JPWO2017111170A1 - 弾性波素子および通信装置 - Google Patents

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Abstract

第1面7aと第2面7bとを有する圧電基板7と、第1面7aに配置された、弾性波を励振する電極部5と、圧電基板7の第2面7bに接合されるとともに、圧電基板7を構成する材料に比べて線膨張係数の小さい材料からなる支持基板9と、を備え、電極部5は、第1面7aの法線からずれた第1方向および第2方向の2方向に配向している第1領域および第2領域からなる。

Description

本発明は、弾性波を用いた弾性波素子および当該弾性波素子を有する通信装置に関する。
圧電基板と、当該圧電基板の上面に設けられ、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を励振するIDT(Interdigital Transducer)電極とを有している弾性表面波素子(SAW素子)が知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1では、圧電基板を単体でSAW共振子に用いるのではなく、圧電基板と当該圧電基板に比較して熱膨張係数の小さい支持基板とを貼り合せた貼り合せ基板をSAW素子に用いている。このような貼り合せ基板を利用することによって、例えば、温度変化によるSAW共振子の電気特性変化が補償される。
特開2014−229916号公報
このようなSAW素子において、所望の電気特性を安定して実現することが求められている。本開示はかかる事情のもとに案出されたものであり、その目的は、所望の電気特性を安定して発現する信頼性の高いSAW素子を提供することにある。
本開示の一態様に係る弾性波素子は、圧電基板と電極部と支持基板とを備えている。圧電基板は、第1面と第2面とを有する。電極部は、前記第1面に位置し、弾性波を励振する。支持基板は、前記圧電基板の前記第2面に接合されるとともに、前記圧電基板を構成する材料に比べて線膨張係数の小さい材料からなる。そして、前記電極部は、ロッキングカーブ測定でダブルピークとなるように、前記第1面の法線からずれた第1方向および第2方向の2方向に配向している第1領域および第2領域を含む。
本開示の一態様に係る通信装置は、アンテナと、前記アンテナに前記アンテナ端子が接続されており、上記弾性波素子を備える受信フィルタおよび送信フィルタを備える分波器と、前記送信フィルタおよび前記受信フィルタに接続されているICと、を有している。
上記の構成によれば、所望の電気特性を安定して発現する信頼性の高い弾性波素子を提供することができる。
本開示の実施形態に係る弾性波共振子の構成を示す平面図である。 図1のII−II線における要部断面図である。 図3(a)は,比較例にかかる電極部のロッキングカーブ測定結果を示す線図である。図3(b)は、実施例にかかる電極部のロッキングカーブ測定結果を示す線図である。 (a)は、実施例にかかる電極部の極点図である。図4(b)は実施例にかかる電極部の極点図の要部拡大図である。 電極部の変形例を示す断面図である。 図5に示す電極部を透過型電子線で観察した結果を示す図である。 分波器を示す模式図である。 分波器の利用例としての通信装置を示すブロック図である。 電極部の模式的な要部拡大断面図である。
<弾性波素子>
以下、本開示の実施形態に係る弾性波素子について、図面を参照して説明する。この例では、弾性波素子としてSAWを用いたSAW素子を用いて説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
SAW素子は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、D1軸、D2軸およびD3軸からなる直交座標系を定義するとともに、D3軸の正側を上方として、上面、下面等の用語を用いることがある。
(SAW素子の構成の概要)
図1は、本発明の実施形態に係る弾性波素子1(SAW素子1)の構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線における要部断面図である。
SAW素子1は、弾性波としてSAWを利用する。SAW素子1の構成は、具体的には、以下の通りである。
SAW素子1は、例えば、貼り合せ基板3と、貼り合せ基板3の上面に構成された電極部5とを有している。SAW素子1は、この他、SiO2等からなり、電極部5を覆う保護層6を有していてもよい。
