JP2017206738A - 粉末材料、粉末材料の製造方法、立体造形物の製造方法および立体造形装置 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]複数の複合粒子を含む粉末材料の薄層にレーザー光を選択的に照射して、前記複数の複合粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成し、前記造形物層を積層することによる立体造形物の製造に使用される粉末材料であって、前記複合粒子は、金属母粒子と、前記金属母粒子を被覆する膜を形成している光透過性の樹脂と、前記光透過性の樹脂の表面に付着して前記光透過性の樹脂同士を結着させているバインダーとを含み、前記複合粒子の、前記バインダーを介して前記光透過性の樹脂同士が結着した部位における、隣接する前記金属母粒子間の距離の平均値は、0.2μm以上2.0μm以下である、粉末材料。
[2]前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜厚の平均値は、0.1μm以上1.0μm以下である、[1]に記載の粉末材料。
[3]前記金属母粒子の粒子径の平均値は、1.0μm以上8.0μm以下である、[1]または[2]に記載の粉末材料。
[4]前記複合粒子の粒子径の平均値は、20μm以上60μm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の粉末材料。
[5]前記金属母粒子の粒子径の平均値に対する、前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜厚の平均値の比は、0.100以上0.125以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の粉末材料。
[6]前記複合粒子の円形度の平均値は、0.92以上1.0以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の粉末材料。
[7]前記金属母粒子は、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、ニッケルおよびチタンからなる群から選択される少なくとも1種の金属を主成分として含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の粉末材料。
[8]前記光透過性の樹脂は、熱可塑性樹脂である、[1]〜[7]のいずれかに記載の粉末材料。
[9]前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜は、金属酸化物の微粒子を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の粉末材料。
[10]前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜は、フラックスを含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末材料。
[11]金属母粒子と、光透過性の樹脂を含んで前記金属母粒子を被覆する被覆樹脂層と、を有し、前記被覆樹脂層の膜厚は0.1μm以上1.0μm以下である、複数の単位粒子を用意する工程と、バインダーを介して前記単位粒子を互いに接着させて前記複合粒子を作製する工程とを含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の粉末材料の製造方法。
[12]前記単位粒子を用意する工程は、メカノケミカル法で前記光透過性の樹脂を前記金属母粒子の表面に固着させて金属母粒子を被覆させる工程である、[11]に記載の製造方法。
[13]前記接着させる工程は、スプレードライ法で前記単位粒子を接着させる工程である、[11]または[12]に記載の製造方法。
[14][1]〜[10]のいずれかに記載の粉末材料または[11]〜[13]のいずれかに記載の製造方法で製造された粉末材料の薄層を形成する工程と、前記薄層にレーザー光を選択的に照射して、前記粉末材料に含まれる前記複合粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成する工程と、前記薄層を形成する工程と前記造形物層を形成する工程とをこの順に繰り返し、前記造形物層を積層する工程と、を含む立体造形物の製造方法。
[15]造形ステージと、[1]〜[10]のいずれかに記載の粉末材料の薄膜を前記造形ステージ上に形成する薄膜形成部と、前記薄膜にレーザーを照射して、前記複合粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成するレーザー照射部と、前記造形ステージを、その鉛直方向の位置を可変に支持するステージ支持部と、前記薄膜形成部、前記レーザー照射部および前記ステージ支持部を制御して、前記造形物層を繰り返し形成させて積層させる制御部と、を備える、立体造形装置。
本実施形態は、粉末床溶融結合法による立体造形物の製造に使用される粉末材料に係る。上記粉末材料は、上記複合粒子100を含む。上記粉末材料は、レーザーの照射による前記複合粒子100の焼結や溶融結合が十分に生じる範囲において、レーザー吸収剤およびフローエージェントを含む複合粒子100以外の材料をさらに含んでもよい。
