JPWO2017104234A1 - 粉末材料、立体造形物の製造方法および立体造形装置 - Google Patents

粉末材料、立体造形物の製造方法および立体造形装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、複数の粒子を含む粉末材料の薄層にレーザ光を選択的に照射して、前記複数の粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成し、前記造形物層を積層することによる立体造形物の製造に使用される粉末材料に係る。前記複数の粒子は、第1の金属粒子と、1または複数の層を形成して前記第1の金属粒子の表面を島状に被覆する第2の金属粒子とを有する被覆粒子を含み、前記第1の金属粒子の平均粒子径は、前記第2の金属粒子の平均粒子径の1.2倍以上である。上記粉末材料によれば、金属粒子の材料によらず、レーザの照射により粉末材料に含まれる金属粒子の焼結または溶融結合を容易に行え、かつ、立体造形物を安価に作製しうる。

Description

本発明は、粉末材料、立体造形物の製造方法および立体造形装置に関する。
近年、複雑な形状の立体造形物を比較的容易に製造できる種々の方法が開発されている。こうして製造された立体製造物は、最終製品の形状または性質を確認するための試作品の製造などの用途に用いられる。このとき、最終製品の種類や、試作品で確認したい性質等に応じて、立体造形物を製造するための材料も適宜選択される。たとえば、最終製品が金属製の機械部品などの場合には、試作品の材料として、金属材料が用いられることがある。
金属材料からの立体造形物の製造は、金属材料で構成される粒子を用いた粉末床溶融結合法によって行うことができる。粉末床溶融結合法では、粒子を含む粉末材料を平らに敷き詰めて薄膜を形成し、薄膜上の所望の位置にレーザを照射して、上記粒子を選択的に焼結または溶融結合させることで、立体造形物を厚さ方向に微分割した層(以下、単に「造形物層」ともいう。)のひとつを形成する。こうして形成された層の上に、さらに粉末材料を敷き詰め、レーザを照射して粒子を選択的に焼結または溶融結合させることで、次の造形物層を形成する。この手順を繰り返して、造形物層を積み上げていくことで、所望の形状の立体造形物が製造される。
粉末床溶融結合法などに用いられる、金属材料で構成される粒子を、レーザの照射によってより焼結または溶融結合しやすくするための方法が、特許文献1および特許文献2に記載されている。
特許文献1には、平均粒子径が小さい(たとえば、5μm以上10μm以下の)複数の金属粒子と、金属粒子を互いに結合するバインダーとを含む粉末材料が記載されている。特許文献1には、金属粒子の平均粒子径を小さくして熱容量を小さくすることで、加熱時に金属粒子がより溶融しやすくなると記載されている。
特許文献2には、平均粒子径が1μm〜80μmの銅粒子と、平均粒子径が1nm〜30nmの銅粒子と、ポリビニルピロリドンなどの分散媒とを含む粉末材料が記載されている。特許文献2には、平均粒子径が小さい銅粒子を粉末材料に混ぜることで、粉末材料の見かけ上の融点を低下させ、より低い温度での焼結が可能になると記載されている。
特開2015−96646号公報 特開2013−161544号公報
立体造形物の製造には、立体造形物に求められる性能に応じて、多様な種類の金属材料が使用可能であることが望ましい。たとえば、熱を吸収および放散する性能が求められる立体造形物を製造するためには、熱伝導率が高い銅を用いることが望ましいし、軽量化が求められる立体造形物を製造するためには、アルミニウムを用いることが望ましい。しかし、粉末床溶融結合法では、銅やアルミニウムのように反射率が高く、レーザのエネルギーを吸収しにくい材料による造形は難しい。そのため、反射率が高い金属材料を含んで構成される粒子でも、レーザのエネルギーをより吸収しやすくして、レーザの照射による金属粒子の焼結または溶融結合が容易となる技術の開発が求められている。
また、ニッケルや鉄のように反射率が低い金属材料を含んで構成される粒子でも、レーザのエネルギーをより吸収しやすくすれば、造形時間の短縮化や造形に費やされるエネルギーの削減が可能となる。
特許文献1および特許文献2によれば、平均粒子径が小さい金属粒子を用いることで、粒子がより焼結または溶融しやすくなるとされている。しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の粉末材料を用いて、粉末床溶融結合法によって立体造形物を製造しても、金属粒子が十分に焼結または溶融結合されにくく、所望の形状に造形できないことがあることが判明した。また、特許文献2に記載の粉末材料では、材料である銅の反射率が高いことに起因して、粉末床溶融結合法によって立体造形物を製造しても、やはり、金属粒子が十分に焼結または溶融結合されにくく、所望の形状に造形できないおそれがある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、金属材料を含んで構成される粒子であって、レーザの照射により従来よりも焼結または溶融結合しやすい粒子を含む粉末床溶融結合法用の粉末材料を提供することをその目的とする。本発明はさらに、そのような粉末材料を用いた立体造形物の製造方法、および立体造形物の製造装置を提供することを、その目的とする。
本発明の第一は、以下の粉末材料に関する。
[1]複数の粒子を含む粉末材料の薄層にレーザ光を選択的に照射して、前記複数の粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成し、前記造形物層を積層することによる立体造形物の製造に使用される粉末材料であって、
前記複数の粒子は、第1の金属粒子と、1または複数の層を形成して前記第1の金属粒子の表面を島状に被覆する第2の金属粒子とを有する被覆粒子を含み、
前記第1の金属粒子の平均粒子径は、前記第2の金属粒子の平均粒子径の1.2倍以上である、粉末材料。
[2]前記第1の金属粒子の平均粒子径は、10μm以上55μm以下である、[1]に記載の粉末材料。
[3]前記第2の金属粒子の平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下である、[1]または[2]に記載の粉末材料。
[4]前記第2の金属粒子が形成する各層における、隣り合う前記第2の金属粒子の層方向における距離の平均は、前記第2の金属粒子の平均粒子径の0.05倍以上2.0倍以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の粉末材料。
[5]前記第2の金属粒子は、2層以上4層以下の層を形成して前記第1の金属粒子を被覆している、[1]〜[4]のいずれかに記載の粉末材料。
[6]前記被覆粒子はさらに、前記第1の金属粒子および前記第2の金属粒子に結合するバインダーを有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の粉末材料。
[7]前記バインダーは、1mm厚での波長1.06μmの光に対する透過率が98%以上である材料からなる、[6]に記載の粉末材料。
本発明の第二は、以下の立体造形物の製造方法に関する。
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載の粉末材料の薄層を形成する工程と、
