JP2018014715A - 弾性波素子、フィルタ素子および通信装置 - Google Patents

弾性波素子、フィルタ素子および通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐電力の特性を向上させることが可能な弾性波素子、フィルタ素子および通信装置を提供する。【解決手段】 本発明の弾性波素子1は、圧電基板2と、圧電基板2上に配置された、複数の電極指32を有する励振電極3と、下地層6とを有する。電極指32は、平面視で、外周部32xと外周部32xよりも内側に位置する主部32yとを有し、下地層6は、平面視で、外周部32xと重なる第1領域6xと、主部32yと重なる第2領域32xとを備え、第1領域32yにおける厚みは、第2領域32xにおける厚みよりも厚い。【選択図】図2

Description

本発明は、弾性波素子、フィルタ素子および通信装置に関するものである。
近年、移動体端末等の通信装置において、アンテナから送信・受信される信号をフィルタリングする分波器に弾性波素子が用いられている。弾性波素子は、圧電基板と、圧電基板の主面に形成された励振電極とによって構成されている。弾性波素子は、励振電極と圧電基板との関係で電気信号と弾性表面波とを相互に変換することができる特性を利用するものである。
分波器は、複数の弾性波素子を用いることによって受信フィルタおよび送信フィルタを構成している(特許文献1等を参照)。分波器は、複数の弾性波素子を組み合わせることにより、受信帯域と送信帯域の通過帯域が設定される。
特開2007−214902号公報
このような分波器において、耐電力を高めることが課題の一つとなっている。即ち、分波器に用いられる弾性波素子の耐電力を高めることが課題の一つとなっている。
そこで、本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い耐電力を有する弾性波素子、フィルタ素子および通信装置を提供することにある。
本開示の一実施形態に係る弾性波素子は、圧電基板と、励振電極と、下地層とを備える。励振電極は、圧電基板上に配置され、複数の電極指を有する。そして、電極指は、平面視で、外周部と前記外周部よりも内側に位置する主部とを有する。下地層は、前記電極指と前記圧電基板との間に位置する。そして、前記下地層は、平面視で、前記外周部と重なる第1領域と、前記主部と重なる第2領域とを備え、前記第1領域における厚みは、前記第2領域における厚みよりも厚くなっている。
本開示の別の実施形態に係る弾性波素子は、圧電基板と、励振電極と、下地層とを備える。励振電極は、圧電基板上に配置され、複数の電極指を有する。そして、電極指は、平面視で、外周部と前記外周部よりも内側に位置する主部とを有する。下地層は、前記電極指と前記圧電基板との間に位置する。そして、前記電極指の前記主部は圧電基板と接しており、前記外周部は、前記下地層の上面に接している。
本開示の一実施形態に係るフィルタ素子は、上述に記載の弾性波素子がフィルタを構成する共振子に用いられている。
本開示の一実施形態に係る通信装置は、アンテナと、該アンテナに電気的に接続された上述のフィルタ素子と、該フィルタ素子に電気的に接続されたRF−ICとを備える。
本開示の弾性波素子、フィルタ素子および通信装置によれば、耐電力を高めることができる。
本開示の実施形態に係る弾性波素子の構成を示す平面図である。 (a),(b)はそれぞれ、図1に示す弾性波素子のII−II線で切断した断面の要部拡大図である。 IDT電極の一部を拡大した模式的な拡大上面図である。 電極指における応力分布を示すシミュレーション結果である。 図2に示す電極指における応力分布を示すシミュレーション結果である。 (a),(b)はそれぞれ、他の実施形態に係る下地層6の断面形状を示す模式的な断面図である。 他の実施形態に係る弾性波素子の電極指の形状を示す模式的な断面図である。 図7に示す電極指における応力分布をシミュレーションした線図である。 他の実施形態に係る弾性波素子の電極指の形状を示す模式的な断面図である。 本開示の一実施形態に係る通信装置を説明する回路図である。 本開示の一実施形態に係る分波器を説明する回路図である。 他の実施形態に係る弾性波素子の電極指の形状を示す模式的な断面図である。 (a),(b)はそれぞれ、他の実施形態に係る弾性波素子の電極指の形状を示す模式的な断面図である。 IDT電極の変形例を示す平面図である。
以下、本開示の一実施形態に係る弾性波素子、フィルタ素子および通信装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものである。また、弾性波素子は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面、下面等の用語を用いるものとする。
<弾性波素子の構成の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子1の構成を示す平面図である。図2(a)は図1のII−II線における要部拡大断面図であり、図2(b)は、図2(a)のIDT電極3をさらに拡大した図である。SAW素子1は、図1に示すように、圧電基板2、圧電基板2の上面2Aに設けられた励振(IDT:Interdigital Transducer)電極3、反射器4、および下地層6を有している。
