JP7037439B2 - 弾性波素子、分波器および通信装置 - Google Patents

弾性波素子、分波器および通信装置 Download PDF

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Description

本開示は、弾性波素子、分波器および通信装置に関する。弾性波は、例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)またはバルク波である。
圧電体と、その上に位置する励振電極としてのIDT(Interdigital Transducer)電極とを有する弾性波素子が知られている(例えば特許文献1および2)。特許文献1では、下から順に、誘電体基板、硬質誘電体層、圧電体薄膜および電極が重ねられて構成された弾性表面波デバイスが開示されている。特許文献2では、下から順に、閉じ込め層、圧電体およびIDT電極が重ねられて構成された弾性表面波装置が開示されている。圧電体としては、タンタル酸リチウム(LiTaO、LT)等が用いられている。
特開2004-282232号公報 特許第5720797号明細書
高い周波数で利用可能な弾性波素子、分波器および通信装置が提供されることが望まれる。
本開示の一態様に係る弾性波素子は、支持基板と、前記支持基板上に重なっており、前記支持基板の材料よりも音速が速い材料からなる高音速層と、前記高音速層上に重なっており、LiTaOの単結晶からなる圧電体層と、前記圧電体層の上面に沿って互いに並列に延びている複数の電極指を有している励振電極と、を有しており、前記複数の電極指のピッチの2倍をλとし、前記圧電体層の厚さをtpとし、前記圧電体層のオイラー角を(φ,θ,ψ)とし、φ=Φ+180°×iとし、θ=Θ+180°×jとし、ψ=Ψ+180°×kとし、i、jおよびkそれぞれを整数としたときに、前記圧電体層が以下の条件Aから条件Eまでのいずれか1つの条件を満たし、前記圧電体層の上面に沿って、前記複数の電極指に直交する方向へ伝搬する弾性波の速度が7600m/s以上であり、共振周波数と反共振周波数との差である周波数差Δfが20MHz以上である
A:0.05λ≦tp<0.15λであり、かつ以下の条件a1からa12までのいずれか一つが満たされる。
a1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図1(a)においてハッチングされた範囲にある。
a2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図1(b)においてハッチングされた範囲にある。
a3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図2(a)においてハッチングされた範囲にある。
a4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図2(b)においてハッチングされた範囲にある。
a5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図3(a)においてハッチングされた範囲にある。
a6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図3(b)においてハッチングされた範囲にある。
a7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図4(a)においてハッチングされた範囲にある。
a8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図4(b)においてハッチングされた範囲にある。
a9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図5(a)においてハッチングされた範囲にある。
a10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図5(b)においてハッチングされた範囲にある。
a11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図6(a)においてハッチングされた範囲にある。
a12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図6(b)においてハッチングされた範囲にある。
B:0.15λ≦tp<0.25λであり、かつ以下の条件b1からb12までのいずれか一つが満たされる。
b1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図7(a)においてハッチングされた範囲にある。
b2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図7(b)においてハッチングされた範囲にある。
b3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図8(a)においてハッチングされた範囲にある。
b4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図8(b)においてハッチングされた範囲にある。
b5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図9(a)においてハッチングされた範囲にある。
b6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図9(b)においてハッチングされた範囲にある。
b7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図10(a)においてハッチングされた範囲にある。
b8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図10(b)においてハッチングされた範囲にある。
b9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図11(a)においてハッチングされた範囲にある。
b10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図11(b)においてハッチングされた範囲にある。
b11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図12(a)においてハッチングされた範囲にある。
b12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図12(b)においてハッチングされた範囲にある。
C:0.25λ≦tp<0.35λであり、かつ以下の条件c1からc12までのいずれか一つが満たされる。
c1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図13(a)においてハッチングされた範囲にある。
c2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図13(b)においてハッチングされた範囲にある。
c3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図14(a)においてハッチングされた範囲にある。
c4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図14(b)においてハッチングされた範囲にある。
c5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図15(a)においてハッチングされた範囲にある。
c6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図15(b)においてハッチングされた範囲にある。
c7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図16(a)においてハッチングされた範囲にある。
c8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図16(b)においてハッチングされた範囲にある。
c9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図17(a)においてハッチングされた範囲にある。
c10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図17(b)においてハッチングされた範囲にある。
c11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図18(a)においてハッチングされた範囲にある。
c12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図18(b)においてハッチングされた範囲にある。
D:0.35λ≦tp<0.45λであり、かつ以下の条件d1からd12までのいずれか一つが満たされる。
d1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図19(a)においてハッチングされた範囲にある。
d2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図19(b)においてハッチングされた範囲にある。
d3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図20(a)においてハッチングされた範囲にある。
d4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図20(b)においてハッチングされた範囲にある。
d5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図21(a)においてハッチングされた範囲にある。
d6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図21(b)においてハッチングされた範囲にある。
d7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図22(a)においてハッチングされた範囲にある。
d8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図22(b)においてハッチングされた範囲にある。
d9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図23(a)においてハッチングされた範囲にある。
d10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図23(b)においてハッチングされた範囲にある。