前記薄層にレーザ光を選択的に照射して、前記粉末材料に含まれる粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成する工程と、
前記薄層を形成する工程と前記造形物層を形成する工程とをこの順に複数回繰り返し、前記造形物層を積層する工程と、
を含む立体造形物の製造方法。
本発明の第三は、以下の立体造形装置に関する。
[9]造形ステージと、
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の粉末材料の薄膜を前記造形ステージ上に形成する薄膜形成部と、
前記薄膜にレーザを照射して、前記粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成するレーザ照射部と
前記造形ステージを、その鉛直方向の位置を可変に支持するステージ支持部と、
前記薄膜形成部、前記レーザ照射部および前記ステージ支持部を制御して、前記造形物層を繰り返し形成させて積層させる制御部と、
を備える、立体造形装置。
本発明によれば、金属材料を含んで構成される粒子であって、レーザの照射により従来よりも焼結または溶融結合しやすい粒子を含む粉末床溶融結合法用の粉末材料、ならびにそのような粉末材料を用いた立体造形物の製造方法および立体造形物の製造装置が提供される。
図1Aは本発明の一実施形態における被覆粒子の形態を表す模式図である。図1Bは上記本発明の一実施形態における被覆粒子の中心軸を通る断面の模式的な形状を表す断面図である。 図2Aは本発明の別の実施形態における被覆粒子の形態を表す模式図である。図2Bは上記本発明の別の実施形態における被覆粒子の中心軸を通る断面の模式的な形状を表す断面図である。 図3は図1Bの一部を拡大した部分断面図である。 図4は図3の空隙40に入り込んだレーザLの光路を示す模式光路図である。 図5は本発明の一実施形態における立体造形装置の構成を概略的に示す側面図である。 図6は本発明の一実施形態における立体造形装置の制御系の主要部を示す図である。
前記の課題を解決すべく、本発明者らは粉末床溶融結合法に用いる粉末材料について鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、平均粒子径がより大きい金属粒子(以下、単に「第1の金属粒子」ともいう。)の表面を、平均粒子径がより小さい金属粒子(以下、単に「第2の金属粒子」ともいう。)が1または複数の層を形成して島状に被覆している粒子(以下、単に「被覆粒子」ともいう。)を含む粉末材料であって、第1の金属粒子の平均粒子径が第2の金属粒子の平均粒子径の1.2倍以上である粉末材料は、レーザの照射により粒子が焼結または溶融結合しやすくなることを見出し、本発明をなすに至った。
上記構成とすることで被覆粒子が焼結や溶融結合しやすくなるメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように推測される。すなわち、上記被覆粒子では、第1の金属粒子の表面が第2の金属粒子によって島状に被覆されることで、第1の金属粒子と第2の金属粒子との間に空隙が生じ、被覆粒子の表面積が拡大される。さらに、第2の金属同士の間を通って上記空隙に入り込んだレーザは、上記空隙の内部で複数回反射することができる。これにより、照射されたレーザのエネルギーを、被覆粒子が、第1の金属粒子の表面または第2の金属粒子の表面から複数回にわたって吸収できるため、被覆粒子が焼結または溶融結合しやすくなると考えられる。
一方で、平均粒子径が小さい金属粒子を用いて融点を下げようとすると、焼結または溶融結合をした際に粒子同士を強固に結合させるためには、特許文献1および特許文献2にも記載のように、上記平均粒子径が小さい金属粒子を密に配置して、隙間なく互いに密着させる必要がある。このとき、本発明の粒子が有する上記空隙は生じにくく、照射されたレーザは粒子の表面で1回のみ吸収されることになる。これに対し、本発明の粉末材料に含まれる被覆粒子は、上記空隙の内部でレーザを複数回吸収できるので、レーザの吸収効率が上記従来の粒子よりも高まる。そのため、反射率の高い金属材料を含んで構成される粒子でも、レーザの照射によって焼結または溶融結合させることが可能になるし、反射率の低い金属材料を含んで構成される粒子も、より短時間のレーザの照射によって焼結または溶融結合させることができる。
以下、本発明の代表的な実施形態を詳細に説明する。
1.粉末材料
本実施形態は、粉末床溶融結合法による立体造形物の製造に使用される粉末材料に係る。上記粉末材料は、上記被覆粒子を含む。
1−1.粒子
図1Aは、本発明の一実施形態に係る粉末材料が含む、被覆粒子100の模式的な形態を表す図である。図1Bは、被覆粒子100の中心軸を通る断面の模式的な形状を表す断面図である。図1Aおよび図1Bに示すように、被覆粒子100は、第1の金属粒子10と、1または複数の層を形成して第1の金属粒子10の表面を島状に被覆する第2の金属粒子20とを有する。第1の金属粒子10の平均粒子径は第2の金属粒子20の平均粒子径の1.2倍以上である。
図2Aは、本発明の別の実施形態に係る粉末材料が含む、被覆粒子200の模式的な形態を表す図である。図2Bは、被覆粒子200の中心軸を通る断面の模式的な形状を表す断面図である。図2Aおよび図2Bに示すように、被覆粒子200は、第1の金属粒子10および第2の金属粒子20の双方に結合可能なバインダー30をさらに有している。
1−1−1.第1の金属粒子10および第2の金属粒子20
第1の金属粒子10および第2の金属粒子20を構成する金属材料の例には、アルミニウム、クロム、コバルト、銅、金、鉄、マグネシウム、シリコン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、銀、錫、チタン、タングステンおよび亜鉛、ならびにこれらの元素を含む合金が含まれる。前記合金の例には、真鍮、インコネル、モネル、ニクロム、鋼およびステンレスが含まれる。第1の金属粒子10を構成する金属材料と第2の金属粒子20を構成する金属材料とは、最終的に得られる造形物の組成を均一にしやすくする観点から、同じ材料であることが好ましい。ただし、レーザの照射によって造形物層の製造が可能な限りにおいて、第1の金属粒子10を構成する金属材料と第2の金属粒子20を構成する金属材料とは、異なる材料であってもよい。また、第1の金属粒子10および第2の金属粒子20はいずれも、一種類の材料からなることが好ましいが、上記構成が可能な限りにおいて、いずれかまたは双方に二種類の材料を組み合わせて用いてもよい。
これらの金属のうち、波長が1.06μmである光に対する反射率が0.70以上である金属材料を含む金属粒子は、バルク状だとレーザを吸収しにくく、焼結または溶融結合が生じにくい。しかし、上記被覆粒子の構成にすることで、金属粒子によるレーザのエネルギーの吸収率を高めることができる。そのため、これらの金属を含む粒子でも、レーザの照射による焼結または溶融結合が容易になり、粉末床溶融結合法での立体造形が可能となる。上記効果は、波長が1.06μmである光に対する反射率が0.85以上である金属材料を含む金属粒子においてより顕著にみられ、波長が1.06μmである光に対する反射率が0.90以上である金属材料を含む金属粒子においてさらに顕著にみられる。
