JPWO2017073121A1 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

ビルドアップ配線層の形成工程におけるキャリアと極薄銅層との間の界面への薬液の侵入を有意に防ぐことができ、かつ、コアレス支持体の分離工程における極薄銅層の部分的な破れ及びそれにより生じる不具合を有意に抑制することが可能な、プリント配線板の製造方法が提供される。本発明の方法は、キャリアの剥離層側の面において、うねり曲線要素の平均高さWcとピークカウントPcの積であるWc×Pcが20〜50μmである、キャリア付銅箔を用意する工程と、キャリア又は極薄銅層の上にビルドアップ配線層を形成してビルドアップ配線層付積層体を作製する工程と、ビルドアップ配線層付積層体を剥離層で分離してビルドアップ配線層を含む多層配線板を得る工程と、多層配線板を加工してプリント配線板を得る工程とを含む。

Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
近年、プリント配線板の実装密度を上げて小型化するために、プリント配線板の多層化が広く行われるようになってきている。このような多層プリント配線板は、携帯用電子機器の多くで、軽量化や小型化を目的として利用されている。そして、この多層プリント配線板には、層間絶縁層の更なる厚みの低減、及び配線板としてのより一層の薄型化及び軽量化が要求されている。
このような要求を満足させる技術として、コアレスビルドアップ法を用いた多層プリント配線板の製造方法が採用されている。コアレスビルドアップ法とは、いわゆるコア基板を用いることなく、絶縁層と配線層とを交互に積層(ビルドアップ)して多層化する方法である。コアレスビルドアップ法においては、支持体と多層プリント配線板との剥離を容易に行えるように、キャリア付銅箔を使用することが提案されている。例えば、特許文献1(特開2005−101137号公報)には、キャリア付銅箔のキャリア面に絶縁樹脂層を貼り付けて支持体とし、キャリア付銅箔の極薄銅層側にパターン電解銅めっきにより第一の配線導体を形成し、ビルドアップ配線層を形成し、キャリア付支持基板を剥離し、極薄銅層を除去することを含む、半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法が開示されている。
ところで、上記のような方法において、キャリア付銅箔と支持体は同じサイズであることから、キャリアと極薄銅層との間の界面端部が外部に露出することになる。このため、ビルドアップ配線層の形成時に使用される薬液(例えばエッチング液やデスミア液)がキャリアと極薄銅層との間の界面端部から界面内部に侵入することがある。このように薬液が界面内部に侵入するとキャリアと極薄銅層との間の密着力が低下して、製造途中のビルドアップ配線層が支持体から剥がれることがあり、歩留まりの低下を招きうる。
かかる問題に対処したプリント配線板の製造方法として、製品形成用領域の外周に捨て代領域を設けることで、キャリアと極薄銅層との間の界面端部を外部に露出させることなくビルドアップ配線層を形成する手法が提案されている。例えば、特許文献2(特開2014−130856号公報)には、極薄銅層領域がキャリア領域よりも小さいキャリア付銅箔(分離可能金属箔)を準備し、キャリア領域よりも大きいサイズのプリプレグ(支持基板)を準備し、極薄銅層とプリプレグを積層して支持体を形成し、キャリアと同じサイズでビルドアップ配線層を形成し、極薄銅層の内側で積層体を切断した後分離し、キャリアにサブトラクティブ加工を施して最外配線層を形成することを含む、プリント配線板の製造方法が開示されている。この方法によれば、極薄銅層とキャリアとの間の界面を外部環境から遮断して、ビルドアップ配線層形成時の薬液の界面からの侵入を防止することができる。
特開2005−101137号公報 特開2014−130856号公報
しかしながら、特許文献2の方法においては、i)予め極薄銅層領域をキャリア領域よりも小さくなるようにエリア加工されたキャリア付銅箔を作製する必要があること、ii)極薄銅層領域よりはみ出した領域及びキャリア付銅箔からはみ出したプリプレグ領域が製品対象外の無駄な領域となること、iii)支持体を剥離する前に剥離層を端面に露出すべく積層体4辺を切断する工程が必要となること、といった問題がある。
本発明者らは、今般、キャリアの剥離層側の面が特定の条件(後述するWc×Pcが20〜50μm)を満たすキャリア付銅箔を用いてコアレスビルドアップ法によるプリント配線板の製造を行うことにより、特許文献2で行われるようなキャリア付銅箔のエリア加工やプリプレグのサイズ制御を要することなく、ビルドアップ配線層の形成工程におけるキャリアと極薄銅層との間の界面への薬液の侵入を有意に防ぐことができ、しかも、コアレス支持体の分離工程における極薄銅層の部分的な破れ及びそれにより生じる不具合(例えば、極薄銅層のキャリアへの部分残渣や、極薄銅層におけるピンホール発生及びそれに起因するオーバーエッチング)を有意に抑制できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、キャリア付銅箔のエリア加工やプリプレグのサイズ制御を要することなく、ビルドアップ配線層の形成工程におけるキャリアと極薄銅層との間の界面への薬液の侵入を有意に防ぐことができ、かつ、コアレス支持体の分離工程における極薄銅層の部分的な破れ及びそれにより生じる不具合を有意に抑制することが可能な、プリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、プリント配線板の製造方法であって、
