JP2014158138A - 弾性波装置とそれを用いたアンテナ共用器 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、IDT電極の電極指の形状を制御することにより、誘電膜の積層により生じる突起を小さくし、研削工程を用いなくても反射係数の低下を抑制することができる弾性波装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の弾性波装置では、電極指の電極層の側面と圧電基板の上面に平行な仮想面とのなす鋭角は、突起の表面と圧電基板の上面に平行な仮想面とのなす角より大きい。この構成により、電極指の弾性波の反射係数を担保でき、かつ、誘電膜の表面に形成される突起が小さくなるため、反射係数の低下を抑制することができる。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の弾性波装置では、電極指の電極層の側面と圧電基板の上面に平行な仮想面とのなす鋭角は、突起の表面と圧電基板の上面に平行な仮想面とのなす角より大きい。この構成により、電極指の弾性波の反射係数を担保でき、かつ、誘電膜の表面に形成される突起が小さくなるため、反射係数の低下を抑制することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、弾性波装置とそれを用いたアンテナ共用器に関する。
図8(a)は、弾性波装置101の断面模式図、図8(b)は電極指102の断面拡大図である。図8(a)において、弾性波装置101は、上面を有する圧電基板104と、IDT電極および誘電膜103を備える。IDT電極は、圧電基板104の上面に形成されており、波長λのレイリー波を主要弾性波として励振する。IDT電極は、電極指102を有する。誘電膜103は、圧電基板104の上面に、IDT電極を覆うように積層されている。誘電膜103は、スパッタリングやCVD等の方法により形成される。電極指102は、上層部106と下層部105を有する。下層部105の底面に対する側面の角107は略垂直である。
また、図8(c)は、別の電極指108を示す。電極指108の下層部の底面に対する側面の角109は鋭角である。つまり、電極指108は、テーパー形状である。
電極指102の略垂直形状、および、電極指108のテーパー形状は、微細加工技術を用いて形成される。微細加工技術は、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いたリフトオフ法や、エッチング手法などがある。
尚、本出願の発明に関連する先行技術文献としては、例えば、特許文献1や特許文献2が知られている。
IDT電極の電極指102を覆うように誘電膜103を積層する場合、積層された誘電膜103には、電極指102の上方において、電極指102の高さの分だけ表面に突起110が形成される。誘電膜103の突起110は、弾性波装置101の反射係数を低下させる。そのため、弾性波装置101の機能を向上させるためには、弾性波装置101の製造工程において、誘電膜103の積層後に突起110を研削し、小さくする工程が必要になる。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、IDT電極の電極指の形状を制御することにより、誘電膜の積層により生じる突起を小さくし、研削工程を用いなくても反射係数の低下を抑制することができる弾性波装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、上面を有する圧電基板と、圧電基板の上面に形成されたIDT電極と、圧電基板の上面とIDT電極を覆うように積層された誘電膜と、を備え、IDT電極は電極指を有し、誘電膜は、電極指の上方に突起を有し、電極指は、圧電基板の側面と圧電基板の上面に平行な仮想面とのなす第1の角が鋭角である第1の電極層を有し、第1の電極層の第1の角は、突起の表面と圧電基板の上面に平行な仮想面とのなす第2の角より大きい弾性波装置である。