圧電基板2は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶またはタンタル酸リチウム(LiTaO)結晶からなる圧電性を有する単結晶の基板によって構成されている。具体的には、例えば、圧電基板2は、36°〜48°Y−XカットのLiTaO基板によって構成されている。圧電基板2の平面形状および各種寸法は適宜に設定されてよい。一例として、圧電基板2の厚み(z方向)は、0.2mm以上0.5mm以下である。
なお、圧電基板2を0.2μm〜25μm程度に薄層化し、その下面に圧電基板2よりも熱膨張係数が小さい材料からなる支持基板を配置してもよい。その場合には、圧電基板2の温度変化による変形を支持基板により抑制することで、温度特性の優れた(温度変化による周波数変化の少ない)SAW素子1を提供することができる。
IDT電極3は、図1に示すように、第1櫛歯電極30aおよび第2櫛歯電極30bを有している。なお、以下の説明では、第1櫛歯電極30aおよび第2櫛歯電極30bを単に櫛歯電極30といい、これらを区別しないことがある。
櫛歯電極30は、図1に示すように、互いに対向する2本のバスバー31(第1バスバー31a,第2バスバー31b)と、各バスバー31から他のバスバー31側へ延びる複数の電極指32(第1バスバー31aに接続される第1電極指32a、第2バスバー31bに接続される第2電極指32b)とを有している。そして、1対の櫛歯電極30は、第1電極指32aと第2電極指32bが、SAWの伝搬方向に互いに噛み合うように(交差するように)配置されている。
また、櫛歯電極30は、それぞれの電極指32と対向するダミー電極指33を有している。第1ダミー電極指33aは、第1バスバー31aから第2電極指32bに向かって延びている。第2ダミー電極指33bは、第2バスバー31bから第1電極指32aに向かって延びている。なお、ダミー電極指33を配置しなくてもよい。
バスバー31は、例えば、概ね一定の幅で直線状に延びる長尺状に形成されている。従って、バスバー31の互いに対向する側の縁部は直線状である。複数の電極指32は、例えば、概ね一定の幅で直線状に延びる長尺状に形成されており、SAWの伝搬方向に概ね一定の間隔で配列されている。
IDT電極3を構成する一対の櫛歯電極30の複数の電極指32は、ピッチPt1となるように設定されている。ピッチPt1は、例えば、共振させたい周波数でのSAWの波長λの半波長と同等となるように設けられている。波長λ(すなわち2×Pt1)は、例えば、1.5μm以上6μm以下である。IDT電極3は、複数の電極指32のほとんどがピッチPt1となるように配置されることにより、複数の電極指32が一定の周期となるような配置となるため、SAWを効率よく発生させることができる。
ここでピッチPt1は、伝搬方向において、第1電極指32aの中心から、当該第1電極指32aに隣接する第2電極指32bの中心までの間隔を指すものである。各電極指32は、弾性波の伝搬方向における幅w1が、SAW素子1に要求される電気特性等に応じて適宜に設定される。電極指32の幅w1は、例えば、ピッチPt1に対して0.3倍以上0.7倍以下である。
このように電極指32を配置することで、複数の電極指32に直交する方向に伝搬するSAWが発生する。従って、圧電基板2の結晶方位を考慮したうえで、2本のバスバー31は、SAWを伝搬させたい方向に交差する方向において互いに対向するように配置される。複数の電極指32は、SAWを伝搬させたい方向に対して直交する方向に延びるように形成される。なお、SAWの伝搬方向は複数の電極指32の向き等によって規定されるが、本実施形態では、便宜的に、SAWの伝搬方向を基準として、複数の電極指32の向き等を説明することがある。
各電極指32(第1電極指32a,第2電極指32b)の本数は片側あたり50〜350本である。
複数の電極指32の長さ(バスバーから先端までの長さ)は、例えば、概ね同じに設定される。対向する電極指32同士の噛み合う長さ(交差幅)は10〜300μmである。なお、各電極指32の長さや交差幅を変えてもよく、例えば伝搬方向に進むにつれて長くしたり、短くなるようにしたりしてもよい。具体的には、各電極指32の長さを伝搬方向に対して変化させることにより、アポダイズ型のIDT電極3を構成してもよく、この場合、横モードのスプリアスを低減させたり、耐電力性を向上させたりすることができる。
なお、アポタイズ型のIDT電極3とする場合には、図14(a)に示すように、電極指32の交差幅が短くなる部分(谷部)において、バスバー31に開口部31xを設けてもよい。具体的には、アポタイズが施されて、交差領域が2山以上の形状をとる場合に、SAWの伝搬方向において、電極指32の交差幅が長い部分と重なるバスバー31の一部を切り抜くように開口部31xを設けている。2山のアポタイズが施されたIDT電極3においては、2つの電極指32の交差幅が長い部分(山の部分)の間(谷部)において、定在波がたつ。この定在波の振動は、SAWの伝搬方向から見て電極指の配列周期に応じて大きくなる位置がある。そして、谷部にバスバー31が存在する場合には、この定在波の振動が大きい位置においてマイグレーションが発生してしまう。