キャリア、剥離層及び極薄銅層をこの順に備えたキャリア付銅箔であって、前記キャリアの前記剥離層側の面において、JIS B0601−2001に準拠して測定されるうねり曲線要素の平均高さWcとピークカウントPcの積であるWc×Pcが20〜50μmである、キャリア付銅箔を用意する工程と、
前記キャリア又は前記極薄銅層の上にビルドアップ配線層を形成してビルドアップ配線層付積層体を作製する工程と、
前記ビルドアップ配線層付積層体を前記剥離層で分離して前記ビルドアップ配線層を含む多層配線板を得る工程と、
前記多層配線板を加工してプリント配線板を得る工程と、
を含む、方法が提供される。
コアレスビルドアップ法の一態様である埋め込み回路形成法の一例における、前半の工程を示す図である。 コアレスビルドアップ法の一態様である埋め込み回路形成法の一例における、図1Aに示される工程に続く後半の工程を示す。 コアレスビルドアップ法の他の一態様であるキャリア/サブトラクティブ加工法の一例における、前半の工程を示す図である。 コアレスビルドアップ法の他の一態様であるキャリア/サブトラクティブ加工法の一例における、図2Aに示される工程に続く後半の工程を示す。
定義
本発明を特定するために用いられるパラメータの定義を以下に示す。
本明細書において「ピークカウントPc」とは、JIS B0601−2001(ISO 4287−1997)に準拠して測定されるパラメータであり、輪郭曲線における評価長さ(例えば0.8mm)当たりの山の数である。
本明細書において「うねり曲線要素の平均高さWc」とは、JIS B0601−2001(ISO 4287−1997)に準拠して測定されるパラメータであり、基準長さにおけるうねり曲線要素の高さの平均値である。
本明細書において「十点平均粗さRz」とは、JIS B0601−1994に準拠して決定されうるパラメータであり、基準長さの粗さ曲線において、最高の山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と、最深の谷底から深い順に5番目までの谷深さの平均との和をいう。
本明細書において、キャリアの「電極面」とはキャリア作製時に陰極と接していた側の面を指す。
本明細書において、キャリアの「析出面」とはキャリア作製時に電解銅が析出されていく側の面、すなわち陰極と接していない側の面(電解液面)を指す。
プリント配線板の製造方法
本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。本発明の方法は、(1)所定の表面プロファイルを有するキャリア付銅箔を用意する工程と、(2)コアレスビルドアップ法によるプリント配線板の製造プロセスとを含む。そして、コアレスビルドアップ法によるプリント配線板の製造プロセスは、(2a)キャリア又は極薄銅層の上にビルドアップ配線層を形成する工程と、(2b)得られた積層体を剥離層で分離する工程と、(2c)得られた多層配線板を加工する工程とを含む。
(1)キャリア付銅箔の用意
本発明の方法では、所定の表面プロファイルを有するキャリア付銅箔を用意する。キャリア付銅箔は、キャリア、剥離層及び極薄銅層をこの順に備える。特に、本発明に用いるキャリア付銅箔は、キャリアの剥離層側の面において、うねり曲線要素の平均高さWcとピークカウントPcの積であるWc×Pcが20〜50μmである。キャリアの剥離層側の面においてWc×Pcが20〜50μmの範囲内であるキャリア付銅箔を用いてコアレスビルドアップ法によるプリント配線板の製造を行うことにより、特許文献2で行われるようなキャリア付銅箔のエリア加工やプリプレグのサイズ制御を要することなく、ビルドアップ配線層の形成工程におけるキャリアと極薄銅層との間の界面への薬液の侵入を有意に防ぐことができる。その上、コアレス支持体の分離工程において極薄銅層の部分的な破れ及びそれにより生じる不具合(例えば、極薄銅層のキャリアへの部分残渣や、極薄銅層におけるピンホール発生及びそれに起因する配線のオーバーエッチング)を有意に抑制することもできる。
