に進行させ得る。これにより、より構造の均質性のよい多孔質金属酸化物が形成される傾向にある。水性溶媒100重量部に対する金属源の使用量の下限は特に限定されない。スラリーの乾燥効率等の観点から、水100重量部に対する金属源の使用量は、通常、凡そ1重量部以上とすることが適当であり、凡そ2重量部以上とすることが好ましく、例えば凡そ3重量部以上とすることができる。
金属源と細孔形成剤と水性溶媒とを混合する時間(典型的には、細孔形成剤を含む水性溶媒に金属源を加えた後の混合時間)は、特に限定されず、使用する金属源の種類等に応じて、好適な多孔質金属酸化物を与えるスラリーが調製されるように設定することができる。スラリーの均質性の観点から、通常は、上記混合時間を凡そ1時間以上とすることが適当であり、好ましくは3時間以上、さらには6時間以上であり、例えば12時間以上としてもよい。金属源として金属アルコキシド(例えば金属イソプロポキシド)を粉末状で加える態様では、上記混合時間を凡そ12時間以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ24時間以上である。一方、生産性の観点から、上記混合時間は、通常、72時間以下とすることが適当であり、48時間以下とすることが好ましく、36時間以下とすることがより好ましい。
特に限定するものではないが、上記スラリーの調製は、例えば凡そ60℃未満の温度で行うことができ、凡そ50℃未満、さらには凡そ40℃未満(例えば凡そ35℃未満)の温度で行ってもよい。上記温度によると、より均質性の高いスラリーが安定して調製され得る。また、スラリーの調製は、生産性の観点から、通常は凡そ10℃以上の温度で行うことが適当であり、例えば凡そ15℃以上で行うことが好ましい。上述したスラリー調製温度は、例えば、金属源として金属アルコキシド(例えば金属イソプロポキシド)を用いる態様において好ましく適用され得る。
<スラリーの乾燥>
ここに開示される多孔質金属酸化物製造方法は、典型的には、上記スラリーを乾燥させて金属酸化物前駆体を得る工程を含む。上記金属は、例えばアルミニウム、ジルコニウム等であり得るが、これらに限定されない。金属源として金属アルコキシド(例えば金属イソプロポキシド)を使用する態様では、上記乾燥により、上記スラリーの調製に用いた水性溶媒のほか、上記金属アルコキシドから生じたアルコールを揮発させて除去することが好ましい。
ここに開示される方法は、上記スラリーから金属酸化物前駆体を得る過程において、追加の有機溶媒を使用しない態様で好ましく実施することができる。例えば、上記スラリーに含まれる固形分を有機溶媒で洗浄する操作や、上記スラリーに含まれる成分を有機溶媒で抽出する操作を行うことなく実施することができる。このことは環境負荷軽減の観点から好ましい。
また、ここに開示される方法は、上記スラリーから金属酸化物前駆体を得る過程において、上記スラリーに含まれる固形分を濾過や遠心分離等により溶媒から分離(分別)する操作や、上記固形分を洗浄(特に、上記細孔形成剤を溶解し得る溶媒を用いて洗浄)する操作を行わない態様で実施することができる。このことによって、上記金属酸化物前駆体の焼成時において上記細孔形成剤の機能を効果的に発揮させることができる。また、固形分の分離や洗浄を要しないことは、製造設備の簡略化、廃液の減少による環境負荷の軽減、生産性向上等の観点からも有利となり得る。
スラリーの乾燥温度は特に限定されない。一態様において、スラリーの乾燥を室温(典型的には凡そ15℃以上、例えば凡そ20℃以上であり、典型的には凡そ40℃未満、好ましくは凡そ35℃以下、例えば凡そ30℃以下)で行うことができる。あるいは、乾燥を促進する観点から、スラリーの乾燥温度を凡そ40℃以上(好ましくは凡そ60℃以上、より好ましくは凡そ70℃以上)としてもよい。また、上記乾燥温度は、例えば凡そ150℃以下とすることができ、より均質な金属酸化物前駆体を得る観点から、通常は凡そ100℃以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ95℃以下、例えば凡そ90℃以下である。スラリーの乾燥時間は特に制限されず、適切な乾燥状態が得られるように設定することができる。生産性の観点から、通常は、上記乾燥時間を120時間以下(例えば72時間以下)とすることが適当である。