これに対して、開口部31xを設けることで、定在波により発生するバスバー31を構成する材料のマイグレーションを抑制することができる。
開口部31xは、図14(a)に示すように、谷部の殆どの領域において大面積で開口するように設けてもよいし、複数の電極指32の間の領域を、電極指32が延びる方向に延長した領域に設けてもよい。即ち細長い矩形状の開口を複数設けてもよい。この領域において振動強度が高まるからである。
開口部31xには、図14(b)に示すように、補助電極指32cを設けてもよい。第1バスバー31aに接続される補助電極指32cは、第1電極指32aの延長線上に位置するように配置される。第2バスバー31bに接続される補助電極指32cは、第2電極指32bの延長線上に位置するように配置される。このような構成にすることで、横方向に漏洩する信号を取り出すことができる。
また、図14(c)に示すように、後述の反射器4の側にある谷部において第1バスバー31aを切り欠き、第2バスバー31bに電気的に接続され、第1電極指32a側に向かって延びる第2補助電極指32dを設けてもよい。この場合には、第1電極指32aの先端から第2バスバー31bに向かう電場に起因する歪電流を打ち消すように、第1バスバー31aから第2補助電極指32dの先端に向かう電場に起因する歪電流が発生するため、歪を低減することができる。
IDT電極3は、例えば、金属の導電層15によって構成されている。この金属としては、例えば、AlまたはAlを主成分とする合金(Al合金)が挙げられる。Al合金は、例えば、Al−Cu合金である。なお、IDT電極3は、複数の金属層から構成されてもよい。IDT電極3の各種寸法は、SAW素子1に要求される電気特性等に応じて適宜に設定される。IDT電極3の厚みS(z方向)は、例えば、50nm以上600nm以下である。
IDT電極3は、別の部材からなる下地層6を介して圧電基板2の上面2Aに配置されている。別の部材は、金属、半導体、樹脂等を用いることができるが、電極指32を構成する材料よりヤング率の高い材料としてもよい。機械的強度の強い材料としてもよい。このような材料として、Pt、Mo、Ti、Cr、Cuあるいはこれらの合金等を例示できる。Tiで構成する場合には、その上に成膜するIDT電極3の結晶性を高めることができる。また、Tiは高融点金属であるため、SAW素子1を製造および実装するためのプロセス中の加熱工程や、SAW素子1の動作中の発熱によっても特性変化することがないので信頼性の高いSAW素子1を提供することができる。さらに、圧電基板2の上面2AにTiからなる下地層6を配置することにより、その上に形成されるAlまたはAl合金を<111>方向に優先配向させることができる。これにより、IDT電極3において、拡散経路となる結晶粒内および結晶粒界の欠陥を減らすことができ、信頼性および耐電力性を高めることができる。
また、IDT電極3を構成する電極指32上には、SAW素子1の温度特性を向上させるために、質量付加膜を積層してもよい。質量付加膜としては、例えばSiO等を用いることができる。
IDT電極3は、電圧が印加されると、圧電基板2の上面2A付近においてx方向に伝搬する弾性波を励起する。励起された弾性波は、電極指32の非配置領域(隣接する電極指32間の長尺状の領域)との境界において反射する。そして、電極指32のピッチPt1を半波長とする定在波が形成される。定在波は、当該定在波と同一周波数の電気信号に変換され、電極指32によって取り出される。このようにして、SAW素子1は、1ポート共振子として機能する。
反射器4は、弾性波の伝搬方向においてIDT電極3を挟むように配置されている。反射器4は、概ねスリット状に形成されている。すなわち、反射器4は、弾性波の伝搬方向に交差する方向において互いに対向する反射器バスバー41と、これらバスバー41間において弾性波の伝搬方向に直交する方向に延びる複数の反射電極指42とを有している。反射器バスバー41は、例えば、概ね一定の幅で直線状に延びる長尺状に形成されており、弾性波の伝搬方向に平行に配置されている。
複数の反射電極指42は、IDT電極3で励起される弾性波を反射させるピッチPt2に配置されている。ピッチPt2は、IDT電極3のピッチPt1を弾性波の波長λの半波長に設定した場合、ピッチPt1と同じ程度に設定すればよい。波長λ(すなわち2×Pt2)は、例えば、1.5μm以上6μm以下である。ここでピッチPt2は、伝搬方向において、反射電極指42の中心から、隣接する反射電極指42の中心までの間隔を指すものである。
また、複数の反射電極指42は、概ね一定の幅で直線状に延びる長尺状に形成されている。反射電極指42の幅w2は、例えば、電極指32の幅w1と概ね同等に設定することができる。反射器4は、例えば、IDT電極3と同一の材料によって形成されるとともに、IDT電極3と同等の厚みに形成されている。
反射器4は、IDT電極3に対して間隔を空けて配置されている。ここで間隔Gは、IDT電極32の反射器4側の端部に位置する電極指32の中心から反射器4のIDT電極32側の端部に位置する反射電極指42の中心までの間隔を指すものである。間隔Gは、通常、IDT電極3の電極指32のピッチPt1(またはPt2)と同じとなるように設定されている。