上記有利な効果は、キャリアの剥離層側の面においてWc×Pcが20〜50μmであるキャリア付銅箔を用いることによって、予想外にも実現されるものである。そのメカニズムは必ずしも定かではないが、以下のようなものと考えられる。まず、うねり曲線要素の平均高さWcはうねり曲線要素の高さの平均値であるため、その値が高いほどうねりが大きくなり、それだけキャリアと極薄銅層との間の界面には薬液の浸入障壁が大きくなると考えられる。これは薬液の侵入がうねり曲線の山によって妨げられるためと解される。その上、ピークカウントPcは輪郭曲線における評価長さ当たりの山の数であるため、その値が大きいほど山が多くなり、それだけキャリアと極薄銅層との間の界面には薬液の浸入障壁が多くなるといえる。そして、Wc×Pcが20μm以上であると、WcとPcの相乗効果により、ビルドアップ配線層の形成工程におけるキャリアと極薄銅層との間の界面への薬液の侵入を有意に防止可能になったものと考えられる。一方で、Wc×Pcが大きすぎると、コアレス支持体の分離工程において極薄銅層の部分的な破れが生じやすくなり、その結果、極薄銅層のキャリアへの部分残渣や、極薄銅層におけるピンホール発生及びそれに起因するオーバーエッチングが生じやすくなる。これは、Wc×Pcが大きいほど(特にWcが大きいほど)うねりの谷の部分で(電解時の銅の析出挙動に起因して)極薄銅層が薄くなる傾向があり、その薄い部分が脆弱となって部分的に破れやすくなるためと考えらえる。この点、驚くべきことに、Wc×Pcを50μm以下とすることで、コアレス支持体の分離工程において極薄銅層の部分的な破れ及びそれにより生じる極薄銅層のキャリアへの部分残渣を有意に抑制することができる。いずれにしても、Wc×Pcが20〜50μmという特定の範囲での上記効果は、単なる表面粗さの制御だけでは実現できないものであり、輪郭曲線よりも長波長の凹凸を反映するうねり曲線由来のWcをピークカウントPcと積算することによって初めて実現されたものである。
上記観点から、キャリアの剥離層側の面において、Wc×Pcは20〜50μmであり、好ましくは23〜40μmであり、より好ましくは26〜33μmである。また、キャリアの剥離層側の面において、Wcは0.5〜1.0μmであるのが好ましく、より好ましくは0.55〜0.95μm、さらに好ましくは0.6〜0.9μmである。キャリアの剥離層側の面において、Pcは22〜65であるのが好ましく、より好ましくは30〜55、さらに好ましくは32〜45である。上記好ましい範囲内であると、上述したような界面への薬液の侵入と極薄銅層の部分的な破れをより効果的に防止することができる。
好ましくは、キャリアの剥離層側の面において、JIS B0601−1994に準拠して測定される十点平均粗さRzが1.5〜6.5μmであり、より好ましくは2.2〜6.0μmであり、より好ましくは2.6〜5.5μm、さらに好ましくは2.9〜5.0μmである。このような範囲内であると剥離容易性を確保しながらも、極薄銅層の破れを効果的に防止できるとの利点がある。なお、キャリアの剥離層側の面における十点平均粗さRzの測定は、キャリア付銅箔から極薄銅層を引き剥がした後のキャリア表面に対して行われるのが典型的である。
キャリアは、極薄銅層を支持してそのハンドリング性を向上させるための箔ないし層であり、剥離層側の面におけるWc×Pcが20〜50μmであること以外は公知の構成であってよい。キャリアの例としては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス(SUS)箔、樹脂フィルム、表面をメタルコーティングした樹脂フィルム、樹脂板、ガラス板等が挙げられる。剥離層側の面におけるWc×Pc値を製造条件により制御しやすい点、及びキャリア自身の耐薬品性を保持させる点から、好ましくは銅箔である。銅箔は圧延銅箔及び電解銅箔のいずれであってもよいが、上述のとおり剥離層側の面におけるWc×Pc値を制御しやすい点等から、キャリアは電解銅箔であるのが好ましい。キャリアの厚さは典型的には250μm以下であり、好ましくは12μm〜200μmである。
キャリアの表面における上記範囲内のWc、Pc及びRzの実現は、例えばキャリアが電解銅箔である場合、電解液(例えば硫酸酸性硫酸銅溶液)を活性炭処理して電解液中の残留添加剤を取り除いた後、活性炭処理後の電解液中にニカワ又はゼラチン等の添加剤を新たに添加して公知の条件で電解を行い、厚さ約10〜35μm程度の電解銅箔を製造し、得られた電解銅箔の析出面(電解液面)を剥離層側の面とすることにより好ましく行うことができる。このような電解析出プロセスによる粗面の形成は、キャリア表面を様々なプロファイルに調整する方法として特に有効である。しかしながら、粗面形成の手法は、上記方法に限定されるものではなく、この他にも、化学エッチングによる形成、ブラスト処理等による物理エッチング等も採用されうる。
極薄銅層は、プリント配線板製造用キャリア付銅箔に採用される公知の構成であってよく特に限定されない。例えば、極薄銅層は、無電解銅めっき法及び電解銅めっき法等の湿式成膜法、スパッタリング及び化学蒸着等の乾式成膜法、又はそれらの組合せにより形成したものであってよい。極薄銅層の好ましい厚さは0.1〜10.0μmである。例えば、コアレス支持体表面に形成される配線層として、ライン/スペース=25μm以下/25μm以下の微細回路形成を行うためには、極薄銅層の厚さは0.2〜7.0μmが特に好ましい。