波長が1.06μmである光に対する反射率が0.70以上である金属材料の例には、銅、アルミニウムおよびインコネルが含まれる。波長が1.06μmである光に対する反射率が0.85以上である金属材料の例には、銅およびアルミニウムが含まれる。波長が1.06μmである光に対する反射率が0.90以上である金属材料の例には、銅が含まれる。
一方で、金属粒子をより焼結または溶融結合しやすくし、立体造形に必要な時間を短縮する観点からは、波長が1.06μmである光に対する金属材料の反射率は0.65以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。
波長が1.06μmである光に対する反射率が0.65以下である金属材料の例には、クロム、鉄、鉛、ニッケル、鋼、チタン、タングステンおよび亜鉛が含まれる。波長が1.06μmである光に対する反射率が0.50以下である金属材料の例には、鋼、チタンおよび亜鉛が含まれる。波長が1.06μmである光に対する反射率が0.50以下である金属材料の例には、鋼が含まれる。
第2の金属粒子20によって被覆される第1の金属粒子10の平均粒子径を、第2の金属粒子20の平均粒子径の1.2倍以上とすることにより、第1の金属粒子10の表面近傍において、第1の金属粒子10と第2の金属粒子20との間に適度な大きさの空隙40を形成することができる。そのため、被覆粒子を含む粉末材料に照射されたレーザは、空隙40に入り込み、空隙40の内部で複数回反射する。このとき、上記レーザのエネルギーは、第1の金属粒子10の表面または第2の金属粒子20の表面から複数回にわたって吸収される。上記レーザのエネルギーの吸収をより高める観点からは、第1の金属粒子10の平均粒子径は、第2の金属粒子20の平均粒子径の1.2倍以上500倍以下であることが好ましく、5倍以上200倍以下であることがより好ましく、10倍以上50倍以下であることがさらに好ましい。
第1の金属粒子10の平均粒子径は、10μm以上55μm以下であることが好ましい。上記平均粒子径が10μm以上であると、粉末材料が十分な流動性を有するため、立体造形物を製造する際の粉末材料の取り扱いが容易になる。また、上記平均粒子径が10μm以上であると、金属粒子の作製が容易であり、粉末材料の製造コストが高くならない。上記平均粒子径が55μm以下であると、より高精細な立体造形物を製造することが可能となる。上記観点からは、第1の金属粒子10の平均粒子径は、20μm以上55μm以下であることがより好ましく、30μm以上55μm以下であることがさらに好ましく、30μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。
第2の金属粒子20の平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。第2の金属粒子20の平均粒子径が上記範囲であると、第1の金属粒子10の表面近傍において、第1の金属粒子10と第2の金属粒子20との間に適度な大きさの空隙40を形成できるため、第1の金属粒子10の表面または第2の金属粒子20の表面でレーザを複数回反射させて複数回吸収することが可能になると考えられる。また、上記平均粒子径が0.1μm以上であると、金属粒子の作製が容易であり、粉末材料の製造コストが高くならない。
なお、本明細書において、各粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した体積平均粒子径を意味する。体積平均粒子径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置(シンパティック(SYMPATEC)社製、ヘロス(HELOS))により測定することができる。
第1の金属粒子10および第2の金属粒子20は、公知のアトマイズ法で作製することができる。
1−1−2.バインダー
バインダーの材料は、第1の金属粒子および第2の金属粒子の双方に結合可能なものであればよい。なお、上記結合は、バインダーによって第2の金属粒子に第1の金属粒子を被覆させうる程度の強さがあればよい。水素結合レーザ照射時に気化拡散させて、立体造形物中にバインダーを残さない観点からは、バインダーは有機材料とすることが好ましい。バインダーとして好ましい有機材料の例には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および金属への吸着性を有するタンパク質が含まれる。第1の金属粒子10および第2の金属粒子20への吸着性をより高める観点からは、バインダーは熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましい。これらのバインダーの材料は、一種類のみ用いても、二種類を組み合わせて用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の例には、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリビニル系またはビニリデン系の樹脂、およびエポキシ系の樹脂が含まれる。上記ポリオレフィン系樹脂の例には、ポリエチレン、プリプロピレンおよび塩素化ポリエチレンが含まれる。上記アクリレート系樹脂の例には、ポリアクリレートおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。上記ポリビニル系またはビニリデン系の樹脂の例には、ポリアクリロニトリルおよびポリビニルアセテートが含まれる。
上記金属への吸着性を有するタンパク質の例には、カゼイン、ゼラチンおよび大豆から分離抽出して得られるタンパク質が含まれる。
また、金属粒子の表面に存在する電荷との相互作用によって、第1の金属粒子10および第2の金属粒子20の双方に吸着しやすくする観点からは、バインダーは正の電荷を有することが好ましい。正の電荷を有する有機材料の例には、アミン基で修飾された各種の有機材料が含まれる。
バインダーによるレーザの吸収を抑制して、より効率的に粉末材料にレーザを吸収させる観点からは、バインダーの材料の、1mm厚での波長1.06μmの光に対する透過率は、98%以上であることが好ましい。上記透過率が上記範囲であると、粉末材料に照射されたレーザや、被覆粒子の表面で反射したレーザが、バインダーに吸収されにくいため、特にレーザが照射される面から遠い位置にある粒子(たとえば、造形ステージに配置された粉末材料のうち、より深い位置にある粒子)もより十分に焼結または溶融結合させることができる。
上記透過率は、たとえば、バインダーを厚さ1mmに成形した材料について、分光光度計(日立製作所製、U−4100)を用いて23℃で測定した値とすることができる。
また、バインダーの表面におけるレーザの反射を抑制して、より効率的に粉末材料にレーザを吸収させる観点からは、バインダーの材料の屈折率は1.65未満であることが好ましい。
上記屈折率は、たとえば、バインダーを厚さ1mmに成形した材料について、屈折計(島津製作所製、カルニュー精密屈折計 KPR−3000)を用いて23℃で測定して得られる、波長587.6nm、486.1 nmおよび656.3nmに対する屈折率から算出したアッベ数νに基づいて算出した値とすることができる。
1−1−3.第2の金属粒子20による第1の金属粒子10の被覆
第2の金属粒子20は、1または複数の層を形成して第1の金属粒子10の表面を島状に被覆している。このとき、第2の金属粒子20は、直接的または間接的に前記第1の金属粒子10に結合していればよい。