保護層5は、図2に示すように、IDT電極3および反射器4上を覆うように、圧電基板2上に設けられている。具体的には、保護層5は、IDT電極3および反射器4の表面を覆うとともに、圧電基板2の上面2AのうちIDT電極3および反射器4から露出する
部分を覆っている。保護層5の厚みは、例えば、1nm以上800nm以下である。
保護層5は、絶縁性を有する材料からなり、腐食等から保護することに寄与する。好適には、保護層5は、温度が上昇すると弾性波の伝搬速度が速くなるSiOなどの材料によって形成されており、これによって弾性波素子1の温度の変化による電気特性の変化を小さく抑えることもできる。
ここで、本実施形態のSAW素子1は、下地層6の厚みが電極指32の外周と重なる第1領域6xにおいて厚くなっている。言い換えると、電極指32と圧電基板2との距離は、外周側で大きく、内側で小さくなっている。この構成について詳述する。
図3に、電極指32の拡大図を示す。図3に示すように、電極指32は平面視で外周部32xと主部32yとを備える。外周部32xは、平面視で、電極指32の外縁32zから幅をもって続く領域である。主部32yは、平面視で、外周部32xの内側に位置するものであり、例えば電極指32の幅の中央近傍、長さの中央近傍を含む。この例では、電極指32のうち、バスバー31に接続される部分を除き、主部32yの全領域を囲むように外周部32xが設けられている。
そして、下地層6が、平面視で、主部32yに重なる領域(第2領域6y)と外周部32xに重なる領域(第1領域6x)とにつらなるように設けられており、第1領域6xにおける厚みは第2領域6yにおける厚みに比べて厚くなっている。具体的には、第2領域6yにおける厚みは、IDT電極3の電気特性に殆ど影響を与えない程度の厚み(例えば、Tiの場合はIDT電極3の厚みの5%の厚み)に設定される。第1領域6xにおける厚みは、第2領域6yに比べて厚ければよいが、例えば、10倍〜200倍程度としてもよい。
このような構成により、ロスを抑制するとともに耐電力性に優れたSAW素子1を提供することができる。その効果について詳述する。電極指32を構成する材料は、ロスを低減するために電気特性に優れた材料を選択する。下地層6を構成する材料は、圧電基板2と電極指32との密着性を向上させたり、その上の電極指32の結晶性を向上させたりするために設けられ、一般的に電極指32を構成する材料にくらべ電気抵抗が高いことが多い。
ここで、IDT電極3に高周波信号を入力した際に電極指32に加わる応力をシミュレーションしたところ、電極指32の上面側に向かうほど応力が小さくなっており、下地層6と接する基板2に近い高さ位置において応力が最大となっていた。すなわち、振動に対する強度の低い電極材料を圧電基板2からの距離を確保することで応力を低減することができる。そこで、下地層6の厚みを厚くすることで電極指32に生じる応力を抑制することができることを確認した。例えば、下地層6としてTiを用いて、電極指32としてAl−Cu合金を用いた場合の最大応力をシミュレーションすると、下地層6の厚みが60Åの場合には1.6×10Paであったのに対して、1000Åの場合には6.0×10Paとなっていた。また、下地層6として、電極指32に比べてヤング率の高い材料を用いたときには、応力の大きい位置で強度の高い下地層6を配置することができるので耐電力性を高め、信頼性の高いSAW素子1を提供することができる。また、下地層6として、振動を吸収する材料を用いたときは、振動による応力を低減することができる。
さらに、高周波信号を入力した際に電極指32に加わる面方向における応力分布をシミュレーションした。その結果を図4に示す。図4において、横軸は電極指32中のポジションを、縦軸は応力の大きさを示している。下地層6はTiとしその厚みは一様であり1000Åとした。複数の線は圧電基板2からの高さを異ならせたときのものであり、最も応力の大きい線が、最も下地層6側の高さ位置の応力分布を示している。図4からも明らかなように、電極指32に加わる応力は、その外周部32xに比べ、その内側に位置する主部32yでは小さくなっている。このことから、下地層6の厚みを、応力の大きくなる外周部32xに重なる第1領域6xで厚くすることで耐電力性を高めることができる。一方で、前述の通り、一般的に下地層6の電気抵抗は電極指32の電気抵抗に比べて大きいため、下地層6の厚みを厚くするとロスが大きくなる虞があるが、主部32yと重なる第2領域6yで厚みを薄くすることで電気抵抗を小さく抑えるとともに圧電基板2との電気機械結合係数を高めてロスを抑制することができる。すなわち、ロスの低減と耐電力性の向上とを両立することができる。
図5に、図2(b)に示す構成の電極指32に高周波信号を入力した際の面方向における応力分布をシミュレーションした結果を示す。第1領域6xにおける厚みを1000Åとし、第2領域6yにおける厚みを60Åとしている。図5と図4とを比較すると、第2領域6yの厚みを薄くしても最大応力が変化することなく、耐電力性を高めることができることを確認した。