本発明の弾性波装置の構成により、電極指の弾性波の反射係数を担保でき、かつ、誘電膜の表面に形成される突起が小さくなるため、反射係数の低下を抑制することができる。したがって、弾性波装置の反射係数を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態における弾性波装置について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、本発明に記載された基本的な特徴に基づく限り、以下の記載の内容に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における弾性波装置1を模式的に示す図である。図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のA−A線の断面図である。
図1は、本発明の実施の形態1における弾性波装置1を模式的に示す図である。図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のA−A線の断面図である。
弾性波装置1は、圧電基板3とIDT(Interdisital Transducer)電極21、および、誘電膜4を備えている。IDT電極21は、電極指2を有している。ここで、矢印6は、電極指2の延伸方向を示す。IDT電極21は、圧電基板3の上面に櫛形電極が対向するように形成されている。誘電膜4は、圧電基板3の上面とIDT電極21を覆うように積層されている。また、誘電膜4は、電極指2の上方に突起5を有する。
図2は、誘電膜4を積層した電極指2を模式的に示す拡大断面図である。
電極指2は、第1の電極層7を有している。第1の電極層7の側面7Aと圧電基板3の上面3Aに平行な仮想面9とのなす第1の角θ1が鋭角である。また、第1の電極層7の第1の角θ1は、突起5の表面5Aと圧電基板3の上面3Aに平行な仮想面10とのなす角のうち最も大きい第2の角θ2より大きい。
第1の角θ1を鋭角にすることにより、誘電膜4に形成される突起5を小さくできる。突起5が小さくなると、第2の角θ2も小さくなり、第1の角θ1を第2の角θ2よりも大きくすることができる。また、第1の電極層7の第1の角θ1は、90度に近い方がより反射係数を大きくすることができる。そのため、第1の角θ1は第2の角θ2よりも大きい方が好ましい。
この構成により、電極指2は、第1の角θ1が小さくなりすぎないため、弾性波の反射係数を担保でき、かつ、誘電膜4の表面に形成される突起5が小さくなるため、反射係数の低下を抑制することができる。したがって、弾性波装置1の反射係数を向上させることができる。
レイリー波を主要弾性波とする弾性波装置1においては、突起5が弾性波を散乱させ、反射係数の低下や挿入損失の劣化につながる。したがって、突起を小さくすることで、反射係数が向上する。
圧電基板3の材料としては、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、水晶等を用いることができる。レイリー波を主要弾性波とする弾性波装置1において、圧電基板3は、オイラー角(φ、θ、ψ)がそれぞれ、−5≦φ≦5、−5≦θ≦5、−5≦ψ≦5の回転YカットX伝搬であることが好ましい。
突起5の表面5Aは、電極指2の延伸方向に垂直な断面において、下に凸の曲線状である。この形状は、誘電膜4を、例えば、バイアススパッタリングで積層することにより形成される。
突起5の表面5Aが下に凸であることにより、突起5の体積が小さくなる。したがって、弾性波装置1の反射係数の低下をさらに抑制することができる。
突起5の表面5Aが下に凸の場合、突起5の表面5Aと圧電基板3の上面3Aに平行な仮想面10とのなす角のうち最も大きい第2の角θ2は、頂部5Bで最も大きくなる。この場合、弾性波装置1において、第1の角θ1は第2の角θ2よりも大きい。
したがって、突起5の体積が小さく、かつ、頂部5Bにおける最も大きい第2の角θ2よりも、第1の角θ1が大きいので、第1の電極層7の体積は大きくなる。この構成により、電極指2は、第1の角θ1が小さくなりすぎないため、弾性波の反射係数を担保でき、かつ、誘電膜4の表面に形成される突起5が小さくなるため、反射係数の低下をさらに抑制することができる。
