JP2023020095A - 腸溶性固形製剤 - Google Patents

腸溶性固形製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2023020095A
JP2023020095A JP2021125284A JP2021125284A JP2023020095A JP 2023020095 A JP2023020095 A JP 2023020095A JP 2021125284 A JP2021125284 A JP 2021125284A JP 2021125284 A JP2021125284 A JP 2021125284A JP 2023020095 A JP2023020095 A JP 2023020095A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
enteric
less
lactoferrin
solid preparation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021125284A
Other languages
English (en)
Inventor
景子 大西
Keiko Onishi
卓実 満留
Takumi Mitsutome
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lion Corp filed Critical Lion Corp
Priority to JP2021125284A priority Critical patent/JP2023020095A/ja
Publication of JP2023020095A publication Critical patent/JP2023020095A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】優れた胃液耐性、及び経時後においても高い腸液溶出性を有する腸溶性固形製剤の提供。【解決手段】(A)ラクトフェリンと、(B)乳酸菌と、(C)デキストロース当量(DE)が30以下であるデキストリンと、を含有する腸溶性固形製剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、腸溶性固形製剤に関する。
近年、市販されている腸溶性固形製剤には、一般的な有効成分として、ラクトフェリンや乳酸菌などが含まれている。ラクトフェリンは便通改善機能、腸内フローラ改善機能、及び免疫維持機能など様々な生理機能を発現することが知られており、既に機能性表示食品や健康食品など様々な製品が市販されている。また、乳酸菌(例えば、ラクチカゼイバシラス カゼイ(Lacticaseibacillus casei))は、便通改善機能のほか、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状の予防及び緩和機能などの生理機能を発現することが知られている。ラクトフェリン及び乳酸菌における共通の生理機能は、作用機序がそれぞれ異なる場合が多いため、両成分を配合することにより、目的の生理機能を複合的に発現させ、健康増進効果を相乗的にもたらすことができる。また、ラクトフェリンや乳酸菌は、胃酸やペプシンなどの消化酵素によって分解を受けやすいため、生理機能を最大限活用するために、胃で溶出せず腸で溶出する腸溶性固形製剤が開発されている。
優れた腸内環境改善効果を得る目的で、ラクトフェリンと、乳酸菌であるラクトバチルス ブレビスの死菌とを有効成分として含有する腸内環境改善剤が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、前記特許文献1における腸内環境改善剤は、高温環境下において保存されると、経時変化が生じ、ラクトフェリンの腸液溶出性が低下するという問題があった。また、不溶性高分子であるペプチドグリカンに覆われた乳酸菌と、ラクトフェリンとを併用すると、経時後のラクトフェリン腸液溶出性がより一層低下するという問題があった。
さらに、前記特許文献1における腸内環境改善剤は、胃液などの酸性溶液中において、腸溶被膜細孔からの有効成分の溶出や、腸溶被膜不均一性によるホールが製剤崩壊を招くといった胃液耐性に問題があった。これらの問題は、高温環境下における保存において、腸溶被膜構成成分の劣化を介して助長されると考えられている。
したがって、優れた胃液耐性、及び経時後においても高い腸液溶出性を有する腸溶性固形製剤は未だ提供されておらず、その速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
特開2014―111668号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、優れた胃液耐性、及び経時後においても高い腸液溶出性を有する腸溶性固形製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の腸溶性固形製剤は、(A)ラクトフェリンと、(B)乳酸菌と、(C)デキストロース当量(DE)が30以下であるデキストリンと、を含有することにより、優れた胃液耐性、及び経時後においても高い腸液溶出性を有することを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。
<1>(A)ラクトフェリンと、(B)乳酸菌と、(C)デキストロース当量(DE)が30以下であるデキストリンと、を含有する腸溶性固形製剤である。
<2>前記(C)デキストロース当量(DE)が、10以上30以下である、前記<1>に記載の腸溶性固形製剤である。
<3>前記(A)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の質量比[(C)/(A)]が、0.05以上0.6以下である、前記<1>に記載の腸溶性固形製剤である。
<4>前記(B)成分が、1粒中に菌体数として1億個以上3000億個以下含有する、前記<1>~<3>のいずれかに記載の腸溶性固形製剤である。
<5>賦形剤として、セルロース又はセルロース誘導体、糖又は糖アルコールから選ばれる1種以上含む、前記<1>~<4>のいずれかに記載の腸溶性固形製剤である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた胃液耐性、及び経時後においても高い腸液溶出性を有する腸溶性固形製剤を提供するすることができる。
(腸溶性固形製剤)
本発明の腸溶性固形製剤は、(A)ラクトフェリンと、(B)乳酸菌と、(C)デキストロース当量(DE)が30以下であるデキストリンと、を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
なお、本明細書において、(A)ラクトフェリンは「(A)成分」、(B)乳酸菌は「(B)成分」、(C)デキストロース当量(DE)が30以下であるデキストリンは「(C)成分」又は「(C)デキストリン」と称することがある。
<(A)ラクトフェリン>
前記(A)ラクトフェリンは、脂質代謝を改善する機能、便秘を改善する機能、腸内フローラを改善する機能、睡眠を改善する機能、成長ホルモンの分泌を促進する機能、ドライアイ及び角膜上皮剥離を改善する機能、ドライアイ及び角膜上皮剥離から生じる目の障害を改善する機能、血圧を降下させる機能、アレルギーを改善する機能、免疫機能を維持する機能、免疫機能を改善する機能、免疫機能を向上する機能、肝機能を改善する機能などの生理機能を発現させるために含有される。特に、脂質代謝を改善する機能として内臓脂肪やBMIの低減、免疫機能を維持する機能、免疫機能を改善する機能、免疫機能を向上する機能の発現に有用である。
前記(A)ラクトフェリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、哺乳類の初乳、移行乳、常乳、末期乳等から分離したラクトフェリン、哺乳類における乳の処理物である脱脂乳やホエー等から分離したラクトフェリン、植物から生産されたラクトフェリン、遺伝子組み換えによって得られたラクトフェリンなどが挙げられる。これらの中でも、ラクトフェリン単量体が50質量%以上含まれるラクトフェリン濃縮物が好ましい。
前記哺乳類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマなどが挙げられる。
前記植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イネなどが挙げられる。
前記ラクトフェリンの分離方法として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換クロマトグラフィーなどが挙げられる。
前記ラクトフェリンは、市販品を使用してもよく、公知の方法により調製したものを使用してもよい。
前記(A)ラクトフェリンの含有量は、生理機能の発現の観点から、腸溶性固形製剤中、1質量%以上60質量%以下が好ましく、4質量%以上60質量%以下がより好ましく、15質量%以上56質量%以下がさらに好ましく、18質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
前記(A)ラクトフェリンの含有量が、腸溶性固形製剤中、1質量%以上であると、生理機能が発現し、打錠障害(バインディング)が抑えられ、摂取錠数を適度な範囲に抑えることができ、服用性が向上するため好適である。