ここで、第1領域6xの厚みおよび幅は、所望の耐電力性とロスとを得ることのできる範囲で設定すればよいが、例えば、厚みは、電極指32の厚みの5%以上50%以下とすればよい。下地層6の第1領域6xにおける厚みを大きくすることで耐電力性をより高めることができる。幅は、図4、図5からも明らかないように、ある程度の幅を有することが好ましく、例えば、電極指32の幅の5%以上20%以下とすればよい。
下地層6の厚みを面方向において異ならせるには、例えば第1領域6xと同じ厚みまで成膜後に化学的、物理的にエッチングを行なって一部を除去することで実現してもよい。また、第2領域6y同じ厚みまで成膜した後に、第1領域6xに相当する領域のみに続けて成膜し厚みを増してもよい。
なお、下地層6を平面視で電極指32の外縁32zよりも外側まで延在させ、延在部の厚みを厚くする構成(電極指32の側面の一部を下地層6が覆う構成)としても耐電力性を向上させることはできなかった。このことから、電極指32の外周部32xの直下において下地層6が厚いことが重要であることが確認できた。
<他の実施形態:下地層の形状>
上述の例では、第1領域6xの厚みは一様である場合を例示したが、この例に限定されない。例えば、図6(a)に示すように、外縁32zに重なる位置から内側に向かうにつれて徐々に厚みが薄くなるようなテーパー状であってもよい。この場合には、第1領域6xと第2領域6yにおける下地層6の厚みは、各領域の平均で比較すればよい。なお、第2領域6yにおける厚みも一定である必要はなく、例えば、厚み方向における断面視において、下地層6の形状をV字状としてもよい。また、下地層6の上面を形成する部位は、断面視で直線状に限定されることはなく、曲線で形成されていてもよい。すなわち、すり鉢状であったり、円弧状の曲線部を有していたりしてもよい。
さらに、第1領域6xの厚みは、連続的に変化していなくてもよく、図6(b)に示すように階段状に変化させてもよい。また、上述の例では、下地層6のうち、電極指32の外縁32zと重なる部分において最も厚みが厚くなっているが、この例に限定されない。例えば、外縁よりも内側で最も厚みを厚くしてもよい。ただし、外縁32zと重なる位置における厚みが、第2領域6yにおける厚みに比べて厚くする。このような構成とすることで、第1領域6xで耐電力を高めつつ、最も応力が加わる外縁32zにおいて下地層6と電極指32とが噛み合うような形状となることで両者の密着性を高めることができる。
<他の実施形態:下地層の形状分布>
上述した下地層6の形状は電極指32の位置により異なっていてもよい。例えば、複数の電極指32のうち振動強度が大きい部位に位置する電極指32について、下地層6を図2に示す形状とし、振動強度の小さい部位に位置する電極指32については、一様な厚みの下地層6としてもよい。具体的には、振動の中心となる2つの反射器4の間の中心付近では図2に示す形状の下地層6を用い、反射器4に近い側では、一様な厚みとして、その厚みは第2領域6yと同等としてもよい。
さらに、1つの電極指32の中でも下地層6の形状を異ならせてもよい。例えば、図3のII−II方向(電極指32の幅方向)における下地層6の形状をIIa−IIa線部(先端)、II−II線部(中央)、IIc−IIc線部(バスバー側)で異ならせてもよい。具体的には、IIa−IIa線部およびIIc−IIc線部と、振動強度の大きいII−II線部とで、第1領域6xの幅および厚みを異ならせてもよい。また、II−II線部において図2に示す形状とし、IIa−IIa線部、IIc−IIc線部では下地層6を一様な厚みとしてもよい。
また、外周部32xと重なる領域全てにおいて下地層6の厚みを厚くしなくてもよい。具体的には、IIx−IIx方向(電極指32の長さ方向)の外周部32x(先端部)の直下における厚みは厚くなくてもよい。外周部32xに重なる領域のうち、圧電基板2の変形量の大きい方向(SAWの伝搬方向)に面する部分において、下地層6の厚みを厚くすることで、ロスが小さく、かつ耐電力性の高いSAW素子1を提供することができる。言い換えると、下地層6は、平面視で、外周部32xのうち、複数の電極指32の配列方向と交差する方向に伸びる部分と重なる部分において厚みを厚くしてもよい。
<他の実施形態:下地層の形状>
上述の例では、電極指32の下面全面に下地層6が配置されていたが、この形状に限定されない。図7に示すSAW素子1Aのように、電極指32の主部32yは直接圧電基板2の上面に配置され、外周部32xの下面にのみ下地層6が配置されていてもよい。図8に、図7に示すSAW素子1Aの電極指32について、高周波信号を入力した際の面方向における応力分布をシミュレーションした結果を示す。下地層6の厚みは1000Åとし、幅20%としている。図8からも明らかなように、電極指32の主部32yにおいて下地層6が介在していなくても、電極指32に加わる最大応力が悪化することなく、SAW素子1Aの耐電力性を高めることができることを確認した。
なお、SAW素子1Aにおいて、下地層6の厚みが一様でなくてもよい。電極指32の内側方向に向かうにつれて厚みが薄くなるテーパー状、円弧状、階段状であってもよい。
<他の実施形態>
図9に示すように、電極指32は積層構造であってもよく、各層間に下地層6を介在させてもよい。下地層6の形状は図2に示す形状でもよいし、図6や図7に示す形状でもよい。電極指32の厚みの途中に強度の高い下地層6を設ける場合には、より信頼性の高いSAW素子を提供することができる。ここで、複数の下地層6のうち、第1領域6xの厚みは、圧電基板2との距離が小さい側の下地層6の方が、大きい側の下地層6よりも薄くしてもよい。
