JPWO2017110342A1 - 偏光板保護フィルム、その製造方法及び偏光板 - Google Patents

偏光板保護フィルム、その製造方法及び偏光板 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、偏光子に貼合して偏光板を作製した場合に、ヒート・サイクル試験を実施してもクラックが生じ難く、かつ、偏光子に貼合して偏光板とし、さらに当該偏光板をガラス基板に貼合した場合に、高温環境下においてガラス基板から剥離し難い偏光板とすることが可能なノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムとその製造方法を提供することである。
当該偏光板保護フィルムは、ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムであって、前記ノルボルネン系樹脂が水添ノルボルネン系樹脂であり、かつ、特定の化学構造を有する重合性化合物が含有されていることを特徴とする。

Description

本発明は、偏光板保護フィルム、その製造方法及び偏光板に関する。より詳しくは、本発明は、偏光子に貼合して偏光板を作製した場合、ヒート・サイクル試験のような高温・低温環境下に繰り返しさらす使用条件下においてもクラックが生じ難い偏光板保護フィルム等に関する。
液晶表示装置は、従来、卓上計算機や電子時計などに使用されている。さらに、最近では、携帯電話などのモバイル機器から大型テレビに至るまで、画面サイズを問わずに使用されるようになってきており、急激にその用途が広がりつつある。
また、液晶表示装置以外の画像表示装置としては、特に有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置が、モバイル用途を中心に需要増加の傾向にある。
液晶表示装置では、通常、液晶セルの表裏に一対の偏光板が配置されて液晶パネルが構成される。
有機EL表示装置では、有機EL素子の視認側に、偏光板、特に楕円ないし円偏光板を配置して、反射防止機能を持たせた有機ELパネルが用いられることが多い。なお、楕円ないし円偏光板は、直線偏光板に1/4波長位相差板(すなわちλ/4板)を両者の遅相軸が所定の角度で交差するように積層したものである。
これらの画像表示装置に使用される偏光板についても、その展開に伴い、需要が増大しているばかりでなく、各用途に適する性能が求められている。
上記のような画像表示装置に広く用いられている偏光板(直線偏光板)は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向している偏光子の両面に、液状の接着剤を介して透明保護フィルム、典型的にはトリアセチルセルロースフィルムを接着した構成で製造されている。これをそのまま、あるいは必要により、光学特性を有する位相差フィルムなどの光学層を貼り合わせた形態で、感圧接着剤(粘着剤とも呼ばれる。)を用いて液晶セルや有機EL素子などの画像表示素子に貼合され、表示パネル、さらに画像表示装置とされる。
位相差フィルムとしては、耐熱性、光学特性、透明性、電気特性などにおいて優れた性能を有する水素添加(以下水添という。)ノルボルネン系樹脂からなるフィルムを、延伸配向させることによって得られるものが、広く用いられている。
しかしながら、水添ノルボルネン系樹脂を用いて製造したフィルムを、さらに、液晶パネルにおける使用を想定して、当該フィルム面を偏光子に貼合して偏光板を作製し、高温環境下への放置と低温環境下への放置とを繰り返すヒート・サイクル試験を実施すると、フィルムにクラックが生じることがあった。
次いで、偏光板における偏光板保護フィルム面をガラス基板に貼合すると、高温環境下において、ガラス基板から偏光板が剥離することがあった。
このような、ヒート・サイクル試験時の、水添ノルボルネン系樹脂のクラック発生を改善する方法として、特許文献1には、水添ノルボルネン系樹脂とゴム成分を溶媒に溶解又は分散し、流延(キャスト)法により形成したフィルムが開示されている。これは、水添ノルボルネン系樹脂に対してゴム成分を配合することによって、伸度を改善するというものである。しかしながら、得られたフィルムは平行光線透過率等の光学特性に劣り、偏光板保護フィルムとしては使用することはできない。
さらに、本発明者は、水添ノルボルネン系樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして用いた偏光板を、液晶セルのガラス基板に粘着剤で貼り合せた状態で、耐久試験(高温条件下にさらした後、常温で放置する)を行うと、耐久試験後に液晶セルと反対側の空気に接する面の偏光板保護フィルムにクラックが発生するという問題があることを発見した。このようなクラックは、フィルムの残留応力が小さくても生じている。
従来、水添ノルボルネン系樹脂を含む環状オレフィン系樹脂からなる射出成形品がクラックを発生することは知られていたが(例えば特許文献2参照。)、これは射出成形において生じる大きい残留応力が原因として挙げられており、キャスト製膜のように製膜における残留応力が小さい製法で得られる偏光板保護フィルムにクラックが発生することは知られていない。
特許文献3では、クラックを改善するためには、応力下でのフィルムの強度低下を防ぐことが重要であり、定荷重引張試験の前後における引張強さの変化が小さいことが記載されている。またゴムを入れることも有効であるが、添加するだけでは不十分であり、ゴムを微細かつ均一に微分散させる等の工夫が必要であることが記載されている。
特開平5−148413号公報 特開平11−178690号公報 特開2005−242171号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、水添ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムを偏光子に貼合して偏光板を作製した場合に、ヒート・サイクル試験を実施してもクラックが生じ難い偏光板とすることが可能な偏光板保護フィルムとその製造方法を提供することである。また、当該偏光板保護フィルムが具備された偏光板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、水添ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムを偏光板に用いた場合の前記クラック、剥離等の問題が、環境温度の変化に伴う偏光子の収縮応力の変化に起因すること及び当該偏光板保護フィルムに特定の化合物を含有させて偏光子フィルムに合わせることにより上記課題を解決することができることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムであって、前記ノルボルネン系樹脂が水添ノルボルネン系樹脂であり、かつ、下記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、含有されていることを特徴とする偏光板保護フィルム。
Figure 2017110342
(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表す。
環A、環A及び環Aは、各々独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、アントラセン環又はフェナントレン環を表す。これらの環中、−CH=は−N=で、−CH−は−S−又は−O−で置換されていてもよい。
X、Y及びZは、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又は下記一般式(2)で表される化学構造を有する基を表す。
、L及びLは、結合手を表し、各々独立に、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH−、−CH=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−O(CHO−、−OCOO(CH−、−(CHOCOO−、−(CHO(CH−、−O(CH−[Si(CHO]−Si(CH(CH−、−(OCHCH−、−(CHCHO)−、−(OCHCH(CH))−、−(CH(CH)CH−、−CH=CHCHO−、−OCHCH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CF=CF−、−OCF−、−CFO−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−又は−O−を表す。ただし、一部の炭素原子がケイ素原子であってもよい。
d〜m及びoは、各々独立に1〜8の整数を表す。p〜sは、各々独立に、1〜3の整数を表す。nは、0又は1を表す。
a、b及びcは、それぞれ環A、環A及び環Aにおける置換基の数であって、それぞれの置換される単環又は縮合環に含まれる6員環の数をtとすると、a、b及びcは、各々独立に、2t+2以下の整数を表し、nが0のときは、少なくともa及びbのいずれかは1以上である。nが1のときは、少なくともa、b及びcのいずれかは1以上である。)
Figure 2017110342
(式中、Rは、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表す。)
2.前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、前記水添ノルボルネン系樹脂に対し5〜25質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする第1項に記載の偏光板保護フィルム。
3.前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、下記一般式(3)で表される化学構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板保護フィルム。
Figure 2017110342
(式中、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又は上記一般式(2)で示される基を表す。X、X、Y〜Y及びZ〜Zは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。X〜X、Y〜Y及びZ〜Zのうち少なくとも一つは、水素以外の置換基を表す。環A、A及びAは、それぞれ独立に、ベンゼン環又はシクロヘキサン環を表す。これらの環中−CH=は−N=で、−CH−は−S−又は−O−で置換されていてもよい。R、R、f及びnは前記一般式(1)のR、R、f及びnと同義である。)