また、電極指2は、第1の電極層7と、第1の電極層7と圧電基板3との間に第2の電極層8が設けられている。第2の電極層8の側面8Aと圧電基板3の上面3Aに平行な仮想面11とのなす第3の角θ3は第1の角θ1より大きい。なお、第3の角θ3は、85〜95度であることが好ましく、90度であればさらに好ましい。つまり、第2の電極層8の側面は、圧電基板3に対してほぼ垂直に形成されていることが望ましい。
弾性波装置1を用いたラダーフィルタやDMS(Double Mode SAW)フィルタのようなフィルタにおいて、良好なフィルタ特性を実現するためには弾性波装置1を構成する電極指2の1本あたりの弾性波の反射係数がある程度以上大きくなければならない。電極指2の1本あたりの弾性波の反射係数が不足すると、フィルタの通過帯域内において挿入損失の劣化や、リップル発生による特性劣化が生じるからである。所望の電極指2の1本あたりの反射係数は、所望のフィルタの通過帯域幅によって決定される。電極指2の1本あたりの反射係数γとストップバンド幅SBWは2|γ|/π≒SBW/f0(f0:反射特性の中心周波数)の関係で示される。ストップバンド幅SBWは少なくともフィルタの通過帯域幅より大きくなければ通過帯域内の周波数において弾性波の閉じ込めが不十分となり、弾性波の漏洩が生じるため通過帯域特性は低下する。弾性波装置1によれば、第2の電極層8の第3の角θ3を85〜95度とすることにより、大きな弾性波の反射係数を得ることができる。反射係数は、ストップバンド幅に対して線形関係を有するため、通過帯域内における挿入損失劣化やリップル発生による特性劣化を抑制することができる。
なお、85〜95度の範囲は、弾性波装置1において、弾性波の反射係数が大きく低下しない程度の範囲である。また、電極指2の側面は、プロセス過程で制御することにより形成される。
さらに、電極指2の延伸方向に垂直な断面において、第1の電極層7の下面における主要弾性波の伝播方向の長さL1は、第2の電極層8の上面における主要弾性波の伝播方向の長さL2よりも短い。これにより、電極指2の延伸方向に垂直な断面において、第1の電極層7の上面における主要弾性波の伝播方向の長さは、より小さくなる。その結果、誘電膜4に形成される突起5をより小さくすることができる。これにより、誘電膜4の表面に形成される突起5が小さくなるため、反射係数の低下をさらに抑制することができる。
電極指2は、金属の単体、合金、または、積層構造からなる。なお、第2の電極層8は、第1の電極層7よりも平均密度の大きい材料で構成されている。また、第1の電極層7は、電気抵抗率の低い金属により構成されている。電気抵抗率の低い金属を用いることにより、電極層による抵抗損失を小さくできる。好ましくは、第2の電極層8の主成分は、MoやW等であり、第1の電極層7の主成分は、AlやCu等である。用いる金属材料に応じて好ましい高さの範囲は異なる。例えば、UMTS(UNIVERSAL MOBILE TELECOMMUNICATIONS SYSTEM)で規定されるBand8の送信フィルタに相当する中心周波数897MHzのフィルタの場合、電極指ピッチで決まる波長λ4.0μmに対し、好ましい第2の電極層8の高さは、Moを用いる場合170nm〜230nmであり、より好ましくは200nm程度である。また、Wを用いる場合、好ましい第2の電極層8の高さは、60〜120nmであり、より好ましくは90nm程度である。また、好ましい第1の電極層7の高さは、Alを用いる場合、250〜350nmであり、より好ましくは320nm程度である。このように、第1の電極層7は、第2の電極層8よりも厚いことが望ましい。密度が小さい第1の電極層7の体積を大きくすることで、電極指2の電気抵抗を小さくすることができ、抵抗損失を小さくできる。
誘電膜4は、窒化ケイ素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化テルル(TeO2、TeO3)、酸化ケイ素(SiO2)等を用いることができる。特に、圧電基板3の周波数温度係数(TCF:Temperature Coefficient of Frequency)と逆符号の周波数温度係数を有する材料を誘電膜に用いることが好ましい。このような材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)がある。圧電基板3の周波数温度係数と逆符号の周波数温度係数を有する材料を用いることにより、弾性波装置1の周波数温度特性を向上させることができる。