d11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図24(a)においてハッチングされた範囲にある。
d12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図24(b)においてハッチングされた範囲にある。
E:0.45λ≦tp<0.55λであり、かつ以下の条件e1からe12までのいずれか一つが満たされる。
e1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図25(a)においてハッチングされた範囲にある。
e2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図25(b)においてハッチングされた範囲にある。
e3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図26(a)においてハッチングされた範囲にある。
e4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図26(b)においてハッチングされた範囲にある。
e5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図27(a)においてハッチングされた範囲にある。
e6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図27(b)においてハッチングされた範囲にある。
e7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図28(a)においてハッチングされた範囲にある。
e8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図28(b)においてハッチングされた範囲にある。
e9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図29(a)においてハッチングされた範囲にある。
e10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図29(b)においてハッチングされた範囲にある。
e11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図30(a)においてハッチングされた範囲にある。
e12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図30(b)においてハッチングされた範囲にある。


本開示の一態様に係る弾性波素子は、支持基板と、前記支持基板上に重なっており、前記支持基板の材料よりも音速が速い材料からなる高音速層と、前記高音速層上に重なっており、LiTaOの単結晶からなる圧電体層と、前記圧電体層の上面に沿って互いに並列に延びている複数の電極指を有している励振電極と、を有しており、前記圧電体層のオイラー角は、当該圧電体層の上面に沿って前記複数の電極指に直交する方向へ伝搬する弾性波の速度が7600m/s以上となる角度である。一例において、前記圧電体層の上面に沿って、前記複数の電極指に直交する方向へ伝搬する弾性波の速度が7600m/s以上である。また一例において、共振周波数と反共振周波数との差である周波数差Δfが20MHz以上である。
一例において、前記高音速層は、縦波の音速が11000m/s以上の材料からなる。
一例において、前記複数の電極指のピッチの2倍をλとしたときに、前記高音速層の厚みが1.25λ以上である。
一例において、前記励振電極は、Alを主成分としており、前記複数の電極指のピッチの2倍をλとしたときに、前記励振電極の厚みがλの4%以上7.5%以下である。
一例において、本開示の一態様に係る分波器は、アンテナ端子と、送信信号をフィルタリングして前記アンテナ端子に出力する送信フィルタと、前記アンテナ端子からの受信信号をフィルタリングする受信フィルタと、を備えており、前記送信フィルタまたは前記受信フィルタは、上記の弾性波素子を有している。
一例において、本開示の一態様に係る通信装置は、アンテナと、該アンテナに前記アンテナ端子が接続されている上記の分波器と、該分波器に電気的に接続されているRF-ICと、を有している。
上記の構成によれば、高い周波数で弾性波素子を利用できる。
図1(a)はLT厚み0.1λかつΨ=0°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図1(b)はLT厚み0.1λかつΨ=15°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図2(a)はLT厚み0.1λかつΨ=30°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図2(b)はLT厚み0.1λかつΨ=45°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図3(a)はLT厚み0.1λかつΨ=60°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図3(b)はLT厚み0.1λかつΨ=75°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図4(a)はLT厚み0.1λかつΨ=90°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図4(b)はLT厚み0.1λかつΨ=105°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図5(a)はLT厚み0.1λかつΨ=120°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図5(b)はLT厚み0.1λかつΨ=135°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図6(a)はLT厚み0.1λかつΨ=150°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図6(b)はLT厚み0.1λかつΨ=165°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図7(a)はLT厚み0.2λかつΨ=0°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図7(b)はLT厚み0.2λかつΨ=15°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図8(a)はLT厚み0.2λかつΨ=30°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図8(b)はLT厚み0.2λかつΨ=45°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図9(a)はLT厚み0.2λかつΨ=60°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図9(b)はLT厚み0.2λかつΨ=75°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図10(a)はLT厚み0.2λかつΨ=90°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図10(b)はLT厚み0.2λかつΨ=105°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図11(a)はLT厚み0.2λかつΨ=120°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図11(b)はLT厚み0.2λかつΨ=135°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図12(a)はLT厚み0.2λかつΨ=150°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図12(b)はLT厚み0.2λかつΨ=165°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図13(a)はLT厚み0.3λかつΨ=0°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図13(b)はLT厚み0.3λかつΨ=15°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図14(a)はLT厚み0.3λかつΨ=30°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図14(b)はLT厚み0.3λかつΨ=45°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図15(a)はLT厚み0.3λかつΨ=60°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図15(b)はLT厚み0.3λかつΨ=75°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図16(a)はLT厚み0.3λかつΨ=90°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図16(b)はLT厚み0.3λかつΨ=105°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図17(a)はLT厚み0.3λかつΨ=120°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図17(b)はLT厚み0.3λかつΨ=135°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図18(a)はLT厚み0.3λかつΨ=150°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図18(b)はLT厚み0.3λかつΨ=165°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図19(a)はLT厚み0.4λかつΨ=0°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図19(b)はLT厚み0.4λかつΨ=15°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図20(a)はLT厚み0.4λかつΨ=30°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図20(b)はLT厚み0.4λかつΨ=45°