貼り合せ基板3は、例えば、圧電基板7と、圧電基板7の下面(第2面)7bに貼り合わされた支持基板9(図2)とを有している。なお、図2では、圧電基板7のX軸、Y軸およびZ軸の一例を示している。
圧電基板7は、例えば、圧電性を有する単結晶基板によって構成されている。単結晶基板は、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)または水晶(SiO2)からなる。カット角は適宜なものとされてよい。例えば、タンタル酸リチウムであれば、42°±10°Y−Xカット,0°±10°Y−Xカットなどである。ニオブ酸リチウムであれば、128°±10°Y−Xカットまたは64°±10°Y−Xカットなどである。
なお、以下では、主として圧電基板7がタンタル酸リチウムからなる38°以上48°以下Y−Xカットである態様を例にとって説明するものとする。特に断りがない限り、後述するシミュレーション結果等は、タンタル酸リチウムからなる38°以上48°以下Y−Xカットのものである。確認的に記載すると、このY−Xカットでは、X軸回りにY軸からZ軸へ38°以上48°以下の角度で回転したY′軸(不図示)に主面が直交する。
圧電基板7の厚みは、例えば、圧電基板7の平面方向全体に亘って一定であり、1μm〜30μmを例示できる。
支持基板9は、例えば、圧電基板7の材料よりも熱膨張係数が小さい材料によって形成されている。これによって、SAW素子1の電気特性の温度変化を補償することができる。このような材料としては、例えば、シリコン等の半導体、サファイア等の単結晶および酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックを挙げることができる。なお、支持基板9は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層された積層体であってもよいし、ベース基板に複数層が積層されたもので構成されていてもよい。
支持基板9の厚みは、例えば、支持基板9の平面方向全体に亘って一定であり、その大きさは、SAW素子1に要求される仕様等に応じて適宜に設定されてよい。ただし、支持基板9の厚みは、温度補償が好適に行われたり、圧電基板7の強度を補強したりできるように、圧電基板7の厚みよりも厚くされる。一例として、支持基板9の厚みは100μm以上300μm以下である。支持基板9の平面形状および各種寸法は、例えば、圧電基板7と同等である。
圧電基板7および支持基板9は、例えば、不図示の接着層を介して互いに貼り合わされている。接着層の材料は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。有機材料としては、例えば、熱硬化性樹脂等の樹脂が挙げられる。無機材料としては、例えば、SiO2が挙げられる。また、圧電基板7および支持基板9は、接着面をプラズマなどで活性化処理した後に接着層無しに貼り合わせる、いわゆる直接接合によって貼り合わされていても良い。さらに、圧電基板7と支持基板9との間に中間層があってもよい。
電極部5の構成は、例えば、いわゆる1ポートSAW共振子のための電極部と同様の構成とされている。すなわち、電極部5は、IDT電極11と、IDT電極11の両側に位置する1対の反射器13とを有している。
IDT電極11は、圧電基板7の上面(第1面)7aに形成された導電パターン(導電層)によって構成されており、図1に示すように1対の櫛歯電極15を有している。
1対の櫛歯電極15は、例えば、互いに対向するバスバー17(図1)と、バスバー17からバスバー17の対向方向に延びる複数の電極指19と、複数の電極指19の間においてバスバー17から突出するダミー電極21とを有している。そして、1対の櫛歯電極15は、複数の電極指19が互いに噛み合うように(交差するように)配置されている。
バスバー17は、例えば、概ね一定の幅でSAWの伝搬方向(D1軸方向、X軸方向)に直線状に延びる長尺状に形成されている。1対の櫛歯電極15のバスバー17は、SAWの伝搬方向に交差する方向(D2軸方向)において対向している。
複数の電極指19は、例えば、概ね一定の幅でSAWの伝搬方向に直交する方向(D2軸方向)に直線状に延びる長尺状に形成されており、SAWの伝搬方向(D1軸方向,X方向)に概ね一定の間隔で配列されている。
一般に、SAW共振子においては、1対の櫛歯電極15の複数の電極指19は、そのピッチp(例えば電極指19の中心間距離:図2のPt1)が、共振させたい周波数でのSAWの波長λの半波長(λ/2)と同等となるように設けられている。なお、SAWの波長λは、例えば、1.5μm以上6μm以下である。
