JP5302710B2 - 三次元形状造形物の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Description
粉末層を形成するための粉末層形成手段、
固化層が形成されるように粉末層に光ビーム(例えばレーザ光のような指向性エネルギービーム)を照射するための光ビーム照射手段、ならびに
粉末層および/または固化層が形成されることになる造形プレート、
を有して成る三次元形状造形物の製造装置であって、
造形プレートが固化層と接合可能となっており、造形プレートのヤング率が固化層のヤング率の約1〜15倍となっていることを特徴とする製造装置が提供される。
(i)造形プレート上に設けた粉末層の所定箇所に光ビームを照射して前記所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、前記新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程
を繰り返して行う三次元形状造形物の製造方法であって、
造形プレートとして、固化層と接合可能なプレートであって、固化層のヤング率の約1〜15倍のヤング率を有するプレートを用いることを特徴としている。かかる本発明の製造方法のある好適な態様では、上層と下層とから成る2層構造となった造形プレートであって、上層が固化層と接合可能となっており、下層のヤング率が約150〜約800GPaとなった造形プレートを用いる。
まず、本発明の前提となる粉末焼結積層法について説明する。図1,図3および図4には、粉末焼結積層法を実施できる光造形複合加工機1の機能および構成が示されている。光造形複合加工機1は、「金属粉末および樹脂粉末などの粉末を所定の厚みで敷くことによって粉末層を形成する粉末層形成手段2」と「外周が壁27で囲まれた造形タンク29内においてシリンダー駆動で上下に昇降する造形テーブル20」と「造形テーブル20上に配され造形物の土台となる造形プレート21」と「光ビームLを任意の位置に照射する光ビーム照射手段3」と「造形物の周囲を削る切削手段4」とを主として備えている。粉末層形成手段2は、図1に示すように、「外周が壁26で囲まれた粉末材料タンク28内においてシリンダー駆動で上下に昇降する粉末テーブル25」と「造形プレート上に粉末層22を形成するためのスキージング用ブレード23」とを主として有して成る。光ビーム照射手段3は、図3および図4に示すように、「光ビームLを発する光ビーム発振器30」と「光ビームLを粉末層22の上にスキャニング(走査)するガルバノミラー31(スキャン光学系)」とを主として有して成る。必要に応じて、光ビーム照射手段3には、光ビームスポットの形状を補正するビーム形状補正手段(例えば一対のシリンドリカルレンズと、かかるレンズを光ビームの軸線回りに回転させる回転駆動機構とを有して成る手段)やfθレンズが具備されている。切削手段4は、「造形物の周囲を削るミーリングヘッド40」と「ミーリングヘッド40を切削箇所へと移動させるXY駆動機構41」とを主として有して成る(図4参照)。
本発明の製造装置は、上述した粉末焼結積層法において、“三次元形状造形物に生じ得る内部応力の緩和”に着目して得られたものである。特に、三次元形状造形物に生じ得る内部応力を造形プレートの特性によって緩和している。より具体的に言えば、本発明は、図2(b)に示すような内部応力に起因して三次元形状造形物が反り上がる現象を、造形プレートの弾性率でもって抑制する点において特徴を有している(図6参照)。
金属粉末層22を形成するための粉末層形成手段2、
焼結層24が形成されるように金属粉末層22に光ビームを照射するための光ビーム照射手段3、ならびに
金属粉末層24および/または焼結層22が形成されることになる“造形テーブル20上に配された造形プレート21”、
を有して成る。かかる装置では、造形プレート21が焼結層24と接合可能となっており、造形プレート21のヤング率が焼結層のヤング率の1〜数十倍程度、好ましくは約1〜15倍(例えば約1.5〜10倍)となっている。