前記(A)ラクトフェリンの含有量が、腸溶性固形製剤中、60質量%以下であると、前記ラクトフェリンの初期溶出率及び崩壊性と、ラクトフェリンの溶出性維持率と、崩壊性維持率と、経時後の胃液耐性と、素錠の成型性とが向上するため好適である。なお、本発明における「崩壊性維持率」とは、製造直後の錠剤に対して経時後の錠剤の崩壊性がどの程度維持されているのかを示す。
前記(A)ラクトフェリンの1日あたり摂取量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生理機能の発現の観点から、50mg以上1000mg以下が好ましく、100mg以上500mg以下がより好ましく、200mg以上400mg以下がさらに好ましい。
前記ラクトフェリンの製造方法としては、特に制限はなく、通常の製法にて製造されたものを用いることができ、例えば、乾燥工程を有していてもよい。
前記ラクトフェリンの製造方法における乾燥工程としては、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥などが挙げられる。前記乾燥工程によって得られたラクトフェリンは、乾燥物中に純度85%以上で含まれることが好ましい。また、前記乾燥工程における乾燥減量は、6質量%以下であることが好ましい。
前記ラクトフェリンの製造方法は、造粒、微粒子コーティング、及び粉砕などの加工工程をさらに有していてもよい。
前記(A)ラクトフェリンの平均粒子径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上300μm以下が好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましい。
なお、本発明において、平均粒子径は、レーザー回析散乱式粒度分布における50%径(メディアン径、体積基準)のことを示す。
<(B)乳酸菌>
前記(B)乳酸菌は、便通を改善する機能、腸内フローラを改善する機能、肌の潤いを維持する機能、肌を乾燥から守る機能、肌のバリア機能の維持、肌のキメを整える機能、肌荒れを防ぐ機能、肌の柔軟性を保つ機能、肌を紫外線から保護する機能、肌にハリを与える機能、肌につやを与える機能、肌を滑らかにする機能、睡眠の質を向上する機能、免疫を改善する機能、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を予防する機能、アレルギー症状を緩和する機能、血流改善機能、血圧を降下させる機能、歯周病を予防する機能、及び口臭を予防する機能などを発現させるために含有される。特に、前記(B)乳酸菌を摂取することで、肌の潤いを逃しにくくなるため、肌を乾燥から守る機能及び肌のバリア機能の維持や、便通を改善する機能の発現に有用である。
前記(B)乳酸菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラクトバシラス属、ラクチカゼイバシラス属、ラクチプランチバシラス属、ラクチラクトバシラス属、リギラクトバシラス属、レビラクトバシラス属、リモシラクトバシラス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属、ビフィドバクテリウム属などに属する乳酸菌などが挙げられる。
前記ラクトバシラス属である乳酸菌としては、例えば、ラクトバシラス ガゼリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス パラガゼリ(Lactobacillus paragasseri)、ラクトバシラス クリパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)などが挙げられる。
前記ラクチカゼイバシラス属である乳酸菌としては、例えば、ラクチカゼイバシラス カゼイ(Lacticaseibacillus casei)、ラクチカゼイバシラス パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバシラス ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、ラクチカゼイバシラス カルバタス(Latilactobacillus curvatus)などが挙げられる。
前記ラクチプランチバシラス属である乳酸菌としては、例えば、ラクチプランチバシラス プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクチプランチバシラス ペントーサス(Lactiplantibacillus pentosus)などが挙げられる。
前記ラクチラクトバシラス属である乳酸菌としては、例えば、ラクチラクトバシラス サケイ(Latilactobacillus sakei)などが挙げられる。
前記リギラクトバシラス属である乳酸菌としては、例えば、リギラクトバシラス サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)などが挙げられる。
前記レビラクトバシラス属である乳酸菌としては、例えば、レビラクトバシラス ブレビス(Levilactobacillus brevis)などが挙げられる。
前記リモシラクトバシラス属である乳酸菌としては、例えば、リモシラクトバシラス ロイテリ(Limosilactobacillus reuteri)などが挙げられる。
前記エンテロコッカス属である乳酸菌としては、例えば、エンテロコッカス フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス フェシウム(Enterococcus faecium)などが挙げられる。
前記ラクトコッカス属である乳酸菌としては、例えば、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス クレモリス(Lactococcus cremoris)などが挙げられる。
前記ストレプトコッカス属である乳酸菌としては、例えば、ストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)などが挙げられる。
前記スタフィロコッカス属である乳酸菌としては、例えば、スタフィロコッカス キシローサス(Staphylococcus xylosus)、スタフィロコッカス カルノーサス(Staphylococcus carnosus)などが挙げられる。
前記ビフィドバクテリウム属である乳酸菌としては、例えば、ビフィドバクテリウム アニマリス ラクティス(Bifidobacterium animalis lactis)、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium animalis longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)などが挙げられる。なお、前記ビフィドバクテリウム属である乳酸菌は、ビフィズス菌と称することがある。
なお、2020年Zheng et al.により、Lactobacillus属が合計25属に再分類がなされている。例えば、Lactobacillus caseiは、Lacticaseibacillus caseiに分類名が変更となっている。(Int.J.Sys.Evol.Microbiol.,2020;70:2782-2858)
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(B)乳酸菌は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、人の腸管、酪農製品、及び植物(味噌、醤油、漬物、糠、牧草、米、麦、麦芽など加工食品を含む植物由来のもの)に由来するものなどが挙げられる。これらの中でも、米又は米の加工食品から分離されたものであることが好ましい。
前記(B)乳酸菌は、生菌体であってもよく、殺菌工程を経た殺菌体であってもよい。
前記(B)乳酸菌は、後述する賦形剤等の添加剤との倍散物であってもよい。前記(B)乳酸菌が、添加剤との倍散物である場合の詳細については後述する。
本発明の腸溶性固形製剤における前記(B)乳酸菌の含有量としては、特に制限はなく、剤形、投与形態、投与対象によって適宜選択することができるが、成人一人における一日当たりの菌体数として、10億個以上1兆個以下を摂取可能となるように含有することが好ましく、20億個以上5000億個以下を摂取可能となるように含有することがより好ましく、50億個以上1000億個以下を摂取可能となるように含有することがさらに好ましい。
前記(B)乳酸菌の含有量が、成人一人において一日当たり10億個以上摂取可能となるように含有することで、生理機能が発現し、経時後の胃液耐性が向上するため好適である。
前記(B)乳酸菌の含有量が、成人一人において一日当たり1兆個以下摂取可能となるように含有することで、製剤の初期崩壊性及び経時崩壊性、初期溶出率、経時での溶出性維持率、並びに成型性が向上するため好適である。
前記(B)乳酸菌の菌体数は、1粒に対して、1億個以上3000億個以下となるように含有することが好ましく、5億個以上1600億個以下となるように含有することがより好ましく、10億個以上1000億個以下となるように含有することが特に好ましい。
前記(B)乳酸菌の菌体数は、1粒に対して、1億個以上となるように含有することで、生理機能が発現し、経時後の胃液耐性が向上するため好適である。