4.前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、下記一般式(4)で表される化学構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板保護フィルム。
Figure 2017110342
(式中、R、R、X、X、X3、、Y〜Y、Z〜Z、A、A及びAは、前記一般式(3)のR、R、X、X、X、X、Y〜Y、Z〜Z、A、A及びAと同義である。fは前記一般式(1)のfと同義である。)
5.前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、下記一般式(5)で表される化学構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板保護フィルム。
Figure 2017110342
(式中、R、R、X、X、X、X、Y〜Y、A及びAは、前記一般式(4)のR、R、X、X、X、X、Y〜Y、A及びAと同義であ
る。)
6.前記偏光板保護フィルムの定荷重引張試験前後の引張り強度が、0.6以上であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを製造する偏光板保護フィルムの製造方法であって、少なくとも前記水添ノルボオルネン系樹脂と前記重合性化合物とを、溶媒に溶解させたドープを調製する工程と、前記ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する工程とを有することを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
8.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光子に貼合されていることを特徴とする偏光板。
本発明の上記手段により、水添ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムを偏光子に貼合して偏光板を作製した場合に、ヒート・サイクル試験を実施してもクラックが生じ難い偏光板とすることが可能な偏光板保護フィルムとその製造方法を提供することができる。また、当該偏光板保護フィルムが具備された偏光板を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確になっていないが、以下の理由によるものと推測している。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、水添ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムを偏光板に用いた場合の前記クラック、剥離等の問題が、環境温度の変化に伴う偏光子の収縮応力の変化に起因すること及び当該偏光板保護フィルムに特定の化合物を含有させて、温度変化による偏光板保護フィルムの膨張・収縮を偏光子フィルムに合わせることにより上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、偏光子の収縮応力は非常に大きく、偏光子を例えば90℃で長期間放置すると、その収縮応力は、10mm幅あたり20Nとなる。偏光子の収縮応力が大きいことは、偏光板の収縮応力が大きくなることにつながるので、クラックの発生を防ぐには収縮応力は小さい方がよい。
実際に、上記応力に相当する引張り応力を模擬的にフィルムにかけたところ、フィルムの強度が低下する現象が観測された。
偏光板を構成するにあたって、偏光板保護フィルムは偏光子と接着された状態で存在しており、上記のように90℃放置条件では、常に大きな収縮力がかかることになる。定荷重引張試験で上記を再現した場合、偏光板保護フィルムの強度が低下することが知られている。
このフィルム強度低下が、クラック発生に影響していると推察される。そもそも、偏光板の偏光板保護フィルムのクラックは、カッティング時の刃の衝撃により発生すると推定されており、(1)フィルム中に目に見えないくらいの極微細なクラックが発生し、(2)クラックが目に見えるレベルにまで成長する、という二つの段階に分離して考えることができる。段階(1)は主にカッティング時の刃の衝撃が要因とされており、段階(2)はカッティング後の熱耐久での偏光板を構成する各フィルムの強度、寸法変動の差が要因とされている。
水添ノルボルネン系樹脂含有フィルムの場合、段階(1)では常温時の強度が問題となるが、偏光子の強度に比較して低く、衝撃に耐えられずクラックが発生しやすい。段階(2)では、隣接する偏光子が熱収縮し、同時にフィルム強度が低下しクラックが拡大する。また、偏光子の吸収軸方向では偏光子は、水添ノルボルネン系樹脂フィルムと同じように熱膨張することとなり、この部分の差が多いほうがクラックが拡大することとなると考えられる。
このことから偏光板のクラックの発生を抑制するには、偏光板保護フィルムの熱膨張を偏光子と近くし、偏光子による応力下でのフィルムの強度低下を防ぐことが、何より重要であると考えられる。
そこで、本発明者らは、水添ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムに一般式(1)で表される化学構造を有する化合物を含有させたことにより、強度低下を防止できたのは、以下の機構によるものと推察している。
すなわち、一般式(1)で表される化学構造における環A1、A2、及びA3がL1、L2及びL3により回転規制を受け、環が並ぶことにより剛直な平面構造を形成する。この剛直な平面構造は、水添ノルボルネン系樹脂の流延方向と平行して混入・配列し、ノルボルネン系樹脂の合間に緻密に配向する。また、剛直な平面構造の両端に結合しているビニル基は一般式(1)で表される重合性化合物間で結合して、上記の緻密な配向の維持を補強する役割を果たす。このようにすれば、カッティング時に発生する極微細なクラック発生や、偏光子の収縮応力によるクラック拡大を防止できるものと推測している。
偏光板の概略断面図
本発明の偏光板保護フィルムは、ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムであって、前記ノルボルネン系樹脂が水添ノルボルネン系樹脂であり、かつ、前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が含有されていることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が水添ノルボルネン系樹脂に対して5〜25重量%の範囲内で含有されていることが好ましい。
本発明においては、本発明の課題解決の観点から、前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、前記一般式(3)で表される化学構造を有する化合物であること、前記一般式(4)で表される化学構造を有する化合物であること、又は、前記一般式(5)で表される化学構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明においては、本発明の課題解決の観点から、前記偏光板保護フィルムの定荷重引張試験前後の引張り強度が、0.6以上であることが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法としては、少なくとも前記水添ノルボオルネン系樹脂と前記重合性化合物とを、溶媒に溶解させたドープを調製する工程と、前記ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する工程とを有する態様の製造方法であることが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光子に貼合されて偏光板に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(偏光板保護フィルムの概要)
本発明の偏光板保護フィルムは、ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムであって、前記ノルボルネン系樹脂が水添ノルボルネン系樹脂であり、かつ、前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が含有されていることを特徴とする。
以下、構成要素について詳細な説明をする。
<水添ノルボルネン系樹脂>
本発明において用いる「水添ノルボルネン系樹脂」とは、ノルボルネン誘導体(単量体)を単独で、又は当該ノルボルネン誘導体及びこれと共重合可能な不飽和環状化合物とを、メタセシス重合触媒を用いて開環重合させること等によって得られる重合体をさらに水素添加して得られる水添ノルボルネン系樹脂をいう。
水添ノルボルネン系樹脂は、下記一般式(I)で表される化学構造を有するノルボルネン単量体由来の樹脂であることが好ましい。なお、本発明において、一般式(I)で表される化学構造を有するノルボルネン単量体由来の樹脂とは、一般式(I)で表される化学構造を有するノルボルネン単量体を成分とし重合して誘導される樹脂であることを表す。
Figure 2017110342
(式中、A、B、X及びYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基及び、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基及びシリル基から選ばれる原子又は基を表す。mは、0又は1を表す。)
上記一般式(I)で表されるノルボルネン系単量体と共重合可能な共重合性単量体としては特に限定されず、例えば、ノルボルネン骨格を有しない環状オレフィン系単量体が挙げられる。
上記ノルボルネン骨格を有しない環状オレフィン系単量体としては、例えば、シクロオクタジエン、シクロオクテン、シクロヘキセン、シクロドデセン、シクロドデカトリエン等が挙げられる。
上記ノルボルネン系単量体又は共重合性単量体において、単量体構造中にハロゲン原子以外の極性基を有することが得られる樹脂に一定の透湿度を与えるために好ましい。
上記一般式(I)で表されるノルボルネン系単量体を重合する方法又は上記一般式(I)で表されるノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な共重合性単量体とを共重合する方法としては、例えば、開環メタセシス重合、付加重合等の従来公知の方法を採用することができる。