剥離層は、キャリアの引き剥がし強度を弱くし、該強度の安定性を担保し、さらには高温でのプレス成形時にキャリアと極薄銅層の間で起こりうる相互拡散を抑制する機能を有する層である。剥離層は、キャリアの一方の面に形成されるのが一般的であるが、両面に形成されてもよい。剥離層は、有機剥離層及び無機剥離層のいずれであってもよい。有機剥離層に用いられる有機成分の例としては、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸等が挙げられる。窒素含有有機化合物の例としては、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物等が挙げられ、中でもトリアゾール化合物は剥離性が安定し易い点で好ましい。トリアゾール化合物の例としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア、1H−1,2,4−トリアゾール及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。硫黄含有有機化合物の例としては、メルカプトベンゾチアゾール、チオシアヌル酸、2−ベンズイミダゾールチオール等が挙げられる。カルボン酸の例としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸等が挙げられる。一方、無機剥離層に用いられる無機成分の例としては、Ni、Mo、Co、Cr、Fe、Ti、W、P、Zn、クロメート処理膜等が挙げられる。なお、剥離層の形成はキャリアの少なくとも一方の表面に剥離層成分含有溶液を接触させ、剥離層成分をキャリアの表面に固定されること等により行えばよい。キャリアを剥離層成分含有溶液に接触させる場合、この接触は、剥離層成分含有溶液への浸漬、剥離層成分含有溶液の噴霧、剥離層成分含有溶液の流下等により行えばよい。その他、蒸着やスパッタリング等による気相法で炭素等の剥離層成分を被膜形成する方法も採用可能である。これらの中でも特に、剥離層自体を薄層化してキャリアと極薄銅層との界面への薬液侵入効果が優れたものとできる点、前述したキャリアの剥離層側の表面に対して、キャリア製造直後からの表面プロファイルの変化を極小化できる工程設計上有利な点等から、剥離層は有機剥離層であるのが好ましい。また、剥離層成分のキャリア表面への固定は、剥離層成分含有溶液の吸着や乾燥、剥離層成分含有溶液中の剥離層成分の電着等により行えばよい。剥離層の厚さは、典型的には1nm〜1μmであり、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは6nm〜100nmである。
所望により、剥離層とキャリア及び/又は極薄銅層との間に他の機能層を設けてもよい。そのような他の機能層の例としては補助金属層が挙げられる。補助金属層はニッケル及び/又はコバルトからなるのが好ましい。このような補助金属層をキャリアの表面側及び/又は極薄銅層の表面側に形成することで、高温又は長時間の熱間プレス成形時にキャリアと極薄銅層の間で起こりうる相互拡散を抑制し、キャリアの引き剥がし強度の安定性を担保することができる。補助金属層の厚さは、0.001〜3μmとするのが好ましい。
所望により、極薄銅層に防錆処理を施してもよい。防錆処理は、亜鉛を用いためっき処理を含むのが好ましい。亜鉛を用いためっき処理は、亜鉛めっき処理及び亜鉛合金めっき処理のいずれであってもよく、亜鉛合金めっき処理は亜鉛−ニッケル合金処理が特に好ましい。亜鉛−ニッケル合金処理は少なくともNi及びZnを含むめっき処理であればよく、Sn、Cr、Co等の他の元素をさらに含んでいてもよい。亜鉛−ニッケル合金めっきにおけるNi/Zn付着比率は、質量比で、1.2〜10が好ましく、より好ましくは2〜7、さらに好ましくは2.7〜4である。また、防錆処理はクロメート処理をさらに含むのが好ましく、このクロメート処理は亜鉛を用いためっき処理の後に、亜鉛を含むめっきの表面に行われるのがより好ましい。こうすることで防錆性をさらに向上させることができる。特に好ましい防錆処理は、亜鉛−ニッケル合金めっき処理とその後のクロメート処理との組合せである。
所望により、極薄銅層の表面にシランカップリング剤処理を施し、シランカップリング剤層を形成してもよい。これにより耐湿性、耐薬品性及び樹脂層等との密着性等を向上することができる。シランカップリング剤層は、シランカップリング剤を適宜希釈して塗布し、乾燥させることにより形成することができる。シランカップリング剤の例としては、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シランカップリング剤、又はγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性シランカップリング剤、又はγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランカップリング剤又はビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン等のオレフィン官能性シランカップリング剤、又はγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シランカップリング剤、又はイミダゾールシラン等のイミダゾール官能性シランカップリング剤、又はトリアジンシラン等のトリアジン官能性シランカップリング剤等が挙げられる。
(2)コアレスビルドアップ法によるプリント配線板の製造
本発明の方法におけるプリント配線板の製造は、上記キャリア付銅箔を用いたコアレスビルドアップ法により行われる。コアレスビルドアップ法の好ましい態様としては、埋め込み回路形成法と、キャリア/サブトラクティブ加工法等が挙げられる。各方法は具体的には以下のとおりである。