なお、本実施の形態の弾性波装置1は、第1の電極層7と第2の電極層8の2層からなる電極指2を用いて説明した。しかし、電極指2は、これに限定されるものではなく、例えば、1層で構成されていても、3層以上の複数の層で構成されていてもよい。
電極指2が複数の電極層で構成される場合、第1の電極層7は、複数の電極層を有する前記電極指2において、最も上部に形成されていることが好ましい。第1の電極層7を最も上部に形成することにより、電極指2は、体積を確保したまま、電極指2の延伸方向に垂直な断面における上面の主要弾性波の伝播方向の長さをより小さくできる。その結果、誘電膜4に形成される突起5をより小さくすることができる。この構成により、電極指2の弾性波の反射係数を担保でき、かつ、誘電膜4の表面に形成される突起5が小さくなるため、反射係数の低下をさらに抑制することができる。
次に、弾性波装置の製造方法の詳細について、図3を参照しながら説明する。ここでは、例として、第1の電極層にAlを用い、第2の電極層にMoを用いた弾性波装置について説明する。
図3(a)〜(f)は、本発明の実施の形態における弾性波装置の製造方法の概要を説明する製造工程毎の弾性波装置の断面図である。なお、各製造工程においては、工程の進行に伴って形状等が変化するが、変化の前後で共通の符号を用いて説明する場合もある。
図3(a)に示すように、まず、圧電基板12を用意する。圧電基板12の材料は、例えば、回転YカットX伝搬のニオブ酸リチウム単結晶である。
次に、圧電基板12の表面に、図3(b)に示すように、第2の電極層14としてMo層を、その上面に、第1の電極層13としてAl層を、スパッタリングなどにより堆積させる。
そして、図3(c)に示すようにAl層の上に、フォトリソグラフィー技術を用いて所望のパターンのレジスト15を形成する。レジスト15は、IDT電極を形成する領域の上にレジスト15が位置するポジ型パターンで形成されている。
次に、図3(d)、図3(e)に示すように、ドライエッチングを用いて、IDT電極を形成する。
図3(d)には、IDT電極における主成分がAlで構成される第1の電極層16を形成する工程を示す。Al、または、Alを主成分とするAl合金のドライエッチングにおいて、反応性ガスは塩素を使用する。塩素ガスを用いてAl層にドライエッチングを行うと、レジストやAlや塩素などが混合されたデポ物(残渣物)が生成される。デポ物は、ドライエッチングにおいて反応性が低くエッチングレートが非常に遅いため、マスキングと同様の効果が得られる。Al層のドライエッチングの過程で、Alの側面にデポ物が付着する。そのため、電極指の延伸方向に垂直な断面において、Alを主成分とする第1の電極層16の主要弾性波の伝播方向の長さは、圧電基板12に向かって長くなる。
なお、デポ物の生成量は、ドライエッチングにおけるバイアス電力に依存している。バイアス電力を大きくすると、デポ物が多く生成され、マスキングの効果が大きくなる。その結果、第1の電極層16の主要弾性波の伝播方向の長さは長くなり、第1の電極層16は太く形成される。したがって、バイアス電力の大きさを制御することで、第1の電極層16のエッチング量を調整でき、結果として、第1の電極層16であるAl層における第1の角θ1を制御することができる。
図3(e)には、IDT電極における主成分がMoで構成される第2の電極層17を形成する工程を示す。Moは適切な反応ガス、例えば、塩素と酸素の混合ガスを選択することで、ほぼ垂直な側面形状を形成することができる。また、Alのドライエッチングで生成されるデポ物の量を調整することで、デポ物をマスクとして用いることができる。これにより、Mo層の上面の主要弾性波の伝播方向の長さをAlの下面の主要弾性波の伝播方向の長さよりも大きくすることができる。
したがって、図2に示すような、第1の電極層7が下方に広がるテーパー形状、第2の電極層8の側面が垂直形状で、かつ、第1の電極層7の下面の主要弾性波の伝播方向の長さL1が第2の電極層8の上面の主要弾性波の伝播方向の長さL2よりも短い積層構造を備えたIDT電極が得られる。