上記ノルボルネン系樹脂が分子内に不飽和結合を有する場合は、水素添加により飽和されていることが好ましく、水素添加率は95%以上であることが好ましく、より好ましくは99%以上である。水素添加率が95%未満であると、得られる偏光板保護フィルムの耐光性、耐熱劣化性が劣る。
上記ノルボルネン系樹脂のポリスチレン換算による数平均分子量は、1万〜100万であることが好ましい。1万未満であると、得られる偏光板保護フィルムの力学強度が不足することがあり、逆に100万を超えると、溶融押出成形性が著しく低下することがある。より好ましくは1.5万〜70万である。
上記ノルボルネン系樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、日本ゼオン社製「ゼオノア」シリーズ、「ゼオネックス」シリーズ、日立化成工業社製「オプトレッツ」シリーズ、JSR社製「アートン」シリーズなどが挙げられる。この中でも特に極性基を分子骨格中に有するために、水性接着剤を使用して偏光板を作製する際に必要な、適度な透湿性を有する「アートン」シリーズが好ましい。
<重合性化合物>
本発明の偏光板保護フィルムは、下記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物を含有していることを特徴とする。
Figure 2017110342
(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表す。
環A、環A及び環Aは、各々独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、アントラセン環又はフェナントレン環を表す。これらの環中、−CH=は−N=で、−CH−は−S−又は−O−で置換されていてもよい。
X、Y及びZは、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又は下記一般式(2)で表される化学構造を有する基を表す。
、L及びLは、結合手を表し、各々独立に、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH−、−CH=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−O(CHO−、−OCOO(CH−、−(CHOCOO−、−(CHO(CH−、−O(CH−[Si(CHO]−Si(CH(CH−、−(OCHCH−、−(CHCHO)−、−(OCHCH(CH))−、−(CH(CH)CH−、−CH=CHCHO−、−OCHCH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CF=CF−、−OCF−、−CFO−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−又は−O−を表す。ただし、一部の炭素原子がケイ素原子であってもよい。
d〜m及びoは、各々独立に1〜8の整数を表す。p〜sは、各々独立に、1〜3の整数を表す。nは、0又は1を表す。
a、b及びcは、それぞれ環A、環A及び環Aにおける置換基の数であって、それぞれの置換される単環又は縮合環に含まれる6員環の数をtとすると、a、b及びcは、各々独立に、2t+2以下の整数を表し、nが0のときは、少なくともa及びbのいずれかは1以上である。nが1のときは、少なくともa、b及びcのいずれかは1以上である。)
前記一般式(1)中、R、R、X、Y及びZで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
X、Y及びZで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エチル、ジクロロエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられ、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ、クロロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、シアノメチルオキシ、エチルオキシ、ジクロロエチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等が挙げられ、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基としては、ビニル、1−メチルエテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
上記一般式(2)中、Rで表されるハロゲン原子としては、上記R等として例示のものが挙げられる。
上記一般式(1)において、環A、環A又は環Aが縮合環である場合の置換基の位置については、例えば、環Aがナフタレン環である場合、ナフタレン環の1位にCH=CR−COO基がつくと、Lは5位につき、2位にCH=CR−COO基がつくと、Lは6位につくというように、CH=CR−COO基とLとは平行の位置で環Aと結合される。
環Aがデカヒドロナフタレン環又はテトラヒドロナフタレン環である場合も、環Aがナフタレン環である場合に準じるが、テトラヒドロナフタレン環である場合は、飽和環及び不飽和環の一方にCH=CR−COO基が結合し、他方にLが結合していればよい。環Aがアントラセン環である場合、アントラセン環の1位にCH=CR−COO基がつくと、Lは6位につき、2位にCH=CR−COO基がつくと、Lは7位につき、3位にCH=CR−COO基がつくと、Lは8位につく。
環Aがフェナントレン環である場合、フェナントレン環の1位にCH=CR−COO基がつくと、Lは6位につき、2位にCH=CR−COO基がつくと、Lは7位につき、3位にCH=CR−COO基がつくと、Lは8位につくというように、環Aにおいて、CH=CR−COO基とLとは重合性化合物の分子構造が直線性を保てるように環Aと結合される。
環A及びに環Aについても、L、L又はLの結合手は、重合性化合物の分子構造が直線性を保てるように環Aに準じて結合される。
また、上記一般式(1)で表される化学構造を有する本発明に係る重合性化合物としては、下記一般式(3)で表される化学構造を有する重合性化合物を挙げることもできる。一般式(3)の重合性化合物は分子構造上の回転規制が大きい。従って本発明のクラック防止の効果が大きくより好ましい。
Figure 2017110342
(式中、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又は上記一般式(2)で示される基を表す。X、X、Y〜Y及びZ〜Zは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。X〜X、Y〜Y及びZ〜Zのうち少なくとも1つは、水素以外の置換基を表す。環A、A及びAは、それぞれ独立に、ベンゼン環又はシクロヘキサン環を表す。これらの環中−CH=は−N=で、−CH−は−S−又は−O−で置換されていてもよい。R、R、f及びnは前記一般式(1)のR、R、f及びnと同義である。)
また、上記一般式(1)で表される本発明の重合性化合物としては、下記一般式(4)で表される重合性化合物を挙げることもできる。一般式(4)の重合性化合物は分子構造上の平面剛直性が大きい。従って本発明のクラック防止の効果が大きくより好ましい。
Figure 2017110342
(式中、R、R、X、X、X3、、Y〜Y、Z〜Z、A、A及びAは、前記一般式(3)のR、R、X、X、X、X、Y〜Y、Z〜Z、A、A及びAと同義である。fは前記一般式(1)のfと同義である。)
また、上記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物としては、下記一般式(5)で表される重合性化合物を挙げることもできる。一般式(5)の重合性化合物は分子構造が小さく密度アップの効果が得られる。従って本発明のクラック防止の効果が大きくより好ましい。
Figure 2017110342
(式中、R、R、X、X、X、X、Y〜Y、A及びAは、前記一般式(4)のR、R、X、X、X、X、Y〜Y、A及びAと同義である。)
上記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜29が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により制限を受けるものではない。
Figure 2017110342
Figure 2017110342
Figure 2017110342
上記一般式(4)で表される化学構造を有する重合性化合物は、例えば、下記反応スキームに従って製造することができる。
Figure 2017110342
本発明の偏光板保護フィルムは、前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物を、水添ノルボルネン系樹脂に対して5〜25質量%の範囲内で含有していることが本発明の効果の発現性の観点から好ましい。
本発明においては、さらに前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物を、水添ノルボルネン系樹脂に対して10〜20質量%の範囲内で含有することが好ましい。このような範囲内では、偏光板保護フィルムの温度変化による膨張・収縮を偏光子フィルに合わせるための制御がし易い。
<偏光板保護フィルムの各種添加剤>
本発明の偏光板保護フィルムには、様々な機能を付与する目的で、各種添加剤を含有させることができる。
以下に、本発明の偏光板保護フィルムに適用可能な代表的添加剤について示す。
本発明に適用可能な添加剤は、特に制限はなく、本発明の目的効果を損なわない範囲で、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、劣化抑制剤、マット剤、位相差上昇剤、波長分散改良剤等が用いることができる。
以下に、本発明の偏光板保護フィルムに適用可能な代表的添加剤について示す。
<紫外線吸収剤>
本発明の偏光板保護フィルムには、紫外線吸収剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や有機EL素子の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ有機EL素子の表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ない特性を備えていることが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」(以上、BASFジャパン社製(登録商標))を好ましく使用できる。