SAW共振子と同様に、複数の電極指19の一部においては、そのピッチpが相対的に小さくされたり、逆に、ピッチpが相対的に大きくされたりしてもよいし、また、ピッチpが通常のピッチpの整数倍となるいわゆる間引きが行われてもよい。なお、本実施形態において、単にピッチpという場合、特に断りがない限り、上記のような特異な部分(狭ピッチ部、広ピッチ部または間引き部等)を除いた部分(複数の電極指19の大部分)のピッチpまたはその平均値をいうものとする。また、同様に、特に断りがない限り、単に電極指19というときは、特異な部分以外における電極指19を指すものとする。
複数の電極指19の本数、長さ(D2軸方向)および幅(D1軸方向:図2のw1)は、弾性波共振子1に要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。その設定においては、後述する説明から理解されるように、基本的にはSAW共振子における考え方を利用できる。一例として、電極指19の本数は100以上400本以下である。電極指19の長さおよび幅は、例えば、複数の電極指19間で互いに同等である。
ダミー電極21は、例えば、一方の櫛歯電極15において複数の電極指19の中間位置にてバスバー17から突出しており、その先端は、他方の櫛歯電極15の電極指19の先端とギャップを介して対向している。ダミー電極21の長さおよび幅は、例えば、複数のダミー電極21間で互いに同等である。
反射器13は、例えば、圧電基板7の上面7aに形成された導電パターン(導電層)によって構成されており、平面視において格子状に形成されている。すなわち、反射器13は、SAWの伝搬方向に交差する方向において互いに対向する1対のバスバー(符号省略)と、これらバスバー間において弾性波(例えばSAW)の伝搬方向に直交する方向(D2軸方向)に延びる複数のストリップ電極(符号省略)とを有している。
反射器13の複数のストリップ電極は、複数の電極指19の配列に続くようにD1軸方向に配列されている。ストリップ電極の本数および幅は、弾性波共振子1に要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。複数のストリップ電極のピッチは、例えば、複数の電極指19のピッチと同等である。また、反射器13の端部のストリップ電極とIDT電極11の端部の電極指19との間隔は、例えば、複数の電極指19のピッチpと同等である(ピッチpの整数倍でもよい。)。
IDT電極11および反射器13等を構成する導体層は、例えば、金属により構成されている。この金属としては、例えば、AlまたはAlを主成分とする合金(Al合金)が挙げられる。Al合金は、例えば、Al−Cu合金である。なお、導体層は、複数の金属層から構成されてもよい。
IDT電極11および反射器13の厚みは、例えば、これら全体に亘って一定である。
以上のような構成のSAW素子1においては、まず、SAW共振子と同様の作用が生じる。具体的には、一方の櫛歯電極15に電気信号が入力され、複数の電極指19によって圧電基板7に電圧が印加されると、圧電基板7の上面付近において、当該上面に沿って伝搬するSAWが誘起される。このSAWは、複数の電極指19および反射器13の複数のストリップ電極によって反射される。その結果、電極指19のピッチpを概ね半波長(λ/2)とするSAWの定在波が形成される。定在波は、圧電基板7の上面に電荷(定在波と同一周波数の電気信号)を生じさせ、その電気信号は他方の櫛歯電極15の複数の電極指19によって取り出される。
(電極部5の結晶性について)
ここで、電極部5について詳述する。SAW素子1において、電極部5は、結晶面の法線角度が、第1面7aの法線a0(D3軸)からずれた第1方向a1および第2方向a2に配向している第1領域5a,第2領域5bからなる。言い換えると、電極部5は結晶方位が異なる2領域を備えるものである。さらに言い換えると、電極部5は、ロッキングカーブ測定でダブルピークとなるような結晶性を備えている。
ここで、第1領域5aは第1方向a1に配向した複数の第1ドメインからなる。なお、電極部5のサイズ等によっては、1つのドメインで構成されていてもよい。同様に、第2領域5bは第2方向a2に配向した1以上の第2ドメインからなる。
図2では、第1方向a1および第2方向a2は、第1面7aに投影したときにD1方向の成分をもつように傾いている例を示しているが、D2方向の成分を持つように傾いていてもよい。