図1Aは、本実施形態に係る粉末材料が含む、複合粒子100の模式的な形態を表す図である。図1Aに示すように、複合粒子100は、複数の単位粒子10が互いに接着してなる。
金属母粒子12は、造形しようとする造形物の材料である金属を主成分とする粒子である。
被覆樹脂層は、光透過性の樹脂14が金属母粒子12を被覆して形成された層である。被覆樹脂層は、金属母粒子12の表面の少なくとも一部を被覆していればよいが、前記金属母粒子12の間の距離pを十分に広くして、複合粒子100の内部にレーザーをより入り込みやすくする観点からは、金属母粒子12の表面の全部を被覆することが好ましい。
バインダー16は、被覆樹脂層の表面に付着して、光透過性の樹脂14同士を結着させる。
1−2−1.レーザー吸収剤
レーザーの光エネルギーをより効率的に熱エネルギーに変換する観点から、粉末材料は、レーザー吸収剤をさらに含んでもよい。レーザー吸収剤は、使用する波長のレーザーを吸収して熱を発する材料であればよい。このようなレーザー吸収剤の例には、カーボン粉末、ナイロン樹脂粉末、顔料および染料が含まれる。これらのレーザー吸収剤は、一種類のみ用いても、二種類を組み合わせて用いてもよい。
粉末材料の流動性をより向上させ、立体造形物の製造時における粉末材料の取り扱いを容易にする観点から、粉末材料は、フローエージェントをさらに含んでもよい。フローエージェントは、摩擦係数が小さく、自己潤滑性を有する材料であればよい。このようなフローエージェントの例には、二酸化ケイ素および窒化ホウ素が含まれる。これらのフローエージェントは、一種類のみ用いても、二種類を組み合わせて用いてもよい。上記粉末材料は、フローエージェントによって流動性が高まっても、複合粒子が帯電しにくく、薄膜を形成するときに複合粒子をさらに密に充填させることができる。
前記複合粒子100は、そのまま粉末材料として用いることができる。粉末材料が前記その他の材料を含む場合、粉末状にした前記その他の材料と前記複合粒子とを撹拌混合して粉末材料を得ることができる。
本工程では、上述した金属母粒子12と、上述した光透過性の樹脂14を含んで前記金属母粒子を被覆する被覆樹脂層と、を有し、上記被覆樹脂層の膜厚は0.1μm以上1.0μm以下である、単位粒子10を用意する。単位粒子10は、樹脂で被覆された金属粒子を作製する乾式または湿式の公知の方法によって作製することができる。これらのうち、均一な膜厚を有する被覆樹脂層が形成しやすく、かつ、溶媒除去工程が不必要であり作業工程を簡素化できる観点からは、乾式の方法が好ましく、金属母粒子の球形状を維持しながら、被覆樹脂層を形成できる観点からは、メカノケミカル法がより好ましい。
本工程では、複数の複数の単位粒子10を上述したバインダー16によって互いに接着させる。複数の単位粒子10は、粒子をバインダーによって互いに結着させる乾式または湿式の公知の方法によって互いに接着させることができる。上記結着させる方法の例には、噴霧乾燥(スプレードライ)法、転動造粒法、流動層造粒法、および撹拌造粒法が含まれる。これらのうち、造粒中の加熱による光透過性の樹脂14などの変質を抑制し、濃縮、濾過、粉砕、分級および乾燥などの工程を省略可能にして本工程を容易に行い、かつ、複合粒子100の粒子径および円形度の分布幅を小さくする観点からは、スプレードライ法が好ましい。
本実施形態は、前記粉末材料を用いた、立体造形物の製造方法に係る。本実施形態に係る方法は、前記粉末材料を用いるほかは、通常の粉末床溶融結合法と同様に行い得る。具体的には、本実施形態に係る方法は、(2−1)前記粉末材料の薄層を形成する工程と、(2−2)形成された薄層にレーザー光を選択的に照射して、前記粉末材料に含まれる複合粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成する工程と、(2−3)工程(2−1)および工程(2−2)をこの順に複数回繰り返し、前記造形物層を積層する工程と、を含む。工程(2−2)により、立体造形物を構成する造形物層のひとつが形成され、さらに工程(2−3)で工程(2−1)および工程(2−2)を繰り返し行うことで、立体造形物の次の層が積層されていき、最終的な立体造形物が製造される。
本工程では、前記粉末材料の薄層を形成する。 たとえば、粉末供給部から供給された前記粉末材料を、リコータによって造形ステージ上に平らに敷き詰める。薄層は、造形ステージ上に直接形成してもよいし、すでに敷き詰められている粉末材料またはすでに形成されている造形物層の上に接するように形成してもよい。
本工程では、形成された粉末材料からなる薄層のうち、造形物層を形成すべき位置にレーザーを選択的に照射し、照射された位置の複合粒子を焼結または溶融結合させる。焼結または溶融結合した複合粒子は、隣接する粉末と溶融し合って焼結体または溶融体を形成し、造形物層となる。このとき、レーザーのエネルギーを受け取った複合粒子は、すでに形成された層の金属材料とも焼結または溶融結合するため、隣り合う層間の接着も生じる。
焼結または溶融結合中に複合粒子を構成する金属材料が酸化または窒化することによる、立体造形物の強度の低下を防ぐ観点からは、少なくとも工程(2−2)は減圧下または不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。減圧するときの圧力は10−2Pa以下であることが好ましく、10−3Pa以下であることがより好ましい。本実施形態で使用することができる不活性ガスの例には、窒素ガスおよび希ガスが含まれる。これらの不活性ガスのうち、入手の容易さの観点からは、窒素(N2)ガス、ヘリウム(He)ガスまたはアルゴン(Ar)ガスが好ましい。製造工程を簡略化する観点からは、工程(2−1)および工程(2−2)の両方を減圧下または不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