紫外線吸収剤の添加量は、セルロース誘導体に対して0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5.0質量%の範囲内であることが更に好ましい。
<可塑剤>
一般的に、偏光板保護フィルムは、柔軟性に乏しく、フィルムに曲げ応力やせん断応力がかかると、フィルムに割れ等が生じ易い。また、偏光板保護フィルムとして加工する際に、切断部にひびが入りやすく、切り屑が発生しやすい。発生した切り屑は、偏光板保護フィルムを汚染し、光学的欠陥の原因となっていた。これらの問題点を改良すべく、偏光板保護フィルムに可塑剤を含有させることができる。
可塑剤として、具体的には、例えば、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、正リン酸エステル系、酢酸エステル系、ポリエステル・エポキシ化エステル系、リシノール酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリエチレングリコール系化合物等を挙げることができる。
本発明の偏光板保護フィルムに使用できる可塑剤としては、常温、常圧、液状で、かつ沸点が200℃以上の化合物から選択することが好ましい。具体的な化合物名としては、例えば、脂肪族二塩基酸エステル系、フタル酸エステル系、ポリオレフィン系化合物を挙げることができる。
可塑剤の添加量としては、水添ノルボルネン系樹脂に対して、0.5〜40.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜30.0質量%の範囲内であることがより好ましく、3.0〜20.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。可塑剤の添加量が0.5質量%以上であると、可塑効果が十分で、加工適性が向上する。また、40質量%以下であると、長時間経時した場合における可塑剤の分離溶出を抑制でき、光学的ムラ、他部品への汚染等をより確実に抑制することができる。
<劣化防止剤>
本発明の偏光板保護フィルムには、劣化防止剤、例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル重合禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類等を含有させることができる。
劣化防止剤については、例えば、特開平3−199201号公報、同5−197073号公報、同5−194789号公報、同5−271471号公報、同6−107854号公報等に記載がある。
劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤の添加による効果が発現し、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)を抑制する観点から、偏光板保護フィルムの作製に用いるドープ(水添ノルボルネン系樹脂溶液)の0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましく、0.01〜0.2質量%の範囲内であることが更に好ましい。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(略称:BHT)、トリベンジルアミン(略称:TBA)を挙げることができる。
<マット剤微粒子>
本発明の偏光板保護フィルムには、マット剤として微粒子を含有させることができる。
当該マット剤微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。これらのマット剤微粒子の中では、ケイ素を含むものが、濁度(ヘイズ)が低くなる点で好ましく、特に、二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、一次平均粒子サイズが1〜20nmの範囲内であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。一次平均粒子サイズは、5〜16nmの範囲内のものが偏光板保護フィルムのヘイズを下げることができる観点から更に好ましい。見かけ比重は、90〜200g/リットルの範囲内であることが更に好ましく、100〜200g/リットルの範囲内であることが特に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常、平均粒子サイズが0.05〜2.0μmの範囲内となる二次粒子を形成する。これら二次粒子は、偏光板保護フィルム中では、一次粒子の凝集体として存在し、光学フィルム表面に0.05〜2.0μmの凹凸を形成させる。二次平均粒子サイズは0.05〜1.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜0.7μmの範囲内であることが更に好ましく、0.1〜0.4μmの範囲内であることが特に好ましい。一次粒子及び二次粒子サイズは、偏光板保護フィルム中の微粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとする。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製、商品名)等の市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製、登録商標)で市販されており、使用することができる。
これらの中でも、アエロジル200V及びアエロジルR812Vが、一次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化ケイ素の微粒子であり、偏光板保護フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましい。
前記マット剤微粒子は、以下の方法により調製して、偏光板保護フィルムに適用することが好ましい。すなわち、溶媒とマット剤微粒子を撹拌混合したマット剤微粒子分散液をあらかじめ調製し、このマット剤微粒子分散液を、別途用意した水添ノルボルネン系樹脂濃度が5質量%未満である各種添加剤溶液に添加して撹拌溶解した後、更にメインの水添ノルボルネン系樹脂ドープと混合する方法が好ましい。
マット剤微粒子の表面は、疎水化処理が施されているため、疎水性を有する添加剤が添加されると、マット剤微粒子表面に添加剤が吸着され、これを核として、添加剤の凝集物が発生しやすい。したがって、相対的に親水的な添加剤をあらかじめマット剤微粒子分散液と混合した後、疎水的な添加剤を混合することにより、マット剤表面での添加剤の凝集を抑制することができ、ヘイズが低く、液晶表示装置に組み込んだ際の黒表示における光漏れが少ない偏光板保護フィルムを作製でき好ましい。
マット剤微粒子分散剤と添加剤溶液の混合、及び水添ノルボルネン系樹脂ドープとの混合にはインラインミキサーを使用することが好ましい。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化ケイ素微粒子を溶媒等と混合して分散するときの二酸化ケイ素の濃度は5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、10〜25質量%の範囲内であることが更に好ましく、15〜20質量%の範囲内であることが特に好ましい。分散濃度が高い方が同量の添加量に対する濁度が低くなり、ヘイズや凝集物の発生を抑制することができるため好ましい。最終的な水添ノルボルネン系樹脂のドープでのマット剤の添加量は0.001〜1.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.005〜0.5質量%の範囲内であることが更に好ましく、0.01〜0.1質量%の範囲内であることが特に好ましい。次に、本発明の偏光板保護フィルムの製造方法について説明する。本発明の偏光板保護フィルムは、溶液流延法若しくは溶融流延で製造された偏光板保護フィルムが好ましい。ここでは溶液流延法での製造方法について述べる。
本発明の偏光板保護フィルムの製造は、水添ノルボルネン系樹脂、及び前記重合性化合物を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中の水添ノルボルネン系樹脂、前記重合性化合物の溶解濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。
これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方が水添ノルボルネン系樹脂の溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用する水添ノルボルネン系樹脂を単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するか又は溶解しないものを貧溶剤と定義している。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライド又は酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、水添ノルボルネン系樹脂、前記重合性化合物並びに添加剤の溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
上記記載のドープを調製する時の、水添ノルボルネン系樹脂の溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら撹拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、水添ノルボルネン系樹脂を貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
次に、この水添ノルボルネン系樹脂、前記重合性化合物並びに添加剤溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。
濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料の水添ノルボルネン系樹脂に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に偏光板保護フィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察したときに反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