<スラリーの焼成>
ここに開示される方法では、上記金属酸化物前駆体を焼成することにより多孔質金属酸化物を得る。焼成後の多孔質金属酸化物は、必要に応じて解砕を行った後、篩分け等の公知の手法によって適当な粒子サイズに調製することができる。
金属酸化物前駆体の焼成条件は、所望の性質を有する多孔質金属酸化物が得られるように設定することができ、特に限定されない。例えば、所望の性質を有する多孔質金属酸化物を得るために、1段階(1回)の焼成のみを行ってもよいし、2段階以上のN段(N回)の焼成を行ってもよい。すなわち、上記金属酸化物前駆体の焼成は、第1段目から第N段目までのN段(Nは2以上の整数)の焼成段階をこの順に含んでもよい。
金属酸化物前駆体の焼成温度は、例えば凡そ150℃以上とすることができ、通常は凡そ250℃以上が適当であり、凡そ300℃以上が好ましく、凡そ350℃以上、さらには凡そ400℃以上としてもよい。また、上記焼成温度は、例えば凡そ1200℃以下とすることができ、通常は凡そ1000℃以下が適当であり、凡そ800℃以下が好ましい。ここに開示される技術の一態様において、上記焼成を凡そ300℃以上凡そ1000℃以下(例えば凡そ400℃以上800℃以下)で行うことができる。
焼成時間は特に限定されず、所望の性質を有する多孔質金属酸化物が生成するように設定することができる。上記焼成時間は、通常、1時間以上とすることが適当であり、2時間以上としてもよく、3時間以上としてもよく、例えば5時間以上としてもよい。また、生産性の観点から、上記焼成温度は、通常、72時間以下とすることが適当であり、好ましくは48時間以下、より好ましくは50時間以下である。なお、上記焼成時間とは、焼成対象物を上記焼成温度に維持する時間をいい、後述するように2回以上の焼成段階を行う態様では、各焼成段階において上記焼成温度に維持される時間を合算した時間をいう。
上述した焼成温度および焼成時間は、例えば、多孔質アルミナ、多孔質ジルコニアおよびその他の多孔質金属酸化物の製造における焼成条件に適用され得る。
多孔質アルミナの製造においては、アルミナの重量当たりの金属(例えばMo、触媒金属等)の保持量を高めやすいことから、上記多孔質アルミナとしてγ−アルミナ(活性アルミナと称されることもある。)が生成するように焼成することが好ましい。多孔質アルミナがγ−アルミナであることは、例えばX線回折により確認することができる。
アルミナ前駆体の焼成温度は、例えば凡そ400℃以上とすることができ、通常は凡そ450℃以上が適当であり、凡そ500℃以上が好ましく、凡そ550℃以上がより好ましい。また、上記焼成温度は、凡そ800℃以下とすることが適当であり、凡そ700℃以下が好ましく、凡そ650℃以下がより好ましい。ここに開示される技術は、例えば、上記焼成を凡そ500℃以上凡そ700℃以下(より好ましくは凡そ550℃以上凡そ650℃以下)で行う態様で好ましく実施され得る。
焼成時間は特に限定されず、所望の性質を有する多孔質アルミナが生成するように設定することができる。上記焼成時間は、通常、1時間以上とすることが適当であり、好ましくは2時間以上、例えば3時間以上である。焼成時間を6時間以上としてもよく、さらに12時間以上、例えば24時間以上としてもよい。また、生産性の観点から、上記焼成温度は、通常、72時間以下とすることが適当であり、好ましくは48時間以下、より好ましくは50時間以下である。
金属前駆体の焼成を複数回(複数段、すなわち複数の焼成段階)に分けて行う場合における焼成回数は、例えば2回以上5回以下とすることができる。このように複数回に分けて焼成を行う態様によると、より均質性の高い多孔質金属酸化物を得ることができる。生産性の観点から、通常は、焼成回数を2回または3回(典型的には2回)とすることが適当である。
上記複数回の焼成は、例えば、上記焼成温度での焼成(例えば凡そ300℃以上、好ましくは凡そ400℃以上、より好ましくは凡そ500℃以上での焼成)を2段以上のN段に分けて行う態様で実施することができる。