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図21(a)はLT厚み0.4λかつΨ=60°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図21(b)はLT厚み0.4λかつΨ=75°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図22(a)はLT厚み0.4λかつΨ=90°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図22(b)はLT厚み0.4λかつΨ=105°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図23(a)はLT厚み0.4λかつΨ=120°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図23(b)はLT厚み0.4λかつΨ=135°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図24(a)はLT厚み0.4λかつΨ=150°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図24(b)はLT厚み0.4λかつΨ=165°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図25(a)はLT厚み0.5λかつΨ=0°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図25(b)はLT厚み0.5λかつΨ=15°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図26(a)はLT厚み0.5λかつΨ=30°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図26(b)はLT厚み0.5λかつΨ=45°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図27(a)はLT厚み0.5λかつΨ=60°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図27(b)はLT厚み0.5λかつΨ=75°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図28(a)はLT厚み0.5λかつΨ=90°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図28(b)はLT厚み0.5λかつΨ=105°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図29(a)はLT厚み0.5λかつΨ=120°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図29(b)はLT厚み0.5λかつΨ=135°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 図30(a)はLT厚み0.5λかつΨ=150°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図であり、図30(b)はLT厚み0.5λかつΨ=165°の場合のΦおよびΘの範囲を示す図である。 実施形態に係る弾性波素子の構成を示す平面図である。 図31のXXXII-XXXII線における断面図である。 図33(a)および図33(b)は高音速層がダイヤモンドの場合についてインピーダンス特性の一例を示す図である。 図34(a)および図34(b)は高音速層が窒化ホウ素の場合についてインピーダンス特性の一例を示す図である。 図35(a)および図35(b)は高音速層がダイヤモンドライクカーボンの場合についてインピーダンス特性の一例を示す図である。 図1(a)~図30(b)におけるハッチングの模様の種類の意味を示す模式図である。 図37(a)は導電層の厚みが周波数差Δfに及ぼす影響を示す図であり、図37(b)は導電層の厚みがインピーダンスの位相に及ぼす影響を示す図である。 高音速層の厚みがインピーダンスの位相に及ぼす影響を示す図である。 実施形態に係る分波器を説明する回路図である。 実施形態に係る通信装置を説明する概略図である。
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
本開示に係る弾性波装置は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、D1軸、D2軸およびD3軸からなる直交座標系を定義するとともに、D3軸の正側を上方として、上面または下面等の用語を用いることがある。なお、D1軸は、後述するLT層の上面に沿って伝搬する弾性波の伝搬方向に平行になるように定義され、D2軸は、LT層の上面に平行かつD1軸に直交するように定義され、D3軸は、LT層の上面に直交するように定義されている。
[弾性波装置の全体構成]
図31は、弾性波素子1の要部の構成を示す平面図である。図32は、図31のXXXII-XXXII線における断面図である。
弾性波素子1は、例えば、複合基板2と、複合基板2上に位置する導電層9とを有している。複合基板2は、図32に示すように、支持基板3と、支持基板3上に重なる高音速層5と、高音速層5上に重なるLT層7とを有している。各層(3、5、7および9)は、例えば、それぞれ面内で概ね一定の厚さとされている。
弾性波素子1では、導電層9の電極部に電圧が印加されることによって、LT層7を伝搬する弾性波が励振される。弾性波素子1は、例えば、この弾性波を利用する共振子および/またはフィルタを構成している。高音速層5は、例えば、弾性波を反射して弾性波のエネルギーをLT層7に閉じ込めることに寄与している。支持基板3は、例えば、高音速層5およびLT層7の強度を補強することに寄与している。なお、利用される弾性波の種類(SAWおよびバルク波の区別だけでなく、モードの区別を含むものとする。)は、これらの各層の具体的構成によって異なることがある。
以下の説明では、長さを表すときに、弾性波の波長λを基準長さとして用いることがある。この基準長さとして用いられる波長λは、実際に伝搬する弾性波の波長ではなく、後述する電極指27のピッチpの2倍である。
[支持基板]
支持基板3の材料は適宜に設定されてよい。例えば、支持基板3の材料は、例えば、半導体または絶縁材料である。半導体は、例えば、シリコン(Si)である。絶縁材料は、例えば、樹脂またはセラミックである。支持基板3は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。
支持基板3は、LT層7等に比較して熱膨張係数が低い材料によって構成されていてもよい。この場合、例えば、温度変化によって弾性波素子1の周波数特性が変化してしまうおそれを低減することができる。このような材料としては、例えば、シリコン等の半導体、サファイア等の単結晶および酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックを挙げることができる。
支持基板3の厚さも適宜に設定されてよい。例えば、支持基板3の厚さは、LT層7および高音速層5よりも厚い。一例として、支持基板3の厚みは100μm以上300μm以下、またはLT層7の厚みの30倍以上3000倍以下である。
[高音速層]
高音速層5は、例えば、LT層7よりも音速が速い材料からなる。これにより、例えば、LT層7を伝搬する弾性波の高音速層5への漏れを低減できる。ここでいう音速は、材料の弾性率をM、材料の密度をρとしたときに、c=√(M/ρ)で表される音速cであるものとする。弾性率に関して異方性がある場合(例えば、シリコン、サファイア等)においては、弾性定数を用いて音速を算出し、等方性材料の音速を求める場合や概略数字を算出する場合には、弾性率Mとして、例えば、ヤング率Eが用いられてよい。ここで、音速cは、縦波の音速とされてよい。
また、高音速層5は、LT層7を伝搬する弾性波をLT層7内に閉じ込めるために設けるものである。このため、基本的には弾性波が支持基板3の側に漏れることは想定していない。したがって、支持基板3の材料は、高音速層5よりも音速が低くても高くても同等でも問題ないが、LT層7よりは音速が高く、高音速層5よりも音速が低い材料としてもよい。
ここで、LT層7については、後述する通り、音速が7600m/s以上となる。そして、例えば、支持基板3の材料がシリコン(E:約185GPa、ρ:約2.33g/cm、c:8910m/s)である場合において、高音速層5の材料として、ダイヤモンド(E:約910GPa、ρ:約3.52g/cm、c:約16078m/s)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)(E:約785GPa、ρ:約2.0g/cm、c:約19811m/s)、窒化ホウ素(E:約660GPa、ρ:約3.5g/cm、c:約13771m/s)、炭化ケイ素(E:約440GPa、ρ:約3.1g/cm、c:約11800m/s)およびサファイア(E:約470GPa(最大値)、ρ:約3.98g/cm、c:約10867m/s)を挙げることができる。
上記の例示から理解されるように、支持基板3の縦波の音速cは、平均で9000m/s程度、最大で10900m/s程度とされる蓋然性が高い。従って、高音速層5の材料は、例えば、縦波の音速cが11000m/s以上または15000m/s以上となる材料とされてよい。また、縦波の音速cが11000m/s以上であれば、LT層7を伝搬する種々の弾性波を閉じ込めやすい。また、縦波の音速cが11000m/s以上であれば、カットオフ周波数とも十分にマージンをとることができるので損失を抑制できる。
高音速層5の厚みthは、弾性波素子1に要求される仕様および高音速層5の材料等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、厚みthは、0.75λ以上、または1.25λ以上である。この範囲であれば、例えば、LT層7を伝搬する弾性波を閉じ込める効果が十分に得られる。厚みthの上限については、LT層7を伝搬する弾性波を閉じ込める効果の観点からは特に制限はない。ただし、複合基板2の製造および取り扱いを容易にしたり、支持基板3による温度特性の補償の効果を得たりする観点から上限値が設定されても構わない。例えば、厚みthは、5λ以下または3λ以下である。
高音速層5の広さと、支持基板3の広さとは、同一であってもよいし、異なっていてもよい(支持基板3が高音速層5よりも広くてもよい。)。なお、後者の場合、複合基板2上の導体パターンの一部(例えば、入力用または出力用の端子)は、LT層7上ではなく、支持基板3上に設けられていてもよい。
高音速層5と支持基板3とは、直接的に重なっていてもよいし、仲介層(不図示)を介して間接的に重なっていてもよい。仲介層は、例えば、高音速層5と支持基板3との接着および/または拡散防止に寄与する。また、仲介層は、両者の間の音響的な相互作用に影響しても構わない。