本実施形態は、前記粉末材料を用いて、立体造形物を製造する装置に係る。本実施形態に係る装置は、前記粉末材料を用いるほかは、粉末床溶融結合法による立体造形物の製造を行う公知の装置と同様の構成とし得る。具体的には、本実施形態に係る立体造形装置300は、その構成を概略的に示す側面図である図3に記載のように、開口内に位置する造形ステージ310、コアシェル構造を有する樹脂粒子を含む粉末材料の薄膜を前記造形ステージ上に形成する薄膜形成部320、前記造形ステージ上に形成される薄膜表面または装置内を加熱または冷却する温度調整部330、薄膜にレーザーを照射して、前記樹脂粒子が溶融結合してなる造形物層を形成するレーザー照射部340、鉛直方向の位置を可変に造形ステージ310を支持するステージ支持部350、および上記各部を支持するベース390を備える。
制御部360は、データ入力部385がコンピューター装置400から取得した立体造形データを、造形物層の積層方向について薄く切った複数のスライスデータに変換する。その後、制御部360は、立体造形装置300における以下の動作の制御を行う。
1−1.粉末材料1
1000部の銅粒子(三井金属鉱業株式会社製、Cu1050Y、平均粒子径:0.75μm)と85部のアクリル樹脂(日本ペイント株式会社製、N4000、平均粒子径:0.1μm)を撹拌混合装置(株式会社奈良機械製作所製、LMA5型)に投入し、回転数を695rpmとして室温で10分間撹拌した。その後、さらに85部のアクリル樹脂(日本ペイント株式会社製、N4000、平均粒子径:0.1μm)を加え、回転数を695rpmとして室温で10分間撹拌した。このようにして混合された粒子を、回転数を780rpmとして115℃で30分間加熱撹拌して、上記アクリル樹脂で被覆された銅粒子を作製した。
この被覆された銅粒子を、バインダーとしての2.0部のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、クラレポバール)および998部の水とともに混合して、上記銅粒子が分散した分散液を作製した。スプレードライ装置(株式会社プリス製、PR−05K)で、回転ディスクの速度を18000rpm、乾燥温度を130℃として上記分散液を噴霧造粒して、構成する複合粒子の平均粒子径が15μmである粉末材料1を製造した。
なお、上記銅粒子および上記複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、Partica LA−960)で測定して得られた値である。
上記銅粒子として三井金属鉱業株式会社製、MA−C015K(平均粒子径:1.5μm)を用い、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料1と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料2を製造した。
上記銅粒子として三井金属鉱業株式会社製、MA−C025K(平均粒子径:2.4μm)を用い、上記添加するアクリル樹脂の量をいずれも90部とし、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料1と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料3を製造した。
上記銅粒子として三井金属鉱業株式会社製、MA−C05K(平均粒子径:5.8μm)を用い、上記分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料1と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料4を製造した。
上記添加するアクリル樹脂の量をいずれも63部とし、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料2と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料5を製造した。
上記添加するアクリル樹脂の量をいずれも65部とし、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料3と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料6を製造した。
上記添加するアクリル樹脂の量をいずれも63部とし、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料4と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料7を製造した。
200部の粉末材料5をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料8を製造した。
200部の粉末材料6をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料9を製造した。
