JPWO2016199532A1 - 清酒酵母含有組成物 - Google Patents

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Abstract

硬度及び崩壊性をバランスよく発揮することのできる清酒酵母含有組成物を得ること。本発明は、成分(A):清酒酵母菌体、成分(B):結晶セルロース、及び成分(C):滑沢剤を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)の質量比率(B)/(A)が0.07以上1.3未満である組成物を提供する。組成物は、錠剤であることが好ましい。また、組成物は、食品用組成物として利用できる。

Description

本発明は、清酒酵母を含有する組成物に関する。
清酒酵母は、ビタミン類、アミノ酸類、食物繊維、ミネラル分などの栄養成分を豊富に含んでいる。特に、清酒酵母の葉酸含有量は、ビール酵母、パン酵母等の他の酵母のそれと比較して高く、清酒酵母の摂取は栄養補給等に役立つ。清酒酵母は、その服用性に鑑みると、錠剤等の剤形に製剤化して服用することが好ましい。
特許文献1及び2には、ビール酵母粉末を含む錠剤が結晶セルロースを打錠して錠剤を得ることが記載されている。特許文献3には、酵母の乾燥菌体、微細結晶セルロース、グリセロールベヘナート及びステアリン酸マグネシウムを含む錠剤の組成が記載されている。
特開2003−250487号公報 特開2003−250488号公報 特表2008−541773号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の錠剤においては、その成分、含有比等の条件により硬度及び崩壊性をバランスよく保持することが難しいという問題点があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、硬度及び崩壊性をバランスよく発揮することのできる錠剤となり得る清酒酵母含有組成物を得ることを目的とする。
本発明は、〔1〕〜〔8〕の発明を提供する。
〔1〕成分(A):清酒酵母菌体、
成分(B):結晶セルロース、及び
成分(C):滑沢剤を含有し、
成分(A)の含有量に対する成分(B)の質量比率(B)/(A)が0.07以上1.3未満である
組成物。
〔2〕成分(C)が、ステアリン酸カルシウムまたはショ糖脂肪酸エステルを少なくとも含有する、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕成分(C)が、ステアリン酸カルシウムである、〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕成分(A)の含有量に対する成分(C)の質量比率(C)/(A)が0.006以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔5〕成分(B)の含有量に対する成分(C)の質量比率(C)/(B)が0.0090以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔6〕錠剤である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔7〕食品用組成物である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔8〕成分(A):清酒酵母菌体、
成分(B):結晶セルロース、及び
成分(C):滑沢剤を含有し、
成分(A)の含有量に対する成分(B)の質量比率(B)/(A)が0.07以上1.3未満である組成物の、食品の製造における使用。
本発明によれば、硬度及び崩壊性をバランスよく発揮することのできる組成物を提供することができる。
本発明の組成物は、成分(A)〜(C)を含有する。
<成分(A):清酒酵母>
成分(A)は、清酒酵母菌体である。清酒酵母菌体は、発酵液、培養上清、培地等の培養物とともに含有されていてもよい。本明細書において、清酒酵母菌体、その培養物を含めた総称を清酒酵母と言う。
清酒酵母とは、清酒醸造に用いられる酵母である。清酒醸造に用いられる酵母は、主としてサッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)に分類される。清酒酵母としては、協会6号酵母(K−6)、協会7号酵母(K−7)、協会9号酵母(K−9)、協会601号酵母(K−601)、協会701号酵母(K−701)、協会901号酵母(K−901)、協会1001号酵母(K−1001)、協会1501号酵母(K−1501)(いずれも公益財団法人日本醸造協会頒布)が例示される。清酒酵母は、生菌体及び死菌体のいずれでもよい。
清酒酵母は、通常は乾燥菌体である。乾燥菌体とは、菌体及び/又は菌体の破砕片など菌体の一部を乾燥処理して得られる結果物である。乾燥処理としては、凍結乾燥、減圧乾燥、通気乾燥、噴霧乾燥が例示される。乾燥菌体は、通常粉末状である。