なお、図4に示すように、第1の電極層7と第2の電極層8の接合部20は、滑らかに接合している場合がある。この場合、第1の側面7Aには、接合部20を含まないものとする。
次に、図3(f)に示すように、圧電基板12の上面とIDT電極とを覆うように誘電膜18を積層する。誘電膜18は、例えば、SiO2で構成されている。誘電膜18は、スパッタや蒸着などを用いて形成される。成膜過程において、電極指2間は、成膜粒子が電極指にブラインドされるため、SiO2のカバレッジが難しい箇所となる。カバレッジ性が悪くなると、SiO2の誘電膜18にボイドや疎な領域が生じるため、弾性波装置の電気特性が低下する。SiO2のボイドや疎な領域は弾性波の伝播損失の原因となるためである。しかし、電極指における第1の電極層16の下面の主要弾性波の伝播方向の長さを第2の電極層17の上面の主要弾性波の伝播方向の長さよりも短くすることにより、SiO2のカバレッジ性は良好となる。さらに、第1の電極層16における第1の角θ1を第2の電極層17における第3の角θ3よりも小さくすること、つまり、第1の電極層16の側面形状をテーパー形状とすることで、よりSiO2のカバレッジ性を向上させることができる。これにより、IDT電極21を有する弾性波装置1は、SiO2のカバレッジ性が確保され、ボイドや疎な領域による電気特性の劣化を抑制することができる。
また、第1の電極層16の第1の角θ1を鋭角にすることにより、誘電膜18の積層時に電極指上に形成される突起19を低くすることができる。さらに、第1の電極層16の下面の主要弾性波の伝播方向の長さが第2の電極層17の上面の主要弾性波の伝播方向の長さよりも短いため、誘電膜18の積層時に電極指上に形成される突起19を低くできる。
成膜過程で生じる突起19は、弾性波を散乱させる。突起19が高くなると、レイリー波を主要弾性波とする弾性波装置においては反射係数の低下や、弾性波の散乱により挿入損失の劣化につながる。
通常の製造工程では、IDT電極が存在する部分と存在しない部分とで高さが異なるため、誘電膜を積層すると、誘電膜の表面において電極指の上方には突起が形成される。そのため、弾性波装置の特性の劣化を抑制するため、突起を研削する工程が必要である。
しかしながら、本実施の形態の電極指とすることで、成膜過程で生じる突起19を低くでき、弾性波の散乱を抑制することができる。したがって、研削の製造工程を省いても、弾性波装置の反射係数や挿入損失を向上させることができ、コストの削減にもつながる。なお、弾性波装置の特性をさらに向上させるため、突起19をより小さくする研削工程等を設けてもよい。
また、弾性波装置1は、アンテナ共用器23に用いることができる。図5は、アンテナ共用器を模式的に示す図である。アンテナ共用器23は、第1の通過帯域を有する第1のフィルタ26と、第1の通過帯域より周波数の高い第2の通過帯域を有する第2のフィルタ27を備えている。弾性波装置1は、第1のフィルタ26として用いられる。複数の通過帯域を有するアンテナ共用器23において、弾性波装置1のストップバンド幅は重要な要素である。アンテナ共用器23においては、第1のフィルタ26の直列腕共振器のストップバンド幅が第2のフィルタの通過特性に影響する。直列共振器の主要弾性波の波長λは、約4.0μmである。ストップバンド幅が小さいと、高い領域の通過帯域にリップルが生じ、フィルタの特性が低下する。そのため、ストップバンド幅を大きくすることが求められる。アンテナ共用器23の低周波数側のフィルタ26として用いる場合、ストップバンド幅は通過帯域幅の2倍以上が望ましい。
図6には、Band8の送信フィルタに相当する中心周波数897MHzのフィルタの弾性波装置(主要弾性波の波長λ:4.0μm)におけるSiO2の突起の高さhとストップバンド幅SBWの関係を示す。電極指2の高さを520nmに固定し、SiO2の突起5の高さhをパラメータとして、ストップバンド幅SBWを求めた。ただし、突起5の高さhとは、電極指2の延伸方向に垂直な断面において、誘電膜4の表面における圧電基板3の上面から最も距離が近い点から突起5の頂点までの圧電基板3に垂直方向の高さである。また、電極指2の高さHは、電極指2の下面から電極指2の上面までの圧電基板3に垂直方向の高さである。