複数回に分けて焼成を行う場合、任意の焼成段階(第n−1段目の焼成段階。ここでnは2以上N以下の整数である。)の後、焼成対象物(前の焼成段階の結果物)をいったん凡そ300℃未満(典型的には凡そ100℃以下、好ましくは凡そ50℃以下、より好ましくは凡そ40℃以下)の温度まで冷却したうえで次の(第n段目の)焼成段階に供することができる。上記冷却した焼成対象物は、必要に応じて解砕する(ほぐす)操作を行った後に次の焼成段階に供することが好ましい。このことによって、より均質性の高い多孔質金属酸化物が得られる傾向にある。上記解砕操作の一好適例として、焼成対象物を適当なサイズの篩に通す操作が挙げられる。上記篩としては、例えば、凡そ200メッシュ以上凡そ30メッシュ以下(典型的には、目開きが凡そ77μm以上凡そ600μm以下)のものを好ましく用いることができる。特に限定するものではないが、例えば3回以上の焼成を行う場合、第1段目の焼成(第1焼成段階)と第2段目の焼成(第2焼成段階)との間で上記操作を行うことができる。各焼成段階の後に上記操作を行ってもよい。
特に限定するものではないが、ここに開示される多孔質金属酸化物(例えば、多孔質ジルコニア、多孔質アルミナ等)の製造方法の一態様において、該製造方法は、例えば、金属源、細孔形成剤および水性溶媒以外の材料を実質的に使用しない態様で実施することができる。このことは、各工程における条件設定の容易性、製造に用いる材料の調達容易性、生産性向上等の観点から有利となり得る。例えば、金属源および細孔形成剤としてそれぞれ一種類の材料を使用する場合、上記態様に係る多孔質金属酸化物製造方法は、水性溶媒以外は2種類の材料のみを使用する態様で実施され得る。
<多孔質金属酸化物>
ここに開示される技術によると、下記の方法により測定されるMo保持量(多孔質金属酸化物1g当たりに保持されるMo原子の重量(mg))が凡そ200mg/g以上である多孔質金属酸化物が提供され得る。より好適な態様によると、Mo保持量が凡そ300mg/g以上(典型的には凡そ400mg/g以上、例えば凡そ500mg/g以上、さらには凡そ600mg/g以上)である多孔質金属酸化物が提供され得る。Mo保持量の上限は特に制限されず、例えば凡そ2000mg/g以下(典型的には凡そ1000mg/g以下)であり得る。上記多孔質金属酸化物は、例えば、多孔質アルミナ(好適には多孔質γ−アルミナ)、多孔質ジルコニア等であり得る。
[Mo保持量の測定]
内径2mmのガラス管の下端を塞ぎ、各例に係る粉末状の多孔質金属酸化物0.5gを充填する。濃度30重量%のモリブデン酸ナトリウム水溶液を用意し、上記ガラス管内に多孔質金属酸化物が浸るまで注ぐ。この状態で5分間放置した後、上記ガラス管の下端からモリブデン酸ナトリウム水溶液を抜き出す。高周波誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES;Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectrometry)により、ガラス管に供給したモリブデン酸ナトリウム水溶液に含まれるMo量と、ガラス管から抜き出したモリブデン酸ナトリウム水溶液に含まれるMo量とを決定し、Mo量の変化から、多孔質金属酸化物に保持(担持)されたMo量を求める。このMo量を、使用した多孔質金属酸化物1g当たりの数値に換算することにより、Mo保持量[mg/g]を算出する。後述の実施例についても同様の方法が採用される。
この明細書により提供される多孔質金属酸化物の比表面積は特に限定されない。上記多孔質金属酸化物の比表面積は、例えば4.0m/g以上であり得、通常は5.0m/g以上(典型的には6.0m/g以上)が適当である。一態様において、上記多孔質金属酸化物(例えば多孔質アルミナ、好適には多孔質γ−アルミナ)の比表面積は、例えば凡そ180m/g以上であり得、好ましくは凡そ200m/g以上、より好ましくは凡そ220m/g以上、さらに好ましくは凡そ250m/g以上である。比表面積を大きくすることにより、Mo保持量は概して向上する傾向にある。一態様において、多孔質金属酸化物の比表面積は、凡そ280m/g以上(例えば凡そ300m/g以上)であってもよい。多孔質金属酸化物の比表面積の上限は特に制限されない。