本発明の組成物が錠剤である場合、錠剤1錠の質量に対する成分(A)の含有量(乾燥重量)は、通常15質量%以上であり、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは23質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上であり、更により好ましくは40質量%以上であり、とりわけ好ましくは50質量%以上である。これにより、錠剤として摂取錠数を適度な範囲に抑えることができるので、服用性を向上させることができる。上限は、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。これにより、錠剤として十分な硬度と良好な崩壊性が得られる。組成物が錠剤の場合の、成分(A)の錠剤1錠あたりの含有量は、15質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜60質量%であることがより好ましく、23質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
<成分(B):結晶セルロース>
成分(B)は、結晶セルロースである。結晶セルロース(B)は、結晶構造を有するセルロースであり、微結晶セルロース(微結晶構造を有するセルロース)であってもよい。結晶セルロースの製造条件は特に限定されず、α−セルロースを部分的に解重合して生成したものであってもよいし、パルプ等の原料を加水分解し非結晶部分を除去して製造してもよい。結晶セルロースは、微結晶セルロースと呼ばれているものであってもよい。結晶セルロースとしては、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製のUF、KG、PH、FD等のグレードのセオラス(登録商標)が挙げられる。好ましくは、セオラス(登録商標)FD−101、セオラス(登録商標)UF−F702、セオラス(登録商標)UF−F711が挙げられる。
本発明の組成物が錠剤である場合に、錠剤に十分な硬度及び崩壊性を付与するためには、結晶セルロースの嵩密度は、0.3g/cm3以下が好ましく、0.25g/cm3以下がより好ましく、0.1g/cm3以上が好ましく、0.15g/cm3以上がより好ましい。また、同様に、錠剤に十分な硬度及び崩壊性を付与するためには、結晶セルロースの平均粒径は100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、60μm以下が更に好ましく、1μ以上が好ましく、20μ以上がより好ましく、30μ以上が更に好ましい。
嵩密度は、第16改正日本薬局方の一般試験法の中のかさ密度及びタップ密度測定法第2法に基づいて、測定することができる。具体的には、内径30mm(実測容積25mL)の円筒容器へ試料をJIS規格の1.0mLの篩いを通して、容器の上方から均一に供給し、上面をすり切って秤量することにより求めることができる。
平均粒径は、結晶セルロースを水に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定する時(屈折率の設定;標準、分散液;1%Tween20溶液、超音波分散時間2分)の体積基準粒度分布における50%径(メディアン径、体積基準)である。
成分(B)は、1種類の結晶セルロースであってもよいし2種以上の結晶セルロースの組み合わせであってもよい。
成分(B)の含有量は、特に限定されない。しかし、組成物が錠剤の場合、成分(B)錠剤1錠あたりの含有量は、通常0.5質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。上限は、85質量%以下であり、好ましくは75質量%以下である。これにより、錠剤としての十分な錠剤硬度と良好な崩壊性を得ることができる。結晶セルロースの含有量は、0.5質量%〜85質量%であることが好ましく、10質量%〜75質量%であることがより好ましい。
<成分(C):滑沢剤>
成分(C)は、滑沢剤である。滑沢剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸又はその塩、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。ステアリン酸及びその塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステルなどが挙げられる。ショ糖ラウリン酸エステルとしては、ショ糖モノラウレート、ショ糖ジラウレート、ショ糖トリラウレート等が、ショ糖ミリスチン酸エステルとしては、ショ糖モノミリステート、ショ糖ジミリステート、ショ糖トリミリステート等が、ショ糖パルミチン酸エステルとしては、ショ糖モノパルミテート、ショ糖ジパルミテート、ショ糖トリパルミテート等が、ショ糖ステアリン酸エステルとしては、ショ糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、ショ糖トリステアレート等が挙げられる。
成分(C)は、1種の滑沢剤でもよいし、2種以上の滑沢剤の組み合わせでもよい。成分(C)は、ステアリン酸又はその塩(好ましくはステアリン酸カルシウム)もしくはショ糖脂肪酸エステルを少なくとも含有することが好ましく、ステアリン酸カルシウム又はその塩(好ましくはステアリン酸カルシウム)もしくはショ糖脂肪酸エステルであることがさらに好ましく、ショ糖脂肪酸エステルであることがさらにより好ましい。