次いで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。
流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜40℃→0〜50℃であり、5〜30℃が更に好ましい。
あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。
温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
ロール状偏光板保護フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましい。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、ロール状偏光板保護フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明の偏光板保護フィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向(=長尺方向)に延伸し、更にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが特に好ましい。
<表面処理>
上記偏光板保護フィルムのうち外側に配置される偏光板保護フィルム(外側偏光板保護フィルム)は、その表面に任意の適切な表面処理が施されてもよい。表面処理としては、防眩処理、拡散処理(アンチグレア処理)、反射防止処理(アンチリフレクション処理)、ハードコート処理、帯電防止処理等が挙げられる。防眩処理方法としては任意の適切な方法を用いることができる。例えばエンボス加工、サンドブラスト加工やエッチング加工等の適宜な方式で表面に微細凹凸構造を付与することなどにより、表面反射光が拡散する適宜な方式で形成することができる。
<偏光板保護フィルムの特性>
本発明の偏光板保護フィルムとしては、水添ノルボルネン系樹脂からなるフィルムを用いることを特徴とするが、未延伸のフィルムであってもよく、一軸延伸したフィルムであってもよい。以下に記載の重合性化合物を樹脂に添加することにより、樹脂の配向度が増加する。これにより引張弾性率が上昇することとなり、クラック発生の要因の一つであるカッティング時の刃の衝撃に対する弱さが改良される。
また、配向することにより、該フィルムの線膨張係数も低下する。配向はキャスト製膜することで、その溶剤拡散過程により、製膜ベルト上でフィルム(ウェブ)に働く収縮力、合わせてフィルム搬送における搬送張力により発生する。
<配向度の測定>
偏光板保護フィルムの配向係数を下記の方法に従って測定した。
はじめに、配向係数について説明する。
本発明において、配向係数の測定は、一軸配向係数(配向係数fxy)を採用した。
配向係数fxyは、下式に従って求めることができる。なお、fxyの詳細については、P.A.Floumoy,and W.J.Schaffers,Spectrochimica Acta,22,5(1966)を参考にすることができる。
fxy=(Dxy−1)/(Dxy+2)・(Dxy+2)/(Dxy−1)
fxz=(Dxz−1)/(Dxz+2)・(Dxz+2)/(Dxz−1)
fxyは、面内方向の配向係数を表す。また、fxzは、膜厚方向の配向係数を表す。Dxy、Dxzは、赤外二色比を表し、全く空間的に等方性の無配向試料では、いずれも1.00の値をとる。
ここで、
D0=cot2δ
であり、δは分子振動により形成される遷移モーメントベクトルと、分子軸とのなす角度である。これを厳密に計算するには分子振動のモーメントの方向を調べる必要があるが、通常は分子軸に平行な振動モードと垂直なモードを選び、これをそれぞれ0°、90°として計算すれば十分配向性に関する情報が得られる。
この配向係数は理論上、無配向の場合は0、観測方向に完全に配向している場合には1.0、逆に観測方向と直交している場合は−0.5となる。
偏光板保護フィルムについては、水添ノルボルネン系樹脂骨格部のエチレン鎖C−C伸縮振動(1273cm−1±10cm−1の最大ピーク値)を、分子軸に平行な振動モード(δ=0°)として計算した。
赤外二色比の測定には、減衰全反射赤外分光法(ATR−IR法)を用いて測定した。なお、具体的な計算方法については、J.P.Hobbs,C.S.P.Sung(J.P.Hobbs,C.S.P.Sung,K.Krishan,and,S.Hill,Macromolecules,16,193(1983))を参考にした。
赤外二色比の求め方は、水添ノルボルネン系樹脂骨格のエチレン鎖C−C伸縮振動に由来するピーク(1273cm−1±10cm−1の間に現れる最も強いピーク)の強度を測定した。ピーク強度は、そのピークトップの波数(xcm−1とする)と、x〜x+50cm−1の中の最も吸光度の小さな点とx〜x−50cm−1の中の最も吸光度の小さい点を結び、これをベースラインとし、そこからのピーク強度を測定し求めた。
まず、長手方向に平行に光を入射し、入射面に偏光が垂直なときの吸光度(ATEx)及び入射面に偏光面が平行な時の吸光度(ATMx)を求め、次に幅方向に平行に入射して同様にATEyとATMyを測定し、前述した式を用いて、赤外二色比fxy、fxzを計算した。
本発明における具体的な配向係数fxyは、偏光ATR法を用い、下記の測定条件で測定した。
測定装置:Thermo社製 NICOLET380
プリズム:ゲルマニウム
プリズムと試料間の圧力:30cN・m
試料をプリズムに押しつける治具の面積:1cm
入射角:45°
反射回数:1回
分解能:4cm−1
データー補間:0.5cm−1
試料の屈折率は、本発明のセルロース誘導体では1.477として計算した。また、プリズム(ゲルマニウム)は4.00とした。サンプル表面に入射する光と反射する光で構成される入射面に対して、垂直な偏光及び水平な偏光を、ワイヤーグリッド偏光子を用いて入射し、FTIR−ATRスペクトルを測定した。上記測定を、MD方向をx軸、垂直方向(幅方向TD)をy軸、厚さ方向をz軸に設定して測定した。
<線膨張係数>
偏光板保護フィルムの線膨張係数αは、好ましくは4.5×10−5/℃以下(PVAの値)であり、より好ましくは−5.0×10−5〜4.5×10−5/℃であり、さらに好ましくは−4.5×10−5〜4.0×10−5/℃である。線膨張係数αが上記の範囲内であれば、クラック耐久性に優れた偏光板が得られる。
好ましくは、上記偏光子の透過軸方向の線膨張係数と上記偏光板保護フィルムの線膨張係数αとの差は、0を超えて4×10−5/℃であり、より好ましくは0.5×10−5〜4.0×10−5/℃である。偏光子の透過軸方向の線膨張係数と上記偏光板保護フィルムの線膨張係数αとの差が上記の範囲内であれば、クラック耐久性に優れた偏光板が得られる。
<偏光子>
本発明に用いられる偏光子としては、任意の適切な偏光子を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限はなく、一般的に、1〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
本発明で用いる偏光子は、好ましくは、0.030≦Rpva≦0.040を満足する。ここで、Rpvaは、波長1000nmにおいて、偏光子の面内で屈折率が最大になる方向の屈折率をnx、当該屈折率が最大になる方向に直交する方向の屈折率をnyとしたとき、Rpva=nx−nyで表される。Rpvaは、さらに好ましくは0.030≦Rpva≦0.039であり、特に好ましくは0.030≦Rpva≦0.035である。偏光子中の配向に寄与しない(代表的には、配向性の低い)結晶量が増大することにより、このような特性が満足されると推定される。Rpvaがこのような範囲の偏光子であれば、高温高湿環境下において優れた寸法安定性及び光学的耐久性を有し得る。その結果、当該偏光子は、偏光子の片側のみに偏光板保護フィルムを設けた偏光板に用いられる場合でも、寸法変化及び光学特性の劣化が起こりにくく、実用上許容可能な寸法安定性及び光学的耐久性を実現することができる。
本発明で用いる偏光子は、二色比DRが好ましくは160以上であり、さらに好ましくは160〜220であり、特に好ましくは170〜210であり、最も好ましくは175〜185である。二色比DRがこのような範囲であれば、本発明の偏光板を用いることにより、正面コントラストの高い液晶パネル及び液晶表示装置を得ることができる。このような液晶パネル及び液晶表示装置は、例えば、テレビジョン用途に適する。なお、二色比DRは下記の式から求めることができる。
二色比DR=log(0.919/k)/log(0.919/k
ここで、kは偏光子の透過軸方向の透過率であり、kは偏光子の吸収軸方向の透過率であり、定数0.919は界面反射率である。
本発明で用いる偏光子は、透過率(単体透過率)Tsが好ましくは42%以上であり、さらに好ましくは42.〜44.0%の範囲であり、特に好ましくは42.5〜43.0%の範囲である。透過率Tsがこのような範囲であれば、本発明の偏光板を用いることにより、輝度の高い液晶パネル又は液晶表示装置を得ることができる。このような液晶パネル及び液晶表示装置は、例えば、テレビジョン用途に適する。なお、偏光板の透過率は、以下の式から求めることができる。
透過率=(k+k)/2×100 [%]
ここで、kは偏光子の透過軸方向の透過率であり、kは偏光子の吸収軸方向の透過率である。
本発明で用いる偏光子は、上記のとおり、ヨウ素又は二色性染料等の二色性物質を含有するポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を主成分とする偏光子が用いられ得る。
本発明で用いる偏光子のヨウ素含有量は、好ましくは1.8〜5.0質量%であり、さらに好ましくは2.0〜4.0質量%である。ヨウ素含有量を上記の範囲とすることによって、好ましい範囲の透過率の偏光板が得られ、正面方向のコントラスト比が高い液晶表示装置を得ることができる。
本発明で用いる偏光子のホウ酸含有量は、ホウ素換算で、好ましくは0.5質量%〜3.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜2.8質量%であり、特に好ましくは1.5〜2.6質量%である。上記のように、本発明によれば、ホウ酸量を増量することなく、加湿環境下において優れた寸法安定性及び光学的耐久性を有する偏光子を得ることができる。