多孔質金属酸化物の比表面積は、窒素ガス吸着量測定法(BET法)により測定することができる。後述の実施例についても同様の方法が採用される。
この明細書により提供される多孔質金属酸化物の平均細孔径は特に限定されない。上記多孔質金属酸化物の平均細孔径は、例えば凡そ5nm以上であり得、典型的には凡そ7nm以上、通常は凡そ9nm以上であり、好ましくは凡そ10nm以上(例えば10nm超)、より好ましくは凡そ12nm以上、さらに好ましくは凡そ15nm以上である。平均細孔径の増大により、Moの保持性能が向上する傾向にある。一態様において、多孔質金属酸化物の平均細孔径は、例えば凡そ18nm以上であってもよい。また、多孔質金属酸化物の平均細孔径は、例えば凡そ500nm以下であり得、典型的には凡そ300nm以下、通常は凡そ100nm以下であり、好ましくは凡そ50nm以下、より好ましくは凡そ30nm以下(例えば凡そ25nm以下)である。ここに開示される技術は、例えば、平均細孔径が凡そ5nm以上凡そ50nm以下(例えば凡そ10nm以上凡そ25nm以下)の範囲にある多孔質金属酸化物およびその製造に好ましく適用され得る。このような平均細孔径を有する多孔質金属酸化物は、Mo等の金属に対する良好な保持性能を示す傾向にあるので、Mo吸着材や触媒担体等の種々の用途に好ましく用いられ得る。多孔質金属酸化物の平均細孔径は、窒素ガス吸着量測定法により測定することができる。後述の実施例についても同様の方法が採用される。上記多孔質金属酸化物は、例えば、多孔質アルミナ(好適には多孔質γ−アルミナ)、多孔質ジルコニア等であり得る。
この明細書により提供される多孔質金属酸化物の細孔容積は特に限定されない。上記多孔質金属酸化物の細孔容積は、例えば0.010cm/g以上であり得、通常は0.020cm/g以上が適当である。一態様において、上記多孔質金属酸化物(例えば多孔質アルミナ、好適には多孔質γ−アルミナ)の細孔容積は、例えば凡そ0.3cm/g以上であり得、典型的には凡そ0.5cm/g以上、好ましくは凡そ0.6cm/g以上、より好ましくは凡そ1.0cm/g以上、さらに好ましくは凡そ1.1cm/g以上である。細孔容積の増大により、Moの保持性能が向上する傾向にある。一態様において、多孔質金属酸化物の細孔容積は、凡そ1.2cm/g以上であってもよい。また、多孔質金属酸化物の細孔容積は、凡そ3.0cm/g以下、典型的には凡そ2.5cm/g以下、例えば凡そ2.0cm/g以下であり得る。ここに開示される技術は、例えば、細孔容積が凡そ0.5cm/g以上凡そ2.5cm/g以下(好ましくは凡そ0.6cm/g以上凡そ2.0cm/g以下)の範囲にある多孔質金属酸化物およびその製造に好ましく適用され得る。このような細孔容積を有する多孔質金属酸化物は、Mo等の金属に対する良好な保持性能を示す傾向にあるので、Mo吸着材や触媒担体等の種々の用途に好ましく用いられ得る。多孔質金属酸化物の細孔容積は、窒素ガス吸着量測定法により測定することができる。後述の実施例についても同様の方法が採用される。
ここに開示される技術によると、表面積当たりのMo保持量(多孔質金属酸化物の表面積1m当たりに保持されるMo原子の重量(mg))の多い多孔質金属酸化物(例えば多孔質アルミナ)が提供され得る。例えば、上記表面積当たりのMo保持量が凡そ0.9mg/m以上である多孔質金属酸化物が提供され得る。表面積当たりのMo保持量の上限は特に制限されず、例えば凡そ10mg/m以下であり得る。
この明細書によると、例えば、細孔容積が0.3cm/g以上であり、かつ平均細孔径が9nm以上である多孔質金属酸化物(例えば多孔質アルミナ)が提供される。上記細孔容積および平均細孔径を満たし、かつ比表面積が180m/g以上である多孔質金属酸化物が特に好ましい。
このような構造を有する多孔質金属酸化物は、金属(金属の単体、合金および金属化合物を包含する意味である。)に対して良好な保持性能を示す傾向にある。したがって触媒担体や金属吸着材等の種々の用途に好ましく用いられ得る。例えば、このような構造を有する多孔質アルミナは、Moに対して優れた保持性能を示す傾向にあることから、Mo吸着材等の用途に好適である。ここに開示される多孔質金属酸化物製造方法は、上記細孔容積および平均細孔径を満たす多孔質金属酸化物(好ましくは、さらに上記比表面積を満たす多孔質金属酸化物)を製造する方法として好適に採用され得る。