直接的に結合しているとは、第2の金属粒子20が第1の金属粒子10に直接結合していることを意味する。両者を直接結合させるには、例えば、第1の金属粒子に第2の金属粒子を付着させればよく、このとき、いずれか一方の金属粒子が僅かに溶融する温度に上昇させるなどの処理を行ってもよい。間接的に結合しているとは、第2の金属粒子20が第1の金属粒子10とは直接に結合しないが、他の第2の金属粒子20またはバインダー30を介して第1の金属粒子10に結合していることを意味する。なお、上記結合は、第2の金属粒子に第1の金属粒子を被覆させうる程度の強さがあればよい。
たとえば、図1Bにおいて、第2の金属粒子20aは第1の金属粒子10に直接的に結合しており、第2の金属粒子20bは第2の金属粒子20aを介して第1の金属粒子10に間接的に結合している。また、図2Bにおいて、第2の金属粒子20cはバインダー30を介して第1の金属粒子10に間接的に結合している。
1の層を形成して第1の金属粒子10の表面を被覆しているとは、第2の金属粒子20が、第1の金属粒子10に接して被覆する単一の層のみを形成していることを意味する。複数の層で第1の金属粒子10の表面を被覆しているとは、第2の金属粒子20が、他の第2の金属粒子20が形成した層をさらに被覆する層をも形成していることを意味する。たとえば、図1A、図1B、図2A、図2Bおよび図1Bの一部を拡大した部分断面図である図3では、第2の金属粒子20が形成する層は、第1の金属粒子の表面を被覆する第1の層(図2Bにおいて、その外縁を点線で示す。また、図3において、「Ls1」で示す。)および第1の層を被覆する第2の層(図2Bにおいて、その境界を実線で示す。また、図3において、「Ls2」で示す。)を形成して、第1の金属粒子10を2層に被覆している。
第2の金属粒子20が形成する層は、2層以上4層以下の複層で第1の金属粒子10を被覆することが好ましい。2層以上とすることで、被覆粒子の表面積が十分に大きくなり、かつ、レーザを複数回反射できる大きさの空隙40が生じるため、照射されたレーザをより吸収しやすくできると考えられる。一方で、4層より多い層を形成しても、レーザの吸収効率は特段に高くならないため、第2の金属粒子20が形成する層は、多くても4層までにすることが好ましい。
島状に被覆するとは、上記層のそれぞれにおいて、上記第2の金属粒子20が層方向に互いに十分な隙間を空けて配置されていることを意味する。具体的には、本明細書において、上記層のうち全ての層において、隣り合う第2の金属粒子20の間の距離(図3中、「p」で示す。)の平均(以下、単に「粒子ピッチ」ともいう。)が第2の金属粒子20の平均粒子径の0.05倍以上2.0倍以下であるとき、第1の金属粒子10の表面は島状に被覆されているものとする。
上記粒子ピッチが第2の金属粒子20の平均粒子径の0.05倍以上であると、隣り合う第2の金属粒子20の間に、十分な大きさの空隙40が生じる。また、上記粒子ピッチが第2の金属粒子20の平均粒子径の1.25倍以下であると、上の層の第2の金属粒子20が下の層の第2の金属粒子20の間の空隙40に入り込みにくく、空隙40が埋まりにくい。また、上記粒子ピッチが第2の金属粒子20の平均粒子径の1.25倍以下であることで、空隙40に入り込んだレーザLが複数回反射できる程度に、隣り合う第2の金属粒子20の間の距離が近くなる。そのため、図3の空隙40に入り込んだレーザLの光路を示す模式光路図である図4に表されるように、空隙40に入り込んだレーザLは、空隙40の内部で第1の金属粒子10の表面または第2の金属粒子20の表面によって複数回反射できる。このようにして、前記レーザが空隙40の内部で複数回反射できるため、前記粒子100は、前記レーザのエネルギーを、第1の金属粒子10の表面または第2の金属粒子20の表面から複数回にわたって吸収できる。上記粒子ピッチは、第2の金属粒子20の平均粒子径の0.2倍以上1.3倍以下であることがより好ましい。
空隙40にレーザを入り込ませ、かつ、空隙40内でレーザをより多い回数反射させて、レーザを吸収させやすくする観点からは、隣り合う第2の金属粒子20の間の距離の平均は、上記層のそれぞれにおいて、第2の金属粒子20の平均粒子径の0.05倍以上2.0倍以下であることが好ましく、0.2倍以上1.3倍以下であることがより好ましい。
1−1−4.粒子の製造方法
前記粒子は、第2の金属粒子に第1の金属粒子を被覆させて、製造することができる。具体的には、前記粒子は、(1−1)第1の金属粒子および第2の金属粒子を用意する工程と、(1−2)第2の金属粒子に第1の金属粒子を被覆させる工程と、によって製造することができる。前記被覆粒子がバインダーを有するとき、(1−1)工程は、さらにバインダーを用意する工程であってもよい。
1−1−4−1.第1の金属粒子および第2の金属粒子を用意する工程(工程(1−1))
本工程では、第1の金属粒子の平均粒子径が第2の金属粒子の平均粒子径の1.2倍以上となるような第1の金属粒子および第2の金属粒子を用意する。上記条件が満たされる限りにおいて、第1の金属粒子および第2の金属粒子は、市販のものを購入してもよいし、たとえばアトマイズ法などの公知の方法で作製してもよい。造粒後の粒子を分級したものを用いてもよい。
第1の金属粒子および第2の金属粒子の量は、第2の金属粒子が第1の金属粒子の表面を上記島状に被覆する量であればよい。たとえば、第2の金属粒子の量は、用いる第1の金属粒子の全質量に対して5質量%以上45質量%以下とすることが好ましく、5質量%以上30質量%以下とすることがさらに好ましく、10質量%以上30質量%以下とすることがさらに好ましい。
前記被覆粒子が前記バインダーを有するとき、本工程は、さらに前記バインダーを用意する工程であってもよい。前記バインダーも、市販のものを購入してもよいし、公知の方法で作製してもよい。バインダーの量は、上記用意した量の第2の金属粒子が直接的または間接的に第1の金属粒子に結合する量であればよい。たとえば、前記バインダーの量は、用いる第1の金属粒子の全質量に対して10質量%以上200質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上150質量%以下とすることがより好ましい。
1−1−4−2.第2の金属粒子に第1の金属粒子を被覆させる(工程(1−2))
本工程では、第2の金属粒子に第1の金属粒子を被覆させる。本工程は、金属粒子の表面を他の金属粒子で被覆するために用いられる公知の方法で行うことができる。たとえば、本工程は、第2の金属粒子を溶解した塗布液を用いる湿式コート法、および第1の金属粒子と第2の金属粒子とを撹拌混して機械的衝撃により結合させる乾式コート法、ならびにこれらの組み合わせなどによって行うことができる。上記湿式コート法を採用する場合、第1の金属粒子の表面に上記塗布液をスプレー塗布してもよいし、第1の金属粒子を上記塗布液中に浸漬してもよい。前記被覆粒子が前記バインダーを有するときは、上記湿式コート法に用いる前記塗布液に前記バインダーを溶解してもよいし、上記乾式コート法における上記撹拌混合の際に前記バインダーを同時に撹拌混合させてもよい。これらのうち、被覆液を使用しなくてもよいため、溶媒除去工程が不必要であり作業工程を簡素化できるという観点からは、上記乾式コート法が好ましい。