貼り合せ基板3上に形成される電極部5は、通常の圧電基板のみからなる基板上に形成される場合に比べて膜応力が高くなる。このため、電極部5が一方向にのみ配向したドメインで構成される場合には、その後の工程や使用環境による温度変化により更なる応力が加わった場合には結晶性が変化してしまい、その結果、電気特性が設計時から変化する虞がある。
なお、貼り合せ基板3上に形成された電極部5が、通常の圧電基板のみからなる基板上に形成される場合に比べて膜内部に歪、応力が大きくなっていることは、結晶方位差測定により確認している。結晶方位差は局所歪に対応するものであり、電極層の面内における分布を確認したところ、貼り合せ基板3上に形成された電極部5は局所的に歪が大きくなっている部分が点在している。
これに対して、本実施形態のSAW素子1では、電極部5を2方向に配向したドメインの集合体で構成している。すなわち、電極部5は双晶となっている。このような構成とすることで、電極部5を形成した段階で、膜応力が解放されており、その後の工程や使用環境による温度変化により更なる応力が加わった場合であっても、結晶性の変化を抑制し、その結果、設計時の電気特性を安定して発現できるものとなる。
特に、図9に示すように、圧電基板7の第1面7aから離れるにつれて互いに離間するように第1領域5a,第2領域5bが形成されている場合には、振動時においても応力が解放されるため電気特性の安定したSAW素子1を提供することができる。さらに振動強度の最も強い圧電基板7側において結晶粒界を減らすことができるので、耐電力性に優れたSAW素子1を提供することができる。
ここで、実施例として、貼り合せ基板3の上に結晶方位が異なる2領域を備える電極部5を形成し、比較例として一方向に配向した電極部を形成し、両者の膜特性およびSAW素子としての電気特性を測定した。基本的な条件は下記の通りである。
圧電基板7:(材料)LiTaO3
(カット角)46.3°
電極部5 :(材料)1重量%Cuを添加したAl
(厚み)1540Å
(下地層)60Å厚のTi層
(製膜方法)スパッタリング法
実施例の電極部と比較例の電極部とでは、成膜条件、成膜方法を異ならせた。例えば、実施例の電極部は比較例に比べて成膜速度・成膜温度を早く、高くしたりすることで結晶性を制御することができる。また、下地層に傾斜をもたせてその上の成長させる結晶の成長方向を制御することもできる。このような実施例、比較例の電極部について、ロッキングカーブ測定および極点図測定を行った。その結果を、図3(a),(b)に示す。図3(a)は比較例にかかる電極部のロッキングカーブ測定の結果であり、図3(b)は実施例にかかる電極部のAl(111)面のピーク近傍におけるロッキングカーブ測定結果である。図の横軸はΩ(°)を表し、縦軸は強度を表す。
図3(a)に示す通り、比較例にかかる電極部はAl(111)面が一方向に配向している様子が確認できた。これに対して、実施例にかかる電極部は、図3(b)に示すように、Al(111)面が法線a0方向から2方向(a1,a2)に傾いている様子が確認された。
ここで、実施例のSAW素子1と比較例のSAW素子との電気特性を比較したところ、第1方向a1,第2方向a2の法線a0からの傾きの角度が4°未満の場合には、電気特性に差異は確認されなかった。これに対して、実施例および比較例のSAW素子を加熱した後に再度電気特性を確認したところ、実施例に係るSAW素子1は変化が殆どなかったのに対して、比較例に係るSAW素子は電気特性が変化していることを確認した。
同様に、実施例、比較例のSAW素子に対して、耐電力性を確認したところ、第1方向a1,第2方向a2の法線a0からの傾きの角度が4°未満の場合には、両者に差異はなかった。
以上より、実施例にかかるSAW素子1は、電極部5の結晶性の変化を抑制し、その結果、設計時の電気特性を安定して発現できることを確認した。
なお、電極部5は、第1方向a1と第1面7aの法線a0とでなす角度の絶対値と、第2方向a1と第1面7aの法線a0とでなす角度の絶対値とが略同一としてもよい。その場合には、第1領域5a,第2領域5bとで均衡がとれるため、安定した特性を得ることができる。
さらに、電極部5は、図2に示すように、第1方向a1と第2方向a2とを第1面7aに投影したときの第1投影方向a10と第2投影方向a20とを、SAWが伝搬する方向(D1)としてもよい。この場合には、SAWの伝播方向と第1投影方向a10および第2投影方向a20とが一致する。
ここで、図4に、電極部5の極点図を測定した結果を示す。極点図測定には、X線回折(XRD)や電子線後方散乱回折法(EBSD)により測定すればよいが、この例ではEBSDによる測定を行なった。図4は、SAWの伝播方向(D1,X)を紙面の上下方向となるように基板3を配置して測定した結果を示している。図4(b)は図4(a)の破線で囲んだ中央付近を拡大したものである。図4からも明らかなように、実施例にかかる電極部5では、SAWの伝播方向に沿って結晶面の法線が傾いている様子を確認できた。