高音速層5と支持基板3とが直接的に重なる場合、例えば、高音速層5の下面と、支持基板3の上面とをプラズマまたは中性粒子ビームなどで活性化処理し、両面を直接的に貼り合わせてよい。また、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の薄膜形成法によって、高音速層5となる材料を支持基板3上に成膜してもよい。
高音速層5と支持基板3との間に仲介層が設けられる場合、仲介層は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。有機材料としては、例えば、熱硬化性樹脂等の樹脂が挙げられる。無機材料としては、例えば、SiO,Si,AlN等が挙げられる。また、複数の異なる材料からなる薄層を積層させた積層体を仲介層としてもよい。
[LT層]
LT層7は、タンタル酸リチウム(LiTaO、LT)の単結晶によって構成されている。LT層7のカット角については後述する。LT層7の厚みtpは、比較的薄くされており、例えば、後述するλを基準として、0.05λ以上0.55λ以下である。なお、別の観点では、例えば、LT層7は、高音速層5よりも薄い。より具体的には、LT層7の厚みtpは、例えば、高音速層5の厚みthの1/2以下である。
LT層7と高音速層5とは、直接的に重なっていてもよいし、仲介層(不図示)を介して間接的に重なっていてもよい。仲介層は、例えば、LT層7と高音速層5との接着および/または拡散防止に寄与する。仲介層は、LT層7および高音速層5に比較して薄くされ、例えば、0.01λ以下とされる。このように薄くされることによって、仲介層がLT層7を伝搬する弾性波に及ぼす影響は無視されてよい大きさとなる。
LT層7と高音速層5とが直接的に重なる場合、例えば、LT層7の下面と、高音速層5の上面とをプラズマまたは中性粒子ビームなどで活性化処理し、両面を直接的に貼り合わせてよい。また、例えば、CVD等の薄膜形成法によって、LT層7となる材料を高音速層5上に成膜してもよい。
LT層7と高音速層5との間に仲介層が設けられる場合、仲介層は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。有機材料としては、例えば、熱硬化性樹脂等の樹脂が挙げられる。無機材料としては、例えば、SiO,Si,AlN等が挙げられる。また、複数の異なる材料からなる薄層を積層させた積層体を仲介層としてもよい。
LT層7の広さと、高音速層5の広さとは、同一であってもよいし、異なっていてもよい(高音速層5がLT層7よりも広くてもよい。)。なお、後者の場合、複合基板2上の導体パターンの一部(例えば、入力用または出力用の端子)は、LT層7上ではなく、高音速層5上に設けられていてもよい。
[導電層]
導電層9は、例えば、金属により形成されている。金属は、適宜な種類のものとされてよく、例えば、アルミニウム(Al)またはAlを主成分とする合金(Al合金)である。Al合金は、例えば、アルミニウム-銅(Cu)合金である。なお、導電層9は、複数の金属層から構成されていてもよい。例えば、AlまたはAl合金と、LT層7との間に、これらの接合性を強化するためのチタン(Ti)からなる比較的薄い層が設けられていてもよい。
導電層9の厚みteは、弾性波素子1に要求される仕様および導電層9の材料等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、厚みteは、波長λの2%以上10%以下、または4%以上7.5%以下とされてよい。
導電層9は、図31の例では、共振子15を構成するように形成されている。共振子15は、いわゆる1ポート弾性波共振子として構成されており、概念的かつ模式的に示す端子17Aおよび17Bの一方から所定の周波数の電気信号が入力されると共振を生じ、その共振を生じた信号を端子17Aおよび17Bの他方から出力可能である。
導電層9(共振子15)は、例えば、IDT電極19と、IDT電極19の両側に位置する1対の反射器21とを含んでいる。なお、共振子15は、複合基板2と導電層9とによって構成されているが、説明の便宜上、共振子15がIDT電極19および1対の反射器21からなる電極部(導電層9の一部)であるかのように表現することがある。
IDT電極19は、1対の櫛歯電極23を含んでいる。なお、視認性を良くするために、一方の櫛歯電極23にはハッチングを付している。各櫛歯電極23は、例えば、バスバー25と、バスバー25から互いに並列に延びる複数の電極指27と、複数の電極指27間においてバスバー25から突出するダミー電極29とを含んでいる。1対の櫛歯電極23は、複数の電極指27が互いに噛み合うように(交差するように)配置されている。
バスバー25は、例えば、概略、一定の幅で弾性波の伝搬方向(D1軸方向)に直線状に延びる長尺状に形成されている。そして、一対のバスバー25は、弾性波の伝搬方向に直交する方向(D2軸方向)において互いに対向している。なお、バスバー25は、幅が変化したり、弾性波の伝搬方向に対して傾斜したりしていてもよい。
各電極指27は、例えば、概略、一定の幅で弾性波の伝搬方向に直交する方向(D2軸方向)に直線状に延びる長尺状に形成されている。各櫛歯電極23において、複数の電極指27は、弾性波の伝搬方向に配列されている。また、一方の櫛歯電極23の複数の電極指27と他方の櫛歯電極23の複数の電極指27とは、基本的には交互に配列されている。
複数の電極指27のピッチp(例えば互いに隣り合う2本の電極指27の中心間距離)は、IDT電極19内において基本的に一定である。なお、IDT電極19の一部に、他の大部分よりもピッチpが狭くなる狭ピッチ部、または他の大部分よりもピッチpが広くなる広ピッチ部が設けられてもよい。
なお、以下において、ピッチpという場合、特に断りがない限りは、上記のような狭ピッチ部または広ピッチ部のような特異な部分を除いた部分(複数の電極指27の大部分)のピッチをいうものとする。また、特異な部分を除いた大部分の複数の電極指27においても、ピッチが変化しているような場合においては、大部分の複数の電極指27のピッチの平均値をピッチpの値として用いてよい。
また、既に述べたように、本開示において長さの基準として用いる波長λは、ピッチpの2倍である。このときのピッチpも、上記と同様に、特異部分を除いた大部分のピッチまたはその平均値である。
電極指27の本数は、共振子15に要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。なお、図31は模式図であることから、電極指27の本数は少なく示されている。実際には、図示よりも多くの電極指27が配列されてよい。後述する反射器21のストリップ電極33についても同様である。
複数の電極指27の長さは、例えば、互いに同等である。なお、IDT電極19は、複数の電極指27の長さ(別の観点では交差幅)が伝搬方向の位置に応じて変化する、いわゆるアポダイズが施されていてもよい。電極指27の長さおよび幅は、要求される電気特性等に応じて適宜に設定されてよい。
ダミー電極29は、例えば、概略、一定の幅で弾性波の伝搬方向に直交する方向に突出する形状に形成されている。その幅は、例えば電極指27の幅と同等である。また、複数のダミー電極29は、複数の電極指27と同等のピッチで配列されており、一方の櫛歯電極23のダミー電極29の先端は、他方の櫛歯電極23の電極指27の先端とギャップを介して対向している。なお、IDT電極19は、ダミー電極29を含まないものであってもよい。
1対の反射器21は、弾性波の伝搬方向において複数のIDT電極19の両側に位置している。各反射器21は、例えば、電気的に浮遊状態とされてもよいし、基準電位が付与されてもよい。各反射器21は、例えば、格子状に形成されている。すなわち、反射器21は、互いに対向する1対のバスバー31と、1対のバスバー31間において延びる複数のストリップ電極33とを含んでいる。複数のストリップ電極33のピッチ、および互いに隣接する電極指27とストリップ電極33とのピッチは、基本的には複数の電極指27のピッチと同等である。
なお、特に図示しないが、LT層7の上面は、導電層9の上から、SiOやSi等からなる保護膜によって覆われていてもよい。保護膜はこれらの材料からなる複数層の積層体としてもよい。保護膜は、単に導電層9の腐食を抑制するためのものであってもよいし、温度補償に寄与するものであってもよい。保護膜が設けられる場合等において、IDT電極19および反射器21の上面または下面には、弾性波の反射係数を向上させるために、絶縁体または金属からなる付加膜が設けられてもよい。
図31および図32に示した構成は、適宜にパッケージされてよい。パッケージは、例えば、不図示の基板上に隙間を介してLT層7の上面を対向させるように図示の構成を実装し、その上から樹脂封止するものであってもよいし、下方に開口する箱型のカバーをLT層7上に設けるウェハレベルパッケージ型のものであってもよい。カバーの下部は、LT層7上に位置していてもよいし、高音速層5がLT層7よりも広いことを前提として高音速層5上に位置していてもよいし、支持基板3が高音速層5よりも広いことを前提として支持基板3上に位置していてもよい。
[特殊なオイラー角の利用]
1対の櫛歯電極23に電圧が印加されると、複数の電極指27によってLT層7に電圧が印加され、圧電体であるLT層7が振動する。これにより、D1軸方向に伝搬する弾性波が励振される。弾性波は、複数の電極指27によって反射される。通常、複数の電極指27のピッチpを概ね半波長(λ/2)とする定在波が立つ。定在波によってLT層7に生じる電気信号は、複数の電極指27によって取り出される。このような原理により、一般に、弾性波素子1は、ピッチpを半波長とする弾性波の周波数を共振周波数とする共振子として機能する。
上記から理解されるように、共振周波数frは、弾性波の速度をcとすると、基本的には、fr=c/(2p)で規定される。速度cは、圧電体(本実施形態ではLT層7)の材料、カット角および弾性波の種類によって異なる。一般に、圧電体がLTの場合においては、例えば、速度cが3200m/s~4200m/sのSAWが利用されている。従って、例えば、ピッチpが1μmの場合は、共振周波数は、1.6GHz~2.1GHzとなる。なお、速度cはLT層における弾性波の速度を示すものである。
本願発明者は、比較的音速が高い高音速層5上にLT層7を形成し、かつLT層7のオイラー角(カット角)を特殊な角度に設定すると、従来よりも高い共振周波数frで共振現象を生じさせることができることを見出した。例えば、共振周波数frとピッチpから逆算した速度cが7600m/s以上となる共振周波数frで共振現象を生じさせることができる。その結果、例えば、ピッチpが1μm以上であっても、3.8GHz以上の共振周波数frを実現することができる。