また、図9に示す例では、複数の下地層6の全てが図2に示す形状である場合を例示したが、この限りではない。例えば、圧電基板2に近い側の下地層6は図2に示す形状とし、上方に位置する下地層6は厚みが一様な形状としてもよい。
さらに、図12に示すように、電極指32の厚みの途中に中間層70が位置していてもよい。図12に示す例では、中間層70よりも圧電基板2の側においては、電極指32は第2領域6yと重なる部分のみ位置しており、第1領域6xに重なる位置には位置していない。このような構成とすることで、さらに耐電力性を高めることができる。なお、中間層70は、Ti等の化学的に安定している材料で構成してもよい。
<他の実施形態>
上述の例では、下地層6は1層で構成されていたが、2層以上で構成されていてもよい。例えば、2層で構成する場合には、いずれも電極指32を構成する材料よりも強度が高いことは満たしているが、厚みの厚い方の層の電気抵抗を他方の層に比べて低くしてもよい。具体的には、Ti層とCu合金層との積層構造としてもよい。また、圧電基板2の側から順に、強度の高い層を配置してもよい。
図13(a),図13(b)に、下地層6が複数層からなる場合の具体的な構成を示す。図13(a)は、第1下地層61と第2下地層62とがこの順に積層されて、下地層6を構成している。第1下地層61は、Tiからなり、圧電基板2との密着層としても機能する。第2下地層62は、第1下地層61に比べ厚みが厚く、かつ、導電率の高い材料で構成されている。例えば、Cu、Cu合金等を用いることができるが、この例では、CuAl合金の多結晶体もしくはアモルファスを用いる。
このような第2下地層62を用いることで、耐電力性を高めるとともに、電極としての抵抗を低く抑えることができるので、損失の少ないSAW素子1を提供することができる。
また、この例では、第1下地層61は、電極指32の厚みに対して電気特性に影響を与えない程度に薄くしており、例えば、その厚みは1nm〜10nm程度である。そして、その厚みは面内で一様としている。そして、第1下地層61の上に位置する第2下地層62は、第1領域6xにおいて厚みが厚く、第2領域6yにおいて厚みが薄くなっている。
なお、図13(a)に示す例では、第2下地層62のみが面内において厚みに違いをもたせているが、この限りではない、例えば、第1下地層61,第2下地層62共に面内において厚みに違いをもたせてもよいし、第1下地層61のみに面内において厚みに違いをもたせて、第2下地層62は一様な厚みとしてもよい。
また、図13(b)に示すように、第2領域6yにおいて、第2下地層62の厚みが一様でなくてもよい。具体的には、厚みの薄くなる部分を複数個所備えるようにしてもよい。なお、第2領域6yにおいて、厚みの厚い部分は第1領域6xと同じ厚みとしてもよい。この場合であっても、第1領域6xにおける厚みの平均と、第2領域6yにおける厚みの平均をとると、第2領域6yの厚みの方が、第1領域6xの厚みの平均に比べ小さくなる。
このように、厚みの薄くなる部分を複数個所備えることで、第2下地層62と電極指32とが噛み合うような形状となり、両者の接合強度を高めることができる。なお、図13(b)においては、厚みが薄くなる部分を矩形状としているが、この限りではない。例えば、多角形状、三角形状等であってもよい。
また、下地層6が2層以上からなる場合であっても、図9,図12に示すような積層構造を備えていてもよい。図12に示す構成とする場合には、第2下地層61の化学的活性が高い場合には、中間層70により、第2下地層62の変質や拡散を抑制することができ、信頼性の高いSAW素子1を提供できる。
上述の通り、第1領域6xと第2領域6yとの各領域内において厚みに変化のある場合には、それぞれの領域における平均値で比較すればよい。また、各領域内において厚みに変化のある場合には、応力の最も高い電極外周部において最も厚みが厚くなり、応力が低くなる内側の領域においては、電極外周部よりも厚みの厚い部分は不要である。すなわち、第1領域6xおよび第2領域6yを通して、電極外周部の厚みを超える厚みを有する部位はない。言い換えると、第2領は、厚みの上限値が電極外周部の厚みであり、かつ、第2領域6y内における厚みの平均が第1領域6xよりも薄くなるように領域内で厚みが変化するものである。
<フィルタ素子および通信装置>
図10は、本開示の実施形態に係る通信装置101の要部を示すブロック図である。通信装置101は、電波を利用した無線通信を行うものである。分波器7は、通信装置101において送信周波数の信号と受信周波数の信号とを分波する機能を有している。
通信装置101において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF−IC103によって変調および周波数の引き上げ(搬送波周波数の高周波信号への変換)がなされて送信信号TSとされる。送信信号TSは、バンドパスフィルタ105によって送信用の通過帯域以外の不要成分が除去され、増幅器107によって増幅されて分波器7に入力される。分波器7は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯域以外の不要成分を除去してアンテナ109に出力する。アンテナ109は、入力された電気信号(送信信号TS)を無線信号に変換して送信する。