埋め込み回路形成法は、キャリアと支持体(例えばプリプレグ)の積層による支持体の作製、極薄銅層上へのパターン回路の形成、ビルドアップ配線層の形成、支持体の剥離、及び極薄銅層上のフラッシュエッチングを経て行われる手法である。図1A及び1Bにこの製造法の工程図を示す。なお、図1A及び1Bに示される態様は説明の簡略化のためにコアレス支持体18の片面にキャリア付銅箔10を設けてビルドアップ配線層42を形成するように描かれているが、コアレス支持体18の両面にキャリア付銅箔10を設けて当該両面に対してビルドアップ配線層42を形成するのが望ましい。図1A及び1Bに示される例では、まず、キャリア12、剥離層14及び極薄銅層16をこの順に備えたキャリア付銅箔10を用意し、キャリア付銅箔10をキャリア12側でプリプレグ等のコアレス支持体18に積層する。次いで、極薄銅層16にフォトレジストパターン20を形成し、パターンめっき(電気銅めっき)22の形成及びフォトレジストパターン20の剥離を経て配線パターン24を形成させる。そして、パターンめっきに粗化処理等の積層前処理を施して第1配線層26とする。次いで、図1Bに示されるように、ビルドアップ配線層42を形成すべく配線パターン24を絶縁層28に埋め込まれた構造とする。この積層工程では、絶縁層28及びキャリア付銅箔30(キャリア32、剥離層34及び極薄銅層36を備える)を積層し、キャリア32を剥離し、かつ、炭酸ガスレーザー等により極薄銅層36及びその直下の絶縁層28をレーザー加工する。続いて、フォトレジスト加工、無電解銅めっき、電解銅めっき、フォトレジスト剥離及びフラッシュエッチング等によりパターニングを行って第2配線層38を形成し、このパターニングを必要に応じて繰り返して第n配線層40(nは2以上の整数)まで形成する。そして、コアレス支持体18をキャリア12とともに剥離して、配線パターン24の表面に露出する極薄銅層16をフラッシュエッチングにより除去して所定の埋め込み回路パターンを得る。こうして所定の埋め込み回路パターンを備えたプリント配線板46を得ることができる。本態様においては、コアレス支持体18がキャリア12とともに剥離される際に極薄銅層16が破れにくいため、極薄銅層16におけるピンホールの形成及びそれによるフラッシュエッチング時の配線パターン24のオーバーエッチングといった不具合を効果的に回避することができる。
キャリア/サブトラクティブ加工法は、極薄銅層とプリプレグの積層による支持体の作製、キャリア上へのビルドアップ配線層の作製、支持体の剥離、キャリアのサブトラクティブ加工(すなわちレジスト形成、エッチング、及びレジスト剥離)を経て行われる手法である。図2A及び2Bにこの製造法の工程図を示す(同図においては説明の便宜上、同一名称の部材には図1A及び1Bと同じ符号を用いている)。なお、図2A及び2Bに示される態様は説明の簡略化のためにコアレス支持体18の片面にキャリア付銅箔10を設けてビルドアップ配線層42を形成するように描かれているが、コアレス支持体18の両面にキャリア付銅箔10を設けて当該両面に対してビルドアップ配線層42を形成するのが望ましい。図2A及び2Bに示される例では、まず、キャリア12、剥離層14及び極薄銅層16をこの順に備えたキャリア付銅箔10を用意し、キャリア付銅箔10を極薄銅層16側でプリプレグ等のコアレス支持体18に積層する。次いで、第1配線層26の形成をまだ行わないこと以外は図1A及び1Bに示される例と同様にして、絶縁層28を介してパターニングされた第2配線層38を形成し、このパターニングを必要に応じて繰り返して図示しない第(n−1)層(nは2以上の整数)まで積層した後、第n配線層40(nは2以上の整数)を形成するためのパネルめっきを行う。そして、コアレス支持体18を極薄銅層16とともに剥離して、所定の配線パターンが形成される前段階のビルドアップ配線層42を含む多層配線板44を得る。得られた多層配線板44の両面(すなわち第n配線層40の表面とキャリア12の表面)にエッチングレジスト21のパターンを形成する。こうしてエッチングレジスト21でマスキングされた多層配線板44に対して、銅エッチング及びエッチングレジスト21の剥離を行い、多層配線板44の第n配線層40と反対側の表面に第1配線層26を形成させる。こうして所定の配線パターンを備えたプリント配線板46を得ることができる。本態様においては、コアレス支持体18が極薄銅層16とともに剥離される際に極薄銅層16が破れにくいため、極薄銅層のキャリアへの部分残渣を効果的に回避することができる。そのため、部分残渣を除去する為の洗浄工程や化学エッチング工程などの追加工程を不要にすることができ、製造効率の向上や、第1配線層26の厚さ精度の向上につながる。