成分(C)の含有量は特に限定されないが、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましい。上限は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。従って、0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物の剤形としては、例えば、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、錠剤状(錠剤、タブレット)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられるが、通常は錠剤である。
<(B)/(A)>
組成物において、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比率(B)/(A)が0.07以上であることが好ましい。これにより、組成物が錠剤である場合に錠剤の硬度を保つことができる。また、質量比(B)/(A)の上限値は、1.3未満であることが好ましい。
<(C)/(A)>
組成物において、成分(A)の含有量に対する成分(C)の含有量の質量比率(C)/(A)が0.006以上であることが好ましく、0.007以上であることがより好ましく、0.009以上であることがさらに好ましく、0.0092以上であることがさらにより好ましい。これにより、硬度及び崩壊性の両方に優れた錠剤を得ることができる。また、質量比(C)/(A)の上限値は、特に限定はないが、0.1未満であることが好ましく、0.05未満であることが好ましい。
<(C)/(B)>
組成物において、成分(B)の含有量に対する成分(C)の含有量の質量比率(C)/(B)が0.0090以上であることが好ましく、0.0100以上であることがより好ましく、0.0120以上であることがさらに好ましい。これにより、硬度及び崩壊性の両方に優れた錠剤を得ることができる。また、質量比(C)/(B)の上限値は、特に限定はないが、0.5000未満であることが好ましく、0.2500未満であることが好ましい。
組成物が錠剤の場合には、上記質量比率の少なくとも1つを満たすことが好ましく、(C)/(A)を少なくとも満たすことがより好ましく、(C)/(A)及び(C)/(B)を少なくとも満たすことがさらに好ましく、すべての質量比率を満たすことがさらにより好ましい。
本発明の組成物は、その効果に悪影響を及ぼさない限り、本発明の効果を損なわない程度の量で、他の医薬品、医薬部外品、食品等の錠剤の製造に用いられているその他の成分、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、腸溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、滑沢剤、界面活性剤、着色剤、矯味剤、吸着剤、帯電防止剤、崩壊延長剤、発泡剤、油性成分、コーティング剤、発色剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、膨張剤、増粘剤などの成分を含んでいてもよい。
賦形剤としては、例えば、デンプン、コーンスターチ、バレイショデンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のスターチ及びその誘導体;グラニュウ糖、マンニトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、含水ブドウ糖、白糖、精製白糖、トレハロース、パラチノース、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、還元パラチノース、粉末還元麦芽糖水飴、マルチトール等の糖類及び糖アルコール類;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素(別名:無水ケイ酸、微粒二酸化ケイ素)、軽質無水ケイ酸、微粒酸化ケイ素、酸化チタン、水酸化アルミニウムゲル等の無機賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース及びその誘導体;ポリビニルピロリドン、部分けん化ポリビニルアルコール等の合成高分子;ゼラチン、アラビアゴム末、プルラン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム等の多糖類などが挙げられる。賦形剤の含有量は特に限定されないが、0.1質量%〜80質量%であることが好ましく、0.3質量%〜74質量%であることが更に好ましい。
結合剤としては、例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、ポリビニルアルコール、デンプン、α化デンプンなどが挙げられる。これらのうち、カルボキシメチルセルロースカルシウムが好ましい。結合剤の含有量は特に限定されないが、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドン、部分アルファ化デンプン、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、コーンスターチ、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチなどが挙げられる。崩壊剤の含有量は特に限定されないが、合計で0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましい。