200部の粉末材料7をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料10を製造した。
上記銅粒子の代わりにアルミニウム粒子(東洋アルミニウム株式会社製、TFS−A05P、平均粒子径:5.0μm)を用い、上記添加するアクリル樹脂の量をいずれも215部とし、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料1と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料を製造した。200部の上記粉末材料をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料11を製造した。
2回に分けて添加する上記アクリル樹脂に代えて、いずれも、65部の上記アクリル樹脂と0.65部のシリカ粉末(cabot社製、R805、平均粒子径:100nm)とを使用し、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料6と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料を製造した。200部の上記粉末材料をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料12を製造した。
上記銅粒子の代わりにアルミニウム粒子(東洋アルミニウム株式会社製、TFS−A05P、平均粒子径:5.0μm)を用い、2回に分けて添加する上記アクリル樹脂に代えて、いずれも、243部の上記アクリル樹脂と2.43部のシリカ粉末(cabot社製、R805、平均粒子径:100nm)とを使用し、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料6と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料を製造した。200部の上記粉末材料をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料13を製造した。
2回に分けて添加する上記アクリル樹脂に代えて、いずれも、65部の上記アクリル樹脂と4.25部のフラックス(株式会社タムラ化研製、TF−31KT、固形分濃度46%)とを使用し、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料6と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料を製造した。200部の上記粉末材料をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料14を製造した。
上記銅粒子の代わりにアルミニウム粒子(東洋アルミニウム株式会社製、TFS−A05P、平均粒子径:5.0μm)を用い、2回に分けて添加する上記アクリル樹脂を、いずれも、243部の上記アクリル樹脂と15.85部のフラックス(株式会社タムラ化研製、TF−31KT、固形分濃度46%)とを使用し、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料6と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料を製造した。200部の上記粉末材料をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製、NHS−1型)に投入して、回転数を8000rpmとして75℃で20分間撹拌して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料15を製造した。
1000部の銅粒子(三井金属鉱業株式会社製、MA−C025K、平均粒子径:2.4μm)を、バインダーとしての2.0部のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、クラレポバール)および998部の水とともに混合して、バインダー濃度が0.2質量%である、上記銅粒子が分散した分散液を製造した。スプレードライ装置(株式会社プリス製、PR−05K)で回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃として上記分散液を噴霧造粒して、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料16を製造した。
上記銅粒子として日本アトマイズ加工株式会社製、HXR−Cu(平均粒子径:10μm)を用い、上記添加するアクリル樹脂の量をいずれも82部とし、分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を12000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料1と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が30μmである粉末材料17を製造した。
上記分散液を噴霧造粒するときの回転ディスクの速度を9000rpm、乾燥温度を130℃とした以外は粉末材料17と同様にして、構成する複合粒子の平均粒子径が70μmである粉末材料18を製造した。