上記乾式コート法は、たとえば、第1の金属粒子および第2の金属粒子(ならびに任意に用いられる前記バインダー)を通常の混合撹拌装置で撹拌して均一に混合(以下、単に「1回目の撹拌混合」ともいう。)し、得られた混合物を通常の回転翼型混合撹拌装置で5分以上40分以下撹拌および混合(以下、単に「2回目の撹拌混合」ともいう。)する方法とすることができる。上記バインダーを同時に撹拌混合させるときは、上記1回目の撹拌混合を常温で5分以上15分以下行い、その後、上記2回目の撹拌混合を、前記バインダーのガラス転移温度(Tg)の上下15℃の範囲内で行うことが好ましい。
第2の金属粒子の層を複数形成するときは、本工程を繰り返し行えばよい。このとき、本工程を行った回数が、第2の金属粒子の層の数となる。たとえば、本工程を2回行えば、第2の金属粒子の層は2層となるし、本工程を4回行えば、第2の金属粒子の層は4層となる。
1−2.その他の材料
粉末材料は、レーザ照射による前記被覆粒子の焼結や溶融結合が十分に生じる範囲において、レーザ吸収剤およびフローエージェントを含む前記被覆粒子以外の材料をさらに含んでもよい。
1−2−1.レーザ吸収剤
レーザの光エネルギーをより効率的に熱エネルギーに変換する観点から、粉末材料は、レーザ吸収剤をさらに含んでもよい。レーザ吸収体は、使用する波長のレーザを吸収して熱を発する材料であればよい。このようなレーザ吸収体の例には、カーボン粉末、ナイロン樹脂粉末、顔料および染料が含まれる。これらのレーザ吸収体は、一種類のみ用いても、二種類を組み合わせて用いてもよい。
レーザ吸収体の量は、被覆粒子の焼結または溶融結合が容易になる範囲で適宜設定することができ、たとえば、粉末材料の全質量に対して、0質量%より多く3質量%未満とすることができる。
1−2−2.フローエージェント
粉末材料の流動性を向上させ、立体造形物の製造時における粉末材料の取り扱いを容易にする観点から、粉末材料は、フローエージェントをさらに含んでもよい。フローエージェントは、摩擦係数が小さく、自己潤滑性を有する材料であればよい。このようなフローエージェントの例には、二酸化ケイ素および窒化ホウ素が含まれる。これらのフローエージェントは、一種類のみ用いても、二種類を組み合わせて用いてもよい。
フローエージェントの量は、粉末材料の流動性が向上し、かつ、被覆粒子の焼結または溶融結合が十分に生じる範囲で適宜設定することができ、たとえば、粉末材料の全質量に対して、0質量%より多く2質量%未満とすることができる。
1−3.粉末材料の製造方法
前記被覆粒子は、そのまま粉末材料として用いることができる。粉末材料が前記その他の材料を含む場合、粉末状にした前記その他の材料と前記被覆粒子とを撹拌混合して粉末材料を得ることができる。
2.立体造形物の製造方法
本実施形態は、前記粉末材料を用いた、立体造形物の製造方法に係る。本実施形態に係る方法は、前記粉末材料を用いるほかは、通常の粉末床溶融結合法と同様に行い得る。具体的には、本実施形態に係る方法は、(2−1)前記粉末材料の薄層を形成する工程と、(2−2)形成された薄層にレーザ光を選択的に照射して、前記粉末材料に含まれる被覆粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成する工程と、(2−3)工程(2−1)および工程(2−2)をこの順に複数回繰り返し、前記造形物層を積層する工程と、を含む。工程(2−2)により、立体造形物を構成する造形物層のひとつが形成され、さらに工程(2−3)で工程(2−1)および工程(2−2)を繰り返し行うことで、立体造形物の次の層が積層されていき、最終的な立体造形物が製造される。
2−1.粉末材料からなる薄層を形成する工程(工程(2−1))
本工程では、前記粉末材料の薄層を形成する。 たとえば、粉末供給部から供給された前記粉末材料を、リコータによって造形ステージ上に平らに敷き詰める。薄層は、造形ステージ上に直接形成してもよいし、すでに敷き詰められている粉末材料またはすでに形成されている造形物層の上に接するように形成してもよい。
薄層の厚さは、造形物層の厚さと同じとする。薄層の厚さは、製造しようとする立体造形物の精度に応じて任意に設定することができるが、通常、0.05mm以上1.0mm以下である。薄層の厚さを0.05mm以上とすることで、次の層を形成するためのレーザ照射によって下の層の粒子が焼結または溶融結合されることを防ぐことができる。薄層の厚さを1.0mm以下とすることで、レーザを薄層の下部まで伝導させて、薄層を構成する粉末材料に含まれる被覆粒子を、厚み方向の全体にわたって十分に焼結または溶融結合させることができる。前記観点からは、薄層の厚さは0.05mm以上0.50mm以下であることがより好ましく、0.05mm以上0.30mm以下であることがさらに好ましく、0.05mm以上0.10mm以下であることがさらに好ましい。また、薄層の厚み方向の全体にわたってより十分に被覆粒子を焼結または溶融結合させ、積層間の割れをより生じにくくする観点からは、薄層の厚さは、後述するレーザのビームスポット径との差が0.10mm以内になるよう設定することが好ましい。
2−2.被覆粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成する工程(工程(2−2))
本工程では、形成された粉末材料からなる薄層のうち、造形物層を形成すべき位置にレーザを選択的に照射し、照射された位置の被覆粒子を焼結または溶融結合させる。焼結または溶融結合した被覆粒子は、隣接する粉末と溶融し合って焼結体または溶融体を形成し、造形物層となる。このとき、レーザのエネルギーを受け取った被覆粒子は、すでに形成された層の金属材料とも焼結または溶融結合するため、隣り合う層間の接着も生じる。
レーザの波長は、前記被覆粒子を構成する金属材料が吸収する範囲内で設定すればよい。
レーザの出力時のパワーは、後述するレーザの走査速度において、前記被覆粒子を構成する金属材料が十分に焼結または溶融結合する範囲内で設定すればよい。具体的には、5.0W以上100W以下とすることができる。前記粉末材料は、金属材料の種類によらず、低エネルギーのレーザでも被覆粒子の焼結または溶融結合が容易になり、立体造形物の製造が可能となる。レーザのエネルギーを低くして、製造コストを低くし、かつ、製造装置の構成を簡易なものにする観点からは、レーザの出力時のパワーは60W以下であることが好ましく、40W以下であることがより好ましい。
レーザの走査速度は、製造コストを高めず、かつ、装置構成を過剰に複雑にしない範囲内で設定すればよい。具体的には、5mm/秒以上25mm/秒以上とすることが好ましく、10mm/秒以上25mm/秒以上とすることがより好ましく、15mm/秒以上25mm/秒以上とすることがさらに好ましい。
レーザのビーム径は、製造しようとする立体造形物の精度に応じて適宜設定することができる。
2−3.その他
焼結または溶融結合中に被覆粒子を構成する金属材料が酸化または窒化することによる、立体造形物の強度の低下を防ぐ観点からは、少なくとも工程(2−2)は減圧下または不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。減圧するときの圧力は10−2Pa以下であることが好ましく、10−3Pa以下であることがより好ましい。本実施形態で使用することができる不活性ガスの例には、窒素ガスおよび希ガスが含まれる。これらの不活性ガスのうち、入手の容易さの観点からは、窒素(N)ガス、ヘリウム(He)ガスまたはアルゴン(Ar)ガスが好ましい。製造工程を簡略化する観点からは、工程(2−1)および工程(2−2)の両方を減圧下または不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