前記(B)乳酸菌の菌体数は、1粒に対して、3000億個以下となるように含有することで、製剤の初期崩壊性及び経時崩壊性、初期溶出率、経時での溶出性維持率、並びに成型性が向上するため好適である。
前記(B)乳酸菌の含有量は、腸溶性固形製剤中、0.05質量%以上35質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上25質量%以下がさらに好ましく、3質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
前記(B)乳酸菌の含有量が、腸溶性固形製剤中、0.05質量%以上であると、生理機能が発現し、胃液耐性が向上するため好適である。
前記(B)乳酸菌の含有量が、腸溶性固形製剤中、35質量%以下であると、製剤の初期崩壊性及び経時崩壊性、初期溶出率、経時での溶出性維持率、並びに成型性が向上するため好適である。なお、前記(B)成分が後述する賦形剤等の添加剤を含む倍散物である場合、上述した前記(B)乳酸菌の含有量に、添加剤は含まれない。
原料粉末、又は固形製剤中に含まれる乳酸菌数の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、血球計算盤測定法、DAPI染色法などが挙げられる。これら中でも、DAPI染色法による菌体数測定が好ましい。
前記DAPI染色法による菌体数測定の具体例としては、以下の方法が挙げられる。
試料0.1gを15ml遠沈管に量り、リン酸緩衝生理食塩水(無水リン酸二水素カリウム34gを精製水に溶解後、1M水酸化ナトリウムを加えてpHを7.2に調整し、全量1000mLとする)を100倍希釈となるように加えて混合する。ボルテックスミキサー及び超音波処理により均一化を行うことで得られたものを試料原液とする。さらに、前記試料原液を適宜希釈し、測定用試料液とする。
前記測定用試料液を孔径0.20μmのメンブレンフィルターで濾過した後、DAPI溶液(試薬)で約1分間反応させ、濾過装置によって濾過する。メンブレンフィルター上に捕集された細胞を落射蛍光顕微鏡で撮影する。撮影画像上の細胞数と、1画像当たりの平均細胞数とを計測し、次式により、検体1g当たりの総菌体数を算出する。
総菌体数(個/g)=1画像当たりの平均細胞数×有効濾過面積÷1画像の面積÷濾過量
なお、有効濾過面積は、使用する濾過装置の規格を確認する。
前記(B)乳酸菌は、市販品を使用してもよく、公知の方法により調製したものを使用してもよい。
前記(B)乳酸菌の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、乳酸菌の生菌を含む菌体液を、凍結乾燥する方法などによって得ることができる。また、凍結乾燥をする前に、必要に応じて、賦形剤、分散剤や保護剤等の添加剤を加えて、乳酸菌倍散物としてもよい。
前記(B)乳酸菌の調製方法において、殺菌された乳酸菌を原料として用いる場合は、乳酸菌の生菌を含む菌体液に対して、例えば、湿熱滅菌法、乾熱滅菌法、高周波滅菌法等の加熱法、酸化エチレンガス滅菌法、過酸化水素による滅菌法等のガス法、ガンマ線照射滅菌法、電子線照射滅菌法等の放射線法による殺菌を行ってもよい。
なお、前記(B)乳酸菌は、凍結保存されたものであってもよい。
前記添加剤としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択でき、例えば、デキストリン、トレハロース、バレイショデンプン、ショ糖、オリゴ糖等の糖類;乳タンパク質等のタンパク質;脂質などが挙げられる。なお、デキストリンを添加剤として用いる場合、後述するように、デキストロース当量(DE)が30以下であるデキストリンを用いることが好ましい。また、デキストリンを前記添加剤として用いる場合、前記添加剤は、本発明の腸溶性固形製剤に含まれるデキストリン全量であってもよく、デキストリンと他の任意成分とを併用したものであってもよい。
前記(B)乳酸菌が前記添加剤との倍散物である場合、倍散物中における前記(B)乳酸菌の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上90質量%以下含まれることが好ましく、10質量%以上60質量%以下含まれることがより好ましい。
倍散物中における前記(B)乳酸菌の含有量を1質量%以上とすることで、生理機能が発現し易くなるため好適である。倍散物中における前記(B)乳酸菌の含有量を90質量%以下とすることで、十分な硬度が得られ、崩壊性が良好となる。
前記(B)乳酸菌の調製に用いられる乳酸菌は、例えば、ATCC(登録商標)又はIFO等の機関や、財団法人 日本ビフィズス菌センター、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターなどから入手することができる。
<(C)デキストリン>
前記(C)成分のデキストリンは、固形製剤の賦形剤、結合剤などの目的で含有され、本発明においては、腸液溶出性維持率及び胃液耐性が向上する。
デキストリンは、澱粉を加水分解して得られるものであり、デキストロース当量(糖化率)によって分類される。前記デキストロース当量(糖化率)は、DE値(Dextrose Equivalent値)によって表すことができ、例えば、DE値が0に近いほど、澱粉により近い特性有することを示し、DE値が100により近づくほど澱粉の加水分解が進んでいることを示す。
なお、本発明における「腸液溶出性維持率」とは、製造直後の錠剤に対して経時後の錠剤の腸液溶出性が、どの程度維持されているのかを示す。
本発明の腸溶性固形製剤におけるデキストリンのデキストロース当量(DE値)は、30以下である。
前記(C)成分のデキストロース当量(DE値)は、10以上30以下であることが好ましく、10以上20以下であることがより好ましい。
前記(C)成分のデキストロース当量(DE値)が、10以上であると、腸液溶出性維持率が向上するため好適である。
前記(C)成分のデキストロース当量(DE値)が、30以下であると、腸液溶出性維持率、及び経時後の胃液耐性が向上するため好適である。
なお、本発明の腸溶性固形製剤において測定される最終的なDE値が30以下であれば、異なるDE値を有するデキストリンを複数組み合わせて用いてもよい。
前記(C)成分のデキストロース当量(DE値)の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、以下に示す(I)~(III)などの方法が挙げられる。これらの中でも、(II)の測定方法によって測定されることが好ましい。
前記DE値の測定対象としては、デキストリン単体に限られず、賦形剤や機能性成分と混合された製剤中のデキストリン、及び分散媒としてデキストリンを添加して製造された乳酸菌原料中のデキストリン等に対しても同様の測定方法で測定することができるが、製剤中に調製粉乳が含まれている場合は、(III)の測定方法によって測定されることが好ましい。
(I)消費者庁,「特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」,2014年.に記載されている「(別紙)成分規格」の難消化性デキストリンの測定方法(測定温度は15~30℃)
(II)関税中央分析所報,「デキストリン中の還元糖分の定量分析法」,関税中央分析所に記載されている測定方法(測定温度は15~30℃)
(III)関税中央分析所報(33),「調製粉乳中のデキストリンのDEの測定」,関税中央分析所,1994年,23-28.に記載されている測定方法(測定温度は15~30℃)
前記(II)の具体的な測定方法としては、以下の通りである。
(II-1)分析対象である分析試料は、試料の性状に応じて、次のように調製する。
分析対象が固体試料である場合は、粉末又は結晶状とし、塊がある場合は砕き、よく混合する。分析対象が液体試料である場合は、液体中に結晶又は塊状物が析出している場合には、密閉容器に入れ、60℃~70℃の水浴中に浸せきして溶解し、よく振り混合した後室温に冷却する。
(II-2)水分M(%)を定量する。
上記(II-1)で調製した試料が固体試料である場合、約2gを予め恒量にしたひょう量びんに正確に量り取り、真空乾燥器で4時間、70℃で乾燥する。次にデシケーター中で室温まで放冷したのち、重量を量った後、1時間ずつ真空乾燥を繰り返して、減量が2mg以下の変化になったときを恒量に達したとみなす。
上記(II-1)で調製した試料が液体試料である場合、乾燥補助剤として、予めひょう量びんに海砂を約15g(又はセライト5g)とり、ひょう量びんに入る程度のガラス棒とともに105℃の乾燥器中で乾燥して恒量を求める。次に、上記(II-1)で調製した均一試料を、固形分として約2gに相当する量を正確に量り取り、必要があれば少量の水を全体が浸るまで加え、時々ガラス棒でかき混ぜながら水浴上で加熱して大部分の水を揮散させる。さらに、105℃の乾燥器内で時々かき混ぜ、ほとんど乾燥するまで乾かした後、真空乾燥器に移し、4時間、70℃で乾燥する。デシケーター中で室温まで放冷した後、重量を量る。1時間ずつ真空乾燥を繰り返して、減量が2mg以下の変化になったときを恒量に達したとみなす。
を試料の採取量(g)、Wを乾燥後の試料の重量(g)としたとき、水分M(%)は、以下(1)式によって算出することができる。
水分M(%)={(W-W)/W}×100・・・(1)式
(II-3)フェーリング溶液を作製する。