本発明で用いる偏光子は、好ましくは、カリウムをさらに含有し得る。上記カリウム含有量は、好ましくは0.2〜1.0質量%であり、さらに好ましくは0.3〜0.9質量%であり、特に好ましくは0.4〜0.8質量%である。カリウム含有量を上記範囲とすることによって、好ましい範囲の透過率を有し、かつ、偏光度が高い偏光板を得ることができる。
上記偏光子の透過軸方向の線膨張係数は、特に制限はなく、任意の適切な値をとり得る。例えば、二色性物質を含有するポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を主成分とする偏光子を用いる場合、偏光子の透過軸方向の線膨張係数は、4.0×10−5〜5.0×10−5/℃となり得る。
<偏光板>
図1は、本発明の好ましい実施形態による偏光板の概略断面図である。図1の実施形態においては、偏光板101は、偏光子10と該偏光子10の両方の面に配置された偏光板保護フィルム20,30とを備える。該偏光子10と該偏光板保護フィルム20,30は、任意の接着層(図示せず)を介して、貼り合わせられている。
上記偏光板保護フィルム20の偏光子10の透過軸と平行な方向に対する線膨張係数α(以下、単に線膨張係数αともいう)が偏光子の透過軸方向の線膨張係数よりも小さい。一般的に、偏光子では、その製造過程でのフィルムの延伸方向が吸収軸方向と一致する。したがって、偏光子の吸収軸と直交する方向である透過軸方向は、非常に脆く裂けやすい傾向がある。線膨張係数αが、偏光子自体の透過軸方向の線膨張係数よりも小さい偏光板保護フィルムを用いることにより、クラック耐久性に優れた偏光板が得られる。
図1に例示した偏光板101においては、偏光板保護フィルム20,30の少なくとも一方の線膨張係数αが偏光子の透過軸方向の線膨張係数よりも小さければよく、偏光板保護フィルム20,30の両方の線膨張係数αが偏光子の透過軸方向の線膨張係数よりも小さい値であってもよい。代表的には、偏光板101の外側の偏光板保護フィルムの線膨張係数αが偏光子の透過軸方向の線膨張係数よりも小さい値である。偏光板保護フィルム20,30は、同一の材料かつ同一の線膨張係数αを有する偏光板保護フィルムであってもよく、それぞれ異なる偏光板保護フィルムを用いてもよい。
偏光子は、一般的に、温度が高くなるほど膨張する傾向がある。本発明の偏光板では、好ましくは温度が低くなるほど膨張する性質を有する偏光板保護フィルムを用いる。
したがって、本発明の偏光板は、置かれる環境の温度が高くなると上記偏光子と上記偏光板保護フィルムとの偏光子の透過軸方向における寸法変化の差が大きくなり、このような偏光板保護フィルムを用いることにより、クラック耐久性を向上させることができる。
従来の偏光板では、偏光子と偏光板保護フィルムとの界面での応力の発生を抑えるため、偏光子と保護フィルムとの線膨張係数の差を小さくし、温度変化に伴う寸法変化の差が小さくなるよう設計される。
一方、本発明では上記のとおり、偏光板保護フィルムの線膨張係数αを偏光子の透過軸方向の線膨張係数よりも小さい値とすることにより、クラック耐久性をさらに向上させることができる。
本発明では、配向方向の寸法変動、及びその垂直方向の寸法変動のうち、少なくとも一方の寸法変動が偏光子の透過軸方向の寸法変動よりも小さいことが必要である。
すなわち、上記記載の水添ノルボルネン系樹脂に、以下に記載の重合性化合物を添加したフィルムを、偏光子の透過軸に対して平行な方向の寸法変動が偏光子の透過軸方向の寸法変動よりも小さくなるよう配置して偏光板保護フィルムとすることにより、本発明の偏光板が得られる。
また、本発明では上記のようにクラック耐久性が向上するため、偏光子に貼合して偏光板とし、さらに当該偏光板をガラス基板に貼合した場合に、高温環境下においてガラス基板から剥離し難い偏光板とすることが可能である。
<その他の層>
本発明の偏光板は、その他の層をさらに有してもよい。その他の層としては、例えば、反射防止層、帯電防止層、位相差層、輝度向上フィルム層、粘着剤層等が挙げられる。一つの実施形態においては、本発明の偏光板は、該粘着剤層を介して液晶セルと貼り合わせられる。該粘着剤層は、23℃における貯蔵弾性率が8.0×10以上1.0×10未満であることが好ましく、1.0×10〜8.0×10であることがより好ましい。その他の層は、目的や用途、本発明の偏光板が用いられる液晶表示装置の構成等に応じて、任意の適切な層を選択すればよく、数、種類、位置、配置等は適宜設定され得る。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、液晶セルの少なくとも一方の側に配置された上記本発明の偏光板とを備える。本発明の偏光板を用いることにより、クラックの発生による表示性能の低下が抑えられた液晶表示装置が提供され得る。
上記液晶セルの駆動モードとしては、バーティカル・アライメント(VA)モード、ツイスティッド・ネマチック(TN)モード、インプレーンスイッチング(IPS)モード、垂直配向型電界制御複屈折(ECB)モード、光学補償複屈折(OCB)モード等が挙げられる。
上記液晶表示装置は、液晶パネルの背面から光を照射して画面を見る、透過型であっても良いし、液晶パネルの視認側から光を照射して画面を見る、反射型であっても良い。あるいは、上記液晶表示装置は、透過型と反射型の両方の性質を併せ持つ、半透過型であっても良い。
本発明の液晶表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機などのOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ,携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機などの携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジなどの家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオなどの車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器、監視用モニターなどの警備機器、介護用モニター、医療用モニターなどの介護・医療機器等である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〔合成例1〕化合物A−1の合成
化合物A−1を以下のステップ1〜4の手順に従って合成した。
<ステップ1> アクリル酸エステルの合成
下記アクリル酸エステルを、下記スキームに示す反応式に従い以下のようにして合成した。
Figure 2017110342
3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸18.36g(110mmol)、水酸化ナトリウム11.05g(280mmol)及び水100gを仕込み、20℃で撹拌しながら塩化アクリロイル10g(110mmol)を滴下し、2時間反応させた。反応後、4mol/l塩酸を滴下して酸性とした後、析出物を濾取し風乾した。この析出物をメタノール/水=3/4混合溶媒から再結晶し、白色固体(収量11.68g、収率48%)を得た。
得られた白色固体の赤外吸収スペクトル(IR)測定結果は次のとおりであり、該白色固体は目的物であるアクリル酸エステルであることを確認した。
[IR](cm−1
2920、1740、1697、1508、1447、1408、1366、1296、1254、1200、1173、1150、1018
<ステップ2>ベンジルエーテルの合成
下記ベンジルエーテルを、下記スキームに示す反応式に従い以下のようにして合成した。
Figure 2017110342
ステップ1で得られたアクリル酸エステル1.20g(5.6mmol)、4−ベンジルオキシ−2−メチルフェノール1.00g(4.7mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.171g(1.4mmol)及びクロロホルム12gを仕込み、20℃で撹拌しながらジシクロヘキシルカルボジイミド1.16g(5.6mmol)をクロロホルム12gに溶解したものを滴下し、3時間撹拌した。析出物をろ別し、ろ液から溶媒を留去して、残さをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3、SiO)により精製して白色結晶として目的物であるベンジルエーテルを得た(1.83g、収率94%)。
<ステップ3>フェノールの合成
下記フェノールを、下記反応スキーム従い以下のようにして合成した。
Figure 2017110342
無水塩化アルミニウム1.76g(13mmol)をアニソール9gに溶解し、氷水冷した後、ステップ2で得られたベンジルエーテル1.83g(4.4mmol)をアニソール9gに溶解したものを滴下した。30分撹拌した後、塩酸を滴下して析出物を溶解させ、水洗を行った。溶媒を留去して、残さをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5、SiO)により精製して白色結晶として目的物であるフェノールを得た(1.00g、収率70%)。
<ステップ4>化合物A−1の合成
化合物A−1を下記反応スキームに従い以下のようにして合成した。
Figure 2017110342
4−(6−アクリロイルオキシ−ヘキサ−1−イルオキシ)安息香酸0.90g(3.1mmol)をテトラヒドロフラン(THF)10gに溶解し、氷水冷した後、メタンスルホニルクロリド0.42g(3.7mmol)を加え、トリエチルアミン0.74g(7.4mmol)を10℃以下で滴下した。30分間撹拌した後、DMAP38mg(0.31mmol)を加え、ステップ3で得られたフェノール1.00g(3.1mmol)をTHF10gに溶解したものを滴下し、30分撹拌した。析出物を濾別し、濾液から溶媒を留去して、残さをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3、SiO)により精製した後、クロロホルムに溶解させて冷却したメタノールに投入し、白色結晶を得た(0.18g、収率10%)。得られた白色結晶について分析を行ったところ、該白色結晶は目的物である化合物A−1であると確認された。分析結果を以下に示す。
また、得られた化合物A−1の単独重合体を製造したところ、該重合体は、屈折率が方向によって異なっており、光学異方体として機能することが確認された。