被覆粒子をより焼結または溶融結合させやすくする観点からは、工程(2−2)の前に粉末材料による薄層を予備加熱してもよい。たとえば、ヒータ等により、薄層の表面を金属材料の融点よりも15℃以下、好ましくは金属材料の融点よりも5℃以下にすることができる。
3.立体造形装置
本実施形態は、前記粉末材料を用いて、立体造形物を製造する装置に係る。本実施形態に係る装置は、前記粉末材料を用いるほかは、粉末床溶融結合法による立体造形物の製造を行う公知の装置と同様の構成とし得る。具体的には、本実施形態に係る立体造形装置500は、その構成を概略的に示す側面図である図5に記載のように、開口内に位置する造形ステージ510、被覆粒子を含む粉末材料の薄膜を前記造形ステージ上に形成する薄膜形成部520、薄膜にレーザを照射して、前記被覆粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成するレーザ照射部530、および鉛直方向の位置を可変に造形ステージ510を支持するステージ支持部540、上記各部を支持するベース545を備える。
立体造形装置500は、その制御系の主要部を示す図6に記載のように、薄膜形成部520、レーザ照射部530およびステージ支持部540を制御して、前記造形物層を繰り返し形成させて積層させる制御部550、各種情報を表示するための表示部560、ユーザーからの指示を受け付けるためのポインティングデバイス等を含む操作部570、制御部550の実行する制御プログラムを含む各種の情報を記憶する記憶部580、ならびに外部機器との間で立体造形データ等の各種情報を送受信するためのインターフェース等を含むデータ入力部590を備えてもよい。立体造形装置500には、立体造形用のデータを生成するためのコンピュータ装置600が接続されてもよい。
造形ステージ510には、薄膜形成部520による薄層の形成およびレーザ照射部530によるレーザの照射によって造形材層が形成され、この造形材層が積層されることにより、立体造形物が造形される。
薄膜形成部520は、たとえば、造形ステージ510が昇降する開口の縁部と、水平方向にほぼ同一平面上にその縁部がある開口、開口から鉛直方向下方に延在する粉末材料収納部、および粉末材料収納部の底部に設けられ開口内を昇降する供給ピストンを備える粉末供給部521、ならびに供給された粉末材料を造形ステージ510上に平らに敷き詰めて、粉末材料の薄層を形成するリコータ522aを備えた構成とすることができる。
なお、粉末供給部521は、造形ステージ510に対して鉛直方向上方に設けられた粉末材料収納部、およびノズルを備えて、前記造形ステージと水平方向に同一の平面上に、粉末材料を吐出する構成としてもよい。
レーザ照射部530は、レーザ光源531およびガルバノミラー532aを含む。レーザ照射部530は、レーザの焦点距離を薄層の表面にあわせるためのレンズ(不図示)を備えていてもよい。レーザ光源531は、前記波長のレーザを、前記出力で出射する光源であればよい。レーザ光源531の例には、YAGレーザ光源、ファイバレーザ光源およびCOレーザ光源が含まれる。ガルバノミラー532aは、レーザ光源531から出射したレーザを反射してレーザをX方向に走査するXミラーおよびY方向に走査するYミラーから構成されてもよい。
ステージ支持部540は、造形ステージ510を、その鉛直方向の位置を可変に支持する。すなわち、造形ステージ510は、ステージ支持部540によって鉛直方向に精密に移動可能に構成されている。ステージ支持部540としては、種々の構成を採用できるが、例えば、造形ステージ510を保持する保持部材と、この保持部材を鉛直方向に案内するガイド部材と、ガイド部材に設けられたねじ孔に係合するボールねじ等で構成することができる。
制御部550は、立体造形物の造形動作中、立体造形装置500全体の動作を制御する。
また、制御部550は、中央処理装置等のハードウェアプロセッサを含んでおり、たとえばデータ入力部590がコンピュータ装置600から取得した立体造形データを、造形材層の積層方向について薄く切った複数のスライスデータに変換するよう構成されてもよい。スライスデータは、立体造形物を造形するための各造形材層の造形データである。スライスデータの厚み、すなわち造形材層の厚みは、造形材層の一層分の厚さに応じた距離(積層ピッチ)と一致する。
表示部560は、たとえば液晶ディスプレイ、モニタとすることができる。
操作部570は、たとえばキーボードやマウスなどのポインティングデバイスを含むものとすることができ、テンキー、実行キー、スタートキー等の各種操作キーを備えてもよい。
記憶部580は、たとえばROM、RAM、磁気ディスク、HDD、SSD等の各種の記憶媒体を含むものとすることができる。
立体造形装置500は、制御部550の制御を受けて、装置内を減圧する、減圧ポンプなどの減圧部(不図示)、または、制御部550の制御を受けて、不活性ガスを装置内に供給する、不活性ガス供給部(不図示)を備えていてもよい。また、立体造形装置500は、制御部550の制御を受けて、装置内、特には粉末材料による薄層の上面を加熱するヒータ(不図示)を備えていてもよい。
3−1.立体造形装置500を用いた立体造形
制御部550は、データ入力部590がコンピュータ装置600から取得した立体造形データを、造形材層の積層方向について薄く切った複数のスライスデータに変換する。その後、制御部550は、立体造形装置500における以下の動作の制御を行う。
粉末供給部521は、制御部550から出力された供給情報に従って、モーターおよび駆動機構(いずれも不図示)を駆動し、供給ピストンを鉛直方向上方(図中矢印方向)に移動させ、前記造形ステージと水平方向同一平面上に、粉末材料を押し出す。
その後、リコータ駆動部522は、制御部550から出力された薄膜形成情報に従って水平方向(図中矢印方向)にリコータ522aを移動して、粉末材料を造形ステージ510に運搬し、かつ、薄層の厚さが造形物層の1層分の厚さとなるように粉末材料を押圧する。
その後、レーザ照射部530は、制御部550から出力されたレーザ照射情報に従って、薄膜上の、各スライスデータにおける立体造形物を構成する領域に適合して、レーザ光源531からレーザを出射し、ガルバノミラー駆動部532によりガルバノミラー532aを駆動してレーザを走査する。レーザの照射によって粉末材料に含まれる被覆粒子が焼結または溶融結合し、造形物層が形成される。
その後、ステージ支持部540は、制御部550から出力された位置制御情報に従って、モーターおよび駆動機構(いずれも不図示)を駆動し、造形ステージ510を、積層ピッチだけ鉛直方向下方(図中矢印方向)に移動する。
表示部560は、必要に応じて、制御部550の制御を受けて、ユーザーに認識させるべき各種の情報やメッセージを表示する。操作部570は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、その入力操作に応じた操作信号を制御部550に出力する。たとえば、形成される仮想の立体造形物を表示部560に表示して所望の形状が形成されるか否かを確認し、所望の形状が形成されない場合は、操作部570から修正を加えてもよい。
制御部550は、必要に応じて、記憶部580へのデータの格納または記憶部580からのデータの引き出しを行う。
これらの動作を繰り返すことで、造形物層が積層され、立体造形物が製造される。