硫酸銅(CuSO・5HO)34.639gを水に溶かして500mLとし、二日間放置した後、濾過してフェーリング溶液A液を作製する。さらに、酒石酸カリウムナトリウム(KNaC・4HO)173gと、水酸化ナトリウム50gとを水に溶かして500mLとし、これを二日間放置後、濾過してフェーリング溶液B液を作製する。
フェーリング溶液A液5.0mL及びフェーリング溶液B液5mLを200mL容三角フラスコに採り、50mL容ビュレットを用いて標準転化糖溶液19.5mLを加える。電熱器上で2分間沸騰させた後、メチレンブルー溶液4滴を加え、沸騰しながら標準転化糖溶液を滴下し、青色が消失したところを終点とする。なお滴定は、沸騰し始めてから3分以内に終了する。Aを消費した標準転化糖溶液の量(mL)とすると、フェーリング溶液の力価は以下(2)式によって算出することができる。
力価=20.36/A・・・(2)式
なお、前記標準転化糖溶液は、しょ糖(試薬)4.75gを正確に量り取り、90mLの水を使用して500mL容メスフラスコに移し入れ、これに塩酸(比重1.18)5mLを加え、20~30℃で3日間放置したのち、水を加えて定容し、冷暗所に保存後、50mLを200mL容メスフラスコにとり、フェノールフタレインを指示薬として1mol/L水酸化ナトリウム溶液で中和し、水を加えて定容したものを用いた。
(II-4)還元糖分を定量する。
上記(II-1)で調製した試料約10gを正確に量り取り、水に溶かして500mL容メスフラスコに移し入れ、水を加えて定容し検液とした。
フェーリング溶液A液5.0mL及びフェーリング溶液B液5mLを200mL容三角フラスコに採り、50mL容ビュレットを用いて検液15mLを加える。電熱器上で2分間沸騰させた後、メチレンブルー溶液4滴を加え、沸騰しながら検液を滴下し、青色が消失したところを終点とする。滴定は沸騰し始めてから3分以内に終了し、これを予備滴定とする。更に、予備滴定で得た滴定数より約1mL少ない量の検液を加え、同様に滴定する。ここで得られた検液の消費量にフェーリング溶液の力価を乗じ、この数値から以下表1に示すレイン・エノイン糖量表(ぶどう糖)を用いて還元糖濃度(mg/100mg)をぶどう糖として求める。
Figure 2023020095000001
(II-5)試料の乾燥状態におけるぶどう糖として計算した還元糖の含有量は、以下(3)式により算出することができる。なお、DE(%)は試料の乾燥状態におけるぶどう糖として計算した還元糖の含有量(%)、Dsは表1を用いて求めた検液100mL中のぶどう糖量(mg)、Mは試料の水分(%)、Sは試料の採取量(g)を表す。
DE(%)=[Ds/{2(100-M)S}]×100・・・(3)式
なお、デキストリンを分散媒として添加して製造された乳酸菌原料中のデキストリンのDE値を測定する場合、上述した(II-4)の試料溶解後、事前に濾紙で濾過して不純物を取り除いた検体を1μm以下のメンブレンフィルターで再度濾過することにより、乳酸菌等の不溶物を取り除いた検液で測定することが好ましい。
また、前記DE値の測定対象がデキストリン単体でない場合、上述した(II-5)における(3)式に替わり、試料中のデキストリン質量比を考慮した以下の(4)式により算出することができる。なお、以下(4)式中、Rは試料中のデキストリン質量比(%)とする。
DE(%)=[Ds/{2(100-M)S×R/100}]×100・・・(4)式
前記(C)デキストリンの含有量は、腸溶性固形製剤中、0.05質量%以上35質量%以下が好ましく、0.2質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.75質量%以上19質量%以下がさらに好ましく、0.9質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
前記(C)デキストリンの含有量が、腸溶性固形製剤中、0.05質量%以上であると、腸液溶出性維持率が向上し、成型性が向上するため好適である。
前記(C)デキストリンの含有量が、腸溶性固形製剤中、35質量%以下であると、経時後の胃液耐性が向上し、打錠時の盤付着が抑制され、バインディング等の打錠障害が抑制されるため好適である。
<質量比[(C)/(A)]>
本発明において、前記(A)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の質量比[(C)/(A)]としては、腸液溶出性及び胃液耐性の観点から、0.05以上が好ましく、0.05以上0.6以下がより好ましく、0.1以上0.36以下がさらに好ましい。
前記質量比[(C)/(A)]が0.05以上であることにより、腸液溶出性維持率が向上し、成型性が向上するため好適である。
前記質量比[(C)/(A)]が0.6以下であることにより、経時後の胃液耐性が向上し、打錠時の盤付着が抑制され、バインディング等の打錠障害が抑制されるため好適である。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、(C)成分以外の賦形剤、崩壊剤、流動化剤、滑沢剤、結合剤、コーティング剤、腸溶コーティング剤などが挙げられる。
前記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
―(C)成分以外の賦形剤―
前記(C)成分以外の賦形剤(以下、「賦形剤」と称することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、セルロース又はセルロース誘導体、糖アルコール、糖(単糖、二糖、オリゴ糖、多糖)、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
――セルロース又はセルロース誘導体――
前記賦形剤として用いられるセルロース又はセルロース誘導体は、製造直後の錠剤物性(成型性、崩壊性)の向上、機能性成分の溶出性の促進、機能性成分の溶出性維持率の向上、保存安定性の向上、打錠障害の抑制などの機能を発現させるために含有される。特に、製造直後の錠剤物性(成型性、崩壊性、溶出性)、保存安定性、機能性成分の溶出性維持率を向上する機能、及び打錠障害の抑制する機能の発現に有用である。
前記賦形剤として用いられるセルロース又はセルロース誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セルロース、メチルセルロース、微小繊維状セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、成型性及び崩壊性に優れるという点で、結晶セルロースが好ましい。
前記賦形剤として用いられるセルロース又はセルロース誘導体が結晶セルロースである場合、前記結晶セルロースの嵩密度は、0.15g/cm以上0.40g/cm以下が好ましく、0.20g/cm以上0.35g/cm以下がより好ましい。
なお、前記嵩密度は、第十七改正日本薬局方の「結晶セルロース」に記載の方法によって行われ、スコットボリュームメーターで測定できる。
前記賦形剤として用いられるセルロース又はセルロース誘導体の平均粒子径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上180μm以下が好ましく、40μm以上150μm以下がより好ましい。なお、前記平均粒子径は、(A)ラクトフェリンと同様の方法で求めることができる。
前記賦形剤として用いられる前記セルロース又はセルロース誘導体の含有量は、腸溶性固形製剤中、15質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上65質量%以下がより好ましく、25質量%以上45質量%以下がさらに好ましい。
前記賦形剤として用いられる前記セルロース又はセルロース誘導体の含有量が、腸溶性固形製剤中、15質量%以上であると、成型性、錠剤の崩壊性、機能性成分の溶出性、崩壊性維持率、及び溶出性の維持率が向上し、打錠障害が生じ難くなるため好適である。
前記賦形剤として用いられる前記セルロース又はセルロース誘導体の含有量が、腸溶性固形製剤中、80質量%以下であると、十分な硬度と良好な崩壊性を得ることができる。また、厚みを抑えられることにより服用性が良好となり、混合粉体が打錠機に付着し難くなるため好適である。
――糖アルコール――
前記糖アルコールは、錠剤の成型性、製造直後の錠剤物性(成型性、崩壊性)、保存安定性、及び機能性成分の溶出性の促進、並びに機能性成分の溶出性維持率の向上などの機能を発現させるために含有される。特に、製造直後の錠剤物性(崩壊性)、保存安定性、及び機能性成分の溶出性の促進、並びに機能性成分の溶出性維持率を向上する機能の発現に有用である。
前記糖アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、グルコース、ソルビトール、ラクチトールなどが挙げられる。
前記糖アルコールの平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm以上400μm以下が好ましく、200μm以上300μm以下がより好ましい。なお、前記平均粒子径は、(A)ラクトフェリンと同様の方法で求めることができる。
前記糖アルコールの含有量は、腸溶性固形製剤中、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、12質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
前記糖アルコールの含有量が、腸溶性固形製剤中、5質量%以上であると、成型性、錠剤の崩壊性、機能性成分の溶出性、崩壊性の維持率、及び溶出性の維持率が向上するため好適である。