粉末材料1〜粉末材料18のそれぞれ構成する複合粒子を、集束イオンビーム加工装置(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、SMI2050)で切断して、粒子薄片を作製した。透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM−2010F)を用いて倍率10000倍で撮像した上記粒子薄片の電子顕微鏡写真を得た。
2−1.レーザー光吸収率
30mm×26mmにカットしたスライドグラス(松浪硝子工業株式会社製、S1111/白縁磨 No.1)を2枚用意して、両面テープ2枚重ね分のスペースを空けて重ね合わせ、コの字型に三方向を封止した。封止していない一方から、粉末材料1〜粉末材料18のそれぞれを、空気が含まれないように封入し、測定用試料とした。各測定用試料について、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)を用いてファイバーレーザー波長(1.05μm)における反射率を測定した。上記粉末材料の主成分は金属であるため、透過率はほぼ0であると仮定して、1から上記測定された反射率を減算した値を、それぞれの粉末材料の吸収率とした。得られた吸収率をもとに、下記の基準でそれぞれの粉末材料を評価した。
○: 吸収率が30%以上である
△: 吸収率が25%以上30%未満である
×: 吸収率が25%未満である
粉末材料1〜粉末材料18のそれぞれを、粉体層厚みが0.2mmとなるように敷き詰めて、波長を1.07μm、出力を300W、焦点スポット径を紛体層表面で60μmとしたレーザーを、走査速度を2000mm/sec、1500mm/sec、1000mm/sec、または500mm/secとして、それぞれの走査速度で、粉体層表面の10mm×10mmの正方形状の区画に照射した。このようにして得られた正方形の造形物の表面を光学顕微鏡で観察して、造形物に複合粒子の大きさ(約0.03mm)より大きい欠損(造形物が形成されず、空隙となった部分)があるかを確認した。上記欠損がない造形物を製造できたレーザーの走査速度のうち、最も速い速度をもとに、下記の基準でそれぞれの粉末材料を評価した。
◎: 上記最も速い速度は2000mm/secである
○: 上記最も速い速度は1500mm/secである
△: 上記最も速い速度は1000mm/secである
×: 上記最も速い速度は500mm/secであるか、または500mm/secでも欠損が生じた
粉末材料1〜粉末材料18のそれぞれを、粉体層厚みが0.2mmとなるように敷き詰めて、波長を1.07μm、出力を300W、焦点スポット径を紛体層表面で60μm、走査速度を2000mm/secとしたレーザーを照射して、造形物の層を形成した。これを繰り返して、幅50mm、長さ80mmの長方形状の試験片を作製した。この試験片の長辺の各両端から15mmの位置をつかんで、破断するまで、50mm/minの速度で互いに離れる方向に力を加え、破断したときに印加されていた力をその試験片の最大引張強さ[N/mm2]とした。得られた最大引張強さをもとに、下記の基準でそれぞれの粉末材料を評価した。
◎: 最大引張強さは60N/mm2以上である
○: 最大引張強さは40N/mm2以上60N/mm2未満である
△: 最大引張強さは20N/mm2以上40N/mm2未満である
×: 最大引張強さは20N/mm2未満である
粉末材料1〜粉末材料18のそれぞれのゆるめ嵩密度およびタップ嵩密度を、以下の方法によって求めた。各粉末材料を100g秤量し、25mLメスシリンダーに流し入れた後、1分間経過後の体積値を読み取り、これをゆるめ嵩密度とした。また、同様に100g秤量して25mLメスシリンダーに流し入れた後、メスシリンダーをタップデンサーに固定して250回タップした後に体積値を読み取り、これをタップ嵩密度とした。得られた値により算出したハウスナー比(上記タップ密度を上記ゆるめ嵩密度で除算して得られる値)をもとに、下記の基準でそれぞれの粉末材料を評価した。
◎: ハウスナー比は1.00以上1.06未満である
○: ハウスナー比は1.06以上1.15未満である
△: ハウスナー比は1.15以上1.25未満である
×: ハウスナー比は1.25以上である
粉末材料1〜粉末材料18のそれぞれを、粉体層厚みが0.2mmとなるように敷き詰めて、波長を1.07μm、出力を300W、焦点スポット径を紛体層表面で60μm、走査速度を2000mm/secとしたレーザーを照射して、造形物の層を形成した。これを繰り返して、10mm×10mm×10mmの試験片を作製した。この試験片の縦方向および横方向の寸法をデジタルノギス(株式会社ミツトヨ製、スーパキャリパCD67−S PS/PM、「スーパキャリパ」は同社の登録商標)で測定した。製造しようとした寸法と測定された縦横の寸法との差を平均して、造形物の寸法精度のずれとした。得られたずれの大きさをもとに、下記の基準でそれぞれの粉末材料を評価した。
◎: ずれは0.2mm未満である
○: ずれは0.2mm以上0.5mm未満である
△: ずれは0.5mm以上1.0mm未満である
×: ずれは1.0mm以上である
12 金属母粒子
14 光透過性の樹脂
16 バインダー
100 複合粒子
300 立体造形装置
310 造形ステージ
320 薄膜形成部
321 粉末供給部
322 リコータ駆動部
322a リコータ
330 温度調整部
331 第1の温度調整装置