通信装置101において、アンテナ109によって受信された無線信号は、アンテナ109によって電気信号(受信信号RS)に変換されて分波器7に入力される。分波器7は、入力された受信信号RSから受信用の通過帯域以外の不要成分を除去して増幅器111に出力する。出力された受信信号RSは、増幅器111によって増幅され、バンドパスフィルタ113によって受信用の通過帯域以外の不要成分が除去される。そして、受信信号RSは、RF−IC103によって周波数の引き下げおよび復調がなされて受信情報信号RISとされる。
送信情報信号TISおよび受信情報信号RISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)でよく、例えば、アナログの音声信号もしくはデジタル化された音声信号である。無線信号の通過帯域は、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)等の各種の規格に従ったものでよい。変調方式は、位相変調、振幅変調、周波数変調もしくはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。
図11は、本開示の一実施形態に係る分波器7の構成を示す回路図である。分波器7は、図10において通信装置101に使用されている分波器である。分波器7は、送信フィルタ11および/または受信フィルタ12を構成するフィルタ素子を有している。送信フィルタ11および/または受信フィルタ12を構成するフィルタ素子は、SAW素子1と、圧電基板2上に配置された共振子で構成されている。
SAW素子1は、例えば、図11に示した分波器7における送信フィルタ11のラダー型フィルタ回路の一部を構成するSAW素子である。送信フィルタ11は、図11に示すように、圧電基板2と、圧電基板2上に形成された直列共振子S1〜S3および並列共振子P1〜P3を有する。
分波器7は、アンテナ端子8と、送信端子9と、受信端子10と、アンテナ端子8と送信端子9との間に配置された送信フィルタ11と、アンテナ端子8と受信端子10との間に配置された受信フィルタ12とから主に構成されている。
送信端子9には増幅器107からの送信信号TSが入力され、送信端子9に入力された送信信号TSは、送信フィルタ11において送信用の通過帯域以外の不要成分が除去されてアンテナ端子8に出力される。また、アンテナ端子8にはアンテナ109から受信信号RSが入力され、受信フィルタ12において受信用の通過帯域以外の不要成分が除去されて受信端子10に出力される。
送信フィルタ11は、例えば、ラダー型SAWフィルタによって構成されている。具体的に送信フィルタ11は、その入力側と出力側との間において直列に接続された3個の直列共振子S1、S2、S3と、直列共振子同士を接続するための配線である直列腕と基準電位部Gndとの間に設けられた3個の並列共振子P1、P2、P3とを有する。すなわち、送信フィルタ11は3段構成のラダー型フィルタである。ただし、送信フィルタ11においてラダー型フィルタの段数は任意である。
並列共振子P1、P2、P3と基準電位部Gndとの間には、インダクタLが設けられている。このインダクタLのインダクタンスを所定の大きさに設定することによって、送信信号の通過周波数の帯域外に減衰極を形成して帯域外減衰を大きくしている。複数の直列共振子S1、S2、S3および複数の並列共振子P1、P2、P3は、それぞれSAW素子1のようなSAW共振子からなる。
受信フィルタ12は、例えば、多重モード型SAWフィルタ17と、その入力側に直列に接続された補助共振子18とを有している。なお、本実施形態において、多重モードは、2重モードを含むものとする。多重モード型SAWフィルタ17は、平衡−不平衡変換機能を有しており、受信フィルタ12は平衡信号が出力される2つの受信端子10に接続されている。受信フィルタ12は多重モード型SAWフィルタ17によって構成されるものに限られず、ラダー型フィルタによって構成してもよいし、平衡−不平衡変換機能を有していないフィルタであってもよい。
送信フィルタ11、受信フィルタ12およびアンテナ端子8の接続点とグランド電位部Gとの間には、インダクタなどからなるインピーダンスマッチング用の回路を挿入してもよい。
本実施形態のSAW素子を、弾性波素子として用いたフィルタ素子を、送信フィルタ11や受信フィルタ12としてもよい。例えば、フィルタ素子として送信フィルタ11を構成する場合には、本実施形態のSAW素子を直列共振子S1〜S3のいずれか、または、並列共振子P1〜P3のいずれかに使用してもよい。SAW素子1を直列共振子S1〜S3のいずれか、または、並列共振子P1〜P3の少なくとも1つに用いることにより、フィルタの耐電力性を高めることができる。また、フィルタ素子として受信フィルタ12を構成する場合には、多重モード型SAWフィルタ17または補助共振子18の少なくとも1つに用いることにより、フィルタの耐電力性を高めることができる。