(分析結果)
(1)IR(cm−1)
2939、2866、1728、1605、1508、1408、1300、1246、1165、1080、1007
(2)NMR(ppm)
8.2(d;2H),7.3−6.9(m;9H)、6.6−5.7(m;6H)、4.3−3.9(m;4H)、3.2−2.8(m;4H)、2.1(s;3H)、1.7−1.4(m;8H)
〔合成例2〕化合物A−29の合成
化合物A−29を以下のステップ1〜3の手順に従って合成した。
<ステップ1>ベンジルエーテルの合成
下記ベンジルエーテルを下記反応スキームに従い以下のようにして合成した。
Figure 2017110342
6−アクリロイルオキシ−2−ナフトエ酸1.90g(7.86mmol)をTHF10gに溶解し、−30℃に冷却した後、メタンスルホニルクロリド0.99g(8.65mmol)を加え、トリエチルアミン(TEA)1.91g(18.87mmol)を滴下した。1時間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)10mg(0.08mmol)を加え、4−ベンジルオキシ−2−プロピルフェノール2.00g(8.25mmol)をTHF7gに溶解したものを滴下し、1時間撹拌した。析出物を濾別し、濾液を水洗した。溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン、SiO)により精製した後、アセトン溶媒で再結晶し、白色固体として目的物であるベンジルエーテルを得た(収量2.27g、収率61.9%)。
<ステップ2>フェノールの合成
下記フェノールを、下記に示す反応スキームに従い以下のようにして合成した。
Figure 2017110342
無水塩化アルミニウム2.01g(15.08mmol)をアニソール9gに溶解し、氷水冷した後、ステップ1で得られたベンジルエーテル2.27g(4.87mmol)をアニソール9gに溶解したものを滴下した。1時間撹拌した後、塩酸を滴下して析出物を溶解させ、水洗を行った。溶媒を留去して、残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/トルエン=1/5、SiO)により精製した後、アセトン/メタノール混合溶媒で再結晶し、白色固体として目的物であるフェノールを得た(1.20g、収率65.6%)。
<ステップ3>化合物A−29の合成
化合物A−29を下記反応スキームに従い以下のようにして合成した。
Figure 2017110342
6−(6−アクリロイルオキシ−ヘキシルオキシ)−2−ナフトエ酸1.04g(3.04mmol)をTHF12gに溶解し、−30℃に冷却した後、メタンスルホニルクロリド0.38g(3.34mmol)を加え、トリエチルアミン0.74g(7.29mmol)を滴下した。一時間撹拌した後、DMAP4mg(0.03mmol)を加え、ステップ2で得られたフェノール1.20g(3.19mmol)をTHF8gに溶解したものを滴下し、1時間撹拌した。析出物を濾別して濾液を水洗し、溶媒を留去して、残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/トルエン=1/5、SiO)により精製した後、酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で再結晶し、白色固体を得た(0.67g、収率31.5%)。得られた白色固体について分析を行ったところ、該白色固体は目的物である化合物A−29であると確認された。分析結果を下記に示す。
また、得られた化合物A−29の単独重合体を製造したところ、該重合体は、屈折率が方向によって異なっており、光学異方体として機能することが確認された。
(分析結果)
(1)IR(cm−1
2936,2866,1624,1474,1404,1339,1273,1246,1200,1169,1150,1065,1022
(2)1H−NMR(ppm)
0.9(t;3H),1.5−1.9(m;10H),2.6(q;2H),3.9−4.3(m;4H),5.7−6.6(m;6H),7.1−7.5(m;6H),7.7−8.3(m;7H),8.7(s;1H),8.9(s;1H)
実施例1[偏光板保護フィルム(以下、単に「保護フィルム」という。)]
<保護フィルム101の作製>
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R812V 日本アエロジル(株)製)11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分撹拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 95質量部
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクに水添ノルボルネン系樹脂Iを撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
〈主ドープの組成〉
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 19質量部
水添ノルボルネン系樹脂I 100質量部
前記重合性化合物A−1 5質量部
微粒子添加液1 1質量部
以上を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープを調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度33℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離した保護フィルムを、180℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方向に5%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は30%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は90N/mとした。
以上のようにして、乾燥膜厚20μmの保護フィルム101を得た。以下、水添ノルボルネン系樹脂の種類、重合性化合物の種類、重合性化合物の添加量、可塑剤及び可塑剤の添加量を、表1に示すように変更した以外は保護フィルム101と同様にして偏光板保護フィルム102〜123を作製した。
(樹脂)
水添ノルボルネン系樹脂I:JSR(株)製 アートン(登録商標)(G7810)
水添ノルボルネン系樹脂II:JSR(株)製 アートン(登録商標)(RX4500)(可塑剤Aの調製)
エチレングリコール62g、アジピン酸144g、安息香酸30g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.181gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、可塑剤としてのポリエステルを得た。酸価0.10mgKOH/g、数平均分子量1900であった。
(可塑剤Bの調製)
1,6−ヘキサンジオール60g、セバシン酸101g、安息香酸122g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、可塑剤としてのポリエステルを得た。酸価0.10mgKOH/g、数平均分子量600であった。
Figure 2017110342
[評価]
<破断強度(保護フィルム)>
上記各実施例及び各比較例により得られた偏光板保護フィルムを用い、流延方向(MD)に、幅20mm×長さ250mmに切り出し、引張試験機を用い、この切り出しフィルムに9.8Nの荷重に相当する錘をぶら下げた状態で、23℃−55%RHの条件下で24時間放置することにより定荷重引張試験を行った。
次いで、上記定荷重引張試験前及び定荷重引張試験後(定荷重引張試験後12時間以内)の偏光板保護フィルムについて、引張試験機(テンシロンUTA−500、オリエンテック社製)を用いて、JIS K 7127に準拠して、フィルムの引張強さを測定した。
この場合、試験片の寸法は全て幅20mm×長さ150mmに揃え、23℃−50%RHの条件下で、チャック間距離100mm、引張速度13.3mm/分として測定し、破断点強さと降伏点強さの高い方を引張強さとした。
上記定荷重引張試験前の引張強度を、破断強度(MPa)として評価した。
また、これ等の測定値から、引張強さ比=定荷重引張試験後の引張強さ(B)/定荷重引張試験前の引張強さ(A)を算出した。
上記引張強さ比を破断強度比率(耐久前後)として評価した。
なお、測定はそれぞれのサンプルで5本ずつ行い、平均値を採用した。
<線膨張係数 (保護フィルム)>
直方体形状の成形品の片端部と中央部から、それぞれタテ×ヨコ×厚さ=10mm×4mm×0.04mmで切り出した試験片を各3個ずつ、25℃、55%RHで12時間状態調節した後、線膨張係数測定機[型名「TMA/SS7100」、セイコーインスツルメント(株)製]を用いて、JIS K7197に準じて測定した。25〜80℃における寸法変化を測定し、そのうち30〜60℃における1℃あたりの平均寸法変化率を算出した。この測定を各試験片の端部3個、中央部3個について行い、平均値を求めた。さらに3個の各試験片の平均値を求め、これを成形品の線膨張係数とした。
<貯蔵弾性率の測定法(保護フィルム)>
保護フィルムの貯蔵弾性率は、直径8mm、厚さ1mmの円柱を試験片とし、TAインスツルメント社製の測定器“RSA III”を用いて、周波数1Hzの捻り剪断法で23℃及び80℃における貯蔵弾性率(G′)、損失弾性率(G″)、tanδを測定した。<クラック発生率(保護フィルム)>
保護フィルムを5枚重ね合わせて(同様な構成もの)10cm角のトムソン刃で100枚打ち抜き、クラック、割れ、欠けなど打ち抜き不良が検出した隅の数(n)を観察した隅の数(m)で割り、打ち抜き不良発生率として、下記のように百分率で示した。
打ち抜き不良発生率(%)=100×(n/m)
<配向度>
前記に記載の方法に従って測定した。
偏光板保護フィルム101〜123について、これらの評価項目及び前記配向度を測定した。
偏光板保護フィルムの組成と上記評価結果を合わせ表1に示した。
Figure 2017110342
表1の結果から本発明ではクラック発生率が少なく、配向度が大きいことがわかる。
実施例2
[偏光板1]
<偏光板301の作製>