以下において、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.粉末材料の作製
1−1.第1の金属粒子および第2の金属粒子
第1の金属粒子および第2の金属粒子として、以下の、平均粒子径がそれぞれ異なる、いずれもアトマイズ法で製造された99.9%純銅の金属粒子を用意した。
第1の金属粒子A:平均粒子径が40μmの金属粒子(ヒカリ素材工業社製、銅粉末)
第1の金属粒子B:平均粒子径が54μmの金属粒子(ヒカリ素材工業社製、銅粉末)
第2の金属粒子A:平均粒子径が3μmの金属粒子(日本アトマイズ加工社製、純銅粉HXR-Cu)
第2の金属粒子B:平均粒子径が5μmの金属粒子(日本アトマイズ加工社製、純銅粉HXR-Cu)
1−2.バインダー
第1の金属粒子および第2の金属粒子として、以下の材料を用意した。
バインダーA:平均粒子径が100nmのポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、アクリペットVH001、1mm厚での波長1.06μmの光に対する透過率は98%、Tgは110℃、「アクリペット」は同社の登録商標)
バインダーB:平均粒子径が100nmのポリビニルアルコール(電気化学工業株式会社製、デンカポバール微粉K−17C)、1mm厚での波長1.06μmの光に対する透過率は96%、Tgは85℃)
なお、上記透過率は、それぞれのバインダーを厚さ1mmに成形した材料について、分光光度計(日立製作所製、U−4100)を用いて23℃で測定した値である。
1−3.粉末材料の作製
(粉末材料1)
撹拌羽根付き高速混合器(株式会社奈良機械製作所製、LMA−5型)に4.01体積部の上記第1の金属粒子A、1.09体積部の上記第2の金属粒子、および1.00体積部の上記バインダーAを投入して、回転数700rpmおよび温度25℃で10分撹拌した(以下、上記の投入および撹拌を単に「1回目の層形成」ともいう。」)。その後、回転数780rpmおよび温度80℃で30分撹拌して、粉末材料1を得た。
(粉末材料2)
上記粉末材料1の作製において、上記780rpmおよび温度80℃での撹拌の後に、1.42体積部の上記第2の金属粒子、および1.3体積部の上記バインダーAをさらに投入して、回転数700rpmおよび温度25℃で10分撹拌した(以下、上記の投入および撹拌を単に「2回目の層形成」ともいう。」)。その後、回転数780rpmおよび温度80℃で30分撹拌して、粉末材料2を得た。
(粉末材料3〜6)
上記粉末材料2の作製において、各回の層形成における上記第2の金属粒子および上記バインダーの量を表1に記載のそれぞれの量に変更した以外は同様にして、粉末材料3〜6を得た。
(粉末材料7)
上記粉末材料2の作製において、2回目の層形成の後に、1.42体積部の上記第2の金属粒子、および1.3体積部の上記バインダーAをさらに投入(以下、上記の投入および撹拌を単に「3回目の層形成」ともいう。」)して、回転数700rpmおよび温度25℃で10分撹拌した。その後、回転数780rpmおよび温度80℃で30分撹拌して、粉末材料7を得た。
(粉末材料8)
上記粉末材料7の作製において、各回の層形成における上記第2の金属粒子および上記バインダーの量を表1に記載の量に変更した以外は同様にして、粉末材料8を得た。
(粉末材料9)
上記粉末材料7の作製において、3回目の層形成の後に、1.42体積部の上記第2の金属粒子、および1.3体積部の上記バインダーAをさらに投入して、回転数700rpmおよび温度25℃で10分撹拌した(以下、上記の投入および撹拌を単に「4回目の層形成」ともいう。」)。その後、回転数780rpmおよび温度80℃で30分撹拌して、粉末材料7を得た。
(粉末材料10)
上記粉末材料7の作製において、各回の層形成における上記第2の金属粒子および上記バインダーの量を表1に記載の量に変更した以外は同様にして、粉末材料8を得た。
(粉末材料11〜20)
上記粉末材料1〜10の作製において、バインダーAをバインダーBに変更した以外は同様にして、それぞれ粉末材料11〜20を得た。
(粉末材料21〜23)
上記粉末材料2〜4の作製において、第1の金属材料Aを第1の金属材料Bに変更した以外は同様にして、それぞれ粉末材料21〜23を得た。
(粉末材料24〜26)
上記粉末材料21〜23の作製において、第2の金属材料Aを第2の金属材料Bに変更した以外は同様にして、それぞれ粉末材料24〜26を得た。
(粉末材料27)
第1の金属材料Aを加工せずにそのまま用いて、粉末材料27とした。
表1および表2に粉末材料1〜27の材料および作製方法を示す。なお、表1および表2において、第1の金属粒子Rcおよび第2の金属粒子のRsの欄には、それぞれの金属粒子の平均粒子径(単位はμm)を示し、1回目の投入量および2回目〜4回目の層形成における各成分の欄にはそれぞれの成分の投入量(単位は体積部)を示す。また、表1および表2において、層形成の回数の欄に記載の数値は、第2の金属粒子およびバインダーの投入および撹拌を行った回数を示す。
Figure 2017104234
Figure 2017104234
2.粉末材料の測定
2−1.層の形成
粉末材料1〜27のそれぞれを、集束イオンビーム加工装置(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、SMI2050)で切断して、粒子薄片を作製した。透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM−2010F)を用いて倍率10000倍で撮像した上記粒子薄片の電子顕微鏡写真を得た。
上記電子顕微鏡写真を観察したところ、粉末材料1〜26では、層形成回数と同じ数の、第2の金属粒子を含有する層が形成されていることが確認された。
2−2.被覆高さ(PV)、粒子ピッチ(p)
上記電子顕微鏡写真について、第1の金属粒子の外縁から第2の金属粒子の最外層の外枠までの距離を測定し、そのうち任意に選択した10個の距離の平均値を算出して、被覆高さ(PV)とした。被覆高さ(PV)を第2の金属粒子の平均粒子径(Rs)で除算した値(PV/Rs)は、形成された層の数とほぼ同じであった。
また、上記顕微鏡写真について、第1の金属粒子と接する層に含まれる第2の金属粒子のうち、隣り合う第2の金属粒子を含有する層方向における距離を測定し、そのうち任意に選択した10個の距離の平均値を算出して、粒子ピッチ(p)とした。
表3に、粉末材料1〜27の作製に用いた第2の金属粒子の平均粒子径(Rs)、粉末材料1〜27に形成された層の数、末材料1〜27について上記方法で測定した被覆高さ(PV)および粒子ピッチ(p)、ならびに被覆高さ(PV)および粒子ピッチ(p)を第2の金属粒子の平均粒子径(Rs)で除算した値を示す。なお、表3において、第2の金属粒子のRsの欄には、それぞれの金属粒子の平均粒子径(単位はμm)を示し、被覆高さのPVの欄および粒子ピッチのpの欄には、上記方法で測定したそれぞれの数値(単位はμm)を示す。
Figure 2017104234
3.造形物の作製
粉末材料1〜27を造形ステージ上に敷き詰めて厚さ0.1mmの薄層を形成し、以下の条件下で、Yb(イッテルビウム)ファイバレーザ(株式会社フジクラ社製、シングルモードファイバレーザーFLC)からレーザを照射して、幅10mmx10mmの、単層からなる造形物1〜27を、それぞれ10個ずつ作製した。