なお、上述のラダー型の送信フィルタ11において、直列共振子S1〜S3と並列共振子P1〜P3との温度特性に差をつけてもよい。すなわち、直列共振子S1〜S3の温度特性(温度変化による周波数シフト量)を並列共振子P1〜P3の温度特性に比べて小さくしてもよい。この場合には、耐電力性の優れた送信フィルタ11を提供することができる。以下、メカニズムについて説明する。
送信フィルタ11に電力を印加すると、各共振子において電極(IDT電極3)が発熱し周波数が低周波数側にシフトする。一方、周波数と振動強度との関係を調査した結果、振動強度のピークは2つあり、フィルタの通過帯域の両肩の両外側に位置していることが分かった。ここで、共振子の電極の発熱に伴い周波数特性が低周波数側にシフトし、振動強度の特性も低周波数側にシフトすると、通過帯域の左肩部分では振動強度が低下し、通過帯域の右肩部分では振動強度が高まることとなる。
言い換えると、通過帯域がfL〜fHの場合には、fLに近い側の振動強度のピークは、より低周波数側にシフトし離れるため、fLにおいて振動強度は温度変化に伴い低下する。逆にfHに近い側の振動強度のピークは、低周波数側にシフトすることで近づき、fHにおいて振動強度は温度変化に伴い高まる。ここで、fL近傍の特性は並列共振子P1〜P3に、fH近傍の特性は直列共振子S1〜S3により決定されるため、並列共振子P1〜P3の温度特性は大きく、直列共振子S1〜S3の温度特性は小さくすることで、送信フィルタ11の耐電力性を高めることができる。また、この場合には、並列共振子が関与する帯域の低周波数側の周波数シフト量は多くなる。このため、振動強度のみでなく、消費電力も低下して、耐電力性を高めることができる。
同時に、温度変化により振動強度が高まり、高い耐電力性が求められる直列共振子S1〜S3に本実施形態のSAW素子1を使用してもよい。
ここで、直列共振子と並列共振子とで温度特性を変えるためには、具体的には以下の手法が例示できる。まず、IDT電極3が質量付加膜に埋め込まれている場合には、質量付加膜の厚みを直列共振子に比べ並列共振子で薄くすることで実現できる。また、圧電基板2が薄層化され、その下面に線膨張係数の小さい材料からなる支持基板を備える場合には、圧電基板2の厚さを直列共振子に比べ並列共振子で厚くすることで実現できる。もしくは、圧電基板2の厚さは同一とし、支持基板の厚みを直列共振子に比べ並列共振子で薄くすることで実現できる。さらに、並列共振子に並列に付加容量を加え、付加容量の温度特性を並列共振子の温度特性に比べ大きくしても実現することができる。
1 弾性波素子(SAW素子)
2 圧電基板
3 励振(IDT)電極
32 電極指(第1電極指32a、第2電極指32b)
32x 外周部
32y 主部
6 下地層
6x 第1領域
6y 第2領域
101 通信装置
103 RF−IC
109 アンテナ

Claims (9)

  1. 圧電基板と、
    該圧電基板上に配置された、複数の電極指を有する励振電極と、
    前記電極指と前記圧電基板との間に位置する下地層と、を有し、
    前記電極指は、平面視で、外周部と前記外周部よりも内側に位置する主部とを有し、
    前記下地層は、平面視で、前記外周部と重なる第1領域と、前記主部と重なる第2領域とを備え、前記第1領域における厚みは、前記第2領域における厚みよりも厚い、弾性波素子。
  2. 前記第1領域は前記第2領域を囲む、請求項1に記載の弾性波素子。
  3. 前記第1領域は、平面視で、前記外周部のうち、複数の前記電極指の配列方向と交差する方向に伸びる部分と重なる部分に配置されている、請求項1または2に記載の弾性波素子。
  4. 前記第1領域の上面から前記外周部の上面までの距離は、前記第2領域の上面から前記主部の上面までの距離に比べて小さい、請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性波素子。
  5. 圧電基板と、
    該圧電基板上に配置された、複数の電極指を有する励振電極と、を有し、
    前記電極指は、平面視で、外周部と前記外周部よりも内側に位置する主部とを有し、
    前記主部は圧電基板と接しており、
    前記外周部は、前記圧電基板に配置された下地層の上面に接している、弾性波素子。
  6. 前記下地層は、前記電極指よりもヤング率の大きい材料からなり、
    前記電極指は、前記下地層よりも電気抵抗が小さい材料からなる、請求項1乃至5のいずれかに記載の弾性波素子。
  7. 前記下地層は、前記圧電基板に近い側に位置する第1下地層と、前記第1下地層よりも前記電極指側に位置する第2下地層とを含み、前記第1下地層は厚みが一様であり、前記第2下地層は、平面視で、前記外周部と重なる部分における厚みは、前記主部と重なる部分における厚みよりも厚い、請求項1乃至6のいずれかに記載の弾性波素子。
  8. 少なくとも1つの請求項1〜7のいずれかに記載された弾性波素子がフィルタを構成する共振子に用いられた、フィルタ素子。
  9. アンテナと、
    該アンテナに電気的に接続された請求項8に記載のフィルタ素子と、
    該フィルタ素子に電気的に接続されたRF−ICとを備える通信装置。
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