結晶性が分かれる方向とSAWの伝播方向とが一致する場合には、SAWによる振動で応力が加わる方向において、予め2方向に分けて配向させた結晶を用いているため、負荷のかかる方向において電極部5の応力が解放されており、耐電力性を高くすることができる。以上より、結晶性が分かれる方向とSAWの伝播方向とを一致させることで、さらに耐電力性に優れ、安定した電気特性を発現できるSAW素子とすることができる。
結晶性が分かれる方向とSAWの伝播方向とが一致し、さらに、第1投影方向a10と第2投影方向a20とのベクトルの大きさが同じ場合には、負荷のかかる方向において均衡がとれた状態とすることができるので、より耐電力性に優れ、安定した電気特性を発現できるSAW素子とすることができる。
なお、電極部5の全てが、配向方向が異なる2領域からなっていてもよいし、一部であってもよい。また、配向方向の傾き度合や、第1領域5aと第2領域5bとの割合等は、一様であってもよいし、場所によって異ならせてもよい。
(変形例)
図2に示す例では、電極部5の断面形状は矩形状となっていたが、この例に限定されない。例えば、図5に示すように、1つの材料系からなる1層の電極部5が段差部5cを有してもよい。より具体的には、図5において、段差部5cの側面はテーパー状となっており、段差部の下側に位置する土台部分の側面もテーパー状となっている。
電極部5をこのような形状とすることにより、電極部5を覆う保護膜のカバレッジを良好にすることができるので、信頼性の高いものとすることができる。さらに、1つの材料系からなる1層の途中に段差部5cが形成されていることから、段差部5cに積層面が存在せず、その結果、段差部5cにおけるマイグレーション耐性を劣化させることがない。このため、信頼性の高いSAW素子1を提供することができる。
また、段差部5cを一つの結晶粒(グレイン)中に形成する場合には、段差部5cに沿う結晶界面がないので、更にマイグレーション耐性を高めることができる。
ここで、電極部5を構成する材料として、Alを主成分とする合金にMgを添加してもよい。発明者が鋭意遂行を重ねた結果、電極部5を構成するAlにMgを添加すると、添加しない場合に比べて結晶粒を大きくすることができることを確認した。結晶粒を大きくすることにより、粒界を減らすことができ、その結果、耐電力性を高めることができる。
また、Al中にMgを添加すると、MgがAlの結晶粒内に固溶することとで結晶内に歪が生じ、その歪が格子欠陥の移動に対する抵抗となる。このため、SAW素子1の耐電力が向上することが期待できる。
図6に、このような電極部5の断面観察結果を示す。図5は、Alに1重量%のCu1重量%のMgを添加した材料を用いて電極部5を形成し、その断面を透過型電子顕微鏡で確認した図である。
通常、電極指の幅方向に5〜10程度の結晶粒が配列されるのに対して、Mgを添加することにより、少ない数(図中においては3つ)の結晶粒で構成されていることが分かる。このように、電極部5を構成する1つ1つの結晶サイズを大きくすることで、粒界を少なくして耐電力性を高めることができる。
なお、Mgは、結晶粒界の格子欠陥を少なくするめに、Cuと共に添加することが好ましい。
<SAW素子の利用例>
以下、SAW素子1の利用例として、分波器および通信装置について説明する。
(分波器)
図7は、SAW素子1の利用例としての分波器101を示す模式図である。
分波器101は、例えば、送信端子105からの送信信号をフィルタリングしてアンテナ端子103へ出力する送信フィルタ109と、アンテナ端子103からの受信信号をフィルタリングして1対の受信端子107に出力する受信フィルタ111とを有している。
送信フィルタ109は、例えば、ラダー型に接続された1以上の直列共振子S1〜S3および1以上の並列共振子P1〜P3を有している。
受信フィルタ111は、例えば、縦結合多重モード(2重モードを含むものとする)型共振子フィルタ17で構成される。なお、その前段に共振子18を備えていてもよい。
このような送信フィルタ109、受信フィルタ111を構成するSAW共振子の少なくとも1つは、SAW素子1によって構成されている。
(通信装置)
図8は、SAW素子1の利用例としての通信装置151の要部を示すブロック図である。