多孔質金属酸化物の外形は特に限定されず、用途や使用態様に応じて適切な外形に調製することができる。ここに開示される技術の好ましい一態様において、多孔質金属酸化物は、例えば、平均粒径が凡そ1μm以上凡そ400μm以下(より好ましくは凡そ10μm以上凡そ300μm以下)の粒子状に調製され得る。例えば、直径が凡そ500μmを超える粒子を実質的に含有しないように調製することができる。
<用途>
ここに開示される技術により提供される金属酸化物は、種々の分野において好ましく用いられ得る。
例えば、ここに開示される技術により提供される多孔質アルミナは、99mTcジェネレータにおいてMo吸着材に好ましく適用され得る。また、ここに開示される技術は、かかる用途向けの多孔質アルミナの製造に好ましく適用され得る。したがって、この明細書により提供される事項には、ここに開示されるいずれかの方法により製造された多孔質アルミナ、ここに開示されるいずれかの多孔質アルミナ(ここに開示されるいずれかの方法により製造された多孔質アルミナであり得る。以下同じ。)をMo吸着材として備える99mTcジェネレータ、該Mo吸着材用多孔質アルミナ、および、ここに開示されるいずれかの多孔質アルミナを用いて99mTcジェネレータを製造する方法が包含される。
上記99mTcジェネレータは、ここに開示されるいずれかの多孔質アルミナをMo吸着材として用いる点以外は、従来の99mTcジェネレータと同様に構成され得る。かかる99mTcジェネレータの一構成例につき、図2を参照してその概略を説明する。
図2に示す99mTcジェネレータ10は、99Mo吸着アルミナ20を収容したカラム14と、カラム14の上流側に接続された生理食塩水容器12と、カラム14の下流側に接続された99mTc溶液回収容器16とを備える。99mTcジェネレータ10のうち少なくともカラム14の周囲は、図示しない遮蔽体(典型的には鉛製のシールド)により覆われている。
カラム14内の99Mo吸着アルミナ20は、ここに開示されるいずれかの多孔質アルミナ22に、カラム14への収容前または収容後に99Moを吸着させたものである。例えば、カラム14に多孔質アルミナ22を充填した後、このカラム14に(99Mo)O 2−を含む水溶液を供給することにより、多孔質アルミナ22に99Moを吸着させることができる。吸着された99Moは、β線を放出して崩壊し、99mTcを生じる。
生成した99mTcは、生理食塩水容器12から供給される生理食塩水をカラム14に通液することにより、99mTcO として溶出して99mTc溶液回収容器16に回収され、放射性医薬品(テクネチウム製剤)の製造等に利用される。
ここに開示される技術により提供される多孔質アルミナは、上述のようなMo吸着材に限定されず、一般的な多孔質金属酸化物と同様、その他の吸着材としての用途や触媒担体としての用途等にも好ましく利用され得る。
また、ここに開示される技術により提供される多孔質アルミナ以外の多孔質金属酸化物も、金属吸着材(例えばMo吸着材)のほか、一般的な多孔質金属酸化物と同様、その他の吸着材としての用途や触媒担体としての用途等にも好ましく利用され得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<多孔質アルミナの製造>
(例1)
室温において、ガラス製のビーカーに蒸留水970gを投入し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、細孔形成剤としての炭酸アンモニウム30gを投入して溶解させた。この炭酸アンモニウム水溶液に粉末状のアルミニウムイソプロポキシド32gを投入し、室温で24時間攪拌を継続してスラリーを調製した。上記アルミニウムイソプロポキシドとしては、市販品を乳鉢ですり潰して平均粒径100μm程度に調製したものを使用した。
次いで、上記スラリー(ビーカーの内容物)をシリコーン樹脂製の耐熱トレーに移し、80℃の乾燥器内に静置して48時間乾燥させた。