SiO2の突起5の高さhの値289nm、277nm、206nmに対するストップバンド幅SBWは、それぞれ68.2MHz、68.6MHz、71.4MHzであった。したがって、弾性波装置1は、突起5の高さhが低いほどストップバンド幅SBWが大きい。ここで、波長λで規格化されたSiO2の突起5の高さの値h/λは、0.072、0.069、0.052となる。また、それぞれの共振周波数fs(893MHz、891MHz、890MHz)で規格化されたストップバンド幅の値SBW/fsは、0.0764、0.0770、0.0801となる。SiO2の突起5の高さh、及び、ストップバンド幅SBWを、波長λ、及び、共振周波数fsでそれぞれ規格化した値は、弾性波装置1の波長λや共振周波数fsに依存しないため、特定のフィルタ等に限定されない。
図7には、規格化されたSiO2の突起5の高さh/λと規格化ストップバンド幅SBW/fsの関係を示す。規格化ストップバンド幅SBW/fsは、規格化されたSiO2の突起5の高さh/λに対して(数1)の線形関係を有する。
したがって、アンテナ共用器23の低周波数側のフィルタ26として用いる場合、弾性波装置1の規格化されたSiO2の突起5の高さh/λは比帯域幅wに対して、(数2)を満たすことが望ましい。ただし、比帯域幅wは、帯域幅を中心周波数で除した値である。
例えば、Band8のアンテナ共用器の場合、第1のフィルタの通過帯域周波数が880MHz〜915MHzであり、中心周波数897.5MHzとの比で表される比帯域幅wは0.0390である。そのため、弾性波装置1の規格化ストップバンド幅SBW/fsは、0.0780以上であることが望ましい。したがって、規格化された突起5の高さh/λは、0より大きく0.0637以下であることが望ましい。ここで、突起5の高さhと同様に波長λ(4.0μm)で規格化された電極指2の高さ(520nm)は0.13である。よって、突起5の高さは、電極指2の高さの0%より大きく49.0%以下であることが望ましい。
(数2)の条件を満たさない弾性波装置をアンテナ共用器の低周波数側のフィルタとして用いた場合、直列腕共振器のリップルが高周波数側の通過帯域と重なる。したがって、アンテナ共用器の通過特性の低下につながる。そのため、(数2)の条件を満たす弾性波装置を用いることで、アンテナ共用器の高周波数側の通過帯域の通過特性の低下を防止することができる。
また、弾性波装置1をラダーフィルタに用いることができる。ラダーフィルタでは、並列共振器のストップバンド幅がフィルタの通過特性に影響する。並列共振器の主要弾性波の波長λは、約4.2μmである。ラダーフィルタの場合、ストップバンド幅は通過帯域幅の1.5倍以上が望ましい。したがって、弾性波装置1の規格化されたSiO2の突起5の高さh/λは比帯域幅wに対して、(数3)を満たすことが望ましい。
(数3)の条件を満たさない弾性波装置をラダーフィルタに用いると、並列共振器のリップルがフィルタの通過帯域と重なり、通過特性を低下させる。そのため、(数3)の条件を満たす弾性波装置を用いることで、ラダーフィルタの通過特性の低下を防止することができる。
このように、特定の比帯域幅で構成される弾性波装置1のSiO2の突起5の高さを制御することにより、ストップバンド幅を大きくし、弾性波装置1の特性を向上することができる。
本発明における弾性波装置は、電極指の形状を制御することにより、誘電膜の表面に形成される突起を小さくして、反射係数の低下を抑制することができ、携帯電話に用いられるアンテナ共用器等の様々な電子機器に利用することができる。
1 弾性波装置
2 電極指
3、12 圧電基板
4、18 誘電膜
5、19 突起
6 矢印
7、13、16 第1の電極層
8、14、17 第2の電極層
9、10、11 仮想面
15 レジスト
20 接合部
21 IDT電極
22 アンテナ
23 アンテナ共用器
24、25 端子
26 第1のフィルタ
27 第2のフィルタ
2 電極指
3、12 圧電基板
4、18 誘電膜
5、19 突起
6 矢印