これは、高音速層5を設けることによって、比較的高い共振周波数frに対応する弾性波の支持基板3への漏れを抑制し、当該弾性波をLT層7内に閉じ込めることができるからである。なお、ここでいう比較的高い共振周波数frに対応する弾性波としては、伝搬速度が速い弾性波、および伝搬速度は従来と同様で、ピッチpを半波長とする弾性波よりも次数が高い(波長が短い)弾性波が挙げられる。
オイラー角(φ,θ,ψ)について、確認的に記載しておく。オイラー角によって圧電体の面方位を表示する方法については、例えば、日本工業規格(JIS)のC6760「弾性表面波デバイス用単結晶ウェハ-仕様および測定法」において規定されている。オイラー角表示はこの規定に準じてよい。
また、本開示のD1軸、D2軸およびD3軸を用いてオイラー角表示の概略を説明すると、以下のとおりである。結晶軸(X,Y,Z)をZ軸回りかつ右ねじ方向にφ回転させることにより、座標系(X′,Y′,Z)が得られる。この座標系(X′,Y′,Z)をX′軸回りかつ右ねじ方向にθ回転させることにより、座標系(X′,Y″,D3)が得られる。この座標系(X′,Y″,D3)をD3軸回りかつ右ねじ方向にψ回転させることにより、座標系(D1,D2,D3)が得られる。既述のように、D1軸は、LT層7の上面に沿って伝搬する弾性波の伝搬方向に平行な軸である。D2軸は、LT層7の上面に平行かつD1軸に直交する軸である。D3軸は、LT層7の上面に直交する軸である。
LTの対称性から、オイラー角(φ,θ,ψ)は以下のように表すことができる。
φ=Φ+180°×i、
θ=Θ+180°×j、および
ψ=Ψ+180°×k
ここで、Φ、ΘおよびΨそれぞれは、0°以上180°以下の角度である。また、i、jおよびkそれぞれは、負、0または正の整数である。別の観点では、オイラー角(Φ,Θ,Ψ)は、LTの特性に関して互いに等価な複数組のオイラー角(φ,θ,ψ)の一つである。以下の説明では、複数組のオイラー角(φ,θ,ψ)を代表して、オイラー角(Φ,Θ,Ψ)についてのみ言及することがある。換言すれば、以下の説明において、オイラー角(Φ,Θ,Ψ)は、等価なオイラー角(φ,θ,ψ)に読み替えられてよい。
[共振特性の例]
上記のように、LT層7の下に高音速層5を形成し、かつLT層7のオイラー角を特殊な角度に設定することによって、比較的高い共振周波数frで共振現象を生じさせることができる。このことをシミュレーション計算によって確認した。
図33(a)~図35(b)は、その計算結果の一例を示す図である。図33(a)および図33(b)は、高音速層5の材料としてダイヤモンドを用いたときの共振子15の特性を示している。図34(a)および図34(b)は、高音速層5の材料として窒化ホウ素(BN)を用いたときの共振子15の特性を示している。図35(a)および図35(b)は、高音速層5の材料としてDLCを用いたときの共振子15の特性を示している。
図33(a)~図35(b)において、横軸は周波数(MHz)を示している。図33(a)、図34(a)および図35(a)において、縦軸はインピーダンスの絶対値(Ω)を示している。図33(b)、図34(b)および図35(b)において、縦軸はインピーダンスの位相(°)を示している。
図33(a)に示すように、共振子15においては、インピーダンスが極小値となる共振点(fr)と、インピーダンスが極大値となる反共振点(fa)が現れる。このようなインピーダンスの周波数に対する変化を利用することによって、例えば、特定の周波数の信号のみを通過させるフィルタを構成することができる。
ここで、共振点が現れる周波数を共振周波数frとし、反共振点が現れる周波数を反共振周波数faとする。共振周波数frは、上述したように、一般には、概略、ピッチpおよび弾性波の伝搬速度によって規定される。反共振周波数faは、一般には、概略、共振周波数frとIDT電極19の容量等によって規定される。共振子15において、例えば、反共振周波数faは共振周波数frよりも高い。
なお、一般には、共振点および反共振点に係るインピーダンスの変化の主たる要因となっている弾性波は1つであり、他の弾性波によるインピーダンスの変化は、例えば、スプリアスとして扱われる。ただし、本実施形態では、共振点の要因となっている弾性波と、反共振点の要因となっている弾性波とは互いに異なる弾性波であっても構わない。
共振周波数frと反共振周波数faとの差をΔfとする。この周波数差Δfがある程度の大きさ(幅)で確保されることにより、例えば、共振子15を用いたフィルタにおいて、信号を通過させる通過帯域の幅を確保することができる。
インピーダンスの位相は、共振周波数frと反共振周波数faとの間においては、90°に近いほどSAW共振子の損失が小さいことを示し、その外側においては、-90°に近いほどSAW共振子の損失が小さいことを示す。
図33(a)~図35(b)では、高音速層5がダイヤモンド、BNおよびDLCのいずれの場合においても、共振点および反共振点が明瞭に現れている。また、その周波数差Δfも確保されている。例えば、Δfは、55MHz~75MHzとなっている。また、インピーダンスの位相に着目すると、十分に損失が小さくなっている。従って、例えば、いずれのケースにおいても、共振子15によってフィルタを構成するのに十分な特性が示されている。
ここで、図示したいずれのケースにおいても、ピッチpは1μmとされている。一方、図示したケースにおいては、共振周波数frは、4100MHz以上4500MHz以下の範囲に収まっている。fr×2pにより速度cを逆算すると、速度cは、8200m/s以上9000m/s以下の範囲の値である。当該速度は、LT基板において従来から利用されているSAWの速度(3200m/s~4200m/s)に比較して速い。
以上のとおり、LT層7の下に高音速層5を形成し、かつLT層7のオイラー角を特殊な角度に設定することによって、比較的高い共振周波数frで共振現象を生じさせることができることをシミュレーション計算によって確認できた。
図33(a)~図35(b)は、本願発明者がシミュレーション計算によって共振子15の特性を調べた多数のケースのうち、共振子15の特性が比較的良好なケースの一部を示している。以下に、図33(a)~図35(b)のシミュレーション計算において用いたオイラー角等の条件を示す。また、同様に良好な特性が得られたオイラー角を併せて例示する。なお、以下に例示するオイラー角(Φ,Θ,Ψ)に対して±5°の範囲のオイラー角(Φ±5°,Θ±5°,Ψ±5°)でLT層7が形成されてもよい。
複数のケースに共通のシミュレーション条件は、以下のとおりである。
IDT電極:
材料:Al
厚み:λの4%
ピッチp:1μm
LT層の厚みtp:0.3λ(ただし、高音速層がBNの場合の「その他の例」のみ0.35λ)
なお、高音速層5の厚みthについては、十分に厚いものと仮定した。また、特に言及しない条件についても、図33(a)~図35(b)のケース同士で共通である。
高音速層5の材料別のオイラー角(Φ,Θ,Ψ)は、以下のとおりである。なお、以下において、「/」は「または」を意味する。
高音速層がダイヤモンドの場合:
図示の例:(90,90,110)、(30/150,90,70)
その他の例:(85/95,90,125)、(25/35,90,55)、(145/155,90,55)
高音速層がBNの場合:
図示の例:(90,90,110)、(30/150,90,70)
その他の例:(90,90,125)、(30/150,90,55)
高音速層がDLCの場合:
図示の例:(90,90,120)、(30/150,90,60)
その他の例:(90,90,115)、(30/150,90,65)
上記に例示したLT層7のオイラー角を高音速層5の材料が互いに異なるケース間で比較すると、概ね同等の角度となっている。このことから、比較的高い共振周波数frで共振現象を生じさせることが可能なオイラー角は、高音速層5の材料によらずに概ね特定可能であることが分かる。
[特殊なオイラー角の範囲]
LT層7のオイラー角等を種々異ならせた複数のケースについて、上記と同様に共振子15の特性をシミュレーション計算によって求めた。その結果に基づいて、比較的高い共振周波数frで共振現象を生じさせることが可能なオイラー角の範囲を特定した。具体的には、以下のとおりである。
(シミュレーションにおける変数)
以下のように、共振子15を規定するパラメータに対して種々の値を設定して、複数のシミュレーションケースを設定した。
・LT層の厚み
0.1λ~0.5λの範囲で0.1λごとに異ならせた。すなわち、LT層の厚みについて、5種の値を設定した。
・Φ,ΘおよびΨそれぞれ
0°~165°の範囲で15°毎に異ならせた。すなわち、Φ,ΘおよびΨそれぞれについて、11種の値を設定した。なお、LT層7の対称性から、0°のケースと180°のケースとは等価であり、以下では、0°~180°の範囲でシミュレーション結果を示すことがある。
以上のとおり、8640(=5×12×12×12)ケースを設定した。
(共通のシミュレーション条件)
上記の8640ケースのシミュレーション条件は、上記の変数(LT層7の厚みtpおよびオイラー角(Φ,Θ,Ψ))を除いて互いに同一である。以下に、そのシミュレーション条件を示す。
IDT電極:
材料:Al
厚み:λの4%
ピッチ:1μm
電極指の本数:100本
デューティー:0.5
交差幅:40λ
反射器
材料:IDT電極と同じ
厚さ:IDT電極と同じ
ストリップ電極の本数:30本
高音速層の材料:ダイヤモンド
なお、支持基板3については、PML(Perfectly Matched Layer)として扱った。デューティーは、電極指27の幅(w)とピッチpとの比(w/p)である。交差幅は、D1軸方向に見たときの互いに隣り合う電極指27の重なり量(互いに隣り合う電極指27の先端同士のD2軸方向における距離)である。
(シミュレーションケースの抽出方法)
8640ケースから、シミュレーション結果が一定の抽出条件を満たすケースを抽出した。抽出条件は、以下のとおりである。
(a) シミュレーション計算によって得られた共振周波数frにシミュレーション条件のピッチp(ここでは1μm)を乗じた値が3800を超える。すなわち、fr×λ(λ=2p)から算出される速度cが7600m/sを超える。
(b) シミュレーション計算によって得られた周波数差Δfが20MHz以上となる。ただし、計算の精度上、ケースによっては20MHz以上30MHz以下の値以上となることを条件とした(20MHzよりも厳しい抽出条件とした。)。
なお、fr×λが7600m/s以上であれば、例えば、従来のピッチpと共振周波数frとの関係と明瞭に区別できる。また、周波数差Δfが20MHz以上であれば、例えば、共振子15によってフィルタを構成するために十分な大きさで周波数差Δfを確保できる。
(シミュレーションケースの抽出結果)
図1(a)~図30(b)は、上述した抽出条件に従って抽出されたシミュレーションケースを示す図である。別の観点では、比較的高い共振周波数frで共振現象を生じさせることが可能なLT層7のオイラー角を示す図である。換言すれば、本実施形態に係る共振子15におけるオイラー角を示す図である。