腸溶性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースなどが挙げられる。
水不溶性ポリマーとしては、例えば、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(例えば、オイドラギッドE、オイドラギッドRS等)、メタクリル酸コポリマー(例えば、オイドラギットL30−55等)などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、タール色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類、緑茶抽出物、銅クロロフィリンナトリウム、食用黄色5号,食用赤色2号,食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素などが挙げられる。
矯味剤としては、例えば、甘味剤(例、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどの人工甘味料など)、香料(例、レモン、レモンライム、オレンジ、l−メントール、ハッカ油、ペパーミントミクロンX−8277−T、ドライコート抹茶#421など)、酸味料(例、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸など)、緑茶末などが挙げられる。
吸着剤としては、例えば、特殊ケイ酸カルシウム(フローライト)などが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸(エアロジル)などが挙げられる。
発泡剤としては、例えば、重曹などが挙げられる。
油性成分としては、例えば、脂肪酸エステル、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。
組成物の製造方法は特に限定されず、通常の製造方法の中から剤型、用途等により適宜選択すればよい。例えば錠剤の場合、その製造方法は特に限定されず、必要に応じて湿式造粒、乾式造粒等の方法を用いて造粒してもよい。また他の方法の例としては、清酒酵母、結晶セルロースと上記添加物とを混合して打錠する直接打錠法、圧縮成形による乾式顆粒とした後、または水の混合溶媒を加えて練合、造粒、乾燥して湿式顆粒とした後、あるいは水等の溶媒に添加物を溶解させ噴霧乾燥して湿式顆粒とした後、圧縮錠剤を製造する間接打錠法、またこれらを組み合わせた方法が挙げられる。このうち直接打錠法が好ましい。
錠剤は、コーティング剤によるコーティング処理が施されていてもよい。コーティング剤としては、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の合成高分子、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル等の合成エステル類、シェラック、プルラン等の天然物質、又はこれらの組み合わせが例示される。また、必要に応じて酸化チタン、酸化鉄などの顔料、マンニトール、セタノール、ラウリル硫酸ナトリウム等の任意成分を加えてもよい。また、フィルムコーティング後に、光沢化剤としてカルナバロウ等を加えることもできる。
本発明によれば、服用性に優れ、硬度、崩壊性等の錠剤物性に優れた錠剤を提供することができる。
錠剤の硬度は、硬度計(例えば、富山産業株式会社製、TH−203CP)を用いて測定することができる。硬度が5kgf以上であると、錠剤の割れ、欠け等の問題の発生を抑制することができる。錠剤にコーティング等の処理を施す場合には、硬度が5.5kgf以上であると、該処理の際の作業性を向上することができる。
崩壊性は、日本薬局方一般試験法に記載される方法を用いて崩壊時間を測定し評価することができる。崩壊時間は、60分未満であることが好ましく、50分未満であることがより好ましく、40分未満であることがさらに好ましい。崩壊時間が短いほど即効性に優れた錠剤であると評価できる。
<食品用組成物>
本発明の組成物は、医薬、医薬部外品又は食品用組成物として用いることができる。これにより、上記組成物が体内で各種機能を発揮し、疾患の治療、改善、予防、健康の維持、回復効果を得ることができる。本発明の組成物は、食品用組成物として用いることが好ましい。
食品用組成物は、特に限定されないが、動物又は植物を包含しないことが好ましい。例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)が挙げられる。更に、本発明の組成物は、健康食品、機能性食品、健康食品、健康補助食品(サプリメント)、栄養補助食品、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の飲食品として利用することもできる。これらのうち、健康補助食品として利用することが好ましい。