かかる態様は、図9に示すように、造形プレート21が上層21aおよび下層21bとから成る態様である(上層は造形物と直接的に接する“表側の層”であって、下層は、造形テーブルと直接的に接する“裏側の層”である)。上層21aは、粉末層成分、鉄系成分、炭素鋼成分、ニッケル成分およびニッケル合金成分から成る群から選択される少なくとも1種類以上の成分を含んでなり、下層21bは、そのヤング率が焼結層のヤング率の約1〜数十倍程度、好ましくは約1〜15倍となっていることが好ましい。かかる態様であっても、焼結層と接合可能な造形プレートのヤング率が高いので、製造時に反り上がろうとする三次元形状造形物の応力を造形プレートで吸収して、その反り上がりを防止または小さくすることができる。上層21aの材質に関して用いる「粉末層成分」とは、粉末層22を成す各種粉末の構成成分を意味しており、「鉄系成分」とは、鉄を主成分とした成分(例えば鉄成分を50重量%以上含むもの)を意味している。下層21bのヤング率は、好ましくは150〜800GPa、より好ましくは300〜750GPaであって、更に好ましくは500〜700GPaである。また、焼結層が例えば鉄系材料から成る場合(即ち、焼結層が“鉄系粉末”から形成されたものである場合)、造形プレートの下層21bは、超硬合金、高速度工具鋼、合金工具鋼、ステンレス鋼および機械構造用炭素鋼から成る群から選択される少なくとも1種類の材質から形成されることが好ましい。上層厚さtaと下層厚さtbとの比(tb/ta)は、1〜100程度であることが好ましい。このような上層および下層とから成る造形プレートでは、“焼結層との接合”および“高いヤング率”をそれぞれの層で供することができるので、製造する造形物や製造コストなどを考慮して好適な層の組合せを適宜選択できるといった点で有利である。例えば、一例を挙げるとすると、以下のような組合せが考えられる。
・金属粉末材料:鉄−ニッケル−銅の混合粉末(焼結層のヤング率:約130GPa)
・造形プレートの上層:S50C(ヤング率:約200GPa)
・造形プレートの下層:超硬合金(ヤング率:約600GPa)
かかる態様は、図10に示すように、相互に接合された上方プレート21cと下方プレート21dとから構成されている態様である(上方プレートは造形物と直接的に接する“表側のプレート”であって、下方プレートは、造形テーブルと直接的に接する“裏側のプレート”である)。上方プレート21cと下方プレート21dとの接合は、図示するように、それらの間にニッケル21eなどを供すことによって行ってよい。上方プレート21cは、粉末層成分、鉄系成分、炭素鋼成分、ニッケル成分およびニッケル合金成分から成る群から選択される少なくとも1種類以上の成分を含んでなり、下方プレート21dは、そのヤング率が焼結層のヤング率の約1〜数十倍程度、好ましくは約1〜15倍となっていることが好ましい。かかる態様であっても、焼結層と接合可能な造形プレートのヤング率が高いので、製造時に反り上がろうとする三次元形状造形物の応力を造形プレートで吸収して、その反り上がりを防止または小さくすることができる。上方プレート21cの材質に関して用いる「粉末層成分」とは、粉末層22を成す各種粉末の構成成分を意味しており、「鉄系成分」とは、鉄を主成分とした成分(例えば鉄成分を50重量%以上含むもの)を意味している。下方プレート21dのヤング率は、好ましくは150〜800GPa、より好ましくは300〜750GPaであって、更に好ましくは500〜700GPaである。また、焼結層が例えば鉄系材料から成る場合(即ち、焼結層が“鉄系粉末”から形成されたものである場合)、下方プレートの材質は、超硬合金、高速度工具鋼、合金工具鋼、ステンレス鋼および機械構造用炭素鋼から成る群から選択される少なくとも1種類の材質であることが好ましい。上方プレート厚さtcと下方プレート厚さtdとの比(td/tc)は、1〜10程度であることが好ましい。このような「相互に接合された上方プレートと下方プレートとから構成されている造形プレート」では、“焼結層との接合”および“高いヤング率”をそれぞれのプレートで供することができるので、製造する造形物や製造コストなどを考慮して好適なプレートの組合せを適宜選択できるといった点で有利である。例えば、一例を挙げるとすると、以下のような組合せが考えられる。
・金属粉末材料:鉄−ニッケル−銅の混合粉末(焼結層のヤング率:約130GPa)
・上方プレート:S50C(ヤング率:約200GPa)
・下方プレート:超硬合金(ヤング率:約600GPa)
次に、本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、製造装置と同様、上述した粉末焼結積層法において造形プレートの物性(弾性率)に特に着目したものである。粉末として金属粉末を用い、固化層が焼結層となる態様を例にとると、かかる本発明の製造方法は、
(i)造形プレート上に設けた粉末層の所定箇所に光ビームを照射して前記所定箇所の粉末を焼結させて焼結層を形成する工程、および
(ii)得られた焼結層の上に新たな粉末層を形成し、前記新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる焼結層を形成する工程
を繰り返して行う三次元形状造形物の製造方法であって、