上記いずれの態様においても、コアレスビルドアップ法によるプリント配線板の製造は、(2a)キャリア12又は極薄銅層16の上にビルドアップ配線層42を形成してビルドアップ配線層付積層体を作製し、(2b)ビルドアップ配線層付積層体を剥離層14で分離してビルドアップ配線層42を含む多層配線板44を得た後、(2c)多層配線板44を加工してプリント配線板46を得ることにより行われる。また、上述したように、本発明の方法は、ビルドアップ配線層42の形成前に、キャリア付銅箔10を支持体18(例えばプリプレグや樹脂シート等の絶縁樹脂基材)の片面又は両面に積層して積層体を形成する工程をさらに含んでもよいのはいうまでもない。なお、プリプレグとは、合成樹脂板、ガラス板、ガラス織布、ガラス不織布、紙等の基材に合成樹脂を含浸させた複合材料の総称である。プリプレグに含浸される絶縁性樹脂の好ましい例としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、樹脂シートを構成する絶縁性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂等の絶縁樹脂が挙げられる。以下、(2a)〜(2c)の各工程について説明する。
(2a)ビルドアップ配線層の形成
キャリア12又は極薄銅層16の上にビルドアップ配線層42を形成してビルドアップ配線層付積層体を作製する。図1A及び1Bに示されるような埋め込み回路形成法の場合には、ビルドアップ配線層42は極薄銅層16の上に形成される。例えば、極薄銅層16上に既に形成されている第1配線層26に加え、絶縁層28及び第2配線層38が順に形成されてビルドアップ配線層42とされうる。第2配線層38以降のビルドアップ層の形成方法についての工法は特に限定されず、サブトラクティブ法、MSAP(モディファイド・セミ・アディティブ・プロセス)法、SAP(セミアディティブ)法、フルアディティブ法等が使用可能である。例えば、樹脂層及び銅箔に代表される金属箔を同時にプレス加工で張り合わせる場合は、ビアホール形成及びパネルめっき等の層間導通手段の形成と組み合わせて、当該パネルめっき層及び金属箔をエッチング加工して、配線パターンを形成することができる。また、極薄銅層16の表面に樹脂層のみをプレス又はラミネート加工により張り合わせる場合は、その表面にセミアディティブ法で配線パターンを形成することもできる。一方、図2A及び2Bに示されるようなキャリア/サブトラクティブ加工法の場合には、ビルドアップ配線層42はキャリア12の上に形成される。例えば、キャリア12上に絶縁層28及び第2配線層38が順に形成されてビルドアップ配線層42とされうる。
ビルドアップ配線層を形成する工程は、レーザー等でビアホールを形成した際に生じるビアホール底部の樹脂残渣(スミア)を除去する処理として、クロム酸塩溶液及び過マンガン酸塩溶液の少なくともいずれか一方を用いたデスミア工程を含むのが好ましい。デスミア工程は、膨潤処理、クロム酸処理又は過マンガン酸処理、及び還元処理という処理をこの順に行う工程であり、公知の湿式プロセスが採用されうる。本発明の方法によれば、このデスミア工程においてクロム酸塩溶液ないし過マンガン酸塩溶液のキャリアと極薄銅層との間の界面への浸入を効果的に防止することができる。クロム酸塩の例としては、クロム酸カリウムが挙げられる。過マンガン酸塩の例としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。特に、デスミア処理液の環境負荷物質の排出低減、電解再生性などの点から、過マンガン酸塩を用いるのが好ましい。
上記工程を必要に応じて繰り返して、ビルドアップ配線層付積層体を得る。この工程では樹脂層と配線パターンを含む配線層とを交互に積層配置したビルドアップ配線層を形成して、第n配線層40(nは2以上の整数)まで形成されたビルドアップ配線層付積層体を得るのが好ましい。この工程の繰り返しは所望の層数のビルドアップ配線層が形成されるまで行えばよい。この段階で、必要に応じて、外層面にソルダーレジストや、ピラー等の実装用のバンプ等を形成してもよい。また、ビルドアップ配線層の最外層面は後の多層配線板の加工工程(2c)で外層配線パターンを形成してもよい。
(2b)ビルドアップ配線層付積層体の分離
ビルドアップ配線層付積層体を剥離層14で分離してビルドアップ配線層42を含む多層配線板44を得る。この分離は、極薄銅層16及び/又はキャリア12を引き剥がすことにより行うことができる。
(2c)多層配線板の加工
多層配線板44を加工してプリント配線板46を得る。この工程では、上記分離工程により得られた多層配線板44を用いて、所望の多層プリント配線板に加工する。多層配線板44から多層プリント配線板46への加工方法は公知の種々の方法を採用すればよい。例えば、多層配線板44の外層にあるキャリア12又は極薄銅層16をエッチングして外層回路配線を形成して、多層プリント配線板を得ることができる。また、多層配線板44の外層にあるキャリア12又は極薄銅層16を、完全にエッチング除去し、そのままの状態で多層プリント配線板46として使用することもできる。また、多層配線板44の外層にあるキャリア12又は極薄銅層16の外表面にフォトレジスト層を形成して電解銅めっきを行い、フォトレジストを剥離した後、キャリア12又は極薄銅層16をフラッシュエッチングする等のセミアディティブ法等で外層回路を直接形成する等して多層プリント配線板とすることも可能である。さらに、多層配線板44の外層にあるキャリア12又は極薄銅層16を、完全にエッチング除去するとともに第1配線層26をソフトエッチングすることで、凹部の形成された第1配線層26を得て、これを実装用のパッドとなすことも可能である。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1〜7