[レーザの出射条件]
レーザ出力 :40W
レーザの波長 :1.064μm
ビーム径 :薄層表面で40μm
[レーザの走査条件]
走査速度 :20mm/sec
ライン数 :2500ライン
[周囲雰囲気]
温度 :常温
ガス :アルゴン(Ar) 100%
3.造形物の評価
それぞれ10個ずつ作製した造形物1〜27が1枚の正方形状の造形物になっているか否かを目視で観察し、以下の基準によって造形状態を評価した。
◎: 10個の造形物のすべての表面が、凹みや穴のない平滑な1枚の正方形状の造形物になっている
○: 表面に凹みや穴がある造形物の数が1個である
△: 表面に凹みや穴がある造形物の数が2個以上4個以下である
×: 表面に凹みや穴がある造形物の数が5個以上である
造形物1〜27の評価結果を表4に示す。
Figure 2017104234
第1の金属粒子の平均粒子径が前記第2の金属粒子の平均粒子径の1.2倍以上であり、第2の金属粒子が前記第1の金属粒子の表面を島状に被覆している、粉末材料1〜5、7〜14、17〜26を用いて作製した造形物は、反射率が高い銅が材料であるにもかかわらず、十分に溶融して結合していた。これは、被覆粒子の表面積が大きく、かつ、レーザが粉末材料の被覆粒子内で多重反射できることから、レーザの吸収率が十分に高められたためと考えられる。
特に、第2の金属粒子が形成する各層における、隣り合う第2の金属粒子を含有する層方向における距離の平均(粒子ピッチp)が、第2の金属粒子の平均粒子径Rsの0.05倍以上1.25倍以下である、粉末材料1〜4、7〜14、17〜26を用いて作製した造形物は、そうではない粉末材料5、15を用いて作製した造形物よりも、より十分に溶融して結合していた。これは、被覆粒子の表面積が大きく、かつ、レーザが粉末材料の被覆粒子内で多重反射できることから、レーザの吸収率がより高められたためと考えられる。
また、バインダーとして、1mm厚での波長1.06μmの光に対する透過率が98%以上である材料を用いた粉末材料1〜5、7〜10を用いて作製した造形物は、そうではない粉末材料11〜14、17〜20を用いて作製した造形物よりも、より十分に溶融して結合していた。これは、バインダーがレーザを吸収しにくいことから、レーザが照射される面から遠い位置にある粉末材料も十分に溶融しやすかったためと考えられる。
一方で、第2の金属粒子が前記第1の金属粒子の表面の全体を被覆している、粉末材料6および16を用いて作製した造形物は、溶融結合が不十分だった。これは、被覆粒子が十分な大きさの空隙を有さず、レーザが粉末材料の被覆粒子内で多重反射できないことから、レーザの吸収率が十分に高められなかったためと考えられる。
また、第2の金属粒子によって第1の金属粒子の表面が被覆されていない粉末材料27を用いて作製した造形物は、溶融および結合しにくかった。これは、反射率が高い銅が材料であるため、粉末材料の被覆粒子がレーザを吸収しにくく、溶融しにくかったためと考えられる。
本出願は、2015年12月14日出願の日本国出願番号2015−243201号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の特許請求の範囲、明細書および図面に記載された内容は本出願に援用される。
本発明に係る粉末材料によれば、反射率の高い金属材料でも粉末床溶融結合法による立体造形がより容易に可能となり、また、反射率の低い金属材料でもより短時間での粉末床溶融結合法による立体造形が可能となる。そのため、本発明は、粉末床溶融結合法による立体造形のさらなる普及に寄与するものと思われる。
10 第1の金属粒子
20、20a、20b、20c 第2の金属粒子
30 バインダー
40 空隙
100、200 被覆粒子
500 立体造形装置
510 造形ステージ
520 薄膜形成部
521 粉末供給部
522 リコータ駆動部
522a リコータ
530 レーザ照射部
531 レーザ光源
532 ガルバノミラー駆動部
532a ガルバノミラー
540 ステージ支持部
545 ベース
550 制御部
560 表示部
570 操作部
580 記憶部
590 データ入力部
600 コンピュータ装置

Claims (9)

  1. 複数の粒子を含む粉末材料の薄層にレーザ光を選択的に照射して、前記複数の粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成し、前記造形物層を積層することによる立体造形物の製造に使用される粉末材料であって、
    前記複数の粒子は、第1の金属粒子と、1または複数の層を形成して前記第1の金属粒子の表面を島状に被覆する第2の金属粒子とを有する被覆粒子を含み、
    前記第1の金属粒子の平均粒子径は、前記第2の金属粒子の平均粒子径の1.2倍以上である、粉末材料。
  2. 前記第1の金属粒子の平均粒子径は、10μm以上55μm以下である、請求項1に記載の粉末材料。
  3. 前記第2の金属粒子の平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下である、請求項1または2に記載の粉末材料。
  4. 前記第2の金属粒子が形成する各層における、隣り合う前記第2の金属粒子の層方向における距離の平均は、前記第2の金属粒子の平均粒子径の0.05倍以上2.0倍以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末材料。
  5. 前記第2の金属粒子は、2層以上4層以下の層を形成して前記第1の金属粒子を被覆している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末材料。
  6. 前記被覆粒子はさらに、前記第1の金属粒子および前記第2の金属粒子に結合するバインダーを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末材料。
  7. 前記バインダーは、1mm厚での波長1.06μmの光に対する透過率が98%以上である材料からなる、請求項6に記載の粉末材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉末材料の薄層を形成する工程と、
    前記薄層にレーザ光を選択的に照射して、前記粉末材料に含まれる粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成する工程と、
    前記薄層を形成する工程と前記造形物層を形成する工程とをこの順に複数回繰り返し、前記造形物層を積層する工程と、
    を含む立体造形物の製造方法。
  9. 造形ステージと、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉末材料の薄膜を前記造形ステージ上に形成する薄膜形成部と、
    前記薄膜にレーザを照射して、前記粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成するレーザ照射部と
    前記造形ステージを、その鉛直方向の位置を可変に支持するステージ支持部と、
    前記薄膜形成部、前記レーザ照射部および前記ステージ支持部を制御して、前記造形物層を繰り返し形成させて積層させる制御部と、
    を備える、立体造形装置。
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