前記糖アルコールの含有量が、腸溶性固形製剤中、50質量%以下であると、十分な硬度と良好な崩壊性を得ることができ、胃液耐性が担保できるため好適である。
―崩壊剤―
前記崩壊剤は、錠剤の崩壊性を促進するために含有される。
前記崩壊剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はそのアルカリ金属塩、部分α化デンプンなどが挙げられる。これらの中でも、錠剤の崩壊性及び機能性成分の溶出性の観点から、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はそのアルカリ金属塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースカルシウムがより好ましい。
前記崩壊剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、1質量%以上2質量%以下がより好ましい。
前記崩壊剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上であると、錠剤の崩壊性及び、機能性成分の溶出性が向上するため好適である。
前記崩壊剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、5質量%以下であると、保存による錠剤の崩壊遅延が低減できるため好適である。
―流動化剤―
前記流動化剤は、粉体粒子間の付着を防止することで流動性を促進するために含有される。前記流動化剤によって流動性が促進されることで、錠剤質量のばらつきが低減されるため好適である。
前記流動化剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、微粒二酸化ケイ素(シリカ)、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、含水微粉ケイ酸、タルクなどが挙げられる。
前記流動化剤が二酸化ケイ素である場合、前記二酸化ケイ素の平均粒子径としては、0.5μm以上10μm以下が好ましい。なお、前記平均粒子径は、(A)ラクトフェリンと同様の方法で求めることができる。
前記二酸化ケイ素としては、多孔性の微粒二酸化ケイ素であることが好ましい。
前記流動化剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、錠剤質量のばらつき抑制の観点から、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上2.0質量%以下が好ましい。
前記流動化剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上であると、混合粉体の流動性が向上し、錠剤質量のばらつきが抑制されるため好適である。
前記流動化剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、2.0質量%以下であると、錠剤の硬度が高くなりすぎないため好適である。
―滑沢剤―
前記滑沢剤は、金属機器と粉体粒子との摩擦を低減することにより金属付着を防止するために含有される。金属機器と粉体粒子との摩擦が低減されることで、打錠障害が抑制されるため好適である。
前記滑沢剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸金属塩、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、打錠障害(バインディング、スティッキング、ピッキング)の抑制の観点から、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
前記滑沢剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、打錠機への付着防止、打錠障害(バインディング、スティッキング、ピッキング)の抑制の観点から、腸溶性固形製剤中、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5.0質量%以下がより好ましく、0.10質量%以上3.0質量%以下がさらに好ましい。
前記滑沢剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、0.01質量%以上であると、打錠機への付着が防止され、打錠障害(バインディング、スティッキング、ピッキング)が生じ難くなるため好適である。
前記滑沢剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、10質量%以下であると、錠剤の成型性、崩壊性、及び溶出性が向上するため好適である。
―結合剤―
前記結合剤は、錠剤の硬度の制御、及び錠剤の崩壊時間の制御のために含有される。
前記結合剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、打錠障害(キャッピング、ラミネーション)抑制、錠剤物性(硬度、崩壊時間)、及び錠剤物性の保存安定性の観点から、例えば、コーンスターチ等のデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下「HPMC」と称することがある)などが挙げられる。
前記結合剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、錠剤成型性の向上、打錠障害の抑制、及び錠剤物性の保存安定性の向上の観点から、腸溶性固形製剤中、0.01質量%以上30質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記結合剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、0.01質量%以上であると、錠剤の成型性が向上し、打錠障害が生じ難くなるため好適である。
前記結合剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、30質量%以下であると、混合粉体が打錠機に付着し難くなり、錠剤の崩壊性が向上するため好適である。
―コーティング剤―
本発明の腸溶性固形製剤は、服用性の向上や素錠のマスキング(主に機能性成分に起因する苦味やにおい等)のために、コーティング剤を含有するコーティング層が設けられたコーティング錠としてもよい。
前記コーティング層は、前記コーティング剤の他に、可塑剤を含有してもよい。
本発明の腸溶性固形製剤がコーティング錠である場合、素錠の表面に前記コーティング層を有する。
前記コーティング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルロース、セルロース誘導体、メタクリル酸系高分子化合物、シェラック、ツェイン、ポリウロン酸及びその塩、フコダイン及びその塩、カラギーナン及びその塩などが挙げられる。これらの中でも、HPMC、シェラック、ツェイン、ポリウロン酸及びその塩(特にアルギン酸塩)、ペクチン及びその塩が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記コーティング剤に用いられるセルロース誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、HPMCなどを挙げることができる。
前記コーティング剤に用いられるポリウロン酸としては、グルロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸等のウロン酸のポリマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルギン酸(グルロン酸とマンヌロン酸のポリマー)、ペクチン(ガラクツロン酸のポリマー)などが挙げられる。
前記コーティング剤と共に用いられる可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、グリセリン、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤がコーティング錠である場合、前記コーティング剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、錠剤の服用性の向上、及び機能性成分に由来する苦味やにおいがマスキングされる観点から、コーティング錠1錠に対して、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記コーティング剤の含有量が、コーティング錠1錠に対して、0.5質量%以上であると、服用性が向上し、機能性成分に由来する苦味やにおいがマスキングされるため好適である。
前記コーティング剤の含有量が、コーティング錠1錠に対して、15質量%以下であると、錠剤の崩壊性と溶出性が良好となる。
本発明の腸溶性固形製剤がコーティング錠である場合、前記コーティング剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、錠剤の服用性の向上、及び機能性成分に由来する苦味やにおいがマスキングされる観点から、腸溶性固形製剤中、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記コーティング剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、0.5質量%以上であると、服用性が向上し、機能性成分に由来する苦味やにおいがマスキングされるため好適である。