キャリアの析出面側に剥離層及び極薄銅層を順に形成した後、防錆処理及びシランカップリング剤処理を行うことで、キャリア付銅箔を作製した。そして、得られたキャリア付銅箔について各種評価を行った。具体的な手順は以下のとおりである。
(1)キャリアの作製
陰極に算術平均粗さRa(JIS B0601−2001に準拠)が0.20μmのチタン製の回転電極を用い、陽極にはDSA(寸法安定性陽極)を用い、銅電解液として以下の表1に示される組成の硫酸酸性硫酸銅溶液を用いて表1に示される条件で電解製箔を行い、表1に示される厚さの電解銅箔をキャリアとして得た。
Figure 2017073121
(2)剥離層の形成
酸洗処理されたキャリアの析出面を、CBTA(カルボキシベンゾトリアゾール)濃度1g/L、硫酸濃度150g/L及び銅濃度10g/LのCBTA水溶液に、液温30℃で30秒間浸漬し、CBTA成分をキャリアの電極面に吸着させた。こうして、キャリアの電極面にCBTA層を有機剥離層として形成した。この有機剥離層は、面積重量換算法で測定したところ、厚さは8nmであった。
(3)補助金属層の形成
有機剥離層が形成されたキャリアを、硫酸ニッケルを用いて作製されたニッケル濃度20g/Lを含む溶液に浸漬して、液温45℃、pH3、電流密度5A/dmの条件で、厚さ0.01μm相当の付着量のニッケルを有機剥離層上に付着させた。こうして有機剥離層上にニッケル層を補助金属層として形成した。
(4)極薄銅層の形成
補助金属層が形成されたキャリアを、以下に示される組成の銅溶液に浸漬して、溶液温度50℃、電流密度5〜30A/dmで電解し、厚さ3μmの極薄銅層を補助金属層上に形成した。
<溶液の組成>
‐ 銅濃度:60g/L
‐ 硫酸濃度:200g/L
(5)粗化処理
こうして形成された極薄銅層の表面に粗化処理を行った。この粗化処理は、極薄銅層の上に微細銅粒を析出付着させる焼けめっき工程と、この微細銅粒の脱落を防止するための被せめっき工程とから構成される。焼けめっき工程では、銅濃度10g/L及び硫酸濃度120g/Lを含む酸性硫酸銅溶液を用いて、液温25℃、電流密度15A/dmで粗化処理を行った。その後の被せめっき工程では、銅濃度70g/L及び硫酸濃度120g/Lを含む酸性硫酸銅溶液を用いて、液温40℃及び電流密度15A/dmの平滑めっき条件で電着を行った。
(6)防錆処理
得られたキャリア付銅箔の粗化処理層の表面に、亜鉛−ニッケル合金めっき処理及びクロメート処理からなる防錆処理を行った。まず、亜鉛濃度0.2g/L、ニッケル濃度2g/L及びピロリン酸カリウム濃度300g/Lの電解液を用い、液温40℃、電流密度0.5A/dmの条件で、粗化処理層及びキャリアの表面に亜鉛−ニッケル合金めっき処理を行った。次いで、クロム酸3g/L水溶液を用い、pH10、電流密度5A/dmの条件で、亜鉛−ニッケル合金めっき処理を行った表面にクロメート処理を行った。
(7)シランカップリング剤処理
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2g/L含む水溶液をキャリア付銅箔の極薄銅層側の表面に吸着させ、電熱器により水分を蒸発させることにより、シランカップリング剤処理を行った。このとき、シランカップリング剤処理はキャリア側には行わなかった。
(8)評価
こうして得られたキャリア付銅箔について、各種特性の評価を以下のとおり行った。
<表面性状パラメータ>
キャリア付銅箔からキャリアを引き剥がし、表面粗さ測定器(SE3500、株式会社小坂研究所製)を用いて、キャリアの剥離層側の面における、ピークカウントPc、うねり曲線要素の平均高さWc、及び十点平均粗さRzを以下の諸条件にて測定した。結果は表2に示されるとおりであった。
[ピークカウントPc]
‐ 準拠規格:JIS B0601−2001(ISO 4287−1997)
‐ カットオフ値:0.8mm
‐ 評価長さ:0.8mm
[平均高さWc]
‐ 準拠規格:JIS B0601−2001(ISO 4287−1997)
‐ カットオフ値:fh 0.8mm/fl 8.0mm
‐ 評価長さ:16mm
[十点平均粗さRz]
‐ 準拠規格:JIS B0601−1994
‐ カットオフ値:0.8mm
‐ 評価長さ:0.8mm
<薬液浸食量>
キャリア付銅箔を用いて銅張積層板を作製し、銅張積層板に対する薬液浸食量を調べた。まず、キャリア付銅箔の極薄銅層をプリプレグ(三菱瓦斯化学株式会社製、FR−4)に積層して185℃で90分間プレスした。こうして得られた銅張積層板の端面をシャー切断機で切断した。切断された銅張積層板に対して過マンガン酸ナトリウム溶液を用いたデスミア処理を実施した。
このデスミア処理は、ローム・アンド・ハース電子材料株式会社の以下に示される処理液を用いて、以下の各処理を順に行うことにより実施した。
[膨潤処理]
‐ 処理液:サーキュポジットMLBコンディショナー211‐120mL/L、及びサーキュポジットZ‐100mL/L
‐ 処理条件:75℃で5分間浸漬
[過マンガン酸処理]