本発明の食品用組成物は、健康食品、機能性食品、健康補助食品(サプリメント)、栄養補助食品、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の食品用組成物として利用することもできる。
以下に、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明の実施態様は、この実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜10及び比較例1〜5]
清酒酵母粉末(三菱ガス化学株式会社製。酵母粉末中の菌体量70%)、結晶セルロースを混合した後、ステアリン酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)及びショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製)を添加混合し、直打法により打錠した。打錠圧は、8kNに調整した。なお、結晶セルロースとしてはセオラス(登録商標)FD−101(旭化成ケミカルズ株式会社製)を用いた。
得られた各錠剤の硬度と崩壊時間を測定した。
[硬度]
硬度の測定は、硬度計(富山産業株式会社製、TH−203CP)によって行い、下記の基準により判定した。
[崩壊性]
第十六改正日本薬局方に収載される錠剤の崩壊試験法に準じて崩壊試験を行い、崩壊時間(分)を測定した。崩壊試験液はイオン交換水を使用し、水浴温度は37℃とした。測定回数6回の平均値を算出し、下記の基準により判定した。
[硬度の判定基準]
硬度が5kgf以上であれば割れ及び欠けの発生を抑えることができ、錠剤として許容できると判断した。
○:5kgf以上
×:5kgf未満
[崩壊性の判定基準]
崩壊時間が60分未満であれば許容と判断した。即効性を考慮すると、短時間であるほうが好ましい。
☆:40分未満
◎:40分以上、45分未満
○:45分以上、50分未満
△:50分以上、60分未満
×:60分以上
[総合判定の基準]
錠剤の総合判定として、製造・品質に問題のない硬度を持つ錠剤のうち、崩壊時間がより短時間であるほうが好ましい。上記の硬度、崩壊性判定基準から以下のように総合判定を行った。
☆:硬度 ○、崩壊性 ☆
◎:硬度 ○、崩壊性 ◎
○:硬度 ○、崩壊性 ○
△:硬度 ○、崩壊性 △
×:硬度、崩壊性のいずれかが×であるもの
各錠剤の1錠あたりの各成分の含有量と評価を、表1及び表2に示す。
Figure 2016199532
Figure 2016199532
〔表中の脚注〕
※清酒酵母中の清酒酵母菌体(A)としての量(清酒酵母菌体(A)量=清酒酵母量×0.7)〔乾燥質量〕
表1及び表2より、実施例1〜10では硬度及び崩壊性が良好であったのに対し、(C)成分を含まない比較例1〜5では硬度及び崩壊性のいずれかが低くバランスよく両者を持ち合わせるものがなかった。この結果は、本発明の錠剤が、硬度、崩壊性等の錠剤物性に優れていることを示している。
処方例1
清酒酵母粉末 200mg
清酒酵母菌体 140mg
セルロース 99mg
グリセリン脂肪酸エステル 1.2mg
処方例2
清酒酵母粉末 200mg
清酒酵母菌体 140mg
セルロース 99mg
タルク 1.2mg
処方例3
清酒酵母粉末 200mg
清酒酵母菌体 140mg
セルロース 99mg
ステアリン酸マグネシウム 1.2mg

Claims (8)

  1. 成分(A):清酒酵母菌体、
    成分(B):結晶セルロース、及び
    成分(C):滑沢剤を含有し、
    成分(A)の含有量に対する成分(B)の質量比率(B)/(A)が0.07以上1.3未満である
    組成物。
  2. 成分(C)が、ステアリン酸カルシウムまたはショ糖脂肪酸エステルを少なくとも含有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 成分(C)が、ステアリン酸カルシウムである、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 成分(A)の含有量に対する成分(C)の質量比率(C)/(A)が0.006以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 成分(B)の含有量に対する成分(C)の質量比率(C)/(B)が0.0090以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 錠剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 食品用組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 成分(A):清酒酵母菌体、
    成分(B):結晶セルロース、及び
    成分(C):滑沢剤を含有し、
    成分(A)の含有量に対する成分(B)の質量比率(B)/(A)が0.07以上1.3未満である組成物の、食品の製造における使用。
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