図1(a)~図6(b)は、LT層7の厚みtpが0.1λの場合の結果を示している。図7(a)~図12(b)は、LT層7の厚みtpが0.2λの場合の結果を示している。図13(a)~図18(b)は、LT層7の厚みtpが0.3λの場合の結果を示している。図19(a)~図24(b)は、LT層7の厚みtpが0.4λの場合の結果を示している。図25(a)~図30(b)は、LT層7の厚みtpが0.5λの場合の結果を示している。
これらの図の上部にΨの角度が表記されているように、各図は、Ψの値毎に(15°間隔で)シミュレーション結果を示す図となっている。具体的には、以下のとおりである。図1(a):Ψ=0°、図1(b):Ψ=15°、図2(a):Ψ=30°、図2(b):Ψ=45°、図3(a):Ψ=60°、図3(b):Ψ=75°、図4(a):Ψ=90°、図4(b):Ψ=105°、図5(a):Ψ=120°、図5(b):Ψ=135°、図6(a):Ψ=150°、図6(b):Ψ=165°、図7(a):Ψ=0°、図7(b):Ψ=15°、図8(a):Ψ=30°、図8(b):Ψ=45°、図9(a):Ψ=60°、図9(b):Ψ=75°、図10(a):Ψ=90°、図10(b):Ψ=105°、図11(a):Ψ=120°、図11(b):Ψ=135°、図12(a):Ψ=150°、図12(b):Ψ=165°、図13(a):Ψ=0°、図13(b):Ψ=15°、図14(a):Ψ=30°、図14(b):Ψ=45°、図15(a):Ψ=60°、図15(b):Ψ=75°、図16(a):Ψ=90°、図16(b):Ψ=105°、図17(a):Ψ=120°、図17(b):Ψ=135°、図18(a):Ψ=150°、図18(b):Ψ=165°、図19(a):Ψ=0°、図19(b):Ψ=15°、図20(a):Ψ=30°、図20(b):Ψ=45°、図21(a):Ψ=60°、図21(b):Ψ=75°、図22(a):Ψ=90°、図22(b):Ψ=105°、図23(a):Ψ=120°、図23(b):Ψ=135°、図24(a):Ψ=150°、図24(b):Ψ=165°、図25(a):Ψ=0°、図25(b):Ψ=15°、図26(a):Ψ=30°、図26(b):Ψ=45°、図27(a):Ψ=60°、図27(b):Ψ=75°、図28(a):Ψ=90°、図28(b):Ψ=105°、図29(a):Ψ=120°、図29(b):Ψ=135°、図30(a):Ψ=150°、図30(b):Ψ=165°。
これらの図において、横軸はΦ(°)を示しており、縦軸はΘ(°)を示している。また、これらの図においてハッチングされた領域は、上記の抽出条件(a)および(b)を満たすΦおよびΘの範囲を示している。
図36は、図1(a)~図30(b)におけるハッチングの模様の種類の意味を示す模式図である。
図36に示すように、ハッチングの模様は、周波数差Δfの大きさによって異なっている。図1(a)~図30(b)において、周波数差Δfが20MHz未満(抽出条件(a)および(b)が満たされない角度範囲)はハッチングが付されていない。また、抽出条件(a)および(b)が満たされる角度範囲は、周波数差Δfが10MHz異なる毎に模様を異ならせて示されている。Δfが20MHz以上の領域となるようにオイラー角を設定してもよいし、Δfが40MHz以上としてもよい。通過帯域を確保するためにΔfを60MHz以上の領域としてもよい。
本実施形態に係る共振子15の実施に際しては、図1(a)~図30(b)によってハッチングによって示されている角度範囲からオイラー角(Φ,Θ,Ψ)が選択されてよい。
このとき、LT層7の厚みtpが所定の値であるときは、当該所定の値を、図面に係る厚みtpの値を基準として±0.05λの範囲に含む図面が利用されてよい。具体的には、0.05λ≦tp<0.15λのときは、tp=0.1λに係る図1(a)~図6(b)が利用されてよい。0.15λ≦tp<0.25λのときは、tp=0.2λに係る図7(a)~図12(b)が利用されてよい。0.25λ≦tp<0.35λのときは、tp=0.3λに係る図13(a)~図18(b)が利用されてよい。0.35λ≦tp<0.45λのときは、tp=0.4λに係る図19(a)~図24(b)が利用されてよい。0.45λ≦tp<0.55λのときは、tp=0.5λに係る図25(a)~図30(b)が利用されてよい。
また、Ψが所定の値であるときは、当該所定の値を、図面に係るΨの値を基準として±7.5°の範囲に含む図面が利用されてよい。具体的には、0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°のときは、Ψ=0°に係る図(図1(a)、図7(a)、図13(a)、図19(a)または図25(a))が利用されてよい。7.5°≦Ψ<22.5°のときは、Ψ=15°に係る図(図1(b)、図7(b)、図13(b)、図19(b)または図25(b))が利用されてよい。22.5°≦Ψ<37.5°のときは、Ψ=30°に係る図(図2(a)、図8(a)、図14(a)、図20(a)または図26(a))が利用されてよい。37.5°≦Ψ<52.5°のときは、Ψ=45°に係る図(図2(b)、図8(b)、図14(b)、図20(b)または図26(b))が利用されてよい。52.5°≦Ψ<67.5°のときは、Ψ=60°に係る図(図3(a)、図9(a)、図15(a)、図21(a)または図27(a))が利用されてよい。67.5°≦Ψ<82.5°のときは、Ψ=75°に係る図(図3(b)、図9(b)、図15(b)、図21(b)または図27(b))が利用されてよい。82.5°≦Ψ<97.5°のときは、Ψ=90°に係る図(図4(a)、図10(a)、図16(a)、図22(a)または図28(a))が利用されてよい。97.5°≦Ψ<112.5°のときは、Ψ=105°に係る図(図4(b)、図10(b)、図16(b)、図22(b)または図28(b))が利用されてよい。また、112.5°≦Ψ<127.5°のときは、Ψ=120°に係る図(図5(a)、図11(a)、図17(a)、図23(a)または図29(a))が利用されてよい。127.5°≦Ψ<142.5°のときは、Ψ=135°に係る図(図5(b)、図11(b)、図17(b)、図23(b)または図29(b))が利用されてよい。142.5°≦Ψ<157.5°のときは、Ψ=150°に係る図(図6(a)、図12(a)、図18(a)、図24(a)または図30(a))が利用されてよい。157.5°≦Ψ<172.5°のときは、Ψ=165°に係る図(図6(b)、図12(b)、図18(b)、図24(b)または図30(b))が利用されてよい。
[電極の厚さ]
既述のように、導電層9(IDT電極19および反射器21)の厚みteは、共振子15に要求される仕様および導電層9の材料等に応じて適宜に設定されてよい。ここでは、導電層9がAlを主成分とするときの厚みteの範囲の一例を示す。
図37(a)は、導電層9の厚みteが周波数差Δfに及ぼす影響を示す図である。この図において、横軸は厚みteを波長λに対する%で示し、縦軸は周波数差Δf(MHz)を示している。
図中、線L1は、シミュレーション計算によって得られた厚みteと周波数差Δfとの関係を示している。シミュレーション条件は、厚みteを除いては、上述した8640ケースと同じである。また、LT層7の厚みtpは0.6μm(0.3λ)であり、オイラー角は(90,90,110)である。なお、この厚みtpおよびオイラー角は、上述した8640ケースにおいて共振特性が比較的良好なケースのものである。
この図に示すように、厚みteが一定以上厚くなると、周波数差Δfが小さくなっていく。従って、周波数差Δfの観点から、厚みteの上限値を規定することができる。例えば、線L2で示すように、周波数差Δfが約40MHzとなる7.5%λを厚みteの上限値としてよい。なお、この上限値は、周波数差Δfが急激に低下し始めるときの厚みteと捉えられてもよい。
図37(b)は、導電層9の厚みteがインピーダンスの位相に及ぼす影響を示す図である。この図において、横軸は厚みte(%λ)を示し、縦軸はインピーダンスの位相(°)を示している。
図33(b)を参照して説明したように、インピーダンスの位相は、共振周波数frと反共振周波数faとの間においては90°に近いほどよい。図中、線L3は、共振周波数frと反共振周波数faとの間におけるインピーダンスの位相の最大値を厚みteの値毎に示している。この線L3は、シミュレーション計算によって得られている。
シミュレーション条件は、厚みteを除いては、上述した8640ケースと同じである。また、LT層7の厚みtpは0.6μm(0.3λ)であり、オイラー角は(90,90,110)である。なお、この厚みtpおよびオイラー角は、上述した8640ケースにおいて共振特性が比較的良好なケースのものである。
この図に示すように、厚みteが一定以上薄くなると、インピーダンスの位相の最大値が小さくなっていく。従って、インピーダンスの位相の観点から、厚みteの下限値を規定することができる。例えば、線L4で示すように、インピーダンスの位相の最大値が約89.85°となる4%λを厚みteの下限値としてよい。なお、この下限値は、インピーダンスの位相が急激に低下し始めるときの厚みteと捉えられてもよい。
纏めると、IDT電極19の主成分がAlである場合、その厚みteは、例えば、波長λの4%以上7.5%以下とされてよい。この場合、周波数差Δfを十分に確保しつつ、損失を低減することができる。
[高音速層の厚さ]
既述のように、高音速層5の厚みthは、共振子15に要求される仕様および高音速層5の材料等に応じて適宜に設定されてよい。ここでは、厚みthの範囲の一例を示す。
図38は、高音速層5の厚みthがインピーダンスの位相に及ぼす影響を示す図である。この図において、横軸は厚みthを波長λに対する比で示し、縦軸はインピーダンスの位相(°)を示している。図中、線L5は、図37(b)の線L3と同様に、共振周波数frと反共振周波数faとの間におけるインピーダンスの位相の最大値を厚みthの値毎に示している。この線L5は、シミュレーション計算によって得られている。
シミュレーション条件は、厚みthを除いては、上述した8640ケースと同じである。また、LT層7の厚みtpは0.6μm(0.3λ)であり、オイラー角は(90,90,110)である。なお、この厚みtpおよびオイラー角は、上述した8640ケースにおいて共振特性が比較的良好なケースのものである。
この図に示すように、厚みthが一定以上薄くなると、インピーダンスの位相の最大値が小さくなっていく。従って、インピーダンスの位相の観点から、厚みthの下限値を規定することができる。例えば、線L6で示すように、インピーダンスの位相の最大値が約89.75°となる1.25λを厚みthの下限値としてよい。なお、この下限値は、周インピーダンスの位相が急激に低下し始めるときの厚みthと捉えられてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、弾性波素子1は、支持基板3と、支持基板3上に重なっており、支持基板3の材料よりも音速が速い材料からなる高音速層5と、高音速層5上に重なっており、LiTaOの単結晶からなる圧電体層(LT層7)と、励振電極(IDT電極19)とを有している。IDT電極19は、LT層7の上面に沿って互いに並列に延びている複数の電極指27を有している。ここで、複数の電極指27のピッチpの2倍をλとし、LT層7の厚さをtpとし、LT層7のオイラー角を(φ,θ,ψ)とし、φ=Φ+180°×iとし、θ=Θ+180°×jとし、ψ=Ψ+180°×kとし、i、jおよびkそれぞれを整数とする。このとき、厚みtpは0.05λ以上0.55λ以下であり、角度Ψは0°以上180°未満であり、角度ΦおよびΘは、図1(a)~図30(b)のうちの厚みtpおよび角度Ψの値に対応する図面においてハッチングされた領域に収まる値である。