その後、上記耐熱トレー内のアルミナ前駆体(上記スラリーの乾燥物)を匣鉢に移し、大気雰囲気の焼成炉にて焼成した。具体的には、まず600℃で6時間加熱する第1焼成段階を行い、いったん焼成炉から取り出して室温まで冷却し、50メッシュの金網を通過させることにより粒子サイズをある程度均一化した後、焼成炉に戻し、さらに600℃で24時間加熱する第2焼成段階を行い、室温まで放冷し、再度50メッシュの金網を通過させて、例1に係る多孔質アルミナを得た。
(例2,3)
炭酸アンモニウムの使用量を60g(例2)および90g(例3)にそれぞれ変更した他は例1と同様にして、例2,3に係る多孔質アルミナを得た。
(例4)
例1において、細孔形成剤としての炭酸アンモニウム30gに代えて、細孔形成剤としてグルコース30gを使用した。また、炭酸アンモニウム水溶液にアルミニウムイソプロポキシドを投入した後、HNOを用いてpHを5.0に調整し、その後、室温で24時間攪拌してスラリーを調製した。その他の点は例1と同様にして、例4に係る多孔質アルミナを得た。
(例5)
例2において、アルミニウムイソプロポキシドに代えて硝酸アルミニウムを用いて多孔質アルミナを製造することを試みた。しかし、炭酸アンモニウム水溶液に硝酸アルミニウム水溶液を加え始めたところ、途中で急激にゲル化が進行して攪拌が停止したため、均質なスラリーを得ることは困難と判断し、それ以降の実験を中止した。
(例6)
Sigma Aldrich USA社から入手可能な多孔質アルミナ(Aluminum Oxide、型番199966)を使用した。
(評価)
例1〜4,6に係る多孔質アルミナの比表面積、細孔容積および平均細孔径を上述した方法により測定した。結果を表1に示す。また、上述した方法により、これらの多孔質アルミナの重量当たりのモリブデン保持量を測定した。結果を表1および図3に示す。
表1に示されるように、グルコースを用いて製造された例4の多孔質アルミナおよび市販の多孔質アルミナ(例6)に比べて、炭酸アンモニウムを用いて製造された例1〜3の多孔質アルミナは、アルミナの重量当たりのモリブデン保持量がより多かった。なかでも例2,3の多孔質アルミナは、例6に比べて4.5倍以上という優れたMo吸着性を示した。
なお、炭酸アンモニウムに代えて炭酸水素ナトリウムを用いた他は例2と同様にして同様にして多孔質アルミナを製造し、同様に測定および評価を行ったところ、比表面積3.9g/m、細孔容積0.06cm/g、平均細孔径62.9nmであり、重量当たりのMo保持量は412mg/gであった。
<多孔質ジルコニアの製造>
(例7)
室温において、ガラス製のビーカーに蒸留水300gを投入し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、細孔形成剤としての炭酸アンモニウム60gを投入して溶解させた。この炭酸アンモニウム水溶液(溶液A)に、メタノール50mL中にジルコニウムテトライソプロポキシド32gを含む溶液Bを加え、室温で24時間攪拌を継続してスラリーを調製した。次いで、上記スラリー(ビーカーの内容物)をシリコーン樹脂製の耐熱トレーに移し、室温で乾燥させた。その後、上記耐熱トレー内のジルコニア前駆体(上記スラリーの乾燥物)を匣鉢に移し、大気雰囲気の焼成炉にて、600℃で6時間焼成した。その焼成物を室温まで放冷し、50メッシュの金網を通過させて、例7に係る多孔質ジルコニアを得た。得られた多孔質ジルコニアのTEM(透過型電子顕微鏡)像を図4に示す。この多孔質ジルコニアの性状を上述した多孔質アルミナと同様にして評価したところ、比表面積は8.5m/g、細孔容積は0.027cm/g、平均細孔径は11.1nmであった。
(例8)
ジルコニア前駆体の焼成条件を200℃で6時間に変更した他は例7と同様にして、例8に係る多孔質ジルコニアを得た。得られた多孔質ジルコニアのTEM像を図5に示す。この多孔質ジルコニアの比表面積は66.9m/g、細孔容積は0.062cm/g、平均細孔径は2.3nmであった。
これらの例により、細孔形成剤を含むジルコニア前駆体を焼成して多孔質ジルコニアを得るにあたり、該前駆体の焼成条件(ここでは焼成温度)を異ならせることによって、得られる多孔質ジルコニアの性状(例えば平均細孔径)を調節し得ることが示された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 99mTcジェネレータ