‐ 処理液:サーキュポジットMLBプロモーター213A‐110mL/L、及びサーキュポジットMLBプロモーター213B‐150mL/L
‐ 処理条件:80℃で5分間浸漬
[中和処理]
‐ 処理液:サーキュポジットMLBニュートラライザー216−2‐200mL/L
‐ 処理条件:45℃で5分間浸漬
その後、銅張積層板からキャリアを剥離し、極薄銅層表面の浸食量を顕微鏡で観察することにより測定した。極薄銅層表面における過マンガン酸ナトリウム溶液が侵入した領域は変色するため、上記浸食量の測定は、極薄銅層表面における変色領域の極薄銅層端部からの最大到達距離を計測することにより行った。結果は表2に示されるとおりであった。
<極薄銅層破れ>
キャリア付銅箔を用いて銅張積層板を作製し、キャリアの剥離による極薄銅層破れの程度を調べた。まず、キャリア付銅箔の極薄銅層をプリプレグ(三菱瓦斯化学株式会社製、FR−4)に積層して185℃で90分間プレスした。こうして得られた銅張積層板からキャリアを剥離した。暗室にて極薄銅層にバックライトを照射して、長さ5μm以上の極薄銅層の破れの個数を計測して、1m当たりの個数に換算した。結果は表2に示されるとおりであった。
<埋込み回路の配線パターンの欠け/えぐれ評価>
上記極薄銅層破れに起因するコアレス支持体表面の配線パターン(すなわちビルドアップ配線としての埋込み回路)のオーバーエッチングを調べるべく、埋め込み回路形成法を用いてサンプルの作成及び評価を以下のとおり行った。
キャリア付銅箔のキャリアを4枚のプリプレグ(三菱ガス化学株式会社製、FR−4)に積層して185℃で90分間プレスし、コアレス支持体を作成した。その後、厚さ15μmのフォトレジストでライン/スペース(L/S)が12μm/12μmの配線パターンエリア(大きさ10mm□×20ピース)を形成し、硫酸銅めっき液により12μmの厚さで電気銅めっきを形成した。さらに、フォトレジスト剥離液を用いて、フォトレジストの剥離を45℃で5分間行って銅めっきパターンを形成した。次いで、1枚のプリプレグ(三菱ガス化学株式会社製、FR−4)を積層して185℃で90分間プレスして、ビルドアップ層を形成した。その後、上記コアレス支持体を剥離してビルドアップ配線板を得た。このビルドアップ配線板の表面に露出した極薄銅層に対して、硫酸/過酸化水素水溶液をシャワー噴霧し、極薄銅層をエッチング除去した。このようにしてビルドアップ層に埋め込まれた回路を200倍の顕微鏡で観察することにより、配線パターンの欠け/えぐれが発生したピース発生率をカウントした。結果は表2に示されるとおりであった。
結果
例1〜7において得られた評価結果は表2に示されるとおりであった。
Figure 2017073121
表2に示される結果から、キャリアの剥離層側の面においてWc×Pcが20〜50μmの範囲内であるキャリア付銅箔を用いることによって、薬液浸食量も極薄銅層破れも有意に低減され、これらにより埋め込み回路の配線パターン不良も有意に低減されていることが分かる。


Claims (7)

  1. プリント配線板の製造方法であって、
    キャリア、剥離層及び極薄銅層をこの順に備えたキャリア付銅箔であって、前記キャリアの前記剥離層側の面において、JIS B0601−2001に準拠して測定されるうねり曲線要素の平均高さWcとピークカウントPcの積であるWc×Pcが20〜50μmである、キャリア付銅箔を用意する工程と、
    前記キャリア又は前記極薄銅層の上にビルドアップ配線層を形成してビルドアップ配線層付積層体を作製する工程と、
    前記ビルドアップ配線層付積層体を前記剥離層で分離して前記ビルドアップ配線層を含む多層配線板を得る工程と、
    前記多層配線板を加工してプリント配線板を得る工程と、
    を含む、方法。
  2. 前記ビルドアップ配線層の形成前に、前記キャリア付銅箔を支持体の片面又は両面に積層して積層体を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記キャリアの前記剥離層側の面において、前記Wcが0.5〜1.0μmである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記キャリアの前記剥離層側の面において、前記Pcが22〜65である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記キャリアの前記剥離層側の面において、JIS B0601−1994に準拠して測定される十点平均粗さRzが1.5〜6.5μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記キャリアの前記剥離層側の面において、前記Wc×Pcが26〜30μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ビルドアップ配線層を形成する工程が、クロム酸塩溶液及び過マンガン酸塩溶液の少なくともいずれか一方を用いたデスミア工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
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