従って、比較的高い共振周波数frで共振現象を生じさせることができる。例えば、ピッチpが1μm以上であっても、3.8GHz以上の共振周波数frを実現することができる。別の観点では、例えば、共振周波数frとピッチpの2倍との積から特定される速度cが7600m/s以上となる弾性波を利用して共振現象を生じさせることができる。
[弾性波装置の利用例:分波器]
図39は、弾性波素子1の利用例としての分波器101の構成を模式的に示す回路図である。この図の紙面左上に示された符号から理解されるように、この図では、櫛歯電極23が二叉のフォーク形状によって模式的に示され、反射器21は両端が屈曲した1本の線で表わされている。
分波器101は、例えば、送信端子105からの送信信号をフィルタリングしてアンテナ端子103へ出力する送信フィルタ109と、アンテナ端子103からの受信信号をフィルタリングして1対の受信端子107に出力する受信フィルタ111とを有している。
送信フィルタ109は、例えば、複数の共振子15がラダー型に接続されて構成された、ラダー型フィルタによって構成されている。すなわち、送信フィルタ109は、送信端子105とアンテナ端子103との間に直列に接続された複数(1つでも可)の共振子15(直列共振子15S)と、その直列のライン(直列腕)と基準電位とを接続する複数(1つでも可)の共振子15(並列共振子15P。別の観点では並列腕)とを有している。なお、送信フィルタ109を構成する複数の共振子15は、例えば、同一の複合基板2に設けられている。
複数の直列共振子15Sは、基本的に、共振周波数frが互いに同等とされるとともに、反共振周波数faが互いに同等とされている。複数の並列共振子15Pは、基本的に、共振周波数frが互いに同等とされるとともに、反共振周波数faが互いに同等とされている。直列共振子15Sおよび並列共振子15Pは、直列共振子15Sの共振周波数frと並列共振子15Pの反共振周波数faとが概ね一致するように共振周波数frおよび反共振周波数faが設定される。これにより、送信フィルタ109は、並列共振子15Pの共振周波数frから直列共振子15Sの反共振周波数faまでの周波数範囲(減衰域)よりも若干狭い範囲を通過帯域とするフィルタとして機能する。上記減衰域の幅は、概ね、並列共振子15Pの周波数差Δfと直列共振子15Sの周波数差Δfとの和である。
受信フィルタ111は、例えば、共振子15と、多重モード型フィルタ(ダブルモード型フィルタを含むものとする。)113とを含んで構成されている。多重モード型フィルタ113は、弾性波の伝搬方向に配列された複数(図示の例では3つ)のIDT電極19と、その両側に配置された1対の反射器21とを有している。なお、受信フィルタ111を構成する共振子15および多重モード型フィルタ113は、例えば、同一の複合基板2に設けられている。
なお、送信フィルタ109および受信フィルタ111は、同一の複合基板2に設けられていてもよいし、互いに異なる複合基板2に設けられていてもよい。別の観点では、送信フィルタ109および受信フィルタ111は、LT層7の厚さtpおよび/またはオイラー角等が互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。図1(a)~図30(b)においてハッチングして示されたオイラー角は、分波器101の全てのIDT電極19に対して適用されてもよいし、一部のIDT電極19に対してのみ適用されてもよい。
図39は、あくまで分波器101の構成の一例に過ぎない。従って、例えば、受信フィルタ111が送信フィルタ109と同様にラダー型フィルタによって構成されるなどしてもよい。また、適宜な位置に、キャパシタおよび/またはインダクタが設けられてもよい。また、分波器101として、送信フィルタ109と受信フィルタ111とを備えるデュプレクサについて説明したが、分波器(マルチプレクサ)は、3以上のフィルタを含んでいてもよい。
[弾性波装置の利用例:通信装置]
図40は、弾性波素子1の利用例としての通信装置151の要部を示すブロック図である。通信装置151は、電波を利用した無線通信を行うものであり、分波器101を含んでいる。
通信装置151において、送信すべき情報を含む送信情報信号TISは、RF-IC(Radio Frequency Integrated Circuit)153によって変調および周波数の引き上げ(搬送波周波数を有する高周波信号への変換)がなされて送信信号TSとされる。送信信号TSは、バンドパスフィルタ155によって送信用の通過帯以外の不要成分が除去され、増幅器157によって増幅されて分波器101(送信端子105)に入力される。そして、分波器101(送信フィルタ109)は、入力された送信信号TSから送信用の通過帯以外の不要成分を除去し、その除去後の送信信号TSをアンテナ端子103からアンテナ159に出力する。アンテナ159は、入力された電気信号(送信信号TS)を無線信号(電波)に変換して送信する。
また、通信装置151において、アンテナ159によって受信された無線信号(電波)は、アンテナ159によって電気信号(受信信号RS)に変換されて分波器101(アンテナ端子103)に入力される。分波器101(受信フィルタ111)は、入力された受信信号RSから受信用の通過帯以外の不要成分を除去して受信端子107から増幅器161へ出力する。出力された受信信号RSは、増幅器161によって増幅され、バンドパスフィルタ163によって受信用の通過帯以外の不要成分が除去される。そして、受信信号RSは、RF-IC153によって周波数の引き下げおよび復調がなされて受信情報信号RISとされる。
なお、送信情報信号TISおよび受信情報信号RISは、適宜な情報を含む低周波信号(ベースバンド信号)でよく、例えば、アナログの音声信号もしくはデジタル化された音声信号である。無線信号の通過帯は、適宜に設定されてよく、本実施形態では、比較的高周波の通過帯(例えば3.8GHz以上)も可能である。変調方式は、位相変調、振幅変調、周波数変調もしくはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせのいずれであってもよい。回路方式は、図40では、ダイレクトコンバージョン方式を例示したが、それ以外の適宜なものとされてよく、例えば、ダブルスーパーヘテロダイン方式であってもよい。また、図40は、要部のみを模式的に示すものであり、適宜な位置にローパスフィルタやアイソレータ等が追加されてもよいし、また、増幅器等の位置が変更されてもよい。
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
図39に示した多重モード型フィルタ113から理解されるように、弾性波素子は、1ポート弾性波共振子に限定されない。例えば、弾性波素子は、トランスバーサル型のものであってもよい。また、多重モード型フィルタは、IDT電極が弾性波の伝搬方向に配列された縦結合型のものに限定されず、弾性波の伝搬方向に直交する方向にIDT電極が配列された横結合型のものであってもよい。
また、LT層のオイラー角は、抽出条件(a)および(b)のうち、(a)のみを満たすものが選択されてもよい。すなわち、共振周波数とピッチの2倍との積(または実際の弾性波の速度)が7600m/s以上となるオイラー角が選択され、周波数差Δfは問題とされなくてもよい。弾性波素子の態様によっては、周波数差Δfは問題とならず、その一方で、電極指のピッチに対して周波数を高くする効果は得られるからである。
また、高音速層がLT層を支持するのに十分な厚みを確保することができれば、支持基板を省略することもできる。
1…弾性波素子、3…支持基板、5…高音速層、7…LT層(圧電体層)、19…IDT電極(励振電極)、27…電極指。

Claims (6)

  1. 支持基板と、
    前記支持基板上に重なっており、前記支持基板の材料よりも音速が速い材料からなる高音速層と、
    前記高音速層上に重なっており、LiTaOの単結晶からなる圧電体層と、
    前記圧電体層の上面に沿って互いに並列に延びている複数の電極指を有している励振電極と、
    を有しており、
    前記複数の電極指のピッチの2倍をλとし、
    前記圧電体層の厚さをtpとし、
    前記圧電体層のオイラー角を(φ,θ,ψ)とし、
    φ=Φ+180°×iとし、
    θ=Θ+180°×jとし、
    ψ=Ψ+180°×kとし、
    i、jおよびkそれぞれを整数としたときに、
    前記圧電体層が以下の条件Aから条件Eまでのいずれか1つの条件を満たし、
    前記圧電体層の上面に沿って、前記複数の電極指に直交する方向へ伝搬する弾性波の速度が7600m/s以上であり、
    共振周波数と反共振周波数との差である周波数差Δfが20MHz以上である、
    弾性波素子。
    A:0.05λ≦tp<0.15λであり、かつ以下の条件a1からa12までのいずれか一つが満たされる。
    a1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図1(a)においてハッチングされた範囲にある。
    a2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図1(b)においてハッチングされた範囲にある。
    a3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図2(a)においてハッチングされた範囲にある。
    a4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図2(b)においてハッチングされた範囲にある。
    a5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図3(a)においてハッチングされた範囲にある。
    a6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図3(b)においてハッチングされた範囲にある。
    a7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図4(a)においてハッチングされた範囲にある。
    a8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図4(b)においてハッチングされた範囲にある。