偏光子1の一方の面(以下A面側という。)に、PVA系接着剤を介して、偏光子の透過軸と平行な方向となるよう保護フィルム101を貼り合わせ、偏光子1の他方の面(以下B面側という。)に下記保護フィルム205を貼り合わせて偏光板301を得た。表2に記載のように、保護フィルム及び偏光子を組み合わせた以外は偏光板301と同様にして、偏光板302〜偏光板336を作製した。
保護フィルム201
(ポリエチレンナフタレートフィルム、テオネックスQ83(商品名)(帝人デュポン社製)、厚さ:40μm)
保護フィルム202
(ポリイミドフィルムの延伸フィルム、カプトン(商品名)(東レ製)厚さ:50μm)保護フィルム203
(ポリエチレンテレフタレートフィルム、MRF50(商品名)(三菱樹脂社製)、厚さ:50μm)
保護フィルム204
(ポリエチレンテレフタレートフィルム、MRF25(商品名)(三菱樹脂社製)、厚さ:25μm)
保護フィルム205
(トリアセチルセルロースフィルム、KC4UAW(商品名)(コニカミノルタ社製)、厚さ:40μm)
保護フィルム206
(トリアセチルセルロースフィルム、KC2UAW(商品名)(コニカミノルタ社製)、厚さ:25μm)
[偏光子1]
重合度2400、ケン化度99.7モル%、厚さ75μmのPVA系樹脂フィルムを用意した。当該フィルムを、30℃のヨウ素水溶液中で染色しながらフィルム搬送方向に3倍に延伸し、次いで、60℃の4質量%ホウ酸、5質量%のヨウ化カリウム水溶液中で、総延伸倍率が元長の6倍となるように延伸した。さらに、延伸したフィルムを30℃の2質量%のヨウ化カリウム水溶液中に数秒浸漬することで洗浄した。得られた延伸フィルムを90℃で乾燥し偏光子1を得た。得られた偏光子1の透過軸方向の線膨張係数は4.5×10−5/℃であった。
[偏光子2]
総延伸倍率が元長の5倍となるよう延伸した以外は偏光子1と同様にして、偏光子2を得た。得られた偏光子2の透過軸方向の線膨張係数は4.8×10−5/℃であった。
上記のようにして得られた偏光板301〜偏光板335について下記の評価を行った。
[評価]
<クラック発生率(打抜)>(偏光板)
偏光板を10cm角のトムソン刃で100枚打ち抜き、クラック、割れ、欠けなど打ち抜き不良が検出した隅の数(n)を観察した隅の数(m)で割り、打ち抜き不良発生率を、下記のように百分率で示し偏光板クラック発生率とした。
偏光板クラック発生率(%)=100×(n/m)
<クラック発生率(耐久)>(偏光板)
(3−3)ヒートショック加速試験(偏光板)
上記の10cm角のトムソン刃で打ち抜いた偏光板について、冷熱衝撃試験機(ESPEC製)を用いて、評価を行った。
10cm角のトムソン刃で打ち抜かれた偏光板を、冷熱衝撃試験機のテストエリアに入れ、室温から30分かけてテストエリア内を−40℃まで降温した。次いで、30分かけてテストエリア内を85℃まで昇温した後、30分かけて−40℃まで再度降温した。この−40℃から85℃に昇温し、再度−40℃まで降温する工程を1サイクルとして、20サイクル繰り返した後、偏光板を取り出し、クラック、割れ、欠けなどの不良が検出した隅の数(n)を観察した隅の数(m)で割り、下記のように百分率で示した。
このようにしてヒートショック加速試験での不良発生率を測定し、クラック発生率(耐久)(偏光板)として評価した。
クラック発生率(耐久)(%)=100×(n/m)
偏光板301〜335について、これらの項目を評価した。
偏光板の構成と上記評価結果を合わせ表2に示した。
Figure 2017110342
表2の結果から本発明の偏光板では、ヒートショック加速試験後であっても、クラックが発生せず、良好なクラック耐久性を有していた。
表1及び表2の結果で示されるように本発明の試料ではクラック発生率の小さい偏光板保護フィルム及び偏光板が得られることがわかる。
本発明は、偏光子に貼合して偏光板を作製した場合に、ヒート・サイクル試験を実施してもクラックが生じ難くい偏光板とすることが可能な、偏光板保護フィルムとして利用することができる。また、当該偏光板保護フィルムが具備された偏光板として利用することができる。
10 偏光子
20,30 偏光板保護フィルム
101 偏光板

Claims (8)

  1. ノルボルネン系樹脂を含有する偏光板保護フィルムであって、
    前記ノルボルネン系樹脂が水添ノルボルネン系樹脂であり、かつ、
    下記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、含有されていることを特徴とする偏光板保護フィルム。
    Figure 2017110342
    (式中、R及びRは、各々独立に、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表す。
    環A、環A及び環Aは、各々独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、アントラセン環又はフェナントレン環を表す。これらの環中、−CH=は−N=で、−CH−は−S−又は−O−で置換されていてもよい。
    X、Y及びZは、各々独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又は下記一般式(2)で表される化学構造を有する基を表す。
    、L及びLは、結合手を表し、各々独立に、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH−、−CH=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−O(CHO−、−OCOO(CH−、−(CHOCOO−、−(CHO(CH−、−O(CH−[Si(CHO]−Si(CH(CH−、−(OCHCH−、−(CHCHO)−、−(OCHCH(CH))−、−(CH(CH)CH−、−CH=CHCHO−、−OCHCH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CF=CF−、−OCF−、−CFO−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−又は−O−を表す。ただし、一部の炭素原子がケイ素原子であってもよい。
    d〜m及びoは、各々独立に1〜8の整数を表す。p〜sは、各々独立に、1〜3の整数を表す。nは、0又は1を表す。
    a、b及びcは、それぞれ環A、環A及び環Aにおける置換基の数であって、それぞれの置換される単環又は縮合環に含まれる6員環の数をtとすると、a、b及びcは、各々独立に、2t+2以下の整数を表し、nが0のときは、少なくともa及びbのいずれかは1以上である。nが1のときは、少なくともa、b及びcのいずれかは1以上である。)
    Figure 2017110342
    (式中、Rは、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表す。)
  2. 前記、一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、前記水添ノルボルネン系樹脂に対し5〜25質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
  3. 前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、下記一般式(3)で表される化学構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板保護フィルム。
    Figure 2017110342
    (式中、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又は上記一般式(2)で示される基を表す。X、X、Y〜Y及びZ〜Zは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6のアルケニル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。X〜X、Y〜Y及びZ〜Zのうち少なくとも1つは、水素以外の置換基を表す。環A、A及びAは、それぞれ独立に、ベンゼン環又はシクロヘキサン環を表す。これらの環中−CH=は−N=で、−CH−は−S−又は−O−で置換されていてもよい。R、R、f及びnは前記一般式(1)のR、R、f及びnと同義である。)
  4. 前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、下記一般式(4)で表される化学構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板保護フィルム。
    Figure 2017110342
    (式中、R、R、X、X、X3、、Y〜Y、Z〜Z、A、A及びAは、前記一般式(3)のR、R、X、X、X、X、Y〜Y、Z〜Z、A、A及びAと同義である。fは前記一般式(1)のfと同義である。)
  5. 前記一般式(1)で表される化学構造を有する重合性化合物が、下記一般式(5)で表される化学構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板保護フィルム。
    Figure 2017110342
    (式中、R、R、X、X、X、X、Y〜Y、A及びAは、前記一般式(4)のR、R、X、X、X、X、Y〜Y、A及びAと同義である。)
  6. 前記偏光板保護フィルムの定荷重引張試験前後の引張り強度が、0.6以上であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の記偏光板保護フィルムを製造する偏光板保護フィルムの製造方法であって、少なくとも前記水添ノルボオルネン系樹脂と前記重合性化合物とを、溶媒に溶解させたドープを調製する工程と、前記ドープを支持体上に流延して流延膜を形成する工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する工程とを有することを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
  8. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の記偏光板保護フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向している偏光子に貼合されていることを特徴とする偏光板。
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