7、13、16 第1の電極層
8、14、17 第2の電極層
9、10、11 仮想面
15 レジスト
20 接合部
21 IDT電極
22 アンテナ
23 アンテナ共用器
24、25 端子
26 第1のフィルタ
27 第2のフィルタ
Claims (12)
- 上面を有する圧電基板と、
前記圧電基板の前記上面に形成されたIDT電極と、
前記圧電基板の前記上面と前記IDT電極を覆うように積層された誘電膜と、を備え、
前記IDT電極は電極指を有し、
前記電極指は、第1の電極層を有し、
前記誘電膜は、前記電極指の上方に突起を有し、
前記第1の電極層の側面と前記圧電基板の前記上面に平行な仮想面とのなす第1の角は鋭角であり、
前記第1の電極層の第1の角は、前記突起の表面と前記圧電基板の前記上面に平行な仮想面とのなす角のうち最も大きい第2の角より大きい
弾性波装置。 - 前記電極指の延伸方向に垂直な断面において、前記突起の前記表面は、下に凸である請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記第1の電極層の前記第1の角は、前記突起の頂部における前記表面と前記圧電基板の前記上面に平行な仮想面とのなす角より大きい
請求項2に記載の弾性波装置。 - 前記電極指は、前記第1の電極層と前記圧電基板との間に設けられた第2の電極層を有し、前記電極指の延伸方向に垂直な断面において、前記第1の電極層の下面における主要弾性波の伝播方向の長さが前記第2の電極層の上面における主要弾性波の伝播方向の長さよりも短い請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記電極指は、前記第1の電極層と前記圧電基板との間に設けられた第2の電極層を有し、前記第2の電極層は、前記第1の電極層よりも平均密度の大きい材料で構成される請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記第1の電極層は、複数の電極層を有する前記電極指において、最も上部に形成されている請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記電極指の延伸方向に垂直な断面において、前記誘電膜の表面における前記圧電基板の前記上面から最も距離が近い点から前記突起の頂点までの前記圧電基板に垂直方向の高さが、主要弾性波の波長の0%より大きく6.37%以下である請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記電極指の延伸方向に垂直な断面において、前記誘電膜の表面における前記圧電基板の前記上面から最も距離が近い点から前記突起の頂点までの前記圧電基板に垂直方向の高さが、前記電極指の高さの0%より大きく49.0%以下である請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記誘電膜は、前記圧電基板の周波数温度係数と逆符号の周波数温度係数を有する請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記電極指の延伸方向に垂直な断面において、主要弾性波の波長λで規格化された前記誘電膜の表面における前記圧電基板の前記上面から最も距離が近い点から前記突起の頂点までの前記圧電基板に垂直方向の高さhの値が、弾性波装置の比帯域幅wに対して、0<h/λ≦(0.0894−1.5w)/0.179である請求項1に記載の弾性波装置。
- 前記電極指の延伸方向に垂直な断面において、主要弾性波の波長λで規格化された前記誘電膜の表面における前記圧電基板の前記上面から最も距離が近い点から前記突起の頂点までの前記圧電基板に垂直方向の高さhの値が、前記弾性波装置の比帯域幅wに対して、0<h/λ≦(0.0894−2.0w)/0.179である請求項1に記載の弾性波装置。
- 第1通過帯域を有する第1のフィルタと、
前記第1通過帯域より高い第2通過帯域を有する第2のフィルタと、を備え、
前記第1のフィルタは請求項1に記載の弾性波装置で構成されたアンテナ共用器。
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