    a9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図5(a)においてハッチングされた範囲にある。
    a10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図5(b)においてハッチングされた範囲にある。
    a11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図6(a)においてハッチングされた範囲にある。
    a12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図6(b)においてハッチングされた範囲にある。
    B:0.15λ≦tp<0.25λであり、かつ以下の条件b1からb12までのいずれか一つが満たされる。
    b1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図7(a)においてハッチングされた範囲にある。
    b2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図7(b)においてハッチングされた範囲にある。
    b3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図8(a)においてハッチングされた範囲にある。
    b4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図8(b)においてハッチングされた範囲にある。
    b5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図9(a)においてハッチングされた範囲にある。
    b6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図9(b)においてハッチングされた範囲にある。
    b7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図10(a)においてハッチングされた範囲にある。
    b8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図10(b)においてハッチングされた範囲にある。
    b9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図11(a)においてハッチングされた範囲にある。
    b10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図11(b)においてハッチングされた範囲にある。
    b11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図12(a)においてハッチングされた範囲にある。
    b12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図12(b)においてハッチングされた範囲にある。
    C:0.25λ≦tp<0.35λであり、かつ以下の条件c1からc12までのいずれか一つが満たされる。
    c1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図13(a)においてハッチングされた範囲にある。
    c2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図13(b)においてハッチングされた範囲にある。
    c3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図14(a)においてハッチングされた範囲にある。
    c4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図14(b)においてハッチングされた範囲にある。
    c5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図15(a)においてハッチングされた範囲にある。
    c6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図15(b)においてハッチングされた範囲にある。
    c7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図16(a)においてハッチングされた範囲にある。
    c8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図16(b)においてハッチングされた範囲にある。
    c9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図17(a)においてハッチングされた範囲にある。
    c10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図17(b)においてハッチングされた範囲にある。
    c11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図18(a)においてハッチングされた範囲にある。
    c12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図18(b)においてハッチングされた範囲にある。
    D:0.35λ≦tp<0.45λであり、かつ以下の条件d1からd12までのいずれか一つが満たされる。
    d1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図19(a)においてハッチングされた範囲にある。
    d2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図19(b)においてハッチングされた範囲にある。
    d3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図20(a)においてハッチングされた範囲にある。
    d4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図20(b)においてハッチングされた範囲にある。
    d5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図21(a)においてハッチングされた範囲にある。
    d6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図21(b)においてハッチングされた範囲にある。
    d7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図22(a)においてハッチングされた範囲にある。
    d8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図22(b)においてハッチングされた範囲にある。
    d9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図23(a)においてハッチングされた範囲にある。
    d10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図23(b)においてハッチングされた範囲にある。
    d11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図24(a)においてハッチングされた範囲にある。
    d12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図24(b)においてハッチングされた範囲にある。
    E:0.45λ≦tp<0.55λであり、かつ以下の条件e1からe12までのいずれか一つが満たされる。
    e1:0≦Ψ<7.5°もしくは172.5°≦Ψ<180°であり、かつΦおよびΘが図25(a)においてハッチングされた範囲にある。
    e2:7.5°≦Ψ<22.5°であり、かつΦおよびΘが図25(b)においてハッチングされた範囲にある。
    e3:22.5°≦Ψ<37.5°であり、かつΦおよびΘが図26(a)においてハッチングされた範囲にある。
    e4:37.5°≦Ψ<52.5°であり、かつΦおよびΘが図26(b)においてハッチングされた範囲にある。
    e5:52.5°≦Ψ<67.5°であり、かつΦおよびΘが図27(a)においてハッチングされた範囲にある。
    e6:67.5°≦Ψ<82.5°であり、かつΦおよびΘが図27(b)においてハッチングされた範囲にある。
    e7:82.5°≦Ψ<97.5°であり、かつΦおよびΘが図28(a)においてハッチングされた範囲にある。
    e8:97.5°≦Ψ<112.5°であり、かつΦおよびΘが図28(b)においてハッチングされた範囲にある。
    e9:112.5°≦Ψ<127.5°であり、かつΦおよびΘが図29(a)においてハッチングされた範囲にある。
    e10:127.5°≦Ψ<142.5°であり、かつΦおよびΘが図29(b)においてハッチングされた範囲にある。
    e11:142.5°≦Ψ<157.5°であり、かつΦおよびΘが図30(a)においてハッチングされた範囲にある。
    e12:157.5°≦Ψ<172.5°であり、かつΦおよびΘが図30(b)においてハッチングされた範囲にある。
  2. 前記高音速層は、縦波の音速が11000m/s以上の材料からなる
    請求項に記載の弾性波素子。
  3. 前記複数の電極指のピッチの2倍をλとしたときに、前記高音速層の厚みが1.25λ以上である
    請求項1または2に記載の弾性波素子。
  4. 前記励振電極は、Alを主成分としており、
    前記複数の電極指のピッチの2倍をλとしたときに、前記励振電極の厚みがλの4%以上7.5%以下である
    請求項1~のいずれか1項に記載の弾性波素子。
  5. アンテナ端子と、
    送信信号をフィルタリングして前記アンテナ端子に出力する送信フィルタと、
    前記アンテナ端子からの受信信号をフィルタリングする受信フィルタと、を備えており、
    前記送信フィルタまたは前記受信フィルタは、請求項1~のいずれか1項に記載の弾性波素子を有している
    分波器。
  6. アンテナと、
    該アンテナに前記アンテナ端子が接続されている請求項に記載の分波器と、
    該分波器に電気的に接続されているRF-ICと、
    を有している通信装置。
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