前記コーティング剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、15質量%以下であると、錠剤の崩壊性と溶出性が良好となる。
前記コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記コーティング錠の崩壊性及び溶出性が向上するという観点から、コーティング錠1錠に対して、0.05質量%以上が好ましい。また、前記コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、コーティング効果が発現するという観点から、コーティング錠1錠に対して、10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
前記コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記コーティング錠の崩壊性及び溶出性が向上するという観点から、腸溶性固形製剤中、0.05質量%以上が好ましい。また、前記コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、コーティング効果が発現するという観点から、腸溶性固形製剤中、10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
―腸溶コーティング剤―
本発明の腸溶性固形製剤は、胃酸で変質を受けやすい成分等の分解を抑制するために、腸溶コーティング剤を含有するコーティング層が設けられた腸溶コーティング錠としてもよい。
前記腸溶コーティング層は、腸溶コーティング剤の他に、可塑剤を含有してもよい。
本発明の腸溶性固形製剤が腸溶コーティング錠である場合、素錠の外側に腸溶コーティング層を有する。
前記腸溶コーティング剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸系高分子化合物、シェラック、ツェイン、ポリウロン酸及びその塩、フコダイン及びその塩、カラギーナン及びその塩などが挙げられる。これらの中でも、シェラック、ツェイン、ポリウロン酸及びその塩(特にアルギン酸塩)、ペクチン及びその塩が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記腸溶コーティング剤に用いられるポリウロン酸としては、グルロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸等のウロン酸のポリマーであれば、特に制限はなく、例えば、アルギン酸(グルロン酸とマンヌロン酸のポリマー)、ペクチン(ガラクツロン酸のポリマー)などが挙げられる。
前記腸溶コーティング剤は、前記コーティング剤として例示されているセルロース誘導体(HPMC等)を併用してもよい。
前記腸溶コーティング剤は、前記コーティング剤と併用してもよい。
本発明の腸溶性固形製剤が腸溶コーティング錠である場合、前記腸溶コーティング剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、胃での機能性成分の分解を防ぐことができる観点から、腸溶コーティング錠1錠に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記腸溶コーティング剤の含有量が、腸溶コーティング錠1錠に対して、1質量%以上であると、胃での機能性成分の分解を防ぐことができるため好適である。
前記腸溶コーティング剤の含有量が、腸溶コーティング錠1錠に対して、30質量%以下であると、腸環境での溶出性が良好となる。
本発明の腸溶性固形製剤が腸溶コーティング錠である場合、前記腸溶コーティング剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、胃での機能性成分の分解を防ぐことができる観点から、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記腸溶コーティング剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上であると、胃での機能性成分の分解を防ぐことができるため好適である。
前記腸溶コーティング剤の含有量が、腸溶性固形製剤中、30質量%以下であると、腸環境での溶出性が良好となる。
前記腸溶コーティング剤と、前記コーティング剤として例示されているセルロース誘導体(HPMC等)とを併用する場合、前記腸溶コーティング剤1質量部に対し、前記コーティング剤を0.1質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。
前記腸溶コーティング剤に用いられる可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、グリセリン、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
前記腸溶コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記腸溶コーティング錠の崩壊性及び溶出性が向上する観点から、前記腸溶コーティング錠1錠に対して、0.05質量%以上が好ましい。また、前記腸溶コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、コーティング効果が発現するという観点から、前記腸溶コーティング錠1錠に対して、10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
前記腸溶コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記腸溶コーティング錠の崩壊性及び溶出性が向上する観点から、腸溶性固形製剤中、0.05質量%以上が好ましい。また、前記腸溶コーティング剤に用いられる可塑剤の含有量は、コーティング効果が発現するという観点から、腸溶性固形製剤中、10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤が腸溶コーティング錠である場合、胃液耐性の低下抑制の観点から、素錠と腸溶コーティング層の間にプレコーティング層を設けることが好ましい。また、外観、口当たり、及び服用性の向上のため、腸溶コーティング層の外側に最表層を設けてもよい。
前記プレコーティング層及び前記最表層に含有される成分としては、前記コーティング剤、前記コーティング剤に用いられる可塑剤などが挙げられる。これらの中でも、前記コーティング剤と同様のものを用いることが好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤が前記プレコーティング層を有する場合、前記プレコーティング剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤が前記最表層を有する場合、前記プレコーティング剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、腸溶性固形製剤中、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤(糖衣錠、コーティング錠、腸溶コーティング錠等)、丸剤(糖衣錠、コーティング錠、腸溶コーティング錠)、ハードカプセル剤(コーティングハードカプセル、腸溶コーティングハードカプセル)などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより享受しやすい点から、コーティング錠、腸溶コーティング錠が好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤が錠剤である場合、前記錠剤の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、錠剤の取り扱いやすさ及び嚥下性の観点から、前記錠剤の径は、5mmφ以上15mmφ以下が好ましい。
前記錠剤の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mmφ以上10mmφ以下が好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤が錠剤である場合、前記錠剤における1錠あたりの錠剤質量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150mg以上500mg以下が好ましく、250mg以上400mg以下がより好ましい。
前記錠剤質量が150mg以上であると機能性成分を必要量配合できるため好適である。 前記錠剤質量が500mg以下であると、服用性が向上するため好適である。
本発明の腸溶性固形製剤が錠剤である場合、前記錠剤の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スミ角平錠、スミ丸平錠、丸みを帯びたR錠もしくは2段階R錠が好ましい。