造形プレートとして、焼結層と接合可能なプレートであって、焼結層のヤング率の1〜数十倍程度のヤング率、好ましくは約1〜15倍のヤング率(例えば約1.5〜10倍のヤング率)を有するプレートを用いることを特徴としている。かかるプレートは、上述したような「2層構造の造形プレート」または「複数プレートから構成される造形プレート」であってもかまわない。尚、造形プレートのヤング率、形状・寸法および材質などは、“本発明の製造装置”に関連して上述した事項が当てはまるので重複を避けるために説明を省略する。また、工程(i)および(ii)についても、上述した粉末焼結積層法で触れているために重複を避けるために説明を省略する。
2 粉末層形成手段
3 光ビーム照射手段
4 切削手段
19 粉末/粉末層(例えば金属粉末/金属粉末層または樹脂粉末/樹脂粉末層)
20 造形テーブル
21 造形プレート
21’ ニッケル被膜
21a 造形プレートの上層
21b 造形プレートの下層
21c 上方プレート
21d 下方プレート
21e 上方プレートと下方プレートとの間に供されるニッケル
22 粉末層(例えば金属粉末層または樹脂粉末層)
23 スキージング用ブレード
24 固化層(例えば焼結層または硬化層)またはそれから得られる三次元形状造形物
25 粉末テーブル
26 粉末材料タンクの壁部分
27 造形タンクの壁部分
28 粉末材料タンク
29 造形タンク
30 光ビーム発振器
31 ガルバノミラー
40 ミーリングヘッド
41 XY駆動機構
50 チャンバー
52 光透過窓
L 光ビーム
Claims (9)
- 粉末層を形成するための粉末層形成手段、
固化層が形成されるように粉末層に光ビームを照射するための光ビーム照射手段、ならびに
粉末層および/または固化層が形成されることになる造形プレート、
を有して成り、
造形プレートが固化層と接合可能となっており、造形プレートのヤング率が固化層のヤング率の1〜15倍となっているおり、また
固化層が鉄系材料から成る焼結層である一方、造形プレートが超硬合金、高速度工具鋼、合金工具鋼、ステンレス鋼および機械構造用炭素鋼から成る群から選択される少なくとも1種類の材質を含んで成る、
ことを特徴とする、三次元形状造形物の製造装置。 - 造形プレートのヤング率が150〜800GPaとなっていることを特徴とする、請求項1に記載の三次元形状造形物の製造装置。
- 造形プレートが超硬合金から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の三次元形状造形物の製造装置。
- 造形プレートの主面にはニッケル被膜が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の三次元形状造形物の製造装置。
- 造形プレートが上層と下層とから成る2層構造となっており、
上層が、粉末層成分、鉄系成分、炭素鋼成分、ニッケル成分およびニッケル合金成分から成る群から選択される少なくとも1種類以上の成分を含んでなり、
下層のヤング率が150〜800GPaとなっていることを特徴とする、請求項1に記載の三次元形状造形物の製造装置。 - 造形プレートの下層が超硬合金から成ることを特徴とする請求項5に記載の三次元形状造形物の製造装置。
- プレートが、相互に接合された上方プレートと下方プレートとから構成されており、
上方プレートが、粉末層成分、鉄系成分、炭素鋼成分、ニッケル成分およびニッケル合金成分から成る群から選択される少なくとも1種類以上の成分を含んでなり、
下方プレートのヤング率が150〜800GPaとなっていることを特徴とする、請求項1に記載の三次元形状造形物の製造装置。 - (i)造形プレート上に設けた粉末層の所定箇所に光ビームを照射して前記所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、前記新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程
を繰り返して行う三次元形状造形物の製造方法であって、
造形プレートとして、固化層と接合可能なプレートであって、固化層のヤング率の1〜15倍のヤング率を有するプレートを用い、また
固化層が鉄系材料から成る焼結層である一方、造形プレートが超硬合金、高速度工具鋼、合金工具鋼、ステンレス鋼および機械構造用炭素鋼から成る群から選択される少なくとも1種類の材質を含んで成る、
ことを特徴とする、三次元形状造形物の製造方法。 - 造形プレートを上層と下層とから成る2層構造とし、上層を固化層と接合可能なものとし、下層のヤング率を150〜800GPaとする、請求項8に記載の三次元形状造形物の製造方法。
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