332 第2の温度調整装置
335 温度測定器
340 レーザー照射部
341 レーザー光源
342 ガルバノミラー駆動部
342a ガルバノミラー
343 レーザー窓
350 ステージ支持部
360 制御部
370 表示部
375 操作部
380 記憶部
385 データ入力部
390 ベース
400 コンピューター装置
Claims (15)
- 複数の複合粒子を含む粉末材料の薄層にレーザー光を選択的に照射して、前記複数の複合粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成し、前記造形物層を積層することによる立体造形物の製造に使用される粉末材料であって、
前記複合粒子は、金属母粒子と、前記金属母粒子を被覆する膜を形成している光透過性の樹脂と、前記光透過性の樹脂の表面に付着して前記光透過性の樹脂同士を結着させているバインダーとを含み、
前記複合粒子の、前記バインダーを介して前記光透過性の樹脂同士が結着した部位における、隣接する前記金属母粒子間の距離の平均値は、0.2μm以上2.0μm以下である、粉末材料。 - 前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜厚の平均値は、0.1μm以上1.0μm以下である、請求項1に記載の粉末材料。
- 前記金属母粒子の粒子径の平均値は、1.0μm以上8.0μm以下である、請求項1または2に記載の粉末材料。
- 前記複合粒子の粒子径の平均値は、20μm以上60μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末材料。
- 前記金属母粒子の粒子径の平均値に対する、前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜厚の平均値の比は、0.100以上0.125以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末材料。
- 前記複合粒子の円形度の平均値は、0.92以上1.0以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末材料。
- 前記金属母粒子は、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、ニッケルおよびチタンからなる群から選択される少なくとも1種の金属を主成分として含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉末材料。
- 前記光透過性の樹脂は、熱可塑性樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉末材料。
- 前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜は、金属酸化物の微粒子を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粉末材料。
- 前記金属母粒子を被覆する光透過性の樹脂の膜は、フラックスを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粉末材料。
- 金属母粒子と、光透過性の樹脂を含んで前記金属母粒子を被覆する被覆樹脂層と、を有し、前記被覆樹脂層の膜厚は0.1μm以上1.0μm以下である、複数の単位粒子を用意する工程と、
バインダーを介して前記単位粒子を互いに接着させて前記複合粒子を作製する工程とを含む、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の粉末材料の製造方法。 - 前記単位粒子を用意する工程は、メカノケミカル法で前記光透過性の樹脂を前記金属母粒子の表面に固着させて金属母粒子を被覆させる工程である、請求項11に記載の製造方法。
- 前記接着させる工程は、スプレードライ法で前記単位粒子を接着させる工程である、請求項11または12に記載の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の粉末材料または請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法で製造された粉末材料の薄層を形成する工程と、
前記薄層にレーザー光を選択的に照射して、前記粉末材料に含まれる前記複合粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成する工程と、
前記薄層を形成する工程と前記造形物層を形成する工程とをこの順に繰り返し、前記造形物層を積層する工程と、
を含む立体造形物の製造方法。 - 造形ステージと、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の粉末材料の薄膜を前記造形ステージ上に形成する薄膜形成部と、
前記薄膜にレーザーを照射して、前記複合粒子が焼結または溶融結合してなる造形物層を形成するレーザー照射部と、
前記造形ステージを、その鉛直方向の位置を可変に支持するステージ支持部と、
前記薄膜形成部、前記レーザー照射部および前記ステージ支持部を制御して、前記造形物層を繰り返し形成させて積層させる制御部と、
を備える、立体造形装置。
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