12 生理食塩水容器
14 カラム
16 99mTc溶液回収容器
20 99Mo吸着金属酸化物
22 多孔質アルミナ(Mo吸着材)

Claims (16)

  1. 多孔質金属酸化物を製造する方法であって、
    金属源と細孔形成剤と水性溶媒とを混合してスラリーを調製すること;
    前記スラリーを乾燥させて金属酸化物前駆体を得ること;および
    前記金属酸化物前駆体を焼成して多孔質金属酸化物を生成すること;
    を包含し、
    ここで、前記金属源は、前記多孔質金属酸化物を構成する金属を含む有機金属化合物またはその加水分解物であり、
    前記細孔形成剤は、前記金属酸化物前駆体を焼成する温度以下の温度で分解してガスを生じる無機化合物であり、
    前記スラリーの調製は、前記金属源100重量部に対して前記細孔形成剤50重量部以上を用いて行われる、多孔質金属酸化物の製造方法。
  2. 前記有機金属化合物が金属アルコキシドである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属アルコキシドは、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドおよびチタニウムアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記細孔形成剤は、アンモニウム塩、炭酸塩および炭酸水素塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記スラリーの調製は、前記水性溶媒100重量部に対して1重量部以上50重量部以下の前記金属源を用いて行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記スラリーの調製は、前記水性溶媒100重量部に対して2重量部以上30重量部以下の前記細孔形成剤を用いて行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記金属酸化物前駆体の焼成を500℃以上700℃以下の焼成温度で行う、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記金属酸化物前駆体の焼成は、第1段目から第N段目までのN段の焼成段階をこの順に含み、ここでNは2以上の整数であり、
    前記N段の焼成段階のうち第n−1段目(ここで、nは2以上N以下の整数である。)の焼成段階による焼成物は、いったん300℃未満の温度まで冷却した後に第n段目の焼成段階に供される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記金属酸化物前駆体の焼成は、平均細孔径が9nm以上の前記多孔質金属酸化物を生成するように行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記金属酸化物前駆体の焼成は、細孔容積が0.3cm/g以上の前記多孔質金属酸化物を生成するように行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記金属酸化物前駆体の焼成は、比表面積が180m/g以上の前記多孔質金属酸化物を生成するように行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記多孔質金属酸化物は多孔質アルミナである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記多孔質金属酸化物は多孔質ジルコニアである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の方法により製造された多孔質金属酸化物。
  15. 細孔容積が0.3cm/g以上であり、かつ平均細孔径が9nm以上である、多孔質金属酸化物。
  16. 比表面積が180m/g以上である、請求項15に記載の多孔質金属酸化物。
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