本発明の腸溶性固形製剤が錠剤である場合、前記錠剤の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単層構造(単層錠)であってもよいし、積層構造(積層錠)であってもよい。これらの中でも、本発明の効果をより享受しやすい点から、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分を併用する層を有する(即ち、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分が同一層に存在する)ことが好ましい。なお、本明細書中において、「前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分を併用する層」は、「有効成分含有層」と称することがある。
本発明の腸溶性固形製剤が単層錠である場合、前記腸溶性固形製剤は有効成分含有層で構成される。本発明の腸溶性固形製剤が積層錠である場合、前記腸溶性固形製剤は有効成分含有層と有効成分含有層以外の層(任意層)とで構成される。
本発明の腸溶性固形製剤がハードカプセル剤である場合、前記ハードカプセル剤の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ハードカプセル剤のカプセルの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等が使用できる。
前記ハードカプセルに充填される充填物としては、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分を含有する混合粉末や、造粒した顆粒などが挙げられる。
本発明の腸溶性固形製剤の投与形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常の経口、つまり飲み込むタイプの錠剤であることが好ましい。
なお、本発明において、腸溶性固形製剤であるか否かは第十七改正日本薬局方・崩壊試験法による。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に記載の各成分の含有量は「質量部」で示し、全て純分換算した値である。
なお、本発明の実施例におけるラクトフェリンの素錠組成は、ラクトフェリン粉体(原料)の含有量であり(ラクトフェリン純分も併記)、上述の固形製剤中の含有割合は、ラクトフェリン純分としての含有割合である。ラクトフェリン粉体中のラクトフェリン純分は、日本食品添加物公定書第9版「ラクトフェリン濃縮物」のラクトフェリン(乾燥物中)定量法と乾燥減量(105℃、5時間)によって以下(5)式に基づき算出される。
ラクトフェリン純分=ラクトフェリンの含量(乾燥物中)(%)×(100-乾燥減量(%))/100・・・(5)式
(素錠の作製)
表2~表7の各素錠原料を、混合粉体の総質量が5kgとなるように、秤量、混合し、ロータリー式打錠機(LIBLA 2:菊水製作所製)を用いて、以下の条件で打錠した。
・臼杵:φ9.0mm 2段R形状(R1=3.4mm、R2=10mm、ランド部(錠剤側面部からRの立上り部までの距離)=1.4mm)
・フィードシューの攪拌羽回転数:60rpm
・打錠圧:8kN以上11kN以下
(第1層コーティング液の作製)
以下の材料を混合することで、第1層コーティング液を得た。
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):6質量%
・グリセリン:2質量%
・イオン交換水:92質量%
(第2層コーティング液の作製)
以下の材料を混合することで、第2層コーティング液を得た。
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):2.1質量%
・グリセリン:1.1質量%
・アルギン酸ナトリウム:3.2質量%
・タルク:0.5質量%
・微粒二酸化ケイ素:0.5質量%
・イオン交換水:93.1質量%
(コーティング錠の作製)
パン回転式コーティング機(フロイント産業(株)製 ハイコーターFZ-Lab)を用いて、素錠670錠に対し、第1層コーティング液(20℃)33gを平均2g/minで噴霧し、品温約50℃でコーティングを施した。続けて第2層コーティング液(60℃)165gを平均2g/minで噴霧し、噴霧後約45℃で2分乾燥させ、実施例1~21及び比較例1~4の腸溶性固形製剤(コーティング錠)を得た。1錠あたりの各コーティング層に由来する固形分の質量を以下に示した。
<第1コーティング層(固形分質量)>
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):2.9質量%
・グリセリン:1.0質量%
<第2コーティング層(固形分質量)>
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):4.6質量%
・グリセリン:2.3質量%
・アルギン酸ナトリウム:7.1質量%
・微粒二酸化ケイ素:1.1質量%
・タルク:1.1質量%
実施例1~21及び比較例1~4の腸溶性固形製剤について、「打錠障害」、「初期溶出率」、「溶出性維持率」、「経時後の耐酸性」を以下の方法で評価した。結果を下記表2~表7に示した。
[打錠障害]
実施例1~21及び比較例1~4の腸溶性固形製剤において、上述した条件で打錠を行うとき、錠剤20粒ずつをサンプリングした。得られた錠剤のうち、側面に縦筋(バインディング)が入っているものを目視で確認し、カウントした。以下の判定基準により評価を行った。
[打錠障害の判定基準]
3点 バインディングが認められなかった
2点 1~2錠でバインディングが認められた
1点 3~5錠でバインディングが認められた
0点 6錠以上でバインディングが認められた
<溶出試験>
ラクトフェリンの溶出率(%)の測定は、第十七改正日本薬局方に収載される錠剤の溶出試験法に準じて試験を行った。具体的にはパドル法により毎分50回転でラクトフェリンを試験液に溶出させた。前記試験液としては、pH約6.8の溶出試験第2液を、錠剤1個に対して900mL使用した。試験開始2時間後、試験液を採取し、試験液中に溶出したラクトフェリンを定量することで溶出率を算出した。
なお、pH約1.2の溶出試験第1液でも試験を行い、コーティングが正常に形成されていたことを予め確認した。したがって溶出試験第2液に対して本実施例の錠剤に溶出性のあることが確認されれば、本実施例の錠剤が腸溶性固形製剤として生体に利用できることが確認される。
試験液中に溶出したラクトフェリンの溶出量は、次のように求めた。まず規定体積50mLのメスフラスコにラクトフェリン標準品(ラクトフェリン 牛乳由来、富士フイルム和光純薬(株)製)75mgを入れてから、溶出試験第2液で規定体積までメスアップして1/1の標準溶液を得た。この標準溶液をさらに溶出試験第2液で希釈して1/5、1/20、及び1/50の標準溶液を作製した。各標準溶液中のラクトフェリンをHPLCで検出した。それぞれの標準溶液中のラクトフェリンのピーク面積を求めることで検量線を作成した。
次に上述の通り採取した試験液中のラクトフェリンをHPLCにより検出することで、ラクトフェリンのピーク面積を求めた。検量線に基づきピーク面積より各試験液中のラクトフェリン濃度を求めることで、試験液中に溶出したラクトフェリンを定量した。
なお、ラクトフェリン標準品の純度は、富士フイルム和光純薬(株)が発行する検査成績書に記載の含量(HPLC)の数値を引用した。
HPLCの条件は以下のとおりである。
-検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280nm)
-カラム充填剤:5μmの液体クロマトグラフィー用ブチル化ポリビニルアルコールポリマーゲル(Shodex Asahipak C4P-50 4D)
-カラム管:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管
-ガードカラム:Shodex Asahipak C4P-50G 4A
-カラム温度:35℃
-移動相A:0.03w/v重量%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル/塩化ナトリウム溶液(3→100)混液(10:90)
-移動相B:0.03w/v重量%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル/塩化ナトリウム溶液(3→100)混液(50:50)
-濃度勾配:A:B(50:50)からA:B(0:100)までの直線濃度勾配を25分間かけて適用する。
-流量:0.8mL/分
[ラクトフェリン初期溶出率]
実施例1~21及び比較例1~4の腸溶性固形製剤について上述した溶出試験を行い、腸溶性固形製剤からのラクトフェリン初期溶出量を求めた。なお、腸溶性固形製剤は、ラクトフェリン初期溶出率を得るために打錠後7日以内の錠剤を使用した。試験は3回ずつ行い、これらのラクトフェリン初期溶出量の測定値を、ラクトフェリンの秤取量から計算で求めたラクトフェリン理論量(純分換算)で除した割合からラクトフェリン初期溶出率(%)を算出し、さらにラクトフェリン初期溶出率の平均値を算出した。以下の判定基準により評価を行った。なお、今回の実施例中では初期溶出率が75%に満たない処方は見られなかった。
[ラクトフェリン初期溶出率の判定基準]
3点 ラクトフェリン初期溶出率が96%以上
2点 ラクトフェリン初期溶出率が93%以上96%未満
1点 ラクトフェリン初期溶出率が90%以上93%未満
0点 ラクトフェリン初期溶出率が90%未満
[ラクトフェリン溶出性維持率]