通信装置151は、電波を利用した無線通信を行うものである。通信装置151は、上述した分波器101を有していることによって、SAW素子1を利用している。具体的には、以下のとおりである。
通信装置151において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)153によって変調および周波数の引き上げ(搬送波周波数の高周波信号への変換)がなされて送信信号TSとされる。送信信号TSは、バンドパスフィルタ155によって送信用の通過帯以外の不要成分が除去され、増幅器157によって増幅されて分波器101(送信端子105)に入力される。そして、分波器101は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯以外の不要成分を除去し、その除去後の送信信号TSをアンテナ端子103からアンテナ159に出力する。アンテナ159は、入力された電気信号(送信信号TS)を無線信号(電波)に変換して送信する。
また、通信装置151において、アンテナ159によって受信された無線信号(電波)は、アンテナ159によって電気信号(受信信号RS)に変換されて分波器101に入力される。分波器101は、入力された受信信号RSから受信用の通過帯以外の不要成分を除去して増幅器161に出力する。出力された受信信号RSは、増幅器161によって増幅され、バンドパスフィルタ163によって受信用の通過帯以外の不要成分が除去される。そして、受信信号RSは、RF−IC153によって周波数の引き下げおよび復調がなされて受信情報信号RISとされる。
なお、送信情報信号TISおよび受信情報信号RISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)でよく、例えば、アナログの音声信号もしくはデジタル化された音声信号である。無線信号の通過帯は、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)等の各種の規格に従ったものでよい。送信用の通過帯と、受信用の通過帯とは、通常、互いに重なっていない。変調方式は、位相変調、振幅変調、周波数変調もしくはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。また、図8は、要部のみを模式的に示すものであり、適宜な位置にローパスフィルタやアイソレータ等が追加されてもよいし、また、増幅器等の位置が変更されてもよい。
1…弾性波素子、3…貼り合わせ基板、5・・・電極部、7…圧電基板、9…支持基板、11…IDT電極

Claims (8)

  1. 第1面と第2面とを有する圧電基板と、
    前記第1面に配置された、弾性波を励振する電極部と、
    前記圧電基板の前記第2面に接合されるとともに、前記圧電基板を構成する材料に比べて線膨張係数の小さい材料からなる支持基板と、を備え、
    前記電極部は、ロッキングカーブ測定でダブルピークとなるように、前記第1面の法線からずれた第1方向および第2方向の2方向に配向している第1領域と第2領域とを含む、弾性波素子。
  2. 前記電極部はAlを主成分とし、前記第1領域の前記第1方向および前記第2領域の前記第2方向は、Al(111)面が、前記第1面の法線から0°を超え、4°未満の角度で傾いている、請求項1に記載の弾性波素子。
  3. 前記第1方向と前記第1面の法線とでなす角度の絶対値と、前記第2方向と前記第1面の法線とでなす角度の絶対値とが略同一である、請求項1または2に記載の弾性波素子。
  4. 前記第1方向と前記第2方向とを前記第1面に投影したときの第1投影方向と第2投影方向とは、前記弾性表面波が伝搬する方向である、請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性波素子。
  5. 前記電極部は、Alを主成分としてMgが添加されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性波素子。
  6. 前記電極部は、段差部を備えている、請求項1乃至5のいずれかに記載の弾性波素子。
  7. 前記段差部は、1つの結晶粒中に構成されている、請求項6に記載の弾性波素子
  8. アンテナと、
    前記アンテナに前記アンテナ端子が接続されており、請求項1乃至7のいずれかの弾性波素子を備える受信フィルタおよび送信フィルタを備える分波器と、
    前記送信フィルタおよび前記受信フィルタに接続されているICと、
    を有している通信装置。
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