実施例1~21及び比較例1~4の腸溶性固形製剤をプラスチックボトルに充填し、60℃で12日間保存した後、上述した溶出試験を行い、腸溶性固形製剤からのラクトフェリン溶出量を求めた。試験は3回ずつ行い、これらのラクトフェリン溶出量の測定値からラクトフェリン溶出性維持率の平均値を算出した。以下の判定基準により評価を行った。なお、ラクトフェリン溶出性維持率(%)を以下(6)式に従い求めた。
ラクトフェリン溶出性維持率(%)=100×{(保存後の溶出量(mg))/(初期の溶出量(mg))}・・・(6)式
[ラクトフェリン溶出性維持率の判定基準]
3点 85%以上
2点 78%以上85%未満
1点 71%以上78%未満
0点 71%未満
[経時後の胃液耐性]
実施例1~21及び比較例1~4の腸溶性固形製剤をプラスチックボトルに充填し、60℃で12日間保存した後、第十七改正日本薬局方に収載される錠剤の溶出試験法における溶出試験第1液(pH1.2)を用い、第十七改正日本薬局方に収載される一般試験法に準拠し、パドル法(回転数50rpm)による溶出試験を行い、2時間30分後に採取した溶出試験液中のラクトフェリン量を上記の試験法に従って定量した。試験は6錠の錠剤について、それぞれ行った。以下の判定基準により評価を行った。
[経時後の胃液耐性の判定基準]
3点:6錠全てにおいて、ラクトフェリン検出限界以下
2点:1~2錠がラクトフェリン溶出率5%以上
1点:3~4錠がラクトフェリン溶出率5%以上
0点:5錠以上がラクトフェリン溶出率5%以上
[腸溶性固形製剤としての総合評価]
前記打錠障害の評価、ラクトフェリン初期溶出率の評価、ラクトフェリン溶出性維持率の評価、及び経時後の胃液耐性の評価における合計点数が、10点以上であるものを合格とした。
Figure 2023020095000002
Figure 2023020095000003
Figure 2023020095000004
Figure 2023020095000005
Figure 2023020095000006
Figure 2023020095000007
前記実施例1~21、比較例1~4で使用した各成分の詳細を、下記表8に示す。
Figure 2023020095000008
(※1):ラクチカゼイバシラス カゼイ(ラクトバチルス カゼイ、ベルギーTHT社製、販売元:セティ(株))を、MRS培地(Oxoid社)にて嫌気培養後、集菌し、121℃、20分で高圧蒸気滅菌した後、凍結乾燥したものを用いた。本乾燥品2mgが乳酸菌数400億個に相当するように調製した。
(※2):ラクチカゼイバシラス パラカゼイ(ラクトバチルス パラカゼイ、ベルギーTHT社製、販売元:セティ(株))を、MRS培地(Oxoid社)にて嫌気培養後、集菌し、121℃、20分で高圧蒸気滅菌した後、凍結乾燥したものを用いた。本乾燥品2mgが、乳酸菌数400億個に相当するように調製した。
(※3):市販飲料に配合されているビフィドバクテリウム ロンガム(ビフィズス菌ロンガム、森永乳業社製ビヒダス飲むヨーグルト)を試料として、MRS培地(Oxoid社)にて嫌気培養後、集菌し、凍結乾燥したものを用いた。本乾燥品20mgが、ビフィズス菌数400億個に相当するように調製した。
(※4):ラクチカゼイバシラス カゼイ(ラクトバチルス カゼイ、ベルギーTHT社製、販売元:セティ(株))をMRS培地(Oxoid社製)にて嫌気培養後、集菌し、121℃、20分で高圧蒸気滅菌した後、倍散賦形剤としてDE11.6のデキストリン(三和澱粉工業製、サンデック#100)を乳酸菌と等量添加し、凍結乾燥したものを用いた。本乾燥品40mg中に乳酸菌400億個が存在するよう調製した(40mg中20mgがデキストリン)。
(※5):市販飲料に配合されているビフィドバクテリウム ロンガム(ビフィズス菌ロンガム、森永乳業社製ビヒダス飲むヨーグルト)を試料として、MRS培地(Oxoid社)にて嫌気培養後、集菌し、倍散賦形剤としてDE11.6のデキストリン(三和澱粉工業製、サンデック#100)を乳酸菌と等量添加し、凍結乾燥したものを用いた。本乾燥品40mg中にビフィズス菌400億個が存在するよう調製した(40mg中20mgがデキストリン)。
(※6):デキストリンのDE値は、購入原料の成績書に記載されているDE値を記載した(DE値は、上述した(II)関税中央分析所報,「デキストリン中の還元糖分の定量分析法」,関税中央分析所に記載されている測定方法によって測定された)。
(※7):比較例4におけるDE値35のデキストリンは、DE値28.9のデキストリン(GLUCIDEXIT19)10mgとDE値44のデキストリン(GLUCIDEXIT47)10mgとを混合したものを使用した。

Claims (3)

  1. (A)ラクトフェリンと、
    (B)乳酸菌と、
    (C)デキストロース当量(DE)が30以下であるデキストリンと、を含有する腸溶性固形製剤。
  2. 前記(C)デキストロース当量(DE)が、10以上30以下である、請求項1に記載の腸溶性固形製剤。
  3. 前記(A)成分の含有量に対する前記(C)成分の含有量の質量比[(C)/(A)]が、0.05以上0.6以下である、請求項1に記載の腸溶性固形製剤。

JP2021125284A 2021-07-30 2021-07-30 腸溶性固形製剤 Pending JP2023020095A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021125284A JP2023020095A (ja) 2021-07-30 2021-07-30 腸溶性固形製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021125284A JP2023020095A (ja) 2021-07-30 2021-07-30 腸溶性固形製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023020095A true JP2023020095A (ja) 2023-02-09

Family

ID=85159850

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021125284A Pending JP2023020095A (ja) 2021-07-30 2021-07-30 腸溶性固形製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023020095A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2017200343B2 (en) Prebiotic formulations and methods of use
RU2587717C2 (ru) Шипучая композиция в твердой форме для применения в вагинальных приложениях для лечения вагинальных инфекций
JP5070043B2 (ja) プロバイオティックバクテリアを含む経口投与剤
JP5576606B2 (ja) 微生物の腸内投与用組成物
US20200078422A1 (en) Oral dosage form
WO2018175879A1 (en) Methods of treating lactose intolerance and improving gastrointestinal health
JPH0441434A (ja) 腸溶性コーティングを施した乳酸菌錠剤
JP5940869B2 (ja) 腸内環境改善有核錠製剤及びハードカプセル製剤
KR20210123989A (ko) 연질캡슐형 건강기능식품의 제조방법
JP5997034B2 (ja) キトサン含有組成物及びキトサンコーティング組成物
TWI711461B (zh) 錠劑組成物及錠劑組成物之崩散性/溶離性改善方法
JP5907796B2 (ja) 腸内環境改善食品
US11179426B2 (en) Composition and method for maintaining healthy kidney function
JP2023020095A (ja) 腸溶性固形製剤
JP2016193893A (ja) 生菌製剤
JP5100634B2 (ja) 口腔内速崩壊性錠剤
JP2001048808A (ja) 腸溶性糖衣錠
JP2018158947A (ja) 生菌含有製剤
JP2022102038A (ja) ラクトフェリン含有固形製剤及びその用途
JP5625262B2 (ja) 固形製剤
KR102163637B1 (ko) 건강기능식품의 제조방법
RU2767400C2 (ru) Пробиотическая композиция для восстановления и поддержания сбалансированной микрофлоры кишечника у детей и младенцев и способ ее получения
JP2023019150A (ja) ハードカプセル製剤、粉末組成物
JP2021014422A (ja) 便性改善剤
JP2021014421A (ja) Qol改善剤

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220523

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20231213

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240411